「Ord」と一致するもの

Boys Age - ele-king

 これは個人的な感覚かもしれないけれど、どうも気分が上がらないときに聴く音楽というのは、明確な感情を惹起させるものよりも、こちらの生活の事情なんてものから独立して、勝手に流れてくれるようなものな気がする。
 昨年リリースされた Boys Age の『Music For Micro Fishing』はぼくにとってそんなアルバムだった。ぼくの生活のいたるところで、このアルバムは少し距離をとって勝手気ままにクルクルと泳ぎ回っている。

 Boys Age は「Japanese DIY Master」という異名を持ち、〈Burger Records〉をはじめ、海外のインディペンデント・レーベルから数々のリリースをおこなっている埼玉のソング・ライターだ。10年代インディー・シーンが隆盛を極めていたころ、普段海外のインディー・ロックしか聴かないようなリスナーたちにもリーチしている数少ない国内作家だったように思う。

 マック・デマルコやホームシェイク直系のテープ・シミュレーターを通したヨレたギター・サウンドと、不安定なのに妙にポップなメロディ・ラインをなぞるバリトン・ヴォイスは当時の彼のトレード・マークだった。けれど彼は本当に多作な作家で、インディー・シーンが勢いを失った後、 ジャークカーブ(Jerkcurb)やマイルド・ハイ・クラブなどの、メロウさ深めのインディー・ポップや、坂本慎太郎OGRE YOU ASSHOLE などの日本の近年のサイケ・ポップに接近しつつも、荒廃したカーニヴァル会場でスーパー・マリオ・サンシャインのBGMをバックにアンドロイドたちが踊り狂う映像を思い浮かべてしまうような、狂ったボカロ作品を発表したりと、その雑食性はとどまることを知らない。

 とはいえ、それだけとっ散らかった彼の作家性のなかにも、社会から遊離したような感覚だけは通底しているような気がする。そういう意味で、彼の音楽はどれだけ奇妙なものに変態していこうと、いつでも正しい意味での「ベッドルーム・ポップ」だ。それに実際、簡素な機材と生活雑貨が積まれた文字通りの「ベッドルーム」で作曲から録音、アートワークの作成までを完結させているのだから、彼の音楽が「ベッドルーム・ポップ」と呼べないわけがない。

 その「ベッドルーム」からどれくらい離れたところかはわからないけれど、彼は昨年の頭あたりから近所の池や川での雑魚釣りに地道を上げているようで、Instagram には次から次に雑魚たちの写真が投稿されるようになった。それからしばらくしてからリリースされたのが、この作品、『Music For Micro Fishing』だ。

 水中をぬるぬると滑っていくような硬さのないベースと、ミニマルで簡素なビートを翻弄するように、たるんだ音色のシンセの可愛らしいリフレインがひらひら、くるくると揺れ動く。角の取れた音像と、アルバム全体を覆うヒス・ノイズとテープ・ノイズとそれらを通過した楽器の音色は、ローファイ・ヒップホップ的と言えるし、アルバムが展開するにつれ、徐々にラグジュアリーさが増していき、ヴェイパーウェイヴ風味も出てくるのだけど、そこに「いまさら感」を感じないのは、おそらくこの作品がゲーム音楽的なノリを持っているからだろう。

 ゲーム音楽は音楽の世界の生真面目な歴史や文脈を引き受けるよりも、そうした「正史」から少し離れて、ゲーム側の事情(ゲームの作風、BGMが流れるステージの特性などなど)に則って「音楽ジャンル」をブロック遊びのように組み替えていってしまう。
 この作品の各トラックには、それぞれのトラックがモチーフとしている雑魚や水棲動物たちの名前が付けられており、ゲームのBGMが、「面」や「ステージ」や「ダンジョン」の特徴を補完していくように、水棲生物たちの輪郭や質感、表情や動きをそれぞれのトラックは上手になぞっていく。グーグルの検索窓にトラックのタイトルを入力しながら聴くと、その「キャラ立ち」をより楽しめるはずだ。

 確かにこのアルバムには、音楽の「正史」の側から見たら目立った新規性はないにしても、ドブ池のなかの雑魚たちが「外」の出来事には無関心なまま泳ぎ回るような、妙な活力と明るさがある。それは海外の名だたるレーベルからのリリースをいくら重ねようとも埼玉に住み続け、自身の「ベッドルーム」から作品を日々発表し続ける Boys Age のスタイルそのものともいえるかもしれない。
 そうした Boys Age の「現実」への無関心さは、この作品の、濁った水越しに雑魚たちが泳ぎ回るのを眺めるような、薄ぼんやりとした調度にも現れている。けれど、ベタな感情を焚きつけたり、社会の出来事にまつわるモチーフにかかずらわず、ぼくらの感情に訴えかけたり、寄り添ったりしてくれないからこそ、この作品はぼくらの「現実」へのベタな没入を、ゆっくり、じわりじわりと解きほぐしてくれる。
 ゲームというメディアが、「なんだってやっていい現実」を「ボタン」や「選択肢」にまで圧縮し、現実の「画素数」よりも解像度の低い「ドット」によってその楽しみや喜びを組み立てていくように、『Music For Micro Fishing』は、「なんだってやっていい現実」の「へり」に雑魚や水棲動物たちのささやかで可愛らしい特徴を積み上げていく。
 嘘みたいに小さい雑魚たちが、そのささやかな特徴だけで十分な活力をもって泳ぎ回ってみせるように、この『Music For Micro Fishing』がかたどるドット状の雑魚たちも、Boys Age の「ベッドルーム」から世界中の「ベッドルーム」に向けてスイスイと泳いでいくだろう。

 「ポップ」という「開けた」語と、「ベッドルーム」という「閉じた」語をつなげてしまう、「ベッドルーム・ポップ」という不思議な言葉は、まさに「閉じる」ことによってその可愛らしさや楽しさを「開いて」いく、この作品にこそ与えられるべき言葉だと思う。「ベッドルーム」と「ベッドルーム」は、きっとこういう音楽によって、密やかにつながっているのだ。

R.I.P. Tom Verlaine - ele-king

 まあ、いまとなってはこっぱずかしい話ではある、中高生のときにロック、ことパンク周辺に夢中になってしまったぼくは、昼も夜も音楽のことばかり考えて、好きになった曲の意味をなんとしてでも知ってやろうと、辞書を引きながら一生懸命日本語訳に挑戦したものだった。テレヴィジョンはサウンドはもちろんだが、ぼくにとっては歌詞の世界にもどっぷりはまったバンドだった。 “Marquee Moon” の出だしの言葉を、これまでの人生でなんど反芻したことだろう。「I remember how the darkness doubled/ぼくは憶えている。その暗闇がいかにして重なったのかを」
 それだけで充分だった。暗闇は前提であって、それがどうしてさらに暗くなったのかが問題だった。冷たさや夜の空しさだけが真実だった。

 そりゃあ私だって幸運だったこともある
 まやかしだったけれどね
 ローラはそう言った
 彼女は目を閉じてしまった
 ひとつ、そしてまたひとつ灯りが消えていく
 名前の数々は忘れられ
 家には暗闇が佇んでいる

 そう、ローラは水に入った
 息のなかに言葉ひとつなく

 彼女のことを憶えている人などいるのだろうか
 取るに足らない人間を誰が気にかけよう
 冷たさが彼女の手のひらにやって来る
 彼女は百合を見ている
 砂の上に咲く百合を
“Without a Word”

 リハーサルとライヴ演奏を重ねたすえに録音したテレヴィジョンとしての本物のアルバムはたった1枚、『マーキー・ムーン』だけである。その歴史的な大・大・大名盤において「上昇志向よ、ぼくの頭に入ってくるな」と歌った彼は、ほんとうにその後のキャリアにおいて、上昇することも高揚することもなかった。

 「(腕のない)ミロのヴィーナスの腕のなかに落ちていった」と甲高い声で歌ったヴァーレインの歌詞には、シュールレアリスムの影響も散見された。以前、 “インディ・キッズ” という言葉のなかには「本好き」(ないしは文学青年くずれ)というニュアンスがなんとなく含まれていたということをぼくは書いたことがあるけれど、ことの発端はデイヴィッド・ボウイと、そしてパティ・スミスとトム・ヴァーレインだろう。アルチュール・ランボーを敬愛するパティ・スミス、名前を同じくフランスの象徴派詩人ヴェルレーヌから取ったトム・ヴァーレイン、バンド名をカミュの小説名から取ったザ・フォール、デビュー曲で『異邦人』を主題にしたザ・キュア、ランボーの肖像画をセカンド・アルバムのジャケットにあしらったリップ・リグ&パニック、オスカー・ワイルドを賞揚したザ・スミス、ポスト・パンク期においてはドストエフスキーとカフカ、J.G.バラードとウィリアム・S・バロウズもとくに人気だった。イアン・カーティスにいたっては、バンドを辞めて本屋をやりたいとまで言ったことがある。

 もちろんトム・ヴァーレインは、詩人/シンガーである前に唯一無二のギタリストだった。多くのパンク・バンドが使ったハード・ロック/グラムから続くディストーションを彼は使わなかった。小さなアンプを通して鳴らす彼の演奏は、ごまかしのきかないエレクトリック・ギターの生身のサウンドだった。
 彼が、幼少期はクラシック、思春期はジャズに学んだ人であるということをぼくが知ったのは、彼に夢中だった時代からずっとあとの話だ。彼は、〈スリル・ジョッキー〉からリリースされたインストゥルメンタル・アルバム『Around』のときのインタヴューで、リロイ・ジョーンズが『ダウンビート』誌に書いたアルバート・アイラーのレヴューがいまだもっとも優れた音楽に関する文章だと語っている。この発言を読んで40歳を超えたぼくは、ヴァーレインの見方を変え、また聴き直そうと思った。
 素晴らしいシングル曲 “Little Johnny Jewel” や、パティ・スミスのデビュー曲、ジミ・ヘンドリックスの “ヘイ・ジョー” の凄まじいカヴァーで聴ける彼のもっとも若いときの即興演奏からはフリー・ジャズの影響を聴き取ることができる。フィードバックもディストーションも使わず、パティ・スミスのあの狂おしい言葉に絡みつくがごとく自由に旋回し、暗い魂の底を猛スピードで這い回っているかのようなあのギター。ぼくは、なんど聴いても心が打たれてしまうのだ。

 ここまで読んでくれた方には、ぼくにとってトム・ヴァーレインがどれほどの存在だったか察していただけたと思う。初来日公演は、もちろん行った。遅すぎた初来日だった。たしか80年代後半で、そのころぼくはもうパンク周辺の音楽をほとんど聴いていなかったし、毎日を忙しく働く社会人で、暗闇も空しい夜も夢の時間も、10代の頃のように親身に感じることはなかった。アンコールで“Marquee Moon”をやったこと、オーディエンスは客席に座って見ていたこと、それと小さなアンプと淡々としたステージ、そのぐらいしか憶えていない。
 しかし『Marquee Moon』と『Adventure』、そして『Tom Verlaine』と『Dreamtime』、この4枚のレコードは自分にとってあまりにも思い出深く、“Marquee Moon”を聴くといまでも涙がこぼれることがある。

 墓場から出てきたキャディラック
 ぼくを乗せると墓場に戻った
 だからぼくはふたたび外に出た

 彼はたまたまパンクの時代に登場しただけであって、その音楽はパンクに影響を与えはしたが、必ずしもパンクと括られるものではなかった。『Warm And Cool』や『Around』のようなアルバムを聴くとそのことはなおのことよくわかる。そんなトム・ヴァーレインが1月28日に永眠した。73歳だったというから『Marquee Moon』のときは27歳かそのぐらいだったということか。トレンドには無関心で、華やかなポップの世界には一瞥もくれず、最初から彼には自己完結した揺るぎない世界があった。彼が音楽シーンで脚光を浴びたときには、彼のアートはすでに完成していたのだ。

2022年の騒乱を乗り越えて、希望をもって生きるにはどうしたらいいのか?
日本を診断し、処方箋を提供する!

青木理、柄谷行人、ダースレイダー、望月衣塑子
雨宮処凛、岸本聡子、酒井隆史、篠原雅武、土田修、永井玲衣、二木信、本田由紀、水越真紀、三田格

菊判/192ページ

目次

序文 いまなぜ羅針盤が必要なのか(水越真紀)

インタヴュー
青木理 この10年で社会はどのように変質してしまったのか (土田修)
ダースレイダー 日本にないものをもう一度考えてから始める (水越真紀)
望月衣塑子 安倍元首相の銃撃事件以降、メディアはどう変わったか (土田修)
岸本聡子 オランダ帰りの政治家が日本を明るく照らす (二木信)
本田由紀 私たちにできることは、怒り続けることです。あらゆる手段を使って、怒り続けることですね。 (水越真紀)
柄谷行人 希望がないように見える時にこそ、「中断された未成のもの」として希望が、向こうからやって来るんです。 (土田修)

エッセイ
酒井隆史 暴力の時代の「知識人」たち
三田格 ぼっち・ざ・すていとおぶまいんど
雨宮処凛 必要なのは「死なないためのノウハウ」──2023年を生き延びるための知恵
篠原雅武 山上徹也は何を見つめていたのか
永井玲衣 一緒に座っている

コラム
二木信 再開発に反対するカルチャーの街・高円寺

表紙写真 小原泰広

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Sun Ra - ele-king

 そう、サン・ラーは、歴史上もっとも特異なジャズ・アーティストです。なにしろ自らの過去を消去し、生涯をかけてひとつの寓話を作り上げ、自身も最後までその物語の人物であることを演じきったのですから。地球を変えるために生まれ変わったとか、黒人の夢のなかで土星からテレポートされたとか、自らの出自からしていろんな説を唱えている彼は、同時に自らの奇観も磨き、パスポートもサン・ラーとして登録していました。〈インパルス〉が契約書を見せたとき、項目のなかに「地球での契約に限る」という一文を添えるよう要請したほどです。彼が音楽シーンに登場したとき、いや、登場してから何十年ものあいだ、ほとんどの地球人はその姿を侮蔑するか無視するか、敵視しました。こうした無理解やよくて奇異なるものをみつめる視線のなかでも、サン・ラーは動じる色をいっさい見せず、「地球人でない」「土星から送り込まれた」「黒人ではない」「存在さえしてない」という自分の物語をまげませんでした。
 面白いことに、21世紀も20年以上が過ぎた現在——、彼が地球での息を引き取ったのが1993年ですから、今年でちょうど地球脱出30年の現在、サン・ラーはしぶとい、いや、驚嘆すべき影響力をほこるジャズ・ミュージシャンのひとりとして認識されるようになっています。フライング・ロータスやムーア・マザー、セオ・パリッシュといった人たちの作品のなかにはサン・ラーが見えるし、ヤン富田やヨ・ラ・テンゴ、コンピュータ・マジックやエズラ・コレクティヴといった人たちはサン・ラーの楽曲をカヴァーしています。あのレディー・ガガもサン・ラーの代表曲のひとつ “Rocket Number 9” を借用しているのです。ますます価格が上昇する〈サターン〉盤を蒐集しているコレクターも世界中にいるでしょう。なかばポップアイコン化もしているようで、海賊版と思わしきサン・ラーTシャツが巷に増殖していたりもします。世代もリスナー層も超越し、これほど幅広くカルト的な人気を高め、地球上の生命体としては存在していないのにもかかわらず、年を追うごとに露出を増やしているミュージシャンは控えめに言ってもかなり稀だと思われます。

 現在、あるいはわりと最近の過去において、こうしたサン・ラー人気の広さ、根強さは、マイルスやコルトレーンに匹敵するという声があります。たしかにそうかもしれませんが、サン・ラーの音楽は、強烈な独奏者によるものではなかった。大所帯のアーケストラであること、集団で演奏することに彼はこだわった。集団で生活をともにすることにも意味を見出していた。それ自体がひとつのコンセプトだった、と言っていいくらいに。
 音楽家であり哲学者であり、勉強家であり、考古学者であり、童話の天文学者であり、学校の先生であり、無邪気な厭世家かつ夢想家であり、オリジナル・アフロフューチャリストであるサン・ラーは、およそ40年のあいだにじつに膨大な数のアルバムを録音しています。私たちは限りあるこの先の人生で、まだしっかり聴けていないサン・ラー作品があることを幸せに思ったりもします。……おっと、アーケストラはまだ活動中でしたね。
 
 ジョン・F・スウェッドによる『宇宙こそ帰る場所 ——新訳サン・ラー伝』は、世界で唯一のサン・ラーの評伝、サン・ラーが隠してきた彼の人生のおおよそすべてが描かれている本で、1997年に出版されて以来、世界で読まれ続けている名著と言える一冊です。サン・ラーの評伝とは、彼が消去した人生を物語ることにほかなりませんが、著者は、サン・ラーの難解な思想の糸(古代エジプト学、科学と考古学、黒人の民間伝承、オカルト学、象形文字など)を解きほぐしてもいます。本の虫だったサン・ラーは片っ端から書物を読んでいますが、それは生と死、空間と時間といった地球上の概念を超えて、調和を再統合するため、愛のためでした。 
 自己神話化の軌跡と、生々しい人間としてのサン・ラーを描いた400ページ以上の原書を、鈴木孝弥氏がおよそ1年半をかけて言葉を慎重に選び、日本語に変換することに成功しました。情熱的かつ読者に親切な氏は、多くの訳者註を加えています。また、原書に掲載された写真も、今後の研究においても重要な、本書の情報源や養分となった重要な文献類もすべて掲載してあります。日本語版は512ページになりました。大作なので、ゆっくり読めば1ヶ月は楽しめます。さらにもっとゆっくり読めば2ヶ月は宇宙遊泳できるし、迷っても大丈夫。宇宙こそ帰る場所(Space is the place)です。発売は1月31日。

ジョン・F・スウェッド(著)鈴木孝弥(訳)
宇宙こそ帰る場所──新訳サン・ラー伝

ジョン・F・スウェッド(John F. Szwed)
1936年生まれ。イェール大学名誉教授(人類学、アフリカン・アメリカン研究、映画学)、コロンビア大学名誉教授(同大学ジャズ研究センター教授、センター長を歴任し、現在非常勤上級研究員。グッゲンハイムおよびロックフェラー財団フェロウシップ。マイルズ・デイヴィス、ビリー・ホリデイ、アラン・ローマックス等々に関する著作が多数あり、その代表的なジャズ研究書『Jazz 101: A Complete Guide to Learning and Loving Jazz』(2000)は、『ジャズ・ヒストリー』として邦訳されている(諸岡敏行訳 青土社/2004)。また、CDセット『Jelly Roll Morton: The Complete Library of Congress Recordings by Alan Lomax』《ラウンダー・レコーズ/2005》のブックレット「Doctor Jazz」で、同年のグラミー/ベスト・アルバム・ノート賞を受賞している。

鈴木孝弥(すずき・こうや)
1966年生まれ。音楽ライター、翻訳家(仏・英)。主な著書・監著書に『REGGAE definitive』(Pヴァイン、2021年)、ディスク・ガイド&クロニクル・シリーズ『ルーツ・ロック・レゲエ』(シンコー・ミュージック、2002/2004年)、『定本リー “スクラッチ” ペリー』(リットー・ミュージック、2005年)など。翻訳書にボリス・ヴィアン『ボリス・ヴィアンのジャズ入門』(シンコー・ミュージック、2009年)、フランソワ・ダンベルトン『セルジュ・ゲンズブール バンド・デシネで読むその人生と女たち』(DU BOOKS、2016年)、パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター『ジャズ・ミュージシャン3つの願い』(スペースシャワーネットワーク、2009年)、アレクサンドル・グロンドー『レゲエ・アンバサダーズ 現代のロッカーズ』(DU BOOKS、2017年)、ステファン・ジェルクン『超プロテスト・ミュージック・ガイド』(Pヴァイン、2018年)ほか多数。
 

Sama' Abdulhadi - ele-king

 音楽は境界を越える──グローバリゼイションを大企業のみに独占させる必要はない。アンダーグラウンドなエレクトロニック・ミュージックのシーンでも、それは起こりつづけている。
 ヨルダンに生まれ、パレスチナのラマッラーでクラシック音楽を学びつつ、ヒップホップに親しんだサマ・アブドゥルハーディー。その後サウンド・エンジニアリングを学び、サトシ・トミイエのDJセットをきっかけにテクノを知った彼女は、今日ではDJとして世界各地を飛びまわっている。彼女こそ、パレスチナにテクノを持ちこむことに成功したパイオニア的存在だ。プロデューサーとしても活躍していて、ガザでの戦闘などを録音したコラージュ作品 “The Beating Wound” を残したりもしている。現在はパリを拠点にしている模様。
 2018年の Boiler Room への出演が大きな話題を呼び、一昨年、宗教上よろしくないとのことでパレスチナ自治政府が彼女を拘束した際には、釈放を求める署名が10万筆以上も集まったという。昨年はドキュメンタリー映像も公開。今年に入ってからはガーディアン紙がインタヴュー記事を掲載したりRAが特集記事を組んだりと破竹の勢いだ。ここ日本での公演はまだ実現していないが、じわじわと知名度は上がってきているにちがいない。
 越境するテクノDJに注目しよう。

Thomas Bangalter - ele-king

 ダフト・パンクの解散以来、トーマ・バンガルテルにとって初となるソロ・アルバム(通算2枚目)のリリースが先日発表された。題名は『Mythologies』。これがなかなか面白そうな内容なので、ニュースにします。
 トーマといえば「Spinal Scratch」を思い出すベテラン・リスナーもいることでしょうが、今回のアルバムは、ディスコでもハウスでもロボットでもありません、ボルドー国立歌劇場でのバレエ上演のために依頼されて制作したもので、音楽はボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団によって演奏されている。全23曲、収録された楽曲はおもにバロック音楽とアメリカのミニマリズムに影響を受けているとのことのようで、エレクトロニクスはいっさい使われていない。詳しくは、ワーナークラシックのホームページをチェックしよう。予約は1月27日から、発売は4月7日です。


Thomas Bangalter
Mythologies
Warner Classics

 


Marcel Dettmann - ele-king

 清々しさすらもある真っ正面からストレートに突っ走るテクノ・アルバムであります。マルセル・デットマンのソロ・オリジナル・アルバムとしてはひさびさ、シングル群はさておき、大きな作品としては2017年の2作品、インダストリアルでダーク・アンビエントな、写真家と複数アーティストとのコラボ・プロジェクト『Rauch』、または同じくベルクハインのレジデントDJ、ベン・クロックとのコラボによるほぼアルバム大のEP「Phantom Studies」はありますが、2013年のセカンド『II』以来、およそ10年近く間が空いてのサード・アルバムが本作。
 リリースはお膝元の〈Ostgut〉ではなく、オランダの〈Dekmantel〉より。〈Dekmantel〉とマルセルの関わりと言えば、フェスはもちろんですがディガー・コンピ・シリーズの『Selectors 003』も手がけ、プレ・テクノでカルトなEBMやインダストリアル・エレクトロ方面の楽曲をコンパイルし好きモノを唸らせるということもありました。
 上記のリリース以外のアルバム間の大きな出来事としては、〈Marcel Dettmann Records〉(こちらは休止中?)とは別に、自身のレーベル〈Bad Manners〉の設立もあります。そちらは新たな才能も発掘しつつ、デトロイトのベテラン、アンソニー・シェイカーとのコラボやオーランド・ヴーンの作品、〈FAX〉などリリースで知られるドイツのベテラン、アンソニー・ロザー(Anthony Rother)、さらには本アルバムと同じ頃、フィンランドのこちらもベテラン、モノ・ジャンクの作品をリリースするなど、このベテラン勢のラインナップからもわかるように、なんというか「この人は本当にテクノが好きなんだな」という、素朴すぎるにもほどがある感慨も浮かんでしまう、そんなレーベル運営をしています。ちなみにサウンド的にもテクノ、もしくは『Selectors 003』の延長戦にあるようなエレクトロ~EBM的な方向性の楽曲をストイックに、といった印象です。

 さて話は戻って本作。おそらくコロナ禍の修養ということでしょうか、1日でアルバム1枚作れるぐらい楽曲を作るという、なんというかスポ根的な圧を自らに課して作りあげたのが本作だそうで、そうして生まれた膨大な楽曲群から選ばれたのがこの11曲ということなんでしょう。冒頭に書いたようにいやこれがまた寄り道一切なしのストレートにかっこいいテクノのアルバムです。
 イントロ的なダーク・アンビエント “Coral” からスタートしつつ、EBM的なベースラインがスウィングする “Suffice to Predict”、ヒプノティックな “Renewal Theory” の冒頭、それこそキックのひとつ、ドラム・キットの打ち込みだけでテクノにおける語彙力の高さが鋭く伝わってくるストレートなサウンド。
 インタールード的なコズミック・アンビエント “Transport” をはさんでの、同じく〈ベルクハイン〉で活躍するライアン・エリオットをポエトリー・リーディング的にフィーチャーしたチルな雰囲気の “Water” やもしくは後半の “(Batteries Not Included)” “Picture 2020” といった楽曲の抑制したムードもぐっとアルバム全体の流れへと聴く者を引き込みます。
 良い音響のフロアで聴いたらひたすら気持ち良さそうな “x12”、さらには痙攣するサイケデリックな電子音が旋回する “Pxls”、パーティのエンディングを予期させる “Reverse Dreams” などなど、アルバムの流れも含めて、一聴はモノトーンで淡泊な印象ですが、そこにはテクノの滋味とでも言えるような美学で、そぎ落とされたミニマルな構成でシンプルにアルバムとして聴かすサウンドを展開しています。

 わりと中庸というか、さまざまな要素を組み込むことで型を崩し続けるDJカルチャー、一方でDJミックスというある種のルールのなかでフォーマットの美学を貫くのもDJカルチャー。なんというかここ数年は前者のなかから出てきたサウンドにめざましい動きもありますが、本作は後者のタイプのなかで、とにかくハイクオリティの、特にストレートなテクノというカテゴリーにおいてなかなかに魅力ある音楽性で、2022年の最後によく聴いたアルバムとなりました。ずっしりと積層したアンダーグラウンドのテクノのカルチャーの上に、まさに質実剛健なスタイルで新たなハイクオリティーな層を重ねていく、そんな作品。ある種のマルセルの、自らが属するコミニティや歴史への愛を感じることもできるのではないでしょうか。

LEX - ele-king

 初めて発表した曲は XXXテンタシオンのリミックス。それが14歳のときだというから早熟だ。2019年に16歳で初のアルバムを送り出した若き湘南出身のラッパー、LEX はその後〈Mary Joy〉とサインし、この4年ですでに4枚ものアルバムを送り出している。近年の日本のラップ・シーンを牽引する代表的プレイヤーのひとりだ。
 彼はラップをメッセージをこめることのできるアートフォームとして大いに活用してもいる。たとえば1年前に発表された “Japan”。ニルヴァーナ風のトラックをバックに、抽象的な発声で「若者金ない 大人も病んでいる/なのにこの国はシカトをかます/大胆な演説をカマして何度も嘘をつく」「不満がある奴は俺と叫んでくれ」とラップされている。あるいはセカンド収録の “GUESS WHAT?” のMVには国会答弁中の安倍元首相が映し出されていたり。「若者の政治離れ」なんて言ったのはだれだ? すくなくとも LEX はまったく萎縮していない。
 というわけでエレキング注目のラッパーが本日、5枚目のアルバム『King Of Everything』をリリースしている。今回の新作にも “大金持ちのあなたと貧乏な私” なる、ロミオとジュリエット的な格差社会を思わせる曲が収録されている。ぜひチェックしてほしい。

LEXが最新アルバム『King Of Everything』をリリース!
LEXをフィーチャーしたAmazon MusicとGQ JAPANのコラボドキュメンタリー「RPZN Stories」が配信開始。

湘南出身のアーティストLEXのニューアルバム「King Of Everything」が本日リリースされた。

客演にJP THE WAVY、Young Coco、Young Dalu、Leon Fanourakis、Only U、ShowyVICTOR、UKのBEXEY、USのMatt OxやKid Trunksなど国内外のアーティストを迎え、LEXらしいレパートリーに富んだ17曲を収録している。

また、アルバムの制作中に撮影されたAmazon MusicとGQ JAPANとのコラボレーションドキュメンタリー「RPZN Stories」が、GQ JAPANのYouTubeチャンネルにて配信開始された。ドキュメンタリーの中で、LEXは自身のキャリアにおける葛藤やメンタルヘルスにまつわるパーソナルなエピソードを赤裸々に語っており、家族や仲間からの証言を交えて、普段のSNSやライブでは知れないLEXの意外な一面を見せている。

LEX - King Of Everything
https://lexzx.lnk.to/KingOfEverything

Tracklist:
01. GOD (produced by 1bula)
02. King Of Everything (produced by VLOT, MrOffbeat, kaaj & evanmoitoso)
03. Killer Queen (produced by Trippop)
04. Busy, Busy, Busy (feat. Only U) (produced by june)
05. 金パンパンのジーンズ (feat. Young Coco & JP THE WAVY)
06. READYMADE (feat. Leon Fanourakis) (produced by k4stet)
07. 1/3 (feat. Kid Trunks)
08. Hertz (feat. Matt Ox)
09. Move (feat. ShowyVICTOR) (produced by DJ JAM)
10. LOVE PISTOL (feat. Young Dalu) (produced by FOUX)
11. Strength blindness (feat. Only U) (produced by Dee B)
12. Come To My World (feat. BEXEY)
13. This is me
14. 大金持ちのあなたと貧乏な私 (produced by In Bloom)
15. If You Forget Me (produced by eeryskies & Arcane)
16. Need It (produced by Kevin Jacoutot)
17. 庭の花 (produced by prodkult)

Artwork by Anton Reva, Photography by Uran Sakaguchi, Motion Cover by FROMKIERAN
Mix & mastering by KM, except #2 “King Of Everything” by VLOT. Contributors: KM, VLOT, DJ JAM & STEELO

「RPZN Stories」
GQ JAPAN YouTube チャンネル 【1月25日(水)9時30分より「RPZN Stories」配信】
https://www.youtube.com/watch?v=e0uB-_IRgC4

LEX (レックス) Profile:
湘南出身、2002年生まれのヒップホップ・アーティスト。天性のメロウボイスと、攻撃的な楽曲とのギャップ、感情むき出しのリリックがユース世代を中心に熱狂的な支持を得ている。14歳からSoundCloudに楽曲をアップロードしはじめ、2019年4月、16歳のときにファースト・アルバム『LEX DAY GAMES 4』で衝撃的なデビューを果たす。2019年12月にセカンド・アルバム『!!!』、2020年8月にサード・アルバム『LiFE』を次々と発表。2021年にはBAD HOPやJP THE WAVYらの作品に客演参加し、ロンドンのBEXEYとのコラボEP「LEXBEX」、横浜のOnly U & Yung sticky womとのコラボEP「COSMO WORLD」を発表するなど、勢いは更に加速。8月にJP THE WAVYを客演に迎えたシングル “なんでも言っちゃって”、9月には4枚目となるアルバム『LOGIC』を発表し、同年GQ Men Of The YearのBest Breakthrough Artistを受賞するなどその活動が高い評価を受けた。

2022年3月にSoundCloud初期音源と未発表曲をコンパイルした『20 (Complete Mixtape)』を発表。4月には10代最後となるシングル “大金持ちのあなたと貧乏な私” をリリースし、8月からはZepp Yokohama、なんばHatch他6都市を周る “With U Tour” を成功させた。メンタルヘルスの問題も抱えながらプレッシャーや葛藤と向き合い、2023年1月に満を持して5枚目のアルバム『King Of Everything』を発表する。

2021 GQ Men Of The Year Best Breakthrough Artist
2022 Space Shower Music Awards Best Hip Hop Artist

Jeff Mills - ele-king

 ジェフ・ミルズが『メトロポリス』をリリースしたのは2000年のこと。ダンスフロアに近しいテクノ・アーティストが “コンセプト・アルバム” をリリースすることがまだ珍しかった時代で、その後立て続けにアルバムを発表するジェフ・ミルズだが、じつは4枚目のアルバムだった。またそれは、1927年のドイツで制作されたSF映画の古典に新たな音楽を加えるという、じつに大胆な試みでもあった。
 リリース当時、ジェフの音楽付きの上映会が青山CAYで行われたことを思い出す。テクノロジーとロボット、メトロポリスの支配者、そして上流階級と労働者たちに階層化された社会を描いたこの映画にジェフのエレクトロニック・サウンドが重なると、それはたしかに現代のメタファーとなりうる。 
 2000年にリリースされ、2010年にいちどリイシューされたこの『メトロポリス』が、この度『メトロポリス・メトロポリス』としてまったく新しく制作され、3月3日に〈アクシス〉よりリリースされる。
 『メトロポリス』は、オリジナルは147分の大作だったが、フリッツ・ラングの意思とは関係なく、商業的な理由でこれまで勝手に縮められて(エディットされて)、上映されてきている。が、しかし、2010年に失われたフィルムが見つかり、完全復刻したのだった。それで、シネミックスのイベントを依頼されたことをきっかけに、ジェフがあらたに作り直すことになったという。なので、じっさいに制作した音源は147分あるそうだが、リリース用に収録曲は編集されている。それでもアナログ盤で3枚組だが。また、ブックレットではTerry Matthewというシカゴのジャーナリストが素晴らしい文章を寄せている。いま混乱し、階層化され、映画のようにいつ労働者たちの反乱が起きてもおかしくないこの世界で、なぜ『メトロポリス』なのかを、みごとに理論づけている。そう、これは注目のリリースなのだ。
(ちなみに同古典SF映画はテクノ・アーティストに人気で、ジョルジオ・モロダーはリメイク版『メトロポリス』の音楽を手がけ、クラフトワークは “Metropolis” 、クラスターのメビウスは『Musik für Metropolis』を作っている)


Jeff Mills
Metropolis Metropolis
Axis Records

日本のレコード店には、3月下旬にアナログ盤、CDが発売される


Aaron Dilloway - ele-king

 モダン・ノイズのカリスマ、アーロン・ディロウェイが来日する。元ウルフ・アイズのメンバーにして、『Wire』誌にいわく「ノイズの扇動者」、そしてテープ・ミュージックの急進主義者、2021年にはルクレシア・ダルトとの素晴らしい共作『Lucy & Aaron』も記憶に新しいアーロン・ディロウェイが来日する。もちろんあの傑作『Modern Jester』(2012)や『The Gag File』(2017年)の作者です。
 ディロウェイは2013年に初来日しているが、そのときのすさまじいライヴ・パフォーマンスはすでに伝説になっている。今回は10年ぶりの再来日。東京の〈Ochiai soup〉と大阪の〈Namba Bears〉の2公演のみ。すべてのノイズ・ファンをはじめ、変な電子音楽/実験音楽/アヴァンギャルド好きは必見。

■Rockatansky Records Presents
Aaron Dilloway Japan Tour 2023

2/11 Sat at Ochiai soup
Open 6 pm, Start 6:30 pm
Door 3,500 yen
w/ Incapacitants
Rudolf Eb.er
Burried Machine
ご予約 | reservation:
https://ochiaisoup.com/?event=2022-02-11-sat-rockatansky-records-presents-aaron-dilloway-japan-tour-2023

2/19 Sun at Namba Bears
Open 6 pm, Start 6:30 pm
w/
Solmania
Burried Machine
Info: https://rockatanskyrecords.bandcamp.com
 
 なお、2月10日にはDOMMUNEにて、来日記念番組があり。アーロン・ディロウェイのほか、今回の競演者でもあるキング・オブ・ノイズこと美川俊治。初来日に続き今回の来日も主宰、Nate Youngの初来日も企画するなどWolf Eyes関連との交友を持つBurried Machineこと千田晋、そして編集部・野田も出ます。アーロン・ディロウェイってどんなアーティストなのかを知りたい方は、ぜひチェックしましょう!
 
Talk : Aaron Dilloway(Hanson Records)、美川俊治(Incapacitants)、千田晋(Rockatansky Records/Burried Machine)
ゲストMC:野田努(ele-king)
Live:The Nevari Butchers

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