「KING」と一致するもの

Detroit Report - ele-king

 わたしにとって幼少期に聞いた「音楽」という記憶は「ポンキッキーズ」のことだ。まだ柔らかい心の芯に毎日刷り込まれたあのポップ・ミュージックは、いまでも簡単に口ずさめてしまう。デトロイトではそんなポンキッキーズな年齢の子供たちが、テクノやハウス・ミュージックを楽しめるイヴェントが存在している。気になっていたこのイヴェントにやっと今年行くことができたので、レポートしようと思います。

 デトロイトのミュージック・フェスティヴァルといえば、5月に開催される〈ムーヴメント〉がある。これは世界的にも有名なミュージック・フェスティヴァルだが、毎年夏に同じくデトロイトで〈バックパック・ミュージック・フェスティヴァル〉というものがひっそりと開催されている。今年は8月3日に開催され、8回目を迎えた。このミュージック・フェスティヴァルは「成功するための基礎がない上では、子供の成功はない」という考えのもとスタートした、親子で一緒に楽しむことができる音楽イヴェントだ。
 イヴェントの中心にいるのは子供たち。その子供たちの成長の手助けをするために、来場者は入場料として20ドル程の募金をするか、子供用バックパック(日本でいう、リュックサック)を寄付として持ってくる。つまり、このイヴェントの最終目的は、集めた募金なども使用し、学習環境が整っていない子供たちにバックパックや学用品などをいき渡らせること。
 もちろんアーティストもボランティアでの出演で、今年のラインナップは、ホアン・アトキンス、エディ・フォークス、テレンス・パーカー、アルトン・ミュラー、ジェイ・ダニエル、そして、デトロイト・テクノ・ミリティア。昨年は、デリック・メイやギャラクシー2ギャラクシー、タイムライン、リック・ウィルハイトなども出演、そこにローカルDJも加わって現地ならではの豪華な内容だった。

 開催場所のデトロイトのBelle Isle Parkは自然博物館や湖もある外周を車で20分程の島、会場となっていた広場の横の川でも居合わせた釣り人は終日退屈そうに揺れる波紋を見つめていた。
 エントランスにて日本で購入してきたバックパックを渡し会場内に入ると、オープン直後だったのでまだ客は20名程しかいない???。ブースはふたつに別れている。それぞれのタイムテーブルを見ながらどういった行動にしようか考えていると、オープニングアクトのDJ Headはいきなり子供抱いて登場(!)。左手に子供、右手でEQと、まだ眠気も覚めない朝10時の豪快な姿にこれが本当のデトロイト・アンダーグラウンドなのか......と思いながら芝生に座り、無料で配られていた朝ご飯のパンケーキをかじった。
 1時間づつ約総勢30名程のアーティストが出演し、音楽以外にも子供が楽しめるように、大きなトランポリンやお絵描き教室、フェイス・ペインティングなどのアクティビティが多数用意されている。早い時間帯はやはり家族連れが多く、父親のDJプレイを聞いたり芝生を駆け回ったり、夢に身を委ねているかのようなただただ穏やかな時間が流れていた。
 歴代のデトロイトテクノのアートワークを担当しているHAQQもこの日は子供と一緒に来場、DJブースから少し離れた、涼やかな風が抜ける木の下でライヴ・ペインティングを行っていた。キャンバスに、HAQQの娘がバックパックを背負っている絵が描かれていく。わたしはその横で、向こうに響くベースラインに耳を傾けながら、HAQQの子供ふたりを相手にキャッチボールをするというなんとも平和的な時間を過ごした。毎年まとまった休みも取れず、たいした夏の記憶もないわたしは、この絵に描いたような「夏休み」に、ここ数年の空費した夏を取り返した気になった。

 客層は幅広く、なかには傘寿のお祝いを迎えているであろうおばあちゃんもいらっしゃっていた。毎年、自ら車を運転をして会場まで遊びにきているというそのおばあちゃんは、ステッカーだらけの車イスに乗り、まるで赤子と優しく会話をしているかのように音楽を聞いている。そしてムーディーマンの"Shades of Jae"がかかった途端、車いすから立ち上がって拳を振り上げた! その瞬間、オーディエンスは一体となり、嬉々たる空気に満たされた。こうゆう瞬間があるから、わたしはクラブ・ミュージックが好きでたまらない。
 とくに楽しみにしていたアーティストはジェイ・ダニエル、そして自らのレーベルからレコードもリリースしているデトロイト・テクノ・ミリシア。ジェフ・ミルズに影響を受けたという彼らは一昨年の〈ムーヴメント〉では5人で5台のターンテーブルを使用していたが、この日はふたりで4台ターンテーブルを駆使し、次から次へとミックスされる率直なハード・テクノでオーディエンスを魅了した。
 だんだんと空に紫色のグラデーションかかり、湿度が上がって子供たちはいなくなった頃、大人たちはシカゴの女性DJ、CZ Boogieの野性的なプレイに歓声を上げ、ダン・ハートマンの"Relight My Fire"で合唱。そして、このブースのトリのテレンス・パーカーに後ろ髪をひかれつつ、わたしはホアン・アトキンスに向かった。ホアン・アトキンスはクラシックなシカゴ・ハウスを連発しイヴェントは幕を閉じた。

 このイヴェントにはドラッグはもちろんだが、アルコールの販売すらない(水すら売っていないというのには少々驚いたが)。運営自体も各自のサポートとDIY精神によりどうにか成り立っている感じだ。それでも、この街で生まれた音楽を愛し、こうやって子供たちのためにたくさんのアーティストが集まり、そこに純粋に音楽を求めて良質なオーディエンスが集まる。とてもシンプルなことだけれど、ナチュラルにできてしまうデトロイトのシーンに羨望した1日だった。

 以下はこのイヴェントのオーガナイザー、Judy Sheltonのインタヴューです。このイヴェントについていろいろお話を伺いました。どうぞ!

バックパックを持たずにペンや本などを手に持っていたり、スーパーの袋に入れて持ち歩いて登校している子供たちを見かけたことが全てのはじまりでした。それを見て、私自身も何ができるだろうと考えはじめて、このイヴェントのアイディアが浮かびました。はじめにデリック・メイにこの話をしたら、彼は快諾しこのイヴェントの第一人目のスポンサーとなってくれました。

開催目的を詳しく教えていただきますか?

Judy Shelton(JS):私たちが実施している、学校の子供たちを観察するプログラムで、バックパックを持たずにペンや本などを手に持っていたり、スーパーの袋に入れて持ち歩いて登校している子供たちを見かけたことが全てのはじまりでした。それを見て、私自身も何ができるだろうと考えはじめて、このイヴェントのアイディアが浮かびました。はじめにデリック・メイにこの話をしたら、彼は快諾しこのイヴェントの第一人目のスポンサーとなってくれました。当初のイヴェントは〈デトロイト・ハウス・ミュージック・ピクニック〉という名前の通り、「バックパックや学用品などを持ち寄ってピクニックに来て音楽を楽しもう」というような、とても親しみやすい内容のもので、ゲストを招きいれる形でスタートしました。
 それから1年のあいだにデトロイトの経済はさらに悪化して、多くの人が失業してしまいました。以前イヴェントに学用品などを寄付してくれていた人たちが、いまは助けを必要とする側になっているんです。昨年、2012年は、いままでにないかたちで次のステージへとイヴェントを前進させ、URと協力して〈バックパック・ミュージック・フェスティヴァル〉の開催を迎えました。ここにたどり着くまでの長年のあいだ、つねにデリック・メイ、ケヴィン・サンダーソン、ジェフ・ミルズらともさまざまなことに取り組んできました。彼らは活動資金を募る架け橋としても協力をしてくれて、確実に子供たちにバックパックや学用品にいき届くようにしたのです。私たちは8つの機関と提携していてるのですが、そのうちのひとつのミシガン大学がおこなっているキッズキャンプにいるのは、身寄りのない子供や何らかの問題を抱えている子供たちです。彼らにもバックパック、学用品など必要なものがいき届くように取り組んでいます。 

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デトロイトでは、子供たちがアートに触れる機会がなくなってしまっているのが現状です。子供たちにテクノやハウスが好きになってもらえるような機会をつくっています。ヒップホップ色が強いものは、デトロイト・ヒップホップという感じで。シカゴ・ハウスも子供たちに好かれています。

通常の音楽イヴェントのように大人だけの入場にして、募金を集めたりするにするなどさまざまな方法があったと思いますが、子供も一緒に楽しめるようにしたのはなぜなのでしょうか?

JS:子供たちが親とイヴェントに遊びにきて楽しい時間を過ごし、そしてその中で募金を募り、学用品などが必要としてる子供たちの元に届くというものにしたかったのです。
 このイヴェントの一番の目的は、わたしたちの子供たちの未来に目を向けることです。毎年、イヴェントの主旨は変わっていませんが、今年は更に子供たちとイヴェントがより深く関わることができるようにすることが目標でした。そこで今年は〈サンライズ・ブレックファースト〉を開き、子供たちは朝8時~10時のあいだ、無料で朝食を食べれるようにし、その代わりに親たちにはイヴェントに10ドルの募金をしてもらうという形にしました。
 その他、より楽しめるようにアトラクションを多く盛り込みました。大きなトランポリン、フェイス・ペインティング、3Dピクチャー、子供たち向けのアートセラピー、他にはミュージックタイムという子供たちが音楽をつくる広場も設けたりもしました。

デトロイトにはテクノの他にもたくさんの素晴らしい音楽文化がありますが、 なぜテクノやハウスのアーティストがメインのイヴェントにしようとしたのでしょうか?

JS:私が育った背景と深く関係しているんですが、デリック・メイとは私が13~14歳からの交友関係で、当時〈KS〉というクラブがあったのですが、そこで長年プロモーターとして多くのパーティを一緒に開催していました。私にとって音楽は自分自身の大切な一部で、それは昔もいまも変わっていません。その自分が大切にしてきた音楽、子供たちへの愛、長年友好関係を築いてきた仲間たち──全てを合わせたときに、自然な流れでいまの活動のかたちができていったのです。

デトロイトの子供たちを取り巻く現在の状況で、感じていることがあれば教えてください。

JS:Eメールやフェイスブックを通して、デトロイトの経済破綻がどのようにイヴェントへの影響するかと懸念するメッセージがいろいろな人から届きました。そこで私自身もイヴェントにどのような影響があるかと考えてみたのですが、「イヴェントには影響するかしら? いや、何も影響しないんじゃないか」と思ったんです。出た答えとして、「デトロイトの経済が降下していく」=「デトロイトの子供たちが降下していく」ということではないということです。
 私たちにはコミュニティがあって、その支え合って生きている人びとの集まりが子供たちにはついていることを知っています。経済が破綻して現状は決していいものではありません。しかし、どんなときでも、立ち直る過程の前には、厳しい状況に直面することは避けられません。いまデトロイトは厳しい状況に直面していますが、デトロイトには素晴らしい人びとがいます。多くの才能を持った人たちを輩出しています。音楽面でもモータウン、テクノが生まれた場所なのです。自分らの大切なものが何かを見つめて、自分たちがもつこのコミュニティで何ができるかと問いかけながら前向きに進んで行けば、未来は必ず良い方向に向かうと確信しています。

デトロイトの子供たちは音楽が好きだと感じますか?

JS:ええ、もちろん! デトロイトの子供たちは音楽が大好きです。子供たちにテクノやハウスが好きになってもらえるような機会をつくっています。ヒップホップ色が強いものは、デトロイト・ヒップホップという感じで。シカゴ・ハウスも子供たちに好かれています。デトロイトでは、子供たちがアートに触れる機会がなくなってしまっているのが現状です。学校では音楽や絵を描ける、そんな普通の授業もなくなっています。なので、私たちは、アートセラピーを設けたりして、子供たちにアートと繋がる機会をつくってあげています。なかにはカール・クレイグの財団が音楽を教えているもの、マイク・ハッカビーが音楽制作を教えるなどさまざまな活動があります。

募金を集めていますが、集めた募金は具体的に何に使用されるのでしょうか?

JS:バッグパックの購入やペンや紙、クレヨン、のり、などの学用品です。私たちの活動は、幼稚園から高校までのあいだの子供たちが対象ですが、家のない子供たちや身寄りのない子供たちはもっと高い年齢の場合もあります。その子供たちのためにも必要な物を購入するのに使用します。他には、活動のなかで実施している読み書きのプログラムのために使用しています。子供たちが読書する機会が減っていることから、このプログラムを今年スタートさせました。必ずしも学校で読んでいるような本だけを購入して読ませるのではなく、彼らが読みたいと思った本から読みはじめてもらっています。これに関しては、イヴェントに来る人びとにも寄付してもらえる本を持ち寄ってもらったりもしています。

これだけデトロイトのアーティストが集まると、アーティスト同士の交流の場所にもなりそうですね。

JS:出演するアーティストはボランティアで彼らの時間を提供していて、ひとつのコミュニティとして私たちの子供たちのために、アートのためにみんなが協力してイヴェントが成り立っています。これらがこのイヴェントを特別なものにしているのです。こんなにアーティストが集まって、しかも無償でプレイするなんて不思議だ! と驚く声をききますが、自分たちのコミュニティをサポートするという目的のもとアーティストたちが集まって参加しているのです。ケニー・ラーキン、ジョン・ディクソン、テレンス・パーカーなどたくさんのアーティストがイヴェントに参加してプレイしています。世界をツアーしているアーティストも、こうしてホームタウンのデトロイトに戻ってきて参加してくれているのです。アーティスト同士も知り合いで、昨年はシカゴからウェイン・ウィリアムズもイヴェントに参加してくれました。

今後どのようなイヴェントにしていきたいと考えていますか?

JS:私たちの今年のゴールはバックパックを3000人分、学用品を5000人分にのばすこと、私たちが取り組んでいるプログラムの子供たちに必要な学用品が行き届き、さらに他の子供たちへもいき届くようにすることです。


空気公団
青い花

ランティス

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 「きみがい てー よかあ った......」と独特のフレージングで歌い出される空気公団の“青い花”。2009年にアニメ化された同名マンガ作品『青い花』(志村貴子原作)のオープニング・テーマとして、空気公団に依頼された曲である。
 あの「い」と「て」のあいだを、幼い恋の思いが、あるいは若い心の持つ切なさや痛みややさしさや傲慢が、花弁のかたちをして流れ飛んでいくように感じられるのは、山崎ゆかりのマジックや詩性によるものなのか、『青い花』の作品世界に引かれたイメージなのか。それを判別することが難しいくらい、同曲は、空気公団にも作品のテーマにもしっくりと寄り添い、かえがたい存在感をもって両者の世界を広げる名作だ。

 さて、この『青い花』ゆかりの鎌倉文学館で、空気公団のライヴが行われる模様だ。少女たちの内面を延長するように描かれた情感豊かな鎌倉の風景。その中心には、この文学館をモデルにした、少女たちの通う女学院があった。旧前田侯爵家の鎌倉別邸として建築された美しい洋館(アールデコに和風様式が取り入れられている)で空気公団の音と風とを楽しみたい。

■空気公団 ライヴ情報

人気アニメ『青い花』ゆかりの地、鎌倉文学館でのライブが実現!

名作として誉れ高い人気TVアニメ『青い花』(原作:志村貴子)がBlu-ray BOXとして9/6に発売されたが、オープニング主題歌を担当した空気公団が、物語のキー・ヴィジュアル“藤が谷女学院”のモデルになった鎌倉文学館でライヴを開催することが決定した!

会場となる鎌倉文学館は、国の登録有形文化財にもなっている西洋館で、広大な庭園と美しいバラ園があり、湘南の海が一望できる。そんな絶景の中庭でのライヴには、入館料(一般400円、小・中学生200円)のみで参加することができる。

なお、このライヴは、江の島を中心とした江ノ電沿線エリア全域を舞台に展開される体感型フェスティバル〈江ノフェス〉(9/15(土)~11/11(日)開催)の一環として開催される。

貴重で贅沢なライヴを是非お見逃し無く!

公演日 : 10月19日(土)
開演 : 13:00(~1時間程)
料金 : 鎌倉文学館:入館料のみ(一般400円、小・中学生200円)
 
会場 : 鎌倉文学館
神奈川県鎌倉市長谷1-5-3 
TEL:0467-23-3911
鎌倉文学館 https://www.kamakurabungaku.com/
 
会場アクセス :
JR横須賀線 東京駅~鎌倉駅(所要時間-約55分)
→JR鎌倉駅より江ノ電に乗換「由比ヶ浜駅」下車(徒歩7分
→JR・小田急 藤沢駅より江ノ電に乗換「由比ヶ浜駅」下車(徒歩7分)
※駐車場はございませんので、お近くのパーキングをご利用下さい。
 
Info
空気公団オフィシャル・サイト: https://www.kukikodan.com/
江ノフェス2013 : https://www.enofes.com/

CD情報
『青い花』 空気公団
CD品番:LASM-4021
2,000円(税込価格)
4曲入りミニアルバム
now on sale
Amazon

アニメ『青い花』Blu-ray BOXAmazon


King Krule - ele-king

 言葉のはしはし、動きの一つ一つに、彼女の不安はあらわれていた。だというのに私は、まったく感じとろうとしなかった。だらしがなさすぎた。私には生きる値打ちはなかった。野良犬とかわらなかった。しかし、犬を責めてどうなる。私は起きあがってワインを浴びた。キャス、町でいちばんの美女は20歳で死んだ。チャールズ・ブコウスキー『町でいちばんの美女』(青野聰 訳)より

 ああ、そうか......と、キング・クルールを名乗る19歳の青年アーチー・マーシャルがチャールズ・ブコウスキーを敬愛していると知って、僕は思った。繰り返し耳を傾けるほど、キング・クルールの音楽はブコウスキーの文体に似ているのだ。しかしそれは、言葉というよりは、発話や発声においてである。アルバムの2曲目、"ボーダー・ライン"を聴けばわかる。正確に音程を取らずぶっきらぼうに放たれる低音が、ふいにメロディをなぞる瞬間にこぼれて落ちるその感傷は、ブコウスキーの機関銃のように粗暴な言葉がしかし、時折見せる弱さやもろさのようだ。キング・クルールを聴いていると、困ったことに......自分の日常なんかよりもブコウスキーの短編集を読むことに入れ込んでいた頃の感覚を思い出してしまう。マーシャルは酔いどれ美学のクリシェに堕さないブコウスキーを知っているのだろう。ただその日を生きることしかできずに、愛する人間を傷つけて自分も傷ついてまた傷つける、救いようのない人生を......ブコウスキーいわくクソのような人生を、それでも笑い飛ばす男の痛みと孤独を、この青年はきっと肌に感じて過ごしてきたのだろう。鋭い言葉を書くリリシストや、エモーショナルなメロディと声を持ったシンガーは他にもいる。しかし、こんなにも発話がその表現の必然として成立してしまうシンガーは久しく存在しなかったのではないか。

 新世代のビート詩人というキャッチコピーはたぶん間違ってはいない。が、そう呼んだときのどこかノスタルジックなロマンティシズムよりも、アーチーの歌にはどうしようもなく「いま」を歌っているんだという切迫感がある。それは、現代的なサウンドを自身のブルーズに取り込むクレバーさによるものだろう。ヒップホップやダウンテンポの影響が濃いビートは多彩だし、何もない空間に向かって余韻たっぷりに響くギターは明らかにジ・XX以降のポップ・ミュージックの親密さとしてある。さらには、さまざまな時代の音にアクセスするその身軽さでもって、"ア・リザード・ステイト"のようにブラスがふんだんに取り入れられたロックンロールの次のトラック"ウィル・アイ・カム"で、ダビーな音響が施されたアンビエントめいたトラックを披露したりするのだ。その風景が次々に変わっていくサウンドを、独創的なヴォーカリゼーションでひとつの詩集へとまとめて、手際よく紡ぎあげていく。

 アルバム・タイトルは"ザ・クロッカダイル"のリリックから取っているのだろう。「あの音が聞こえるかな?/地下6フィートから聞こえてくる/ここで横たわりたいんだ/ねえ ここで寝かせてくれ」......地下6フィートというのは人間が埋葬される深さのことであり、アルバムではそんな風にところどころで死への甘美な夢想が顔を見せる。何度も繰り返されるsoul、魂という言葉はつねに彷徨うものとして現れる。
 しかしそれ以上に、アーチーが吐き出すように放つ言葉はどこまでも無防備でナイーヴで......彼が傷だらけの姿で立っているのがまざまざと見えてくるようだ。それはつまるところ、死の世界に逃げ込むのではなく、ボロボロになりながらもそれでも生きることを欲望しているからではないか。ブコウスキーが文章においては死を繰り返しモチーフとしながらも、最終的にその表現からは圧倒的に生を感じるように、キング・クルールの音楽からは人生の痛みを味わう覚悟が聞こえてくるようだ。スウィートな響きを持った"ネプチューン・エステート"が、あまりにも素晴らしい。ヒップホップでありポエトリー・リーディングでありソウルでありブルーズであり、そのどれでも言い表せない何かとして命を与えられたそのトラックは、いまここに沸き上がる愛を手放そうとしない。

もう一晩だけ耐えてくれない?
もう一晩だけ
きみと一緒にいたいんだ
"ネプチューン・エステート"

人生は、見かけ通り醜いが、あと三、四日生きるには値する。なんとかやれそうだと思わないか? チャールズ・ブコウスキー『空のような目』(青野聰 訳)より

- ele-king

【スコット&シャーレンズ・ウェディング来日公演中止のお知らせとお詫び】

日頃よりP-VINE/ele-king主催イベント公演に格別のご愛顧を賜り、誠に有難うございます。
さて、11/18(月)、11/19(火)渋谷O-nest及び11/21(木)東心斎橋CONPASSにて予定しておりましたスコット&シャーレンズ・ウェディングの来日公演ですが、諸事情により来日公演を中止させて頂く事になりました。すでにチケットをご購入(ご予約)して頂いておりますお客様、ならびに関係者各位の皆様方には多大なるご迷惑をお掛け致しまして誠に申し訳ございません。スタッフ一同心から深くお詫びを申し上げます。

【各プレイガイドによるチケット払い戻しに関して】

払戻受付期間:11/6 (水) 〜 11/21 (木) (お買い求めの各プレイガイドにて対応させて頂きます。)

【払戻方法詳細】
※各プレイガイド、チケットの引取方法等により手続きが異なりますので、ご注意ください。

e+ (イープラス): https://eplus.jp/page/eplus/refund1/index.html

チケットぴあ: https://t2.pia.jp/guide/refund.html

ローソンチケット: https://l-tike.com/oc/lt/haraimodoshi/

お手数をおかけしますが、よろしくお願い致します。


三田 格
アンビエント・ディフィニティヴ 1958-2013

(ele-king books) [単行本]
Pヴァイン

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 小規模ながら毎度非常に密度の高いトークを聞かせてもらっています! 音楽書の新刊を紹介するイヴェント〈Songs in the Bookshel: 本棚の音楽〉、またele-king books新刊から取り上げていただけることになりました。『AMBIENT Definitive 1958−2013』、解体してもらいましょう!
 本書刊行後、おそらく三田氏のなかではすでに2013年に加筆したい書き漏れ作品もたくさんエントリー中のはず。定番や名盤から珍盤、超新作の情報や感想、また制作裏話なども聞けるのではないでしょうか。出演者との距離が非常に近く、気軽に声をかけることのできる雰囲気のイヴェントなので、ぜひぜひ「三田さん」「野田さん」と呼びかけてあげてください! 同席するのは紙/web ele-kingでも人気のツンデレシンセマニア絵師、倉本諒!


音楽書の新刊を紹介するイヴェント〈Songs in the Bookshel: 本棚の音楽〉、第2回にはele-king booksの『AMBIENT Definitive 1958−2013』を取り上げます。『アンビエント・ミュージック』『裏アンビエント・ミュージック』を統合した決定版であり、さらにここ2、3年で新たな局面を迎えたアンビエントという音楽を捉えようとした野心的な一冊です。
「アンビエント観」の変化とは、大きく言うと音との向き合い方が大きく変わってきているということなのではないか。監修者の三田格さんを筆頭に、寄稿者の野田努さん、倉本諒さんをお迎えしてじっくりお話をうかがいたいと思います。

■Songs in The Bookshelf [本棚の音楽]
#2 変容する「音と意味」
『AMBIENT definitive 1958-2013』をめぐ
って

https://boutreview.shop-pro.jp/?pid=63535606

[出演] 三田格、野田努、倉本諒、大久保潤
[日時] 2013年9月24日(火) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] Live Wire Biri-Biri酒場 新宿
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
[料金] 1500円 (当日券500円up)

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します。参加費は2800円です(当日参加は3000円)。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。
※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。
※ご注文者には整理番号をメールでご連絡します。
 お申し込み時に住所をご記入いただきますが、チケットの送付はいたしません。
 当日会場受付にて、名前、電話番号、整理番号をお伝えいただければ入場できます。
※満席の場合は、立ち見をお願いいたします。
※お支払い後のキャンセルは一切受け付けませんのでご注意ください。
※銀行振り込み決済の締め切りは9/20(金)午後3時、カード決済の締め切りは当日午前0時です。


interview with CUT CHEMIST - ele-king


Cut Chemist Presents Funk Off - Vox populi! And Pacific 231
RUSH! PRODUCTION/AWDR/LR2

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 グランドマスター・フラッシュが〈サム・ビザール〉時代のキャバレ・ヴォルテールやクロックDVA、スーサイドの音源をスクラッチしている姿を想像しよう。ゴシ、ゴシ、ゴシ......ノイズ/インダストリアル・サウンドとヒップホップの接近、これはいま起きていること。ロンドンの〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉はアイク・ヤードの12インチをリリース、東京の〈ブラック・スモーカー〉はEP-4の12インチを出している。

 さて、カット・ケミストといえばジュラシック5であり、そしてなんと言っても"レッスン6"で、言わば一時期代を築いたターンテーブリスト、1990年代半ばに、ヒップホップというジャンルにおいてDJというポジションの重要性をあらためて主張した、「リターン・オブ・DJ」のひとりである。1997年の『ディープ・コンセントレーション』というエポックメイキングなコンピレーションの1曲目が"レッスン6"だった。ゴシ、ゴシ、ゴシ、コスって、コスって、カットアップという、ヒップホップDJのもっともラジカルで、威勢良く、格好良いスタイルのDJだ。
 DJシャドウのように、この手のDJは中古レコードを掘るところからはじめるのでレコード・コレクター(レアグルーヴ)道にも通じるわけだが、この度カット・ケミストが目をつけたのはファンクでもサイケでもない。ポストパンク、それもフランスの、ミュージック・コンクレートとUKインダストリアルの影響下で生まれたふたつのバンド、ヴォックス・ポプリ!、そしてパシフィック231、である。
 「初期インダストリアルとポストパンクのカセットの中から、エレクトロ、パンク、インダストリアル、ミュージック・コンクレートの境界線を横断するユニークな音楽を僕は探求するようになった」とライナーノーツでカット・ケミストは書いている。「彼らはプレゼンテーションにも力を注ぎ、独自のアート、音楽、文学を組み合わせたカルチャーを生み出していた。僕にとって、ヒップホップのパラレル・ワールドを発見したかのような感覚だった。両方のカルチャーは同時代に誕生し、同じツールを利用し、同じDIY精神が貫かれていた。この先何年間も僕はこの世界に魅了され続けると確信していた」
 カット・ケミストが企画した『ファンク・オフ』にはヴォックス・ポプリ!とパシフィック231の音源が20曲(+ボーナストラック3曲)収録されている。ヴォックス・ポプリ!の"ファンク・オフ"という曲は、どう考えても5年早いドレクシアで、もっとも注目度の高い"メガミックス"という曲はアフリカ・バンバータの不吉極まりないインダストリアル・ヴァージョンで、テープを使った逆回転/早回しというアナログな技もたまらない。レア度が高いだけのオタクっぽい選曲ではなく、しっかり「現在」、それもけっこう尖った「現在」にアクセスしているところはさすがカット・ケミスト。発掘された、古くて新しい音楽がここにある。

ヒップホップとミュージック・コンクレートが実は近い存在であり、同じアプローチで音を操作しているということを伝えようとしてるんだ。その類似性が僕の興味をそそった。実はこれまでの僕のすべての作品においてリール・トゥ・リール・テープを使ったことがあるんだ。

『ファンク・オフ』にはびっくりしました。ポストパンク時代のフランスに、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231のような音があったなんてまったく知りませんでしたし、作品自体も古くなっていないどころか、むしろいま聴いて新鮮に思えます。最近は、ヨーロッパの若い世代のあいだでもインダストリアル・サウンドがリヴァイヴァルしていますが、すごく良いタイミングでのリリースだと思います。

カット・ケミスト(以下、C):実は、この音源は2007年から貯めてあったんだよ。数年前よりもこの手の音楽のマーケットが広がったから、リリースすることを待って良かったと思ってる。コールドウェイヴ、ミニマル・シンセ、ポストパンクなどがここ数年でリヴァイヴァルしたことは知ってるんだ。この音楽がいまでも評価されてるのは、制作メソッドと哲学がしっかりしてるからだと思う。ヴォックス・ポプリ!のアクセル・キルーは、1940年のフランスで生まれたミュージック・コンクレートのメソッドを取り入れていた。

いまのところ反応はいかがですか?

C:こういう音楽は2007年からプレイしているし、僕のデビュー・ソロ・アルバムでサンプリングしている。みんなの反応はいつも良いよ。初めてこの音楽を聴いた人は、たいてい僕がプロデュースした音楽だと思うんだ。それは僕が作った"Storm"という曲が"Mega Mix"をサンプリングしてるからなんだ。この曲は注目されたから、ファンはこのサウンドが僕の一部だととらえてくれるみたい。

あなたはいま、インダストリアル・サウンドがリヴァイヴァルしていることを知っていましたか? 

C:ああ、このリヴァイヴァル・シーンが数年前から盛り上がりはじめたことは知ってたよ。

あなたがポストパンクやインダストリアルにまで触手を伸ばしたことで、ジュラシック5時代のファンからのブーイングはありませんでしたか? ソウル/ファンクのリスナーは、やはりブラック・ミュージック特有のグルーヴが好きでしょうし、ポスト・パンクやインダストリアル系のアグレッシヴで、冷たく暗い響きを求めているようには思えませんが。

C:プレゼンテーションの方法がよければ、誰でもこの音楽は好きになると思う。ジュラシック5のファンはけっこう幅広い音楽を聴いているしね。それに、最近はトラップ・ミュージック、EDM、エレクトロが流行ってるし、この音楽のサウンドがそれに近いから理解されやすいと思うんだ。どの時代よりもいまがもっとも評価されやすいときだと思う。

80年代半前半のヒップホップは、事実、ポストパンクと結びついていました。アフリカ・バンバータ&ソウルソニック・フォースを面白がったのは、ロンドンのパンクでしたからね。あなたは個人的に、パンク/ポストパンクに対してどのような思い入れがあるのでしょう?

C:このジャンルに魅力を感じたのは、サイケデリック・ロックとヒップホップの要素が完璧にブレンドされてたからなんだ。ドラムマシンとテープ・ディレイが多用されていて、これはヒップホップの制作ツールと同じだ。それにヒップホップ初期のレコードがプライヴェート・プレスだったのと同じように、このジャンルのレコードもプライヴェート・プレスの作品が多かった。このジャンルに惹かれた主な理由はそれだよ。

レコード・コレクターの立場として、ポスト・パンク/ニューウェイヴに目を付けた理由は何でしょう?

C:ニューウェイヴに興味をもったのは、このタイプの音楽が誕生した僕のティーンエイジャー時代以前の時期を思い出させてくれたからだよ。どこか聞き覚えがあって安心できるサウンドだったからコレクションしたくなったんだ。

作品のレア度という価値観とは別に、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231はいま聴いても音楽的にすごいインパクトがあります。アートして、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231の音楽からあなたはどのようなインスピレーションを受けましたか?

C:自分の音楽作りをする上で、もっとエレクトロニックなサウンドを取り入れて、オーガニックな楽器とは違う音色を使うインスピレーションをこの両方のグループから受けたよ。彼らの音楽を聴いてから、シンセの使い方を覚えたり、サンプリングとこのスタイルの音楽を組み合わせる方法を探ってるんだ。

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ヴァナルとテープは、20世紀においてもっとも好まれたフォーマットだった。ヴァイナルは音楽を保存する上でもっとも優れたフォーマットだけど、昔と違って音楽をシェアするもっとも簡単な方法ではなくなった。


Cut Chemist Presents Funk Off - Vox populi! And Pacific 231
RUSH! PRODUCTION/AWDR/LR2

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ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231以外にもレアなレコードをたくさん見つけていると思いますが、この先、何らかの形で発表する計画はありますか?

C:このジャンルの音楽はコレクションしはじめて何年も経ってるので、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231に似たグループはたくさん見つけてきたけど、彼らほどのレヴェルのグループはなかなか見つからない。そういう意味で、とてもユニークなコンピレーションに仕上がって嬉しい。

日本のこの時代の音楽で探しているものはありますか?

C:こういうタイプの音楽は世界中で探してるよ。

『ファンク・オフ』のブックレットでは、当時のジンのヴィジュアルも大々的にフィーチャーしていますが、すごく良いと思います。こうしたジンなんかも蒐集しているのでしょうか?

C:どの時代の音楽をコレクションしているときもそうなんだけど、カセットやLPに付録でついてくるアイテムが大好きなんだ。1988年に、8x10インチの写真入りのマスターズ・オブ・セレモニーのLPを入手してから、付録アイテム付きのレコードにハマってるんだ。

『ファンク・オフ』のフロント・カヴァーにどのヴィジュアルを使うのかに、他にもいくつも候補があったことで、迷いはありせんでしたか?

C:たしかに選択肢はたくさんあったけど、このアートワークにコンピレーションのすべての音楽的要素が凝縮されてると思った。ダークでありながらもユーモア・センスが注入されていて、ちょっとバカカバカしくて、女性性と男性性の両方の要素も入っていた。基本的に、この音楽性がそのまま視覚的に表現されてると思ったんだ。�

ヴォックス・ポプリ!はピエール・シェフェールのミュージック・コクレートからの影響もあるし、あなた自身ライナーで指摘しているように、ヒップホップはピエール・アンリから多大な影響を受けていますが、あなた個人、現代音楽(アヴァンギャルド)に対する興味はどの程度あるのでしょうか?

C:コンセプチュアルな意味で興味がある。僕はそういうアヴァンギャルド系のコレクターだったことはないけど、アヴァンギャルド系に影響されたふたつのジャンルにいまなら親しみがあるから、コレクションする可能性は高くなった。僕のコレクションのもっとも古いレコードは、50年代半ばから後半のものなんだ。それよりも古いレコードをまだ集めたことはない。

ヴォックス・ポプリがテープでこすって(スクラッチのようなことをやって)ますが、ああしたプリミティヴなアナログ機材を使っての工夫は、現代のラップトップ音楽への批評としても見せることができるんじゃないでしょうか? 

C:このコンピレーションを通して現代の音楽を批評してるわけじゃない。ヒップホップとミュージック・コンクレートが実は近い存在であり、同じアプローチで音を操作しているということを伝えようとしてるんだ。その類似性が僕の興味をそそった。実はこれまでの僕のすべての作品においてリール・トゥ・リール・テープを使ったことがある。最新のアルバムでは、ドラムをレコーディングするために24トラックのリール・テープを使用したばかりだよ。"Funk off megamix"でもその模様はチェックできるよ。

レコード・コレクターとしてのあなたの哲学を教えていただけますか?

C:まずは第一に音楽を大切にすること。僕にとってメディアムは二の次なんだ。レコードコレクターのなかには、音楽そのもよりも物体としてのレコードを大切にしている人がいるけど、僕はそういう考え方ではないよ。

コレクションに興味をなくして、売ってしまったことはありますか?

C:絶対にないね!

レコードとは20世紀の産物であり、ノスタルジーだと思いますか?

C:それはあるね。どの世代にももっとも好まれたメディアムがあると思うんだ。ヴァナルとテープは、20世紀においてもっとも好まれたフォーマットだった。ヴァイナルは音楽を保存する上でもっとも優れたフォーマットだけど、昔と違って音楽をシェアするもっとも簡単な方法ではなくなった。

最近アメリカのインディ・シーンではアナログ盤とカセットテープでのリリースが増えていますが、良い傾向だと思いますか?

C:ノベルティとアーカイバルの意味では良い傾向だと思う。テープは時間の経過と共に磁気を失ってしまうけど、ヴァイナルは大切に保管すればもっと寿命が長いんだ。ヴァイナルの需要が高ければ、音楽は商品としてもっと売れるので、それは良い傾向だよ。これからは、ファンが音楽に投資する気持ちがないといけないんだ。ヴァイナルはそれを実現させるための最善の方法だと思うんだ。

今回の『ファンク・オフ』は、イタリアのコレクターを通じて知ったそうですが、このようなコレクターのネットワークとはいかなるものなのでしょうか?

C:こういうタイプの音楽のコレクターのネットワークはたしかにあるよ。そのイタリアのコレクターはニューウェイヴ系のコレクターではなかったけど、ユニークな作品だったからこのレコードを持っていた。彼はあらゆるジャンルのレコードを集めて売ってたんだ。彼はとくにプライヴェート・プレスのユニークなレコードを何でも集めてる。

いま、コレクションは何枚ぐらいありますか? そして、どのように整理しているのでしょう? 日本にもコレクターは多くいますが、あなたがレコードの管理にもっとも気を遣うのはどんなところでしょう?

C:レコードの枚数は知らないけど、レーベルごとに整理している。レーベルで整理できないレコードは、世界のどの地域でリリースされたかというカテゴリーで整理するんだ。アーカイヴとして集めるレコードとは別に、頻繁に聴いたりプレイするレコードの保管には気を使ってるよ。

最後に、今後のあなたの予定を教えてください。

C:このコンピレーションのリミックスをリリースしたいのと、このカタログを今後どのように利用できるかをさらに探っていきたいね。


 ヴォックス・ポプリ! のアクセル・キルーの母親は、1958年から1962年にかけてピエール・シェフェールの元で働いていた。父親は映画業界で活動1952年に出版された『映画のシュルレアリスム』の著者でもある。ヴォックス・ポプリ! は、「民衆の声」という意味。

 レイバーディ・ウィークエンド(日本でいう勤労感謝の日、9月最初の週末)に、ブルックリンのインディ・レーベル〈キャプチャード・トラックス〉の5周年記念パーティ(CT5)がブシュウィックのビアガーデンのウエルで開催された。ラインアップは以下の通り。

DAY 1  8/31 (sat)
HEAVENLY BEAT (ヘヴンリー・ビート)
CHRIS COHEN (クリス・コーヘン)
MINKS (ミンクス)
BLOUSE (ブラウス)
MAC DEMARCO (マック・デマルコ)
DIIV (ダイヴ)

DAY 2 9/1 (sun)
ALEX CALDER (アレックス・カルダー)
SOFT METALS (ソフト・メタルス)
SPECIAL GUESTS (スペシャル・ゲスツ)
WIDOWSPEAK (ウィドウスピーク)
BEACH FOSSILS (ビーチ・フォシルス)
WILD NOTHING (ワイルド・ナッシング)

 チケットは1日$30。同じ日(8/31)にユニオンプールのサマー・サンダーでサーストン・ムーアとダニエル・ヒグスをフリー見たあとに$30(!)と思ったが、フェスが終わる頃にはそんなことも忘れた。

 〈キャプチャード・トラックス〉は、設立者マイク・スニパーのバンド、ブランク・ドッグス他、ダムダム・ガールズ(マイクは初期ダムダムのメンバー)、グラス・ウィドウ、オーシーズ、レターエス、ヴェロニカ・フォールズなどのバンドのシングルから、最近はビーチ・フォシルス、ワイルド・ナッシング、スウェーデンのホログラムス(インタヴュー最後でマイクが話している、彼の聞きたかったパンク・バンド)などをリリースしている。モノクローム・セット、クリーナーズ・フロム・ヴィーナス、ウェイク、サーヴァンツなどの、英国バンド、シューゲイザーの再発にも力をいれている。また、このフェスの週末から、ヴァイナルのみのレコード屋もグリーンポイントにオープンした。
https://capturedtracks.com/news/captured-tracks-shop-now-open/

 2日目のスペシャル・ゲスツ、ダイヴ、ビーチ・フォシル、ワイルド・ナッシング、マック・デマルコのスーパーグループ(シット・ファーザー)では、〈キャプチャード・トラックス〉から再発されたクリーナーズ・フロム・ヴィーナスの「オンリー・ア・シャドウ」、「ヴィクトリア・グレイ」、レーベルオーナーのバンドであるブランク・ドッグスの「ティン・バード」のカヴァー。
 その他、ザ・ウェイク(ボビー・ギレスビーが一時メンバーだった)の「ペイル・スペクトル」では、コールがブラウスのチャーリに変装(?)してプレイ。ワンピースと黒のロングヘアで、本物と同じぐらい可愛いし、このスーパーグループは、レーベルのいまと再発バンドを楽しめる良い企画だった。



 ウィドウ・スピーク、ビーチ・フォシルス、ワイルド・ナッシングと代表アーティストを続けて見たが、何層にも重なったギター・サウンドやファジーなガレージ・ロック、ドリーミー・ポップなどすべてにスーパー・バンドで見たような80年代の英国音楽の影響を感じさせながら、独自の音楽を発展させていた。物販テーブルでは、お客さんやスタッフたちが情報交換し、一番前でノリノリの人から、後ろでまったりしている人、いろんな種類の人が〈キャプチャード・トラックス〉を軸に集まっていたのは、一昔前のインディポップ・フェスっぽくもあった。

https://www.brooklynvegan.com/archives/2013/09/mac_demarco_col.html

 以下、レーベル設立者のマイク・スニパーへの話をバッド・ヴァイブスのサイトから抜粋。
https://www.gimmebadvibes.com/...

〈キャプチャード・トラックス〉の声明を教えてください。

マイク(以下、M):メジャー・リリースがないアーティスト、PRをすでに築き上げているアーティストにサインすること。音楽が一番だけど、レーベル関連の考えには疑問を持っていたから、〈クリエイション〉、〈ファクトリー〉、昔の〈4AD〉の凄さについて考えさせられた。彼らの主要アーティストはそのレーベルに最初からいるし、〈クリエイション〉に関してはアラン・マッギーに発見され、その後盗まれている。
 現代のたくさんのインディ・レーベルより、60~70年代のメジャーがイケてた頃の、たとえば60年代の〈アトランティック〉や70年代後期から初期80年代の〈サイア〉のことを考えてみようよ。現代とは違う時代だけど、少なくとも彼らは、『ピッチフォーク』や『NME』のお墨付き(もしくはそれに値するもの)を待つことなく、新しい才能を見つけることに頭を使っていたし、それに賭けていた。もしエコー・アンド・ザ・バニーメンがいま現れたら、たぶんアンダーグラウンドのためのレコードを作って終わっていると思うし、すべてのメジャー・レーベルやコロンビアは目も向けなかっただろうね。スミスやジーザス・アンド・メリーチェインがデモを送っても「お墨付きがない」というだけで無視されてただろうね。

レコード会社やレコード会社というコンセプトは、2000年代に終わってしまったと考えますか?

M:ここ5年、たくさんのレーベルは自分たちの好みでアーティストを開拓しようとしていないのはたしかだね。僕のヒーローのひとり、ダニエル・ミラーは「ミュートは働いていた人の好みの反映だったから良いレーベルだったし、レーベルを信用する人たちにも反映していた」と言った。デペッシェ・モードやイレージャーだけでなく、ノン、ディアマンダ・ガラスみたいな違ったモノをリリースしていたことが素晴らしい。まさに理想だよ。アイデンティティを持っていても、レーベルのリリースは音楽のスタイルで制限されていなかった。だいたい現代では、ほとんどの人が去年のベストワン・レコードがどのレーベルから出てるかなどは気にしていないだろう。

あなたが指摘した、ヒップなレコード会社のA&Rが欠けているという点は面白いと思います。レコード会社は、昔からのレコード会社というより、ブログ的な物になると思いますか?

M:ブログを非難しているわけじゃないよ。というか、実際たくさんのレコード・レーベルは『ピッチフォーク』や『ゴリラVSベア』や『20ジャズ・ファンク・グレイツ』、『ステレオガム』なんかに借りがあるから。彼らが音楽を発見し、熱狂的になるのに文句を言う筋合いもない。でも、これらのひとつが反応を示すのを待っているという現代のA&Rポリシーはかなり問題だよね。だから、A&Rなんてものは除去して、会計士に取引させておけば良いと言ったんだ。だって、自分のレーベルから最初のリリースがないなんて、それではいったいレーベルの役割って何なの? おいおい......。

〈キャプチャード・トラックス〉は、あなたが最初に持っていた7"のヴァイブをもつ良い名前ですね。なぜこの名前にしたのですか? また、あなたの音楽の選択にどのように反映していますか?

M:僕が、声に出して良く言ってたから、僕のガールフレンドが、「レーベル名に良いんじゃない」と言った。当時は、レーベルがどこまでいくのか想像もしてなかったら、名前を選ぶのに深く考えてなかったし、「OK、じゃあそうしよう」って感じだった。ただ、●●●レコーズとか、レコーズで終わる名前だけにはしたくなかった。

〈キャプチャード・トラックス〉が行き着く、最終的な美しい形はどうなりますか?

M:まだ100%定義しているわけじゃないけど、アイデンティティを持っているバンドが好きだ。音楽的には多くなくても、僕以外にその人がすべてのバンドが好きというケースが作れたら嬉しい。例えば、ティム・コーヘンはソフト・メタルに似ていないし、ソフト・メタルはワイルド・ナッシングに似ていないし、ワイルド・ナッシングはソフト・ムーンに似ていない。
 視覚的には、アートやデザインのバックグラウンドがあって、最初は工場のように、僕がデザインするシステムに入れるよう遊んでみる。サクリッド・ボーンズが既に似たような事やっていたんだ。僕がケイラブ(Caleb)のレーベルからEPをリリースしたときに、ケイラブのLPフォーマットを発展させた。僕らが相互にデザインした(定番レコードをベースにした)何かでつながっていくのは良いと思った。去年のゾラ・ジーザスのレコードを見て、「僕らがデザインしたブランク・ドッグスEPデザインはまだまだ強い」と思ったな。話が逸れたけど、〈キャプチャード・トラックス〉は、このルートでは行かないと決めて、それはよかったと思う。できたときのアートワークに意見は言うけど、アーティストに僕の美学を押しつけたくないから。サクリッド・ボーンズを否定しているんじゃないよ。僕はファンだし、見栄えも好きだ。

〈キャプチャード・トラックス〉の再発シリーズも楽しんでいますが、インターネット文化のなかでは、再発の紹介やリリースは新しいバンドとして無理があると思いますか?

M:僕たちが手がける再発は、所属アーティストに関連しているけど、尊敬の念を込めて推そうとしているわけでもない。元レコード屋店員、現在レコード店経営者という立場から言えば再発市場は強い。再発のために新しいレーベルをはじめるというプレッシャーがあったけど、いまと昔のバンドに迷惑になると思った。これが存在しないふりをして新しいレーベルでリリースするなんておかしいよね。
 僕らのアーティストは自分のことをやっている。リヴァイヴァルではないが、彼らの影響は無視していない。「進行のための進行」はよいが、ヴィジュアル・アート界がすでに成し遂げている。「そこからどこに行くのか」というぐらい、70年代のミニマリズムに行くまで、ヴィジュアル・アートはあっという間に進んだ。ヴィジュアル・アートはそれ以来、過去や技術について考え直すことに戻ってきた。すでに発掘されたことは、発掘され終わったことを意味しないと気がついたからね。音楽ライターは、まだそれで奮闘していると思う。それらを書類棚に寝かせてしまうには、あまりに用意ができすぎて軽蔑的だから。

一番驚いた成功は何ですか?

M:ソフト・ムーン。「これは良いレコードだね。たぶん2000枚は売れるんじゃないかな」ぐらいに僕は思っていたけど、それをとっくに通り越した。素晴らしい。つい最近まで、メインストリームのインディにこんな音楽が入る場所はなかったのを覚えているし、こうなることに貢献できたのも嬉しい。

〈キャプチャード・トラックス〉はサイト上をミックスし、インターネットをうまく包含していますね。インターネット文化内で働くことがレーベルを保持できたと思いますか?

M:もちろんテクノロジーの利益を無視したりしないよ。僕らはニューポートのボブ・ディランを見捨てるピート・シーガーじゃない。レーベルのアーティストが「僕らはデジタルはしない」と言ったけど、「何で?」と答えた。単純な質問だけど、まだ良い答えをもらっていない。デジタル技術は、物理的フォーマットやメジャー・レーベルがやっていることを殺さなかったし、誰かが本当にレコードを買いたいと思ったら、いまでも買う。たくさんの人は、消費者を過小評価していると思ってるよ。人びとはアーティストを支持したいし、彼らの努力を認識する何かを持ちたいと思っている。デジタルを買う人はそのなかの一部だ。彼らはレコード、CDプレイヤーを持っていないからね。それらを得る一つの選択として、メディアファイア上で、誰かが裂いた歌を盗んで欲しい? 人びとに支持する機会を与えようよ。

音楽に関して、英国はこれから来るバンドなどに対して停止しているように見え、アメリカは有り余るような刺激的なことが起こっているように見えます。どう思いますか?

M:これに関しては長く話せるよ。でも僕が事情に通じている見解を持っているとも言いがたいけどね。英国では、アメリカ、ヨーロッパ大陸、日本、オーストラリアと違って、遺産という感覚が少ないと思う。音楽とは別の何かどんちゃん騒ぎでもないと勢いを表せない報道のやり方に問題ありだよね。何でもかんでも新しい物につばを付けるようなものだ。
 陸的にも近く、英国とほとんど同じ市場ということもあるけれど、フランスやドイツがいまだ英国プレスに支配されているのが不思議だよ。アメリカのバンドはヨーロッパで売れるためには、いくつかの例外はあるけど(スペイン、イタリア、スウェーデン)、英国でのブレイクが必要で、なぜヨーロッパ大陸が自分たちの国のプレスを発展させないのか疑問だ。僕は支持するけどね。
 英国には、何よりも先にマネージャーをつけるという慣習がある。僕は、マネージャーは自分たちが本当にマネッジが必要になったときにつければ良いと思っている。僕たちは英国マネージャーから終始求められるけれど、マネージャーがついた名もないバンドにサインするのは順番で言って最後だね。いまは2013年だぜ。レコード売り上げのグラフをみて、君の7インチか何かに会計士が必要なのかな? 違うでしょう。決してマネージャーを否定しているわけじゃないけど、そこにはしかるべき時期ってものがあるんじゃないかな。マネージャーをつけることより、自分たちで歌を録音して、ショーをして、レーベルと話すのが先だ。マネージャーが長所を証明するのに必要なぐらい、十分なことが起こるのを待って、マネージャーに彼が君のディールを見つけたと証明させないようにね。
 これはただの意見だよ。バンドはしたいようにすれば良いんだ。でも僕は、7インチもリリースしていないバンドのマネージャーと取引することはしないってことだ。過去、英国の音楽のすべてのサブジャンルに対する世界的な影響が明白だったということは、恥じるべきだと思う。ニルバーナなどのアメリカの90年代は、ビッグ・ドラムやメタリック・ギター・サウンドを人気とし、アメリカのギター・ベースのインディ・ロック・バンドは英国の影響を殺し、さらにメタルになった。ブラーやスエード、パルプなどのメロディ重視のバンドはアメリカでは比較対象として無視されていたし、英国の音楽プレスでは内部の見解を作成し、長すぎたブリット・ポップにも関わらず、戻ってこなかった。僕はアメリカ人だから、他に何があるのかわからない。

他には、どんなレコード、バンドをチェックすれば良いでしょうか?

M:レーベル以外で? 2011年に出たニューラインというバンドのセルフLPがよかったよ。誰も気にしてなかったけど僕は好きだった。他には......わからないな。すべてがまわりにありすぎるよね。ハードコアじゃなくて、明らかにパンクでもない、ただアグレッシヴな新しいパンク・バンドが聴きたいかな。聴いたときにわかるよ。誰かリリースしてくれないかな。だって、最近は50~60年代のジャズばかり聴いているから。

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 このフェスの週末にオープンしたレコード店にもお邪魔した。白を基調としたクリーンなイメージの店内で、キャッシャーの後ろにはレア盤がずらりと並んでいる。その奥にはオフィスがあり、パックマン、ギャラガーなどの、昔なつかしのゲーム・テーブルもあった(マイク曰く、バンドやスタッフとのコミュニケーション道具だとか)。店内には、レーベル・アーティストがピックアップしたお勧めコーナーがあり、さすが元レコード屋と思わせる、隅から隅までチェックしたくなるインディ泣かせなセレクションを。「自分の感覚を信じて、消費者に機会を与えることが僕の役目」と言いながら、「ゲームする?」と一緒にギャラガーをプレイしてくれた。5年目、〈キャプチャード・トラックス〉の挑戦は続く。


Buffalo Daughter
ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter

U/M/A/A Inc.

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 9月22日(日)、代官山UNITにてBuffalo Daughter結成20周年の記念イヴェントが開催される。その名も〈Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO〉。実際にベスト・アルバムにも名を連ねる豪華ゲストたちの参加が、続々と決まっているようだ。KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)、日暮愛葉(THE GIRL)、有島コレスケ(told)、小山田圭吾、立花ハジメ、Avec Avec、Kosmas Kapitzaベテランからフレッシュなアーティストまで、さすがの幅広さ。
 来場者には貴重な特典も準備されている。「Playbutton(プレイボタン)」をご存知だろうか。本体にフラッシュメモリーと音声データの再生用ソフトウェアなどが内蔵され、その用途をめぐって新しい可能性が期待されている缶バッジ型の音楽プレイヤーだ。当日は、あちらこちらで耳にするようになってきたこの新ガジェットに、なんとその日のライヴ音源1曲をインストールしたものが配布されることが決定しているとのこと。バッジのデザインは立花ハジメ! このチケットについては売り切れ必至、ぜひチェックしてみよう。


結成20周年を迎え、初のベスト『ReDiscoVer.』をリリースしたバッファロー・ドーターが、アルバム参加のゲスト陣を交えた豪華アニバーサリー・ライブを開催!

また、追加情報として、10月5日(土)、6日(日)の2日間、箱根は富士芦ノ湖パノラマパークにて開催される音楽フェスティバル〈天下の険〉にBuffalo Daughterが出演する事が決定。

東京からもアクセス容易な最高のロケーションで良質な音楽を提供するこの野外イヴェントは昨年からスタート。今年も、吉田美奈子、Cosmic Blessing Ensemble〈Calm×CitiZen of Peace×Kakuei×Kaoru Inoue×Kuniyuki×Yuichiro Kato〉、DJ NOBU、Nabowaら、ユニークなラインナップで注目を集めている。野外でBuffalo Daughterのライヴを体験することは飛び切りの体験となるはずなので、こちらもお見逃しなく!!

Buffalo Daughter の20周年記念ベスト・アルバム『ReDiscoVer.』は〈U/M/A/A〉から発売中。ライヴに足を運ぶ前にぜひチェックを!!

■Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO

日時:2013年9月22日(日/祝前日)  OPEN 18:00 / START 19:00
会場:代官山UNIT

GUESTS:
KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS) / 日暮愛葉(THE GIRL) / 有島コレスケ(told) / 小山田圭吾 / Kosmas Kapitza / 立花ハジメ / Avec Avec

チケット:
ADV.4,000yen(tax incl./without drink)*もれなく20周年記念特典付
前売チケット取扱:ぴあ(P:207-986) / ローソン(L:78864) / e+

More information:UNIT 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com


■箱根ミュージックフェスティバル 天下の険2013 ~厳選音泉掛け流し~

日時:2013年10月5日(土)、6日(日) 2日間開催
会場:
富士芦ノ湖パノラマパーク 特設エリア
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根143-1
https://www.princehotels.co.jp/amuse/hakone-en/play/access.html

出演:
吉田美奈子、indigo jam unit、Cosmic Blessing Ensemble、SILENT POETS 他

開場時間:
10月5日(土) 開場 11:00 開演 13:00 終演 22:30 予定
10月6日(日) 開場 08:00 開演 10:00 終演 20:00 予定

入場料金:
前売り券
2日券 ¥10,000 / 1日券 ¥6,000
当日券
2日券 ¥12,000 / 1日券 ¥7,000

主催: 天下の険実行委員会
イベントオフィシャルHP:https://tenkanoken.jp/

■CD情報
Buffalo Daughter
『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』
発売中!!
UMA-1022-1023、¥2,600 (tax in)

●1CD+書き込み可能な生CD-R付
●バンドヒストリーを綴った24P カラーブックレット+解説・歌詞・対訳付
●初回のみICカードステッカー*付
*交通機関用非接触型ICカードに貼ってデコレーションできるステッカー

●トラックリスト
1. New Rock 20th featuring KAKATO (環ROY×鎮座DOPENESS)
2. Beautiful You 20th featuring 日暮愛葉&有島コレスケ
3. LI303VE
4. Great Five Lakes 20th featuring 小山田圭吾
5. Dr. Mooooooooog
6. Discothéque Du Paradis
7. Cold Summer
8. Peace Remix by Adrock
9. Socks, Drugs and Rock'n'roll Live (Sax, Drugs and Rock'n'roll) featuring 立花ハジメ
10. Volcanic Girl
11. A11 A10ne
12. Cyclic Live
13. バルーン Remix by Avec Avec
14. ほら穴  
Compiled by Nick Luscombe (Flomotion/ BBC Radio 3/ Musicity)

詳細: U/M/A/A <https://www.umaa.net/what/rediscover.html


EP-4 - ele-king

 僕は自慢じゃないが、『昭和崩御』を持っている。当時は、もうとにかく、藤原新也の写真というだけで「うわ、かっこういいな」という感じだった。ミーハー根性で『昭和大赦』も持っていたのだが、そっちは売ってしまった。『Lingua Franca-1 昭和大赦』──日本のポストパンクにおける重要なバンドのひとつ、EP-4の代表作である。
 EP-4の残忍なファンクは、たしかにいま来ている。カット・ケミストが最近編集したコンピレーション『ファンク・オフ』には、EP-4が登場した同時代のフランスのインダストリアル・ファンクが収録されている。〈ミュート〉レーベルは、この秋に〈サム・ビザール〉時代のダンス・サウンドに走ったキャバレ・ヴォルテールの3枚のアルバムを再発する。ファクトリー・フロアも新作を出した。ノイズ・インダストリアル・ファンクはたしかにいま来ている。
 9月20日、代官山ユニットでは、『昭和大赦』が最新のヴァージョンで再演される。素晴らしい!

EP-4 ワンマン・ライヴ
『Lingua Franca XXX』

日時:9月20日(金) 開場:18:30 開演:19:30
会場:東京・代官山UNIT

出演:EP-4
オープニング・アクト:山川冬樹
DJ:MOODMAN、GUNS, GERMS & STEEL
VJ:ROKAPENIS

料金:前売り4000円(ドリンク代別)
   ※チケット購入者の方には入場時にもれなく非売品7" アナログ盤をプレゼント!!
チケット:チケットぴあ 0570-02-9999 [P] 208-646
     ローソン 0570-084-003 [L] 70289
問い合わせ:代官山UNIT(03-5459-8630)

公演詳細:
https://www.unit-tokyo.com/

 EP-4の代表作『Lingua Franca-1 昭和大赦』がリリースされて今年で30年。そのアニバーサリーといたしまして、今回のステージではアルバムを丸々再現します。名づけて『Lingua Franca XXX』。
 「E-Power」「Coconut」「Similar」などの代表曲を含むアルバム『Lingua Franca』を再現する第一部と、最新リリースの12インチ・シングル『RADIOACTIVITY / Get Baby』などの新曲も交えたセッションの第二部という、最新型EP-4を堪能できる二部構成の予定です。

 メンバーは、リーダーの佐藤薫、ユン・ツボタジ、鈴木創士というオリジナル・メンバーに、山本精一、家口成樹、YOSHITAKE EXPE.、須藤俊明、千住宗臣、タバタミツルといった後輩世代の精鋭たちを加えた鉄壁の布陣。当日はオープニング・アクトとして全身音楽家の山川冬樹、DJでMOODMANと新ユニットGUNS, GERMS & STEELを、そしてVJとしてROKAPENISを迎えます。

 『Lingua Franca-1 昭和大赦』がリリースされた83年には、京都、名古屋、東京の3都市で時間差ライヴ開催を敢行するなどこれまでにもセンセーショナルな活動をしてきた佐藤薫率いるEP-4。近年、長い休息期間を経て新しいフェイズに入っている彼らが過去と未来をどうつなげていくのか。どうかご期待ください!

〈EP-4 プロフィール〉
'80年、京都のニュー・ウェイヴ系ディスコ『クラブ・モダーン』に集まっていた仲間たちで結成。'83年5月21日には京都、名古屋、東京と3都市において時間差でライヴを開催するなど、そのアグレッシヴなエレクトリック・ファンク・サウンドと、確信犯的な活動で熱心なファンを獲得する。近年活動再開。今年の5月18日にはイベント『クラブ・レディオジェニク』を主宰(恵比寿リキッドルーム)、また5月21日には結成の地・京都で約30年ぶりにワンマン・ライヴを行った(KBSホール)。また、先頃、久々の新録音源『RADIOACTIVITY / Get Baby』(Skating Pears)をアナログ12インチのみで限定リリース。フル・アルバムの発売も予定されている。佐藤薫が中心となるノイズ即興ユニットのEP-4 unit3としても定期的に活動しており、今年1月に初のアルバム『À Artaud』(BLACK SMOKER)を発表。


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