「Ord」と一致するもの

R.I.P. Daniel Johnston - ele-king

 私はかつて外国人にサインをねだられたことがある。ひとりはサーストン・ムーア、もうひとりがダニエル・ジョンストンである。最初にサインしたのはダニエルだった。21世紀になってはいたが、もう何年も前のことだ。だれかにサインを書いたのはじつはこのときがはじめてだった。サイン処女というものがあるなら、この言い方はいまだとジェンダー的によろしくないかもしれないが、私はそれをダニエルに捧げた。私は当時雑誌の編集部員で、取材でダニエルに会ったとき、彼は手渡した号の表紙をしげしげと眺め、この本はあなたが書いたのですかとたずねた。正確にはダニエルが隣のオヤジさんに耳打ちし、オヤジさんが通訳の方に訊ねたのを彼だか彼女だかが私にそう伝えたのだった。私はその質問に、雑誌なので全部私が書いたのではありませんが、編集はしましたと答えた、するとまたオヤジさんがサインをしてくださいとにこやかに述べられた。私はサインなどしたこともなかったので、おどろいてかぶりをふったが、外国では著者が著書にサインするのは至極あたりまえのことなのだと、のちにサーストンに諭され納得したが、そのときは恐縮しきりだった。楷書で書いた私の名前にダニエルは満足そうだった。その印象があまりに強烈で肝心のインタヴューの内容はほとんど思いだせないが、彼のビートルズへの愛の一端にふれた感覚はかすかにのこっている。ポールやジョンの話をするとき、ダニエルはなんというかきらきらと輝くのである。その発光の具合はほかの音楽家との対話ではなかなかえられない曇りのない純度だった。

 ダニエル・ジョンストンは1961年にカリフォルニア州サクラメントで敬虔なクリスチャンの家庭に5人兄弟の末の弟として生をうけた。第二次世界大戦に従軍経験のあるパイロットだった父親の仕事の都合でウエストバージニアに移ったダニエルは当地で熱心に絵を描き、ほどなくして作曲にも手をそめはじめる。たしか9歳のころでした、私はピアノを叩いてホラー映画のテーマ曲をつくりました、とダニエル・ジョンストンは公式ホームページのバイオグラフィで述べている。とはいえ湯水のように湧きでる自作曲を記録するところまでは頭がまわらなかった。彼がカセットテープに自作曲をふきこみはじめたのは十代にはいってしばらくたってから。多感な時期の音楽の影響源はボブ・ディランニール・ヤング、セックス・ピストルズに、もちろんビートルズがいた。おもに友だちにくばるのに録音したカセットテープは双極性障害と統合失調症に悩まされたダニエルの他者との交感のための媒介であるとともに、移り気な自身の精神の記録媒体でもあった、私はいまにしてそのように思うが、録音という行為はおそらく、彼の念頭で瞬く音楽の速度にはおいついてはいなかった。
 ゆえにダニエル・ジョンストンにおいて音楽はしばしば「失われた録音(Lost Recording)」としてたちあらわれる。『The Lost Recordings』とはダニエルの83年のカセットのタイトルだが、そこにはピアノ基調の弾き語りが細かい文字でしたためた日記のようにびっしりつまっている。初期ビートルズを彷彿する楽曲はティーンポップの面持ちで、アレンジの工夫はほとんどみられないものの、作曲のセンスは非凡このうえないが、そのポップでキャッチーなメロディに賞賛をおくろうとしたときにはもう次の歌がはじまっている。愛着も執着もなく、歌ができたから歌う、歌うからまた歌がうまれる、日々の営みにおいて歌は「録る」ときすでに過去のものであり、録音物は失われたものの残像にすぎない――あらかじめ失われゆく才能の底知れなさ、あるいは無垢さと狂気をあわせもつ歌唱でリスナーをなごませつつおののかせたのが『The Lost Recordings』とその続編にあたる『The Lost Recordings II』を発表した1983年だった。この年はジョンストン家がテキサス州ヒューストンに越した年でもあるが、環境が変わり一年発起したのかなにかの堰を切ったのか、同年ダニエルはほかに『Yip / Jump Music』『Hi, How Are You: The Unfinished Album』など、彼のキャリアでも重要作と目されるアルバム(カセット)をたてつづけに発表している。
 ことにあとにあげた2作はあのニルヴァーナのあのカート・コベインに影響を与えたことで、ダニエルの知名度を高めるきっかけにもなった。というのも、『Nevermind』のメガヒットを受けた1992年のMTV主催の「ヴィデオ・ミュージック・アワード」でコベインが『Hi, How Are You』のジャケットをあしらったTシャツを着用したこと、コベインの死後に刊行した『日記(Journals)』の「ニルヴァーナにとってのトップ50」に『Yip / Jump Music』があげていたこと、これらのお墨つきでで、90年代なかばにはダニエルは全国区のカルトスターの座に躍りでたのである。もっともその少し前、80年代終わりから90年代初頭にかけても、ダニエルはハーフ・ジャパニーズのジャド・フェアとの共作『Daniel Johnston And Jad Fair』(1989年)をだしていたし、ユージン・チャドボーンらとのショッカビリーの元メンバー──という紹介がこのご時世にどれだけ伝わるかははなはだ心許ないが──であるクレイマーがボング・ウォーターやらをリリースし意気軒昂だったころの〈シミー・ディスク〉からも、やはりジャドやソニック・ユースの面々らの助力を得て『1990』(1990年)をものしていた。私はダニエルの音楽をちゃんと聴いたのはこのアルバムが最初だったが、「ぼくは悪魔の町に住んでいた──」と歌いだす“Devil Town”にはじまり、神の降臨を言祝ぐ賛美歌風の“Softly And Tenderly”で幕を引くこのアルバムの剥き身の歌心と、宗教心の裏にひそむ、赤むけの怒りや恋情に、60年代のフォークとか70年代のシンガー・ソングライターとか、そういった言い方ではあらわせない産業化以前の音楽のてざわりを感じた憶えがある。当時はそれをあらわすうまいことばもみつけられなかったし、いまでもうまいことばのひとつも書けないわが身を呪うばかりだが、たとえばアラン・ローマックスやハリー・スミスのデッドストックというか、米国建国当時の入植地の空気感が色濃くのこる片田舎の古道具屋の片隅に置き去りのままのSP盤の埃だらけの盤面に刻まれた音楽というか。不易流行はむろんのこと、時空さえ捻れさせるなにかを私はそこに聴いた気がしたのである。

 ロウファイなるタームはいまでは音響と同じく録音の風合いをさすことばになった趣きもあるが、ダニエルやハーフ・ジャパニーズやゴッド・イズ・マイ・コーパイロットやらをさしてロウファイと呼びならわした90年代前半には脱形式的な方法を意味していた。パンクともポストパンクとも、フリーや即興ともちがう、直観的で身体的なその方法論は当時、鵜の目鷹の目でグランジの次を探しもとめる好事家のみならず、熱心なロック・ファンをもにぎわせた記憶もある。すなわちオルタナティヴの一画だったということだが、そのような風潮をあてこんだ唯一のメジャー作『Fun』(1994年)はダニエルの作曲の才と瑞々しい声質に焦点をあてたものの、その背後の野蛮さと狂気をやりすごしていた観なきにしもあらあらず。ふつうのオルタナなる言い方は本来語義矛盾だとしても、ポップな才覚と特異なキャラクター(の無垢さと純粋さ)の図式のなかに整理しすぎてはいなかったか。括弧つきの「アウトサイダー」としてダニエル・ジョンストンを捉えることは至便だがそこで抜け落ちるものもすくなくない。アウトサイダーとはおのおのの実情に即した雑多な振幅そのものであり、ダニエル・ジョンストンほど性も俗も清も濁もあわせもつ歌い手はそうはいないのだから。むろんそのようなことはおかまいなしに、ダニエルは曲を書き歌い、初対面の人間にサインをねだり、また曲を書いた。病状は一進一退をくりかえしたが、人気もおちついた分、理解者の裾野は広がりつづけた。2000年代なかばには、ジャド・フェアとティーンエイジ・ファンクラブら古株からマーキュリー・レヴやらベックやらTV・オン・ザ・レディオやら、オルタナティヴの大立て者が参加し御大トム・ウェイツが〆たカヴァー集+自作曲集2枚組『The Late Great Daniel Johnston : Discovered Covered』(2004年)がでたし、2005年にはジェフ・フォイヤージーグ監督による映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』も公開した。めまいのする出来事――そのひとつに、同乗した飛行機乗りだった父親のセスナを墜落させたエピソードがある――に事欠かないドキュメンタリーはグランジやロウファイにまにあわなかった観客にもダニエルの人物像を伝えるのにひと役買ったかもしれない。あれから15年弱、干支がひとまわりするあいだの活動は以前よりは散発的だったが、それでもときおり届くリリースのニュースに、私は健在ぶりを確認してうれしかった、その矢先、ダニエル・ジョンストンは58歳に短い生涯を閉じた。海外メディアが伝えるところによると、彼ののこした音源は優にアルバム一枚分のヴォリュームがあったという。失われた録音はこんごさらに増えていくであろう。私はそれらをリリースするなら、なるべく手をくわえずのままにだしてほしい。おそらくそこには時間と空間を同時に志向する「生の芸術アール・ブリュイット」たる音楽だけが届く場所が記録されているだろう。できればカセットがいいな。

Little Brother - ele-king

 ノース・カロライナを拠点とするヒップホップ・グループ、Little Brother が8年ぶりに突如リリースした、通算5作目となるアルバム『May The Lord Watch』。昨年9月には、元メンバーである 9th Wonder と共に、11年ぶりとなるオリジナル・メンバー3人によるライヴが彼らの地元で行なわれ、ファンを大いに喜ばせたが、残念ながら今回のアルバムには 9th Wonder は参加していない。しかし、彼らの黄金期である2000年代半ばのエナジーが本作には充満しており、実に見事な復活アルバムとなっている。

 本作は架空のテレビ局である UBN(=U Black Niggas Network)を舞台に進行し、曲間には番組のミニ・コーナーやニュース、CMがスキットとして挟み込まれている。UBN という名称も含めて、これは2枚目のアルバム『The Minstrel Show』でも用いられていたコンセプトである(さらに言えば1作目『The Listening』は架空のラジオ局が舞台)。アルバム一枚をコンセプチュアルに構成するということ自体が非常に珍しくなっている今の時代、1曲目から最後まで通して聴く前提で作られているこのスタイルは、改めて(昔は当たり前であった)アルバム単位での作品の楽しみ方を思い出せてくれる。

 本作の肝となっているのは、兎にも角にもプロデューサーの素晴らしさであり、Phonte と Big Pooh、ふたりのラップとのそれぞれのトラックとの相性の良さは完璧にすら思える。これまでも Little Brother の作品に多数関わってきた Justus League の Khrysis をメインに、さらに Nottz、Focus……といったメジャーなフィールドでも活躍するベテラン勢に加えて、スキットでは Devin Morrison や Soulection の Abjo といった若手も起用するなど、プロデューサーの顔ぶれにも貪欲にベストなサウンドを求めているという彼らの姿勢が表れている。アルバム前半ではリリース直後にMVも発表された“Black Magic (Make It Better)”が核となって、彼らのアティチュードがストレートに表現されているが、個人的には心地良いビートが病みつきになる“What I Came For”から始まるアルバム後半の流れに完全にヤラれてしまった。Questlove が客演するスキットを挟んで、Bobby Caldwell “Open Your Eyes”をストレートにサンプリング・ネタとした“Sittin Alone”では悲哀の感情さえも美しく響かせ、Black Milk がプロデュースする“Picture This”は、トラックがノスタルジー溢れる曲のメッセージ性をより深く響かせる。Anderson .Paak の作品にもプロデューサーとして参加している King Michael Coy が手がけた“All In A Day”はシンセと間の使い方が絶妙で、そして、“Work Through Me”では Common のクラシック・チューン“I Used To Love H.E.R.”のフレーズ「Yes, yes, ya'll ~」も見事にハマり、アルバムのラストを実に可憐に締めくくる。

 90sヒップホップに多大な影響を受けて、2000年代初頭にデビューした彼らのスタイルは、当然、ブーンバップ・ヒップホップの流れにあり、アフリカン・アメリカンとしてのスタンスの上での、コンシャスなメッセージ性が貫かれ、さらにユーモアのセンスも程良く注入されて、エンターテイメントとしてのバランスも上手く保たれている。ただし、2000年代の焼き直しではなく、彼らのラップも含めて、このアルバムのサウンドは間違いなく現在進行形のものであり、ヒップホップとしての普遍的な魅力が詰まった傑作だ。

interview with Moonchild - ele-king

 ケンドリック・ラマー、アンダーソン・パーク、フライング・ロータス、サンダーキャット、カマシ・ワシントン、テラス・マーティン、ジ・インターネットなど、さまざまなアーティストたちで賑わうロサンゼルスとその近辺の音楽シーン。現在、世界的にもっとも活況溢れるシーンが形成されているのだが、その中で3人組のネオ・ソウル・グループとして確固たる足取りを残してきたのがムーンチャイルドである。
 マックス・ブリック、アンドリス・マットソン、アンバー・ナヴランからなる彼らは、2012年のデビュー・アルバム『ビー・フリー』に始まり、2014年の『プリーズ・リワインド』、2017年の『ヴォイジャー』と、これまでに3枚のアルバムを発表してきた。アンバー・ナヴランのヴォーカルを中心としたネオ・ソウル的な側面がフォーカスされがちな彼らだが、実は3人は大学でジャズの器楽演奏や作曲などを学び、そこから生まれたグループなので、そのベースにはジャズがあるとも言える。だからムーンチャイルドの楽曲には彼ら自身が演奏するサックス、フルート、トランペット、クラリネットなど多彩な管楽器がフィーチャーされ、その芳醇なアンサンブルが一番の聴きどころなのである。ライヴ演奏を観ると、そうした彼らの魅力がより伝わってくるだろう。
 また、いろいろとゲスト・アーティストがフィーチャリングされ、一体誰の作品なのかよくわからないことが多いいまのアルバム制作だが、ムーンチャイルドの場合はほとんど3人のみで演奏や制作がおこなわれ、自身の音楽や個性に磨きをかけている点も共感が持てる。新しいアルバム『リトル・ゴースト』ではさらに演奏する楽器も増え、さらに成長した彼らの姿が伺える。


ストリングス以外のほとんどすべての楽器を自分たちで演奏したっていうのは確かで、自分たちが演奏したものを自分たちでミックスした。その点でいうと、全工程を3人だけでやっているわけだから手作り感は強くなっているかもしれないね。 (マックス)

ニュー・アルバム『リトル・ゴースト』の完成おめでとうございます。早いものでファースト・アルバムの『ビー・フリー』から数えて4枚目のアルバムとなります。まずデビューからここまでの活動を振り返って、どのように感じていますか?

アンドリス・マットソン(Andris Mattson、以下アンドリス):僕たちの誰も予想していなかった、夢のような旅になったと思ってるんだ。でも、僕たち自身はファースト・アルバムを作っていた頃と何も変わっていない。そして同時に、このメンバーじゃないとできなかったことだと思ってる。

アンバー・ナヴラン(Amber Navran、以下アンバー):完璧な答えね! 私も同意するわ。

南カリフォルニア大学ジャズ科のホーン課程でアンバー、マックス、アンドリスが知り合い、意気投合して演奏や楽曲制作をおこなうようになってムーンチャイルドが結成されました。そうした音楽好きの友人が集まった学生サークル的な雰囲気が、いい意味で現在のムーンチャイルドでも続いているように感じますが、いかがでしょうか?

アンバー:そうね。ミュージシャンは皆、学び続けることが大事だと思っているの。前作から成長して、新しいスキルを身につけたりね。私たちの間に流れている雰囲気は、バンドをはじめたころから変わっていないわ。自分たちの好きな音楽を作って、一緒にひとつのものを作り上げてね。でもあの頃からバンドとしては成長することができて、もっといいバンドになったと思ってる。

楽器演奏や作曲などについて常にスキルを磨くなど、あなたたちはとても向上心を持って音楽に接しているように感じます。だから、アルバムを発表するたびに手掛ける楽器の種類が増え、いまでは3人が3人ともマルチ・ミュージシャンでソングライターとなり、ムーンチャイルドでの対等な関係性を築いているのではないでしょうか。ムーンチャイルドにおける現在の3人の立ち位置、役割はどのようになっているのでしょうか?

アンバー:私はヴォーカルとプロデュースの他に、楽器はサックス、フルート、クラリネットを担当してるわ。

アンドリス:僕もプロデュースをするし、楽器としては主にベース、ギター、トランペットだね。

マックス・ブリック(Max Bryk、以下マックス): 僕らはみんなだいたい同じことをやっているんだよね。僕もプロデュースをやって、ベースも引くしミックスもやる。僕は楽器でいうとアルトサックス、クラリネット、あとはフルートをやることもあるね。

アンバー:曲作りに関しては、私たちは別々に曲を作って持ち寄るの。だから最初は個人で作った曲で、それを他のふたりに聴いてもらって何か足したい要素はないか聞いてみる。曲をふたりに送って、追加したい楽器なんかをシェアして、曲作りをしていく。ここにギターを足したい、ヴォーカルを入れたい、っていう感じでね。マックスが言っていたみたいに、役割としては、私たちはほとんどみんな同じことをしているのよね。

アンドリス:そうだね。ただ、お互いにアドバイスをし合うってことはしない。誰が何をやったらいいっていうのを、別のメンバーが言うことはない。自然に自分から生み出していくんだ。例えばアンバーが最初にビートを送ってきたら、マックスがサックスを加えてみて、とかね。個人のアイディアを持ち寄って、みんなで一緒に、同時に曲を作り上げていくんだ。他のメンバーの動きを見ながら自分で自分の役割を見定めていってるよ。

『リトル・ゴースト』は過去3枚のアルバムの延長線上にあるもので、基本的にはこれまでのムーンチャイルドの世界を押し広げたものだと思います。今回はどのようなヴィジョンを持ってアルバム制作に取りかかりましたか?

アンバー:サウンドとしては前作までの雰囲気を引き継いでいこうと思って作ったけれど、自然と、私たちにとっては新しい曲を思いついたり、新しい楽器を使ったりしたわね。アルバムを作りはじめるときには毎回、ヴィジョンというものは特にないの。そのとき聴いている音楽に自然と影響を受けたりしているのかな? ふたりはどう思う?

アンドリス:毎回新しい楽器に挑戦しようとしているから、それが音楽的な成長に繋がっているんじゃないかな。新しい楽器を習得すると耳も肥えるから、どこの部分にどの楽器を入れるといい感じのサウンドになるだろうっていう感覚が研ぎ澄まされていくんだ。

基本的にムーンチャイルドのアルバムはセルフ・プロデュース作品ですが、『リトル・ゴースト』ではストリングスを除いたすべての楽器演奏も3人でおこなっていて、いままで以上に3人で練り込んで作り上げたアルバムという印象が強いですが、いかがでしょう?

マックス:プロセス自体は、これまでとほぼ変わっていない。これまでも完全にセルフ・プロデュースで作ってきて、今回もそうだからね。ただ、ストリングス以外のほとんどすべての楽器を自分たちで演奏したっていうのは確かで、自分たちが演奏したものを自分たちでミックスした。その点でいうと、全工程を3人だけでやっているわけだから手作り感は強くなっているかもしれないね。

新たな楽器の導入という点では、アンドリスが“トゥー・マッチ・トゥ・アスク”や“ジ・アザー・サイド”などでアコースティック・ギターやウクレレを演奏しているのが新鮮でした。前作の『ヴォイジャー』(2017年)リリース後、ボン・イヴェールのサウンドに傾倒し、彼らが『22・ア・ミリオン』でやっているアコースティック楽器とシンセの電子音の融合にいろいろインスピレーションを受け、それが『リトル・ゴースト』に生かされているそうですね。それに加えて、あなたたちが得意とする管楽器のアンサンブルはもちろんですが、“ホイッスリング”や“スティル・ワンダー”などではシンセやシンセ・ベースなどのエレクトリックな楽器のコンビネーションが、いままで以上にサウンドの大きな比重を占めているなと感じました。これもボン・イヴェールの影響のひとつですか?

アンドリス:そう。その通りなんだ。ボン・イヴェールには影響を受けているね。これまではギターを今回のような形で使うっていうアイディアには思い至らなかったけど、彼の楽器の使い方にはインスピレーションをもらって、試してみたらしっくりきて。他にも影響を受けたミュージシャンはいるけどね、例えば……

アンバー:エミリー・キングなんかもそうよね?

アンドリス:たしかに。リンドラムを使ったのも僕たちにとっては新しい挑戦だったからね。あのアイディアはエミリー・キングのアルバムを聴いてからかも。

ボン・イヴェールやエミリー・キング以外に、音楽家やアーティストに限らず何でも結構ですが、『リトル・ゴースト』を制作する上で影響されたもの、インスピレーションを受けたものはありますか?

アンバー:私は詩をたくさん読むんだけど、それを曲作りに活かしているわね。ナイラ・ワヒード、E・E・カミングス、パーシヴァル・エヴェレット、そしてイエルサ・デイリー=ウォードが私の中のトップ4ね! ふたりは?

アンドリス:僕はそうだな……ちょっと違う観点からいくと、ジョン・バトラー・トリオには影響を受けてるね。前の曲なんだけど繰り返し聴いてるのがあって、なんだっけ……「細かいことは気にしなくていい」、みたいな歌詞の……

アンバー:ベター・ザン”じゃない?

マックス:“ベター・ザン”だろ?

アンドリス:“ベター・ザン”だ!(笑) すごく好きな曲でね、トリオはピアノの使い方もうまいし、インスピレーションをもらっているよね。

そのときの自分たちの気持ちだったり思いつきで自然とサウンドが変わってくるものだから、特に意識はしていなくて、その場で生まれた変化というか。とにかく、僕たちはオーガニックな曲作りの手法を取っているから、すべてが自然発生なんだよ。 (アンドリス)

“スウィート・ラヴ”ではマックスがカリンバを演奏していますが、これはどのようなアイデアから取り入れたのですか? カリンバはムーンチャイルドのオーガニックなサウンドにとてもマッチしていると感じますが。

マックス:単純に、カリンバにはまっていたんだ。ディアンジェロとか、ジェイムズ・ポイザーを聴いていて、1990年代後半のサウンドがいいなと思って。あたたかみのある楽器だし、ライヴでも効果的に使えるんじゃないかと思ったんだ。他の曲でも使ったんだよ、“トゥー・マッチ・トゥ・アスク”とか、“エヴリシング・アイ・ニード”でも使ったね。バンドの雰囲気に合っていて、とてもはまったなと思っているよ。

ストリングス・アレンジはアンドリスが担当して、ホーン・アレンジは3人でおこなっているというのは『ヴォイジャー』と同じかと思いますが、アルバム全体のストリングス・セクションを担当しているカルテット・405はどんなグループなのですか?

アンドリス:彼らとは以前から友達だったんだけど、今回ストリングスをお願いしようという話になって。一緒に何回かストリングスのパートを録ったんだけど、ただのストリングス・カルテットというよりはオーケストラのようなサウンドの広がりがあるグループでね。その特徴が生かされたサウンドに仕上がったと思う。

『リトル・ゴースト』ではアンバーの楽器演奏の比重がいろいろ増えていますね。これまではシンセなどを一部で手掛けるものの、基本的にはヴォーカルとフルート演奏がメインだったのですが、今回は数々の作曲でローズ、サックス、シンセ・ベース、ドラム・プログラミングなどを手掛け、ムーンチャイルドのサウンドの骨格に大きな役割を果たしています。こうやっていろいろな楽器や機材を手掛けるようになったことについて、アンバーの中で何か変化があったのでしょうか?

アンバー:前作までは、私はピアノで曲を書いてマックスとアンドレスに渡してトラックを作ってもらっていたの。プロデュースというのはやったことがなかったから。でもここ2年ほどでプロダクションにも携わりたいと思ったからそのやり方を学んで、トラックメイキングの部分を人にお願いするんじゃなくて、自分で作れるようになった。そうやって今回の変化が生まれたの。最初に言ったように毎回新しいスキルを習得したいと思っているから、今回はプロダクションを学んで、それを早速生かしたのね。

アンドリス:だから、今回は本当に全員でプロデュースをしたね。

アンバー:すごく楽しかったから、今後もやりたいわ!

『リトル・ゴースト』の特徴を挙げるなら、いままで以上にリズム感が前に出た楽曲作りがおこなわれている点かなと思います。たとえばファンク調の“オントゥ・ミー”や、アコースティック・ギターとタイトなビートが心地よいグルーヴを生み出す“ホワット・ユー・アー・ドゥーイン”は、メンバー3名がすべてドラム・プログラミングに関わっていて、そのスキルが合わさることによってでき上がった楽曲です。“ワイズ・ウーマン”も同様にアンバーとアンドリスのふたりでドラム・プログラミングをおこなっています。いままでのアルバムではこういった楽曲作りはおこなっていなかったと思いますが、今回は新たな作曲手法にアプローチしているのですか?

アンバー:意図的にそうなったわけではないのよね。いままでと違ったテンポの早い曲なんかも、自然と出てきた感じで。

アンドリス:そうだね、そのときの自分たちの気持ちだったり思いつきで自然とサウンドが変わってくるものだから、特に意識はしていなくて、その場で生まれた変化というか。曲作りの段階で3人で色々と試してみるんだ。その中でしっくりきたものを採用する。だから、今回の変化も次のアルバムではもうやらないかもしれないし、「新しい作曲手法」としての認識は特になかったな。とにかく、僕たちはオーガニックな曲作りの手法を取っているから、すべてが自然発生なんだよ。

アンバー:基本的な曲作りのやり方はこれまでと変わっていないけど、私の変化としては曲を書くだけじゃなくて、さっきも話にあがったようにプロデュースも自分でやるようになった。それによってバンドの役割がより対等になったから、今回のアルバムに入っているアップテンポな曲に関しても、3人全員のグルーヴからああいう曲が生まれたのよ。

歌詞はアンバーが作っているのですか? 主にラヴ・ソングが多いのですが、単にあなたが好きだとかストレートなものではなく、たとえば“ワイズ・ウーマン”や“マネー”のように、女性の目線による生き方や人生そのものも含んだもう少し抽象的で広がりのあるものに感じるのですが、それはアンバー自身の人生経験から来ているものなのでしょうか?

アンバー:すべての曲の歌詞が個人的な体験に基づいているもので、プライベートなものなの。それは私自身に起こった体験でもあるし、周りの人たちの体験でもある。まさに人生経験に基づく歌詞ね。抽象的に聞こえたのはきっと、私のいまの人生がそういうモードだからなんじゃないかな(笑)。女性の複雑な心境みたいなものが理解できる年齢になったというか。しっくりくるようになった気がする。自分の気持ちに正直でいられない、みたいな感覚を自分でも経験して、理解できるようになったのね。たぶん、それが今回の変化の理由だと思う。

最後に『リトル・ゴースト』で聴いてもらいたいポイントと、今後の活動予定などをお願いします。

アンドリス:ポイントというのとは少し違うかもしれないけど、3人全員で作ったサウンドを楽しんでほしい。ひとつの曲に対して3人で試行錯誤しながら作り上げたっていう部分をね。どの曲から聴いても、どの順序で聴いてもらってもいい。

マックス:僕はそれぞれの曲のブリッジに注目してほしいと言おうと思ってた。アウトロに向かう部分かな。僕たち全員が色々な楽器を使ってコラボレーションしているっていうのがいちばんよく伝わるのがその部分だと思うし、それが僕たちの特色でもあるからね。

アンバー:私はとにかく、楽しんでほしいわね!(笑) アルバムを聴いたあとにいい気分になってくれたらとても嬉しいわ。


interview with Joe Armon-Jones - ele-king

 サウス・ロンドンを主な拠点としたUKジャズ・シーンはますます注目を集めている。今年だけを見ても、フジロックでの演奏も記憶に新しいザ・コメット・イズ・カミングの『Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery』をはじめ、ココロコのEP「KOKOROKO」、ヌビヤン・ツイスト『Jungle Run』、そしてエズラ・コレクティヴのデビュー・アルバム『You Can't Steal My Joy』といった話題作が、次々とリリースされた。

 そのエズラ・コレクティヴのメンバーとしても知られるキーボーディスト、ジョー・アーモン・ジョーンズは、アフロビート、ダブ、ブロークンビーツなどの要素が混ぜ込まれた昨年のデビュー・アルバム『Starting Today』が高い評価を得て、シーンの中心人物となった。そんな彼が満を持して放つセカンド・ソロ・アルバムが、この『Turn To Clear View』だ。
 前作同様、〈Brownswood Recording〉からのリリースとなった本作は、サックスのヌビア・ガルシア、ドラムのモーゼス・ボイド、ココロコのベーシストのミュタレ・チャシといった、ヴォーカル以外の参加ミュージシャンも全く同じだが、“Yellow Dandelion”など、ヒップホップ色の強い曲が前作以上に多くなっている。また、驚くべきはその“Yellow Dandelion”へのジョージア・アン・マルドロウの参加だろう。これまで、サウス・ロンドンという地域と関連づけて語られることが多かったジョー・アーモン・ジョーンズが、LAのシーンに接近したのは意外だった。UKジャズ・シーンの深化と広がりが同時に見出せるこのアルバムについて、彼に話を聞いた。

僕が好きなサン・ラーの音楽が嫌いな人もいれば、僕が嫌いなサン・ラーの曲に感動する人もいる。サン・ラーの不思議なところは、各々が楽しめる曲があるということなんだ。そこから入って、徐々に、他のものへの理解を深めていき、その底にある意味を理解していく。

まず、“Yellow Dandelion”にジョージア・アン・マルドロウが参加した経緯を教えてください。

ジョー・アーモン・ジョーンズ(Joe Armon-Jones、以下JAJ):僕は長い間、彼女のファンだった。世界で最も好きなミュージシャンのひとりに入るくらいにね。だから、彼女がロンドンの Bleep Records という所で小さなインストア・ライヴをやったときに観にいって、『Starting Today』を彼女に渡し、何か一緒にできたら嬉しいと伝えたんだ。その1、2日後、ロサンゼルスから連絡をくれて、一緒に何かやりたいと言ってくれたから、彼女にトラックを送った。このトラックは元々、彼女を念頭に置いて作ってあったからね。彼女が参加できなかったら他の人に歌ってもらおうと考えていたけど、トラックを気に入ってくれたから一緒に作業できたんだ。

トラックのファイルを送った後はどのように曲を仕上げていったのですか?

JAJ:僕がセッションを先にやっていたから、曲は録音されていて、僕がミックスした最終版ができていた。だから曲はもうプロダクション過程にあったんだ。彼女には何も撮り直してもらう必要がなかったよ。最初彼女が送ってくれたのはハーモニーとリードラインだったけど、僕が頼んだ通りにやってくれて、必要なものは全て揃っていたから完璧だった。その後から仕上げるのに時間はかからなかったね。

ジョージア・アン・マルドロウの作品、そして、〈Brainfeeder〉をはじめとしたLAのビート・シーンの曲も、普段からよく聴いていますか? 彼女たちや彼らの魅力はなんでしょうか?

JAJ:あのシーンは最高だと思うよ。それに、あのシーンやコミュニティーに対しては強いリスペクトと憧れを感じている。ラス・Gが亡くなったのはとても悲しい出来事だったけれど、あのときにみんなが集まって、彼の家族をサポートして、ラス・Gへの愛情や尊敬の念を表している姿を見ると、どれだけシーンの結束が強く、コミュニティーを基盤としているか分かるよね。アメリカで、そういう繋がりを見ることができて嬉しい。どの国でも、なかなかあそこまでの結束は起きないと思う。友達同士で一緒に仕事をして、お互いを大切に思い合える関係は貴重だ。自分も、それと似たようなロンドンのコミュニティーに属していることを嬉しく思う。

エズラ・コレクティヴでは“Space Is the Place”を二度もカヴァーしていますし、あなたのアルバムのアートワークは2枚とも宇宙的で、スピリチュアルなデザインですね。以前、ele-king のインタヴューでチック・コリアからの影響を語っていただきましたが、サン・ラーについてはいかがですか? 

JAJ:サン・ラーが作ったものが全て好きというわけじゃないよ。サン・ラーのレコーディングで、僕が深く感動するものはいくつかあるけど、聴くに耐えられないものもある。でも、そこがサン・ラーの音楽の良いところだと僕はちゃんと認識している。友人の中には、僕が好きなサン・ラーの音楽が嫌いな人もいれば、僕が嫌いなサン・ラーの曲に感動する人もいる。サン・ラーの不思議なところは、各々が楽しめる曲があるということなんだ。そこから入って、徐々に、他のものへの理解を深めていき、その底にある意味を理解していく。それは旅路であって、後になってから、自分が好きなバンドやその他に与えたサン・ラーの影響に気づいていく。先ほど話していたラス・Gも、音楽だけでなくアーティスティックな部分でサン・ラーに影響を受けていたよね。エジブト神話の側面などは、例えば、アース・ウィンド・アンド・ファイアーも影響を受けていた。それは音楽的な影響だけではない。その背景にあるアートワークや世界観などにも影響しているんだ。

前作と合わせて見ると、アートワークはとてもコンセプチュアルに感じられますが、アルバムの曲作りに関しては、全体としてのコンセプトはありましたか?

JAJ:とても曖昧なコンセプトはあったけど、具体的なものはないよ。アルバムが録音されて、曲順が決まってから、アートワークがどのようなものになるかというのが見えてくるからね。

アルバムの最後の曲はアフロビートだけど、そこからヒップホップな感じになる。曲が行きたい方向に自由に向かわせるのさ。例えば、最初から、これはファンクの曲だ、と考えて作曲すると、曲が行きたい方向に行けなくなってしまうかもしれないだろ?

このアルバムの制作期間中、よく聴いていたアーティストや曲があれば教えてください。

JAJ:ジャズやヒップホップシーンの新しい音楽はチェックしている。あとは、キング・タビー、サイエンティスト、ザ・レヴォリューショナリーズやハービー・ハンコックとか、比較的昔のレゲエやファンクをレコードで聴いたり。それと、ブラジルのミルトン・ナシメントも最近よく聴いてるよ。

以前までは、ブロークンビーツとのつながりを指摘するメディアが多かったですが、今作はブロークンビーツの色が前作よりも薄く、ファンクやヒップホップの要素が強いと感じました。また、これまで以上に、全体的にチルアウトな雰囲気もありますよね。それは意識して曲を作りましたか?

JAJ:いまではそう思うけど、作曲しているときは、ひとつのフィーリングに制限されないようにしている。アルバムの最後の曲はアフロビートだけど、そこからヒップホップな感じになる。曲が行きたい方向に自由に向かわせるのさ。例えば、最初から、これはファンクの曲だ、と考えて作曲すると、曲が行きたい方向に行けなくなってしまうかもしれないだろ? だから、そういうジャンルについての言葉は意識しないようにしている。

前作同様、このアルバムでもモーゼス・ボイドとクエイク・ベースのふたりがドラムを担当していますが、シングルになった“Icy Roads (Stacked)”をはじめとして、前作以上にクエイクの存在感が増しているように思います。ですが、日本では、まだ十分に紹介されているとは言い難いです。彼はどんな人物ですか? 

JAJ:日本はまだクエイクに目覚めていないな(笑)。彼は僕がいままで会ったミュージシャンの中で最もすごい人のひとりだ。クエイクのようにドラムを演奏できる奴はいないし、見たことがない。“Icy Roads (Stacked)”ではいくつものドラムのレイヤーが聴こえると思うんだけど、分かるかな? ドラムにエフェクトがかかっていたり、サンプルされたドラムの音も入っている。それは全てクエイクが生でやっているんだ。だから録音セッションのとき、部屋からはドラムしか聴こえないけれど、ブースに入って何が録音されているのかを聴くと、全く違ったものが聴こえてくる。言葉で説明するのは難しいから見てもらうのが一番だけど、カオスパッドやトリガーなどの機材が配置されていて、それが彼独自の音を生んでいる。彼もソロ・プロジェクトをやっていて、サンプルやトリガーやドラムを使った作品を出している。クレイジーだよ。クエイクの音楽は素晴らしいから、日本のみんなにもチェックしてもらいたいな。

ジャイルスはほとんどの場合、自分の好みでない音楽はかけないんだ。好きならかける。嫌いならかけない。すごく単純に聞こえるけれど、忘れがちなことだよ。全てのミュージシャンがそうであるべきだと思う。

そのモーゼス・ボイドとクエイク・ベースはちょうどアルバムの半分ずつドラムを担当していますが、リズム隊が変わると、意識的に変化はありますか?

JAJ:録音には2日間しか使わなかった。スタジオでの作業は2日間だったから。1日目はドラムにクエイク、ベースにミュタレ・チャシで、2日目はドラムにモーゼス・ボイド、ベースにデヴィッド・ムラクポルだった。僕の意識も少しは違ったけど、それはドラマーとベーシストが違うからというだけだよ。そうなるとサウンドも変わってくるからね。だから意識が変わるというよりも、サウンドが変わるという方が正しいと思う。それ以外の参加者はみんな一緒だったし、ラインアップが変わってから2回目の録音をしたときもあったから、同じ曲を演奏したときもあった。

アルバムの最後の曲、“Self Love”には、ナイジェリア出身のオーボンジェイアーが参加しています。彼はどんなシンガーですか?

JAJ:彼はエモーショナルなシンガーだよ。全てのシンガーがそうあるべきなように、彼は感情を音楽に注いでいる。多少陳腐な言い方だけど、彼は音楽の世界に入って没頭することができる。それは実際には難しいことなんだ。自分の意識が妨げになってしまうことが多い。でも、彼はそれができるからすごい。それに、他の人とは違う、彼独自のサウンドも持っているしね。それが素晴らしいところだよね。

“Self Love”の前半は、前作の曲以上にアフロビート感が強い印象ですが、これはオーボンジェイアーの存在が大きいのでしょうか?

JAJ:僕とオーボンジェイアーがこの曲を一緒に作っていたら、そう答えられるけど、この曲とビートは僕が作って、オーボンジェイアーに参加してもらう前に録音もしていたんだ。他の曲が録音されたのと同じ日にこの曲も録音された。また、この曲はアフロビートでもあるけど、4分の3拍子だからアフロビートの変わった演奏方法なんだ。そして曲の中盤以降からはヒップホップのようになる。そういうスタイルなんだ。モーゼスが4分の3拍子のアフロビートを演奏できるか試させたかった。曲が録音された後、僕は曲を聴き返していて、ちょうどその頃にオーボンジェイアーと他のプロジェクトで一緒に作業していたから、彼にヴォーカルを加えてもらおうと考えた。彼も曲を気に入ってくれたから、そこからはふたりで作業した。

4月にリリースされたエズラ・コレクティヴのアルバムではロイル・カーナーが、このアルバムの“The Leo & Aquarius”ではジェストがラップを披露しています。今年はラッパーとのコラボレーションも目立っている印象ですが、彼らとの作業はいかがでしたか?

JAJ:最高だったよ。ジェストもロイル・カーナーもいい奴だから大好きだし、付き合いも長いんだ。だから一緒に音楽を作るのは自然な流れだった。特にジェストとは、何年も前から知っているし、彼と僕は偶然出会うきっかけが何度もあって、今回のアルバムの参加者と同様、僕が知っているミュージシャンとも様々な形で繋がっている。そこで僕は彼にトラックを送ったら、すぐにラップを入れて返してくれたよ。ジェストはイギリスでナンバーワンのラッパーだと思うから、彼が曲に参加してくれたのは、僕にとってものすごく光栄なことだった。

ジェストの〈YNR Productions〉のようなUKのヒップホップは以前から聴いていましたか?

JAJ:ああ、UKヒップホップ全般を以前から聴いていたよ。UKヒップホップからは数々のインスピレーションを受けてきた。特に若い頃はね。スキニー・マン、ルーツ・マヌーヴァ、ロドニー・Pなど、UKヒップホップにはレジェンドがたくさんいるからね。

以前からダブへの影響を公言していますが、普段の曲作りの際に、クラブでの鳴りを意識していますか? 

JAJ:もちろんだよ。特にミキシングの過程ではね。作曲のときも意識するけど、このミックスがクラブやサウンドシステムでどう響くかっていうのを考えて試してから、最終版のミキシングをしている。

「Starting Today in Dub」のように、このアルバムの曲のダブ・ヴァージョンを作る予定はありますか? 

JAJ:もしかしたら作るかもしれないけど、あれは自然にできたものだったからね。曲をいじって遊んでいたら、あの作品ができた。同じことをやろうとは思わないけど、アルバムの曲の別ヴァージョンは作るかもしれない。ダブ・ヴァージョンとは呼ばないかもしれないけれど、誰かにラップを載せてもらってヴォーカル・ヴァージョンと呼ぶとかね。まあこれから様子を見ていくよ。

昨年はマカヤ・マクレイヴンの『Where We Come From (Chicago X London Mixtape)』にも参加しましたね。マカヤとの共演はいかがでしたか?

JAJ:とても素敵な体験だったな。彼と初めて会ったのが、あのギグで彼がロンドンに来たときだった。大勢の前で演奏して即興をしなければいけなかったから、違和感のあるギグになる可能性もあったのに、彼はとても良い姿勢で臨んでいて、雰囲気も素晴らしいものとなった。それ以来、彼とはツアー中にしょっちゅう出くわすんだ(笑)。

あなたはサウス・ロンドンという地域で括られることが多いかと思いますが、UK以外の、LAやシカゴといったアメリカのミュージシャンとの交流も、以前より深まっているのでしょうか? 

JAJ:それは間違いないね。シーンがロンドンという地域を超えて大きくなるにつれ、より多くの人が交流して共演していくのは自然なことだと思う。それと、外国に行きやすくなったから、他の国へ演奏しに行くアーティストも増えている。多くの人が海外へ出て、交流を深めて、ネットワークを作っている。

そういった他の地域のミュージシャンとは、お互いにどのような影響を与え合っていると考えていますか?

JAJ:インスピレーションや労働倫理だね。高い職業倫理を持つ人たちからはインスピレーションを受ける。

今作も〈Brownswood Recording〉からのリリースですが、あなたにとって、レーベル主宰のジャイルス・ピーターソンはどのような存在ですか?

JAJ:ジャイルスのことはとても尊敬しているよ。彼は音楽の領域を、良い意味で広めているからね。彼にはDJの必須要素が備わっている。それは、「気に入らない音楽はかけない」ということだ。DJの中には、人気の曲だからとか、キッズが好きだからという理由で、自分が好きでもない曲を無理にかけている人がいる。でも、ジャイルスはほとんどの場合、自分の好みでない音楽はかけないんだ。好きならかける。嫌いならかけない。すごく単純に聞こえるけれど、忘れがちなことだよ。全てのミュージシャンがそうであるべきだと思う。

最後に、今後の予定を教えてください。

JAJ:『Turn To Clear View』を9月20日に出してからツアーをやる。その後は……また音楽を作っていると思うよ(笑)。

Headie One - ele-king

 北ロンドン出身のラッパー、Headie One の7枚目のミックステープ『Music x Road』が8月にリリースされた。5年間の活動の中で7枚のミックステープという多作ぶりもさることながら、『Psychodrama』で才能を開花させた Dave との共作“18 HUNNA”の大ヒットによって勢いを得た Headie One は、このミックステープでストリートのラップであることを全く譲らずに、トピック・音楽性の幅を広げている。

Headie One - 18HUNNA (ft. Dave)

Rusty のために1,800*
手にとってラグビーみたいにキックする
T-House にいたら塵まみれに戻る
ヌードで目を覚ます
バンドで4と半分、利益はいい感じ

18 hunna for the new rusty
Man grab it and kick it like rugby
I was in the T house, head back dusty
Still waking up to nudes in country
Four and a half in the bando Profit oh so lovely

* Rusty - 旧式ショットガン

“19 HUNNA (ft. Dave)”

 Headie One はこの1~2年でUK国内で大きなうねりとなっているジャンル、「UKドリル」のスターとして注目を集める存在だ。「UKドリル」については、Reeko Squeeze の『Child's Play 2』のアルバムレヴューで三田格さんが書かれている通り、アメリカのドリル・ミュージックがUKに派生して進化を遂げたジャンルである。UKサウンドの核のひとつである「シャッフルされたビート」がアメリカのドリル・ミュージックと融合し、縦ノリのラップ・ミュージックとしてさまざまな形に進化を遂げてきた。Headie One と RV の2018年のヒット・チューン“Know Better”は、全体のダークな雰囲気とそれを支える伸びるベースライン、表拍で打つハイハットやパーカッションを特徴とする。“Know Better”では、ワイリーが発明したクリック音も顔を覗かせる。

Headie One X RV - Know Better

 “18 HUNNA”や“Know Better”のように、UKドリルはリズム・パターンや音楽性が一貫していて、悪く言えばあまり「特徴のない」サウンドといえる。それはトラックが舞台装置の役割をしていて、ラッパーはその上でドラマを展開するためだ。また歌詞はリアルであることを追求し、“18 HUNNA”のようにフックが複雑で長い曲がヒットすることも多い。

 本作でも前作から一貫したラップに加えて、より音楽的なヴァリエーションを広げている。タイトル・トラックの 1. “Music × Road”でソウルフルなビートに合わせて内省的なテンションのラップを披露したかと思えば、Spotify では700万回以上再生されている 2. “Both”では、Ultra Nate の“Free”をサンプリングしたビートに合わせて、本アルバムのテーマである音楽とトラップ、ショーとドラッグ、ジュウェルとウィード、様々な欲望を対比させながら、Headie One は「両方」を手にいれるとラップしている。サンプリングの Ultra Nate の“Free”の原曲には、ソウルフルな歌にのせて「あなたはなんでもやりたいことができる、自由なのだから。あなたの人生を手に入れて、やりたいことをやりなさい」というメッセージがある。Headie One はそれを「ドリラー」として再解釈しているともいえる。

 4. “Rubbery Bandz”や 7. “All Day”、8. “Kettle Water”などは彼が呼ぶところの「T-House」(トラップハウス)でのビジネスを中心にした曲だが、“Interlude”を挟んで後半の 10. “Home”、12. “Chanel”では女性に対する真摯な姿を披露する。彼が他の多くのドリル・ラッパーと違って、いい意味で稀有な部分はここだ。女性をある種「利用」して自身の強さや横柄さを披露するのではなく、Headie One が女性を大切にしているところが伝わってくる。Stefflon Don と NAV を客演に迎えた 11. “Swerve”ではトラップ・ライフに対するネガティヴさも含めて彼なりの意見を表現している。『Music × Road』その両方を描写するコンセプトにふさわしく、彼の「強さ」や「賢さ」だけでなく、彼の苦悩や優しさも音楽の中で表現されている。一方で他のグループやエリアの脅し文句といった類は少なく、彼自身の成長を感じる。『Music × Road』は彼のトラップ・ライフの成功とその裏側にある苦悩や人間としての優しさが表現された1作であり、UKドリルという音楽の歴史を前に進めた作品だ。

WXAXRXP Sessions - ele-king

 きゃああっ。──失礼、あまりの驚きと喜びに声を漏らしてしまいました。ここしばらく続々と〈Warp〉30周年をめぐる動きが活発化していっていますが、新たなお知らせです。なななななんと、30周年を記念した特別12”シリーズ『WXAXRXP Sessions』の発売が決定しました! 往年の「Peel Session」を彷彿させるタイトルにもあらわれていますが、これがまたとてつもなくそそられるラインナップなのです。さて、腰を抜かす準備はいいですか? 参加しているのは……エイフェックスビビオボーズ・オブ・カナダフライング・ロータスケリー・モーラン、LFO(!!)、マウント・キンビーOPNプラッドシーフィールの10組です。詳細は下記をご確認いただきたいですが、すべて貴重な音源ばかりでめまいがします……なお、この秋開催される《WXAXRXP DJS》の会場では同シリーズが先行販売され、10作すべてを収納した限定ボックスセットも売られるとのこと。デザインもめちゃんこクールです。また、今回の発表にあわせBOCのレア音源“XYZ”も公開されています。テープの逆再生音とシューゲイジィなギターが織り成す、なんとも夢幻的なノスタルジア……間違いなくBOCですね。〈Warp〉30周年、アツすぎんよ!

[9月24日追記]
 本日、11月15日発売予定の『WXAXRXP Session』からビビオの“Lovers Carvings”が公開されました。ちょうど10年前、2009年の『Ambivalence Avenue』に収録されていた名曲の新ヴァージョンです。中盤、ヴォーカルが入ってくるところで鳥肌が立ってしまいました。ずるい、このアレンジはずるいって……(Apple Music / Spotify)。なお同時に、ビビオが最新作『Ribbons』収録の3曲を新たに演奏しなおしたセッション映像も公開されています(YouTube)。

[10月10日追記]
 BOCとビビオに続き、今度はマウント・キンビーの音源が公開されました。2017年の『Love What Survives』に収録されていた曲の新ヴァージョンで、6月のオンライン・フェスで放送された音源です。このセッションはステレオラブのアンディ・ラムゼイのスタジオで録音され、ミカチューも参加したとのこと。

[10月23日追記]
 続々と解禁が増えてきました。今回はシーフィールです。曲名は“Rough For Radio”。1994年、彼らがジョン・ピールの番組『Peel Session』に出演したときに録音されたものだそう。貴重!

[11月11日追記]
 一気に大盤振る舞いです。去る先週末、まもなくリリースとなる『WXAXRXP Sessions』から、10曲入りのサンプラーが配信されました。これまでに公開された3曲に加え、LFO、エイフェックス・ツイン、フライング・ロータス、OPN などのレア音源が解禁されています。発売は11月15日。試聴は下記リンクをご参照ください。なお、〈Warp〉30周年を特集した『別冊ele-king』最新号の情報はこちらから。

WXAXRXP Sessions Sampler
Apple Music: https://apple.co/2oXapD5
Spotify: https://spoti.fi/2WRTkHp

〈WARP RECORDS〉30周年記念作品
『WXAXRXP SESSIONS』発売決定!

Aphex Twin / Bibio / Boards of Canada / Flying Lotus /
Kelly Moran / LFO / Mount Kimbie / Oneohtrix Point Never /
Plaid / Seefeel

ボーズ・オブ・カナダの超貴重音源“XYZ”が公開!

先鋭的アーティストを数多く輩出し、クリエイティブかつ衝撃的なMVやアートワークの分野においても、音楽史に計り知れない功績を刻み続け、ついに今年30周年を迎えた〈WARP RECORDS〉。その偉大なる歴史を祝した30周年記念12"作品シリーズ『WXAXRXP SESSIONS』発売決定! 合わせてこれまで当時の放送でしか聴くことのできなかったボーズ・オブ・カナダの超貴重音源“XYZ”が今回公開された。

Boards Of Canada • ‘XYZ’
https://youtu.be/JZYnw3GBAlU

『WXAXRXP (ワープサーティー)』をキーワードに、様々なイベントが行われている2019年。いよいよ来週に迫ったフライング・ロータスの3Dライブ公演を皮切りに、10月30日よりスタートする!!!(チック・チック・チック)ツアー、それに続くバトルスのツアーに加え、スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが一堂に会するスペシャルDJツアー『WXAXRXP DJS (ワープサーティーディージェイズ)』の開催も発表され、盛り上がりを見せている。

今回発表された『WXAXRXP Sessions』は、BBCの伝説的DJ、ジョン・ピールの番組『Peel sessions』で放送されたスタジオ・セッション音源や、30周年特別企画の一つとして〈WARP〉が「NTS Radio」とコラボレートし、実に100時間以上に渡って貴重な音源をオンエアするという前代未聞のオンライン音楽フェス『WXAXRXP』で放送された貴重な音源などを収録した12"作品シリーズとなっている。

Aphex Twin
Peel Session 2

放送:1995.4.10
エイフェックス・ツインが披露した2つのラジオ・セッションのうちの1つ。すべてが当時のオリジナル音源で、披露された全音源がそのまま収録されている。アナログ盤でリリースされるのは今回が初めて。

Bibio
WXAXRXP Session

放送:2019.6.21
ビビオが、ブレイクのきっかけとなったアルバム『Ambivalence Avenue』に収録された3曲と、2016年の『A Mineral Love』収録の1曲を、ミニマルで美しいアコースティック・スタイルで再表現した4曲を収録。『WXAXRXP x NTS』の放送用にレコーディングされたもの。

Boards of Canada
Peel Session

放送:1998.7.21
ボーズ・オブ・カナダによる唯一のラジオ・セッションが、オリジナルの放送以来初めて完全版で収録。これまで当時の放送でしか聴くことのできなかった貴重な音源“XYZ”が今回公開された。
https://youtu.be/JZYnw3GBAlU

Flying Lotus Presents INFINITY “Infinitum”
Maida Vale Session

放送:2010.8.19
フライング・ロータスの出世作『Cosmogramma』リリース当時、『Maida Vale Session』にて披露されたライブ・セッション音源。サンダーキャット、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、そして従兄弟のラヴィ・コルトレーンらによる生演奏。ここ以外では聴くことのできない楽曲“Golden Axe”が収録されている。

Kelly Moran
WXAXRXP Session

放送:- / - / -
今回の『WXAXRXP Sessions』用にレコーディングされ、唯一過去放送もされていない超貴重音源。

LFO
Peel Session

放送:1990.10.20
デビュー・シングルを〈WARP〉からリリース直後に『Peel Session』に出演した際のパフォーマンスで、長年入手困難かつ、ここでしか聴くことのできない音源を収録。

Mount Kimbie
WXAXRXP Session

放送:2019.6.21
『WXAXRXP x NTS』企画で初披露されたパフォーマンスで、マウント・キンビーがライブを重ねる中で、どのように楽曲を進化させていくのかがわかるセッション音源。ミカ・レヴィもゲスト参加している。

Oneohtrix Point Never
KCRW Session

放送:2018.10.23
ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)率いるバンド、Myriad Ensembleが『KCRW session』で披露したスタジオ・セッションから4曲を収録。OPN以外のメンバーは、ケリー・モーラン、イーライ・ケスラー、アーロン・デヴィッド・ロス。

Plaid
Peel Session 2

放送:1999.5.8
プラッドが『Peel Session』に出演した際に披露したパフォーマンスを収録。『Rest Proof Clockwork』リリース当時のオリジナル音源で、ライブで高い人気を誇る“Elide”も含まれる。

Seefeel
Peel Session

放送:1994.5.27
アルバム『Succour』リリース当時に『Peel Session』で披露されたセッション音源。ここ以外では聴くことのできない“Rough For Radio”と“Phazemaze”も収録。

なお11月に東京、京都、大阪で開催されるスペシャルDJツアー『WXAXRXP DJS』の会場では、一般発売に先駆け、『WXAXRXP Sessions』が先行発売され、全作品を収納した超限定ボックスセットも販売予定。

WARP30周年 WxAxRxP 特設サイトオープン!
〈WARP〉の30周年を記念した特設サイトが公開中! これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインのレアグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズなどが好評販売中。その偉大なる歴史を祝し、アーティストや著名人など識者たちがそれぞれのテーマで〈WARP〉楽曲をセレクトした“MY WXAXRXP”プレイリスト企画がスタート!
WWW.BEATINK.COM/WXAXRXP/

!!! - WALLOP JAPAN TOUR -
前売りチケット絶賛販売中!

東京公演:2019年11月1日(金) O-EAST
OPEN 18:00 / START 19:00
前売 ¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277 / www.beatink.com

京都公演:2019年10月30日(水) METRO
OPEN 19:00 / START 20:00
前売 ¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
INFO:METRO 075-752-2787 / info@metro.ne.jp / www.metro.ne.jp

大阪公演:2019年10月31日(木) LIVE HOUSE ANIMA
OPEN 18:00 / START 19:00
前売 ¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

[チケット詳細]

label: WARP RECORDS/BEAT RECORDS
artist: !!!
title: Wallop
release: 2019.08.30 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-608 ¥2,200+tax
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

[ご購入はこちら]

BATTLES - JAPAN TOUR 2019 -
SUPPORT ACT: TBC

前売 ¥6,800 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可

東京公演:2019年11月4日(月・祝日) GARDEN HALL
OPEN 17:00 / START 18:00
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277

大阪公演:2019年11月5日(火) UMEDA CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

名古屋公演:2019年11月6日(水) NAGOYA CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:BEATINK 03-5768-1277

[チケット詳細]

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: BATTLES
title: Juice B Crypts
release date: 2019.10.11 FRI ON SALE
日本先行リリース!

国内盤CD BRC-613 ¥2,200+tax
国内盤CD+Tシャツ BRC-613T ¥5,500+tax
ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

輸入盤CD WARPCD301 ¥OPEN
輸入盤2LP カラー盤 WARPLP301X ¥OPEN
輸入盤2LP WARPLP301 ¥OPEN

[ご予約はこちら]


タイトル:
WXAXRXP DJS
ワープサーティーディージェイズ

出演:
SQUAREPUSHER (DJ Set), ONEOHTRIX POINT NEVER (DJ Set), BIBIO (DJ Set) and more

その他コンテンツ:
WXAXRXP POP-UP STORE, 30 YEAR VISUAL HISTORY OF WARP and more

東京
公演日:2019年11月1日(金)
会場:O-EAST / DUO

京都
公演日:2019年11月2日(土)
会場:CLUB METRO

大阪
公演日:2019年11月3日(日)
会場:SUNHALL

OPEN / START:23:00
料金:前売¥5,500(税込)
※20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。写真付き身分証をご持参ください。

[チケット発売]

イープラス最速先行:
東京 [抽選] 9/17 (火) 正午12:00 〜 9/22 (日) 18:00
京都 [先着] 9/17 (火) 正午12:00 〜 9/22 (日) 18:00
大阪 [先着] 9/18 (水) 正午12:00 〜 9/22 (日) 18:00

一般発売:9/28 (土)〜
イープラス、ローソンチケット、チケットぴあ、BEATINK、iFLYER 他

Nkisi - ele-king

 チーノ・アモービエンジェル・ホらとともに〈NON〉の設立に関わったことで広くその存在が知られるようになった新世代テクノ・プロデューサーのキシ。その後〈MW〉や〈Arcola〉といった気鋭のレーベルから着実にリリースを重ね、ついに今年待望のファースト・アルバム『7 Directions』をリー・ギャンブルの〈UIQ〉から送り出したUKアンダーグランドの希望の星が、来る9月20日、ついにこの列島の地を踏む。その初来日を祝し、これまでの彼女の経歴に迫ったインタヴューをお届けしよう。

コンゴ民主共和国出身で、ベルギーで育ったそうですが、コンゴで過ごしたのは何歳くらいまでなのですか?

キシ(Nkisi、以下N):私はコンゴのキンシャサで生まれて赤ちゃんのときにベルギーに引っ越した。その後ルーヴェンに落ち着いて、そこで幼少時代を過ごしました。

どのような幼少期を送っていたのでしょう?

N:よく独りでいる子で、子どものころはよくいじめられていた。自分みたいな境遇の子たちは周りにそんなにいなかったから、ほとんど音楽に逃避していて、あまり目立たないようにしていた。

音楽に興味を持つようになったのはいつから? きっかけは?

N:音楽に興味を持ったのはとても若いときで、親が社交的だったからよくハウス・パーティをやっていて、コンゴのルンバ、ズーク、ドンボロ(Ndombolo)で一晩中踊っていたのをよく覚えている。それがきっかけでコンゴのギターのリフにのめり込んでいった。

とくに影響を受けたアーティストや作品を教えてください。

N:私の音楽のテイストはつねに人生のあらゆる場所で並行して進んでいて、それは感情的であってスピリチュアルであって、コンゴの偉大なギタリストのフランコにとても影響を受けてるし、オウテカの『Amber』は人生を変える瞬間だった。J・ディラ、スラム・ヴィレッジ、エリカ・バドゥにハマった時期もあるし、スリー・6・マフィア、ギャングスタ・ブー、ロード・インファマスを出している〈Hypnotize Minds〉もそうだし、Liza 'N' Eliaz、(ジョーンズ&スティーヴンソンの)「The First Rebirth」、(ブルー・アルファベットの)「CyberTrance」を出していた初期の〈Bonzai Records〉や、あと〈Thunderdome〉も。とくに『Thunderdome』の「I」と「II」のコンピレーションが好きで、パトリック・カーリー(Patrick Curley)を紹介してもらったのも人生の変わるひとつのポイントだった。あとは最近だと the Future、Gabber Modus Operandi、〈Nyege Nyege〉、Kilbourne、House of Kenzo、ツアーで出会ったアーティストからたくさんの希望と刺戟を受けてる。

ロンドンへ移った理由は?

N:ロンドンへ引っ越した理由は、その歴史とエナジーに惹かれたところかな。初めて来たときになんでもできるような自由を感じて、自分にとって音楽をやるのに居心地のいい唯一の場所だと思ってる。もう7年経つけど、そのサイクルもそろそろ終わりを感じていて、次の場所を見ているところ。

2014年にハンブルクの〈Doomcore Records〉からリリースされた『16』が、最初に世に出たあなたの作品という認識で合っていますか?

N:そう。〈Doomcore Records〉からデビューしてる。レジェンドのロウ・エントロピー(Low Entropy)がやってるハンブルクのレーベルです。

翌年には同レーベルから『21』も発表していますが、ドゥームコア/ハードコア・テクノに興味を持つようになったきっかけは?

N:私はいつもダークなヴァイブスとメランコリックなエモーションに惹かれるから、ドゥームコアがまさにそれね!

あなたの音楽には、90年代前半のジェフ・ミルズのハード・ミニマルを想起させる部分があります。彼の音楽には触れていましたか?

N:ジェフ・ミルズの作品は大好きだし、敬愛している。リズムを操るモンスターだと思う!

ウェイトレスでアンビエント的なシンセの使い方は、やはりデトロイト・テクノ由来なのでしょうか?

N:どうかな。これまでいろんなものを聴いてきたすべての音楽のハイブリッドなものから生まれていると思うけど。

2015年には〈NON〉が始動します。あなたはその共同設立者のひとりですが、チーノ・アモービやエンジェル・ホとはどのように知り合ったのでしょう?

N:チーノ・アモービには2014年の終わりに出会って、《Endless》ってパーティで一緒にプレイした。その流れでエンジェル・ホをすぐに紹介された。

〈NON〉をはじめた動機や意図、野心を教えてください。

N:〈NON〉はパーソナルなアンビションというよりコレクティヴなヴィジョンで、そのとき音楽や世界に感じていた変化を求めるヴィジョンがあって、私たちのような存在に世界や業界が期待するものを拒否することを示したパワフルなものだったと思う。

2016~2017年の『DJ KITOKO VOL.1』『DJ KITOYO VOL.2』にはどのようなコンセプトがあったのでしょう?

N:DJ Kitoko のプロジェクトは自分が音楽を作りはじめたときのオマージュで、より自由なプロジェクトとでもいうのか、とくに何かあるって感じでもない。

2017年には〈Rush Hour〉傘下の〈MW〉からEP「Kill」をリリース、昨年は〈Warp〉傘下の〈Arcola〉から「The Dark Orchestra」をリリースしています。それはどういう経緯で?

N:「Kill」はこれまでつくってきたトラックのコレクション的なもので、「The Dark Orchestra」はよりライヴ・セットからできあがった感じ。

そして今年はリー・ギャンブルの〈UIQ〉からアルバム『7 Directions』をリリースしています。これはどういう経緯で? 彼とはどのように出会ったのでしょう?

N:リー・ギャンブルは共通の友だち経由で知り合った。私のNTSのショウを聴いてくれたのがきっかけで、そのときちょうどつくっていたものがそのまま『7 Directions』のリリースになりました。

それらをリリースしていく過程で徐々に名が知られるようになっていったと思いますが、この5年ほどであなたの音楽活動をとりまく状況にはどのような変化がありましたか?

N:とても変わった。みんな自分の音楽を楽しんでくれてるし、音楽にたいしてもよりスピリチュアルでいられるし、音楽を信じている私にとってそうなることは最高で、ほかにやることもないしね! 最近はみんなダンス・フロアで速くて暗いものを求めてるからそれも最高!

DJをするときにもっとも心がけていることは?

N:つねにダンス・フロアをリズミックなトランスに持っていくことに集中してるし、同じ心臓の鼓動を一緒に感じていたい。

Nkisi(キシ)来日情報

未来へ向かう熱狂のアジア&アフロ・フューチャリズム! ハードに燃え盛る中国地下の先鋭 Tzusing とコンゴ生まれ、ベルギー・ハードコア/ガバ育ちのアフリカン・レイヴなロンドンの新鋭 Nkisi (UIQ)、同じくロンドンのゴス・ダンスホール等で話題となったディストピアン・ラッパー/シンガー GAIKA (WARP)、日本のアヴァンギャルドから己の身体をテクノロジーによって音や光に拡張する現代美術家/ホーメイ歌手 Fuyuki Yamakawa をゲストに迎え、ローカルから WWWβ のコア・メンバー Yousuke Yukimatsu、Mars89、Mari Sakurai、speedy lee genesis が一同に揃い、世界各地で沸き起こる “第3の力” をテーマとした WWW のシリーズ・パーティ《Local World》のアニヴァーサリーとして開催。

WWW & WWW X Anniversaries
Local X5 World - Third Force -
2019/09/20 fri at WWW X

OPEN / START 24:00
Early Bird ¥1,800 / ADV ¥2,300@RA | DOOR ¥3,000 | U23 ¥2,000

Tzusing [Shanghai / Taipei]
Nkisi [UIQ / Arcola / London] - LIVE
GAIKA [WARP / London] - LIVE
Fuyuki Yamakawa - LIVE
Yousuke Yukimatsu [TRNS-]
Mars89 [南蛮渡来]
Mari Sakurai [KRUE]
speedy lee genesis [Neoplasia]

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Ash Walker - ele-king

 近年ではクルアンビンの諸作をリリースすることで知られる〈ナイト・タイム・ストーリーズ〉。ほかにもUKダウンテンポ・ソウルのヴェテランのレイ&クリスチャンから、昨年はサウス・ロンドンの新世代ジャズの旗手と注目を集めたレイファー・ジェイムズなどをリリースしているが、その〈ナイト・タイム・ストーリーズ〉から『アクアマリーン』というアルバムをリリースしたのがアッシュ・ウォーカーというアーティストだ。
 ロンドンのDJ/プロデューサー/マルチ・ミュージシャンである彼は、ラスタファリのような風貌をしていて、アフリカもしくはカリビアン系の血筋を持つように思われる。2010年代半ばから活動をしていて、これまでに『オージメンティッド・セヴンス』(2015年)と『エコー・チェンバー』(2017年)という2枚のアルバムをリリースしている。彼が影響を受けたアーティストにはデューク・エリントン、クインシー・ジョーンズ、キング・タビー、ボー・ディドリー、4ヒーロー、Jディラ、ピート・ロック、カーティス・メイフィールド、フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒなどの名が挙がるが、最初に彼のサウンドを聴いて真っ先に思い起こしたのがナイトメアーズ・オン・ワックスだった。アシッド・ジャズとダブ、アフリカ音楽やエキゾティックな民族音楽、バレアリックなブレイクビーツが一緒になった印象を受けたわけだが、UKには伝統的にダブやダウンテンポの影響が残っているので、アッシュ・ウォーカーもその系譜を受け継ぐアーティストと言える。

 『アクアマリーン』のアルバム・ジャケットのアートワークは、ヤズ・アーメッドの『ラ・サボテューズ』や最近はサウス・ロンドンのジャズ勢が集結したシード・アンサンブルの『ドリフトグラス』のジャケットを手掛けたソフィー・ベースによるものだ。アッシュ・ウォーカーの深海を蠢くようなダビーなサウンドを的確に表現したエスニックなイラストだが、『アクアマリーン』にもその繋がりからかヤズ・アーメッドがフリューゲルホーンで参加。ほかにキザイア・ジョーンズやジュニア・ウォーカーらと共演するベーシストのマーク・シリル、この夏に〈アシッド・ジャズ〉からアルバム・デビューを果たし、ブラン・ニュー・ヘヴィーズの新作にもフィーチャーされているソウル・シンガーのラヴィルが参加している。

 そのヤズ・アーメッドの参加に象徴されるように、いままでのアルバムに比べてジャズ度が増している印象だ。たとえば“ブレイヴ・ニュー・ワールド”などはカマール・ウィリアムズを彷彿とさせるような曲だったりする。“ザ・ドラゴンズ・カシミア・ジャンパー”は複雑な変拍子を持つニュー・ジャズと言えるような曲で、ヤズ・アーメッドが演奏する“カム・ウィズ・アス”はヘヴィーなベースとドラムのコンビネーションによるジャズ・ファンク。一方でラヴィルが歌う“タイム”は6拍子の幻想的なジャズ・ロック、同じくラヴィルが歌う“アンダー・ザ・サン”や“フィニッシング・タッチ”はメロウなAORソウル。“エイント・ゴット・ユー”はアシッド・ジャズとバレアリックなハウスが合体したようなサウンドといった具合に、リズム・ヴァリエーションや曲調もいろいろと変化に富む。ただし、そうした様々な曲にダビーでサイケデリックな味付けを施していることで、アルバム全体として統一感が保たれている。タイトル曲の“アクアマリーン”や“アイ・ニード・マネー”は、ギターをはじめとした演奏がメロウネスとダビーな心地よさを運んでくる。そうした柔らか側面と、“ファット・キング・スモーク”に代表されるUKクラブ・サウンドならではのダークでドープな側面が、1枚のアルバムの中でうまく調和している印象だ。


Kelela & Asmara - ele-king

 近年巷ではやたらと穏やかで控えめなポップ・ミュージック、落ち着いてリラックスしたムードのソウルやジャズがウケていて、それは数字としてもたとえばトム・ミッシュの異例のヒットなどにあらわれているが、そしてそこにはますます悪化の一途をたどる世界や社会からの逃避願望が潜んでいるのだと思われるが、そういった音楽の傾向を指し示すときに、けっこうな頻度で「アンビエント」という語が用いられている。むろんそれはもともとの、多分に思想的な側面をはらんだアンビエントの概念からは離れた用法で、ようはなんとなく静かな雰囲気を捉えるために便宜的に使用されているにすぎない。ゆえに、より適切な名称として「クワイエット・ウェイヴ」なるタームが話題になったりもしたわけだけど、〈Night Slugs〉界隈から浮上してきたエチオピア系アメリカ人シンガーのケレラと、その盟友たるングズングズのアスマラことアスマ・マルーフのふたりは、この〈Warp〉30周年を祝うNTSのミックス音源で、比喩的にではなくじっさいに、アンビエントと現代R&B~ソウルとの接続に挑戦している。

 まず冒頭が小久保隆であるという点に、このミックスの独自性が宿っている。小久保はアリックスクンの『雲の向こう』や、それこそ『Kankyō Ongaku』にもとりあげられていた「環境音楽家」であるが、それをすぐさま横田進の『Sakura』(1999年)収録曲へとつなげてみせるところに、80年代以降の環境音楽と90年代、レイヴ以降のアンビエントとをおなじ角度から捉えようとする、彼女たちの批評精神があらわれている。
 レイヴ以降の感覚を担保しているのはオウテカエイフェックス・トゥインの二大巨頭で、前者は2008年の『Quaristice』から1曲目が、後者はまさに1994年の『SAW2』から、CDでいうと2枚目の8曲目が選ばれている。そのエイフェックスの叙情を引き継いだとも言えるカリーム・ロトフィの逸品“Fr3sh”を拾うあたりも気が利いているが(〈PAN〉による名アンビエント・コンピ『Mono No Aware』収録曲で、昨年カニエが『Ye』で無断使用したことも話題に)、その仲立ちをまだ素朴にアナログ機材と戯れていたころのOPNにやらせるというのもうまい(2009年の『Russian Mind』の2曲目)。
 今日性を担わされているのは現代ニューエイジの旗手たるヴィジブル・クロークス(『Reassemblage』冒頭)やジョニー・ナッシュ&スザンヌ・クラフト(『Passive Aggressive』3曲目)だが、他方で00年前後のエレクトロニカにたいする配慮と思しきレイラや(1998年の『Like Weather』の3曲目)、いわゆるインプロヴィゼイションの分野にたいする目配せと考えられるジャコ・パストリアス(とジョニ・ミッチェル)の異色のライヴ音源なんかもピックアップされており、いやはやなんとも抜け目がない。
 そして忘れてはならないのはもちろん、それら素晴らしいトラックたちのうえに、つややかで美しいケレラのヴォーカルが搭載されている点だ。彼女の声はバックトラックの魅力をかき消さないよう慎重に空間を泳ぎつつ、他方で今日におけるソウル=魂のありかを照らし出そうと懸命に奮闘してもいる。その合体こそが本作をただのミックスであることから遠ざけ、一級のクオリティを具えたオリジナル作品の域にまで引き上げている。これはある意味、ソランジュにたいするアンダーグラウンドからの回答とも言えるのではないか。

 ケレラとアスマラのふたりが実践するこの歴史的パッチワークと夢幻的ヴォーカルとの融合は、80年代以降の環境音楽~アンビエント~ニューエイジの地図に新たな線を引きなおす系譜学的な試みであると同時に、そこに現行の穏やかなR&B~ソウルのトレンドを合流させようとする、すぐれて批評的かつ独創的な試みである。

Bon Iver - ele-king

 これは嬉しいお知らせです。先日待望のニュー・アルバムを発売したばかりのボン・イヴェールが、4年ぶりに来日公演をおこないます! 少し先ですが、年が明けた2020年の1月21日(火)と22日(水)の2日にわたり、Zepp東京にて開催。前作『22, A Million』を出したときは来日がなかっただけに、今回新作が出たあとに観られるのは僥倖。見逃せません。

奇跡の初来日から4年……
ボン・イヴェール第1章を締めくくる来日公演が決定!

米国ウィスコンシン出身のシンガー・ソング・ライター、ジャスティン・ヴァーノンによるプロジェクト、「ボン・イヴェール」の来日公演が決定しました。2008年のデビュー・アルバム「For Emma, Forever Ago」を発表して以降、これまで3枚のアルバムをリリース。2ndアルバム『Bon Iver』は全米チャート2位/全英チャート4位を記録、また第54回グラミー(2012年)最優秀新人賞・最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞の2冠を達成するなど10年代のオルタナティブシーンを代表する最重要アーティストとなりました。

2016年2月に初来日公演を開催し東京公演がソールドアウト。先日発表された新作『i, i(アイ、アイ)』でひとつのサイクルを締めくくったボン・イヴェールが4年ぶりに日本に帰ってきます。10年代を代表するアーティストの新たなディケイドの始まりにふさわしい公演をお見逃しなく!

アーティスト:
ボン・イヴェール / Bon Iver

公演概要:
2020年1月21日 (火)・22日(水)Zepp東京
OPEN 18:00 / START 19:00
2階・指定席:¥9,600(別途1ドリンク代)
1階・スタンディング:¥8,600(別途1ドリンク代)

お問合せ:info@livenation.co.jp

※価格は全て税込み
※未就学児(6歳未満)入場不可

企画・制作・招聘: Live Nation Japan
協力: Big Nothing
公演リンク: www.livenation.co.jp/artist/bon-iver-tickets

BON IVER “ i, i ”

2019年を象徴する1枚。前作『22, A Million』から3年、現行のミュージック・シーンを牽引し、更新し続けるボン・イヴェール、待望のニューアルバムがリリース。

2019.8.28 ON SALE[日本先行発売]

■アーティスト:BON IVER(ボン・イヴェール)
■タイトル:i, i(アイ、アイ)
■品番:JAG350JCD
■定価:¥2,400+税
■その他:
 ①日本盤特殊仕様:日本オリジナル・アートワーク、ワイドケース、36Pブックレット(全ぺージ、ニス・コーティング)、投げ込み解説
 ②Laura Barton(ローラ・バートン)による解説、歌詞/対訳(中村明美)付
 ③日本先行発売(海外:2019年8月30日)
■発売元:ビッグ・ナッシング / ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
 01. Yi
 02. iMi
 03. We
 04. Holyfields
 05. Hey, Ma
 06. U (Man Like)
 07. Naeem
 08. Jelmore
 09. Faith
 10. Marion
 11. Salem
 12. Sh'Diah
 13. RABi

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