『Returnal』の最初の2曲を聴いて欲しい。とくに1曲目の、嵐のようなノイズ──ノイズなどと書くとマニアが好むところのノイズだと思われそうだが、オウテカからマイブラまでを含む広義のノイズだとお考えいただきたい──は圧巻で、メドレーとなっている2曲目の重たいドローンへの展開は、テクノと呼ばれる音楽に興奮したことのある感性であるならば打ちのめされるだろう。
2010年、〈エディションズ・メゴ〉は、エメラルズの『Does It Look Like I'm Here?』とともにワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、通称OPNの『Returnal』をリリースした。この2枚のアルバムが、当時のUSアンダーグラウンド・シーンの素晴らしい豊かさを世界に知らしめたのである。快楽原則の支配から逃れられないクラブを拠点としたエレクトロニック・ミュージックから生まれようのない音楽である。そもそも、ノイズ、アンビエント、ドローンなどという、言葉だけ見るといかにもマニアックで地味な音楽が、これほど魅惑的に響くとは、僕には思いも寄らなかった。〈ワープ〉もアプローチが遅い!
だいたい、ジェシー・ルインズには最初に謝っておくが、僕の嫌いな......、いや、嫌いじゃない、だいっ嫌いな(とあまり繰り返すと、それは好きだという意味だと言われるのでもう言わない)ソフィア・コプラが映画で起用するようになったこの年、OPNの新譜が〈ワープ〉から出る。『R Plus Seven』は、アンビエント色を強めた前作『Replica』の延長線上にある作風で、ピアノの音色が印象的な、豪快な『Returnal』と比較して控えめだが深い作品となっている。ノイズはないが、OPN流サティ解釈と言うと大げさだが、いままで見せなかった美しい旋律がある。早い話、いままででもっとも幅広く聴かれそうな内容だ。待望の新作は9月21日に発売。
「You meã€ã¨ä¸€è‡´ã™ã‚‹ã‚‚ã®
この10年、お決まりの語法を無視したユニークな音楽の多くが北米から出て来ている。エクスペリメンタル・ミュージックと呼びうるものは、UKにシーンがないわけではないのだろうけれど、しかし、圧倒的に北米もしくはUK以外の欧州からのほうが目立っている。1980年代はOPNやローレル・ヘイロー、グルーパーやエメラルズのような音楽、いわゆるレフトフィールドな音と言えばUK以外からの方が珍しかったというのに、である。社会的、経済的な厳しさで言えば、北米もそれなりにきついはずだ。裕福だから実験、というわけではないだろう。
何にせよ、こうした豊かな多様性を持った、知覚の領域を拡張するための......か、どうかは知らないが、メインストリームに媚びることない実験精神旺盛なUSインディ・シーンと共鳴するような日本人アーティストがもっと出てきてもおかしくはない。前に紹介したイルハはそのひとつとに数えらるのだろうが、このイケバナもリストに加えておこう。
元シトラスとインセンスという、活動歴の長いふたりの女性からなるイケバナの音楽にいちばん近いのは、僕が思う限り、おそらくグルーパーだろう。とはいえ、ゆらめいているギターとその残響音から聴こえる彼女たちの歌は、はっきりと、「歌」としての輪郭を保っている。歌詞があるし、ホープ・サンドヴァルほど声に力があるわけではないが、"Alone"や"Rose"には惹きつけられるメロディがある。何かこう、持っていかれるのである。
電子的に変調された声と美しいギターのアルペジオが交錯する"Kiss"の展開も、聴き手をものの見事に引きずり込んでいく。7分以上ある"Ikebana"は、他の曲と同様に、最小限の音数と魅惑的な残響音、そして空間的な「間」を使って、素晴らしい音楽体験をもたらしてくれるだろう。この曲に関して言えばイルハの音響と近いものを感じるが、音の間合いはより長く、魅惑的な静寂を持った、残響音の美学だと言えよう。
この、じわじわとリスナーを増やしていきそうなアルバムのマスタリングは、デムダイク・ステアのマイルス・ウィッテカー。この作品に対してヨ・ラ・テンゴが惜しみない賛辞を送るばかりか、自らリミックスも手がけていると聞くし、"Alone"に関してはKing og Opusによるリミックスも近々発表されるらしい。8月3日にライヴがあるというので、行ってこようかと思います。
タグやリンクのみを頼りに、サウンドクラウドとバンドキャンプ上の倦むことなきサーフィンを続ける音楽中毒者たちは続々と増え続けている。彼らは、日中はイヤホンごしにiPhoneアプリでサウンドクラウドを横断し、夜はベッドルームに据え置かれたPCのヘッドホンジャックから溢れ出す音の波に溺れ、解凍されることなく増え続け、ハードディスクの容量を圧迫していくZIPファイルたちを前に頭を悩ませている(僕はそこまで重症ではない)。
サウンドクラウドやミックスクラウド、バンドキャンプという新しいツールを手に入れ、音楽ブログは再び栄華を極めている。ここ日本も例外ではない。
例えば、ヒップホップからインディ・ロックまで、フィジカルの新譜であろうとフリー音源であろうと、条件を問わずボーダーレスに音楽を紹介し続けている「キープ・フール・クール」。バンドキャンプで"name your price"にて販売されている音源やサウンドクラウドの音源やインタヴュー記事を紹介している「Hi-Hi-Whoopee」は、複数のエディターが参加している1つのメディアとなっている点でもおもしろい(ちなみに、エディターたちはツイッター等を介して知り合っているので、直接会ったことのない人もいるとか)。他にも「lights + music」など、ユニークなブログがたくさんある。
そういった音楽ブログの盛り上がりと同様、ネット上の"掘り師"たちが編んだコンピレーションもまた更なる耳目を集めている。インディ・ロック中心のネット・レーベル〈アノ(ト)ラックス〉の『スーン V.A.』や『アップワーズ・アンド・オンワーズ V.A.』は国内外で注目を浴びた。あるいは、毎回テーマを設け、それに沿った音源を募集してコンピを編んでいる〈フォグパック〉などなど。
そういったネットコンピ全盛のなかで、フィジカルのコンピレーションを出すということは、なかなかの覚悟と費用と時間とが必要とされることが想像に難くない。が、〈コズ・ミー・ペイン〉はそれでもアナログ盤でコンピレーションを出し続けている。この3作目も、前2作と同様、LPにダウンロード・コードを付けた形式である。アナログとカセットのみに限ったリリース方法にこそ、〈コズ・ミー・ペイン〉のこだわりや遊び心、クールな装いのなかに秘めたる熱情が垣間見えている。それが、〈コズ・ミー・ペイン〉のアティチュードなのだろう。
幕開けを飾るホワイト・ウェアの"クリア・シティ"は、リヴァーヴやエコーの靄のなかで、幻想的なシンセ・リフ、ギター・リフが折り重なり、左右に揺れる男性とも女性ともつかない複数の声が現れては消えていく。霞がかったバレアリックの中で、ハイハットとキック、ベースは冷静さを保っている。彼らはまた、ジェシー・ルインズが〈キャプチャード・トラックス〉からリリースした「ドリーム・アナリシス」のリミックスも提供している。原曲のヴォーカルを生かしつつネオアコ風のギターが重ねられ、ドリーミーなチルウェイヴに様変わりしている。
一方で、スーパー・VHSやナリザ・ムー、マスキュラン、ソレイユ・ソレイユはアグレッシヴだ。スーパー・VHSの"ボーイ"はこのコンピレーションのなかではもっともバンド色が強く、陽性の力強いビートを打ち出している。ファンキーなギター、太いシンセ・ベースとパーカッション、ニューウェイヴ直系のヴォーカル・スタイルが異色を放っている。ナリザ・ムーはクラシック・ハウスとテクノの血を正統に受け継いだかのようなストイックな相貌だ。くぐもった音質のなかでウネウネと鳴っている太いスクラッチのような音、永遠に続くかのようにリピートされるチープなギターリフを轟かせているマスキュランの"ガール・イン・ヘヴン"はどこか皮肉めいている。上昇していくオルガンが印象的なソレイユ・ソレイユはバレアリックな感覚を披露している。
今年に入って〈リヴィング・テープス〉からカセットをリリースした、ジェシー・ルインズの佐久間によるソロ・ユニットであるコールド・ネームは、インダストリアルな音作りで不思議な存在感を放っている。リンチの『イレイザーヘッド』の映像が浮かんできそうなノイジーでグロテスクな音だが、〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉の冷徹さとは異なる、妙にソフトな気味の悪い感触を湛えている。
翻って、ザ・ビューティの"ヴァーチェ"では、清廉なアコースティック・ギターの調べと聖歌隊めいたシンセ・リフ、クリーンなエレクトリック・ギターが透き通るようなサウンドを構成している。また、〈レフス〉からアルバム『ア・フィルム』を上梓した、〈コズ・ミー・ペイン〉の顔役とも言えるジェシー・ルインズは、ミュートされたギターの不穏なオープニングから分厚く重ねられたシンセサイザーが鳴り響くエンディングへと至る、涼やかでドラマティックな"エカテリーナ"を提供している。
『コズ・ミー・ペイン・コンピレーション #3』は、総じてダンス・オリエンテッドだ。一方でおもしろいのは、参加ミュージシャンにバンドが多い点だろう。こういったインディ・ダンスのアクトには、バンド形式のユニットが増えているように見える。そう、ダンスフロアとライヴハウス、クラバーとインディ・ロックのファンの距離が再び極小化し、その境界は曖昧になりはじめているのだ。ダンス・ミュージックとインディ・ロックの、何度目かの幸福な邂逅が起こっている。
夏、NYの野外活動は拡大する。サマーコンサート、サマーフィルムが毎日何処かで開催される。夏のショーは、ビッグネームでもインディ・バンドでも、フリーで野外ということも多いが、先週までのNYは天候が不安定で、コニーアイランドのチープトリックも(最高!)、リバーロックスのジェネレーショナルも、サマースクリーンも雨模様だったが、今週に入ると、マーサ&ザ・ヴァンデラスさながらヒート・ウェイヴが押し寄せ日中は98°F(=37℃)超え! 週末はみんなビーチに出かけ、夜からようやく外に出はじめる。普段ビーチに行かない著者も、先週はロングアイランドに行って、水に浸ってきた。そのままボードゲームにはまり、帰りの電車のなかまで続ける有様......
野外映画を観ている人たち。
NYの夏の、野外映画も素晴らしい。ブライアント・パーク、イースト・リバー・パーク、ハドソン・リバーパークなどの公園で上映、日没になると人が集まりだす。知らない人たちが一同に同じ映画を見るのは可笑しいが、大体は、映画は関係なく飲んだり食べたりのんびり状態。なかには折り畳みいす持参で徹底的に楽しむ上級者もいる。子供向け、ファミリー向け、公園によって映画は違うが、『L・マガジン』が、毎夏ブルックリン、グリーンポイントのマカレンパークで開催するサマースクリーンが、インディ音楽ファンの心をついている。映画の前には、いまNYでホットなニュー・バンドがプレイするし、キュレーションはNYのアンダーグラウンド・ブッキングを代表するトッド・P。彼には去年、ブルックリンのインディ・シーンについてのインタビューしているので、未読の方はどうぞ。
参考までにサマースクリーン、今年2013年のラインナップ:
Wednesday, July 10
映画:キャント・ハードリー・ウェイト
音楽:SILENT BARN presents: Jeffrey Lewis and the Sunny Skies、Weed Hounds、Ganjatronics
Wednesday, July 17
映画:ピーウィーの大冒険
音楽:JMC AGGREGATE presents: Oberhofer, Lodro and Bueno
Wednesday, July 24
映画:ザ・クラフト
音楽:285 KENT AVE + AD HOC present: La Misma, Potty Mouth, Divorce Money (Dustin of Beach Fossils, Ren of Herzog Rising, Alex of Dream Diary)
Wednesday, July 31
映画:グーニーズ
音楽:DEATH BY AUDIO + ENTERTAINMENT 4 EVERY 1 present: Hector's Pets, The Numerators, Juniper Rising
Wednesday, August 7
映画:スピード
音楽:SHEA STADIUM presents: Hubble (member of The Men, Zs and Pygmy Shrews), GDFX (member of Liturgy, Man Forever and Guardian Alien)
Wednesday, August 14
映画:オーディエンス・ピック(オーディエンスの投票で映画が決まる)
音楽:MARKET HOTEL presents: Aa (aka Big A Little A), Amen Dunes
トッド・Pのウェブ・サイトにもリンクが張られている、DIYブッカーたちがバンドをピックする。バンドはまだ若く日本ではほとんど知られていないが、このなかでは、Aa(ビッグエー・リトルエー)が大御所。彼らはライトニング・ボルトやライアーズあたりと良くプレイしている。映画もバンドも偏ってはいるが、このラインナップには少しチージー(良い意味で)な、現在のブルックリンが表されていると思う。ただ、最近のブルックリンは選択肢が多すぎて、結局どれにも行かないという人が増えている(著者の周辺情報)。
たしかに、インターネットで音楽も聴け映像も見れると、バンドを知った気になってしまう。著者の場合、音楽業界周辺からの口コミや、普段の何気ない会話から生まれるサプライズに託しているが、ライヴに行きたいと思わせるバンド、それをオーガナイズするブッカーがやはり大事だ。そこで、DIYブッカーとしては少し規模が大きくなるが、NYとサンフランシスコにオフィスを持つパナシェがある。パナシェは、その名があるというだけで「見に行こう」と思える数少ないブッカーで、何十年も同じスタンスでいる。彼らがスペシャルでいれる理由は、所属バンドの質と、パナシェだったらという信頼、パナシェ・チームが考える人とのつながり。
そこで、代表のミシェルに、パナシェ、NY、ブッキング他、彼女が興味のあることまで、ランダムに語ってもらった。彼女のパーソナリティにも注目してほしい。
ミシェル (パナシェ・ブッキング)インタヴュー
取材に応えてくれたパナシェ・ブッキングのミシェルさん。
■自己紹介をお願いします。NYの音楽業界で働いてどれくらいになるのでしょうか。
ミシェル(M):私はミシェル・ケーブルです。北アメリカのおよそ120バンドのブッキングを扱うタレント・エージェンシーのパナシェ・ブッキングを経営しています。オフィスはブルックリンとサンフランシスコにあり、音楽業界で働いて15年になります。パナシェはファンジンとしてはじまり、私は地元のカリフォルニア、ユリイカのプロモーターになり、1年で約100本のショーをブックしました。最終的に私が尊敬するアーティストのツアーをブッキングすることになり、パナシェ・ブッキングを設立しました。
■NYには何年、どこに住んでいますか? NYに住むこと、近所を紹介してください。
M:ブルックリンのグリーンポイントに6年住んでいます。マンハッタンに行くL線とクイーンズとサウスブルックリンに行くG線が走るふた駅へは数ブロックです。近辺はポーランドとイタリア人が住んでいて、家族的な雰囲気で、バーやレコード屋、ライヴハウスがたくさんある、ウィリアムスバーグにも面しています。このエリアは数年で、大きく変わりました。私はNYが好きで、6年経ったいまでも、毎日が映画のようにインスパイアされる瞬間でいっぱいです。その角に何があるか、普通の人びとに驚かされたりと予想がつきません。人は都市の脈で、24時間エネルギーを感じます。ここで強く支持のあるコミュニティを発見し、素晴らしいコラボレーションに繋がって行きました。
■いまパナシェでブックしているメインのバンドは?
M:タイ・シーガル、ジ・オーシーズ、マック・デマルコ、ザ・メン、ブリーチド、クール・キース、DJジョナサン・トゥビン、ミカル・クロニンなどです。
■どれぐらいの割合でショーに行きますか? 最近で面白かったショーは? 人びとは昔に比べて音楽を見に出かけていると思いますか?
M:時期やツアー時もよりますが、週に2、3回。最近の良かったショーは、NYのリンカンセンターでの、$100を賞金としたダンス・コンテスト、DJジョナサン・トゥビン・ソウル・クラップ&ダンス・オフです。R&Bシンガーのヤング・ジェシーがオープニングで、観客が、7インチのソウル・レコードをヘッドフォンで聴く、初の無音ディスコ・ソウル・クラップでした。歴史的な会場のリンカン・センターなので、老若男女が音楽に合わせてお尻を振っていました。ヘッドフォンをとったら、人が音のないリズムで踊っているのでかなり面白かったです。ライヴ音楽はもちろん、私はダンスとふたつの世界を繋げるのが好きなので、人びとのつながりを強くするこういうイヴェントをもっとやりたいです。人は、まだよく出かけていると思いますが、大多数の人は、小さなインディショーに行くより、フェスティヴァルなどの大きなショーに行くのを好むと思います。
■NYで好きな会場はありますか?
M:ブルックリンのディス・バィ・オーディオはまだホームを感じます。200人ぐらい収容できるウィリアムスバーグの真んなかにあるDIYクラブで、壁がカラフルなアートワークで覆われていて、スタッフも家族みたいです。この地上げ地域で、生き残っている数少ないアンダーグラウンド会場で、いつでも良いショーがあると信頼出来るし、音設備も上々で、毎回ショーのレコーディングをしています。他の会場では、ブルックリン・ボウル、マーキュリー・ラウンジ、ユニオン・プールなどです。
■どのようにパナシェでブックするバンドを見つけるのですか?
M:大体は、他のバンドを通してか、一緒に働いている人からの推薦です。たまにCMJ、SXSWなどの国際フェスティバルで発見することもあります。
■前と比べて、今年のNYの音楽シーンはどう変わっていますか? 注目の会場があれば教えてください。
M:NYのDIYやアンダーグラウンドの会場は閉まったり、立ち退きを強要され、リーズナブルな場所に引っ越しています。いろんな新しい場所ができていますが、NYは大きいので、まだ自分が楽しんで仕事ができる会場があると感じます。
■情報を交換したりなど、音楽業界の人と遊んだりしますか?
M:NYの良いところは、アートや音楽において、刺激を受ける人たちに囲まれていることです。回転ドアのように、入れ替わり人がやってきて、Eメールで話していた人に簡単に会え、関係を発展させたり、コラボレートするには良いところです。たくさんのことがはじまっては終わり、いつでも素晴らしいアイディアが生まれています。私は、レーベル、ブッカー、PRの友だちがたくさんいるし、NYに住んでいるバンド、ザ・メン、ティーンガール・ファンタジー、マーニー・ステーン、マック・デマルコ、ジュリアナ・バーウィック、ジョナサン・トゥビンなどと仕事をしているので、NYに住むことはエージェンシーの軌道を早めてくれます。
■過去にDMBQ、あふりらんぽなどをブックしていましたが、日本の音楽シーンはどう見ていますか? 新しい日本のバンドでブックしたいバンドはいますか?
M:エージェンシーをはじめたとき、半分が日本のバンドでした。サンフランシスコに住んでいたときに、DMBQ、 あふりらんぽ、ワツシ・ゾンビ、キング・ブラザーズ、ハイドロ・グル、ルインズなどの日本のバンドに会いました。DMBQは、9~10年前のSXSWで、関係を発展させ、自分でニッチェなブッキングの世界を作り、日本のサイケやノイズ・バンドを北アメリカに連れてきました。日本にはDMBQのツアーで2回行き、ある日本のバンドの北アメリカでのツアー・マネージャーもしました。いまはDMBQ、キング・ブラザーズ、そして少年ナイフやバッファロー・ドーターと仕事をしています。
■最近、著者が発見する面白いバンド(ソフト・ムーン、ソニー・アンド・ザ・サンセッツ、リトル・ウィング)は、西海岸のバンドが多く、NYは少ないのですが、どう思いますか?
M:ザ・メン、ジュリアンナ・バーウィック、マーニー・ステーンなど、NYにもまだまだ良いアーティストやバンドがいますよ。私は、そのなかの最高のバンドと仕事できることを幸運に思っています。いま、パナシェに所属するバンドは、タイ・シーガル、オーシーズ、ホワイト・フェンスなど、西海岸のバンドが多いです。そこは、明らかにエキサイティングなことが起こっていると思えますが、NYは面白いバンドが来るまでの、凪状態にあると思います。しばらくのあいだは、オーディエンスをインスパイアできる面白く楽しいイベントをキュレートしようと思ってます。
■パナシェのこれからの予定を教えてください。音楽以外の事柄や付け加える事があれば是非お願いします。
M:パナシェはあっという間に大きくなりましたが、これからも、オーガニックに行きたいと思います。選ぶバンドは特別で、量より質に集中しています。LAにオフィスを構えたり、オーストラリア、中国、日本、南アメリカなど、海外でのブッキングも考えています。パナシェがはじめた、ブルーズ・クルーズ・フェスティヴァルなどのフェスティヴァルも、もっとキュレートしていきたいです。その他、何人かのミュージシャンの管理もはじめました。アートショーをキュレートしたり、音楽業界代表として、海外のスピーキング・ツアーに参加したり、NYUなどの大学で講義をホストしたりもしています。
音楽以外では、1年に1回トロピカルなビーチを見つけるようにしています。旅は、私にとって別の情熱なので、音楽に関係なく、最低でも1年に1回は休暇を取るようにしています。次は、この冬にジョシュア・ツリーに行く予定です。
もうひとつ付け加えたいのは、何年か前にNYで、悲劇の車の事故で亡くなってしまった、DMBQと少年ナイフのドラマーで、私の最愛の友だち、チャイナへ。彼女は、私が見たなかで、最高の素晴らしいドラマーで、最高に美しく、親切で、ゴージャスで、知り合いになれたことを光栄に思っています。チャイナ、あなたがいなくて寂しいです。
パナシェ・ブッキング:www.panacherock.com
暑いですね。夏休みですね。というわけで、DJまほうつかいによる「僕が考える盆踊り」選曲です。今年「フェスティバルFUKUSHIMA!納涼!盆踊り」のヴィジュアルを担当したこともあって、最近盆踊りのことばかり考えています。二階堂和美さんのイベント「堂脈vol.8xフェスティバルFUKUSHIMA!」で浴衣着て盆踊りDJする予定です。ピアノ曲をまとめたEPよろしくお願いします!
DJまほうつかい「すべちょツアー2013」
7月20日(土)「魔Q少女M∀STERあらしZ オンリーイベント4 in 第52回日本SF大会こいこん」@広島アステールプラザ 終了
8月3日(土)ピースアーチヒロシマ 「HELLO HIROSHIMA」@ハノーバー庭園多目的広場会場
8月4日(土)瀬戸内国際芸術祭2013関連事業おとくち「Novel Sounds Gate」@香川県観音寺市赤山路蒲鉾赤煉瓦倉庫
8月18日(日)「blacksheep/NEWアルバム『メビウス』発売記念ライブ!」@新宿PIT INN
8月30日(金)「堂脈vol.8 x フェスティバルFUKUSHIMA! 2013」@横川シネマ!!
8月31日(土)「PARCO x タワレコ x DJまほうつかい DJまほうつかいFES」(追加公演)@タワーレコード広島店
https://www.faderbyheadz.com/release/headz180info.html
https://www.simasima.jp
1 |
Shing02 - 雨ニモマケズ (intro) https://www.youtube.com/watch?v=USNqfK83nUE 絵夢詩のススメ盆踊り |
---|---|
2 |
向井秀徳 vs スガダイロー - 二〇一一年 五月十一日 フリージャズ×マツリスタジオ盆踊り |
3 |
二階堂和美 - ショキショキチョン https://www.youtube.com/watch?v=4jwkZd3xx3U NHK×ニカさん×蓮沼×珍しいキノコ盆踊り |
4 |
SAKEROCK - 千のナイフと妖怪道中記 教授×ナムコで盆踊り |
5 |
清竜人 - おどれどつきまわしたろか 大阪ミュージカル風盆踊り |
6 |
DE DE MOUSE - east end girl (keeps singing) remixed by SENOR COCONUT セニョールココナッツは盆踊り |
7 |
Starkey - New Cities (Featuring Kiki Hitomi) https://www.youtube.com/watch?v=wL4MxhtLUBM ダブスッテプは盆踊り |
8 |
オノマトペ大臣 - S.U.B.urban https://onomatopedaijin.com/machi-no-odori/ ネットレーベルも盆踊り |
9 |
小沢健二 - シッカショ節 https://hihumiyo.net/s.html オザケンもジャズ超えて盆踊り |
10 |
プロジェクトFUKUSHIMA! - ええじゃないか音頭 https://www.pj-fukushima.jp/download/diy_list_details029.php 311の盆踊り |
にせんねんもんだい N 美人レコード |
2011年のライヴ盤以来久々のリリースとなった、にせんねんもんだい『N』(美人レコード)。〈zelone records〉からはその12インチ・ヴァイナル化の報とともに、レコ発パーティの開催が案内されている(8月リリース予定)。「いつもとは違う」という特別なライヴに期待が高まる。
今年に入ってからも国内の大型フェスに続けて出演し、6月には9度目のEUツアー(4カ国8カ所)を敢行、7月5日には!!!(チックチックチック)との共演、7月13日には〈FREEDOMMUNE〉への出演と、西へ東へ飛び回る彼女たちのいまのエネルギーと、それをクールに閉じ込めた演奏、構築度の高い楽曲スタイルを堪能しよう。
まずは今回の12inchのサウンド・プロデューサーであり、Ogre You Assholeやゆらゆら帝国のプロデューサーとしても知られる、石原洋。
つづいて、LIQUD LOFTの名物イヴェント〈COMPUMA 7hours〉や悪魔の沼でもおなじみ、日々フレッシュでユニークなファンク世界を探求し、昨年末には最新MIXCD『MAGNETIC』を自身のプロジェクト〈SOMETHING ABOUT〉からリリースしたばかりのコンピューマ。
そして、今年3月に、最前線のテクノからオルタナティヴ・ハウス、そしてインダストリアル、ノイズ、ドローンなど広義な電子音楽を未体験のサウンドスケープへと昇華した、
2年ぶりのオフィシャルMIXCD『Crustal Movement Volume 01 - Dream Into Dream』をリリース。この国のダンスフロアを語る上でもはや欠かせない存在となっている、〈FUTURE TERROR〉主宰、DJ Nobu。
さらに、〈zelone records〉主宰、坂本慎太郎がDJとして初登場します。
にせんねんもんだいのレコ発パーティにふさわしい、よりミニマルでインダストリアルな一夜になるでしょう。
2013年東京発、ガールズ・オルタナティヴ最前線をいま一度体験せよ!
zelone records presents
"NISENNENMONDAI 12inch vinyl Release Party!"
■LIVE
にせんねんもんだい
■DJ
石原洋
Nobu (FUTURE TERROR/Bitta)
COMPUMA
坂本慎太郎
■開催日
2013年8月20日(火)
■会場
LIQUID LOFT + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
■開場 / 開演
19:00 / 20:00
■前売券
2,000円(1ドリンク付き)
*ローソンチケット[Lコード 77351]、イープラス、ディスクユニオン(新宿本館 日本のロック・インディーズ館(BF)/渋谷中古センター(2F)/お茶の水駅前店/下北沢店/吉祥寺店/池袋店/立川店/町田店/横浜西口店/柏店)、リキッドルーム
■問い合わせ先
リキッドルーム 03-5464-0800 https:///www.liquidroom.net
zelone records 03-6320-4396 https:///www.zelonerecords.com
■にせんねんもんだい (NISENNENMONDAI) バイオグラフィ
1999年: にせんねんもんだい結成。G-高田、B-在川、D-姫野、東京を中心に活動。
2004年: ep"それで想像する / ねじ"、2005年ep"トリ"をnisennen/dotlinecircleより発表。
2006年: 自主レーベル "美人レコード" 創立。
同年アルバム"ろくおん"、2008年"デスティネイショントーキョー"、2009年"FAN"を発表。海外レーベルsmalltown supersoundより"TORI/NEJI","DESTINATION TOKYO"をリリース。
2011年: 結成12年の集大成・初のライブ盤"NISENNENMONDAI LIVE!!!"を発表。
過去、3回のUSツアーと8回のヨーロッパツアーを敢行。
2013年: "NO NUKES"、"Sonar Sound Tokyo"に出演、6月には9回目のヨーロッパツアー。
この夏、新作CDを自身の"美人レコード"から、New 12inch Vinylをzelone recordsから発売予定。
official HP: www.wearenisennenmondai.com
Music Video"B-1 (You Ishihara Mix)"zelone official YOU TUBE:
■more info
zelone records official HP:www.zelonerecords.com
official twitter: https://twitter.com/zelonerecords
official face book: https://www.facebook.com/zelonerecords
UKのインディ・ロック界は、すっかりハウスに染まっている。ジェイムス・ブレイクの今回のライヴの後半が、完璧にハウスだったそうで、観に行った人たちは気持ち良く踊って帰ってきたというから、僕がリキッドルームで観たときの彼らとはもう方向性が違っているのだ。エアヘッドが取材で言っていたように、彼らは本気でハウスに向かっている。ザ・XXのライヴもハウスに染まっていると聞くし、UKでバカ売れしているディスクロージャーのアルバムがハウスである。EDMと一緒にされたくないという思いからだろう、ダフト・パンクがディスコ・クラシックを再現したアルバムは日本でも売れているが、インディ・ロックのハウス現象の顕在化にも、ダンス・ミュージックってものには品性が必要なのだと言っているようだ。最近、90年代のディープ・ハウスものの再発もやたら多いし......。
ところで、ダフト・パンクにアルバムで喋らされたジョルジオ・モロダーの、メトロノーミックで、くらくらする16シーケンスが、ポストパンクに影響を与えたという話は有名だ。そして現代では、冷酷なインダストリアル・サウンドにモロダーを落とし込んでいるのがロンドンの3人組、ファクトリー・フロアというわけである。ハウスでもディスコでもない。これはディスコ・パンクである。
かねてから「こいつら格好いい」と評判だったファクトリー・フロアだが、レーベルも〈DFA〉にがっつり移籍して、満を持してのアルバムが9月11日にリリースされる。これが前評判に偽りなく、本気で格好いい。とりあえず、今年の春にリリースされた先行シングル「Fall Back」のPVをご覧あれ。アルバムの内容はまさにこんな感じ。
Cuushe - Airy Me
Video directed by 久野遥子 この夏4年ぶりのアルバムのリリースを控えている京都出身のクーシー、ゆらめく電子音と美しい歌が織りなす最高のメランコリーを作っている、注目すべき女性アーティストだ。グルーパーとジュリアン・ホルターの溝を埋めるとでも形容したらいいのか......、昨年発表したEP『Girl you know that I am here but the dream』(ミニCD3枚組という変則リリース)ではジュリア・ホルターやティーン・デイズらがリミキサーとして参加、デムダイク・ステアのマイルスがマスタリングしているが、これも瞬く間に完売。新作は間違いなく、より幅広く聴かれるであろう。
そんな彼女が2009年のデビュー・アルバム『Red Rocket Telepathy』収録の"Airy Me"のヴィデオを発表した。映像は、久野遥子が約2年の歳月をかけて手描きで完成させたという渾身の作品で(このために3000画を描いたという)、まあ、どうぞご覧下さい。まったく素晴らしいです。
goat - NEW GAMES (live)
7月17日にアルバム『NEW GAMES』を〈UNKNOWNMIX〉から発表したばかりの、関西のバンド、ゴート。佐々木敦が「このクールに発狂するグルーヴを聴け!」と興奮しているが、たしかにおしゃっる通り、作品はとんでもなく良い。通のあいだでは東の空間現代、西のゴートと呼ばれているらしいが、これも一種のポストパンク的なるもののひとつなのだろう。
あるいは、コニー・プランクを彷彿させるかのようなアフリカへのアプローチとでも言ったらいいのか、ジャズとテクノの往復のなかで展開されるポリリズムは圧倒的で、このグルーヴはシャックルトン、もしくはマーク・エルネストゥスのジェリ・ジェリ(あるいはZ's、あるいはリップ・リグ&パニックの再評価など)にも通底している。recommend!!
Pet Shop Boys - Vocal
最後にこれは......20年前は若かった方と現在若い方へ、です。
【THE DODOS】
2006年にメリック・ロング(ヴォーカル ギター)がドードーバードという個人プロジェクトとして活動を開始。その後ローガン・クローバー(ドラム)が参加しドードーズとしてスタート。自主制作でアルバムをリリース、そしてツアーを繰り返し注目を浴びて行きます。 2008年からはFRENCHKISS RECORDSに在籍し、アルバムを三作リリース。特にニーコ・ケースも参加した前作の『No Color, More Life』は、ビルボードにランクインされるなど自身最高のヒットをゲットしました。 そして満を持しての新作『キャリアー』はPOLYVINYLに移籍して間違いなく最高傑作に!彼等の持ち味である確かなテクニックから生まれるパーカッシヴなギター奏法、そしてパワフルなビートは今作でもバリバリ。フォーキーに、パンキッシュに、スリリングに、カラフルに疾走しまくります。そして明らかにこれまで以上に顕著になっているのは、エモーショナルで涙腺直撃のソングライティングではないでしょうか。とんでもなくパワーアップ!王道のインディー・ロック・ファンならヨダレ垂れまくりのメロディーがとてつもなくオンパレードしているのです。 聴いて!そして来て!間違いなく2013年後半は、ここ日本でもドードー鳥が羽ばたきます!!For Fans of...デス・キャブ・フォー・キューティー、ピンバック、ヴァンパイア・ウィークエンド、モデスト・マウス、スケルトンズ、アニマル・コレクティヴ、プロミス・リング、エリオット・スミス、アメリカン・フットボール etc etc
ライヴとの連動シリーズ、「Beckon You !!」 スタート!!!!
作品を購入→ライヴに行ったら会場でキャッシュ・バックしちゃいます!!
注目の新世代アーティストを中心に作品とライヴを連動させちゃうのが
この「Beckon You !!(来て来て〜おいでおいで〜の意)」シリーズ。
ザ・ドードーズ 『キャリアー』貼付のステッカーを公演当日にお持ち下さい。
その場で500円をキャッシュバック致します。
もちろん前売り券でも当日券でもオッケーです!
THE DODOS Japan Tour 2013
(チケット発売7/20(土)〜)
10/22(火) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
THE DODOS / allon beausoleil
adv ¥3,800 door ¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:78311)
e+
【allon beausoleil】
オレゴン州、ポートランド出身のSSW。ギターリストやボーカリストとしてバンド活動を初め、その後ソロ活動へ。Beck, Rickie Lee Jones, The Head and the Heart, Sonic Boom, The Dandy Warholsなどと各国でステージを共にし、その後、ポートランドからニューヨークへ、そして東京へ移住。そして今は、世界を飛び回りライヴを行なっている。ニュー・アルバム 『Prince Charming of Darkness』 では、ポップ、フォーク、エクスペリメンタリズムの間を彷徨い、そして、そのあくなき音の探究者としての旅に終わりはない。10/23(水) 心斎橋CONPASS (06-6243-1666)
THE DODOS / NOKIES!
adv ¥3,800 door ¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:56069)
e+
【NOKIES!】
大阪南堀江にあるFLAKE RECORDS初の日本人契約アーティストとして2011年2月にデビュー。その圧倒的な洋楽感と抜群のメロディ、アレンジセンスは高く評価され、特に多くのアーティストに支持される事に。ライブパフォーマンスも定評があり、FUJI ROCK 2011のROOKIE A GO GO STAGEへの出演や8otto、miila & The Geeksとのイギリスのフェス出演やフランス、パリ含むヨーロッパツアー、世界最大の音楽見本市SXSW出演〜それを皮切りにシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ラスベガスと渡る全米ツアー、みやこ音楽祭では、くるりやLAMA、在日ファンク、KIMONOS、黒猫チェルシー等と並び堂々のメインステージにも抜される。更にはSTYROFOAM、FRENCH FILMS、CASIOKIDS、RAZIKA、DESMOND & THE TUTUSなどの日本ツアーもサポート。2013年にはりくるりが新たに始めたイベントWHOLE LOVE KYOTOのメインメンツに抜擢。引き続き精力的にライブ活動中。10/25(金) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
THE DODOS / ROTH BART BARON
adv ¥3,800 door¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:78311)
e+
【ROTH BART BARON】
2008年結成の東京出身ロックバンド。2010年に自主制作による1stEP「ROTH BART BARON」をセルフリリース。ギター、バンジョー、マンドリン、ピアノ、和太鼓、グロッケン、マリンバ、フィドルなど多種多様な楽器を使い、壮大なサウンドスケープと美しいメロディ、剥き出しの感情と生命力に満ちあふれた歌詞が作り出す圧倒的な世界観は日本の音楽シーンだけに留まらず、SoundCloudをはじめとする音楽系SNSサイトから多くの賞賛コメントを受けるなど、海外での評価も高い。2012年12月13日には2年ぶりのNEW EP「化け物山と合唱団」をリリース。SLEEPERS FILMと制作した Music VideoをYouTubeにて公開中。
*各公演のチケット予約は希望公演前日までevent@ele-king.netでも受け付けております。お名前・電話番号・希望枚数をメールにてお知らせください。当日、会場受付にて予約(前売り)料金でのご精算/ご入場とさせていただきます。
主催・制作:ele-king / P-VINE RECORDS
協力:シブヤテレビジョン スペースシャワーネットワーク
TOTAL INFO:ele-king / P-VINE RECORDS 03-5766-1335
event@ele-king.net
www.ele-king.net
PCD-20278
定価2,100yen
Release:2013.9.4
解説:佐藤一道(Monchicon!)
Amazon
1. Transformer
2. Substance
3. Confidence
4. Stranger
5. Relief
6. Holidays
7. Family
8. The Current
9. Destroyer
10. Death
11. The Ocean
12. Reaction -Bonus Track-
ブラジル北東部バイーアのグループ:バイアーナ・システムのファースト・アルバム。彼の地の音楽のファンはもちろん、ロック・ギター好き、(本作のトラックの重要な基礎を成している)レゲエやエレクトロ=ダブの愛好家、プログラミング・ビート、ラップ/トースティング、あるいはバイーアの音楽に色濃い影響を及ぼしているアフリカ音楽に興味を持つ人や、単純にパーカッション好きの人など、様々な種類の耳にとって聴きどころ山盛りで、かつ他ではなかなか味わえない音楽体験ができる1枚だ。
このグループの音楽性をひとことで説明するなら、バイーアのカーニヴァル・ミュージックのスタイルである〈トリオ・エレトリコ〉を、ライヴ・プレイによって、上述したような様々な音楽要素が渾然とするクラブ・サウンド方面にアップデイトするもの、ということになるだろう。〈トリオ・エレトリコ〉とは、トラックの上にバンドとサウンドシステムを乗せ、演奏を轟かせながらパレイドするカーニヴァル用の"エレクトリファイ"されたバンド形態のことで、その最大の特色が、このバイアーナ・システム・サウンドの要でもある小型エレキ・ギターの〈ギターハ・バイアーナ〉だ。
この楽器は、その昔ドドーとオズマールという二人組がカーニヴァル用に弦楽器の音を増幅させるために"電化"しようとし、マンドリンをモデルに考案したものだ(サウンドカー上の限られたスペイスで演奏する際の便宜上、小型な楽器を理想としたのではないか?)。そのせいで〈ギターハ・バイアーナ〉は通常のギターよりネックが短い分、音が高く、マンドリン式に調律されるのが特徴だ。
さらに興味深いことに、その試作品は1940年代の末に作られ、実用化するのは50年代に入ってからなのだが、つまりこの〈トリオ・エレトリコ〉は、ロックン・ロールの時代以前にアンプリファイされたエレキ・ギターを大音量で鳴らしていたのだ。その〈トリオ・エレトリコ〉の様式が時代とともに進化していくなかで、〈ギターハ・バイアーナ〉も進化を遂げ、開発者オズマールの息子が、低音弦を1本足した5本弦ヴァージョンを考案、音のレンジに厚味を持たせた。本作のジャケットは、その5弦のモダンなバイーア式エレキ・ギターとサウンド・システム(そこにはジャマイカ流の"クラブ様式"としてのそれも含意されている)を図案化したものだ。
様々な音楽の要素を飲み込んでいる(シタールが使われている曲もある)彼らの楽曲に首尾一貫したものを感じ取れるのは、それが曲調にかかわらず、基本的にそのギター・サウンドを芯にして組み立てられているからだ。その〈ギターハ・バイアーナ〉奏者としてバンドの中心にいるホベルチーニョ・バレットは、バイーアのラジオでアフリカ音楽の番組も手掛けているアフリカ音楽通で、とくにザイール(現コンゴ民主共和国)発祥のスクス(リンガラ・ポップ)やルンバ・コンゴレーズ特有の連綿と繋がる繊細できらびやかなギター・プレイの響きを、カーニヴァル・ダンス・ビートの"フレーヴォ"や、あるいは伝統的な"ショーロ"のなかに、それらの源流として強調させている。同時に、その円環状に延々と繋がっていくギター・プレイと、きょうびのループ・シーケンサー製の電子的サウンドとの音感的な類似点を意識してもいるだろう。
プログラミングされたビートと〈ギターハ・バイアーナ〉のプレイの絡み方のヴァリエイションがこのバンド・サウンドの骨組みを形成し、そこを重くウネる弦ベイスが下支えする。さらにはプラスティック・ヘッドを張った、ソリッドで少々メタリックな高音域の倍音が特徴的な、バイーア・サウンドに欠かせないパーカション:チンバウ(timbau)の音色がエレクトリック・ビートにフィットし、このクラブ・サウンドと生バンド・サウンドとの絶妙な折衷感に寄与している。(ちなみに、バイーア出身の人気パーカッション奏者カルリーニョス・ブラウンがこのチンバウを全面に出したストリート・パーカッション集団チンバラーダ(Timbalada)を結成し、プロデュースして注目を集めたことが知られているが、ホベルチーニョ・バレットは長らくその一員だった。)
新世代の音楽がクラブ・サウンドとの親和性を高める方向に向かうのは、ご存知のように、ブラジル音楽もご多分に漏れない。一方で、いつの時代もすべての老若男女に開かれているカーニヴァルの文化は、それ自体に、伝統を守り次代へ伝える宿命がある。バイアーナ・システムの、音楽的視野を広げながらの、この伝統と革新のバランスの取り方には、聴き返すごとに瞠目している。アルバムの最後には10曲目"Frevofoguete(フレーヴォの宇宙船)"のブギーニャ・ダブ(ブラジルのダブ・マスター)によるダブ・ミックスが収められているが、これなんかはその最たる例だろう。カーニヴァル・ビート:"フレーヴォ"の未来型を思わせる曲を、さらにダブ処理したものだが、若者はおろか、カーニヴァルに軽く半世紀以上通っている人たちも、ビートとギターをむき出しにするこのラディカルさを前にして、即座に、目尻を緩めて腰を揺らすだろう。そんな風に、世代を越えて同じ"高揚"を共有できるなら本当に素晴らしいことだ。
「Frevofoguete(フレーヴォの宇宙船)」ダブ・ミックス
Jah Jah Revolta