「Ord」と一致するもの

interview with You Ishihara - ele-king

 石原洋の23年ぶりのソロ・アルバムは、一か八かの思い切った作品だ。聴けたもんじゃねーと思う人もいるだろうし、稀に見る最高作だという人もいるだろう。これをやれば受けるだろーとか、こういうことを言えば評価されるだろーとか、媚びたところはまるでない、いかなるトレンドともまったく無縁な、いまどきなんとも大胆な作品である。
 石原洋はアルバムにおいて、街の雑踏における音を蒐集し、生演奏によるロックの曲にミックスする。がやがやした雑踏の向こうから聞こえるロック・バンドの演奏──などと書くと詩情も覚えそうだが、ここで聞こえるノイズは、子供から大人までの生々しいクソ日常的な声、笑い声、奇声、ボソボソ声、あるいははっきり言葉が聞き取れる声であったり、電車のホームのアナウンスであったり、ロマンティックな要素の欠片もない。しかも、作品においてはこれら耳障りな声やノイズのほうがバンドの演奏よりも前景化されている。が、しかしこの“音楽”にはある種の快楽性もある……かもしれない。
 まあ、音楽における快楽とは普遍的ではないのだ。それはその人の世界の見方に関わっている。つまり本作『formula』には、不可避的に石原の世界観が投射されている。思いきり、まるで容赦なく。

 石原洋は、ゆらゆら帝国のプロデューサーとして広く知られている人物であり、オウガ・ユー・アスホールの『Homely』から『ペーパークラフト』までのアルバムのプロデューサーである。偏ってはいるが、音楽リスナーとしての造詣も深い人物で、アーティストたちからも一目置かれた存在だ。
 また、彼がかつてやっていたホワイト・ヘヴンやスターズといったバンドのアンダーグラウンドにおける名声は、その筋のマニアから聞いてもいる。それはまあ、ぼくなりの印象をもってわかりやすく言えばスペースメン3のようなバンドで(異論は認めます)、慣習に従えばサイケデリック・ロックと括られる。厭世的で、いわば精神的シェルターのような音楽だ。が、石原洋の『formula』は、あたかもそうした“ありがちな体験”を反転させているかのようだ。
 たとえば君はスペースメン3を聴いている。そのサイケデリック・サウンドへの没頭をはばむかのように、鳴り止まぬことのない生々しい猥雑な日常音が鼓膜を覆う。それは君の「スペースメン3の白昼夢に耽溺したい」という欲望を踏みにじるかもしれないが、実は、いままで覚えたことのない〝気づき〟をうながすことにもなる。
 これはエクスペリエンス=体験である。以下のインタヴューが、この風変わりな作品を理解する一助になればさいわいだ。石原洋はじつに親切に、作品についていろいろ話してくれた。あとは各自勝手に妄想すること。

〝遠さ〟というものをずっと考えていてね。自分とそれ以外との距離感というか。昔はアナログ時代の音の悪いブートレグとかあったじゃないですか。会場で録ったような。はるか遠くのほうで演奏をしているのをマイク1本で録っているような。近くの客の声のほうがでかく入っている。そういう感じがいいなと当時からなぜか思っていたんです。

まずは今回のソロ・アルバムを作った経緯を教えてください。

石原:何年も何もやっていなくて。やりたい方法が見つからないというか、どんなやり方をすればいいのかというのをずっと考えていたんですよね。

作りたいという気持ちはつねにあったんですね。

石原:どこかにはあったと思います。このやり方だったらできるかもしれないというのが思い付いたのが2年前。そこから動き出したという感じですかね。ただ、最初に思いついた時点でこの完成形は頭のなかにあったので。

いちどバンドで録音した音源に雑踏の音を加えていく。

石原:そうです。雑踏というイメージも最初にあった。それと実際の演奏をどういうふうに混ぜ合わせてどういうバランスでミックスしていくかというのが難しいことでした。
基本的に〝遠さ〟というものをずっと考えていてね。自分とそれ以外との距離感というか。昔はアナログ時代の音の悪いブートレグとかあったじゃないですか。会場で録ったような。音の良いやつもあるけど、すごいひどいものになるとはるか遠くのほうで演奏をしているのをマイク1本で録っているような。近くの客の声のほうがでかく入っている。そういう感じがいいなと当時からなぜか思っていたんです。ヴェルヴェットの音が悪いやつとか、ルー・リードの音が遠いやつとかありますよね。

なんでなんでしょう?

石原:それは……なぜかはよくわからない(笑)。もともとこれだと言って、バコンッと目の前に提示するやり方が苦手だったんじゃないかと思います。アーティストにしてもミュージシャンにしても、みんな「これが」「俺が」って言って出すじゃないですか、「俺を見ろ」という感じで。もともとそれが苦手だったんです。「表現」なので当たり前のことなんですが、それが強すぎるのが苦手だったんです。

それは自己矛盾ですよね。

石原:そうですね。でも凸型の表現が昔から苦手でした。もちろんいいものとか好きなものはいっぱいあったけど。

その〝遠さ〟には、いろんな表現の仕方があるのかもしれないですね。人のざわめきのなかに埋もれてしまうことというのは重要だったんですか?

石原:すごく重要でしたね。雑踏とかざわめきを僕はデータみたいなものだと思っているんです。インフォメーション。たとえばそこを歩いている人と一生会うこともないわけじゃないですか。みんなスマホをやりながら歩いていたりで、見えはしないけれど、そこに会話とかサブリミナルな情報とか、BGM、Wi-Fi、電波とかものすごい量のデータがひしめき合っている。そのなかに埋没しかかっているんだけど、まだ完全には埋没していない音楽という。
ある意味コンセプチュアル・アートという捉え方もできると思うんです。ジャケも含めて。でもコンセプチュアルではあるけれど、アートだとは思ってないですね。だから本当に日常。日常を切り取ったものという感じ。
これは感覚として10代の頃からあったなと自分で認識しています。なので、急に思いついて「これいいんじゃない?」みたいな感じで作ったわけではなくて、たぶん10代の頃からこの感じがずっとあったんだなというか。ただずっとそのやり方がわからなかった。

それはある種の陶酔感ですか? サウンドに陶酔するような。快楽というか。

石原:自分にとっては快楽的だと思います。

ホワイト・ヘヴンやスターズといったバンドではそれをやってこなかった。なぜですか?

石原:バンドというものへの幻想はがすごくあったんだと思います。ひとつの思惑を持って集まってきた人たちで、何かを作れるというような。あの時点ではああいうやり方しかできなかったといえば正しいのかわからないけれど、それがギリギリできることだったのかなと思います。

石原さんの感覚にもっとも近い既存の作品は何かありますか? 

石原:ひとつの切り取り方として、リュック・フェラーリの“ほとんど何もない”とか、ジャン=クロード・エロワという現代音楽の作曲家の作品とか。でも、これらはあくまでも現代音楽のアプローチであって。僕はどうしてもロックの属性からは逃れられない。聴いてみていいなと思うけれど、それらと同じような方法論でやろうとは思わない。だから、自分のやり方でやるしかなかったんです。

石原さんがそこまでロックにこだわるのは何故でしょうか?

石原:それはけっこうみんなに言われますね(笑)。ここまで何十年も音楽をずっと聴いていたら普通違うジャンルとかいろんなものにいくでしょという話は聞きますね。実際に聴いてないわけではないです。興味があって、ジャズとかクラシックとかそれこそクラブ系とかね……インダストリアルも好きでしたね。ただ、どんな聴き方をするかというと、それと自分の考えるロックとの接点という聴き方をしちゃうんですよね。たとえばフリー・ジャズとロックとの接点。クラブ・ミュージックとロックとの接点みたいな。

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これは感覚として10代の頃からあったなと自分で認識しています。なので、急に思いついて「これいいんじゃない?」みたいな感じで作ったわけではなくて、たぶん10代の頃からこの感じがずっとあったんだなというか。ただずっとそのやり方がわからなかった。

モダーンミュージックで働かれていたのは何年から何年頃までですか?

石原:80年代後半、86とか87とかじゃないですかね。それから90年代。それまではお客さんでしたね。行き出したのは20代前半。店でバイトをしはじめたのは20代後半でした。

レコードを好きになったのは何歳くらいのとき?

石原:洋楽ですけど、中1ですね。最初は深夜放送ですよね。上の世代と同じで、洋楽のヒット曲とか。それでT・レックスを聴いて。聴いたことがない音楽だったのでね。その頃は“Easy Action”かな。すごいじゃないですか(笑)。すごい曲があるなと思って。そこから洋楽、ロックを聴くようになった。それが73年くらいですかね。
当時でも洋楽を聴いている友だちってクラスに何人かはいますよね。中1のとき、ものすごいマニアックに聴いているクラスメートがいて、「何聴いているの?」と訊かれたから、「T・レックス」とかって。「帰りに俺んちこい」って言われて。行ったら、他にもうひとり友だちが来ていて、そこで聴いたことがないような音楽が流れていたんです。それがキング・クリムゾンでした(笑)。
「こういうのもロックなの?」って聞いたら、「これがロックだ」って言われて(笑)。その友人ふたりがすごくマニアだったので、プログレ、ジャーマンロックとか聴きましたね。で、毎日帰りにレコード屋に行って、「これがいいよ」とか「あれがいいよ」とかやって、彼らから教わりましたね。高知だったのでそういうマニアックな少年たちはめずらしかったと思います。

当時はレコード屋さんが日本全国どんな地方都市にもありましたからね。

石原:東京で生まれたんですけど、親の転勤で大阪に引っ越しになって、小学校のときに高知に引っ越したんです。高知で中高を過ごして、中高のときはその友人たちに影響を受けて、日本で出ていない輸入盤を買ったり、よりマニアックに聴くようになってしまったという感じです。

石原さんにとってプログレは大きいですよね。

石原:大きいと思いますね。リスナー体験としてはね。ハード・ロックよりは大きい。結局僕もプログレからドイツのロックを聴き出して、でも高校生になった頃だんだんドイツのロックがどれも同じに感じてきて、聴いてはいたけどいまひとつ違和感があったときにパンクがきた。ジャーマン・ロックとパンクとニューウェイヴの一部が10代の頃の僕にとってはいちばん大きかったと思います。1977年に『ホテル・カリフォルニア』にいった人とピストルズにいった人で残りの人生が違うという説もありますよね(笑)。

その頃には音楽どっぷりの生活を?

石原:ほぼそれしかないという感じですね。ただ、バンドを自分でやることに当時は興味がなかった。いまでいえばポスト・パンク──当時はそういう言葉はなかったんですけど──ポストパンクが出てきて、「これはもしかしたら誰がやってもいいんじゃないか」とは思いました。あのスピード感がおもしろかったですね。半年前に「これがいまいちばんすごい」って言われていたものが、半年したら「まだそんなの聴いているの?」って言われる感じになっていく速さ。あの頃に10代後半を過ごしたのはすごい影響あった。
 大学でこっちに来て、でも大学にはそんなに行かずにひたすら渋谷でレコードと本を買って。その時代って日本盤が出るのがすごく遅かったり、ほぼ出なかったり。情報だけは入ってきたけど聴けなかったので、大学というよりも、東京にレコードを買いにきたようなもんですよ(笑)。
 住んでいたのが横浜なので、東横線で渋谷にきて、渋谷をまわって大盛堂とかで本を買って、かかえて帰って、朝まで聴いて、昼寝るという暮らしをしていました。ほとんど大学にはいかず(笑)。友だちもひとりもいませんから。大学にも行ってないし、引きこもりですよね。
 そうやって誰かと情報交換もせず感想も言い合うこともなく、ひとりでひたすら聴く行為によって、けっこうオブセッションみたいなものが育まれる。「これはなんだ?」と思って自問自答しながら聴いて、自分のなかで腑に落ちるところをみつけて……そんなふうに人の助けを借りずに、それが何かというのを考えていく作業はすごく重要だったし、重要な時期だったなと思います。
でも当時、もしいまみたいなシステムがあったとしたらあのときほど驚かなかったでしょうね。たとえば雑誌でスロッビング・グリッスルのすごいのが出たって見かけて、YouTubeで聴いて「はぁなるほど」で終わっていたら、こんなことはなかったかもしれない。

当時、石原さんご自身の将来のことは考えていました?

石原:まったく考えてなかったです。何になりたいとかどうやって食っていこうとか、そういうことは考えたことがなかったですね。お金がなくなるとレコードが買えないなとか、頭の片隅にはありましたけど。食いもんとかどういでもよくなるくらい、そっちに必死で。

最初に働いたのがモダーンミュージックだったんですか?

石原;ちょこちょこしたバイトはやりましたけど、長期でやるということはなかったですね。ある日いきなり生悦住さんに「買い付けにいかない?」と言われて。単なる客なのに。「普通客に頼まないよな」と思ったんですけどね(笑)。
知識があったから何かいいものを買ってくると思ったのかな。それで行って帰ってきたら、「前のバイトがやめたので、ひと月でいいからバイトしない?」と言われて。

それはおいくつのときだたんですか?

石原:26かな。もうそのときには東京に引っ越して。働きはじめて、その前からバンドの真似事はやっていました。

もうホワイト・ヘヴンははじまってますね?

石原:はじまってましたね。同じ世代の友だちとけっこう何かの縁でばったり、80年代半ばに会って。暇だしバンドやるかみたいな感じ。NYパンクとかが好きなので、そういうのをやらないかという話で。ノイズ、アヴァンギャルド的な音楽も好きでしたけど、それを僕があらためてやってもしょうがないみたいな感じはありました。

いわゆるサイケデリック・ロックによく分類されますけど、追求されたんですか?

石原:83年か84年くらいまで、ぼくはずっと最新の音楽をずっと聴いていたんですよ。83年か84年にロックからほとんど「これは!」と思うものが出てこなくなった。「もう聴くものないな」と思って、何を聴けばいいのかと思っていました。そこで聴いていなかったものを聴こうと思って。そういやサイケデリックってあったけど、聴いたことがなかいから聴いてみたいなと思って、聴きだしたのが最初です。『ポストパンク・ジェネレーション』という本を読んだら、まったく同じことが書いてあってびっくりしましたね。83年84年で新譜を聴くのをやめて、いままで聴こうとも思わなかったバーズやラヴを聴いて、それを良いと思う自分がいましたね。そこからは一直線にもっとマイナーなサイケ、ガレージに。個々のバンドが、というよりそれが総体としてどういうものだったのかを知りたかった。

それがホワイト・ヘブンに繋がっていくわけですね。

石原:その頃何を考えていたかといま思い出すと、すごく難しいこと。演奏の速さみたいなことはずっと考えていました。具体的な速さではなくて、意識の速さ、自分の演奏しているときの意識の速さと、演奏している肉体とのズレみたいな。そういうことを意識しながらやったりしていました。それが一足飛びに言うと今回のことにつながるんです。雑踏をミックスしている最中に雑踏の、というかデータの集積が持っているスピード感、速さというのがただごとじゃないということをプレイバックしていてわかって。意識してないのに、データとしてのものすごい速度というのがあって、これは普通に音楽をのせても絶対はじかれるなという速さだったんですよね。そう考えるとそれはずっとテーマにあるかもしれないです。

楽器はけっこう練習されたんですか?

石原:本当に嫌ですね……(笑)。楽器は嫌ですね。友だちもみんな知っていますけど、持つのも嫌なので、練習がまず本当に嫌いなんです。高校のときにギターを買ったことがあって、ロックとか聴いていたし、ギターを買ったらすぐに弾けるんだろうなと思っていて、やってみたら全然弾けないじゃないですか。まぁ当たり前ですけど(笑)。2、3日やったんですけど、めんどくさくてすぐやめちゃって。それからもうやらなくなって。一応曲は作りたいので、曲を作るときに何か楽器がいるなと思い、それでまたギターを。ただ握り方とか、AとかCとかDマイナーとかそういうのがいまだに僕はわからないです。こうこうこうってスタジオのメンバーに押さえ方を見せて。みんなが集まってきて、「これなんとかマイナーセブンですね」とか言って(笑)。それで練習に入る。

坂本慎太郎氏とはどういうふうに知り合うんですか?

石原:最初はモダーンのお客さんですね。そのときは親しくはなかったです。ゆらゆら帝国とホワイト・ヘブンの対バン。一緒にやりませんかと誘われて。でもいまみたいな関係ではないです。2バンドでライヴをやりましょうということで誘われて。それが何年か続きましたね。クロコダイルとかが多かったですね。
まだゆら帝がインディーの時代なので、恰好もすごかった時代ですね。上半身裸とか、髪型もすごい髪型で。おどろおどろしくやっていたんだけど、実際に会ってみると普通に良識のある人だったので、その流れでプロデュースという話になったんですよね。

プロデュースははじめて?

石原:そのときははじめてですね。坂本くんがこういう感じにしたいと言っても当時普通のエンジニアってわからないじゃないですかと。CANみたいな感じにしたいと思ってもカンを知らないし、ミニマルとかジャーマン・ロックとか言ってもわからないし。ガレージのこういう音とか言ってもわからないから。そういうのを具体的に伝えて欲しいみたいな感じだった。それがだんだんと、どういうものを作りましょうかというような関わり方をするようになってきた。

石原さんご自身は自分がプロデューサーとしてやろう、続けていこうというような意識はありました?

石原:頼まれたらやるみたいな感じですよね。リミックスもそうですけど。まったく接点がなかったらどうかと思いますけど、何かできそうだったらやるという感じです。自分のなかには一部のポストパンクへの愛着があって、でもホワイト・ヘブンやスターズでは意識的にそれを出さないようにしていたんです。たぶん、ポストパンク的なアプローチはプロデュースのところで僕は出していると思う。ゆら帝後期とか、オウガとか、ポストパンク的な手法を使っているということが自分でもわかる。坂本くんなんかはパンク、ニューウェイブをまったく通らなかった人らしいので逆に新鮮だったのかもしれないですね。ソロになってからの彼の音楽とゆら帝を比べればわかると思います。それから、オウガにそっちが受け継がれていった感じはありますね。オウガの『Homely』は、もう1枚ゆら帝でやっていたらこういうのになっていたのかなと思います。

自分のバンドをやろうとは考えなかったんですか?

石原:スターズを辞めた時点でバンドをやるつもりはなかったです。

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今回のテーマは無関心とかアノニマスとか。そういうことはすごくありましたね。雑踏のなかに含まれている。「あのさー」とか喋っている人たちがスマホひとつで日々を送っている。そういった膨大な情報、データが背後にずっとあって。そうはいかなかった自分というのがそのなかに混じっている。

では、今回の作品に戻りますが、作業的にもっとも時間を要したのはどこですか?

石原:ミックスですね。演奏の部分は3日か4日で終わっています。雑踏のトラックが30〜40あるんですよ。細かく刻まれた雑踏をいろいろ録ってきたやつが。で、それを全部自分の家で聴いて(笑)。

雑踏は録った場所には意味がありますか?

石原:そういう意図が入らないように、いろんな人に声をかけて、録ってきてって頼んだんです。そうしたら、渋谷とか新宿とかいろんなところに行って、みんなが録ってきてくれました。それでも足りなくて、けっきょく最後は自分で行きましたけど(笑)。それをパソコンに入れて、聴いて、使う箇所を決めて、それを全部スタジオに送って……。

使える雑踏と使えない雑踏があるんですね。

石原:ありますね。まず音楽が入っているのはダメだし。有名な曲とかが流れているとかね。使えないものがすごくあった。音が小さすぎて聞き取れないとか。

でも東京はすごくうるさい街です。

石原:それをはじくのが大変でしたね。一昨年から録りはじめて、去年の春前からレコーディングに入りました。ミックスを半年やっていましたね。

ちなみにバンドの演奏はどうやって録ったんですか?

石原:普通にスタジオで。ピース・ミュージックですよね。中村(宗一郎)さんのスタジオですよね。

バンドでは何曲録ったんですか?

石原:7、8曲録りましたね。ボツになったのが2曲くらいあって。実際雑踏と混ぜたら使えないというのがありましたね、楽曲と雑踏のスピードの齟齬がキツすぎて。とくにアクセントがウラに入っている曲は使えなかった。

今回は全部を2曲にまとめましたよね。1曲のなかにもいくつかの曲がある。それはなぜ?

石原:実質1曲なんですよね。最初から最後までで1曲なんです。アナログ制作をまず考えたので、1回切れて、B面みたいなイメージ。そこでフェードアウトするんじゃなくて、カットアウトするということがすごく重要だったので、最後にブツっと終わる。その間の曲が1曲2曲3曲というふうな考え方はしていなかった。

全部で1曲。つまり1曲ですよね。

石原:その前があるかもしれない。うしろがあってもいいんだけど、ここだけを切りとったものが作品になったという感じですね。

この感覚を共有できる人がいるかどうかみたいなところはどう考えました? つまりこれをおもしろがってくれるのかどうかという。

石原:難しいなというのはわかりますけど、作品って自分が思ってもみなかった楽しみ方、思ってもみなかったような使われ方でもいいですけど、そういうことが起きるかもしれない。僕はこう思っているけどそうではない捉え方をする人がいればそれは面白いし聞いてみたいなと思います。
できてしばらくしてから、ウォークマンみたいなやつにこれを入れて渋谷のスクランブルから歩いてみたことがあるんですよ。どれが現実の音でどれが録音された音なのか本当に混ざってけっこうおもしろかったですよ。

死んでいくロックを描いたという言い方はできるんでしょうか?

石原:僕の感じでは更新という意味では83年くらいに死んでいるので、いまさら感があるんですけど。遠ざかっていくロックという気はしますよね。すでに実際には終わっているんだけど、記憶のなかからすらも遠ざかっていくものがあるじゃないですか。忘れ去られはじめている。

逆説的に言えば、石原さんがそれだけすごくロックに執着されているということですよね。

石原:それはそうですね。クラブ・ミュージックにいけなかった自分のコンプレックスとは言わないですけど、なぜ純感覚的にそっちにいった人がいるのに、自分はとどまらなきゃいけなかったんだろうというのは一時は自問自答していましたね。

ロックでなければいけない理由が石原さんのなかにはあったわけですよね。

石原:自分との関係性があまりにも一方的に深かったということがありますね。

しかしなぜすべてを1曲に? 全部で8曲という構成でもよかったんじゃないのかなという気がします。

石原:曲単位で曲を聴くというのが習慣としてあると思うんですけど、1曲目が良かったとか2曲目が良かったとかになると、もう一回聴いて、ちゃんと曲の構造、例えばベースのこのラインとバスドラの何拍め位置が、とかを聴きとろうとするようになっていく。そこが主眼ではなかったので。そういう聴かれ方はしたくなかった。
とにかく、こういうものが作りたかったとしか言えないです。曲単位で、3曲目がいいとか4曲目がいいという感じではない。

物語性がまったくないですよね。

石原:物語性がなるべく出ないようにしました。それでも多少は出てしまっている。

それはなぜ嫌なんですか?

石原:そういう質問をされるのはすごくわかります。ある種のヒューマニズム的なものに対する自分のなかでの折り合いのつかない感覚がずっと子どもの頃からあるんですよ。パンクのなかでもクラッシュとか、そういうのがいまひとつダメだったし。クラッシュが好きな人と話が合わなかった。僕はそっちにいかなかったんですよ。

クラッシュが好きだった人の音楽ではないですよね(笑)。

石原:今回のテーマは無関心とかアノニマスとか。そういうことはすごくありましたね。雑踏のなかに含まれている。「あのさー」とか喋っている人たちがスマホひとつで日々を送っている。そういった無数の人たちの発信受信する膨大な情報、データが背後にずっとあって。そうはいかなかった自分というのがそのなかに混じっている感じですよね。すでにその一部になってるのかもしれないけれど。

アイロニーはないんですか?

石原:アイロニーではないです。本当にリアルですね。これ(スマホ)に入ってないものは世界ではないと言われる可能性があるということでしょ。

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 最後に。このアルバムを聴く場合は、間違ってもPCなんかで聴いてはいけないし、安っぽいイヤフォンも避けたほうがいい。家のスピーカーで聴くのが最善である。

interview with Bernard Sumner - ele-king

 まずはバーナード・サムナーから今回の来日公演延期に関してのメッセージを。

 私たちは日本が大好きで、この決定をしなければならないことを残念に思っています。
しかしながら新型コロナウイルス感染症発症について不明確な部分が多く見られる現状から、東京と大阪の公演については当分の間延期とすることが最善であると考えました。これについてはファンの健康を危険にさらしたり、帰国時にウイルスを拡散する可能性の発生を避けたいという点も考慮しました。
この状況が解消され次第、できるだけ早く日本に戻ってくることを約束します。
バーナード・サムナー

We love Japan and are sorry to have to make this decision. However, with the uncertainty of the ongoing Coronavirus outbreak, we felt it was best to put our shows in Tokyo and Osaka on hold for the time being. As we would also hate to put our fan’s health at risk, or the possiblity of spreading the virus upon our return. We promise we will be back as soon as we can, once this situation has rectified itself.
Bernard Sumner

 さて、以下のインタヴューは、2019年10月9日水曜日、ニュー・オーダー(NO)のヨーロッパ・ツアー中におけるベルリン公演の際に録ったものである。このツアーのサポートアクトを務めたのは、中国・成都を拠点に活動するバンド、STOLEN(秘密行動)。石野卓球もリミックスで絡んでいる、いま注目のエレクトロニック・バンドである

 それで、昨年のベルリンといえば壁崩壊から30年を迎え、さまざまなイベントがおこなわれたわけだが、バーニーをはじめとするオリジナルNOの面々は、ジョイ・ディヴィジョン(JD)時代に初めてベルリンを訪れている。そもそも、前身のバンドの名がウォルソー(ワルシャワ)であり、東欧のイメージを好んでいるし、JDもナチスの慰安婦施設の名前から取られている。彼らにとってベルリンは特別な街である。

これがSTOLENの面々。マジ格好いいし、じつはこのインタヴューが載せられるのも彼ら経由でもあります。応援しましょう!

STOLENのようなバンドにとって、ごく普通のポップ・ミュージックをプレイするのは簡単なことだと思う。つまらない、どこに行っても聞こえてくるようなポップ・ミュージック、君も耳にするだろう? STOLENはメインストリームからはちょっと離れていて、少しだけ、より実験的なことをやろうとしている。勇気があるよね。

ベルリンでのライヴはいかがでしたでしょうか?

バーナード・サムナー(BS):すばらしかったよ! ベルリンでプレイするのは好きだね。ベルリンという街、ベルリンにいる人たちが好きだ。すばらしいヴァイヴを持っているよね。たぶん、みんなそう言うと思うよ。本当のことだから。
 ベルリンでのライヴは本当によかったよ。ベルリンの前にプラハとミュンヘンの2か所でライヴをやって、そのほかにも、このツアーがはじまる前にヨーロッパのサマーフェスに出演した。ソナーにも出演したね。このツアーでの最初のふたつの公演では、ちょっと苦労したんだ。大きな野外フェス会場ばかりでプレイした後だったから、屋内でのサウンドに慣れなければいけなかった。野外だと、音は空気中に散らばっていって、ドライな感じなんだけど、屋内でプレイすると、途端に会場内の音響が全部耳に入ってくる。だから最初の2公演では、音に慣れるのが難しかった。そして3公演目のベルリンでは、音と一体になることができた。とても楽しんでライヴができたよ。

2019年3月には、マンチェスターでのライヴ・アルバムもリリースしましたし、2020年3月には日本でのライヴも予定されています(※延期になりました)。とくにいまはライヴに力を入れているのでしょうか?

BS:そうだね。ライヴをたくさんやっているね。ライヴをあまりやっていないときは、みんな「どうしてライヴをやらないんだ?」って言うんだよ。そして、いま、ライヴをやっている。そうすると「どうしてレコーディングしないんだ?」って言われる。ファニーだよね。だから、ちょうどいいバランスを見つけるのが難しいんだと思う。新しい曲をつくろうかと思っているんだけど、バンド内ではまだちゃんと話されていないね。たぶん、いまはライヴ向きの体質になっているのかもしれない。いいホテルに泊まって、ライヴをやって、それがエキサイティングで、いいレストランで食事をして、すばらしい人たちに会ったり、僕らの音楽を好きでいてくれる人たちのためにプレイする。けっこういいライフスタイルだよね。だからライヴをやっているんだと思う。うん、本当にいい感じだよ。もちろん、本当にやりがいがある。
あと、ニュー・オーダーについてはこれを言っておかないとね。ニュー・オーダーの曲って本当に多いんだ。ジョイ・ディヴィジョンも含むととくに。みんなが好きな曲が何曲もある。どんなセットリストにしようか悩むね。それぞれをひとつのセットリストに組み込もうとすると長過ぎる。
 実際にプラハでは、1時間40分のライヴを想定していたんだけど、結局2時間のライヴになってしまった。いくつか長過ぎる曲があるからね。ニュー・オーダーはすでに、たくさんの曲を持っていて、新しい曲を書くと、本当に毎回、「どんなセットリストにすればいいんだろう?」って頭を抱えているよ。

新曲と過去にリリースされた曲を一緒にプレイするのは、難しいのでしょうか?

BS:今回のツアーでは『Music Complete』から3、4曲プレイした。過去の曲も新しい曲も両方演っている。そうだね、ジョイ・ディヴィジョンから3、4曲、『Music Complete』から3、4曲、あとは、ニュー・オーダーの初期の曲も3、4曲、それ以降の曲も3、4曲ってところかな。いつも選曲には苦労しているけど、楽しんでもいるよ。

STOLENをフロントアクトに起用したのは、もちろんマーク・リーダー氏との繋がりもあると思いますが、あなた自身もお気に入りだからだと思います。彼らのどんなところが気に入っていますか?

BS:彼らのことは大好きだね。とてもいい奴らだよ。彼らに会う前にマークが彼らのアルバムを聴かせてくれたんだ。何度も何度もね。いいバンドだよね。とても勇気のあるバンドだと思う。STOLENのようなバンドにとって、ごく普通のポップ・ミュージックをプレイするのは簡単なことだと思う。つまらない、どこに行っても聞こえてくるようなポップ・ミュージック、君も耳にするだろう? どうしてか聞こえてくるよね。みんな、ファスト・フードを食べるように、ファスト・ミュージックを消費しているんだと思う。こんなにもファスト・ミュージックが溢れているなかで、STOLENはメインストリームからはちょっと離れていて、少しだけ、より実験的なことをやろうとしている。勇気があるよね。だからおもしろいんだ。彼らは中国において、レフトフィールドの先駆者だ、たぶん、アジアのなかでもね。
 最近は、どこだろうが場所に関係なく、若いバンドが成功するのは難しい。本当に難しいと思う。僕もかつては若いバンドだったわけで、成功へのはじめの一歩を踏み出すことがどんなことなのかわかっている。どこから彼らが現れようが、STOLENのような若いバンドをサポートできるのはいいよね。

ベルリンに初めて来たときのことを憶えている。僕は長い長い道を歩いていた。その道の最後には帝国議会議事堂があって、巨大な建物なんだ。建物の円柱のひとつに赤い何かが書かれているのを見つけた。近付くとそこには、誰かがスプレーで書いた「MUFC」という文字があった。そう、「Manchester United Football Club」。うわー、僕より先に、誰かがマンチェスターからここに来たんだ! と思ったよね。

1980年代に初めてベルリンを訪れたジョイ・ディヴィジョンと、ベルリンでプレイしたSTOLENに類似性は感じますか?

BS:いや、どのバンドもすべて、同じではないんだ。当時、僕らは本当に大変だった。未来がまったくわからなかった。

(ここで、バーナードはニュー・オーダーの「東京新木場 ニュー・オーダー 一寸先は闇」と日本語でプリントされたとツアーTシャツを見せてくれた)

 ──要するに、ジョイ・ディヴィジョンだった当時、僕らは何が未来なのか見えなかった。未来への手掛かりを何も持っていなかった。イアン(・カーティス)の死とともにあんな波乱万丈な未来が待ち受けているなんて、僕らの身に起きたすべてについて、本当に知る由もなかった。でも僕らは前に進んだ。僕はいま、ここにいる。本当にサヴァイヴァーのような気分だよ(にこりと笑って)。
 たくさんの人たちが死んでいった。イアンが死んで、マーティン・ハネット(音楽プロデューサー)、ロブ・グレットン(マネージャー)、そしてトニー・ウィルソン(〈Factory Records〉オーナー)やマイケル・シャンバーグ(MVプロデューサー/フィルムメイカー)も死んだ。そうだね……本当にショッキングだったよ。みんな若くして死んでしまって。嗚呼、神様! 僕らは大丈夫だよね……神の微笑みを我らに(笑)!
 そうだ、このTシャツは(日本語で)「誰に未来がわかるんだろう?」って書いてあるっぽいよね。ジョイ・ディヴィジョンとして僕らがベルリンでプレイした当時、未来が僕らに何をもたらすのかわからなかった。おそらく、STOLENにとっても同じだと思う。彼らの未来には、困難もあるだろうけど、良い先行きが待ち受けていると思う。最近は、音楽でインパクトを及ぼすことは難しい。何かユニークなものを持っていないとね。
 若いバンドにとって大事なことは、楽しむこと。自分たちがやっていることを大いに楽しまなければならない。そうでなければ、いま頃、普通の仕事に就いているかもしれない。たくさんの若いバンドが音楽をキャリアのように思っているけど、音楽はキャリアなんかじゃない。音楽とは自由である。自由であり、日常生活の退屈から逃れることだ。何かを表現すること、啓蒙すること、可能にすること。音楽とはそういうものだと僕は思っている。
 音楽とは、束縛から解放されることだ。なぜ、若いポップ・バンドは自ら、彼ら自身に囚われているのか? 音楽とは、抵抗でもある。精神的な枠や壁に抵抗すること。調和への抵抗。でも、暴力的だったり、政治的に秩序を乱すようなことではない。僕にとって、抵抗とは、クリエイティヴィティを通じて、人びとに楽しいことや喜び、幸せを与えながら、自分自身を自由にすることを意味している。

来年の日本でのライヴの抱負を聞かせてください。どんなライヴになるのか楽しみにしているファンも多いと思います。(※もちろん、延期になってしまいましたが、載せておきます)

BS:日本食を食べること(笑)! ごみごみした東京のストリートを散歩したり、皇居の周辺を散歩したり。そして、音楽。もっとも重要なことは、日本の熱心なファンに僕らの音楽を届けること。彼らは、僕らの音楽をどう楽しむのかわかっているよね。日本のオーディエンスはすばらしい。日本にまた戻れるのは、良いことだね。久しぶりだし。そうだね、ファンの皆が待っていた何かを、音楽を届けるのが、抱負だね。

2019年8月、ぼくたちはジョン・サヴェージの著作『この灼けるほどの光、太陽そしてその他の何もかも ──ジョイ・ディヴィジョン、ジ・オーラル・ヒストリー』の日本語版を出版しました。あの本の表紙の写真はベルリンで撮られています。ベルリンという街に対する特別な感情があるように思いますが、いかがでしょうか?

BS:以前からマーク・リーダーはベルリンにいて、〈Factory Records〉のベルリン特派員だった。マークを通じてその頃からすでにベルリンとのコネクションはあった。マークがコンタクト・ポイントだった。なぜなら、マークは元々マンチェスターに住んでいて、イアンとロブ・グレットンの友人だったんだ。マークはジョイ・ディヴィジョンを早くからKant Kino(映画館)に出演させてくれていた。僕らはとにかくどこでもいいから、ライヴがやりたかったんだ。そして、ヨーロッパ各地でプレイし、ベルリンはそのうちのひとつだった。
ベルリンに初めて来たときのことを憶えている。僕は長い長い道を歩いていた。その道の最後には帝国議会議事堂(現在の国会議事堂)があって、巨大な建物なんだ。僕はそれを見ながら歩いていた。そして、建物の円柱のひとつに赤い何かが書かれているのを見つけた。近付くとそこには、誰かがスプレーで書いた「MUFC」という文字があった。そう、「Manchester United Football Club」。うわー、僕より先に、誰かがマンチェスターからここに来たんだ! と思ったよね。当時、帝国議会議事堂は荒廃していて、弾痕だらけだった。
ベルリンは、先の大戦と東ドイツの影響で、とても興味深い街だった。たしか、ブランデンブルク門は壁に囲まれていたと思う。たぶん、合っていると思うけど、ブランデンブルク門は東ドイツ、帝国議会議事堂は西ドイツだったと思う。
独特な風景だった。もし君が壁を見に来て、東ドイツの国境警備隊が君を見つけたら、検問を受けるだろう。マークと一緒にチェックポイント・チャーリー(国境検問所)を通って東に入り、他にも2ヵ所行った。かなり不思議だったんだけど、西ドイツから車で入ったとき、実は両方の回廊を通るんだ。僕は当時、ウィーンから西の回廊地帯と東の回廊地帯の両方を通った。つまり、文字通り、回廊だったんだ。壁に囲われたような道。本当にクレイジーなメンタリティーがいつもそこには隣り合わせていた。ただただクレイジーだったね。東と西のあいだにはノーマンズ・ランドとして知られる地帯があった。有刺鉄線が張り巡らされ、もし誰かがその地帯を越えようものなら、自動発射銃に撃たれるだろう。野蛮に見えた。クレイジーだと思った。僕にはどうしてそうなったのかわかる。東に入ろうとする西の奴らを徹底的に排除するためさ。ロシア人による話だけどね。まあ、僕はそれが本当だとは思っていないけど(にこりと笑って)。
もし、冷戦時代について知りたいなら、『寒い国から帰ってきたスパイ』(ジョン・ル・カレ著)という小説が僕のおすすめだよ。

Teki Latex & Nick Dwyer - ele-king

 これはおもしろい企画だ。かつて〈Big Dada〉から作品を発表していたパリのヒップホップ・アクト、テーテーセー(TTC)のメンバーでもあるテキ・ラテックスと、日本のゲーム音楽に迫ったドキュメンタリー『Diggin in the Carts』の仕掛け人たるニック・ドワイヤー、このふたりによるなんともエキサイティングなミックステープ『テキとニックのミックステープクエスト大冒険』が公開されている。
 ヒップホップやベース・ミュージックとゲーム音楽とを接続することがテーマのようで、『クロノ・トリガー』や『FF』、『ベア・ナックル』や『ポケモン』といった有名タイトルの音楽に、ミーゴスやアウトキャストなどのアカペラ、ディジー・ラスカルや(オーケーザープとのコラボも記憶に新しい)南アフリカはダーバンのDJラグらのトラックがミックスされている(水カンの “桃太郎” も鳴っていますね)(いまのケンモチヒデフミのゴム・モードともつながる?)。
 注目すべきは、今回のミックステープのために提供されたエクスクルーシヴなトラックたちで、コード9が『飛装騎兵カイザード』(ガブリンサウンド)を、アイコニカが『ソニック』(中村正人)を、マムダンスが『アクトレイザー』(古代祐三)を、そして食品まつり a.k.a フードマンが『FFVI』(植松伸夫)をリミックスしている。グライムMCの Jammz やシシヤマザキも参加。なおオフィシャル・ページではコード9やフードマンのステキなキャラ絵まで公開されているので、そちらもチェック。

https://teknic.mx/?fbclid=IwAR21mVIAgzbySClZICa2cu2B0NP8SqPWrR0XxSvguidqCqG5BCCKHfOo-Xw

Squarepusher - ele-king

 仕事が早い! 5年ぶりの最新アルバム『Be Up A Hello』を送り出したばかりのスクエアプッシャーが、なんと、もう新作をリリースする。タイトルは「Lamental EP」で、3月20日に日本先行発売。アルバム収録曲の別ヴァージョンやアウトテイクに加え、2016年に発表された静かな炎 “MIDI Sans Frontières” およびそのリミックス・ヴァージョンも収録されるとのこと。
 また同時に、いよいよ1ヶ月に迫った来日公演のサポート・アクトも発表された。“Terminal Slam” の強烈なMVを手がけていた真鍋大度である。これは相性バツグンでしょう。とうわけで、新作EPをチェックしつつ、過去のスクエアプッシャーの代表作も復習しながら、4月の来日にそなえておこう。

⇨ スクエアプッシャーの最新インタヴューはこちらから。
⇨ 必聴盤9枚でたどるスクエアプッシャーの歴史はこちらから。

最新アルバム『Be Up A Hello』が賞賛を集める中、
早くも新作「Lamental EP」のリリースを発表!
EU離脱に対する怒りとして発表した “MIDI Sans Frontières” の
セルフリミックス・バージョンを公開!
いよいよ来月に迫った来日ツアーでは、
MVを手がけた真鍋大度の出演が決定!

5年ぶりの最新アルバム『Be Up A Hello』が、オリコン洋楽チャート10位に初登場し、UKとUSで過去最高チャートを記録するなど、賞賛を集めているスクエアプッシャーが、早くも新作「Lamental EP」を完成させた。来日公演を直前に控えた3月20日に日本先行でリリースされる。

今作にはアルバム収録曲 “Detroit People Mover” の別バージョンでもある、スペーシーで躍動感溢れるテクノ・トラック “The Paris Track” と、アルバム・バージョンの “Detroit People Mover”、そしてアルバムからのアウトテイクで、スクエアプッシャーのメランコリックでメロディアスな面を打ち出した “Les Mains Dansent”、また2016年にイギリスのEU離脱を問うた国民投票の結果に対する抗議の意思として発表した “MIDI Sans Frontières” と、そのセルフリミックス・バージョン “Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)” の5曲が収録される。12インチ盤には、“Les Mains Dansent” を除いた4曲が収録される。

Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)
https://youtu.be/X_k2lih0T6U

また今回の発表に合わせ、各国で予定されているヘッドラインツアーのサポートアクトが発表された。日本では、超近未来の東京を舞台にした破壊的映像が話題となっている “Terminal Slam” のミュージックビデオを手がけた真鍋大度(Rhizomatiks)の出演が決定! 名古屋、大阪、東京の全公演でサポートアクトを務める。

Terminal Slam (Official Video)
https://youtu.be/GlhV-OKHecI

なお、ミュージックビデオの制作の裏側を明かす特設ページが現在公開中。
https://research.rhizomatiks.com/s/works/squarepusher/

『Be Up A Hello』に続く新作「Lamental EP」は、3月20日(金)に日本先行リリース。

待望の来日ツアーに真鍋大度の出演も決定!
前売りチケットは絶賛発売中!

SQUAREPUSHER JAPAN TOUR 2020
SUPPORT ACT: DAITO MANABE

2020年4月1日(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
2020年4月2日(木) 梅田 CLUB QUATTRO
2020年4月3日(金) 新木場 STUDIO COAST

TICKETS : ADV. ¥7,000+1D
OPEN 18:00 / START 19:00
※ 未就学児童入場不可

詳細 ⇨ https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10760

チケット情報
【絶賛発売中】
名古屋: イープラスチケットぴあ (Pコード: 176-074)、LAWSON (Lコード: 42831)、LINE TICKET [https://ticket.line.me]、BEATINK、クアトロ店頭 他
大阪: イープラスチケットぴあ (Pコード: 175-878)、LAWSON (Lコード: 53383)、BEATINK
東京: イープラスチケットぴあ (Pコード: 176-570)、LAWSON (Lコード: 73049)、BEATINK、GAN-BAN店頭 他

label: Warp Records / Beat Records
artist: Squarepusher
title: Lamental EP
release date: 2020.03.20 FRI ON SALE

国内盤CD BRE-59 ¥900+税

BEATINK.COM
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10684

TACKLISTING
01. The Paris Track
02. Detroit People Mover
03. Les Mains Dansent
04. Midi Sans Frontieres (Avec Batterie)
05. Midi Sans Frontieres

label: Warp Records / Beat Records
artist: Squarepusher
title: Be Up A Hello
release date: 2020.01.31 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-624 ¥2,200+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-624T ¥5,500+税

国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入/NTS MIX 音源DLカード封入
(Tシャツセットには限定ボーナストラックDLカードも封入)

各CDショップでの購入特典もチェック!

 Tower Records:四角缶バッヂ

 disk union:丸缶バッヂ

 Amazon:マグネット

 その他CDショップ:ステッカー

Nervelevers (Official Audio)
https://youtu.be/qtSJA_U4W1U

Vortrack (Original Mix)
https://youtu.be/s3kWYsLYuHc

Vortrack (Fracture Remix)
https://youtu.be/59ke5hp-p3E

satohyoh - ele-king

 ちょっとせつなくて、でもやさしくて、あたたかい音楽……。サンクラで展開中の「音メモ」シリーズで話題を集めた秋田の音楽家、サトウヨウが3月11日にセカンド・アルバムをリリースする。2017年に〈PROGRESSIVE FOrM〉から発表されたファースト『inacagraphy+』に続くフルレングスで、ピアノをはじめとするアコースティック楽器とサンプルを組み合わせた、イメージ喚起力の高い情緒的なトラックが並んでいる。なお明日3月4日から OTOTOY にてハイレゾ(24khz/48bit)での先行配信がスタート。もうすぐ春、ですね。

発売日: 2020年3月11日(水曜日)
アーティスト: satohyoh (サトウヨウ)
タイトル: feel like, feel right (フィールライクフィールライト)
発売元: PROGRESSIVE FOrM
販売元: ULTRA-VYBE, INC.
規格番号: PFCD96
価格(CD): 税抜本体価格¥2,200
収録曲数: 15曲
JAN: 4526180513858

◆Tracklisting

01. same old tomorrow's glow
02. 天気雨
03. toro
04. astraea
05. rain is always looking for clouds
06. bange feat. kota okuyama
07. alphabetagammadelta
08. ongoing
09. rufous scene
10. ランプを灯せば
11. little sense monologue
12. break in the parking
13. reprize
14. ただ広い暗闇、欠伸をした信号機
15. the hot-air balloon floating in the chilly sky

M2/4/10/14 vocal by airi hashimoto

◆【feel like, feel right】紹介文

時に優しく、時にせつなく、美しい調べがこだまする。
秋田県在住、風景の音にアコースティックな音を添えサンプリング等の手法を交えて公開する「音メモ」シリーズで SoundCloud を通じて海外でも多くのファンを獲得してきた satohyoh、2017年4月にリリースした初流通作品となる 1st アルバム『inacagraphy+』より約2年、音楽的な成熟度もぐっと増した satohyoh 待望の2ndアルバムが完成!

《好きと感じること、正しいと感じること。角度が変われば「正しさ」は変わる。誰かに教えたり、誰かを支えるとき、「正しさ」に迷う。「好きと感じること」を教える、「好きという気持ち」で支える。自ずと「正しさ」に繋がる。》として名付けられた『feel like, feel right』では、ピアノ、ギターやアコースティック楽器の音を中心に、味わい深いサンプルや豊かな景色の音を混ぜ合わせることで、田舎の景色や情緒溢れる日本の原風景に寄り添ったかのようなオリジナリティー溢れるサウンドが展開されている。

叙情的なピアノが導くM1 “same old tomorrow's glow” M15 “the hot-air balloon floating in the chilly sky”、リラックスさが心地良いM3 “toro” M8 “ongoing”、音楽制作仲間である kota okuyama がギターとコーラスで参加したM6 “bange”、ジャジーなアプローチが気持ち良いM7 “alphabetagammadelta”、鍵盤と弦により奏でられるどこまでも美しいM9 “rufous scene” とハーモニカがノスタルジーを広げるM12 “break in the parking” をはじめ聴き所が詰まったアルバムだが特筆すべきは 1st 同様に参加している橋本愛里のボーカル曲であろう。

2010年にデビュー~HMVのキャンペーン「NEXT ROCK ON」で最優秀ルーキーに選出~ガールズバンド「スパンクル」のボーカルであった、わらべ歌と考古学を学んだボーカリスト橋本愛里が歌うM2/4/10/14の4曲では、彼女の透明感ある声を生かした satohyoh のソングライターとしての才能を感じる事が出来、本作の魅力をより一層高みへと導いている。

◆プロフィール satohyoh

秋田出身、在住、ピアノやアコースティック楽器などを中心に風景に根ざしたサウンドを奏でるアーティスト。
2010年、ロックバンド「サキノハカ」とスプリットシングルを制作。
同年、「ukishizumi」名義で OMAGATOKI 制作のジョン・レノン・トリビュートアルバム『#9 DREAM』に参加。
2011年、インディーズレーベル〈clear〉の東日本大震災チャリティー配信アルバム『one for all, all for one』に参加。
2013年、インディーズレーベル〈T RUST OVER 30 recordigs〉の『Free Compilation Vol.1』に参加。
その後故郷秋田へ戻り、satohyoh 名義にて風景の音にアコースティックな楽器を添えた「音メモ」シリーズを公開、soundcloud を通じて海外でもファンを獲得する。
2015年、エフエム秋田30周年コンピレーションに参加。
2017年1月、初の iTunes 配信限定版「inacagraphy2」を発表、まったくの無名、ノープロモーションながら、iTunes インストゥルメンタル部門で最高位4位となる。
2017年4月、初の全国流通版となるデビュー・アルバム『inacagraphy+』を〈PROGRESSIVE FOrM〉よりリリースする。
2017年、秋田県潟上市で開催されたアート展「オジフェス2017 つきぬける」に楽曲提供。
ウェブマガジン「なんも大学」の映像企画「Discover Akita」(石孫本店、永楽食堂、五城目朝市、鳥海山日立舞、じゅんさい)に楽曲提供。
2018年、秋田県鹿角市、社会福祉法人 愛生会の事業紹介映像、並びに制作ラジオ番組に楽曲提供。
秋田県仙北市で開催されたグループ展「ひらふくひらく」内、高橋希・写真展に楽曲提供。
そして2020年3月、約3年振りとなる 2nd フルアルバム『feel like, feel right』をリリースする。

角銅真実 - ele-king

 遡ることおよそ三年前の2017年4月15日に、水道橋のCDショップ兼イベント・スペース「Ftarri」にて、英国のサウンド・アーティスト/即興演奏家デイヴィッド・トゥープの来日公演が開催された。トゥープ含め全三組のアーティストがライヴを繰り広げた同イベントで、一セットめに出演した角銅真実のソロ・パフォーマンスがいまだに忘れられない。スピーカーから音を出力することのないキーボードを叩きながらハミングを披露し、カタカタという乾いた打鍵の響きとなんらかの楽曲らしき歌のようなものが聴こえてくる。しばらくすると会場にばらまかれた無線ラジオにつながれたイヤホンから微かに伴奏が漏れ聴こえ、その後ピアノで演奏することで楽曲のサウンドの全体像が明らかになる。さらに、ポータブル・カセット・プレーヤーから同じ楽曲の録音が再生され、キーボードを介した音のない行為と録音された音だけのサウンド、さらに眼前でピアノを介して歌われる音楽という、少なくとも三種類の楽曲のありようが観ること/聴くことの経験のうちに相互に記憶のなかで関係し合い、パフォーマンスにおいてわたしたちがなにを音楽として受け取っているのかということについてあらためて考えさせられる機会となった。そしてこのようなある種コンセプチュアルな試みでありながら、概念が先行する硬直性とは無縁の、行為そのものの楽しさと悦びにあふれていたことがなによりも印象に残っている。

 cero のサポートやドラマー石若駿による Songbook Trio をはじめ、網守将平率いる「バクテリアコレクティヴ」のメンバーとして、あるいは台湾のアーティスト王虹凱(ワン・ホンカイ)による共同制作プロセスを作品化した「サザン・クレアオーディエンス」のリアライズや、坪口昌恭ら気鋭のジャズ・ミュージシャンとともにアンソニー・ブラクストンの楽曲を演奏するプロジェクト、さらにはアジアン・ミーティング・フェスティバル2019への参加まで、打楽器奏者/シンガーソングライターの角銅真実の活動は驚くほど多岐にわたっている。むろん彼女自身のソロ・パフォーマンスやインスタレーション作品、あるいはアンサンブル・ユニット「タコマンションオーケストラ」も見落とすことはできないものの、単にジャンル横断的というよりも、どんな領域でも違和感なく共存できてしまう柔軟性が彼女にはあるように感じられる。サウンド・アーティストの大城真によるレーベル〈Basic Function〉から2017年にファースト・アルバム『時間の上に夢が飛んでいる』を、翌2018年には〈Apollo Sounds〉からセカンド・アルバム『Ya Chaika』をリリースしてきた彼女が、このたびメジャー・デビュー作としてサード・アルバム『oar』を発表することとなった。

 ヴォイスを楽器の一部であるかのように音響素材の一つとして駆使したファーストから、実験的/即興的な感触を残しつつ歌の比重が増したセカンドを経て、サード・アルバムでは歌が全面的に披露されている。大幅なアレンジが施されているものの、浅川マキの “わたしの金曜日” やフィッシュマンズの “いかれたBaby” のカヴァーも収録されており、彼女のこれまでの作品のなかでもっとも「音楽」に近づいたアルバムだと言っていいだろう。洗練された都会的なコード進行や憂いを帯びながらも力強い歌声、あるいは流麗なストリングス・アレンジなどは、ポップ・ソングと呼んでもよい完成度を誇っているものの、そうしたなかでたとえば1曲め “December 13” の冒頭から聴こえてくるイルカの鳴き声と電子音響が混じり合った大和田俊によるサウンド、あるいは雨だれのように物音が乱れ飛ぶ7曲め “Slice of Time” など、節々に音楽というよりも音そのものに対する興味がうかがえるところが、単なるポップ・シンガーというくくりには収めることのできない彼女の広範なバックグラウンドを示しているようにも思う。

 角銅真実が出演するライヴに行くたびに、客層がガラリと変わることにいつも奇妙な違和感を覚えてきた。ノン・ジャンルを標榜するミュージシャンは無数に存在しており、いまの時代にジャンルを越境/横断することそれ自体に特別な価値があるとも思えない。だがたとえば、リスナーがある音楽をポップス/ジャズ/サウンド・アート/エクスペリメンタル/即興……等々に区分することで自らの耳を閉ざしているのに対して、作り手はそうした分断をよそに交流と制作を繰り返していく。もちろんリスナーはどんな音楽に対しても等しく共感する必要はない。しかし同時に、どんな音楽でもこの世界に存在することは認められなければならない。『oar』のオフィシャル・インタヴューで角銅が「本当の真実ってないし、本当に分かち合えることってない。でも、分かり合えない人たちが一緒にいる状況はおもしろい」と語っていたように、異なる人々が異なるままに共感とは別のあり方で共存すること。それはおそらく、彼女の活動を追い続けることで、実体験として感得できる「おもしろさ」であるとともに、音楽のみならず社会の蛸壺化が進行するなかで、他者とともに同時代を生きる術でもあるのではないだろうか。

Squarepusher 9 Essential Albums - ele-king

 もう25年ものキャリアがあって、メイン名義の〈Squarepusher〉のスタジオ作だけでも15枚というアルバムをリリースしているトム・ジェンキンソン。初来日した頃はまだ22歳とかだったので、よくぞここまでいろんな挑戦をしながら自分をアップデートし続けてきたものだと感心する。段々と自分ならではの表現を確立していったミュージシャンならともかく、彼の場合は特に最初のインパクトがものすごかったわけで、正直こんなに長い間最前線で活躍しつづけるとは、当時は予測できなかった。改めて古いものから彼の作品を並べ、順番に聴いてみると、想像以上にあっちゃこっちゃ行きまくって、それでも芯はぶれない彼のアーティストとしての強靱さ、発想のコアみたいなものが見えてくるようだ。
 ここでは、今年1月にリリースされた最新アルバム『Be Up A Hello』に到るまでの重要作9枚を振り返りつつ、スクエアプッシャーという稀代のアーティストのユニークさをいま一度噛みしめてみたい。


Feed Me Weird Things
Rephlex (1996)

 いまでも、〈Warp〉からの「Port Rhombus EP」がどかんと東京の街に紫の爆弾を落とした日のことはよく覚えている。CISCO とか WAVE の棚は全部それに占拠され、“Problem Child” の殺人的にファンキーな高速ブレークビーツと、うねりまくるフレットレス・ベースの奏でる自由奔放なベース・ラインがあまりに新鮮でずっと繰り返し店でも流されていた。そして、実は〈Rephlex〉からコイツのアルバムが出てるぞっていうことで皆がこのデビュー作に飛びついたのだった。当時はそんなに意識しなかったが、本作は〈Rephlex〉にしては随分とアダルトな雰囲気がある。冒頭の “Squarepusher Theme” にしても方法論としてはその後一気に知れ渡る彼の十八番ではあるものの、ギターのカッティングから始まり、ジャジーでどちらかというと生っぽくレイドバックした響きをもったこの曲は、既にトム・ジェンキンソンの幅広い趣味を示唆している。次に非常にメランコリックで、時折打ち鳴らされるブレークビーツ以外はチルウェイヴかというような “Tundra”、さらにレゲエ/ダブに倍速のブレークビーツを合体させたレイヴ・スタイルをジャズ的なリズム解釈で徹底的にこじらせたような “The Swifty” が続くという冒頭の展開がダントツにおもしろいが、内省的で墓場から響いてくるような “Goodnight Jade” “UFO's Over Leytonstone” といった後半の曲も魅力的。


Hard Normal Daddy
Warp (1997)

 そして〈Warp〉から満を持してリリースされたのが、この2作目。ダークな装いだった前作に比べると随分とメロディックになって、明るく飄々とした印象で、トム・ジェンキンソン自身のキャラクターがよりサウンドに解放されたのかなとも思う。勝手な印象論だけど、こういうジョーク混じりみたいなノリは〈Rephlex〉が得意で、むしろデビュー作のような叙情性と実験性をうまい具合に配合したようなのは〈Warp〉かなというイメージがあって、当時はちょっと意外に感じた。ただ、カマシ・ワシントンがこれだけ持て囃されるような現代ならともかく、90年代後半にファーストの路線をさらに深化させていくのは得策じゃなかったろう。で、これを出した直後くらいに来日も果たし、ステージでひとりベース弾きまくる、作品よりさらにはっちゃけた印象のトムは、より大きな人気を獲得していくのであった。


Big Loada
Warp (1997)

 レイヴにもよく遊びに行っていたし、〈Warp〉に所属することになったきっかけは(初期) LFO だというトムの享楽的側面やシンプルなダンス・ミュージックの悦びが溢れた初期の重要なミニ・アルバム。クリス・カニンガムが監督した近未来ホラー的なMVが有名なリード・トラック “Come On My Selector” が、チョップと変調を施しまくったサイバー・ジャングルちっくでいま聴いても奔放なかっこよさを誇るのはもちろん、ペリー&キングスレイ的なお花畑エレクトリカル・アンサンブル+ドリルン・ベースな “A Journey to Reedham” も素晴らしい。余談だが、トレント・レズナーの〈Nothing〉からリリースされたアメリカ盤では、「Port Rhombus EP」や「Vic Acid」から選ばれた曲も追加収録されているので、かなりお得な入門盤だった。


Music Is Rotted One Note
Warp (1998)

 そして意表を突くように生演奏をベースにした、ほぼフリー・ジャズなアルバムをリリースしたスクエアプッシャー。どうも初期のトレードマーク的スタイルは『Big Loada』でやり尽くしてしまったから、まったく違うことに挑戦したくなったという経緯らしい。それにしても、全楽器を自分で演奏し、しかもあらかじめ曲を作らずドラムから順に即興演奏して録音していくなんて、アイデアを思いついても実際にやろうとするだろうか。まぁそれを実現できる演奏力や曲のイメージが勝手に湧くという自信があったんだろうけど。デビュー作でちらちらと見せていたアダルトでエクスペリメンタルな側面が一気に爆発したこのアルバム、近寄りがたいところもあり、一番好きな作品だというスクエアプッシャー・ファンはほぼいないだろうが、本作があったからこそ、その後の彼の活動もさらに広がりや説得力を持ちえたのだ。ちなみに、ジャケを飾る妙なオブジェはトム手作りのリヴァーヴ・マシンで、ジャケのデザインも自分で発案したそう。


Selection Sixteen
Warp (1999)

 トムには Ceephax Acid Crew として活躍する弟アンディーがいる(本作にもボーナス曲のリミキサーとして参加)。その弟からの影響、もしくは彼らがレイヴァーだった時代から強く持っているアシッドへの憧憬をさまざまなカタチでアウトプットした意欲的な盤。前作からの流れを引きずっているようなジャズ風味の強いトラックや、“Mind Rubbers” のようにドリルン・ベースが復活したような曲もあるが、全体的にはビキビキと鳴るアナログ・シンセのベース音が主役を張っている。これ以前にも酸味を出したトラックはときたま作っていたものの、ジャコ・パストリアスばりの超技巧ベース奏者という売り文句で世に出たアーティストが、わざわざそれをかき消すようなアシッド・ベースだらけの作品を作ってしまうとは……。テクノのBPMでめっちゃファンキーなブレークビーツ・アシッドを響かせる “Dedicated Loop” が、Da Damn Phreak Noize Phunk 名義の Hardfloor を彷彿させるドープさ。


Go Plastic
Warp (2001)

 全編生演奏だった『Music Is Rotted One Note』に “Don’t Go Plastic” という曲があって、日本語でも「プラスチッキー」と言うと安物、(金属に見せかけたような)粗悪品的なものを指すが、この場合は作り物(シンセ音楽)からの離脱を意図していたと思う。それがここに来て宗旨変え、「作り物がいいじゃん!」という宣言だ。時は2001年、エレクトロニカが大きな潮流となっていく少し前。スタジオの機材を一新したスクエアプッシャーは、コンピュータで細かくエディットしてトラックを弄っていくDAW的な手法ではなく、データを緻密にシーケンサーに打ち込むことでこのマッドな高速ブレークビーツを生み出した。ジャズ/フュージョンやエレクトロニック・ミュージックに惹かれたのは、サウンドに存在する暴力性だと語っていたトムが、その本性を露わにしたアルバムだ。全体を貫くダークで偏執的なまでのミュータントDnBは踊ることはもちろん、アタマで考えることや感じることも拒否するような局面があり、激しい電気ショックを浴びる感覚に近いかも。ただ、最初と最後にレゲエ~ダブを解体した比較的とっつきやすい曲をもってくる辺りに、トムの優しさも垣間見える。


Ultravisitor
Warp (2003)

 Joy Division の “Love Will Tear Us Apart” のカヴァーと、フジロックでのライヴ(海賊盤かというくらい音が悪いのが残念)を収録したボーナス・ディスクが話題になった『Do You Know Squarepusher』を経て、03年にリリースされた傑作との呼び声高い心機一転作。極端に言うと、これまでのスクエアプッシャーが試みてきた様々な要素/手法をすべて注ぎ込んだような混沌としたアルバム。どういうわけか、歓声やMCまで入ったライヴ録音の曲も結構多い。アルバム後半を支配する激しくノイジーなエクスペリメンタル・ブレイクコアと対照的なインタールード的な小曲は、ほぼすべてアコースティックな楽器の演奏でまとめられていて、それもトム得意のフリー・ジャズ的なものではなく、むしろクラシックやクラウトロック等を感じさせる(特にラストの2曲が美しい)。さらに本作の間違いないハイライトである、ゆったりとしたテンポと生ドラムの生み出す心地よいグルーヴに被さる、メランコリックな重層的メロディーが印象的な “Iambic 9 Poetry”。これを中心とした冒頭5曲の完璧な構成と展開は、スクエアプッシャーの才がついに二度目の大輪を咲かせたと感じられた。


Ufabulum
Warp (2012)

 手練れのミュージシャンを従えたセルフ・カヴァーをするバンド、Shobaleader One としての活動を挟みつつ、スクエアプッシャーが新たな次元に突入したことを知らせてくれたアルバム。CDではなく YouTube で音楽を聴き、盤を買うよりライヴやフェスに繰り出す、という近年のリスナーの傾向を写したように全曲にトム自身が作成したLEDの明滅による演出が施された映像が存在する。Shobaleader One ではフランスの〈Ed Banger〉から(Mr. Oizo のリミックス入りで!)リリースするなど抜け目のないところを見せ、今作ではその影響もあってか、エレクトロ・ハウスやEDMに通じるような迫力満点の(だが、彼の前衛性やエクスペリメンタルな面を好むファンからしたら大仰な展開や音色はコマーシャルに感じられてがっかりと受け取られるかもしれない)トラック群を仕上げている。混沌度を増すアルバム後半、電子回路が暴走したように予想のつかない展開でリスナーに襲いかかる “Drax 2” や、ヴェイパーウェイヴ的な美学も感じるラストの “Ecstatic Shock” が白眉。


Be Up A Hello
Warp (2020)

 そして、5年ぶりにリリースされた、スクエアプッシャーの原点回帰とも言える最新アルバム。『Ufabulum』や続く『Damogen Furies』では自作のソフトウェアやテクノロジーを駆使して、いわゆるヴィジュアル・アートや最新の IoT にまで斬り込んでいくのではないかという意欲的な姿勢を見せていたトム・ジェンキンソンが、旧友の突然の死去をきっかけに、デビュー前に使っていたような古いアナログ機材や、コモドールの古い 8bit コンピュータまで動員してメモリアル的に作り上げた。近しいひとの死がテーマになっているアルバムだから当然かもしれないが、かつてのはっちゃけまくったスクエアプッシャーを想起させる音色や曲の構成は随所に感じられるものの、どこか悲しげで暗いトーンに覆われている。そして、常に以前の自分に一度ダメ出しして新たなことに挑戦してきた彼が、敢えて彼の音楽性や名声を確立するに到った初期の手法に立ち返ったのには、やはり大きな意義を感じる。特にUKでここ数年盛り上がっているレイヴやハードコア(初期ジャングル)を復興させようという試みは、おもしろいけれど懐古を完全に超越した新しいムーヴメントを生み出しているかというとそうでもなくて、では90年代初頭にそういう現場の雰囲気やサウンドに囲まれて、そこで多くを吸収してプロになったトムのようなひとが改めて当時と同じ道具を手にしたとき、何を表現するのかというのはとても示唆的だと思うからだ。

 4月に行われることになったこちらも5年ぶりの単独ライヴは、『Be Up A Hello』の内容を考えると、ここしばらく注力してきたような、大型スクリーンと派手に明滅する映像をメインの要素に据えた未来的なプレゼンテーションとは違ったものになるのだろうか。ロンドンで行われたアルバムの発売記念ギグを映像で確認すると、機材の音が剥き出しでそれこそドラムマシンやシーケンサーが奏でるループがどこまでも続けばそれだけで幸せなんだ、というかつてDJ以外の演者が “ライヴPA” などと呼ばれた時代にあった雰囲気を感じるシンプルなものだった。もうほとんどレコードでDJをすることはないし、その感覚を思い出すのに少し時間がかかったとすら言っていたジェフ・ミルズの本当に久々のアナログと909でのセットを昨年11月に聴きにいった。ただの懐古に陥らないための演出や伝説の確認ではなくフレッシュな体験としてそれを受け止める若い聴衆とアーティストのインタラクトがおもしろく、今回も新たな発見がありそうだと期待している。
 かつて一世を風靡した “Come On My Selector” のMVは、日本を舞台にしてる風の配役や設定だったが、その実 “Superdry 極度乾燥しなさい” 的な細かな違和感がありまくりだった。最新のビデオ “Terminal Slam” ではやはり渋谷を中心にした東京の街を舞台にし、「また日本贔屓の海外のアーティストに東京を超COOLに描かれてしまった!」というのが大半の日本人の最初の反応で、実は監督したのが真鍋大度だったので、なるほど、さすが〈Warp〉とスクエアプッシャー、よくわかってる!と思ったものだ。今回の来日ステージでも、もしかしたら日本ならではのなにかを反映した演出を用意してくれるかもね。

5年ぶりとなる超待望の単独来日公演が大決定!!

2020年4月1日(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
2020年4月2日(木) 梅田 CLUB QUATTRO
2020年4月3日(金) 新木場 STUDIO COAST

TICKETS : ADV. ¥7,000+1D
OPEN 18:00 / START 19:00
※未就学児童入場不可

MORE INFO: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10760

チケット情報
2月1日(土)より一般発売開始!

Dirty Projectors - ele-king

 一昨年『Lamp Lit Prose』で高らかに生を謳歌したNYインディ・シーンの希望の星、ダーティ・プロジェクターズが1年半ぶりとなる新曲 “Overlord” をリリースしている。耳に残る主旋律とDPらしいコーラスが印象的な1曲だけど、はてさて、これは次なるアルバムへの布石なのかしらん? なお、ヴィデオはデイヴ・ロングストレスみずからが監督を務めているとのこと。

[3月26日追記]
 新情報! 先日公開された新曲は、EPへの布石だったようです。明日3月27日、ダーティ・プロジェクターズの最新EP「Windows Open」がリリースされます。新たに “Search For Life” も公開。楽しみだー。

Dirty Projectors
デイヴ・ロングストレス率いるダーティー・プロジェクターズが
最新EP「Windows Open」を3月27日にリリース!
新曲 “Search For Life” のリリックビデオを公開!

デイヴ・ロングストレス率いるブルックリン出身のバンド、ダーティー・プロジェクターズ。先月1年半ぶりの新曲 “Overlord” を、デイヴ自身が監督として手掛けたミュージック・ビデオと共にリリースし、シーンに戻ってきた彼らが、3月27日に最新EP「Windows Open」をリリースすることを発表! 新章のスタートとなる本作には、『Lamp Lit Prose』ツアーで参加したメンバーが参加し、レイドバックで詩的な魅力に溢れる4曲を収録。その中から新たに “Search For Life” が解禁され、リリック・ビデオが公開された。オリヴァー・ヒルによるストリングスのアレンジが見事なバラードとなっており、今世界を巻き込んでいる危機的な状況の中、本楽曲はより深い響きを放っている。

Search For Life (Official Lyric Video)
https://youtu.be/Oi-iUpec_6M

「Windows Open」ではマイア・フリードマンが全曲でリード・ヴォーカルを務め、作曲、プロデュース、ミックスのすべてをデイヴ・ロングストレスが担当。歌詞はデイヴとマイアが共同で担当し、レコーディングはロサンゼルスで行われた。

label: DOMINO
artist: Dirty Projectors
title: Windows Open
release date: 2020/03/27 FRI ON SALE

TRACKLITSING
01. On The Breeze
02. Overlord
03. Search For Life
04. Guarding The Baby

Dirty Projectors
ブルックリン出身、独創的かつハート・ウォーミングなサウンドで
人気を集めるバンド、ダーティー・プロジェクターズが1年半ぶりとなる
新曲 “Overlord” をMVと共にリリース!

デイヴ・ロングストレス率いるブルックリン出身のバンド、ダーティー・プロジェクターズ。〈Domino〉移籍後、初めて発表した2009年の5作目『Bitte Orca』が、その年の年間チャートを総なめにし、本格的にブレイク。その後もビョークとのチャリティー・コラボ作品のリリース、朝霧ジャムのヘッドライナーとしての出演、そして前作『Lamp Lit Prose』を提げてフジロック・フェスティバルへの出演も果たすなど着実にステップアップを遂げてきた彼らが、前作より1年半ぶりの新曲 “Overlord” をリリース! 同時にデイヴ自身が監督として手掛けたミュージックビデオを公開!

Dirty Projectors - Overlord (Official Music Video)
https://youtu.be/LzHGYtIqLig

監視資本主義への皮肉? 混乱ばかりを生む世界のリーダーたちへの批判? テクノロジーへの盲目的な過信への警告? アンチ・ファシズムのマニフェスト? そんなことは誰も知る由もないが、“Overlord” はジョニ・ミッチェル “Both Sides Now” の現代版と言っても過言ではない。アコースティックギター、コントラバス、コンガ、ドラム、3部合唱によって紡ぎ出されるリラックスした暖かいサウンドは紛れもなく、アルバム『Swing Lo Magellan』以降のダーティー・プロジェクターズのサウンドとなっている。楽曲中、ギタリストのマイア・フリードマンがリードボーカルを担当し、プロデューサーであるデイヴと共に作詞を行った。他にもフェリシア・ダグラスとクリスティン・スリップがコーラス、ナット・ボールドウィンがコントラバス、マウロ・レフォスコがコンゴとして参加している。

label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: Dirty Projectors
title: Overlord
release date: NOW ON SALE

Pray for Nujabes - ele-king

 去る2月26日。その日はちょうど10周忌だった。ロウファイ・ヒップホップから舐達麻まで、いまなお多大な影響を与え続けている不世出のトラックメイカー、故 Nujabes に捧げる映像作品「Pray for Nujabes」が、渋谷の大型ヴィジョンに映し出されたのである。彼の作風をなぞるかのようにセンティメンタルに仕上げられた同映像は、現在 YouTube でも公開中。

Nujabes10周忌に
渋谷・スクランブル交差点で追悼映像放映!

2020年2月26日19時30分、東京・渋谷のスクランブル交差点の大型ビジョン6面で、10周忌を迎えた今なお世界中で愛されてやまない日本を代表するトラックメイカー、Nujabes に捧ぐ映像作品「Pray for Nujabes」が音楽ストリーミングサービス Spotify の協力を得て、3分間にわたって同時放映されました。

心にしみるメロウ&スピリチュアルな Nujabes のビートが渋谷の街に響きわたり、突然の出来事に信号待ちの人々が、その音楽に身を委ねたり、スマートフォンをかざす姿も多く見られました。

また Spotify では同日、生前の Nujabes が師と仰いだ 橋本徹(SUBURBIA)の選曲による Nujabes 10周忌オフィシャル・プレイリスト「Pray for Nujabes」と、「This Is Nujabes」の2本のプレイリストも公開されました。

Nujabes の音楽は没後10年を経てなお、国内外の音楽ファンに愛されており、世界で2億4,800万人以上が利用する Spotify では、並みいる現役アーティストを抑えて2018年に「世界で最も再生された国内アーティスト」の第3位にランクされています。Nujabes のリスナーは、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、日本の順に多く、ブラジルやメキシコなどの中南米でも多く聴かれています。また10周忌に合わせ、Spotify から過去10年に最も聴かれた Nujabes の楽曲ランキングも発表されました。

[当日の模様]



[放映された映像]
「Pray for Nujabes」(Supported by Spotify)
映像URL:https://youtu.be/-_bx7O3cQD4
音楽:Nujabes「Luv (Sic.) Pt2」~「Luv (Sic.) Pt3」〜「Reflection Eternal」
映像制作:Hydeout Productions
映像協力:haruka nakamura「Lamp」
クリエイティブ・ディレクター:Toru Hashimoto (SUBURBIA)
プロデューサー:Daisuke Matsushita

[公開されたプレイリスト]
「Pray for Nujabes」 https://spoti.fi/PrayforNujabes
「This Is Nujabes」 https://spoti.fi/ThisIsNujabes

[過去10年にSpotifyで最も聴かれたNujabesの楽曲ランキング]
1. Akin, Cise Star, Nujabes - Feather (feat. Cise Starr & Akin from CYNE)
2. Nujabes, Shing02 - Luv(sic.) pt3 (feat. Shing02)
3. Cise Starr, Nujabes - Lady Brown (feat. Cise Starr from CYNE)
4. Nujabes - reflection eternal
5. Nujabes, Uyama Hiroto - Spiritual State (feat. Uyama Hiroto)

[Nujabesプロフィール]
今なお世界中で愛されてやまない日本を代表するトラックメイカー、音楽プロデューサーである瀬葉淳(1974 - 2010)のアーティスト名。〈Hydeout Productions〉を主宰して数多くの心にしみる人気作品を発表するとともに、コムデギャルソンのパリ・コレクションの音楽や渡辺信一郎監督のアニメ『サムライチャンプルー』のサウンドトラックなども手がけていた。2018年に Spotify が発表した「海外で最も再生された国内アーティスト」3位。名作の誉れ高い代表アルバム『Modal Soul』のアナログ盤も2月26日にリリースされたばかり。(公式サイト:www.hydeout.net

Jaga Jazzist - ele-king

 こいつは電撃的なニュースだ。これまで〈Smalltown Supersound〉や〈Ninja Tune〉からリリースを重ねてきたジャズもロックも呑みこむノルウェーの野心的音楽集団=ジャガ・ジャジストが、なんと〈Brainfeeder〉に移籍! そして、じつに5年ぶりの新作を4月24日にリリースする!! トンスベリの異能とLAの異端との邂逅……これはバンドとレーベル、双方にとって転機になる出来事だろう。なお、きたるニュー・アルバムには冨田勲やフェラ・クティへのトリビュートも含まれているらしい。昨年のアムガラ・テンプルの来日公演も良かったし、今回はいったいどんな演奏を聞かせてくれるのか。アルバムめっちゃ楽しみや~。


ノルウェーを代表する異能音楽集団、ジャガ・ジャジストが
フライング・ロータス率いる〈Brainfeeder〉に電撃移籍!
冨田勲に敬意を表し、フェラ・クティに想いを馳せた
初のセルフプロデュース・アルバム『Pyramid』が4月24日にリリース決定!
新曲 “Spiral Era” 本日公開!

1994年に結成され、現代音楽からプログレッシヴ・ロック、ジャズ、エレクトロニカまで様々なスタイルを取り入れながら活動をしているノルウェーが誇る異能音楽集団、ジャガ・ジャジストが、2015年の前作『Starfire』以来となる最新アルバム『Pyramid』を、フライング・ロータス主宰レーベル〈Brainfeeder〉より4月24日(金)にリリース決定! 同時に新曲 “Spiral Era” を公開した。

Jaga Jazzist - Spiral Era
https://www.youtube.com/watch?v=HnLUe4MMraY


バンドの核であり、すべての作曲を手がけるラーシュ・ホーントヴェット率いるジャガ・ジャジストは、本作『Pyramid』で、また新しいコズミック・サウンドを手に入れた。電子音を駆使した80年代のジャズ・バンドや、ノルウェーにおけるシンセ・ミュージックの第一人者ストーレ・ストールロッケンから、現代のテーム・インパラ、トッド・テリエ、ジョン・ホプキンスといったアーティストに敬意を表している。アルバムは4曲の長尺トラックで構成されており、丁寧に練られた楽章に沿って進行し、鮮やかな色彩の糸を紡ぎ出している。

ジャガ・ジャジストにとって初めてのセルフプロデュース・アルバムとなる『Pyramid』。彼らの制作工程は、これまでの環境から大きく変化した。多くのアイデアを自由に出すことができた一方で、どのアイデアを採用するかを、自分たち自身で決断することが必要だった。ドラマーのマーティン・ホーントヴェットは「大変だったけれど、自分たちで作業するのが自然だと感じた。メンバーのうち5人はプロデューサーだし、生業としてレコードを作っているわけだから」と語る。その結果、今までにないほどメンバーの団結力を感じられる作品が誕生した。

彼らは『Pyramid』をコンセプト・アルバムとは形容しないが、各楽曲のタイトルをコンセプチュアルなスタート地点と位置付けており、聴き手は楽曲からどんな物語も描きだすことができる。“Tomita” は、日本人の作曲家でシンセ奏者の冨田勲に捧げられており、“The Shrine” は、フェラ・クティが活動拠点としたライヴ・ハウスに由来する。

このアルバムは、これ自体が一つの交響曲だと思っていて、それぞれのパートに余白を持たせ、自由に広がっていくようにしているんだ。 - Lars Horntveth

ジャガ・ジャジスト待望の最新作は4月24日(金)にリリース! 国内盤CDにはボーナストラックが収録され、解説が封入される。また、輸入盤LPはクリスタル・クリア・ヴァイナル仕様となっている。

label: BRAINFEEDER/BEAT RECORDS
artist: JAGA JAZZIST
title: Pyramid
release date: 2020/04/24 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-636 ¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

BEATINK: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10879
Apple Music: https://apple.co/380lgwr
iTunes Store: https://apple.co/2VooeIu

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