BES & ISSUGI VIRIDIAN SHOOT WDsounds/Pヴァイン |
近いところにある交わってないストーリーが出会う。まざりあうことで純度を増していくHIP HOP。プラスがプラスになるコンビネーションが作り出すシンプルな強さがこの作品の柱を作っている。気持ちよくただただ乗って欲しい。
「HIP HOP?」と自分に問うことへの答えと、「HIP HOP?」と他者に問われたときの答えは違う。BESとISSUGIがリリースしたアルバム『VIRIDIAN SHOOT』は絶対的に「HIP HOP」として存在する。初めてこの作品を聴いたときに強烈に感じさせられた「HIP HOP」を理解するひとつの手がかりを言葉にしたくてふたりに話を聞いた。
地元の先輩のDJがレッドマンの“IT’S LIKE THAT”ってあるじゃないですか? それに山本リンダをブレンドしてたんですよ(笑)。
──BES
かなりどぎつい味になりそうですね(笑)。
──ISSUGI
■お互いの出身地と育った場所を聞かせてください。
ISSUGI(以下、I):俺は練馬です。学校は荻窪だったんだけど、基本的に練馬からそんなに離れた所に住んだことないですね。
BES(以下、B):俺は18位から渋谷で遊びはじめて。地元にはいて、地元は東京の青梅ってとこなんですけど。20くらいまで地元にいて、何もないんでそこから出たくて。地元から出て。そのときもう、池袋BEDで「URBAN CHAMPION」(池袋BEDでいまも続いているパーティ)はMOTAIとかとやってたんですけど。はじめたばっかのときは青梅で。地元でやってても面白くなくて。音楽やる奴がほとんどいなかったんですよ。ラッパーっていっても違う感じだなって思ってて。そのときもうEISHIN(SWANKY SWIPE のメンバー)と組んでたんですよ。中野にはしょっちゅう遊びに行ってました。
SWANKY SWIPEはBES、EISHIIN、DJ PORCHE、YODELからなるグループで2000年代にHIP HOPをHIP HOPそのものとして新たな次元に持って行ったグループのひとつだ。アルバム『BUNKS MARMALADE』を是非聴いて見て欲しい。リリース当時さまざまな場所で話題になっていた記憶は鮮明に焼き付いている。90年代にヘッズにトラウマを残したBOOT CAMP CLIKと近い存在と言っても過言ではないだろう。SWANKY SWIPEのBESとEISHINの出会いは意外だけれどしっくりくる。
■EISHINと組みはじめたのは?
B:18、9からですね。EISHINはわからないですけどおれは向こうがラップやってるのは知ってたんで。新宿にCISCOがまだあったときに、たまたまばったり会ってですね。その前にも何回か連絡してたんですけど、電話切られちゃったりして(笑)。俺は中学からEISHINのこと知ってたんですよ。お互いスキーやってて、スキーの大会で知り合ってるんですよ。「サイプレス・ヒル聴いてる?」 「聴いてる、聴いてる」とか言って。
I:面白い。
■青梅に住んでたときの思い出の曲ってありますか?
B:そのとき、地元の先輩のDJがレッドマンの“IT’S LIKE THAT”ってあるじゃないですか? それに山本リンダをブレンドしてたんですよ(笑)。
I:かなりどぎつい味になりそうですね(笑)。
B:そうそう。俺爆笑してて、ひとりで(笑)。「だっだだだだだだ」って山本リンダが入ってくる。クラブでそういう時間があったんですよ(笑)。その人は青梅から絶対に出ない人なんですけど。福生で基本イベントやってるのが多くて、アメ車の輸入やってる先輩がいて、その人達がYOU THE ROCKとかを呼んでイベントやってたんですよ。そこで自分がセキュリティとかやってて。19とかっすかね。そのパーティは人も凄かったですね。
I:その時代知らなかったです。ふたりとも別々でソロでやってたんですね?
B:いや、EISHINはグループ組んでたんだけど。結局グループがなくなっちゃって、相手がいないってなってて。そんで、地元の奴ごしに、八王子に会いに行って、そこで会うのが後のDJ PORCHEなんですけどね。それで、八王子でイベント出てました。「URBAN CHAMPION」の前ですね。お客さん5人しかいなかったり、見よう見まねでフリースタイル・バトルやって無茶苦茶になって笑っちゃったりとか(笑)。春木屋って店があって、スタジオとライヴハウスがくっついた3階あるところなんですけど。春木屋はもうないんですけどね。。15年以上前ですね。
I:面白そうですね。
■その頃はISSUGIとはまだ会ってないですか?
I:俺はまだですね。BEDに遊びに行くようになって「URBAN CHAMPION」とか「ELEVATION」ってイベントがあって、それで知ったって感じですね。仙人掌とかメシアTHEフライが先に知ってました。SWANKY SWIPEって人達がいるって、聞いてて。それで、場所がBEDだったんですぐにライヴを見て。
■ その時の印象は?
I:ライヴ見て、衝撃受けました。何話したかは覚えてないんですけど、「ライヴやばかったす。」って感じのことを言って、普通に握手しようとしたら。このタイプの握手の人だったんすよ。(4段階式の握手の手振りをする。)わかります?「ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!」みたいな。周りにあんまりそういう人がいなかったんですよね。
B:MSこうだったじゃないですか? 俺たちはこうで。パチンってやるのをやってたんですよね。最近みんなこうじゃないですか?(色々な握手を手振りする)
■たしかに。その頃って握手の仕方違いましたね。
B:ありましたよね。俺たちはこうパチンで。鳴らすのをずっとやってて。
I:いままで見たこと聴いたことないラップだなって思ったのを覚えてます。
■そのときに一緒に曲を作るイメージはありました?
B:なかったよね。
I:その頃はBEDで会うっていう感じでしたね。毎月何回か何かのイベントでBEDで。
B:ライヴなくても会ってたりしてたね。
BESもISSUGIも出演してなくても、クラブにいる印象がある。MONJUのメンバーである仙人掌はBES、SWANKY SWIPE双方のアルバムに参加しているのもあって、出会った当初から共に曲を作っている印象を持ってる人は少なくないだろう。初の共演は2012年になる。
■ 「BES ILL LOUNGE」(MIXED BY DJ ONE-LAW)ので初めて一緒に曲やってるので合ってますか?
B:たぶん。
I:はい。そのなかの“COFFEE & SUGAR”が最初だと思います。バトルに一緒に出たりはしてたんですけど、曲作りはそこまでなかったですね。
B:ないっす!
■それより前に曲作ってるんじゃないか? って思ってしまいます。
B:やってないですね。やるとしたら仙人掌でしたからね。
■ SWANKY SWIPEもBESの1stも参加してますもんね。“COFFEE & SUGAR”はどういう経緯で作ることになったんですか?
I:GUINESS君(ラッパー/『BES ILL LOUNGE』をリリースしたレーベル、SNAKESLOWを当時運営)が振ってくれたんでしたっけ?
B:うん。GUINESS君からだと思うよ。
I:それで、ビートを聴いてもらって、すぐに、面白いと思ってすぐ作ったすね。
[[SplitPage]] 俺が、USのラッパーのトラックにラップのせてっていうシリーズを作りたいなと思ってて。たまたま、、あれ? 俺から声かけたんだっけ?
──BES
はい。「ビートジャックしたミックステープ」を作ろうって誘いの連絡をもらいました。
──ISSUGI
BES & ISSUGI VIRIDIAN SHOOT WDsounds/Pヴァイン |
■そういうエピソード聞くのすごく好きです。そこからまた時間が5年くらい空いて今作『VIRIDIAN SHOOT』ですが、どういう経緯で作ったんですか?
B:俺が、USのラッパーのトラックにラップのせてっていうシリーズを作りたいなと思ってて。たまたま、、あれ? 俺から声かけたんだっけ?
I:はい。「ビートジャックしたミックステープ」を作ろうって誘いの連絡をもらいました。
■時期的には16FLIP vs BES(BESのアルバム『THE KISS OF LIFE』を16FLIPが全てREMIXしたもの。アルバム本編には収録されていなISSUGIのRAPも収録。)よりあとですか?
I:それより前の可能性があるんですよね。「『THE KISS OF LIFE』のリミックスやってよ?」って言われる前に、ジャック系の作品を作ろうっていうのでこっちのプロジェクトは動いていて。
■ その時点でレコーディングはじめてましたか?
I:はい。そうなんですよ。3~4曲くらいは録ってたんですよ。DOPEY君(東京のRGFのトラックメーカー。アルバム『SMILE』をリリースし、現在、制作動画と配信のプロジェクト「WORKS」をゲストを招き展開中)のとこで。
■ 全部DOPEYのところでレコーディングはしてるんですか?
I:最初はDOPEY君のところでなんですけど、分かれてるんすよね。3つの時代に。DOPEY君/ODORI STUDIO/KOJOE君のところ。
■ レコーディング時期も分かれてるんですか?
I:各4ヶ月、3ヶ月は空いてますね。
■ レコーディングしてる日数はどれくらいなんですか?
I:今回スタジオ入ってる回数は少なくて5回とかだと思うんですよ。1日にふたりで3曲くらいRECORDINGしてたんですよね。
■ 期間が空いてるとはいえ、かなりハイペースでのレコーディングですよね。意図的にですか?
I:俺的には単純に一緒にいると勝手に曲ができ上がってくようなイメージでしたね。パッパッパって。
B:どっちかが書けたら先に録ってっていう流れ。合わせてリリック書いたりふたりで構成作って、できたらそれでOK。
I:自分でも驚くほどでしたね。こんなに楽に曲できちゃって。だって、何もない状態でスタジオ行って、「今日何やりますか?」ってはじまってるのに、帰るときには3曲くらいでき上がってて。やべーできた! って。
■ふたりで作ってる印象を強く感じました。
I:どっちかの聴くとそれによってスラスラと書けるというか。俺のなかで最初はビートジャックのミックスCDを作ってる感じで作ってたので、普段のアルバムよりちょっとゲーム的というか、煮詰め過ぎないスピーディな質感が出せたと思ってます。BESとレコーディングしてったものを、持っていってディール組んでお金ゲットしてっていう。BESの誘ってくれたゲームに参加させてもらうみたいな意味でも楽しめたというか。
B:ありがとうす。
■ 楽しんでる感じ伝わります。エグさももちろんあるけど、音に乗ってる楽しさというか、気持ち良さを感じました。どのようにこの作品のアイデアは生まれたんですか?
B:『BES ILL LOUNGE』で海外のトラック、ビートジャックしたらCDでだったら出せるってわかったから、自分の好きな曲のトラック使ってやりたいって思って。それ作れたら最高だと思って、そのときに話ししてたレーベルが「お金の話しましょうか?」って言ってたんだけど、「できました」って持ってったら、「流通しかできません」って言われて。「お金の話しようっていってたじゃん」って。それでどうしようってなって。
I:そっからはバトンタッチっていうか、自分がそのバトンを持ってやるぞっていう。
■ そこからアカペラをトラックにのせていく?
I:5曲くらいはトラックに合わせて書いたんですけど、他はアカペラをトラックにのせて行きました。
■ どういう流れで制作してたんですか?
I:基本的には自分が集めたオリジナルのビートにアカペラを乗せ変えて曲を作って、BES君に「気に入らない(ビートとアカペラがあってない)のがあったら言ってください」って送ったら。これで全部ばっちりってなって。
■ 作り方自体がかなり面白いですよね。
B:そうなんすよ。
I:いままで自分でもないっていうか。
B:俺もないっす。
ビートジャックからオリジナルにBESからISSUGIにバトンが行き来する。海外のミックステープでオリジナルのものが既存のインストにブレンドされたものは普通に存在してる。その逆の作り方で作られたアルバムはこの作品以外に存在するのだろうか? ビートジャックして作られた「オリジナル」のものを聴けることはあるのだろうか?
I:はめこんで作る作業が面白かったですね。この雰囲気にあうビートはこれでとかで。やってみて合わなかったのもあるし。元々フックががっちりできたものは、このフックに合うトラックをはめるっていう作業だったり。“NO PAIN, MO GAIN”がもろそういう曲で、フックのハマりを失いたくないなと思って、探して元のフックにバッチリ合うビートが見つかって完成したときは嬉しかったですね。
■トラックは新たに探したというよりは自分がもっているストックを使ったんですか?
I:はい。GWOP (GWOP SULLIVAN)のビートは自分のソロのときにALL GWOPプロデュースで出したいなと思って、十何曲くらい持っていて。やりたいと思ってたんですが、自分のなかで先の先の先くらいのプランで考えていて。すぐ制作に入れない感じだったんですよね。でもビートってずっと持ってると自分にとって古くなるというか、ビートってそういうのあると思うんですよね。だからBES ISSUGIを作ってるときにコレだと思ってそこにGWOPのビートを全部つぎ込みたいと思って。作りました。
■ GWOPに対する印象をそれぞれ聞かせてください。
B:渋いっすよね。
I:俺も渋いと思いました。渋いんだけど年齢もそんなにいってないと思うんですよ。自分より年齢下なんじゃないかな。若くて渋いところわかっちゃってるビート作るやつだと思ってて。だから90sの焼き直しと全然違うフィーリングというか、鳴り含めてアップデートされているんですよね。あとはドラムに勢いがあってドラムの跳ね方がヤバいことになってますね。GWOPのビート、ドラムとベースの出方がウーファーから風が吹いてきそうなんですよ。そういうところが好きです。
■新たに録った曲もあるじゃないですか? どこでこのアルバムを完成だと決めましたか?
I:いちばん最後にRECが終わったのが“WE SHINE”で、それが終わったときにこの曲で揃ったかなと思ったんですけど、自分的に“WE SHINE”をアルバム最後の曲にしたくなかったのでBONUS 2曲いれて、そこまでの流れで1枚聴いて欲しいと思ってました。アルバム作ってて これがHIP HOPっしょって気持ちもあったし、HIP HOP好きなやつが聴いてぶち上がるアルバムにしたいという思いもありましたね。
絶対的な「HIP HOP」に作品で聴き、ライヴで首を振りまくって騒いで欲しい──
〈VIRIDIAN SHOOT LIVE TOUR〉
4/28 北見UNDERSTAND
4/29 旭川BROOKLYN
5/5 池袋BED
6/2 京都OCTAVE
6/3 岐阜
6/30 水戸MURZ
7/14 福島
■「BES & ISSUGI『VIRIDIAN SHOOT』
& Mr.PUG『DOPEorNOPE』DOUBLE RELEASE PARTY
supported by CARHARTT WIP」
日程:2018年5月5日(土・祝)
会場:池袋BED
OPEN 22:00
DOOR / ¥3,000 1D
ADVANCE TICKET / ¥2,500 1D + BONUS CD
RELEASE LIVE:
BES & ISSUGI
Mr.PUG
(feat 仙人掌,MICHINO,Eujin KAWI)
LIVE:
弗猫建物
BEAT LIVE:
CRAM
ENDRUN
DJ:
BUDAMUNK
DOPEY
JUCO
GQ
TRASMUNDO DJs
YODEL & CHANGYUU
チケット取扱店:
DISK UNION
JAZZY SPORT
TRASMUNDO
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