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ele-king vol.4 - ele-king

 僕はこう見えてもせっかちなほうなのですが、松村正人さんがとてものんびり屋さんなので、いつもハラハラしています。「なんで君はそんなにのんびり屋なんだ?」「いや、私は南の生まれなんで」「南の生まれならみんなそうなのか」......。
 以下、目次です。どうぞ、みなさん、よろしくお願いします!

ele-king Vol.4 DOMMUNE BOOKS 0007

Flashback 2011◎野田努

Camera Eye 2011 大森克己/吉野英理香/山本精一/塩田正幸/小原泰広

〈EKジャーナル〉
磯部涼『プロジェクトFUKUSHIMA!』◎水越真紀
僕と革2~NY編◎Shing02
ラース・フォン・トリアー『メランコリア』◎三田格
大阪のクラブシーン◎DJ TUTTLE

〈特集〉2011パート1
2011◎松村正人/菊池良助
座談会:木津毅×田中宗一郎×野田努×橋元優歩×松村正人×三田格
2011エレキング-ランキング100◎飯島直樹/磯部涼/加藤綾一/木津毅/九龍ジョー/竹内正太郎/田中宗一郎/南波一海/野田努/野中モモ/橋元優歩/二木信/松村正人/水越真紀/三田格

オウガ・ユー・アスホール インタヴュー◎水越真紀/菊池良助

〈コラム〉頭でわかる2011◎三田格

コード9 インタヴュー◎野田努/小原泰広

続・坂本慎太郎◎松村正人/小原泰広

〈音楽の論点〉
岡村詩野/橋元優歩/竹内正太郎/新田啓子/鮎川ぱて/吉本秀純/塚本謙 

往復書簡:実験一旦停止!◎松村正人×三田格

ラップ・ミュージック鼎談◎磯部涼×上神彰子×二木信

〈フラッシュバック・ザ・ワールド〉
LA編◎バルーチャ・ハシム
NY女子会◎沢井陽子+ニコ ・ザ・スーザン+マリコ・ニップス+ナッシー+ハルミ
ロンドン編◎ジョー・マグス
パリ編◎山田蓉子
ベルリン編◎浅沼優子

〈no ele-king〉
平賀さち枝◎磯部涼/小原泰広

〈論考〉
刀根康尚 メールインタヴュー◎粉川哲夫

〈TAL-KING1〉
渋谷慶一郎◎松村正人/鈴木心

〈連載コラム〉
キャッチ&リリース◎tomad
私の好きな◎牛尾憲輔(agraph)
二木ジャーナル◎二木信
編年体ノイズ正史◎T・美川
ピーポー&メー◎戸川純/フェミニャン
水玉対談◎こだま和史×水越真紀

〈カルチャーコラム〉
EKかっとあっぷあっぷ◎五所純子/三田格/樋口泰人/岡澤浩太郎/小濱亮介/プルサーマル・フジコ/佐々木彩

〈TAL-KING2〉
アルヴァ・ノト◎松村正人/小原泰広

〈TAL-KING3〉
KILLER-BONG◎二木信/小原泰広

〈特集〉2011パート2
マイプライベートチャート2011◎
EY∃/飯島直樹/ECD/石原洋/小山田圭吾/加藤綾一/木津毅/九龍ジョー/CUZ ME PAIN/1945 a.k.a. KURANAKA/GOTH-TRAD/Yusaku Shigeyasu/CE$/竹内正太郎/野田努/田中宗一郎/DJ TUTTLE/tofubeats/ナカコー/野中モモ/DJ NOBU/橋元優歩/浜崎(TRASMUNDO)/PUNPEE/二木信/Makkotron/三田格/mochilon/YO!HEY!!/DJ YOGURT

表紙オモテ◎宇川直宏
表紙ウラ◎高橋恭司

Tomoki A Heart - ele-king

 半世紀も昔を舞台にした映画を見ていると、家族という単位以上にその地域の共同体が優位であったことがわかる。アメリカ映画ではとくに顕著だ。たとえばバーに入る。客はみんな顔なじみ。注文して、カウンターに腰掛けると、「ところで、おまえんところの小僧は......」とか、「そういえば、おまえんところの女房は......」とか、へたしたら「おまえんところの犬は......」とか、他人は遠慮なくプライヴァシーに入ってくる、家のなかに共同体は容赦なく介入する。そうした土足で上がってくる共同体を家からキレイに排除したあげくに生まれた家族、孤絶化した核家族の集合体のメタファーとしてのファミリーレストランというもの(トポス)を指摘したのは越智道雄だった。
 ファミレスには多くの幸福な家族がいる。しかもそれら家族同士はものの見事に隔絶されている。となりのじいさんやばあさんの皮肉のひとつも届きそうにない、それぞれのプライヴァシーを保持する幸福そうな家族の集合体......わずか数センチのところにいながら彼らは顔を合わせることもない。この奇妙にして不自然な光景......コミュニティの崩壊はなにも自由経済だけの責任ではない。人は明らかにそれを望み、そして叶えたのだ。
 ところが近年、ニュースが伝えるには、里山や団地に住みたがる若者が増えているという。セーフティ・ネットを意識しているのかどうかは知らないが、彼らが核家族を超えたコミュニティ、昔ながらの近所の会話を求めていることは事実だろう。ますます階層化され、整備されていく社会にある種の危機感を感じているのかもしれない。越智道雄は核家族内部において共同体性を求める存在を"内なるアウトサイダー"という言葉で表現したが、クラブ・カルチャー/レイヴ・カルチャーにおける理想のひとつこそまさに"内なるアウトサイダー"の出会いにあると言える。

 塚本朋樹による『Innervoice』は個人のベッドルームというよりも、長野市のシーンから生まれたCDである。スタイルの基本にあるのはミニマル・テクノだが、ずいぶんとドリーミーで、そしてフレンドリーだ。個人的空想よりも人が集まることを歓迎している音楽のように思える。そして『Innervoice』は、人びとが集まっている場所から生まれたことを強味にしている。
 実際、塚本朋樹は2000年から地元長野で〈色〉というパーティをはじめている。しばらくしてそこは長野に住んでいる音楽好きの交流の場(トポス)になった。やがてスケーターやスノーボーダーなど音楽以外の"内なるアウトサイダー"も集まってきた。「みんなひとつになって協力し合ってシーンを作り上げていた感じでした」と、彼は長野のシーンのこの10年をこのように簡潔に話す。「それは90年代の東京を彷彿とさせるものでした」
 塚本朋樹は90年代後半の東京のクラブ・カルチャーに現れた彗星だった。アイルランドやドイツをツアーでまわりながら、彼は東京の地下のもっとも深いところを掘ろうとしていた。彼が関わっていた〈MetroJuice〉や〈Sound Channel〉は、その当時の東京のもっとも先鋭的でアンダーグラウンドなレーベルとして記憶されている。徹底的にストイックだったし、媚びることを嫌い、とがっていた。ゆえに『Innervoice』から聴こえる大らかさが僕にはものすごい驚きである。
 そしてこの変化について、彼は次のように話してくれた。「昔のストイックな曲は、東京に住み、ヨーロッパを行き来して、どこにいっても音楽仲間に囲まれて、音楽一直線というように、つねに音にだけ向き合っていればいい環境だからこそ出てきた音だったと思います。当時は、ヤバい曲を作ってとっとと死ねばいいやと思っていました。長野に帰って来てからは、家族や地元の友だちとか、音楽以外にも向き合わなければならないことがたくさんありました。そんななかで、音だけでなく、人生そのものをもっと楽しみながら音楽をやっていこうと変わっていったのだと思います。まず、エンジョイ・ライフが先だということです」

 『Innervoice』にはヴォーカリストとしてKaori(トーマス・シューマッハ、スティーブ・バグとのコラボレーションで知られる)、そしてOkika(ex.bossarica)のふたりが参加している。アルバムにはアップリフティングなダンス・トラックもあればアンビエント・テイストの美しいトラック、心地よい響きのダウンテンポなど、いろいろある。パッケージを広げると青空が広がっているが、それは作者の気持ちを表しているようだ。『Innervoice』は、とにかく清々しい。
 塚本朋樹によれば、長野は美しい自然に囲まれたスペシャルな場所だという。ここ数年、彼は地元で、野外の音楽コンサートなど企画しながら精力的に活動している。また、『Innervoice』のリリースを機に、〈Naganois〉レーベルでは今後もいろんな作品を発表する予定だとか。興味がある方、CDを買いたい方はこちらからどうぞ(https://www.zeroniroku.net/records/cd_tape/innervoice.php)。よく見るとジャンル名が「TECHNO / NAGANO」と記されている。祝福されているのだろう。もっとも『Innervoice』には日本で作られたテクノの新作の1枚であること以上の兆しがある。これは本当に未来に向けた第一歩かもよ。

Chart by TRASMUNDO 2012.01.17 - ele-king

Shop Chart


1

B.D.

B.D. ILL SON »COMMENT GET MUSIC

2

ERA vs MASS-HOLE

ERA vs MASS-HOLE 3 WORDS MY WORLD remix album »COMMENT GET MUSIC

3

Cracks brothers

Cracks brothers Straight Rawlin' »COMMENT GET MUSIC

4

TAMU

TAMU 本音は骨の髄の中 »COMMENT GET MUSIC

5

JUZU presents movements

JUZU presents movements Beyond (DVD) / »COMMENT GET MUSIC

6

Marginalman a.k.a.TUTTLE

Marginalman a.k.a.TUTTLE PEACEMAN ko vol.1 »COMMENT GET MUSIC

7

No Rule & Eleven (SEMINISHUKEI)

No Rule & Eleven (SEMINISHUKEI) Seventeen LEMONADE »COMMENT GET MUSIC

8

TOSHI a.k.a.Mino no Mamushi

TOSHI a.k.a.Mino no Mamushi MIX TAPE ALBUM :THE CHRONIC-L- »COMMENT GET MUSIC

9

BM a.k.a.blahmuzik

BM a.k.a.blahmuzik kichijoji take 1 »COMMENT GET MUSIC

10

ISEHARA KAIDO BOYS(SOLO WORKS)

ISEHARA KAIDO BOYS(SOLO WORKS) OIWAKE MOST EP(DEMO) »COMMENT

Chart by STRADA RECORDS 2012.01.17 - ele-king

Shop Chart

年末年始に来日したDerrick May。今回はDerrickが今までにプレイした曲を特集してみました。


1

ALEX Q

ALEX Q JULE EP MUSIK GEWINNT FREUNDE(GER) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayが年末のDommuneでプレイ!】同レーベルからの前作「Endlich Fruhling EP」が売れに売れたドイツのアーティストALEX Qによる注目盤!A面のサックスとピアノが響き渡る上質なディープ・ハウス・チューン「Jule」は前作のファンの期待を裏切らないバッチリな仕上がりです!

2

RENNIE FOSTER

RENNIE FOSTER FALLING SKYWARD RENNIE FOSTER(UK) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】Subject DetroitやMotechといったデトロイト系のレーベルからも作品をリリースするRennie Fosterが自分のレーベルから放った強力盤!KaitoことHiroshi Watanabeによるディープなリミックスが秀逸!ハウシーなトラックにギターのソロがフィーチャーされた心地良くもエモーショナルな仕上がりです!

3

A DRUMMER FROM DETROIT

A DRUMMER FROM DETROIT DRUMS #1 FIT SOUND(US) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】3 CHAIRS第4のメンバーMARCELLUS PITTMANによるファースト・リリースで幕を開けたデトロイトのテクノやハウスのディストリビューターを手がけるFITのセルフ・レーベルFIT SOUNDから謎のユニットによるレーベル第四弾が登場!フロア向けの強力なツール作品となっておりA面はドラム、コンガ主体のパーカッション・トラック、B面はシンセFXやサンプル・フレーズを用いた軽やかなビート・ダウン・トラックと、どちらも即戦力間違いなしの強力盤!

4

ETHYL & FLORI

ETHYL & FLORI SHELTER-ROLANDO REMIX SECRETSUNDAZE(UK) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】「Jaguar」の大ヒットで知られるDJ ROLANDOによるリミックスを収録!音数少な目のクールなディープ・ハウスのオリジナルをパーカッシヴで走ったデトロイト・スタイルのフロア・チューンに仕立てています!黒いサウンドがお好きな方もお見逃し無く!

5

TR(TIMMY REGISFORED&ADRS)

TR(TIMMY REGISFORED&ADRS) NAIVE TRACK RESTRICTED TRACKS/SHELTER (US) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】またまたTIMMY REGISFORDによるDJユースなトラックもの!パーカッション打ちまくりのいかにもSHELTERなビートにレイドバックした上モノが薄っすらと乗っています。B面にはビートのみのトラックをカップリング!

6

FIRST CHOICE

FIRST CHOICE DR.LOVE SALSOUL (US) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayが年末のDommuneでプレイ!】A面収録のFirst Choice/Dr. LoveはDERRICK MAYヘビープレイ、B面Ripple/The Beat Goes OnはCARL CRAIGとのユニットINCOGDOのリエディット作品Ventage (Institutional Mix)の元ネタとしても知られる傑作クラシックス!

7

CODE 718

CODE 718 EQUINOX-HENRIK SCHWARZ REMIXES STRICTLY RHYTHM(UK) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】DANNY TENAGLIAが手がけたLOFT CLASSICとしても知られる名曲のリミックス!2009年の曲ながらDERRICK MAYが最近再びヘビープレイし最注目を集める一枚!

8

CARL CRAIG

CARL CRAIG AT LES-CHRISTIAN SMITH REMIXES TRONIC(UK) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】93年デトロイト・テクノの伝説的コンピ[VIRTUAL SEX]に収録されその後もCARL CRAIGの最高傑作という声も名高い[AT LES]をCHRISTIAN SMITHがリメイク!オリジナルはJAZZっぽい生系のドラムでしたが、本作ではよりフロア映えする4つ打ちキックに変更されており使いやすさも格段にアップ!オリジナルの情感を損なうことなくアップ・デートされた傑作です!

9

VA

VA DISCONET VOLUME 10 DISCONET(UK) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayプレイ!】Derrick MayがTantra - Hills Of Kathmandu (Disconet Remix)をDommuneでプレイ!かつてDJやラジオ向けにスペシャル・リミックスを配給していたDISCONETのレアな音源をコンパイルした再発シリーズの第10弾!盛り上がる人気イタロ・ディスコTantra「Hills of Katmandu」を筆頭にGrace Jones、Yazooのスペシャル・エディットを収録!

10

DINOSAUR L

DINOSAUR L GO BANG#5 SLEEPING BAG (US) »COMMENT GET MUSIC
【Derrick Mayが年末のDommuneでプレイ!】PROD. BY ARTHUR RUSSELLでミックスがFRANCOIS Kの人気クラシック!ガラージ系のDJのみならずDERRICK MAYやGILLES PETERSONも来日時にプレイしていた大定番!

HACIENDA @ VISION - ele-king

 ケン・ローチの『エリックを探して』で最高なシーンのひとつは、マンチェスター・ユナイテッドのサポーター(郵便配達の仕事をするビール腹のおっさん連中)が、チームが鉄道員によって生まれたことを誇りにしているところだが、プレミア・リーグが設立されて、エリック・カントナやライアン・ギグスが台頭し、ブライアン・ロブソンが牽引した頃のオールド・トラッフォードを埋め尽くしていた若いサポーターの多くは、シーズンオフの夏になればイビサを旅行して、アシッド・ハウスで踊っていたはず。1985年5月のヘイゼルの悲劇(UEFAにおけるリヴァプールとユヴェントスの試合で大量の死者を出す)によって世界的に悪名を轟かせたイングランドのフーリガンは、サッチャー首相から公然と「イギリスの恥さらしめが」と非難され、それを受ける形でザ・スミスが"スウィート・アンド・テンダー・フーリガン"を歌ったちょうどその頃、スコットランド人の頑固オヤジ、アレックス・ファーガソンが監督に就任しているわけで、そして、やがてファーガソンによって上昇していくチームと歩調を合わせるかのようにストーン・ロゼーズやハッピー・マンデーズが登場するわけだ。
 なんでこんなまわりくどい話をしているのかって? 昨年、DVDになった『エリックを探して』を見ながら、「やっぱマンチェスターっていいよなー」と漠然と思ったからである。深い意味はないが、深い愛情が沸いてきたのだ。

ピーター・フック ベズ

 今週末(21日)の渋谷〈ヴィジョン〉にはピーター・フックとベズが登場する。説明するにはおよぶまい。フッキーはジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダーのベーシスト、ベズはハッピー・マンデーズのダンサーだ。灰色のマンチェスターがマッドチェスターへと移り変わるところにおいて、もっとも核になる場所=ハシェンダにいたふたりである。ハシェンダを作ったひとりであり、ハシェンダで踊っていたひとりである。日本にいるユナイティッドのサポーターもシティのサポーターも集まらなければならない。もちろん、最近おマンチェを好きになった君や20年前にマッシュルームカットだった君もだ。ちなみにこの日は、瀧見憲司、スギウラムも出演する。
 また、前日の金曜日(20日)には、ドミューンにてプレ・パーティが開催される。7時からはハシェンダのオープン30周年を記念したピーター・フックのトークがあり、DJタイムにはベズのダンスがすぐそこで見れるだろう。DJは、いまやすっかりセカンド・サマー・オブ・ラヴ大使の役目が定着した与田太郎とDJヨーグルト。全曲おマンチェ+アシッド・ハウスを披露する!

1月21日(土) HACIENDA 特別公演第三弾 @ VISION
PETER HOOK ( JOY DIVISION / NEW ORDER ) & BEZ ( HAPPY MONDAYS ) !
https://www.fac51thehacienda.jp/

第5回 2011年のリイッシュー・ベスト3 - ele-king

 発掘音源の豊かさに舌を巻き、その点数もピークに達したと思われる2010年。なかでもナーキ・ブリラン『ナーキ・ゴーズ・イントゥー・オーボ』(81)にジャン・クロード・エロワ『シャンティ』(79)、そしてシコ・メロ『アグア』(84)はこのような音楽が当時のリスナーにやすやすと見過ごされてきたかと思うと、自分も含めてがっかりするしかないほど、よくできた音楽だった。発想だけでなく、スキルも申し分ないし、当時の気分だってちゃんと反映されている。なるほどヒネリは存分に効いているし、並外れたセンスではある。しかし、ありとあらゆる要素がシーンから掛け離れていたとも思えない。アウシュビッツへのこだわりだけを見ても『シャンティ』はそれこそスロッビング・グリッスルのすぐ隣にあった音楽だったことはたしかだし。

 ダメンバートの例もあるように10年ほどシーンを先取りできたミュージシャンは意外といるものである。そのようなミュージシャンに誰ひとりとして光を当てなければ簡単に潰れてしまうこともよくあることだろう。あるいは、一時的に活躍したミュージシャンでも次の時代に伝える力と結びつかなければ、これもあっさりと忘れ去れてしまうことはベルナール・フェーヴルの例を見ても明らかだろう。彼の後半生を彩ったブラック・デヴィル・ディスコ・クラブを〈リフレックス・レコーズ〉が再発しようと思わなければ『ザ・ストレンジ・ニュー・ワールド・オブ・ベルナール・フェーヴル』(75/09)などという奇妙な作品に出会うことはなかった。そして、そこから彼の本当の後半生がはじまったのである。〈リフレックス・レコーズ〉は2011年、ブリットコアのレア盤だったザ・クリミナル・マインズの集大成も再発している。

 21世紀になると、人びとはTVディナーを食べながら20世紀につくられたTVドラマばかり観ているというSF小説があった。大きな回顧モードに入ったスロッビン・グリッスル周辺だけでなく、シンセ-ポップとインダストリアル・ミュージックの境界線上に位置する音楽がやたらとリイッシューされた2011年。その頃のSF的なムードはまさにそのような事実と相俟って、驚くほどの相乗効果をもたらした。本当に小説のなかにいるような気がしつつ(現実があれだしね)、その辺りは適当に避けつつも、他の発掘音源に過大な注意を向けざるを得なかったことも2011年という異常な年の余計な楽しみのひとつではあった。

 ファンク好きには36年ぶりのリイッシューとなったプレジャー『ダスト・ユアセルフ・オフ』は絶対に外せないだろうし、たかがイージー・リスニングとはいえ、インパルスがトム・スコット『ハニーサックル・ブリーズ』(67)を蘇らせたことも事件ではあった。流行りとの連動ではジェフ・アンド・ジェイン・ハドスン『フレッシュ』(83)などというものもあった。それこそ数え始めたら切りがない。そのなかから勝手にベスト3を選んでみた。以下、オリジナルのリリース順に。


Pekka Airaksinen / One Point Music

Pekka Airaksinen / One Point Music O Records

 72年に〈O・レコーズ〉からリリースされたフィンランドの古典的実験音楽がついに。03年に〈ラヴ・レコーズ〉からリリースされたコンピレイション『マダム・アイム・アダム』(ナース・ウイズ・ワウンドやミラ・カリックスらによるリミックス盤との2CD仕様)以外、正規に流通していた作品は皆無だったものが、ようやく同レーベルから39年目にして再プレス(ほぼ同時期に8人編成で活動していたスペルマ『シッ!』をディ・スティルが08年にリイッシューしたことに刺激を受けたのだろう)。

 全体を通して非常に即物的な音の羅列といえ、情緒過多だった同時期の瞑想音楽やドローン・ミュージックと較べても、その無機質かつストイックな音楽性はまさに80年代の先取り。前半で不条理な気分を醸し出そうとすると、なるほど70年代の初期という感じにもなるけれど、フィードバック・ギターをメインとした中盤以降は音の悪いウォール・オブ・ノイズというのか、ある種のパルス・ミュージックにダブのような効果を与えることで最終的には金属的なサイケデリックへと歪んだ音像を導いていく。その酷薄なセンスはパンクを通過していないスロッビン・グリッスルかノイバウテン、ないしはアナログ時代のパン・ソニックとも。

 フィンランドはフリー・ジャズの伝統ではよく知られている国だけど、これもまたアンダーグラウンドの歴史の深さを感じさせる1枚である。先達にこんなことをやられていたら、トムトンツやアーエス(ES)が不可解なことをやり出すのも不思議はないというか。


Pete Shelley / Sky Yen

Pete Shelley /
Sky Yen
Drag City

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 バズコックス以前に録音されていたエレクトロニック・インプロヴァイゼイションのソロ作。パンク・ムーヴメントが一段落した後にシンセ-ポップばかりリリースしていたのも、これを聴けばなるほどで、むしろ、シェリーにとってはフリップ&イーノやクラウス・シェルツェのほうが身近な表現方法だったのだろう。とはいえ、バズコックスをスタートさせた時期の早さからも推測できるように、ここで展開されているのは落ち着いたメディテイション・ミュージックではなく、波打つように電子音が暴れ、サイレンが鳴り渡る様を模したような表現で、それこそパンク・スピリットに通じるメソッドを電子音楽の文脈で独自に確立したものといえる。近い表現を探せばジュリアン・コープの『クイーン・エリザベス』か、バカ陽気なスロッビング・グリッスルとでもいうしかないか。

 どのような衝動に突き動かされてつくったものなのか、聴く人を気持ちよくさせるでもなく、実験音楽の様式性からもかけ離れ、かといって何も訴えてこないというわけでもなく、最初から最後まで同じといえば同じなのに、どこか体験的だというのはどうしたことだろうか。ノイズという方法論がまだなかったからこうなったのかなと思える節もあって、ということはノイズという方法論がこのような創作の可能性を封じてしまったと考えることも......考えるだけなら可能だろう。あるいは当時のリスナーはこのような表現よりもノイズを好んだという言い方もできなくはないし、いずれにしろ、どこにも繋がっていかなかった点でしかなかったにもかかわらず、いまだにその強度を保っている点のままでいるということには素直に驚かされる。パンク・ロックというムーヴメントが起きなかったら、そして、ピート・シェリーという男はいったいどんな音楽をやっていたのだろう......(元々はバズコックスのメンバーだったハワード・ディヴォートがソロになってから元ゼッドのベルナルド・ソジャーンと組んだこともシェリーの影響だったのかもしれない)。
 
 同作はシェリー本人が設立した〈グルーヴィー・レコーズ〉から80年にリリースされ、今回は、〈ドラッグ・シティ〉と共同で同レーベルからリリースされた4点すべてがまとめて復刻されている。どれもユニークな作風で、傾向というものすら持っていなかったといえるなか、ミーコンズから変名で挑んだサリー・シュミット・アンド・ハー・ミュージシャンズ『ハンゲイハー』(80)もオリジナルな作風では引けをとらない出来となっている。あるいは、いま、この作品がイギリスではなく、グルーパーやサン・アローが人気のUSアンダーグラウンドで再発されるのは非常に納得が行くというか。いずれにしろシェリーには、そのA&R能力の点でも感服せざるを得ない。


Die Welttraumforscher / Herzschlag Erde

Die Welttraumforscher
Herzschlag Erde
PLANAM

 スイスからクリスチャン・フリューゲルが81年に初めてリリースしたカセット・テープのアナログ化。82年に録音されたまま未発表だった4曲が補充され、LPサイズの分厚いブックレットもプラスされている。現在でもシンセ-ポップのヴェテランとして創作活動に衰えは見せないものの、けれんみの点ではやはり、その後とは比較できないものがあり、洗練とはまた別の圧縮された衝動に耳を奪われる。一筋縄ではいかない諧謔性にノイバウテンめいた荒々しいコンクレート音との折衷、あるいは伝統的な音楽の脱構築(この頃はとにかくそれが様になった)や肩透かしともいえるチープさと、ひと言でいえば(文化圏的にも)ノイエ・ドイッチェ・ヴェレのヴァリエイションといえる。当時の感覚でいえば消費社会そのものを音の素材としながらも、そのなかから呪術的要素を正確に抜き出した結果、都会的なアニミズムを編み出したとかなんとか。イーノをパロディ化したようなアンビエントもどきに至っては、他とのバランスを完全に欠いているようで、実は裏側から全体を補強しているようにさえ感じられる。稚拙なのに知的、モダンであり、原始的ともいえる円環構造が仕掛けられている......とも。

 フライング・リザーズやパレ・シャンブールを楽しんだことがない(若い)人にどう聞こえるかは見当もつかないけれど、ポスト・パンクの時期に撒き散らされた毒が新鮮味を伴って響くことは間違いがない。そのようなものにもノスタルジーがあり、その毒が自分の体から抜けきっていないことが僕の場合は嫌というほど思い知らされた。いまだに哄笑を伴う音楽が好きなのは、この時代を通過しているからなのか、それとも新しい時代の笑いに気がついていないだけなのか。エレキングでも若い人たちの取り上げるレヴューには笑いというものがまったくないと思うのは僕だけなのだろうか。それとも本当に若い人たちは正しくて真面目なことしか考えていないのだろうか(だとしたら、あー、ホントに息がつまる)。


 次点で、大野松雄 / そこに宇宙の果てを見た

大野松雄
そこに宇宙の果てを見た
EM Records

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 ナース・ウイズ・ワウンド『スペース・ミュージック』のアウトテイクとか言われて聴いていたら果たして信じただろうか......。レイ・ハラカミの恩師にあたり、エレキングVol.3でも取り上げた「音効さん」のファースト・ソロ。『スペース・アンド・マリファナ・トリップ・イズ・セイム』という英題が付けられ、78年に東宝からリリースされていたもので、マリファナのスペルはなぜか「Maryjuane」とミス・スペルになっている(詳しい経緯はライナーに長々と記されている)。これが最近まで30万円から50万円という高値が付けられていて(05年に〈キング・レコーズ〉から『大野松雄の音響世界 The World Of Electro-Acoustic Sound And Music - 2』として『惑星大戦争』とカップリングでCD化はされている)、宇宙の前にサイフの果てを見るしかなかったところ、映画『アトムの足音が聞こえる』の公開に併せたのか、〈エム・レコーズ〉がホログラム・ジャケットでアナログ・リイッシュー。

 効果音からミュージック・コンクレートへ踏み出した先達にトッド・ドックステイダーがいる(裏アンビエントP27)。それに較べれば大野は効果音止まりといえる。あるいは効果音以上の音楽へと発展させる気はなく、あくまでも効果音としてその可能性を広げようとしたのだろう。もしくは「聴かせる効果音」という奇妙なものを作り出したとも。なるほど自分の集中力を変化させることで図にも地にも聞こえ、音に集中したり、しなかったりを繰り返して聴いていた時が最も面白く聴けた(やはり効果音だからか、集中しっ放しで聴いていると、つまらなくなってくる)。それはそのままリミックスの可能性を示唆しているようにも感じられた。

 ちなみにドミューンに大野松雄が出るというので湯山玲子さんと観に行ったところ、僕が驚いたのは88歳で頭がしっかりと回転しているということよりは、大野松雄がいまだにシャイな部分を残していることだった。自分が主役だということは理解しているはずなのに、隙があれば、後ろに引っ込もうとするのである。それはつまり、タメをつくるということでもあり、「次」があると思うから、そのようにできるとも言える。適いませんね。


 番外で、V.A./Klangstudie and Komposition

V.A.
Klangstudie and Komposition
Other Sounds

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 厳密に言えばリイッシューではなく、エレクトロニック・ミュージックについて書かれたデイヴ・ヘンダースン『ジャーニー・トゥ・ア・プラグド・イン・ステイト・オブ・マインド』(チェリー・レッド・ブックス)との連動企画で、〈チェリー・レッド〉が新たにスタートさせた過去音源の編集レーベル(Other Sounds)から第1弾はいわゆるモンド・ミュージックが テーマ(V.A./『Music for a Retro-Future』)。これが、トム・ディッセルヴェルトやジュリアード・パーカッション・オーケストラなどレア音源が手軽に聴けたのはいいけれど、希少性にこだわり過ぎたか、全体の出来はまあまあだったのに対して第2弾はミュージック・コンクレートが題材。〈チェリー・レッド〉というフィルターを通した選曲とそのセンスは、なるほどミュージック・コンクレートの相貌を一変させ、快楽性の高さと同レーベルらしい抒情性の豊かさを堪能させてくれる。ミュージック・コンクレートといえば不条理という連想がまったく働かないのも新鮮なら、コミカルに響く展開の多さもイメージとはかけ離れている。どこからどう聴いてもミュージック・コンクレートには違いないのでヘンな暗示にかかっているとしか思えないんだけど、これは掛けられて損なマジックではないでしょう。この分野は中途半端にしか知らないという人に、むしろオススメしたい。

 ......第3弾以降は何があるのかなと思っていたら、トレイにはこんなアテンションが印刷されていた。「助けてくれる? ヒントがあったら教えて欲しい。チェリー・レッドに相応しいと思うコレクターズ・シリーズが何かあったらEメールを送って下さい。ideas@cherryred.co.uk 感謝します」だって。

Chart by JET SET 2012.1.16 - ele-king

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1

BJORN TORSKE

BJORN TORSKE OPPKOK REMIXES »COMMENT GET MUSIC
Bjorn Torskeが2010年リリースのフル・アルバム『Kokning』からのリミックス・カットは、Mungolian Jet Set / Moon Jocks N Prog Rocksのヒット記録を塗り替える事間違いなしの1枚!

2

TODD TERJE

TODD TERJE IT'S THE ARPS »COMMENT GET MUSIC
2011年発、Running Backからのオリジナル楽曲「Ragysh」がロングヒット中のTodd Terjeによる高揚感満載のスペース・ディスコ大推薦盤です。

3

CANYONS

CANYONS KEEP YOUR DREAMS »COMMENT GET MUSIC
12インチが即完売したサイケ・ディスコ・ロック・アンセム"My Rescue"、Nite Jewelのスクリュー・ヴォーカル炸裂A-3など、センスが光り輝くファースト・アルバム!!

4

PLUG

PLUG BACK ON TIME »COMMENT GET MUSIC
Planet Mu主宰μ-ZiqやAphex Twinらとともにコーンウォール一派の一員としてもお馴染みのLuke Vibert。ラウンジxドリルンベースに挑んだ伝説のユニットが奇跡の復活です...!!

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WALLS

WALLS INTO OUR MIDST »COMMENT GET MUSIC
身体中の筋肉をジワジワと弛緩させる甘美な毒がたっぷりと詰まった魔の傑作が誕生!!

6

I:CUBE

I:CUBE CUBO EDITS »COMMENT GET MUSIC
Esp Institute参戦も話題となったAlexis Le Tanによる2008年カタログ6番以来の新作リリースとなったVersatile傘下レーベル"Les Edits Du Golem"から、本家"Versatille"からのリリースで御馴染みのフレンチ・プロデューサーI:Cubeによるグレイテスト・エディットが新着です!!

7

V.A.

V.A. ANNIVERSARY SERIES: PART 1 »COMMENT GET MUSIC
レーベルの中軸ユニットJuju & Jordashはバレアリック調の鍵盤メロディやストリングスを転がしたビートダウン・ハウスを展開。Morphine Records X Delsin X M>O>Sの共同リリースとなった1stアルバムも最高だったMorphosisは、スリリングなドラム・プログラムにダークネスな鍵盤リフを絡めた圧巻のテクノ・ナンバーを披露したDekmantleレーベルらしいディープなカップリングとなっています。

8

SOUL SYSTEM

SOUL SYSTEM LOST TAPES 1 »COMMENT GET MUSIC
Jason Groveによるレーベル第一弾に続く新作は、No More HitsやClone周辺で目覚しい躍進を遂げている伊プロデューサーNicholasによる新名義作!!

9

FRANK BOOKER

FRANK BOOKER HOPE »COMMENT GET MUSIC
Mark E & Kez YM Remixを収録した国産Wonderful Noiseからの12"作品もヒットした才人Frank Bookerによる新作10"。両面お勧めです!!

10

NEW WORLD GENERATION

NEW WORLD GENERATION S.T. »COMMENT GET MUSIC
謎多きソウル・グループN.W.G.の発掘音源がNow Againより登場。フリーソウル・ファンも虜の絶品モダン・ソウルからRoy Ayers直系ミスティック・ブギーまで、どれもこれも素晴らしすぎます!!

Chart by UNION 2012.01.09 - ele-king

Shop Chart


1

GLENN UNDERGROUND

GLENN UNDERGROUND Forgotten Art MUSIC 4 YOUR LEGS / JPN »COMMENT GET MUSIC
近年のセオ・パリッシュのプレイチャート、またデリック・メイの最新ミックスCDにトラックがピックアップされるなど常に現役であり続け、素晴らしい楽曲をシカゴから放つディープハウス界の重鎮グレン・アンダーグラウンド待望のNEWアルバム。前作『Legacy Of The know』かわずか1年、その前作の流れを踏襲しつつも本作ではフロアから少し距離を空け、リスニングアルバムとしての要素を強めた楽曲製の高い内容に。『Forgotten Art』というアルバムが示す通り、ジャズ~ジャズファンク、ディスコ、ブラジリアンといったクラシックスの素晴らしさをハウスというフォーマットで再提示するかのようにそれらの要素を巧みに取り入れ、GU節ともいえる黒いフュージョン色が圧倒的な完成度と共にリスナーを魅了する1枚。

2

SCOTT K. VS. STEVIE WONDER

SCOTT K. VS. STEVIE WONDER As (Box Edit) BOX MUSIC / UK »COMMENT GET MUSIC
DJ COLE MEDINAとのタッグで注目を浴びたJAMES BROWNやTHE O'JAYS"I Love Music"のエディットがFRANKIE KNUCKLESやDERRICK MAYのヘヴィープレイもありヒットしたSCOTT K.が、今盤ではSTEVIE WONDERの名曲"As"をエディット!!ブラックネス溢れるKDJマナーなハウストラックへと昇華したA-サイド、エフェクティヴにダビーに組たてたセミ・インストB-サイドもヤバい!!お早めに!

3

BRONX DOGS

BRONX DOGS Tribute To Jazzy Jay WHITE / JPN »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEYリミックス!!!! PERRY BOTKIN & BARRY"Riot"などのオオネタを引用したオールスクール感満載のファンキー・コラージュトラック"Tribute To Jazzy Jay"。最近ではENDLESS FLIGHT、AUTODISCOTEQUE等で活躍するRICHARD SENによるユニットBRONX DOGSの"Tribute To Jazzy Jay"をDJ HARVEYがリミックスしたクラシックを片面収録したホワイト盤!!

4

MARCEL DETTMANN

MARCEL DETTMANN Deluge 50 WEAPONS / GER »COMMENT GET MUSIC
DETTMANNの2011年最後のシングルはベルリン・テクノ・シーンの裏番・MODESELEKTOR主宰の50 WEAPONSから到着。 ヒプノティックなベースライン上をトビ系のウワモノが跳ね回る危険極まりないバッドトリップ・ミニマル"Deluge"と重量級のキックが容赦なく打ち込まれるインダストリアル・テクノ"Duel"共に鉄壁のフロアキラー、特にB-1"Duel"のバウンスして打ちまくる捩れキックのソリッドさ加減はその一音だけでもシビれてしまいます。

5

EQD

EQD Equalized 111 EQUALIZED / GER »COMMENT GET MUSIC
MARCEL DETTMANNと並ぶOSTGUT TON一派の代表格・SHEDの変名・EQDが放つ待望のファースト・アルバム。ベルリン・テクノを席巻するレーベル・OSTGUT TONから2枚のアルバムを発表、名実共にモダン・テクノの最高峰へと登り詰めたSHEDことRENE PAWLOWITZが、2007年より始動させた別プロジェクト・EQDのファースト・アルバムをドロップ!! 本作「EQUALIZED 111」は、これまでリリースされた12"x 5枚をコンパイルした全10曲の構成で、アナログ・ユーザー以外にはまさに待望と言える内容。徐々にビルドアップしていくヒプノティックなビートに震えるM-1、国内外のTOP DJがヘビー・プレイしたソリッド・ミニマルM-5等等、どこを取ってもキラー・チューンの嵐!MARCEL DETTMANNをはじめとするOSTGUT TON一派、SANDWELL DISTRICT、PETEER VAN HOESENなど現在進行形のテクノがストライクなリスナーはマストな最強盤。

6

LINKWOOD

LINKWOOD Secret Value SHEVCHENKO / UK »COMMENT GET MUSIC
FIRECRACKER傘下の要注目レーベルSHEVCHENKOの4番、VAKULAの3部作に続いてはLINKWOODの新作がリリース!ジワジワと空間を埋めていくシンセ・フレーズに鋭角なハット、Bassの抜き差しでテンションを変化させ展開されるA-1、有機的に変化するスペーシーなSEが重なりアンビエンスに上昇、ロング・ミックスに重宝しそうなA-2に、息をのむ美麗なシンセが舞う壮大なディープハウスB-1はぜひ野外で。再プレス無しの180gのクリアヴァイナル重量盤!

7

MILTON BRADLEY

MILTON BRADLEY Dark Of The Psychic Unknown DO NOT RESIST THE BEAT / GER »COMMENT GET MUSIC
MILTON BRADLEY主宰、ベルリン・アンダーグラウンド・シーンで熱い注目を集めるDO NOT RESIST THE BEATレーベルから最新第7弾の到着。このDO NOT RESIST THE BEATは勿論、PROLOGUEやZOOLOFT等からのリリースやPERCやCIO D'OR、ABSTRACT DIVISION等へのリミックス提供、更にMARCEL DETTMANNの最新ミックスCD「Conducted」やDJ NOBU「On」等にもその楽曲が収録されるなど、この数年で瞬く間に頭角を現したMILTON BRADLEY、本作でも音数少ないダビーなボトムをベースにジリジリとノイジーな音響系ウワモノが捩れる、一貫して凄まじくドープなアンダーグラウンド・サウンドを唸りを上げて鳴らしており、全く目が離せない好内容となっています。

8

HARMONIOUS THELONIOUS

HARMONIOUS THELONIOUS Drums Of Steel ASAFA / GER »COMMENT GET MUSIC
2011年最後の最後にHARMONIOUS THELONIOUS新作が到着!!A ROCKET IN DUB, ANTONELLI ELECTR., REPEAT ORCHESTRA etc..と幾多の名義を使い分けるSTEFAN SCHWANDERニュー・プロジェクトとして昨年リリースしたアルバム「Talking」及びそのシングル・カットで聞かせたミニマル + アフリカン・リズム・パターンで展開する激プリミティブ・サウンドが大反響となったHARMONIOUS THELONIOUS、来年早々にリリース予定のセカンド・アルバム「Listen」からのシングル・カットとなる待望の新作12"。 幻術的なエレクトロニック・サウンドとめくるめくリズムの洪水!

9

A.P.

A.P. Garden Therapy GHOST SOUNDS / SWE »COMMENT GET MUSIC
北欧スウェーデンからミニマル・ダブ/アンビエントの新潮流を巻き起こしているレーベル・GHOST SOUNDS主宰者・A.P.の新作が登場!!マニア心をくすぐる数々の限定盤をリリースし、本物を求めるリスナーから高い支持を得ているスウェーデンのレーベル・GHOST SOUNDS。本作は20分にも及びロング・トラックを片面1曲ずつ収めたA.P.渾身の作品! A面のオリジナルでは、彼にしては珍しくトライバルなリズムを導入しビートの立った躍動感溢れるトラックを披露、そしてB面には盟友ATHEUS(STYLAX/SILENT SEASON)による冷厳なドローン・シンセが空間全体を覆ういつものGHOST SOUNDS路線に近いアンビエント・リミックスを収録。

10

HAIR

HAIR Going Adore Alley MENTAL GROOVE / GER »COMMENT GET MUSIC
LTD 100!LUCIANOやMISS KITTINらをいち早くピックアップしたことで知られるMENTAL GROOVEとDISK UNIONのコラボレーション・シリーズが始動、本作はHOPEN名義やNATHAN JOHNSON(WAGON REPAIR)とのユニット・STARTING TEETHで活動するCHILDE GRANGIERの新たなプロジェクト・HAIRのファースト・アルバム。シネマティックな音像がアルバム全体のムードを決定付けている冒頭の佳曲"Where The Palms Grow"、都市の雑踏を拾ったかのようなフィールド・レコーディングスと物悲しいピアノ、散文的なヴォイス・サンプルが乾いた叙情を感じさせるM-3"Indian"等、ノイズとアンビエント、エレクトロニカが自由に混ざり合った非常に興味深い仕上がり。MENTAL GROOVEのオンラインショップとDISK UNIONのみでの販売となります。

Chart by TRASMUNDO 2012.01.09 - ele-king

Shop Chart


1

DADDY-KAN

DADDY-KAN Music for the MIDNIGHT CRUISER vol.1 »COMMENT GET MUSIC

2

CMT


3

5LACK

5LACK blacksmokecar »COMMENT GET MUSIC

4

DJ HIGHSCHOOL

DJ HIGHSCHOOL INT'L PLAYERS CLASSICS VOL.02 »COMMENT GET MUSIC

5

ILL FANTASTICO

ILL FANTASTICO STEAL MY SUNSHINE vol.1 »COMMENT GET MUSIC

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ISSUGI&DJ SCRATCHNICE

ISSUGI&DJ SCRATCHNICE WHERE OWN WONDER »COMMENT GET MUSIC

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COSAPANELLA

COSAPANELLA The Cosapanella from Mdm »COMMENT GET MUSIC

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DJ 49

DJ 49 THE SWEETEST HOLIDAY »COMMENT GET MUSIC

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BUDAMUNK

BUDAMUNK LIGHT THE CANDLES »COMMENT GET MUSIC

10

DJ ASAMA

DJ ASAMA White serenity »COMMENT GET MUSIC

Chart by Underground Gallery 2011.12.29 - ele-king

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1

ONOMONO

ONOMONO onomono_ep_03 (onomono.jp / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
前作の第一弾が、予約の段階でソールドアウトとなり、市場には僅かな枚数しか出回ることがなかった、著名トラックメイカーによるテクノプロジェクト"onomono"の第二弾が遂に解禁! 叩きつけるようなキックと浮かび上がるようなスネア・ロールによるアグレッシブなビートに、グチュグチュと発信されたアシッド・シークエンスが脳内をかき乱すように捩れ狂う、マッド & ドラッギーなアシッド・テクノを披露したA面、カタカタとローリングする中音域の音塊が、複雑なディレイ処理で倍増されながらピプノティックに展開していく、ケミカル・ミニマルのB面、ともに、"MACHINELIVE"にて培われた、ピークタイムのフロアの一体感が凝縮された、キラーなミニマル・テクノ!

2

DREXCIYA

DREXCIYA Journey Of The Deep Sea Dweller I (Clone Classic Cuts / 2LP) »COMMENT GET MUSIC
今尚、世界中に大きな影響力を持ち、多くのフォロワーやコレクターが存 在するデトロイト・ディープ・サイドの象徴と言える伝説のエレクトロユニッ トDREXCIYAが、[UR]時代に発表した、超レア・トラックをコンパイルした究極のベス ト・アルバムがリリース!1992年にJAMES STINSONとGERALD DONALDによって結成、されSubmerge系列[Shock Wave]レーベルから「Deep Sea Dweller」でデビュー、その後は、[UR]を中心に、 [Somewhere In Detroit]、[Warp]、[Rephlex]といった名門レーベルから数多くの作品 をリリースし、APHEX TWINことRICHARD D.JAMESを筆頭に、世界中のDJやプロデューサー など、特に音楽関係者から「デトロイト・ディープ・サイドの象徴」とまで、形容さ れるほどに、絶大なリスペクトを集めたエレクトロ・ユニットDREXCIYA。2002年にメンバーのJAMES STINSONが突然の心臓発作で他界し、その後は、デトロイト の伝説として語り継がれてきたDREXCIYAが、[UR]時代に残した数多くの名作群を、新 たにコンパイルした究極のベスト・アルバムが今作。

3

A DRUMMER FROM DETROIT

A DRUMMER FROM DETROIT Drums #1 (Fit / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
Submergeと同じ敷地内に拠点を構える、デトロイトのディストリビューター件、レコード・ショップ[Fit]が運営するレーベルから、謎のドラムアンサンブル・ユニットA DRUMMER FROM DETROITによる、パーカッション・ツールが登場!熱く打ち鳴らされたドラム・パーカッションを軸に、ホーン・サンプルやギター等を散りばめながら、ファンクネス溢れるグルーヴを刻む、迫力満点のトライバル・ハウスのA面、軽快な跳ねたトライバル・ハウス・グルーヴに黒くうねったベース・ラインと、ワンループのエレピフレーズが絡んだB面の2トラック。一体誰がやっているのか、詳細不明ですが、今後のリリースに期待が持てる、要注目のユニットが誕生です!

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SELDOM SEEN

SELDOM SEEN Radio Slide(2007-2010) (Frustrated Funk / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
現在は、相棒 "Esteban Adame"と地元ロスアンジェルスで [ICAN]として活躍する、デトロイト系 チカーノ・テック・ハウスの雄 "Santiago Salazar"が、UR 在籍時にマッド・マイクとともに プロデュースした『Slide』チューン未発表曲をオランダ"CLONE"系列[Frustrated Funk]からリリース。 編集用ソフトの操作ミスから生まれた、まるでレコードのセンター・ホールがズレたかのような ビートを『Funky!!』と喜んで採用したという『SLIDE』チューン。マシンの偶然性をおもしろがる マイク・バンクスならではのエピソードです。 さて、今回の未発表トラックは4曲収録。1曲目 "Radio De Slide"は、Mad Mike直系のエレクトロ・ ビートに、おそらく、Mike?と思わしきボイスが乗った、This Is UR Electro!な作品。2曲目 "Rip Slide" は、これぞ『Slide』というズレズレのリフレインに、アシッドな303がアクセントをつける作品。 "Finger Snap's And Turn"というモータウンか!というタイトルが付けられた3曲目 は、少し遅めの BPMながら、往年のURクラシックスである "By Knight EP"などにも通じる『Simple, Dark and Funky』 な作風。最後の "SO SO SO"、タイトルそのままのコーラスが「ベタやなぁ縲怐vと思いつつも、固く ソリッドなドラム・ビートにコズミックな上音が絡み出すと、おっ!UR!!と思わせられるテクノ よりのエレクトロ・トラック。 [ICAN]からのMix CDリリースの予定も届く、Santiago SalazarのURでの足跡。ぜひ、お楽しみください。

5

ABACUS PRES. IDRUM

ABACUS PRES. IDRUM Idrum This Djembe (Ndatl Muzik / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
毎回、プレス枚数が少ないマニアックな作品を届けてくれる、デトロイトのKAI ALCE が主宰する[Ndatl Muzik]レーベルの新作は、90年代にはCHEZ DAMIERの[Blance]、 DERRICK MAYの[Fragile]、シカゴの[Guidance]などから、数多くの名作をリリースし てきた、カナダはトロントのベテラン・ディープ・ハウサーAustin Bascom aka ABACUSの新作12インチが登場! 今回は、Mr.FINGERS、THEO PARRISH、JOE CLAUSSELL、LOUIE VEGAなど、大御所アーティ スト達の作品へ、ドラム部隊として参加していたDAVIDSON ELIE率いるiDRUMとのコラ ボレーション!熱く打ち鳴らされたジャンベが刻む、黒々したハウス・グルーヴを基軸 に、エレクトリックなシンセや、サックスソロ等を絡めた、本格派 & 正統派アフロ・ トライバル・ハウスが3トラック

6

FUNCTION

FUNCTION Ember (Sandwell District / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
現在、最も信頼できる、熱いレーベルの一つでもある、UKコンクリート・テクノ最重要レーベル[Sandwell District]から、レーベルの代表格、DAVE SUMNER aka FUNCTIONのNewシングルが登場。 深いリバーブ音像が空間に響く、モノトーンなシンセが、淡々とクールにひた走る、ドープ・ミニマル・テクノ!流石の一言!

7

CELLULE EAT

CELLULE EAT Maria Colors 002 (Maria Colors / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
上品で洗練されたディープ・ジャジー・ハウス!マイナー作品ですがオススメです。 凄く良いです。新レーベルMARIA COLORS第2弾。ディープ・エレガントなエレピフレー ズとモダンなハウスグルーヴがマッチした、オススメの一枚です。 ほんのりとジャズの香りがする、幻想的に浮かび上がってくるウワ音のシンセ と、細かくカット・アップされたエレピ・フレーズで展開していく、ディープ・ エレガントなモダン・ハウス作品。DREI FARBEN HOUSE、TARON-TREKKAの リミックスも収録されていますが、一押しはA1のオリジナル。

8

WALT J

WALT J Ascender (Walt J / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
実は"SOMEWHERE IN DETROIT"と同じ敷地内にある、デトロイトのレコード・ショップ兼、ディストリビュータ[FIT]が運営するレーベルから、デトロイトのカルト・ハウス・レーベル[Dow Records]より1997年にリリースされた、 デトロイトのカルト・アーティストWALT Jの超レア作品「Ascender」が再発! WALT J、並びに[Dow Records]の作品は、DERRICK MAYやJUAN ATKINSも頻繁に使用していたにも関わらず、知名度の低さとプレス枚数の少なさから、市場に出回ることが少く、欧米のコレクターからは、カルト・レーベルとして高額取引されるほどの人気。今作も30竄ャ前後のプレミアが付いていただけに、この復刻は本当に有り難い! シカゴ・ハウスとも通じるような、シンプルでLO-FIな構成がら、グルーヴの奥深くに"ファンク"を感じずにはいられない、WALT Jらしいテック・ハウス作品です

9

MIKE PARKER

MIKE PARKER Pulse Trader (Prologue / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
個人的にも大好きな、リアル・ミニマリスト、大学教授という肩書きを持つことでも 知られるN.Yのインテリ・トラックメーカーMIKE PARKERの新作が、ミュンヘンの名 門[Prologue]から登場。 毎回同じ、と言ってしまえば、元も子もないのですが(笑)、判っていながら引き込ま れてしまうのが、MIKE PARKERの凄さ。「音厚とうねり」のみで、聴くものを強引に、 自身に世界へ引きずり込んでいく、オリジナルなサイケ・ミニマル・テクノが4トラッ ク。単体でも、ロングミックスでもいける、ミニマルDJなら、レコード・ボックスに 入れておいて頂きたい、本物のミニマル・テクノ集。オススメで

10

MOVE D

MOVE D Serge & Josephine (The Exquisite Pain Recordings / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
90年代には[Warp]、[Source]と言った名門からリリースをした経歴を持ち、ここ数年は、[Workshop]、[Philpot]といったシーンには欠かすことが出来ない重要レーベルから数多くの名作を産み落としてきた、誰もが尊敬するジャーマン・ハウスの大ベテランDAVID MOUFANGこと、MOVE Dの新作!B面にはEDDIE Cによるリミックスを収録!
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