「Ord」と一致するもの

Nicolas Bernier - ele-king

 2013年、世界的なメディア・アートの祭典〈アルス・エレクトロニカ〉において「デジタル・ミュージックス・アンド・サウンド・アート」を受賞したアーティストがモントリオールのニコラス・ベルニエである。作品の名は「フリークエンシーズ (a)」。「音叉」の震動を音響的に拡張させる装置/テクノロジーを用いたサウンド・アートだ。

 音叉の物質的な震動によって生成する響きは、既存の(90年代後半以降、PCのHD内での音色生成・エディットや、エラーによる偶然性の活用=グリッチを用いた)ポスト・デジタル・ミュージック作品と似て非なる魅力の音を生み出すことに成功している。氷のようなクールなビジュアルと、透明なガラスに反射する光のようなクリスタルな音の生成と持続は、観るものに静かな衝撃を与えるだろう。インターネットでダイジェスト映像が公開されているので、そちらをご覧になっていただきたい。この装置の概要がわかるはずだ。


frequencies (a) | nicolas bernier from Nicolas Bernier

 本盤は「フリークエンシーズ (a)」の音源化である。リリースはリチャード・シェルティエが主宰するサウンド・アート・レーベル〈ライン〉。タイトルに「フラグメンツ」とついていることからも、実際のインスタレーションの音をエディットしたものと思われる。

 ニコラ・ベルニエは、この作品を「純と不純の二分法に関するシリーズ」と述べている。この「純」とは何か。音叉によって生まれる響きのことか。事実、彼は「音叉は純粋な正弦波に近いサウンドを生成するオブジェクト」と語ってもいる。では「不純」とは何か。それが人間によるエディット・コンポジション、もしくはコンピューターによるフリーケンシーな音色の生成のことであろうか。純=音叉とアナログ、不純=コントロールとマシンとは、いささか粗雑な解釈だろうが、ひとつの補助線を引くことくらいはできるだろう(それにしても音叉という本来、調律を行う器具を用いて、このような非平均律的なノイズを生み出すというコンセプトがユニークだ)。

 私見だが、「純と不純の二分法」という概念は、本シリーズ作品のテーマでもあるようにも思える。そう「フリークエンシーズ」はシリーズ作品なのだ。アルス・エレクトロニカ受賞作品「フリークエンシーズ (a)」は、音叉による震動を音に変換する独自のシステムを用いたインスタレーション/サウンド・アート作品。そしてシリーズ2作め「フリークエンシーズ(シンセティック・バージョン)」は、同じシステムを用いたラップトップによるデジタル・ミュージック作品。こちらも動画がある。


frequencies (synthetic variations) | nicolas bernier from Nicolas Bernier

 本シリーズの音源化は、まずは、2013年に、フランスの実験音楽レーベル〈エントラクト〉から「フリークエンシーズ(シンセティック・バージョン)」がリリースされたことにはじまる。〈ラスター・ノトン〉的な律動感に満ちたトラックばかりの傑作で、コンピューター制御されたトラックが脳髄をバキバキに刺激していくアディクティヴなアルバムである。そして2014年、〈ライン〉から『フリークエンシーズ (a / フラグメンツ)』も発表された。これでまだ発表されていない第3部を除き、第1部「(a)」と第2部「(シンセティック・バージョン)」が音盤/音源化されたことになる。

 個人的には、ニコラス・ベルニエの新作が〈ライン〉から出るというアナウンスを知ったときは軽い驚きを感じたものだが、同時に納得もした。ベルニエは〈ホーム・ノーマル〉などからポストクラシカル/アンビエントな、可憐なアルバム『Music For A Piano / Music For A Book』(2012)などもリリースしていたので、〈ライン〉からのリリースは意外に感じるものの、彼のライヴやインスタレーションの動画を観ると、エクスペリメンタルな楽曲をコンスタントに発表していたし(こちらにいくつかの動画がまとまっている。https://vimeo.com/nicolasbernier)、そのうえ13年のアルス・エレクトロニカ受賞が追い風にもなったであろう。さらに〈エントラクト〉からの本シリーズの別バージョン音源の完成度の高さを考えると、〈ライン〉のラインナップに加わることは納得がいく。そして〈ライン〉としても、そのレーベル・カラーに大きな変革をもたらす重要なアルバムになるのではないかとも思えるのだ。

 では〈ライン〉的なるものとは何か。それは音響の建築的(アーキテクチャー)設計によるサウンド/アートの再設定というものではなかったか。聴こえないほどの微音=震えを、建築的な音の構造論から設定し、新たな音環境を構築すること。それがレーベル初期の思想であったように思われる。それらは主宰リチャード・シェルティエらの作品のようにロウワーケース・サウンドなどと呼ばれもした。

 そのブームのようなものが去った後も〈ライン〉はいくつもの方法論を模索しながら、やはり「音/響のアーキテクト的な再設定の思考」を進めてきた。00年代中盤以降〈ライン〉はもはや微音量にこだわってはいなかった。彼らが、その時期以降に実践してきたことは、「音楽的ではないドローン」の環境的・美学的な音響生成であったように思う。12kが「音楽的なドローン」=アンビエントへと向かっていたこととは対照的であった。

 しかしこの2014年最初のリリースにおいて、〈ライン〉は、非音楽的ドローンをエステティックなレベルに持っていくという一連の実験・実践とは異なるコンセプトをプレゼンテーションしてきたように思う。それはどのような変化なのか。一言で言うならば、音の物質的な震動を再生成することではないか。同時リリースされたディスクが、環境音からほとんど鳴っていないような静寂と震えを生み出すフランシスコ・ロペスの音源データ(7時間分)を収録したクロニクルDVDであったことも示唆的だ。そう、2014年、〈ライン〉は、音の「震動」に焦点を当ててきた。

 となると、ベルニエのこの作品のどこが「震動」的なのか。いうまでもなく、音叉の震えから純粋な電子音響を生成しているところである。この作品は、一聴したところ透明な電子音が持続と変化と切断の中でコンポジションされるポスト・デジタル・ミュージック作品に聴こえるし、たしかに、コンピューターによって制御されてもいるのだが、しかし、その音は、音叉とその装置の接触による物質的な震動なのだ。それこそが、ほか(の電子音響作品)にはない、新しさに思える。事実、本盤の響きをよく聴いてみると、そのトラックを満たしている震動には、微細なアナログ感があり、それがフェティッシュな音の快楽を生んでいる。デジタルな音の生成とアナログで物質的な音の震動の交錯とでもいうべきか。

 アルバムは33分程の1トラックだが、音は変化を繰り返すので飽きることはない。冒頭からガラスを弾くような響きが間をおいて繰り返され、残響から別の音の層が空気のように生まれ出ていく。さらに打撃音が持続の中に打ち込まれ、光のようなアンビエンスの層と融合する。透明な打撃と持続。微細なノイズの粒。微かなノイズから生まれるクリッキーなリズム。パチパチとした細かいリズムに、ガラスのカーテンのような音の交錯。それらはまたも非反復的な打撃音ともに消え去っていくのだが、そこからさらに氷のように冷たく透明なサウンド・カーテンやマイクロ・ノイズが幾層にも生まれ出る……。

 個人的には、やはり9分から12分あたりで展開されるクリッキーなリズムと、砂時計のような微細なノイズと空間を揺らすような透明な音が交錯するあたりが好みだが、全33分、どの瞬間も、透きとおっていて、美しい緊張感がある。そのクリスタルな音の持続は電子音楽と非電子音楽の間を越境し、音の磁場・震動・環境は、マシニックな緊張と官能性の中で見事に刷新されている。まさに2014年、ポスト・デジタル・ミュージックの最前線。必聴のアルバムである。

 最後になったが、ニコラ・ベルニエは、ボールドというインプロ・ノイズ・ユニットとしても活動しており、昨年はカセット作品『FMV/SHR』を発表した。こちらもインターネットにパフォーマンス動画がアップされている。まるでボードゲームをプレイするかのように3人向かい合ってのラップトップでパフォーマンス。ユニーク極まりない。


MASUO (Lighthouse Records / Gallery) - ele-king

自分がSound System/Lightingを担当しているSunday Afternoon Party「ギャラリー」を3/9青山CAYで開催します。
皆さんお誘い合わせの上お越しください!

■3/9 (Sun) Sunday Afternoon Session "Gallery" at Cay
Open: 17:00~24:00
Admisson Fee: 2,000yen
Music by DJ Nori, Fukuba, Alex from Tokyo, Kenji Hasegawa
Food: Rico Curry (カレー), Cacao∞Magic (ローチョコ), 玄米おむすび
https://www.facebook.com/RestaurantCAY

■3/5 (Wed) "Tree - Smoker Edition" at Aoyama Zero
OPEN :22:00
Door:2000yen (1d) W/F:1500yen(1d)
Special Guest DJ: DJ FUKUBA
DJ: DJ NORI, YUKI TERADA

■3/7 (Fri) "3on3" at Bonobo
60min of f**k match by MASUO x G.O.N. x DJ BAJA aka 元カレー屋まーくん
Special foods "のぐち亭" by Yukancois [ROOM FULL OF RECORDS]
Welcome Ladies: YUKIKO & CHIE
Fee: 1,000yen
https://bonobo.jp/

■3/26 (Wed) "MASUO 5hours Exclusive Set" at Kieth Flack (福岡)
OPEN: 20:00 - 25:00
https://www.kiethflack.net/

■3/29 (Sat) "World Invader" at SHeLTeR (八王子)
GUEST INVADER: イケダマスオ aka MASANORI IKEDA & MASUO
WORLD INVADER: MR.KEI (SAL), FUJINO▼ (feel), SANCHE☆
INVADER MIXER: SHO-DEN (Surprise Audio Lab)
https://www.at-shelter.com/

=== 2014 Early Spring Chart ===


1
Grandbrothers - Ezra Was Right - Film

2
Fat Freddy's Drop - Mother Mother (Cosmodelica Remix) - The Drop

3
Africaine 808 - Lagos, New York - Golf Channel Recordings

4
Whilst - Everything That Was Was There - Optimo Music

5
David Bowie - Love Is Lost (Hello Steve Reich Mix By James Murphy For The DFA) - Columbia

6
Paqua - Late Train (Emperor Machine Mix) - Claremont 56

7
Bah Samba - Here For Now - Village Again

8
Wild Rumpus - Musical Blaze-Up - Bitches Brew

9
Mantis - Yoru no Tobari feat. Mahina Apple - 3rd Stone

10
Kuniyuki - Precious Hall (Secret Street Mix) - Natural Resource

JAY DANIEL - ele-king

 昨年、デビュー・シングルをセオ・パリッシュ(今日のハウス・シーンにおいて、おそらくもっとも影響力のある人)のレーベルから発表、そして来週にはデビューアルバムをカイル・ホールのレーベルから出す予定の、若干23歳、ジェイ・ダニエルが初来日する。まずはこのボイラールームでのDJを見てくださいよ。ちゃんとレコードとターンテーブル使っているし。

 

 お母さんが、カール・クレイグが作ったガラージ・ハウスの傑作、“スターズ”で歌っていたナオミ・ダニエルだって事実だけで、往年のファンには大受けだったジェイ・ダニエルだが、そのバイオに相応しく、DJの腕もたしかだ。90年代後半のムーディーマンとセオ・パリッシュのタッグのように、2010年代、彼とカイル・ホールが、シーンに新しい風を送る。渋谷モジュールでの1回キリのDJ。 伝説の夜に、GO THERE!


■2014.3.15(土) module

Dope Dive -JAY DANIEL-

23:00~

2000 (with flyer) | 2500/(door)

Jay Daniel (Fundamentals / Sound Signature)
Tommy (Technique/V.)
DJ MUCKY (Vinylists)

Shota Tanaka (Beaten Space Probe/Disco Deviance)
Ryo Nakahara (Ranamusica / Lighthouse Records)
Masashi Matsu i(L.S.S TRAXX / Loudspeaker Survey)
DJ STOCK (World Spin / JMC)


 時代が動くときはいっきに動くもの。ゆっくりと予兆があって、いきなりどかっと変化する。ハウス・ミュージックが90年代リヴァイヴァルという華やかなトレンドとなったその裏側では……レフトフィールドな事態になっている。カッセム・モッセは、ロンドンの野心的な〈ノンプラス〉(アクトレスのリリースなどで知られるボディカのレーベル)、ベルリンのハーワックス系の〈ワークショップ〉、オマー・Sの〈FXHE〉など、カッティング・エッジなレーベルからの作品で知られる。彼のライヴセットが3月22日の代官山UNITでおこなわれる。
 これ、代官山UNITと格好いいTシャツで知られる〈THE TRILOGY TAPES〉、そして我らがスケシンがデザインするファッション・ブランド、C.Eとの共同企画。メインには、DJノブも出演する。下の階では、C.EのスタッフもDJ。音楽が変化する、この瞬間に出会おう。

 〈WORKSHOP〉からのリリースによりブレイクしたKASSEM MOSSE(カッセム・モッセ)がライヴ・セットで再来日!  先述した〈WORKSHOP〉をはじめ、〈FXHE〉、〈Laid〉、〈nonplus〉など多数のレーベルからエレクトロ~ディープ・ハウス~テクノの境界線を横断するオリジナリティ溢れるトラックを発表し、その存在を揺るぎ無きものとしているKASSEM MOSSE。待望のニュー・アルバム『Workshop 19』のリリースもアナウンスされた異才の、まさに絶好のタイミングでの再来日に注目してほしい。
 さらに、KASSEM MOSSEもカタログに名を連ねるUKのレーベル、〈THE TRILOGY TAPES〉を主宰し、古くは〈Mo’Wax〉のヴィジュアル・ディレクションを手掛け、最近では〈THE TRILOGY TAPES〉はもちろん〈Honest Jon's Records〉など名だたるミュージックレーベルへデザインを提供するWILL BANKHEADの出演も決定。そして日本からはKASSEM MOSSEの過去2回にわたる来日時にも競演を果たしているDJ NOBUが3時間のDJセットで参戦。確固たる存在感を放つ3者の競演が果たしてどのような空間を生み出すか、興味は尽きない。
 なお、この日はSk8thingが手掛けるストリート・ウエアブランド〈C.E〉と〈THE TRILOGY TAPES〉が〈UNIT〉とタッグを組み開催するパーティであり、階下のSALOONには〈C.E〉ディレクターのTOBY FELTWELLをはじめ同ブランドと馴染み深いキャストが名を連ねる他、〈C.E〉×〈THE TRILOGY TAPES〉によるTシャツも会場限定で発売。

2014/03/22(SAT)
@ DAIKANYAMA UNIT & SALOON

[UNIT]
LIVE:
KASSEM MOSSE (WORKSHOP, THE TRILOGY TAPE, FXHE)

DJs:
WILL BANKHEAD (THE TRILOGY TAPES)
DJ NOBU (Future Terror, Bitta)
GENKI (Yuk, UV)

[SALOON]
DJs:
CLOAK DAGGER(Stray form the path)
TOBY FELTWELL
KOKO MIYAGI
1-DRINK
LIL' MOFO

OPEN/START 23:00
ADV.3,000yen DOOR 3,500yen

TICKET OUTLETS: e+ / diskunion 渋谷 Club Music Shop / diskunion 新宿 Club Music Shop / diskunion 下北沢 Club Music Shop / diskunion 吉祥寺 / JET SET TOKYO / TECHNIQUE / Clubberia / RA / UNIT

MORE INFORMATION : UNIT 03-5459-8630
https://www.unit-tokyo.com


ミツメ - ele-king

 団地を切り取ったミニマルなカヴァー・アートが目を引く。規則正しく等間隔で並んだベランダには、それぞれ洗濯物、室外機、あるいは植物なんかが見えている。これはたとえば、この『ささやき』に収められた“公園”や“ボート”、“3年”の曲調のようなほほんとした単調さを持った生活感や、『eye』までのカヴァー・アートの少々感傷的でノスタルジックな感覚を想起させる。
 あるいは。アンドレアス・グルスキーがスーパーマーケットを切り取ったあの冷たいミニマリズム(そういえば、ポール・トーマス・アンダーソンは『パンチドランク・ラブ』のなかでグルスキーへのオマージュを捧げていた)のような居心地の悪さや気味悪さも感じられる。それは昨年のザ・ストレンジャーのアルバム・カヴァーのようなディストピックな閉塞感とも地続きにある、のだろう(大友克洋の『憧夢』も思い出される。「団地」というものはあまりにも多くの意味を孕んでいる)。
 『ささやき』のジャケットをLPサイズで眺めていると、微笑ましい生活感と悪夢のような冷たい反復との間で引き裂かれそうになり、くらくらと目眩がする。

 ミツメの3作めとなる『ささやき』はそういった両価性を持ったアルバムで、ミツメはここで弛緩と緊張とがともに存するような音楽を奏でている。
 “公園”や“ボート”にはふにゃふにゃと緩みきった気怠い反復があり、たとえば“ボート”には楽天的でトロピカルな感覚すらあるが、「ずっと前から 気にしてたけど/いいよ」「道連れにして うやむやになる」と諦めきった倦怠感が充満している。そして、“停滞夜”や“テレポート”などに特徴的だが、川辺のクルーナー・ヴォイスには深く深くリヴァーブがかけられ、口を開ききっていないようなそれこそささやくような──歌唱法でもって、ますますゴーストリーでこの世ならざる繊細さが表現され、空気へと分散し溶け込もうとしているかに感じられる。
 昨年のシングル『うつろ』について僕は「虚無感」「妙に重たくて気怠く、隙間だらけだが粘っこいグルーヴ」「ダーティでルーズで未整理な音」と書いたが、『ささやき』ではそういった感覚や方向性をさらに深化させているようだ。先の“ボート”などの他に“コース”や“クラーク”といったシンプルでルーズなロック・チューンでは(とくに後者で)ペイヴメントのようなだらけたグルーヴを展開しており──つまりこういった演奏ができるということは、ミツメの4人のアンサンブルはいまもっとも息があっているということなのだろう。

 一方、“いらだち”では『BGM』や『テクノデリック』の頃のYMOのドラム・サウンドを、“ささやき”では『青空百景』の頃のムーンライダーズのギター・サウンドをそれぞれ思い起こさせ、他にも“停滞夜”や“number”といった曲ではニューウェイヴへの指向性を一層深めている。ギター、ベース、ドラムスないしドラム・マシンが刻むミニマルなリズムがこういった楽曲の中心を占め、抑制や禁欲の美意識がゆき届いた緊張感、緊迫感を放っている。

 『ささやき』はどの曲も短く、収まりのいいエンディングを迎えないまま唐突に終わる。いくつかのインタヴューでは、プリプロ段階で録音したデモに残された偶発的なミスやフレーズをレコーディングにおいて再現した、ということが語られていたが、『ささやき』にはリハーサルを録音したプライヴェート・テープといった趣すらある(“ささやき”のドラムスを聴いてみよう。タムの捌き方やハイハットの開閉にはまるで演奏中に叩き方を考えながら叩いているかのような不安定さがある)。だけれども、だからこそ、ここには異様な緊張感と弛緩とが奇妙に同居している。
 アルバムを聴き終えたあとには、カヴァー・アートから感じるそれと相同の居心地悪さ、薄気味悪さが残るだろう。『うつろ』で踏み出したニュートラルでフラットでどっちつかずのグレーゾーンのその先で、霧と煙に取り巻かれて、ミツメは茫漠とした奇妙な像を結んでいる。

Asusu (Livity Sound / Project Squared) - ele-king

Asusuが3月29日に-Flower War- Life Forceで初来日する。彼はPeverelistとKowtonと同じレーベルでライブユニットである”Livity Sound”のメンバーで、UKブリストルから、ベースミュージック以降のシーンにテクノやハウスの実験精神を持って、ダブステップやダブの最良の部分を組み合わせたサウンドを追求し続けている。昨年はLivity Soundのセルフタイトルアルバムや、Pevとの共作シングルといった傑作をリリースし、2013年のRA Pollではレーベル部門で見事1位に輝いた。Asusuは3月28日(金)に豊橋Quark、29日(土)原宿The Sad Cafe STUDIOでは、90年代初頭より20年以上にも渡り、国内でオープンエアパーティー、ウェアハウスパーティーのカルチャーを根付かせてきたLife Forceに登場する。3月26日(水)にはDOMMUNEへの出演も予定されている。Asusuによるテクノとハウス、ガラージュ、ダブステップが融合した現行ブリストルサウンドをAsadaのサウンドデザインで是非体感してみてほしい。

Asusu Tour Dates
3/26 (水) Life Force Presents BROADJ at DOMMUNE, 渋谷
3/28 (金) Paranoid at Grand Space Quark, 豊橋
3/29 (土) -Flower War- Life Force at The Sad Cafe STUDIO, 原宿

限定前売りチケット発売中 -Flower War- Life Force 3/29 (土)
Feelgood Shop

Asusu
Soundcloud | Facebook | Twitter

Life Force

a top 10 of old and new bits I'm playing at the moment...


1
Zenker Brothers - Vamp Like - Tresor

2
Iori - Wave - Phonica White

3
Kobosil - Aggregate - Unterton

4
Photek - Glamourama - Science

5
Hodge - Renegades - Ytivil Dnuos

6
Batu - Spooked / Clarity(Dismantled) - Ytivil Dnuos

7
Skudge - Wonder Stories - Skudge

8
DJ Dozia - Pop Culture #1 - Ovum Recordings

9
Elgato - We Dream Electric - Elgato

10
Rashad Becker - Traditional Music of Notional Species - PAN

 筆者は昨年5月末に、5年半に渡って住み続けたこの街を離れて東京に移住したのですが、7ヶ月ぶりに訪れたイギリスでは大荒れの天気が続いていました。各地で浸水の被害が深刻になっているようで、少し心配もしていたのですが、ロンドン市内はいつものように活気に満ちていて、毎日のように吹き荒れている暴風についても、こんなの普通と言わんばかりに平然と生活していました。

 おそらく今、ロンドンで暮らすミュージシャンたちはもちろんのこと、多くのオーディエンスがこの街のシーンのトレンドが変わりつつあるように感じていると思います。
 僕がこの街に引っ越して来た2007年末頃には、ダブステップという音楽がアンダーグラウンドの枠を飛び越えて、既に広く浸透しはじめていました。それからほどなくして、似て非なる音楽として『ポスト・ダブステップ』と呼ばれる音楽が注目されるようになり、日本でもお馴染みのJames BlakeやBurial、それにいまやシーンの中心人物のひとりでもあるJamie xxを擁するThe XXといったアーティストたちの成功により、そのムーヴメントはお茶の間にまで浸透し、いまや大手スーパーやデパート等でそういった音楽を耳にすることが珍しくなくなりました。トレンドの移り変わりの早さがよく取沙汰されるロンドンにおいて、これほどの規模でこんなにも長く続くとは誰も予想していなかったに違いありません。

 実際にはそういった音楽の需要はまだたくさんあるようで、星の数ほど存在するインディー・レーベルからは、毎日のように新人アーティストによる作品が発表されています。XLの傘下であり、SBTRKTなどを擁する〈Young Turks〉のような広く知られたレーベルにおいても、FKA TwigsやKoreless等、トレンドの最新型と形容されるようなアーティストたちがデビューを果たしています。しかしながらまた違った動きを見せているレーベルもたくさんあり、Grimesの初期作品を発表していた〈No Pain In Pop〉などがいい例で、Forest SwordsやKaren Gwyer、それに最近〈WARP〉に移籍したPatten等、カテゴライズが難しいアーティストをたくさん抱えつつも、そのどれもが耳の早いリスナーたちから支持を得ています。

 シーンがそういった移り変わりの兆しを見せる一方で、現場事情、つまりロンドンのクラブシーンは以前と変わらず元気な印象を受けます。Dance TunnelやBirthdaysのような小さなクラブ、それにCafe Otoのようなライブミュージック中心のハコなどが多数存在するDalstonというエリアでは、週末の夜には通りがキッズたちで溢れ返っています。またTheo ParrishやFloating Pointsらがレジデントを務め、ビッグなシークレットゲストが度々登場することで知られるPlastic Peopleも、相変わらず根強い人気を誇っています。

 そんな中、2月8日(土)に現在EUツアー中のShigetoのロンドン公演が開催され、僕はオープニングアクトとして出演させてもらいました。会場となったElectrowerkzは、Angelという東京の代官山のような趣の町にあって、巨大なウェアハウスを改造して作ったような、どことなく漂うインダストリアルな雰囲気が特徴です。チケットは発売からほどなくしてソールドアウトとなり、キャパ300~400人ほどの会場は早い時間から数多くのヘッズで賑わっていました。

 先手である僕は21時30分にオンステージ。久々のロンドン公演ということもあり、事前にしっかりと準備をして臨みました。最近は70年代のアフロビートやハイライフといった音楽をよく聴いていて、その影響を反映させた楽曲を中心にセットリストを組んだのですが、新曲群には特に熱の入ったレスポンスをオーディエンスからもらって、確かな手応えを感じることができました。1時間に渡るセットで、絶え間なく大きな歓声を送ってもらって、やっぱりこの街のオーディエンスが好きだなぁと、改めて思いました。

 DJによる転換を挟み、いよいよ主役のShigetoが登場。彼がステージに上がるやいなや、大きな歓声がフロアから沸き起こり、期待度の高さを既に物語っていました。ShigetoはBrainfeederのアーティスト勢にも通じるような音楽性で、数多くのヘッズ達から支持を得ている注目プロデューサーであると同時に、実はかなりの敏腕ドラマーでもあります。
 余談ですが、以前はレーベルメイトでもあるSchool Of Seven Bellsというバンドのドラマーを務めていて、日本での初公演は彼らのものだったそうです。彼のライヴセットは、そのドラマーとしてのスキルを大いに活かしたもので、ラップトップでエレクトロニックな部分をコントロールしつつも、そこに生ドラムでのダイナミックな演奏を重ねることで、音源で聴くことのできる、メランコリックで抑制されたビートとは大きく違った一面を見せてくれます。
 集まったオーディエンスたちも、彼がドラムを激しく叩く時に、より大きな歓声を上げていたように思います。唯一残念だったのは演奏中にラップトップが2度に渡ってクラッシュし、演奏が中断されてしまうアクシデントがあったことですが、そのアクシデントを生ドラムの演奏でカバーする彼に、オーディエンスはより大きな歓声を送っていました。
 アクシデントはあったものの、終わってみればエレクトロニック系のライヴらしからぬ熱気が会場に満ちていて、誰もがそれを大いに楽しんだのがはっきりと伝わって来ました。

 DJを含んで、総出演者が計3人というとてもコンパクトな夜ではありましたが、エレクトロニックな音楽をライヴで楽しむというコンセプトが、とても良い形で実現された夜だったと思います。
 シーンがこの先どのように変化していったとしても、現場で生の音楽を楽しむというロンドンのオーディエンスのスタンスは決して変わらず、アーティストたちがその期待に応えることで、また新たな何かがが育まれていくのだろうと思います。

 先日もフェラ・クティの『シャカラ‎』や『ゾンビー』を聴いておりました。いや、アフロ・ビートというんじゃなく、ディスコ・クラシックとしてなんですけどね。当たり前ですが、いま聴いてもまったく色あせず、素晴らしい音楽です。
 ここ数年アフリカのリズムとヨーロッパのエレクトロニック・ミュージックとの邂逅が続いていますが、ことの発端にあったのは、ロンドンの〈ホネスト・ジョンズ〉という音楽をよく知ってらっしゃるレーベルが、2006年にフェラ・クティ&アフリカ70のリード・ドラマーだったトニー・アレンのアルバム『Lagos No Shaking』を出したことがきっかけになっているのではないでしょうか。その数年前にデイモン・アルバーンなんてというロックスターが手を出しているのですが、そんなものよりも、2006年にくだんのアルバムに収録された曲をデトロイトのカール・クレイグ、そしてベルリンのモーリッツ・フォン・オズワルドとマーク・エルネストゥス等々のリミックスを収録した12インチ・シングルのシリーズのほうがインパクトがありました。で、それを契機に、ヨーロッパの先鋭的なエレクトロニックは、アフリカへのアプローチを加速させたのです。
 アフロビートを創ったのは、もちろんフェラ・クティでしたが、彼の70年代のバンド、アフリカ70の打楽器のリーダーはトニー・アレンでした。フェラ・クティ亡きこの時代、トニー・アレンは、ただ稀代の打楽器奏者というだけではなく、当時を一緒に生き抜き、演奏してきた歴史的な人物です。その偉人が、来週の火曜日、リキッドルームに来ます。共演者は、モーリッツ・フォン・オズワルド(と、マックス・ローデンバウアー)です。行くしかないでしょう。

3.4 tue @ LIQUIDROOM
Live: MORITZ VON OSWALD TRIO featuring TONY ALLEN and MAX LODERBAUER

DJ: SOUL BONANZA SOUND SYSTEM

Open 20:00 / Start 21:00
Advance: 4,500 yen / Door 5,000 yen plus 1 Drink Charged @ Door

Information: 03-5464-0800 (LIQUIDROOM) https://www.liquidroom.net/
Ticket Outlets: PIA (223-581), LAWSON (79986), e+ (eplus.jp), DISK UNION CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿, 下北沢), DISK UNION (お茶の水駅前店, 吉祥寺店), JAZZY SPORT MUSIC SHOP TOKYO, JET SET Tokyo, Lighthouse Records, TECHNIQUE and LIQUIDROOM - NOW on SALE!!

Information: 03-5464-0800 (LIQUIDROOM) https://www.liquidroom.net/

【レクチャー】 講師: Moritz von Oswald 18:00-20:00 限定招待制 @ Time Out Cafe & Diner SOLD OUT

Moritz von Oswald Trio featuring Tony Allen and Max Loderbauer
モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオ(以下MvOT)は、モーリッツ・フォン・オズワルド(Basic Channel)とマックス・ローダーバウアー(サン・エレクトリック、NSI)とヴラディスラヴ・ディレイ(ルオモ、ウージタロー)という、90年代ベルリンに於いてエレクトロニック・ミュージック・シーンに改革をもたらした3人のパイオニアによって結成されたパフォーマンス・プロジェクトである。2008年結成、僅か5年の間に3枚のスタジオ・アルバムと1枚のライヴ・アルバム(カール・クレイグとフランソワ・ケヴォーキアンが参加)と2枚の12インチ・シングルを発表した。2013年、ヴラディスラヴ・ディレイの離脱によって、新たにドラマーとして加入したのはアフロビートの創始者ブラック・プレジデントことフェラ・クティの右腕として知られるナイジェリア人ドラマー、トニー・アレンである。このメンバー刷新よって、よりリズミカルな鼓動を前面に押し出した新たなアフロビートとエレクトロニカが融合したトライバルかつヒプノティックなグルーヴを、エレクトロニクスとサスペンドしたシンセ音を何層にも重ねて、流れるような脱構築テクノを聴かせてくれるだろう。

MORITZ VON OSWALD(モーリッツ・フォン・オズワルド)
1980年代半ば、トーマス・フェルマンも在籍していたジャーマン・ニュー・ウェイヴ(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)の旗手、パレ・シャンブルクのパーカッショニストとして活動を始める。1993年、マーク・エルネストゥスと共に独ミニマル・テクノ不滅の金字塔となったプロジェクト<Basic Channel>を筆頭に多数のサブ・レーベルやプロジェクトを立ち上げた。それら<Chain Reaction> <Main Street> <Burial Mix> <Basic Replay> <Rhythm & Sound>は現在も計り知れない影響をエレクトロニック・ミュージック・シーンに与える続けている。世界随一のクラシック・レーベルである独グラモフォンから2008年にリリースされたカール・クレイグとのコラボ・アルバム『RECOMPOSED』は各方面で大絶賛を浴びた。2013年、デトロイト・テクノのオリジネーター、ホアン・アトキンスとのコラボ・アルバム『Borderland』をリリースしている。

MAX LODERBAUER(マックス・ローダーバウアー)
1990年代を通じ、ベルリンのユニット、サン・エレクトリックのメンバーとして、R&S / Apolloからアンビエント・テクノの傑作を数多く発表。現在は、トビアス・フロイントと新たなユニットNSI(Non Standard Institute)を結成し、ルチアーノ主宰のCadenzaやフィンランドのSahkoなどからエクスペリメンタルなミニマル作品をリリースしている。あのリカルド・ヴィラロボスが最も信頼を寄せるコラボレーターとして多数のプロダクション・ワークやリミックス・ワークを共同制作している。

TONY ALLEN(トニー・アレン)
ブラック・プレジデントことフェラ・クティの右腕として、アフリカン・ファンクの強靭さとハイライフが持つ繊細なクロス・リズムを融合させたアフロビートを生み出した、ナイジェリア人ドラマー。ここ最近ではブラーのデーモン・アルバーンとレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーと結成したロケットジュース・アンド・ザ・ムーンでアルバムをリリースしている。


ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 - ele-king

 ネブラスカ州といえばスプリングスティーンのアルバムを思い出すひとも多いだろうが、南部でも西部でももちろんベイエリアでもなく、中西部を描くことは何かアメリカの本質に迫るようなところがあるのだろう。ネブラスカ出身のアレクサンダー・ペイン監督が故郷の風景を豊かな白黒映像で映す『ネブラスカ』は、しかし、スプリングスティーンと言うよりもスフィアン・スティーヴンス『イリノイ』に近い。パーソナルであると同時に優れたフィクション性があり、ユーモラスでペーソスに溢れていて、そして前作『ファミリー・ツリー』よりも踏み込んでアメリカの老いを語っている。

 そもそも、冒頭で高速道路を徘徊していて警察に保護されてしまう老人=父を、アメリカン・ニューシネマ以来の俳優ブルース・ダーンが演じているという時点で、その姿に20世紀のアメリカからの遺産を嗅ぎ取ってみたくなる。だから『ファミリー・ツリー』は夫と妻の物語だったのに対して、『ネブラスカ』は典型的に父と息子の物語なのである。宝くじで100万ドルが当たったという出版社のインチキ広告を真に受けた父がモンタナからネブラスカまで行くと言うので、仕方なく息子が連れて行くうちに両親のルーツに出会うこととなる。典型的なロード・ムーヴィーでもあり、ペイン監督がアメリカ映画の伝統を強く意識していることは疑いようがない。
 しかしながら、そうして描かれるネブラスカの町はどうだろう。親子は親戚を訪ねることになるのだが、ほとんどが老人たちで彼らはほとんど喋ることもなく、あとは無職者とか……。ハリウッド映画が描いてきた豊かなアメリカと遠いのは当然だが、たとえばヴィム・ヴェンダースが異邦人の目線で描いた叙情的なアメリカとも決定的に異なっている。アメリカの内部で育った人間が見た、どうしようもなく寂れていく田舎の風景がここにはある。僕は、スフィアン・スティーヴンスが『ミシガン』でデトロイトの産業の衰退を慈しみをこめて歌っていたことを思い出す。映画は父の過去を見つめながら、忘れ去られていく中西部で生きた人間たちの気配を立ち上がらせる。



 しかしそんな寂れた町の住民にまで父は(アメリカが誇る名優のブルース・ダーンが!)、「哀れだ」と言われてしまう。長い間飲んだくれて、気がつけばすっかりヨボヨボの父は、本当にそれほど同情されるべき存在なのだろうか? 息子を演じるコメディアンのウィル・フォーテは父を見ながらずっと、なんとも困った表情をするばかりである。
 そしてその困り顔は、わたしたちがアメリカの斜陽を見るときのそれであると、映画の終わりのほうで明らかになる。どうしてそんなにも父が100万ドルにこだわったのか、口数の少ない彼がようやく明らかにするとき、悲しいとも愛おしいとも言いがたい、説明できない感情が沸きあがってくる。だから、アメリカの遺産の多くを受け取っているであろう「息子」であるわたしたちは、「たくさんのものを、たくさんのものをもらってるよ!」とスクリーンのなかの「父」に向かって心のなかで叫びながら、親子の旅を笑顔で見送るのである。落ちぶれていくアメリカに対する、同情と哀れみ、慈愛と懐かしさが複雑に絡み合ったわたしたちの想いを、こんなにも正確に浮かび上がらせる映画作家はアレクサンダー・ペインを置いて他にいない。

予告編

Record Store Day 2014 - ele-king

 音楽メディア/文筆業をはじめて以来、レコード店で音楽ライターに会ったためしがないんですよ。ワタクシ野田よりも年配のライターの方にはディスクユニオンなどでお会いすることもあるし、三田格とは会いたくもないのに会ってしまったりするものなのですが……。ほかに僕が知っている顔とはまず会わないのです。

 レコード店は、たんにモノの売り場というだけではありません。音楽シーンのメディア(情報発信地)であります。とくに洋楽なんぞを好きなリスナーが本当にフレッシュな音に出会いたければ、輸入盤を扱っているレコード店に行くしかないでしょう。すべてが並列しているネット通販などと違って、その扱われ方、置き場所にも触発されますし、隣り合わせの盤など自分の未開拓領域との出会いもあります。ナイスなレコード店のスタッフは自分たちの持っている知識を分け与えてもくれます。

 近年のネット通販の普及やDL問題などによってかどうか、レコード店は(音楽メディアと同様に)危機に瀕しています。こりゃまずいと、USのインディ・シーンで、ミュージシャンやレーベルなどが小さなレコード店を支援するために立ち上がり、はじまったのがレコード・ストア・デイ。その日に限り小さなレコード店でしか買えないレコードを売る。予約もなし、お店に行くしか買えないというわけであります。

 さて、少々気が早い、2014年4月19日土曜日のレコード・ストア・デイですが、大ニュース。なんと今回、坂本慎太郎&メイヤー・ホーソーンのスプリット7インチ・シングルが出ます。zelone recordsから届いた資料によれば、「これは、メイヤー・ホーソーンが、坂本慎太郎の1stアルバム『幻とのつきあい方』(US盤: Other Music Recording & Co.)を愛聴していて、『坂本とメイヤーで2014年の全米のレコード・ストア・デイで一緒に7inch出さないか?』とNYのOther Musicに連絡して来たことから始まりました」という話だ。そして、「お互いのインスト・ヴァージョンのオリジナル・マスターを使用してそれぞれ英語/日本語での訳詞ヴァージョンでレコーディングしよう、という事になり、遂に実現/完成しました」
 
 しかも、今回の7インチがすごいのは、「坂本慎太郎が、メイヤーの最新アルバム『Where Does This Door Go』から、ファレル・ウイリアムスのプロデュース楽曲“Wine Glass Woman”のオリジナル・トラックに日本語で歌詞を付けて歌い、メイヤー・ホーソーンは、坂本の1stアルバムから「幽霊の気分で (In a Phantom Mood)」のオリジナル・トラックに英語の歌詞を付けて歌った、つまり、坂本慎太郎がファレルのトラックで歌い、メイヤー・ホーソーンが坂本のトラックで歌うという、なかなかあり得ない日米のコラボレーション/スプリット7inchです!」という点にあるのです。
 坂本慎太郎がファレルのトラックで歌っているなんて……!

 さあ、2014年4月19日 (土) 発売! 店頭のみの販売。web・予約販売は無し。

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