「Ord」と一致するもの

Clipping. × Shabazz Palaces - ele-king

 この10月に〈Sub Pop〉からサード・アルバム『There Existed An Addiction To Blood』を発売したばかりのLAの実験的ヒップホップ・トリオ、クリッピングが、ドレクシアの神話にインスパイアされた12インチ「The Deep」をリリースする。表題曲の“The Deep”はもともと2017年に配信で発表されていたもので、このたびめでたくアナログ化されるにいたったという次第。新たに“Aquacode Databreaks”と“Drownt”の2曲が追加されるが、前者には今年フライング・ロータスバトルズ新作への参加が話題となったシアトルの実験的ヒップホップ・デュオ、シャバズ・パレセズがフィーチャーされている。大西洋に投げ捨てられた黒人女性の子孫たち──かつてドレクシアの紡いだ物語がいまどのように再解釈され、蘇るのか。しっかり耳をそばだてよう。

artist: Clipping.
title: The Deep
label: Sub Pop
release: November 29th, 2019

tracklist:
A1. The Deep
A2. Aquacode Databreaks (feat. Shabazz Palaces)
A3. Drownt
B1. The Deep (Instrumental)
B2. Aquacode Databreaks (Instrumental)
B3. Drownt (Instrumental)

Bandcamp / Amazon / HMV / iTunes

Hector Plimmer - ele-king

 これはメロウだー。〈Brownswood〉や〈Hit+Run〉のコンピに曲が収録されたことで注目を集めたサウス・ロンドン出身のプロデューサー、ヘクター・プリマーがセカンド・アルバムをリリースする。なんとも美しいサウンドを響かせつつ、ジャングルの活用なんかもあったりしておもしろい作品に仕上がっているが、ゲストにも要注目で、ナイトメアズ・オン・ワックス『Shape The Future』やスウィンドル『No More Normal』への参加で近年めきめき頭角を現してきている歌手のアンドリュー・アションや、ジョー・アーモン・ジョーンズが「素晴らしいシンガーだから、彼女はチェックした方がいいよ」と太鼓判を押すエゴ・エラ・メイらが参加。まあ、まずは1曲聴いてみて。

HECTOR PLIMMER
Next To Nothing

ジャイルス・ピーターソンからも高い評価を得る、サウス・ロンドンのメロウ・アーバン・ビートメイカー、Hector Plimmer (ヘクター・プリマー)によるセカンド・アルバムが完成!!
ロンドンを拠点にするソウル・シンガー、Ego Ella May や、注目のガーナ出身のUKシンガー ANDREW ASHONG も参加!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/hectorplimmer

エレクトロニック・ミュージック、ヒップホップ、ジャズ、ソウル、ファンク等のエッセンスが混じった音楽は世に数多あるが、
それを一人で新たな音楽として提示できる人はそれほど多くない。サウス・ロンドンから登場したヘクター・プリマーは間違いなくその才能を持つ一人だ。
ジェイミー・カラムが「最初から最後まで美しいアルバム」と絶賛したデビュー作『Sunshine』以上に、この新作の美しさには深く引き込まれる。 (原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : HECTOR PLIMMER (ヘクター・プリマー)
タイトル : Next To Nothing (ネクスト・トゥ・ナッシング)
発売日 : 2019/12/11
価格 : 2,400円+税
レーベル/品番 : rings (RINC62)
フォーマット : CD (輸入盤CDは、ございません。)
バーコード : 4988044051393

Tracklist :
01. Next To Nothing (feat. Emma-Jean Thackray, Ego Ella May)
02. Sonnet 17 (feat. Ego Ella May)
03. Still Here
04. Somebody Else (feat. Andrew Ashong)
05. Tapeloop
06. Stack (feat. Pie Eye Collective)
07. Before The Sun (feat. Ego Ella May)
08. Step
09. Joyfulness (feat. Alexa Harley)
10. Circle
11. 2 Minute Switch (feat. Pie Eye Collective)
12. Wall Street (feat. Andrew Ashong)
13. Communication Control
& Bonus Track 追加予定

Madame Gandhi - ele-king

 4年前、前日から生理になったにもかかわらずフリー・ブリーディング=生理用品を使わずに血が流れるままロンドン・マラソンを4時間49分11秒で完走した女性ランナーが話題になった。キラン・ガンディー(Kiran Gandhi)である。ガンディーは、完走後、彼女にとってマラソンは家族とフェミニズムにとって重大な価値のあるものだったとブログに記し、世界には生理用品が手に入らない女性がたくさんいることを知って欲しかったことや生理だからといって憂鬱にならずに世界中の女性たちに元気を出して欲しいとアピールすることが目的だったとも書いている(スティーヴ・ジョブスやマーク・ザッカーバーグは毎日同じ服を着ることで時間を節約することができるけれど、女性にはそのような選択が許されていないなど、さらに詳しくは→https://madamegandhi.blog/2015/04/26/sisterhood-blood-and-boobs-at-the-london-marathon-2015/)。ガンディーはこうして2013年から始まったとされる第4波フェミニズム(Fourth-wave feminism)のアクティヴィストとして知られるようになる。ローラ・ベイツが2012年に立ち上げたウェブ・サイト、エヴリーデイ・セクシズム・プロジェクト(https://everydaysexism.com)が始まりだとされる4thウェイヴ・フェミニズムはインターネットとの親和性が特徴だとされ、リクレイム・ザ・ナイトのような過去の運動とも結びつきながら、イヴ・エンズラーが設立したワン・ビリオン・ライジングやフリー・ザ・ニプル、あるいはエマ・ワトスンの「HeForShe」など、すでに数え切れないほどの運動形態を産み落とし、最も有名なのはやはり2017年の#MeTooということになる。層の厚くなったフェミニズムには資本主義フェミニズムと呼ばれる傾向も散見され始め、80年代に陥った失敗もすでに懸念されているようだけれど(https://www.theguardian.com/world/2019/oct/18/the-wing-how-an-exclusive-womens-club-sparked-a-thousand-arguments)、ガンディーのそれは4thウェイヴ・フェミニズムが初期から発揮していたエンパワーメントの範疇から外れるものではなく、彼女の活動には今後も期待が持てるだろう。生理用品を扱った表現だと80年代ではコージー・ファニ・トゥッティ戸川純がよく知られているところだけれど、最近の『アレを探して』や『パッドマン』といった映画、小山健のマンガ『生理ちゃん』(これも映画化)や「タンポン・ラン」というゲームはやはりキラン・ガンディーのフリー・ブリーディングがきっかけだったことは確か。ガンディーはちなみに大学で数学を学び、インターンとして〈インタースコープ〉で解析の仕事につき、スポティファイのデータ解析もおこなっていたという。

 キラン・ガンディーはロンドン・マラソンで注目を集める以前からドラマーとして活動していた。同じインド系のM.I.A.が『Matangi』(13)をリリースした際はツアー・ドラマーを務め(ケラーニやシーヴェリー・コーポレイションもサポートしているらしい)、アンシエント・アストロノーツのサード・アルバム『Into Bass And Time』にはパーカッションで参加(“Peace In The East”)。トーマス・ブロンデットやチームガイストのアルバムにも参加し、自身のデビュー・ミニ・アルバム『Voices』はマダム・ガンディーの名義で2017年となった。穏やかな“Yellow Sea”で始まり、比較的単純な曲で構成された同作は懐かしのBモア・ブレイクスやドラムンベースにつくり変えられたリミックス盤もリリースされ、リミキサーには『Thrill』(19)に収録されていたインド風のパーカション・ワークが最高だった“Carl Maria von Weber”のペレーラ・エルスウェア(ジャクージ)やレディ・Gことジズルらを起用。そして、2年ぶりとなる『Visions』がセカンド・ミニ・アルバムとなる。これが飛躍的に高度な内容となり、なんともパワーアップしている。

 オープニングの“Waiting For Me”は得意のパーカッション・ワークを組み合わせたバングラ風のブレイクビーツで、明らかにM.I.A.の影響を感じさせつつ、声のインパクトではかなわないからか、曲の構造がどんどん複雑になっていく。センディル・ラママーンやアーチー・パンジャビなどアメリカにおけるインド系俳優の存在感が映画界ではかなり高いものになってきたこともあり、音楽でも同じようなことが起きているのだろう。“Top Knot Turn Up”、“See Me Thru”と抑制されたドラミングを聴かせた後、“Young Indian”ではボリウッドを思わせるシネマティックな展開と“Bad Habits”ではプエルトリカンのリズムやアレンジを取り入れたカリブ・サウンドで締めくくられる。歌詞的にも「なぜ無力だと思わなければいけない?」「自分の肉体について気持ちよく、そして自信を持って語る可能性を拒否されているから」「地球は私を待っている」「学校で教えられるのは金儲けのことばかり」「社会が私を殺す」「その程度のミソジニーならまだ引き返せるよ」と彼女なりの苦闘や希望を力強く語りかけ、早くも「ポリティカリー・スーパーチャージド・アンセミック・ボディ・ミュージック」などと賞賛されている。もうちょっと聴きたいところだけれど、5曲しか収録されていないので、これを繰り返し聴くばかり。それにしても彼女のドラミングは楽しい。最後にスティックを投げ飛ばさないで欲しいけど。

 キラン・ガンディーの母親はムンバイで貧困問題や教育などに取り組んできたミーラ・ガンディーで、彼女には親の影響がストレートに受け継がれたのだろう。アメリカでは啓蒙活動に力を入れているムーア・マザーオカシオ=コルテス、「ガールズ・アップ」を立ち上げたロシオ・オルテガに選挙権を16歳に引き下げろと運動するマディスン・キムリーなど若い女性のアクティヴィストが最近はよく目につく。この7月に公開されたマイリー・サイラス“Mother's Daughter”のヴィデオに登場したマリ・コペニーはミシガン州フリントの水道水が汚染されていることをオバマ大統領に直接訴え、マイケル・ムーアの『華氏119』(18)でその過程が詳細に描かれたり。そうしたなかのひとりだったといえるミーガン・マークルが英王室入りしたことでイギリスでもインド系の音楽が一気に活気付いたかどうかはわからないけれど、ブリストルのベンガル・サウンドに続き、〈ナイト・スラッグス〉周辺を集めたDJマナラによるインド音楽とクラブ・ミュージックを合体させたコンピレーション・アルバム『The Ultimate Spice Mix』はかなり聴きごたえがある仕上がりに(ミーガン・マークルはちなみに英王室の慣習となっている結婚式の贈り物の代わりにインドの女性たちに生理用品を配布してくれと訴え、4thウェイヴ・フェミニズムがデリーのバス内で起きた集団レイプ事件を機に飛躍的に高まったことを思うと、キラン・ガンディーのような人物が出てくるのは必然だったとさえ思えてしまう)。

 リンスFMに番組を持ち、2017年にボイラールームのDJで知名度を上げたマナラはサウス・ロンドンを拠点にし、以前は〈ナイト・スラッグス〉を主催するボク・ボクとデュオでDJをやっていたらしく、『The Ultimate Spice Mix』でもふたりはパンジャブ・ポップに依拠したベース・ヘヴィな“My Name Is Shhh”を共作。オープニングからバングラなのかゴムなのか判然としない NA DJ “Buzz”で幕を開ける『The Ultimate Spice Mix』は全体にヴォーカルが聴きどころで、独特の節回しとうねるベースを組み合わせた A.G. “Kehna Hi Kya”もユニークならングズングズ(Nguzunguzu)のアスマラによるしっとりとした“Dheere Dheere”やインド音楽を打ち込みで再現しただけに聴こえるアイコニカ“Sarsariya”の清々しさが印象深い。ジャム・シティのコピー・アルバムを3枚も出したヘリックス“Nashe Si Chadh Gayi”は早くもピーク・タイムかと思うほどの迫力で、ジェネラル・コーツだけは……いつも飛ばしてしまう。なお、収益はすべて人権団体のレストレス・ビーング(https://www.restlessbeings.org)に寄付されるそうです。

 11月、今年もこの季節がやってきた。まさに「Our Time Is Coming」。Masters At Work の来日公演まで残り2週間を切った。2016年からスタートしたこのプロジェクトも4回目。Body&SOUL と双璧をなす都市型フェスティヴァルとして、定着してきた感もある。時代を越えていまでも愛され続ける往年の名曲たち、そしてCDJを7台と2台のミキサーを駆使した、もはやライヴとも言える圧巻のDJパフォーマンスを今年も聴けるとなるだけでワクワクが止まらない。この胸の高まりをさらにたくさんの人に届けるべく、日本で MAW を最もよく知る3人にインタヴューを敢行した。90年代からふたりをサポートし、いまでも親交の深い DJ Nori、そして MASTERS AT WORK in JAPAN に唯一4年連続で出演しているハウス・ユニットの Dazzle Drums と共に、改めて MAW の魅力や軌跡を語ってもらった。

「LOVE」をテーマにした楽曲はかけないでくれ! と海外のお客さんに言われたりもして、DJをしていると難しい状況の中で選曲を迫られる局面もありますが、ふたりは頑なにポジティヴなメッセージを発信し続けていますよね。 (Nagi)

遡ることになるんですが、Masters At Work デビュー当初のお話から伺いたいと思います。最初のリリースは1989年の〈Nu Groove〉からリリースされた「Masters At Work House Power」というEPのようですね。

Kei:最初は Todd Telly がこの名義を使っていたんです、それを譲ったんですよね。

Nori:そうそう、その後に〈Cutting Records〉からリリースされた曲もよく覚えてるよ。当時はよくプレイしてたけど Dope と Madd の両面になってて、Dope の方はそれこそ Kenny Dope のヒップホップ感が強かったな。

その時の Nori さんはNYで活動されていたんですか? Dazzle Drums のおふたりも当時の MAW の作品を聴く機会などはあったんでしょうか?

Nori:ふたりが MAW として活動をはじめる少し前には、NYにある「フジヤマ」という店で毎日のようにDJをしていたよ。同時に芝浦GOLD もオープンしていたから、NYと東京を行ったり来たりの生活。91年、92年ぐらいの頃だね。GOLD にも Louie Vega と Kenny Dope は来ていたから、空港まで送ったりもした。彼らと知り合いになったのは、そこからだね。その後に SOUND FACTORY BAR で Louie Vega と Barbara Tucker がスタートさせた「Underground Network」のオープンニング・パーティのサブフロアでDJさせてもらったり。

彼は宇宙人みたいだよ(笑)。やれること全部やってるというか……30年近くシーンの中で高いレベルを維持し続けることは簡単ではないし、音楽をプロデュースする才能も素晴らしい。 (Nori)

Nagi:私たちはまだDJをはじめてもいなかった時代ですけど、当時のラジオから洋楽は聴けたので、MAW に限らず自然と海外の音楽に触れる機会はありました。

Kei:僕はヒップホップを聴いてたから Kenny Dope を通して MAW の存在に触れていました。

Nori:「Shelter」が始まったのも丁度その頃だったから、とくにNYは時代の変わり目みたいな雰囲気が凄くあった。90年代は〈ワーナー〉とかメジャーなレーベルがハウスのレコードを出していた時代。80年代にあったアンダーグラウンドなシカゴのサウンドだったり、イギリスの音楽も勢いがあったからNYも負けじとリリースが増えてハウスがポピュラーになっていった。

Nagi:例えばNYのR&Bシンガーのアルバムのシングルカットにハウスのヴァージョンもあって、ラジオでは原曲もリミックスもプレイされるっていうパターンが当時は多くて。MAW のふたりはリミックスを本当にたくさん作っていましたね。

皆さんには MAW のフェイヴァリット・レコードをいくつか持ってきていただいたんですが、いくつかご紹介いただけますか?

Nori:とにかくふたりは作品が多いからね。どれがベストなのか選べないけど、95年に MAW がリリースした“What A Sensation”なんかはよくリアルタイムでもプレイしていたよ。その頃にはふたりの存在は既に確立されてたし。

What A Sensation

Kei:僕も“What A Sensation”と同じ MAW の別名義「Kenlou」の最初のリリース「Moonshine」は好きな1枚なので持ってきました。

Moonshine

Nagi:私はドラムンベースのプロデューサー Roni Size が98年に出した「Watching Window」。MAWのふたりが「Nuyorican Soul」名義でラテン・アレンジでリミックスをしたものが収録されています。Gilles Peterson のレーベル〈Talkin' Loud〉からリリースされていて、音楽性の豊かさを物語っています。こうやってジャンルを跨いでもクオリティの高い楽曲を当時から作っていたのは本当に凄いことですよね。

Watching Windows (Roni Size Meets Nuyorican Soul)

Kei:Nuyorican Soul名義では〈Nervous Records〉からリリースした「The Nervous Track」も有名ですよね。所謂「4つ打ち」だけに捉われず、ラテンだったりダウンテンポなサウンドもふたりの魅力ですし。

Nagi:話はずれますが、以前マイアミの WMC (ウィンター・ミュージック・カンファレンス)が積極的におこなわれていた03年に、それに合わせて MAW の7インチ・セットが作られたのですが、いまも Louie Vega はオランダの ADE に毎年自分の限定盤のレコードをセットでリリースしたりしています。10年以上が経過してシーンの状況が変わっても、アップデートした形で続けているのは素晴らしいことだと思います。

一般的なバックトゥバックのイメージとは違い、より繊細で難易度も非常に高いです。例えば Kenny Dope のプレイしているビートに Louie Vega がアカペラを混ぜたり、音の上げ下げを含む微妙な調整もふたりで同時に合わせるので、まさにライヴとも言えるパフォーマンスです。 (Kei)

ageHa で開催される「MASTERS AT WORK in JAPAN」も2016年の開催から今年で4年目になりました。日本のハウス・ミュージックを代表する3人から、この数年間でMAW の来日を通して感じたことや変化などはありますか?

Nagi:Body&SOUL に遊びにきているお客さんが年にもう一度、必ず来てくれる機会には間違いなくなっています。クラブから足が遠のいてしまった人や、東京以外からもわざわざ来てもらえるタイミングが増えたのは純粋に嬉しいことですし。

Kei:もちろん昔から遊んでいた人に限らず、新しいお客さんが徐々に増えつつあるのは感じます。具体的にどのくらいって言われると難しいですが、続けていることの結果が出てきはじめているのではないでしょうか。

Nori: 時間帯も深夜じゃないし、90年代に遊んでいた人たちも子どもと一緒に家族で遊びに来られるのは素敵だよね。MAW のふたりからは新しい音源も送ってもらえるし、色々な形で自分のセットに組み込んでいるけど、彼らの音は時代の流れを考えながらも全くブレていない。そこがハッキリしているから色々な人たちに受け入れられるのかもしれないね。

「ブレない」という部分は具体的にどういったところなんでしょうか?

Nori:音楽の基本が決まっているからじゃないかな? さっきも少し出たけど、Louie Vega だとラテンやアフリカンだったり、自分が好きな音楽をずっと表現している。Kenny Dope はヒップホップからソウル、ファンクの楽曲を7インチでかけたり。自分のアイデンティティにストレートな部分は彼らの素晴らしいところだし、もともと音楽的な幅があるふたりが組むことで面白い部分が生まれている。

Kei:ふたりのやりたいことは常に決まってますよね。

ソロでの活動も素晴らしいのですが、MAW のセットにだけある魅力みたいなものは何でしょうか?

Kei:MAW としてDJをおこなうときはバックトゥバックのスタイルを取ってはいるのですが、7台ものCDJにミキサーもそれぞれ個別の機材が置かれているんです。交互に選曲をする一般的なバックトゥバックのイメージとは違い、より繊細で難易度も非常に高いです。例えば Kenny Dope のプレイしているビートに Louie Vega がアカペラを混ぜたり、音の上げ下げを含む微妙な調整もふたりで同時に合わせるので、まさにライヴとも言えるパフォーマンスです。

Nagi:それぞれのスキルも本当に高いのでふたりの駆け引きを現場で体感できるのも MAW ならではというか。もちろん自分たちの楽曲が中心になりますが、それぞれが最近リリースしている音源に別の音源をどうやって重ねていくかなども聴いていて本当に面白いです。

Dazzle Drums のふたりは2016年の初回から唯一4年連続の出演です。DJとしてこのイベントに対する思いや、意気込みなどはありますか?

Kei:基本的にお客さんは Masters At Work 目当てだと思うので、その中でどうやって自分たちを表現していくのかという部分ではやり甲斐を感じます。年に一度のビッグ・パーティーに出演することで、自分たちにとって新しい出会いや広がりを作れる機会でもあるので、そういう場所があるのは本当にありがたいです。

Nori さんは個人でのブッキングは何度かありますが、今回は初めて Muro さんと Captain Vinyl として出演されます。ロング・セットでの出演ということで MAW の楽曲をプレイされたりもするのでしょうか?

Nori:Muro くんも去年、一昨年と連続で出演しているし、MAW の音源は好きだろうから今回ふたりでやれるのはすごく楽しみ。最近は Louie Vega がリリースした7インチの音源なんかもあるから、プレイするチャンスはあるかもね。

Barely Breaking Even

国内アーティストのラインナップもさらに豪華になっています。今年は ageHa に隠さていた秘密の部屋「Romper Room」でもDJの音楽を楽しむことができますし、屋外の雰囲気を味わえる Water には Dazzle Drums 以外では若いDJたちを含めた新鮮なメンバーが集まりました。東京のシーンで活躍されてる3人からここ最近で注目しているDJやアーティストはいますか?

Nagi:それぞれ良いプレイをするローカルの若手DJはたくさんいます。甲乙付け難いのであえて名前は出しませんが、私たちが定期的にDJをしている 0 Zeroや、Solfa、Aoyama Tunnel、蜂、Koara など、数えきれない小箱で若い人たちが個性を出しながら切磋琢磨していますよね。

Nori:僕は正直20代のDJとそこまで接点がないんだけど、女の子のDJが増えてきたのは面白いよね。今回、おなじフロアで共演する Mayu Kakihata なんかもソウルとかファンクをレコードでかけているんだけど、選盤のセンスが良いなと感じる。変に流行りに拘らずに、自分のチョイスの中で表現するのはとても良いなと。若い子がアナログでプレイすることが増えてきているし、掘ることで個性も出てくる。日本の若いDJを全部知っているわけじゃないけれど地方に行けば新しいDJもいるし、エネルギーを持っている人はいるよね。

クラブで開催する深夜イベントとは違って、昼間から楽しめるのも「MASTERS AT WORK in JAPAN」の魅力になっています。Nori さんも Dazzle Drums も深夜のクラブでDJをされることが多いとは思いますが、何か違いを感じたりしますか?

Nori:自分は「GALLERY」っていうパーティーを昼間に20年近く続けていたから違和感はないんだけど、最近は風営法改正もあったし、人や時代も移ろいでいく中で、それぞれの遊びも変わってきている。80年代、90年代の黎明期の時代はやっぱり夜が中心で、SNSもなかったからクラブで情報交換していたけど、いまはそんなことをしなくてもみんなとコミュニケーションできたり、音楽を探すこともできるよね。

Nagi:インターネットがなかった時代はDJの先輩方が新しい音源をレコード屋から先に仕入れて若い人に向けてプレイしてくれたりもしたので、クラブは新しい音に出会える場でもありました。やっぱり現場に行かないと分からないなというのは当たり前だったし、だからこそ面白い人がよくクラブに集まっていましたよね。

Kei:クラブで出会った人と長い時間を共有したのでたくさんの思い出があります。レコード屋に行ったら知り合いがいて、クラブに行ったら友達がいるし。そういう大切な時間をまたここで共有できるのも醍醐味なのかなと。

Nori:Louie Vega も昔はNYの「Sound Factory Bar」で毎週水曜日に自分のパーティーを開催していて、そこでは発売する前の新しい音源をプレイしていたから若いDJたちは情報交換の場としても本当に重要だったと思う。いまレコードが面白くなって若い人もアナログをリリースしたり買ったりするから、昔と同じとは言わないけれど「MASTERS AT WORK in JAPAN」のようなたくさんの人が集まるパーティーをきっかけに、また面白い流れになってくれたらいいよね。

では、最近の海外のシーンについては、どのように感じていますか?

Nagi:ここ数年あったディスコ・ブームみたいなのものが少し落ち着いて、またソウルフルなハウスが面白くなっているのはヨーロッパのシーンからも感じます。その中で、やっぱり Louie Vega は群を抜いて活躍しているし、ラジオで常に新しい音楽を発信している。作品のクオリティーも落とすことなくレコードからデジタルまで時代と共に常に進んでいく姿は凄まじいですよね。

Nori:彼は宇宙人みたいだよ(笑)。やれること全部やってるというか……30年近くシーンの中で高いレベルを維持し続けることは簡単ではないし、音楽をプロデュースする才能も素晴らしい。そういえば Hardrive 名義でリリースした“Deep Inside”ののヴォイス・サンプルを使ったドラムンベース楽曲を最近聴いたんだよね。そこからオリジナルを知ってくれると嬉しいよね。

Nagi:Kanye West も同じサンプルをしてましたよね。 Mr. Fingers の“Mystery Of Love”のベースラインと混ぜたりなんかして。

30年近いときを超えても評価され続ける証ですね。

Kei:楽曲それぞれにメッセージ性が高いのも Masters At Wrok の素晴らしさです。今回は「Our Time Is Coming」で、毎年 MAW の楽曲がパーティーのサブタイトルになっているのも素敵ですよね。

Nagi:彼らがDJ中にプレイする楽曲もポジティヴなメッセージの強い楽曲が多いです。私自身も経験しましたがストイックな現場だと「LOVE」をテーマにした楽曲はかけないでくれ! と海外のお客さんに言われたりもして、DJをしていると難しい状況の中で選曲を迫られる局面もありますが、ふたりは頑なにポジティヴなメッセージを発信し続けていますよね。それに伝え方もとてもユニークで例えば「差別をなくそう」ではなく「みんなファミリーだ」というポジティヴなフレーズに乗せていく。いろいろな世代や人種の人が聴いても楽しい気持ちにさせてくれる絶妙なバランス感覚は流石だなといつも感じています。NYハウスやダンス・クラシックスが好きで、ずっと続けている理由も、彼らの持つポジティヴな雰囲気やブレない姿勢を見ているから、自分も頑張ろうという気持ちになれます。

最後に伺っておきたいのですが、Louie Vega のパートナーでもある Anane Vega のレーベルから Dazzle Drums はアルバムをリリースされています。そういう意味では「Masters At Work ファミリー」とも言えると思うのですが……

Nagi:ファミリーと言える程ではないです! アルバムでもお世話になりましたが、数年前に私たちが作ったエディット Willie Hutch の“BROTHER'S GONNA WORK IT OUT”を Louie Vega がデジタルで長いことプレイしてくれていて。彼の後押しがあって久しぶりにレコードで楽曲をリリースすることができたんです。コスト的にもレコードを作るのが難しい時代にこうして実現できたことを考えると頭があがらない、という関係なんです(笑)。

(取材・文:Midori Aoyama/写真:Yoshihiro Yoshikawa)

PRIMITIVE INC. 13th Anniversary
MASTERS AT WORK in JAPAN - Our Time Is Coming -

-ARENA-
MASTERS AT WORK (Louie Vega & Kenny Dope)
Lights by Ariel

-Manhattan Island supported by Manhattan Portage-
CAPTAIN VINYL (DJ Nori & MURO)
Mayu Kakihata

-WATER supported by Red Bull-
CYK
Dazzle Drums
Mayurashka
okadada
Shinichiro Yokota

-Romper Room supported by COCALERO-
Kan Takagi
Kaoru Inoue
Yoshinori Hayashi

-DANCE CYPHER supported by Lee-
KAZANE (LUCIFER)
KEIN (XYON)
KTea
KYO (VIBEPAK)
OHISHI (SODEEP)
SUBARU (SODEEP)
TAKESABURO (SODEEP)
UEMATSU (SODEEP)

-KIDS PARK-
授乳 & オムツ交換室
赤ちゃんブース
叩いて遊ぶDJ体験型ワークショップ powered by Pioneer DJ
ドラムワークショップ
オリジナルコルクボードづくり
マーブルクレヨンづくり
オリジナルバナーづくり
キャンプファイヤー

-FOOD-
ガパオ食堂
ごはんとおとも
BAHAMA KITCHEN

-TICKET-
Category 4 : 5,500Yen
Group Ticket 2 (5 Persons) : 24,000Yen
U-23 Ticket 2 : 3,500Yen
VIP Pass Category 2 : 7,500Yen
VIP Pass+Parking : 11,000Yen

VIP Pass & Table (2 seat) + Bottle Champagne : 30,000Yen
VIP Pass & Table (4 seat) + Bottle Champagne : 60,000Yen
VIP Pass & Table (8 seat) + Bottle Champagne : 100,000Yen

Door 6,500Yen / 4,000Yen (U-23)

※高校生以下は入場無料です。(ドリンク代別途)
※小学生以下の児童及び乳幼児は保護者同伴に限りご入場いただけます。
※車椅子でもご来場いただけます。専用駐車場とメインフロアを眺めるスペースをご用意します。
※テーブル席のご予約はお電話もしくはメールにて承ります。(TEL : 03-5534-2525/MAIL : reserve@ageha.com)

https://mawinjapan.com/

Floating Points - ele-king

 嬉しいニュースのお知らせです。先月じつに素晴らしいセカンド・アルバム『Crush』をリリースしたばかりのフローティング・ポインツが、サマソニに続いて再来日、12月に札幌~東京~京都の3都市をまわります。2019年の最重要作の1枚である『Crush』を送り出した彼はいま、ライヴでどんなサウンドを追求しているのか……前作『Elaenia』時のライヴがその後のバンド路線に影響を与えたという先例もあるので、これは見逃せないですよ!

ECM Listening Lounge - ele-king

 今年で〈ECM〉が設立50周年を迎える。ジャズのみならず、さまざまな音楽を送り出してきた同レーベルの魅力をより幅広い層へと届けるべく、dublab.jp が新たにイヴェントをスタートする。その第1回が Veronique にて開催。ナヴィゲイターを務めるのは原雅明で、第二部では DJ KENSEI が〈ECM〉音源のみを使ったセットを披露するとのこと。詳細は下記より。

Daichi Yamamoto - ele-king

 今年3月にリリースされた“上海バンド”が業界内でも大きな話題を呼び、さらに日本のヒップホップ・シーンでいま、注目を浴びている若手のアーティストにスポットを当てた Red Bull の映像シリーズ「RASEN」の第2弾に釈迦坊主、dodo、Tohji らと共に出演した際には、“上海バンド”のイメージとはまた異なる、アグレッシヴな一面も披露した Daichi Yamamoto。京都の老舗クラブ、METRO のオーナーである父とジャマイカ人の母を持ち、アートを学ぶために留学したロンドンの大学在学中に SoundCloud で発表した音源が国内のアーティストの間でも話題となり、日本への帰国後すぐに〈Jazzy Sport〉と契約を結ぶなど、彼自身のバックグランドから様々な動きを含めて全てがフレッシュだ。昨年にはピアニスト/ビートメイカーの Aaron Chulai とのコラボレーションによるアルバム『WINDOW』をリリースし、そして待望のファースト・ソロ・アルバムとして発表されたのが本作『Andless』である。

 サウダージ感すら漂う“上海バンド” (SHIMI がプロデュースを手がけたトラックも最高!)を前提にこのアルバムを聴くと、良い意味で裏切られるだろう。Daichi Yamamoto 本人が自らトラックも手がけるトラックに加えて、渡英中からすでに交流のあった jjjKojoe、さらに VaVa、KM、grooveman SpotTaquwami、okadada など最先端かつヴァラエティに富んだメンツがプロデューサーとして参加し、アルバム一枚の中での各曲の振れ幅は実にワイドだ。聴き心地の良いラップ・チューンからハードなトラップまで余裕で乗りこなしたかと思えば、突然、ディアンジェロ“Brown Sugar”のフレーズが飛び出してきたり、さらにダブステップなどの4つ打ちからエレクトロニカなども自由自在に操り、そして当然のようにラップも歌もボーダーレスにビートやメロディに見事にハメていく。ソロでのファースト・アルバムということもあり、自身のショウケース的な意図もあるのであろうが、幅広い見せ方をしている一方で、しっかりとひとつの線が作品全体に貫かれていて、喜怒哀楽を豊かに表現するひとつひとつの言葉も含めて、常に一定の温度が保たれている。この全体の統一された空気感には、Daichi Yamamoto 個人のパーソナリティがダイレクトに反映されているのはもちろんだろうが、さらに彼が現在も住む京都という街からの影響であったり、または現在のホームである〈Jazzy Sport〉という場が作り出している部分もあるに違いない。

 才能溢れる若いアーティストが多数出てきている現在の日本のヒップホップ・シーンであるが、そんな中でも音楽性も含めて、Daichi Yamamoto の持つ独特の雰囲気は他に類がないように思う。もしかしたら、彼のようなアーティストが日本代表として世界で活躍したりするのでは? と、そんな未来を想像させてくれるようなアルバムだ。


クライマックス - ele-king

 なにもフィリップ・ズダールが亡くなった年に、フレンチ・タッチの思い出をここまでボロボロにしなくてもいいだろうに。フランスからディスコ・リヴァイヴァルが巻き起こった1996年、新聞の片隅に出ていたという事件を「大幅に脚色して」映画化したギャスパー・ノエ。それはフレンチ・タッチのダークサイドを描き出すとともにクラブとドラッグの関係を最悪なものにし、人々の足をアシッド・ハウスから遠ざけるだけでなく、クラブに行ったことのない人々の誇大妄想をマックスまで掻き立てることになりかねない。まったくノエの作品はいつも誰を観客として想定しているのかわからず、それでも観ている自分(の存在)に気づいてしまうというオチに辿りつく。片棒を担ぐのはダフト・パンクのトマ・バンガルター。ノエとはこれで3度目のタッグ。1996年にはまだデビュー・アルバムはリリースしていない。

 オープニングは雪の中を這って進む女性。白い雪には鮮血の跡が残り、何か凄惨なことが起きたことを想像させる。ゲイリー・ニューマンによる「Gymnopedies」のカヴァーが飄々と流れるなか画面はそのままエンドロールに突入。最初に流れる時はエンドロールとは言わないのかな。続いてオーディションの様子を収めたヴィデオのダイジェスト。練習室に集められた22人のバレエ・ダンサーが思い思いに抱負を語り、公演に対する意欲を語る。質問は人によってあまりにまちまちだけれど、ごく数名を除いて多くのダンサーがドラッグはやったことがないとコメントし、反対にベルリンから来たプシケは「ベルリンはドラッグが過剰過ぎて、それがいやでフランスに来た」というようなことを語る。面接が行われている部屋には「おたく語り」を挑発するかのようにホラー・ヴィデオやホラー小説が積み上げられ、ひと言でいえばいやな予感は倍増。セルヴァを演じるソフィア・ブテラ以外、ほとんどは本物のダンサーで、面接の様子を見る限り、なるほど彼らはカメラ慣れしていない。続いてクレジットの連打。

 場面変わってクリス・カーター“Solidit”に合わせて通し稽古。内容的にはバレエとストリート・ダンスの折衷で、22人のフォーメイションはばっちり決まっている。あとの方で「3日でよく仕上げた」というセリフが聞かれるけれど、実際にもそれぐらいで完成させたものらしい。そのまま場所を変えずに打ち上げパーティへ。1977年のセローン“Supernature”を皮切りに緊張感の溶けた面々がお互いに相手のダンスを褒め合い、思い思いに好きなことをやり始める。曲が進んでM/A/R/R/S.“Pump Up The Volume”が聴こえてきた辺りから様子がおかしくなり、スタティックな視線はそこから2度と回復しない。酩酊するようにゆっくりとカメラが旋回し始め、遠心力に引っ張られるような感覚が強くなる。ドラッグが効いてきたのだろう。しかし、この映画にはドラッグを摂取するシーンはなかった。子連れのエマニュエルはティトを寝かしつけ、ほとんどのダンサーは話し込んでいる。なかでは黒人たちの野卑な会話が際立っている。バックではドップラーエフェクトのデビューEP「Fascist State」から“Superior Race(優生種)”が低く鳴りわたる。そこに「パーティしようぜ!」と大きな声が響く。

 この映画のためにつくられたDJダディ役のキディ・スマイルとトマ・バンガルターの新曲に合わせてダンサーたちは円陣をつくってひとりずつダンスを披露する。これを真上から撮り続けるシークエンスが面白く、ブレイクダンスなどで床に体を倒すなど横に広がる体の動きはかなり誇張されて感じられ、同時に一定の位置で踊るダンサーには個のスペースがあり、ここまでは人と人の間には距離があることが印象づけられる。これが少しずつ、その間合いを崩す取り巻きが現れ始め、全員でその場をつくり上げているという緊張感が失われていく。同時にグッド・トリップが崩壊し始め、他人がどんどん個の領域に侵入してくる。男は女を口説き、女はコカインを欲しがり、誰かが「アメリカ人たちをぶっ殺すぞ!」と叫ぶ。レイヴ・クラシックのニーオン“Voices”が鳴り渡る頃にはカメラが揺れ、照明も薄暗くなり、距離感もあやふやで、音もどこから聞こえてくるのか不明瞭に。わかっていない人が見ると撮影が下手くそになったとしか観えないだろう。

 セルヴァが最初にバッド・トリップに飲み込まれていく。自我を崩壊させることに彼女は少し臆病なようで、ありったけの不安感を増大させ、(以下、ネタばれ)赤ワインに果物を漬け込んだサングリアと呼ばれる飲み物に「誰かがLSDを混入した」とまくし立てる。その声に扇動されて全員が寄ってたかってアラブ人のオマーを外に追い出してしまう。戸外は吹雪である。ここからはもうバッド・トリップの連鎖で、思いつく限りの悪いことが次から次へと起き始める。黒人たちはことさらに暴力的になり、ダフト・パンクが当時リリースした“Rollin’ & Scratchin’”がかかる頃にはもはや悪夢といっていい事態にはまり込んでいる。どういうわけか1996年から数えて3年後の未来にリリースされるエイフェックス・ツイン“Windowlicker”が鳴り響くなか、ルーの話を聞くセルヴァが意識を集中させようとしても叶わず、壁に手を当てて自我を保とうとするシーンはベスト・ショットではないだろうか。表面的には地味だけれど、彼女はもはやバキバキである。ドムがルーに殴りかかる頃、セルヴァは冷静になることを諦めて廊下へ出て激しく踊り始める。というかLSDがキマっている人たちに時間の連続性はなく、彼らのやっていることにもはや整合性はない。そして、最もドラッグを楽しんでいるのがプシケで、ワイルド・プラネット“Electron”で彼女が恍惚と踊っている様子は、最後まで観た人に思い出し笑いを誘発する場面として記憶されることになる。すべてが終わると「生きることは集団的不可能性」という文字がドカンと映し出され、それが監督の言いたいことなのかと思っていると、やがて人種差別や暴力など「集団的不可能性」を増長させたのはプシケだったとわかる場面に続くからである。本作はプシケの目のアップで終わる。そこに流れているのはコージー・ファニ・トゥッティ“Mad”を CoH がカヴァーしたヴァージョンである。いくらなんでも皮肉が効きすぎている。

「これでも人間が好きか? これでも?」と、どの作品を観てもギャスパー・ノエは語りかけてくる。どれだけ人間の嫌な面を見せられれば人間に期待しなくなるのか。性善説を支持する人にギャスパー・ノエは鬼のような存在でしかない。しかし、人間がここまでヒドいものだとしても、それでも自分は人間を愛せるとノエは言い放つに違いない。羊のようにおとなしく品行方正なだけの人間たちは論外だとしても、アヴァンギャルドであることが権威主義の代名詞にしかならない人ばかりの世界がどれだけ退屈な場所なのか。ノエがドナルド・トランプの支持層=右派の労働者をテーマにした『カノン』を撮ったのは1998年と圧倒的に早く、見たくないものを見せる彼の流儀はある意味、予見的な意味も多分に含んでいる。延々と続く強姦シーンを映し出した『アレックス』(02)、「死者の書」をモチーフにしながら表面的には歌舞伎町のドラッグ・ディーラーが便器に沈められる『エンター・ザ・ボイド』(10)、性愛の境界線が揺らいでいく『ラヴ 3D』(15)と、人類の(過去の)理想をことごとく打ち砕くギャスパー・ノエが『クライマックス』で描き出したものは、人類はどうやら仲良くなれないということのようである。人種どころか友情さえもズタズタにしてしまう人間のクズがときに芸術を生み出し、この世界に奇妙な光明をもたらす。『マッド・マックス 怒りのデスロード』(15)や『ハイ・ライズ』(16)を追って、ここにJ・G・バラードの哲学が継承・発展していく。
 
                                     
『CLIMAX クライマックス』日本版予告


interview with Hot Chip - ele-king

 クラブ・ミュージック以降の感覚を取り入れたポップ~ロックを奏でるバンドとして、00年代半ばという「あの時代」に、ホット・チップもまた登場してきた。〈Moshi Moshi〉からのファーストこそ気だるさ漂うロウファイ・ポップだったけれど、彼らのイメージを決定づけたのはやはり、〈DFA〉およびメジャーとの契約を経て放たれたセカンドのほうだろう。当時の80年代リヴァイヴァルやいわゆるニュー・レイヴとも共振した同作以後、ダンサブルなシンセポップ・バンドとして着実に歩を進めてきた彼らは、チャールズ・ヘイワードとのコラボや〈Domino〉への移籍などを経験しながら、いまやUKの大御所バンドの一角を占めるまでに成長を遂げている。
 この夏4年ぶりとなるアルバムをリリースした彼らは、めずらしく外部からハウ・トゥ・ドレス・ウェルジ・エックスエックスサンファなどのプロデュースで知られるロデイド・マクドナルド(DRCミュージックにも参加)と、最近ではカインドネスのミックスを手がけていた故フィリップ・ズダールのふたりをプロデューサーとして招いている。はたして冒険は功を奏し、『A Bath Full Of Ecstacy』はこれまでとは異なる音響を聴かせつつも、従来以上にキャッチーなダンス・ポップを追及している。その新作について、初の単独来日公演のため赤坂BLITZを訪れていたフロントマン、アレクシス・テイラーに話を伺った。


世界というものはときにすごく重荷に感じてしまうことがある。でもそのなかで音楽や愛を分けあえば、互いにつながりあえるし少し心が安らぐ……でもだからと言ってオール・オッケーって意味でもないんだよ。

“Melody Of Love”という曲は、トランプやブレグジットにたいする幻滅がインスピレイションになっているそうですね。いまイギリスの情況はどうなっているんでしょう?

アレクシス・テイラー(Alexis Taylor、以下AT):ブレグジットにかんする政治的な決断がいろいろ遅れていて、たくさんの混乱が起きてる感じだと思うんだよね。僕含め、人びとはこれから何が起きるのかまったくわからない状況なんだ。僕自身や、僕の周りの人間はブレグジットの投票結果に怒りを感じているよ。怒りを感じていると同時に、投票で決まったということの事実も受け止めなければならない。国にとっては悲惨な結果だし、ここからさらにひどくなっていくと思うよ。ボリス・ジョンソンも僕から見たらぜんぜんやり遂げられてないし。僕は政治のエキスパートではないけど、いまの状況には混乱してるし怒りも感じているしすごく憂鬱な気持ちなんだ。こういう気持ちでいるのは僕だけではないと思う。政治的な部分だけではなく、環境問題にたいする先見性の欠如に対して、僕含め大勢の人たちは不安を抱えている。なんの変わりもなく、気にも止めずに生きられる人もいるけど、ほんとんどの人は未来に不安を抱えているんだ。もうすでに景気後退によって人生が良くない方向に変わってしまっている人もたくさんいる。その原因はアメリカだとトランプが国民を守っていないからで、UKでも似た状況だと思うんだ。さっきも言ったように僕は政治のエキスパートじゃないし、曖昧なことは言いたくないんだけど、保守主義で右寄りの人が力を持っていて、自分勝手な決断ばかり下しているのを見るのは腹立たしいね。でも僕らのこの曲は、政治のことを具体的に伝えようとしているわけではないんだよね。憂鬱な気持ちや、信義のない気持ちを歌っているんだ。世界というものはときにすごく重荷に感じてしまうことがある。でもそのなかで音楽や愛を分けあえば、互いにつながりあえるし少し心が安らぐ……でもだからと言ってオール・オッケーって意味でもないんだよ。苦しい気持ちと互いをつなぎあわせてくれるポジティヴなもののあいだにあるテンション感をあらわしている曲なんだ。

離脱を嘆いているのは金持ちだという話もありますし、一概にどちらがいいとも言えない情況のようにも見えます。“Positive”はホームレスや苦境に陥っている人たちについての歌だそうですが……

AT:“Positive”はおもにホームレスについて歌っている曲というわけではないんだ。薬物依存によって壊れていく人間関係とか、依存症を患っている人の知覚的なものをテーマにしてる曲でね。薬物依存はその人自身の問題であるという世間一般の考え方と、依存者に背を向ける社会。すごく複雑な問題だね。“Positive”は、空想のカップルにのしかかってくる、精神病や薬物中毒が原因のネガティヴな圧力について歌っているんだ。「ポジティヴ」って言葉はダブルミーニングとして使ってるんだよね。ひとつは、確信的な意味。たとえば人に「確実にそうなのか?」「絶対に?」って聞くときみたいな感じで、もうひとつは「陽性」って意味。「精神病の診断の結果は陽性だったの?」みたいな感じだね。僕が書いたリリックにはそういう意味が込められてるんだ。ふたりの人間のあいだにある愛や、どっちかが薬物依存症だった場合の苦悩やストレス、その状態が続くとすべてを失い最終的にはホームレスになってしまう、っていうようなことを歌ってるんだよね。サビのリリックはジョー(・ゴッダード)が書いてるんだけど、彼のリリックは僕のリリックとは逆で、曲のポジティヴでアップビートな要素を歌っているんだ。このふたつのムードの葛藤を表現している曲なんだよね。UKでもホームレスの状況というのは、拡大し続けている大きな問題で、自分自身はこの問題を良くするためにどうすればいいのかわからないけど、チャリティに寄付をしたりするのがいちばん効果があるのかなとは思っている。僕はそういうホームレスの方たちに直接お金を渡したり、話をしたりしているんだ。自分のなかで解決策は見つかってないんだけど、でもこの問題についてはよく考えてるよ。UKでも拡大し続けてるし、アメリカでも拡大し続けてる問題だからね。この曲は自分が体験していなくても、苦しい状況に置かれている人にたいする思いやりやコンパッションを持つことのたいせつさを表現してるんじゃないかな。

今年はデイヴの『Psychodrama』がマーキュリー・プライズをとりましたけど、聴いています?

AT:賞をとったのは知ってるけど、聴いたことはないんだよね。聴いた? いいアルバム?

鬱からの恢復がテーマなんですが、鬱は日本では社会ではなく個人の問題とみなされることが多いので、いまの薬物依存の話とつながるかなと思いまして。

AT:僕はただ自分や自分のまわりの人の経験からインスパイアされてつくっただけなんだ。僕は赤の他人の経験をもとに曲を書くことができない。だから友だちや自分の近くにいる人たちが経験したり、見てるものを曲にしているんだよね。

難しい問題に気づくと同時に喜びにも気づく──人びととの強いつながりを信じるっていうテーマが大きく含まれてるんだ。

今回のアルバムは“No God”と題された曲で終わりますね。このアルバムに救いはあると思いますか?

AT:もちろん。“No God”はじつはすごくポジティヴな曲なんだ。誰かをたいせつに思っているという曲でね。歌詞ではたくさんのものをリストアップしているんだけど、そのリストがどんなに長くても、その人にたいする気持ちには届かない、っていう内容の曲なんだ。僕の君にたいする愛はこれらには比べものにならないほど大きいんだよ、って歌ってるすごくポジティヴな曲で、だから「神さまはいない」とか歌ってる暗い曲じゃないんだよ。タイトルがミスリーディングだから、「神さまがいない」って歌ってる曲なんじゃないかって思われがちなんだけど、そうじゃないんだよね。神さまが存在しているって思える気持ち以上の気持ちを君にたいして感じる、っていう純粋なラヴ・ソングなんだ。センティメンタルでちょっとクサい曲だなとも思うんだけど、いちばん最初のリリックをタイトルにしているんだけど、それがよりテーマを強調してるんじゃないかなと思う。
 ジョーがタイトルをつけた“Bath Full Of Ecstasy”もそうなんだよね。「私たちのエクスタシーの中で楽しんでいきなよ」っていう意味の言葉で、ラヴ・ソングなんだけど、「A Bath Full Of Ecstacy」だったら意味が変わってしまう、ミスリーディングなタイトルなんだ。“No God”もタイトルをジョーに伝えたら気に入ってくれた。ちょっと違うスピンを与えてくれるんだよね。タイトルだけみると、じっさいはそういう意味ではないのに、“Bath Full Of Ecstacy”はドラッグの曲のように思われるし、“No God”も反宗教主義っぽい曲だと勘ちがいされる。このアルバムは深刻な問題も歌ってるけど、基本的には希望を歌ってるポジティヴなアルバムだと思うね。“Bath Full Of Ecstasy”、“Spell”、“Echo”、“Melody Of Love”、“Clear Blue Skies”はぜんぶポジティヴな曲だと思うんだ。ネガティヴな内容の“Positive”でも、サビには、精神を昂めなきゃっていうポジティヴなメッセージが含まれている。難しい問題に気づくと同時に喜びにも気づく──人びととの強いつながりを信じるっていうテーマが大きく含まれてるんだ。

全体的にかつてなくダンサブルな曲が多いように感じたのですが、それはプロデューサーのロデイド・マクドナルド、または先日亡くなったフィリップ・ズダールの功績ですか?

AT:このアルバムのデモをつくったのはふたりに出会う前だったから、ダンサブルな要素はもともとあったんだよね。でもマクドナルドが“Melody Of Love”を聴いたときに、「これは10分あるクラブ・トラックじゃなくてポップ・ソング」だって言って、かなり編集してくれたよ。“Bath Full Of Ecstacy”も現代風にプロデュースしてくれたし、“Hungry Child”はふたりとも力を合わせてくれて、ダンスフロアで映える曲に仕上げる協力をしてくれた。あと、いままで出してきたアルバムにはかならずバラードが入っていたんだけど、今回は初めてバラードが1曲もないアルバムだから、それもダンサブルに聞こえた理由のひとつかもしれないね。“Why Does My Mind”はダンス・トラックじゃないけど、テンポが落ちないから、最初から最後まで同じダンサブルなグルーヴが続くような作品になってる。僕的には“Clear Blue Skies”なんかはやさしめの曲だと思う。クラブっぽいとは思わないね。逆に“Bath Full Of Ecstacy”はバラードっぽいけど、クラブで流れても成立する曲だと思う。ダイナミクスが変わらないようフィルターにかけて制作したけど、とくによりクラブっぽいアルバムに仕上げようと思ってつくったわけではないよ。

これまでホット・チップはかなり多くのリミックス・ワークをこなしていますが、もっとも印象に残っているのは?

AT:ジョーは最近リゾ(Lizzo)の“Juice”をリミックスしていたね。僕は参加してないんだけど、エキサイティングですごくいいリミックスだなって思った。リミックス本来の、あるべき姿に仕上がってるなって感じだよ。もとの曲をしっかり呼吸させつつ、ダンスフロアでも生かすと言ったらいいかな。僕自身はロバート・ワイアットと、クラフトワークのリミックスをやったときのことがすごく印象に残ってるね。僕らが若いころから聴いてきた音楽をやってきた面々だったから、すごく特別なものだった。あと、僕の大好きな日本のバンド、マヘル・シャラル・ハシュ・バズに自分たちの“Look At Where We Are”って曲をリミックスしてもらったときのことも印象に残ってるね。リミックスというよりカヴァーみたいな感じだったけど、すごくよかったんだ。僕らの歌詞を日本語で歌ってくれていて新鮮だったよ。リミックスっていうのはいい意味で誰かに、曲に変化を加えてもらえる機会なんじゃないかな。

今後リミックスしたくないアーティストはいますか?

AT:たしかに、好きじゃないなと思う音楽はたくさんあるよ。まずヴォーカルの声じたいが好きじゃなければリミックスはしたくないんだ。僕はどっちかというと、嫌いな音楽には集中したくないから、まず聴かないかな。自分の好きな音楽だけを集中して聴いていたいからね。

Daniel Lopatin - ele-king

 まもなく《WXAXRXP DJS》での来日を控えるワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンが、新たなサウンドトラックをリリースする。2年前の『グッド・タイム』に続いて、今回もサフディ兄弟監督による映画の劇伴だが(原題『Uncut Gems』)、名義が OPN から本名へと変わっているのには何か意図があるのだろうか。
 映画の製作総指揮はマーティン・スコセッシで、主演はアダム・サンドラー、さらに作中ではザ・ウィークエンド(The Weeknd)がサックスを吹いていたり(予告編にも登場)、トラヴィス・スコットまで参加している模様。全米では12月13日に公開され、それ以外の地域では2020年1月に Netflix での配信が予定されている。
 なお、サントラのコントリビューター一覧にはイーライ・ケスラーゲイトキーパーの名も挙がっており、音楽のほうも注目すべきポイントが多そうだ。リリースは映画の公開とおなじ12月13日。

DANIEL LOPATIN

アダム・サンドラー主演、サフディ兄弟監督の話題作
『UNCUT GEMS』の音楽をOPNことダニエル・ロパティンが担当
12月13日にサウンドトラック・アルバムのリリースが決定

ダニエル・ロパティンが新たに手がけたサウンドトラック・アルバム『Uncut Gems - Original Motion Picture Soundtrack』が12月13日にリリースされることが発表された。ハリウッド俳優アダム・サンドラーが主演を務め、NBAの元スター選手であるケビン・ガーネットや、ザ・ウィークエンドが本人役で出演するクライムサスペンス映画『Uncut Gems (原題)』は、ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟が監督を務め、新進気鋭の映画スタジオA24の配給で2020年1月に Netflix にて公開が予定されている。

Uncut Gems | Official Trailer HD | A24
https://youtu.be/vTfJp2Ts9X8

今週いよいよ開催を迎える〈WARP RECORDS〉30周年記念イベント《WXAXRXP DJS》にも出演するワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンとサフディ兄弟がタッグを組むのは、2017年公開のロバート・パティンソン主演映画『グッド・タイム』に続き、今回が2度目となる。『グッド・タイム』では、カンヌ・サウンドトラック賞やハリウッドメディア音楽賞を受賞したことでも大きな話題となった。ダニエル・ロパティンは、これまでにもソフィア・コッポラ監督映画『ブリングリング』(2013)やヴァンサン・カッセル主演映画『Partisan (原題)』(2015)の映画音楽を手がけている。

ダニエル・ロパティンが手がけた音楽が、映画のクライマックスの緊張感をさらに高め、また幻想的な要素も加えていることよって、強迫観念や神経の高ぶりが生むエネルギーが映画を包み込んでいる。 ──Little White Lies

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンの類いまれなるパーカッシヴなサウンドトラックが、次々と巻き起こる展開を圧倒する ──IndieWire

エレクトロニカとオペラを融合したダニエル・ロパティンによる不穏な音楽は、見る者の血圧を上昇させ続けながら、サフディ兄弟の生み出す奇妙なマジックに多大なる貢献をしている。 ──Thrillist

Uncut Gems (原題)
監督:ジョシュア・サフディ&ベニー・サフディ
脚本:ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ、ロナルド・ブロンスタイン
製作:スコット・ルーディン、イーライ・ブッシュ、セバスチャン・ベア・マクラード
出演:アダム・サンドラー、キース・スタンフィールド、ジュリア・フォックス、ケビン・ガーネット、イディナ・メンゼル、エリック・ボゴシアン、ジャド・ハーシュ
音楽:ダニエル・ロパティン
公開:2020年1月予定

ダニエル・ロパティンによるサウンドトラック・アルバム『Uncut Gems - Original Motion Picture Soundtrack』は、12月13日(金)に世界同時リリース。国内盤CDには解説書が封入される。

label: BEAT RECORDS / WARP RECORDS
artist: Daniel Lopatin
title: Uncut Gems Original Motion Picture Soundtrack
release date: 2019/12/13 FRI ON SALE

国内盤CD
BRC-625 (解説書封入) ¥2,200+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10630
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZR5G8DL

TRACKLISTING
01. The Ballad Of Howie Bling
02. Pure Elation
03. Followed
04. The Bet Hits
05. High Life
06. No Vacation
07. School Play
08. Fuck You Howard
09. Smoothie
10. Back To Roslyn
11. The Fountain
12. Powerade
13. Windows
14. Buzz Me Out
15. The Blade
16. Mohegan Suite
17. Uncut Gems

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