「KING」と一致するもの

Marii (S/LTD) - ele-king

女3人でパーティ「S」をオーガナイズしています。
次回は3/29(sat)、ゲストにKABUTO(CABARET/LAIR)を迎えて開催します!

DJスケジュール
29th Mar 2014 S@KOARA
25th Apr 2014 JACARANDA@M

Sblog :https://ameblo.jp/s-3djs/

Soundcloud : https://soundcloud.com/mariiabe

むいしきにダンシングできる10曲を選んでみました。
のどに詰まった魚の骨、満員電車でひっかかった私のカバン、よく覚えていないけど気になるアノヒト。
地面におちてゆくID。すべてむいしきの仕業。今夜はどこかへ遊びに行こう、そんなときに踊りたい10曲。
(順不同)

むいしき10トラック


1
Cola&Jimmu - Enigmatic - Herakles Records

2
French Fries - Smoke Wine(Goldffinch Remix) - Dirtybird

3
A Man Called Adam - Que Tal America?(Robert Mello's Filter Edit) - Other Records

4
Jon Kwest - That's Love(Love Movements) - ?

5
Guillaume&The Coutu Dumonts - Indigo Shower - Oslo

6
Point G - Braka - Point G

7
Madteo - Insider - Morphine Records

8
Beat Freak feat.Maria - Loop Trick Original Mix - King Street Sounds

9
Enrico Mantini - Dont't Think About It - Traxx Underground

10
Thomas Schumacher - You got me(Onno Remix) - Get Physical Music

『いじわる全集』 - ele-king

 柴田聡子のセカンド・アルバムは、本人によるレーベルからのリリース。録音も自らが行っており、弾き語りのスタイルは変わらないものの、〈浅草橋天才算数塾〉から生まれたデビュー・フル『しばたさとこ島』(2012年)以降、彼女が何を歌い何を感じてきたのかということがしっくりと盤として落とし込まれている。タイトルは『いじわる全集』。〈レコード・ストア・デイ〉に際し、限定7インチもリリースとなるようだ。ele-kingは〈レコード・ストア・デイ〉を応援します!

柴田聡子『いじわる全集』

■柴田聡子『いじわる全集』
初回限定プレスのみ豪華紙ジャケット仕様
レーベル:柴田聡子
発売日:2014年5月21日
金額:2,300円+税
曲目:
01.部屋を買おう
02.おまつりの夜
03.ベンツの歌
04.しんけんなひとり
05.はやいスピード
06.緊張のあいだ
07.(わたしが)ほんとうになったら
08.いきすぎた友達
09.ふしぎね
10.とさだより
11.三つの屋根
12.責めるな!
13.会いに行きたい
14.お別れの夜
15.いじわる全集
16.ストレートな糸

全曲 作詞・作曲・演奏・録音:柴田聡子
ゲスト:植野隆司(e.guitar M.4.16)
マスタリング:大城真

■先行シングル「いきすぎた友達」(7”)
RECORD STORE DAY限定アイテム
発売日:2014年4月19日
金額:1,500円+税
B面収録曲:アルバム未収録曲として、昨年惜しくも解散したいまや伝説のバンド“MAHOΩ”の代表曲“しかけの恋”のカヴァーを収録。
オマケとして同内容音源を収録した8センチCDを同封。
曲目:いきすぎた友達/しかけの恋(MAHOΩカバー曲)
演奏・録音:柴田聡子
マスタリング:大城真

■RECORD STORE DAY
https://www.recordstoreday.com/
https://www.recordstoreday.jp/

■柴田聡子コメント
このアルバムを録ろうと思って、家でひとりでデモを録ったのが、2012年の12月30日。
年をまたぐ頃、デモが完成。今回参加していただいた植野隆司さんをはじめ、何人かにこれを渡す。その後、途中、何回か録音したけれど失敗したりする。一年間、ライブでこれらの曲をずっとやって、偶然にも、2013年の12月30日にもう一度、録音開始。録音は自分ですることにした。神保町試聴室をお借りした。植野さんにお願いして、ギターを弾いて頂いたり、音を聴いて頂く。集中力が無いので、一日の録音時間はきっと短かった。2014年1月2日、録音終了。植野さんがこの録音の音源を大城真さんに聴かせたところ、マスタリングを依頼することが出来た。1月21日、マスタリング。1曲削った以外は、一年前とほとんど同じ曲順だった。(デモは17曲あった。)タイトルも、一回考え直して、これだ、となったけれど、やっぱりやめてしまい、迷っていた。三沢洋紀さんのところに音源を渡しに行った時、タイトルが決まっていない、というはなしをしたら、曲目の中から「いじわる全集」を選んで、これかな、とおっしゃった。すっかり忘れていたけど、それは一年前に思ったタイトルのそれだったので、納得がいった。
こういう経緯で、できました「いじわる全集」というアルバム、お手に取って聴いていただけると、とても嬉しいです。

■プロフィール
1986年札幌市生まれ。2010年より都内を中心に活動を始める。2011年、夏と冬に2枚のデモCD(計20曲)を発表。東京芸術大学大学院映像研究科2011年度修了制作展「MediaPractice11-12」のテーマソングにボーカルで参加。2012年6月、1stアルバム「しばたさとこ島」を浅草橋天才算数塾より発表。2012年11月には同アルバムの10インチ・アナログレコードをなりすレコードより発売。2013年8月、12インチ・アナログレコードシングル「海へ行こうかEP」をなりすレコードより発売。また山本精一と岡田徹(ムーンライダーズ)のユニットya-to-iの12年ぶりの新作『Shadow Sculpture』にゲスト・ボーカルとして全面参加。2014年5月、2ndアルバム「いじわる全集」発売予定。

■オフィシャル・ウェブサイト sbtstk.tumblr.com


talking with downy & Fragment - ele-king


downy - 第五作品集『無題』リミックスアルバム
Felicity

Tower Amazon iTunes

 昨年11月に、活動休止期間を経て9年ぶりの新作アルバムを発表した“ポストロック”・バンド、downy。これまでと同じように無題で発表されたこの第五作品集は、しかし、名をもたず語らないことのうちに含みこんだ情報や熱やスキルを大きく増幅させている。音は緊張感に満ち、同時に、生活と音楽とをより広く長いスパンから見直す時間を経たことで迫力のある余裕や深みさえ生まれている。
 今月、その第五作品集がリミックス・アルバムとなってリリースされた。〈術ノ穴〉主宰のFragmentをホストとし、セルフ・リミックスも加えれば14組もの豪華な顔ぶれが参加、それぞれのdowny解釈を発展させている。
 〈術ノ穴〉はご存知のとおりヒップホップからロックまで、またアイドルやアートにまたがる仕事も多数手掛け、アンダーグラウンドをフリーフォームにつないでいるレーベルだ。彼らとdownyとの邂逅を人によっては少し意外に感じるかもしれない。だが、以下の対談をお読みいただければその思いも氷解するだろう。downyのファンとしてリスペクト全開に本作を語るFragment──その言葉は、かつて彼らが夢中になったというdownyの活動とともに、そこに広がっていたジャンルレスなシーンをも浮かび上がらせた。このリミックス盤の価値はその点にもあるといえるだろう。「GOTH-TRADといっしょにやっていたりとかLITTLE TEMPOとか、THA BLUE HERBとの2マンとか、54-71とか、あのあたりの感じとDJ KRUSHとかも僕らには同じように見えていたんですよ」(Kussy)。それは2000年代初頭のクラブ・シーンの一端を思い起こさせるリアルな証言であり記憶。彼らが受けたインパクトまでがまざまざと伝わってくる。本作は、そうした記憶がなぞられ、敬意をこめて再構成されることで、単なるリミックス・アルバムという域を超える存在感を生んでいる。downyの表面をなでるのではなく、その存在や来し方を愛をもって掘り起し、自分たちの現在をミックスしていく──とても幸福な作品であり、リミックスということの意義自体までもを考えさせる逸盤ではないだろうか。
 それでは蛇足ながら、頭から尾まで、単体でも愛聴すべき素晴らしいトラックが並んでいるということを申し添えつつ、以下の対話へのリードとしたい。3月某日、小春日和の下北沢にて、暖気を引き連れて東京入りしたdownyの青木ロビン、そして彼を迎えるFragmentのkussy、deii、各氏に話をきいた。

とにかく僕らのほうはdownyのファンだったわけで。(kussy)

(この日上がってきたばかりのサンプル盤を手に取りながら)

青木:やったね。

kussy:うれしいなー。

青木:デザインもいいよね、この赤がいい。

中には歌詞なんかも記載されているんですか?

青木:“十六月”だけ入っていますね。──これは9年前にできているんだよ。9年前にすでにあったメロと歌詞。

deii:そうなんですか!

kussy:へえー!

アルバムの方には収録されていないですもんね。そうしたことも追々うかがっていきたいんですが、まずはどうしてこの新作(第五作品集、2013年リリース)のリミックス・アルバムの企画が生まれたのか、Fragmentのおふたりと組むことになったのはどうしてなのか、というところからお訊きしたいと思います。

青木:俺から話そうか。まず、ふたりとは沖縄で会ったんです。ライヴがあって。自分としては、また音楽をはじめようかどうしようかというタイミングだったかな……どうだったっけ、俺、音楽やるって言っていたっけ?

kussy:噂的なものはあった、という感じですかね(笑)。3年くらい前になりますか?

青木:そうだね。

deii:震災の頃かな。

青木:うん、その年だね。彼らのライヴがあって、そのオーガナイザーが僕の知り合いだったんです。で、その方を通して、彼らから会ってみたいという連絡があったので、「行く行く」と(笑)。ボロボロの居酒屋でね。

kussy:飲んだっすね(笑)。とにかく僕らのほうはdownyのファンだったわけで、全盛期にはライヴも行きまくっていたし、音源もすごく聴いていて。ツイッターとかでも、ことあるごとに「downyのフレーズ、やっぱかっこいいわー」みたいなことをつぶやいていたんです。そしたらオーガナイザーのキムさんがロビンさんと仲のいい方で、ロビンさんをこっそり誘っていてくださって……。

青木:あれは、こっそりなんだ?

kussy:そうですよ。まさか、ロビンさんに会えるなんて思ってもみないですし。沖縄に住んでいらっしゃるらしいということは知っていましたけど、あれは本っ当に焦りましたね……!

ははは! では、ステージじゃないところでの青木さんの印象はどうでしたか?

kussy:いやもう、俺らは固まってたし、酔っ払ったりもして、ただただ当時の熱い思いを伝える一方でしたね(笑)。

青木:はははは。

kussy:どれだけ好きかっていう。

青木:それで仲良くなって、翌日ライヴを見せてもらって、何か機会があったらいっしょにやりましょうという話をしたんだよね。

kussy:機会があればリミックスとかやらせてくださいよ、みたいなことをこちらから一方的に言っていたんです。

青木:そして、いざ、ということではじまったね。

なるほどー。でも、好きであればあるほど、リミックスという行為への責任というかプレッシャーは甚大なものになるんじゃないですか?

kussy:ははは、たしかにね(笑)。


曲作りってリミックスに近くない? (青木)

最初に、こんなふうにしたいというような構想はありました?

kussy:そうですね、とくにプレッシャーのようなものがあったわけでもなくて、いつもどおりにやればいいと思っていました。とにかく、愛はあるんで。それだけわかってもらえればいいなというところでしたね。……(自身らによるリミックスが)実現すると思っていなかった部分もありますし。

青木:有言実行だから。

ははは!

kussy:なんか、断れなくなるほど強く売り込んでしまったかもしれないですけど(笑)。

その「愛」の部分はこの盤のどんなところに反映されていると思います? リミキサーの選定なり段取りなり、あるいはコンセプトの部分ですとか、感じるところがありますか?

青木:愛はちょっとわかんないですけど、リミックスというのはやったことがなかったので、とにかくアドヴァイザーとしていろいろな相談に乗ってくれたのはありがたかったです。それこそ、どんな頼み方をすればいいのかといったことから、曲順とか、音の渡し方とか、逐一訊いて実行に移すという流れがありましたね。忙しいなか、親身によくやってもらえました。

曲順というお話が出ましたが、アルバムとはぜんぜん違っていて、完全に再構築されていますよね。アタマの“十六月”も未収録曲です。これは、どこかにリミックス以前の「オリジナル」が存在しているわけですよね?

青木:そうです。

それ自体はどういったかたちで世に出るのでしょうか。

青木:それは出ないですね。アルバムからあぶれた曲なんですよ。それで、手法を変えて組み直したんです。

オリジナルがあってリミックスがあるわけですが、オリジナルが聴けない場合、「リミックス」と「別テイク」との差は何なのか。そのへん何か意識されていたことはありますか?

青木:なんでしょうね、曲作りってリミックスに近くない? 俺たちはまたけっこう特殊な作り方をするので、何とも言えないんですが。「これで出す」って決めた瞬間に、はじめて尺もふくめて曲が確定するという感じなんです。レコーディング中はひたすら変わりつづけるというか、頭がサビになったりとかね。

kussy:たしかにdownyはそこが他のバンドと大きく違うかもしれないですね。このまえ裕(青木裕)さんと話したんですけど、そのときに曲の作り方なんかをいろいろ訊いたんですが、「ぜんぜん変えてしまう」というようなことを聞きました。

青木:もらった音は俺もすごく変えちゃうからね。

kussy:ですよね。それはかなり特殊なんじゃないかなと思いました。

青木:変えるというかやり直すというか。もともとのトラックにエフェクトをかけて音程が変わって、むしろそれをギターでやり直すとか。いいノイズが乗っているのをハットでやるとか。

kussy:ははは。


[[SplitPage]]

着地点の予想がつくものにはしたくなかったんですよね。 (kussy)


downy - 第五作品集『無題』リミックスアルバム
Felicity

Tower Amazon iTunes

青木:だから、つねに自分たちの曲をリミックスしている感覚はあるね。“十六月”はその継続のなかで形作られたもので、だからオリジナルといえばオリジナルかもしれません。CDとして出すタイミングがひとつのリミットになっているというか。

kussy:俺らも途中経過に参加している感じでしたよね。どれがオリジナルかということはあまり意識しない状態から作りました。あくまで素材として接していて。

青木:うん。ほぼ素材だけで渡していたからね。

なるほど。ちなみに“十六月”というイメージや意味をめぐってはどうですか?

青木:意味は……ないっすよ。

ええっ(笑)、ないんですか。

kussy:俺らもないっすね(笑)。音だけというか。

ははは。ビートにはずいぶんと隙間を持たせていますよね。ちょっとジャジーに仕上がっていて。

kussy:すごくヒップホップにしようと思って。

青木:かっこいいよね!

kussy:着地点の予想がつくものにはしたくなかったんですよね。声の使い方にしても、スクラッチしてみるのがいいかなって。ロビンさんの声こすったらおもしろいなというふうには思いました。それくらい、素材として使わせてもらう感覚でしたね。

downyの音世界には、すべてが心象風景として立ち上がってくるような、インナーな圧力をものすごく感じるんですが、Fragmentのリミックスはそれを文字どおり脱構築するというか。「素材」という視点の、ある意味でのドライさがすごく特徴的だと思います。

青木:お願いしたかったことが具現化されていましたね。たしかに、解釈もヒップホップだし。

そのあたりでは、olive oilさんだったり、やけのはらさんだったりの参加も目を引きますね。やけのはらさんのあの本当に元のグルーヴやテンションを脱臼させる手つきとか。

kussy:あれもよかったですよね。

青木:オリーブくんも完全にオリーブくん節だよね。

kussy:そうですね。リミキサーをどうするかという話のときも、僕がオリーブくんを提案しようとしたら「もう頼んである」って言われたんですよ。

青木:〈zezeco〉で同じイヴェントでライヴをしたり、あとはMission Possible(olive oil×ILL-BOSSTINO×B.I.G.JOE)。来沖した際に紹介してもらったりというつながりがあったりもしたんだけど、downyとして何かをお願いするのは初めてですね。

kussy:本当に「olive oil」でしたね。

青木:もはやオリジナルだよね(笑)。

人選にあたっては、シーンを見渡してというようなバランス感覚も働いているんでしょうか。それともより感覚的な部分を優先されたのでしょうか。

kussy:たとえばオリーブくんに関して言えば、彼のスタンスというか、あのブレなさに、完全にdownyと近いものを感じてました。勝手にですけど。音としてもそうですね。俺らからしてみればDownyのことも好きだし、olive oilのことも好きだし、尊敬しているし、迷いないところです。

青木:素晴らしい。

kussy:はい(笑)。いろんなトラックメイカーがいて、いい人もたくさん出てきているんですけど、そういうことよりはdownyに愛がある人選がいいんじゃないかなと思っていましたね。「売る」ということを考えたら、もう少しいろいろあるんでしょうけど。


あの曲のドラムがすげぇなっていう話をしていて。 (deii)
リミックスとなるとどうしても変拍子は厳しいんですけど、チャレンジしてみたいなと思った。 (kussy)

Fragmentさんは“十六月”の他に“㬢ヲ見ヨ!”にも取り組まれていますが、どうして“㬢”だったんです?

deii:あの曲のドラムがすげぇなっていう話をしていて、そこを俺らなりにどう崩せるかな、という思いがあったんですよね。ちょっと挑戦してみたいなと。

kussy:リミックスとなるとどうしても変拍子は厳しいんですけど、チャレンジしてみたいなと思っちゃったことがいちばんの理由ですね。オリジナルのなかでもいちばんすごい曲だと思ったし、「やってみたい」って言ったら「いいよ」ということにもなって。

青木:なんか、挙手制だったよね(笑)。

kussy:ロビンさんも、最初は「カブってもいいじゃん」って言っていましたよね。最終的にうまく収まりましたよね。

青木:よく選んだなって思ったよ(笑)。あれ(“㬢ヲ見ヨ!”)はみんな選ばないだろうなっていう曲だったから。

といいますと?

青木:本当に難しいと思うし、うわずみだけ取って四つ打ちにするというようなイージーすぎるやり方だと成立しないだろうし、あのぐしゃぐしゃした感じも残さなきゃいけないだろうしね。

グルーヴを削いでハーシュノイズを注ぎ込んで、むしろあの曲の内側に渦巻いていたものを外に出したというような印象を受けました。

kussy:そこを汲み取るというよりも、いかにロビンさんに「おっ」って言ってもらえるかということを考えていたように思いますね。好奇心というか。

なるほど! それはいちばんのモチヴェーションかもしれませんね。ちなみに「㬢」って漢字読めました?

kussy:いや、読めなかったですね。

──私もです(笑)。あのリミックスはまさに、読みを知らない状態のあの字をビートとノイズで組み直したらこうなるのかよ、みたいな仕上がりだと思いました。

kussy:そう言えばよかった(笑)。いや、オリジナルが本当に熱すぎるから。

青木:いやいや、出来上がったの聴いてすぐ電話したよ。「超かっけえ!」って。

kussy:僕らはロビンさんの電話がくるまで、マジで緊張しましたけどね……。

ああ、それは緊張するでしょうね……。あとは、「ア」音を大事にされているなとも思って。ヴォーカルのなかから、あの部分を抜いたのはどうしてです?

青木:あ、それ俺も訊きたい。「兄弟」とかもね。

そうそう! そこも気になりました。「兄弟」って言葉が鮮やかに切り取られていて。

青木:ヤバイよね(笑)。なんでそこやったんや!? って。

(一同笑)

deii:両方ともいちばん耳に残る部分ではありましたから。

kussy:音としておもしろいかどうかというところの判断ですよね。

青木:まあ、ちゃんと歌詞が聞き取れる部分があのへんしかないということもあるよね(笑)。だいたいが何を言っているかわからないからさ。

そんな(笑)。わたしには、このジャケットのアートワークの赤も、あの「ア」のイメージで感じられますけどね。「㬢」の「ア」の。

kussy:ああ……。

青木:ジャケ、かっこいいよね。あのリミックスは、僕らが“十六月”をやらないなら、ぜひ1曲目にしたいと思っていたくらいなんですけどね。僕らはバンドでやっているんで、途中に入れ込むと音が引っ込んじゃうというか。そういうこともあったので、まあ、オープニングというようなところで、最初に入れましょうということになったんです。


[[SplitPage]]

普通のリミックス・コンペとはちょっとちがう空気感でしたね。 (kussy)


downy - 第五作品集『無題』リミックスアルバム
Felicity

Tower Amazon iTunes

なるほど。そのあとはちょっとニカ寄りなセクションといいますか、アンビエントな流れが続きますね。AmetsubさんやGeskiaさんも、他の人にはできない仕事をされていて、downyの旋律的な素晴らしさというような部分もとてもロマンチックに引き出されていると思いました。このあたりも印象深いです。曲の配置についてはどんなやりとりがあったんでしょうか?

青木:いったん僕がタタキを出しました。オリジナルの曲順でもいいんじゃないかって思ったんですけど、流れを考えるとこうなりましたね。みんなそれぞれにインパクトを持っているので、それを消したくなかったです。よかったんじゃないかな。

kussy:そこはロビンさんに言われたまま、変わってないですね。もうコレでしょうという感じで。話の蒸し返しになりますけど、“十六月”をどこにもってくるかということだけでしたね、協議したのは。

青木:リミックス・アルバムを謳っているわけだから、ケツがいいんじゃないかと思ったんですよね、最初は。なんか自分たちが一発目というのもおこがましいなと(笑)。

kussy:いや、絶対アタマでよかったですね。

いちリスナーとしてもそう思います。ところで、今回は「コンペ」という枠も取られていますよね。このアイディアは誰の提案によるものなんですか?

青木:どうだろう、やったことのない取り組みではあって。

kussy:僕らをつないでくれた沖縄のキムさんが、沖縄にもいいビートメイカーがたくさんいるとおっしゃっていて……

青木:あ、そうだね。キム側から言われたのかも。沖縄でリミックス・コンペをやってみたいというようなオファーがあったんだけど、まあ沖縄だけというのもないだろうということで〈felicity〉に相談したんだよね。それでやってみようということになった。

おもしろいですよね。それでBO NINGENのタイゲンさんが大賞ということになったわけですが、選考理由などを教えていただけますか?

青木:全部で120くらい応募があったんですよ。上がるたびにちょこちょこ聴いてはいたんですが、なかには同じ人が3つくらい送ってくれていたりもして……

kussy:普通のリミックス・コンペとはちょっとちがう空気感でしたね。これだけ同業者が反応するっていうのもめずらしいと思いますし。

青木:結果、プロばっかりが残ってしまったんですが。

kussy:こんなにプロばっかりが応募するというのもなかなかないことだと思うんですよね。そこが本当にすごいなあって。

青木:プロっていうかね。外国の人もけっこういたなあ。でも、裸で素材を渡すっていうのは、けっこう恥ずかしいことでもあるんですよ。

deii:ははは!

青木:ネタバレするしね(笑)。そういうことで応募してくれたりもしたのかな。音だけ聴こうということで。

kussy:あんなバラで聴けることはないですからね。

そう考えるとたしかにレアな機会でもありますよね。で、プロデューサー・タイプの方が多いなか、タイゲンさんは普段けっこう重心低めなサイケ・ロックをやっている方でもあるわけで、その意味では曲に対する理解やアプローチが他の方と異なっていたりするのかなと思われるんですが、そのへんも大きいのでしょうか。

kussy:たしかに、バンドの人のリミックスだと感じましたね。

青木:正直なところ、まったく選べないくらいのレベルでたくさんの素晴らしい応募があったんですよね。もう誰が何点というような世界ではなかった。でも、やっぱり受賞者を決めなければいけないという立場からすると、インパクトのあるものを持ってこなければならなくなるんですよ。音圧なんかもふくめて。最終的に15曲くらいに絞っていったんですが、インパクトのあるものは選考の対象にしやすいです。どうしても。レーベルの人なんかも入れてそれぞれ3~4選を持ち寄ったんですが、タイゲンくんは全員が挙げていましたね。ロックだし単純にものすごくかっこよかったです。

kussy:そうですね。

青木:僕、面識は一度もないんですよ。


[[SplitPage]]

僕らの思うクラブ・ミュージックへのリスペクトを、リミックスというかたちで表現できたらいいなということが出発点にはあります。 (kussy)


downy - 第五作品集『無題』リミックスアルバム
Felicity

Tower Amazon iTunes

インパクトはすごくありましたよね。インダストリアルな感じで。一方で次点といいますか、特別賞がふたつありますね。

青木:本当は大賞だけを音源化するつもりだったんです。だけど、本当にもう、誰が入っても遜色ないというくらいに接戦で。可能なかぎり入れるとして、あと2曲選べるならどうするかというところで選ばせてもらいました。みんなに聴いてほしいですね。

他の収録者と違うなと思う点なんですが、やはり公募というだけあって、すごく攻めている2曲ですよね。

青木:そうですよね。やっぱり攻めているものが残りやすいかもしれないです。

deii:アピールしようという気持ちがあるもの、ですよね。

munnraiさんなんかも、LAビート・シーン的な、すごく錯綜した構築物という感じで。

kussy:結果として自分たちですでにリリースのある人たちが残っていますよね。べつにわざわざそういう人をプッシュしたわけではないんです。

GuruConnectさんも徹底的にミニマルで。

kussy:あれもかっこよかったですよねー。

青木:ここをこう取ってくるんだ、っていう驚きがあったよね。よくもわるくも素材をそのまま残しすぎている人が多かったなか、際立っていました。俺はそんなふうにツイートもしましたからね。もっともっとぶっ壊してほしい、って。でも、リミックスってなんぞやというところをそれぞれが出してくれているので、そこは見てもらいたいですね。

リミックスとは何か、と。

kussy:僕らからすれば、オリジナル・アルバムを聴いてもらうためのひとつの手段というところもありますね。とっかかりというか。もしかしたらolive oilが好きで、でもdownyは知らなかったという人もいるかもしれないじゃないですか。……こういう言い方は、ちょっとアレかな。俺たちは原曲がいちばんかっこいいと思っているから、それを壊したり別の魅力を引き出したりできたらいいなというところはあるんですけど、最終的にはオリジナルをちゃんと聴いてねという気持ちです。

青木:僕はクラブ・ミュージックに影響を受けているので、そのことも伝えたいし、そういう人たちがバンドとしての僕らの音に触れる機会が増えればいいな、ということも思います。僕なんかがシーンを云々するという大きなことはできませんけど、いろんな音楽があるということを伝えられたらなと。
僕らは、活動を休止する前はクラブでのライヴが多かったんですよ。映像を使ったりすることをふくめていまは珍しいことではないんでしょうけど、本当に、半分はライヴハウスじゃないところにいた。だから僕らの思うクラブ・ミュージックへのリスペクトを、リミックスというかたちで表現できたらいいなということが出発点にはあります。Fragmentのふたりに会ったこともビビッとくるものだったし。
あとは、ハラカミ(レイ・ハラカミ)さんが言ってくれたんですよ。このリミックスという話をもっとずっと巻き戻していくと、ハラカミさんの言葉があります。亡くなった直後にふたりに会ったのかな。

kussy:ハラカミさんが亡くなる1週間前にちょうどイヴェントでお会いしていて。ロビンさんのお店でライヴをされていたんですよね。

青木:そのときにハッパをかけられたんですよ。いい加減にアルバム出せやって。俺も出すからと(笑)。それで、「出したら何か得があるんですかね」って返したら、「俺がリミックスしてやるよ」と言ってくれて、ああ、そういうやり方もあるのかと思ったんです。まあ、今回の話とは関係ないんですが、リミックスという方法を意識したのはそのときが初めてでしたね。

kussy:それ、聴いてみたかったですね……。


あの当時は本当にワクワクして。少しでも何かを吸収しにいこうという気持ちでしたよ。 (kussy)

踊れるということも大事だけど、「やべぇ」がもっと大事っていう時代だったよね。 (青木)

今回はタイゲンさんが大賞を獲られたわけですが、素朴に、バンドというスタイルについてはどんなふうに思われていますか? この10年ほどはプロデューサーの時代だったと思いますし、downyも奇しくも活動を休止しておられました。

青木:レーベルからバンドの音源はリリースしているんだよね?

kussy:そうですね。もともと俺らは楽器もできなくて、そういうところからサンプリングへ入っていくわけなんですけど、バンドへのコンプレックスやあこがれはありますね。バンドが好きだし、もう、ただファンだというだけです。ヘッズなんで。バンドもたくさん聴いてきたし、downyのライヴだって、GOTH-TRADといっしょにやっていたりとかLITTLE TEMPOとか、THA BLUE HERBとの2マンとか、54-71とか、あのあたりの感じとDJ KRUSHとかも僕らには同じように見えていたんですよ。だからバンドがとくにどうというよりは、あの思春期に体験したアンダーグラウンドへの思いですかね……。

青木:いい時代だったよね。いまがどうだという意味ではなくて。

kussy:インターネット前というか。もちろんインターネットはあったんですけど、いまのような状況ではなくて。あの……空気感ですね。なんというか、説明できないんですけど(笑)。とにかくあこがれたし。

〈術の穴〉での活動というのは、その時代のポストを担うものでもあるんでしょうか。

kussy:もっとポップなものも、好きなんですけどね。そういうものもやっていきたいし。

deii:音楽を作りはじめたころがその時代だったんで、いまkussyが言っていたようなシーンや空気をいちばん吸収した世代なんですよ。

kussy:その影響を受けたやつら、聴いていた世代がこのコンピに入っているんですよね。たとえばtofubeatsくらいの若い世代だと、失礼だけどdownyを知らないということもあると思います。いや、彼は知っているかもしれませんけど──

ポスト・インターネット世代、というあたりの人々が物心つく前の話だと。

kussy:このコンピに関しては、僕らと同じように影響を受けて、downyに対する愛を持った人が集まったほうがいいかなと思ったんです。アンダーグラウンドなクラブ・シーンにいれば、少なからずdownyとかBLUE HERBとかDJ KRUSHなんかにはダイレクトに影響を受けているわけで。彼らを知らない世代についてどうこう言うわけではないんですけどね。

アンダーグラウンドなシーンについてのタテの流れはたしかに感じます。歴史性というか。いまは圧倒的にヨコになりますから。

kussy:そうですね。新宿〈Liquid〉の感じとか。

青木:〈Organ Bar〉とか行ってね。ちゃんとお客さんがいたんだよね。

kussy:あの当時は本当にワクワクして。少しでも何かを吸収しにいこうという気持ちでしたよ。

青木:踊れるということも大事だけど、「やべぇ」がもっと大事っていう時代だったよね。

kussy:そうですね(笑)。いま思い出してもすごくワクワクする。downyはあの頃俺らが好きだったものの本当に中心にいたんで……。ライヴにVJがいることはいまは当然のようにもなっていますけど、俺らの映像とか今回のジャケも担当してくれているlenoは、それこそdownyのお客さんが3人とかの時代にそのひとりだったわけで(笑)、そういう流れはすごくありますね。だってskillkills(GuruConnect)とかBO NINGENとか、一般公募で参加してくれないですよ、普通。

そのお話が聞けてよかったです。

kussy:俺ら、10年間レーベルをやっているんですけど、もともとはFragmentだけを出していくつもりが、bugficsっていうバンドなんかもリリースするようになって、じつはラッパーとかの前にトラックメイカーとバンドしかいないっていうような時期があったんです。だから、ジャンルということでの線引きはほとんどなかったですね。


[[SplitPage]]

リスペクトしあっているからこそ、勝ちたいというか、あっちの度肝を抜くものを作りたいと思うんだよね。その繰り返しでしかないという感じはしますけどね、人柄うんぬんと音楽というのは。 (青木)


downy - 第五作品集『無題』リミックスアルバム
Felicity

Tower Amazon iTunes

〈術ノ穴〉は狭い意味での音楽的共通性で成立しているわけではないですよね。こんな機会ですし、青木さんからFragmentの活動に対して、あらためて一言いただけませんか?

青木:ええ(笑)、一言ですか! 僕はとにかく、いまもう一度ミュージシャンに戻ろうとしている最中なので、偉そうなことは言えないですね。ただ、ジャンルとかの垣根を超えていくところを見たいとは思います。いいものが見たい。レーベルをやっていれば、お金を出して宣伝すれば売れるということもあるだろうし、素晴らしいのにあぶれさせているアーティストもいるだろうし、いろんなことに気づくんじゃないかと思います。そのあたり、いいツールがあったらいいですよね。レーベルがそのひとつのきっかけになっていけば最高だし。ライヴァルであり戦友というかね。
 コラボレーション自体も自分にとってははじめての経験だったんです。それもひとつの財産だなと思いますよ。昔だったら絶対にやっていないだろうな……。

Deii:ああー。

kussy:ははは!

青木:「はあ? リミックスってなんや」みたいな(笑)。

以前のインタヴューでも、音楽を離れて生活を見直すなかで、あらためて見えてくる音楽のかたちがあったというようなことをお話しされていましたよね。それがすごく印象深かったんです。そうした時間、9年の時間を経たいま、逆に青木さんのことは当時に比べてどのように見えるんですか?

青木:あ、それは訊いてみたい。

kussy:俺らとしては、めっちゃ作り上げているわけじゃないですか、青木ロビン像を(笑)。あのステージの上の青木ロビンしか知らないわけなんですよ。その後初めて目にするのがあの居酒屋でだったという衝撃。

青木:しかも、俺にはとんでもないヒゲもじゃの仲間がいるんですけど、その方といっしょのときでしたからね。だいぶ出来上がっていたし(笑)。

kussy:いやほんと、こんなに気さくに話してくれるのかって思いましたしね。

青木:よく言われるよ。

kussy:ライヴでもほとんど話されないし……

青木:MCはしたことないかも、というレベルですね。

kussy:ちょっと怖い人なのかな、とか。孤高の存在というふうに勝手に作り上げていたんですよね。あのときに比べたら、そりゃ「ロビンさんも人間じゃん」ってふうに思っちゃいますよ! 当時は、みんなでワイワイ飲むっていうようなことをしてたんですか?

青木:お酒は好きだったけどね。

kussy:でも、ピリピリしているような空気感がライヴからは感じられましたからね。

青木:ピリピリはしてたね。でも自分ではフランクな方だと思っていたけどなあ。そうじゃないと、ライヴとかに呼ばれないよ(笑)。

kussy:はははは!

コミュニケーションは取れなきゃ、という(笑)。

青木:うん。ただ、まあ感覚は変わったんだろうね。他人に委ねてよくなるようなところは委ねようと思ったし。

そういえば、音楽を離れてメールの書き方から学んだんだ、とおっしゃっていましたよね。社会というものにあらためて一から向き合ったというお話が心に残って。

青木:みんな、ほんとにちゃんとしたメールをくれるんだよ。すごいなって。同じ、音楽で飯食ってるのに、俺はそういうことをやっていなかったなと思ってね。

そういうところなんでしょうかね、「ピリピリ」しなくなったというのは。

青木:でも、だからって絵文字とか送られてもいやだよね(笑)。

kussy:ロビンさんが!? はははは!

(一同笑)

kussy:裕さんが絵文字にはまっているらしいですけどね(笑)。でもこの前、裕さんと話していたんですけど、当時はメンバー間でもピリピリしていたって聞きました。

青木:でも、よくしゃべるし、仲はよかったんだけどね。裕さんもずっと笑いを絶やさないというか、移動中なんかも、車中がずっと笑いに包まれている……、ただ、リハとか、楽器を持つタイミングではそれが変化するかもしれない。お互いがもっと音楽をよくしようとして緊張するというか。そういうピリピリはあったと思います。対バン相手でもそう。呼んでくれてありがとうって思うし、リスペクトしているんだけど、ある意味での勝ち負けは気にしたいというか。それはたぶん、これからも同じなんじゃないかと思いますけどね。まだ再始動後に対バンをしていないだけで、きっとスイッチが入る瞬間があると思うから。いい緊張感を残しつつやれればいいでしょうね。


いざ聴いたらいままででいちばん尖ってる作品だった。 (kussy)

本当に、そのとおりだと思います。10年の変化というところでおうかがいしたんですが、『第五作品集』そのものは、作品単位としてどのように聴かれましたか?

kussy:俺は本当に全作を聴いてきているんですよ。そしてこの9年の間に、実際に会わせていただいたりもしているわけで、人柄という点ではある意味で「丸くなった」部分があるんだろうなということも知っていました。だから、新しいアルバムについては、正直なところこわくもあったんですよね。……すげえピースになってたらどうしよう、みたいな。「あの頃」のまま、好きだったdownyでいてほしいなという勝手なファン心理もあるわけで。

青木:うん。

kussy:それで、いざ聴いたらいままででいちばん尖ってる作品だったという。もっとさらに緊張感のある作品をブランク後に出してくるということに本当に度肝を抜かれましたね。

青木:プレッシャーはあったからね。ハードルが上がっちゃっている。

kussy:そうですよね。だから……。……ただただ、かっこいいっすっていう思いです。そうだよね?

deii:うん。

青木:ミュージシャンはみんなそうだよ。コミュニケーションだからさ。人間と人間、ミュージシャンとミュージシャンだから、こっちが「オイッ」って居丈高にしていてもどうしようもない。リスペクトしあっているからこそ、勝ちたいというか、あっちの度肝を抜くものを作りたいと思うんだよね。その繰り返しでしかないという感じはしますけどね、人柄うんぬんと音楽というのは。

kussy:うん。そうですね。

青木:だから、Fragmentもいままで通りこっちを驚かせるものを作ってほしい。
それと、時間がなくてみんなの名前を挙げられなかったのがとても気になっているんだけど、参加いただいた方、みな本当に素晴らしかったです。それを最後に言っておきたいと思います。


downy - 曦ヲ見ヨ!Fragment remix

森は生きている - ele-king

 23:00、渋谷。昨年初めて見たときもたしかに良いバンドだとは思った、が、今回は正直……「正直、こみ上げてくるものがありましたね」と、一緒に行ったDJのGONNOくんは帰り道で言った。

 ラヴ&ピースの感覚がよみがえる。はっぴぃえんど×ザ・バンド×1970年頃のピンク・フロイド×初期カンタベリー×70年代のA&M×……などと、固有名詞を記号的にかけあわせたからといって、暗く冷たいインダストリアルな音響に耽っていた男の混沌とした内面から、いまさらラヴ&ピースなどという、こっぱずかしい言葉は出てこない。
 A&M系ソフト・ロックといえば20年前の渋谷系アイテムのひとつだったが、あの時代のセンスを競った消費のされ方とは明白に違っているのだ。情報としてアーカイヴされているという感じではない。この若いバンドには、ポスト・サイケデリック期のロックの素朴な叙情性が内面化されているように感じる。60年代を水で薄めたMORを弄んでいるというのではなく、彼らがいま持ち出すその平和的な響きは、冷酷な社会への彼らの態度表明にも思えるのだ。
 ライヴの余韻は、あり得ないほどピースだった。ファースト・アルバムが10だとしたらこの日のライヴは100だと言ってさしつかえないだろう。アンコールの、あの美しいアルペジオからはじまる“ロンド”も良かったが、なんといっても新曲が良かった。そう、いいじゃないか、彼女が幸せな気分に満たされているなら。

 森は生きているは現実逃避でも娯楽でもない。それは、我々は夢見ることを通してでしか前に進めないということだ。彼らの音楽から滲み出る一種の旅心、ボヘミアニズムが足を軽くする。そして無性に音楽が聴きたくなる。家に帰ったら何を聴こう。僕は電車に乗って、GONNO君は午前4時のDJのためにクラブへと向かった。

GEZAN USツアー日記 2/21〜3/13 - ele-king


下山(GEZAN)
凸-DECO-

ツクモガミ/BounDEE by SSNW

Amazon iTunes

 紙エレキングにて、下津光史(踊ってばかりの国)とマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)との対談をやったのが2月18日、そのときにマヒトゥは、「明後日からUSツアーに行ってくるんすよねー」と言った。「本当に行けるかはまだわからないんですけどね」と付け加えた。え? それってどういうこと? と思っていたら、ものすごい強引な速度で物事を進めたらしく、バンドはまんまと海を渡ったのだった。以下、GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーのツアー日記である。彼の見てきたアメリカをある程度は共有できるほど、とても面白いエッセイなので、ぜひ読んでください。(野田)

※GEZAN YOUTUBE
https://www.youtube.com/user/GEZAN13threcords

■2/21(fri)空港

3週間にわたるアメリカツアーに向けて韓国で乗り継ぎ、NEW YORKをめざす。1週間前の北海道でのライヴの際、航空券を光の速さでおとしたので今回はパスポートごと破れるほどの握力で握りしめている。にん
機内で韓国のぼっちゃんがきゃんきゃんわめいてる。キムヨナがフィギュアで金メダルをとれなかったというコリアンショックが永久歯一本もない彼の神経系全般を鋭利に駆り立てているのだろう。
窓から太平洋にいびつな銀色の斑点をみた。くらげの大群だろうか、真っ黒な夜の海にできた水疱瘡の深夜3時。

13時間後、到着
税関でギターのイーグルが七味唐辛子の説明を身振り手振りつたない英語で説明していた。あやしいものでは無いと小指につけて舐めてみせる。まったく伝わっていない。「what's this?」とビッグダディはイーグルの瞳をのぞきこむ。戦え、デコ助。

ぼくは歯磨き粉をとられた。
そんなこんなでアメリカにきたのだ。

■2/22(sat) NY

GEZAN USツアー日記

レンタカー屋まで我々を運ぶインド人タクシーの運転手は100%ランチにカレー食べたのだろう。車内にプーーンと匂いが充満している。

当然のことだけど、たくさんの人種がNYにはいる。日本では日常のなかなか感じることは少ないけど、アメリカでは当然のように生活の中に"ちがい"が組み込まれていた。
差別も自由もこういった感覚からはじまるのだなー。みとめたり、はじいたり。

この日、空き日に飛び込みでライヴをさせてくれる箱に直接かけあいに夜のNYの市街にでた。
当初20本あったライヴが3本に減ってしまったからだ。
しかも泊まる場所も決めずにとりあえずNEW YORKにきてしまっただよ。なんも予定がないからっていってぐだぐだ鼻くそほじってるほど牧歌的になれないのでとりあえず週末のクラブへ。

踊りたくてはちきれそうなヤンキーの欲望が渦巻くNYのludlowストリートへ、ポリスの乗っている馬がたらす糞を後始末をせず道路の真ん中を闊歩していく。
街中がネタ臭いのに、何を取り締まっているのだろう?
馬にのって人より高い位置から星の数を数えているのだろうか。

■2/23(sun) NY @pianos

NYのpianosは流行に敏感なだけの若者が集まり、流行りの四つ打ちで腰をくねらすNYのライヴbarといった印象。
ここが下山のアメリカ初ライヴの地となる。
ピーランダーゼットというアメリカ在住の日本人バンドのフロントマンイエローさんがスケジュールに穴のあいた下山のために急遽ねじこんでくれたイベントだった。
対バンは、才能のないビョークが勘違いをこじらせたようなシューゲイザーと、全員下をむいたいじめられっこ更生目的バンドと、顔だけパティ・スミスのおっさん弾き語りなど、涙が出るほどダサかった。バンドってなんてカッコワルイのだろう。
昼間、楽器屋にもいったが、腕に炎の刺青で脇毛まで金髪のハードロック親父がピーナッツ食いながら接客してくれて、チーム下山は苦笑いしながら店内を物色した。NYはそれを強く感じさせるシャープな空気をまとっていた。

ロックがワルくて尖っていた時代なんて思い出だよと言われんばかりに、打ち込みに群がるヤンキーの尻をみながら、かつてCBGBでこすれあったRAMONESやTELEVISION、JOAN JETの涙が蒸発する音をきいた。

別に名前や形なんてどうでもいいから狂いたいやつだけこいとわたしはおもったのでした。そして、そのまま皮膚づたいに共振する夢をみた。
そこに国境はみえなかった。みえないものはないものとおなじだ。
体温だけ信じよう。ぷーぱ

■2/24(mon) 無題

GEZAN USツアー日記

何もすることがない日があると天上ばかりみて、その染みが顔にみえてくるあたりからパズルのピースが変形してくる。それはそのままこころのかたち。
この日泊まったホテルはインド人が夜な夜なパーティをしているヘンテコな場所で、壁づたいに聞こえる音楽はブラストビートに呪文が乗っかったような、とても常人のきくものとは思えない。廊下や階段を埋めつくすカレーの匂いでぼくら、太古の彼方までぶっ飛んだ。
逃げ出すようにテラスにでて空をみたらカモメがみゃーととんでいる。どこの空もたいしてかわらないが、NYの空は雲までラッセンの書く絵のようにはっきりとした輪郭と影で描かれている。食のようにここまで大味にされるとゲンナリしてくる。

ぼくのワビとサビをカエシテ。

GEZAN USツアー日記

■2/25(tue)Brooklyn NY@don pedro

2/25日は夕方にごそごそと起き出してブルックリンの街てくてく歩いた。若いやつが街ごとジャックして好き勝手遊んでるかんじ。壁にしきつめられたグラフティがしのぎあって、その絵ずらだけでも体温2、3度あがる。てかもう描くとこないんじゃない?なんて思うけど。
DIYのライヴスペースには看板もなにもなく、パーティの音は倉庫の奥からどこどこと、無許可に街中が震えてる。風営法と戦う暇があれば抜け道みつけて命がけで遊べよと日本で思っていたけど、それをまるごと体現したような街なみだった。にゃーご
無意味な遊びにたましいを売ってる人ってなんだかピタっとグルーヴがあったりする。グラフティやってる友達、じぶんにも何人かいるけど、アートなのか? 落書きなのか? なんて議論入り込む隙間なんかないのよね。
壁の保有者に捕まったら、警察か、言い値でどんだけもふっかけれられるギリギリのリスクのところにいながら、顔を露出させるわけでもなく、金にかえれるわけでもなく、淡々と火花を散らす街遊びにはオトコノコのロマンがある。
ロマンが理由なら倫理はあっても、法律なんか一切関係ないのよねー。

そのブルックリンのDON PEDROで飛び込みでライヴがきまった。2時間後にだって。にゃー。低体温に寝ぼけていた細胞が逆立ってくのがわかる。音楽よりまえに動物には瞬発力があった。ぼくが怖いのは速度だし、憧れるのも速度だ。
その中に真っ白い国をつくりたい。0.1秒の世界に国をつくりたい。各々が血と精液とセメントで各々の王冠をつくって、家来ひとりもいなくとも王様として、昨日というコトバと未来というコトバを忘れた国家をつくりたい。

ライヴかましたら次の日もブルックリンの別の店GRAND VICTORYでライヴきまった。このかんじ。意志や個人ではない。ただの石になって転がるだけのこのかんじー。
いちばんいらないジブンという勘違い。

■2/26(wed)Brooklyn@grand victory

この日は飛び込みでライヴが決まったgrand victoryへ、前日告知にも関わらず、important recordの声がけやPee lander ZのYELLOWさんの呼び込みでわりとフロアがうまっていた。中にはDEER HOOHのさとみさんや、RAMONESのジャケットをかいていたジョン・ホルムストルムも来ていた。

箱PAとやや揉めながらもライヴ終了。
さとみさんとイベンターのemiはこの後もクラブに踊りにいくそうだ。水曜の23時からのこのフットワークの軽さがこの街の、欲望に貪欲でクールな音楽シーンを支えている気がした。というか、スタートが9時、10時は当たり前。ライヴハウスで働いてるニンゲンのための遊び場なのなー。
一緒にいきたかったが、ground stのタコス屋でいかれたインド人とギターウルフの話で盛り上がってしまっていけなかった。それもまた出会い。
この日、別の箱でDEERHOOFのグレッグが、次の日、BLACKDICEのラストライヴがあるらしい。こちらもライヴでいけないが、高揚感がうずまいた街のその中で溺れるのがただただ気持ちよかった。

このブルックリンも金持ちに建物ごと買われたりと少しづつ遊び場を侵食さへているようだ。
別に場所を守るなんていう発想はなく、追われたら場所をかえながらパーティをつづけるだってー。
別に文化でも芸術でもなく、もっと野蛮でただぶっ飛んでいたいだけの欲望の金粉が、ブルックリンのナイトクルーザーの目からは溢れていた。キラキラしてた。
それはそれは眩しくてなんだかうれしくなった。

■2/27(thu)Brooklyn @don pedro

GEZAN USツアー日記

ステイ先のシェアハウスのレゲエ好き三姉妹と遊んでたら1がおわった。ライヴもしたらしいけど、記憶が ナイ。

GEZAN USツアー日記

■2/28(fri) New Blanswick

NYから車で2時間半、New Blanswick NJのCANDY BARRELへ。
田舎町の突き抜けた高い空が車窓からみえる。歩く若者も一気にファッションが無頓着に、ださくなった印象。充満したいなたさが民家の地下に流れ込み、ぞろぞろと人が集まってくる。
NYのおしゃれ風から一変した、ナードなオタク臭と音楽愛がとても心地よかった。
10人でシェアしているらしい家の地下にステージを組んだだけなので、音漏れもひどいが、道行く人は誰も気にしていない。
下山のステージもフロアモッシュの嵐で荒れた。時代や流行りなんか知ったことかと、反応するこの街のフラストレーションがロックのすべてだった。2時間ばかり離れただけなのに、ひとつの街にある、独立したひとつの表情があった。昔、ネットがはりめぐらされる前の日本がそうだったように、田舎独特の文化と匂い。この街はださい。最高にださい。
ぼくにはとても健康的に思えた。
BARをはしごした後、プロモーターのパットの家でパーティは朝までつづく。
BLACK FLAGやALLなど、好きなのレコードを聞かせあって、合唱!ぶち上がってるキッズやおっさんたち、アルコールは一瞬も途切れない。日本もアメリカもかわらない。最高な音楽の前ではノーボーダーでそこでは皆こどもだった。
寝不足のまま、街をでる。

さよならまたくるよと別れる。その後、車の中に静寂がつづいたのはみんなさみしかったからだろう。

[[SplitPage]]

■3/1(sat) Pensylvania

この日はNBからさらに車で2時間、ペンシルバニアにむかう。空腹に耐えきれずケンタッキーでフライドチキンをたらふく食べたあと、到着したhouse venueのガレージでのフードコートの家庭的なやさしい味に、チーム下山は満腹の限界ラインをはるかに更新し、爆発的な大和スマイルをママにぶちかました。家庭料理がいちばんおいしいです。
お水くれっていったら水道水をパッと渡してきた。飲んでみたらおいしくて、そうか日本て飲めないよなーなんて久しぶりに母国のおかれた不幸を思った。
NB同様、一軒家の地下にある、排水管などがむきだしになった場所にステージを組んだベースメントスタイルで、お客さんは家の玄関でお金を払ってぞろぞろと地下に集まってくる。これに集まってくるヒトたちがまたNBよりさらにいなたい空気をだしていて、地下の暗がりには掃き溜めハードコアの匂いでぷんぷん充満していた。やることなくて暇なんだろうな。
14、15才くらいのキッズが1バンド目から客席で喧嘩しだして、下山もギラギラピカーーん、緊張が絡み合うステージだった。物販も飛ぶように売れる。助かる。うれしー。
夜は、GHOSTSTARSというErese erataやAIDS WOLF直系のいかれたNEW WAVEバンドのDEVのヒッピー・コミューンのようなうちにお邪魔した。
「おい、このバンドは知ってるか?」「このバンドはどうなんだ?」と溢れんばかりに音楽を放り込んでくるKIDSの音楽愛にはやはり胸が熱くなる。ぞろぞろとルームメイトが集まり、卑猥な匂いのするパーティへなだれこむ。音楽を聞かせあってベッドの上で跳ねまわるのは、それは、まだおれがギターを触ったこともない頃からチーム下山でやってきたことなんだ。
聞かせたものの中では54-71やskillkillsへの反応がよかった。部屋にはられたアメリカ国旗が逆をむいている。こういうアンチキッズはバカっぽくておもしろい。
朝はまわりの教会にひとりで散歩にいって、霧をのんで、昼は大切なひとのお墓まいりをした。
GHOSTSTARSとのさよならがまたさみしい。別れの言葉は短い方がいい。二日酔いのゆるやかな眩暈がすでにこの毎日を懐かしくさせた。また、あおー。

■3/2(sun) NEWWARK mojomain

GEZAN USツアー日記

NEW WARKという街のMOJO MAINについて、BARの扉をあける。五秒後に「米は好きか?おれのつくる米を食え!」イタリアのシェフ、ガス(58)からGUMBOがたらふくだされる。スピード感がすごい。それがまたたまらなくおいしくて、今回のツアーの中で断トツにおいしい米料理だった。DR JHONのGUMBOのはなしなどをしながらガスの米への愛をきく。うんうん。伝わったよGOD FATHER。

ライヴはFUGAZIやNIRVANA直系のUS オルタナなメンツで正直古臭かった。でもみんなキモチのいい奴らだった。
Tシャツをライヴがはじまる前から対バンがぞろぞろと買いにきてくれて、きょうという日をいい日にしようという挨拶なのか、ツアーバンドへの応援なのかわからないが、清々しいキモチになった。
モノにお金を払うという敬意の表し方があることデータ社会になっても忘れてはいけないようにおもう。ひとにおもいをつたえるのはそんなに簡単なことじゃない。うまくあつらえたコトバなんかクソだぜ。痛みをともなったコミュニケーションしましょう。恋みたいだ。

夜はとても冷たい雪がまわりをつつみだし、寒波が流れ込んできたことをガスにきく。
本日二食目のGUMBOをご馳走になり、店をでる。ここから次なる目的地、アトランタまでは車をとばして13時間、雪道なら20時間はかかるという。
6日連続でライヴしてきて、宿無しの窮屈な箱詰め車内の20時間ドライヴにチーム下山は白目で泡をふいた。

■3/3(tue) 無題

ひたすらまっすぐの雪道。窮屈な車内で窓から葉のない木々が流れていくのを永遠にみた。
20時間のドライヴは過酷だ。
白目も水銀色。
デリで買った毒々しい色のグミがこれでもかと外れ、殺気だつ。

■3/4(tue) Louisuvile @modern cult record

ケンタッキー州のルイスビル、街にはいるなりシルバニアファミリーのような家々と雑貨屋や本屋がならぶかわいい街だった。学生が多いのかも。
「HATE ケンタッキー love ルイスビル」とかかれたTシャツを着た店員さんのいる店でガンボをたべる。ケンタッキーの中だが他の場所と一緒にするなという街の自己主張なのかなあ。大阪をおもう、京都にあるような。
その一角にあるmoderncult recordでのライヴ。店内には世界各国のサイケ、ノイズ系のLPがならぶセレクトショップで風通しがよかった。下山のも何枚か納品する。acid mothers templeやBORISのLPは中でも目立つ。
ライヴにはWILKOやジム・オルークバンドなどで叩くTIM BARNESさんがきてくれて、この街のはなしをした。田舎町ではあるが、もともとSLINTをはじめDRAG CITY RECORDまわりのバンドなどを多く輩出した街で、近年元気がなかったが、NYからTIMさんが住みだしてから活気が出てきたと現地の日本人から聞いた。
パニック・スマイルやナンバー・ガール、モーサム・トーベンダーを輩出した福岡のように、かくじつに強力な個性を打ち出していく独特の筋をもった印象があった。こういった地方がスターをちゃんと生み出せる地盤があるアメリカは懐が深くもなる。変化こそあれど大きくみると、未だ東京に進出しなきゃどうにもならない日本の盲目さにはげんなりする。

ライヴ終えて、みんなが寝たあと、ぼくはDAVID PAJOのみていた空をみながら街を夜道をてくてく散歩した。とおくまで歩きすぎたのか、通りを越えると急にゲットーな匂いと鋭い目つきをかんじる。後に出会った友人にきくと、どんなハートフルな街にも治安の悪い地域があって、そこにはディーラーの売買が盛んに行われてるそうで、銃声の聞こえない日はないそうだ。
人種や生活クラスが多用すぎて自由を認めなきゃ窮屈なんだろうな。この国は。

■3/5(wed) Atlant @GA

車で8時間、アトランタは出会った人びとから一番治安悪いから気をつけろといわれてきた街で、今回のパーティの主催はKIDSのラリークラークとのコンビでも知られるハーモニー・コリン監督の『spring breakers』で3日連続双子でセックスするという狂った役を演じたATL TWINS だった。
気温もあたたかく、街自体はロック好き、タトゥー好きといった感じでボインで活気があって良かったが、パーティピーポーの楽屋の荒れ方はなかなかジャンクだった。泡吹いてるやついたし。すぐに二人組でトイレに消えてくし。
ライヴはDARK SISTERというM.I.A直径を思わせる2人組がよかった。楽屋にはGROUPHOMEのタグなんかをかいてるライターがいてイーグルがぶちあがってた。
おれはこういうスカしたパーティ野郎が嫌いなので、陰気なイタリア女と木のしたでうどんのおいしさを説いて1日を終えた。

■3/6(thu) 無題

GEZAN USツアー日記

この日は2日前に「ギグするか?」と連絡がきたので時間にして13時間。熱意にこたえるべく一晩でぶっ飛ばすことになった。しんどいわ!
つくなり日本のことをわんわん聞いてくる、話をきくとアニヲタだった。下山の音に反応して連絡きたんちゃうんかい!というキモチが拭えず、ライヴブチかました後はマザコンの引きこもり黒人ラッパーと携帯の恥ずかしい画像を無言でみせあって一日をおえた。

■3/7(fri) NewBedford @no problemo

GEZAN USツアー日記

街につく、ラジオをやっているベイリーという男の企画でbarでのライヴだった、らしい。
頭が沸騰していてこの日はほとんど何も覚えておらず。
ブログあきてきた。

■3/8(sat) Roadiland providence@ the parlor

この街はLightning boltがいることで知っていた。
lightning boltは街の廃墟を占拠してはパーティを組んで、警察や金持ちの買収や圧力があっては場所をかえ、パーティをつづけてきたDIYの王様で、プロビデンスの皆が誇りにおもってる感じがぷんぷん伝わってきた。町おこしの立役者的側面も。
なっるほどー、そういうわけで日本でライヴする時もドラムやアンプだけでかくメインのスピーカーまで持ち込むのか。昔、梅田シャングリラであふりらんぽやマゾンナ、ボガルタと対バンをみたが、フロアで箱のシステムを全く使わず、他のバンドよりだいぶ小さな音でアホみたいに叩きたくってたあの謎を思い出す。謎とけた!どこでやっているときも彼らにとっては廃墟と同じDIYセットでやりたいのだなー。敬意がぐぃいーんとあがる。

街をあるく。らんらん歩く。
ラヴクラフトという作家のお墓があるときいていたので、お墓まで案内してもらう。インスマウスの影のはなしを思いだしながらお墓の前でお昼寝した。
他の下山のメンバーはTシャツが売り切れたのでフリマで1ドルで手に入れたマドンナのTシャツにGEZANとタギングしているみたい。
ぼんやりと薄い月をみながら、アメリカではじめての深呼吸をした。キレイな街だった。
ゆっくりと月が三次元を手にいれて、霧がはれたところで目が覚めて皆の元にもどる。

■3/9(sun) 無題

一度NEWYORKを経由してテキサスオースティンへむかう。ツアー最後のSXSWへ。
我慢しきれなくなって、ゴーゴーカレーNY支店でカレーを胃にぶちこみ、空の旅へ。
24時、テキサスについたが宿がない。とりあえず空港の自販機の裏でチーム下山、ミノムシのように固まって眠った。
でっかい掃除機の低音で目をさます。

最悪の目覚め。

■3/10(mon) Austin SXSW

GEZAN USツアー日記

オースティンはとにかく暖かい。27度もあるそうでみーんな半袖だった。
リストバンド交換所で長い行列を並びながら、YOSHIKI(CHIBA JAPAN)もここを並ぶのかと想像していた。いや、YOSHIKIならヘリで皆の頭の上を飛び越えていくんだろうなー。どこかにヘリおちてないかな。ほしいな。
とりあえず宿がないので、受け付けに誰か紹介しろとダメ元でいったら黒髪ロングを気に入ってくれたのか、マダムな友人を紹介してくれた。
いってみたら豪邸で、オースティンの山々の景色をハンモックにゆられながらバカンス気分爆発、胃袋破裂しそうなくらいピザを食べて、死んだように眠った。
それにしてもロックのうまれた国だからなのか、空港や街のいたるところにサイケ調のギターのモニュメントがあって、ロックを誇りに思っているんだなあとしみじみ感じた。そんな街ぐるみのイベントの公式フライヤーにFUCKin MUSICだなんてコトバがのるくらいだから、エネルギーにたいして敬意がある。
無菌国家・日本じゃとうていあり得ないだろうなあー。踊らせるものへの敬意なんて、このダサい国には。

■3/11(tue) Austin SXSW @liberty

GEZAN USツアー日記

街のいたるところでベースがなっている。水着一枚のおねーちゃん、ドレッド、ラスタマンなにーちゃん、ブリーフ一丁のおじいちゃん、歯のないボインのニューハーフ、様々な人種の様々なファッションが入り乱れた祭りが、BARで、屋上で、野外のテントで、360度サラウンドに鳴っている。共通しているのはとにかく楽しんでやろうというギラギラしたエネルギーだ。
道を歩いていたらBo Ningenの一団にあった。お互い初のアメリカでのライヴね。ここで会えたのはなんだかうれしい。
比較的バンドが多そう通りにあるthe LIBERTYという場所でライヴをする。街中が洗濯機のように流動する中で、足をとめ、フロアがいっぱいになっていく。アメリカのそのフィーリングと速度感はアドレナリンリン・心地いい。
本日二本目のQUANTUMにいくとGEZANの名前がないと言われた。「NO WAY!! ふざけんなよ」とかけあったら明日でした。12日のAM12時と表記されてるのを11日の24時にいってしまったのだ。てへ☆
ぼくたちバカだネって話ししてたら横でひったくり犯が取り押さえられボコすかやられてた。こっちのひとらは加害者に容赦ないのう。顔からケチャップがぴゅーぴゅーでてた。
気分をかえて、クラブが連立する一角で黒い音にまみれ気が遠くなるくらいヒップホップをのんだ。
家に帰って吐いたゲロが七色をしていた。これがオースティンの色だ。

GEZAN USツアー日記

■3/12(wed) Austin SXSW@liberty ,QUANTUM

前日よりさらに人がわちゃっと増え、カフェからどこんどこん鳴らされる低音に音漏れなんてコトバは似合わない。もはや街自体を鳴らしてる。テキサスのコンクリートの床もボロボロの壁も、いきた音を浴びてうれしそう。土の中でテキサス育ちのジャニスジョップリンも白骨顔でにっこり。
呼吸しない街は朽ちていくだけ。人もモノも同じ。磨いてるだけじゃ表面のメッキが光沢するだけだもの。

the LIBERTYの野外テラスでライヴ、テキサスロックシティの波にのまれて歪んだな夢をみた。
QUANTUMに移動してレゲエシステムのようなつくりの黒い箱でやりきった下山、アメリカツアー最後のライヴ。どこもわりとそうだったけど物販の売れ方が気持ちえかった。
思えば出発前、3本に減ってしまっていたライヴは飛び込み含め17本にまでふえた。ここでは書けないようなこともいっぱいおきた、し、おこした凸凹ツアー、まあなんだか生きてる感じでした。ナムナム

手刷りDIYTシャツも完売して荷物も軽くなったところで踊りにいく。
3週間分のつかれは、狂った夜のさらさらと流れる静脈にまぜて、ライターで火をつけて、低音の肌触りとともに喧騒にながした。
渦の中で溺れる、溺れながら呼吸の仕方をおもいだす。魚だったころみていた夢はきっとこんな泡だらけのプリズムした夢だったのだろう。


下山(GEZAN)
凸-DECO-

ツクモガミ/BounDEE by SSNW

Amazon iTunes

■3/13(thu) Austin SXSW

SXSW3日目の今日は音楽散策だけ。
the MAINでの LOU REED tributeのショーケースでblack lipsをみる。ジャンクでポンコツなビートルズみてるみたいで笑ってもうた。いつか対バンするな。きっと。
LOU REEDの“run run run”をカバーしてた。もはや当たり前のことだけど、改めてLOUの存在の大きさを現行のバンドのその影響をみていておもう。
踊ってばかりの国の下津が騒いでたのでChristopher Owensをチラッとみる。わー、下津好きそう。曲はいいけど、うたが痩せっぽっちで個人的な好みではなかった。前日に下山の前に出てたオーストラリアのMT WARNINGの方が人間力がズシンと残ってる。
FAT POSSUMから出してるfelice brothersをred7で。最高にグッドアメリカンで、身体いっぱいに喜びをあびる。好奇心と実験心をうたうボブディラン。SXSWベストアクト! というかFAT POSSUMはほんとうにアメリカの良心だな。愛してまーす。

あんまり期待してなかった分、逆に満足して、チキンを食らって飛行機にのった。SXSW、世界最大のショーケースでいくつかのステキに出会えたのは嬉しかった。お客さんより関係者のためのフェスという感は否めないけどね。
垣根をこえて、世界中の好奇心が渦になればいい。オワリ

interview with Liars (Angus Andrew) - ele-king


Liars - Mess
Mute / Traffic

Tower HMV iTunes

 ライアーズは嘘をつかない。いや、言い直そう。ライアーズは自らのネーミングがものするように、嘘をつくことを認めている、という意味で嘘をつかない。
 アルバムごとにそのサウンドを目まぐるしく変化させ、つねにシーンのど真ん中のはずれで野蛮な実験を繰り返すライアーズ。それは意識的なようでいて、じつに原始的で、クールなようでいて、たまらなくホットで、いつも目的からずるずるズレて、ズレてズレて……気がつけば誰もいない荒野の先端でひとり奮闘している。なんて素敵なんだ。彼らが持つほとんど野生のカンともいえる実験本能。それをライアーズの性(さが)と呼べばいいのだろうか。
 そんなライアーズが2年ぶりに7枚めとなるアルバム『メス』をリリースした。ここにあるのは、彼らがレッテルを貼られ続けたポストパンクでもエレクトロクラッシュでもなく、また、カオスの渦でもトライバルなクラウトロックでもない。そう、大きくモード・チェンジした前作『WIXIW』のサウンドを引き継ぎつつも、よりダークに、よりミニマルに、ときに大味なエレクトリック・サウンドがダンス中枢をくすぐりまくるライアーズの新境地——まっさらなテクノ・サウンドだ。シンプルなビートに合わせて駆動する野太いシーケンス。ゴスな装飾を薄くまとったシンセのフレーズ。そんなダークなムードにカラフルな色を添えてはじけるポップなエレクトロニクスたち。ライアーズの新たなマスター・ピースの誕生だ。
 まずは、先行公開された“メス・オン・ザ・ミション”の抜きん出たブレイクスルー感を体感してみてほしい。身長2メートルを超える大男アンガス・アンドリューのボーカルもいつになく脂が乗っていて、低いところからファルセットまで縦横無尽に声色を変えてはしなやかに吠えまくる。容赦なし。遠慮なし。その鮮烈すぎる突破口から無辺に広がる「歌って踊れるエクスペリメンタル・ミュージック」。外は冷たいのに中は熱い。まるでアイスの天ぷらをあべこべにしたようなストレンジな昂揚に、われわれの体温もぐいぐい上がりっ放しだ。
 あらためて。ライアーズは嘘をつかない。いや、言い直そう。ライアーズは嘘をつかないが意表をつく。騙されたと思って最高の新作『メス』を聴いてほしい。彼らの嘘は本物だから。

アイデアと実際にでき上がったものにはそんなに大差はなかったよ。すべてはあっという間に起こってね。

2年ぶりのアルバム『メス』の完成おめでとうございます。まずはいまの心境を聞かせてください。

AA:早朝のロサンゼルスでスッキリした気持ちだね。

この2年間はどのように過ごしていたのですか?

AA:前作『WIXIW』ではたくさんのツアーをしたよ。それが終わってからオフを取って、生まれ故郷のフィリピンに行ったんだ。

ライアーズはこれまでほぼ2年に1枚のペースでアルバムをリリースしていますが、このペースが自分たちにいちばん合っているのですか?

AA:それはつまりこういうことだと思うんだ。僕らは大体1年にわたってツアーを行い、それからは当然のように、再びいらつきながら制作に入っていく時間になる。ときには音楽やアートに関してもっと時間をかけようと思ったりするんだけど、自然に任せてやりたいようにやるとそのタイミングになるんだと思う。

デビューから14年ですが、『メス』の制作を経て、ライアーズとして新たに発見したことはありますか?

AA:「アルバム制作は楽しみながらしないとダメだ」ということをあらためて思ったよ。過去のいくつかの作品に関しては、制作過程でシリアスになり過ぎたり、頭を使い過ぎちゃったりもしたけど、まずは「アルバムを作りたい!」という思いを楽しむこと。それを忘れていたような気がする。

アルバムごとに作風をガラリと変えてきたライアーズですが、今作は『WIXIW』で大きくモードチェンジしたエレクトリック路線を引き継ぎつつも、さらにダークでミニマルな世界を追求しているように感じました。前作との関連性を教えてください。

AA:前作『WIXIW』を作ったとき、僕らはすべての電子楽器やソフトウェアを新しくしたんだ。文字どおり、ユーザーマニュアルを開きながら曲作りをやっていたんだ。でも、『メス』に関してはこの点がクリアされていたので、自分の思いついたアイデアをきちんと演奏に反映できるようになっていたんだ。それと、制作過程もすごくスピーディーにしてみた。最初にトライしたことをすぐ曲に反映させていったらすべてがフレッシュなままの作品に仕上がったよ。

前作には〈ミュート〉のオーナー、ダニエル・ミラーがプロダクションで参加していましたが、今作にもクレジットされているのですか? また彼との長きにわたる仕事で得たものは何ですか?

AA:『WIXIW』を制作しているとき、エレクトロの世界は僕らにとってすごく新鮮で、ダニエルにありとあらゆる質問をして確かめていたよ。彼はその界隈では有名な先駆者だからね。技術的なものや機材的なアドヴァイスの面ですごく助かったよ。『メス』に関してはその点がクリアされていたから、彼のクレジットはないんだ。もちろん僕らが音楽をやる上で彼はいちばん大切な人だけど、制作的なことで言えば、いまは僕ら自身で実行しているよ。

『メス』というタイトルどおり、混沌として多彩なビートとディスコ・サウンドが収められながらも、アルバム全体にはライアーズらしい「暗さ」と「野蛮さ」と「冷めた熱」がしっかりと根底に漂っているのを感じました。アルバム・タイトルに『メス』を選んだ意図を教えてください。

AA:『メス』とつけたのはすごく主観的なものなんだ。ある人はあるものを見て、それが何であるかをきちんと考える。一方で、別の人は同じものを見ながら、それを「まったくはちゃめちゃ」と言ったりする。すべては見る人の見方によるんだよね。僕にとってこの考えってすごくおもしろいんだ……というのは僕らが作っている音楽にからめて考えても、それは自然なことだからね。

制作中の試行錯誤には、はかり知れないものがあったと思いますが、制作前のイメージと完成した作品に大きな変化はありましたか?

AA:アイデアと実際にでき上がったものにはそんなに大差はなかったよ。すべてはあっという間に起こってね。アイデアが出てくるとすぐにそれをまとめてアルバムにしたからすごく楽しかったよ。

先行で公開された“メス・オン・ア・ミッション”を聴いたとき、最近のライアーズらしいストレンジでグルーヴィーなシンセポップに舞い上がるとともに、計算されつくしていた印象の前作『WIXIW』よりも直感的/本能的な勢いを感じました。ファルセット全開のサビの昂揚なんてライヴで盛り上がること間違いなしですね。曲作りの段階でライヴでのイメージを想定しているのですか?

AA:それはないね。スタジオで曲を書くときに「ライヴを前提に」とかの制限はつけたくないんだ。さまざまな楽器を使ったりするのもそうだし、いつも曲そのものが向かいたい方向に進められるように考えているんだ。いつかはそういった縛りで曲作りをやってみてもおもしろおもしろいかもね。自分たちで持ちこめる楽器だけを飛行機に載せてツアーすることができたら、相当クールだと思うんだけど。でも結局は、アルバム音源をライヴ用にまた作り直してやった方がずっと簡単なんだけどね。

“ダークサイド”〜“ボーイゾーン”の金属的なエレクトロニクス、呪術的なヴォーカルにはインダストリアル・ノイズの影響を聴くことができると同時に、『果てしなきドラム』(2006年)の頃のサウンドがエレクトロ化したような、ライアーズの新しい側面を感じました。昨今のインダストリアル・テクノではなく、70年代後期~80年代の〈ミュート〉が鳴らしていたオリジナルなエレクトリック・ミュージックの香りというか。そのあたりの影響は受けているのですか?

AA:それはそのとおり。僕らのお気に入りですごくよく聴いている作品のひとつに『ミュート・オーディオ・ドキュメンツ(MUTE AUDIO DOCUMENTS)』(2007年にリリースされた〈ミュート〉の初期シングル&レア音源を集めた10枚組ボックス)があるんだ。あれを聴くたびにすごく勇気づけられる。DAF、ファド・ガジェットらエレクトロのアーティストにはすごく影響を受けているよ。

[[SplitPage]]

そうだな、個人的には太鼓(タイコ・ドラミング)だけのアルバムを作ってみたいとずっと思っているよ。もしかしたら八丈島に移住して、そこでアルバムを作っているかもしれないな(笑)。

ライアーズはいつも時代の先端に寄り添っているように見えて、じつは誰よりも勇敢に誰も知らないところに向かって猛進しているように思えます。進行形のシーンに対して意識的な部分はあるのですか?

AA:人がどんなシーンに興味を持っているかを聞くのは楽しいんだけど、だからといってそれが僕らの意思決定には影響しないよ。本当に自分たちが聴いたことのないような音楽を作りたいし、それがライアーズにとってもっともエキサイティングなことなんだ。

アートワークにあしらわれているカラフルにもつれ合う毛糸についてお聞きします。ライアーズのTumblrでさまざまなシチュエーションにおける毛糸の画像が公開されていたり、本物の毛糸が真空パックされた500枚限定のデラックス・ヴァイナル・エディションをリリースしたりと、本作におけるアートワークへのこだわりを強く感じさせますね。

AA:今回のアートワークに関しては、このアルバムの持つ「遊び心」や「自然」な感じを出したかったんだ。カラフルな毛糸はそのことを表していて、加えて「WHAT IS A MESS ?」(混乱ってなに?)ってことを具体化したものでもあるんだよ。

なるほど。そんなアートワークだけでなく音についてもですが、実験的な要素とリスナーに受け入れられるポピュラリティーのバランスはどのように考えていますか?

AA:うーん、べつにポピュラーになることなんて考えたこともないけどね。僕らにとって音楽やアートを作るってことは、僕らが本当に人とコミュニケートしたい、って考えの発露なわけで、期待されているものを指図されて作っているわけではないんだ。いつもやることなすことが実験につぐ実験の繰り返しだと思う。たとえ僕らがいわゆる「ポップソング」にトライすることになったとしても、それはすごく実験的なプロセスをたどることになるよ。それってある意味おもしろいけどね。

残念なことにあなたたちの変化に追いつこうともせず、いまだにライアーズのことを「ポストパンク・リヴァイヴァル」の一部として認識している人もいますが、ライアーズにとって2000年代初頭のあのシーンはどのようなものでしたか? またその渦中にいるという意識はあったのですか?

AA:当時のニューヨークに住んでいたのはすごくよかったよね。素晴らしいことをしているヤツらとずいぶん知り合いになれたし、本当にそれぞれ違ったことをしていたし。でも、僕らも含めて誰もが「ポストパンク的なもの」の一部と呼ばれたがってはいないと思うよ。僕らは自身の思うことをやっているし、何かを復活させているつもりもないんだ。ただ、これらの考え方のなかで意識的なのは、9.11の悲劇に関する部分だよ。自分がニューヨークに住んでいるということをまざまざと実感させられた。まさしく歴史的にも重要な場所で、世界中に向かって発信しなければいけない場所に住んでいるんだ、ってね。

ブルックリンのシーンから登場し、ニュージャージー、ベルリン、ロサンゼルスと拠点を変えてきたライアーズですが、ここ3作はロサンゼルスでのレコーディングとなっていますね。お気に入りの土地なのですか? 

AA:ロサンゼルスがいまいちばんいちばん好きな場所かというと、そうとは言えないな。ある意味、便利な場所ではあるけど。ロサンゼルスで生活したり制作したりするのはいい感じだよ。おもしろいことをやっていたり、刺激を受けたりする友達もいるしね。でも、僕に関して言えば、たえず動いていたいタイプなので、ほかの都市や国にも行きたいと思っているよ。

最後の曲“レフト・スピーカー・ブラウン”におけるミニマルなベース音、神妙な歌、声のサンプリング、きめ細かな電子音、ドローンのようなストリングスに早くもライアーズのネクスト・ステップを予見して、期待を引きずったままアルバムを聴き終えました。恐れることなく変化を受け入れるライアーズですが、次作のヴィジョン、もしくは今後チャレンジしたいことなどがあれば教えてください。

AA:うーん、僕が次作に関して言えるのは、「どういうものになりそうか、まだアイデアがない」と言う以外には、「ライアーズとして続けていることがベスト」っていうことかな。前進することが良いわけでも悪いわけでもないと思っているので。そうだな、個人的には太鼓(タイコ・ドラミング)だけのアルバムを作ってみたいとずっと思っているよ。もしかしたら八丈島に移住して、そこでアルバムを作っているかもしれないな(笑)。

最後に、新作『メス』を一言で表現するとすれば、ズバリ?

AA:自然。自発的。自由意志。このなかから選んでもらえればありがたいよ。「他からの介入なく自律的に動いて行くさま」を表しているんだ。

ele-king vol.13  - ele-king

〈大特集〉SIMI LAB メンバー総登場のロング・インタヴュー
〈第2特集〉ワールドカップ
〈強力連載陣〉
保坂和志×湯浅学、ブレイディみかこ、山本精一、金田淳子   他
電子書籍版へのアクセスキーがついています

clubasia 18th Anniversary - ele-king

 今年は恵比寿リキッドルームと代官山ユニットが10周年で、それに関連した面白いイベントがありそうですけど、渋谷のクラブエイジアが3月29日、夜7時から2回に渡って、18周年を記念パーティを開催します。
 夜7時からはLIVE SHOW side。Shing02 × DRY&HEAVY、GOTH-TRAD、onomono a.k.a O.N.O (THA BLUE HERB) といった低音がでかそうな硬派なメンツ。
 そして、夜11時からはclub dnace side。石野卓球 、大沢伸一、中田ヤスタカという大物が出演。
 なお、当日はBOREDOMSの EYヨ氏デザインによるTシャツとトートバックを限定発売。


clubasia 18th Anniversary side 『L』
2014/3/29 19:00 open
DOOR:2500yen
ADV:2000yen (別途500yen/1d)

LIVE:
Shing02 × DRY&HEAVY - special live set -
GOTH-TRAD

DJ:
onomono a.k.a O.N.O (THA BLUE HERB)

前売りチケット イープラス

イベントHP
https://asia.iflyer.jp/venue/flyer/176856


**************

clubasia 18th Anniversary side 『c』
2014/3/29 23:00 open
DOOR:3500yen/1d WF:500yen OFF

DJ:
石野卓球 - TAKKYU ISHINO -
大沢伸一 - SHINICHI OSAWA -
中田ヤスタカ(CAPSULE) - YASUTAKA NAKATA -

イベントHP
https://asia.iflyer.jp/venue/flyer/176857


 以前にも伝えましたが、3月22日(土)は代官山UNIT、UKから多種多様なビートに載せて、レコードとTシャツなどなど手を変え品を変え、視覚/聴覚(物欲?)に訴える謎多き男、ウィル・バンクヘッド(THE TRILOGY TAPES、通称TTT主宰)が1年振りに東京に来ます。このパーティに共振するのは、我らがSk8ightTing率いるC.E。ドリーミーなこの組合せ、C.E.のディレクターであるTOBY FELTWELLの経歴を知っていれば合点がいくかもです(詳しくは紙エレキングvol.11号の特集をチェック)。

 なお、パーティ当日には会場限定で格好いいTシャツが発売される模様です。最近のWiFiタイプな現代社会では、なおさらパーティの重要性を感じているのはあなただけでありません。なんとか、みんな、今日を楽しみながら生きています。3/22(土)はKASSEM MOSSE(ハウスのファンは無茶注目している)も来日。本日水曜日は、DOMMUNEにて21時からKASSEM MOSSEのパフォーマンスも披露されます。こちらも是非チェック頂きたいです。https://www.dommune.com/reserve/2014/0319/

INNA (LifeForce / mixer) - ele-king

今年はLife Force21周年、mixer10周年ですのでいろいろおもしろいパーティを企画しています。
3/29には初来日のLivity SoundのAsusuを迎えて、原宿のスタジオ会場、2フロア、Asadaサウンド、Mixerのインスタレーション空間でスペシャルなパーティがあります。ぜひ遊びにきてください。

3/29 Life Force "Flower War"
@Sad Cafe Studio Harajuku
DJ: Asusu(Livity Sound from Bristol),
Shhhhh, MaNA, Inna, Cossato, pAradice, Ginji
more info- https://lifeforce.jp

inna soundcloud- https://soundcloud.com/innamixer

Inna "On Repeat" Feb2014 Chart


1
Hazylujah - How Can You Hide From What Never Goes Away - Meda Fury
https://soundcloud.com/meda-fury/sets/hazylujah-how-can-you-hide

2
Charles Cohen - The Middle Distance - Morphine Records
https://soundcloud.com/experimedia/charles-cohen-the-middle

3
Archie Pelago - Lakeside Obelisk - Archie Pelago Music
https://soundcloud.com/archiepelago/ap003-archie-pelago-lakeside

4
Vtgnike - Dubna - Other People
https://soundcloud.com/experimedia/vtgnike-dubna-shop-excerpts

5
Georgia - Like Comment - Meakusma
https://meakusma.bandcamp.com/album/like-comment

6
Joakim & Bambounou - Fructose EP - Sound Pellegrino
https://soundcloud.com/soundpellegrino/sets/joakim-bambounou-fructose-ep

7
SH2000 - Untitled Works - Volking Music
https://volking.biz/

8
Co La - Soft Power Memento - Hands In The Dark
https://soundcloud.com/experimedia/co-la-soft-power-memento-album

9
Rachael / DJ Sotofett - Okada/So-Phat Riddimix Is Junglized - Hotline Recordings
https://www.youtube.com/watch?v=nC1wPnZgtUI

10
Chapelier Fou - Protest (Dimlite's re-ça va pas Remix) - Ici D’ailleurs Records
https://soundcloud.com/dimlite/protest-remix

11
Metome - Objet - Schist
https://metome.bandcamp.com/album/objet
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443