「KING」と一致するもの

Panda Bear & Sonic Boom - ele-king

 アニマル・コレクティヴのパンダ・ベアと、ソニック・ブームによるコラボレイション・アルバム『Reset』がリリースされる。両者はこれまでもパンダ・ベアの『Tomboy』以降、とくに『Panda Bear Meets The Grim Reaper』で親密な関係を築いてはいたが、連名でアルバムを発表するのは今回が初めて。デジタル版は8月12日、フィジカル盤は11月18日に発売。現在、収録曲 “Go On” のMVが公開中です。

Panda Bear & Sonic Boom

コラボレーション・アルバム『Reset』のリリースを発表!
先行シングル「Go On」がミュージックビデオと共に解禁!
8月12日にデジタル/ストリーミング配信
11月18日にはCDとLPが発売!

長年の友人であるアニマル・コレクティヴのパンダ・ベアことノア・レノックス、とソニック・ブームことピーター・ケンバーが、コラボレーション・アルバム『Reset』を〈Domino〉からリリースすることを発表した。8月12日にデジタル/ストリーミング配信でリリースされ、11月18日にCDとLPが発売される。

ソニック・ブームは高い評価を集めたパンダ・ベアのソロ・アルバム『Tomboy』(2011年)と『Panda Bear Meets the Grim Reaper』(2015年)に参加するなど、2人は互いの音楽を知らないわけではないが、『Reset』は初の共同リリース作品となる。ソニック・ブームが所有する50年代、60年代のアメリカン・ドゥーワップやロックンロールのコレクションからインスピレーションを受けたという楽曲群は、パンダ・ベアとソニック・ブームそれぞれの輝かしいキャリアを通してリリースされてきたどの曲よりもキャッチーで明るく、共同作業やコラボレーションの素晴らしさを証明するものとなっている。今回解禁された「Go On」は、ザ・トロッグスが1967年に発表した楽曲「Give It to Me」をサンプリングしており、ミュージックビデオと共に解禁された。

Panda Bear & Sonic Boom - Go On (Official Video)
https://youtu.be/_9_zoL7Jkr4

今から6年前、ソニック・ブームは故郷のイギリスを離れ、パンダ・ベアが住むポルトガルに移住している。パンダ・ベアがソロ作品『Person Pitch』のライナーノーツでソニック・ブームの元バンド、スペースメン3に対して感謝の言葉を述べたことをきっかけに、ソニック・ブームからも感謝の気持ちを込めて彼にメッセージを送るようになった。2011年の『Tomboy』以来、パンダ・ベアのリリース作品のミキシングと共同プロデュースを担当し、特に2015年の『Panda Bear Meets the Grim Reaper』ではより密な共同作業を行うなど、2人は継続的なパートナーシップを築いている。

『Reset』を制作する上で描いたソニック・ブームのヴィジョンはシンプルだった。ポルトガルまでレコードを運んだ後、新鮮な空間でターンテーブルにレコードを乗せ、何年も聴いていなかった古い名曲の魅力を再確認した。例えば、偉大なロックンローラー、エディ・コクランや、アメリカの素晴らしいハーモニーを奏でるエヴァリー・ブラザーズ。また他の発見もあったという。それらのスタンダード曲のイントロそのものが、それに続く楽曲のメインパートとはまた別のものとして、まるで舞台のステージカーテンのように魅力的だということに気づいた。ソニック・ブームはそれらをループさせ、金属を捻じ曲げるように変形させて楽曲のベースを作っていった。パンダ・ベアはその上で何を演奏し、何を歌うかを即座に理解し、それを完成した楽曲に仕上げた。

国際的なロックダウンが始まって間もなく『Reset』の核が形作られてきた。だから、これらの曲で一緒に仕事をする機会そのものが、ある種のメディケーションでもあり、憂鬱な現実を生き抜き、そこから未来へと向かう出発点となった。『Reset』は、暗い時代の中で、蛍光灯のような光を放つ40分の作品である。決して少なくない現実の苦難を見つめ直し、その反対側への道を提示すること。パンダ・ベアとソニック・ブームにとって『Reset』を作ることが一時的な薬になったとすれば、それを聴くリスナーにとっては永久的な存在になるだろう。友人と一緒に古いお気に入りの曲を演奏し歌うだけで、世界が少しだけ明るくなることをこの作品は教えてくれる。

label: Domino
artist: Panda Bear & Sonic Boom
title: Reset
release: 2022.11.18 FRI ON SALE

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12912

TRACKLISTING
01. Gettin’ to the Point
02. Go On
03. Everyday
04. Edge of the Edge
05. In My Body
06. Whirlpool
07. Danger
08. Livin’ in the After
09. Everything’s Been Leading To This


CD


通常盤LP(ブラック)


限定盤LP(イエロー)

Horace Andy - ele-king

 この春〈On-U〉よりリリースされた新作『Midnight Rocker』が高い評価を獲得しているホレス・アンディ。たとえば英『ガーディアン』のレヴューでは五つ星を獲得、同紙が選ぶ2022年の上半期ベストにも選出され、いちばん最初に掲げられている。
 そして朗報だ。同作の続編にあたる新作『Midnight Scorchers』が9月16日に発売されることになった。『Midnight Rocker』のオリジナル・セッションをエイドリアン・シャーウッドの「サウンドシステム」が引き継いだもので、近年の例でいえば2019年のリー・ペリー『Rainford』にたいする『Heavy Rain』のような立ち位置の作品である。現在、収録曲 “Feverish” のMVが公開中。オビつきLPやTシャツつきセットも販売されるとのことなので、早めに予約しておこう。

Horace Andy

新たなるホレス・アンディの名盤、『Midnight Rocker』の続編として、“サウンドシステム” 版となる『Midnight Scorchers』が9/16リリース!

収録曲 “Feverish” をMVと共に先行解禁!
数量限定で日本語帯付きLPやTシャツ・セットも発売!

音楽というのは素晴らしいものだ、なぜなら人に刺激を与えられるからだ。薄っぺらい音楽ではそうはいかない。心血を注ぎ、全精力を込めてこそ、スピーカーから襲い掛かってくるようなものができるんだ。そして、その時に爽快感を覚えたなら、何かが達成できたっていうことだ ──Adrian Sherwood

70年代、80年代に〈Studio One〉や〈Wackies〉などのレーベルで制作した「Skylarking」、「Money Money」他、数々の名作によって、世界中のレゲエファンから愛される存在となった伝説的シンガー、ホレス・アンディ。90年代以降はマッシヴ・アタックの作品に参加したことでレゲエ以外のシーンに衝撃を与え、彼らの全てのスタジオ・アルバムに参加、更に常に彼らのツアーを支える主要メンバーとして活躍しており、より幅広い音楽ファンを虜にし続けている。そんな彼が、エイドリアン・シャーウッドをプロデューサーにむかえて〈On-U Sound〉よりリリースした『Midnight Rocker』は新たなるホレス・アンディの名盤としてメディア、ファンから受け入れられたが、この度その「サウンドシステム」版となる『Midnight Scorchers』が9月16日にリリースされることが明らかとなった。現在、収録曲 “Feverish” がMVと共に先行解禁されている。

Horace Andy - Feverish (Official Video)
https://youtu.be/JxtGxugS4-8

ホレス・アンディは50年を越える音楽キャリアを通じて、みなに愛され続けてきた存在だが、プロデューサーのエイドリアン・シャーウッドとホレスが数年をかけて丹念に組み上げたアルバム『Midnight Rocker』は、2022年初めにリリースされ、この偉大なシンガーを現役アーティストとして第一線のど真ん中へと復帰させた。リリース以来、各方面から絶賛されてきたこの作品を、ガーディアン紙は現時点における年間アルバムのトップに挙げており、「円熟期の傑作」と激賞している。

アルバム『Midnight Scorchers』はダブ・プレート・スタイルのリラブ(ローン・レンジャーとダディー・フレディーもヴォーカルとして参加)で物語をさらにその先へと推し進めたものだ。『Rockers』のシークエンスではしっくりこなかったけれどもこの新たなセットにおいて輝くチャンスを与えられた曲、そして鮮烈なアレンジメントをリズミカルな空の旅へと離陸させてくれるフレッシュなミックスなどが含まれている。楽曲が再構築されたのと同様に、アートワークも受賞歴のあるアニメーター、ラフマーシー(ゴリラズ、アール・スウェットシャツ、トム・ヨーク)を起用し、ストリートスタイル・グラフィティ風に再構築された。ファースト・シングルの「Feverish」では、彼のサイケでカラフルな画が際立っており、ホレス・アンディの〈Studio One〉時代の名曲が鮮烈に刷新されている。

ハードコアなレゲエ・ファンは無論のこと、全音楽愛好家必聴の作品『Midnight Scorchers』は9月16日にCD、数量限定のCD/LP+Tシャツセット、LP、デジタルでリリース! 国内盤CDには解説が封入され、ボーナストラックが収録される。LPは日本語帯付き仕様の限定盤(クリア・オレンジ)に加え、通常盤(ブラック・ヴァイナル)でのリリースが予定されている。また、長らく在庫切れとなっていた『Midnight Rocker』の新カラーとしてゴールド・ヴァイナルも9月16日に発売されることが発表されている。

label: On-U Sound
artist: Horace Andy
title: Midnight Scorchers
release: 2022.09.16
BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12905

tracklist:
01. Come After Midnight
02. Midnight Scorcher
03. Away With The Gun And Knife
04. Dirty Money Business
05. Sleepy’s Night Cap
06. Feverish
07. Ain’t No Love In The Heart Of The City
08. Dub Guidance
09. More Bassy
10. Hell And Back
11. Carefully (Bonus Track)


CD


ブラック・ヴァイナル


クリア・オレンジ


CD+Tシャツ


LP+Tシャツ


label: On-U Sound
artist: Horace Andy
title: Midnight Rocker (Gold Vinyl)
release: 2022.09.16
BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12906

tracklist
A1. This Must Be Hell
A2. Easy Money
A3. Safe From Harm
A4. Watch Over Them
A5. Materialist
B1. Today Is Right Here
B2. Try Love
B3. Rock To Sleep
B4. Careful
B5. Mr Bassie

METAFIVE - ele-king

 METAFIVE──すなわち高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井からなるスーパー・グループのセカンドにしてラストとなるアルバム『METAATEM(メタアーテム)』が9月14日にリリースされることになった。
 当初は昨年の8月に発売される予定だったものだが、ようやく一般にもお披露目されることになったのは喜ばしい。今回ボーナス・ディスクとして『「WINTER LIVE 2016」@Zepp DiverCity公演』も付属するとのこと。現在、収録曲 “Wife” のMVが公開中だ。

METAFIVE
ラストアルバム「METAATEM」を9月14日(水)に発売決定
BONUS DISCには「WINTER LIVE 2016」@Zepp DiverCity公演を収録

METAFIVE(高橋幸宏×小山田圭吾×砂原良徳×TOWA TEI×ゴンドウトモヒコ×LEO今井)が、バンドとして最後のスタジオレコーディング作品となる2nd ALBUM「METAATEM」を9月14日に発売することが決定した。

この作品は昨年末に行われた配信ライブ「METALIVE 2021」の鑑賞チケットに付属という形で一部のファンに届けられていたが、今回は更に2016年12月3日に開催された「WINTER LIVE 2016」のZepp DiverCity TOKYO公演を収録したBlu-rayを加えた2枚組作品「METAATEM (Deluxe Edition)」という形で遂に一般発売される。

そして同時にアナログ盤は昨年末発売時と変わらぬ収録内容で一般発売。CDのみの形態もMETAFIVE OFFICIAL SHOPにて発売となる。

なお、「METAATEM」の収録曲「Wife (Short Edit)」のミュージック・ビデオが本日公開された。

このMVは田島一成による作品で、ストロボを使って撮影した写真が徐々に変形していくモーフィング・エフェクトとそのデジタル・バグを利用して編集。楽曲の世界観とともにお楽しみいただきたい。

「Wife (Short Edit)」 MUSIC VIDEO
https://youtu.be/vHTvitTM76c
Creative director+Photography / Tajima Kazunali (mild inc.)
Director / Kanagawa Shinichiro (WHITE Co.)

「The Paramedics」 MUSIC VIDEO
https://youtu.be/TRQMwFS0ZU0
Directed by METAFIVE
Edited by Terutada Murao
This music video is made up of excerpts from the films of Takashi Ito.

「METAATEM」予約購入URL
https://metafive.lnk.to/metaatem

METAFIVE ラストアルバム「METAATEM (Deluxe Edition)」
タイトル:METAATEM(読み:メタアーテム)
発売日:2022年9月14日

DISC1 (CD) 収録曲
01. Full Metallisch
02. The Paramedics
03. By The End Of The World
04. Ain’t No Fun
05. 環境と心理
06. May Day
07. Wife
08. The Haunted
09. In Sorrow
10. Snappy
11. Communicator
12. See You Again

DISC2 (Blu-ray) 収録内容
「WINTER LIVE 2016」@Zepp DiverCity Tokyo公演

CD品番・価格:WPZL-31992・¥4,950(税込)
VINYL (2LP) 品番・価格:WPJL-10136/7・¥4,950(税込)
予約購入URL:https://metafive.lnk.to/metaatem

[先着購入特典決定]
以下の対象CDショップで「METAATEM (Deluxe Edition)」・「METAATEM」(VINYL)をお買い上げの方に先着で、特典をプレゼントいたします。在庫がなくなり次第終了となりますので、お早めにご予約・ご購入ください!

■amazon:メガジャケ(24㎝×24㎝のジャケット)
■セブンネット:モバイルスタンドキーホルダー

[METAFIVE OFFICIAL SHOP]
https://store.wmg.jp/collections/metafive

[METAFIVE OFFICIAL SNS]
Twitter:https://twitter.com/metafive_news
Instagram:https://www.instagram.com/metafive_news/
Facebook: https://www.facebook.com/METAFIVE/

Kazufumi Kodama & Undefined - ele-king

 こだま和文と、気鋭のダブ・ユニット Undefined による初のフルレングスが9月21日にリリースされる。
 両者は以前も共作10インチ「New Culture Days」(2018)を送り出しているが、Undefined は人気レーベル〈ZamZam Sounds〉などからリリースを重ねる、近年の日本のダブ・シーンにおける重要アーティストのひと組だ。メンバーは元 HEAVYMANNERS のサハラと SOUL DIMENSION のオオクマ。つい最近、ファースト・アルバムを発表したばかり。
 今回の共作は、Undefined によるリディムにこだま和文のトランペットをフィーチャーした『2 Years』と、そのアンビエント版『2 Years in Silence』から構成されている。「2年」と言われて思い浮かぶのはやはりパンデミックだろう。はたしてどんな想いがこめられているのか……強力なタッグが響かせるダブ+アンビエントに注目したい。

Kazufumi Kodama & Undefined
2 Years / 2 Years in Silence

こだま和文とダブ・ユニットUndefinedのフル・アルバム、遂に完成!! オリジナル+アンビエントで構成されたジャパニーズ・ダブが生んだ最高の一枚

『2 Years / 2 Years in Silence』の音源を受け取ったとき、オリジナルとアンビエントの対比の中から現れてきたものは、僕にとってはレゲエでも、ダブでも、ミニマル・ダブでもないものだった。いや、その全てが確かに染み込んではいるのだけれど、この音楽は少しだけ違う場所にも連れていってくれるように感じたからだ。それはとてもパーソナルな空間と、濃密なセッション空間の間で揺れ動いているようだった。つまり、この上なく魅力的な音楽だったのだ。(原 雅明)

2018年に10インチでリリースされた『New Culture Days』がワールドワイドな反響を呼んだ、こだま和文とダブ・ユニットUndefinedのフル・アルバム『2 Years / 2 Years in Silence』が遂にリリースとなる。

パンデミックの中断を挟んで、2021年末に完成した音源は、当初オリジナルとダブを交互で収録するショーケース・スタイルでのリリースが予定されていた。しかし、ダブの代わりにアンビエントの方向性が浮かび上がり、オリジナルの『2 Years』とアンビエントの『2 Years in Silence』の2作品が仕上がった。

オリジナル・サイドは、Undefinedが作り込んだリディム(トラック)にこだま和文のトランペットが加わるシンプルで研ぎ澄まされた構成で、10インチの世界観をさらにスケールアップした。アンビエント・サイドは、こだま和文とUndefinedがアンビエントの方向性/コンセプトを見つける作業から始まり、二組の音楽性をより深く、静かに伝える作品となった。そして、美しいバランスの取れた作品が完成した。レコードも今冬リリース予定。

Artist : Kazufumi Kodama & Undefined
Title : 2 Years / 2 Years in Silence
Release : 2022/09/21

価格 : 2,600円+税​
レーベル : rings
品番:RINC93
​フォーマット : CD​
解説:河村 祐介 / 原 雅明

Tracklist :

1. New Culture Days
2. Pale Purple Flower
3. Puddle
4. 2 Years

5. New Silent Days
6. Flowers
7. A Puddle
8. 2 Years in Silence

Track 1-4 : 2 Years (produced by Undefined)
composed & arranged by Kazufumi Kodama & Undefined

Track 5-8 : 2 Years in Silence (produced & arranged by Kazufumi Kodama & Sahara)
composed by Kazufumi Kodama & Undefined

recorded by Taichi at Andy's Studio mixed and mastered by E-Mura at Murasta

https://bit.ly/3AZjOwq

ダブ・パトロール - ele-king

 昨年末の紙のele-kingの年間ベストにおける「ダブ」の続きという感じであります。うだるような夏にぴったりのヌケ成分多めの2022年上半期にリリースされたダブ系のリリースから10枚お送りいたしましょう(1枚昨年リリースでした)。なんだか振り返ってみると国産ダブものが異常に豊作だったイメージで、国産レーベルはもちろん、海外からのリリース(〈ZamZam〉傘下からUndefined)さらには海外勢とのコラボにはダッピー・ガンとエレメント、ちょいと別項で紹介する予定のミスティカ・トライブとまさかのダッチ・エレクトロのベテラン、レゴヴェルトとのコラボ=Noda & Wolfersなんてのも出ておりますがそちらは別途単体のレヴューにて近日。


Om Unit - Acid Dub Versions Self-released

 まずはベース・ミュージック方面から、ブリストルのドラムンベース~ダブステップのベテランのリミックス・シングル。サウンドそのままな身も蓋もないタイトルで、ザ最高な2021年のアルバム『Acid Dub Studies』を素材としてリミックス・シングル。本作との間に共作シングル「Root, Stalk, Leaf and Bloom」(こちらも最高です)をリリースしているデッドビート、ブリストルのニュールーツ・ユニット、ダブカズム、〈ボケ・ヴァージョンズ〉などからのリリースで知られる、シーカース・インターナショナル、そしてミニマル・ダブのベテラン、エコースケープの片割れ、ステファン・ヒッチェルがCV313とヴァリアント名義で解体。ローファイ・ダブなシーカース・インターナショナル、ステッパーなダブカズム、アップデートされたミニマル・ダブ~ダブ・アンビエントのデッドビートとエコスケープ方面と、ある意味でさまざまな方向に拡散している、現在のエレクトロニック・ミュージックのダブの解釈が楽しめる1枚。


Undefined - Defined Riddim Khaliphonic


ZamZam Sounds · UNDEFINED "Defined Riddim" LP + 7" Khaliphonic 15 vinyl blend

 こだま和文との10インチに度肝を抜かれた国内のダブ・デュオが、かねてからアナウンスされていた〈ZamZam〉系列の〈Khaliphonic〉(前者7インチ専科、こちらは10インチやLPなどそれ以外)からLPがリリース。ポール・セント・ヒラーレ、ヤング・エコーライダー・シャフィーク(参加楽曲は〈ZamZam〉から先行7インチでリリース)、さらにLPに付属するボーナス7インチには、日本人ルーツ・レゲエ・シンガー、故ラス・ダッシャーが参加。エレトロニックと生ドラムの編成で、ミニマル・ダブやアンビエントなどの手法を取り入れつつも、やはりルーツ・ダブのうまみを極限の引き算でむき出しにするソリッドなダブ・アルバム。彼らのなかでもオーセンティックなサウンドのボーナス7インチも、アルバムとの対比でおもしろい。


Duppy Gun × Element - Andromeda EP Bokeh Versions / Riddim Chango

 UK〈ボケ・ヴァージョンズ〉と日本の〈リディム・チャンゴ〉による共同リリース。〈リディム・チャンゴ〉を1TA(Bim One Prduction)と運営するタカクラヒロシことエレメントのプロダクションによる3リディムとダッピー・ガンのMC陣。タカクラが件のレーベルからリリースした「Freedom EP」(フィーチャリングされていたダブ・ポエッター、Nazambaは先日残念なことに急逝)は、ニュールーツ色強めでしたが、こちらはダンスホール方面というかダビーなグライムというか。最近「その手の音」といった感じで定式化してしまった感のあるテクノ方面などのダンスホールですが、こちらはそのグライム感の強さなど、くっきりとオリジナル。リディム解釈の角度の違いを聴かせている。


KEN KEN, ICHIHASHI DUBWISE, asuka ando - AMAI HIT KOUCHIE E.P. ARRROUND Wicked Sound Maker

https://arrround.thebase.in/items/55899471

 最近新たな勢いを見せている国内のラヴァーズ・ロック・レゲエ。ある意味で2010年代後半でその動きの突端を作ったとも言えるaska ando。彼女の『あまいひとくち』より、表題曲のニュー・ヴァージョニングでリカットとなる10インチがNoolio主宰の〈ARRROUND WICKED SOUND MAKER〉より。ヴィン・ゴーデン+リー・ペリーのトロンボーン・ダブ “5 Cardiff Crescent”(『Musical Bones』)を下地にした楽曲だったんですが、さらに先日坂本慎太郎物語のように』にも参加のトロンボニスト、KEN KEN(KEN2D SPECIAL / URBAN VOLCANO SOUNDS)がほっこりホーン・カヴァー、またKEN2D SPECIALのICHIHASHI DUBWISEがズブズブにダブワイズ、幾重にも重なるレゲエ・ヴァージョニングの妙味が味わえる1枚。スピーカーからは温泉気分の熱風が。そしてオマケのミックスCDがまた……ツッテッツテッテ。


Chakra & Ichiro feat. Tamaking Kozy / Chakra & Ichiro Dub Mix Hav - Rasta Woman / Rasta Woman (Chakura Dub) SF Recordings

https://drumandbass-rec.com/products/226434chakra-and-ichiro-feat-tamaking-kozy-ch

日本のダブということでいえばコチラは事件。2000年代の大阪ダブ・シーンを象徴するソウル・ファイヤーの〈SF Recordings〉がおそらく15年ぶりぐらいに突如シングルをドロップ。目を疑いました。詳細は不明ながらダブ・ミックスに〈SF〉のドン、HAVを迎えた体制のキラー・ルーツ。色っぽいダブル・ミーニングで、ある意味でスラックネスな歌詞ですがキラーなサウンドはレーベルの往年と変わらず。そしてB面は同オケにて、まさかのヴォーカロイド、初音ミクの音声をフィーチャーしたこれまたキラーなダブ。


MaL - Primal Dub HOODISH

 冷房効果もありそうなチルアウトなダブを。PART2STYLEとして欧州のベース・ミュージック・シーンにも食い込み、そして最近ではMACKA-CHIN、J.A.K.A.M.(JUZU a.k.a. MOOCHY)とのZEN RYDAZとしてのリリースも活発なMalのソロ。2021年に全治9か月の足の大怪我で、2か月半もの間、入院。そんな入院のさなかにラップトップで制作が進められたというアルバム。これが生活に溶け込むような滑らかにチルアウトなエレクトロニック・ダブ・サウンド。レーベルは彼が拠点にしている高田場馬にある九州料理店「九州珠(KUSUDAMA)」のレーベル〈HOODISH〉より。「Night on the Sidewalk」あたりは、なんというか高田場馬からDJパイソンへの回答というか。詳しくは大石始氏のnoteにて(https://note.com/oishihajime/n/n93d6ab00e9f2)。


Tapes meets Nikolaienko - Sunda School II Porridge Bullet

 エストニアのレーベルより、ここ数年のローファイなエレクトロニック・ダブの旗手とも言えるテープス、そしてヤン・イェリネックのレーベル〈Faitiche〉などからのリリースで知られるウクライナのドミトリー・ニコライエンコのコラボ・シングル。モコモコしたループ・サウンドがまどろみながらエコーに消えていく、チャーミングでローファイなダブ・アンビエント。どこかザ・ケアテイカー的なノスタルジーも。


Nocturnal Emissions - In Dub Holuzam

 インダストリアルのベテランがダブ・アルバムをリリースというか、2010年代よりスタートしていたというダブ・シリーズCDRをコンパイルしたもののよう(オリジナルは自身のBandcampで入手可能)。リリースはリスボンのレコードショップ〈Flur〉のスタッフ、マーシオ・マトスが運営する〈Holuzam〉(姉妹レーベルにDJニガ・フォックスなどをリリースする〈Príncipe〉がある)。初期ダンスホールをスローダウンしたというか、どこかメビウス&プランクの『Rastakraut Pasta』を電化ダブ化したような、決してグルーヴィーとは言えないチャカポコとしたドラムマシンのチープな響き、そしてカットアップされる電子音やらノイズやらギターやらが飛び交うサイケデリックなダブ・アルバム。マスタリングはニュールーツのマスター・エンジニア、〈コンシャス・サウンド〉のダギーが担当とのこと。


FROID DUB An iceberg crusing the Jamaican coastline DELODIO

 オブスキュアなエレクトロやインダストリアルをリリースしているフランスはパリのレーベルより、主宰ふたりによるロックダウン下に作られたダブ・アルバム。大阪は〈naminohana records〉のウェブショップで知り速攻で購入。実は2021年の作品ですがLPがやっと再発されたようです(A4インフォ・シートっぽい+レコード盤面風の印刷のジャケットが最高ですね)。内容は、これまた上記で紹介したノクターナル・エミッションズの作品にも通じるチープな脱力系エレクトロニック・ダブ・サウンドということでチャカポコとしたドラムの上を、電子音やらスクリューなヴォーカルやらがエコーでいったりきたり、DAF『Allest Ist Gut』をあたりを適当かつ無理矢理レゲエ・カヴァーしたらこんな音になるのではないでしょうか、とかいろいろ妄想が広がります。さらにダブ色を強めた『DUBS & BEATS FROM 'AN ICEBERG CRUISING THE JAMAICAN COASTLINE'』もあり。リー・ペリー “Dub Revolution” (アルバムではなく楽曲の方)を始祖としそうな、オールドスクールなドラムマシンっぽいサウンドのローファイなエレクトロ・ダブを、最近勝手にドンカマ・ダブと呼んでいるんですが、まさにそっち系の音。最近流行っているような気がするんですよね。冒頭で書いたNoda & Wolfersもまさにという音で。


Best Available Technology - Fixing Until Broke Accidental Meetings

 イギリス・ブライトンのレーベル〈Accidental Meetings〉より、テープでリリースされたオレゴンのアーティストのダブ・ダウンテンポ。これまたローファイ系なダウンテンポですが、本当に1人の怠惰な時間のために脳を揺らす音楽というか、ニューエイジだとリラックスできない自分としては、トリップホップ時代のフィーリングありなブレイクビーツとかもあったりで、これは世代的には抗えないんですよね。

DMBQ - ele-king

 2020年のパンデミックにより一時ライヴを休止していたDMBQは2021年、ライヴ再開にあたり新企画「DMBQと○○」を始動。DMBQと他のバンドによる対バンのシリーズなのだけれど、今年もめでたく開催される運びとなった。9月19日から10月3日にかけ広島・名古屋・梅田・渋谷を巡回、それぞれEASTERN YOUTH、羊文学、ZAZEN BOYS、+後日発表の1組を加えた計4組が出演する。じつに強力なラインナップだ。さらに、このツアーの直前には札幌と岡山で単独公演も開催。これは楽しみだ。

DMBQ 渋・梅・名・広・クアトロ4箇所でシリーズライブ「DMBQと~」を今年も開催。
札幌、岡山でのライブも

昨年国内クアトロ全4箇所で開催されたDMBQ主催のシリーズライブ「DMBQと~」が、今年も豪華な対バンを迎えて開催される。

今回のラインナップは以下の通り:
広島クアトロ 9月19日(月祝) DMBQとEASTERN YOUTH
名古屋クアトロ 9月28日(水) DMBQと羊文学
梅田クアトロ 9月29日(木) DMBQとZAZEN BOYS
渋谷クアトロ 10月3日(月) DMBQとTBA(後日発表) 

また、9月2日(金)には札幌BESSIE HALL、9月18日(日)には岡山PEPPER LANDでもDMBQ単独公演を開催。
このツアーの後の10月半ばからは、DMBQでのイギリスのフェス&英国ツアーを予定している。

問い合わせは各会場まで。

interview with Superorganism - ele-king

 パンデミックの影響もあってか昨今はひとつの街に属さず離れて暮らすバンドも増えてきた。だがスーパーオーガニズムのように国境をも超えているバンドは多くはない。そもそもスーパーオーガニズムはそれ以前の世界から、それ以後の世界で当たり前になったような感覚を持って活動していたのだ。ロンドンに暮らすイギリス人のハリー、ニュージーランド出身のトゥーカン、ビー、オーストラリアに住む韓国人ソウル、日本人のオロノ、多国籍なスーパーオーガニズムにどこの国、あるいはどこの街のバンドなのかと尋ねたら果たしてどんな答えが返ってきたのだろう? 答えなんてなくとももうこの状態が物語っている。スーパーオーガニズムはどこからでもアクセス可能な世界の中に存在していて、その場所は手紙を送ろうなんて考えが浮かばないくらいに近くにある。そんな古くてありふれたインターネットの幻想がもう当たり前のものとしてここに存在している。2017年に “Something For Your M.I.N.D.” をひっさげて登場しインターネットの寵児として受け入れられた 1st アルバムからさらに進んでスーパーオーガニズムは気負うことなく拡張したその世界を見せつける。

 『World Wide Pop』と名付けられた 2nd アルバムは日本の星野源、CHAI、フランスのSSW ピ・ジャ・マ、イングランド・レッドカー出身のラッパー、ディラン・カートリッジ、アメリカ・ポートランドに暮らすペイヴメントスティーヴン・マルクマス、世界各国数多くのコラボレーターが参加しながらもそこに強い光が当たるようなことはなく、まるで皆がその場所にいるのが当たり前だというように溶け込んでいてなめらかだ。前作の延長線上にあるような “It’s Raining feat. Stephen Malkmus & Dylan Cartlidge” の憂いを帯びたカラフルなサウンドの上でラップするディラン・カートリッジ、スティーヴン・マルクマスはいつもと少し違った表情を見せて、その間にいるオロノは自然と世界を繋ぎ合わせる。何かの映画に使われるはずだったという “Flying” は遊び心と少しのいら立ちを併せ持った最高のインディ・ポップで(途中でニュー・オーダーの影さえ見える)アコースティック・ギターの音が鳴り響く “crushed.zip” はSSWが作った孤独な原曲を切り裂いてリミックスしたかのような不思議な感触でそれでいてこのアルバムの世界に見事に馴染んでいる。スーパーオーガニズムの持つこの感覚はベッドルームの扉を開けてそのまま世界を拡大したかのようで(それは音楽以外のものに対してもそうなのだろう。“Teenager” のビデオを思い浮かべて欲しい。上下左右、二次元方向にも三次元方向にも、興味は広がり拡大していく)、境界線が消えたみたいに薄くなりジャンルの枠はぼやけ、ついにはメインストリームとアンダーグラウンドの境目さえも見えなくなる。自由で複雑で繁雑、そんな状態になっているのがいまのスーパーオーガニズムの魅力だろう。世界はひとつだけで完結したりはしない、意識することのない当たり前の『World Wide Pop』がそこにあるのだ。
 複数の世界が繋がって世界が作られ拡張していく、スーパーオーガニズムのオロノとハリー、ふたりの話を聞いて頭に浮かんだのはそんな言葉だ。実際に触れあえるようなオンラインと仮想世界を通過したような現実、ひょっとしたら次の世界とはいつの間にかそこに存在しているものなのかもしれない。


Teenager

僕たちはふたりとも複合的な分野のアーティストだってところが似ていると思うんだ。音楽はコアとしてあるけど、オロノはアルバムのアートワークを手がけたりもするわけだし、ビデオをみんなで一緒に作ったりもする。(ハリー)

スーパーオーガニズムとして日本に来るのはどれくらいぶりになりますか?

ハリー:2019年の1月以来かな? たぶん、それくらいぶりだと思う。

フジロックの後にあった来日公演ぶりですか?

オロノ:そうですね。来日公演ぶりだから2019年以来です。

じゃあ3年ぶりくらいなんですね。いまはひとつの国じゃなくてメンバーがそれぞれバラバラに住んでいる感じなんですか?

ハリー:前はみんなで同じ場所に住んでいたときもあったんだけど……、1st アルバムを作り終わったくらいの時期にみんなで同じ家に引っ越して。でもなんていうか「トゥーマッチ」だったんだよね。だから4年くらい前かな? それでみんなバラバラに住むようになって。いまはソウルはオーストラリア、オロノは日本、残りのメンバーはロンドンに住んでる感じかな。

そうなんですね。でもそれだとメンバー同士でいまどんなモードになっているとかどんなものに興味を持っているとか把握しにくかったりしませんか?

ハリー:そうだね。そういうある種の難しさはあるよ。

オロノ:でももうその段階は通り過ぎたって感じする。

ハリー:そうだね、うん。僕らはもうお互いのことはだいたいわかっているから「いまのモード」はどんななのかっていうのは把握しやすいのかもね。ズームとかでも「いま何に興味を持ってる?」とかよく話すし。もちろん同じ家に住んでたときほどではないんだけど。でもだいたいのことはわかるよ。何かやるときにコンセプトとか素材とかそういうのを話すんだけど、その過程でもみんなが何に興味を持っているのかわかるから。

そんな感じなんですね。

ハリー:うん。たとえば、ミュージック・ビデオを作るときなんかがそうなんだけど。いまたくさんビデオを作っててさ、二週間くらい前にも新しいビデオに取り掛かったところで、電話で何に影響を受けただとかどう思ったとかたくさん話して。オロノが影響を受けた本の一節から組み立てたりもして。だから、僕たちはいろんなことを共有してアイデアや影響についてお互いに理解できるまでトコトン話すって感じなんだ。

今回取材に応じてくれたハリー(左)とオロノ(右)

ミュージック・ビデオの話が出たのでここでビデオの話を聞かせていただきたいです。今回は全てのビデオを同じ人が監督しているせいか一貫した雰囲気を感じて、ひょっとしたらアルバムの一部として制作したのかなとも思ったのですが、今回のビデオはどんな風に作られたのですか?

オロノ:そんな風に感じるのはそれが最初に出てきたコア・アイデアだったからかもしれないですね。言ってくれたみたいにビデオをアルバムの一部として作ったってのもあるし。あとはもちろんビデオとしても美しくなるようにって感じに。ダンは私たちのヴァイヴをよくわかってるし、凄くいい感じにリメッシュしてくれて。たぶんあの人こっちの望んでるもの完全にわかってんじゃないかな。私たちにはアイデアはあってもビデオを作る技術はないから。

ハリー:まぁだよね(笑)。

オロノ:うん。だから彼はプロセスの中で重要な役目を担っている。にしてもヴァイヴを理解してくれて細かいディテールを説明しなくていい人を見つけられたっていうのは超良かった。

ハリー:めっちゃ直感的だったよね。なんていうかな、普段は僕たちふたりでアイデア出し合ってときどき他のバンド・メンバーもって感じなんだけど、ビデオの全体のストーリーを描いて、参考になるいろんな写真を組み合わせたりして、ちょっとしたトリートメント・ドキュメントを作るんだ。で、それを今回彼がまとめあげてくれたっていう。だからそれで連続性とか近似性を持ったんじゃないかな。僕たちから生まれた最初のアイデアから全部ドライヴしていって、それを彼が上手く解釈というか翻訳するみたいな形で具現化してくれたわけだから。

今回はアニメーションが効果的に使われていたと思うんですけど、アニメに関してはどうですか?

ハリー:もちろんアニメは大好きなんだけど、現実的な問題として僕たちはいま同じ場所に住んでいなくて、どこかひとつの場所に集まってビデオを撮影するってことができないっていうのもあったかな。アニメだとみんな一緒にスタジオにいる必要もないし、僕たちが持ってたアイデアも実現しやすかったっていうのがまずあって。で、もうひとつの理由として、伝えたいストーリーをスタジオ撮影の限定的なショットだけで表現したくなかったっていうのもあった。だから自然とアニメを中心に作ろうって方に傾いていったんだ。たとえば “crushed.zip” のビデオは単細胞のアメーバが恋に落ちるってストーリーなんだけど、単なるミュージック・ビデオじゃなくて、ショート・フィルムみたいな感じにしてこの小さなストーリーを伝えたいってアイデアで……。なんていうかさピクサーの映画の前にはいつも短いアニメがあるよね、あれってある種の良さがあって心に残るから、そういう感じにできないかなって考えたんだ。


crushed.zip

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photo: Jack Bridgland

友だちに声をかけて「うん、出たい!」ってなって実際に出てもらったみたいな感じなんで。だからメジャーのアーティストの後にインディの曲がかかるみたいっていうのは特に意識してなかったですね。(オロノ)

それで思ったのですが、将来的にもうちょっと長めの20分くらいの、音楽と映像を組み合わせた映像作品を作ってみようみたいなアイデアはあったりしませんか?

オロノ:それはマジでいいかも。

ハリー:それアリだね。うん、興味ある。

オロノ:どこかのタイミングでアニメと音楽を組み合わせられたら最高だなって思うんですけど、でもいますぐできるっていうのはなんだろ? ツアー・ドキュメンタリーとかかな。今年の後半にツアーあるし、そっちの方をいまはやりたいかも。

ハリー:僕はそうだな、長いのを作るとなると……僕はSF好きなんだけど、読むのもそうだしSF的なやつを考えるのも好きって感じで。で、そうだな将来的にやるっていうんならそういうSFっぽいやつに関わりたい。ショート・フィルムを作るのもそうだし設定を考えたりするのも凄くやってみたい。実際に “On and On” のビデオのアイデアはSF的なものに触発されて出てきたものなんだけど、予算があればまたそういうビデオが作れるし、そういうのを突き詰めていくのは楽しいって思うんだ。映画を作るだけの予算はないけど、クールなコンセプトとかクールなストーリーを追求していくことはできるから。僕たちはそういうタイプだしさ。うん、だからマジでそうだな。いろんなメディアの可能性はほんと追求していきたい。

オロノ:ビヨンセみたいな感じで映画をプロデュースしたりもしたい。

ハリー:うん。いいね。僕たち(オロノとハリー)はふたりとも複合的な分野のアーティストだってところが似ていると思うんだ。いま言ったみたいな感じのいろんなものに興味がある。音楽は僕たちのコアとしてあるけど、オロノはアルバムのアートワークを手がけたりもするわけだし、ビデオをみんなで一緒に作ったりもする。音楽を作ることはずっとやっていくけど他のことにも同じくらい興味があって、その探究はずっと続けていきたいな。


On & On

(ペイヴメントの曲を)聞いたスティーヴン・マルクマスはそれを最初ローリング・ストーンズの曲だと思ったとかそんな話で。アルゴリズムがその音をクラシック・ロックのサウンドだって認識して~みたいな感じのやつ。〔……〕それって僕たちみたいなバンドにとってちょっと面白いなって。(ハリー)

音楽がコアとしてあってってそのイメージ凄くわかります。スーパーオーガニズムはベースがあってそこに興味がくっついてどんどん広がっていくみたいなそんなイメージがあったんですけどまさにでした。それは今回のコラボレーターの名前を見てもそうで。国もジャンルもバラバラで垣根がなくて、フラットに好きだという気持ちでみんな繋がっているみたいな。インターネット時代的というか、インディもメインストリームの音楽も次に再生される曲として同じ様に並んでいる曲でしかないというサブスク時代的な感覚というか。スーパーオーガニズムのそういう部分に自由さを感じていて。その辺りの話をもう少し詳しく聞いてみたいです。

オロノ:言ってくれた通りにめちゃくちゃフリーフォームですね。友だちに声をかけて「うん、出たい!」ってなって実際に出てもらったみたいな感じなんで。だからメジャーのアーティストの後にインディの曲がかかるみたいっていうのは特に意識してなかったですね。それはでも、私たちがその両方の音楽が好きで、どっちにも友だちがいてっていうのを表しているんじゃないかって気がします。友だちはいろんなところにいるし、音楽業界のいろんな場所にもいる、それこそ垣根がなくて……。

ハリー:うん。僕たちはそんなバンドと一緒にやることで違う世界に足を踏み入れているんだ。自分たちをインディのバンドだって特に意識をしているってわけでもないんだけど……

オロノ:あとメインストリームのバンドともね!

ハリー:そうそう。メインストリームのバンドでもない。僕らが目指しているのはポップ・ミュージックを作るってことだけで、でもまぁ自分たちのやりたいようにやっているだけだからちょっとヘンな感じになっちゃってるとも思うけど。でも違くて、インディとメインストリーム、どっちかになろうっていうんじゃなくて、ただ自分たちにとって馴染むっていうか自然な形でこうなっているって感じかな。で、それが僕らの好きなインディ・アーティストのテイストにフィットするんだ、荒削りでヘンテコでエッジが立ってる大好きなやつに。で、同時に即効性があってポップでキャッチーって感じなのも好きなわけで。だから、それこそまさに僕らのやっていることだって感じがするよ。そんなわけだから違う世界のアーティストと一緒にやるのは理にかなっているとも思う。それに「そもそも自分たちは何なのか?」っていうところに立ち返る良い機会にもなっているんじゃないかって思うんだ。

そういう垣根がないという意味で、アルバム・タイトルの『World Wide Pop』はスーパーオーガニズムの音楽性を表していてぴったりだなって感じました。これはある程度狙ってつけたところがあったんですか? それとも偶然にこうなったみたいな?

オロノ:(日本語で)何も狙ってないですよ。

ハリー:そうじゃないけど、でも面白い話でもあるよね。意図的に狙った場合とそうじゃなくて無意識的にやった結果が不思議と同じになるっていうのは。僕は意図的にやっているって思ってたけどでも実は事故だったってそういう話をよくしちゃうんだけど、でも何かを作っているときっていうのは必ずしも何かを意識してやっているわけじゃないと思うんだ。ただその瞬間にひらめいたものにしたがって突き動かされて作っているだけでさ。で、後から自分が作ったものを振り返ってみたときにそこにあるものの意味が全部見えたりして「マジかよ……俺のやりたかったこと実現してんじゃんとか。言いたかったのはマジでこれだよな」みたいな。
 それで、アルバム・タイトルだけど、最初はただタイトルが必要だったってことだけだったんだ、おかしな話だけど。で、この曲の名前は、アルバムのタイトルとして理にかなってるし合うんじゃないかってそんな感じでつけたんだよ。衝動的にこれがいいなって感じたからで、特に理由はなく創造性にまかせてつけたって感じで。でもいまこうやって振り返ってみると君の言っていることもよくわかるよ。確かに集約されているかも。テーマもそうだし作り方にゲスト参加している人を見てもそうだしさ。でもアルバム・タイトルを決めたときは全然意識していなかったっていうのもまたポイントだと思うんだ。そのときはそういうのは頭になかった。

オロノ:酷いタイトル案いっぱいあったから。

ハリー:うん、マジで。

オロノ:ほんとヒドいやつ。

ハリー:まったくもってそう。

でも、ここまでのお話を聞いていても『World Wide Pop』ってタイトルなのはしっくり来るというか、本当ぴったりなタイトルだと思います。

オロノ&ハリー:(日本語で)ありがとうございます。

毎日、家で絵を描いてるみたいな感じで。それってチルで、それだけでも全然良くて。でも YouTube とかそういうのでバンドがプレイしてるのをたまに気が向いたときに見てたりもして。だからいろいろ入り交じったミックス・フィーリング。(オロノ)

最近は音楽のジャンルがますます混ざり合って複数の要素があるものも当たり前のようにあって、それこそスーパーオーガニズムみたいに「これはなんだろう?」ってなる音楽が増えてきていて、カテゴライズがどんどん難しくなっている気がしています。その一方でSNS映えするというか、「この音楽はこうだ」と限られた一言で言い切るようなこともより求められていて、ちょっと変な状況にもなっていると思うんですけど、そんな中で「スーパーオーガニズムの音楽はポップ・ミュージック」だっていうのは凄く納得がいきました。

ハリー:うん、ちょっとおかしな状況になっているよね。少し前にペイヴメントの曲が Spotify によって発掘されたって記事を読んだんだ。凄い再生されたんだけど、でもその曲は昔の B-Side の曲で、お店か何かで聞いたスティーヴン・マルクマスはそれを最初ローリング・ストーンズの曲だと思ったとかそんな話で。アルゴリズムがその音をクラシック・ロックのサウンドだって認識して~みたいな感じのやつ。で、ストーンズの曲を聞いてその後にランダム再生でペイヴメントの曲がかかるんだ。それって僕たちみたいなバンドにとってちょっと面白いなって。僕はスーパーオーガニズムはどんな感じのプレイリストにもちょっとフィットしないなって思ってて。それはできる限りユニークな音楽をやろうと思っているからなんだけど。で、その音楽はインディ・ロックと言っていいのか、まぁロックじゃなくても全然いいんだけど。インディ・ロックとかエレクトリック・ミュージックとか、エレクトリックって言うにはちょっとラフ過ぎるか。まぁそんな感じで考えていくと、自分たちはカルチャー的にどの箱にもフィットしない、奇妙な場所に行き着くことになるんじゃないかって、そんな風に僕は考えているんだ。アメリカ・ツアーに行ったときなんか実際にそんな感じだったし。アメリカのロック・ミュージックがかかるラジオ局で僕らの曲もかかって、僕らの曲はこのラインナップの中でもOKなくらいロックなんだって思ったんだけど、でも僕たちは伝統的な意味でのロック・バンドじゃないからその中で落ち着かないというか居場所がなかったんだよね。いろんな場所に溶け込めるけど、どの場所にもフィットしないみたいな、そんな変なバンドだったんだよ。

オロノ:それってほんといつも感じてることだよね。

ハリー:うん。マジで。本当にそうなんだよ。


It's Raining

ライヴの話もお伺いしたいのですが、最近ライヴってやってます?

オロノ:全然やってないです。

最後にライヴをやったのはいつ以来になるんですか?

オロノ:2019年の夏の終わり頃だったかな。

ハリー:うんそうだね。2019年9月のジャカルタ公演が最後だったはず。

かなり間が空いているんですね。その間にライヴに関して何か考え方が変わったみたいなところはありますか?

オロノ:ときどき他のミュージシャンの人と話すんですけど、パンデミックとかそれに関して、早くライヴやりたいねとか。でも私は、全然待ちます、むしろもっと待ってたいですみたいな感じで。

ハリー:うん。

オロノ:毎日、家で絵を描いてるみたいな感じで。それってチルで、それだけでも全然良くて。でも YouTube とかそういうのでバンドがプレイしてるのをたまに気が向いたときに見てたりもして。だからいろいろ入り交じったミックス・フィーリングなんですけど。でも実際に、こないだの夜、ハリーと一緒に父親の部屋に行って、自分たちが出たフジロックの映像とか日本でやった他のライヴの映像とかを見たりして、なんか凄く変な感じになって。そのときからほんとに時間が経ったんだなって。

ハリー:そういう部分に関していうと、僕にとってライヴでプレイするのは好きだってことだな。観客の前に立ってもう一回プレイできると思うと本当興奮するし、新しい曲に対してみんながどんな反応を見せてくれるのかって思うと楽しみで仕方がない。でもさ、それとは別にツアーっていうか旅行に関してストレスを感じるわずらわしさみたいなものもあるんだよ。家から離れてる期間がずっと続くのはストレスで。だからその部分に関してはどうしてもナーヴァスになっちゃうな。だけどステージに立つってことに関しては楽しみで仕方がないっていうのも本当だよ。だから、うん、これもミックス・フィーリングだな、こんなに長い時間が経ったんだから。本当変な感じだよ。前みたいなリズムに戻ってどうなるかっていうのはさ。

今度のフジロックは本当に久しぶりにやるライヴってことになるんですね。

ハリー:そうだね。フジロックの前にUKのレコードストアを回るアコースティックのインストア・イベントはあるんだけど、フルでやるっていうのはフジロックが最初だよ。だからフジロックは今回のアルバム・サイクルの中で最初のショーってことになると思うんだ。ジャカルタ以来の最初のフル・ショー。復帰戦として最初にやるショーとしては大きすぎるってくらい大きい舞台だからうまくできるかやっぱり緊張はするんだけど、でもどうなるか凄く楽しみだよ!


Into The Sun

HASE-T - ele-king

 日本のレゲエ・シーンを支えてきたディージェイ/プロデューサー、HASE-T(ハセ・ティー)が、プロデューサーとして活動20周年を迎える。記念すべきこのタイミングに、新作アルバムがリリースされることになった。タイトルはストレートに『TWENTY』、8月3日にCDとデジタルで発売。
 すでにMVが公開済みのスチャダラパー&PUSHIMを迎えた “夕暮れサマー” に加え、新曲 “Born To Be Free” のリリック・ビデオも公開。歌詞にも注目したい1曲です。

“ジャパレゲ” シーンを黎明期よりリードしてきた “HASE-T” プロデュース活動20周年を記念して、スチャダラパー、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、前嶋貫太郎とジャンルやスタイル、そして世代を越えたアーティストをフィーチャリングした最新アルバムがリリース決定! 参加アーティストからのコメントも到着!

[順不同・敬称略]

30年前以上前に観た時から変わらない、クリアで聞き取りやすい声と、長いキャリアで磨き上げたサウンド。一般の人たちとは少し離れた世界を生き続けてきた大人としてのメッセージが、素直な言葉で刺さってくる。プロデュース業20周年おめでとう。誘ってくれてありがとう。──Bose(スチャダラパー)
HASE-Tのアルバム『TWENTY』はとてもいいアルバムだなと思った。ゲストが参加してる曲もいいけど、HASE-T本人が歌ってる曲がとにかくいい。その昔、HASE-Tと知り合った頃は、HASE-Tもプロデューサーというより、レゲエ歌手という感じで、その頃からHASE-Tの唄うスタイルのファンだったので、時を経ても、好きだったHASE-Tのあの感じが曲に出ててよかったです。こんなアルバムに参加できて光栄です。 ──ANI(スチャダラパー)
アルバムを通じて感じられる腰の座った(ポジィティブな)HASE-Tヴァイブスにベテランの凄みを感じました。 ──SHINCO(スチャダラパー)
HASE-T先輩、リリースおめでとうございます。 この度、スチャダラパーの皆さんとの共演の機会を頂き感謝しております。 HASE-T氏とレゲエミュージックで繋がり25年程。 昔も今もこれからも、ずっと私たちの音楽のTeacherでいて下さい。 ──PUSHIM
HASE先生、20周年おめでとうございます。自分がレゲエをやり出したころにすでに若きベテランとしてマイクを握り、楽曲プロデュースをおこなっていた先生と一緒に曲を作るとは、その頃は想像もしていませんでした。その後自分の代表曲とも言える “IKO-IKO” をはじめ、何度かご一緒させていただきましたが、今回何年かぶりに制作した “BLACK SWAN” は、新たな2022年の扉を開くフレッシュな一作になったと思います。自分もまだまだがんばります。今後ともよろしくお願い致します。 ──RYO the SKYWALKER
HASEさん、20周年おめでとうございます。 常に新しい音や物事に真摯に向き合う探究心と歴史を忘れない姿勢に毎度勉強させて頂いております。 近くで作業をさせてもらっている自分は幸運だなと、感謝しております。 いつかまた、一緒Thailandに行ける日を楽しみにしてます。 ──前嶋貫太郎

80年代後半から東京のクラブ・シーンに関わり、レゲエ Deejay やトラック・メーカーとして自身のアーティスト活動はもちろんのこと、レゲエ・コンピレーションシリーズの監修、さらにはレゲエ以外のアーティストへの楽曲提供やRemixワークまでこなしてきたHASE-T。HASE-Tの “T” はTeacher(=センセイ)の略で、その膨大な音楽知識や固定概念にとらわれないスタイルで、レゲエのみならず幅広いシーンに影響を与えてきたまさに伝道師ともいうべき彼の集大成がついに完成! 本場ジャマイカで100曲を越えるミックスダウンをこなし、そして多岐に渡るプロデュース・ワークで培ったサウンドは、本格的でありながらも決してリスナーを拒まないエンターテイメント性も備え、また歌い手としてのスキルも健在で日常的な言葉に込めた社会的、普遍的なメッセージはレゲエ Deejay としての真骨頂が伺えるだろう。さらに本作にはスチャダラパー、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、前嶋貫太郎といったジャンルやスタイル、世代を越えたアーティストがゲスト参加! 各アーティストの特性がHASE-Tによるトラック・メイキングと絶妙にクロスオーヴァーしたサウンドに仕上がっている。CD盤のみ、J-REXXXや釈迦楽などこれまでにHASE-Tが手がけてきた楽曲の最新MIX/REMIXを追加収録したスペシャル限定仕様でリリース!

HASE-T “Born To Be Free”(Official Lyric Video)
https://youtu.be/x5RS498UF_A

HASE-T “夕暮れサマーfeat. スチャダラパー&PUSHIM” (Official Music Video)
https://youtu.be/VxsN8U7Vd0I


アーティスト:HASE-T
タイトル:TWENTY
フォーマット:CD/Digital
発売日:2022.8.3
品番:PCD-25348
価格:¥2,750(税抜¥2,500)
レーベル:P-VINE

-Track List-
01. 夕暮れサマー(45 Disco Mix) feat.スチャダラパー&PUSHIM
02. Born To Be Free
03. Tokyo
04. いいわけないよ
05. Black Swan feat. RYO the SKYWALKER
06. Balance feat.前嶋貫太郎
07. 深海魚
08. Get Over (Album Version)
09. Walk On By
10. Go Around (Album Version)
11. Sunrise Again/J-REXXX (2022 Mix)
12. Dance Hall Anthem/釈迦楽 (2022 Remix)
13. 幸せの日々/Domino Kat (2022 Remix)
14. My Friends/Micky Rich (2022 mix)
15. Road Creator/貫太郎(2022 Drum'n'bass Remix)
■M11-15(CD限定ボーナストラック)

Cover Art by : Bass (Tweeter Art / TAXI Hi-Fi)
@taxi_bass


[HASE-T(ハセ・ティー)]
日本を代表するレゲエ・プロデューサー、トラックメーカー。 80年代後半、東京クラブミュージックの夜明けと共に音楽活動を開始し、レゲエDJ(歌い手)としてCLUBを中心に活躍。次第に自身の作品をリリースするようになる。2001年からプロデュース活動を本格化。レゲエのDJの登竜門的コンピシリーズ、「Dance Hall Premier / VA」シリーズをスタートさせ、トラックメーカーのみならず、プロデューサーとしても認知されるようになる。その後現在に至るまで通算10枚以上のコンピシリーズをリリース。その他に、レゲエ内、レゲエ外、プロデュースワークス、Remixもやっており、和田アキ子、吉川晃司、JUJU、加藤ミリヤ、Lisa、遊助(上地雄輔)、MOOMIN、RYO the SKYWALKER、PAPA Bなど幅広く作品を提供中。

-HASE-T Official-
Official HP : https://www.rhythmslounge.net/
Twitter : https://twitter.com/HASE_T
instagram : https://www.instagram.com/hase_t_original
TiKToK : https://www.tiktok.com/@hase_t_original

Mykki Blanco - ele-king

 LAのラッパー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバム『Stay Close To Music』が10月14日にリリースされる。プロデューサーは昨年のミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』同様、フォルティDLが務めており、さまざまなジャンルからの影響を落とし込んだ1枚に仕上がっているようだ。ソウル・ウィリアムズ、アノーニケルシー・ルー、デヴェンドラ・バンハートにシガー・ロスのヨンシーなど、客演陣にも注目。

ラッパー/詩人/トレイルブレイザー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバムが完成。
2021年のミニ・アルバム『ブロークン・ハーツ・アンド・ビューティ・スリープ』に続く自身2枚目のフル・アルバム『ステイ・クロース・トゥ・ミュージック』、トランスグレッシヴよりリリース。

●プロデュース:フォルティDL
●ゲスト:マイケル・スタイプ(R.E.M.)、ソウル・ウィリアムズ、アノーニ、ダイアナ・ゴードン、デヴェンドラ・バンハート、エメニケ、ヨンシー(シガー・ロス)他
アルバムより、「French Lessons」のビデオを公開。

★Mykki Blanco - French Lessons (Official Video) ft. Kelsey Lu
https://youtu.be/xTBlghQ7eJM

2022.10.14 ON SALE[世界同時発売]


■アーティスト:MYKKI BLANCO(ミッキー・ブランコ)
■タイトル:STAY CLOSE TO MUSIC(ステイ・クロース・トゥ・ミュージック)
■品番:TRANS580CDJ[CD/国内流通仕様]
■定価:未定
■その他:世界同時発売、解説付
■発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
01. Pink Diamond Bezel
02. Steps (feat. Saul Williams and MNEK)
03. French Lessons (feat. ANOHNI and Kelsey Lu)
04. Ketamine (feat. Slug Christ)
05. Your Love Was A Gift (feat. Diana Gordon)
06. Family Ties (feat. Michael Stipe)
07. Your Feminism Is Not My Feminism (feat. Ah-Mer-Ah-Su)
08. Lucky
09. Interlude
10. Trust A Little Bit
11. You Will Find It (feat. Devendra Banhart)
12. Carry On (feat. Jónsi)

Your Love Was A Gift
https://youtu.be/yhEW4ViE_MQ?

Mykki Blanco - Family Ties (Official Video) ft. Michael Stipe
https://youtu.be/_KIFN6T-Xvg

●Mykki Blancoのニュー・アルバム『Stay Close To Music』は、これまでMykkiがリリースしてきた作品とは一線を画す。これは、Mykkiの芸術性に関してこれまで抱いていた思い込みを打ち砕き、Mykkiが自由に自らのサウンドを定義できるようにするアルバムだ。詩人、アーティスト、ミュージシャンのMykki Blancoは、その進化を通して、ジャンルを常に曖昧にしてきた。レイブ、トラップ、グランジ、パンクからの影響を、クィア/トランスとしての経験を称える実験的なヒップホップの渦の中に引き込んできたのである。今回、Mykkiは、自分たちの音の世界を一から創り上げたい、という結論に達し、プロデューサーでマルチインストゥルメンタリストのFaltyDLとコラボレート。豊かな生楽器による新しいサウンドスケープを思い描くことを可能にした。曲作りはリスボン、パリ、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスで行われ、数々のジャムセッションを通じて曲が作られていった。2019年までに、Mykkiは2つの異なるレコードを同時に制作していることに気付いた。1枚目は2021年の賞賛されたミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』、2枚目は『Stay Close To Music』となった。『Stay Close To Music』には、Michael Stipe、Saul Williams、ANOHNI、Diana Gordon、Devendra Banhart、MNEK、Jónsi等がフィーチャリングされている。

●Mykki Blancoはアメリカのラッパー、詩人、パフォーマー、活動家だ。2012年にEP『Mykki Blanco & the Mutant Angels』でデビュー。『Betty Rubble: The Initiation』(2013年)、『Spring/Summer 2014』(2014年)と2枚のEPを経て、2016年9月にデビュー・アルバム『Mykki』をリリース。クィア・ラップ・シーンのパイオニアとして知られ、Kanye WestやTeyana Taylor等とコラボレート。MadonnaのMVへ出演し、Björkとツアーを行なったりもしている。2021年には5年振りとなるオフィシャル作品である9曲入りのミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』をTransgressive Recordsよりリリース。スペシャル・ゲストとしてBlood Orange(Dev Hynes)、Big Freedia、Kari Faux、Jamila Woods、Jay Cue、Bruno Ribeiro等がフィーチャーされたこの新作は高い評価を博した。

■More info: https://bignothing.net/mykkiblanco.html

Matmos - ele-king

 マトモスの親しみやすさはどこから来るのだろう。多くの場合それは突飛なコンセプトであり、外科手術(『A Chance to Cut Is a Chance to Cure』)だったりテレパシー(『The Marriage of True Minds』)だったり洗濯機(『Ultimate Care II』)だったりが音楽になることの驚きと興奮によるものだ。自分の場合、ときとしてクィア・カルチャーの重層性や奇妙さを示すこと(『The Rose Has Teeth in the Mouth of a Beast』)が直截的なメッセージよりも強力なものになる、と素っ頓狂なやり方で教えてくれたのがマトモスだった。ユーモアとアイデア。それらはつねに、彼らの「実験音楽」を愉快なものにしている。
 だからこそ、マトモスの音楽それ自体の面白さは忘れがちだ。ふたりが生み出すエレクトロニック・ミュージックではヘンな音がヘンな方法で鳴っているのだが、それはあくまで強烈なコンセプト由来であると捉えられがちなのだ。そういう意味では、外部から来た「企画もの」である本作こそが、マトモスの音楽そのもののチャーミングなエキセントリシティをストレートに伝えていると言えるかもしれない。

『Regards / Ukłony dla Bogusław Schaeffer』は、第二次大戦後から1960年代のポーランド・アヴァンギャルド・シーンをひとつのピークとし、亡くなる2019年の直前まで活躍した先鋭的な音楽家で、同国ではじめて電子音楽を制作したひとりとされるボグスワフ・シェッフェルの録音音源を自由に使用し、再構築したアルバムである。ポーランド文化を海外に紹介するための公的機関〈Instytutu Adama Mickiewicza〉が持ちこんだアイデアだったそうで、マトモスはシェッフェルのことを詳しくは知らなかったという。シェッフェルは作曲家・演奏家でありつつ、劇作家、画家、教師、学者でもあったということなので、いつものマトモスなら彼の特異な経歴や人生をコンセプトに取りこみそうなものだが、ここではあくまで残した音源にフォーカスしているようだ。そしてそれが、おそらく本作では功を奏している。
 神経質な電子音が行き交うなかで不穏なメロディが立ち上がるオープニングの “Resemblage / Parasamblaż” からマトモスらしいめくるめくエレクトロニカが展開されるし、続く “Cobra Wages Shuffle / Off! Schable w gurę!” は妙にファンキーなリズムが繰り広げられつつグリッチやジャズの断片が聞こえてくるおかしなトラックだ(曲名にはポーランド語の対訳がついている)。アナログのA面にあたる頭5曲はリズミックでポップなトラックが並べられていて、1曲のなかの展開も多い。残り3曲はやや長尺となり、ダーク・アンビエント的なムードも取り込みながら、おどろおどろしさとエレガントさを同時に立ち上げてみせる。音色の多さ、要素の多さはマトモスならではだが、それにしてもせわしない。40分少しのアルバムからこれだけたくさんのものが聞こえてくるというのは、シェッフェルの音楽の多様な要素に由来するものだろうか。本作では題材とマトモスの音楽的なボキャブラリーの豊富さとが合致し、奇怪でユーモラスなサウンド・コラージュが繰り広げられるのだ。サウンドのとめどない動きと変容を楽しむアルバムである。

 ニコラス・ジャーが20世紀後半の前衛音楽/実験音楽をまとめたコンピレーションをリリースしたニュース(https://www.ele-king.net/news/008676/)もあったが、いま、東ヨーロッパのエッジーな表現に対する注目度が高まっているのは国際情勢の影響もあるのかもしれない。〈連帯〉のレフ・ヴァウェンサが登場する以前の独裁政権下のポーランドでアヴァンギャルドな音楽に取り組んでいたボグスワフ・シェッフェルは、なるほど現代にも何かヒントを与えうる存在として再訪されているのだろう。それを小難しいものとしてではなく、風変りだが親しみやすく、彼らならではの「知的なダンス・ミュージック」──トラックによってはダンサブルなのだ──へと調理するマトモスは、実験の面白さそのものを体現する伝道師であり続けている。

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