「Ord」と一致するもの

Skee Mask - ele-king

 ここ数年、いわゆるベース・ミュージック以外、わりとダンサブルなテクノからもブレイクビーツの、もしくは別方向からのベクトルを見るとIDM的なリズムの捉え直しというのがわりと盛んなのはもはやゆるぎのない事実というかひとつの路線となっているわけですが(この前ここで紹介したブラザー・ネブラあたりも、それのブレイクビーツ方面のそんなフィーリングの作品ではありました)。で、そのあたりのサウンドが顕在化する、その流れを象徴する作品にスキー・マスクの2016年のファースト・アルバム『Shred』があるんではないかと。でもこの2021年にみてみると、意外にこの辺の流れ、いやいや意外とエイフェックス・ツインの『Syro』(2014年)ってやっぱり結構大きなターニング・ポイントだったんじゃないかと思うような。IDM的なブレイクビーツ・テクノ+ダブ・テクノといった感じで、作品としてのリスニング性能とダンサブルな曲がしっかりとフロア対応といった感じでアルバムにおいて繰り広げられており、なんというか逸材が出てきたなと思ったわけです。

 で、そのスキー・マスクがミュンヘンのゼンカー・ブラザーズのレーベル〈イーラン・テープ〉からわりかし謎の新人的な扱いでデビューしたのが2014年。本名はあとあとに明かされたのですが、ブライアン・ミュラーという人物。その正体はEDMというかわりかしバンギンなエレクトロで2000年代から活動するベテラン、ボーイズ・ノイズ一派の天才少年枠で世に出た逸材でした。ブライアンは2011年のデビュー、1993年生まれというのだからわずか17歳という年齢で SoundCloud で発掘されたという、そんなアーティスト。件のレーベルから SCNTST という名義にてリリース。どちらかというと SCNTST 名義はフロアライク、といってもバキバキのそれではなく、もう少しわかりやすいドリーミーでポップな空気のテクノといった感じでしょうか。

 RAのインタヴュー(https://ra.co/features/3108)によれば、当時、ボーイズ・ノイズに象徴されるようなバンギンなエレクトロを好んでいたそうですが、18歳のときに〈チェイン・リアクション〉の作品にてディープ・テクノの洗礼を受けて、エイフェックス・ツインやオウテカなどを聴きあさり、その辺の影響もあり、こちらのスキー・マスク的な音作りもするようになったとか(別にバンギンなエレクトロを辞めた訳ではない模様)。またある種のメンターとしてゼンカー・ブラザーズ、特にマルコの影響も大きいことを件のインタヴューでは言っています。

 テクノ・シーンで注目を浴びるなかリリースした2019年セカンド『Compro』はそうした期待に応えるもので、さらに緻密にプログラミングされた躍動感溢れるリズムと、アブストラクトかつ美しいシンセのラインが交叉、楽曲によってはアンビエント・テクノへも進み、その感覚はどこかAIシリーズやオウテカの初期作品(『Amber』もしくは『LP7』あたり)を彷彿とさせる作品に、さらに評価を盤石なものに。“Kozmic Flush” のようなアートコア・ジャングルも印象的でした。そしてある意味でその手のサウンドの先達とも言えるプラッドのリミックス、“Maru (Skee Mask Remix)”では不穏なシンセとフリーキーなジャングル・ビートが分裂気味に突き進むトラックでどこかここ最近〈リフレックス〉などのドリルンベース再評価を彷彿とさせる感覚に。また〈イーラン・テープ〉からのシングル諸作ではディープ・エレクトロ、ブレイクビーツ・テクノといった要素をやはり彼らしいIDM的な実験性とダンスフロアへのアクセスと、両方の絶妙なバランス感を持ったサウンドを展開していた、というのが2020年ぐらいまでの流れ。
 そういえば2020年には〈リヴィティ・サウンズ〉などからもリリースするベース〜ダンスホールなサイモ・セルとのB2Bテープ「TemeTape1」もリリースしてました。こちらはA面にはニュー・ビート〜初期ハウス〜テクノ〜IDMをつなげたBPM125サイドと、ハードコア・テクノ〜ジャングル〜ゲットー・テック〜ジュークなどを横断する160BPMのB面を配していて、なんというかその横断性とIDMの躁な部分とジャングルとの接続から僕はシロー・ザ・グッドマンの2000年代中頃のDJを思い出したりもしました。

 そしてつい先日リリースされたのが本作『Pool』。今回は18曲の2時間近くにも渡る大作、というよりも、リズムの展開がひとつのストーリーを描くような『Compro』などに比べると、どこかコンピレーションのような作品に。グリングリンとグラインドするAFX的な高速ドラムの冒頭の “Nvivo”、または “Rdvnedub”、アートコア・ジャングルな “Dolan Tours”、メランコリックなIDMサイドとジュークを絡め取ったような “Harrison Ford”、幽玄なアンビエント・トラック “Absence”、エレクトロの実験 “60681z” “Pepper Boys” などなど、楽曲はまさにいろいろ、とにかくこれでもかというくらい彼のリズムへのセンスが感じられる様々な楽曲が集録されています。
 作品としてはコンピレーション盤のようですが、時代の空気というか、いまこのコロナ禍をへて、ダンスフロアに過去のIDMやエレクトロニカ的なビート実験から、なにを取捨選択しようとしているのか、そのプロセスが垣間見えてるのではという感覚があります。そのあたりは先を考えると非常におもしろいのではという作品ではないかと思うわけです。どこかアルバム1枚のアーティストの表現を核にしたものというよりも、彼のある種の天才肌な感性を通した、時代のドキュメントといった感じすらあります。多様にばらまかれた種子が今後、ダンスフロアでどんな芽を出し葉を茂らすのか、そんな可能性を感じる作品ではないかと。

The Master Musicians of Joujouka - ele-king

 過去5年の間、もしくは、これまでに観たなかで最高のライヴのひとつが、2017年の音楽フェスティヴァルFRUE(フルー)でクロージングを飾ったザ・マスター・ミュージシャンズ・オブ・ジャジューカだった。このモロッコ人たちは二度のアンプリファイド(音響ありの)・パフォーマンスで、メイン・ステージの観客の心を揺さぶる能力を披露し、すでにその週末のスターとなっていた。

 そんな彼らの最終ステージは、会場を音楽祭のマーキー(大テント)に移しての深夜のアコースティック・セットだったが、PAなしで耳が聴こえなくなるぐらいの大音量を出すことのできるバンドには、そのような違いは、ほとんど意味を持たない。舞台のセッティングは、リフ山脈の麓にある彼らの村で毎年開催されているフェスティヴァルを再現したもので、舞台を覆うように敷かれた、すり切れたラグまでもが忠実に再現されていた。

 そのイベントを二回ほど体験していた自分としては、何が起こるか、大方の予想はしていたものの、彼らの音楽がFRUEの数百人の観客にもたらした効果には、やはり驚かされた。その喜びに耽る夜は、本物の、ハンズ・イン・ジ・エア(両手を空にあげる)なレイヴのようで、4時間近くに及ぶパフォーマンスで、グループが新たな高みへと昇華する度に観客は喜びの雄叫びをあげた。

 このような体験をレコードに収めるのは常に難儀なことであり、非常に優れたいくつかのリリースを含むマスターズのディスコグラフィでも、彼らのライヴ・パフォーマンスほどの恍惚感をもたらしたものはない。彼らの名を世に知らしめた1971年のアルバム『ブライアン・ジョーンズ・プレゼンツ・ザ・パイプス・オブ・パン・アット・ジャジューカ』では、サイケデリックな特性を際立たせるために、音楽に電子的な処理が施され、そのフィジカリティ(肉体的な衝動)が犠牲になってしまった。

 それ以来、グループのリリース(バシール・アッタール率いるライヴァルの一団であるThe Master Musicians of Jajoukaも含む)は、フィールド録音から、2000年にアッタールがその一団とタルヴィン・シンとで制作した、グループの名を冠したアルバム(これはスルーしてよい作品。信じてほしい)のような作り込み過ぎたワールドビート・フュージョンのようなものなど、多岐にわたっている。しかし、2016年にパリのポンピドゥー・センターで行われた「ビート・ジェネレーション展」でのコンサートを収録した『ライヴ・イン・パリ』ほど、好き勝手に、力強くやっている録音はないと自信を持っていえる。

 2017年の日本ツアーの際に限定盤として販売されたCDの、正式なLPレコードとデジタル音源のリリースは、1年以上にわたるCOVID-19煉獄の後では、より歓迎されるに違いない。これは、マスター・ミュージシャンズのアンプリファイド・モードであり、2017年のErgot Recordsからリリースされた『Into The Ahl Srif』のフィールド録音とは全く異なっており、私が記憶しているジャジューカのフェスティヴァルでのサウンドに近いものになっている。

 とくにカーマンジャ(ヴァイオリン)奏者のアハメッド・タルハは、アンプの使用により、驚くべき微分音が際立つという恩恵を受け、より力強い演奏となっている。彼は1枚目のB-SIDEで中心的な役割を果たしており、故・アブデスラム・ブークザールがリード・ヴォーカルを務めた“ブライアン・ジョーンズ・ジャジューカ・ヴェリー・ストーンド”などの定番曲で、喜びにあふれんばかりの演奏を披露。裏面にも同じような曲がいくつか登場するが、ここでは音楽は曲がりくねったような、コール&レスポンスのリラ(笛)とパーカッションがヒプノティックにブレンドされており、複雑なポリリズムが各曲の終わりに突然跳ねて、アッチェレランドで加速していく。

 しかし、最大の魅力は、アルバムの2枚目に収録された、トランス状態を誘発するような“ブゥジュルード”のフル・ヴァージョンだ。伝統的には、これはジャジューカ村のフェスティヴァルの最終夜に、火の灯された儀式のサウンドトラックとして演奏される組曲で、普段は寡黙なモハメド・エル・ハットミが、伝説の半人半獣(人間とヤギ)のブゥジュルードとして知られる生き物を体現する。

 武骨な毛皮の衣装を身に纏い、悪霊を追い出すために人々を激しく叩くハットミの姿は、秋田県男鹿半島のナマハゲを思い出すが、音楽は全くの別物で、感覚を奪われるようなダブル・リード楽器のライタ(あるいはガイタ)が、雷鳴のようなパーカッションを背景に、群がり合い、渦を巻くように襲ってくる。

 ライナー・ノーツのなかで、グループのマネージャー兼プロデューサーであるフランク・リンは、コンサートのこの部分は、音楽の原始的なオーセンティシティ(真正性)を保つために、ペアのステレオ・マイクロフォンを2つ使用したと洒落た言葉で説明しているが、これは、非常に激しくロックしているという意味だ。44分近くに及ぶ曲の中央部では、ライタが集結し、奇妙なフェイジングの効果を発揮して、音楽そのものが錯乱しているかのようだ。
 
 グループのライヴを体験できる機会が不足しているなか、このもっとも純粋な形のトランス・ミュージックは、自分自身を解き放ち、身をゆだねるべき音である。唯一、このLPヴァージョンの批判をするとしたら、半分聴いたところで、こいつをひっくり返さなくてはならないことだ。リンによると、ポンピドゥー・センターでのコンサートでは、ステージへの客の侵入で最高潮に達したというが、これはスーサイドが演奏して以来の出来事だったそうだ。この証拠に基づけば、それこそが、道理にかなった反応だったと思う。

(アラビア語読み協力:赤塚りえ子)

The Master Musicians of Joujouka
Live in Paris

Unlistenable Records
bandcamp

James Hadfield

One of the best shows I’ve seen in the past five years―maybe ever―was the closing set that the Master Musicians of Joujouka played at Festival de Frue in 2017. The Moroccans were the stars of the weekend, having already done a pair of amplified performances that demonstrated their ability to rock a main-stage crowd.
For their final appearance, they shifted to a marquee in the festival campsite for a late-night acoustic set―though such distinctions mean little to a band that’s capable of achieving deafening volumes without the need for a PA. The setting was a convincing recreation of the festival that the group hold each year at their village in the foothills of the Rif Mountains, right down to the threadbare rugs covering the stage.
Having been to that event a couple of times myself, I had a fairly good idea of what to expect, but the effect the music had on the assembled crowd of a few hundred people at Frue still took me by surprise. It was a night of joyous abandon: proper hands-in-the-air rave stuff, people howling with joy as the group kept ascending to new heights of intensity over a performance lasting nearly four hours.
Capturing that kind of experience on record is always going to be a challenge, and the Masters’ discography―while featuring some very fine releases―has never delivered anything quite as ecstatic as their live performances. On the 1971 album that first introduced them to a wider audience, “Brian Jones Presents the Pipes of Pan at Joujouka,” the music was subjected to electronic treatments that accentuated its psychedelic properties at the expense of its physicality.
Since then, the group’s releases―and those by rival outfit The Master Musicians of Jajouka led by Bachir Attar―have ranged from field recordings to over-produced worldbeat fusion efforts like the self-titled 2000 album that Attar’s troupe recorded with Talvin Singh (trust me: you can skip it). But I’m confident in saying that nothing has kicked out the jams quite as emphatically as “Live in Paris,” which captures a 2016 concert at the Centre Georges Pompidou, held as part of an exhibition dedicated to the Beat Generation.
Sold in a limited CD edition during the group’s 2017 Japan tour, the album has finally had a proper vinyl and digital release, and after over a year of COVID-19 purgatory it feels all the more welcome. This is the Master Musicians in amplified mode, and it’s very different from the field recordings heard on the 2017 Ergot Records release “Into The Ahl Srif,” which came closer to how I remember them sounding at the festival in Joujouka.
Kamanja (violin) player Ahmed Talha in particular benefits from amplification, letting his astonishing microtonal playing assert itself more forcefully. He takes a central role on the B side of the first disc, which features ebullient renditions of staples like “Brian Jones Zahjouka Very Stoned,” with lead vocals by the late Abdeslam Boukhzar. Some of the same pieces pop up on the flip side, though here the music is a hypnotic blend of sinuous, call-and-response lira flutes and percussion, with complex polyrhythms that leap into sudden accelerandos at the end of each piece.
However, the biggest draw is the album’s second disc, which contains a full version of the trance-inducing “Boujeloud.” Traditionally performed on the final night of the festival in Joujouka, this suite provides the soundtrack for a fire-lit ritual, in which the normally retiring Mohamed El Hatmi embodies the mythical half-man, half-goat creature known as the Boujeloud.
The spectacle of Hatmi, dressed in a ragged fur costume and vigorously thwacking people to drive out evil spirits, brings to mind the Namahage of Akita’s Oga Peninsula, but the music is something else altogether: a sense-scrambling assault of double-reeded ghaita that seem to swarm and swirl around each other, backed by thunderous percussion.
In the liner notes, the group’s manager and producer, Frank Rynne, explains that this part of the concert was recorded with two stereo pair microphones to “maintain the primordial authenticity” of the music, which is a fancy way of saying that it rocks very hard indeed. During the central stretch of the nearly 44-minute piece, the massed ghaita start creating weird phasing effects, like the music itself is becoming delirious.
Short of catching the group live, this is trance music in its purest form―sounds to lose yourself in, surrender to―and my only criticism of the vinyl edition is that you have to turn the damn thing over halfway through. The Pompidou concert culminated with a stage invasion, which Rynne says had only previously happened when Suicide played there. On this evidence, it was the only sensible response.

5 さらばロサンゼルス - ele-king

 4月初旬、久しぶりに羽田からロサンゼルス行きのボーイングに乗った。去年、帰国した時と変わらず、羽田は閑散としていて手荷物検査場も10分掛からず通過できた。しかし手荷物検査場を出てすぐのところでパスポートに挟んでいたはずのフライトチケットが無いことに気付く。物をなくすというのはなんとも不思議な感覚である。数秒前まで大事に持っていたはずのものが跡形もなく消えているのだからちょっと笑ってしまった。搭乗まで時間もあったので再発行してもらいことなきを得たがなんとも幸先の悪い旅のはじまりである。

1. Vegyn - Like A Good Old Friend

本人主宰のレーベル〈PLZ Make It Ruins〉から、僕の最近の夜散歩のお供、ユルめなダンスEP。フランク・オーシャン等のアルバムに参加したりプロデューサーとしても名を馳せつつあるが自分の作品も感嘆の完成度。僕はエモいという言葉が本当に嫌いなのですが、これはなかなかエモいかもしれない。決して古くさい感じはしないけど、昔のことに思いを寄せたくなるような、寂しげなノスタルジーを感じる。余談だがVegyn(ヴィーガン)ことJoe Thornalleyの父親はPhill Thornalley (元ザ・キュアー)らしい!


 今回の旅の目的は留学先に残してきた荷物の片付けである。ちゃんと自分で書くのは初めてだが、僕はここ3年ほどの間ロサンゼルスに住んでいた(といっても2020年は半分以上日本にいたので実質2年半だが)。去年の7月はまだパンデミック真っ只中で、通っていたカレッジもオンラインに移行したので登校できるようになったら戻ろうと荷物もほとんど置いて帰ってきたのだが、とりあえず日本で腰を据えて頑張ろうという決心がついたので完全帰国を決めた。
 高校入学前に親から留学を勧められたときはなかなか勇気が出ず、流されるように日本の高校に入学し、2年生も半分終わるころやっと決心がつき突然ロサンゼルスの高校に編入し、卒業後もカレッジまで行かせてもらったのに途中でやめる中途半端さと天邪鬼な性格を両親と預かってくれていたゴッドマザーに詫びるとともに感謝したい。

2. Joseph Shabason - The Fellowship

 テキサス州オースティンのレーベル〈Western Vinyl〉から。去年リリースされたChris Harris, Nicholas Krgovichとの共作、''Philadelphia''も素晴らしいアルバムだったけど、今作も繊細で気持ちの良いがより実験的なアルバム。 ''Philadelphia''で多用されてた笛みたいな音はShabasonの仕業だったのか。今作でもよく笛を吹く。曲によってだいぶ曲調が違く、アンビエント・ポップ的な曲もあれば、打楽器が複雑に重なっていく曲やギターでノイズを出すのもある。1人で真面目に聴いても良いし、暗すぎないので部屋でかけても良さそう。


 LAX(ロサンゼルス国際空港)に着くと通常はイミグレーションで1、2時間は待たされるのだが空いていたので、ものの30分で出られた。入国の際のPCR検査や自主隔離の説明、体調の確認などもいっさい無く、入国してすぐにアメリカを感じさせられる。ゴッドマザーと幼馴染である彼女の娘が迎えにきてくれ、久しぶりの再会を喜び「フライトチケットなくしちゃってさ〜笑」などとお喋りしながら家へ向かう。このとき僕は空港のカートにパスポートを置き忘れているのに全く気づかず、アメリカの空はいつ見ても大きいな〜などとうつつを抜かしているのであった。パスポートをなくしたのに気付くのは2週間後のことである。

3. Shame - Live in the Fresh

 前々回すでにアルバムのことは書いたのでバンドの説明は省きます。パンデミック中なので無観客ライヴのライブ盤。1曲目“Born in Luton”の冒頭のシーケンスでもうがっちり掴まれる。Youtubeにミニコント付きの映像も上がっています。なぜかYoutubeのほうが音が良いし映像あったほうが上がるのでYoutube推奨。 コントちょっと面白いけどコメントを見るとあんまりウケてないところも良い。


 2週間隔離を終え街に出た。ワクチンの接種もはじまっていて徐々に人出も増えてきている。移転した〈Amoeba Music Hollywood〉も人数制限のせいもあるがレコードストアデイでもないのに入店待ちの行列。
 以前より敷地面積は狭いがやっぱりデカイ。レコードコーナーが縮小してCD、DVDコーナーと半分ずつくらい。僕の好きだったグローバル・ミュージック・コーナーにいたっては棚四つくらいしかなく残念。

4.Tex Crick - Live In... New York City

 マック・デ・マルコのレーベル、〈Mac's Record Label〉(そのまま)からTex Crickのセカンド・アルバム。 タイムスリップしてきたのかってくらいの、もろ70'sソフトロック。むしろ若いリスナーには新鮮であろう、70年代とはもう半世紀前だし、シティ・ポップのリヴァイヴァルがあるし、ちょっと前Tik Tokでフリートウッド・マックが流行ったりしてたし。力の抜けた歌も心地良いし、シンプルで嫌味のないピュアさがグッとくる良アルバム。


 片付けとパスポートの再発行をすませ、パンデミック中に長居する理由もないので東京へ帰る。正直ロサンゼルスという街に飽きていたので未練はないが、少し名残惜しいのはタコス・アル・パストールくらいだ。アル・パストールはスパイスに漬けた豚肉を回転式グリル機でカリカリに焼いてパイナップルと一緒にいただく屋台タコスで僕の大好物。LAの渇いた空気と炭酸飲料とタコスのタッグの破壊力は凄まじい、本場メキシコにもぜひ行ってみたい。残念ながら東京には美味しいアル・パストールを出す店は無い。あの味を求めていつかまたロサンゼルスに行かなければならないだろう。

MAN ON MAN - ele-king

 マン・オン・マンのデビュー・シングル“Daddy”のミュージック・ヴィデオには笑った。それは年の差ゲイ・ベア・カップル(「ベア」はゲイ・コミュニティにおいて肉づきがよくて毛深い男性のセクシーさを表現する意味で使われます)が半裸でイチャイチャしているだけのもので、イケてるダディ(「ダディ」はゲイ・コミュニティにおいて中高年男性のセクシーさを表現する意味で使われます)との性的な体験の期待がパンデミックによって邪魔されることの不安を歌った歌詞といい、いま世のなかは大変だけど、こんなに朗らかに過ごしているゲイ・カップルもいるんだな……とちょっと励まされたのだった。
 しかし微笑ましく思っていた数日後、このヴィデオが「過度に性的である」という理由でYoutubeから消されてしまう。え!? いや、ヘテロセクシュアルのものでもっと過激にエロティックなものはいくらでもあるし、ゲイものでも(いわゆる)美青年のものだったらそう簡単に消されないでしょう。「ホモフォビアだ」とゲイのリスナーから抗議が出てしばらくするとヴィデオは復活したが、ダイヴァーシティ・マーケティングが当たり前になった現在、Youtube側にも悪気があったわけではないだろう。ただ、ゲイ度が濃すぎたのだ。ゲイを含め性的マイノリティの表現の受容において世界はこの10年で本当に進んだけれど、世のなかはまだ、ブリーフ姿のおじさんふたりがイチャイチャしているのは見たくないのかもしれないな。だけど僕は子どもの頃から、それがずっと見たかった。本当に。

 ともあれ、当人たちは激しく抗議することもなく、自己隔離のなかでクリエイティヴィティを保つために作ったという音楽をたんたんと発表していく。セカンド・シングルのタイトルは“Baby, You're My Everything(ベイビー、きみはぼくのすべて)”だ。ヴィデオはやっぱり、ゲイ・ベア・カップルが半裸でイチャイチャしているだけのものだった。
 マン・オン・マンはフェイス・ノー・モアのキーボーディストであるロディ・ボッタムが彼氏のジョーイ・ホルマンと組んだユニットで、これがデビュー作だ。ボッタムはハード・ロックやメタル・シーンのなかでは珍しくかなり早くからカミングアウトしており、『アダム&スティーヴ』とのタイトルのゲイ・ラブコメ映画のサウンドトラックを担当するなど、長年飄々とゲイ・コミュニティに貢献してきた人物だ。ただ、ロックのなかでもとくにマッチョなシーンに身を置いてきたために、ホモフォビックな言動は数多く目にしてきたし、実際、カミングアウトは多くのひとに止められたという……ファンを失うことになるぞ、と。それでもボッタムは堂々と「ゲイであり続けた」。元ハスカー・ドゥのボブ・モールドといい、いま60歳前後のゲイ・ロッカーたちが元気に活動していることには、いちゲイとして素直に尊敬の念を抱かずにはいられない。
 アルバムはもっとシンセ・ポップ寄りになるのかと思っていたら、オープニング・ナンバー“Stohner”がもろに90年代オルタナ・ロック調なのを皮切りにして、かなりギター・ロック然とした1枚である。ホルマンは何でもクリスチャン・ロック・バンドのメンバーだったそうで、彼もまた同性愛嫌悪が強いシーンに身を置いていた人物なのだが、彼の音楽的嗜好が反映されたものなのだろう。エレクトロニックなダンス・ポップはゲイ・ポップスとしてはいまやクリシェになっている側面もあるので、ゲイネスをたっぷり表現したロック・ミュージック──1980年代からクィアコアと呼ばれてきた──はいま、かえって新鮮だ。いや音としては新しいものではないが、クィア性があまり目につかなかった90年代のハード・ロックやオルタナティヴ・ロックを新しい価値観から再訪しているようにも見える。そこにはボッタムをはじめとして、少なくないセクシュアル・マイノリティが存在したのだと。

 だから、基本的にボッタムが年下の彼氏のことが好きで好きで仕方ないということが伝わってくるだけの本作は、他愛もないと言えばそうだが、その他愛のなさによってこそセクシュアル・マイノリティの生を祝福する。フワフワとした曲調で素朴に歌われる“It's So Fun (To Be Gay)(ゲイでいることはすごく楽しい)”はそして、21世紀の“Glad to Be Gay”だ。トム・ロビンソン・バンドによるアンセムのように闘争的な姿勢はこの曲にはないが、とにかく楽しく生きることで、マン・オン・マンはセクシュアル・マイノリティの現在と未来をエンパワーメントしているのだ。
 同性愛を「不道徳」だとかトンチキなことを言う人間は残念ながらいつでもいるし、ゲイ度を濃くすると消去されることもまだまだあるだろう。だからこそ、僕たちは自分たちの性と生を謳歌しよう。彼氏のことが大好きなら、人前でイチャイチャしたってかまわない。ゲイ・シーンのパイオニアはかく語りき──It's so fun to be gay!

The Smile - ele-king

 トム・ヨークジョニー・グリーンウッド、そしてトム・スキナーによる新バンドが始動する。
 トム・スキナーといえば、UKジャズ・シーンにおけるキイパースンのひとり。自身のハロー・スキニーをはじめ、メルト・ユアセルフ・ダウン
サンズ・オブ・ケメットオスカー・ジェロームから松浦俊夫、ハーバート『One Pig』やフローティング・ポインツ『Elaenia』などのエレクトロニック系まで、数々の作品に参加してきた敏腕ドラマーだ。

 さすが音楽をしっかり追っているトム・ヨーク、目のつけどころがちがう(サンズ・オブ・ケメットの新作は今年のベスト・アルバム候補です)。まあトム・スキナーはジョニー・グリーンウッドの作品にも参加していたので、そのつながりもあるのだろう。なんにせよ、あっぱれなプロジェクトのはじまりだ。続報を待とう。

Eventless Plot - ele-king

 ギリシャを拠点とするエレクトロ・アコースティック・トリオ「イヴェントレス・プロット」は、テープ・オペレーションやモジュラーシンセを担当する Vasilis Liolios、ピアノの Aris Giatas、Max/MSPをもちいてデジタル・プロセッシングを手掛ける Yiannis Tsirikoglou ら3人のメンバーによって構成されている。
 活動開始は2002年。ボローニャ、ミラノ、テッサロニキ、スコピエ、アテネなどヨーロッパ各地でライヴ活動を展開し、インスタレーションや映画、ダンス・プロジェクトのためのサウンド・デザイン・作曲なども精力的に手掛けてきた。
 録音作品は2009年にテッサロニキのレーベル〈Granny Records〉からアルバム『Ikon』をリリースしてから、UKの〈Aural Terrains〉、〈Creative Sources〉、ロスアンジェルス〈Dinzu Artefacts〉などの世界各国の現代音楽・実験音楽レーベルから多くの作品を送り出してきた。2020年には最先端の現代音楽レーベルの老舗的存在〈Another Timbre〉からアルバムをリリースしたほどである。

 彼らのサウンドをあえて簡単に解説すれば「音のコラージュ」と「00年代以降のデジタル・プロセッシング・サウンドを現代において継承・発展させたエクスペリメンタル・エレクトロ・アコースティックな音」となるだろうか。特にデジタル・プロセッシングによる音の加工は、00年代以降の電子音響の系譜をいまも受け継ぐものだ。むろん彼らの音は形式に囚われているものではない。ときにクラリネット奏者、ときにハープ奏者、ときにサックス奏者などともコラボレーションを積極的におこない、音響/音楽の境界線を越境するようなサウンドを作り上げてきた。

 2021年にリリースされた『Phrases』(しかもセルフリリース作品。フィジカルとデジタルの両方でリリースされている)においては、デジタル・プロセッシングされたサウンドは、洗練と精巧の域にまで達しており、「一級の音響作品」という呼称に相応しい出来栄えである。
 本作はドイツ政府が設立した公的な国際文化交流機関「ゲーテ・インスティテュート」によるプロジェクトであるインタラクティヴ・ウォール・インスタレーション「Disappearing wall」(https://www.goethe.de/en/kul/erp/eur/21758431.html)のために制作依頼された6チャンネルの電子音響がベースとなっている(アルバム化にあたりステレオ・ヴァージョンへと再構築されている)。
 もちいられている音の要素はテープやモジュラーシンセ、ピアノ演奏、声などだ。それらのマテリアルをMax/MSPを用いた高度なデジタル・プロセッシングによって統合・接続し、精密かつ繊細な音響空間を生みだしている。ちなみにマスタリングを手掛けているのは電子音響の巨匠ジュゼッペ・イエラシ(!)。

 アルバムはアナログ盤ではA面(12分52秒)とB面(14分42秒)に1トラックずつ収録されている(デジタル版ではアウトテイクをコラージュした13分25秒の “Phrases (LP excerpt)” を収録)。どのトラックも00年代以降の精巧・緻密な電子音響の構造を継承し、発展・深化させたデジタル・プロセッシング・サウンドの結晶である。
 特に「声」は、本作の中心に位置するサウンド・エレメントといえよう。ハンナ・アーレントから引用されたテキストやハンガリーのノーベル文学賞受賞者であるイムレ・ケルテスの声明などがコラージュ/朗読されるのだが、その言葉、声の肌理、声の音響は、Yiannis Tsirikoglou によって精密に細やかに分解され、音響化されていく。「声」から言葉の「意味」が剥奪され、「音」それ自体となり、やがて声と言葉は別の遠近法を獲得し、言葉がまるで「オブジェ」のようにそこに「ある」かのような存在感を獲得する。その音はデジタルでズタズタに切り刻まれ、まるでドローンのように融解していく瞬間すらあるほどだ。

 イヴェントレス・プロットはアルバムのリリースにあたって次のように記している。
「多くの歴史的、哲学的な要素を持つテキストの言語、意味、国、時間が再検討され、音の特徴に基づいて分類され、異なる視覚的、代替的な解釈が引用されている」。そして「時空を超えたフレーズの録音から始まり、それらを加工し、ほかのさまざまな音源を加えることで、「観客」と「壁」のインタラクションに新たな次元を与える空間的なサウンド・インスタレーションが生まれる」。「ギリシャの壁に表示されたヨーロッパ文化からのさまざまな引用に基づいている」(https://eventlessplot.bandcamp.com/album/phrases)。
 そう、このアルバムはいわば「声」と「音楽」と「ノイズ」による引用(テクスチャー)の織物であり、どこかあのジャン=リュック・ゴダールの『映画史』のように、素材と素材が接続されることでヨーロッパの「歴史」が浮かび上がってくるような音響作品でもある。音による歴史のイコンのコラージュとでもいうべきサウンドスケープであり、引用・ブリコラージュされる、ヨーロッパの歴史の「音/言葉」の音響とでもいうべきか。
 じじつ、A面を占める1曲めでも「声」のモチーフが繰り返し現れ、それから意味が剥奪され、しだいにただの音響へと変化していくさまが展開する。そして突然、美しいピアノの響きが全面化し、現代音楽的な無調からノイズ/グリッチが交錯するのだ。加えてピアノの音であっても演奏の記録というよりは、サウンドのマテリアルをデジタル加工によってコラージュしたような印象が強い。美しくて、精巧で、緻密なサウンド・マテリアルのコラージュ。それが本作『Phrases』である。

Eli Keszler - ele-king

 今日における最重要パーカッショニストと呼んでも過言ではないイーライ・ケスラー。ヘルム『Olympic Mess』からローレル・ヘイロー『Dust』『Raw Silk Uncut Wood』、OPN『Age Of』やダニエル・ロパティン『Uncut Gems』まで、数々の話題作に関わってきた異才──彼の新作がなんと、グラスゴーの〈LuckyMe〉からリリースされる。
 日本でもコロナ禍によって街の音が変わったけれど、ケスラーの新作『Icons』ではロックダウン中のニューヨークでかき集めたさまざまな音がコラージュされているようだ。現在アルバムより “The Accident” のMVが公開中です。これは楽しみ。

Eli Keszler

盟友OPNとのコラボレーションでも知られる
唯一無二の鬼才パーカッショニスト、イーライ・ケスラーが
最新作『Icons』を〈LuckyMe〉より6/25にリリース!
新曲 “The Accident” のMVが公開

ニューヨークを拠点とするパーカッショニスト/作曲家/サウンド・アーティストのイーライ・ケスラー。これまでに、〈Empty Editions〉、〈ESP Disk〉、〈PAN〉、〈Shelter Press〉といった先鋭的なエレクトロニック・ミュージックのレーベルからリリースを重ね、前作『Stadium』では Boomkat のアルバム・オブ・ザ・イヤーに選出された。また、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンが手がけたサフディ兄弟の傑作『Uncut Gems』のスコアへの参加や、ローレル・ヘイローとのコラボレーション、Dasha Nekrasova 監督の長編映画『The Scary of Sixty First』のオリジナル・スコアの作曲など活動の幅を広げ続ける彼が、最新作『Icons』を〈LuckyMe〉より6月25日にリリースすることを発表した。現在先行配信曲 “The Accident” のMVが公開されている。

Eli Keszler - The Accident
https://youtu.be/elWW-QQx8IQ

アルバム中、ドラム、パーカッション、ヴァイブラフォン、マリンバ、フェンダーローズ、その他多数の楽器がイーライ自身によって演奏されている。ゲストには往年のコラボレーターでもあるヴィジュアル・アーティストのネイト・ボイスがギターシンセで参加、更に中国やクロアチア、その他世界中のさまざまな場所で録音されたサウンドが使用されており、中には渋谷の富ヶ谷公園のサウンドも含まれているという。また、本作はアメリカの抽象主義、夢のような古代のメロディズム、インダストリアルなパーカッション、アメリカの1920年代ジャズエイジのフィルムノワール、帝国の衰退などの様々な要素の断片が散りばめられたコンセプチュアルな作品となっている。

『Icons』は、旅行や輸出入といったことが事実上停止していた時に作った音楽だ。僕は夜な夜なマンハッタンを歩き回って、車のアラームが数ブロック先まで聞こえるような、誰もいない静かな街の録音を集めた。そこでは、電気の音や自転車のギアの音といったものが大半を占めていた。昨年はずっとマンハッタンに滞在していたけど、1つの場所にあんなに長く滞在したのはここ10年の中でも初めてだった。マンハッタンは基本的に閉鎖されて、不規則なペースで動いていた。救急車、抗議活動、ヘリコプターなどの激しい状態から、美しくて奇妙な、穏やかな静寂のような状態まで、街が揺れ動いているように見えた。僕はそこで、何か奇妙で美しいことが起こっていると思ったんだ。権力が崩壊し、人々が変化していた。『Icons』では、僕たちの目の前で劣化して朽ち果てていく神話的な表現を用いて、僕らの壊れやすくて不安定な現実の中に美を見出すような音楽を作ったんだ。 ──Eli Keszler

イーライ・ケスラーの最新作『Icons』は6月25日リリース! 国内流通仕様盤CDには解説が封入され、他にも輸入盤CD、輸入盤LP(ブラック・ヴァイナル)、インディー限定盤LP(クリア・ヴァイナル)、デジタルと各種フォーマットでリリースされる。

label: LuckyMe
artist: Eli Keszler
title: Icons
release date: 2021/06/25 ON SALE

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11877

tracklisting:
01. the Mornings in the World
02. God Over Money
03. The Accident
04. Daily Life
05. Rot Summer Smoothes
06. Dawn
07. Static Doesn’t Exist
08. Late Archaic
09. Civil Sunset
10. Evenfall
11. We sang a dirge, and you did not mourn

Eli Keszler Official Website
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Oneohtrix Point Never & Rosalía - ele-king

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90年代ディスクガイド──邦楽編 - ele-king

90年代 “和モノ” 再発見!

名盤、隠れ名盤、重要盤、レア盤など650枚を紹介

渋谷系、アシッド・ジャズ、ハウス、テクノ、ヒップホップ、レゲエ、オルタナティヴ、Jポップ、エクスペリメンタル……

若者文化が音楽文化と同義であった時代のCDとレコード

監修:松村正人+野田努
執筆:大前至、小川充、河村祐介、吉本秀純、与田太郎、渡辺克己、梶本聡、武田洋、松本章太郎、Alex From Tokyo
装画:SK8THING

contents

Introduction

■Chapter 1 DJ Culture

・from Downtempo to Leftfield
 ダウンテンポ、DJカルチャーのレフトフィールド

・Club Jazz
 ダンスミュージックとしての “ジャズ”
 アシッド・ジャズからクロスオーヴァーへ

・Crue-L Records
 クルーエル・レコーズ
 90年代を体現するインディペンデント・レーベル

・Japanese Rap / Hip Hop
 ジャパニーズ・ラップ、ヒップホップ

・House
 90年代ジャパニーズ・ハウス

・Techno
 90年代のテクノとその周辺

・Roots Dub, Ska, Rocksteady
 ルーツ、ダブ、スカ、ロックステディ、レゲエとその周辺

■Chapter 2 Alternative

・Boredoms and more
 オルタナティヴの発火点、ボアダムスとその周辺

・Alternative, Indie
 渋谷系、ギター・ポップ、インディ&オルタナティヴ

・Lounge, Mood, Mond and Avant Pop
 ラウンジ、ムード、モンド・ミュージックとアヴァン・ポップ

・Avant Alternative
 サイケデリック、ヘヴィ・ロック、ハードコア、ノイズ、エクスペリメンタル

・Sokkyo & Onkkyo, Others
 即興、音響、ビッグバンド、フォーク・ミュージック、97年組

■Chapter 3 J-Pop

・Female Singers
 ディーヴァ~女性シンガー

・Icons
 ビッグヒット、アイドル、プロデューサー

・J Rock, Pop, Funk and more
 Jロック&ポップ

90'S Music & Culture History Chronology
平成からはじまる90年代音楽文化史年表

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 モーリッツ・フォン・オズヴァルトを中心に、これまでマックス・ローダーバウアーサス・リパッティ、故トニー・アレンと、錚々たる顔ぶれが集ってきた MvO トリオ。きたる8月6日に〈BMG〉傘下の〈Modern Recordings〉から6年ぶりのニュー・アルバム『Dissent』がリリースされる……のだが、そこでメンバーが刷新されていることが明らかになった。
 ひとりは、ドイツのジャズ・ドラマーのハインリヒ・ケベルリング。彼は、〈ECM〉から作品を発表している同国のピアニスト、ジュリア・ハルスマンのクァルテットの一員であり、大阪出身のピアニスト、高瀬アキの作品に参加したこともある。
 そしてもうひとりはなんと、ローレル・ヘイロー。2010年代のエレクトロニック・ミュージックを代表する彼女とモーリッツとの出会い、これはビッグ・ニュースだ。
 新作は2020年の11月と12月にベルリンで録音されたそう。現在アルバムより “Chapter 4” が公開中。音、ヤバいです。これは期待大。

[5月20日追記]
 MVも完成していたようです。クール!


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