「Ord」と一致するもの

Sherwood & Pinch - ele-king

 多くのDJ/プロデューサーから一目置かれる存在であり続けているUKダブの首領・エイドリアン・シャーウッド。ベース・ミュージック、ロック、テクノなどさまざまな分野で根強いファンを持つ彼が、ダブステップの旗手・ピンチと組んだのは2年前のこと。2月24日に新作『Man Vs. Sofa』のリリースを控えるかれらが、その直前に来日公演をおこなうことが決定した。グライムやダンスホールなど、ベース・シーンが多様な盛り上がりを見せているいまだからこそ、かれらの「重たさ」を確認しておく必要があるだろう。2月8日は渋谷のSOUND MUSEUM VISIONまで足を運ぶべし!

エイドリアン・シャーウッドとピンチによるスペシャル・ユニット
ヘビー級のニューアルバム『マン vs ソファー』リリース直前に
3年振り待望の来日決定!

先日開催された『冨田勲 特別追悼公演』に招かれ、冨田勲氏の代表作「惑星 Planets」のLive Dub MIXを披露するなど、UKダブの巨匠として音楽史に多大な影響を及ぼし、今もなお第一線で活躍している伝説的プロデューサー、エイドリアン・シャーウッドと、ブリストル・ダブステップの頭目として、ベース・ミュージックの進化において、欠かすことのできない存在感を放つピンチによるスペシャル・コラボ・プロジェクト、シャーウッド&ピンチが、2年ぶりの最新アルバム『Man Vs. Sofa』のリリース直前に、待望の来日決定! 2017年2月8日(水)に開催される、VICE初の定額制動画サービス「VICE PLUS」ローンチ・パーティに、ビズ・マーキー、ザ・グラインドマザーらとともに出演する。

VICE PLUS LAUNCH PARTY

日時:
2017年2月8日(水)20時~27時(午前3時)予定

会場:
SOUND MUSEUM VISION(渋谷)

料金:
前売¥3,500
当日¥4,500
イープラス / iFLYER / clubberia

出演:
SHERWOOD & PINCH [LIVE]
BIZ MARKIE [DJ & LIVE]
THE GRINDMOTHER [LIVE]
THE BLACKOUTS [DJ]
JOHN STANIER [DJ]
and more!

主催:
VICE MEDIA JAPAN

イベントページ:
https://jp.vice.com/lifestyle/viceplus-party

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シャーウッド&ピンチの最新アルバム『Man Vs. Sofa』は2017年2月24日(金)世界同時リリース! 国内盤にはボーナストラック“Bullshit Detector”が追加収録され、解説書が封入される。現在、先行シングル「Retribution」が配信中。iTunesでアルバムを予約すると、公開された“Retribution”がいちはやくダウンロードできる。

Sherwood & Pinch - Retribution
SoundCloud: https://bit.ly/2gUSM14

artist: SHERWOOD & PINCH ― シャーウッド&ピンチ
title: Man Vs. Sofa ― マン VS. ソファー
release date: 2017/02/24 FRI ON SALE
cat no.: BRC-539

FKA Twigs × Oneohtrix Point Never - ele-king

 去る1月11日、FKAツイッグスが新曲“Trust In Me”を公開した。同曲はNikeのキャンペーンのためのクリップ「do you believe in more?」にてフィーチャーされており、FKAツイッグスはそのヴィデオの監督も務めている。
 『FACT』によれば、この“Trust In Me”はダニエル・ロパティン(とジョセフ・ウィリアムズ)との共作だそうで、たしかに昨年ツイッグスとOPNは互いにコラボをほのめかす動画をインスタグラムに投稿していたけれど、これがそのトラックなのだろうか? まだ他にもふたりのコラボしたトラックがあるのか、もしかしてアルバムまで一緒に作っているのか……どんどん妄想が膨らみますが、とりあえずは続報を待ちましょう。


Rashad Becker - ele-king

 2016年はテーブルの年だった。レナード・コーエンは「テーブルから離れる(「Leaving The Table」)」と歌ってその直後に他界し、ソランジュは「テーブルに黒人の席はあるか(『A Seat At The Table』)と問いかけてガーディアン紙から「ボブ・ディラン賞」を授与された(坂本麻里子さんに聞いたところではクラフトワークのライヴでソランジュたちが踊りまくっていたところ、後方の席にいた白人たちからモノを投げつけられた経験がこのタイトルにつながったらしい)。そして、グライムでとくに耳を引いたのはスペイシャル(Spatial)の「レインボー・テーブル(Rainbow Table)」であった。ダブステップではすでに10年近くキャリアを積んでいる才能のようで、しかし、ここ3作を聴く限り、少しずつグライムに舵を切りはじめ、どちらともいえなくなる作風に移行していった様子がよくわかる(https://www.youtube.com/watch?v=dL_lhFlUNP8)。「レインボー・テーブル」というのも(リー・バノン同様)数学用語である。

 「テーブルの上に持ってくる(Bring to the Table)」という言い回しは英語では「明らかにする」という意味にもなる。ラシャド・ベッカーは何年か前に「シンセサイザーによって合成された音はその音を作り出した人の個性を暴き出す」とか「潜在力に満ちている」というようなことを語っていたことがあり、さらにはそのような力が持っているフィクションの優位について強調していたことがある。そして、彼自身がここへ来て完成させた『存在すると信じられている種族のための伝統的音楽Vol. II(Traditional Music of Notional Species Vol. II )』は彼自身の言葉をそのまま裏付けるような音楽になっていた。前作よりもフィクション性は高まり、簡単にいえば童話でも読んでいるような別世界感覚に富んでいるのである。

 「Notional Species」というのは、まるで人類ではないかのような含みを持つ表現で、それがまた異様な音楽性に投影されているともいえるけれど、彼が過去に語っていたことから察するに、それはどうやらアジアやアフリカ、さらには南米の音楽家のことを指していると考えられる。要するにワールド・ミュージックのことで、それにどれだけフィクション性を喚起できるか、それが前作から続く彼のテーマだったのだろう。そして、『Vol. II』におけるフィクション性の増大は完璧なまでにワールド・ミュージックの痕跡をテーブルの下に隠し切った。ワールド・ミュージックの影響をわかりやすく表に出すことが「トレンド」だとしたら、ラシャド・ベッカーはそれとは正反対のことをやっているのである。これは恐るべき知性である

 こうした試みは、しかし、ドイツでは初めてではない。共に故人となってしまったメビウス&プランクによる『ラスタクラウト・パスタ』(79)がすでに金字塔として存在している。クラウトロックにレゲエを取り入れ(だから「ラスタクラウト」)、カリブ・ミュージックのムードは微塵も感じさせずにドイツとジャマイカのサイケデリアだけを共振させた音楽をコニー・プランクとディーター・メビウスは40年近くも前に作りあげている。ラシャド・ベッカーは『ラスタクラウト・パスタ』を過去の遺物として葬り去らなければならない。そうでなければ何かをクリエイトしたとは言えない。いまのところはまだ、それに近いことはやったかもしれないとと思うばかりである。そして、ラシャド・ベッカーは今日もテーブルに機材を並べ、ライヴ・パフォーマンスを続けている。

 それにしてもピート・スワンソンにジェイムズ・プロトキンと、マスタリング・エンジニアから知名度を挙げていく才能が多いのはなにかの偶然?

Flying Lotus × Anderson .Paak - ele-king

 LAシーンの要人フライング・ロータスと、いまノりにノっているアンダーソン・パーク──これは面白そうな組み合わせだ。
 1月10日、あるひとりのファンが「世界はアンダーソン・パークとフライング・ロータスのトラックを必要としている」というツイートを投下。するとなんとフライロー本人がそのツイートを引用し、「あるよ。もうすぐ!」とレスポンスを返したのである。しかもそのツイートを今度はアンダーソン・パーク本人が引用し、「まだ準備できてないけどね!」とツイート。やりとりはそこで終わり、それ以上の情報は明らかにされていないが、もうすでにフライローとアンダーソン・パークはコラボレイションをおこなっており、近い将来それが何らかの形で発表されると見ていいだろう。続報を待つべし。

RPR Soundsystem - ele-king

 覚えているだろうか? 数年前、名門ミックスCDシリーズ『Fabric』がルーマニアン・アンダーグラウンド・シーンにジャックされたことを。『Fabric 72』では Rhadoo が、『Fabric 68』では Petre Inspirescu が、『Fabric 78』では Raresh が立て続けに起用されていたけれど、この3人はリカルド・ヴィラロボスとならんで世界中の様々なフェスでヘッドライナーを務めるルーマニアの重鎮たちである。
 東欧というのはある意味でもっともピュアな形で音楽が実践されているエリアで(先日お伝えした Khidja もその一例)、そのシーンは文字通りアンダーグラウンドなものだ。ルーマニアのシーンを代表するかれら3人は [a:rpia:r] というレーベルの運営者でもあるが、その3人によるユニットが RPR Soundsystem である。滅多におこなわれないこのユニットでの公演だが、来春4月1日、かれらが恵比寿に降り立つことが決定した。じつはかれらの来日公演は2年前にも実現しているのだけれど、今回はオフィシャルVJの Dreamrec も加わった「完全体」としてのパフォーマンスとなる。
 また、その直前の3月31日には DOMMUNE にて特別番組が放送されることも決定している。お見逃しなく!

RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec VJ @LIQUIDROOM

あの奇跡の夜は序章だった。世界のミニマル・アンダーグラウンド・シーンのトップコンテンツ、RPR SOUNDSYSTEM (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh / [a:rpia:r] ) が、今回オフィシャルVJのDREAMRECを伴った完全体での究極公演を実現! 来春LIQUIDROOMにて開催決定!!

近年の世界のアンダーグラウンド・ミュージックを席巻するルーマニアン・シーンのボス、Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh。2015年4月4日に実現したその彼ら3人によるRPR SOUNDSYSTEMのLIQUIDROOM公演は、わが国のクラブ・シーンの歴史に偉大な足跡を残してくれた。お客さんの熱気、場内の雰囲気、彼らのパフォーマンスの内容、どれを取っても最高という言葉では言い尽くせぬ、それまで経験した事のないほどの夢のような素晴らしい一夜であり、その熱狂は日本のシーンに語り継がれる歴史の1ページとしていまも記憶に新しい。

あの興奮から丸2年。彼らがあの同じ場所に帰ってくる。
さらに今回は彼ら [a:rpia:r] のオフィシャルVJであるDreamrecの来日も決定し、彼らがついに完全体となる瞬間が訪れる。2016年2月にここLIQUIDROOMでおこなわれた『Beat In Me feat. Rhadoo with Dreamrec VJ』で見せた彼のヴィジュアル・パフォーマンスは、日本のシーンにおいてかつておよそ目にした事のない斬新なイメージでの露出で、そこに集ったクラバーたち全員に強烈なインパクトを与え、2015のRPR3人による公演にひけを取らぬ最高のパーティであったとの評価を各方面から獲得する事となった。

現在の世界のクラブ・ミュージック・シーンにおける紛れもないトップ・コンテンツであるRPR SOUNDSYSTEMに、このDreamrec VJのヴィジュアルを加えた今回のこのキャスティング。アンダーグラウンド・ミュージック・シーンにおいてこれ以上の表現はない、最上級の音と映像の究極の形を今回初めて日本のファンに見せる貴重な機会となる。

NINJAS - ele-king

 1月6日にリリースされたNINJASのデビュー・アルバム『JAP』だが、これは面白い! シニカルで捻りの効いたドライな──つまりオネストで直球な涙ぐましさとは真逆の作品になっている。ダンサブルで痛快な、これぞナンセンスの塊。


NINJAS - SOCCER


NINJAS - JAP
Pヴァイン

SynthpopNew Wave

Amazon

 車に乗りながら聴くと最高なんですよ、これが。さてこのNINJAS、以前からライヴ活動を精力的にやっているようで、すでに熱狂的なファンもいるらしい。バンドのスローガンは〈あなたの嫌いなものが好き〉。ニューウェイヴのささくれ立った感性って、もうとっくの昔に死滅したものと思っている方も少なくないと思いますが、こんな風に受け継がれるものなんですね。

 なお、1/21(土)に半蔵門ANAGRAで行われるリリース・パーティにはHair Stylistics、DOOOMBOYS、KURUUCREWが出演。
 DJにはMr.マジックバジャールa.k.a.カレー屋まーくん、K.E.I.(VOVIVAV)、NINJAS『JAP』を手掛けたAKAKI NAMPEIの展示も行われる。
 1/27(金)には、青山蜂で定期的に開催されているUNDER 30 の実力あるアーティストが集まるPARTY「NEW CHAMPUR」と、NINJAS主催の「NINJAHOUSE」このふたつのPARTYが、NINJAS 2nd ALBUM”JAP”リリースパーティSPと称し共同開催。
 ジャンルも世代も超え、CAT BOYS、MAMMOTH、OMSB×Hi'spec、KMC×STUTS、ENERGISH GOLF、原島”ど真ん中”宙芳…他多数のアーティストが出演。こんなに豪華な顔ぶれが集まるのはこの夜だけ!

【イベント情報】

〈NINJA HOUSE - NINJAS「JAP」release party!!!〉
2017/ 1/21(土) @半蔵門ANAGRA
OPEN: 18:00 / CLOSE: 23:00
\2000+1D

[LIVE]
NINJAS
Hair Stylistics
DOOOMBOYS
KURUUCREW

[DJ]
Mr.マジックバジャールa.k.a.カレー屋まーくん
K.E.I.(VOVIVAV)

[EXHIBITION]
AKAKI NAMPEI

INFO:
https://www.anagra-tokyo.com/


〈NINJA HOUSE × NEW CHAMPUR - NINJAS「JAP」release party SP!!!〉
2017/ 1/27(金) @青山蜂
OPEN: 21:00 / CLOSE: 5:00
\2000

[3F]
LIVE:
NINJAS
CAT BOYS
MAMMOTH
OMSB×Hi'spec
KMC×STUTS
ENERGISH GOLF
YELLOW UHURU × yolabmi

DJ:
NIRO
EMARLE

[2F]
Ackky(journal)
ULTRA INAZUMATIC DJs
Mr.マジックバジャール a.k.a. カレー屋まーくん
原島”ど真ん中”宙芳
hitori
kzy

[4F]
hisamichi
矢車
GAKI
DISKONION
Yasterize & HOTATE & HOSEPOSSE2017
fatP

[VJ]
PETA
HAMARO

[FOOD]
ネグラ

[SHOP]
Xion Tokyo
DELTA CREATION STUDIO

Brian Eno - ele-king

 1月1日に新作『Reflection』をリリースしたばかりのブライアン・イーノ。CDやヴァイナルや配信のみならずアプリとしてもリリースされた同作は、彼が長年追い求めてきたジェネレイティヴ(=自動生成的)な試みの、現時点での最高のプレゼンテイションである。
 彼はその『Reflection』の発売日と同じ1月1日に、新年に向けたメッセージをフェイスブックにポストしているが、このたびその日本語訳が公開された。社会の状況やリベラルのあり方について真摯に語りかけるその内容は、『ele-king vol.19』に掲載されたロング・インタヴューの続編とでも呼ぶべきもので、これを読むと2017年は少しくらいは良い年になるのではないかという気がしてくる。
 日本語訳は以下からどうぞ。

2016/2017年

私の友人達の多くの間では、2016年は酷い1年であり、想像したくもない何かへと向かう長期的衰退の始まりだったということで、ほぼ意見が一致しているようだ。

2016年は、確かに荒れた1年だった。だがそれは、長い衰退の“始まり”ではなく、“終わり”なのではなかろうか。あるいは少なくとも、終わりの始まりではないだろうか……。というのも、我々はこれまでの40年間、ずっと退潮にあり、緩やかな非文明化が進行していたにもかかわらず、現在まではっきりそうとは気づいていなかっただけなのではないかと思うからだ。緩やかに温度の上がっていく鍋の水に入れられた“茹でガエルの法則”が、私の頭をよぎる。

この衰退に伴うのが、安定した雇用から不安定な雇用への移行、労働組合の消滅及び労働者の権利の縮小、ゼロ時間契約労働、地方自治体の解体、公共医療サービスの破綻、無意味な試験結果や成績表に支配される資金不足の教育制度、移民に責任を被せるレッテル貼りの容認化、安直なナショナリズム、そしてソーシャル・メディアやインターネットによって可能になった偏見の集中だ。

非文明化に向けたこの一連の変化は、社会的寛容を嘲笑い、一種の正当な利己主義を擁護していたあるイデオロギーから生じた(サッチャー元首相曰く「貧困に陥るのは人格に欠陥があるから」。アイン・ランド曰く「利他主義は有害である」)。抑制なき個人主義を重要視することには、二つの作用があった。一つが莫大な富の創出。もう一つがその富の、より少数の者への集中化だ。現在、全世界の上位62人の富豪が所有する資産が、下位50%の人々の全資産の合計を上回っている。こういった富はいずれ全て“トリクルダウン”(=滴り落ち)し、残りの人々全てを経済的に潤すことになるだろうという、サッチャー・レーガン体制の幻想は実現していない。実際には、その逆の現象が起きているのだ。大多数の人の実質賃金は、少なくとも20年間にわたって減少していると同時に、将来の見通しは――そしてその子供達世代の将来性は――ますます不透明になってきている。人々が憤り、旧態依然とした政府に背を向け、他所に解決策を求めるようになっているのも不思議ではない。誰であれ最も金を持っている者に政府が最大の配慮をしている一方で、現在我々が 目の当たりにしている甚大な富の不平等が、民主主義の理念を水泡に帰さしめているのだ。ジョージ・モンビオットが「ペンは剣より強いかもしれないが、財布はペンよりも更に強い」と言った通りである。

昨年、人々はこのことに気づき始めた。多くの人々が、憤り、手近にあるドナルド・トランプ的な対象を掴み、それで支配者層の頭を殴りつけた。だがそれは、最も派手に人目を引く、メディア的に美味しい覚醒でしかなかった。その一方で、地味ではあるが、同じくらい強力な目覚めもあった。民主主義の意味とは何か、社会の意味とは何か、そしてそれらを再び機能させるためにはどうすればよいか、人々が考え直しているということ。人々は真剣に知恵を絞っており、そして最も重要なことに、声に出しながら共に考えている。2016年、私達は集団的な幻滅を経験し、幻想から覚め、ようやく鍋から飛び出す時が来たことを悟ったのだと思う。

これは何か大きな、重要なことの始まりだ。それには積極的な取り組みが必要となるだろう。つまり、ただツイートしたり、「いいね」を押したり、スワイプ操作をするだけではなく、思慮深く創造的な、社会的・政治的行動もとるということ。それには、私達がこれまで当然視してきた幾つかのこと、例えば報道における一応の真実等を、無料で手に入れることはもはや期待できないということも伴う。信頼性の高い報道や良質の分析を求めるなら、その対価を支払わなければならない。つまり、料金だ。企業ではなく個人の側、被支配層の側の観点から話を伝えようと悪戦苦闘している出版物やウェブサイトに、経済的な支援を直接行うということである。同様に、子供達に幸福になってほしい、創造力を養ってほしいと願うなら、イデオロギーや収益至上主義者に教育を委ねるのではなく、自ら責任を持つ必要がある。社会的寛容を求めるなら、しかるべき税金を納め、租税回避地を撲滅しなくてはならない。そして思慮に富んだ政治家を求めるなら、カリスマ性のある政治家だけを支持するのをやめるべきなのだ。

不平等は社会を徐々に蝕み、蔑視や、反感、嫉妬、疑念、虐め、傲慢、そして冷淡さを生み出す。まともな未来を求めるなら、それを押し退けなくてはならないし、私達はそれに着手し始めていると思う。 やるべきことは山程あり、可能性も山程ある。2017年は驚くべき1年となるはずだ。

ブライアン

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ブライアン・イーノ最新作『REFLECTION』は、CD、アナログ、デジタル配信、iOS、Apple TV対応アプリのフォーマットで、2017年1月1日(日)に世界同時リリース。国内盤CDは、高音質UHQCD(Ultimate High Quality CD)仕様で、セルフライナーノーツと解説書が封入され、初回生産盤は特殊パッケージとなる。

Labels: Warp Records / Beat Records
artist: BRIAN ENO
title: Reflection

ブライアン・イーノ『リフレクション』

release date: 2017/01/01 SUN ON SALE
国内盤CD: ¥2,400+tax
BRC-538 初回生産特殊パッケージ / UHQCD仕様

Sote - ele-king

 親がすべてを駄目にする。そういう話だったと思う。親というものはどうしても子の「幸せ」を願ってしまうがゆえに、必然的に子のやることなすことにケチをつける。子が熱心に芝居に取り組んでいればそんなものはやめてしまえとくさし、海外公演が決まろうものならパスポートを隠匿して子の行く手を阻む。それがもとになって子の友人関係が歪みはじめたとしても、自らにその原因があるなどと思い至ることはない。結果、若き才能たちはぐしゃぐしゃに引っかき回され、表現活動は阻害される。そんなふうに親世代の価値観が若者の未来を押し潰すという話それ自体は、それこそ親が子だった時代から、さらにその親が子だった時代から脈々と存在し続けてきたものではあるが、その舞台が現代イランとなると事情は込み入ってくる。長回しが印象的なこのベーナム・ベーザディの『ルールを曲げろ』という映画を知っているか、とアッシュ・クーシャに問うてみたところ「監督の名前には聞き覚えがある」との答えが返ってきたが、演劇にせよ音楽にせよかの地で表現活動をおこなうことはいまでもやはり困難なのだろう。

 ハンブルクに生まれテヘランとサンフランシスコを往復しながら活動を続けている電子音楽家、アタ・エブテカール。2002年にソート名義で発表された「Electric Deaf」が素晴らしかったので、その後もちょいちょい気にしてはいたのだけれど、彼からの便りはあまり多くなく、もしかしたらもう音楽活動はやめてしまったのかもしれない、と少し心配になったこともあった。しかし2014年の『Architectonic』から彼は再びソート名義で作品を発表するようになり、2016年は一気にアルバムとEPとシングルをリリースしている。1972年生まれの彼はもはや若者ではなく、どちらかといえば子の邪魔をする親の世代に近いが、その彼があえてテヘランという地でエクスペリメンタルな試みを継続していることについて、僕たちはあれこれと想像をめぐらす必要があるだろう。
 『Hardcore Sounds From Tehran』には長尺のトラックが2曲収録されている。ビートがダンスを要求したかと思えば急にそれがつき崩されていったり、ノイズが宙を舞ったりインダストリアルな針が耳を突き刺したりと、“Hardcore Sounds From Tehran A”も “Hardcore Sounds From Tehran B”も、おそらくはいくつかの録音をもとに編集・構成されたものなのだろう、次々とアヴァンギャルドな展開がぶち込まれてきて聴き飽きない。ある瞬間はラッセル・ハズウェルのように、ある瞬間はオウテカのように、ある瞬間はAFXのように、ある瞬間はクラークのように、このアルバムではUKをはじめとする欧米各国で育まれてきたテクノやIDMの分子たちが、ひとつのトラックのなかで動的に対抗したり調和したりしている。それはよりダンス志向のEP「Hyper-urban 20 30」でも同様で、こちらは4分前後の短いトラックが4曲収録されている。

 トラディショナルな音楽との融合を試みる本人名義の作品とは異なり、ソート名義の作品は決して異国趣味を誘発するものではない。『Hardcore Sounds From Tehran』にせよ「Hyper-urban 20 30」にせよ、そのアートワークとは裏腹に特に民族音楽的な要素が散りばめられているわけではなく、ソートはあくまで純粋に「エレクトロニック・ミュージック」としての完成度の高さを追究している。しかしそうであるからこそかえって僕たちリスナーは、その音楽制作の舞台がイランであることに意識を向けざるをえない。

 アッシュ・クーシャがテヘランを去ってから少しだけ状況は好転したようで、若いミュージシャンが政府の許可を得ることは比較的容易になったという話もある。しかし許可が必要な時点で、依然としてかの地の文化や表現を取り巻く状況が厳しいものであることに変わりはないのだろう。ソートの鳴らす動的な音の展開には、そういったイランの困難な文化的状況がこだましている。おそらく『Hardcore Sounds From Tehran』というタイトルはメッセージなのだ。逮捕されるかもしれないと思いながら音を奏でること。摘発されるかもしれないと思いながら音を聴くこと。そういう状況への想像力こそが重要なのだ、とソートの音楽は告げているのではないか。

New Assembly Tokyo - ele-king

 先ずは出演者のラインナップを確認してほしい。メルツバウ、ラシャド・ベッカー、DJスティングレイ、ローレル・ヘイロー、DJ Fulltono、行松陽介、KILLER-BONG……この面子が一堂に会するフェスティヴァルなんて他にあるだろうか?
 テクノやエクスペリメンタルな音楽をメインに扱うベルリンのフェスティヴァルAtonalが、2月17日から19日までの3日間、ここ日本で初のサテライト・イベントを開催する。海外からはもちろん、日本からも多くの尖鋭的なアーティストがブッキングされており、既存の音楽フェスティヴァルとは一味も二味も違ったイベントになるだろう。こういうフェスの良いところは、お目当てのアーティスト以外のサウンドに偶然出会うことができる点だ。出会い、大事。この貴重な機会に、幅広い最尖端サウンドをその耳で確認しておこう。

Berlin Atonal presents New Assembly Tokyo
‪2017.02.17–19‬‬

2017年2月後半、Berlin Atonal(ベルリン・アトナル)は初のサテライト・イベントNew Assembly Tokyo(ニュー・アセンブリー・トーキョー)を開催するため日本へ渡ります。3日間に渡る音の冒険には、今回のために企画された全く新しいプロジェクト、国外からのアーティストと日本のアーティスト、そして過去のBerlin Atonalのハイライトが含まれています。

中でも最も注目すべきはそれぞれの分野の卓越したアーティストたちによる新たなコラボレーションです。まずは日本が誇る唯一無二のノイズ・レジェンドMerzbow(メルツバウ)とAtonalのオーディエンスにはお馴染みとなったエモーショナルなシンセ・サウンドの達人、元Nine Inch NailsのキーボーディストAlessandro Cortini(アレッサンドロ・コルティーニ)の二人。New Assemblyがワールド・プレミアとしてお届けする彼らの新たな共同ライブ・プロジェクトは、2017年の実験音楽シーンにおいて最も興味深く予想不可能な出来事となるでしょう。もう一つのフレッシュな新コラボレーションは、今年〈PAN〉から緻密かつ色彩豊かな傑作アルバムを発表したばかりのRashad Becker(ラシャド・ベッカー)と先見の明を持つ日本人プロデューサー、Ena(エナ)によるものです。

先日〈Token〉からセカンド・アルバムのリリースを発表したSigha(サイア)は独自のディープで豊かなテクスチャーを特徴としたテクノによって、今日の最も先端を行くエレクトロニック・ミュージックの最大勢力の一部として確実な地位を築いています。彼はNew Assemblyで二つのライブを披露することになりました。一つはダンスフロアに向けたリズミックなモードで、そして二つ目はA Vision Of Love(ア・ビジョン・オブ・ラブ)名義でのよりノイジーでエクスペリメンタルなセットです。大阪を拠点とするデュオSynth Sistersは日本でも最もディープでサイケデリックでコズミックなサウンドスケープを描き出すシンセ奏者です。彼女たちの待望のライブは21世紀版のTangerine Dreamと呼ぶべきサウンドを東京で聴かせてくれることでしょう。

インダストリアル音楽に最もエキサイティングな音を提供しているアーティストの一人、デンマークのノイズ作家Puce Mary(ピュース・マリー)も登場します。最近の〈Posh Isolation〉からのリリースにより突出した才能を発揮した彼女のライブは、一度見たら忘れられない、今日におけるダークで、時に美しいノイズの先導者としての個性を放つものです。2015年のBerlin Atonalにおいて強い印象を残したRyo Murakami(リョウ・ムラカミ)も、彼のホームグラウンドである日本でライブを披露してくれることになりました。

DJ Stingray 313(DJスティングレイ313)は現在最も好調かつ需要の高いDJの一人。20年以上に渡りデトロイトの音楽シーンの原動力として活動してきたStingrayの、追随を許さない高速かつハイテクなセットはようやくえるべき評価をえはじめており、一度は味わってみるべき音楽体験です。ここに異種混合のムーディーかつ時に熱狂的なサウンドを紡ぎ出すLaurel Halo(ローレル・ヘイロー)と、日本が誇るフットワーク・ミュータントDJ Fulltono(DJフルトノ)、ruralフェスティバルやVetaのレジデントを務めるOkuda(オクダ)、そして大阪から行松陽介(ユキマツ・ヨウスケ)が加わり、多岐にわたるテイストを調和させていきます。また、最近Lee Gamble主宰の〈UIQ〉レーベルからリリースを果たしたRenick Bell(レニック・ベル)が彼の専門分野である、その場で音楽を生成するプログラムを編集していくライブ・コーディングを用いたパフォーマンスを披露してくれます。

これに加え、現地東京のアヴァンギャルド音楽の最重要集団であり、今年活動20周年を祝う〈BLACK SMOKER RECORDS〉が今回のために特別なラインナップを用意してくれました。レーベルのフロントマンであるKILLER-BONGを筆頭に、伊東篤宏、カイライバンチ、VELTZ、BUNがライブで出演し、Compuma、威力、DJ YaziによるDJセットとMelt Bananaのビジュアルなどを手がけるIrohaがVJとして出演します。

このイベント・シリーズは、DOMMUNEからの生放送番組(2/16)を皮切りに、SuperDeluxeにおける、Berlin Atonal 2016で話題をさらったAlessandro Cortiniによる壮大な「AVANTI」の再演を中心に据えたオープニング・コンサート(2/17)、渋谷Contactでの強力な布陣でお届けするクラブ・ナイト(2/18)、そして最終日のメイン・コンサート(2/19)という構成になっています。

さらに詳しい情報はこちらのページから: https://www.facebook.com/newassemblytokyo

Derrick May - ele-king

 明けましておめでとうございます。今年もele-kingをよろしくお願いいたします。
 さて、さっそくですがデリック・メイが新年早々、来日ツアーをおこないます。札幌、東京、熊本、福岡、大阪、名古屋の6都市をめぐります。これは嬉しいお年玉ですね。昨年フランチェスコ・トリスターノのアルバムに参加し、なんと20年ぶりにスタジオに入ったというデリック・メイ。そんな彼はいま、どんなDJを披露してくれるのでしょう? 2017年はデリック・メイのDJからはじめましょう!

2017/1/7(土)
HI TEK SOUL JAPAN TOUR 2017
10PM | ¥3500 w/f ¥3000 GH S members ¥2500 Under 23 ¥2000 Before 11PM ¥2000
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Studio:
Derrick May (Transmat | from Detroit)
HIROSHI WATANABE aka KAITO (Transmat | Kompakt) -Live
DJ Shibata (TAN-SHIN-ON | The Oath)

Contact:
Alex from Tokyo (Tokyo Black Star | world famous)
Naoki Shirakawa
TERA (CHANNEL | Low Tech Circus)
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DERRICK MAY (Transmat | from Detroit)
1980年代後半、デトロイトから世界へ向けて放たれた「Strings Of Life」は、新しい時代の幕開けを告げる名曲であった。自身のレーベル〈Transmat〉からRhythim Is Rhythim名義で「Nudo Photo」、「The Beginning」、「Icon」、「Beyond The Dance」等今でも色褪せない輝きを放つ数々の傑作を発表し、Juan Atkins、Kevin Saundersonと共にデトロイト・テクノのオリジネーターとして世界中のダンス・ミュージック・シーンに多大な影響を与える。
シカゴ・ハウスの伝説のDJ Ron HardyやGodfather Of House Frankie Knucklesに多大な影響を受け、Music Instituteで確立されたその斬新なDJプレイは唯一無二。時代に流されることなく普遍的輝きを放ち、テクノ・ファンのみならず全てのダンス・ミュージック・ファンから絶大なる支持を得ている。
そして2010年、レコード店に衝撃的ニュースが流れる。何と実に13年ぶりとなる待望のミックスCDをリリースしたのだ。『MIXED BY DERRICK MAY × AIR』と題されたミックスCDは1月に発表され国内外で大反響を巻き起こした。スタジオ・ライブ一発録りで制作されたそのミックスには、彼のDJの全てが凝縮されていると言って良い。そこには“熱く煮えたぎるソウル”“多彩な展開で魅せるストーリー”“華麗なミックス・テクニック”等、天才DJにしか作り得ない独特の世界がある。自分の信じている音楽やファンへの情熱全てを注ぎ込んだかのような圧倒的パワーがそこには存在する。聴くものを別次元の世界へと誘ってしまう程だ。世界中を旅していて日本でのプレイが最も好きだと語るDerrick May、彼は本当に心から日本のファンの方達を大切にしているのだ。2011年には奇跡的に『MIXED BY DERRICK MAY X AIR VOL.2』を発表。また、2013年には自身のレーベルである〈Transmat〉のコンピレーションCD『TRANSMAT 4-BEYOND THE DANCE』を発表し更なる注目を集めている。

Derrick May @ Kappa Futur Festival 2014 // Day 2

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★☆★☆ Derrick May - HI TEK SOUL JAPAN TOUR 2017 - ☆★☆★
1/6(金) 札幌 PRECIOUS HALL
1/7(土) 東京 CONTACT
1/8(日) 熊本 NAVARO
1/9(月) 福岡 KEITH FLACK
1/13(金) 大阪 CIRCUS
1/14(土) 名古屋 JB’S
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