「Ord」と一致するもの

interview with Agraph - ele-king


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Ki/oon

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ゴールド・パンダから〈ラスター・ノートン〉の名前を聞いて、そしてアグラフの『イコール』にはアルヴァ・ノトが参加していることを知る。同じ時期にふたりの新世代の、背景も音楽性も異なるアーティストから、同じように、しかも久しぶりにカールステン・ニコライの名を耳にして、ひっかからないほうが不自然というものだろう。エレクトロニック・ミュージックの新局面はじつに忙しなく、かつて〈ミル・プラトー〉が宣言したようにいろんなものが絡み合いながら脱中心的に動いているように感じられる。
 クラブ・ミュージックに関して言えば、多くの論者が指摘するように、ジェームス・ブレイクが新しいところに向かっている。ドイツ語で"ピアノ作品"を意味する「クラヴィアヴェルクEP」を聴いていると、彼が単なるブリアル・フォロワーではないことを知る。ピアノの心得があることを、彼は5枚目のシングルで披露しているのだが、おかしなことにアグラフもまた、『イコール』において彼のピアノ演奏を打ち出している。なんというか、気兼ねなく自由に弾いている。彼のセカンド・アルバムを特徴づけているのは、ピアノとミニマリズムである。
 
 アグラフの音楽は清潔感があり、叙情的だ。きわめて詩的な広がりを持っている音楽だが、その制作過程は論理的で秩序がある。作者の牛尾憲輔と話していると、彼ができる限り物事を順序立てて思考するタイプの人間であることがよくわかる。その多くが感覚的な行為に委ねられるエレクトロニック・ミュージックの世界においては、彼のそれはどちらかと言えば少数派に属するアティチュードである。そして思索の果てに辿り着いた『イコール』は、いまIDMスタイルの最前線に躍り出ようとしている。
 
 リスナーが、スティーヴ・ライヒ・リヴァイヴァルとカールステン・ニコライを経ながら生まれたこの音楽の前から離れられなくなるのは時間の問題だ。アグラフの、傷ひとつないピアノの旋律を聴いてしまえば、多くの耳は立ち止まるだろう。息を立てるのもはばかれるほどの、控えめでありながら、どこまでもロマンティックな響きの前に。

実家が音楽教室でピアノをやっていたので、坂本龍一さんの曲は弾いてました。それは手癖として残っていると思います。坂本龍一さんの手癖にライヒがのっかているんです(笑)。だから混ざっているように聴こえるんでしょうね。

日常生活ではよく音楽を聴くほうですか?

牛尾:最近は聴かなくなりましたね。本ばっか読んでいます。ぜんぜん聴いてないわけじゃいんですけどね。

音楽が仕事である以上、当然仕事の耳で音楽を聴かなくてはならないと思うんですけど、自分の快楽として聴く場合の音楽はどんな音楽になるんですか?

牛尾:基本的にはすべて電子音楽かクラシックです。

どんな傾向の?

牛尾:一筆書きで描かれた、勢いのあるものよりかは、家で聴いて奥深くなっていける細かく打ち込まれたもの。アパラットみたいな、エレクトロニカとテクノのあいだにあるようなもの。ファーストを作っているときからそうだったんですけど、そういう音楽家、(スティーヴ・)ライヒ的な現代音楽......ミニマルであったりとか、そういう音像の作られ方をしているものをよく聴きますね。

いまの言葉はアグラフの音楽をそっくり説明していますね。

牛尾:そうかもしれません。僕の音楽はそういう影響を僕というフィルターを通して変換しているのかなと思うときもあります。

最初は鍵盤から?

牛尾:はい。

今回のアルバムの特徴のひとつとしては、鍵盤の音、メロディ、旋律といったものが挙げられますよね。

牛尾:そうですね。

自分の音楽をジャンル名で呼ぶとしたら何になると思います?

牛尾:さっき言った、エレクトロニカとテクノのあいだかな。

アンビエントはない?

牛尾:その考え方はないです。

ない?

牛尾:アンビエントをそれほど聴いてきたわけではないんですよ。ファーストを作ったときに「良いアンビエントだね」と言われたりして、それで制作の途中でグローバル・コミュニケーションを教えてもらって初めて聴いたりとか、ブライアン・イーノを聴いてみたりとか......。

イーノでさえも聴いてなかった?

牛尾:意識的に作品を聴いたのはファーストを出したあとです。

カールステン・ニコライ(アルヴァ・ノト)みたい人は、エレクトロニカを聴いている過程で出会ったんだ。

牛尾:そうです。東京工科大学のメディア学部で学んだんですけど、まわりにICC周辺、というかメディア・アートをやられている先輩や先生だったりとかいたんですね。そういう人たちに教えてもらったり、いっしょにライヴに行ったりとか、スノッブな言い方になりますが、アカデミックな延長として聴いていました。

なるほど。アンビエント......という話ではないんだけど、まあ、エレクトロニカを、たとえばこういう説明もできると思たことがあったんですよね。ひとつにはまずエリック・サティのようなクラシック音楽の崩しみたいなところから来ている流れがある。もうひとつには戦後マルチトラック・レコーディングの普及によって多重録音が可能になってからの、ジョージ・マーティンやジョー・ミークやフィル・スペクターみたいな人たち以降の、レコーディングの現場が記憶の現場ではなく創造の現場になってからの流れ、このふたつの流れのなかにエレクトロニカを置くことができるんじゃないかと。アグラフの音楽はまさにそこにあるのかなと、早い話、坂本龍一と『E2-E4』があるんじゃないかと思ったんです(笑)。

牛尾:なるほど(笑)。でも『E2-E4』はそこまで聴いてないんですよ。

やはりライヒのほうが大きい?

牛尾:大きい。『テヒリーム』(1981)みたいにリリカルなものより、彼の出世作が出る前の、テー プ・ミュージックであったりとか、あるいは『ミュージック・フォー・18ミュージシャンズ』(1974)であったりとか、当時のライヒがテープを使って重ねていたようなことをシーケンサーで再現できるように打ち込んだりはよくやりますけどね。

なるほど。

牛尾:坂本龍一さんはたしかにあります。実家が音楽教室でピアノをやっていたので、坂本龍一さんの曲は弾いてました。それは手癖として残っていると思います。坂本龍一さんの手癖にライヒがのっかているんです(笑)。だから混ざっているように聴こえるんでしょうね。

しかも坂本龍一っぽさは、ファーストでは出していないでしょ。

牛尾:出ていないですね。

今回はそれを自由に出している。ファーストの『ア・デイ、フェイズ』よりも自由にやっているよね。

牛尾:ピアノを弾けるんだから弾こうと思ったんですよ。

僕は3曲目(nothing else)がいちばん好きなんですよ。

牛尾:ありがとうございます(笑)。

あの曲は今回のアルバムを象徴するような曲ですよね。

牛尾:そうですね。

ファーストはやっぱ、クラブ・ミュージックに片足を突っ込んでいる感じがあったんだけど。

牛尾:そうです、今回は好きにやっている。ファーストも実は、制作の段階では4つ打ちが入っていたり、エレクトロのビートが入っていたりして、だけど途中で「要らないかな」と思ったんです。それで音量を下げたり、カットしたりしたんですけど、基本的に作り方がダンス・ミュージックだったんですね。展開の仕方もすべて、ダンス・ミュージック・マナーにのってできているんです。今回はクラシカルな要素、アンサンブル的な要素を取り入れていたんです。

まったくそうだね。

牛尾:こないだアンダーワールドの前座をやったんですけど、前作の曲は四分が綺麗にのっかるんです。でも、今回の曲ではそれがのらないので、ライヴをやってもみんな落ち着いちゃうんですよね(笑)。

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「人がない東京郊外の感じをロマンティックに切り取っているよ」と言われて、それはすごく腑に落ちる言い方だなと。とにかく僕の牧歌的な感覚は、そっから来ていると思います。


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今回自分の世界を思い切り出そうと思ったきっかけは何だったんですか?

牛尾:新しいことをやりかったというのがまずあります。前作ではやらなかったこと、まだ自分が出してないものを出そうと。それと、オランダ人で、シメオン・テン・ホルト(Simeon Ten Holt)というミニマルの作家がいて、その人の『カント・オスティナート(Canto Ostinato)』という作品があって、フル・ヴァージョンだとピアノ6台、簡略化された聴きやすいヴァージョンではピアノ4台なんですけど、そのCDのピアノの響きというか、サスティンの音に含まれる空気感みたいなものにとても気づくところがあって、まあ、具体的なものではないんですけど、その空気感に触発されというのはありますね。

ちょっとのいま言った、えー、シメオネ?

牛尾:シメオン・テン・ホルトです。

スペルを教えてもらっていいですか?

牛尾:はい。(といって名前と作品名を書く)

僕もスティーヴ・ライヒは行きましたよ(笑)。90年代に来たときですね。あれは生で聴くと本当に最高ですよ。

牛尾:僕は昨年の来日のときに2回行きました。質疑応答までいました(笑)。

この10年で、スティーヴ・ライヒは見事にリヴァイヴァルしましたよね。

牛尾:僕は技法的にはすごく影響受けましたね。

ミニマル・ミュージックには反復と非連続性であったりとか、ライヒの技法にもいろいろあると思いますが、とくにどこに影響を受けたんですか?

牛尾:フェイジングという技法があって、ずらして重ねていくという技法なんですけど、それを根底においてあとは好きなように作っていく。そうすると反復性と非連続性が、重ねた方であるとか響きの聴かせ方で、再現とまではいかないまでも自分のなかに取り込めるのかなという意識がありました。テクニカルな要素ですけどね。

それはやっぱ、アグラフがピアノを弾けるというのが大きいんだろうね。

牛尾:そうかもしれないですね。とにかくピアノを弾こうというのが今回はあったので。

楽器ができる人はそういうときに強い。ダブみたいな音楽でも、感覚的にディレイをかける人と、ディレイした音とそのとき鳴っている音との調和と不調和までわかる人とでは作品が違ってくるからね。

牛尾:僕はそこまで音感が良いほうではないんですけどね。音楽の理論も多少は学んだけど、ちゃんと理解しているわけでもないし、すごく複雑な転調ができるわけでもないし、ワーグナーみたいな方向の和声展開が豊富にできるわけでもないので、その中途半端さがコンプレックスでもあるんです。ただ、その中途半端さは自分のメロディの描き方にも出ているんですよね。だから、それが欠点なのか、自分の味なのか計りかねているんですよね。

なるほど。

牛尾:このまま勉強していいものなのか、どうなのか......好きなようにやるのがいいと思うんですけど。だからいま、菊地(成孔)さんのバークリー・メソッドの本を置いて、「どうしようかな」と思っているところなんです(笑)。

ハハハハ。まあ、音楽理論が必ずしも作品をコントロールできるわけではないという芸術の面白さもあるからね。それこそ、さっき「一筆書き」と言ったけど、ハウスとかテクノなんていうのは、多くが一筆書きでパンクなわけでしょ。感覚だけでやっていることの限界もあるんだけど、そのなかから面白いものが生まれるのも事実なわけだし。

牛尾:そうですね。そこをどうスウィッチングするのかは僕も考えていかなくてはならないことですしね。

きっと牛尾くんみたいな人は曲の構造を聴いてしまわない? 「どういう風に作られているんだろう?」とか。

牛尾:聴いてしまいますね。

だからエレクトロニカを聴いていても、曲の作り方がわかってしまった時点でつまらくなってしまうという。

牛尾:それはあるかもしれませんね。あと、楽典的な技術ではなくて、音響的な技術に関しては僕はもっとオタクなので、たとえば僕、モーリッツ・フォン・オズワルドのライヴに行っても音響のことばかりが気になってしまうんですね(笑)。だから、内容よりも音像の作り方のほうに耳がいってしまうんですね。

そういう意味でも、アルヴァ・ノトはやっぱ大きかったんですかね。最近、ゴールド・パンダという人に取材したらやっぱその名前が出てきたし、今回のアグラフの作品にもその名前があって、ひょっとしていまこの人も再評価されているのかなと。

牛尾:エポックメイキングな人ですね。

〈ラスター・ノートン〉もいま脚光を浴びているみたいですよ。

牛尾:それは嬉しいですね。僕が好きになったのは大学時代だったんですけど、とにかくやっぱどうやって作っているのかわからない(笑)。すごいなーと。そういえば、こないだミカ・ヴァニオのライヴに行ったら、グリッジを......ホットタッチと言って、むき出しになったケーブルを触ることでパツパツと出していて、僕はもっと知的に作っていたかと思っていたので、すごいパンクだなと思ったんです(笑)。

フィジカルだし、まるでボアダムスですね(笑)。

牛尾:しかもコンピュータを使わずにサンプラーだけでやっている。しかもエレクトライブみたいな安いヤツでやってて。スゲーなと思った(笑)。エイブルトン・ライヴであるとか、monomeというソフトがあって、そういうアメリカ人が手製で作っているハードウェアとソフトのセット、Max/MSPのパッチのセットであるとか、スノッブなエレクトロニカ界隈でよく取り立たされるようなソフトウェアって、実は適当に扱うようにできているんですね。僕からはそういう見えていて、僕はCubaseというソフトを使っているんですけど、すごく拡大して、できるだけ厳密に、顕微鏡的に作ることが多いんです。つまり(ミカ・ヴァニオみたに)そういう風にはできていなくて、ああいう音楽がフィジカルに生まれる環境が実はヨーロッパにはすごくあって......、で、そういう指の動きによる細かさが、ループだけでは終わっていない細かさに繋がっているのかなと。

なるほど。

牛尾:僕は典型的なA型なんで(笑)。

たしかに(笑)。そこまで厳密に思考していくと、どこで曲を手放すのか、大変そうだね。

牛尾:それはもう、そろそろ出さないと忘れられちゃうなとか(笑)。そういうカセがないと、本当にワーク・イン・プログレスしちゃうんで。

それは大変だ。

牛尾:でも、「あ、できた」と思える瞬間があったりもするんです。

ちょっと話が前後しちゃうんだけど、ダンスフロアから離れようという考えはあったんですか?

牛尾:それはないですね。ただ、自由にピアノを弾こうと思っただけで。フロアから離れようとは思っていなかったです。追い込まれた何かがあるわけではないですね。

音楽的な契機は、さっき言った......えー、イタリア人だっけ?

牛尾:いや、オランダ人のシメオン・テン・ホルト。ファーストのときはハラカミ(・レイ)さんへの憧れがすごく強かったんですね。高周波数帯域が出ていない、こもっているような、ああいう作りにものすごい共感があったんです。それでファーストにはその影響が出ている。だから、次の課題としてはその高い周波数をどうするのかというのがあった。それを思ったときも、ピアノのキラキラした感じならその辺ができるなと思って。ピアノの、たとえば高い方の音でトリルと言われる動きをしたときとか、感覚的に言えばハイハットぐらいの響きになるんですね。だから高周波数の扱いを処理すれば、新しいところに行けるかなと思ったんです。

ピアノは何歳からやっていたんですか?

牛尾:6歳です。でも、適当にやってました。

じゃ、ご両親が?

牛尾:いやいや、家が団地の真んなかにあったので、「それじゃ牛尾さん家に集まろうよ」という話になって、そのあと引っ越してから一軒家になってからもそのまま続いているってだけで、親が音楽をやっていたわけではないんですよね。

出身はどこなんですか?

牛尾:東京の多摩のほうです。だから、多摩川をぷらぷら散歩するのが好きで、ファーストは散歩ミュージックとして作っていたので。

牛尾くんの作品の牧歌性みたいなのもそこから来ているのかな?

牛尾:そうだと思いますね。ディレクターから「人がない東京郊外の感じをロマンティックに切り取っているよ」と言われて、それはすごく腑に落ちる言い方だなと。僕は人は描かないんですけど、橋とか建物とか人工物は描いていると思うので。とにかく僕の牧歌的な感覚は、そっから来ていると思います。ただ、ちょっと斜陽がかっていますよね。

なるほど。ずっとピアノだったんですか?

牛尾:とはいえ、ドラクエを弾いたり(笑)。

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夜の海を散歩したこと、夜の街を山の上から見たことが大きなヒントになっています。そのとき感じたのは、「そこにあるのに見えていない」ということだったんです。夜の海は真っ暗で海の存在感はあるのに見えない、夜の街も街はあるのに人が見えない。


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音楽体験として大きかったのは?

牛尾:アクセス。

なんですかそれは?

牛尾:浅倉 大介さんとか、どJ-POPです。僕はそれをテレビで見て、「将来ミュージシャンになろう」と。それからTMN、小室哲哉さんを見て、「やらなきゃ」と(笑)。

はははは。

牛尾:痩せているから運動部はやめようと(笑)。まあ、そういう感じでしたね。

自分で意識的にCDを買いに行ったのは?

牛尾:クラフトワークですね。中学校まではJ-POPだったんですけど、卒業間際に友だちの家で『ザ・ミックス』を聴いて、もう「すごーい!」と(笑)。"コンピュータ・ラヴ"の「ココココココ......」と短いパルスみたいな音にリヴァーブがかかっているだけというブレイクがあるんですけど、それだけテープに録ってずっと聴いてたっりとか。

はははは。

牛尾:音フェチみたいなのは、もうその頃からありました。気に入った音色をずっと追い続けていたりとか......ピアノを弾いていると戦メリを弾きたくなってくるので、そこから坂本龍一さんを聴いて、YMOを聴いて、みたいなのがちょうどクラフトワークを聴きはじめたのと同じ時期で。そうこうしているうちに90年代後半で、卓球さんやイシイさんも聴いたり、雑誌を見ると「〈ルーパ〉というパーティがあってそこでは80年代のニューウェイヴもかかっているらしい」とか、で、「あー、行かなきゃ」って(笑)。それからジョルジオ・モロダーを探してみたり。そうやって遡っていってるだけなんです。

最初から電子音楽には惹かれていたんだね。

牛尾:家にはピアノとエレクトーンがあったんですけど、ずっとエレクトーンに憧れがあったんですよ。それが大きかったかもしれないですね。で、クラフトワークにいって、それから......「卓球さんが衝撃を受けた"ブルー・マンデー"とはどういう曲なのか」とかね。

そうやって一筆書きの世界に近い付いていったんだね(笑)。

牛尾:そうです(笑)。だから、エレディスコなんです。卓球さんにコンピに入れてもらった曲も、最初に出したデモはオクターヴ・ベースがずっと「デンデンデンデン」と鳴っているような(笑)。ちょうど当時はシド・ミードのサウンドトラックを作るんだと自分で勝手に作っていた時期で。

いまのアグラフの原型は?

牛尾:浪人か大学のときです。でも、ハラカミさんを聴いたのは、高校生のときでしたけどね。だから、エレディスコを作りつつ、そういう、小難しい......。

IDMスタイル(笑)。

牛尾:そう、IDMスタイルと呼ばれるようなものを作りはじめたんです(笑)。だんだん知恵もついてきて、細かい打ち込みもできるようになったし、アグラフの原型ができていった感じですかね。

小難しいことを考えているかもしれないけど、ファーストよりも今回の新作のほうが若々しさを感じたんですよ。だって今回のほうが大胆でしょ。ファーストはもちろん悪くはないんだけどわりと型にはまっているというか。

牛尾:ハラカミさんへの憧れですからね。エレディスコをやっていたのも卓球さんやディスコ・ツインズへの憧れでした。それはいまでもあるんですけど、自分のなかで結実できていないんですよね。それよりも自分に素直に自分の味を出すべきだと思ったんですよね。自分がいま夕日を見ながら聴いて泣いちゃう曲とか(笑)、そこに根ざして曲を作りたかったんです。

なるほど。

牛尾:そうなんです。ファーストは(レイ・ハラカミへの)憧れでしたね。

この新作は時間がかかったでしょ?

牛尾:かかりましたね。ファーストをマスタリングしているときにはすでに取りかかっていましたから。でも、最初はうまくいかなった。『ア・デイ、フェイズ』の"II"になってしまっていたんですね。

最初にできたのは?

牛尾:1曲目(lib)と2曲目(blurred border )です。テクニカルな細かい修正を繰り返しながら、だんだん見えてきて、それで、1曲目と2曲目ができましたね。「行けるかも」とようやく思えました。

アルバムを聴いていてね、ものすごく気持ちよい音楽だと思うんだけど、たとえば1曲目にしても、かならず展開があるというか、だんだん音数が多くなっていくじゃない? ずっとストイックに展開するわけじゃないんだよね。そこらへんに牛尾くんのなかではせめぎ合いがあるんじゃないかなと思ったんですけどね。

牛尾:僕の曲は、後半に盛りあがっていって、ストンと終わる曲が多いんですよ。

多いよね。

牛尾:小説からの影響なんでしょうね。小説をよく読むんです。小説って、それなりに盛りあがっていって、ストンと終わる。あの感じを自分が紡ぎ出す叙情性の波で作りたいんだと思います。

なるほど。

牛尾:僕は散歩しながら聴くことが多いんですけど、曲を聴き終わって、いま見ている風景を......、夕焼けでも朝焼けでも夜の街でもいいんですが、曲が終わったときに風景をそのまま鳥肌が立ちながら見ている感覚というか、それをやりたいんです。

それは面白いね。実際に曲を聴いていて、その終わり方は、きっと考え抜いた挙げ句の結論なんだなというのが伝わってきますね(笑)。

牛尾:ありがとうございます(笑)。

あと、たしかにヘッドフォンで聴くと良いよね。

牛尾:まあ、やっぱ制作の過程で散歩しながら聴いているので、どうしてもそうなってしまいますね。でも、どの音量で聴いても良いように作ったし、爆音で聴かないとでてこないフレーズもあるんですよ。それはわざと織り込んでいる。

ちなみに『イコール』というタイトルはどこから来ているんですか?

牛尾:僕の音楽はコンセプトありきなんです。ファーストは日没から夜明けまでのサウンドトラックというコンセプトで作りました。今回は、夜の海を散歩したこと、夜の街を山の上から見たことが大きなヒントになっています。そのとき感じたのは、「そこにあるのに見えていない」ということだったんです。夜の海は真っ暗で海の存在感はあるのに見えない、夜の街も街はあるのに人が見えない。それはひょっとしたら見ている対象物と自分とが均衡が取れている状態なんだなと思ったんです。そのとき、今回のタイトルにもなった"static,void "とか"equal"とか、そういう単語が出てきた。それでは、これを進めてみようと。抽象的だけど、寄りかかれる柱ができたんです。

なるほど。最後のアルヴァ・ノトのリミックスがまた素晴らしかったですね。

牛尾:そうなんです。今回は10曲作って、最後はもう彼に託そうと。ドイツ人がわけのわからないアンビエントをやって終わるという感じにしたかったんです。そうしたらカールステン(・ニコライ)から「フロア向けにする?」というメールが来て。「あの人も、リミックスのときはフロアを意識するんだ」と驚きましたけどね。

しかもあれでフロア向けというのが(笑)。

牛尾:でも突出していますよね。マスタリングをやってくれたまりんさんにしても、もう1曲リミックスをしてくれたミトさんにしても、あとブックレットに小説を書いてくれた円城(塔)さんにしても、僕の描いた青写真以上のものを挙げてくれた。だから満足度がすごく高い。

僕、小説はまだ読んでないですよね。僕も日常で聴いている音楽はインストが多いんですけど、それはやっぱ想像力が掻き立てられるから好きなんですね。同じ曲を妻といっしょに聴いていても、僕と妻とではぜんぜん思っていることが違っていたりする。そこが面白いんです。

牛尾:そこは僕もまったく同じです。たとえばtwitterで曲を発表すると、僕が持っている「この曲はこういう気持ちで作りました」という正解と、ぜんぜん違った感想をみんな返してくれるんですよね。それが面白いんです。

まさに開かれた解釈というか。だから小説を読んでしまうと、イメージが限定されてしまうようで恐いんです。

牛尾:円城さんは文字を使っているんですけど、ホントに意味わかんないんですよ。言い方は悪いんですけど(笑)。せっかく音楽があるのに、愛だの恋だのと、なんで歌詞で世界観を狭めてしまうんだろうなというのはずっとあるんです。でも、円城さんの言葉は違うんですよ。もっと開かれている言葉なんです。小説を付けたかったわけじゃないんです。円城さんの言葉が欲しかったんです。

なるほど。

牛尾:さらに勘違いしてもらえると思うんです。

わかりました。じゃあ、僕も読んでみます。

牛尾:ぜひ(笑)。

E.D.A - ele-king

2010年9月28日選盤


1
Lou Donaldson - You're Welcome Stop On By - Bluenote

2
Steve Miller Band - Dance Dance Dance - Capital

3
V.A - The World Ends:Afro Rocks&Psychedelia In Nigeria - Sound Way

4
Lloyd Miller - The Heliocentrics (ost) - Strut

5
John Legend&The Roots - Wake Up - Sony

6
Arthur Russell - The Is How We Walk On The Moon - Sleeping Bag

7
Stevie Wonder - Boogie On Reggae Woman - TamuraMotown

8
Dinosaur - Kiss Me Again - Underground Disco Classics

9
Dubtribe Sound System - Do It Now - Defected

10
Limahl - Never Ending Story - Emi

Masahiro Mizumo - ele-king

TT September Chart 2010


1
Marc Romboy, Blake Baxter - Muzik (Kink Remix) - Systematic Recordings

2
Samuel L. Session - The Soloist (Reboot Remix) - Be As One

3
Fausto Messina - Amor Lleno De Esperanza (Original Mix) - Diynamic

4
Alex Flitsch, Mutant Clan - Imanah (Original Mix) - Connaisseur Recordings

5
Yousef - Walking On Egg Shells (Original Mix) - Harthouse

6
Radio Slave - I Don't Need A Cure For This (Kenny Larkin Remix) - Rekids

7
Maher Daniel - 3rd Time Is A Charm (Original Mix) - Rejected

8
Nick Curly - Lemba (Original Mix) - 8Bit

9
Dual Shaman - Ocean Breeze (Original Mix) - Wolfskuil Records

10
Alex Niggemann - Take Control (Matthias Tanzmann Remix) - Supernature

Chart by JETSET 2010.10.25 - ele-king

Shop Chart


1

V.A.

V.A. STONES THROW 7 INCH BOX SET »COMMENT GET MUSIC
2010年10月10日に開催されたイベントの記念に作られた特製ボックスセットが登場!DJが全て7"のみでプレイした同イベントを象徴する7"の10枚セット!PBWセレクトの名曲が7"として生まれ変わりました!

2

DJ YOGURT & KOYAS

DJ YOGURT & KOYAS CHILL OUT »COMMENT GET MUSIC
アンビエント古典をDJ Yogurt & Koyasが独自の解釈でリメイクした話題の1枚が待望のアナログ化!Yogurt & Koyasが望んだ「Chill Out」のトリビュートを"CHILL Out " を愛して止まない熱い人達の手により謎のレーベルからワンショット限定プレスで入荷です!

3

DENT MAY

DENT MAY THAT FEELING / EASTOVER WIVES »COMMENT GET MUSIC
ダメすぎ込み上げすぎ奇跡のインディ・ブリージン・ブルー・アイド・ソウル。Ariel Pinkに並ぶ天才と言い切りたい!!Paw Tracksからのデビュー・アルバムが当店鬼ヒットしたDent May。Forest Familyからの新曲が到着!!絶対お買い逃しなく。

4

RICARDO VILLALOBOS / PRINS THOMAS / DJ NOBU

RICARDO VILLALOBOS / PRINS THOMAS / DJ NOBU ZERO SET 2 RECONSTRUCTED »COMMENT GET MUSIC
Zero Set 2再構築で話題沸騰のマスト・バイ・アイテム入荷致しました。Zero Set影響下と自ら公言しているRicardo Villalobos, オスロのリエディット・マスターPrins Thomas, さらに国内からはDJ NOBU (Future Terror)が参加。故Conny Plankへの追悼と言える"Zero Set"の続編アルバム"Zero Set 2"から抜選され解体/再構築が施された圧巻の5楽曲を収録。

5

MACHINEDRUM

MACHINEDRUM WANT TO 1 2? »COMMENT GET MUSIC
大復活を遂げた天才による幻の傑作が遂に奇跡のヴァイナル化!!名門LuckyMeから放った"Many Faces"が当店爆裂ヒットを記録したMachinedrum。'09年にCD限定リリースされていた幻の傑作がヴァイナルで限定リリースされました!!

6

BALAM ACAB

BALAM ACAB SEE BIRDS »COMMENT GET MUSIC
入荷しました。噂のウィッチ・ハウス筆頭ユニットによるファースト・12インチ!!絶対マスト★Washed OutとSalemがサイコパス化したようなゴシック・シンセ・ダブ・サウンドで話題を集めまくるブルックリンの19歳、Balam Acabの5曲入りマキシEP!!

7

DARLING FARAH

DARLING FARAH BERLINE EP »COMMENT GET MUSIC
ドファンキーかつカラフル。滅茶苦茶お洒落な1枚です!!DebruitやKotchyらを擁するUKヒップホップ人気レーベルから、UKGシーン最前線とも交差するエレクトロ・テック新星Darling Farahがデビュー!!

8

DAM FUNK / COMPUTER JAY

DAM FUNK / COMPUTER JAY LOS ANGELES 7/10 »COMMENT GET MUSIC
満を持して登場!第7弾はDam Funk/Computer Jay!もはや説明不要のファンクの申し子、Stones ThroeからDam Funk、そして先日のGaslampkillerの新作10"にも参加していた気鋭ビートメイカー、Computer Jayによるスプリット!

9

SEAHAWKS

SEAHAWKS IS THIS IT? / OH BABY »COMMENT GET MUSIC
話題沸騰のヨット・ロッカーSeahawksの12"トリロジー第3弾が到着です!!近年はLoEBにてニュー・ディスコ/バレアリック・シーンのサポートに積極的なLo Recordings総帥Jon Tyeと、グレイト・イラストレーターPete Fawlerによる話題のユニット、Seahawksにょる12"シングル第3弾がまたしても素晴らしいです!!

10

GILLES PETERSON - HEARTBEAT PRESENTS ONE TIME!

GILLES PETERSON - HEARTBEAT PRESENTS ONE TIME! MIXED BY GILLES PETERSON × AIR »COMMENT GET MUSIC
Heartbeatのミックス・シリーズ第五弾はGilles Peterson!最新鋭のダンス・ミュージックを自らの選美眼をたよりに世界中のDJ、クラバーから絶大な支持を受ける、Gilles Petersonがついに本シリーズに登場です

Chart by UNION 2010.10.23 - ele-king

Shop Chart


1

VARIOUS ARTISTS

VARIOUS ARTISTS International Feel INTERNATIONAL FEEL / JPN »COMMENT GET MUSIC
DJ Harveyの新プロジェクトLocussolus、Quiet Villageの別名義となるMaxxi & Zeus、Rub N Tug/Map Of AfricaのメンバーThomas BullockによるWelcome Stranger名義での参加など、強烈な個性を放つラインナップを見てもわかるとおり、リリース当初から常にDJやショップの話題の的となってきたレーベルInternational Feel。直感的に一瞬で心を奪われるような音はアンダーグラウンドなダンスミュージック本来の魅力そのものであり、それは彼らの一途な想いに他ならない。どのレーベルにも存在しないダンスミュージック、またバレアリック~チルアウトといった音を放ち、彼らのこだわりを貫きひとつに結晶させたプレミアムなサウンドが、いま扉を開ける。

2

TOBIAS

TOBIAS Street Knowledge SK / GER »COMMENT GET MUSIC
超強力盤! VILLALOBOSリミックス!! NSIとしても知られるTOBIAS.が06年にLOGOSTICからリリースした傑作がVILLALOBOSのリミックスを収録し再発! 脳みそを揺さぶるアシッディーなドープ・ミニマルであるオリジナル、微細なウワモノの連鎖でハメるマイクロスコピックなVILLALOBOSリミックス共に驚異的! マストです!

3

CALM

CALM Save The Vinyl - EP 1 MUSIC CONCEPTION / JPN »COMMENT GET MUSIC
メタモルフォーゼのコンピレーションにも先行収録され話題を集めたアルバムのハイライトと言える壮大なバレアリックトラック「Earth Song」、美しいピアノのダウンテンポチューン「Fade to White」、極上のアンビエントトラック「River is Deep」を収録!

4

PULSHAR

PULSHAR Inside DESOLAT / GER »COMMENT GET MUSIC
今やCADENZA、PERLON、COCOONなどと並ぶヨーロッパテクノシーンのトップレーベルへと躍進を遂げた、LOCO DICE & MARTIN BUTTRICH主宰レーベル・DESOLATが、自信を持って送り出す新たな才能・PULSHARのセカンド・アルバム!本作「INSIDE」は彼らにとって約2年ぶりとなるセカンド・アルバム。RHYTHM & SOUNDをチルアウトさせたようなM-2"The Price You Pay"、ヘビーなベースラインと透明感溢れるメロディアスなシンセのレイヤーが極上のトリップへと誘ってくれるM-4"Da Creator"、ブリストル勢のようなメランコリアを感じさせるM-10"Distant Fire"など、一曲毎のクオリティーは粒揃い! 気が付くと最初から最後まで聞き通してしまう中毒性の高い1枚!

5

OMAR S

OMAR S These Complimentary Track's FXHE RECORDS / US »COMMENT GET MUSIC
アシッドのディープな響きにクラップが炸裂するトラックや、Omar Sにしては珍しくメロウなディスコにシフトしたPhyllis Hyman ? Under Your Spell使いのアンダーグラウンドハウス、アタックの強さがOmar Sらしい個性を放つディープテクノなど4曲を収録したEP!

6

ROY DAVIS JR./OMARS FEAT.DJ B-LEN-D

ROY DAVIS JR./OMARS FEAT.DJ B-LEN-D All I Do/Da-Teys FXHE RECORDS / US »COMMENT GET MUSIC
1996年に今は無きFORCE INC USからリリースされた、シカゴのベテランハウサーRoy Davis Jr.プロデュースのトラックがOmar Sによって再発!Stevie Wonderの「All I Do」モロ使いのフレーズをループさせたグルーヴィーなハウスチューン。そしてSide BにはOmar SとDJ B-Len-Dによるコラボレート作を収録。DJ Blendは80年代中頃、Carl CraigがDerrick Mayに紹介をした有能なデトロイトのパーカショニストという逸話を持つベテラン。Omar Sによるディープなコードが魅力のハウストラックに、泡が弾けるかのような深い音色のパーカッションを馴染ませた、心地よい鳴りが魅力の1曲。

7

MARC HOULE

MARC HOULE Drift »COMMENT GET MUSIC
PLASTIKMANのベストアルバム「KOMPILATION」も反響を呼ぶ中、MINUSが次に仕掛けるのはRICHIE HAWTINと同じくカナダでその音楽的キャリアを育んだプロデューサー・MARC HOULEのNEWアルバム。本作「DRIFT」は、現在彼が住むベルリンの"冷たく暗い灰色の冬"をイメージして作られた作品。通常のMINUS作品とは趣を異にした、サウンドトラックのように風景が浮かぶイマジネイティブなサウンドが収められた全8曲の秀作です。

8

TRAVERSABLE WORMHOLE

TRAVERSABLE WORMHOLE Vol.1-5 CLR / JPN »COMMENT GET MUSIC
ポストSLEEPARCHIVE! NYのベテラン・プロデューサー・ADAM Xによるプロジェクト・TRAVERSABLE WORMHOLEのデビュー・アルバム。2009年春、ホワイト盤にスタンプという素っ気ない(しかしアンダーグラウンド・シーンではおなじみの)体裁で発表された12"が一部のDJから絶賛され、その謎めいた素性と共に多くのテクノファンを虜にしてしまったTRAVERSABLE WORMHOLE。その実体は90年代前半から活躍するNYの古参プロデューサー・ADAM Xによるプロジェクトで、彼の出自であるハードテクノを現代的なミニマルとミクスチャーしたソリッドなサウンドを矢継ぎ早にリリースし、ベルリンシーンの象徴・MARCEL DETTMANNや近年復活を遂げたSURGEONなどと共に新たな旋風を巻き起こしている

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MISTANOMISTA

MISTANOMISTA Detroit Session BLACK SUNSHINE / RUS »COMMENT GET MUSIC
『ECLIPSE MUSIC』のサブ・レーベルと噂される、新鋭レーベル『BLACK SUNSHINE』の1番! このレーベルは今後チェックが必要! まずはタイトルからして"Detroit Session "。INVERSE CINEMATICの"Detroit Jazzin' "然り。。。DETROITのつくタイトルだけで間違いナシ! ロシアの新人YURI SHULGINによるユニットMISTANOMISTAの作品!

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MIKE HUCKABY

MIKE HUCKABY From The Mind Of Synth SYNTH / US »COMMENT GET MUSIC
1995年、Daniel BellとRick Wadeの両ベテランがデトロイトを拠点に立ち上げたレーベルHermonie Parkから2枚のシングルをリリース、その後ディープハウス寄りのDeep Transportation、テクノ~ディープ・ミニマルに特化したS Y N T Hの2つのレーベルを自身で立ち上げる一方、Juan Atkins aka Model 500、Pole、Deepchord、Lo Soul、Loco Dice、Blake Baxterといったトップアーチストのリミキサーにも起用されるベテランMike Huckaby(マイク・ハッカビー)。渋谷CLUB MUSIC SHOPリニューアルオープン記念でリリースされたディープハウスセットに続き、今回は11/13(土)にオープンする下北沢クラブミュージックショップを記念してのテクノセット!機材やマスタリングにこだわる彼らしい音の配置はS Y N T Hで見せる音そのもので、暗黒の中を一つの光りが差し込むような深みとコントラストを引き出した絶妙な展開!ミックスの最後には今回もクリエイター用のサンプル音源が2種ボーナス収録。デトロイトで若手アーチストを育成している彼らしいスタンスも嬉しいところ。限定盤です。

Chart by JAPONICA 2010.10.22 - ele-king

Shop Chart


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SOFT VS DJ DUCT

SOFT VS DJ DUCT LOOP SEGUNDO / FEEL MORE NNNF / JPN / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
★JAPONICA限定!★「BACKYARD EDIT」シリーズが国内、そして海外からも好評のDJ DUCTがSOFTのライブ定番ナンバーにして人気曲"LOOP SEGUNDO"、そしてアルバム収録の壮大なスピリチュアル・ナンバー"FEEL MORE. KNOW"をブレイクビーツ感覚でDJユースにリエディットした限定7inch!共に所々でニクイ演出が利いた曲の構成もばっちりで DJフレンドリーなバリバリ現場仕様の使えるナイス・エディットです!マスタリングはもちろんKND!

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DJ KENSEI

DJ KENSEI LIVE ON WAX SLEEPING BUGZ / JPN / 2010/10/9 »COMMENT GET MUSIC
<SLEEPING BUGZ>による人気ミックス・シリーズ「THE SOUND OF SPACE」待望の第3弾にDJ KENSEIさん登場です!前2作の持つ空気感を見事に受け止め昇華させたホント期待以上の素晴らしいミックス作品が届きました!じっくりと聴き込みDJ 妙技たるものを堪能する、または日常生活の中でサラっとかけ流すのももちろんアリな、まさに万能ミックス!マスタリングは盟友でもあるKND(こ こは鉄板ですね)!前2作とあわせてどうぞ~!

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BURNT FRIEDMAN & JAKI LIEBEZEIT

BURNT FRIEDMAN & JAKI LIEBEZEIT 5 7 EP NONPLACE / GER / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
名コンビBURNT FRIEDMANとCANのドラマーJAKI LIEBEZEITが2008年にリリースした楽曲をBASIC CHANNEL / RHYTHM & SOUNDそしてHARD WAXオーナーでもあるMARK ERNESTUSがリミックス!流石の空間処理能力と綿密につくり込まれた音の一つ一つに飛ばされること間違い無しのトライバル・テック・ダブ(そしてあ くまでミニマル!)是非良いサウンドシステムで聴いてみたい&聴いてほしいです!

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CAPTN K

CAPTN K SWAMP GROOVE PICNIC / AUS / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
新進気鋭CAPTN Kが自身のレーベル<PICNIC>より新作10inchをリリース!A面"SWAMP GROOVE"は哀愁を帯びたク-ルなギター、ハーモニカ・プレイが全編に渡りフィーチャーされたブルージー・ファンク!そしてB面にはこれまたブルージーなワウ・ギターにダビーに響くサックス・プレイが渋くハマる"GRAVYBOAT"を収録!ヒップホップ/ブレイクビーツ~レアグルーヴ・サ イドまで、これまたクロスオーヴァーにヒットの予感するホント大推薦の2トラックス!

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V.A. (MOODMAN / SHHHHH)

V.A. (MOODMAN / SHHHHH) ZZK RECORDS PRESENTS THE DIGITAL CUMBIA EXPLOSION RUDIMENTS / JPN / 2010/10/13 »COMMENT GET MUSIC
★特典でさらに(!)MOODMANのミックスCD付いてきます!★南米アルゼンチン/ブエノスアイレス発、激注目レーベル<ZZK RECORDS>音源のMOODMANによるDJミックス+SHHHHHセレクトによるコンピレーションをパッケージングした濃密2枚組CD!MOODMANのテクノ的解釈によるミニマル・グルーヴ溢れるDJミックス、そしてSHHHHHのストーリー性を重視した抜群のセレクトに より<ZZK RECORDS>の魅力を余すことなく十二分に楽しめてしまう強力強烈盤!

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TRUJILLO

TRUJILLO BABY YOU'RE STILL THE SAME APERSONAL MUSIC / UK / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
ベネズエラ出身の注目アクトTRUJILLOデビューEPがスペイン発の新興レーベル<APERSONAL MUSIC>からの第1弾でリリース。バレアリックな質感でジンワリとフロアをウォームアップさせるメロウ・ディスコ・グルーヴのオリジナル・ヴァージョ ンはじめ、タイトな足回りに巧な展開で高揚感を駆り立てるSOCIALDISCO CLUBによるハウス・リミックス、そしてウワ音をクールに抑えつつお得意のビートダウンに特化したMARK Eリミックスの3ヴァージョン収録!

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NICOLAS JAAR

NICOLAS JAAR LOVE YOU GOTTA LOSE AGAIN EP DOUBLE STANDARD / US / 2010/10/18 »COMMENT GET MUSIC
ジワジワと足されていくビート/グルーヴにアンビエンシーな鍵盤ネタや壮大なストリングスが織り成していくディープ・ダウンテンポ・トラッ ク"WOUH"、フォーキーなウワ音を被せつつビートダウン~ブレイクビーツなグルーヴで展開するバレアリック・チューン"LOVE YOU GOTTA LOSE AGAIN"など他とは明らかに一線を画す絶妙なクロスオーヴァー感覚でのプロダクションを披露!限定300枚プレスにつきお早めに~!

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V.A.

V.A. HOT SHIT! DOPE AFRO FUNK HOT SHIT / UK / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
数々のディスコ/リエディット系作品のネタとなったレア・アフロ音源を集めたナイス・コンピ!タイトル通り、ドープ・アフロ・ファンク詰まってますっ!!いずれも激レアなタイトルをコンパイル。しかしそのレア度だけに留まらず現場重視の「使える」レアグルーヴをセレクト(!)といった感じ のDJのための素晴らしい内容となってます!DJの際、ホント重宝すること請け合い。これはオススメですっ!

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RONDENION

RONDENION BEGINNING OF THE RING EP BOSCONI EXTRA VIRGIN / ITA / 2010/10/9 »COMMENT GET MUSIC
壮大なストリングスにボトムの効いたベースグルーヴとが織り成すスローモー・ビートダウン・ハウス"BEGINNING OF THE RING"はじめB面にはKDJ/THEOらを彷彿とさせるヴォーカル・フレーズのネタ使いに淡いシンセ・コードがジンワリと沁みてくるビルドアップ・ナ ンバー"IN ONE'S MIND"(これかなりヤラれました!)、そしてこれまた黒汁ほとばしるグルーヴを軸にディスコ・テイストで構築されたディープ・ハウス・トラッ ク"LIKE A CHILD"を収録!

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EBO TAYLOR

EBO TAYLOR LOVE AND DEATH STRUT / UK / 2010/10/18 »COMMENT GET MUSIC
ガーナで発祥した伝統的ハイライフ・サウンドにアフロ、ソウル、ファンクなどの要素を融合させ独自のアレンジやプロデュースを施し他の追随を許さ ないオリジナル・サウンドを発信し続けるガーナの至宝にしてリヴィング・レジェンド、御年74歳(!)にしてバリバリの現役ミュージシャ ン=EBO TAYLORによる新録アルバム!現在進行形で奏でられるネクスト・レベルへと押し上げられたアフリカン・グルーヴが全編に渡り充満しきった濃度の高い好 作品です!

interview with Mitsuru Tabata - ele-king

 ボアダムス、ゼニゲバ、アシッド・マザーズ・テンプル......いずれも日本国内にとどまらず世界的な規模で活動しているバンドであり、欧米で高く評価されているバンドだ。そしてこの3バンドにはひとつの共通点がある。それが、今回紹介する田畑満というギタリストである。ボアダムスのオリジナル・メンバーであり、現在もゼニゲバ、アシッド・マザーズ・テンプル アンド・ザ・コズミック・インフェルノに在籍、それ以外にも数限りないバンド/ユニットに参加して毎日のように世界のどこかで演奏している。

 まずは彼のプロフィールを紹介しよう。80年代前半にレゲエ・バンド「蛹」でデビュー。「関西ノー・ウェイヴ」などと呼ばれ盛り上がりを見せていたポスト・パンク/ニューウェイヴ・シーンの影響を浴びながら、和風ニューウェイヴとでも言うべき奇異なバンド「のいづんずり」に参加、ほぼ時を同じくして当時ハナタラシでの活動悪名高かった山塚アイとボアダムスを結成。

 ボアダムス脱退・のいづんずり解散の後、K.K.NULL率いるプログレッシヴ・ヘヴィ・ロック・バンド、ゼニゲバのリード・ギタリストとしてワールドワイドな活躍を開始。デッド・ケネディーズのジェロ・ビアフラによるレーベル〈Alternative Tentacles〉より数々のアルバムをリリースする。ベースレスのトリオというコンパクトな編成ながら、その緻密かつパワフルなアンサンブルはどんなメタル・バンドにも負けない鋼のようなサウンドだ。


タバタミツル
ルシファー

map / Compare Notes Records

Amazon

 00年代に入ると参加バンド、ユニットの数は加速度的に増殖する。河端一率いる"魂の共同体"アシッド・マザーズ・テンプル関連バンドのひとつ、アシッド・マザーズ・テンプル アンド・ザ・コズミック・インフェルノでベーシストとしてデビュー。レニングラード・ブルース・マシーンは自身のリーダー・バンドであり、幾多のメンバーチェンジがありつつも現在に至るまでもっとも長く続いているジャム・バンドだ。酔いどれブルース・シンガー/ギタリスト、スズキジュンゾとのデュオ、 20ギルダーズ(20 Guilders)はエレキ・ギターの弾き語りによる歌もので、レニングラードでも垣間見せていた歌心がじっくり味わえる。関西パンクの伝説ウルトラビデのヒデ率いるアマゾン・サリヴァ(Amazon Saliva)はボガルタの砂十島Naniをドラムに迎え強力なテンションで突っ走るスーパー・パンク・バンド。「Pagtas」ではポップながらも奇妙にギクシャクしたリズムをベーシストとして支えている。その他にも個性豊かなさまざまなバンドが活動中であり、その数は依然として増え続けているようだ。
 また、ヨーロッパをはじめとした多くの国のレーベルからリリースされているソロ作品の数々は逆回転や回転数の操作など多様な音響実験の施された、世界に類を見ない奇妙なサイケデリック・インストゥルメンタル・ミュージックを聴くことができる。残念ながら国内ではあまり流通していないようなので、本人のオンライン・ショップをチェックすることをおすすめする。(https://tabata.cart.fc2.com/

 今年7月に渋谷のO-Nestで開催された高円寺円盤主催のフェスティヴァル「円盤ジャンボリー」の初日には「タバタミツル SPECIAL」と称してソロを含めた6バンド/ユニットでの大特集が組まれるなど、アンダーグラウンド・シーンにおけるその信頼と愛され方は既に揺ぎ無いものがある。そんな田畑満という人物の魅力の一端を伝えることができれば幸いだ。

変なところでいっぱいやってますよ。オハイオ州のコロンバスにランドリー・バーっていうのがあって、ランドリーとバーが合体してるんですよ。洗濯しながらライヴを見る(笑)。「こんなところ誰もやらんやろ」って思ったけど、日程見たらジーザス・リザードとか書いてあるから「みんなやってんや」って。

ご出身は京都なんですよね。

田畑:京都です。京都府立鴨沂高校中退。同じ軽音部の先輩にピアノのリクオさんがいて。彼が部長でした。

最初の本格的なバンド(蛹)はレゲエバンドだったということですが、軽音楽部で結成したんですか。

田畑:同じ軽音楽部だった小学生からの友人と、学外の人間と結成しました。ベースは『ミュージック・ライフ』で募集しましたね。最初は女の子でしたが、途中から細井尚登さん(壁画家、チルドレン・クーデター)に代わりました。当時ポニーキャニオンが日本のレゲエ・バンドのコンピを出すって言うので、デモテープを送ったら受かって。六本木のS-KENスタジオで録音したんです。中間試験の真っ最中で、それで落第して(笑)。めんどくさくなって中退しました。

軽音部時代はどんな音楽を?

田畑:いやあ......INUのコピーとか(笑)。あとピンク・フロイドとか。

INUとピンク・フロイドじゃだいぶ違いますけど(笑)。

田畑:まあ軽音バンドってメンバーがやりたい曲を1曲ずつ持ち寄ったらたいてい無茶苦茶になるから。

INUに関しては、同じ関西っていう意識はあったんですか?

田畑:まあそうですね。当時どらっぐすとぅあっていうお店が京都にあって、ライヴ・テープがたくさんあったんで聴いてました。当時SSがいちばん好きでしたね。

じゃあウルトラビデなんかもその頃から見てたんですか?

田畑:知ってましたけど、ちょっと高校生にとっては理解を超えてて(笑)。『ドッキリレコード』(INU、ウルトラビデ、変身キリン、チャイニーズ・クラブの4バンド収録のコンピレーション・アルバム)でしか聴いたことなかったんですよ。その他の音源は聴いたことなかったから。EP-4はよく行きましたね。蛹のデビュー・ライヴか何かの時に佐藤薫さんがおめでとうとか言って一升瓶を差し入れしてくれました。高校生やのに(笑)。

S-KENスタジオで録音したものっていうのは、世に出てるんですか?

田畑:『JAPAN REGGAE CRUSH』っていうコンピで。ほかにP.J & Cool Runningsとか。

その後の活動を見てると田畑さんとレゲエってあまり結びつかないんですけど、当時はレゲエがお好きだったんですか?

田畑:ギターが簡単じゃないですか(笑)。ギターが弾けるようになる前にバンドを組んだから。楽器買う前にバンドはじめてたんで。

じゃあできないものを引いていくと残ったのがレゲエだったと。

田畑:あとディレイ。

ダブですね(笑)。

田畑:あ、そうですね(笑)。

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裸のラリーズですかね。ちょっと後なんですけど、高校3年の頃に。7時開場・開演とかだったんですけど、終わったのが夜中の3時頃だったと思います。お客さんは少なかったんですけど、アンコールもあって同じ曲を3回くらいやって。僕もよくわかってないんですけど、そのくらい衝撃を受けたんでしょうね。

音源が出た後もある程度は活動されてたんですか?

田畑:すぐ終わっちゃいましたね。ベースの細井くんが辞めて、ドラムの子が進学するって言って。それで解散しました。

高校生バンドっぽい終わり方ですね。それが82、3年。その後はのいづんずりですが、誘われて入った感じですか?

田畑:いや、その前にSSでベースを弾いていた竹野さんがやっていた「アイ・ラヴ・マリー」というバンドでギターを弾いていました。あれは一発でクビになったんかな? そして「セッティング一発」。ニプリッツでギターをやってるジンさんがいまでもやってるダストってバンドがあって、そこのヴォーカルのタチメさんがやっていたバンド。そこにちょっと入ってて、その後のいづんずりに入った理由はわからないですね。志願したのかな。

音楽性は田畑さんが入る前からある程度固まってたんでしょうか。

田畑:もともとまあ、ニューウェイヴですよね。不気味な(笑)。その前にいたのが東京でカメラマンをやっている方で、わざわざ京都まで来てやってたから、その方と交代というか......最初はふたりともいたのかな、録音には。ライヴ活動は僕がひとりでギター弾いてたんですけど。

アルバムには戸川純さんも参加されてるじゃないですか。割とポップ・シーンに近いバンドだったわけですよね。

田畑:あれは何ででしょうね。リーダーの福田研さんの知り合いだったみたいですけど。ライヴもやったりしましたね、ライヴ・インとかで。レコ発だったのかな。そのときに限ってお客さんがいっぱい来て(笑)。ギャラも結構な額がもらえたから、そんなの若いもんに与えたらねえ。帰る頃にはもう一銭もなくなってましたけど。六本木とかで無茶苦茶やって(笑)。レッドシューズってお店に行ったり。

ヴォーカルのインドリ・イガミさんは結構強烈なキャラの方だったそうですが、結局クビみたいな形になるんですかね。

田畑:そうですね、最後は京都芸術大学で少年ナイフとかの出たコンサートがあって、その日にクビになりました。学祭って模擬店というかお店がいっぱい出るじゃないですか。それで早い時間から飲みすぎでほとんど歌が歌えないような状態やったんで、みんな怒って。

当時の関西ってEP-4がいたりINUがいたりして、ニューウェイヴで個性的で魅力的なバンドが多かったですよね。やっぱりそういう環境みたいなものには影響されてましたか?

田畑:そうでしょうね。聴いてる音楽は違いましたけど。高校生のときに京都にDee Beesっていうお店があったけど、あんま行かなかったですね。

当時は京大とか、大学でも東京のニューウェイヴバンドを招聘してやったりしてましたけど、あんまりそういうのは行ってないですか?

田畑:いや、それは行ってますね。お店系に行かなかっただけで。あの頃の京都ってだいたい3つの大きいグループに分かれてたんですよ。EP-4とかのスタック・オリエンテーション。あとは西部講堂のビートクレイジーですよね。コンチネンタル・キッズとか。それと僕らは「服屋系」って呼んでた人たちがいたんですけど。ノンカテリアンズっていう、ノーコメンツにいた人たちが作ったバンドで。あとHIP-SEE-KID(ハープシコード)って、モンド・グロッソの大沢伸一さんがいたバンド。それはお洒落な人たちで、だいたい服屋でバイトしてたから「服屋系」(笑)。だいたい大きくその3つの流れがありました。

のいづずりというか、田畑さんはそのなかではどちらに?

田畑:のいづんずりのファーストLPは〈テレグラフ〉からリリースされたんですけど、EP-4の佐藤薫さんがプロデュースする話もあったりしたから、その周辺ということになるんでしょうね。個人的に良く遊びに行ってたのはビートクレイジーでしたけど。

当時もっともよく覚えてるライヴってありますか? 衝撃を受けたライヴとか。

田畑:裸のラリーズですかね。ちょっと後なんですけど、高校3年の頃に。7時開場・開演とかだったんですけど、終わったのが夜中の3時頃だったと思います。お客さんは少なかったんですけど、アンコールもあって同じ曲を3回くらいやって。僕もよくわかってないんですけど、そのくらい衝撃を受けたんでしょうね。終わった後に駐車場のところに水谷孝さんが立ってて、駆け寄って「おつかれさまです!」とか言ったら「煙草持ってる?」って言われて、ピースを差し出して。「何かバンドやってるの?」って言われたんだけど、そのときなぜかボブ・マーリーか何かのTシャツを着てて(笑)。で、「レゲエ・バンドやってるんですわ」って言ったら「あ、そう」みたいな、それはよく覚えてます(笑)。あの頃でいちばん印象に残ったライヴっていったらそれですねえ。わけわからんかったですけど。事前情報も何もなくて、謎のバンドが来るみたいな。

7時から3時までって言ったら8時間ですよね。

田畑:それも何か曖昧な......あっと言う間に過ぎたのか。途中で1回寝てるんですけど(笑)。他にはINUの町田さんがアーント・サリーのビッケさんとやりだした「ふな」ってバンドがいて。あれはすごく印象に残ってます。

キャプテン・ビーフハートみたいなことやってましたよね。

田畑:ちょっとレゲエも入ったりしてて。

あれはすぐ終わっちゃいましたよね。音源とかも出さないで。

田畑:最後のライヴはメンバーが全員いなくなって、ひとりで出たっていうのがありました。経緯を覚えてないんですけど、そのあとで大阪の町田町蔵さんの家まで遊びに行ったことがありますね。停電になったか何かでアルコール・ランプで火をつけようって言って、でもアルコールがなかったからライターのガス入れたらどうやって。やってみたら爆発して眉毛が焦げたっていう(笑)。その後はもう全然会ってないですね。うちの実家に来たこともあったんですけど。何かサンマの頭も食べたはったのは覚えてますね。たんについて回ってただけなんでしょうけどね。子供が兄貴分みたいなのについていくっていう。僕がそのとき17とかだから、向こうも21とかじゃないですか。

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木造の4畳半で、当時家賃が9000円。6畳の部屋もあってそっちは1万ちょっとかな。部屋交換しようやとか言って僕が山塚さんの使ってた部屋に移ったら、ハナタラシのマークが壁にでっかくペンキで描いてあって「うわ、何やこれ!」って(笑)。


タバタミツル
ルシファー

map / Compare Notes Records

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ハナタラシはボアダムスをやる前から見てたんですか?

田畑:のいづんずりのライヴで知り合ったのかな。あ、ノイバウテンのライヴがあって、そのときにアマリリスのアリス・セイラーさんから紹介してもらったのか。アマリリスのライヴが血糊とか使ったホラーショウみたいな演出になってて、そこに山塚アイさんが出てたんですよ。これまた経緯が前後しててよく覚えてないんですけど、いっしょのアパートに住んでたんです。京都に安田荘っていうアパートがあって、そこに間借りしたりしてた。ハナタラシがサイキックTVの前座をやったときに爆弾を持ち込んだ事件のときも、僕はその日バイトで、スタッフも同じアパートやったから「まあ頑張ってきてやー」って送り出した覚えがある(笑)。それで夜中に帰ってくる音がして、「アカンかったわー」とか言って。

すごいですね(笑)。同じ部屋に住んでたんですか?

田畑:いや部屋は一応バラバラでトイレは共同でしたけど。いまでもあるんですよ、そのアパート。木造の4畳半で、当時家賃が9000円。6畳の部屋もあってそっちは1万ちょっとかな。部屋交換しようやとか言って僕が山塚さんの使ってた部屋に移ったら、ハナタラシのマークが壁にでっかくペンキで描いてあって「うわ、何やこれ!」って(笑)。......アイちゃんもずっと会ってないな。

いっしょに音楽を作ろうってなっていくわけですよね

田畑:とりあえずハナタラシがライヴできないからバンドをやりたいって言ってて。どこも出入り禁止だったから。最初はバズコックスみたいなバンドっをやろうてことで、ボアダムスって名前もバズコックスの曲名から取ったんですよ。メンバーは身近なところで、竹谷郁夫さん(元ハナタラシ、現在はヴァーミリオン・サンズのリーダー)がドラムで、細井尚登さんがベース。でもアイちゃんが持ってくる曲はバズコッコスとは全然違うんですよ。ブラック・サバスみたいなのとか。デビュー・ライヴは映像があるはずなんですよね。こないだハイライズがDVDを出したんですけど、そのときのライヴが入ってたので。デビュー・ライヴはハイライズとオフマスク00が対バンでエッグプラントでやったんです。どんな曲やってたかな。バットホール・サーファーズのコピーとか、あとはブラック・サバスみたいな曲。

山塚さんが曲を持ってくるような感じだったんですか

田畑:そうだったと思うんですけど、うーん......よく覚えてないな。何かもうワケわからんことをやってて、みんなもたぶんわかってなかったと思うんですけど(笑)。

ファースト・シングルの「Anal By Anal」はふたりで録音したんですよね。

田畑:そうです。アイちゃんのアパートで。

同じアパートですか?

田畑:いや、それもよく覚えてないんですけど、そのときはもういなかったんですよ、安田荘には。八尾にアパートを借りて住んでて。ひょっとしたら両方に住んでたのかな。八尾まで行って録音したんですよ。何を録ろうかって喫茶店で相談して、焼き飯を食って。その焼き飯がめちゃ旨かった(笑)。それで録音は村上ポンタさんのドラム教習ヴィデオに音を被せて、歌は後で入れとくわとか言ったのかな。それで帰りにいっしょに駅に行く途中に曲名を考えてて、ずっと「アナルなんとか」って、アナルアナル言うてたのはよく覚えてる。

その頃から曲名にこだわってたんですね。

田畑:そうですよ。そういうノート見たことがある。「アル&ナイナイズ」とか(笑)。

バンド名をいっぱい考えるのが好きみたいな話はよくしてましたよね。

田畑:その前にたしか〈トランス・レコード〉のコンピに参加してるんですよ。そのときは一応録ろうって言ってスタジオで全員で録音したんですけど、使われたのは最後の五秒くらいで。前半はずっとアイちゃんがひとりでやってるノイズみたいなので、何でそうなったのかわからない(笑)。

その頃からそういう、素材を後からいじり回すような感じだったんですね。それはのいづんずりと並行してやってた感じなんですよね。ボアダムスでもライヴは結構やったんですか、そのメンバーで。

田畑:10回以上はやってますかね。まあだんだん客は減ってくる(笑)。途中から吉川豊人くんがドラムになって、その経緯もよくわからないですけど。しばらくしたら細井くんも辞めてベースがヒラくんになって。ヒラくんが入ってからは吉川くんの家で練習するようになりましたね。けっこう大きい家だったんで。集まりが悪いんですよ。それで遅刻したら罰金ってことにして、30分千円とかにしたらピタっとくるようになったんですけど(笑)。それで何回かライヴをやりましたね。

ボアダムスを辞めたのは?

田畑:のいづんずりのメンバーからセカンド・アルバムを出すって話が来て、そのときに「お前、ボアダムスとのいづんずり、どっちを選ぶねん」みたいな掛け持ちに対する圧力があったんですよ(笑)。ウルトラビデのヒデさんとアマゾン・サリヴァを結成したときにその話をしたんですよ。ヒデさんはニューヨークに行ってたから事情を知らないんで。それで「僕ボアダムスにいたんですよ」「ほんま!?」「あのときボアダムスとのいづんずりどっちを選ぶって言われてのいづんずりを選んだんです」って言うたら、「それ人生最大のミステイクちゃうの」って(爆笑)。でもたぶん、俺があのままいたらボアダムスは存在してないですよ。ギターが山本精一さんに変わって、ヨシミちゃんが入ってバッチリ形になった感じがする。

それで、のいづんずり一本でいこうって決めてからは。

田畑:それがその後すぐにイガミさんがクビになった事件っていうのがあって(笑)、宙ぶらりんになった。ベースの福田研さんがボーカルをやるからって言って、ベースを入れたような気もするんだけど全然印象にないんですよ。インパクトが薄れてて。何回かライヴもやってるはずなんですけど。そのうち東京に行くとか言い出したんで、「俺は行かないから辞めるわ」って。イガミさんがインドリイガミ&ワイルド・ターキーっていうのをやってて、もう分裂状態。たしか僕は一時期両方やってたんちゃうかな。それで両方やるとはどういうことだってまた責められた記憶が(笑)。

当時はちょうどバンド・ブームとかインディーズ・ブームがあったじゃないですか。『宝島』あたりの。ああいうのはどういうふうに思ってましたか?

田畑:いやもう、載ったらモテるかなと(笑)。でも自分が載ったときは白塗りで阪神タイガースのユニホームを着てて、これじゃあかんやろっていう(笑)。もうちょっと見栄えのいいバンドに入ったらよかった。でも読んでましたね、時々は。『宝島』とか『フールズメイト』とか。ただ、雑誌がレーベルやるってどうなのかなって思った覚えがある。悪く書けないじゃないですか。

じゃあボアダムスも辞めてのいづんずりも失速していったと。

田畑:その頃何やってたんでしょうね。

レニングラード(LENINGRAD BLUES MACHINE)ってその頃からですよね

田畑:あ、そうですね。ベースが林直人くんって、アウシュヴィッツ(AUSCHWITZ)の林さんとは同姓同名なんです。ドラムが山崎くんっていう。いまはオショーと呼ばれたはるみたいですが、ユニ(UNI)っていうふたり組のバンドをやってます。ドラムと打ち込みの四つ打ちで、すごい人気あるらしいけど世界が全然違うんでまったくわからない(笑)。その3人でやってました。

レニングラードはメンバーを変えながらずっとやってる感じですけど、原型はこの時期に出来てたんですかね。

田畑:その後、僕がいない時期があったんですよ。

ああ、リズム隊のふたりでやってた時期が。そのときって田畑さんはハカイダーズっていうのやってましたよね。

田畑:あー、やってましたね! あれは東京出てきてからちゃうかな。

あ、じゃあもうゼニゲバに入った後ですね。

田畑:そうですね。ゼニゲバは竹谷さんがドラムだったので、関西でやってたんですよ。

ゼニゲバにはどういう経緯で入ったんですか?

田畑:NULLさんから電話があって、やってみようかなという話になったんですよ。それで何回かライヴをやった後に、『Maximum Love & Fuck』というLPをリリースしました。そして竹谷さんが辞めたあとで、吉田達也さんが加入して暫く叩いてました。今のメンバーですね。それでゼニゲバで東京に行くことになって。

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東京に出てきてまずびっくりしたのが家賃が高いことで。このくらいだったら払えるっていうところだと国立とかになるんですよ。国立で、音の出せるピアノ可みたいな部屋にしたら電車の真横で。引越しの仕事をしながらやってましたね。

東京へ出てきた理由は何なんですか?

田畑:当時CBGBってライヴ・ハウスに勤めてて、その上に住んでたんですよ。そこの店長が何と言うか難儀な人で。俺このまま一生ここにいるんやろかって思って。

それで心機一転というか。

田畑:そうですね、環境を変えたかった。

新しいバンドで環境も一新して。関西の人が東京に出てくるときってそれなりに決意とかがあるじゃないですか。

田畑:いないですよ、実際あんまり。俺が知ってる人だと芳垣安洋さんとか向井千恵さんくらいですよね、関西生まれでいまもこっちに住んでる人は。東京に来なくてもできるじゃないですか。東京に出てきてまずびっくりしたのが家賃が高いことで。このくらいだったら払えるっていうところだと国立とかになるんですよ。国立で、音の出せるピアノ可みたいな部屋にしたら電車の真横で。引越しの仕事をしながらやってましたね。アメリカに初めて行った頃には。

ディスクユニオンで働いてたのはゼニゲバで出て来てすぐですか?

田畑:国立で働いてたときに、駅のそばに国立店があったんですよ。それで前をいつも通ってて、肉体労働がキツくなってきた頃に募集してたから。

じゃあ最初から新宿店ではなかったんですか。

田畑:じゃなかったんですけど、そのうちに新宿店から来いよって言われて異動して。

やっぱりレコードに詳しいっていうのがあったんですか。たしかその頃ディスクユニオンのフリーペーパーがあってサイケのマイナー盤を紹介するような連載をやってましたよね。レコードマニアだったのかなと思ってたんですけど。

田畑:いや、あそこにいると詳しくなるんですよ。西口にヴィニールってレコード屋があるじゃないですか。昼休みになると走ってあそこにレコード買いに行ってて。レコード買いすぎて金銭感覚がおかしくなってきて「○○のオリジナルを2万5千円で見つけたよ!」「安いですね!」とか言って。2万5千円のLPのどこが安いねんっていまは思うけど、その頃は真剣に「安いですね」って言ってた(笑)。全部売りましたけどね(笑)。

ゼニゲバは海外ツアーを精力的にやってますけど、最初から海外を視野に入れてやろうっていうのはあったんですか?

田畑:いや、そんなことは全然ないと思います。最初NULLさんがソロで呼ばれて、その後バンドもってことになって。『全体去勢』ってアルバムのレコーディングをシカゴのスティーヴ・アルビニのスタジオでやったんですよ。スティーヴ・アルビニのスタジオはいまは「エレクトリカル・オーディオ」って言ってますけど、その頃は普通の民家の地下にあって、トイレが流れる音がすると録音に入っちゃうようなとこでしたね。当時は8チャンネルで。アルバムのレコーディングを5日くらいでやって、録り終わったら初ライヴがあって、対バンがバストロやったんです。

ああ、じゃあ今日のTシャツはそのときに。

田畑:そのときもらったやつです。そのときはXLでブカブカやってんけど(笑)。

アメリカでライヴをした体験は、その後どのようにフィードバックされましたか?

田畑:ほんまに人気あったんやって思いましたね(笑)。アメリカに行く前はお客さんも少なくて、〈トランス・レコード〉周辺なんかのシーンも終わりかけてた頃で。そんな時期に向こうに行ったら、日本の音楽っていうのがこんなに求められてるのかって。その頃からボアダムスとかもみんな知ってましたね。ボアも行く前やったんですけど。それが91年。

日本ではいわゆるバンド・ブームが終わった頃ですね。

田畑:呼んでくれた人の家がマディソンってところにあって、小さい街だったんですけど、そこでライヴをやったりしてて。そこに行ったら対バンがメルヴィンズやったんです。当時は全然知らなくて、そのときに知り合いになったんですけど。その後はNULLさんがツテがあったからサンフランシスコに行って。

ほぁ。

田畑:ペイン・ティーンズが知り合いで、シスコでいっしょにやったんですが、最初に出たのがニューロシス(NEUROSIS)やったんですよ。まだみんな20歳とかで。そのときにジェロ・ビアフラが来てて、うちから出さないかって話になって。

どういう人でした、ビアフラは。

田畑:いや、よくしゃべる親爺やなって(笑)。そのときに録った『全体去勢』ってアルバムは、マディソンの人がやってた〈パブリック・バス(Public Bath)〉ってところから出たんですよ。〈パブリック・バス〉っていうのは日本のバンドをアメリカに紹介するレーベルで。最初にそこから出して、その次からがビアフラの〈オルタナティヴ・テンタクルス〉で。

93年の『苦痛志向』ですね。その前にNULLさんのレーベルから『内破』(92年)が出てますけど、これも録音はアルビニですね。

田畑:そうです。その時から2ヶ月とかツアーするようになって。わけわからへんですよ、2ヶ月も回ってると。最初は全然英語しゃべれへんかったんですけど、しゃべれるようになったからねえ。

じゃあもうそういうツアー生活っていうのも20年近いんですね。アメリカのバンドは、ほんとに小さいところまでツアーを回りますよね。

田畑:変なところでいっぱいやってますよ。ランドリー・バーっていうのがあって、ランドリーとバーが合体してるんですよ。洗濯しながらライヴを見る(笑)。オハイオ州のコロンバスってところで。「こんなところ誰もやらんやろ」って思ったけど、日程見たらジーザス・リザードとか書いてあるから「みんなやってんや」って。あとゲームセンターね。日を空けたらあかんので、移動の距離が開いてるときは間に無理矢理ライヴを入れたりするんですよ、ゲームセンターでオールエイジ・ショーとか。やらないよりマシやから。最後のほうはここがどこだかわからなくなってきますね。

ゼニゲバって日本のバンドで長い海外ツアーをやるっていうスタイルの先駆けに近かったんじゃないかと思うんですよ。

田畑:どうなんでしょうね。いまだったらメルト・バナナがすごいやってますけど。

そうですね。メルト・バナナもやっぱりゼニゲバの影響はあったんじゃないですか。

田畑:NULLさんが最初にメルト・バナナのアルバムをリリースして、そのときから海外ツアーをはじめたんじゃないかと思います。

91年ならスティーヴ・アルビニってもうかなりのビッグ・ネームでしたよね。

田畑:そうなんでしょうけど、あまりそういう感じを与えない人ですよ。日本にも呼んだりしましたね。シェラックとか。あ、シェラックの前にひとりで呼んだのか。ゼニゲバ&スティーヴ・アルビニで。あのときは初めての日本だったんですけど、ツアーするバンドと違ってひとりで来るから、着いていきなり日常に放り込まれて。大学の寮に泊まってました。

ゼニゲバ&スティーヴ・アルビニでライヴ・アルバムが出てますね。『内破』の録音もそのときで。ゼニゲバのヨーロッパ・ツアーはどういういきさつで行くことになったんですか?

田畑:〈サザン・レコーズ〉っていう〈オルタナティヴ・テンタクルス〉の支社があって、ヨーロッパでのディストリビュートもやってるところで。結構もう確立されてたんですね。いろんなバンドが使うバンを貸す会社みたいなのもあった。93年くらいで。そのときのツアーマネージャー兼ドライバーがアメリカ人なんやけどヨーロッパに来て気ままにやってるような女の子で、後でGREEN DAYのマネージャーになりました。フランスからイギリスに入るときにワーキングビザが絶対必要じゃないですか。そしたらイギリスのオーガナイザーがその女の子の分だけ取ってくれてなかったんです。だから前日に物販担当の女の子とふたりで先に行ってるからってことになって。それでバンドだけでワゴンを運転して行ったら、フェリーに乗り込む段階で警官に囲まれて犬がぶわーっと出てきて。いろんなバンドに貸してるから、怪しい匂いでも染み付いてたのか(笑)、身ぐるみ調べられてるあいだに「ああー、フェリーが行っちゃうー」とか。ポーランドで車ごと機材を盗難に遭ったりとか、いろいろとタフな経験もしてます。

ヨーロッパだとどこがいちばん受けましたか?

田畑:当時はイタリアでしょうかね......。いちばんクールな感じなのはドイツで。でもドイツがいちばん重要で、いちばん回らなきゃいけないって言われますけど。

ゼニゲバが活動休止状態になったり、レニングラードも2000年前後にはあんまり活動しなくなった時期があったと思うんですけど。

田畑:あのときはまあプライヴェートでややこしかった時期やったんで、生活をまず立て直さないとあかんかった(笑)。

2002年くらいからまた活動が活発になって、バンドやユニットも爆発的に増えていきますね。

田畑:ちょうどその頃またゼニゲバをやるようになったんですよ。オール・トゥモローズ・パーティーズに呼ばれて。それが2002年だったと思います、ワールドカップがあった年だから。そのときはワイヤーとかチープ・トリックとか。俺らはチープ・トリックの前の前の前くらいやったんです。会場の2階が2000人くらい入る大きいボールルームになってて、ゼニゲバのときも結構満員だったんですけど、チープ・トリックの番になったらごそーっと減って。1階の1000人くらいのホールでザ・フォールがやってて満員になってて、うわ可哀想って思った。ああいうところではやっぱチープ・トリックとか人気ないねんな。

日本じゃ武道館なのに。

田畑:毎日のヘッド・ライナーがワイヤーとチープ・トリックとブリーダーズ。シェラックがキュレーターだったんですけど、シェラックは一階の小さいほうのホールで毎朝オープニングでやるんですよ。普通キュレーターのバンドがトリじゃないですか。シェラックは毎日前座(笑)。

アルビニもチープ・トリック好きですもんね、たしか。

田畑:たぶんはよ終わって観たかったんやないかな。

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いまレギュラーでやってるバンドがたくさんありますけど、それぞれ簡単に紹介していただけますか。まずは20GUILDERS。

田畑:これはスズキジュンゾくんとやってる歌もののデュオで、エレキギター弾き語りです。ギューンカセットからアルバムが11月に発売になります。いっしょには曲作らないんですよ。それぞれの作品で、コーラス入れる程度だったんですけど、最近やっと形になってきたかなと。前は本当に勝手にやってるっていうか、各自の曲をやるだけだったので。


タバタミツル
ルシファー

map / Compare Notes Records

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じゃあここでアルバムが出るっていうのはタイミングとしてはいいですね。20ギルダーズで最近よくやってる、高校のときに初めて作ったって曲がありますよね。名曲だと思うんですけど。

田畑:中学のときですね。あれはアルバムに入りますよ。"ストロベリー・キッス"(笑)。歌詞書いたのはこの前ですけど。30年間ずっとハナモゲラで。最近やっと日本語で歌うようになって。こないだ山本(精一)さんたちのグレイトフル・デッドのトリビュート・ライヴっていうのが大阪であって、練習で入ったときに「お前よく歌詞覚えられるな」って言われて「いやハナモゲラですよ」「うそ!」って。30年間ハナモゲラだって言ったらビックリしてました、それもすごいなって(笑)。ハナモゲラでも良かったんやけど、レコーディングしたらそれはマズいんちゃうかなと思って(笑)。

アシッド・マザーズ・テンプルは、ベーシストとしてはあれが最初のバンドになるんですか?

田畑:そうです。実はベースやってたバンドもあるんですけど、本格的には。

あれはどういう経緯で参加することになったんですか。

田畑:どうやったかな。アシッド・マザーズ・テンプルっていうのはもともと河端一を中心にしたいろんなメンバーの集団であって、それが途中からメルティング・パライソ・UFO(Melting Paraiso UFO)っていうひとつのバンドっぽくなってきたんです。それである時期からまた元の形に帰ろうみたなことで、もうひとつバンドを作るっていう時に「ベースでやらん?」って。同じアシッド・マザーズ・テンプルって名前の下にいろいろ違う名前がつくっていう形で、僕が入ったのはアシッド・マザーズ・テンプル アンド・ザ・コズミック・インフェルノ。

スタート当時といまではだいぶ感じが変わってると思うんですが。

田畑:変わってますね、最初はもっとワン・グルーヴ一発でハードにやる感じだったんですけど、いちばん大きいのはツインドラムの片方が変わったんですよ。最初はサバート・ブレイズ(SUBVERT BLAZE)の岡野くんと、志村浩二(みみのこと他)さんだった。岡野くんに代わってピカ(あふりらんぽ)が入ってイメージが変わってきましたね。

たしかに、ピカチュウさんの色はかなりありますね。何か大らかな感じがするようになった。いまのレニングラードはいつ頃から今のメンバーになったんですか?

田畑:2004年くらいかな。これがいちばん活動がマイペースで、こうしなきゃいけないみたいなのは全然なくて、ライヴを楽しんでやってる感じですよね。

最近はレニングラードのことを「ジャム・バンド」って言ってますよね。それは昔から感覚としてはそういうものだったけど、当時はそういう言葉がなかったって感じですか?

田畑:そうですね。一般的なジャム・バンドよりはもうちょっと曲があるとは思いますけど。でもそれやったらフィッシュもそうやし、僕らもロック系のジャム・バンドって感じですね。最近はサックスで狂うクルーのアックンが入って。

よりジャム・バンドっぽくなったというか。

田畑:ええ。

ベースを弾いてるバンドだと、最近はグリーン・フレイムス(GREEN FLAMES)がありますね。

田畑:それはほんとについ最近ですね。ハイ・ライズのギターの成田宗弘さんと。ドラムは最初はナツメン(NATSUMEN)の山本達久くんだったんですけど。それがもともとハイ・ライズにいた氏家さんに変わりまして、活動中。

アマゾン・サリヴァはヒデさんがニューヨークから帰ってきて結成したわけですか。

田畑:高校生の頃から知ってるんですけどね、ヒデさんのことは。それでいつの間にかニューヨークに行ったって聞いてて。それで忘れてたんですけどゼニゲバでオルタナティヴ・テンタクルス〉のツアーを回ってたら、ATの次のリリースはこれだって、あの道頓堀のジャケットのやつで。それで「あれ、これって?」と思って裏見たら写真にヒデさんがおるし(笑)。それでイギリスで対バンしたんですよ。イギリスのツアーは全部ウルトラビデといっしょで、アリス・ドーナッツ(ALICE DONUTS)と3バンドで。そのときに久々に会って、またしばらく音信不通になってて。それで帰ってきてるでって話は聞いてたんですけど、東京でウルトラビデの何周年ってことで、オリジナル・ウルトラビデのライヴがモストとかと対バンで、クアトロでやったのかな。そのときに「うち泊まりや」って言ったら泊まりに来たんです。それでいきなりその次の日にイギー・ポップのトリビュート・ライヴみたいなので「ベースで弾き語りしよう思うんやけどいっしょにやらへん?」って言われて、そのままリズムボックス入れてやって。大阪のライヴは対バンがズイノシン(Zuinosin)で、「若くてええのおるやん」ってことで「いっしょにやらへん?」って現ボガルタ(BOGULTA)のナニくんを誘った。

じゃあ結構なりゆきで。

田畑:この前ようやく『AMAZON PUNCH』ってアルバムが出まして。

それまで出してたCD-Rってライヴと全然感じが違いましたよね。

田畑:CD-Rは、物販がないとツアーしてもギャラが......っていう。新人バンドなんで(笑)。いつの間にかたくさん出してますけど、3枚目くらいまで1曲も3人揃ってやってない。

ライヴでヒデさんが「ナニくんの生ドラムを録るのが夢だったんです!」って言ってましたよね。やっぱり基本的にはヒデさんが中心のバンドなんですか。

田畑:全員ヴォーカルは取ってますけど、まあリーダーはヒデさんってことですね。みんな自分のバンドもいろいろあるし、住んでるところもバラバラだから。大阪と京都と東京で、もうツアー・バンドですね。全然新曲が増えない(笑)。もう5年くらい同じ曲やってますね。やらなくなった曲をまた戻したりしてるだけで、ずーっといっしょ。

青春18切符でツアーをするんですよね。

田畑:してますね(笑)、このバンドだけですよ。

あれはヒデさんが言い出したんですか。

田畑:まあそうなんですけど、こないだも疲れたとか言ってサウナに行ってマッサージ受けてるんですよ。その金を回して新幹線乗ったほうがええんちゃうかって言われて、そういえばそうやなって(笑)。18切符の時期しかツアーしてないです。

『AMAZON PUNCH』はたしか高知のレーベルからのリリースですよね。

田畑:高知のカオティック・ノイズっていうところから。

ライヴ・ハウスなんでしたっけ。

田畑:いや、レコード屋ですね。インストアライヴをやってるんですよ。レコード屋の棚を片付けてライヴをやってる。だから週末しかライヴはやってなくて普段はレコード屋。すごくいいレコード屋ですよ、パンク中心で。

あとPagtasはちょうどアルバムが出たところですね(『poi』)。

田畑:〈ペダル・レコード〉から。

昔からやってるバンドというかユニットですよね。

田畑:基本的には坂田律子さんがひとりでやることもあるんですけど、バンド編成でやるときには僕がベースで、NATSUMENの山本達久くんがドラム。それでレコーディングはゆらゆら帝国のエンジニアの中村宗一郎さんが録音してくれました。〈ペダル・レコード〉って中村さんのレーベルなんで。

Pagtasではサポートメンバーみたいな感じなんですかね。

田畑:そうですね、メンバーの都合が悪いときもライヴを断るんじゃなくて坂田さんがひとりでやったりするから。いちばん難しいんですよ、曲が。

独特ですもんね。もともとひとりでやるのが前提で作った曲にメンバーが合わせていく形だからなんですかね。

田畑:拍子とかがクルクル変わるんです、感覚でやってるから。難しいんですよ。

あとWabo-Chaoは。

田畑:それはMandogの宮下敬一くん(ギター)と前にゼニゲバのドラムをやってた藤掛正隆くんの三人で。これは即興ですね。歌ったりもしますけど。活動もそんなに頻繁ではないですけど、今度ダモ鈴木さんがまた来るのでそのときにやります。

あとデュエル(DUEL)っていうのがありますね。

田畑:ああ、あれはギターのケリー・チュルコっていう、オジー・オズボーンのプロデューサーのケヴィン・チュルコの弟なんです。あとASTRO(元C.C.C.C.の長谷川洋、エレクトロニクス)さんとヒグチケイコ(ヴォイス)さんで、これはインダストリアル・ノイズですね。新しく組んだバンドなので、これからです。

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それで河端くんがアシッド・マザーズはいつも吉田達也さんにマスタリングやってもらってるからって言うので、じゃあいつもの調子でお願いしますって言ったら「いつもと全然違うじゃん」(笑)。吉田さんも最初困ってたみたいです。だいたいドラムが入ってないし(笑)。

田畑:それだけやったっけ、バンドって。

まだまだたくさんあるとは思いますけど(笑)、ここらでソロの『ルシファー』の話を聴きたいと思うんですが。


タバタミツル /
ルシファー

map / Compare Notes Records

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田畑:事前に作ってた曲は1曲しかなかったんですよ。ゼニゲバの関西ツアーを3箇所くらいやった後にアシッド・マザーズの河端くんの家の山寺まで行って録音したんやけど、それまで全然準備してなくて。ツアーの最終日が神戸で、打ち上げが朝まであって、酔っ払ってその時にみんなでしゃべってた話を歌詞にしたんです。「キブンハショウニ」ってヤバい歌があるんですけど、それはライヴ・ハウスの店長が何かの拍子に「気分はショウニや」って言ってたから「これや」とか。

今回はソロでは初めての歌ものですが、これまでのソロは全部インストでしたよね。

田畑:今回は〈Mapレコード〉からそもそも歌を入れることって言われてたんですよ。いままでソロは海外のレーベルからしか出してなかったから、日本語で歌うのはどうなんかなってのもあったんですよね。まあギタリストやからギターのアルバムを出さないかんのかなって単純に思って何枚か出してたんですけど。

いままでのソロアルバムと今回のアルバムでは作り方で違いはありましたか?

田畑:まず自分ちで録ってたのと違うのは、帰る日を決めてたんです。だからそれまでにやらなきゃいけない。3日で録ったんですけど、正味2日ですね。毎日終わるたびに鍋とかやってたんでずっと二日酔いで(笑)。声とか擦れてるんですよ。曲はない、アイデアない、ないない尽くしで(笑)。

とてもそうは聴こえないですけどねえ。仕上がりは割と構築感があると思うんですけど。録音がすごくいいですよね、空間処理とか。音数が少ないのも逆にいい。

田畑:それはもうプロデューサーのおかげです。それで河端くんがアシッド・マザーズはいつも吉田達也さんにマスタリングやってもらってるからって言うので、じゃあいつもの調子でお願いしますって言ったら「いつもと全然違うじゃん」(笑)。吉田さんも最初困ってたみたいです。だいたいドラムが入ってないし(笑)。何か参考になるものないかって言ってCD棚探してたけど、「ないな」って。それでレインコーツ出してきて聞いてたんですけど、全然ちゃうやんけ(笑)。

ギター以外の楽器が結構少ないながらも効果的に使われてますが、録音するときには河端さんからのアイデアも結構あったんですか。

田畑:そうですね、それはすごくありましたね。あと自分が弾けない楽器をリクエストしたり。ハーディガーディ弾いてくださいよとか。本当にアイデア無かったので。

「ルシファー」っていうのはどこから来たんですか。

田畑:それは最初から決まってましたね、なぜか。日本語タイトルは"世界最古のヤクザ"で、「ルシファーってヤクザやったんや」っていう(笑)。

何でルシファーなんですか。

田畑:いや、それが何だったのか......悪魔憑きみたいなのに凝ってたことがあったんですよ。エクソシスト系の映画が好きで片っ端から観てたんです。取り憑くやつ。

もともとあった曲っていうのは?

田畑:"海の藻屑"って曲。あとは全部その場で作りました。

"月の石"あたりは結構ちゃんと曲になってるというか、もとからあったのかと思ってたんですけど。

田畑:あれは録る5分前に作った(笑)。かなり焦ってましたね。

歌もので3日間ってすごいですよね。昔のノイ!とかも3日とかで作ってるけど、あれはほとんどインストだから。

田畑:そういうノリで作ってますよ、たぶん。歌は入ってるけど何かワケがわからん音楽なんで(笑)。

たしかにフォーク的な歌ものとは違いますけど、でも歌詞は書いたわけですよね。

田畑:メモ帳が残ってますよ。よく聴くとわかるんですけど、書いて歌ってるのと、頭の中だけでやってるのがあって、書いてないのは歌がちょっと出遅れてるんです。自分だからわかりますけど。よくそんなんで出してくれたな(笑)。

〈Map〉から田畑さんの歌もののソロが出るって話を最初に聞いたのは実は1年以上前なんですけど、随分かかりましたよね。

田畑:だからやるぞって締め切りを作らないとやらないですよ。それまでに準備しとけよって感じですけど(笑)、何かと忙しくて。たくさんバンドやってるのも余裕でやってるように見えるけど結構いっぱいいっぱいなんです。もうわけがわからない(笑)。Pagtasも「パグタスノート」っていうのがあって、そこに自分の演奏メモが書いてあるんです。覚えられないくらい難しいし、それがないと演奏できない。もうそんな状態ですよね。ゼニゲバだけは長くやってるんで身体で覚えこんでますけど、あとは最近やり出したバンドばっかりなんで、曲があるバンドは苦労してますね。

あれだけたくさんのバンドを掛け持ちするっていうのはどういう感じなんですか。

田畑:わけがわからないですよ。

意図して増やそうと思ってたわけでもないんですね。

田畑:まだ楽は楽かもしれないですね。バンド・リーダーとかじゃないんで。

そうか、リーダー・バンドはあまりないですね。

田畑:リーダー・バンドはないけど社長やってるバンドはありますよ。

社長?

田畑:物販の(笑)。リーダーではないけど物販業はずっとやってますね。アシッド・マザーズでもそうだし。

アシッド・マザーズの物販はメルティング・パライソ・UFOのほうは津山篤さんがずっとやってますよね。

田畑:津山さんはたとえマジソン・スクエア・ガーデンでやっても、物販は俺がやるって言ってますね(笑)。

出番までにステージに行くのが大変ですよね(笑)。それでは今後のリリース予定とかを最後にお聞きしたいと思いますが。

田畑:まずこないだ『ルシファー』の後に『Mankind Spree』っていうソロアルバムが出ました。それはインストゥルメンタルで。

いろいろゲストが入ったりしてますよね。

田畑:そうですね、山本達久くんとか、一楽誉志幸くん(FRATENN他)とか、アシッド・マザーズのシンセの東洋之くんとか。あとはPagtasが出たところで、11月に20ギルダーズ。それとGREEN FLAMESを録音するかも。ゼニゲバは今月、イギリスのバーミンガムでスーパーソニックっていうフェスに出ます。対バンがスワンズにゴッドフレッシュにナパーム・デス(笑)。「いつやねん」っていう、どれも微妙に古い(笑)。メルト・バナナもいっしょですね。あ、そのときノイ!も出るんですよ。ミヒャエル・ローターがノイ!の曲をやるっていう。20ギルダーズのレコ発ツアーもやりますね。それは国内ですけど。帰ってきてすぐなんですよ、ゼニゲバのツアーから。かなり音楽性が違うんで頭切り替えんと。その後、11月25日にゼニゲバで初のワンマン・ライヴが新大久保のアースドムであります。

Chart by JETSET 2010.10.18 - ele-king

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