「Ord」と一致するもの


V.A.
Fresh Evil Dead

Pヴァイン

Tower HMV Amazon

 現東京のアンダーグラウンド・パーティ・シーンから新しいパーティのかたちを発信しつつ、その営みごとパッケージングするように作品リリースも行い、自身らと参加者との生命の火を燃やしつづける〈SCUM PARK〉〈歌舞伎町Forever Free!!!〉とその周辺。あなたもその激しくも切なくもバカバカしくも最高に楽しい場所の、生きた記録・生きた記憶になろう!
 これまでに登場したアーティストを中心に収録し、彼らの活動と価値観とが示されたコンピ『FRESH EVIL DEAD』の発売を記念した完全無料パーティ〈歌舞伎町Forever Free!!!〉がいよいよ明日にせまっている。出演者・タイムテーブルが公開されたのでチェックしてみよう。
 Have A Nice Day! 、Nature Danger Gang、GORO GOLOなどコンピレーション参加アーティスト12組に加え、Limited Express (has gone?)、MANGA SHOCK、BOOLをゲストに招いて金曜の夜から朝まで入場完全無料だ。

■音楽前夜社 & SCUM PARK presents
歌舞伎町Forever Free!!!

新宿LOFT
10/17(金)
19:30-28:30
入場完全無料!!!!!
-V/A FRESH EVIL DEADレコ発編-

Have A Nice Day!
Nature Danger Gang
GORO GOLO
チミドロ
Fat Fox Fanclub
Limited Express (has gone?)
MANGA SHOCK
D.J.APRIL(BOOTY TUNE)
Harley&Quin
ALchinBond
RAP BRAINS
Y.I.M
GLOCAL PUSSYS
mirrorball inferno
BOOL
(順不同)

■タイムテーブル
Open/Start19:30

Floor:20:00-20:30 D.J.APRIL
Stage:20:30-21:00 Fat Fox Fanclub
Floor:21:00-21:30 mirroball inferno
Stage21:30-22:00 GORO GOLO
Floor:22:00-22:30 Y.I.M
Stage22:30-23:00 Limited Express (has gone?)
Floor:23:00-23:30 BOOL
Stage23:30-24:00 NATURE DANGER GANG
Floor:24:00-24:30 Rap Brains
Stage24:30-25:00 Have A Nice Day!
Floor:25:00-25:30 ALchinBond
Stage25:30-26:00 Harley&Quin
Floor:26:00-26:30 GLOCAL PUSSYS
Stage26:30-27:00 MANGA SHOCK
Floor:27:00-27:30 D.J.APRIL
Stage27:30-28:00 チミドロ


今回で4度めとなる同パーティの本質に迫るドキュメンタリー映像も公開中。撮影/編集はYEALO!



FRESH EVIL DEAD tumblr
https://welcome2scumpark.tumblr.com

音楽前夜社 tumblr
https://ongakuzenyasya.tumblr.com

YEALO!
https://yealo.jp


Form A Log - ele-king

 これは2014年のギャグ・アルバム、No.1でしょう。マティアス・アグアーヨやメリディアン・ブラザーズなど、ここ数年、南米に持っていかれっぱなしだった笑いをアメリカに取り戻した3人組。フィラデルフィアからプロフライゲイト(Profligate)ことノア・アンソニー(Noah Anthony)、コンテナー(Container)ことレン・ショーフィールド(Ren Schofield)、ディナー・ミュージック(Dinner Music)ことリック・ウィーヴァー(Rick Weaver)によるスラップスティックの玉手箱です。アナログ盤としては『ザ・トゥー・ベンジーズ(The Two Benji's)に続く2作めで、笑いの角度が少し内側に向くことで弾けるような攻撃性よりもじわじわと効いてくるタイプに発展途上しています。最近のコメディ映画でいえば『なんちゃって家族』よりも『俺たちニュースキャスター』か。感傷性の裏打ちではなく、フォックスTVの右傾化を揶揄しまくった毒のある感じを思わせる。

 〈ノット・ノット・ファン〉からデビューしたプロフライゲイトは基調がどこまでもインダストリアルだったし、〈スペクトラム・シュプール〉から2枚のアルバムをリリースしているコンテナーはインダストリアル・イタロ・ディスコとでもいいたくなるテクノ未満の強迫的なビートの反復がメイン。しかし、同じようにアンダーグラウンドに沈みきっていてもカセットばかり出しまくるディナー・ミュージックは奇怪な作風に振り切れまくり、何が中心にあるかもわからない存在なので、アンソニーもショーフィールドもこの人の磁場に引きずりこまれて、いつしか接点がお笑いになってしまったと考えるのが自然なのだろうか(リリー・フランキーやピエール瀧が集まると老人殺しの映画になる感じ?)。
 ある意味、ディナー・ミュージックの八方破りな音楽性はこれでもひとつの方向性を持つようになったといえ、少しは掴みどころというものができたというか。かつてゼロ年代にウルフ・アイズやバーニング・スター・コアといった混沌から最終的にはアンビエント・ドローンが導かれていったパターンとは異なる混沌からちがう種類のものが生まれつつあるのかもしれない。どこから来るのか、その余裕。ジャケットがどうして法廷なんだろうと思ったら、実際にニュー・ヨークの法廷でライヴ録音されたものだという。3人とも演奏しているのはテープのみ。

 オープニングはそれこそディナー・ミュージック。ジャズ・ピアノの響きと木槌を叩く音と傍聴席のざわめきにはじまり、ハーシュ・ノイズにグルーヴィーなベース・ライン、さらにはギター・ソロのループに各種のブリープ音と容易には把握しきれない音楽性の洪水がつづく。ただし、グジャグジャではない。リズムもシャッフルを効かせたものが何曲か。ジャド・フェアーとマウス・オン・マーズを足してミュージック・コンクレートで割った感じだったり、ピエール・アンリとディーヴォをアレックス・パタースンがマッシュ・アップしているようだったり、もしくはバットホール・サーファーズがノイエ・ドイッチェ・ヴェレと化したとも、ハーバートがフライング・リザーズをリミックスしたとも(あ、なんで、それないんだ?)。ポップ・ミュージックではよく「なんでもあり」という形容がされるけれど、実験音楽でそのような状態になったものと思えばいいのかもしれない。つーか、ポップ・ミュージックと実験音楽の境すらないに等しいかも。千変万化のおもしろさです。

 ベルギーのフィオーク(Fyoelk)やナスラックス、アメリカのナッティマルに日本の食品まつり……笑わせてくれる人はみんな好きだなー。

DBS -MALA&COKI (Digital Mystikz) - ele-king

 みなさま、いよいよです。スーパー台風明けの今週末、マーラとコーキがデジタル・ミスティックズとして日本へやってきます! ダブステップをサウス・ロンドンで開発したオリジネーターが揃って来日するのは今回が初めて。日本での彼らのホームであるDBSでどのようなプレイを見せてくれるのでしょうか。前回のマーラとコーキのDBSでのDJプレイはこちらでチェックできます。

DBS presents "MALA IN JAPAN"

DBS 16th. Anniversary feat. COKI & SILKIE

 マーラとコーキがダブステップ最重要レーベル〈dmz〉からリリースを開始したのは2004年。リチャード・D・ジェームスも関わる〈リフレックス〉から、ふたりが参加したコンピレーション『グライム2』が発売されたのも実はこの年なんです。
 レーベル開始当初からロンドンのブリクストンで開かれる、〈dmz〉のパーティは現在も大変な人気を誇っています。キャッチ・コピーは「Come meditate on bass weight!」。ジェイムズ・ブレイクがデジタル・ミスティックズが出るイベントの常連だったことは有名なエピソードですね。先日来日した〈ナイト・スラッグス〉のボク・ボクも〈dmz〉から大きな影響を受けたプロデューサーのひとり。マーラとコーキがいない現在の音楽シーンを想像することは不可能です。
 日本を代表するプロデューサーであり、デジタル・ミスティックズのふたりと共にダブステップのシーンの形成に携わった〈バック・トゥ・チル〉のゴス・トラッドも当日は駆けつけます! 前回のピンチ来日時に素晴らしいDJを披露したシバライダーもプレイ!
 デジタル・ミスティックズの10年の節目にみんなで瞑想しようぜ!

DBS - A Red Bull Music Academy Special with MALA&COKI (Digital Mystikz)

日時:10月18日 (土) OPEN / START 23:30
会場:代官山UNIT
料金:前売3,000円 / 当日3,500円
出演:
MALA & COKI (Digital Mystikz)
GOTH-TRAD (deep-medi,BTC)
SIVARIDER
VJ:SO IN THE HOUSE

Saloon:
LAO
Ekali
DJ STITCH
TETSUJI TANAKA
KEN

MALA & COKI (DIGITAL MYSTIKZ)

ダブステップのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。
'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。
'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとDIGITAL MYSTIKZ の知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年にMALAは個人レーベル、Deep Medi Musikを設立、以来自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。一方のCOKIは'07年にBENGAと共作した"Night"をTempaから発表、キャッチーな同曲は'08年に爆発的ヒットとなり、ダブステップの一般的普及に大きく貢献する。
そして'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』がアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールでMALAのスピリチュアルな音宇宙を明示する。そしてCOKIも同年末、やはりDIGITAL MYSTIKZ 名義でアルバム『URBAN ETHICS』を発表(P-VINEより日本盤発売)、血肉となるレゲエへの愛情と野性味溢れる独自のサウンドを披露する。その後もDMZから"Don't Get It Twistes"、Tempaから"Boomba"等、コンスタントに良質なリリースを重ねつつ、11年から謎のホワイト・レーベルのAWDで著名アーティストのリワークを発表、そして12年、遂に自己のレーベル、Don't Get It Twistedを立ち上げ、"Bob's Pillow/Spooky"を発表。
MALAはGILLESの発案で'11年、彼と一緒にキューバを訪れる。そしてMALAは現地の音楽家とセッションを重ね、持ち帰った膨大なサンプル音源を再構築し、'12年9月、GILLESのBrownswoodからアルバム『MALA IN CUBA』を発表(Beatinkから日本盤発売)、キューバのルーツ・ミュージックとMALAのエクスペリメンタルなサウンドが融合し、ワールド・ミュージック/エレクトロニック・ミュージックを革新する。
"Come meditate on bass weight!"

前売り情報:
PIA (0570-02-9999/P-code: 241-304)、 LAWSON (L-code: 70720)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS(090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD.
1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
TEL:03-5459-8630
www.unit-tokyo.com


■JINTANA プレ・コメント

 そろそろ本格的に秋の空気になってきましたね。
 過ぎ行く夏の残り香を最後に楽しむチルアウト紀行をお届けします。
この連載を読みながらのBGMとして制作した楽曲もYoutubeにアップしましたので、ぜひ聴きながら、ゆったりと秋の美空を楽しんでくださいませ。

JINTANAプロフィール
Paisley ParksやBTBも所属するハマの音楽集団〈Pan Pacific Playa〉(PPP)のスティール・ギタリスト。同じく〈PPP〉のKashifや一十三十一、Crystal、カミカオル、あべまみとともにネオ・ドゥーワップバンドJINTANA&EMERALDSとして『Destiny』をP-VINEよりリリース。オールディーズとチルアウト・ミュージックが融合したスウィート&ドリーミーなサウンドがTiny Mix Tapeなど海外メディアも含め各地で高い評価を得る。LIVE予定は、jintana&emeraldsで12/29「和ラダイスガラージ特別篇」@六本木スーパーデラックス、ソロで11/1「FADER」@新世界。 「Destiny」アナログ盤、予約受付中⇒jintanaandemeralds.com
online shop/live schedule:::Jintanaandemeralds.com

■イビザのチルアウト/レイドバックサイド
~歴史と海とローカルフード~

 〈USHUAIA〉での鮮烈なイビザ・パーティ体験を経て、僕は放心していた。鳴り響くビートと青空から美しくグラデーションした星空、そして生命力を爆発させている若い男女。臨終のタイミングでも「アレはいいパーティだったな……ガクっ」と思い出せるような、一生の思い出に残るパーティだった。〈USHUAIA〉は、ひとつのクラブというより、常設のレイヴ会場といったほうが合っているのだろう。イビザにはそんなクラブがたくさんひしめいているのだから恐ろしい。

 さて、そんなアゴが外れた放心状態で、僕はイビザの街に出た。昨夜の経験から、僕の目には、この街のすべての人がパーティピーポーにしか見えなくなってしまっていたのだが、よくよく見ると街には穏やかな空気が流れていた。僕の滞在していたホテルもロビーで老夫婦が日向ぼっこしながらトランプをしている、というのがデフォルトの状態だ。この島の魅力はどうもパーティだけではないらしい。そこで翌日はイビザに根づくローカルな魅力を体験してみることにした。

 まずはビーチ。噂通りトップレスが多い。みんな大きなオッパイをポロリンチョして日向ぼっこを楽しんでいる。美しいビーチに並ぶ、健康的に小麦色に焼けた肌たち。うーむ。ただひとつイメージとちがったことは、その多くが60代の老夫婦であったことだ。とはいえ、みな、とても幸せそうで素敵だった。あんな老夫婦になりたいものだ。イビザはパーティ・アイランドという側面の他に、ヨーロッパの他の国々からやってきた50代、60代の方々がゆったり過ごすところ、という側面もあるようだ。

 つづいてビーチを通り過ぎ、ダルト・ビラと呼ばれる旧市街に向かった。
その一体には、岬のような形で海に面した城壁に囲まれた箇所がある。そこはローマ帝国やイスラム系の国家、そしてスペイン王国など多くの国による、さまざまに入り組んだ歴史とともにあったという。そして、そういった歴史的背景が培ってきた風土が大変貴重なものであることから、なんとイビザ島自体が世界遺産に登録されているとのことだ! なんということだ……。毎晩毎晩、僕らはアホみたいに踊りまくっているこの場所が、じつはすべて世界遺産の上での出来事だったということか。僕はブッダの手のひらで踊らされていた孫悟空のような気持ちになり、高台からイビザの蒼い海を眺めながら、感慨深く思った。これは少女漫画でよくあるパターンの、いつもめちゃくちゃ明るい男友だちが、「じつは昔は苦労して頑張っていたんだよね」っと爽やかに笑って語る横顔をみた瞬間に、ズキュン! と突然イケメンに見えはじめるというやつである。イビザ、やはりあなどれん。

 そんな感慨に耽りながら城壁の丘から降りて、僕はレストランComidas Bar San Juan(コミダ・バル・サン・ホアン)へ向かった。ここは地元の方にとても人気のある店らしく、一度行ったときはすごい行列で入れなかった店だ。イビザで行列ができるのは他では見たことなく、非常に人気店であると思われる。さて、お店の方にオススメを聞いたところ「ミートボール」と言う。咄嗟に「♪石井のお弁当くん、ミートボール~」という昔のCMソングが脳内をループしつつ、さほど期待せずに口に運んでみたら……ゥンマァ!!!!! トマトベースのスープの中におもむろに潜んでいるそいつは、一口ごとに肉汁が溢れ出し、食べ終わることが名残惜しすぎるほど愛おしい存在であった。ふぅ、イビザはローカル・フードも非常においしい街のようだ。

■カフェ・デル・マー
~音のシャワーを全身に浴びて~

 さて、僕は今回の旅の最大の目的地であるカフェ・デル・マーに向かった。アンビエント/チルアウト・サウンドの聖地として名高いこのカフェは、Sant Antoni(サン・アントニー)というビーチの波打ち際にある。僕はイビサ・タウンからバスにのり、サンアントニーへたどり着いた。(もちろんバスターミナルでかかっているBGMは派手なダンスミュージックであることは言うまでもない)。カフェ・デル・マーに向かって歩いていると、10代の白人カップルが話しかけてきた。彼らはすごくキラキラした瞳で、どのパーティに今晩行くんだい? という話題をしてきた。そしてとても重要な話のような口調で「やはりスティーブアオキは一度体験した方がいいよ! DJブースからでっかいケーキをぶん投げてくるんだ! 僕の友だちはね……ずっと口を開けて踊ってたよ!!!」などしょうもない話をしてくれた。僕らはそんな楽しいパーティ情報をひとしきり交換し、またどこかで会おうね! と言って別れた。こういう音楽愛という共通事項で繋がっているから誰とでも仲良くなれるという感覚は、すごく心地よい。

 サンアントニーの海岸はとても太陽でまぶしかった。海外沿いにはたくさんカフェ・バーが立ち並んでいて、どこからもダンス・ミュージックが流れてきている。そして一際白く輝き、帆のようにパラソルがはためく美しいカフェが目に入っていた。そう、ここが〈カフェ・デル・マー〉だった。
 太陽のきらめく水面に手の届くような距離で並べられた涼しげなテーブルとイス。そこに透明感のある心地よい音楽がスピーカーから流れ出ている。美しく流れるような書体でCAFÉ DEL MERと書いてあった。そこは、ブルーと透明と白でできた世界だ。
 僕はコロナビールを注文した。コロナなキャンペーン・ガールである身長180cmくらいの美女が白いサングラスをくれた。僕はしばしこの空間に酔いしれることにした。波の音、海に反射する太陽、透明で包み込むようなダンス・ミュージック……。

 ここは太陽と波と音が完璧に調和した空間だった。

 バーカウンター横のDJブースに目をやるとグリーンのTシャツを来たDJが楽しそうに回していた。太陽の位置がすこしずつ落ちる頃、DJはカフェの隣にあるステージに移った。そこは小さい屋外ライブハウスという感じの空間で、〈カフェデルマー〉に併設されているようだった。音に導かれるように太陽が沈んでいく。その瞬間を見届けようとたくさんの人が海岸に溢れ出した。昼から夜に変わる、毎日毎日あることなのに、その瞬間に浸り味わうだけで、なぜこんなにエクスタシーがあるのか。

 太陽が沈む瞬間、人々は歓声をあげた。まるでパーティのはじまりを祝うかのように。
〈カフェデルマー〉。何十年と培ってきた感覚の積み重ねによる強い説得力と、誰をもその世界に導く優しさをもっていた。

■旅を終えて
~永遠に四つ打ちが鳴り響く島~

 素晴らしい日々を終えて、僕はタクシーの車窓から街を眺めながら、シミジミした感慨に耽りながら空港に向かった。
 夕陽、波、二度と同じ瞬間はないという感覚。そしてそれと対話するかのようなダンス・ミュージック。それはその瞬間だけのインプロヴィゼーションを堪能させる体験だ。そして、それが一期一会の瞬間芸術であるからこそ、人生は有限であることを感じ、だからこそ「生きていることは素晴らしい!」というシンプルな気持ちにさせてくれる。

 そんな最高のチルアウトがなぜイビザで生まれたかというと、当たり前のことかもしれないが、最高のパーティーが一方にあることの対極のことがらだからだと思った。
 テンションが上がりきって絶頂へ連れていってくれるパーティがあり、その反対にクールダウンしきり、メロウで無我の境地へ連れていくチルアウトがあるのだと思った。陰と陽のように表裏一体で人生を味わわせてくれている。そしてその繰り返しがサウナ→水風呂→サウナ水風呂の永久運動のごとく、どこまでも気持ちよくさせてくれるのだ。

 そんなふうにシミジミとした気持ちも束の間、空港に着くとイミグレーションの列から、揃いのTシャツをきたバカそうな軍団が降りてきた。いちばん先頭の美女はビールジョッキ型のサングラスをかけている、薄暗い空港なのに。その愛すべきバカそうな軍団をみていると、僕はハイタッチして、「次はお前の番な! あとは任せた! グッ!」と言いたくなるような気持ちにさせられた。そういや行きに見かけた花嫁のヴェールをかぶった女子版バチェラーパーティー軍団はどうしているだろうか? そういや〈カフェ・デル・マー〉の前で見かけたとき「空港でいっしょだったね」と声かけたら「フゥ~!」と喜んでいた。
空港内には〈パチャ〉などのクラブ直営のファッション・ブティックがあり、巨大なビジョンにはさまざまなクラブのパーティ・シーンが映し出されている。そんな最後まで島を上げてのダンス・ミュージック全力投球な空気感の中で飛行機は飛びたった。

 眼下には美しい街明かりが広がる。この明かり、ひとつひとつのもとで、相変わらずダンスミュージックが鳴り響いているのだなあと思うと、旅の終わりなのに不思議と寂しくなかった。また、地球の反対側の日本に帰っても、ここでは永久に四つ打ちが繋ぎつづけられていると思うと、なんとなく安心もする。僕がどんなメンドくさい状況であろうとも、あそこではみんながずっと同じようにフゥ~! といいながら踊っているんだと。じゃあ大丈夫だと。何が大丈夫かわかりませんが。僕はそんな不思議な安心感とともに日本への帰路へとついたのでした。


終わりのご挨拶

拝啓 みなさま

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
 その後、JINTANA&EMERALDSで夏の間はHOME SICK@京都メトロ、代官山UNIT、JIN ROCK FES、りんご音楽祭、またソロとしてOPPA-LAなど素晴らしすぎる箱やパーティでやらせていただきましたが、運営、箱のみなさま、見てくださった方々、本当にありがとうございました。
 月並みですが、海外から帰ってきて、日頃遊ばせてもらっている店やフェス、パーティにきている方々の、それぞれのセンスのよさや姿勢のカッコよさを改めて再認識し、ホントーにみんなカッコいいな! カッコよすぎる! と改めて感動しました。今後とも引きつづき、そこかしこでいっしょに遊んでくださいませっ!

PS JINTANAソロとしては、僕の尊敬する、あのヤバすぎるシンガーをフィーチャリングした楽曲を製作中です! そして、次のJINTANA&EMERALDSのライヴは12月29日「和ラダイスガラージ特別篇」@六本木スーパーデラックス(DJ: 永田一直 / 中村保夫 / CRYSTAL / CHERRYBOY VJ: 20TN! and more)です。ぜひ。

敬具


RHYDA (VITAL) - ele-king

秋 2014.10.03

都内を中心に活動するサウンドフリーク集団「VITAL」のMC。
B-BOY文学でありながらパンクとも形容されるLIVEは唯一無二!必見です。

秋、これからどんどん気温下がりそうですがチャートはケッコー夏を引きずった感じで。いい音楽聞いてまだまだHOTにぶっこきましょう!

10/25(sat)にホームである吉祥寺WARPにてPARTY開催!こちらもぜひ!

2014.10.25(sat)
Vital presents
YougonnaPUFF?
at Kichijoji WARP

Open-24:00
Entrance: 1500yen[1d]

◆LIVE
RAP BRAINS / VOLO
COCKROACHEEE'z / RHYDA

◆DJ
Endless aka Resort / Crash / OG from Militant B
g1 / m28 / NSR dubby X / Chara-bomb

◆CLOTHING BOOTH
DELTA CREATION STUDIO / RWCHE / mo' / MBJP

More INFO:
https://vitality-blog.blogspot.jp/

C.E AND THE TRILOGY TAPES AFTER PARTY - ele-king

 グローバル・コミュニケーションがマーク・プリッチャードとトム・ミドルトンによるユニットだと知らず、ただただジャケットに描かれた「耳」に惹きつけられて『76:14』を聴いた。何年もこのアルバムと付き合ってきて、あの聴覚体験を象徴する存在はやはりあの「耳」以外考えられない。僕がいくつか親しんできたウィル・バンクヘッドの作品のなかではシンプルなほうだが、もっとも印象に残るデザインだ。

 気づけばあなたもバンクヘッドをフィルターに音楽を聴いている。〈モ・ワックス〉や〈オネスト・ジョンズ〉からのリリース、ジェイムズ・ブレイクのファースト、〈ヘッスル・オーディオ〉のコンピレーション……、このあたりで数えるのをやめよう。よい音楽を追い求めていたら、彼の作品を無視することなど不可能なのだ。

 2008年にバンクヘッドがはじめたレーベル〈ザ・トリロジー・テープス(TTT)〉は、スリーヴはもちろんのこと、初期のカセットによる流通まで、すべてがデザインし尽くされていた。もちろん、その仕事が成り立つのも肝心の音があってこそ。呆れるほどラフで、ときに過剰なまでに写実性を追求するようなスリーヴ・デザインと呼応するかのように、さまざまなシーンで活躍するプロデューサーたちがこのレーベルからリリースを重ねてきた。

 デザインもサウンドも含めて〈TTT〉の動向が無視できないのと同様に、今週末のバンクヘッドの来日もチェックしていただきたい。先日フォルティDLとともに来日した、気鋭のライオン男のアンソニー・ネイプルズ。7月のリリースはまさかのジャングルだった、初来日となる百鬼夜行的な日本画が印象的なリゼット(なぜライオンと日本画なのかは作品をチェック)。いままさにチェックしたいこのふたりのアーティストとバンクヘッドがどんなステージを繰り広げるのか、連休明けから週末が気になってしようがない。

そしてこちらは先日公開されたC.EのA/W 2014-15のムービー。日本でのムービー制作は初となり、ディレクターには映像作家の伊藤高志を、音楽には当日出演するRezzettを迎えている。

www.cavempt.com

■C.E AND THE TRILOGY TAPES AFTER PARTY

日時:2014年10月18日(土)  24:30 - 28:00
会場:渋谷ヒカリエ ヒカリエホールB(入り口は11階)
料金:無料 フリー・ドリンク
備考:
20歳未満入場不可
要顔写真付ID
ファッションウィーク東京の最終日10月18日(土)にVERSUS TOKYOで発表される[C.E Spring/Summer 2015 presentation]のアフターパーティーとしての開催。

出演:
Will Bankhead

〈Mo’Wax〉でメイン・ヴィジュアル・ディレクターを務めたのち、〈PARK WALK、ANSWER〉といったアパレル・レーベルを経て、〈The Trilogy Tapes(TTT)〉を立ち上げる。〈TTT〉の運営と並行し、現在はミュージック・レーベルの〈Honest Jon's Records〉、スケートボード・カンパニーの〈Palace Skateboards〉などにデザインの提供もおこなう。
https://www.thetrilogytapes.com/

Anthony Naples

2012年、ニューヨークのレーベル〈Mister Staturday Night〉からリリースした「Mad Disrespect」でデビュー。その後すぐにFour Tetの楽曲をリミックス。今回一緒に来日するWill Bankheadのレーベル〈The Trilogy Tapes〉からもEPをリリースしている。
https://www.facebook.com/pages/Anthony-Naples/238739712996283

Rezeett

2013年デビュー。現在までにThe Trilogy Tapesから2枚のE.Pをリリース。
C.E A/W 2014-15のムービーに未発表音源を提供した。当日はライヴ・セットを披露。
https://www.facebook.com/itsrezzett
https://rezzett.bandcamp.com


interview with 16FLIP - ele-king

直感的な感性を持つアーティストのひとつの特徴として、彼らは曲というものを自分とはべつに存在するひとつの生き物と見なし、その存在の証人となることができる、ということが挙げられる。究極的には音楽作りという行為自体の外側に立ち、音楽が生まれるプロセスの神秘に魅入られ、そしてそのプロセスの中に吸い込まれていくことができるのである。
──ジョー・ヘンリー
(ミシェル・ンデゲオチェロ『ウェザー』ライナーノーツより)

 僕はいま、16FLIPの直感力とヒップホップへの一途な情熱と求道的な姿勢が無性に気になっている。直感力に関していえば、この、東京のヒップホップ・シーンを代表するひとりであるビートメイカーのリズム、グルーヴ、サンプリング・センスにたいして使われる“黒い”という形容詞以上の“何か”をそこにあるのではないかと感じている。

 長年ヒップホップを徹底的に掘り下げてきた音楽家が、だからこそ何かを突き破りつつある、その過程をいま聴いているのかもしれない。けれども、直感はその人間の経験と知識から生み出されるもので、他人がそれを完璧に理解し、共有するなど無理な話だ。自分の耳だけを信じて、彼の音楽を聴いていればいいとも思うが、どうしても気になる。だから、話を訊いてみることにした。

 きっかけのひとつは1年ほど前の出来事だ。2013年10月某日、とある渋谷のクラブでDJした16FLIPは、ドクター・ドレとスヌープの“ナッシン・バット・ア・G・サング”とギャングスターの“ロイヤリティ”を何気なくスピンした。これまで何十回、もしかしたら百回以上は聴いたであろうこの2曲のクラシックが、まったく別の輝きを放って耳に飛び込んできたことに僕は震えた。
 90年代のUSヒップホップの音響やリズムが、2013年の耳を通して新鮮な感覚を呼び起こしただけではなかった。この感覚は何だろうか? そのときたしかに、「16FLIPにしか聴こえていない音とグルーヴ」を感じて、その後あらためて16FLIPのビートに関心を抱くようになった。


06-13
16FLIP

DOGEAR RECORDS

Hip Hop

Tower HMV Amazon

 ISSUGIや5LACKやMONJUをはじめ、BES、KID FRESINO、JUSWANNA、SICK TEAMといった数多くのラッパーやグループへのトラック提供で知られるこのビートメイカーは今年、2006年から2013年までに制作したトラックを収めたセカンド『06-13』と3枚のミックスCD(『OL'TIME KILLIN' vol.1』『OL'TIME KILLIN' vol.2』『SKARFACE MIX』)を発表している。すべてのトラックを手がけたISSUGIのサード・アルバム『EARR』のインストのアナログ盤『EARR : FLIPSTRUMENTAL-2LP-』のリリースも予定されている。
 まったくもって派手な宣伝や露出はないものの、16FLIPの音楽と存在は街にじわじわと浸透しつづけている。ファンの彼に対するまなざしは本当に熱い。すごいことだ。

 取材は今年の5月後半におこなった。ここでの僕の望みはふたつ。16FLIPのファンはより深く彼のことを知る手がかりにしてもらえればうれしい。そして、16FLIPを知らない人はこのインタヴューをきっかけに彼の音楽に耳を傾けてくれたならばありがたい。


リー・ペリーとかマックス・ロメオとか、レゲエの人たちが、わけのわからない年代で区切って作品を出したりするじゃないですか。“86-92”みたいな感じで。

最初にトラックを作ったのはいつで、きっかけはなんだったかという話から訊かせてもらえますか。

16FLIP:友だちのDJの家にMPCがあったんですよね。中3か高1ぐらいですね。で、そいつがいないときとかに遊びで作っていて、MPCを自分もほしいなって。それがきっかけだと思いますね。たぶん、自分で作るのがいちばん新鮮に感じてたと思うんすよね。そういう経験がなかったから。だから、やりだしたのかもしれない。でも、作らない時期もかなりありましたね。ちょこちょこ作ってたんですけど、あんまり上手く行かねぇなって。で、MONJUの作品を出すかってなったときに、またちゃんとやりだした感じだと思います。オレのトラックで、MONJUで1曲録ったら、わりとしっくりくるっていうことになって(笑)。それが、『103LAB.EP』(2006年)の“THINK”っていう曲なんです。その曲のトラック違いのやつがあって、それを最初に作ったんです。そこから、『103LAB.EP』を作る流れになったような気がします。

16FLIP名義で最初に世に出たトラックは、JUSWANNAのEP『湾岸SEAWEED』(2006年)に入ってる“東京Discovery”と“ブストゲスノエズ”なんですよね。

16FLIP:そうなんすよ。仙人掌の家に遊びに行ったときにメシア(THE フライ)も遊びに来たりしてて、そのときにトラックを作ったような気がしますね。レコーディング・スタジオに連れていってもらってミックスしてもらって、スタジオで爆音で聴いてたのを思いだすっす。いま思うと参加するチャンスをくれたことに本当に感謝してます。

『06-13』は、2006年から2013年までの作品を集めたアルバムですよね。2007年からにすることもできたわけだし、ベスト的な作品にすることもできたわけですよね。どうしてこの期間に絞ったんですか?

16FLIP:ベスト的なことを書いてくれている人も多いんですけど、自分はベストを出してるっていう気持ちはなくて。リー・ペリーとかマックス・ロメオとか、レゲエの人たちが、わけのわからない年代で区切って作品を出したりするじゃないですか。“86-92”みたいな感じで。そういう気分で出したつもりなんです。アルバムの題名を付けるのも好きなんですけど、題名は最終的にあってもなくてもいいかなって思ってる自分もいるんですよ。2006年に作ったトラックは一曲ぐらいしかないと思うんですけど。

それはどれですか?

16FLIP:たぶん、“Oitachi”だけですね。

選曲の基準みたいなものはあったんですか?

16FLIP:基準はいつも直感なんですよね。「いまはこの曲だな」みたいな感じですね。だから、1ヶ月とか2ヶ月経ったら違う曲を選ぶと思うし、1年かけて十何曲選びましたとかじゃなくて、「出すか」って決めて、パッパッパッパッパッみたいな感じで選びましたね。

ほとんどが2分以内、長くても3分ぐらいのトラックばかりですよね。サンプリング一発で、いい意味で遊びの感覚にあふれた作品集だなって感じました。ダブ的というか、ノリだけじゃないけど、ノリを大事にしてる感じがすごく伝わってくるというか。

16FLIP:そうっすね。最近、前よりもDJとして呼んでもらえる機会が増えて、それが作るときにいろいろ活かされてるなって自分では思うんですよね。DJ的感覚で一枚のものをまとめたいっていう気持ちがすごいありましたね。だから、自分の曲でDJやってる感じっすね。

“NEWDAY”も入ってますよね。仙人掌くんにインタヴューさせてもらったときに、「自分が客演した曲のなかで印象に残っている曲は?」って訊いたら、真っ先に挙げてきたのがこの曲だったんですよ。

ISSUGI feat.仙人掌“NEWDAY”

16FLIP:それはあがるっすね。(仙人掌と)こないだ話したんすけど、まじでいままで何曲フィーチャリングしたかすぐには把握できないくらいあるよねって言ってたんですよね。基本的になにをサンプリングしてトラックを作ったとか、あんまり憶えていないんですけど、“NEWDAY”に関してはまじでわかんなくて。そういう系のトラックなんですよね。いまはもう作れないだろうし、オレはトラックに関しても2度と作れないものが好きなんですよね。

まさに直感というか、瞬間の閃きの人なんですね。

16FLIP:しかも、その直感がそのときで消えちゃったらそれでべつにいいと思ってますね。

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いけるときは、たぶん10分ぐらいでいけますね。時間かけてもいいものができるっていうのは、オレのトラックにはないんですよ。

YouTubeにトラックを作っているときの映像がアップされてるじゃないですか。いつもああやってひとりで作ってるんですか?

16FLIP:だいたいそうっすね。あとは友だちの家とか大阪とか行ったりしたときもたまにトラック作ったりしてるんですよね。DJやりに行ったときとかに。

Making beat with 16FLIP/ "Smokytown callin" comingsoon

へぇぇ。それは、MPCを持ってくんですか?

16FLIP:いや、大阪に〈Fedup〉っていう、いつも行ったときお世話になってるお店があって自分たちのCDとかも置いてもらったりしていて。その横が〈Fedup〉のスタジオになっていてMPCとかもあって、遊びに行ったら使わせてくれるんすよね。C-L-CとかDJ K FLASHとかが「いいネタあったで」みたいな感じで教えてくれるから、「おお、ヤベェ! じゃあ、作ろう」って、作ったりしてますね。『II BARRET』にも大阪で作ったトラックが入ってますね。“No more ballad”のトラックです。

他にも〈Fedup〉で作ったトラックはたくさんある?

16FLIP:ありますね。大阪で10曲以上は作ってるんで、それをまとめてCDを出そうと思ってます。MPCがあればどこでも作れますね。ニューヨークに行ったときも、スクラッチ・ナイスの家で一週間に10曲ぐらい作って楽しかったっすね。

早くて1曲何分とかで作れちゃいますか?

16FLIP:いけるときは、たぶん10分ぐらいでいけますね。時間かけてもいいものができるっていうのは、オレのトラックにはないんですよ。そういう作り方は自分に合ってないですね。だから、できたトラックに手も加えないっすね。

ほんと潔いですよね。そういえば、遅ればせながら、16FLIP VS SEEDA『ROOTS & BUDS』(SEEDA『花と雨』を16FLIPが全曲リミックスした作品。2007年発表)を聴きました。評判だけはまわりの友だちから聞いてて。でも、あの作品は手に入りにくいし、中古でも高値じゃないですか。いや、とにかく、あのクラシックを完璧に16FLIPの世界に塗り替えているのに驚いたし、すごくかっこよかったです。あの作品はどういう経緯で作ったんですか?

16FLIP:当時、ナインス・ワンダーがナズの『ゴッズ・サン』(2002年)をリミックスしたアルバム(『ゴッズ・ステップサン』(2003年))を聴いて、それがかっこいいと思ったんですよね。トラックメイカーがラッパーのアカペラを使ってリミックス・アルバムを作って名を上げるハシリ的な感じだったと思うんですよ。それ以前もそういうのはあったかもしれないけど、ナインス・ワンダーはそこらへんのやり方がなんかかっこよくて。その後PUGが面白いこと考えてきたんです。『花と雨』が出たときに〈HARVEST SHOP〉で買うと特典でアカペラのCDRがついてきたんですけど、ちょうどMONJUの『BLACK DE.EP』(2008年)を出すのが決まってた時期で、「その前に一発カマしたほうがいい」みたいなことを言ってて。それで、もちろんSEEDAくんにも許可をもらって作ったんですよね。16FLIPを知らない人もSEEDAくんのリミックス盤だからってことで聴いてくれた人もたくさんいたと思うし、SEEDAくんには感謝してますね。

いまだに聴けていない人が多いのももったいないし、いま再発しても大きな反響があるんじゃないかと思ったぐらいです、ほんとに。

16FLIP:まじっすか!? それはありがたいです。

はい。さっきも話に出ましたけど、最近はDJもよくやってますよね。手前味噌ですけど、僕が16FLIPくんにミックスCD(『OL'TIME KILLIN' vol.1』『OL'TIME KILLIN' vol.2』。〈ディスクユニオン〉限定販売)の制作を依頼したのも、こうやってインタヴューさせてもらってるのも、そもそもは去年の10月に16FLIPくんのDJに打ちのめされたのがきっかけだったんです。あのとき、ドクター・ドレとスヌープの“ナッシン・バット・ア・G・サング”と、ギャングスターの“ロイヤリティ”をかけたじゃないですか。

16FLIP:はい、かけましたね。

Dr.Dre feat. Snoop Doggy Dogg“Nuthin But a 'G' Thang”

Gang Starr feat. K-CI & JOJO“Royalty”

自分はあの2曲をこれまでさんざん聴いてきたんですけど、あんなふうに聴こえたことがなかったというか、まだ上手く言葉にできないんですけど、「16FLIPだけに聴こえてる音とグルーヴがあるんだな」って実感したんですよ。

16FLIP:それ、すげぇうれしいっす。かける人によって、同じ曲でも違って聴かせられるのがDJのおもしろいところだし、ライヴDJが同じインストかけるにしても、かける人によって感じ方とか威力がそれぞれ違うんですよね。そいつの醸すものがそのまんま出るんですよね。だから、ライヴも関係性が高いほうがいいと思いますね。

関係性というのは、ライヴの出演者同士の?

16FLIP:出演者同士のではなくて、MCとライヴDJの場合っすね。人間の関係性もグルーヴだと思うんですよ。

ああ、なるほど。そのDJのあとに話したときに、16FLIPくんが、「ヒップホップだけで、ヒップホップをあまり聴かない音楽好きの人をヤバイと言わせたい」みたいなことを言ってて、それが16FLIPの音楽をまさに言い表していると感じたんですよね。

16FLIP:やっぱり自分は、ヒップホップがいちばんカッコいいと思ってるから。まあもちろん……

比べることじゃないけど……


自分の音楽がヤバイっていうよりも、自分の音楽を通したときに、「ヒップホップってヤバイな」ってならないとダメだとオレは思っていて。

16FLIP:そう、比べるものじゃないですけど、たとえばレゲエだったらレゲエがいちばんヤバイと思ってる人の音楽が聴きたいってことですね。自分にとってヒップホップは他には代えられないものだから。自分の音楽がヤバイっていうよりも、自分の音楽を通したときに、「ヒップホップってヤバイな」ってならないとダメだとオレは思っていて。自分がいろんな人のヒップホップを通して、ヒップホップの良さを知ったんで。そういう感じですね。

16FLIPの音楽、ビート、トラックは、たとえばいまアメリカで売れている主流のヒップホップの派手さや煌びやかさとは真逆にあるわけじゃないですか。もちろん、アメリカにもそういうヒップホップはたくさんあって、ロック・マルシアーノやエヴィデンスのような人は主流や流行と関係ないところでずっと音楽を続けてきたと思うんですね。16FLIPもまさにそうだと思うんです。自分たちが主流や流行とは違う音楽をやっていることに迷いや不安を感じたことはなかったですか?

16FLIP:それはまじにないっすね(キッパリ)。

ははははは。

16FLIP:そういうことを自分で考えたこともなかったですね。派手だとか、アンダーグラウンドだとか、そういうことを考えてないからっていうのもあると思います。流行のヒップホップのなかにもヤバイものはあるし、逆に、自分たちと同じスタイルというか、近いテイストでもダメなものは絶対あるから。どういうのが良くて、どういうのがダメかっていう基準が自分のなかにあるんです。たぶんそうなんすよね。だから、変わんないのかもしれないですね。

その話で思い出したんですけど、2年前ぐらいの〈WENOD〉のウェブ・サイトのインタヴューで印象に残ってる発言があるんですよ。DJプレミアについて、「ブレる事を知らない人の音からでるパワーってすごくて」(https://blog.wenod.com/?eid=206126)って語ってるじゃないですか。いままさに16FLIPの音も円熟……というのは早い気がしますけど、そういう段階に入りつつあるのかなって感じるんです。

16FLIP:ピート・ロックでも、J・ディラでも、ティンバランドでもいいんですけど、ずっと続けているヤツの重みがオレは好きなんですよね。

僕が16FLIPくんに清々しさを感じるのは、サンプリング・ネタの曲やミュージシャンやレコードに頓着しないところなんですよね。

16FLIP:そうっすね。オレ、ぜんぜんそういうの気にしないっすね。

トラックメイカーやビートメイカーやDJのなかには、マニア気質の人たちもいるじゃないですか。16FLIPくんはまったく正反対でしょ。

16FLIP:同じネタでトラックを作っても、違う人間がやったら、絶対に違うものになるし、同じものは作れないじゃないですか。だから、誰々の曲を使ってるとか、オレはまったくどうでもいいんですよ。そういうとこには興味がないんですよね。

だから、『06-13』でも他の人は避けそうなソウルやファンクの大ネタをためらいなくドッカ~ンと使ってるじゃないですか?(笑)

16FLIP:はい、ドッカ~ンっすね。だからオレ、レアかどうかとかって、すごく嫌いなんですよ。そんなの音楽の価値に関係ないんですよね。自分の良いか悪いかしか判断基準にならないんです。たとえば、5万円のレコードがあっても、オレが良いと思わなかったらDJでかけないし、逆に2円で買ったレコードでもヤバかったらかけますね。どんなネタを使っても、オレが作ったらオレの作り方になるし、DJでも、オレがかけたらオレのかけ方になるっていうのがわかってるんですよね。

それを僕は去年の10月の16FLIPのDJに感じたんでしょうね。

16FLIP:そう感じてもらえたことがすげぇうれしいんですよね。それは自分にとって重要なことです。オレも人のDJのそういうところを感じてるし、それこそ“ロイヤリティ”を聴いて、「ああ、懐かしいね」で終わっちゃう人もいるかもしれないけど、オレにとっては永遠にヤバイ曲なんですよ。いつ聴いても良いんですよ。だから、その曲が有名だろうが、初めて聴く曲だろうが、関係ない。きっとそういうことなんですよね。

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ワンループにこだわってるわけではないんですけど、最初はMPCのパッドが16個だったから、16FLIPにしたんですよ。

ところで、16FLIPっていう名前は何に由来しているんですか? 16は16小節からきているのかなと思ったんですけど。そうだとしたら、16FLIPのワンループの美学へのこだわりを考えると、的を射ているなって。

16FLIP:ああ、たしかに。ワンループにこだわってるわけではないんですけど、最初はMPCのパッドが16個だったから、16FLIPにしたんですよ。自分にいちばん合ってるのは、そういうシンプルな名前だなと思って。いまとなってはなんでもいいかなって思いますね。けっきょく名前とかって、やってるヤツ次第でかっこよくも感じられるし、ダサくも感じられるから。あとはスケボーをやってたから、単純にFLIPっていう言葉が好きだったと思うんですよね。で、ヒップホップのトラックの作り方のなかにも、FLIPっていう言葉があったから、そのふたつを掛けたのかもしれないですね。ひっくり返すっていう意味もあるし。

ISSUGIのファースト『THURSDAY』(2009年)に提供した“GOOD EVENING”ってインタルードはスケボーの音で作られてますよね。ほんとに美しくて瑞々しいインタルードですよね、あれは。

16FLIP:(スケボーの音を)入れてましたね。

あのころから5年経ったわけじゃないですか。年齢とともに遊び方も変わったり、生活の変化もあったり、環境も少なからず変わったと思うんですけど、そういう変化は音に反映されたりしてますか?

16FLIP:う~ん……、環境はどんどん変わっていってると思いますけど、トラックを作ることに対しては、とくに変わってない感じなんすよね。もちろん聴いてる音楽もその時々で違いますし、生活の変化も音楽に影響してるとは思うんですけど。ただ、音楽に対して、昔より柔軟になったっていうか、理屈っぽさがさらになくなってきてるかもしれない。

へええ、16FLIPくんが自分のことをそう考えていたとはちょっと驚きです。音楽に関して理屈っぽく考えていたとこもあったんですか?

16FLIP:いや、なんて言えばいいんすかね、そういう理屈とか関係ない自分でさえ、ちょっと理屈っぽかったのかなって思っちゃうときはあったかもしれないっすね。

自分に理屈っぽさを感じたのはどういうところに? ヒップホップに対してストイック過ぎるとか?

16FLIP:いや、そういう部分じゃないんです。なんていうんだろう、昔はいまよりも硬かったっすね、グルーヴが。いまのほうがよりスムースになっていってると思うんですよ。そういう感じですかね。なんか、オレ、動物的になっていくのがすげぇいいと勝手に思ってて。

ああ、なるほど。16FLIPくんが言うその言葉には説得力がありますよね。ただ一方で、こんなこと訊くのも無粋ですけど、一般的には、年齢を重ねると、たとえば家族のことだったり、お金のことだったり、若いころとは違った不安や焦りも生まれたりするだろうし、頭が固くなってしまうというのも一面ではあると思うんですよ。そういうことは感じたりしませんか?

16FLIP:でも、そういうことがあったとしても、音楽には及ばないというか、音楽には影響しないですね。生活の変化は音楽に影響はしてるんですけど、ヘンな音楽を作って、自分が空しい思いをするとしたら作んないほうがいいって思ってますね。余計な考えとかはいらないっすね。うまく説明できないんですけど、そうっすね、自分は自分の音楽がどんどん変化していくのがおもしろいし、それを楽しんでるんですよね。音楽は自分のやりたいことを100%出すのがいいと思いますね。それが前提ですね。

16FLIPくんの音楽に対するストイックな姿勢に接すると背筋が伸びる思いがしますよ。

16FLIP:ほんとっすか?

いや、ほんとに正直な気持ちです。オレとかやっぱだらしない人間だから(笑)。

16FLIP:そうすか?

ははは。

16FLIP:いやー。

やっぱり人間、いろんな欲もあるじゃないですか。

16FLIP:そうっすね。たしかに。

16FLIPくんほどの人気があれば、一獲千金……じゃないですけど、もっとギラギラしてても不思議じゃないと思うんですよ。

16FLIP:一獲千金(笑)。ヘンなことしてヒップホップで一獲千金できると思ってないですからね。

はははは。

16FLIP:もしもですけど、一獲千金する方法があるとすれば、たぶん自分のやり方を貫くことだと思ってますね。自分を貫かなかったら、一獲千金どころか、泥の舟に乗ってるようなものだと思うんですよ。音楽を長く続けるコツは、自分のスタイルを持って続けることだと思うんで。絶対。なんかヘンなことをやったら、自分の寿命を縮めるだけだと思うし、実際そうだと思うんすよね。だって、それでうまく行く人とかあまり見たことないし(笑)。そういう気持ちって人に伝わるじゃないですか。

そうですね。音から伝わりますね。

16FLIP:わかるっすもんね。「あ、こいつ変わったな」みたいになっちゃうと思うんすよ。


俺のなかではラッパーやDJが“B-BOY”じゃなくなったときに、がっかりするっていうか、悲しくなりますね。「ヒップホップを捨てたなあ」みたいなときが。

リスナーもそこは厳しく見てますよね。僕は、ファンやリスナーは薄情な一面もあると思っていて、自分が好きなミュージシャンやラッパーやDJのスタイルが変化したら、見捨てるときはあっさり見捨てたりもするじゃないですか。

16FLIP:俺のなかではラッパーやDJが“B-BOY”じゃなくなったときに、がっかりするっていうか、悲しくなりますね。「ヒップホップを捨てたなあ」みたいなときが。そうなっちゃったときに、自分のなかでは完全に終わると思ってます。

たとえば、メソッドマンにしろ、ナズにしろ、あれだけポップなフィールドでも活躍して、ポップな曲も作って、カネも得ているけれど、いつまでもヒップホップしていて、カッコいいですよね。

16FLIP:カッコいい人はいますね。オレ、スヌープやっぱり好きですね。あと自分は、誰々の“この1曲”が好きっていうよりは、“その人”の作るものが好きだっていう感じなんですよ。だから、ミックスを聴いてくれる人とかも入ってる曲をそうやって聴いてもらえたら、うれしいっすね。

“人間を聴いてる”という感じですかね。

16FLIP:そうっすね。あと、他の人が聴かなくなっても、自分が好きだったら聴いていればいいし、そういうもんだと思うんですよ、音楽って。

16FLIPにとって、ヒップホップって何でしょう?

16FLIP:最終的には、曲を作ることが、自分のヒップホップを表現する行為と同じことだと思ってますね。DJにしても、ラッパーにしても、そうなんですよね。「自分のヒップホップはこういうもんだ」と思ってるものが出ちゃう、ただそれだけだと思ってます。

実は今日、16FLIPくんに会う前にECDさんにインタヴューしてきたんですよ。本人はどう考えているかはわからないけれど、ECDは相変わらず、いまの16FLIPくんの言う意味での“B-BOY”なんだなってすごく感じて。

16FLIP:そうっすね。それはすげぇ思います。

1960年生まれだから、今年で54歳ですよね。

16FLIP:まじでリスペクトですね。

16FLIPくんは自分の音楽家としての未来を考えたりしますか?

16FLIP:自分もそれぐらいの歳までバリバリ音楽を続けて、54になってもニュー・アルバム出したいっすね。自分が54になったときは、いまよりヤバイと思ってますね。長く続ける存在が日本にたくさんいたほうがいいと思うんですよね。年取ってやらなくなっちゃうってことは、ヒップホップが根付いていないってことじゃないですか。その歳になっても音楽をやってるほうが自然だと思うし。若いヤツの音楽ももちろん好きだけど、50代とかオッサンしか出せないヤバさは絶対ありますからね。アレサ・フランクリンとかアンジー・ストーンの音楽にしてもやっぱ演奏とかまじでヤバイし、渋いじゃないですか。そういう人たちしか出せないもんがあると思うんですよ。
 だから、オレが38ぐらいになって、アルバム出したとするじゃないですか。そのときに、はじめて『EARR』とかを聴くヤツがいてもいいと思うし、いつだって何を聴くヤツがいてもいいと思う。自分だって、いまはもう死んでいるヤツの昔の音楽をガンガン聴いてるわけじゃないですか。だからみんな、もっと好き勝手やればいいのにっていっつも思ってますね。もっと好き勝手やったほうがかっこいいものができるし。いまヤバくて、10年後もヤバイのが絶対いいっすね。そういう耳で自分は音楽を聴いてますね。自分がヤバイって思うものは、いまだけヤバイものじゃなくて、永遠にヤバイんです。

BEEF / MOSDEF (16FLIP REMIX)


OGRE YOU ASSHOLE、新作MV - ele-king

 この音、この言葉、なんて説明すればいいのだろう。10月15日に発売されるオウガ・ユー・アスホールの新作『ペーパークラフト』は傑作である。来週、ele-kingでもレヴュー2本載せるぞ。お楽しみに。
 思えば、僕は、この1年、このバンドのライヴを4本見ている。そのすべてにおいて、バンドは堂々としていた。僕は“見えないルール”を歌いながらロードバイクを飛ばす。30キロ・アヴェレージを目標に(あくまでも目標)、およそ3時間ほど、朝の清々しい空気のなかを走る。すれ違う女性がみんな美人に見える。そして朗報が……。
 『ペーパークラフト』の収録曲“ムダがないって素晴らしい”のMVが完成。出戸学が自ら監督・制作・撮影したクレイ・アニメ作品である。

本MVは、OGRE YOU ASSHOLEのオフィシャルwebトップ、〈Pヴァイン〉のYouTubeチャンネル、同日同時放送でバンドが運営するUstream番組「Record You Asshole」内にて公開される。

今回のミュージック・ヴィデオは、ヴォーカル/ギター担当でOGRE YOU ASSHOLEの中心人物である出戸学が自ら監督・制作・撮影・編集全てを手がけた、究極のセルフ・メイドとなっています。

今夏のレコーディング終了後に急遽発案され、約90日をかけて試行錯誤が繰り返された結果、ジュール・ヴェルヌやドイツ表現主義などのレトロSFムービーを彷彿させる、キッチュで不可思議な映像作品が完成しました。
遠い未来の異国のような、あるいは夢で見た風景のようなモノトーンのアナザー・ワールドで起こる様々に無益な事象が、ラテン・パーカッションとドラムスが産み出す反復ビートと重なって、ミニマルで謎めいた陶酔感を生み出しており、つい何度も再生したくなります。

アルバムのジャケットやアーティスト・フォトの細部に至るまで、全てバンドメンバー自らが企画・制作した「ペーパークラフト」からの初MVに相応しく、これまで何度かOGRE YOU ASSHOLEのMVを監督・指揮してきた出戸が、初めて自ら全てを手がけた意欲作です。

前々作「homely」、前作「100年後」から通底するテーマであった「居心地が良いが悲惨な場所」を、手作業の暖かみとミニチュアが持つ硬質感が融合したレトロ・フューチャーな映像で表現した、OGRE YOU ASSHOLEの最新MV「ムダがないって素晴らしい」を、ぜひともご覧ください。
(レーベル情報より)

PヴァインYoutubeチャンネル:
https://www.youtube.com/user/bluesinteractionsinc

Record You Asshole by OGRE YOU ASSHOLE:
https://ototoy.jp/feature/index.php/2012083000

official web:https://www.ogreyouasshole.com/
twitter:https://twitter.com/OYA_band
FB:https://www.facebook.com/ogreyouassholemusic

■OGRE YOU ASSHOLE 『ペーパークラフト』
発売日:2014/10/15
発売元:P-VINE RECORDS

収録曲:
1.他人の夢
2.見えないルール
3.いつかの旅行
4.ムダがないって素晴らしい
5.ちょっとの後悔
6.ペーパークラフト
7 誰もいない

<初回限定盤>
・完全初回限定生産
・特別ボックス仕様
・CD+エクスクルーシブ・セッションを収録したカセット・テープ付属(シリアル・ナンバー入りダウンロード・コード付き)
品番:PCD-18775
値段:¥3,330+税

<通常盤>
・1CD仕様
品番:PCD-18776
値段:¥2,550+税


■OGRE YOU ASSHOLE
ニューアルバム・リリースツアー “ペーパークラフト”

2014.12.13(土)  大阪  CLUB QUATTRO
2014.12.20(土)  山梨  CONVICTION
2014.12.21(日)  長野  ネオンホール
2014.12.27(土)  東京  LIQUIDROOM

2015.01.10(土)  札幌   KRAPS HALL
2015.01.16(金)  名古屋 CLUB QUATTRO
2015.01.17(土)  広島   4.14
2015.01.24(土)  新潟   CLUB RIVERST
2015.01.31(土)  鹿児島 SRホール
2015.02.01(日)  福岡   Drum Sun
2015.02.07(土)  仙台   HOOK
2015.02.08(日)  松本   ALECX (※ツアーファイナル)


アイタル・テックとパズルの世界へ! - ele-king

 東京で最先端なサウンドを最高な環境で体験できるパーティ、〈サウンドグラム〉。ディスタル、ループス・ハウント、そしてテセラなどなど、ユニークかつリリースのたびに注目を集める面々ばかりです。会場に持ち込まれるサウンドシステムもこのパーティの魅力のひとつで、低音で揺れるフロア、そこで聴くアンセムは一生記憶に残ることでしょう。4月のテセラ、最高でしたよ。
 今週末、サウンドグラムが大阪と東京で開催されます。今回は光が乱反射するようなエレクトロニカからフットワークまでを手掛けるアイタル・テックと、あらゆるベース・ミュージックを知りつくしているパズルが登場! 
 本当に何が新しいのかを現場で体感して考えてみませんか? 踊りまくりたい方も大歓迎です。今週末は〈サウンドグラム〉へ! 

■SOUNDGRAM TOKYO/OSAKA
ITAL TEK & PUZZLE Japan Tour

大阪公演
日時:10月11日(土) OPEN/START 22:00
会場:TRIANGLE
料金:ADV 2000yen+1D DOOR 2500yen+1D
出演:
Ryuei Kotoge (Daytripper Records), D.J.Fulltono (Booty Tune), CLOCK HAZARD TAKEOVER 3HOUR, CHELSEA JP (GRIME.JP), madmaid (irregular), utinaruteikoku (irregular), DISTEST, ZZZ, Saeki Seinosuke, KEITA KAWAKAMI, D.J.Kaoru Nakano, PPR aka Paperkraft, SHAKA­ITCHI, DJ AEONMALL, HSC, JaQwa, PortaL

東京公演
日時:10月12日(日曜祝日前) OPEN/START 23:00
会場:TOKYO GLAD & LOUNGE NEO
料金:ADV 3000yen DOOR 3500yen
出演:
Submerse (Project: Mooncircle, UK), 19­t Takeover (TECHNOMAN Utabi SKYFISH Cow'P Amjik), HABANERO POSSE, Mike Rhino (UK), D.J.Kuroki Kouichi VS Gonbuto, Chicago vs Detroit, D.J. APRIL, DJ DON, FRUITY, tesco suicide, Mismi, Nishikawacchi, JaQwa, PortaL HATEGRAPHICS (VJ), knzdp (VJ), XVIDEOS (VJ), GENOME (VJ), Shinjuku DUUSRAA (FOOD), zeroya (FOOD), Broad Axe Sound System (SOUNDSYSTEM)

*各公演にItal TekとPuzzeleは出演

ITAL TEK (Planet-Mu/Civil Music, UK)

イギリスのブライトンを拠点に活動する様々なジャンルをまたぐUKならではのエレクトロニックアーティスト。2007年にPlanet­MuのレーベルオーナーであるMike ParadinasがMyspaceにアップされていた楽曲を聴いて気に入ったのが始まりで「Blood Line EP」をリリース。翌年2008年には1stフルアルバム「cYCLiCAL」をリリース。IDMとDubstepの融合を見せたItal Tekならではの作品となった。2009年には自身のレーベルAtomic River Recordsを設立し、その後も順調に多くのリリースとライブ活動を行いジワジワとその名をイギリス国内から欧州へ、そして世界へと知らしめていく。2012年にリリースをした3rdアルバム「Nebula Dance」では自身の解釈世界観のフットワーク・サウンドで展開させ、多くのリスナーを驚かせた。2013年にはCivil Musicより3rdアルバムをアップデートさせたEPをリリース。同年のミニアルバムではフットワーク/ジャングル/エレクトロニカ/アンビエントと独自のスタイルを一歩前進させることなる。そして今年2014年にリリースされたCivil Musicからの2nd EPではよりディープでハイブリッドなサウンドとなり、デビューから現在までブレることの無い確固たるサウンドを披露し、Planet­Muの主要アーティストとして活動している。

PUZZLE (Leisure System, GER)

15年以上に及ぶDJと作曲の経験を持ち、現在はベルリンの世界的に有名なクラブ「Berghain」で行われている「Leisure System」のレジデントとして活動。またLeisure System Recordsの経営と並行して、世界最大級のクラブやSonar、Dimentiions、Arma 17、Redbull Music Academy、Nitsa等のフェスティバルでプレイしている。2012年にはObjektとAsiaツアーを行い、過去にはClark、Rustie、Jimmy Edgar、Machinedrum、Kuedo、Joy O、Blawanやその他多くのアーティストと同じステージで競演。 常に遊び心に富んだジャンルレスなMIXでフロアを狂喜に導く。


ele-king vol.14 - ele-king

 けっこう大変だったんです。AFXが新作を出すことは口外できない、作品がどんな内容だったのかも言ってはならない、そういう裏事情がありまして、本格的に原稿発注したり、作りをはじめたのが9月の半ば過ぎですから。それはもう……言い訳を並べたらキリがないです。お陰様でとても面白いインタヴューが取れました。リチャード・D・ジェイムスがよく喋ってくれました。家族からアリまで、ガンツから革命についてまで、非情に幅広い彼の回答が楽しめると思います。
 UKテクノの現在も特集です。『サイロ』とは、決して、天才が好き勝手に作った作品ではないと思います。時代のなかで生まれた作品です。
 アンディ・ストット、ダムダイク・ステア、アコード、インガ・コープランドのインタヴュー記事も掲載。ドローン/アンビエントからIDM/エレクトロニカの流れでも注目されるローン・イングリッシュには畠山地平が質問攻めです。「D.J.Furutono & D.J.April のシカゴ体験記」も見逃せませんね。貴重な現地レポート、写真も満載です。久しぶりにがっつりとポリティカルな小特集もやらせていただきました。こちらも是非注目して下さいね。

Contents

002 セーラーかんな子 写真=当山礼子
006 第1特集=エイフェックス・ツイン
008 RICHARD D. JAMES interview

032 忘却と神話 文=野田努
034 Selected DISCOGRAPHEX 1991―2007
040 Syro 2014 マンガ=西島大介
042 機材でぶっ飛ばせ 文=佐々木渉
044 AFX VS OPN 徹底比較!
046 COLD ── UKテクノの現在
048 ANDY STOTT&DEMDIKE STARE interview
055 コールド── 進化し続ける英国のハードコア連続体 文=飯島直樹
058 DISC GUIDE INTO COLD PART 1
063 AKKORD interview
068 DISC GUIDE INTO COLD PART 2
074 ACTRESS interview
078 COPELAND interview
084 タイトル未 写真=塩田正幸
092 LAWRENCE ENGLISH interview
096 MORE AMBIENT DRONE ALBUMS
097 第2特集=政治 NO POLITCS THANK YOU!
098 今、日本が向かっているところ 対談=ブレイディみか子×水越真紀
110 グローバル化に反転攻勢をかける力 文=五野井郁夫
113 スラム街はコンフリクト・ジャングル 対談=木津毅×三田格
119 すべてはひとつのレイヴの下に 文=マイク・スンダ
124 HYPER! ファッション アニメイション コミック 家電 TVドラマ
130 SK8TNGの原宿逍遥 PART 1
135 D.J.Furutono & D.J.April のシカゴ体験記
146 Regulars ブレイディみか子 水越真紀 山田蓉子 磯部涼
156 編集課二係 ジョン刑事


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