「Ord」と一致するもの

Tohji - ele-king

 Tohji のデビュー・ミックステープ、『angel』がリリースされた。

 これまで、Abema TV の番組「ラップスタア誕生」でポエトリーにも近い独特なスタイルで注目を集めた。同時にオリジナル楽曲や海外のトラックメーカーのビートに乗せた曲を SoundCloud で公開し、2018年にはEP「9.97」をリリースした。

 今年は Mall Boyz (Tohji + gummyboy) 名義での“Mall Tape”のヒットで着実に知名度を高め、渋谷WWW でデイタイムの彼自身の主催イベント《Platinum Ade》では、未成年のファンを中心に550人ものクラウドを沸かせた。Tohji は彼自身の人気に加えて、Mall Boyz 周辺のシーンをまとめ上げる風格を帯びてきている。

 現行のメインストリームであるトラップ・エモーショナルなラップから、ジャージークラブやパラパラなどのダンス・ミュージックも器用に乗りこなし、ジャンルに縛られない柔軟なスタイルで幅広い世代のファンを魅了してきた。そんな Tohji による待望のミックステープには、彼のスピードに対する冴えた感覚、滾る若さ、そして彼の詩人としての才を随所に感じられる。

 MURVSAKI のビートとF1の轟音でスタートする本作は、ヘヴィな“Snowboarding” で幕を開ける。得意にしているメロディックなフロウとは打って変わり、“flu feat. Fuji Taito”で魅せたようなひとつのキーでモノトーンに攻める。続いて SoundCloud で先行公開されていた“Rodeo”では、英語詞のラップを披露。日本語と英語を同列のレヴェルで扱うことで、言葉が持つ音の面白みを感じられる一曲だ。また、ここで比肩すべき人物として北野武を挙げるところも、映像的な表現が光る彼のスタイルらしい部分である。

飲み込めハイチュウ、食べてる最中 “HI-CHEW”

 インタールードを挟んで“HI-CHEW”では、最初の2小節で全てを語りつくしてしまうこのラインに痺れた。言葉では一言も触れていないのにもかかわらず、このラインは若さや彼の勢いを全て表現していて、その勢いは、MURVSAKI のパワフルなビートに張り合ってこの曲を特別なものにしている。Loota が参加した“Jetlife”では、Mall Boyz の“Higher”と同じ“空”のモチーフを、今度は空の上からダイナミックに掴んでいる。この2曲はこのミックステープのハイライトだと思う。

 “トウジ負傷”を挟み、終盤ではグライム・プロデューサーとしても知られる Zeph Ellis の制作したビートに乗せて、彼らしいラヴソングである“on my way”、そして再び MURVSAKI によるビターなラヴソング“miss u”で幕を閉じる。

 このミックステープはこれまでのリリースよりもより多面的な Tohji をのぞかせてくれる。そこにはラッパーとしてのセルフボーストだけでなく、彼の優しさや傷のヒリヒリとした生々しさもある。それぞれの面が魅力的であり、彼の類い稀な才能が世界にさらけ出された一枚だ。

Haruomi Hosono - ele-king

 いやはや、半世紀である。細野晴臣がエイプリル・フールとしてデビューを果たしてから50年──はっぴいえんどやYMOはもちろん、ソロとしてもじつに多くの遺産を音楽史にもたらしてきた彼のアニヴァーサリーを祝し、その足跡を追ったドキュメンタリー映画が公開される。タイトルは『NO SMOKING』。近年の活動にも密着し、昨年のワールド・ツアー(高橋幸宏、小山田圭吾、坂本龍一が参加したロンドン公演も含まれる)やヴァン・ダイク・パークス、マック・デマルコらとの交流の様子も映し出されているそうで、音楽とタバコとコーヒーと散歩を愛する細野晴臣の人間性がぎゅっと凝縮された作品になっているとのこと。11月、シネスイッチ銀座、ユーロスペース他にて全国順次公開です。

細野晴臣デビュー50周年記念ドキュメンタリー映画
『NO SMOKING』
公開決定&特報解禁&場面写真解禁!

水原希子、小山田圭吾など著名人も愛してやまない「“細野さん”に会いにいこう。」
音楽家・細野晴臣のこれまでの歴史と知られざる創作活動を収めた特報映像が解禁!

タイトル『NO SMOKING』とは? by細野晴臣

世界中を旅して最も感じたことは、当然のことながらどこもNO SMOKINGだったということです。しかしそれは屋内のこと。外ではほぼ喫煙OK。意外と寛容なところがありました。紐育、倫敦では路上ポイ捨てが常識で、それに馴染めずに自分は携帯灰皿を持ち歩いたのです。それを見た土地の人から「礼儀正しいね、でも吸い殻を清掃する業者の仕事を奪う」ってなことを言われました。なるほどそういうこともあるのか。その携帯灰皿を紐育で紛失し、買い求めようとしたらどこにも売ってません。あれは日本独自のものらしい。仕方なく紙コップを持ち歩きました。日本の路上禁煙は珍しい例だそうです。香港はブロック毎に大きな灰皿が設置してあり、喫煙率が高そう。長旅でホテルに泊まれば、ぼくは1時間毎に外の喫煙所へ出ることになり、それはかなり苦痛なことです。部屋で吸えば高額な罰金を取られますから。世界が歩調を揃えているこの禁煙法には違和感を持ちつつも、逆らうことはできません。ですから人に迷惑がかからないことを念頭に、周囲を見渡しながら喫煙を心がけているわけです。喫煙所さえあれば一安心。こうしてNO SMOKINGの世界でSMOKERを自認するのは、ひょっとするとタバコをやめるよりも意志の強さが必要となります。煙を吐くだけで差別され、否応なく少数派の立場に立たされるのですから。「詭弁を言わずにやめたら?」と言われます。いやいや、20世紀の文化を支援してきた紫煙に、突然愛想をつかすわけにはいかないのです。(細野晴臣)

《細野晴臣 コメント》
自分の映画が出来上がって上映されるとは夢のようですが、同時に悪夢だとも思えます。何故生きている間にこんなことになったのかといえば、今年になって50年も音楽生活を続けてきたせいでしょうか。このような映画を自分で作ることはできません。製作陣の熱意があってこそ実現したものであり、自分も観客のひとりとして見ることになります。しかし到底客観的な評価などできるはずもありません。どうか見た人が少しでも得ることがあるように、と祈るばかりです。

《佐渡岳利監督 コメント》
YMOに衝撃を受けた少年時代から仕事をご一緒させていただく今に至るまで、細野さんを「スゴい!」と思い続けてきました。私と同じ思いの方には、その再確認ができて、初めて細野さんに出会った方には我々と同じ思いになれる映画にしたいなと思います。カッコ良くて、カワいくて、音楽を心から大好きな細野さんに、是非会いにきてください。

〈細野晴臣 ホソノハルオミ〉 プロフィール
1947年東京生まれ。音楽家。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント・ミュージックを探求、作曲・プロデュース、映画音楽など多岐にわたり活動。2019年デビュー50周年を迎え、3月ファーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」を新構築した「HOCHONO HOUSE」をリリース し、6月アメリカ公演、10月4日から東京・六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイギャラリーにて展覧会「細野観光1969-2019」開催。
https://hosonoharuomi.jp

〈監督:佐渡岳利 サドタケトシ〉 プロフィール
1990年NHK入局。現在はNHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー。音楽を中心にエンターテインメント番組を手掛ける。これまでの主な担当番組は「紅白歌合戦」、「MUSIC JAPAN」、「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」など。Perfume初の映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』も監督。

【細野晴臣デビュー50周年 〈細野さんに会いに行く〉】
〈NEW ALUBM〉「HOCHONO HOUSE」発売中
〈展覧会〉「細野観光1969-2019」10/4(金)-11/4(月・休)@六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイ
ギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)
〈コンサート〉特別記念公演 11/30(土)、12/1(日)
〈COMPILETED CD〉「HOSONO HARUOMI compiled by HOSHINO GEN」(8月28日(水)発売)
「HOSONO HARUOMI compiled by OYAMADA KEIGO」(9月25日(水)発売)連続リリース!
詳細は⇒hosonoharuomi.jp

出演:細野晴臣
ヴァン・ダイク・パークス 小山田圭吾 坂本龍一 高橋幸宏 マック・デマルコ
水原希子 水原佑果(五十音順)

音楽:細野晴臣
監督:佐渡岳利 プロデューサー:飯田雅裕
製作幹事:朝日新聞社 配給:日活 制作プロダクション:NHKエンタープライズ
(C)2019「NO SMOKING」FILM PARTNERS
HP:hosono-50thmovie.jp
twitter:@hosono_movie50

11月、シネスイッチ銀座、ユーロスペース他全国順次公開

Kali Malone - ele-king

 なんという天国的な音楽だろうか。なんという崇高さを希求する音響だろうか。なんという透明な霧のごときパイプオルガンの響きとミニマムな旋律だろうか。持続と反復。俗世と重力からの解放。思わず「バロック・ドローン」などという言葉が脳裏をよぎった。
 
 カリ・マローンの新作アルバム『The Sacrificial Code』のことである。「犠牲的な、生贄のコード」? じじつカリ・マローンは音楽の「神」に身を捧げている。いや、正確には「音響と音楽が交錯し、持続し、やがて消失する、そのもっとも神聖で、もっとも美しい瞬間に身を捧げている」というべきか。この音楽はそれほどにまでに特別な美しさを放っている。
 だからといって派手で、大袈裟で、装飾的で、豪華な美ではない。パイプオルガンの持続の線がひとつ、そしてふたつと折り重なる簡素なものだ。しかし、そのミニマムな持続の生成には、音楽の持っている崇高な美がたしかに折り畳まれている。

 スウェーデンのストックホルムを拠点とするカリ・マローン(1994年生まれ)。彼女は新世代のサウンド・アーティストであり、ポスト・ミニマル音楽の作曲家である。そして西洋音楽を歴史を継承する現代音楽家であり、2010年代のエクスペリメンタル・ミュージック・パフォーマーでもある。
 カリ・マローンは弦楽器、管楽器、聖歌隊、パイプオルガンなどのオーセンティックな西洋音楽の楽器を用いつつ、デジタル処理された電子音、シンセサイザーなどをミックスし、独創的で現代的な音響空間を生成する。さらにそのライヴでは電子音のみの演奏も披露する。カリ・マローンのサウンドは優雅にして深遠。持続音(ドローン)に融解したロマン派のような響きを放つ。

 カリ・マローンは2016年にカテリーナ・バルビエリ(Caterina Barbieri)、エレン・アークブロ(Ellen Arkbro)ら現代有数のエクスペリメンタル・アーティストらとのコラボレーションEP「XKatedral Volume III」をストックホルムのレーベル〈XKatedral〉からリリースした。バルビエリとアークブロは、ともに優れたエクスペリメンタル・ミュージック・アーティストであり、バルビエリの最新作『Ecstatic Computation』(2019)、アークブロの最新作『Chords』(2019)は、タイプは違えども電子音の反復と持続の問題を追及した重要なアルバムである。
 翌2017年、カリ・マローンはエレクトロニクスに16世紀末に登場しバロック末期まで主に通奏低音楽器として用いられたテオルボ、ゴング、ヴィオラ、ヴァイオリンなどの弦楽器をミックスするファースト・アルバム『Velocity of Sleep』を〈XKatedral〉からリリースした(アメリカの〈Bleak Environment〉からも配給)。
 続く2018年、アルトサックス、バスクラリネット、ファゴットにカリ・マローンのシンセサイザーを加えたセカンド・アルバム『Cast Of Mind』を、スイスの〈Hallow Ground〉より送り出す。同年、〈Ascetic House〉より、パイプオルガンを用いたドローン作品を収録したEP「Organ Dirges 2016 - 2017」もリリースし、優美さと恍惚さを併せ持ったサウンドは大いに話題を呼んだ。
 2019年は、今回取り上げるサード・アルバム『The Sacrificial Code』をヨアキム・ノルドウォール(Joachim Nordwall)が主宰するスウェーデンの名門エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈iDEAL Recordings〉からリリースし、Acronym とのコラボレーションEP「The Torrid Eye」をストックホルムの〈Stilla Ton〉から送り出す。このEPではエクスペリメンタルなディープ・テクノを展開した。
 カリ・マローンは、エレン・アークブロ、サラ・ダヴァチー(Sarah Davachi)、エミリー・A・スプレイグ(Emily A. Sprague)らと同じく新世代のドローン/ミニマル音楽作曲家である。さらに電子音楽家カテリーナ・バルビエリやフェリシア・アトキンソン(Felicia Atkinson)、ノイズ・アーティスト、ピュース・マリー(Puce Mary)らとの同時代性を共有する2010年代を代表するエクスペリメンタル・アーティストでもある。断言するが彼女たちの音楽/サウンドを聴くことは、音響、作曲技法、録音、繊細なサウンド・ノイズの導入の結晶である現代の先端音楽のエッセンスを知る最大の手掛かりとなる。

 本年にリリースされた新作『The Sacrificial Code』は、2018年の「Organ Dirges 2016 - 2017」を継承するオルガン・ドローン作品だ。ミニマムな音階もあり、ドローンとメロディのあいだでわれわれの聴取環境を生成する見事な現代音楽作品でもある。その簡素な音階の変化に耳を傾け、ミニマルにして複雑なサウンド・テクスチャーを聴き込むことで、単一の音の中に多様な音の蠢きをリスニングすることが可能になる。
 アルバムにはLP版は2枚組で全8曲、CD盤は3枚組で23分もの長尺の追加曲を含めた全10曲、データ版も全10曲が収録されている。アルバム前半、CD盤だとディスク1に当たる「Canons For Kirnberger III」はストックホルム音楽大学で2018年3月におこなわれた。アルバム中盤、CD盤ディスク2にあたる「Norrlands Orgel」のライヴ録音はスウェーデンのピーテオーで2018年9月におこなわれた。アルバム後半、CD盤ディスク3の「Live In Hagakyrka」パートは、イェーテボリにある教会で2018年4月に演奏・録音された。この「Live In Hagakyrka」にはエレン・アークブロも参加している。これらのすべての演奏の記録はラシャド・ベッカーによって丁寧なマスタリングを施され、見事な録音芸術作品となった。

 どの曲も優美にして繊細、大胆にして深遠。極上にして天国的。パイプオルガンという西洋音楽における伝統的な楽器を用いつつも、本作のサウンドのテクスチャーは極めてモダンである。まるで電子音響やフィールドレコーディング作品を聴取するようにパイプオルガンの音を聴くことができるのだ。
 ミニマルな音階と、その音の芯のまわりに鳴るノイズの蠢きを聴き込むことで、聴き手の聴覚はゆったりと拡張するだろう。リスナーは「聴くということの意識化」と「聴くことで得られる恍惚」のふたつを得ることになるはず。
 この『The Sacrificial Code』は、そのような「聴く」という意識と、聴取のむこうにある「音響の結晶」を確実に捉えている。音楽と音響は相反するものではない。旋律や和音・和声が鳴り続けていったその先に、音楽と音響は融解・消失する。その消失地点こそ音楽/音響の結晶体なのだ。
 CD3枚、LP2枚に渡って収録された楽曲(CD・データ版は2曲追加収録されており、うち“Glory Canon III (Live In Hagakyrka)”は23分もの長尺)たちは、そのような音楽と音響の結晶地点を示す「新しいドローンおよびミニマル・ミュージック」である。全曲を通して聴くことでパイプオルガンの単一でありながら、複数の響きの蠢きを聴取することができるようになるだろう。それこそが「音響と音楽が緻密に、複雑に融解」していった「2010年代のエクスペリメンタル・ミュージック」の姿でもある。

 旋律を超えて反復へ。反復が融解し持続へ。持続が解体され複数の層へ。消失から結晶へ。本作は、そんな音楽/音響の現代的な聴取のレイヤーを内包した新しいポスト・ミニマル・ミュージックだ。それは新しい時代の教会音楽/宗教音楽への模索と接近に思えた。反復と持続が融解し、消失した瞬間に表出する「崇高な美」。この「美」を「神」とすれば、本作のサクリファイス・コードが何を開くためのものかも分かるというものだ。

Battles - ele-king

 10月11日に待望のフォース・アルバム『Juice B Crypts』のリリースを控えるバトルスが、同作を引っさげ来日公演をおこなう。11月の4日から6日にかけて、東京・大阪・名古屋の3都市を巡回。イアン・ウィリアムスとジョン・ステニアーの2人組になった彼らは、いったいどんなパフォーマンスを見せてくれるのか? ロンドンでのプレミア公演は随分と盛り上がったようなので、期待大です。チケットは明日のお昼から主催者WEB先行が発売開始、売り切れる前に急ごう!

NEWアルバム『Juice B Crypts』をひっさげ
3都市を巡る来日ツアー開催大決定!
主催者WEB先行は明日正午スタート!

その独創的なアイデアとサウンドで、ロックの常識を更新し続け、音楽ファン達に強烈な衝撃を与えてきた BATTLES が帰ってくる! 11月に東京、大阪、名古屋の3都市を巡る超待望の来日ツアーが決定! そのキャリアを再び更新する型破りな最新アルバム『Juice B Crypts』は10月11日に日本先行リリース! 各公演の主催者WEB先行は明日正午スタート!

キーボード、ギター、エレクトロニクスを操るイアン・ウィリアムスと、ドラムのジョン・ステニアーの織り成すリズムとメロディーは、よりタイトに研ぎ澄まされ、この上ないほど痛快かつ刺激的な領域へと到達! 果たしてどんなライブになるのか? その緻密かつダイナミックなアンサンブルをライブで目撃せよ! これは見逃せない!

先週ロンドンで行われた超プレミアライブでは、パンパンとなった会場が熱気で包まれ爆発寸前に!
https://www.instagram.com/p/B1Ol1-vAXc2/

初めて彼らを見たときに覚えた巨大なスリルがついに戻ってきた。体と心と魂を揺さぶる並外れた音楽は、とんでもないレベルの演奏能力があってこそもたらされるが、今夜見た新生バトルスは、まさにそれを証明するものだった。 ──Quietus

BATTLES
SUPPORT ACT: TBC

前売¥6,800(税込/別途1ドリンク代/スタンディング)
※未就学児童入場不可

明日正午より主催者WEB先行スタート!

東京公演:2019年11月4日(月・祝日)
GARDEN HALL

OPEN 17:00 / START 18:00
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277

BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFR:Rx:f4b65

大阪公演:2019年11月5日(火)
UMEDA CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFS:Rx:558d4

名古屋公演:2019年11月6日(水)
NAGOYA CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:BEATINK 03-5768-1277

BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFT:Rx:9c3fa

チケット詳細
先行発売:
8/21 (水) 正午12時〜:BEATINK主催者WEB先行
8/24 (土) 正午12時〜:イープラス最速先行販売 *8/28 (水)18:00まで
8/30 (金) 正午12時〜:ローチケ・プレリクエスト *9/3 (水) 23:00まで
9/2 (月) 正午12時〜:イープラス・プレ(先着) *9/4 (水) 18:00まで

一般発売:9月7日(土)~

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: BATTLES
title: Juice B Crypts
バトルス / ジュース・B・クリプツ

日本先行リリース!
release date: 2019.10.11 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-613 ¥2,200+tax
国内盤CD+Tシャツ BRC-613T ¥5,500+tax
ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

輸入盤CD WARPCD301 ¥OPEN
輸入盤2LP カラー盤 WARPLP301X ¥OPEN
輸入盤2LP WARPLP301 ¥OPEN

CD Tracklist
01. Ambulance
02. A Loop So Nice...
03. They Played It Twice feat. Xenia Rubinos
04. Sugar Foot feat. Jon Anderson and Prairie WWWW
05. Fort Greene Park
06. Titanium 2 Step feat. Sal Principato
07. Hiro 3
08. Izm feat. Shabazz Palaces
09. Juice B Crypts
10. The Last Supper On Shasta feat. Tune-Yards
11. Yurt feat. Yuta Sumiyoshi (Kodo) *Bonus Track for Japan

Vinyl Tracklist [2LP]
A1. Ambulance
A2. A Loop So Nice...
A3. They Played It Twice feat. Xenia Rubinos
B1. Sugar Foot feat. Jon Anderson and Prairie WWWW
B2. Fort Greene Park
C1. Titanium 2 Step feat. Sal Principato
C2. Hiro 3
C3. Izm feat. Shabazz Palaces
D1. Juice B Crypts
D2. The Last Supper On Shasta feat. Tune-Yards

WARP30周年 WxAxRxP 特設サイトオープン!
バトルスも所属するレーベル〈WARP〉の30周年を記念した特設サイトが先日公開され、これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインのレアグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズなどが好評販売中。アイテムによって、販売数に制限があるため、この機会をぜひお見逃しなく!
https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

Laura Cannell - ele-king

 この夏の切ない思いはたとえばこんな感じだろう。それを表現するのに複雑なプログラミングもそれらしい言葉も要らない。ヴァイオリンひとつあれば、こんなにも突き刺すような音楽を奏でることができる。ローラ・キャネルの『The Sky Untuned』、すなわち「チューニングされていない空」という素晴らしいタイトルのアルバムを聴いてそう思った。

 もっともこのアルバムは今年の春先にリリースされたもので、「天球の音楽」をコンセプトに作られている。ローラ・キャネルはイングランドはノリッジという古い街並みが残る街を拠点に活動しているヴァイオリン奏者で、じっさい彼女は荒廃した古い教会(の反響を利用して)レコーディングしている。その音楽はときに“中世的”と形容されているわけだが、シーンとは言えないまでも、イングランドの田舎の土着性を掘り起こすリチャード・ドーソンやハーブ奏者のエイン・オドワイヤー(このひとはアイルランド出身だが)のように、最近は都会とは距離を保ち、近代以前と現代とを往復するアヴァン・フォークとでも呼べそうなスタイルがUKでは目につくようになった。
 そもそも「天球の音楽」というコンセプトが中世ヨーロッパのものと言える。それは宇宙はじつは音楽を奏でていると、天体の運行と音楽とを結びつける考え方だ。ローラ・キャネルはそれを彼女のヴァイオリンで表現する。つまりこれは一種のスペース・ミュージックなのである。

 が、それは決してプラネタリウムで流れるようなロマンティックな音楽ではない。「チューニングされていない空」は、必ずしも牧歌的な欲望を満たす作品ではない。アルバムには張り詰めた緊張感と深いメランコリーがあり、エレガントで美しくあるが同時に破壊的でもあり、音は「アンチューンド=不協和」へと展開する。この温暖化、異常気象、ボリス・ジョンソンが首相になるくらいだからむべなるかなである。
 ……なんてまあそういうことではないのだが、しかし想像してみてほしい。たとえば披露宴かなんかで、ヨーロッパの綺麗な庭園にひとびとがいると。ひとりのヴァイオリン弾きがそこにいて演奏をはじめる。最初はその美しい音色にうっとりしていた人びとだが、演奏の途中で席を立つひともちらほら現れ、そして最後まで聴いていたひとの目には哀しみの涙が流れていると。
  アルバムには笛を演奏した曲もあり、多重録音もしているが、1曲のなかに複数の楽器を使わないことは徹底されている。そしてちょうどつい最近、彼女にとって初のヴォーカル・アルバム(ポリー・ライトとの共作)『Sing As The Crow Flies』がリリースされた。

New Order - ele-king

 『アンノウン・プレジャー』から40年。ジョイ・ディヴィジョン本の決定版、ジョン・サヴェージ(坂本麻里子訳)による『この灼けるほどの光、この太陽、そしてそれ以外の何もかも』(原題:This searing light, the sun and everything else)、お盆前に校了しました。今月28日には書店/レコード店/amazon等に並ぶ予定です。
 この本は関係者による証言を編集したオーラル・ヒストリーなので、当然、もっとも多くの発言が見られるのは、バーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリスの3人(そしてトニー・ウィルソン、ピーター・サヴィル、マーティン・ハネット、マーク・リーダー、デボラ・カーティスなど)です。けっこう珍しい写真も掲載されているし、音楽のこと以外に、デザインや写真の話なんかも盛り込まれていて、ある程度のことは知っているひとが読んでも楽しめる内容になっています。物語はイアン・カーティスの死とニュー・オーダー始動の直前で終わるわけですが、ニュー・オーダーのその後についてはバーニーの自伝をどうぞ
 で、先頃ライヴ・アルバムをリリースしたニュー・オーダー、来年の3月に来日することが決定しました。すでにこのニュース、話題になっているようで、さすがニュー・オーダー、衰えぬ人気ぶりです。

東京 3月3日(火) 新木場 STUDIO COAST
東京 3月4日(水) 新木場 STUDIO COAST
OPEN 18:30/ START 19:30
TICKET スタンディング¥10,000 指定席¥12,000(税込/別途 1 ドリンク)
※未就学児入場不可 一般プレイガイド発売日:9/7(土) <問>クリエイティブマン 03-3499-6669

大阪 3月6日(金) Zepp Osaka Bayside
OPEN 18:30 START 19:30
TICKET 1F スタンディング¥10,000 2F 指定¥12,000(税込/別途 1 ドリンク)
※未就学児入場不可 ※未就学児入場不可 ※別途 1 ドリンクオーダー
一般プレイガイド発売日:9/7(土) <問>キョードーインフォメーション 0570-200-888

制作・招聘:クリエイティブマン 協力:Traffic
https://www.creativeman.co.jp/

Floating Points - ele-king

 7月に「LesAlpx / Coorabell」という強力なシングルをリリースし、今週末にはサマソニ《NF in MIDNIGHT SONIC》への出演を控えるフローティング・ポインツが、バルセロナで開催された《Sónar 2019》でのDJセット音源を BBC Radio にて公開している。6時間にもおよぶセットの一部で、ディスコからアフロなどじつにダンサブル、会場の熱気が伝わってくる内容だ。これは17日の《NF in MIDNIGHT SONIC》も楽しみですぞ。

https://www.bbc.co.uk/sounds/play/m0006x99

FLOATING POINTS

いよいよ今週末に来日!
サカナクションとサマーソニックのスペシャルコラボレーション
「NF in MIDNIGHT SONIC」に出演するフローティング・ポインツが
Sonar Festivalで披露したDJ SET音源がBBCにて公開中!

マンチェスターに生まれ、現在は作曲家/プロデューサー/DJとし てロンドンを拠点に活動するフローティング・ポインツ。DJとしてはジェイミーXX(The xx)、カリブーやフォー・テットなどと肩を並べるほどのステータスを築き上げ、2015年のデビュー・アルバム『Elaenia』は圧倒的な完成度の高さで、その年を代表する重要作の一枚として賞賛された。2019年、再び〈Ninja Tune〉との契約を発表し、シングル「LesAlpx / Coorabell」をリリースしたばかりの彼は、今年20周年を迎える SUMMER SONIC 2019 で、8月17日(土)の深夜に開催されるサカナクションとのスペシャルコラボレーション「NF in MIDNIGHT SONIC」への出演でも話題となった。そんな彼の、バルセロナで開催された世界最高峰のエレクトロニック・ミュージックフェスティバル、Sónar 2019 での DJ Set 音源を BBC Radio にて公開中。

Benji B - Floating Points Live at Sonar 2019 (1:05:00頃からスタート)
https://www.bbc.co.uk/sounds/play/m0006x99

公開されている音源は Sónar 2019 で行われた6時間セットの一部で、ディスコ、ハウス、アフロ、ジャズなどの要素を織り交ぜたセットで、フロアのエネルギーを爆発させているのが容易に想像できる内容となっている。今週末開催される NF in MIDNIGHT SONIC でのプレイも必見!

NF in MIDNIGHT SONIC
2019年8月17日 (土) 幕張メッセ

OPEN / START : 23:00 / CLOSE 5:00
※ OPEN / CLOSE時間は変更になる場合がございます。
※「サマーソニック東京3DAYチケット」、「サマーソニック東京8/17(土)1DAYチケット・プラチ ナチケット」、「NFチケット」で入場が可能です。
https://www.summersonic.com/2019/lineup/tokyo_day2.html#md

label: Ninja Tune
artist: Floating Points
title: LesAlpx / Coorabell
release date: 2019.07.12 FRI ON SALE

A1. LesAlpx (Extended)
B1. Coorabell

Myele Manzanza - ele-king

 セオ・パリッシュのバンド、ザ・ユニットのドラマーであり、セオの主宰する〈Sound Signature〉やその姉妹レーベル〈Wildheart〉からリリースを重ねてきたマイエレ・マンザンザが、10月9日にニュー・アルバムを発売する。昨年末にセオのマイルス・デイヴィス・トリビュート曲“Love Is War For Miles”を巧みに再解釈して注目を集めた彼は、次にどんなジャズを聞かせてくれるのか。期待大です。

Myele Manzanza
A Love Requited

THEO PARRISH のバンド “THE UNIT” のメンバーとしても知られる、ニュージーランド出身のドラマー MYELE MANZANZA (マイエレ・マンザンザ)が新作をリリース!! アグレッシヴなドラミングから産まれるグルーヴに、壮大さとダイナミックな世界感を融合させた集大成となる一枚!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/myelemanzana

マイエレ・マンザンザを遂に紹介できます。エレクトリック・ワイヤー・ハッスルやソロ・デビュー作『One』の頃から気になっていたドラマーです。同じニュージーランド出身のマーク・ド・クライヴ・ロウや、セオ・パリッシュからも信頼を寄せられてきた彼の待望のフル・アルバムは、これまでの活動の集大成と言えます。洗練されたモダン・ジャズもスピリチュアルなジャズもアフロセントリックなソウルも、ラテンやアフリカのリズムも、コンゴのミュージシャンだった父との対話も融合させた、壮大でダイナミックな世界を楽しんでください。(原 雅明 / rings プロデューサー)

アーティスト : MYELE MANZANZA (マイエレ・マンザンザ)
タイトル : A Love Requited (ア・ラブ・リクアイテッド)
発売日 : 2019/10/9
価格 : 2,450円+税
レーベル/品番 : rings (RINC57)
フォーマット : CD

Jeff Mills - ele-king

 近年はオーケストラのための作品映画『光』のサウンドトラックトニー・アレン御大とのコラボスパイラル・デラックスなどなど、多方面で活動を続けているジェフ・ミルズだけれど、その次なる一手はどうやらコンピレイションのようだ。といってもたんなるベスト盤ではない。これまで発表されてきた膨大な作品のなかから、「視覚(Sight)」「聴覚(Sound)」「空間(Space)」という3つのテーマに合致する曲をセレクトし、50ページもの解説と考察を加えたものになっているという。きっとジェフの思想ががっつり込められた、特別な作品に仕上がっているにちがいない。9月25日、日本先行発売。

Jeff Mills(ジェフ・ミルズ)の心と頭を覗く。「視覚」「聴覚」「空間」がテーマの新『感覚』コンピレーションをリリース決定。

エレクトロニック・ミュージック、テクノ・シーンのパイオニアとして知られるDJ/プロデューサー、ジェフ・ミルズ。

近年ではオーケストラの為に作品を書き下ろした作品『Planets』を発表、また自身のルーツであるジャズ・フュージョンのプロジェクトとして、大野由美子(Buffalo Daughter)、日野賢二、ジェラルド・ミッチェル(UR、Los Hermanos)らとのグループ“SPIRAL DELUXE”としてライブやリリースを行うなど、その活動は多岐にわたります。

また音楽活動だけにとどまらず、近代アートとのコラボレーションも積極的に行っており、2017年にはその功績が認められ、フランス政府より日本の文化勲章にあたる芸術文化勲章、Officier de la Légion d'honneur Ordre des Arts et des Lettres を授与されました。

今年、長いキャリアの中で発表してきた数々の名作を、日々、進化を続ける音楽とリスナーに対して、ジェフ・ミルズ本人が向き合い、再編集をしてアナログ・レコードでリリースしていく、「ディレクターズ・カット・シリーズ」をスタートしていますが、このシリーズのCDコンピレーション版としてジェフ・ミルズ自らが編纂する作品『SIGHT SOUND AND SPACE』をリリースすることが決定しました。海外ではジェフ・ミルズ主宰の音楽レーベル〈Axis Records〉より10月4日に、日本では〈U/M/A/A〉より9月25日に先行リリースします。

『SIGHT SOUND AND SPACE』では、これまでリリースされた膨大な作品の中から、人間が持つ感覚、Sight『視覚』、Sound『聴覚』、Space『空間』という3つのテーマごとに楽曲をセレクション。さらに、ジェフ・ミルズによるこの3つのテーマについての解説と考察。そして、どの様な契機、思考、制作プロセスを経て作品となったのか、すべての収録曲について語った貴重なテキストが収録される約50Pのブックレットが、特別なハードカバーブックケースに収録。

ジェフ・ミルズが何にどのようなに影響され、どのような意図を持って作曲活動をしているのかをジェフの解説によって知ることが出来る。まるでジェフの心と頭の中を覗き見るかような作品となっています。

エレクトロニック・ミュージック・シーンのリヴィング・レジェンドとして尊敬を集め、音楽作品だけでなくその発言にも注目の集まるジェフ・ミルズが、人間の感覚をテーマに編纂するコンピレーション・アルバム。ジェフ・ミルズの新作『SIGHT SOUND AND SPACE』は、〈U/M/A/A〉より9月25日にリリースされます。

【商品情報】

Jeff Mills『SIGHT SOUND AND SPACE』
2019年9月25日リリース

仕様:CD3枚組、解説ブックレット(和訳入り)+ハードカバーブックケース
品番:UMA-1127~1129
定価:¥4,300+税
発売元:U/M/A/A Inc.

[CD 1] Sight

1.Perfecture – taken from “Metropolis” CD
2.Deckard – taken from “Blade Runner” EP
3.Le Mer Et C’est Un Caractere - taken from “Sequence” CD
4.Homing Device – taken from “2087” CD album
5.The Never Ending Study – taken from “Etudes Sur Paris” album
6.The Drive Home - taken from “Woman In The Moon”
7.Parallelism In Fate - taken from “And Then There Was Light” film soundtrack
8.Devices taken from “At First Sight “ CD
9.Transformation B (Rotwang’s Revenge) – taken from “Metropolis” CD album
10.Sleepy Time – taken from “Trip To The Moon” CD album
11.Multi-Dimensional – taken from “Man From Tomorrow” film soundtrack
12.Descending Eiffel Stairs – taken from “The Crazy Ray” film soundtrack

[CD 2] Sound

1.The Hunter - taken from “Free Fall Galaxy” Album.
2.The Bells
3.4Art
4.The 25th Hour - unreleased
5.Growth
6.Spiral Galaxy
7.Microbe - taken from “The Power” CD
8.Jade - taken from “Every Dog Has Its Day Vol. 2”
9.Where The Shadows Have Motives – taken from the Rembrandt Experience soundtrack.
10.Flying Machines - taken from “Sequence” CD compilation
11.Compression-Release – taken from “Emerging Crystal Universe”
12.Into The Body – taken from “Fantastic Voyage” Soundtrack
13.The Resolution - taken from “Actual” 12” EP (2)
14.Spiral Therapy – taken from “The Power” CD

[Booket] And

ジェフ・ミルズ本人による書き下ろし各曲解説。CD収録曲にまつわる解説やストーリーを収録。

[CD 3] Space

1.Introduction – Phase 1-3 taken from “Fantastic Voyage” soundtrack
2.Mercury (Residue Mix) - Unreleased – taken from “Planets” CD
3.Unreleased002
4.The Believers
5.The Industry Of Dreams – taken from “The Messenger” CD
6.Stabilizing The Spin – taken from “Moon: The Area Of Influence” CD
7.G-Star
8.Planet X – taken from “Lost In Space” 12” EP
9.The Worker’s Party – taken from Gamma Player Compilation “Niteroi’ collaboration project
10.Daphnis (Keeler’s Gap) – taken from “X-102 Re-discovers The Rings Of Saturn”
11.Outer Space – Unreleased
12.Unreleased005
13.Self-Portrait taken from “One Man Spaceship” CD
14.Aitken Basin – taken from “The Messenger” CD
15.Deadly Rays (Of A Hot White Sun) – taken from “Where Light Ends” CD
16.Medians – taken from “Free Fall Galaxy” album

R.I.P. Ras G - ele-king

 LAのビート・シーンを代表するアーティストのひとり、Ras G こと Gregory Shorter Jr. が7月29日に亡くなった。直接の死因は発表されていないが、昨年12月、呼吸に異常を感じて救急搬送され、肺炎、高血圧、糖尿病、甲状腺機能低下、心不全と診断されたことを自らの Instagram で公表している。体の不安を抱えながらも、今年に入ってからは2月にハウス・アルバム『Dance Of The Cosmos』をリリースし、続いてビート集『Down 2 Earth, Vol.3』、『Down 2 Earth, Vol.4』を相次いでリリース。またLAローカルのイベントにもいままで通りに出演し続け、さらに今年6月に長野・こだまの森で開催されたフェス『FFKT』への出演も開催の約1ヶ月前に発表されていたが、しかし、健康上の理由で来日はキャンセルとなっていた。
 突然の訃報に際し、Ras G の盟友である Flying Lotus を筆頭に、LAビート・シーンの関係者はもちろんのこと、世界中から様々なアーティストが SNS にて追悼のメッセージを発表。そして、Ras G の遺族が彼の作品を未来へと遺すために基金を設立すると、それに呼応して、亡くなった6日後にはLAにてドネーション(寄付)を目的とした追悼イベント《Ohhh Rasss!》が開催され、入場が制限されるほどの大盛況になったという。また、《Low End Theory Japan》への出演や単独ツアーも含めて、幾度も日本を訪れていた Ras G であるが、この原稿を書いている翌日の8月10日には中目黒 solfa にて追悼イベント《In Loving Memory of Ras_G . . . Fund Raising TYO JPN》が開催される予定で、一晩で40組ほどのDJの出演が予定されている。音楽性はもちろんこと、彼の暖かい人間性なども含めて、Ras G がこの日本でもどれだけ愛されていたかが伝わってくる。

 Flying Lotus と共に〈Brainfeeder〉の設立にも携わったという Ras G だが、彼のアーティストとしてのキャリアはまさにLAのヒップホップの歴史と密接に繋がってきた。アフリカ系アメリカ人が多く住むサウスセントラルの中でも、特にアフリカン・カルチャーの濃いエリアとして知られるレイマート・パークが彼の出身地であるのだが、そのレイマート・パークからほど近いところにあった Good Life Café でのオープンマイク・イベントや、さらにそこから派生した『Project Blowed』の現場に彼は十代の頃から足を運んでいたという。つまり Freestyle Fellowship や Jurassic 5 らを輩出した、90年代から2000年前半にかけてのLAアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンが彼のルーツとなっているわけだが、ラップよりもその後ろで鳴り響くビートに強い魅力を感じて、彼はビートメーカー/プロデューサーとしての道を選ぶことになる。
 2004年には、彼自身が店員として働いていたパサデナのレコード・ショップ、〈Poo-Bah Records〉にて自ら設立にも関わったレーベルより、同じくビートメーカーの Black Monk とのスプリットEP「Day & Night」をリリースし、これが彼のデビュー作となる。まだビートを作り始めたばかりの、荒削りな状態であった彼の才能に素早く気付いた Carlos Niño は、Dwight Trible & The Life Force Trio のアルバム『Love Is The Answer』にてプロデューサーのひとりとして起用。この作品をきっかけに Ras G はビートメーカー/プロデューサーとして本格的な活動を開始することになる。そして、現在はUKを拠点としているDJの Kutmah がオーガナイズしていた伝説的なイベント《Sketchbook》に Flying Lotus、Dibiase、DaedelusGeorgia Anne Muldrow らと共にレギュラー・メンバーとして出演し、彼らが中心となってLAビート・シーンの基盤が形成される。さらに Daddy Kev、D-Styles らが立ち上げた《Low End Theory》や〈Brainfeeder〉の成功によってシーンは一気に爆発することになる。
 そんなLAビート・シーンの創生期に、Ras G はEPのリリースやコンピへの参加を経て、〈Poo-Bah Records〉から Ras G & The Afrikan Space Program 名義で2008年にファースト・アルバム『Ghetto Sci-Fi』をリリースする。ヒップホップ、ダブステップ、スピリチャル・ジャズ、レゲエなど様々な音楽的要素がミックスされ、さらに彼のメンターである Sun Ra からも多大な影響を受けた、アフリカン・カルチャーと宇宙が融合したアフロフューチャリズムも大きなバックボーンとなったこの作品によって、彼はLAビート・シーンの最重要アーティストのひとりとしてLAローカル以外からも認識されるようになり、アルバム・タイトルである “Ghetto Sci-Fi” は彼のサウンドの代名詞にもなっていく。以降は〈Poo-Bah Records〉だけでなく、〈Brainfeeder〉や〈Leaving Records〉などからシングル、EP、アルバム、ビート・テープ、ミックスCDなど次々と作品をリリース。さらにラッパーの The Koreatown Oddity とのプロジェクトである 5 Chukles を含む、様々なアーティストのプロデュースやリミックスなども多数手がけ、自らのスタイルと地位を確立することになる。

 そんな文字通りのLAビート・シーンを代表する Ras G であるが、良い意味でアーティストらしからぬキャラクターも、彼の大きな魅力であった。筆者もLAに住んでいた頃に、様々な現場で彼と遭遇したが、自ら出演するイベントであっても、常にメローな雰囲気は崩さず、しかし、一旦、ステージ上で彼の愛機である SP-404 を叩き始めれば、スピーカーから爆音で流れてくるファットなビートとのギャップにいつも驚かされた。ちなみに最も彼と遭遇した場所は、おそらく《Low End Theory》だと思うが、出演しない週であっても、かなりの頻度で遊びに来ていて、あの場は彼にとっての本当の意味でのホームであった。そういえば、あるとき、レコードを掘りに〈Poo-Bah Records〉へ行った際にたまたま彼がお店にいて、その日がちょうど《Low End Theory》が開催されている水曜日だったので、車を持っていない彼を自分の車に乗せて、一緒に《Low End Theory》まで行ったことがある。いつもは挨拶程度の関係であった彼と一緒にLAの街をドライブしてるのが少し不思議で、そして嬉しくもあった。
 最後に Ras G と会ったのが、一昨年(2017年)の3月に来日したときで、会場となった Club Asia の楽屋で喋った彼は、LAで会っていたときと何ひとつ変わらないメローな雰囲気を纏っていたのを記憶している。結果的には最後の来日となった同年8月のイベントには行けなかったが、しかし、LAの《Low End Theory》に行けば、いつでも彼の姿があったように、またいつかすぐに会えるだろうと漠然と思っていた。だからこそ、彼の訃報を聞いてからずっと、心の中にぽっかりと穴が空いたような感覚がずっと続いている。その感覚の意味を確かめるためにも、明日は中目黒 solfa のイベント《In Loving Memory of Ras_G . . . Fund Raising TYO JPN》へ行こうと思う。

In Loving Memory of Ras_G . . . Fund Raising TYO JPN

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