レゲエのステッパーズにはテクノやハウスと共通する魅力があるように思う。BPMや使われる音素材、サウンドデザインに違いはあれど、低域を強調したベースラインと4つ打ちのキックによってトラックの土台となるリズムが組み上げられ、反復するグルーヴの中へとグイグイと引きずり込まれるようにハマっていく快楽性は、どちらにも共通している。
しっかりと組まれたサウンドシステムでステッパーズを鳴らすと、そのサウンドは突き抜けるように身体を振動させる音圧となる。そうして聴覚以外の器官も刺激されることで得られる高揚は、一般的なスピーカーでは味わえないものだ。リヴァーブ/エコー・エフェクトのかかったウワモノは、ダブテクノ/ハウスと同様、意識を遥か彼方まで心地よく飛ばし、堅牢なリズムによる重低音は身体を丸ごと飲み込んでいく。
ここに選んだのは、テクノ/ハウスと親和性の高いステッパーズ5曲だ。そそられるものを感じたならば、サウンドシステムの現場に出かけていって、自宅では味わうことのできない衝撃をぜひとも全身で体感してみてほしい。
Alpha and Omega - Rastafari
イギリスの二人組が90年代に発表したクラシック。2013年にパーシャル・レコーズから再発され注目を集めた。力強くうなりをあげるベースラインとキック上に、エコーのかかったハーモニカのメロディとボイスサンプルが浮遊するアツい1曲。
Henry & Louis f. Johnny Clarke "Love & Understanding" b/w dub version ZamZam 40 7"
アメリカのポートランドから現在進行形のダブミュージックを7インチで発信し続けているザムザム・サウンズ。最新作では、ベン・クロックやマルセル・デットマンらの作品を思わせる、残響に漬け込んだキックが特徴的なヴァージョンを収録。このモノトーンな雰囲気にはテクノ心がくすぐられるはず(試聴では2:00からヴァージョンになっています)。
Bim One Production ft. Pablo Gad - Hard Times VIP
東京の1TAとe-muraが結成したプロダクションユニットによる貫禄のステッパーズ。硬質なキックの下でベースラインが這うように攻め立てる中、次々と素材が放り込まれていく。リズムを崩した中盤の展開は盛り上がり必至。
Tapes & DJ Sotofett - Dub Happy
多才にして奇才、DJソトフェットのレゲエサイド。アレンジはオールドスクールなダブマナーに沿っているものの、ミックス処理はスッキリとしておりモダンな仕上がり。デジタル過ぎないデジタルダブ。
Burro Banton - Praise Up Jah Jah
これまでに何度か再発されている80年代ステッパーズ。エフェクトのかけ具合と素材の抜き差しによる微細ながら絶妙なアレンジで延々とグルーヴが持続するヴァージョンが秀逸。野太いベースがたまらない。