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Milford Graves/Don Pullen - ele-king

Clifford Jordan Quartet - ele-king

CLIFFORD JORDAN - ele-king

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Creation Rebel - ele-king

 UKダブのレジェンドのひと組、昨年みごと復活を果たしたクリエイション・レベル。その歴史をたどるのにうってつけのCDボックスセットが〈On-U〉より発売される。題して『High Above Harlesden 1978-2023』。エイドリアン・シャーウッド初のプロデュース作品にあたる『Dub from Creation』(1978)からレアで高額だった『Close Encounters of the Third World』(1978)、代表作『Starship Africa』(1980)はむろんのこと、最新作『Hostile Environment』(2023)まで6作を収録。ブックレットには貴重な写真も掲載されているそう。詳しくは下記より。

CREATION REBEL
エイドリアン・シャーウッド主宰の〈ON-U SOUND〉が
クリエイション・レベルの豪華CDボックスセット
『High Above Harlesden 1978-2023』と
アナログ盤再発を発表

エイドリアン・シャーウッド率いる〈On-U Sound〉が、故プリンス・ファー・ライのバックバンドを務め、ザ・クラッシュ、ザ・スリッツ、ドン・チェリーらとステージを共にしてきたクリエイション・レベルの偉大なる歴史を詰め込んだ豪華CDボックスセット『High Above Harlesden 1978-2023』のリリースを発表! 待望のアナログ盤再発も決定した。

Creation Rebel - High Above Harlesden 1978-2023
YouTube >>> https://youtu.be/lw0SROhafOE

元々は、若きエイドリアン・シャーウッドが初めてのアルバム・レコーディング・セッションを実現するためのスタジオ・プロジェクトとして結成し、そこから名盤『Dub From Creation』が誕生した (UKレゲエ/ダブ・ミュージックのもう一人の巨匠、デニス・ボヴェルがエンジニアを担当)。
そこからプリンス・ファー・ライのツアー・バンドとして活躍すると同時に、バンド・リーダーであり中心的存在であるクルーシャル・トニー・フィリップスを中心にUKダブ/レゲエのシーンを語る上で欠かすことのできない重要作品をリリースしてきた。ベースのリザード・ローガンが投獄され、プリンス・ファー・ライが殺害されるという悲劇に見舞われた後、バンドは1980年代半ばから長期にわたって活動を停止するが、2017年、エイドリアン・シャーウッドのプロジェクト、シャーウッド・アット・ザ・コントロールのロンドン公演のために再結成。そしてエイドリアンとともにバンドはスタジオに戻り『Hostile Environment』を完成させた。クルーシャル・トニーは現在もバンドを率い、チャーリー・エスキモー・フォックス、ランキン・マグーとともに活動を続けている。
今回の再発企画では、『Dub From Creation』や『Starship Africa』といった1970年代後半から1980年代前半にかけてリリースされたUKダブ/レゲエを代表する名作5枚がフィーチャーされ、ファン垂涎のレア盤『Close Encounters of the Third World』を含め、5タイトルがアナログ盤で再リリースされる。またそれらの5タイトルに昨年40年振りにリリースされた最新アルバム『Hostile Environment』を加え、一つの作品としてまとめた6枚組CDボックスセットも同時発売される。CDボックスセットには、36ページのオリジナルブックレットが封入され、国内流通仕様盤はブックレット対訳/解説書付きとなる。
CDボックスセットのタイトル『High Above Harlesden 1978-2023』は、バンドが活動をスタートしたロンドン北西部の労働者階級地域に敬意を表してつけられている。
昨年、40年振りに届けられたアルバム『Hostile Environment』は、DJ Mag、The Quietus、The Wire、その他多くのメディアによって、2023年を代表する一枚として賞賛された。今回の企画は、〈On-U Sound〉の人気再発シリーズの最新プロジェクトとなっており、これまでにアフリカン・ヘッド・チャージ、ダブ・シンジケート、ニュー・エイジ・ステッパーズの再発に続くものである。

Dub From Creation (1978)
UKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドによる最初のスタジオ作品。エンジニアはデニス・ボヴェル。ドラムはブラック・ルーツ・プレイヤーズのエリック ‘フィッシュ’ クラークで、レゲエのスーパースター、ジョニー・クラークの弟である。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Close Encounters Of The Third World (1978)
ジャマイカのチャンネル・ワン・スタジオで録音され、ロンドンでプリンス・ジャミーがミックスした、クリエイション・レベルのカタログの中で最も人気のあるタイトル。
中古市場においてはコンディションの良い中古盤は超高額で取引されている。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Rebel Vibrations (1979)
伝説的なルーツ・ラディックスのドラマー、リンカーン・“スタイル”・スコットをフィーチャーした、オリジナル・リリース以来入手不可能な、ヘヴィなベースラインとビッグ・チューンの正統派コレクション。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Starship Africa (1980)
ダブのクラシック作品。惑星間サウンドエフェクト、星の彼方から聞こえてくる幽霊のような声、そして鳴り響くパーカッション。ルーツ・ラディックス、ミスティ・イン・ルーツ、プリンス・ファー・ライ・アラブスのメンバーが参加。近年ではMojo MagazineのHow To Buy... On-U Sound特集で、全カタログの中で最もお薦めのリリースとして第1位に選ばれた。
オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身レーベル〈4D Rhythms〉より。

Psychotic Jonkanoo (1981)
ジョン・ライドン(セックス・ピストルズ、パブリック・イメージ・リミテッド)のバッキング・ヴォーカルをフィーチャーし、伝統的なジャマイカのルーツ・レゲエにUKらしい実験的なアプローチを取り入れた結果、独特のハイブリッド・サウンドが生まれた。

Hostile Environment (2023)
40年以上にわたる宇宙からの追放から帰還したバンドによる凱旋セット。クルーシャル・トニー、エスキモー・フォックス、ランキン・マグーのトリオは、プロデューサーのエイドリアン・シャーウッドと再結集し、ヘビー級のダブワイズ・リズムに現代的なスピンを加えた。

High Above Harlesden 1978-2023
上記の全アルバムを収録した6枚組アンソロジー・ボックス・セット、貴重な写真やライナーノーツを収めた36ページの豪華ブックレット、ボーナス・トラック7曲収録。

label: On-U Sound
artist: Creation Rebel
title:High Above Harlesden 1978-2023
release: 2024.03.29
CD Box Set 国内仕様盤:
(6枚組/解説書付き/38Pブックレット封入)¥8,000+tax
CD Box Set:
(6枚組/38Pブックレット封入)¥7,500+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13905

TRACKLISTING
DISC 1 (Dub From Creation)
01. Dub From Creation
02. Basic Principals
03. Rebel Rouser
04. Creation Vibration
05. Creation In A Iration
06. Dub Fusion
07. Mirage
08. Liberation
09. Rising Star
10. Vision Of Creation
11. Frontline Dub

DISC 2 (Close Encounters of the Third World)
01. Know Yourself
02. Conspiring
03. Beware
04. Dangerous And Deadly
05. Shouldn’t Do That
06. Creation Fever
07. Natty Conscience Free
08. Joyful Noise

DISC3 (Rebel Vibrations)
01. Rebel Vibration
02. Jungle Affair
03. Hunger And Strife
04. Ian Smith Rock (Dub)
05. Diverse Doctor
06. Mountain Melody
07. Black Lion Dub
08. Doctor’s Remedy

DISC4 (Starship Africa)
01. Starship Africa Section 1
02. Starship Africa Section 2
03. Starship Africa Section 3
04. Starship Africa Section 4
05. Starship Africa Section 5
06. Space Movement Section 1
07. Space Movement Section 2
08. Space Movement Section 3
09. Space Movement Section 4
10. Creation Rock
11. Give Me Power
12. Original Power

DISC5 (Psychotic Jonkanoo)
01. The Dope
02. African Space
03. Chatti Mouth / Threat To Creation
04. Highest Degree
05. Mother Don’t Cry
06. Yuk Up
07. Drum Talk
08. Independent Man
09. Creation Rebel
10. Monkey Grinds The Organ

DISC6 (Hostile Environment)
01. Swiftly (The Right One)
02. Stonebridge Warrior
03. Under Pressure
04. That’s More Like It
05. Jubilee Clock
06. This Thinking Feeling
07. Whatever It Takes
08. Salutation Gardens
09. Crown Hill Road
10. The Peoples’ Sound (Tribute To Daddy Vego)
11. Off The Spectrum

ドキュメンタリーに伝記映画、ライヴ映画など、近年ますます秀作が公開されている音楽映画を一挙紹介!

3月公開の『モンタレー・ポップ』とフェス映画の系譜

インタヴュー
ピーター・バラカン──音楽映画祭を語る
大石規湖(映画監督)

『ムーンエイジ・デイドリーム』『ストップ・メイキング・センス』などのロックの映画を中心に、『サマー・オブ・ソウル』や『白い暴動』、『自由と壁とヒップホップ』といった社会派音楽ドキュメンタリーまで、近年盛り上がりを見せる音楽映画の秀作・傑作を大紹介!

目次

巻頭特集 『モンタレー・ポップ』
Review ポップ・カルチャー史のエポックとなった伝説のフェス──『モンタレー・ポップ』 柴崎祐二
Column フェス映画の系譜 柴崎祐二

Interview
ピーター・バラカン さまざまな場所、さまざまな音楽──音楽映画祭をめぐって
大石規湖 「そこで鳴っている音にいかに敏感に反応できるか」

Review
マニアも驚かせた大作ドキュメンタリー──ザ・ビートルズGet Back』とビートルズ・ドキュメンタリー映画 森本在臣
断片の集成から浮かび上がる姿──『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・ デイドリーム』とデヴィッド・ボウイ映画 森直人
説明の難しい音楽家──『ZAPPA』 てらさわホーク
微笑ましくも豊かな音楽とコント──『フランク・ザッパの200モーテルズ』 てらさわホーク
伝記映画の系譜──『エルヴィス』ほか 長谷川町蔵
トム・ヒドルトンが演じるカントリーのレジェンド──『アイ・ソー・ザ・ライト』 三田格
ザ・バンドを語る視線──『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』 柴崎祐二
今こそ見直したい反時代性──『クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル トラヴェリン・バンド』 柴崎祐二
ヴェルヴェッツを取り巻くNYアート・シーン──『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』『ソングス・フォー・ドレラ』 上條葉月
1984年と2020年のデヴィッド・バーン──『ストップ・メイキング・センス』『アメリカン・ユートピア』 佐々木敦
メイル兄弟とエドガー・ライトの箱庭世界──『スパークス・ブラザーズ』 森直人
パンクが生んだ自由な女たち──『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』 上條葉月
セックス・ドラッグ・ロックンロールに明け暮れた栄枯盛衰──『クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男』 杉田元一
アウトロー・スカムファック(あるいは)血みどろの聖者に関する記録『全身ハードコア GGアリン』+『ジ・アリンズ 愛すべき最高の家族』 ヒロシニコフ
改めて注目を集めるカルト・クラシック──『バビロン』野中モモ
甦る美しき革命の記録──『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 シブヤメグミ
帝王の孤独──『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』三田格
総合芸術としてのヒップホップ──『STYLE WARS』 吉田大
壁の向こうの声に耳を傾ける──『自由と壁とヒップホップ』 吉田大
ショーターの黒魔術に迫る──『ウェイン・ショーター:無重力の世界』 長谷川町蔵
ジョン・ゾーンのイメージを刷新する──『ZORN』 細田成嗣
ルーツ・ミュージックのゴタ混ぜ──『アメリカン・エピック』 後藤護
シンセ好きの夢の空間──『ショック・ドゥ・フューチャー』森本在臣
フィジカル文化のゆくえ──『アザー・ミュージック』 児玉美月
愛のゆくえ──『マエストロ:その音楽と愛と』杉田元一
徹底した音へのこだわりによるライヴ映画──『Ryuichi Sakamoto: CODA』『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async』 杉田元一
失われた音楽が甦る瞬間──『ブリング・ミンヨー・バック!』 森本在臣
スペース・イズ・ザ・プレイス —— 渋サ(ワ)知らズと土星人サン・ラーが出逢う「場」──『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』 後藤護
生きよ堕ちよ──『THE FOOLS 愚か者たちの歌』森直人
コロナ禍におけるバンドと生活──『ドキュメント サニーデイ・サービス』 安田理央
天才の神話を解いて語り継ぐ──『阿部薫がいた-documentary of kaoru abe-』 細田成嗣
坂道系映画2選──『悲しみの忘れ方 documentary of 乃木坂46』』『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』 三田格
勢いにひたすら身を任せる──『バカ共相手のボランティアさ』 森本在臣

Column
政治はどこにあるのか 須川宗純
ポリスとこそ泥とスピリチュアリティ──レゲエ映画へのイントロダクション 荏開津広
映画監督による音楽ドキュメンタリー 柴崎祐二
歌とダンスの(逆回し)インド映画史 須川宗純

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お詫びと訂正

このたびは弊社商品をご購入いただきまして誠にありがとうございます。
『ele-king cine series 音楽映画ガイド』に誤りがありました。
謹んで訂正いたしますとともに、お客様および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

表紙
誤 大石紀湖
正 大石規湖

Terrace Martin's Gray Area - ele-king

 昨年は新作『Fine Tune』をリリース、来日公演もおこなわれたLAのマルチ奏者テラス・マーティン。彼が率いるバンドがグレイ・エリアだ。そのライヴ・アルバムが3月6日にリリースされる(LPは6月5日)。収録されるのは2020年に配信限定で披露された音源で、なんとカマシ・ワシントンがゲスト参加している。ジャズのライヴの魅力が詰まった1枚、チェックしておきましょう。

テラス・マーティン率いるバンド、グレイ・エリアが2020年に行ったライヴの模様を収録した配信限定ライヴ・アルバムが待望のフィジカル・リリース! ケンドリック・ラマーの名曲“For Free?”の超熱演ジャズ・カヴァーや、カマシ・ワシントンがゲスト参加した20分越えの絶品ジャム・セッションなど、現行ジャズにおける最高峰のライヴ・パフォーマンスがここに!

ロバート・グラスパーとのR+R=Nowや、同じくグラスパーに、カマシ・ワシントン、ナインス・ワンダーまで擁するディナー・パーティーと、数々のプロジェクトで現代ジャズの推進に余念がないテラス・マーティンが、自らのバンドとして結成した「グレイ・エリア」。そのバンドのお披露目として、2020年にJammcard主催のイヴェント「JammJam」で行ったライヴ・パフォーマンスの模様を収録した配信限定のライヴ・アルバム『Live at the JammJam』が遂にCD、レコードでリリース!!!

テラス・マーティンをリーダーに、ケンドリック・スコットやカマシ・ワシントンの作品で重宝され、自らリーダー作もリリースしている若手最重要ベーシストのジョシュア・クランブリー、ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディによるポップ・ユニット:ノウアーのバンド・メンバーでもあるキーボーディストのポール・コーニッシュ、そしてあのサンダーキャットの兄であり、プリンスやカマシのドラマーとして腕を振るってきたロナルド・ブルーナー・JRというジャズ界のキーマンが勢ぞろいしたバンド、グレイ・エリア。

その気になるライヴの内容は?と言うと、2分ほどのイントロを終えた後に突如として始まる“For Free?”で一気に爆発。曲名通り、テラス・マーティン本人がプロデュースしたケンドリック・ラマーの傑作『To Pimp a Butterfly』に収録された名曲“For Free?”のジャズ・カヴァーで、8分を超える超熱演を披露。キーボードのソロ・プレイを前面に押し出した甘味の強いバラード“Great Is Thy Faithfulness”を間に挟みつつ、テラスの盟友、カマシ・ワシントンがゲストとして参加した“Juno”、“Stop Trippin’”の二曲では、なんとどちらも20分近くにも及ぶ白熱のジャム・セッションを繰り広げる。これぞまさにジャズのライヴの魅力が120%パッケージされた極上のライヴ・アルバム!

「Juno feat.Kamasi Washington」(ライヴ映像)
https://youtu.be/ZWQ3ANEjTsQ

【Pre-order】
https://p-vine.lnk.to/ghXOiwjl

【リリース詳細】
アーティスト:TERRACE MARTIN'S GRAY AREA / テラス・マーティンズ・グレイ・エリア
タイトル:Live At The JammJam / ライヴ・アット・ザ・ジャムジャム
フォーマット:CD/LP
発売日:CD 2024.3.6 / LP 2024.6.5
品番:CD PCD-25383 / LP PLP-7404/5
定価:CD ¥2,750(税抜¥2,500) / LP ¥6,600(税抜¥6,000)
レーベル:P-VINE
*日本語解説付

【Track List】
1.Intro
2.For Free?
3.Great Is Thy Faithfulness
4.Juno
5.Stop Trippin

【Gray Area】
Terrace Martin - saxophone
Ronald Bruner Jr. - drums
Paul Cornish - keys
Joshua Crumbly - upright bass

Featuring:
Kamasi Washington - saxophone
Ben Wendel - Alto Saxophone
Maurice Brown – Trumpet

【Official】
https://twitter.com/terracemartin
https://www.instagram.com/terracemartin

Piper Spray & Lena Tsibizova - ele-king

 モスクワのエレクトロニカ・ユニット、Piper Spray & Lena Tsibizova の新作『Debtor of Presence』が、シドニーのエクスペリメンタル・エレクトロニカをリリースする新興レーベル〈Theory Therap〉からリリースされた。

 Piper Spray & Lena Tsibizova。その名のとおり Piper Spray と Lena Tsibizova のユニットである。モスクワを拠点とする電子音楽家の Piper Spray は、2011年に、ジャイアント・クローなどのヴェイパーウェイヴ系の音源で知られる〈Orange Milk Records〉から発表した『Omnicrom Girls』あたりから音源のリリースをはじめているので、すでに10年を超える活動歴である。一方、同じくモスクワ出身のフォトグラファー/アーティストでもある Lena Tsibizova は2019年頃から音源のリリースをはじめ、チェコのレーベル〈Baba Vang〉から『3rd Track』を発表している。
 ふたりは2020年あたりからコンビを組み、「Air Krew」というユニットで、ロサンゼルスのレーベル〈Motion Ward〉から『Discuss And Come Back』を発表した(2021年には4作ほどリリースする)。Piper Spray & Lena Tsibizova としては、2020年にEP「Piper Spray / Lena Tsibizova」を〈Radio.syg.ma〉からデジタル・リリースし、2022年にロシアのサンクト・ペテルブルグのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈[картаскважин] 〉からミニアルバム『Regressive Youth』を送り出した。

 その2作を経て、ニューヨークのレーベル〈Patience / Impatience〉から初のアルバム『Leaving Memory』をリリースするに至ったわけだ。『Leaving Memory』は、IDM、アンビエント、インダストリアルの要素を絶妙にミックスしたアルバムで、機械的でありながらも、どこか官能的なサウンドでわれわれエレクトロニカ・マニアの耳をざわつかせた。クラッシュした車のアートワークも印象的であった。
 そして2024年初頭にはやくも届けられた新作『Debtor of Presence』は、なんと3年の月日をかけて制作されたアルバムだという。じじつ『Debtor of Presence』を聴いてみると、その緻密に、かつ巧みにレイヤーされたエレクトロニックな音の層に耳をうち抜かれた。なんて透明で精密で、なんて華麗な、なんて緻密な、美しい電子音だろうか、と。何より、緻密/多層的なデジタルなサウンドがエモーショナルに鳴り響くさまが、とても新鮮なのである。ミニマルではなく、エモーショナル。これこそいまの時代において重要な要素ではないかと思う。エレクトロニカやエクスペリメンタル・ミュージックにおいても「エモ」が重要なキーワードになるのではないか。

 ともあれ『Debtor of Presence』は、聴き手に新しい時代のIDM/エレクトロニカを実感させるサウンドである。本作には全14曲が収録されているが、全曲、どの曲も、細やかなノイズとエモーショナルな電子音のレイヤーによって仮想空間音楽のごとき多層レイヤー的音響世界が構築されているのだ。さまざな電子音と電子音が共存し、ときに衝突し、ときに融解し、より大きなサウンドスケープが生成されていく……。
 1曲目 “Fisher” からして、このアルバムの世界観が一気に伝わってくるような曲だ。電子音、ピアノの音が交錯し、薄いカーテンのようなアンビエンスと環境音楽的な旋律が生成・交錯し、音の海を漂うかのような曲に仕上がっている。曲の中盤からは分断されたリズムの音が重なり、ダヴィなムードも漂わせもする。ときおりミックスされる「声」のような音の使い方も実に見事だ。対して2曲目 “Four Chords” もやわらかいアンビエンスの電子音と刺激の強い電子音が交錯し、聴き手の感覚を広げてくれるようなサウンドスケープを展開している。いわば環境音楽+ネオ・アンビエントとでもいうべきか。
 個人的なお薦めとしては、7曲目 “Georgian Doc” や13曲目 “Tushino” を聴いてほしいと思う。80年代の環境音楽を20年代のアンビエント・ミュージックへと変化・拡張させたような音楽性だが、なぜかそこに深いエモーショナルが潜んでいるように聴こえるのだ。瞑想的でもあり感情的でもあるような不思議な感覚である。また8曲目 “Ad Morning Theme” のミューザック的なピアノ曲に電子音がレイヤーされるさまは、どこかヴェイパーウェイヴ的でもある。過去に夢想された未来を見る/聴くような不思議なノスタルジアを感じもした。
 つまり本作を簡単に評すると「未知と郷愁の感覚を同時に想起させてくれるエモーショナルなIDM/エレクトロニカ」とでもいうべきだろうか。瞑想的であり、不安定な記憶のようでもあり、未知の世界の自然現象のようでもある。「精密さ」と「密度」と「透明さ」を希求しつつ、そこに「エモーショナル」という新しいエレメントを兼ね備えた00年代以降(グリッチ以降)のエレクトロニカを継承する作品といってもよいかもしれない(言い過ぎか?)。
 何よりこのようなIDM/エレクトロニカが欧米諸国でも日本でもなく、ロシアから出てきたことは、とても重要なことに思えるのだ。エレクトロニカの音楽地図がまた描き変わったような思いを持ってしまうのである。

 最後に。『Debtor of Presence』のリリースに伴い、Piper Spray & Lena Tsibizova のふたりは、「私たちは進行中の戦争とあらゆる形態の帝国主義に反対します。このリリースによる利益は、戦争の犠牲者に寄付されます。 当面は、「セーブ・ザ・チルドレン・ガザ緊急アピール」と「ガザ子ども基金」に資金を送る予定です」という声明を発表していることも付け加えておきたい。

 今年で設立から15周年を迎える〈ブレインフィーダー〉にとって、故オースティン・ペラルタが2011年に発表した『エンドレス・プラネッツ』は特別な存在だ。主宰者のフライング・ロータスはじめ、ヒップホップを起点とするビート・ミュージックのイメージが強い〈ブレインフィーダー〉は、それまでジャズと接点があるレーベルという認識はあまりなかったが、『エンドレス・プラネッツ』はそれを一変した。よくあるジャズの要素を持ち込んだ作品というより、エレクトロニック・ミュージックのレーベルとしては異例の純粋なジャズ・アルバムで、内容を評価する以前に驚きを与えるものだった。数か月後にサンダーキャットが『ザ・ゴールデン・エイジ・オブ・アポカリプス』でデビューし、カマシ・ワシントンが彼の名を決定づけた『ジ・エピック』(2015年)をリリースする以前のことで、彼らが登場する門戸を開いたのも『エンドレス・プラネッツ』だったと言える。『エンドレス・プラネッツ』のリリースから一年後の2012年11月21日、オースティンは22歳の若さで急逝してしまった。音楽家としてこれからというとき、ロサンゼルスのジャズ・シーンの現在のような隆盛をみることもなく、まさに早過ぎる死であった。彼がいまも生きていたら一体どんな作品を作っていたか、そんな思いを馳せながら彼の人生と『エンドレス・プラネッツ』を振り返りたい。

 オースティン・ペラルタは1990年10月25日にロサンゼルスで生まれた。父親はスケーターでドキュメンタリー映画監督のステイシー・ペラルタ、母親は映画監督のジョニ・コールドウェルという映像関係の一家の出だが、オースティン自身は5歳でピアノを弾きはじめ、すぐに周囲からピアニストとしての才を認められる早熟児だった。最初はクラシック・ピアノを学んでショパンなどを弾いていたが、10歳のころにビル・エヴァンスのレコードを聴いてジャズに目覚める。12歳のときにロサンゼルスの若手ジャズ・コンクールで優勝するなど天才ぶりを発揮し、ピアノ以外にベース、ドラムス、サックスなどもマスターするようになる。学業と並行して演奏活動もおこなうようになり、ジェラルド・ウィルソン・オーケストラなどで演奏していたオースティンだが、そんな彼の才能にいち早く目をつけたのは日本で、伊藤八十八氏が主宰する〈エイティー・エイツ〉というレーベルが、2006年にファースト・アルバムの『メイデン・ヴォヤージ』をリリースする。オースティンが15歳のときだ(録音時は14歳)。ベースが大物のロン・カーターというピアノ・トリオ編成でのこのアルバムは、タイトル曲はハービー・ハンコックのカヴァーで、ほかにマッコイ・タイナーチック・コリアジョン・コルトレーンらの作品を演奏するスタンダード中心のアルバム。レーベルとしては若き正統派のジャズ・ピアニストとして売り出したかったことが伺える。若くハンサムな男の子ということで、早速日本のジャズ・メディアから持ち上げられ、同年の東京ジャズ・フェスティヴァルにも出演し、チック・コリア、ハンク・ジョーンズらと共演している。

 その勢いで2007年に2作目の『マントラ』を発表。こちらはベースがベテランのバスター・ウィリアムスだが、サンダーキャットの兄であるロナルド・ブルーナー・ジュニア、マーカス・ストリックランドなどの新しい世代のミュージシャンも参加している。ハービー・ハンコック、チャールズ・ミンガス、ジョー・ヘンダーソン、モンゴ・サンタマリアなどをカヴァーする一方、オリジナル作品も4曲ほどやっており、作曲家としても力をつけてきたことを伺わせる内容だ。この頃のオースティンはハービー・ハンコックやマッコイ・タイナーなどの影響を伺わせる演奏スタイルで、楽曲もポスト・バップやモードに基づくオーセンティックなもの。ただ、『マントラ』というアルバム・タイトルや “アストラル・タイズ” という曲名にも見られるように、マッコイ・タイナーを経由してジョン&アリス・コルトレーンファラオ・サンダースなどの音楽観、宇宙観といったものを身につけようとしていたのかもしれない。ホレス・タプスコットが創設したパン・アフリカン・ピープルズ・アーケストラに参加してフリー・ジャズやスピリチュアル・ジャズを演奏していた時期もあり、正統派のジャズ・ピアニストから次第に変容していく。アダム・ルドルフ率いるゴー:オーガニック・オーケストラにも参加し、フリー・ジャズのアルバムを制作していたのもこの時期のこと。カルロス・ニーニョやミゲル・アトウッド・ファーガソンらも参加していたこのプロジェクトでは、ピアノではなくバンブー・フルートを演奏していた。

 アルバム2枚をリリースした後はしばらく学業にも専念し、ペパーダイン大学で再びクラシックを学ぶと同時に、ジャズ・ピアニストのアラン・パスクアとジャズ・サックス奏者のバディ・コレットに師事している。アラン・パスクアはトニー・ウィリアムスのライフタイムに参加してジャズ・ロックをやっていたことがあり、バディ・コレットはラテン・ジャズ演奏もやっていたことがある。そうした人たちに師事することで、より幅広いジャズの表現力を身につけていった。学業のほかではエリカ・バドゥ、シャフィーク・フセインなどのセッションに参加していたオースティンだが、在学中の2010年にカリフォルニア芸術大学でドクター・ストレンジループとのコラボ・インスタレーションをおこなっている。ストレンジループはVJ及びエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーで、〈ブレインフィーダー〉からのリリースもおこなっている。クラシックから現代音楽、フリー・ジャズ、電子音楽などが結びついた実験的なコラボだったが、これをきっかけにオースティンと〈ブレインフィーダー〉との接点が生まれた。ストレンジループを介してオースティンの存在を知ったフライング・ロータスは、すでにでき上がっていたオースティンのアルバムノデモ・テープを聴き、〈ブレインフィーダー〉からリリースしたいと申し出る。それが『エンドレス・プラネッツ』である。

 『エンドレス・プラネッツ』はオースティンのピアノ、ハミルトン・プライスのベース、ザック・ハーモンのドラムスのピアノ・トリオを軸に、ベン・ウェンデルのテナー・サックス、ゼイン・ムザのアルト・サックスが参加し、ストレンジループのエレクトロニクスがエフェクトを加えていく(ストレンジループはアルバムのアートワークも担当)。オースティンはピアノ以外に “イントロダクション:ザ・ロータス・フラワー” でソプラノ・サックスも演奏し、最終曲の “エピローグ:ルネッサンス・バブルズ” では当時ツアー・メンバーをやっていたザ・シネマティック・オーケストラと、そのシンガーを務めるハイディ・ヴォーゲルがエレクトロニクスとヴォーカルで参加する。メンバーの中ではベン・ウェンデルがグラミー賞にノミネートされたことで知られる。プリンスからティグラン・ハマシアン、アントニオ・サンチェス、ルイス・コールらと共演し、オルタナティヴなジャズ・ファンク・バンドのニーボディーのメンバーでもある。ゼイン・ムサはアルトゥーロ・サンドバル、ロイ・ハーグローヴ、メイシー・グレイなどとの共演で知られるが、2015年に事故で他界している。プロデュースとミックスはオースティンとポール・ペスコが共同でおこない、作曲はすべてオースティンによるもの。ポール・ペスコはマドンナやホール&オーツのプロデュースなどで知られる人物だ。

 アルバムは1曲目から6曲目までがライヴ録音で、曲間は大体シームレスに繋がり、その隙間をサウンド・エフェクトやエレクトロニクスが埋めていく構成。“イントロダクション:ザ・ロータス・フラワー” や “エピローグ:ルネッサンス・バブルズ”、“アルジェ” の後半部あたりではエレクトロニクスの比重が増し、ストレンジループとのコラボを彷彿とさせるところがある。そのあたりで〈ブレインフィーダー〉っぽさを感じさせるところがあるものの、基本的にはオースティンのピアノ演奏を軸とした純粋なジャズ・アルバムである。“アルジェ” は表題どおり北アフリカから中東に至るエキゾティックなムードに包まれたモード・ジャズで、マッコイ・タイナーからの影響を物語るような楽曲だ。タブラを交えたエスニックなモチーフがあり、パン・アフリカン・ピープルズ・アーケストラやアダム・ルドルフとの共演を通じて得たアフリカ的な音楽観を感じさせる。5拍子の複雑なリズムとハーモニーを持つ “キャプリコーナス” でも、オースティンのマッコイ張りの力強いピアノ・タッチがあり、ベン・ウェンデルやゼイン・ムサのサックスもアグレッシヴなフレーズで対抗する。“オード・トゥ・ラヴ” でのオースティンのピアノ、ベンのソプラノ・サックスによるアンサンブルも非常にスリリングだ。

 なお、今回は〈ブレインフィーダー〉の15周年にちなんだデラックス・エディションとして再リリースとなり、2011年7月にロンドンのBBCにあるメイダ・ヴァレ・スタジオでのセッションが4曲収録される。ザ・シネマティック・オーケストラのジェイソン・スウィンスコーとハイディ・ヴォーガル、シネマティック・オーケストラにも参加していたリチャード・スペイヴン(ドラムス)やトム・メイソン(ベース)、ジェイソン・ヤード(アルト・サックス)たちとの共演で、ロサンゼルスとはまた異なる空気感を持つ。フライング・ロータスのアルバム収録曲でもある “DMTソング” のカヴァーなど、『エンドレス・プラネッツ』本編とはまた異なるタイプの演奏となっており、オースティンが持つ音楽性の幅広さを見せてくれる。『エンドレス・プラネッツ』は作曲や演奏は丹念に練られており、高度な演奏技術を要する複雑なものであるが、オースティンを含めたロサンゼルスの若いミュージシャンならではの勢いやパッションを感じさせるものである。そして、そうした楽曲と演奏がエレクトロニクスや〈ブレインフィーダー〉というレーベル・カラーと結びついたことにより、既存のジャズに基づきつつも新しさを感じさせるものとなっている。そして、そうした自由でフレッシュな精神は、サンダーキャットやカマシなどオースティンと交流の深かったミュージシャンはもちろん、〈ブレインフィーダー〉全体に継承され、いまもオースティンの魂は息衝いている、そんなアルバムだ。

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