「Ord」と一致するもの

DJ Tsukasa (WarmRoom) - ele-king

不定期でWarmRoomというパーティーを福井で開催中!!!!!
ジャンルを問わず夜に合いそうな10曲選んでみました!!
3/27 Mole×MOLE @Church Guest/Mitsuki(MOLE Music)
DJ/Tsukasa、Tomoharu、masAaki

最近かけるちょっと古い曲


1
Manzel - Midnight Theme - Dopebrother

2
Penny Goodwin - Too Soon You're Old - Freesound Records

3
Quantic & Alice Russel - Here Again - Tru Thoughts

4
Vincent Montana JR - That's What Love Goes - Philly Sound Works

5
Terence Parker - Your Love - Seventh Sign

6
Cultural Vibe - Ma Foom Bey - Easy Street

7
Terry Callier - Love Theme From Spartacus - Talkin' Loud

8
Ashford & Simpson - Don't Cost You Nothing - Warner BROS.

9
Hard Meat - Free Wheel - Warner BROS.

10
Syrup - Sweet Shop - Compost

Inner Science - ele-king

Inner Scienceの新アルバム「Self Figment」の発売を4月9日に控え絶賛プロモーション期間中、と言う事で今回のチャートではInner Scienceとして制作&共作をして来たインスト/CD/(ミニ)アルバムがなんとちょうど10枚!という強引なこじつけをしつつ、これまでの作品を新しいものから順にご紹介させて下さい。

https://www.masuminishimura.com

Discography 2014/3/14


1
Inner Science - Self Figment (2014) - Plain Music
https://www.plainmusic.jp/catalog/plcd-1002.html

2
U-zhaan+Inner Science - 大宮エリー『思いを伝えるといういうこと展』- O.S.T (2012) - No Label
https://www.parco-art.com/web/museum/exhibition.php?id=451

3
Inner Science - Elegant Confections (2011) - Plain Music
https://www.plainmusic.jp/catalog/plcd-1001.html

4
Azzurro/Inner Science - Attributions (2009) - Hydra
https://www.hydraworld.jp/label/03.html

5
Inner Science - Birthday - O.S.T (2009) - Musicmine
https://www.miraikan.jst.go.jp/dometheater/birthday.html

6
Disc System meets Inner Science - S/T (2007) - Romz
https://www.amazon.co.jp/dp/B000WZO7K2

7
Inner Science - Forms (2007) - Soup-Disk
https://corde.co.jp/release/index001.php?id=13&ra=AWQVJK684

8
Inner Science - Material (2004) - Soup-Disk
https://corde.co.jp/release/index001.php?id=35&ra=AWQVJK684

9
Inner Science - No Name,No Place. (2002) - P-vine
https://www.amazon.co.jp/dp/B00007K4U0

10
Inner Science - 10 Track Sampler (2001) - Oneowner
https://www.wenod.com/?pid=38151813

medical (裏専家 / opposite) - ele-king

DJ HI-GO、ERAらとの超長時間Ustream「WAVE TRAIN」、不定期で「opposite」をG.E.Nとともに主催。ファッションショーの音楽セレクトなどでも独自の何かを展開中。

4/12にWang-GungくんとThe Overdriveというパーティーをします。
ゲストDJは異色の組み合わせのKEIHINさんと森本晃司さん。
この化学反応を目撃しつつ、夜を踊り明かしましょう!是非遊びに来てください。

3/22(sat) opposite at 神宮前bonobo
4/6(sun) unknown at 神宮前bonobo
4/12(sat) The Overdrive at 神宮前bonobo

WAVE TRAIN | Twitter | FaceBook

夜、10曲 2014/3/16


1
Tool - Reflection - Volcano Entertainment

2
Lukas Rube - Méduse - SVS Records

3
Meat Beat Manifesto - Token Words - Metropolis Records

4
David Lynch - I Know (Skream's Not So Ravey Remix) - Sunday Beat Recordings

5
Millimetric - Extrapoler Le Passe - Statik Rek

6
Amon Tobin - Kitchen Sink (Clark Remix) - Ninja Tune

7
Derek Marin - Cut The Line (Jeff Milligan Remix) - Thoughtless Music

8
Morgaŭa Quartet - Set The Controls For The Heart Of The Sun - 日本コロムビア

9
Lex Gorrie - Mission Pigeon - Illegal Alien Records

10
DJ Sodeyama - Space Sand - Bass Works Recording

INNA (LifeForce / mixer) - ele-king

今年はLife Force21周年、mixer10周年ですのでいろいろおもしろいパーティを企画しています。
3/29には初来日のLivity SoundのAsusuを迎えて、原宿のスタジオ会場、2フロア、Asadaサウンド、Mixerのインスタレーション空間でスペシャルなパーティがあります。ぜひ遊びにきてください。

3/29 Life Force "Flower War"
@Sad Cafe Studio Harajuku
DJ: Asusu(Livity Sound from Bristol),
Shhhhh, MaNA, Inna, Cossato, pAradice, Ginji
more info- https://lifeforce.jp

inna soundcloud- https://soundcloud.com/innamixer

Inna "On Repeat" Feb2014 Chart


1
Hazylujah - How Can You Hide From What Never Goes Away - Meda Fury
https://soundcloud.com/meda-fury/sets/hazylujah-how-can-you-hide

2
Charles Cohen - The Middle Distance - Morphine Records
https://soundcloud.com/experimedia/charles-cohen-the-middle

3
Archie Pelago - Lakeside Obelisk - Archie Pelago Music
https://soundcloud.com/archiepelago/ap003-archie-pelago-lakeside

4
Vtgnike - Dubna - Other People
https://soundcloud.com/experimedia/vtgnike-dubna-shop-excerpts

5
Georgia - Like Comment - Meakusma
https://meakusma.bandcamp.com/album/like-comment

6
Joakim & Bambounou - Fructose EP - Sound Pellegrino
https://soundcloud.com/soundpellegrino/sets/joakim-bambounou-fructose-ep

7
SH2000 - Untitled Works - Volking Music
https://volking.biz/

8
Co La - Soft Power Memento - Hands In The Dark
https://soundcloud.com/experimedia/co-la-soft-power-memento-album

9
Rachael / DJ Sotofett - Okada/So-Phat Riddimix Is Junglized - Hotline Recordings
https://www.youtube.com/watch?v=nC1wPnZgtUI

10
Chapelier Fou - Protest (Dimlite's re-ça va pas Remix) - Ici D’ailleurs Records
https://soundcloud.com/dimlite/protest-remix

11
Metome - Objet - Schist
https://metome.bandcamp.com/album/objet

 デッドビートと言って「おっ」と反応する人は、かなりの玄人。
 とはいえ、90年代末からどどどと出てきたベーシック・チャンネル・フォロワーのなかで、POLEに続いて、音にうるさい玄人たちから評価されたのがカナダのデッドビートだった。ことダブ好きにとっては、こと低音好きにとっては、デッドビートはいわばダブのレフトフィールド、つまり本物なのである。
 彼の新作は、かつてリズム&サウンドのMCとして名を馳せたティキマンとの共作。このリリースにともなう来日が来週金曜日、南青山ORIGAMIにてあります。
 共演は、ゴストラッドとレベル・ファミリア。ウルトラ硬派最新ダブの夜へようこそ。

3/21(金) DEADBEAT “The Infinity Dub Sessions” Release Party公演概要

 現行ミニマル・ダブのトップランナー、Deadbeatのリリース来日公演開催! さらにGOTH-TRADがExclusive Techno Setを披露し、なんと秋本“HEAVY”武士(ex.Dry&Heavy)とのユニットREBEL FAMILIAもライヴを敢行! 進化を続けるダブの最新型を体感せよ!

 ベルリンを拠点に活躍しScape、Wagon Repair、Cynosure、Musique Risqueeをはじめとする数多くの著名レーベルからリリースを重ね、ライヴ・アクトとしてもSonar、Transmediale、MUTEKといった世界各地のビッグ・フェスティヴァルに出演するカナダ人アーティスト、DeadbeatがTikiman名義でも知られているSt.Hilaireとのコラボレーション・アルバム『The Infinity Dub Sessions』をひっさげの来日!

 Deadbeatを共演をするのは、彼以上のアーティストは居ないといっても過言ではない日本が誇るサウンド・オリジネイター、GOTH-TRAD。なんと今回はなかなか聴く事ができないExclusive Techno Setを披露!! ミキシングを自在に操り、様々なアプローチでダンス・ミュージックを生み出し、MALA主宰によるレーベルDeep Medi Musikから数々の楽曲をリリース。ヨーロッパ~アメリカ~カナダ~オーストラリア~アジアでのツアー等、現在、日本人アーティストの中で年間最も世界中からオファーされ賞賛を浴びているアーティストの一人であるGOTH-TRADとDeadbeatの共演は見逃せません。

 さらに、そのGOTH-TRADと秋本“HEAVY”武士(ex.Dry&Heavy)とのユニット"REBELFAMILIA"がORIGAMIでLIVEを敢行!!!
 野外フェスティバルMETMORPHOSEでの衝撃のデビュー・パフォーマンスにはじまり、FUJI ROCK FESTIVAL等のGIGを経てROSSO、BOOM BOOM SATELLITES、ゆらゆら帝国等と共演。REGGAE LEGENDのMAX ROMEOとの楽曲など、今までリリースしたアナログはことごとく即日完売しオーディエンスから熱烈なプロップスを集める。その名を世界に轟かせる日本が世界に誇るREBEL FAMILIAが、ORIGAMIに新たな1ページを刻む。

 絶え間なく進化を続けるダブの世界最新型を体現するトップ・ランナー達がオンリーワンのサウンドシステムを持つ表参道ORIGAMIに集結する! 強力なスピリットを伴った力みなぎるダブ・テクノ、ベースミュージックの夢の共演をお見逃しなく。

[日程] 3/21(Fri)
[公演名] DEADBEAT “The Infinity Dub Sessions” Release Party
[OPEN] 22:00
[PRICE] 3,500yen

[出演]
MAIN FLOOR:
DEADBEAT
REBEL FAMILIA
GOTH-TRAD -Exclusive Techno Set-
DJ MIKU
SHIGETO TAKAHASHI

GALLERY FLOOR:
ngt. (rebel base)
SHIMAMU (Chord Memory)
HIROMI NOGUCHI (groundrhythm)
KATORI YOSHITAKA (Flowers)

[会場名] ORIGAMI
[住所] 〒107-0062
東京都 港区 南青山 3-18-19 FESTAE表参道ビルB1F(表参道交差点)
[電話] 03-6434-0968
[URL] https://origamientertainment.jp/
[facebook イベントページ]
https://www.facebook.com/events/1410325882558580/

DEADBEAT (BLKHRTZ / ~Scape / Wagon Repair / from Berlin)

 ベルリンを拠点に活躍するカナダ人アーティストScott Monteithのソロ・プロジェクトであるDeadbeat。Monolakeとのコラボレーション「Atlantic Waves」やStephen Beaupreとの「Crackhaus」としても知られる彼は、これまでにWagon Repair、Cynosure、Musique Risqueeをはじめとする数多くの著名レーベルからリリースを重ね、ライヴ・アクトとしてもSonar、Transmediale、MUTEKといった世界各地のビッグ・フェスティヴァルに招かれている。
 かつてScottは、数々のソフトシンセを開発しシーンの先端を切り開いてきたモントリオールのソフトウェア製作会社Applied Acoustics Systemsに務めていた。その最先端デジタル技術に関する広い知識と創作への深い探究心によって産み出されるサウンドはハウスやテクノから切れ味鋭いデジタル・サウンドによるダンスホール、または超重量級のダブまで変幻自在。名門レーベル~Scapeからリリースされた3枚のアルバムはBasic Channel系譜の金字塔作品としてカルトな人気を得ている。
 また、2008年発表のアルバム『Roots And Wire』は、Tikimanをフィーチャーしたダブ・ベースのトラックからテッキーなミニマル・テクノまでを展開。まったく新しい進化型ベルリン・サウンドはネクスト・ダブ・サウンドとして世界中のリスナーから絶賛された。
 2009年秋にはBEAMS RECORDSがスタートさせたコンセプチャルなミックスCDシリーズ『aLive 01』の第1弾アーティストとして作品を提供。エクスペリメンタルなスタイルに攻撃的で根太いグルーヴが独創的な内容となっている。
 2010年にリリースしたミックスCD『Radio Rothko』ではマスタリングにBasic Channelのエンジニアとして名高いPoleことStefan Betkeを迎え、現行ミニマル・ダブの集大成ともいえる作品を発表している。
 2011年には自身のレーベルBLKRTZをスタートさせ、アルバム『Drawn And Quartered』をリリース。また翌年にソロ名義8枚目のアルバムとなる『Eight』をリリース。2013年にはNYブルックリンのレーベルThe Agricultureの主宰のEscape ArtことJames Healyが新たに立ち上げたレーベルAir Textureのアンビエント・コンピレーション・シリーズ『Air Texture Volume III』をDJ Oliveと共に担当。
 そして2014年の3月にはTikiman名義でも知られているSt. Hilaireとのコラボレーション・アルバム『The Infinity Dub Sessions』をBLKRTZからリリースすることが決定している。


interview with Ana Tijoux - ele-king

ラテンアメリカは、自立のために絶え間ない闘いを繰り返し、非植民地化のために必死で生きている。私たちの微笑みを壊す、キャピタリズムの沈黙の支配を前にしながら。


Ana Tijoux (アナ・ティジュ)
Vengo(ベンゴ)

MUSIC CAMP

MUSIC CAMP

 ラテン・ヒップホップといえばマイアミやニューヨーク、ロサンゼルスのラテン系ルーツを持つアーティストたちによるスペイン語のヒップホップを思い浮かべる人のほうが多いのではないだろうか。それも間違いではないが、すべてではない。ここでは、いままで大々的に語られることがなかった、反米運動やグローバリズムに抵抗するために確立されたラテンアメリカのアンダーグラウンド・ヒップホップついて説明したい。
 2000年代初頭、ブラック・パンサー思想を継承するキューバのフェスティヴァル、「ブラック・オーガスト」は、エリカ・バドゥ、ザ・ルーツ、モス・デフ、コモン、ファット・ジョーらを含む米国のアーティストたちとキューバやラテンアメリカのアーティストたちが参加し、国を越えたアーティスト同士の交流を目的にした、伝説的なイベントだった。その動きに触発され、2005年からラテンアメリカじゅうのアンダーグラウンド・ヒップホップのアーティストを集めた、サミット的フェスティヴァル、『クンブレ』がベネズエラで始動する。同国では前大統領のウーゴ・チャベス政権による、ゲットーでのヒップホップを媒介にした教育や社会活動が政策を行っており、クンブレもその一環だった。そして、ドミニカ共和国、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、チリ、プエルトリコなどラテンアメリカ全域に『ヒップホップ・レボルシオン(ヒップホップ革命)』と呼ばれる大きなムーヴメントが広がり、2010年ごろまで活発化していた。

元大統領チャベス政権のヒップホップ政策により生まれた、ベネズエラのオクマレ・デ・トゥイという村の少年たちによる、ヒップホップ・クルー、ムーチョクモの曲〈Nuestra Juramento(俺たちの誓い)〉。
ベネズエラでは、現大統領、ニコラス・マドゥロ政権への反体制デモが起こり、紛争状態と米系大手メディアは報道する。一刻も早く同国の混乱が治まることを願うばかりだが、そんな今でこそ、表向きに報道されていなかったチャベス政権の活動を伝えるこのビデオを紹介したい。

 そんなラテンアメリカ全域を巻き込んだムーヴメントの功績により、メッセージと高い音楽性を持つヒップホップ・アーティストが着実に増え、現在ではメジャーとアンダーグラウンドの垣根もなくなりつつある。
 プエルトリコのデュオ、カジェ13はヒップホップ、レゲトンを自在に操り、ポップ・シーンを股にかけるメジャー・アーティストの代表といえる。2013年末に発表されたミュージック・ビデオ、「Multi_Viral」は、ウイキ・リークスのジュリアン・アサンジとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリスト、トム・モレロがゲスト参加した曲であり、パレスチナのベレンを舞台に、ビデオ撮影が行われた。もちろん、そこには反キャピタリズムのメッセージが込められている。

カジェ13「Multi_Viral」。カジェ13の戦闘的ラップと、ジュリアン・アサンジの朗読、トム・モレロのロックギターが炸裂。

 メジャーに君臨しながらも、プエルトリコの米国からの独立のために活動し、大胆なメッセージを放つ彼らは、ラテンアメリカのみならず、世界中に刺激を与えている。

 また、英国のDJジャイルズ・ピーターソンは、かねてからキューバの首都ハバナのアーティストたちと組んだプロジェクト「ハバナ・クルトゥラ」の活動を2009年から継続しているが、そこには、ヒップホップ・グループのロス・アルデアーノスやドブレ・フィロのビートメイカー、エドガロ・プロドゥクトー・エン・ヘフェら硬派なアーティストたちが参加している。

エドガロ・プロドゥクトール・エン・ヘフェ「VIDA」

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グラミーにノミネートされただけでも、嬉しくて狂いそうだった。だっていままでに、ノミネートされたチリ人アーティストは私でふたり目だったし、決してメジャーではないチリの文化やヒップホップを世界に知らしめるための扉が開いたと思った。


Ana Tijoux (アナ・ティジュ)
Vengo(ベンゴ)

MUSIC CAMP

MUSIC CAMP

 ラテンアメリカのコンシャス・ラップが、もはやマニア向けなものではないことを示すのが、チリのMC、アナ・ティジュの活躍だ。
 ジャイルズ・ピーターソンのレーベル、ブラウンズウッド・レコーディングスのコンピレーション、『Brownswood Bubblers』にも曲が収録され、アルゼンチンの鬼才音楽家、グスターボ・サンタオラージャが率いるグループ、バホフォンド・タンゴ・クラブの『Supervielle』や、ウルグアイのシンガー・ソングライター、ホルヘ・ドレクスレールの最新作『Bailar en cueva』にも参加し、コロンビアを拠点とする英国人DJ、クアンティックとコラボレーションしたEP「Entre Rejas/Doo Wop(That Thing)」を発表するなど、さまざまなジャンルのアーティストからのラヴ・コールを受けている。

 米国グラミーのラテン・オルタナティヴ部門で、2作目『1977』(2011年)と3作目『ラ・バラ』(2012年)で、二度もノミネートされていることも、彼女が注目を集めるきっかけとなった。だが、アナは明らかに先進国の音楽界でトップになることをゴールとはしていない。

 筆者は2011年に、アナにインタヴューする機会を得たのだが、それは彼女のアルバム『1977』がグラミーにノミネートされたロサンゼルスでの授賞式直後だった。惜しくも受賞は逃したが、彼女にとって、それは重要な問題ではないというように、こう言った。

「グラミーにノミネートされただけでも、嬉しくて狂いそうだった。だっていままでに、ノミネートされたチリ人アーティストは私でふたり目だったし(2000年にロックバンド、ラ・レイが同部門でノミネート)、決してメジャーではないチリの文化やヒップホップを世界に知らしめるための扉が開いたと思った」

 グラミーで、アナがラップする機会を得たことには深い意味がある。というのも、米国の新自由主義に踊らされた、アウグスト・ピノチェトが1973年に起こしたチリの軍事クーデターにより、フランスに亡命した活動家の両親から1977年に生まれた女性こそが、アナ・ティジュだったからだ。アナの一家は、ピノチェト政権崩壊後の1993年に、チリへと戻った。発言や表現の自由を得た現地の若者たちのあいだで、産声をあげたヒップホップに、彼女は魅せられていった。
 だからこそ、米国の、世界中から注目される音楽の祭典で、彼女の抵抗のライムが響き渡ったことは、歴史的な出来事だったのである。

アナ・ティジュのアルバム『1977』に収録された同名曲。トム・ヨークがお気に入りとTwitterで発言して話題になった。

「私は母国で政治のために闘った両親の娘であることを誇りにしている。日々の会話のなかや、育て方にも彼らのポリシーが現れていた。私がヒップホップを選んだのは、言葉を書くことが大好きで、それをリズムに合わせることも、音楽そのものも好きだから。そして何よりも自分のメッセージを的確に表現できるから。私にとって音楽はセラピー、エネルギーであり、感覚、怒り、羞恥、喜び……つまり、すべての感情をひとつにするもの」

 アナ・ティジュの2作目の『ラ・バラ』は、ピノチェト政権末期の1990年3月にチリで公布された教育基本法により、教育の民営化が進み、学生や教員たちにとって不利な状態が続いていた状況を打開するため、2011年に学生運動が激化した頃に制作された。デモの参加者はのべ120万人以上。中心となるのは中高生を含む学生たちだ。
 同アルバムのシングル・カットされた曲、“ショック”は、不正を繰り返す権力者たちへの怒りと、世の中を変えようと立ち上がる者たちへの惜しみないリスペクトを込めた曲だ。それは、クーデターや大惨事といった衝撃に便乗し、復興や改革の裏に入り込む資本主義にメスを入れる、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインの著書『ショック・ドクトリン』にインスパイアされ作られたという。“ショック”のプロモーション・ヴィデオは、実際に占拠されている学校で撮影され、主人公は、運動に参加している学生や関係者たちの姿だ。衛星テレビ局アルジャジーラでも、アナの勇気ある行動は大きく取り上げられ、“ショック”はチリの学生運動に欠かせないテーマ曲となった。

アナ・ティジュ 『ショック』のPV(日本語字幕付き)

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私のなかで、南とは北からの度重なる圧力に立ち向かう抵抗の力だと意識している。ラテンアメリカとアフリカの歴史は非常に似通った部分があり、それは音楽的にも交差している。アフリカはすべての母だと意識しているし、それを拒むのは、私たちの歴史を拒むことになる。

 そして、3月9日にリリースされた最新作の『ベンゴ』(「私はやってきた」の意味)は彼女の決意とともに出現したアルバムといえる。リリックは、グローバリズムやキャピタリズムに抵抗する姿勢を示しているのはもちろんだが、前作よりも、ルーツやコミュニティの大切さ、自治、環境問題や女性の人権についてを深く物語っている。
 まさに南からの声明ととれる同作について、アナ・ティジュが、メール・インタヴューに答えてくれた。

「アルバムタイトルとなった同名曲“ベンゴ”はその構想の段階からメロディもメッセージも、とても自然な形で生まれた。友人たちとの日々の会話のなかで、私たちのアイデンティティについて語ってきたことが原点となった。この曲は、アルバムの根幹について要約しているものだと思ったの」


Ana Tijoux (アナ・ティジュ)
Vengo(ベンゴ)

MUSIC CAMP

MUSIC CAMP

 アルバムのアートワークには、メキシコ革命の戦士やサパティスタ民族解放軍の乳飲み子を抱えた女性、チリを含む南米を拠点にする先住民族マプーチェの老女、そしてアナの子どもの頃と重なる少女の姿が描かれている。闘い続ける女性たちの姿が並んだ、素晴らしいイラストだ。

 「チリ人アーティストのパブロ・デ・フエンテが手がけた。最終的にこのイラストのコンセプトはほとんど彼が決めたものだけど、事前に私たちは人生やこのアルバムに収録された曲について語り合い、それを彼がイメージして描き上げた。だからこそすごく美しいものになったの」

 今作は、南のルーツを感じさせる音がふんだんに入っているのが特徴だ。アンデス地方のフォルクローレで使われるケーナやチャランゴのざわめきと、太いパーカッションの振動や、美しいクラシックやジャズの旋律と交わり、豊かなバンドサウンドとなっている。そこに載せられた鋭いライムが聴く者の心に突き刺さる。

「ラテンアメリカ由来の楽器を加えたのは、ずっと前から自身に問いかけてきたテーマからだった。私たちのルーツに回帰するためには、どうやって音楽で向き合えるのかを模索した結果だった。このプロジェクトに、かつて共演したことがなかった異なるジャンルの演奏家たちが参加し、経験を共有できた。そのプロセスは、実に豊かでパワーに満ちたものだった」

 学生運動が沈静化したように見えるチリの現況だが、先住民の土地利権問題などは根本的には解決していない。同国の状況について、アナはこのように語る。

「チリは現在欠陥を抱えた困難な状況にある。それは恒久的に信頼性を失ってしまった状態なの。いままでの不当な歴史で受けた、数々の深い傷口を広げたまま、なんとか確立している場所。政府が誠意を持った解決に向かって動いていないあいだに、この複雑な怒りを込めた私たちの隔たりは大きくなっていくいっぽう。ラテンアメリカは、自立のために絶え間ない闘いを繰り返し、非植民地化のために必死で生きている。私たちの微笑みを壊す、キャピタリズムの沈黙の支配を前にしながら」

 本作で、白眉といえるのが、ラテンアメリカとアフリカを意識したリリックが印象的な〈Somos Sur〉(「私たちは南」)だ。

「私のなかで、南とは北からの度重なる圧力に立ち向かう抵抗の力だと意識している。ラテンアメリカとアフリカの歴史は非常に似通った部分があり、それは音楽的にも交差している。アフリカはすべての母だと意識しているし、それを拒むのは、私たちの歴史を拒むことになる」
 さらに、同曲に参加する、パレスチナの血を引く、英国人MC、シャディア・マンスールの畳み掛けるようなラップに圧倒される。シャデイアはアラブ圏初の女性MCとして知られている。
 「シャディアのラップを聴いたときに、強烈な印象を受けた。彼女の力強い言葉のなかに、絶え間ない熟考を読み取った。私は彼女と何かやらなければいけないと心に誓った。私たちは以前から交流はなかったものの、最初にコンタクトをとったときから、瞬発的に理解しあうことができた。私たちの世界へ向ける目線は同じであり、彼女は素晴らしい音楽家である以上に、人生の同志であると感じる」

 言葉と音をしっかりと握りしめ、地上にやってきたアナ・ティジュ。彼女の南からの視線は、きっと日本のリスナーの心を打つだろう。

「このアルバムに命を吹き込むため、共有するために、招いてくれるところにはどこへでも行きたい。日本でも『ベンゴ』が発売されたことに感謝している。私の友人たちでもある米国のヒップホップのアーティストたちは、日本でツアーしたこともあるんだけれど、リスナーが真摯で、ブラック・ミュージックやヒップホップ文化の背景にも理解があるって感動してたの。心からあなたたちの大地を訪れたいし、あなたたちの文化を知りたい。そして音楽と言葉によってもっと近づきたい」

弓J (S) - ele-king

サディスティックでキレキレなものからディープハウス寄りな漂えるものまで、テクノ、ハウスと混ぜてかけれるベース周辺を10曲。

3/29(土)はKABUTOくんをゲストに「S」を開催します。ぜひ!

女3人がテクノ、ハウス、ベースで攻める「S」@KOARAを不定期開催でオーガナイズ。
次回は3/29(sat)開催。ゲストはKABUTO(CABARET/LAIR)。

偶数月第1水曜「Radical Simplicity」@Bar Jam、偶数月第3火曜「SUPER DRY!」@KOARA、にレギュラー参加。
その他、都内各所にて活動中。

twitter | S blog

S的ベース周辺 10選 (2014.3.9)


1
Objekt - Fishbone - Objekt

2
Second Storey - Still Seas/Just Mortal - Houndstooth

3
Bass Clef - Stenaline Metranil Solar Flare - Punch Drunk

4
Pasteman & Tanka - Torino - 877 Records

5
Nubian Mindz - Only Lover - Teng

6
H-Sik - Sonic Rage - Black Acre

7
Jam City - Worst Illusion - Night Slugs

8
Jack Dixon & Rick Grant - Muted - Man Make Music

9
Aardvarck - Brawa - Skudge

10
Kloke - To The Rescue - Granholme

GET ACTION - ele-king

 ちょっと自分の話をする。
 ぼくは1975年生まれで、89年ごろにバンドブームの直撃を受けて音楽に興味を持った。ブームが去るのは早かった。坪内祐三『昭和の子供だ、君たちも』によれば90年3月までだったそうだ。ブームを支えた高校生たちが卒業すると同時にブームも終了したということで、ぼくが高校に上がるころにはもう終わっちゃっていたということである。
 ブルーハーツ(当時)の真島昌利は92年リリースのソロ・アルバム『Raw Life』発売時に「バンドブームが終わって、けっきょく日本はチャゲアスじゃねえか!」と発言している。よく言われることだが、あれは「バンドブーム」であって「ロックブーム」ではなかったのだ(功罪あって、収穫も多かったとは思いますが)。
 それでも自分はブームが去ってからもしつこくロックを聴きつづけ、とくにボアダムス界隈とパンク~ハードコアに夢中になる。なんといっても90年代のパンク・シーンはすごく盛り上がっていた。
 ぼくが大学時代に初めて結成したバンド(少年ナイフのコピーバンドでした・笑)のギタリスト(「T君」としておこう)とはもともとラモーンズやジョニー・サンダースが好きということで意気投合したのだが、その後はけっこう違う方向に進み、ぼくはノイズとかファストコア/パワーヴァイオレンスにどっぷりハマり、T君はガレージやパワーポップのほうに行ったのだった。そんな彼に教えてもらったバンドのひとつが、この映画で取り上げられたティーンジェネレイトだったのである。
 静岡出身のレコード・マニア、Finkが兄のFifiとともに結成したのが前身バンド、アメリカン・ソウル・スパイダーズ(ASS)。映画は兄弟が故郷を訪ねるところからはじまる。ひょっとしたらここに出てくるレコード屋やライヴハウスには野田編集長も通っていたのかな、とか、なんて思いながら観るのも楽しいかと。
 ストゥージズ~MC5的なガレージ・ハードロックを演奏するASSは、バンドブームの日本には居場所がなく、最初から海外のレーベルにデモテープを送り海外に演奏の場を求めていく。バンドブームとそのあとの空洞化したシーンにあって、90年代には続々と海外に活動の場を求めるバンドが増えていくのだが(ゼニゲバとかメルト・バナナとか)、なかでも彼らは周囲に先駆けていた部類だと思う。
 ヴォーカリストが活動拠点をアメリカに移すためにASSを脱退、バンドはそのままFinkがヴォーカルとなってTeengenerateと名前を変えるとともに、音楽性もよりシンプルなロックンロールへと変更。映画の中では「あんまり練習しなくてもいいような音楽」なんていう表現がされている。
 基本的にはパンク・バンドにカテゴライズされることの多い彼らだが、50年代のロカビリー、60年代ガレージ~プロト・パンク、ブリティッシュ・ビート~モッズ、NYパンクに77パンク等々と続くロックンロールの歴史すべてを取り込んだその音楽は、〈Crypt Records〉の名コンピ『Back From the Grave』シリーズなどに端を発するロウファイ(サンフランシスコ周辺などの奇天烈なバンド群を指すケースもあるが、この場合はガレージ・パンク系)のムーヴメントとも時を同じくし、世界的な評価を得てバンドの大躍進がはじまるのである。
 以後、映画のキャッチコピーにもあるように結成からわずか3年のあいだに「年間海外ツアーおよそ80本、総制作楽曲73曲、世界10か国から音源発売」――解散までのバンドの勢いはおそらく本人たちにもよくわからぬまま駆け抜けたという感じだろう。
 そして本作にも登場するThe5678'sやJackie & The Cedrics、ギターウルフ、Supersnazzといったバンドたちもけっして後を追ったというわけではなく、それぞれ独自に海外で熱い支持を得ており、それが逆輸入されるような形で国内のシーンも盛り上がっていくことになる。規模は小さかったかもしれないが、その熱さは「DOLL」の誌面などから傍目にも伝わっていた。
 結局バンドは93年から95年末までという非常に短い期間で突然の解散を迎える。「そんなに短かったんだ」という感じもするが、あの頃はいまと密度が違ったというか、1年がもっと長かったような気がする(自分が暇な大学生だったからかもしれないが)。ちなみに解散間際のライヴ映像には、最前列かぶりつきで盛り上がっているT君が映り込んでいて感慨深いものがありました。

 今回の映画を監督したのは映画館〈シアターN〉の支配人として数多くのロック・ドキュメンタリーを世に出してきた人物であり、さすがにツボをおさえた王道のドキュメンタリーに仕上がっている(もちろんバンドへの強烈な愛とリスペクトあってのものだ)。
 よくもまあこんな映像が残っていたな、というライヴ映像の数々はもちろんどれも超かっこいいのだけれど、やはり中心となるのはFinkとFifiの兄弟をはじめ、元メンバーたちのコメント。とくにベースのSammyのいい意味でくだけた発言の数々には試写室でも笑いが起きていた。
 そして周辺人物たちの人選もツボを押さえている。個人的にとくに重要だと思うのは、当時おそらく日本で唯一このシーンをしっかりと伝えていたライターの関口弘(少なくとも紙メディアでは、氏が「DOLL」や「クロスビート」に寄稿していたレビューがほぼ唯一の情報源だったんじゃなかろうか)。ギターウルフをはじめ、先述したような同時代・同シーンのバンドマンたち、それに個人的には高円寺のレコード店BASEの飯島氏がアメリカで目撃したエピソードがものすごくぐっときたので実際に観てみてください。ぼくはあそこでちょっと泣きました。

90年代半ばというインターネット普及前、レコード店が現場でありメディアだった時代である。ガレージもハードコアも毎週のように面白い7インチ・シングルがたくさんリリースされていて、お店に通うのがすごく楽しかったのだ。おかげでいまでもぼくは7インチというメディアがいちばん好きですね。というか実際いまでもレコード屋は現場でありメディアなのだけど、忘れられがちだ。
そして「90年代中盤のライヴハウスのおもしろさ」というのは個人的にも大事なテーマなのだが、その感じをすごくよく伝えるドキュメンタリーである。もっと大事なのは、ティーンジェネレイトはすでになくとも、Fifi率いるFirestarter、Fink率いるRaydiosという最高のロックンロール・バンドが健在だということ。ロックンロールというのは50年代から、ときにレッテルを貼りかえられながら連綿と続いているのである。

3/15(土)~3/28(金) 新宿シネマカリテにて連日21:00より
2週間限定レイトショー!

Photo by Masao Nakagami (TARGET EARTH)

幻のロック・バンド“TEEN GENERATE”のドキュメンタリー映画が2014年3月、公開! なんと監督は日本でもっとも多くのロック映画を上映しつつも2012年に閉館となった映画館、〈シアターN渋谷〉の元支配人・近藤順也さん。本当にかっこいい音楽を知ってもらいたいという思いだけで作られた映画『GET ACTION!!』が、今週末より〈新宿シネマカリテ〉にて限定レイトショー!

公式サイト https://www.get-action.net/

■映画『GET ACTION!!』公開記念イベントin新宿シネマカリテ
☆3/15(土) 初日舞台挨拶
ゲスト:Fink、Fifi、(以上TEENGENERATE)、近藤監督
☆3/18(火)「あの頃僕らは最前列にいた!」
ゲスト:TSUNEGLAM SAM(YOUNG PARISIAN)、近藤監督
☆3/21(金)「音楽ドキュメンタリーはどこへ行く!?」
ゲスト:樋口泰人(映画評論家、boid主宰)、川口潤(映像作家)、近藤監督
☆3/22(土)「90年代初めのUSツアーってこんな感じでした!」
ゲスト:TOMOKO(SUPERSNAZZ)、Fifi、近藤監督
☆3/27(木)「間もなく公開終了! ズバッと総括!」
ゲスト:Fifi、近藤監督

さらに、クロアチアで世界最速上映決定!
本作の公開発表と同時に欧米の様々な国から上映への問い合わせがあり、中でも最も早い問い合わせがあったのが、何とクロアチア! サッカー以外に馴染みの薄い国ではありますが、今年で8回目を迎える“FILM FESTIVAL DORF”から熱心な誘いを受けました。聞くところによるとプログラム・ディレクターが94年のヨーロッパ・ツアーでスロヴェニアにて彼らのライヴを観ているというTEENGENERATEの大ファン! 上映は現地時間3/8(土)の17:00~ということで世界最速上映となりました! 世界で最初の上映がクロアチアというのもTEENGENERATEらしいエピソードではないでしょうか!?

Sima Kim (Umor-Rex / Blwbck) - ele-king

韓国を拠点に活動するプロデューサー/音楽家。大学で音楽学を学び、2011年から音楽制作を開始。mu-nestからリリースされたコンピレーションアルバムでデビュー、以降はrural colours、umor-rex、ginjoha, soft corridor recordsと数多くのレーベルから作品をリリース。2012年には東京で初めてライブパフォーマンスを行う。これまでpost-classical, ambient, droneなどに影響を受けた楽曲を発表していたが、フランスのレーベルBLWBCKからリリースした最新EP『Ur Silhouette』は浮遊感のあるダークなシンセにボーカルやトラップなどの最新のビートを取り入れた意欲的な作品として注目を浴びる。今後、本国のみならず世界中での活躍が期待されるアーティストだ。
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Current Top 10


1
Kurtag / Jelek / ECM

2
芦川聡 / Still Park Piano Solo / Sound Process

3
Henri Dutilleux / Au Gre Des Ondes / ECM

4
Flying Lotus / Such A Square / self-release

5
Ametsub / Vestige For Wind Day / Nothings66

6
Balam Acab / Welcome / Tri Angle

7
Canooooopy / 骨蒔く真鍮馬 [boneprints of brasshorses] / Virgin Babylon

8
メトロノリ / 水面 / selfーrelease

9
Eadonmm / Mirage / Day Trippers Records

10
The Salovers / Sad Girl / TAIYO

カタコト - ele-king

 カタコトって何者? 快速東京のメンバーがいるとかいないとか?
 YANOSHITの言葉を借りれば「♪カタコトのカは快調~/カタコトのタは体調/カタコトのコは好調~/カタコトのトはトウチョウ~?」(“Man In Da Mirror”)とのことで、あるいは『bounce』誌のインタヴューによれば「カタコトっていうのは概念なんですよね。いわば宗教……ですよね」(MARUCOM)とのこと。ううん? まあ彼らがそう言うのであればそういうことなのだろう……。

 とにかく。カタコト、超待望のファースト・アルバムである『HISTORY OF K.T.』をプレイすれば、このヤングでギャングなボーイズが何者かなんてことはどうでもよくなってしまう。『HISTORY OF K.T.』はとんでもなくゴキゲンでグルーヴィで──もっとも重要なことに、底抜けに楽天的だ。
 だってこのご時世に「♪安心なのさ/安心なのさ/安心なのさ/安心なのさ~」(“からあげのうた”)なんてだれが歌えるのだろう(とはいえもちろん「こんなループに乗せて歌う日本の平和な音楽」というアイロニカルな一節は無視すべきではない)? ふざけたおしすぎて意味不明で笑かしてくれる謎のブックレットやスキットにはいったいどんな意味が? ……つまり、カタコトにしか表現できないへんてこな抜けの良さ=大衆性が、アルバムにはぎゅうぎゅうに詰まっている。
 元気の良さとふざけっぷりはティーンだった頃のオッド・フューチャーの悪ガキどもと同じくらいだ。でもカタコトは露悪的な猟奇趣味じゃない。というよりは、橋元さんが書いているように(https://www.ele-king.net/review/live/003305/)「コミカルな妖怪たち」あるいはオバケみたいな「はっきりした正体不明さ」でもって肯定的な開放感をめいっぱい呼び込んでいる。

 “Man In Da Mirror”にはビースティ・ボーイズとB級ホラー映画が、VIDEOTAPEMUSICを迎えた“リュックサックパワーズ”にはローファイと裏山の冒険が、“G.C.P”にはファンクとパンクが、“魔力”にはサイケデリックと超能力が、“からあげのうた”には童謡が、“Starship Troopers”にはアシッド・フォークと昆虫採集が、“ピアノ教室の悪魔”には学校の怪談とゲームボーイがそれぞれひしめきあっている。そして、どの曲にも映画と食べ物とヒップホップへの愛が詰まっている。それは、何かの間違いでそういったものをぜんぶ洗濯機に投げ込んで回してしまって、ぐっちゃぐちゃのかっちかちのぴっかぴかの一塊の何かとして取り出されたような、ストレンジで強引なラップ・ロックとして形成されている。

 もちろん僕らをそわそわさせるあの名曲“まだ夏じゃない”も、ゴキゲンでキュートなお宝探し冒険譚“Gooonys”もパワーアップして再録されている。とくに“Gooonys”は最高だ。カタコトというバンドをよく表している。
 YANOSHITはここで「心が未だにTeen-age/もしかしたらと思った大人が大冒険」なんてヴァースをぶちかましていて、RESQUE-Dのフックは「鎖繋がれてるモンスター」「悪餓鬼6人集めて映画にすれば大人が感動する」といった具合だが、果たしてカタコトはティーネイジャーの心を持った大人なのか、それとも「悪餓鬼」なのか、はたまた鎖に繋がれた「モンスター」なのか? もしも「モンスター」だったとしたら大変だ。いまに鎖をぶっちぎって僕らに襲いかかってくるかもしれない……。

 『HISTORY OF K.T.』は愉快痛快な一撃だ。スチャダラパーとRIP SLYMEの王座を奪うのは、もしかしてカタコトなんじゃないの? そんなことまで想像させるだけのポップネスとユーモアがきらきらと炸裂している。

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