「Ord」と一致するもの

ショック・ドゥ・フューチャー - ele-king

 未来の衝撃。そう題されたこの映画の舞台は、40年以上前のパリだ。ある特定の世代の懐古趣味と捉えられかねない側面がないわけではない。けれどもこの『ショック・ドゥ・フューチャー 』は、2010年代が終わりを迎えようとしている「現在」──フランス本国での公開は2019年──だからこそ、大きな意味を持つ作品だと思う。

 ときは1978年。当時のシンセサイザーは巨大だった。ゆえに部屋ごと機材を借りている主人公の若手音楽家アナは、依頼されたCM曲がうまくつくれず悩んでいた。とうに〆切は過ぎ、自身の立場を危うくしたくない男性担当者が押しかけてくる。そんなせっぱ詰まったタイミングで機材が故障、泣きっ面に蜂の状況に陥るも、修理に訪れた技術屋がたまたま持っていたリズムマシンにアナは天啓を得る。その後CM曲を歌うことになっていた歌手クララが部屋を訪れ、意気投合したふたりはその場でセッションを開始、名曲誕生の予感に胸を躍らせる。今夜のパーティにはレコード会社の大物も顔を出すらしい──
 ストーリーはいたってシンプルだ。フランス古典主義の「三単一」よろしく、ひとつの場所で、一日のあいだに、ひとつの筋が進行していく。主題をぼかさないための工夫だろう(序盤のカフェや終盤のセーヌとおぼしき川など、一部舞台は変更されるものの)。
 さりげなく画面に映りこむテリー・ライリー『A Rainbow In Curved Air』やブライアン・イーノ『Before And After Science』(当時出たばかりのぴちぴちの新譜)、ジョルジオ・モロダー『From Here To Eternity』(1年前にリリース)などの輝かしきエレクトロニック・ミュージックの重要盤、シャンソンやロックと対比的に流されるスロッビング・グリッスル “United” やスーサイドの “Frankie Teardrop”、それとわかるように明確に映しだされる SYSTEM-700 や CR-78 といった機材──パンフレットで野田編集長が指摘しているように、それら細部を確認することもまたこの映画の楽しみ方のひとつではある。
 しかし、ではぼくのように遅れて生まれてしまった者、かかっている曲をパッと答えられないような後追い世代の人間は、この映画をどう享受したらいいのだろう?


 作中では、あからさまな偏見やいやがらせが何度も挿入される。ほのめかされていた主題は、エンディングにおいて明確になる。「電子音楽の創生と普及を担った女性先駆者たちに捧ぐ」との献辞につづいて掲げられる、12人の音楽家たちの名前。そこにはウェンディ・カルロスをはじめ、近年再評価されているローリー・シュピーゲルやスザンヌ・チアーニ、ポーリン・オリヴェロスやベアトリス・フェレイラらの名が並んでいる。直接エレクトロニック・ミュージックとは関係のないパティ・スミス『Horses』が映り込んだり、アナがジャニス・ジョプリンのTシャツを着ていたりすることにも、意味がこめられていたのだ。

 2010年代のエレクトロニック・ミュージックの動向のひとつに、女性音楽家たちの著しい擡頭があった。ローレル・ヘイローをはじめ、インガ・コープランドマリー・デイヴィッドソンホーリー・ハーンダンコリーンジュリアナ・バーウィックソフィーグライムスファティマ・アル・カディリジェイリンガゼル・トゥインジェニー・ヴァルケイトリン・アウレリア・スミスクラインラファウンダカテリーナ・バルビエリピュース・マリーニディアキシアフロドイチェアースイーターヤッタムーア・マザークララ・ルイスルクレシア・ダルトフェリシア・アトキンソンビアトリス・ディロン、サラ・ダヴァーチ、Cuushegalcid、ユウコ・アラキ、直近でいえば2021年の台風の目たるロレイン・ジェイムズヤナ・ラッシュ、以前から活動していたひとたちのさらなる躍進という意味ではコージー・ファニ・トゥッティPhew、パメラ・Zやエレン・フルマン、上述の献辞には登場しないがおなじく再評価されている例としてポーリン・アンナ・ストロームなどなど、枚挙にいとまがない。
 彼女たちの音楽が高く評価されたのは、彼女たちが女性だったからではない(もちろん、女性でなかったからでもない)。単純に、その音が尖鋭的だったり独創的だったり強度を持っていたりしたからだ。2010年代とは、エレクトロニック・ミュージックがつくり手のジェンダー(や人種や年齢)に左右されず正当にサウンドで評価されるジャンルだということに、多くの人びとが気づくようになった時代なのだ。

 映画には二重の苦難が描かれている。ひとつは、ポピュラー・ミュージックにおいて電子音楽が異端でキワモノ扱いされていた時代に、それをやるということ。もうひとつは……本作にはアナが、「歌手になれば?」とアドヴァイスされる場面が出てくる。いまそんな助言をするやつはいない。「女性=ヴォーカリスト」という固定観念が失効するまでに、40年近くかかったということだ(似たような偏見に「女は機械に弱い」というのもある)。「未来の衝撃」の意味を、ぼくはそう解釈した。
 過去へのリスペクトに満ちたこの映画はじつは、今日においてまたべつのかたちの偏見と闘っているひとたちへのエールなんだろうと思う。オバマが大統領に就任したとき、ローザ・パークスの「拒否」から50年以上が経過していた。いまの苦労や試行錯誤が報われるのは半世紀後かもしれない。でも、あなたがやっている尖鋭的な試みはけっして間違ってはいないと、『ショック・ドゥ・フューチャー』は、現在見向きもされず、トレンドから遠く離れたところで実験に明け暮れている、野心あふれるチャレンジャーたちに激励を送っているのだ。

予告編

ISSUGI & DJ SHOE - ele-king

 さまざまなタイプの楽曲を収録したミックス・アルバム『Both Banks』が話題の ISSUGI & DJ SHOE。同作収録曲の、DJミックスされていないヴァージョンを集めたEP「Both Banks EP」が、本日配信にてリリースされた。タイトル曲や MONJU 名義の曲、PUNPEE のリミックスなど、『Both Banks』のなかでもとくに要注目の曲たちがコンパイルされている。
 またこのタイミングで、新たなパフォーマンス映像も公開となった。仙人掌と Mr.PUG も登場するところは胸が熱くなります。合わせてチェックを。

[2022年1月6日追記]
 配信でリリースされていた上述「Both Banks EP」が、なんとアナログでも発売されます。2022年1月26日リリース、完全限定生産。ジャケも変わっています。
 また、 ISSUGI & DJ SHOE『Both Banks』と、MONJU『Proof Of Magnetic Field』、MASS-HOLE『ze belle』のトリプル(!)・リリース・パーティが1/22(土)福岡にて開催されます。詳しくは下記より。

ISSUGIとDJ SHOEによるミックスアルバム『Both Banks』からprod.Gwop Sullivanによるタイトル曲やMONJU名義の楽曲、PUNPEE"Pride" feat.ISSUGIの16FLIPリミックスなどの新録曲をコンパイルしたアナログ盤が完全限定プレスでリリース!

 DOGEAR RECORDSの中心的存在MONJUやSICK TEAMのメンバーであり、BES & ISSUGIを始めとする様々な名義でも楽曲をリリースし続ける東京のラッパー、ISSUGIと福岡~九州を拠点に活動し、ISSUGI作品にも度々参加してきたDJ SHOEとのジョイントで昨年リリースされたミックスアルバム『Both Banks』。同作に収録されているGwop SullivanやCRAM、EL moncherie(弗猫建物)のプロデュースによるISSUGIとしての新曲やMONJU名義の楽曲(MONJUの新作EP『Proof Of Magnetic Field』には未収録)、さらにはPUNPEE名義で2017年に発表された"Pride" feat. ISSUGI(Prod by Nottz)の16FLIP Remixの新録5曲をコンパイルしたアナログ盤『Both Banks EP』が完全限定プレスでリリース! アートワークをSPECDEE(SOUL NEWS PAPERZ)が担当し『Both Banks』とは違うデザインに仕上がっており、こちらもファン必携のプロダクトとなるはずだ。
 またISSUGI & DJ SHOE『Both Banks』とMONJU『Proof Of Magnetic Field』、MASS-HOLE『ze belle』のTRIPLE RELEASE PARTYが1/22(土)に福岡The Voodoo Loungeにて開催! 会場にてこのアナログ盤『Both Banks EP』を数量限定で先行販売する予定です。

[作品情報]
アーティスト: ISSUGI & DJ SHOE
タイトル:  Both Banks EP
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
発売日: 2022年1月26日(水)
仕様: EP(完全限定生産)
品番: P12-7177
定価: 3.300円(税抜 3.000円)

Stream/Download/Purchase:
https://p-vine.lnk.to/6grb2z

*ISSUGI & DJ SHOE / Both Banks
https://youtu.be/DLGHcDnuF-A

[トラックリスト]
Side A
1. Both Banks - ISSUGI & DJ SHOE
 Prod by GWOP SULLIVAN
2. Woowee ft Vany, MASS-HOLE - ISSUGI & DJ SHOE
 Prod by EL moncherie
3. D.OGs - ISSUGI & DJ SHOE
 Prod by CRAM
Side B
1. Pride (16flip Remix) ft ISSUGI – PUNPEE
 Remix by 16FLIP
2. In The City – MONJU
 Prod by 16FLIP

MONJU「Proof Of Magnetic Field」
ISSUGI & DJ SHOE「Both Banks」
MASS-HOLE「ze belle」
TRIPLE RELEASE PARTY in FUKUOKA

presented by DARAHA beats & G.E.R.U

2022.01.22 (SAT)
at The Voodoo Lounge
OPEN 21:00 CLOSE 5:00
ADV: 3,500yen (1D ORDER) *LIMITED
来場先着100名限定プレゼント: DJ GQ & DJ SHOE MIX CD

■RELEASE LIVE:
MONJU
ISSUGI & DJ SHOE
MASS-HOLE

■SPECIAL GUEST:
EL moncherie
DJ I.D.E
FREEZ
DJ GQ

■DJ:
GERMM
KAYO
DBK
YMG
QICKDUMP & KRZT

■LIVE:
LAF feat. PMF
REIDAM
EVIL ZUUM

[TICKET SHOP]
DARAHA beats 福岡市中央区今泉1-23-4 remix天神 406 / 092-287-5880
2DC BASE 筑紫野市二日市中央6-2-18 浪花通り2F 121-2F号室
ALCO/HOLIC 福岡市中央区大名1-15-15 092-751-4040
APPLE BUTTER STORE 福岡市中央区薬院2-4-13 / 092-791-8837
FAT POCKETS 福岡市中央区大名1-11-25 駒屋ビル 1F / 092-791-3949
FRESH&HAPPINESS 福岡市中央区今泉2-3-19 トキワビル501
LATITUDE 福岡市中央区赤坂1-10-16 ソピア赤坂ビル 5F / 092-406-4997
SEXTANS 福岡市中央区舞鶴1-3-11リフレ庵2F
SQUASH DAIMYO 福岡市中央区大名1-12-36 ニューアイランド大名 206 / 092-724-9552
SQUASH IMAIZUMI 福岡市中央区今泉1-2-8 ANDON 1E / 092-734-3037
Stockroom 福岡市中央区大名1-8-42-412 / 080-8359-3051
TICRO MARKET 福岡市中央区大名1-15-30 天神ミーズビル203 / 092-725-5424
& 出演者, 会場

*会場の感染症対策にご協力をお願い致します。

[the Voodoo Lounge]
福岡市中央区舞鶴1-8-38第19ラインビル4F
092-732-4662 // thevoodoolounge.fukuoka@gmail.com
https://voodoolounge.jp

 以下は、2021年9月1日時点での情報です。

ISSUGIとDJ SHOEによる最新ミックスアルバム『Both Banks』からMONJU名義の新曲やPUNPEE "Pride" feat. ISSUGIの16FLIPリミックスなどの新録曲のNo DJヴァージョンをコンパイルしたEPが本日より配信開始! また両者をフィーチャーしたニューコンテンツ「SKILLS」でのパフォーマンス映像も公開!

DOGEAR RECORDSの中心的存在MONJUやSICK TEAMのメンバーであり、BES & ISSUGIを始めとする様々な名義でも楽曲をリリースし続ける東京のラッパー、ISSUGIと福岡~九州を拠点に活動し、ISSUGI作品にも度々参加してきたDJ SHOEとのジョイントでリリースされた最新のミックスアルバム『Both Banks』。同作に収録されているGWOP SULLIVANやCRAM、EL moncherie(弗猫建物)のプロデュースによるISSUGIとしての新曲やMONJU名義の新曲、さらにはPUNPEE名義で2017年に発表された "Pride" feat. ISSUGI(Prod by Nottz)の16FLIP Remixといった新録5曲のNo DJヴァージョン(DJミックスされていないヴァージョン)をコンパイルしたデジタルEP『Both Banks EP』が本日より配信開始!

そのISSUGIとDJ SHOEをフィーチャーしたニューコンテンツ「SKILLS」でのパフォーマンス映像も公開! こちらは気鋭のビデオプロダクションユニット「Kook Film」が新たにスタートさせたコンテンツで、MONJUのメンバーである仙人掌とMr.PUGも登場し、同作に収録されているBoth Banks、In The City、Now o r Neverを披露しています。

また『Both Banks』のタイトル曲である "Both Banks" を始めとするISSUGI関連のミュージックビデオが本日よりApple Musicにて解禁になりました。こちらも合わせてチェックしてみてください。

"SKILLS" Vol.1 ISSUGI & DJ SHOE | Show Case
https://www.youtube.com/watch?v=g4MjqSVOQj0

[EP 作品情報]

アーティスト: ISSUGI & DJ SHOE
タイトル:  Both Banks EP
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
発売日: 2021年8月31日(火)
仕様: デジタル
Stream/Download/Purchase:
https://p-vine.lnk.to/6grb2z

[トラックリスト]
1. Both Banks - ISSUGI & DJ SHOE
 Prod by GWOP SULLIVAN
2. Woowee ft Vany, MASS-HOLE - ISSUGI & DJ SHOE
 Prod by EL moncherie
3. D.OGs - ISSUGI & DJ SHOE
 Prod by CRAM
4. Pride (16flip Remix) ft ISSUGI – PUNPEE
 Remix by 16FLIP
5. In The City – MONJU
 Prod by 16FLIP

[アルバム 作品情報]
アーティスト: ISSUGI & DJ SHOE
タイトル:  Both Banks
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
発売日: 2021年7月28日(水)
仕様: CD/デジタル
CD品番: PCD-94042
CD定価: 2.640円(税抜2.400円)
Stream/Download/Purchase:
https://p-vine.lnk.to/wYKZsER6

interview with Takuma Watanabe - ele-king

 1日のなかで音を奏でる時間はどんどん減っていると渡邊琢磨はいう。本文では割愛した一節だが、その前段で私たちは仕事における知識と経験の蓄積、それが導く予想と結果について話しており、1日でいかほどの時間を仕事に割くか話題にしていた。冒頭はそのとき渡邊琢磨の口をついたことばであり、以下の発言がそれにつづく。
 「昔のように四六時中楽器を弾いていることは少なくなりましたが、頭のなかで音楽をつくる行為はどんどん肥大化していてその占有率たるやものすごいものなんです」
 イギリスの新興レーベル〈Constructive〉がリリースする渡邊琢磨のソロ・アルバム『Last Afternoon(ラストアフタヌーン)』には上の発言を音で裏打ちする趣きがある。2014年の『Ansiktet(アンシクテット)』で生楽器を素材に字義どおりのコンポーズをやってのけた渡邊琢磨は映画音楽での実践と並行するかたちで、ストリングス・カルテット──ときに十人を越える規模に拡大することもある──で挑戦的な試みにのりだしていく。なかでも弦楽器の旋律の動きと関係という対位法の側面は中心的な課題となり、課題そのものを変奏するように音響や質感といった生理〜感覚との統合的な領野へ横滑りしはじめる。トランスフォームした弦の響き、電子音、椅子が軋むような、ものが落ちるような、小物がカタカタ鳴るような現実音や、ささやく人声──無数の音のイベントからなる『ラストアフタヌーン』はそのとりくみが実を結んだものだが、耳につくのは探究の深まりより生成変化する音のひろがりである。渡邊琢磨が日々の暮らしでもおそらく似たような出来事が起こっており、傍目にはたんにブラブラしているだけでも、内面には音があふれ、いまさまに閾値を超えそうになっていることもなくはない。終止形を迂回するかのような楽想は表題がしめすとおりで、もとより意図のうちだろうが、観念的であるばかりかこの想像的な音のあり方はあらゆる感覚を横切り、聴き手に多面的に作用する。新たな動きがはじまっているのはまちがいない。

結局、ヨハン・セバスチャン・バッハが何かしらの起点になっているのかもしれません。いまも音楽はいろいろ聴きますが、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』は分析しだしたら一生かかるんじゃないかと思うくらい、あの曲集には音楽の基礎的な部分と和声学の極地のような部分があると思います。

『ラストアフタヌーン』は〈SN Variations〉の姉妹レーベルにあたる〈Constructive〉からのリリースになります。

琢磨:はい。レーベルオーナーのエイドリアン・コーカーと僕のタイトルのみの新進レーベルです。

レーベルとしては2作目ですか。

琢磨:カタログ番号的にはエイドリアンがサントラを手掛けたドラマ『Tin Star (Liverpool)』が「00」番で、『ラストアフタヌーン』が「01」になります。

エイドリアン・コーカーと琢磨さんの出会いを教えてください。

琢磨:アルバムのミックスが佳境に入ったあたりで、クリス・ワトソンとジョージア・ロジャースという電子音楽家のスプリット版(Chris Watson Notes From The Forest Floor/Georgia Rodgers Line of Parts)LPを偶然買ったのですが、内容はもちろんのことパッケージングのコンセプトなどもおもしろかったので、ジャケットに記載されてあった〈SN Variations〉というレーベルのサイトをチェックしたところ、実験音楽やケージなどの現代音楽にサントラまでリリースしていて、カタログがすくない一方、独自のポリシーやアイディアがあっておもしろいなと。自分のアルバムに限らず、制作全般に関していろいろ提案できる余地もあるなと思って、マスタリング前のアルバムのデータをおくったのですが、すぐにおりかえしがあって話しがまとまりました。

絵に描いたような話ですね。

琢磨:当初エイドリアンとは、Skypeを通してリリースの話しなどを進めていたったのですが、そのながれでおたがいの国のことやパンデミックの状況のこと、好きな音楽や映画音楽の制作プロセスのちがいなどいろいろと話しをしたのですが、その際とてもポライトで話しが合う人だなという印象をもちました。エイドリアンがどう思ったかはわかりませんが(笑)。

琢磨さんはレーベルもやっているし自分でも出すこともできたのになぜそうしなかったの?

琢磨:こういう(パンデミックの)状況下で海外に行くことも難しいので、エイドリアンも僕も国外のことが気になっていたのかもしれません。それでお互い素性がよくわからないまま、Skypeで長々と議論するという……。

『ラストアフタヌーン』をつくろうと思い立ったのはいつごろできっかはなんだったんですか。

琢磨:14年頃から活動を継続してきた弦楽アンサンブルがありまして、そのアンサンブルでのライブやレコーディングがアルバム制作の契機になっています。アンサンブル結成の土台にあったのはパーソナルなことなのですが、対位法の独習をおしすすめたいという思いでした。

ユニゾン的な求心力ではなく、それぞれを自律的に動かしていくニュアンスを主体にして曲を書いた?

琢磨:縦の響きがきらいなわけではないのですが、それぞれの音の動きがまちまちである状態は好きですね。

仮に作家を縦と横の志向性でわけるなら、琢磨さんは後者だろうね。

琢磨:結局、ヨハン・セバスチャン・バッハが何かしらの起点になっているのかもしれません。いまも音楽はいろいろ聴きますが、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』は分析しだしたら一生かかるんじゃないかと思うくらい、あの曲集には音楽の基礎的な部分と和声学の極地のような部分があると思います。バッハのフーガのようなものは書けませんが、こういう音楽のナゾにとりくむことは作曲上の基点にもなります。

対位法の探究の先に『ラストアフタヌーン』はあると。

琢磨:対位法を独習していく過程でなにが起こったのかを言葉にするのはむずかしいのですが……各々の線の響きを譜面上で伸縮させたり緩慢にしたりする実験を重ねた結果、ポリフォニーが薄れていって、音色やテクスチャーに興味が推移していったような感じです。そこから、ひとまとまりの弦の響きがコンピュータによってジェネレートされたとき、どのような音が生成されるのかという、いわゆる「音響作曲」的なことに関心をもつようになりました。逆に対位法の独習の成果は、映像の動きやムードを、旋律や和声進行などでフォローする映画音楽の仕事にスライドしていきました。

いまおっしゃったジェネレートされた音というのはあらかじめ録音した弦の音を事後的に処理するということですか。

琢磨:本作に関しては先に弦の録音を行い、後日、その演奏内容をもとにコンピュータによるサウンドの生成を行いましたが、このプロセスはライブでも可能です。基本的には、オグジュアリー(AUX)に原音を送ってエフェクトをかけるようなことと一緒なので、弦の音自体を処理するというよりも、弦の演奏にコンピュータがどのような反応をするかが趣意になっています。ただ、そのプロセス自体はさほど重要ではなく、弦楽と電子音が合奏している音のイメージが元々あって、それを具体化する上で用いたアイディアのひとつに過ぎません。

生演奏とコンピュータと相互作用までふくめた作曲なんですね。

琢磨:テクノロジーと生演奏の諸関係という課題は、IRCAMやGRMなどの研究機関で昔から試みてきたことですし、真新しいものではありませんが、そういった構想をアカデミズムや様式にとらわれず、自分なりの方法で試行錯誤していきたいと思っています。

その場合ストリングスのスコアは事前に用意するんですよね。

琢磨:事前に用意します。ただ不確定な音が譜面上に混在していることが多々あって、たとえば、特定の小節内にリズムや音価が記されていない音があったり微分音があったり。そういうセクションの解釈は演奏者にゆだねています。演奏上の指標を部分的にオミットすることで、摩擦のある雑然とした演奏になるのですが、そういうセクションを設けることで、演奏するたびにちがった結果を得ることができますし、コンピュータの反応も変わるので、作曲上のねらいとも合致します。

ねらいというのは不確定性ということですか。

琢磨:エラーみたいなものですね。不確定な小節と厳密な記譜が混在していると、エラーが楽曲全体に侵食してくるという。ジャズでいうところの「ロスト」した状態のような、どこをやっているのかわからない状態ができてくるんですね。

あの瞬間はいいですよね。

琢磨:ええ(笑)、あのザワザワとした感じ、あれがほしいという(笑)。

意地悪だな(笑)。

琢磨:いえいえ(笑)。スコアから大きく逸脱することはありません。僕がジャズを演奏するとたいていロストして、どこを演奏しているかわからなくなってしまうのですが、そういうザワザワ感とは違います(笑)。

となるとスコアはアンサンブルへの宛て書きでもあったということになりますね。

琢磨:メンバーや編成も可変的なアンサンブルではありますが、演奏者同士が旧知の仲ですし、弦奏者各々の音のニュアンスも自分なりに把握していますので、作曲時にその音をイメージしていることもあります。あと、楽曲の初演会場などを念頭に置くこともありますね。

数年おきにくりかえしみる夢がありまして、住み慣れた家のなかに隠し扉を発見して、そこを開けてなかを覗くと壮大な図書館があるとかいう感じの内容なのですが、こういう日常と非日常の連続性というのは自分に限ったことではなく、今日的なテーマではないでしょうか? 

さきほどおっしゃったコンピュータ上のジェネレーターは演奏中に具体的にどのような動作をおこなっているんですか。

琢磨:Maxで組み立てたユーザーインターフェイスがあって、先述のとおり弦の音が送受信されるたびに作動して結果を生成するというだけのことですが、プログラミングと生演奏の作曲の決定的なちがいは、個人的にヴァイオリンという楽器の制作方法や工程は詳細にはわかりませんが、そのことが作曲上のデメリットになることはほとんどありません。しかじかの音色を出すにはどういう演奏をすればよいのかとか、どういう音域の楽器なのかとかそういった知識があれば、ある程度結果を予測することができます。しかしコンピュータ・プログラミングの場合、その制作方法を知る必要がある一方、結果が未知数なことが多いと個人的には思います。自分の技術上の問題も多々ありますが……。特定の動作を実行するプログラムを組むことはできても、それによって事前に想定していた音を得ることができるかは、また別の問題です。だからこういう手法でイメージ通りの結果を出すには、多少の時間と試行錯誤をくりかえす必要がありますし、弦楽の演奏内容によってインターフェースの反応も様々なので、デバイス自体を作り直すこともあります。なので、わりと出たとこ勝負の方法かもしれません。

たがいに干渉し合っているということですね。作品の中身では物音やフィールド録音の音も使用されていますよね。

琢磨:フィールド・レコーディングの音に関しては、ミックスの際、特定のレンジ(音域)に音を補足する上で、虫の声や外気の音が適宜に思えたので取り入れましたが、具体音以外でイメージしている音像やバランスをつくれるのであれば、シンセの音でもデジタルノイズでも構いません。なので、ミュージック・コンクレート的な着想というよりはミックスダウンをする上で必要な音素材ということですね。

微細に聴いているとほんとうにいろんなことが起こっている作品ですよね。

琢磨:とっちらかっていますよね……

とっちらかっているというよりは出来事があちこちで派生しているといいますか。聴くたびにいろんなイベントが方々で起こっていて、発見の多い作品だと思います。

琢磨:ありがとうございます。アルバムに収めた8曲は録った時期もまちまちで、あとから似た傾向や雰囲気の作品を8曲分あつめたので、コンセプトに一貫性があるわけでもないんです。弦楽アンサンブルでの公演やレコーディングのたびに初演曲を用意してきた結果、アルバム1枚分くらいの曲が揃った感じです。そういう機会があるごとに新曲をつくって発表していかないと、つくるだけつくって忘れてしまうことも多々あるので。なので、未収録曲も30曲以上あると思います。室内楽編成の曲やルネッサンス期の声楽曲を弦にアレンジして録音し、そのデータをアキラ・ラブレーが彼独自のソフトウェアでドローン化した作品もありますが、アルバムへの収録はみおくりました。

アキラさんは5曲目の“シエスタ”に参加していますね。アキラさんとは昨年の染谷将太監督の映画『まだここにいる』のサウンドトラックを再構成したEPでも共演されていますが、継続的にやりとりしているんですか。

琢磨:その“シエスタ”という曲は18年くらいには完成していました。アキラさんとはたまに連絡とっています。わりとフランクなやりとりが多いですね、「最近どう?」とか(笑)。

ただの友だちじゃないですか(笑)。

琢磨:そうですね(笑)。アキラさんはけっこうナゾなひとで、彼がどういうことに関心があるのかという片鱗にふれるだけでもおもしろい。かなり固有の時間のなかで音楽やソフトウェアをつくったり生活したりしている方なので、話しているとパラレルワールドにいる気分になります。

独自の時間がながれているんですね。

琢磨:ちょっとプルースト的といいますか。現在の話しなのか過去について語っているのかわからなくなることもあります。アキラさんは南テキサス出身で、ジャズ・トランペッターのビル・ディクソンに師事していたこともあります。

ビル・ディクソンでジャズの十月革命は想い出しても、プルーストと関係なさそうだもんね(笑)。

琢磨:でも彼のノスタルジーとリアルが交錯すような話しは、なにもかもがネット内時系列的であるような今日においてはとても貴重だと思いますし、実際タイムトラベラーなのかもしれませんよ(笑)。

彼はソフトウェアをつくっているんですよね。

琢磨:以前ele-kingでインタヴューしたのですが、C言語、C+も使っていてソフトウェアの開発も行ってます。既存のアプリケーションは使わずに、独自のソフトウェアを使って音楽制作をするアーティストです。おそらく米国のパーソナル・コンピュータの黎明期にインスパイアされた方だと思います。GRM所縁の個々のアーティストとは交流があるものの、あくまでインディペンデントなスタンスで活動しているのも興味深いです。

ほかに『ラストアフタヌーン』のゲストでいえば、ジョアン・ラバーバラさんがクジレットされていますね。

琢磨:僕が昔リリースした『Agatha』というアルバムがありまして。

2004年のアルバムですね。あの作品にもラバーバラさんは参加しています。

琢磨:今回のアルバムに入っているジョアンの曲は『Agatha』制作時に録音したアルバム未収録の音声データを使って作りました。パンデミックになって予定が全部飛んだので、家の掃除や資料の整理をしていたのですが、そのさい古いHDDを発見しまして、なかをみたら「Joan」と書いてあるフォルダに、アルバム未収録のジョアン・ラバーバラの音声データがまとめてあって、一通り聴いてみたらとても良かった。2002年の録音だったので、タイムカプセルを掘り起こしたような気分になりましたよ。それで、当時収録しなかったトラックデータは削除して、ジョアンの声だけを元に新曲をつくり直しました。

『Agatha』の録音は2002年だったんですね。

琢磨:前年にレコーディングする予定だったのですが、セプテンバー11で延期になりました。

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某アーティストによる『ラストアフタヌーン』のリミックスEPを近々リリースする予定で、8月下旬にはレーベルが詳細をアナウンスすると思います。いまは、イギリスの弦楽奏者にあてた新作にとりくんでいます。こちらはアルバムとは対極的な内容になると思います。

コンボ・ピアノの『Agatha』は〈イーストワークス〉のリリースなのでキップさんの参加はわかりますが、ラバーバラさんはどのようないきさつで参加されたんですか。

琢磨:ジョアン・ラバーバラを知ったのはたしか、モートン・フェルドマンのアルバム『Only』で、それでお声がけしたと思うのですが、どうやってコンタクトをとったのかその経緯を思い出せないですね。オフィシャルな窓口に連絡を入れたと思うのですが、当時はインターネットがいまのようではなかったので、FAXでやり取りしたのかもしれません。

『Agatha』にラバーバラさんはそれなりに参加していますよね。

琢磨:3~4曲ほど。リラックスして楽しかったおぼえがあります。その前後のキップ・ハンラハンのミュージシャン仲間との録音が慌ただしかったもので。

一服の清涼剤だったと。

琢磨:淡々と穏やかな録音ではありました(笑)。キップたちとはレコーディング後も飲みに行ったり、ライブハウスにジャムセッションに行ったり目紛しくも楽しかったです。

私としてはあの感じでまたやってほしいですけどね。

琢磨:去年の3月くらいに動けない感じになって大掃除をしていた際に、NYの録音時の写真なんかも出てきて感慨深かったです。パンデミックになった直後に彼らと久々に連絡をとりました。キップやブランドン・ロスにロビー・アミーンとか。お互いどうにかこうにか元気にやってますねと。

コロナ・パンデミックで過去の整理に割く時間ができたんですね。

琢磨:片づけをしつつ、アルバムのTD(トラックダウン)をする時間もできました。思索の時間をもうけて、発見がいろいろありました。

それはご自分の現在とりくまれていることや、これからやろうと考えていることについての思索ですか。

琢磨:そうですね。レーベル〈SN Variations〉との新しい出会いなどから、新たな可能性が生まれました。こういう状況下で、一方の扉は閉じてしまいましたが、また別の扉が開いたような感じです。

具体的にすすめていることを教えてください。

琢磨:某アーティストによる『ラストアフタヌーン』のリミックスEPを近々リリースする予定で、8月下旬にはレーベルが詳細をアナウンスすると思います。いまは、イギリスの弦楽奏者にあてた新作にとりくんでいます。こちらはアルバムとは対極的な内容になると思います。あとは、アルバムのリリース記念をかねてストリーミング・コンサートをやろうという提案がレーベルからきているのですが、イギリスのミュージシャンの演奏を収録して、後日その音を組み合わせて配信しようと思っています。

組み合わせるというのは具体的にどういうことをやるんですか。

琢磨:本来であれば欧州でプロモーションを展開したかったのですが、現状は難しいので、イギリスのミュージシャンにこちらから新作のパート譜をお送りして、後日その音データをこちらで編集で組み立てて、音楽映像作品にまとめるという計画です。なので、配信といってもリアルタイムではなく、収録した内容を映像も含めて編集して公開する予定です。

エイドリアンさんはレーベル運営者としてもいろいろ仕掛けていくタイプなんですか。

琢磨:エイドリアンは、テレビドラマや映画のサントラ制作も手がける音楽家ですが、興味関心が広範囲なので、よい意味でとらえどころがなく、彼が主催しているふたつのレーベルも、なにを主旨としているのかわかりにくいと思いますが、もう少しカタログが揃ってきたら、レーベルのイメージも明確化すると思います。先ごろ、エイドリアン自身の『9 Spaces』というアルバムがデジタルのみでリリースされまして、このアルバムに山本達久くんと参加したのですが、エイドリアンから僕らへのオファーというのが、クリス・ワトソンが集音したフィールド・レコーディングを土台に音をつくるというもので、なかなか抽象的かつ有意義なやりとりでした。それから9月には、〈GRM〉や〈Modern Love〉から次々と興味深い作品をリリースしているイギリスのチェリストで音楽家、ルーシー・レイルトンと、ECM専属アーティストでもあるパイプオルガン奏者キット・ダウンズのデュオ・アルバム『Subaerial』がリリースされます。いま上げたイギリスのミュージシャンたちは、エイドリアンの映画音楽の仕事などにも携わっていて、彼は大規模オーケストラと身近な音楽仲間を編成上組み合わせて、付随音楽などの仕事も行なっています。

日本の現場ではなかなかそこまでは望めなさそうですね。

琢磨:時間もタイトですからね。ただ、イギリスではサントラの仕事はパートごとに分業することもあると思いますので、そういう制作過程の違いも関係しているかもしれません。イギリスもアメリカと同じく作曲と編曲は分業ではないかと思います。個人的には、編曲も作曲のうちだと思っているので、そのことについては少々懐疑的ですが、海外の映画音楽にはオーケストレーターという部門がありまして、作曲家が書いた曲をオーケストラに編曲することが主な仕事なのですが、楽曲の音色設計などはオーケストレーターが担っている部分が多々あると思いますし、作曲家の作業量は軽減するでしょうね。もちろん組合システムであるとか、製作ラインの構造的なちがいもあると思いますが、スタッフ各々が相互にコンプリメントしながら映画作品のクォリティを上げていくというのは、一考の余地はあると思います。

仕事を分け合いつつ質を高めると。

琢磨:そうですね。個人的には、音効や整音部の方々と連携が取れると、音楽もより実験的な試みが可能になると思います。

いまなにか映画音楽でとりかかっているものはありますか。

琢磨:詳細はまだお伝えできませんが、来月から作業に入る新作映画の準備を進めています。あと音楽を手がけた、横浜聡子監督の『いとみち』が先日公開になりました。パンデミックになった直後の仕事でしたので、いろいろ試行錯誤がありました。

具体的には?

琢磨:最近は状況次第で慣習化してきましたが、横浜監督との音楽打合せもzoomでしたし、もろもろの都合で整音の立会いもできなかったので、整音に先立って完成した音楽を全シーンに当て込んだオフライン・データを作ってお送りし、相対的なバランスのレファレンスにしてもらいました。あとは演奏者とスタジオで作業することが難しかったので、単独で録音していただいた弦の音を編集でひとつのアンサンブルにまとめたり、弦の代わりにムーグのパッドを入れたり。ただ『いとみち』は、主演の駒井蓮さんと、祖母役の西川洋子さんが演奏する三味線が映画のキーになっていますので、こちらで担当する音楽は、映画の雰囲気や演出を補足するくらいでちょうど良いと思っていました。

状況に対応していますね。

琢磨:データのやり取りなどはパンデミック以前から行っていたことなので、さほどのことではありませんが、とにかく状況の変化が激しいので、今後も周囲とコミュニケーションを取りつつ柔軟に試行していこうと思います。

琢磨:話変わりますが、今回自分でミュージック・ヴィデオをアニメでつくったんですよ。

あれおもしろかったですね。でもあれってなんなんですか。

琢磨:イタリアの音楽雑誌のアルバム・レヴューでは「ミュージック・ヴィデオは完成度が低い」と書かれましたが、実際そうなので反論はしませんよ(笑)。これもパンデミック以降予定が飛んだので、3DCGの研究をはじめたことがきっかけとなっています。あの感じのアニメが7作品くらいありまして、今年の10月には大分県の湯布院にある美術館で、そのアニメーション・フィルムの展示を行う予定です。

どうやってつくっているんですか。

琢磨:制作にはゲームエンジンなどを使ってます。適切な使用方法かどうかいまだにわかっていませんが....

琢磨さんは自分なりのやり方をみつけるの得意だよね。

琢磨:それ以外のやり方ができないともいえますが(笑)。最初は『ECTO』の次に撮ろうと思っていた映画の絵コンテというかVコン的なものを、3DCGで作ろうと思っていたのですが、人気の無い風景を作ったりするうちに面白くなってきて、アニメーション単体で作品化する予定です。しかし、3DCGの書き出しにはなかなか時間がかかるもので、20分くらいの尺になると半日以上要するので、なかなか作業が捗りませんね。

たいへんですね。

琢磨:爆速のコンピュータを使えば作業時間を短縮できるのかもですが、その緩慢さが自分のアニメーションの特色になっているような気もしてまして。実際、半日くらいかけてレンダリングが終わっていざ動かしてみると、まったく予想していなかった破壊的な動きをキャラクターがすることもあるのですが、やり直すのも面倒ですし、そのまま完成ということにしています。出来上がったアニメを眺めていると虚無感に駆られることもありますが、釈然としない時間を経てみないと、電撃的なことは起こりませんからね……。

何作か拝見しましたが、琢磨さんの脳内の対位法がみえるようで興味深かったです(笑)。

琢磨:昔からみている夢とか、こんな場所があったらおもしろいなとか、そういうイメージを具体化しているだけですけどね。

『ECTO』にも幾分かそういうところはあったと思うんですね。動きや空間の認識において、無意識下にあるものを映像化したいと考えていた節があったと思うんですね。

琢磨:数年おきにくりかえしみる夢がありまして、住みなれた家のなかで隠し扉を発見して、そこを開けてみると壮大な図書館があるとかいう感じの内容なのですが、こういう日常と非日常の連続性というのは自分に限ったことではなく、今日的なテーマではないでしょうか?詳細に考えたことはありませんが、何がしかのフォーマットでそのイメージを具体化していきたいです。『ECTO』の植物園が冥界に通じているのも、もしかするとその主題の変奏かもしれません。なので、いまつくっているアニメと『ECTO』はコンセプト的には通底しているかもしれません。こういってしまうと『ECTO』に出演いただいた、佐津川さんと染谷くん川瀬さんにはもうしわけないですけど。

とはいえ彼らが作中でもとめられていた演技は今回のアニメとかさなる部分がありますよね。

琢磨:そうかもしれません。表情も分からないようなルーズショットが多かったので。いまは第7話をつくっているところです。『トワイライト・ゾーン』のように、オムニバスでつながっていく感じで、7話目もまた幽霊性がテーマです。キャンプ場で焚き火をしている男に幽霊が取り憑く話です。弦楽器の弱音と雨音が、薄っぺらな世界に臨場感を与えていると思います。

そういえば『ラストアフタヌーン』でも擦過音というか、微弱な音を効果的にもちいている場面は多々ありました。

琢磨:弦楽器の弓の圧を最低限にとどめてかつゆっくり弾くと、サーッという擦れるエア音のようになるのですが、そのエア音が実音に変わるか変わらないかのギリギリの狭間の音はいいですね。レコードをかけたときに聴こえてくるクラックルノイズ(パチパチ音)のような感じで。

電子音のグリッジ、接触不良音、エラー音と弦楽器のサワリのような音は作品に欠かせないものですか。

琢磨:しかしクラックル音やグリッチなどの音は少々食傷気味ですね。ああいう粒子系の音は、最近のエクスペリメンタル・ミュージックのある種の傾向かもしれません。最近は、Pヴァインから再発されたライトニン・ホプキンスの『ライトニン・アンド・ザ・ブルース』と、マイケル・スモールの『The Parallax View』のサントラを聴いていました。ちなみに『Parallax View』のLP盤スリーブには、ジム(・オルーク)さんのコメントがついてますよ。話しが逸れましたが、そういう粒子系の音というのはテクスチャー生成に寄与しますし、ある意味では機能的な音です。そういう音楽的傾向や方法論とは無関係に、自分がイメージする音をどのように具体化するかを考えたいですね。粒子系の音はグラニュラーシンセで簡単につくれますが、手からこぼれ落ちる砂の音をマイクで録った方が、作品により適当な音になるかもしれません。本作に関して言えば、生楽器と電子音による不可分な合奏を考える過程で、そういった音の使用に着想したのではないかと。ただそれは、弦奏者の方々の解釈や多面的なアプローチによるところも大きいです。

顔ぶれを拝見するとうなずけます。

琢磨:特殊奏法や演奏記号も音楽史上のコンテクストから派生していますし、聴いてきた音楽や演奏者によって解釈に違いがでると思います。

そこまで含めた微細な表現が『ラストアフタヌーン』の聴きどころだと思います。

琢磨:今回はLPも出しましたが、ジム(・オルーク)さんに、マスタリングを手がけていただきました。

サウンドはたしかにジムさんのマスタリングの感じがありましたね。

琢磨:弦や曲のダイナミクスを保つのにマスターリミッターを最小限にしていたり、透徹したマスタリングにいまさらながらうなりましたよ。

最初のほうでももうしあげましたが、くりかえし聴けるアルバムだと思います。近年の活動が凝縮した作品とも思いましたが、『ラストアフタヌーン』は純粋な自作アルバムとしては2014年の『アンシクテット』以来なんですよね。

琢磨:そうですね。

サントラも何作かありますが。というより『アンシクテット』自体が琢磨さんの映画音楽制作の起点でもありましたよね。

琢磨:映画音楽のようなアルバムをつくるきっかけになったのも、映画音楽の仕事をはじめてからですし、映画音楽に携わるようになったのも、友人の自主制作映画が発端だったので、自発性はあまりないですね......。身近に起きる出来事を、自分なりにとらえていければと思います。

渡邊琢磨映像作品展『ラストアフターヌーン』

会 期 2021年10月23日(土)〜 10月31日(日)
時 間 10:00 〜 17:00
会 場 由布院アルテジオ(https://www.artegio.com/
住所/大分県由布市湯布院町川上1272-175
入場料 1,500円(企画展1,200円+常設展300円)
問合せ oitaartcollective@gmail.com

オープニングイベント
10月23日(土)同会場
開場/開演:14:30/15:00
出演:千葉広樹、渡邊琢磨
料金:2,500円

渡邊琢磨(音楽家)
宮城県仙台市出身。高校卒業後、米バークリー音楽大学へ留学。帰国後、国内外のアーティストと多岐に渡り活動。07年、デヴィッド・シルヴィアンのワールドツアー、28公演にバンドメンバーとして参加。自身の活動と並行して映画音楽を手がける。近年では、冨永昌敬監督『ローリング』(15)、吉田大八監督『美しい星』(17)、染谷将太監督『ブランク』(18)、ヤングポール監督『ゴーストマスター』(19)、岨手由貴子監督『あのこは貴族』(21)、横浜聡子監督『いとみち』(21)、堀江貴大監督『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(21年9月公開予定)、ほか。https://www.takumawatanabe.com/

8月の終わりのサウンドパトロール - ele-king

 齋藤飛鳥と山下美月の会話をぼんやり聞いていたら、そういえば、ここ数年、誰かが自分を見ているときに「(自分が)見られている」とは言わずに「(相手が)見てくる、見てくる」という言い方をするなーと。行動の主体が相手にあることは同じなのだけれど、「見られている」という言い方をすると自意識も一緒に発動してしまうので、相手の行為を自分がどう受け止めているかはわからなくするために「見てくる」という言い方になっているのかなーと。自意識を隠すということは「自分がどう見られているかは気にしていない人に見られたい」という自意識が複雑に折りたたまれているということだから、結局は「見てくる、見てくる」と嬉しそうに騒ぐ時点で、「(自分は)観られてる~」と喜んでいるのと同じだと思うんだけど、それでもやはり相手が見ているのは相手の問題意識のなかで完結していることだとアピールしておかないと自意識を発動させざるを得なくなってしまい、そのような事態はどうしても避けたいということなんでしょう。マウントを取りたがる人が嫌がられることの裏返しかなとも思いますが、孤独に音楽を聴いている人には関係ない話でしたね。


01 | Bendik Giske - Cruising (Laurel Halo Remixes) Smalltown Supersound Norway

この春、バッテクノことパヴェル・ミリヤコフと不気味なジョイント・アルバムをリリースしたばかりのベンディク・ギスケ(いま流行りの遠心顔)が8月27日にリリース予定のセカンド・アルバム『Cracks』から “Cruising” を先行カット。両サイドと共にローレル・ヘイローのリミックスをフィーチャーし、これが『Pavel Milyakov & Bendik Giske』の、とくに “Untitled 4” を複雑にしたような素晴らしいダブ・テクノに。クラフトワークをスクリュードさせたようなビート・ダウンにプロセッシングされた管楽器が幻のように咲き乱れる。たったの6分で終わりかと思っていると、Bサイドでは左右でエフェクトの種類が分けられた、さらに桃源郷のようなビートレス・ヴァージョンが長尺で控えている。サイケデリック・サマーはこれで決まり。


02 | Quixosis - Micropótamo Eck Echo Records

エクアドルのベース・ミュージックからダニエル・ロフレード・ロータによるデビュー・アルバム『Rocafuerte』の2曲目。オープニングからハープなどの幻想的なメロディが重層的に響き渡り、一気に未知なるトロピカルへと連れ去られる。ハットやタムがしっかりとしたビートを刻んでいるものの、リズムはなぜか途切れがちで、それが妙に良かったり。タイトルは「小川」の意。アンディ・ウェザオールのリミックスを聴いてみたかった感じでしょうか。アルバム・タイトルのロカフェルテというのはエクアドルの都市キトの中心部にある通りの名だそうで、ラテン・アメリカとヨーロッパの音楽を古いも新しいもごった煮にした音楽性と関連づけたものらしい(キトは玉井雪雄『オメガトライブ』でイブ・L・ホークスが幼児期に虐待されていた街というイメージしかないんだけど……)


03 | Faye Webster - I Know I'm Funny Haha Secretly Canadian

2年前に『Atlanta Millionaires Club』(メッシー・テイストのジャケはかなり苦手)で頭角を現したシンガーソング・ライターによる4作目『I Know I'm Funny Haha(=私がヘンなのは知っているわよ草)』のタイトル曲。全体に前作とは異なったサウンド・メイキングで、カーペンターズみたいだったりもしつつ、いくつかの曲でコード進行などがけっこうフィッシュマンズを思わせる。佐藤伸治が生きていたら “A Dream With A Baseball Player” とかつくりそうじゃないですか。あー、ダラダラする。実に夏向き。10曲目の “Overslept(寝坊)” には〈カクバリズム〉からメイ・エハラが参加。今年、フィッシュマンズTを売り出したジャーナル・スタンダードが早くからコラボ・アイエムを手掛けていたり。


04 | Ground - Ozunu Chill Mountain

セカンド・アルバム『Ozunu』からタイトル曲。一時期のデリック・カーターを思わせるファニーなアシッド・ハウス。アルバム前半の8曲は荒廃したレイヴからクラウドをクラブへ呼び戻したイギリス産のアシッド・ハウス・リヴァイヴァル(=アンダーワールドの原液)を現代に着地させたような曲が並び、“追湯” 以降の4曲はその限りではない広がりを感じさせる。前作『Sunizm』(https://www.ele-king.net/review/album/006580/)と比較して明らかにスキルが上昇しまくりで、軽妙洒脱な展開にどんどん引き込まれる。聴けば聴くほど……的な良さが全開。南大阪の言い伝えや伝承にインスパイされたアルバムらしいけれど、それは一体どんな内容なのだろう。役小角とは何か関係があるのだろうか。


05 | Advanced Audio Research - Klɪŋ(ɡ)ɒn Not On Label

ミラノのブレイクコア、ジョルジオ・ディ・サルヴォによるニューEP「High Resolution Music」から2曲目。アシッドでドロドロに溶けてしまった陽気なダブ・テクノ。昨年のセカンド・アルバム『Top Secret』もブレイクコアからはかなり逸脱していたけれど、もはやその残響すら散見できず、後半でビートを刻んでいることさえ奇跡に思えてくる。“Ghost In The Shelter” とかタイトルもすでに溶け始め、バカなものの向こうにホーリーなものが立ち上がってくる境地はなんとも赤塚不二夫っぽい。


06 | Haile - Stay High With You Not On Label

オレゴンのインディー・フォークからセカンド・アルバム『The Bedroom Album』の5曲目。インスタグラムには雪景色の投稿が多く、ダークで閉鎖的な曲調がそれにぴったりマッチしているなか、これはさらにじっくりと陰キャを満喫したアシッド・フォーク。完全にトリップしていて、どうやって録音しているのかナゾだけど、プロセッシングは一切おこなっていないというのが信じられないほどエフェクティヴなオーガニック・サウンドに仕上がっている。グルーパー “Soul eraser” が極悪ノイズに思えてくる柔らかさ(それは言い過ぎ)。


07 | Mori-Ra - Lyon Forest Jams

大阪からマサキ・モリタによるリエディットもののデビュー・アルバム『Japanese Breeze』から12曲目(タイトル通りアルバム全体はシティ・ポップをダンス化したニューディスコがメイン)。Dサイドの3曲は少しコンテンポラリーな感触が強いなか、エンディングにあたる “Lyon” は爽快なトロピカル・ムードがなんとも感動的。ツルンとしてシャキッとしながらメロウにまみれた質感がなかなかです。サンプリング元はすべて日本のもののようで……(なので資料ナシ)。


08 | Fausto Mercier - Overcorp Infinite Machine

ハンガリーのオウテカによるニューEP「I’m Too Sentient」から1曲目。昨年、リリースしたフル・アルバム『FULLSCREEN』とはまったく別次元の内容に驚きつつ、オウテカやエイフェックス・ツインがかつて発揮していた幼児性を存分に楽しませてくれる。ドリルンベースというよりマーチのリズムをとにかく細かく刻んだというか(フィボナッチ数列を応用したとか)。なんでこういうのって飽きないんだろう。メキシコのレーベルから。


extra | 山口百恵 - 夜へ… Sony

なんか、この夏はサイプレス・ヒルと山口百恵ばかり聴いてしまう。山口百恵が77年にレゲエをやっていたり、矢沢に負けじとバリー・ホワイトを取り入れてたのねといったことを再発見しつつバック・カタログをすべて聴いていて、ジャズ・ベースが印象的な “夜へ” が頭から離れなくなってしまった。当時は “夢の恋人” のような甘酸っぱいポップスの方が好みだったのに、いつのまにか趣味は変わっているもんだなと。

メシアTHEフライ - ele-king

 2006年、I-DeA や MSC 作品などへの客演を経て初のEP「湾岸 SEAWEED」を〈Libra〉から発表、2009年にファースト・アルバム『BLACK BOX』をリリースしたヒップホップ・ユニット、JUSWANNA(ちなみに「湾岸 SEAWEED」には、ISSUGI が 16FLIP として最初に世に発表したトラックが2曲含まれている)。
 その JUSWANNA のMCのひとり、メッセージ性の強いリリックで知られるメシアTHEフライが JUSWANNA 活動休止後にリリースしたソロ・アルバム『MESS - KING OF DOPE-』が、10年以上のときを経てついにアナログ化される。嬉しいことに、CDも同時にリイシューされるとのこと。LPのほうは完全限定生産なので、早めに予約しておこう。

JUSWANNAのブッ飛んだ救世主ことMESS a.k.a. メシアTHEフライが2010年にリリースした傑作ファースト・ソロ『MESS -KING OF DOPE-』が帯付き2枚組/完全限定プレスで待望のアナログ化! 同時に入手困難だったCDもリイシュー!

メッセージ性の強いパンチラインを最大の武器に独自のスタンスで常に斜め45度から世間を騒がす反逆者であり、MEGA-G、DJ MUTAとのユニット、JUSWANNAのブッ飛んだ救世主ことMESS a.k.a. メシアTHEフライ。そのJUSWANNAとして2006年に1st EP『湾岸 SEAWEED』、09年に1st Album『BLACK BOX』をリリースした後の10年5月にグループとしての活動を休止し、同年12月にファースト・ソロ『MESS -KING OF DOPE-』をリリース。サグライフでも、ハスリングライフでもない、実は一番ぶっ飛んだ「日常」の疑問をもう一度エグり返して出てきた問題作であり、メシアTHEフライが現実を色濃く模写した全13曲を収録した傑作中の傑作としてリリースから10年以上の時を経てもまったく色褪せることのないその『MESS -KING OF DOPE-』が帯付き2枚組/完全限定プレスで待望のアナログ化! 同時に入手困難だったCDもリイシュー!

[LP情報]
アーティスト: メシアTHEフライ
タイトル: MESS -KING OF DOPE-
レーベル: Libra Records / P-VINE, Inc.
発売日: 2021年12月2日(木)
仕様: 帯付き2枚組LP(完全限定生産)
品番: LIBPLP-001/2
定価: 4.950円(税抜4.500円)

[CD情報]
アーティスト: メシアTHEフライ
タイトル: MESS -KING OF DOPE-
レーベル: Libra Records / P-VINE, Inc.
発売日: 2021年9月15日(水)
仕様: CD
品番: LIBPCD-013
定価: 2.640円(税抜2.400円)

[LP:トラックリスト]
SIDE A
1. Intro
 Produced by DADDY VEDA a.k.a REBEL BEATZ
2. MESS
 Produced by DADDY VEDA a.k.a REBEL BEATZ
3. 東京 Discovery 3 feat. PRIMAL (MSC)
 Produced by HardTackle_66
SIDE B
1. 鉞-マサカリ-
 Produced by KAMIKAZE ATTACK
2. ビルヂング
 Produced by T.TANAKA
3. MONKEY BUSINESS feat. TAKUTO (JPC band)
 Produced by T.TANAKA
SIDE C
1. マンダラ
 Produced by I-DeA
2. POPS feat. 仙人掌 (MONJU)
 Produced by 16FLIP
3. 東口のロータリー
 Produced by DJ OLD FASHION
SIDE D
1. Skit
 Produced by KAMIKAZE ATTACK
2. No More Comics feat. BES (SWANKY SWIPE)
 Produced by DADDY VEDA a.k.a REBEL BEATZ
3. Wonderful World
 Produced by The Anticipation Illicit Tsuboi
4. Outro
 Produced by MUTA (JUSWANNA)

 ぼくは間違っていた。先日リリースされた『ラプソディー ネイキッド・デラックスエディション』の紹介文のことだ。なんかあれは、とくに高額商品ということもあって、ある程度年のいった連中にしかわからないんじゃないかという先入観を持って書いてしまった。なんて弱気な……。というのも、じつはあの文章を書いた直後に清志郎に夢中な12歳の少年の存在を知ってしまったのだ。親がファンというわけではない。どうやら彼が自分で清志郎の音楽を見つけて、バンドを組んで歌っているという。最近ではヘルメットを欲しがるほどにタイマーズにはまっていると聞いた。
 オリンピック以降、いや、それ以前からか、無理もないと言えばそうなのだけれど、世の中の空気はどんどん悪くなっている。誰かが何かを言えば誰かがむかつき、言葉の揚げ足をとっては炎上、それを各ネットメディアが同じように報じたり、そしてトーマス・バッハはいけしゃあしゃあとしていると……なんとも暗々たるこのご時世だが、清志郎の曲が12歳の少年に届いているという話は、嬉しいニュースじゃないですか。
 そりゃあ、さすがのぼくも清志郎の曲のすべてが現代に通用すると思っているわけではない。悪い意味での前時代的なノリもある。だが、いまだRCサクセションや清志郎の多くの曲は過去のモノにはなっていない、そう確信している。いまだパワフルに思える曲があるのは、もうどうしようもない事実なのだ。
 最近ユニバーサルが流したニュースによると、忌野清志郎50周年企画第5弾は、後期におけるソロの名作の1枚、『KING』だという。RCサクセション解散後、リトル・スクリーミング・レヴューやラフィー・タフィー、ラヴ・ジェッツなど複数のプロジェクトで活動していた清志郎が、三宅伸治らとがっつりバンドを組んで制作した2003年の作品で、この後続く『God』~『夢助』という晩年の傑作3部作の第一発目として知られている。この3枚は原点回帰的なロックンロールとソウルのアルバムで、いい曲がたくさんある。『KING』に関して言えば、個人的には女にふられた曲“胸が張り裂けそう”がベストだけれど、一般的にはソウル・ナンバーの“Baby 何もかも”や日本を風刺する“奇妙な世界”、十八番のソウル・バラード“雑踏”やなんだろうか。“ウィルス”なんかまるで最近できた曲みたいだな。なにしろ歌の出だしは「重い重い副作用が、体中に残っている」なんだからね。で、今回は当時録音されていた未発表が4曲も収録される。なんでも事情通によれば、どん底から立ち上がるあの名曲“Jump”にも似た秘蔵の曲があるらしい。一刻も早く聴きたいんだけれど、発売は11月24日だった。とりあえずその日までがんばろう。
 清志郎の長いキャリアのなかでもっとも売れなかったであろう1998年のアルバム『Rainbow Cafe』は、“世の中が悪くなっていく”という曲からはじまっている。2000年代以降の清志郎の諸作には、80年代には表現されていなかった世の中を覆う暗い空気や暗い予感がなにかしら通奏されている。悪い時代を生きているという自覚のもと、しかしではそこでどんな歌が歌えるのかと、もがき悪戦苦闘しているかのようだ。『KING』もそうだが、『God』と『夢助』のようなアルバムが再評価されるときがついに来てしまったのだろう。(野田)

忌野清志郎
KING Deluxe Edition

発売日:2021年11月24日
(オリジナル:2003 年11月19日発売)

【通常盤】
2CD+1DVD UPCY-7741 価格:3,636 円+税
Disc1(CD):KING 2021 Remaster + 4(未発表曲 Recorded at ロックン・ロール研究所)
Disc2(CD):忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS LIVE in NHK「ONE NIGHT LIVE STAND」2003/10/26 at NHK 112st
Disc3(DVD):「WANTED」 LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003/8/17 ライヴ映像ダイジェスト
*仕様:紙ジャケ 3CD in 三方背 BOX

【限定盤】
3CD+1DVD+2LP UPCY-9993 価格:16,000円+税
(仕様:ゲイトフォールド 2LP ジャケット+3CD+付属 in LP BOX)

Disc1(CD):KING 2021 Remaster + 4(未発表曲 Recorded at ロックン・ロール研究所)
Disc2(CD):忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS 「WANTED」
LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003/8/17 <前半> Disc3(CD):忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS 「WANTED」 LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003/8/17 <後半>
Disc4,5(LP):KING 2021 Remaster + 4(未発表曲 at ロックン・ロール研究所)
Disc6(DVD):「WANTED」 LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003年8月17日 ライヴ映像ダイジェスト
〈付属〉
・佐内正史写真集「ANGEL」
人間「忌野清志郎」を捉えた未発表写真満載の全44P 豪華写真集
・「WANTED」 LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003年8月17日を捉えた写真プリント (写真:西村彩子)

■収録曲

【通常盤】
Disc1(CD)
KING 2021 remaster + 4(未発表曲 Recorded at ロックン・ロール研究所)
01 Baby 何もかも
02 WANTED
03 玩具(オモチャ)04, HB・2B・2H
05 雑踏
06 虹と共に消えた恋
07 ウイルス
08 モグラマン
09 奇妙な世界
10 胸が張り裂けそう
11 約束
〈未発表曲 at ロックン・ロール研究所〉
12 ジグソーパズル
13 ギブミーラブ
14 真冬のサイクリング
15 花はどこへ行った

Disc2(CD)
NHK「ONE NIGHT LIVE STAND」2003年10月26日 at NHK 112st
01 WANTED
02 玩具(オモチャ)03, HB・2B・2H
04 ウイルス
05 雑踏
06 スローバラード
07 上を向いて歩こう
Guitar:三宅伸治/Bass:中村きたろう/Drums:宮川 剛/Key:厚見玲衣 Alto Sax:梅津和時/Tenor Sax:片山広明/Trumpet:渡辺隆雄

Disc3 (DVD)
「WANTED」 LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003/8/17 ライヴ映像ダイジェスト


【限定盤】
Disc1
(CD)KING 2021 remaster + 4(未発表曲 Recorded at ロックン・ロール研究所)
01 Baby 何もかも
02 WANTED
03 玩具(オモチャ)
04 HB・2B・2H
05 雑踏
06, 虹と共に消えた恋
07 ウイルス
08 モグラマン
09 奇妙な世界
10 胸が張り裂けそう
11 約束
〈未発表曲 at ロックン・ロール研究所〉
12 ジグソーパズル
13 ギブミーラブ
14 真冬のサイクリング 15, 花はどこへ行った

Disc2
(CD)
「WANTED」LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003 年8月17 日 〈前編〉
01 WANTED
02 玩具(オモチャ)
03 サン・トワ・マ・ミー
04 トランジスタ・ラジオ
05 虹と共に消えた恋
06 MC
07 HB・2B・2H
08 奇妙な世界
09 MC
08 キモち E
09 ブ熱い LOVE SONG(愛しあってるかい?)
10 Baby 何もかも
11 ドカドカうるさい R&R バンド
12 約束
10 花はどこへ行った
11 君が代
12 誰も知らない
13 LONG TIME AGO
14 愛する君へ
15 スローバラード

Disc3
(CD)
「WANTED」LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003年8月17日 〈後編〉

01 ひどい雨
02 雑踏
03 世界中の人に自慢したいよ
04 月がかっこいい
05 胸が張り裂けそう
06 上を向いて歩こう
07 キモち E
08 Baby 何もかも
09 自転車ショー歌
10, MC
11 ウイルス
12 雨あがりの夜空に
13 約束

Guitar:三宅伸治/Bass:中村きたろう/Drums:宮川 剛/Key:池田貴史 Alto Sax:梅津和時/Tenor Sax:片山広明/Trumpet:渡辺隆雄

Disc4
(LP)
KING 2021 Remaster
A面
01 Baby 何もかも
02 WANTED
03 玩具(オモチャ)
04 HB・2B・2H
B面
01 雑踏
02 虹と共に消えた恋
03 ウイルス
04 モグラマン

Disc5
(LP)
KING 2021 Remaster + 4(未発表曲 at ロックン・ロール研究所)
C 面
01 奇妙な世界
02 胸が張り裂けそう
03 約束
D 面<未発表曲 Recorded at ロックン・ロール研究所
01, ジグソーパズル
02, ギブミーラブ
03, 真冬のサイクリング
04, 花はどこへ行った
2003/8/17 ライヴ映像ダイジェスト 

Disc6
(DVD)
「WANTED」LIVE at 日比谷野外大音楽堂 2003年8月17日 ライヴ映像ダイジェスト

Prettybwoy - ele-king

 2013年に〈Big Dada〉のコンピ『Grime 2.0』に参加、グライム/UKガラージの文脈から出発し、2017年には上海のレーベル〈SVBKVLT〉からEP「Genetics」を送り出している東京のプロデューサー、Prettybwoy が英ファクトの名物シリーズ「Fact Mix」に登場している。
 冒頭からびっくりするような展開で、『エヴァ』で耳にしたような声がするなと思ったら、90年代のアニメ『KEY THE METAL IDOL』がフィーチャーされている(主題歌も)。これがずっとつづくのかと思いきや、じょじょにノイズなどが侵入をはじめ、つぎつぎと尖ったダンス・ミュージックが繰り出されていく。
 なお Prettybwoy は9月17日に〈SVBKVLT〉からデビュー・アルバム『揺蕩う』をリリースすることになっている。そちらも楽しみ。

ラディカルで、クソ面白い!

大勢の人が集まって踊る、ただそれだけのことが国家を動揺させた……
アシッド・ハウス、イビサ、マッドチェスター、ニューエイジ・トラヴェラーズ、ジャングル……
英国ジャーナリストが見事な筆致で描く
20世紀最後で最大の音楽ムーヴメントの全貌

1997年に刊行され、2010年に増補版が出たクラシカルな1冊がついに翻訳刊行!

並々ならぬ共感と知性によって書かれた、熱を帯び機知に富んだ真実の歴史 ──アーヴィン・ウェルシュ

あれは「特別な時代」以上の何かだったのだろうか? ドラッグ熱に浮かされた享楽主義に過ぎなかった? それとも、我々の多くがそう強く信じたがっているように、それ以上に重要な何かだったのか? アシッド・ハウスの誕生以来、「じゃああれは一体なんだったのか」の疑問は何度もしつこく繰り返されてきたし、本書はそれに対する幅広い回答のあれこれを含んでいる。そのいずれも必然的に個人的な視点に依るものであり、どれひとつとして決定的な回答ではない。もしかしたら、今にして思えば、あのとんでもない時代を実際に生き抜いただけで充分だったのだろう。共同体の全員と共に我を忘れるあれら歓喜の瞬間の数々を味わったこと、おそらくそれ自体が、我々にはあれ以上を望めない素晴らしい体験だったのかもしれない。(本文より)

目次

前書き(長い歳月の後で)

序幕 八〇年代のとある晩

第1章 快楽のテクノロジー
第2章 サマー・オブ・ラヴ
第3章 マジカル・ミステリー・ツアー
第4章 東への旅
第5章 フリーキー・ダンシング
第6章 テクノ・トラヴェラーズ
第7章 都市のブルーズ
第8章 ケミカルな世代

謝辞
索引

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李劍鴻 Li Jianhong - ele-king

 『The Wire』2021年7月号で北京のトゥ・ウェンボウ(朱文博/Zhu Wenbo)が運営するレーベル〈Zoomin’ Night〉の特集が組まれたほか、同8月号では恒例企画「めかくしジュークボックス」にリー・ジェンホン(Li Jianhong/李剣鴻)とウェイ・ウェイ(Wei Wei/韋瑋)が登場するなど、ここにきて中国のアンダーグラウンドなノイズ/即興/実験音楽シーンがにわかに注目を集めはじめている。5月にイタリアの〈Unexplained Sounds Group〉から中国実験音楽のコンピ『Anthology Of Experimental Music From China』がリリースされたことも記憶に新しいが、本稿ではアンダーグラウンドなシーンにおける重要人物のひとりリー・ジェンホンにスポットを当て、彼が今年の春に発表した2枚の新作アルバム『山霧 Mountain Fog』『院子里的回授 Feedback in the courtyard』を紹介する。

 リー・ジェンホンは〈P.S.F. Records〉からのリリースでも知られる中国の実験音楽家/ノイズ・ミュージシャン/ギタリスト。1975年に生まれ、中国・杭州で90年代よりバンド活動をはじめ複数のグループで活躍。90年代後半に中国でインターネットが普及しはじめたことをきっかけに、ノイズや即興、実験音楽なども聴くようになっていったという。2003年には知り合いのミュージシャンとともにレコード・レーベル〈2pi Records(第二層皮独立唱片機構)〉を設立、同年にファースト・ソロ・アルバム『在開始之前、自由交談 Talking Freely Before The Beginning』を発表。また2003年から2007年にかけて 2pi 音楽フェス(第二層皮音楽節)を開催し、中国有数の前衛/実験音楽の祭典として知られるようになる。ゼロ年代後半から北京でも活動しはじめ、2011年に移住。同年には Vavabond 名義で知られるノイズ・ミュージシャン、ウェイ・ウェイとともに新たにレーベル〈C.F.I Records〉を立ち上げる。以降、これまで中国内外のレーベルから多数のアルバムを発表しており、中国においてアンダーグラウンドな音楽シーンが誕生した初期から活動を続けている代表的なミュージシャンのひとりとして高い評価を得ている。

 同じく中国出身で現在はフランスを拠点に活動しているミュージシャン、ルオ・タン(Ruò Tán/若潭)が運営するレーベル〈WV Sorcerer Productions〉からリリースされた『山霧 Mountain Fog』は、ジェンホンの真骨頂とも言うべきノイズ・ギターをソロとデュオで収録したライヴ・レコーディング作品。1曲目のソロではいきなり激烈なフィードバック・ノイズが鳴り響き、高柳昌行や大友良英を彷彿させる攻撃的な展開が延々と続く。だがオクターバーを使用して重低音を効かせ、フィードバックの持続音を強調した演奏内容は、ハーシュなノイズ・ミュージックではなくドゥームメタルにも近いダウナーなアンビエント/ドローンのようにも聴こえてくる。こうした傾向は中国の若手サックス奏者ワン・ズホン(Wang Ziheng/王子衡)を迎えた続く2曲目のデュオ・セッションでより顕著に表されており、ドローン状のギターとサックスが時に渾然一体となる特異な音楽内容は、フリー・インプロヴィゼーションの歴史に多数の名演を刻んだ編成(高柳昌行と阿部薫のデュオをはじめギターとサックスによる即興の系譜についてはhikaru yamada hayato kurosawa duo『we oscillate!』のライナーノーツで掘り下げたのでより詳しく知りたい方はそちらをご参照ください)でありながら、これまでのどの作品とも似ていない唯一無二のサウンドを生み出している。

 他方の『院子里的回授 Feedback in the courtyard』はジェンホン自身のレーベル〈C.F.I Records〉からリリースされたソロ・アルバム。フィールド・レコーディングとインプロヴィゼーションのあわいをいくような作品で、人びとの話し声や咳払い、虫の音、航空機の音など環境音と一体化するように、ギターの繊細なフィードバック・ノイズや電子音響のようなサウンドが聴こえてくる。紙版『ele-king vol.25』に寄稿したジャンル別2019年ベストのインプロヴィゼーションの項で触れたように、近年の即興音楽には環境音を活用した作品が多数発表されているものの、ジェンホンはこうした試みにすでに10年以上にわたって取り組み続けている。というのも彼は2010年に3枚組のアルバム『環境即興 Environment Improvisation』*をリリース、雨音や鳥の鳴き声、羽虫の飛び交う音といった自然環境の響きから、人びとの生活音、例えば日常会話やテレビから流れる音声、果ては酒場から聞こえてくる楽しげな音楽までをも相手取りながらギターによる即興演奏を行ない、その後も環境音と即興演奏を統合する独自の方法論を探求してきているのだ。今作では「おもちゃを片付けようとしない子供たち」や「夕食後のキッチンの片付け」、「夜10時、母はまだ咳き込んでいた」といった各楽曲のタイトルが示すように、まるでドラマ仕立てで日常生活のワンシーンを切り取るような環境音の響きとともに演奏を行なう内容となっている。

 冒頭で述べたように『The Wire』が中国のアンダーグラウンドなシーンを相次いで取り上げているものの、ジェンホンをはじめ中国で活躍するミュージシャンたちの多くは独自のコンテクストですでに長期間の活動を継続してきているのであり、その蓄積を見落としてはならないということは付け加えておきたい。なお、ギタリストとしてのジェンホンの活動を辿り直した記事が2019年に Bandcamp に掲載されているほか、コロナ禍に見舞われて以降の中国の実験的な音楽シーンについてはウェブ・マガジン『Offshore』主宰の山本佳奈子さんが多数のコラムを精力的に執筆されているので、あわせてお読みいただけるとより理解が深まるのではないかと思います。

*『環境即興 Environment Improvisation』は現在Bandcampでそれぞれ『十二境 Twelve Moods』『空山 Empty Mountain』『在这里 Here Is It』として個別に購入することもできる。

Koji Nakamura - ele-king

 多作で知られるナカコーが、CD-Rのみで展開していた「Texture」シリーズ。その全24枚250曲もの膨大な楽曲群のなかから、20曲を厳選した編集盤『Texture web2』が、配信限定でリリースされている。「2」と付いているとおり、昨年の『Texture Web』に続く試みだ。エレクトロニカやアンビエントなど、ナカコーの実験的な側面を知るのに持ってこいの作品なので、ぜひチェックを。

ナカコーが、CD-Rのみで販売していたTextureシリーズ全24作品250曲の中から、20曲を選曲したアルバム「Texture web2」が8月13日より配信スタート。

Koji Nakamraが2014年よりスタートさせた、CDRのみで販売されているTextureシリーズは、ナカコーの作品すべての通ずるテクスチャ音源集。2021年8月現在で、24枚250曲に及ぶ作品が発表されている。このシリーズは、コレクターも多く発売するも、すぐ完売を繰り返している作品群。そのTextureシリーズの中から20曲をセレクトし、配信限定アルバムとして発表したのが「Texture web2」。エレクトロニカからアンビエント・ドローンまで、インストゥルメンタルの楽曲で構成されている。サブスクで気になったらナカコーが運営するレーベル「Meltinto」でCD-R作品もチェックしてみて欲しい。

商品概要

Koji Nakamura / Texture Web2
MLT-1009
2021/8/13 on streaming

▶︎配信URL: https://linkco.re/zhZrf2ua

01. Computer In Love from Texture01
02. A Vision/A Dream from Texture02
03. Flower from Texture03
04. Ne U/A gE from Texture04
05. PRE from Texture05
06. Dead Moon from Texture06
07. Tyche from Texture07
08. Video Loop1 from Texture08
09. M o l t from Texture09
10. StigmA God Area from Texture10
11. Unkown Test from Texture11
12. Joy from Texture12
13. 826 from Texture13
14. Oboro from Texture14
15. Nocturne from Texture15
16. Snake Eater from Texture16
17. White Room from Texture17
18. Aura from Texture18
19. Border/Mind from Texture19
20. Red Sun from Texture20

OFFCIAL URL
https://kojinakamura.jp/

PROFILE
ナカコーことKoji Nakamura。1995年地元青森にてバンド「スーパーカー」を結成し2005年解散。その後、ソロプロジェクト「iLL」や「Nyantora」を立ち上げる。その活動はあらゆる音楽ジャンルに精通する可能性を見せメロディーメーカーとして確固たる地位を確立し、CMや映画、アートの世界までに届くボーダレスなコラボレーションを展開。その他remixerとしても様々なアーティトを手がけ遺憾なくその才能を発揮している。現在はフルカワミキ、田渕ひさ子、牛尾憲輔と共にバンド「LAMA」として活動。そして、2014年4月には自身の集大成プロジェクトKoji Nakamuraを始動させ「Masterpeace」をリリース。同年10月には大阪クラブクアトロ、名古屋クアトロ、恵比寿リキッドルームでワンマンライブを行った。キャリアを重ねつつも進化し続けるナカコーを示唆するライブとなった。現在は、Koji NakamuraとアンビエントプロジェクトNyantoraや、ダークロックユニット「MUGAMICHILL(ナスノミツル、中村達也、ナカコー)」を中心に活動中。また、2017年4月よりスタートした“Epitaph”プロジェクトは、CDリリースやダウンロード販売を想定せず、ストリーミングのみをターゲットとし、プレイリスト(≒アルバム)は、ナカコーの新作でありながら、彼の気分でそこに収められている曲が変わり、バージョンが変わり、曲順すら変わっていた。1ヶ月に1度2~3曲アップロードされており、DAW+アクセスモデル時代の新しい表現のトライだった。プロジェクトスタートより約2年。そして前作より約5年。2019年6月26日に「Epitaph」を遂にCD化した。同時期には関西テレビ他放映の連続ドラマ「潤一」の主題歌と劇伴音楽を担当。さらに、連続ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ アフロ田中」の、メインテーマ曲と劇伴音楽を担当するなど、音楽の分野で多岐にわたり活動中。

Meltinto
https://meltinto.theshop.jp/

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