「Ord」と一致するもの

tofubeats - ele-king

 『書を捨てよ、町へ出よう』のKindle版をamazonで買ってみたのは、そのときに書いていた原稿で、とある1行を引用しようと本棚を探したのだが見当たらず、そうか、先日、BOOK OFFが引き取っていった大量の本のなかに紛れ込んでしまっていたのかもしれないと思い当たったためだった。それにしても、書を買うのにも、書を捨てるのにも、家を出なくていい時代に、街へ出る理由などあるのだろうか。というか、そこには、わざわざ出ていくに値する魅力などあるのだろうか。そういえば、何をするでもなく街をぶらつくということがめっきりなくなってしまった。最近は、もっぱら、家から目的地へ、それこそ、ハイパー・リンクのように移動するだけだ。または、歩いていても、街並よりスマート・フォンの画面を眺めている時間のほうが長いかもしれない。そんなことを考えながら、ふと、iTunesを立ち上げ、約40年前の楽曲と2012年の楽曲を続けて再生してみた。たとえば、そこで歌われている街と人の関係にも変化があるのではないか。

 「七色の黄昏降りて来て/風はなんだか涼しげ/土曜日の夜はにぎやか」。アイズレー・ブラザーズの"イフ・ユー・ワー・ゼアー"を下敷きにした軽やかなファンクの上、22歳の山下達郎がみずみずしい声で歌っている。「街角は いつでも 人いきれ/それでも陽気なこの街/いつでもおめかししてるよ/暗い気持ちさえ/すぐに晴れて/みんなうきうき/DOWN TOWNへ くりだそう」。先日、『CDジャーナル』誌で、ライターの松永良平と対談した際、このシュガー・ベイブの楽曲"DOWN TOWN"(75年)についての話になった。それは、「あたらしいシティ・ ポップ」と題した特集記事のひとつで、テーマは、2012年、山下達郎や松任谷由実のベスト・アルバムが売れる一方、インディ・ポップにおいても、"シティ・ポップ"が裏のモードと言っていいような様相を呈していた理由を探ることにあった。

 たとえば、かせきさいだぁはその名も『ミスターシティポップ』というアルバムをリリースしている。彼はすでに長いキャリアを持っているが、シティ・ポップをキャッチ・コピーに掲げ、山下達郎そっくりの歌声を聴かせる83年生まれのジャンク・フジヤマも話題になったし、一十三十一の5年振りのオリジナル・フルレンス『CITY DIVE』のブックレットでは、プロデューサーのクニモンド瀧口が、制作の発端を、彼女の「ルーツでもあるシティ・ポップなアルバムを制作しようという話にな」ったことだと語っている。また、そこで話し相手を務めている、「シティ・ポップスをリアルタイムで聴いて来た」マンガ家の江口寿史は、「これはシティ・ポップスの金字塔アルバムですよ!」と太鼓判を押す。しかし、ふたりは、山下達郎や荒井由美、大貫妙子、吉田美奈子、佐藤博といった名前を挙げながら、同ジャンルについて語る内に、むしろ、その定義の曖昧さを明らかにしていく。「今、いろんな人が選曲したシティ・ポップスのコンピレーション出てるじゃないですか? 僕からすると"これ、ちょっとシティ・ポップスじゃないんじゃないか?"ってのもあって。その人にとってはシティ・ポップっていうか。それぞれ幅広いよね(笑)。"これ!"と言えない何かがあって」(江口)。......はたして、"シティ・ポップ"という言葉は何を指しているのだろう?

 たとえば、木村ユタカ編著『JAPANESE CITY POP』(02年)には、70年代から現在にかけて発表された、計514枚のアルバムが載っているものの、その音楽性は、ロック、フォーク、フュージョン、ディスコ、ブラック・コンテンポラリーと、じつに様々で、決してひと括りにできない。また、"洋楽"をいかに翻訳するかは、明治以降、日本のポピュラー音楽が取り組み続けてきた課題であって、この期間だけの特徴でもない。ただし、同書のディスクガイドがはっぴいえんどのファースト=通称『ゆでめん』(70年)ではじまり、小西康陽、曽我部恵一、スピッツ、ジム・オルークfeat.オリジナル・ラヴ、くるり等が参加したトリビュート・アルバム『Happy End Parade』(02年)で終わるように、そこには、"はっぴいえんど史観"とでも言うべき、明確な基準がある。じつは、同時代的には、"シティ・ボーイ"に比べて、"シティ・ポップ"という言葉は、あまり一般的でなかった。DJ/選曲家の二見裕志が細野晴臣、鈴木茂、大貫妙子等のリリースで知られる〈パナム・レーベル〉のディスコグラフィーからセレクトしたコンピレーション『キャラメル・パパ~PANAMU SOUL IN TOKYO』(96年)の、二見自身によるライナーになると、はっきりと、その音楽性が"シティ・ポップ"と名指されているが、それは、90年代半ば以降、レア・グルーヴの延長ではっぴいえんどからシュガー・ベイブへと続く系譜が掘り返され、歴史化されるなかで(再)浮上したタームだと言えるのではないか。

 一方、シティ・ポップと同時代の音楽を指す言葉に、"ニュー・ミュージック"があって、そちらは広く使われていた。音楽評論家・富沢一誠の著作『ニューミュージックの衝撃』(79年)は、アメリカのコンテンポラリー・フォークをスノッブな若者たちがカヴァーし、そこから、〈フォー・ライフ・レコード〉(井上陽水、吉田拓郎、泉谷しげる、小室等)に代表される、オーヴァーグラウンドなムーヴメントが生まれるまでを追ったルポルタージュだ。あるいは、それは、大瀧詠一が"分母分子論"で批判した、日本のポップ・ミュージックがガラパゴス化する過程だった。実際、同著には、荒井由美が登場するものの、彼女のバックを務め、当時の歌謡曲における洋楽的なセンスを担っていたティン・パン・アレー――言うまでもなく、はっぴいえんどから分派したバンドー――は重視されていない。そんなニュー・ミュージックから現在のJ-POPまでがひと続きと考えると、対するオルタナティヴを、ニュー・ウェーヴとはまた違う文脈で提示する際に、"シティ・ポップ"という歴史がつくられたという側面もあるのかもしれない。

 とは言え、『JAPANESE CITY POP』の続編である『クロニクル・シリーズ~JAPANESE CITY POP』(06年)には、『ヤング・ギター』誌77年2月号の「シティ・ミュージックって何?」という記事が再録されている。「"シティ・ミュージックってどんな音楽なんですか?"と訊かれても困ってしまう」とはじまる同文は、「何なら試しにシティ・ミュージックを定義してみようか?――都会的フィーリングを持ったニュー・ミュージックかな」と、シティ・ミュージックなるものとニュー・ミュージックを区別した後、76年に発表された代表的作品として、南桂孝『忘れられた夏』、山下達郎『サーカス・タウン』、大貫妙子『グレイ・スカイズ』、荒井由美『14番目の月』、吉田美奈子『フラッパー』、矢野顕子『ジャパニーズ・ガール』を挙げているのだから、当時、"シティ・ポップ"という言葉が一般的でなかったとしても、同様の価値観はあったのがわかる。

 ちなみに、前述のクニモンド瀧口は、「僕は敢えて、シティ・ポップと言いたくない派なんです」「本当はシティ・ミュージックって言いたいんですけど」と発言(『CITY DIVE』ライナーより)し、松任谷由実『流線形80'』(78年)からバンド・ネームを引用した自身のユニット"流線形"のファースト・EPにも『シティ・ミュージック』(03年)と名付けている筋金入りだ。『CITY DIVE』のジャケットにしても、松任谷由実『VOYAGER』(83年)へのオマージュなのではないか? グランド・マスター・フラッシュは"ザ・メッセージ"(82年)で都市をジャングルに見立て、サヴァイヴするべき場所として歌ったが、同年代に発表された『VOYAGER』では、都市はリゾートのプールに見立てられ、彼女はそこを優雅に泳いでいる。そして、それこそは、80年代におけるシティ・ポップの核となっていく思想であった。

 はっぴいえんどがシティ・ポップの起源とされるのは、結成当初のコンセプトが、バッファロー・スプリングフィールドのサウンドに日本語の音韻を乗せることだったように、グローバルでソフィスティケイテッドな音楽性を志していただけでなく、何よりも彼等の歌が、シティ=都市に対する批評性を持っていたためだろう。ただし、『ゆでめん』で描かれる都市は、いわゆる"シティ・ポップ"という言葉からイメージされるようなきらびやかなものではない。アルバムは、故郷を捨て、都会で孤独感に苛まれる若者が、なんとか自分を奮い立たせる"春よ来い"ではじまる。作詞を手掛ける松本隆の、「あやか市 おそろ市や わび市では/ないのです ぼくらのげんじゅうしょは/ひとご都 なのです」("あやか市の動物園")や、「古惚け黄蝕んだ心は 汚れた雪のうえに/落ちて 道の橋の塵と混じる」「都市に降る雪なんか 汚れて当り前/という そんな馬鹿な 誰が汚した」("しんしんしん")といった言葉から読み取れるのは、むしろ、近代都市批判である。

 続くセカンド・アルバム『風街ろまん』(71年)における松本の歌詞は、前作に比べて淡々とした情景描写が多く、一見、レイドバックしたフォーク・ロックに向かったサウンドに合わせて、丸くなったように思える。しかし、"風をあつめて"で、何の変哲もない街並の上を路面電車が飛んで行くシーンが象徴するのは、リアリズムではなく、サイケデリックだ。彼は、『ゆでめん』の延長で、現実の都市と対峙するのではなく、架空の都市を夢想することを選んだのだ。

 松本は1949年、東京都港区の青山地域に生まれている。彼のリリシズムの奥深くで疼いているのは、少年時代に始まった東京オリンピックに伴う都市開発で馴染の風景を奪われたことによる喪失感であり、創作行為こそがそれを癒したのだという。

 「ぼくは幼少時代を証明する一切の手がかりを喪失してしまったわけだ。そこには一本の木も、ひとかけらの石も残っていない。薄汚れたセンター・ラインが横たわっていただけだった。」

 「その時、ぼくは見知らぬ街をその都市に見出した。ぼくの知っている街はアスファルトとコンクリートの下に塗りこめられてしまっていた。ぼくはそのことを無為に悲しんだわけではない。だが、ロマンもドラマも特にない戦後世代の永遠に退屈な日常のなかで、そのような幼児体験の記憶まで都市に蝕まれるのが嫌だったわけだ。」

 「ぼくは視る行為に全てを費やした。何も見逃さないこと、街の作るどんな表情も擬っと視つめることによって、ぼくは自分のパノラマ、街によって消去されたぼくの記憶と寸分狂いない〈街〉を何かの上に投影すること、それが行為の指標になったのだ。スクリーンは何でもよかった。眼球の網膜でも、レコード盤の暗い闇の上でも、原稿用紙の無愛想なますめでも。ぼくはそれらのどれにでも、〈もうひとつの街〉である〈風街〉を描こうとした。」

松本隆『微熱少年』(75年)収録、「なぜ(風街)なのか」より

 言わば、シティ・ポップとは、現実の都市に居ながら、架空の都市を夢見る音楽である。はっぴいえんどの場合、それは、前述した通り、近代都市批判を目的としており、『風街ろまん』に収められた"はいからはくち"にしても、シティ・ボーイを揶揄したものだが、しかし、『書を捨てよ、町へ出よう』(67年)で書かれているように、そこは、彼等を家父長制の抑圧から解放してくれる場所でもあったはずだ。そして、同ジャンルも、シュガーベイブの"DOWN TOWN"を転機に、現実の都市をより発展させたものとしての、架空の都市を歌っていく。社会学者の北田暁大は、著作『広告都市・東京』(02年)で、73年、西武グループが〈PARCO〉のオープンとともに、区役所通りを"公園通り"と改名、渋谷を"消費のテーマパーク"化していった戦略について分析しているが、シティ・ポップはそのBGMとなったのだ。

 あるいは、はっぴいえんどは、「亜米利加から遠く離れた 空の下で/何が起こるのか 閉ざされた陸のような/こころに 何が起こるのか」(『ゆでめん』収録、"飛べない空"より)という問題提起からはじまり、「さよならアメリカ/さよならニッポン/バイバイ バイバイ/バイバイ バイバイ」(73年のサード『HAPPY END』収録、"さよならアメリカさよならニッポン"より)という別離の言葉で終わる、第2次世界大戦後の日本の対米従属体制に対するアンビヴァレントな思いを歌い続けたバンドでもあった。その点に関しても、シティ・ポップは、荒井由美が在日米軍調布基地を眺める中央自動車道を"中央フリーウェイ"(76年のアルバム『14番目の月』収録)と呼び換えたように、しだいにアメリカへの素朴な憧れを表出していく。文藝評論家の加藤典洋は著作『アメリカの影』(85年)で、田中康夫のベスト・セラー『なんとなく、クリスタル』(81年)の淡白な文章と過剰な情報の裏に、日米関係に対する批評的な視点を読み取った。数多のレコードが登場する同小説において、主人公の恋人はフュージョン・バンドのメンバー兼スタジオ・ミュージシャンとして活動しているものの、シティ・ポップはどこか馬鹿にされている節がある。それは、ソロ・デビュー直後の山下達郎の内省が、フォロワーである角松敏生(81年デビュー)に至ると、すっかりなくなってしまうことを思えば、仕方のないことなのかもしれない。

 昨今のシティ・ポップ・リヴァイヴァルにしても、単なるキッチュやノスタルジアに留まっている作品も多いが、2012年に発表されたもののなかには、同ジャンルを批判的に検証し、音楽的に発展させようという意思を持つ作品がいくつか見受けられた。たとえば、ceroのセカンド『My Lost City』は、ラスト・トラック"わたしのすがた"の歌詞、「シティポップが鳴らすその空虚、/フィクションの在り方を変えてもいいだろ?」が印象的だ。ファースト『WORLD RECORD』(11年)は、ジャケットが、ヴァイナルA面を"City Boy Side"と銘打っている鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ』へのオマージュということもあって、"2010年代版シティ・ポップ"と評された。そして、その発表から数ヶ月後に起こった3.11に、東京という都市が隠蔽し続けてきた問題の露呈を見た彼らは、アルバムに、F・スコット・フィッツジェラルドがニューヨークの虚像を暴いたエッセイ「マイ・ロスト・シティー」(32年)の名を掲げ、都市から生まれた音楽を変えることで、都市そのものを変えようと考えたのだ。

 他にも、前述の一十三十一『CITY DIVE』では、"Rollin' Rollin'"のアレンジを手掛けたDORIAN、PAN PACIFIC PLAYAのカシーフを起用、シティ・ポップとテック・ハウスの融合に成功している。また、ディスコ・ダブ以降のセンスで日本のポップ・ミュージックをディグ/ミックスした『Made in Japan Classics』シリーズ(04年~)で知られるTRAKS BOYSのCRYSTALが、相棒のK404、イルリメこと鴨田潤と組んだ(((さらうんど)))のアルバムでも同様の試みが行われているが、その完成に際して、CRYSTALのブログにアップされたエントリーは、秀逸な現代シティ・ポップ論である。

「『シティポップ』という言葉を聞いてまず思い浮かべるのは、80年代のある種の日本のポップス。欧米のポップ・ミュージックを消化した洗練された音楽性を志向し、歌詞やビジュアルは、豊かな都会生活とそれを前提としたリゾートへの憧れをテーマとすることが多い。」

「でも当たり前だけど、それはあくまで80年代の日本という場所・時代でこそ成り立った表現の傾向だと思う。」

「インターネットにより情報の格差が少なくなって、都会にいなければ得られない情報やモノはなくなったと言ってもいい。経済状況にしても、高度経済成長末期の繁栄を謳歌した当時とは全く違う。」

「そんな今2012年に『シティポップ』と呼ばれるものがあるとしたら、それはどんなものなのか考える。」

「『シティ=街』は、もはや『都会』を意味しない。それは文字通りの意味で、僕たちが息をして暮らす『街』そのものだ。」

「それは僕にとっては自分が住む長野市だし、勿論東京に住んでいる人だったら、それは東京になるだろう。」

「自分が生活する『街』で、どんな風に遊ぶのか。そこでどうやって人と交わって、どんな『文化』をつくっていくのか。」

「何かに憧れるのではなく、地に足つけて自分の周りを面白くしていって、例え稚拙でも、他でもない自分自身の手で『街』をカラフルに塗り替えていくこと。」

「今『シティポップ』と呼ばれるものがあるとしたら、そんな風に『街』を遊んでいる人たちのためのポップスだと思う。」

CRYSTAL"City & Pop 2012"より


 そして、公園通りが生まれて40年が経った。道沿いの〈PARCO PART2〉は、もう随分と長い間、廃墟のまま放置されている。いまの都市が夢の残骸なのだとしたら、そこに、プロジェクションマッピングさながら、架空の都市を投射する音楽。そんな、2012年を代表するシティ・ポップ・ソング――新しい"DOWN TOWN"が、"水星"だ。正確には、トラックメーカーでヴォーカリストのtofubeatsがラッパーのオノマトペ大臣をフィーチャーしてつくった、同曲のデモ・ヴァージョンがsoundcloudにアップされたのは2010年6月のことだった。翌年9月に、まずはヴァイナルでリリース。続いて、2012年6月にiTunesで配信されるやいなや、総合アルバム・チャートで1位を獲得したという事実は、話題が長続きしないと言われるネット時代にあって、この楽曲の普遍性をまずは数字の面から実証してくれる。

 ただし、"水星"は、これまで挙げてきたアーティストとは違って、シティ・ポップというジャンルを意識しているわけではない。トラックにしても、下敷きになっているのは、テイ・トウワが手掛けたKOJI1200の"ブロウ ヤ マインド"(96年)で、ヒップホップ・ソウル・リヴァイヴァルと評したくなるつくりだ。それでも、なぜ、同曲が同ジャンルを引き継ぎ、更新するものだと考えたのかと言えば、まずは、イラストレーターのMEMOが手掛けた、80年代半ばの少年マンガを思わせるジャケットや、リズムステップループスによる、山下達郎がプロデュースした竹内まりや"Plastic Love"(84年)とのマッシュアップ"I'm at ホテルオークラ MIX"のインパクトが強かったというのはある。しかし、それだけではない。

 あるいは、バックグラウンドにしても、tofubeatsは、シティ=都市ではなく、郊外文化の影響が強い。90年、神戸市近郊のニュー・タウンに生まれた彼は、現在は都心寄りに越したようだが、あくまで地方を拠点に活動を続けている。ちょうど、『水星EP』がリリースされた頃だったろうか、過剰規制問題についての書籍『踊ってはいけない国、日本』を編集するにあたって、摘発が相次いでいた関西のクラブ関係者にヒアリングを進めるなかで、tofubeatsにも面会した。その際、印象的だったのは、出身地のニュータウンについて、酒鬼薔薇聖斗も同地に育っており、あのような、一見、清潔な――その実、異物を徹底的に排除する環境では何らかの歪みが起こるのは当然だと語ってくれたことだ。『書を捨てよ、町へ出よう』の時代とは違って、地方でも家父長制は崩壊しているに等しいものの、そこでは、拙編著で社会学者の宮台真司が言ったところの、新住民による同調圧力が力を増している。ましてや、外に逃げようにも、都市は受け皿として機能しなくなっている。

 そんな閉塞的な状況にいた彼にとって、外の世界に通じる窓となったのは、やはり、ネットだった。「音楽やる友達居なかったけど/そんなに困らずに始まった/掲示板に上げてた.mp3 128kbps まだ中2」。konyagatanakaという、ウェブで活動し、実際に顔を見たひとがいないことで有名なプロデューサーのトラックに、盟友のokadadaとラップを乗せたdancinthruthenights名義の"Local Distance Remix"を聴けば、tofubeatsのネットに対する考えがわかる。ただし、「インターネットが縮めた距離を/インターネットが開いてく 今日も/チャットで話してる 時折顔とか忘れてる/なんか踏み切れないし煮え切らない 気持ち都会の人にはわからない/神戸の端から声だしてるけどちょっとログオフしてたら忘れられちゃうでしょ」というラインの悲哀から読み取れるように、彼は、ネット"が"現場なのではなく、ネット"も"現場なのだと言っているのであって、関係の深い〈Maltine Records〉の活動にしても、ネットとリアルの相互作用こそが重視されていることは、パーティのプロダクトや、周辺に立ち上がりつつある、シェア・ハウス等と結びついた新しいライフ・スタイルによく表れている。

 そして、tofubeatsは、ヒップホップのレプリゼントだけでなく、ディギングという価値観を極めて現代的に、日本的に捉え直す。ブレイクビーツは、もともと、ブロンクスの若者たちが、親のヴァイナルを、親とはまた違った聴き方をすることで生まれたが、彼が掘り下げるのは、例えば、ネットに転がるグレーな音源であり、リサイクル・ショップで投げ売られているユーズドのCDである。神聖かまってちゃんがTSUTAYAでザ・ビートルズやザ・セックス・ピストルズに出会ったように、tofubeatsはBOOK OFFで購入した100円のJ-POPを切り刻み、その名も"dj newtown"名義で発表した。"水星"のメロディと歌詞も、カラオケで"ブロウ ヤ マインド"を流しながら書いたという。後者が収められたKOJI1200のアルバム・タイトル『アメリカ大好き!』に意味を見出すのは深読みが過ぎるとして、彼はアメリカの魅力がなくなり、都市が廃れた時代に、ネットやリサイクル・ショップ、カラオケを通して、郊外で、新しい都市=水星を夢想する。やはり、これは新しいシティ・ポップなのだ。

i-pod i-phoneから流れ出た

データの束いつもかかえてれば

ほんの少しは最先端

街のざわめきさえもとりこんだ
  
"水星"より、オノマトペ大臣のヴァース

「最近"ラップトップは俺らのデッキや"って主張してるんですけど」
 
〈&RWD〉のインタヴューより、tofubeatsの発言

 かつて筆者は、スケートボーダーやグラフティ・ライターの、街をパークやキャンバスに読み替える想像力に希望を見出していた。もちろん、それは、いまでも有効だが、"PCを持って街に出よう"という無線LANについての記事の掲載より10年、ネットが新しい都市をつくり出し、そこから、新しい音楽を生み出しつつあることについて、さらに考えなければいけないだろう。オノマトペ大臣のソロEPは『街の踊り』といい、そこには、"CITY SONG"という楽曲が収められている。他にも、彼とthamesbeatとのユニット=PR0P0SEのデビュー作や、Avec AvecとSeihoのユニット=Sugar's Campaign「ネトカノ」など、同時多発的に鳴り出しているネット時代の新しいシティ・ポップたち。それらをiPhoneに詰めて歩き出せば、彼方に未来のダウン・タウンが見えてくる。

Ambient Music for a New Year selected by Compuma - ele-king

わりと最近の新しめの作品を中心に選ばせていただきました。音と音楽と音像、そして漂いとりまく空間をお楽しみいただけましたら幸いです。ぬくぬく&ヒリーッとどうぞ。

(順不同)

MICHAEL CHAPMAN / Pachydrm

サーストン・ムーアも敬愛するブリティッシュ・フォークSSW孤高の才人MICHAEL CHAPMANのBLAST FIRST PETITEからの静かなる新作。オリジナル&電子音楽リミックス。本人のみによる24:05の爪弾きの円熟と熟練の間合いによるギター・ミニマル・アンビエント・メディテーション「Pachyderm」と同曲のRobert Antonyによるエレクトロニクスでサイケデリック・ドローンな瞑想のギター電子音楽リミックスが24:14にもわたって展開されている。知覚の扉。何もおこらない美しさ。素晴らしい。

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TENTOMUSIK / Am/Rec

すべて午前中に録音したからタイトルも「am/rec」という、ロボ宙さんとのセッションでもおなじみDAUのメンバーふたりによるAMトラベル・アンビエント・ミュージックの黄昏とゆらぎ、カモメのジョナサン。プレイボタンを押したその瞬間から摩訶不思議な佇まいの地平が広がる。時間が進むにつれ、なんだか不思議と気持ちが安らいでくる。これはやはり午前中の陽の光パワーなのか!?私事ではありますが、2012年初頭にサウンドクラウドでフリーでリリースさせていただいたミックス「SOMETHING IN THE AIR PT.2」(現在は無し)のオープニングで、勝手ながらこのアルバムの「船窓から」を使用させていただきました。あのミックスの物語はこの曲がはじまりでした。ありがとうございます。

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ELIANE RADIGUE / Vice Versa Etc...

チベット密教に傾倒した秀逸なるディープな瞑想ドローンの信頼の電子音楽家で知られるフランスの女流音楽家ELIANE RADIGUEの1970年の2台のテープレコーダーのフィードバックによって生み出されたふたつの宇宙。彼女の初期テープによる持続音ドローン傑作。音の処方箋。

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THOMAS KONER / Novaya Zemlya

静謐なる極北のエレクトロニクス・ドローン音響彫刻の圧倒的美学を体験せよ。
Porter Ricksでもおなじみ、サウンドアート大御所THOMAS KONERの深く、深く、吐息、そしてゆっくりとした呼吸と循環。ヒリーっと張り詰めた空気の中で、ため息がでるほどの美しいまどろみを体験してください。

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CHRIS WATSON / Outside The Circle Of Fire

元キャバレー・ヴォルテール、元ハフラー・トリオ、BBC音響技師にしてフィールドレコーディング作家ベテランであるクリス・ワトソン爺の1998年のセカンド・アルバムにしてジンバブエ、カメルーン、南太平洋、そしてコスタリカと世界を旅して動物、鳥、昆虫たちの生活を収音した探検フィールドレコーディング屈指の名盤。驚異の音。研究を重ねたゼンハイザーのサラウンドな高感度マイクに、アナログでのオープンリールにテープレコーダー、DATレコーダー、ミニディスク・レコーダーを通しての臨場感あふれる現地録音の真骨頂22ポイントのダイナミックで繊細&立体的な驚異の音をサウンドスケープを存分にお楽しみください。この圧倒的な音から伝わる世界、そして息吹を感じるしかありません。ナショナル・ジオグラフィックやアニマル・チャンネル的自然科学名盤。

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ROBERT TURMAN / Flux

穏やかなインドネシアのガムランを彷彿させる冬でもポカポカの桃源郷電子音楽アンビエント。知られざるROBERT TURMANによる1981年の作品。ブライアン・イーノのAMBIENTシリーズなどとも同時代に誕生していた珠玉のミニマル・アンビエント傑作。
この心地よさは至福。落ち着きます。カリンバやピアノ、そしてエレクトロニクスやテープを駆使した穏やかな東洋思想的なエキゾチズムの瞑想アンビエント世界。

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USTAD ABDUL KARIM KHAN / 1934-1935

伝説のインド古典音楽の絹の声、USTAD ABDUL KARIM KHANの1934年から1935年までの貴重で香しいSP音源。凛とした佇まいも見事にリイシュー。たおやかに。風がふきます。桃源郷。メディテーション。タンプーラ宇宙。

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DOMINIK EULBERG / Heimische Gefilde

ドイツTRAUMを代表するロマンティスト&アイデアマンDOMINIK EULBERG教授の2007年の珠玉のアルバム。メランコリックでドラマティック&エレクトロニカな美テックハウスと様々な鳥の鳴き声が共存した、DOMINIK EULBERGの鳥好きが興じて制作された、ナレーションと鳥のフィールドレコーディングに導かれ、自身の作品と鳥の紹介と鳴き声が交互に登場するという、未だかつてなかった、自然が奏でる音や音楽とエレクトロニクス音楽を並列で一緒に楽しもう。という試みのユニークなフィールドレコーディング&テクノ珍作にしてハートフルな名作。ラストは、鳥の鳴き声と自然音のみで制作した9:30にも及ぶキュートな楽曲も登場。

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OREN AMBARCHI / Audience Of One

オーストラリアのサウンド・アーチスト重要人物OREN AMBARCHIがギター、ハモンドオルガン、メロトロン、リズムボックスなんかを駆使し、サポートメンバーのヴァイオリン、ピアノ、チェロ、フレンチホーン、ヴィオラ等との生演奏で、至上&詩情のメランコリックで気品あるアンビエント・ドローン・エレクトロニクスを作り上げた。瞑想の中の日だまり的な美麗4部構成の秀作。黄昏の暖かさと心地よさそして壮大で荘厳なドローンに包まれる。

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LOSCIL / Sketches from New Brighton

静寂の中、深く暖かい美学が貫かれたエレクトロニクス・テクノ・ダブのドローン・アンビエントの名品。カナダ・バンクーバーから届けられた、LOSCILことScott Morganによるエレクトロニクスとローズ・ピアノ、ギターとのベーシック・チャンネルばりのミニマルで静かなる深い、テクノでダブなドローン・アンビエント・メディテーションの室内楽的調べ。環境との対話のスケッチ。クールながらもエレガントでクラシカルな雰囲気さえ漂う美しい深海のアンビエント美学が貫かれている。納得の音の仕上がりのマスタリングは12Kの才人Taylor Deupreeが担当。

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■コンピューマの最新ミックスCD『Magnetic』も絶賛発売中!
COMPUMA / Magnetic

『Something In The Air』が脅威のロングセラーとなったコンピューマ先生の最新ミックスCDが出ました! 今回は、彼の出自であるオールドスクール・エレクトロから最新の電子音楽へと展開するファンキーな音楽旅行です! 売れきれる前に聴け!

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クリストファー・オウエンス - リサンドレ
よしもとアール・アンド・シー

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坂本慎太郎 - まともがわからない
zelone records

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 新しいカオスのはじまりです。この国はいま冷戦期に戻りたいのでしょうか? まともじゃいられない世の中になって、坂本慎太郎の新曲「まともがわからない」が年明けの1月11日発売予定。そして、(ゆらゆら帝国ではなく)坂本慎太郎の『幻とのつきあい方』を聴いてすっかり坂本ファンになった元ガールズのクリストファー・オウエンスの最初のソロ・アルバム『リサンドレ』も年明けの1月9日にリリースされます。

 いったいぜんたい、クリストファー・オウエンスはどうして坂本慎太郎を知ったのか? そして、ふたりの共通点はどこにあるのか? そして、そもそもこのふたりが会うとどんな会話になるのか?

 ele-kingでは、ふたりの出会いとふたりの新作への祝福と敬意を込めて、対談を収録しました。来年の正月明けまでにはupされます。ご期待ください!!!

Hidenori Sasaki(zoo tapes) - ele-king

 2011年からスタートした佐々木秀典によるAmbient、Drone、Noise、Industrialカセット・レーベル〈zoo tapes〉、Drone Chart。
 80年代から10年代まで拡散、発展するimprovised/drone/noise recommend、東京のシーンを中心に2012年入手可能な盤をご紹介。
 取り扱いshopはArt into Life、Meditations、S.O.L sound、Futarri CD shop、P.S.F. Records Modern Music、NEdS等。
 〈zoo tapes〉は2012年Festival Fukushima at Ikebukuro atelier bemstar を開催。(https://www.pj-fukushima.jp/festival/201208post-58.php
 同年より90年代のテクノの盤を紹介するトーク・ライヴを企画。
https://www.youtube.com/watch?v=iVpBRFAEmxQ

https://www.discogs.com/artist/Hidenori+Sasaki
https://www.youtube.com/user/hidenorisasaki1980
https://twitter.com/ssk_hidenori
https://www.facebook.com/zootapes
https://zootapes.tumblr.com/

Drone Chart


1
Various - Captured Ambient Cassette - Zoo Tapes
  droneの状況の紹介の前に、現在も続く東京音響noise、improvisedシーンを忘れてはならない。自身の活動もここの影響下からスタート、2007年都内でlive活動を行っていた頃、盆の窪というacoust free improvised trioと出会う。
 自分が参加していたセッションMetaphoricは当時まったくお客さんの反応を得られなかった。盆の窪もまた同じ。お客さんの大半は無反応、物事のはじまりは大抵このような状況なのだろう。
 2012年時点でそのことを記録に留めておきたく自身のソロ名義でSFDD、盆の窪から現在DUOになったセッションをカセットに収めた作品。
 B面収録はsonny+starcuts、Kyosuke Takayasu(bemstar record)、drone、free improvised、00年前後の音響noise、post classicalな要素を持った自身〈zoo tapes〉のオムニバス・カセット。free improvised シーンは現在、水道橋Futarri CD shop,l-e,等で体感できる。

2
Metaphoric - Confirmed Lucky Air CD - Kawagoe New Sound
  improvisedの影響下からスタートした活動のなかでMetaphoricというguitar duoのセッションに録音も含めて参加、2008年頃から録音作業中心。そのなかでUKのdroneシーンの存在を知る。Mirror、Andrew Chalk、Darren Tate、Colin Potter等、彼らの作った実験的なドローン・サウンドを多く聴いていた。自身のサウンド・イメージはfree improvisedからUK drone soundへ、Metaphoricの録音素材を編集して作り上げたambient/drone作品、1st editionのリリースは2009年。
 このアルバム1曲目の"Torimo"はremixが存在する。remixはCeler、Stephan Mathieu、Todd Carter(Tv Pow)、remixの対応にバックアップしてくれたNature Blissの重要度もここに記しておきたい。

3
Reizen - 2nd CD - Self-released
  自身の活動中に同じような思考を持ったアーティストは? とArt into Life サイトで知ったNerae,そのメンバーだったReizen(guitar)を紹介したい。2009~10年頃、当時都心の知人でAnderw Chalkと言って通じるもしくは注目しているのはNerae彼らだけだった。00年代日本人の作ったdrone作品で極めて重要なアーティストと言っても大袈裟ではないと思う。
 その後ソロになったReizenの2nd(self release)。静寂のなかの彼の素晴らしい演奏の説明は各ショップのコメントにお任せする。2012年現在は2nd editionとして入手可能、他ソロ名義では1st、3rdとリリース。
 東京は四谷、喫茶茶会記、江古田Flying tea potでのVeltz(VLZ produkt)との共同企画を中心にライブ等多くの活動を行っている。

4
Diesel Guitar - Stream Of Lights CD - F.M.N Sound Factory
  Reizenとのdrone推薦盤の話のなかで「日本が誇る知られざるギター・ドローニスト、Diesel Guitarを評価することだけは忘れないでほしい」彼の言葉である。Diesel Guitar、Reizenは自身の企画で招聘してライブを行っていた。P.S.F. Records Modern Musicにて2タイトル購入可能。

5
Hakobune - Recalling My Insubstantial Thoughts LP - Tobira Records
  京都のMeditationsで働いていた経歴を持つHakobune。2011年に彼が東京に出てきたことはとても重要、彼の作り出す音、存在は今後多くの若者への影響、指針となるだろう。更にはReizen+Hakobuneの二人が都内でライブ「音ほぐし」を主宰していることはとても重要(四谷、喫茶茶会記にて)。
 droneいやこの作品からは+ambientなサウンドが聴こえてくる。彼がvinylフォーマットで表現しようとしたもの、そのサウンドに身をゆだねよう。多作である彼の作品からvinylフォーマットでのサウンドを是非じっくり聴いていただきたい。Hakobuneの運営するlabel、〈Tobira Records〉からのリリース。

6
Various - Tokyo Flashback 8 CD - P.S.F. Records
  P.S.F. Recordsの重要性、このTokyo Flashback 8、そこにはReizen、Metaphoric他多くのサイケデリック感覚を持ったアーティストが参加している。
 しかし、ここで重要なのは多くのPSFに関連するアーティストの中Soldier Garageを1曲目に紹介したことのように思う。
 彼のギターはまるで「あのアーティスト」の音のようだ......と言われているがここでは伏せておきたい。
 Soldier Garageはその後〈P.S.F. Records〉からリリース。彼はジャケットのイラスト・デザインも手掛ける。

7
suzukiiiiiiiiii×youpy - sxy CD - Headz
  上記00年代improシーンを異端の立場で牽引していた鈴木康文+安永哲郎によるlap top duo VOIMAという存在も紹介しておきたい。なぜ異端と書いたか? それは2008年4月に六本木Super Delux行われたFtarri Festival出演の際、多くのimproviserがelectro acoustのスタイルのなか、彼らはlap top2台でのパフォーマンスだったからだ。当時いやいまでも同じだと思うのだがlap topのライブはパフォーマンスとして面白みに欠けるという指摘があるが、99年来日時に観たJim O'Rourkeのlap top、00年に観たCasey Riceのlap topはいまでも脳裏に焼き付いている。
 その鈴木氏が更にsuzukiiiii+youpy名義として2012年にリリースしたこの盤、全40曲!? からなる音響エレクトロノイズ。
 00年代free impro以降のサウンドを注意深く負わなくては現実を見失う。〈P-Vine〉から。
鈴木氏は六本木Super DeluxでSound Roomを主宰。安永哲郎氏も都内で多くの企画を行っている、安永哲郎事務室を主宰。

8
Takayuki Niwano - Surroundly CD - Kawagoe New Sound
  Metaphoricでguitarを担当、オリジナル・メンバーの庭野氏の最新作、Tower Recordの発行するfree magazine baunceでも取り上げられたが、ここでの庭野氏はギターにフォーカスを当てず、PC上での音作りに没頭したサウンドになっている。90年代から音作りを行っていたアーティストでなければ出せない音、こちらもノイズを出しているが不思議とテクノ、テクノ・ノイズ? テクノという感触が全編に渡って展開された作品。
 改めて彼の多岐にわたる活動、ギターの音色、フレーズすべて重要である。

9
Various - Utmarken 3xCassette - Utmarken
  ドローン後、北欧ノイズに遭遇し更にインダストリアルというキーワードに気がつく。日本で耳にするノイズとは別の側面を持つことに気がつく。個人的に今年発見した海外の盤を1点紹介したかった。やはりカセット・フォーマットは面白い。3本セットのケースなど現在東京では見たことがない。

10
Various - Tribute To MSBR LP - Urashima
  このトリビュート・アルバムを買うになった自分の立場に自覚的でなくてはならない。Japanoiseはまだまだ進化する。
 〈Urashima〉もまた北欧なのだ。2001年に青山CAYで観た「ノイズのはらわた」この企画で初めてノイズに触れたがそのショックをいまも引きずっている。

[music video] - ele-king

 今年はフォーマルな服装をキャップで崩すスタイリングが推されていた。タイラー・ザ・クリエイターの影響はあったのだろうか、さらにそこにスケボーのブームも合流してか、〈Supreme〉のキャップが東京の街中で散見された。
 もうひとつ、いやというほど見たのはからし色の洋服だ。先日、『ele-king vol.8』の年末対談のために上京していた木津毅氏、竹内正太郎氏とともに、裏原宿あたりでデートをしていたのだが、そこらじゅうの服屋でマスタード色がウィンドウ・ディスプレイに晒されていた。道行く人まで......、ほらあの人も、ね、あそこの人も、ほらほら、また、うわー......。


How to Dress Well  - & It Was U(Official Music Video)

 ほら、ハウ・トゥ・ドレス・ウェルも! なるほど。おめかしするにはマスタードだったのね。


Alexis Taylor - Nayim From The Halfway Line

 しかし、キャップとマスタードのスタイリングを2年以上前から実践していた人がいる(https://www.youtube.com/watch?v=wif8DAyXkVc)。ギーク界のファッション・リーダーことホット・チップのアレクシス・テイラーだ。
 そのアレクシスが12月3日、〈ドミノ〉からソロEP『ナイム・フローム・ザ・ハーフウェイ・ライン』を突如としてリリースした(デジタル配信は17日開始)。公式な事前予告なしだったが、クリスマスに向けたささやかなサプライズということなのだろうか。2008年にジョン・コクソンが主宰する〈トレッダー〉よりリリースした宅録アルバム『ラブド・アウト』以来のソロ作品となる。
 ジャケットのアートワークは、オリヴァー・ペインとのタッグで有名な現代アート作家ニック・レルフによるものだ。
 残念ながら18日現在筆者の手にはまだ届いていないので、入手しだいレヴューしたいと思う。前作は宅録の名盤『マッカートニーⅡ』を思わせるような弾き語り&シンセのチルな作品であったが、今回はミニマムでグルーヴィーなリフレインが意表をついてくる。映像とタイトルのとおり、フットボールのネタからもいくらかねじれた感性がのぞくのがさすが。


Hot Chip - Don't Deny Your Heart (Official)

 ホット・チップのアルバム『イン・アワー・ヘッズ』は、今年とても評判であったように思う。ファンも増えただろう。もっとも筆者からするとマッチョなまでに3分ポップス化しているのがいまだに好きになれないのだが、それにしても本当によくできた曲ばかり揃ったアルバムだった。そのなかでも特にきらびやかだったシングル曲“ドント・ディナイ・ユオ・ハート”の公式ヴィデオが発表された。
 初めはまったく笑えなかった。いまでも笑えない。「ファニーなヴィデオ」で話題を呼ぼうとセルアウトしているんだと感じた。もうファンでいることがいたたまれなくなった。まあしかし、すこし再考してみよう。
 ホット・チップのメンバーはゲイである――という噂がかつてあった。噂を盛り上げたのは“レディー・フォー・ザ・フロア”(2008)の印象的な一節=「きみは僕のナンバーワンの男(You're my number one guy)」だ。2年以上前、なにを思ったか初対面にも関わらず筆者は噂についてアレクシスに訊いてしまったが、彼は笑顔でこう答えてくれた。
 「『バットマン』の映画でジョーカーが手下にそのセリフをいう場面(https://www.youtube.com/watch?v=hLBmZW-d2A8)があって、そのグラマー(文法)が好きだったから使ったんだ。ゲイのニュアンスは意図していなかったよ。現に僕も女性と結婚して子供もいるしね。インターネットで僕らがゲイだというひとがいようと関係ない話さ。」
 それ以前にも彼らはゲイ雑誌からのインタヴュー英『ガーディアン』誌のインタヴューなどにおいても、ゲイから人気があることは認めつつも噂を否定している。
 とすれば、今回のPVは改めてゲイを自分たちと切り離し対象化しているとも思える......けども、いまさら?
 もうすこし考えてみる。
 2人の選手が喧嘩寸前のところ、唐突にダンスでバトルをするシーンがある(『スペースチャンネル5』というダンス・ゲームを想起させる意味不明な空間だ)。その後、2人は熱くキスを交わし、不穏だった会場は愛のあふれる平和な空間となる。これは、とくに本楽曲がディスコ音楽からの影響が顕著なように、ホット・チップ自身が愛するディスコ文化(音楽)がゲイのコミュニティによって発展してきたことを示唆しているのではないだろうか(https://www.qetic.jp/feature/battles/78938)。
 ......なんて考えてはみたものの、映像監督のピーター・セラフィノウィッツ(Peter Serafinowicz)はコメディアンだし、ホット・チップとの仕事では、おっさんの口からビーム吐かせたり(https://www.youtube.com/watch?v=MaCZN2N6Q_I)、UFOがぶっ壊れるだけだったり(https://www.youtube.com/watch?v=-OsD3g461fM)するわけで、いやほんと、くだらないだけでしょう!
 しかし、このくだらないだけってのがポイントなのかもしれない。「これほど同性愛ってものが政治的なトピックになった年もない」とは木津毅氏の言葉だが(紙『ele-king vol.8』p84参照)、そんな年にあえてこのくだらなさを打ち出したと。そういうことでいいですかね。だって「我々は何年間もこの瞬間を待ち望んでいました! これこそがフットボールです!」ってナレーション、フットボール好きにだってわけわからないでしょう。

Chart JET SET 2012.12.17 - ele-king

Shop Chart


1

Burial - Truant Aka One / Two (Hyperdub)
ご存じFour Tetとのジャンル越境コラボ・アンセム"Nova"も記憶に新しい美麗ベース天才Burial。『Kindred Ep』のメガヒットと1st.&2nd.アルバムの再発を経て遂に待望の新作が登場です!!

2

Toro Y Moi - So Many Details (Carpark)
激注目サード・アルバム『Anything In Return』からの先行シングル!B-sideには、Ofwgktaクルーのラッパー、Hodgy Beatsによるリミックスを収録。

3

Makkotron a.k.a. ひよこ - Waiting Room (Smr)
Smrミックス・シリーズ第三弾は、Theo ParrishやCut Chemist、Dj Shadow、Force Of Natureなどのヴァイナル・ディガー達が敬愛する、元ひよこレコード店主、Makkotron a.k.a.ひよこ!

4

Roc Marciano - Reloaded (Decon)
ヒップホップ・フリークが待ちに待ったであろうRoc Marcianoのフルアルバム! 楽曲の半数以上はセルフ・プロデュースで、他にはQ-tip, Alchemist, Ray West, Ark Druidsが参加。

5

Herbert - Bodily Functions Remixes (Accidental)
ご存じ巨匠Herbertが'01年に放った生活音グルーヴ満載の歴史的傑作『Bodily Functions』収録曲を、説明不要の音響ミニマル/フリーキー・ミニマル天才たちがリミックスした話題の1枚。

6

Moon B - Untitled (Peoples Potential Unlimited)
以前カセット・テープのみで流通され、それを聴いたDam-funkも「リアル・ファンクだ」絶賛したという、全Ppuファン直撃のロウファイ・シンセ・ファンク・アルバム!!

7

Dj Nu-mark - Broken Sunlight (Hot Plate)
ヒップホップを中心に、ソウル~ブレイクビーツ~アフロ~ディスコと幅広いサウンドを披露してきた先行シングルから、俄かに期待の高まっていた最新アルバムが登場です! ゲートフォールド・ジャケット仕様。

8

Disclosure - Latch Feat Sam Smith (Pmr)
前作『Face Ep』がメガヒット、Joe Goddard率いるGreco Romanからデビューを飾った人気急上昇デュオDisclosureが、Jessie Wareらのリリースでお馴染みPmrから初登場リリース!!

9

K-def - Signature Sevens vol.1 (Rated R)(Slice Of Spice)
Lord Finesseの7"シリーズでお馴染Slice Of Spiceの次なるリリースはなんとK-Def3部作!記念すべき第1弾は、当時Marley Marlのスタジオとして有名な「House Of Hits」に所属したクルー・Rated Rを迎えたブーンバップな楽曲を、Datアーカイブからリストアし初お披露目!

10

Para One - When The Night Remixes (Because)
『Passion』の中でも際立っていたソウルフルな男性Vo.をフィーチャーしたアーバン・スロウ・ディスコが嬉しい12インチ・リリース。リミックスも粒揃いです。

interview with Yo La Tengo - ele-king


Yo La Tengo - Fade
ホステス

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 1日限りではあるけれど「ザ・フリーホイーリング・ヨ・ラ・テンゴ」と題されたライヴで3年ぶりの来日を果たしたヨ・ラ・テンゴ。今回の来日公演は通常のライヴとは違い、通訳を介したQ&A形式で観客とのトークを挟みながら、その場のフィーリングで選曲を決めていくという特殊なスタイル。ヨ・ラ・テンゴのライヴといえば、本編で圧倒的なサウンドを奏でて観客をうっとりさせ、アンコール・タイムではリクエストを募ったり、嬉々として自分たちの好きな曲のカヴァーを披露したりして、アットホームな雰囲気を醸し出すのがいつもの流れなのだけれど、この日は観客とのQ&A(微笑ましい質問もあれば、マニアックな質問もあり)に半分くらいの時間を割いていることもあり、全編通してアンコール・タイムのような和やかな雰囲気。この晩、ステージにセッティングされた楽器はアコギ、ベース、シンプルなドラムセット(スネアとタム、それにシンバル)だけで、数曲演奏して客電がつき、質問タイムを挟み、また演奏するという構成は、いつものヨ・ラ・テンゴのステージを期待していた人にとっては肩透かしだったかもしれないが、コアなファンにとっては満足のいく極上の公演だった。

 その翌日、インディー・ロック界随一のおしどり夫婦であるアイラ&ジョージアに、今回のライブの裏話や、来年1月に出る新作について話をきくことができた。

 自分としては10年前くらいに書いていた曲のような感覚もあったりするし。自分たちでそれらの違いを発見したり、説明したりするのが難しいだけなのかもしれないわ。

昨晩のライヴでは観客からの質問に、冗談で「プレゼントをくれないと質問に答えないよ」と言っておられたので、プレゼントを用意してきました。どうぞよろしくお願いします。

アイラ:ありがとう。昨日言っておいてよかった(笑)。

メンバーと同じシャツにヅラをかぶったコスプレ姿の通訳3人も笑いをとっていて、大活躍でしたね。あのアイディアは日本に来る前からあたためていたんですか?

アイラ:そうだよ。来日する前から考えていたアイディアだね。通訳を入れることで他の国でやるよりもショウのペースがゆるんだり、間が空いてしまったりしないようにと思って、メンバーひとりひとりに通訳をつけようっていうのは最初から考えていたんだけど、さらにショウを面白くするために通訳のみんなに僕たちのコスプレをしてもらおうと思ったんだ。実際にカツラとかを買いに行ったり、準備したりするのはすごく楽しかったよ。

アイラ役の通訳の方は、お揃いのボーダーのTシャツを着ていましたね。あれは日本で調達したんですか?

アイラ:そうだね。日本で買ったよ。

ユニクロですか?

アイラ:違うよ。H&Mだよ(笑)。自分が着ようとしていたTシャツを僕の担当の通訳の人に前もって伝えていたんだけど、彼はそんな種類のTシャツは持ってないって答えたんだ。実際に彼が当日着てきたTシャツを見たらそれでもまったく問題はなかったんだけど、招聘元のスマッシュのスタッフがこのコスプレのアイディアを気にいってくれて、どうせならお揃いのシャツを買いに行こうということでH&Mに連れてってくれて、そこで買ったんだ。

英語圏以外の国で今回みたいなQ&A形式のライブをやるのは大変そうだなと思っていたのですが、とてもユーモア満点で素敵なライブだったと思います。このような形式のショーを観て、思い浮かんだのがアメリカのテレビ番組『アクターズ・スタジオ』だったのですが、もしかして、これがインスピレーションの元になっているのですか?

アイラ:ハッハッハッハ。違うよ(笑)。それは思いもしなかったな。そこからアイディアをとったわけじゃないよ。他の国でやるとみんな好き勝手に同時にいろんなところから発言したり、おしゃべりしたりしていたりして、何が質問されているかまったくわからない状況が多いんだけど、昨日のライブを思い返してみると、みんなマナーがちゃんとしていて、きちんと挙手してマイクを持った人が質問する感じだったから、たしかに『アクターズ・スタジオ』っぽかったかもね。

 ※『アクターズ・スタジオ』......アメリカの俳優・監督・演出家らを養成する演劇の専門学校、アクターズ・スタジオが運営するテレビ番組。俳優・映画監督らをゲストに招き、同校の生徒を前に、インタヴューに答えるという形式。番組終盤には毎回決まった10の質問と、会場の学生からの質問に答える。日本では佐野元春が司会を務める『ザ・ソングライターズ』が近い雰囲気。

昨晩のトーク・セッションのなかで「新作では何か新しいことがしたかった」と言っていましたね。前々作の『アイ・アム・ノット・アフレイド・オブ・ユー・アンド・アイ・ウィル・ビート・ユア・アス』と前作の『ポピュラー・ソングス』はこれまでの集大成的なバラエティに富んだ内容でした。なかでも"ミスター・タフ"はファルセットで歌っていたり、"イフ・イッツ・トゥルー"はモータウンっぽいストリングスが入っていたりしていたので、ヨ・ラ・テンゴの新機軸はソウルっぽいサウンドなのかと思っていたのですが、新作で新しく取り入れた要素はありますか?

ジョージア:ちょっとこれまでと違うところもあるかもしれないけど、際立って新しい要素はそんなにないかなって思うわ。自分としては10年前くらいに書いていた曲のような感覚もあったりするし。自分たちでそれらの違いを発見したり、説明したりするのが難しいだけなのかもしれないわ。

アイラ:きみが言うように、たしかに"ミスター・タフ"とか"イフ・イッツ・トゥルー"みたいな曲はモータウンっぽい感じがするし、それが新機軸になっているっていう考えも理解できるよ。あの頃のアルバムの特徴を話すとすると、いろいろなジャンルっていうものをフォローしてみようって気持ちがあった時期だね。たとえば、"イフ・イッツ・トゥルー"とかはモータウンってコンセプトにもとづいて曲を書いてみようと思って、ストリングスを入れてみたりして、ジャンルをなぞっていた部分はあったんだけど、今回に関しては、特定のジャンルを意識するって感じじゃなくて、自分たちから自然に生まれてきた曲をそのまま収録した感じかな。

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いま、話をしていて考えていたんだけど、どうしてもっと早くにジョン(・マッケンタイア)といっしょにやらなかったのかなって思うよ。


Yo La Tengo - Fade
ホステス

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長年つきあいのあるプロデューサーのロジャー・マテノに変わって、新作ではトータスのジョン・マッケンタイアをプロデューサーとして迎えているそうですが、どのような経緯で実現したのでしょうか?

アイラ:はっきりとは覚えてないんだけど、スタジオで練習しているときに誰かがふとこのアイディアを思いついたんだ。ジョンとは20年以上の知り合いでこれまでいっしょに何かをしてないことが不思議なくらい仲がいいし、音楽的にもあうし、バンドみんなが賛成したよ。ジョンはほんとに忙しい人なんだけど、たまたま彼のスケジュールにちょうど空きがあったから実現したんだ。

長年、インディー・ロックを聴いてきた人たちにとってはこのコラボレーションは夢のようです。

アイラ:そうだね。いま、話をしていて考えていたんだけど、どうしてもっと早くにジョンといっしょにやらなかったのかなって思うよ。僕たちは映画のサントラを依頼されることも多いんだけど、いつも同じようなタイプの曲を求められることが多いんだ。全然違うジャンルの音楽を書けるし、書いてみたいのにね。よく考えてみたらそういう目で自分もジョンのことを見ていたかもしれなくて、トータスのファンだし、彼の音楽も大好きだけど、自分たちは全然トータスっぽくないからと思っていて、そういう固定概念のようなものに囚われていたんだけど、そこから離れて広い視野をもてるようになったことがジョンといっしょにやるきっかけになったかもね。

昨日披露された新曲は3曲ともゆったりとしたリズムでリラックスした曲調でしたね。ジョン・マッケンタイアとタッグを組んだということで、ポスト・ロックっぽい複雑なサウンドになっているのかもとイメージしていましたがいい意味で期待を裏切られました。

アイラ:たぶん、自分たちはポストロックみたいな複雑な拍子のカウントはできないから、ついていけないんじゃないかな(笑)。

ジョンはジャムセッションの段階から関わっていたのでしょうか? それともある程度、サウンドの方向性がまとまってからポスト・プロダクションを施すという形ですか?

ジョージア:彼は一度もわたしたちのジャムセッションには来てないのよ。ジョンはシカゴに住んでいて、私たちはホーボーケンに住んでいるから距離的な問題もあるし。レコーディングをはじめる前にほとんどの曲ができていて、そのデモをもって彼のスタジオに行って、そこからアルバムに向けて共同作業をはじめたから、実際にスタジオに行くまでは彼は曲を聴いていない状況だったの。

SOMAスタジオには膨大なヴィンテージ機材が所蔵されているそうですが、いろいろ試してみましたか?

ジョージア:もちろん。

アイラ:いつもは音楽を作るときに、どういうサウンドにしようとかは前もって考えないようにしていて、自分たちのフィーリングのままに曲を作るようにしているんだけど、今回はSOMAスタジオにあるロクシコードだけは絶対に使おうと決めていたんだ。

ロクシコードとは、どんな楽器なんですか?

アイラ:エレクトリック・ハープシコードの一種で、ハープシコードとオルガンのあいだのようなサウンドなんだ。サン・ラがよく使っていた楽器だよ。

 ※ロクシコード(Rocksichord)......60年代のヴィンテージ・キーボード。テリー・ライリーも『ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア』で使用。最近のアーティストだとウィルコやステレオラブが使用。

8月くらいからツイッターにレコーディングの様子を知らせるツイートをしてましたね。機材の写真やソフ・ボーイのフィギュアの写真をアップしていましたが、あれはSOMAスタジオの写真だったんですね。あの写真を見たときは、ジョンがプロデューサーとして参加しているというのを知らなかったので、あとで知って、なるほどと思いました。

ジョージア:そうそう、そうなの(笑)。

 ※ソフ・ボーイ(SoF'BoY)......ジョン・マッケンタイアもメンバーのバンド、シー・アンド・ケイクのメンバーで、イラストレーターとしても活躍するアーチャー・プレウィットが作者のキャラクター。ヨ・ラ・テンゴならではユーモアで、新作へのヒントだったのかも。

ヨ・ラ・テンゴの曲は夕暮れどきや真夜中っぽい雰囲気を想像させる曲が多いと思います。メンバーが集まって行うジャム・セッションもこういった時間帯にやっているんですか?

ジョージア:いいえ。私たちはいつも15時くらいから集まってはじめるのよ。(笑)

アイラ:いつも曲を作るときは、その曲自体が自由になるようにしているから、聴いた人たちがいろいろ想像してさまざまな感想をもつんじゃないかな。たとえば、昨日のライブでやった曲とかも曲の中盤くらいにならないとその曲がどんなムードでどういう方向性になっていくのかも自分たち自身でもわからないくらいだし。昨日演奏した曲も別の場所でやるとちがうムードになったりすることもあるしね。

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昨日のライブでやった曲とかも曲の中盤くらいにならないとその曲がどんなムードでどういう方向性になっていくのかも自分たち自身でもわからないくらいだし。昨日演奏した曲も別の場所でやるとちがうムードになったりすることもあるしね。


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カヴァー曲に関しての質問です。ここ数年ではゾンビーズの"ユー・メイク・ミー・フィール・グッド"やトッド・ラングレンの"アイ・ソー・ザ・ライト"、キャロル・キングの"ユーヴ・ガッタ・フレンド"をカヴァーしていましたね。オーソドックスな選曲が増えているような気がしますが、最近はカヴァー曲のチョイスの基準は変わってきましたか? 昔はダニエル・ジョンストンやアレックス・チルトン、ビート・ハプニング、オンリー・ワンズ等、インディー寄りな選曲が多かった気がするのですが?

ジョージア:自分たちでも気づいてなかったんだけど、たまたまだと思うわ。まだリリースされてないけどタイムズ・ニュー・ヴァイキングのカヴァーもしているし。

アイラ:自分のなかで、いま挙げられたアーティストたちの境界線はなくて、たとえば、アレックス・チルトンもキャロル・キングのことをすばらしいソングライターだって公言していたように、ダニエル・ジョンストンもすばらしいと思うし、同じようにトッド・ラングレンもすばらしいと思うし。自分のなかではどっちがインディーとかいうような意識はないよ。

毎年やっているWFMUマラソンですが、リクエスト曲は事前に練習しているんですか?

ジョージア:リクエスト曲は事前にはわからないから練習できないのよ。

アイラ:リクエストが来てから演奏するまで数分しか時間がないから、その間にお互い話してみたり、音を鳴らしてみたりするだけだよ。

ジョージア:いちおう、ウォームアップを兼ねて練習スタジオでお互いに曲名を出しながら練習することはあるけど、実際にはリクエストでその曲がくることは少ないわね(笑)。

 ※WFMUマラソン......NYのネットラジオ局WFMUの運営資金を募るために、ヨ・ラ・テンゴが10年以上毎年行っているチャリティー・ライヴ。リスナーから寄せられたリクエスト曲に応えて演奏する生放送番組で、リクエストするには100ドル以上が必要。

今年に入ってから「ザ・ラヴ・ソング・オブ・R.バックミンスター・フラー」という特別なショーを何回かやっていますが、どのようなプログラムなのでしょうか?

アイラ:バックミンスター・フラーという人物に関するドキュメンタリー作品で、サム・グリーンという映像作家といっしょにはじめたプロジェクトなんだ。彼は近年、人々がスマートフォンとかそういったデバイスで映画を観ることに対していい感情をもっていなくて、劇場に足を運んで映画を観てもらいたいって意味合いを込めて、映像を流しながら、彼がナレーションをして、その横でバンドが演奏するライヴ・ドキュメンタリーという形式をやっているんだ。僕たちはその映像のために12曲のインスト曲を書き下ろしたんだ。自分たちのスケジュールに組み込みことが難しいから、そんなにしょっちゅうはできないけど。

 ※バックミンスター・フラー(The Love Song of R. Buckminster Fuller)・・・「20世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも評されるアメリカの思想家、デザイナー、建築家、発明家。「宇宙船地球号」という概念・世界観の提唱者。デザイン・建築の分野では、ジオデシック・ドームやダイマクション地図、ダイマクション・ハウス(住宅のプロトタイプ)などを発明。

ヨ・ラ・テンゴのオフィシャル・サイト限定でジョージアのソロ作品がリリースされていますね。これはどんな作品ですか?

ジョージア: 20分間のギター・インスト1曲入りの12インチで、B面はドローイングが施されているわ。どっちかっていうとアート作品みたいな感じね。

アイラ:とても美しい作品だよ。

 ※ジョージアのソロ作品......リトル・ブラック・エッグ(Little Black Egg)という名義で500枚限定プレスの12インチ。ヨ・ラ・テンゴのオフィシャル・サイトのみで販売。

ジェームスは、はっぴいえんどや不失者、非常階段、Salyu等、日本のアーティストのレコードをたくさん買ったといっていましたが、あなたが日本で入手したレコードはどんなものがありますか?

アイラ:僕は今回、スパイダースの7インチを買ったよ。

ジョージア:裸のラリーズのすごい高いボックスセットは?

アイラ:あれは日本じゃないよ。何年か前だけどサンフランシスコで買ったんだよ。高かったけど、それだけの価値はあるよ(笑)。

ヨ・ラ・テンゴはこれまでにも数々の映画のサントラに曲を提供してきましたが、もし自分たちがスコアを担当できるとしたら、どの監督といっしょに仕事がしたいですか?

アイラ:最近の映画は音楽を全然気にしてなくて、音楽は後から取って付けたような感じの映画が多いけど、マーティン・スコセッシとかジム・ジャームッシュ、コーエン兄弟とかはとても音楽を気にしているから、そんな監督の作品に携われたら嬉しいな。でもコーエン兄弟はいつもいっしょに音楽を作っているパートナーがすでにいるから無理だよね。

昨日のライブの最後に「来年また来るよ」といっていましたね。楽しみにしています。

アイラ:ありがとう。

Björk - ele-king

 2012年は、女性によるベッドルーム・エレクトロニック・ミュージックが目立った1年だったけれど、女性のラップトップ音楽においてビョークが先駆者なのはみなさんよくご存じの通り。特徴ある声と節回しのある歌手として(そして若かりし頃はキュートな女性として)評価されていた彼女は、DJカルチャーを味方につけたばかりでなく、10年前にはIDMを自分のものとしている。そして、ラップトップ音楽のDIYを実践してきた彼女は、前作『バイオフィリア』で(iPadのような)タッチパネル・スクリーンにも早速目をつけて、一応インタラクティヴな音楽のあり方(コンセプト)を提示している。僕は彼女のファンなので、勢いでソフトまで買ってしまったが、結局はそれで遊ぶことはほとんどなかった......ま、そういうものだろう。リミックス盤もこうしてまとめてCD化されるなら......いやいや、こちらは今年の春ぐらいから発表され続けている最新のリミックス・ヴァージョンも収録されているので、まとめて聴けて嬉しい。

 最初に「クリスタライズ」のマシュー・ハーバートのリミックス盤が出たときは、都内のレコ屋ではあっという間に売り切れた。同時期に出たレディオヘッドのリミックス盤がいつまでも売れ残っていたのとは対照的だった。リスナーのリミックス盤に対するリスペクトがちゃんとあるのだ。
 『バスタード』は、そのマシュー・ハーバートのリミックス盤に次いでリリースされたオマー・ソウレイマンの「クリスタライズ」のリミックスからはじまる。キャスティングそのものも最高だが、実際、シリアの人気歌手の手がけたヴァージョンは、トラックが差し替えられているだけではなく、ソウレイマン本人も一緒に歌っていて、実に愉快な再解釈となっている。ソウレイマンのリミックス(という名の共作)は、もうひとつ"サンダーボルト"も収録されている。こちらはもう一段階ハチャメチャで、報道されるシリアの内戦状態から考えられないほどの躁状態というか、中東の乾いたグルーヴ感に惹きつけられる。ソウレイマンは『バスタード』において、間違いなく陰の主役だ。

 そして、『バイオフィリア』のリミックス・シリーズの3枚目として今年発表された"ヴァイルス"のハドソン・モホークのリミックスも実に素晴らしい。デス・グリップスによる"サクリファイス"はリミキサーの人選においても「さすがビョーク」と言わせたヴァージョンだが、このインダストリアルな質感のビートとスリリングなエディットもモダンで格好いい。
 ほかにジーズ・ニュー・ピューリタンズやアルヴァ・ノトといった大物、そしてクラブ系ではダブステッパーの16ビット、ドラムンベースのカレント・ヴァリュー、エレクトロのザ・スリップスといった新世代らの手がけた瑞々しいヴァージョンが収録されている。どのリミックスでもビョークの歌は活かされているが、僕のベストはハドソン・モホーク。彼は、ビョークの魅力をとてもよく理解している。

 『バスタード』とほぼ時期を同じくしてリリースされたネナ・チェリー&ザ・シングの『チェリー・シング・リミックスド』も良いリミックス盤だ。ネナ・チェリーは、変なたとえだがビョークがソロ・デビューするまでビョークのポジションにいた女性シンガーである。ビョークが出てきたとき我々の世代は、あ、ネナ・チェリーが出てきた、と思ったものだった。ドン・チェリーを継父に持った彼女は、古くはニュー・エイジ・ステッパーズのアリ・アップのパートナーとして、そしてリップ・リグ&パニックの作品にも参加しているが、やはりボム・ザ・ベースがプロデュースした「バッファロー・スタンス」(1988年)が強烈だった。

 ネナ・チェリーは、今年、スウェーデンのジャズ・トリオ、ザ・シング(ジム・オルークや大友良英らとの共作でも知られる)と一緒に素晴らしいカヴァー・アルバム『チェリー・シング』を出している。これ、自分でライナーを書いたこともあって紹介そびれたが、僕は自分と同世代の人間に会うたびに推薦していた。収録曲は、スーサイドの1979年の名作"ドリーム・ベイビー・ドリーム"、1995年のトリッキーのデビュー・アルバムにおける準主役で、ソロ・アーティストとしてもキャリアを積んでいるマルティナ・トプレイ・バードの2010年のアルバム『サム・プレイス・シンプル』から"トゥ・タフ・トゥ・ダイ"、2004年に発表されたアンダーグラウンド・ヒップホップの名作、マッドヴィリアン(MFドゥーム+マッドリブ)の『マッドヴィリアニー』から"アコーディオン"、ドン・チェリーの1973年のアルバム『コンプリート・コミュニオン』から"ゴールデン・ハート"、ザ・ストゥージズの1970年のセカンド・アルバム『ファン・ハウス』から"ダート"、オーネット・コールマンの1972年のアルバム『サイエンス・フィクション』から"ホワット・リーズン"、ニコの1967年の最初のソロ・アルバム『チェルシー・ガール』から"ラップ・ユア・トラブルス・イン・ドリームス"(作詞作曲はルー・リード)......。
 『チェリー・シング・リミックスド』はそのリミックス盤で、リミキサーは、ジム・オルーク、メルツバウ、フォー・テット、キム・ヨーソイ、リンドストローム&プリンス・トーマス、ホートラックス・コブラ(ピーター・ビョーン&ジョンのジョン・エリクソン)、クリストフ・クルツマン(オーストリアの電子音楽家)、ラッセ・マーハーグ......などとかなり良いメンツが揃っている。ノルウェーの〈スモールタウン・スーパーサウンド〉はつくづく目利きのあるレーベルだと思う。

 とりあえず、アルバムに先駆けてリリースされたフォー・テットの"ドリーム・ベイビー・ドリーム"のトライバル・ハウス・ヴァージョンを聴いて欲しい。

 『チェリー・シング・リミックスド』はクラブ系と実験音楽系との真っ二つに分かれている。リンドストロームのようなアッパーなディスコ/ハウスのなかにインプロヴィゼーションとノイズが混在しているわけだが、こんなユニークなリミックス盤が成立するほど、欧州ではDJカルチャーが息を吹き返している。音楽を愛しているのか金を愛しているのか、前者でなければこんなコンピレーションは成立しない。ネナ・チェリーはアンダーグラウンドでもマニアックな人でもなく、歴としたポップスターである。

DJ Kamikaz (Clockwise.Recordings) - ele-king

レーベル再始動から、まだ少しの時間しか経っておりませんが、沢山の素っ裸で、飾りっけの無い実直な海外~国内の表現者の方々、音楽以外の表現方法で深い所から人を感動させる人物とお話する機会を沢山頂きました。。皆様から感じ取れたものは、まさしく「愛」の一言です。一見、陳腐に感じる言葉ですが、薄っぺらさの無い、本当に深い意味での「前向きな」愛です。(それ以上はご想像にお任せいたします。。)音楽が絡んではいますが、映像もあり、本もありですが、音楽を通して音楽に関係したものからも愛を頂けたものを取り上げさせて頂きました。表現する人の作り出すものこそ、その人そのもの。human is musicとはまさしく言い得て妙だと感じました。今回のチャートにのせてあるリンク先へは、ちょいとお時間使ってチェックしてみてください!生活に愛を取り入れたい人にはもってこいですよ~。

Chart


1
Kenji Hirata - 2 makes 1
https://www.youtube.com/watch?v=ZuFVoRJWjns
https://www.jkdcollective.jp/index.html#Kenji_Hirata
嘘も駆け引きも飾りっ気も全くない真っ白な世界。素敵です。

2
Think Twice About This World - 普天間のスケートショップ
https://thinkworld.ocnk.net
お店の名前のまんまのお店。オーナー缶氏のつけた店名で気付かれた方は曲も聴いてみてください。是非ホームページを見てみてください。

3
olive oil - Far From Yesterday
鬼才olive君からレーベルに届いたサンプルのアルバム、聴かせて頂きました!とても暖かいバイブスと愛に溢れた作品です。
最近毒を持って毒を制す?アーティストが多い中、愛をもって全てを制す類希な作品だったと思います。フワフワです。

4
君にお届け - ミスター・マイク
https://www.youtube.com/user/szparasite?feature=watch
スケーター兼、映像クリエイター。能無しフィルム主宰。マイク君の作品は万物への愛に溢れたフラットな感じ。

5
三田格/野田努 - Techno Definitive 1963-2013
私も色々意見しながらこねくり回して作り上げたdj klockの「sensation」を取り上げて頂いております。
音楽とそれを作った人達への純粋な愛の本。

6
dj klock - sensation
制作した当時、私は電話一本で呼ばれました。「カミカズ、常磐線乗れる?何分で着く?手伝ってほしいんだけど。」ここからが始まりでした。世の中の全ての物事が僕らにとって「先生tion」だった、という作品です。

7
KARAFUTO - ENJOY SUPER LIGHTS
まさしく音楽へのまっすぐな愛です。

8
DJ KATO - If you want to listen to more my productions...
clockwise recordingsからの新人による新作音源です。1990年代のアブストラクトミュージックへの深い愛を素直に表現しているトラック。レーベルのサウンドクラウドにて、音源の公表をいたしますので乞うご期待!

9
moodymann - Forevernevermore
愛の一言。古いですが色あせない。

10
dj kamikaze - abstractions of sounds
皆を愛し、愛された作品。ありがとうございます。

https://www.facebook.com/clockwise.recordings
https://twitter.com/dj_kamikaz
https://soundcloud.com/clockwise-recordings
https://soundcloud.com/kazakami

Chart JET SET 2012.12.10 - ele-king

Shop Chart


1

Frisco - Sho' Nuff (Hong Kong Elevators)
メンバーチェンジを経て新生Friscoとなってから初のリリースとなる本作は、レゲエ・シンガーSpinna B-illをフィーチャー!

2

Ogre You Asshole - 100年後 (Vap / Jet Set)
アルバムごとに常に新たなアプローチをし続けてきたオウガ。期待が膨らみ膨張寸前のところで届けられた本作は『Homely』の作風から一転し、オーガならではの解釈で奏でたチルな要素の強いAorアルバムに仕上がりました。

3

Sign Of Four - Jumping Beans (Jazzman)
大人気Greg Foat Groupに続くJazzmanからの新人が凄すぎます。電子音が飛び交うサイケデリック・ファンクと疾走ピアノ・ジャズ・ファンクを収録。

4

Four Tet / Austra - Motion Sickness part 2 (Domino)
名門Dominoのリミックス・コンピ『Motion Sickness』からのカット第2弾。シンセ・ポップ・トリオAustraがDomino(Us)から限定リリースしたNy新鋭デュオStill Goingリミックスも収録です!!

5

Dr. Beat From San Sebastian - Mediterraneo - Dj Harvey Remix (Eskimo)
イビザでのプロモ盤限定流通後、2007年にベルギー名門"Eskimo Recordings"より正規発売されたバレアリック・ハウス・クラシック「Mediterraneo」。予てからヘヴィ・プレイしていた御大Dj Harveyがリミックスを手掛けた500枚限定盤が遂にリリースされます!!

6

D'angelo - Voodoo - Deluxe (Modern Classics Recordings)
世界遺産的名盤!! プロモオンリーの"Devils Pie"や、Soul名曲カヴァー"Feel Like Makin' Love"、メロー最高峰の"Send It On"、名曲"Spanish Joint"等捨て曲皆無の極上のトラックを収録!

7

Prodigy - Added Fat Ep (Xl)
蟹ジャケの通称で親しまれる'97年リリースのディジタル・ロック名作『The Fat Of The Land』を彩ったお馴染みのワールド・ヒッツを豪華メンバーがリミックス大会した話題沸騰盤!!

8

Dj Nu-mark - Broken Sunlight Series 6 (Hot Plate)
Stones Throwからのリリースで一世を風靡したAloe Blaccと、現行ファンク/ソウル名門Daptoneからのリリースでお馴染のCharles Bradleyをフィーチャー!

9

Vakula & Kuniyuki - Vakula & Kuniyuki Ep (Sound Of Speed)
VakulaとKuniyukiによる珠玉のコラボEpがSound Of Speedからリリース!2012年を代表する1枚になること間違いなしの圧倒的なクオリティーを放つ全4曲を収録。

10

Vakula & Dusty Baron - Leleka 4 (Leleka)
ウクライナの奇才として世界中かの注目を集めるVakulaと、McdeからLatecomer名義での作品のリリースでも注目となったDusty Baronによるスプリットシングル!さらにDusty Baronによる楽曲を2曲収録したボーナス7"付き!
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