「KING」と一致するもの

第33回:パンと薔薇。と党首選 - ele-king

 それはある晴れた夏の日のことだった。
 鬱気質であまり明るい人間ではない筈のうちの連合いが、爽やかな笑顔を浮かべてロンドンから帰って来た。癌の検査で病院に行って来た男が、また何が嬉しくてこんな陽気な顔で帰ってきたのだろうと訝っていると、彼は言った。
 「ロンドンがいい感じだったよ」
 「いい感じって?何処が?」
 「いや全体的に」
 と言って口元を緩ませている。
 「なんか、昔のロンドンみたいだ。俺が育った頃の、昔のワーキングクラスのコミュニティーっつうか、そういう息吹があった」
 相変わらずわかりづらい抽象的なことしか言わないので、具体的にどんな事象が発生したのでその「息吹」とやらを知覚したのかと問いただしてみると、こういうことだった。

 自分が行くべき病院の場所を知らなかった連合いは、ヴィクトリア駅前のバスターミナルに立っていた。おぼろげにこっち方面のバスだろうなあ、と思いながらバス停のひとつに立っていたおばちゃんに「○○病院に行きたいのですが」と話しかけると、「ああ、それならこのバス停だよ。○番のバスに乗って、11番目、いや待てよ、12番目かな、のバス停、左側に大きなガソリンスタンドと貸倉庫が見えて来るから、それをちょっと過ぎたところでバスを降りて、道路を渡ったら煙草屋があるから、そこの角を右に曲がって100メートルぐらい歩いたら云々」とやたら詳しく説明をはじめ、「ああ、でも、アタシそのバスでも家に帰れるから、一緒に乗って、あなたがバスを降りる時にまた教えてあげる」と言ったそうだ。それを聞いた連合いは感心し、「いやあ、今どき、こういうローカルな知識のある人にロンドンで会えるなんて新鮮です。今の世の中はソーシャル・ディヴァイドが進んで、気安く人に話しかけれらない」と言うとおばちゃんは言ったそうだ。
 「いや、ロンドンは変わるんだ。昔のようなコミュニティ・スピリットが戻って来るんだよ」
 おばちゃんはそう胸を張り、
 「あなた、ジェレミー・コービンって知ってる?」
 と唐突に言ったらしい。
 「ああ。すごい人気ですよね」
 「彼はもう30年もイズリントンの議員だった人だよ。ロンドンっていうとすぐウエストミンスター政治って言われるけど、ロンドンのストリートを代表する政治家だっているんだ」
 バスに乗り込んでもおばちゃんは連合いの隣に座ってコービン話を続けたそうだ。
 「俺はジェレミー・コービンの言うことは全て正しいと思うけど、それと政党政治とはまた別物だから……」
 と連合いが言うと、後ろの席に座っていた学生らしい若い黒人女性が
 「私、実はジェレミーを支持するために労働党に入りました」
 と言い、脇の折り畳み式シートに座っていた白髪の爺さんも
 「ゴー、ジェレミー」
 とこっそり親指を立てていたそうだ。
 「ひょっとしてこれはコービン・ファンクラブのバスか何かですか?」
と連合いが言うと、乗客たちがどっと大笑い。みたいなたいへん和やかな光景が展開され、病院近くのバス停で降りるときにはおばちゃんがまた懇切丁寧に病院までの道筋を教えてくれ、病院に着いてからも心なしか受付のお姉ちゃんも看護師もみんな気さくで親切で、ロンドンがきらきらしていたというのだ。
 「それ、天気がよかったからじゃないの?」(実際、天気がいいと英国の人々は明るい)
 とわたしは流しておいたが、ロンドンであんなポジティヴなヴァイブを感じたのは数十年ぶりのことだと連合いは力説していた。

 それが日本に発つ前日のことで、2週間帰省して英国に帰って来てみれば、SKYニュースの世論調査で党首選でのコービン支持が80.7%などという凄い数字になっていた。
 今年の総選挙で英国の世論調査がどれほどあてにならないかということが露呈されたとはいえ、さすがにこれでコービンが労働党の党首に選ばれなかったら裏でトニー・ブレアたちが何かやってるだろう。

 しかし、たったひとりの政治家がストリートのムードまで変えてしまうというのはどういうことなのだろう。

 わたしも日本語のネットの世界ではけっこう早くからコービン推しをしてきたひとりだと思っているが、正直なところ、「どうせ彼が勝つわけがない」という前提はあった。
 ここら辺の気もちは、立候補当初から彼を全力で支援してきた左派ライター、オーウェン・ジョーンズも明かしているところで、彼も「3位で終わるだろうと思っていた」と書いている。しかも、コービンの立候補を知った時の最初のリアクションは「心配だった」と表現している。彼のいかにも政治家らしくないキャラクターが、「反エスタブリッシュメント」のシンボルとしていろいろな人々に利用されはしないかと思ったという。
 オーウェンとコービンは10年来の友人だ。いわゆる「レフトがいかにも行きそうなデモや集会」でしょっちゅう会っていたからだ。拙著『ザ・レフト』にも書いたところだが、「草の根の左派の運動をひとつにまとめてピープルの政治を」というのは、ここ数年、英国でずっと言われて来たことだ。が、オーウェンは「まだ自分たちにはその準備ができていない」と思っていたという。それがコービンの党首選出馬によって数週間のうちに現実になって行くのを見ると、左派にとっては「嬉しい誤算」というより、「へっ?」みたいな戸惑いと怖れがあったのだ。

 ビリー・ブラッグもその複雑なところをFacebookに吐露している。
「労働党の党首選には首を突っ込まないつもりだった。党員ではなく、支持者として見守るつもりだった。党内の人びとに決定させ、自分はその結果を見て労働党を支持するかどうか決めようと思っていた。コービンが立候補した後でさえ、気持ちは変わらなかった……(中略)……だが、僕の気が変わったのは、トニー・ブレアが『自分のハートはコービンと共にある、などと言う人はハート(心臓)の移植手術を受けろ』と言った時だった。僕は労働党にハートのない政党にはなって欲しくない」

           *******

 月曜日にBBC1の「パノラマ」というゴールデンアワー放送のドキュメンタリー番組で、ジェレミー・コービンの台頭について特集していた。今週の土曜日に党首が発表されるというのに、そこまでやるかというぐらいにアンチ・コービンな内容の番組だった。
 BBCは労働党のブレア派と繋がりが深いとは言え、またこれは露骨な。と驚いたが、メディアがこうした報道をやればやるほどコービン人気はうなぎ上りに盛り上がる。

 英国民を舐めちゃいかん。
 ここは昔パンク・ムーヴメントが起きた国だ。
 「それはダメ」「それだけは絶対にいけない」と言われると、無性にそれがやりたくなるのである。

           *******

 コービンに関する不安は、わたしもずっと継続して持っている。
 過去20年間UKに住んで、これだけ大騒ぎされ、まるで新興宗教の教祖のようにもてはやされている政治家を見たのは、トニー・ブレア以来だ。ブレアはあの通りギラギラとエゴが強力で、もともとロックスターを目指していた人だから、ほんとに教祖になったつもりでパワーをエンジョイできた。が、コービンのような「我」のない普通の人がいきなり国中のピープルから教祖にされたら悲劇的に崩壊しそうな気がするからだ。

 けれどもコービンについて熱く語る若い人たちや地べたの労働者たちを見ていると、ここに至る流れは確かにあったと、それを止めることはできなかったと思わずにはいられない。
 例えば昨年は『パレードへようこそ』という映画の思わぬ大ヒットがあり、英国では北から南まで国中の映画館で観客がエンドロールで立ち上がって拍手していたそうだが、あの映画でもっとも印象的なのはストライキ中の炭鉱の女性たちが有名なプロテストソング「パンと薔薇」を歌うシーンだ。


 私たちは行進する 行進する
 美しい昼間の街を
 100万の煤けた台所が
 数千の屋根裏の灰色の製粉部屋が
 きらきらと輝き始める
 突然の日の光に照らされて
 人々が聞くのは私たちの歌
 「パンと薔薇を パンと薔薇を」

 私たちは行進する 行進する
 私たちは男たちのためにも戦う
 彼らは女たちの子供だから
 私たちは今日も彼らの世話をする
 暮らしは楽じゃない 生まれた時から幕が下りる時まで
 体と同じように 心だって飢える
 私たちにパンだけじゃなく 薔薇もください   
               “Bread and Roses”


 ネットに投稿されている誰かが描いたコービンのイラストに、彼が胸に一輪の薔薇をつけている画像がある。(今ではそんなこたあ誰も覚えてないように見えるが)英国労働党のシンボルも実は一輪の赤い薔薇だ。昨日と今日にかけて、わたしは11人の英国人に「薔薇って何のこと?」と尋ねた。ひとりは「愛」だと言った。もうひとりは「モラル」だと言った。そして残りの9人は「尊厳」だと言った。

 日本で左派が「お花畑」と呼ばれることがあるのはじつに言葉の妙というか面白いが、パンが手に入りにくくなる苦しい時代ほど、人間は薔薇のことを思い出す。

 今週末、英国でついにその薔薇が再び咲くかもしれない。
 長いこと人気のない温室でしか咲かなかったその薔薇が、風雪にさらされる場所に咲いても大丈夫なのか、どうすればわたしたちはそれを枯らさずにいられるのか、これからが本物の正念場だ。

interview with SEALDs - ele-king

 デモで政治を変えられるか? 橋下某に言われなくたって、そんなの無理だと分かっている。だけどデモに変えられるものはたしかにある。それは人びとの、つまり「主権者」の考えや心だ。そして、つまるところそれだけが民主主義を護っていく。
 イラク反戦デモをやっていた時、日本のデモはしょぼかった。警察がデモ隊の隊列を250人ずつに分けさせるのでしょぼく見えたということもあったけど、全体の人数だって欧州の都市に比べたら全然少なかった。それでも、世界のどこかでもっと巨大なデモが起きていることが遠い国の私の勇気にもなった。そういう効用がデモにはある。ので、私はなるべくデモの「アタマ数」になろうと思ったのだった。
 「シーズルのデモは新しい」と言われる。この15年くらいだけど、アタマ数になって来た私から見れば、いつのデモだって新しかった。やってる人たちだって若くなっていってた。「左翼は互いの違いについて語り合うばかりで、ひとつにユナイトしないから勢力を失い、世の中を変えることが出来なくなった」(ブレイディみかこ『ザ・レフト』)──これは英国の映画監督ケン・ローチの言葉だと言うが、日本でもまったく同じだ。いつだって新しいデモがでてくるたびに、なんだかんだと“苦言”が登場するんだ。
 SEALDsは「見せ方」にものすごく拘っている。広告代理店みたい? いや、こう見えてもいままでのデモだってそういうこと考えてはいたんだ。だから「画期的!」と思えるのは、そういうところでもなくて、名前でも素顔でも露出しまくる彼らの“素”が琴線に触れることではないかと私には思える。デモは政治でもあり、ポップ・カルチャーでもある。その効力は緩やかだが、デモのない社会の民主主義は衰えていくばかりだ。
 92年生まれの奥田愛基、牛田悦正、小林卓哉、95年生まれの植田千晶に聞いた。国会はもう最後の攻防、強行採決はまもなくだろう。そのことも含め、デモについて、安保法制について。
 大学生の彼らの、高校生のデモ参加者への視線が、大人たちのSEALDsへの視線と重なり、温かく緩やかな「ユナイト」の兆しに思えた。

僕自身が得たものは……安保法制にやたら詳しくなった(笑)。日本国憲法も全部ちゃんと読んだことなかった気もするし、安保法制に関しても、なんのこと話してるんだろうと思っていたことが、いまは国会を聞きながら「あー、ここは質問しないんだ」「(この議論は)ここで終わっちゃうんだ」ということが分かるようになった。ということは、だいぶ詳しくなったということじゃないかと思います。──奥田

──まず、この間、安保法制反対のデモンストレーションをして来て、個人的に得たものと、この社会が得たと思えるものについて、それぞれの考えを聞かせて欲しいんです。

奥田愛基:得たものかー。失くしたものだったらいっぱいあるんだけど(笑)。時間とか……。

──それは次の機会にぜひ(笑)。

牛田悦正:僕は哲学の研究者になりたいんですけど、なにかを研究する時は観察者視点で上からものを見てでやることになるんです。でも運動に参加して、行為者になって、“よく分からなさ”というか、“先が見えない中で動く”という視点を獲得したというか……。なんかギャンブルなんですよね。上から観察するのは分かりやすい、“分かる”ためのことなんですが、実際にプレイヤーとして、行為者になって率先してやる時には先が見えないし、よく分からない。でも分からない中で、「それが原因なの?」みたいなことが原因となって社会が動いていく。ということを学んだと言うか……抽象的なんですが。
 どうです? (奥田に向かって)助けてくれ。

奥田:あと社会が何を得たか。

牛田:あ、社会が何を得たかっていうと、やっぱり自分が主体になるということ。当事者になって動こうという人が増えて来たことは社会的にとても良いと思っています。

──当事者として動く、ということはいままでは実感としてなかったということですか?

牛田:いや、それまでも実感としてはあったんですけど、思想の流れと言うか、日本社会全体の気持ちのあり方としては、人びとが上から目線でものを見て、たとえば「しばき隊とレイシストがいる、それぞれの正義がある」というようなものの見方から、そうじゃなくて自分が当事者であるという、地に足がついた感じですね。

奥田:以前は、コレクティヴ(集団的)に動くということには抵抗があったんですね、みんな。客観的な事実がないとダメだというような。

牛田:僕なんか、最初のデモの前日のミーティングでは最悪だったもんね。「なんだお前ら、デモやんの?」みたいな感じで。「その前にまず勉強とかした方がいいよ」なんて言ってた。

奥田:そうそう。それを「まあまあ」って。

牛田:やってみて、デモ、大事だなって(笑)。僕の政治哲学観が出来たっていうか。政治と哲学とは別のもの、つまり哲学というのは判断しないんですよ。本当にこれが正しい、全部完璧に正しいとなるまで判断しない、とにかく考える。で、悩む。でも政治っていうのは、確実に間違う。なにかに賭けてみる、決断をする瞬間のことを、僕は政治って考えていて、観察者としてじっくり考えることと、ある局面では選択する──そのふたつを行き来するということを、最近カール・シュミットとかを読んで思ったことです。

奥田:僕自身が得たものは……安保法制にやたら詳しくなった(笑)。日本国憲法も全部ちゃんと読んだことなかった気もするし、安保法制に関しても、なんのこと話してるんだろうと思っていたことが、いまは国会を聞きながら「あー、ここは質問しないんだ」「(この議論は)ここで終わっちゃうんだ」ということが分かるようになった。ということは、だいぶ詳しくなったということじゃないかと思います。
 あと、高校生を含めて、(政府や法案について)「立憲主義を分かっていない」とか「憲法違反だ」とか語り始めた。立憲主義のシステムをちゃんと理解できる人が世界中にどのくらいいるのか分からないですけど、いま日本では、憲法と権力者の関係性みたいなことがこれだけ連日ニュースで流れている。──それでも安保法制は必要だという人もいるけれど、でも、なんで憲法違反なのか、なんで憲法違反だとダメなのかということを意識したことはなかったんじゃないかと。立憲主義という言葉の意味が分かる人が、この数ヶ月ですごく増えたと思うんです。
 なんでそう思うかと言うと、礒崎さんっていう内閣補佐官がTwitterでつぶやいたんですが、立憲主義という言葉を知らなかったんですよ。東大法学部を出た人が立憲主義を知らなかった。「法の支配という言葉は分かりますが、立憲主義は…」って。つまりその人は法律と憲法の違いが分からないんですよ。そういう人が、この政府を含めて多かった。野党の人だって、これまで「立憲主義」という言葉をこんなに使ったことなかったんじゃないかと思うんで、そういうことも社会が得たことの一つかな。
 単純に怒る、声を上げることが良くなったということもあるけど、一方で牛田くんが問題としている「客観的な事実だけじゃダメなんだ」ということ。個別的な怒りから、客観的な、普遍的な知識まで手に入れつつあるんじゃないかな。民主主義についても「民主主義は数じゃないんだ」ということをTVで一般的に言える。以前、国会議事堂の駅を上がって行くと、「みんなで決めたことはたいてい正しい」という広告があったんだけど、「選挙に行けばいいじゃん、お前たち」という意見がバカっぽく見えて来ちゃった。それまでは「選挙に行けばいい」と言われると、「ああ、なんて真っ当なんだ」という感じだったけど。普通にTV見てても、そういうことに「選挙だけじゃなくて、こういうの(デモ)も大事ですよね」って言い返してくれる人がけっこういる。しかもお昼の情報番組で。これにはすごくびっくりしました。夢みたい。ほんとは当たり前のことなんですけどね。

──それを言わせるだけのものを見せ続けたということでしょう。

牛田:「僕が得たもの」でさっき言えなかったこととつながるんですが、学者とか「エラい」って言われてた人たちも実はたいしたことないんじゃね?ってことが分かって来た。

奥田:おぉぉぉー。 やばそ。

牛田:ほんと、そうなんですよ。学者が言ってることよりも、Twitterでごちゃごちゃ言ってる人の方が正しいことがいっぱいあるんですよ。僕はもう、反知性主義ですから(笑)。

2010年くらいには、みんな脱原発デモに一度は行ったことあって、だけど若い人が溜る場所はなかった。──奥田

そうです。そういう場所がないから紛れちゃう。それはそれでいろんな話を聞けて楽しかったんですけど。──植田

──植田さんはどうですか? ところで植田さんは何歳なんですか?

植田千晶:19です。高3の終わりくらいからデモにいくようになって、友だちが増えました(笑)。それまで、たとえば「秘密保護法って言うヤバいやつがあるんだよ」って友だちに言う時、なにも言えなかった。説明がヘタなんです。いまは一緒にやってる同年代の仲間がいるというのはすごく大きなことです。私は写真を撮ってるんですが、初めて行った脱原発のデモでは撮ってても緊張してた。年代が上の人ばっかりだから、友だちになってもずっと敬語を話してる。可愛がってはくれるんですけど、本当の意味で“楽しむ”というのとは違った。(特定秘密保護法反対の)SASPLのデモで抗議やってて、初めて“楽しいな”って思ったんです。それまでは抗議しても、いつも「法案通っちゃった」「原発再稼働しちゃった」「悔しい」という感情が大きかったけど、初めてポジティヴな気持ちで出来たんです。それが自分にとっては、成功体験……まだ「止めたぞ」という意味では成功していないけど、自分にとっては……大人の人がやってるものに参加させてもらってる感じだったのが、自分たちでやるということで得たものです。

奥田:2010年くらいには、みんな脱原発デモに一度は行ったことあって、だけど若い人が溜る場所はなかった。

植田:そうです。そういう場所がないから紛れちゃう。それはそれでいろんな話を聞けて楽しかったんですけど。
 あと、いまSEALDsで本を作っているんですが、普通に大学だけ行ってたらやらないだろうなということができて、それも楽しい。面白い経験をしてるなって。デザインもやってて、そういう勉強ができる学校みたいなところです。牛田くんに面白い本を教えてもらったり、そういう“知の給食おばさん”みたいな人がいっぱいいる。
 社会に関しては、以前、下北沢のライヴで出会った女の子と連絡先を交換してたんですね。こないだTBSかテレビ朝日の報道番組で私のインタヴューが使われたみたいで、その子がそれを見たって半年ぶりに連絡をくれた。その子が言うには、そういう政治的なことって(自分とは)無関係なことだと思ってたけど、千晶ちゃんがインタヴューで話してたことを聞いて、全然無関係じゃないと思ったんだと言ってくれた。自分の友だちが言ってるとリアリティーが増すということってあるじゃないですか。私の世界、社会にとってはそういう変化がありました。

──なるほど。小林くんはどうですか?

小林卓哉:自分の日常と路上に出る行為のバランスの取り方っていうか、自分たちはこの安保法制を“本当に止める”ということでやってるんですけど、仮にこの法案が止まっても止まらなくても、日本に生きてる限り、問題はたくさんある。たとえば奨学金だったり、あるいは原発だったり。そういう問題があった時に、フットワークを軽くしとくっていうか、自分の日常がいくら忙しくても、サッと、たとえば国会前に出て来られる、そういうフットワークの軽さが身に付いたと思います。
 初めてデモに行ったのは2011年の9月11日、脱原発のアルタ前のデモで、特定秘密保護法の時のSASPLのデモには、牛田に誘われて行ったんです。学生がやるって言うからどんなものかと思って……。サウンドカーって最初に見るとびっくりするじゃないですか。機材もすごくて。これを学生が手配したんだって、この人たちの行動力に感心しちゃった。すごい人たちがいるな、デカい音が出てるぞって(笑)。

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国会前に来てる人で絶望してる人はいないと思うんですよ。だってあんだけ、若い人たちが国会前にいて、当事者として、主権者として、この社会を見直そうとしてるんでしょ。もう希望しかねえじゃん、って俺は思ってる。──牛田

──そもそもこの法案に反対するいちばんのポイントはどこですか? それぞれの思うところを聞かせて。

小林:憲法違反なところがいちばんのポイントですね。権力というのはモンスターみたいなもので、手放しにしとくと暴走するんですよね。で、その権力の一個上にある法が憲法なわけですけど、これを権力がないがしろにするということはどういうことなんだと。政府に「憲法守れ」なんて言わなきゃいけない状態がすごく悲しいですね。

植田:今年の4月くらいにアベちゃんがアメリカに行って来たじゃないですか。その時に──いや、その前があったかもしれない問題(自衛隊幕僚長と米軍幹部の会談問題)がいま出て来てますけど──「夏までには決めてきますんで」って勝手に約束してきたことに、ほんっとにマジかちんと来ました。「勝手に決めるな!」って。

牛田:今の二人の話はそれぞれのシュプレヒコールに反映されてるんです。小林は「憲法守れ!」って言ってて、アチキちゃんは「勝手に決めるな!」って言ってる。これが二つのダメなところで、一つはプロセス。法案の通し方自体が民主的じゃない。それから法案の中身も立憲主義的じゃない。過程だけじゃなく中身も違憲でダブルにダメなんですよ。
 だから何がダメ?って聞かれても、全部ダメって言うしかないんですけど、それが最大の問題です。それからたとえば「中国の脅威」とか、安全保障の政策としてもおかしいってことを、これから奥田くんが言います。

奥田:(笑)コバタクが言ってるのは、国家権力というのは暴力装置で、暴力を唯一使えてコントロール出来る機関なんですよね。だから警察の存在を否定する人はいない。自衛隊はグレイだけど、でもたとえば北朝鮮が攻めて来た時にも発砲しちゃいけないと思ってる人もいないんですよ。ただし、その(今回の法整備によって)ストッパーが無くなることは、ただ単に“武力行使出来るようになる”ことよりもヤバいこと起こってくると思うんです。つまり憲法の歯止めがないままに一内閣が決定しちゃうことでどんな戦争にも参加できてしまう。武力行使に関して、いつ出来るか、どういうふうに使うかということを、ぶっちゃけ内閣に一任しちゃうという状況は、「国家が集団的自衛権を使えるとか武力行使を出来る」ということよりとは次元が違うおかしさだと思う。
 安全保障上の議論で言っても、たとえば今回、兵站=後方支援の活動をするということですけど、後方支援の活動と言ったら、国際法上、武力行使と一体なわけなんですね。“武力行使と一体”ということは、即ち憲法九条に反しているんです。しかも兵站活動は戦場ではいちばん狙われる。兵站を叩いて最前線をすっからかんにするというのが戦場のセオリーなわけで、政府が「後方支援だからいいじゃないか」というのは間違っている。たとえば日本に攻撃してる敵国の後方で補給部隊が支援してる時、普通はこれ(補給部隊)を攻撃するじゃないですか。でも今回の政府解釈だと、「兵站活動は武力行使じゃないので攻撃してはならない、攻撃できない」と言い始めたんです。それって国防上で考えてもおかしいでしょう。本来、個別的自衛権で両方対応できるのに、それを個別的自衛権で対応しませんって言い始めたということは、むしろ国防上も危なくなるんじゃないですか? 
 それから、後方支援やPKOでも武器を使えるようにするということで、これから武器を揃えなきゃいけない、訓練しなきゃならないのに「軍事費は上げない」って言ってるんです。嘘だと思いますけど、軍事費を上げないまま海外に派兵していくことになると、結果的に日本の国防や周辺領域に関しては使える予算が減るわけですよね。海外の戦争に行くことで自国の防衛が手薄になる?
 というふうに、相手の議論に乗ってあげるとしても、「中国が、北朝鮮が」って言ってることと、作られようとしている法律がかなり違うんじゃないですか。
 僕がいちばんまずいと思ってるのは、「新三要件があるから歯止めが利きます」と言ってることも、こないだのDOMMUNEでも”カッパくん”というのが紹介したんですけど、新三要件の第二と第三が法律に明文化されてない。つまり法律の専門家が見たら、パッケージで言ってることと法律の内容があまりにかけ離れているからこれは無理だと。
 憲法学者の人たちも、たぶん彼らがここまで言うことってないと思うんですよ。「“民主主義を守れ”というけど、民主主義がどうあれ憲法は憲法です」というのが彼らの役割なんで。それがいま奇跡的に立憲主義と民主主義が一致しちゃってる。一緒の立場で言える、というのは、それだけ状況が悲惨だと言うこともであるんですけど。
 だって、立憲主義の説明を憲法学の権威に言わせなくていいんじゃないか問題っていうか、そんなこと公民の教科書に書いてある。それがいま、大まじめに政府が「合憲です」「こういう解釈もあります」とかこじつけようとしてる。でも、彼らがそれを自覚的やっているのかということも、僕は最近疑っているんです。確信犯なのか本当にバカなのか? またバカとか言うと産経新聞に怒られるからなるべくバカって言わないようにしてるんですけど、確信犯だとしたら国民をバカにしてると思うし、天然なら、あまりにも憲法上の議論や安全保障の議論を理解してないんじゃないかと思いますね。

牛田:それを確信犯だとしても分からずにやってるとしても、こないだ山口二郎さんが言ってたんですけど、ジョージ・オーウェルの『1984』に出て来たニュー・スピークだって。言ってることとやってることが完全に違っているんだけど、それを聞かされ続けると「あら、できちゃうんじゃない?」みたいになってしまう。スチャダラパーのボーズも「安倍さんはめちゃくちゃなこと言ってるのに嘘つき過ぎてて、だんだんほんとっぽくなってくるから怖い」って言ってた。

奥田:SEALDsへの反論で、武藤議員とかも「日本が攻められたらどうするんだ?」と言うけど、日本が攻められたら現在の政府解釈の個別的自衛権で対応できますよって。そうじゃなくて、日本が攻められてもないのに攻撃するのはダメですよね、って言ってるのに。

──ものすごく詳しいですね。政府や政府よりの論者は「反対派は法案も読んだことがない」「戦争とか徴兵とという単語に情緒的に反応している」と繰り返していますけど、そこも彼らは見誤ってますね。みんなで勉強するんですか?

奥田:勉強会とかするんです。こないだ密着取材をしていたNHKの人に言われたんですよ。「SEALDsの主要メンバーの方が、ぜったいに議員とかより安保法制について詳しいよ」って。「この件についてどう思います?」って聞いてもちゃんと答えられる議員はあまりいなくて、コメントが使えないことがけっこうあるんだけど、SEALDsで同じように聞いても使えなかったコメントはないから。…て言うことは(笑)

──最後の質問ですが、おそらくはまもなくこの法律は成立してしまうと思います。だけど、その時に絶望しないために必要なことってなんだと思いますか?

奥田:これで通って絶望する人って本当にいるのかなあ。絶望したってポーズをする人はいるだろうけど…。だって日本社会でももっともっと悲惨だったことっていっぱいあるじゃないですか。もともと声を上げようが上げまいが通ると言われていたわけだし。だって絶望的な社会でしょ、そもそも。
 たとえば俺たちが生まれたのは90年代の初めで、バブルは崩壊してた。小学校の時に見せられたのがホリエモンのビデオで、「ホリエモンみたいになりなさい」って言われた(笑)。社会が相手にしてくれないから、自分で生きていくしかない。「ホリエモンを見てみなさい、君たちがゲームで遊んでる間にホリエモンは自分でゲームを作ったんですよ、エラいでしょう?」って言われて、「たしかになあ」と(笑)。90年代の終わり頃に見た映画とかも、なにもかもぐちゃぐちゃになってみんな死にました、みたいなものが多かったし、そういうのが面白いと思ってた。小学校のときは「バトルロワイヤル」があったし、「エヴァンゲリオン」はもうスタンダードになってた。自分の命と引き換えに世界も終わるとか。何が正常かよくわからないと言うか、この世界が安定してて、「自由とか平和とか大好き」なんていってるけど、そいつの“日常”大丈夫?みたいな…。まったくアナーキーの歌詞じゃないけど、「核兵器、戦争反対、でもどうする明日のご飯代」(Anarchy - Moon Child feat. Kohh)という感じで、きれいごと言ってるやつよりも、本音でいかに悲惨だって言ってるやつの感覚の方が超真っ当だよね。

牛田:で、だけど俺らは悲惨じゃない、というところを説明した方がいいよ。

──あ、悲惨じゃないの?

奥田:だから逆にいうと、悲惨なことがスタンダードであって……

牛田:そうそうそう。

小林:閉塞感のネイティヴなんだよね。

──閉塞感のネイティヴなんだ。

牛田:超いい言葉、それ。

奥田:バブルから経験してそれがあった、というんじゃなくて、生まれた時からずっとダウンだった。で、ダウンの中で面白いものあるよね。

牛田:ダウン極めて行くと面白いよね(笑)。大人が絶望絶望言ってると、「分かった分かった」って。俺ら最初からそれだったから。最底辺から始まってるんで、あとは上がるしかないっしょ。

──ポーズで絶望するやつはいるかもって言われたけど、いまのおとなも過去に何度も何度も失望して絶望もして、でもなにかあればまた誰かから立ち上がり始めて、でもまた負けて、というふうにして、そしてまた国会前に来てたりするんですけどね。

奥田:自分自身が社会的なことに向かっていけたのはいつ頃からなのかはけっこう分かんなくて、高校3年前ではぶっちゃけ、どうなろうが楽しいことは楽しいし、それが本音だったかどうか今となっては分からないけど、社会がどうなろうが関係なかった。なんにも期待してなかった。

小林:俺もそうだった。

──高3で何が起きたの?

奥田・牛田:震災ですよ。

奥田:震災が起きた時に、どんな映画とかどんな小説よりも断然、現実の方が悲惨。そのあとには、「日本社会はありとあらゆるものが終わった」みたいな話がポーズにしか見えなくなった。

牛田:そうそう。でも国会前に来てる人で絶望してる人はいないと思うんですよ。だってあんだけ、若い人たちが国会前にいて、当事者として、主権者として、この社会を見直そうとしてるんでしょ。もう希望しかねえじゃん、って俺は思ってる。

──それはねえ、憎らしいほど見抜かれてる(笑)。

植田:たとえこの法案は通ったとしても、私の生活はまだ続いていくから絶望してる場合じゃないんですよ。バイトしなきゃ。稼いで生きていかなきゃいけない。

──そうして、生きていく限りは「主権者」だと。

植田:そう。この社会とつきあっていかなきゃいけないわけだから、そうやって絶望する暇があったら、ご飯を食べたい(笑)。

牛田:時間のムダなんですよ、絶望するのは。

──たしかに。そうやってどんだけムダにして来たか。

牛田:でも絶望してる人たちって、諦めきれない人たちでもあるでしょう。この絶望的な状況を諦めきれないっていうか。俺らは最初からそうなんで受け入れてる。社会がダメなんてことは当然で、もう諦めてるんですね。

奥田:震災の後、「ヒミズ」が映画になって、見ちゃったら絶対落ちるだろうと思ってみなかったんだけど、結局見ちゃって、でもラストが漫画と全然違ってたんで、あとで園さんに「どうしてああいうふうにしたんですか?」って聞いたら、「希望に負けました」って言われた。諦めることを諦めたって。

牛田:“諦めることを諦める”って超重要なんですよ。絶望なんてくだらねえなって笑い飛ばす。

奥田:「守りたい普通」とか「守りたい日常」とか言ってたけど、すでに日常だいぶヤバいぞって。日常自体が壊れている。それでも生きていかなきゃいけないんだっていうのが勝つ(笑)。

──絶望も捨てたもんじゃなかったんだ。

奥田:今日、高校生がコールしてたけど、彼らはもうこういうことすらいわないんだろうなって思う。社会が絶望的で、とか、バブル崩壊がどうしたとか。
内向的で鬱屈的な高校生とか、俺らが読んでたものにはスタンダードだったけど、あの子たち見てると、もうこれが当たり前で、絶望的な中でも、また絶望しても立ち上がれちゃう。
ただ、少子高齢化とか年金のこととか、くそみたいなことばっかりだけど、それが新しい状況とも思わないんだろうな。

──SEALDsも、安保法制だけで終わる予定ではないんですね?

奥田:そうです。安保法制が通ろうが通るまいが、主権者であることには変わりないし、民主主義の問題は俺たちの問題であることも変わらない。安保法制だって、通ったあとも俺たちの問題なんですよ。次の選挙も、結局その主体は俺たちなんだと、そのことが信じられるんであれば、絶望する必要ないでしょう。まだやることいっぱいある。

牛田:安保法制通ったあとで、みんな死ぬわけじゃないから。


※この新しいヴァイブを感じたければ、今週金曜日(9/11)、18:30~21:30、国会議事堂前へ。

HOUSE OF LIQUID - 15th ANNIVERSARY - ele-king

 目下注目のバンド、ゴートの今年出したアルバム・タイトルが『リズム&サウンド』、そう、ベルリンのミニマルにおけるひとつの頂点となったベーシック・チャンネル(レーベル名であり、プロジェクト名)の別名義からの引用である。ボクは、そして彼に、つまりゴートの日野浩志郎に、ベーシック・チャンネルのふたりのうちのどちらにより共感を覚えるのかと訊いたら彼は「モーリッツ」と答えたのだった。(もうひとりのオリジナル・メンバー、マーク・エルネトゥス派かと思っていたので、この答えはボクには意外だった)
 モーリッツ・フォン・オズワルドは、トリオとして、今年は、アフロビートの父親トニー・アレンの生ドラミングをフィーチャーした新作『サウンディング・ラインズ』をリリース、相変わらずのクオリティの高さを見せたばかりだ。注目の来日となる。

 なお、共演者には、先日素晴らしいアルバム『Remember the Life Is Beautiful』を出したばかりのGONNO、そして、日本のミニマリスト代表AOKI takamasaとベテランのムードマン

9.18 fri @ LIQUIDROOM
feat. dj
Moritz Von Osawld
GONNO (Mule Musiq, WC, Merkur, International Feel)
MOODMAN (HOUSE OF LIQUID, GODFATHER, SLOWMOTION)
feat. live
AOKI takamasa (Raster-Noton, op.disc, A.M.) and more to be announced!!

Open/ Start 23:00
Advance 3,000yen, Door 3,500yen (with Flyer 3,000yen), 2,500yen (Under25, Door Only)
Ticket Outlets: PIA (273-309), LAWSON (71728), e+ (epus.jp), DISK UNIOIN (Shibuya Club Music Shop/ Shinjuku Club Music Shop/ Shimokitazawa Club Music Shop/ Kichijoji/ Ochanomizu-Ekimae/ Ikebukuro), JET SET TOKYO, Lighthouse Records, TECHNIQUE, clubberia, RA, LIQUIDROOM
※ 20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。
You must be 20 and over with photo ID.
Information: LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

9.19 sat @ 大阪 心斎橋 CIRCUS
出演:Mortitz von Oswald, DJ Yogurt (Upsets, Upset Recordings), SEKITOVA
Open/ Start 22:00
Advance ¥2,500, Door ¥3,000 共に別途1ドリンク
Information: 06-6241-3822 (CIRCUS) https://circus-osaka.com

モーリッツ・フォン・オズワルト・トリオ
サウンディング・ラインズ


Pヴァイン

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小原泰広、写真展 - ele-king

 10年ほど昔、都内のとある中古盤/古本屋に入ったら、壁一面にSFPというハードコア・バンドの写真が貼ってあって、それを撮っていたのが小原泰広だった。以来、『remix』時代を入れて、けっこう長きにわたって撮影をお願いしている。
 小原といえば、基本、ハッセルブラッドというお洒落なスウェーデンのカメラにモノクロのブローニーフィルムを入れて、しかし時代錯誤的なまでにがっつりした、無骨な写真を撮る男だ。DJで言えば、いまどき重たいレコードケースを運ぶようなもので、重たいカメラバッグを持って、いちいちフィルムを回している。デジカメどころかスマートフォンでバシバシ撮るようなこの時代に、刃向かっているのか馴染めないだけなのか……あるいは、そうでもしなければ撮れない何かがそこにはあるからなのだろう。

 小原泰広の写真展が恵比寿リキッドルームの上、KATAにて開催される。ele-king読者にはお馴染みの彼だが、ele-kingに載っているアーティスト写真とはまたひと味違った、写真家・小原泰広の世界が待っているだろう。どうぞ、足をお運びください。

2015.09.16 ~ 2015.09.23
YASUHIRO OHARA PHOTO EXHIBITION『BUSINESS DEVELOPMENT』

会 期 : 2015年9月16日(水) – 9月23日(水祝)

営業時間 : 13:00 – 20:00

入場料 : 無料

会場 : KATA (東京都渋谷区東 3 -16 – 6 LIQUIDROOM 2F)
会場では、ZINEやグッズの発売もあり。

EVENT
9/16(水) OPENING PARTY 18:00- DJ STRAWBERRYSEX OVERALL
9/20(日) 15:00- DJ COMPUMA CHANGSIE AKINOBU MAEDA
9/23(水) CLOSING PARTY 15:00- DJ 2MUCH CREW and more

(イベントの日は22:00まで)

Profile
小原泰広(オハラヤスヒロ)

1976年愛知県出身
2002年東京造形大学卒業
2004年から3年間のアシスタントを経て
2007年フリーランスフォトグラファー

音楽誌やカルチャー誌、CDジャケット、広告等で活動 

-info-
KATA https://kata-gallery.net
LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

VOGUE FASHION'S NIGHT OUT - ele-king

 OPN, Rezett, Joy Orbison……。過去のコレクションや主催イベントにおいて、Sk8ightTingとToby Feltwellが率いるファッション・ブランドC.Eはカッティング・エッジなアーティストたちを迎えてきた。今回その歴史に新たな精鋭が加わることに。
 その名はOndo Fudd。説明不要のカルチャー・アイコンWill Bankhead主催の〈The Trilogy Tapes〉からのシングル「Coup D'État」で知られる彼だが、そのキャリアで特筆すべきことはCall Super名義での活動だろう。Special RequestやAkkordのリリースで知られる〈Houndstooth〉から去年リリースされたアルバム『Suzi Ecto』は、彼のテクノやハウス、IDMへの深い造詣が、ベース・ミュージックとも有機的に絡み合った新世代の到来を告げるような一枚だ(今回が初来日)。
 イベントはVOGUE FASHION'S NIGHT OUTにてC.Eが期間限定で出店するショップが会場となる。入場料無料で年齢制限もないので、新しいサウンド&ヴィジョンに飢えている全世代の方々、今週末は迷うことなく会場へ!

VOGUE FASHION'S NIGHT OUT

2015.9.12 (Sat)
18:00 - 22:00

会場:
CAV EMPT SHORT TERM RETAIL EXPERIMENT at BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS
3F, 2-31-12 Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo 150-0001
東京都渋谷区神宮前 2-31-12 ユナイテッドアローズ原宿本社ビル 3F
https://goo.gl/maps/5ER8Q

DJs:
Ondo Fudd (The Trilogy Tapes)
1-Drink
Toby Feltwell (Cav Empt)

連絡:
03-3479-8127
www.cavempt.com
www.beautyandyouth.jp

■ Ondo Fudd
Call Superという別名義でも知られるOndo FuddことJR Seatonは、現在はベルリンを拠点に活動するUK出身の音楽プロデューサーである。Will Bankheadが主宰するUKのインディペンデントレーベル「The Trilogy Tapes」から昨年2月に発表した<Coup d'Etat>はカルト的な人気を誇る。来る9月25日にはCall Super名義でニューEP<Migrant>を「Houndstooth」よりリリース予定。
https://soundcloud.com/the-trilogy-tapes/sets/ondo-fudd-coup-detat-ep

■ Toby Feltwell
英国生まれ。96年より「Mo'Wax Records」にてA&Rを担当。
その後XL Recordingsでレーベル を立ち上げ、Dizzee Rascalをサイン。
03年よりNIGO®の相談役として<A Bathing Ape®>や<Billionaire Boys Club/Ice Cream>などに携わる。
05年には英国事務弁護士の資格を取得後、東京へ移住。
11年、Sk8ightTing、Yutaka.Hと共にストリートウエアブランド<C.E>を立ち上げる。
https://www.cavempt.com/

■ 1-Drink
TECHNO、HOUSE、BASS、DISCOの境界を彷徨いながら現在にいたる。 DJユニット"JAYPEG"を経て現在は個人活動中。 ときどき街の片隅をにぎわせている。
https://soundcloud.com/1-drink

■C.E (シーイー)
デザイナー:Sk8ightTing (スケートシング)
ディレクター:Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)

Sk8ightTing がToby.F、Yutaka.H の2 人と共に2011 年にスタートさせたストリートウエアブランド。Philip K. Dick の著書『UBIK』に登場する女性のタトゥー“Caveat Emptor”(ラテン語で“買い手が品質の危険性を負う”の意)がブランド名の由来。シーズンテーマはありません。

2013年3月、2014年9月にはMercedes-Benz Fashion Week TOKYO内のイベントVersus Tokyoにおいて映像と音楽を用いたプレゼンテーションを発表。同年2014年12月にはロンドンのTete Britanで開催された、Late at Tete Britanでもプレゼンテーションを行いました。

www.cavempt.com

まわるまわる! - ele-king

 オープン・リール・アンサンブルをご存じだろうか。オープンリールを楽器として「奏でる」この奇妙なオーケストラは、音の楽しさにくわえ、視覚的なライヴ・パフォーマンスも傑出しており、坂本龍一の〈commmons〉からデビュー作を出したのち、ISSEY MIYAKEのパリコレクションのために曲を書き下ろすなどの商業的な仕事のほか、オープンリールを解析した世紀の奇書『回典 ~En-Cyclepedia』の刊行や、飽かずあらたなコンセプトや挑戦をみせるライヴ活動など、持ち前のエクスペリメンタリズムをフル「回転」させながら、このたびセカンド・アルバムを発表した。リード・トラックのPVがついに公開、というニュースが届いたので、ぜひ観て(聴いて)いただきたい。ついでにいろんなライヴ映像なんかも上がっているはずなので、クルージングしてみてはいかがだろう。ついついと、この回転の渦から出られなくなるかもしれないけれど──。
 後日、ele-kingではインタヴューも大公開!

■Open Reel Ensembleの2ndアルバム『Vocal Code』から、錯視(目の錯覚)の効果を利用したMV「空中特急」が公開!!

9月2日(水)発売! Open Reel Ensembleの2ndアルバム『Vocal Code』から、錯視(目の錯覚)の効果を利用したMV「空中特急」が公開された。

旧式のオープンリール・デッキと現代のコンピュータをドッキングさせた圧倒的なパフォーマンスで世界中を熱狂させているOpen Reel Ensemble。”声”をテーマした今作では、七尾旅人、森翔太、Babi、Jan(GREAT3)、神田彩香、クリウィムバアニー等、豪華ゲスト陣が集め実験的ポップスに挑んだ意欲作。

今作のリード曲であり、中心メンバーの和田永が歌う楽曲「空中特急」のミュージックビデオは、錯視(目の錯覚)の効果を利用した映像となっている。映像はメンバーの吉田匡、吉田悠が監督、編集を担当。オープンリールを楽器として扱いメディア・アートの世界でも注目を集めるワンアンドオンリーな存在の彼らならではのユニークなミュージックビデオが公開された。


Open Reel Ensemble - 空中特急 short version (Official Video)

真ん中にある黒い点を目を離さずに見続けると
静止していた「空中特急」の世界が動き始めます。
※錯視の効果には個人差があります


■Open Reel Ensemble
Vocal Code
2015/09/02 release
PCD-25180
定価:¥2,500+税
https://p-vine.jp/music/pcd-25180

01. 帰って来た楽園 with 森翔太
02. 回・転・旅・行・記 with 七尾旅人
03. 空中特急
04. ふるぼっこ with クリウィムバアニー
05. Reel to Trip
06. 雲悠々水潺々
07. Tape Duck
08. アルコトルプルコ巻戻協奏曲 with 神田彩香
09. NAGRA
10. (Life is like a) Brown Box with Jan
11. Tapend Roll
12. Telemoon with Babi

New Order - ele-king

 イアン・カーティスの死後、1980年の後半からニュー・オーダーとして再出発した彼らは、まず自分たちのサウンドをどのように創出するかで悩んだ。そして、新たなる音を創出するうえでヒントにしたものがふたつあった。ひとつは、ニューヨークで知り合ったDJから送られてくる最新のクラブ・サウンド。そしてもうひとつがベルリンに移住したイギリス人、マーク・リーダーから送られてくる音。バーナード・サムナーは、自分たちが“ブルー・マンデー”を生むまでの過程において、NYクラブ・カルチャーと同時にマーク・リーダーおよびベルリンからの影響をしかと記している。このくだりを読めば、日本のファンは思わずニヤッとするだろう。ちなみに、──これは本書には書かれていないが──、みなさんご存じのようにリーダーの〈MFS〉とは、1996年に電気グルーヴの「虹」をリリースしたレーベルである。つまりそれは必然だったと、いまは言えるのではないか。
 こういう、ファンにとっては嬉しい話が満載である。
 とはいえ、彼の内省的なところもよく出ている。たとえば冒頭の、サムナーがあの伝説のセックス・ピストルズのマンチェスターでのライヴに行くまでのところの、彼のサルフォードという労働者階級のエリアで過ごした家族との思い出ないしはその環境は、なるほど後のジョイ・ディヴィジョンへとつながる。彼が少年時代に経験した「コミュニティの解体」こそ、あのバンドが表した孤独、苦悩、ディストピア、終わりなき「終わり」と関わっていることをサムナーは明かしているが、そこまでの展開はヘヴィーである。そもそも、サムナーが、風呂さえまともにないような労働階級の出身だったことをぼくは知らなかった。
 そして、感動的な描かれ方をしているセックス・ピストルズの初ライヴを経てからは、物語は、いくつかの死を乗り越えて、ときにはユーモラスに進んでいく。あれだけヒットしたのにもかかわらず、忘れられがちなエレクトロニック(ジョニー・マーとのプロジェクト)に関する記述が多いのも嬉しい。
 しかし、総じて思ったのは、サムナーの語りのうまさである。寡黙で、一時期はインタヴューはいっさい受けない時期があったほどの人物とは思えないほど、饒舌に語っている。まさにこれは作者による作品への、最大の註釈とも言える。30年前の種明かしをいまされたようだ。

 10年ぶりのニュー・オーダーのアルバム、新生ニュー・オーダーにとっては最初のアルバムとなる『ミュージック・コンプリート』が控えているなか、その創設メンバーであり、ヴォーカリスト/ギター/エレクトロニクス担当のバーナード・サムナーが本国では昨年の9月に発売された自伝、その翻訳『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』を刊行します。ジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーのファンは必読です。

バーナード・サムナー 著/萩原麻理 訳
『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』

ele-king books
3300円+税

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 家族に起きた悲劇の心揺さぶる描写が、温かいユーモアをもって自己憐憫におちいることなく語られる……。ロックンロールによって救われ、形作られた人生が明かされるのと共に描かれるのは、成功とスターダムを猛スピードで駆け抜けた人物の姿であり、武器はストリートの知性と簡素なマンチェスターのウィットだけだった……。ジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーのファン、必読。──アーヴィン・ウェルシュ, 『エスクァイア』誌より

ジョイ・ディヴィジョン創設メンバーのでありそのギタリスト、ニュー・オーダーのリード・シンガーであるバーナード・サムナー。
彼の寡黙さは何年にも渡って知られてきた……。彼は1970年代以降のマンチェスターの音楽シーンに不可欠な部分を担い、これまでにもっとも影響力を持ったバンドを生んだ決定的瞬間に立ち会っている。
いま、初めて明かされるジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダーの物語、マンチェスター、パンク、NYクラブ体験、“ブルー・マンデー"制作秘話、アシッド・ハウスとイビサ、バンドの分裂……そしてイアン・カーティスへの思い……
バーナード・サムナーの自伝、ついに刊行!

もし今ストーリーを語らねば、もう語ることはないと思える地点に私も差し掛かった。この後に続くページの中には、自分でも語るのがつらいこと、これまで公に言ったことがないこともあるが、それは私という人間、私が関わってきたバンド、その創造に関わってきた音楽を十分に理解するのにはとても重要だ。バンドや音楽以外のことについ て沈黙してきたことで、神話が作られ、真実ではないことが事実とされてきた。だがこれを書くことで、いくつかの誤解を解き、できるだけ多くの神話を葬りたいと思っている。何より、真実のほうがストーリーとしてずっと、ずっと面白いのだから。
──バーナード・サムナー/本書「序文」より


BASS WORKS RECORDINGS presents Terry Farley - ele-king

 UKミュージックの格好良さというのは、ある意味ではジョー・ストラマー的開かれ方──ロックから入って、ソウル、レゲエ、ジャズ、ファンク、そしてディスコやハウスへとどんどん広がってくことだろう。そう、どんどん広がってはいくが、何でもアリってものではない。そこには厳密な、枠組みがある。それはファッション雑誌のモデルのような服装など、間違ってもしなことと似ている。
 〈ボーイズ・オウン〉というレーベルは、そういう意味で何から何までUKらしいレーベルだった。音楽の選び方、服装の選び方、フットボールへの愛情……何から何まで(ちなみにこのレーベルを母体に、後にアンダーワールドやケミカル・ブラザースが世に出て行く)。
 そのレーベルの創設メンバーのひとりだったテリー・ファーレイ、大ベテランのDJがスギウラムの〈BASS WORKS RECORDINGS〉主宰にて来日します。
 9月19日、場所は表参道 ARC。最高の夜になります。

■BASS WORKS RECORDINGS presents Terry Farley
9月19日(土曜日)
22:00 open/start
3,000 YEN w/1D
DJs : Terry Farley, Sugiurumn, Chida
info : https://clubarctokyo.com

※テリー・ファーレイの来日を記念して、2010年にHORIZONからリリースされたSugiurumnの名曲ACID 2 ACIDのTerry Farley & Justin DrakeによるリミックスをBass Worksよりデジタル・リイシュー。

テリー・ファーレイ

 ジュニア・ボーイズ・オウン(Junior Boys Own)レーベルの創設者であるロンドン出身のテリー・ファーリーはアンダーワールドとケミカル・ブラザースをこの世界に紹介した功績で知られている。彼は80年代後半からUKクラブ・カルチャーのオリジネイターとして現在まで活動続けている。

 彼のスタイルは30年以上変わらずアンダーグランドであり続けている、50年代のスカ、レゲエ、60年代のソウル、70年代のファンクとレア・グルーヴ、そして80年代のシカゴ・ハウスとアシッド・ハウス、彼が熱心に追い続けてきた音楽はすべてパーティーのためのダンスビートだ。

 ボーイズ・オウンはテリーと友人のアンディ・ウエザーオールやアンダーワールドのマネージャーであるスティーヴ・ホール、パーティ・オーガナイザーであるサイモン・エッケルトらにより創設され、アンダーグラウンドなパーティやストリート・ファッションに関するファンジンの創刊、リアルなパーティのオーガナイズ、さらにレーベルを立ち上げる。その後本格的なレーベルとしてジュニア・ボーイズ・オウン(以下JBO)を創設、ケミカル・ブラザーズ、アンダーワールド、エクスプレス・2など数多くのアーティストを世に送り出した、彼はイギリスのクラブ・カルチャーの土台を作った世代の中心人物だ。

 2013年に彼が監修した初期アシッド・ハウス、シカゴ・ハウスの5枚組コンピレーション『アシッド・レイン』はディスクロージャーやエックス・エックスなどの新世代がディープ・ハウスを再発見、再構築してゆくなかで大きな話題となり、2014年には第二弾である「アシッド・サンダー」が発売となった。


※〈BASS:WORKS:RECORDINGS〉のスギウラム、インタヴュー(取材:与田太郎)

 2013年のスタートからこのおよそ2年間、毎週新曲をリリースするというクレイジーな偉業を続けてきた〈BASS:WORKS:RECORDINGS〉。2015年4月に品番100を超え、この夏から新しいフェーズに突入した。以下、ライター/DJの与田太郎が、その主宰者スギウラムにインタヴュー。
 レコード・ショップの閉店、配信への転換、フェス化するクラブ・シーン、Apple Musicなど急激に変わりゆく音楽やシーンなどなど、アクティブでしかもユーモアを持ってぶつかってきた彼に訊いてみた。

■いよいよ新章スタートっていう感じだね、すごいエネルギーで動いてそうだけどいろいろ大変でしょ?

スギウラム(以下、S):いま、大変だよ。いろいろあるけど、レーベルの運営とかパーティをやっている人たちのマインドが会社の仕事としてやってるか、個人の運営なのかで全然違うのが大問題なんだよね。みんななにか新しいことをやろうって言ってるけど、それがもう全然違うって言うか。100番まで来て、なにか変えようと思ったんだよね。もう毎週出すのもいいかなって。やっぱりリリースごとにもうちょっと注目してほしいし、毎週だとかなりスルーされちゃうんだよね。

■でもいまオーディエンスはレーベルを追っかけるっていうより、それぞれのトラックやアーティストでチェックしてるからなんじゃない? それでもベース・ワークスの毎週出すっていう姿勢はすごいと思う、続けられるなら続けてほしいけどね。ジャンルにもとらわれない感じも面白かったしね。

S:でも、その役目はもう果たしたような気もするんだよね。それに、実際いま音楽そのものが盛り上がってないんだよね、みんな新しいものを探してないっていうか。配信だろうがCDだろうが、ヤバイ音楽だったらみんなチェックするでしょ、でも以前のようになにか面白いものを探してる人も減ってるみたいだし。

■そうだね、そういう人は減ってるだろうね。みんな特定のカテゴリーしかチェックしないもんね。俺はむしろダンス・ミュージックやパーティーに出会っていろんな音楽を聴く楽しみを知ったけどね。

S:そうだよね。でもレーベルの話に戻るけど、まわりからいろいろ聞かれるんだよ、「毎週出すことになんか意味あるの?」とかさ。じゃあ意味あるものってなんだよ、とか思いつつ、でもそれもわかるっていうか、ひと昔前と比べてもみんなほんとに音楽買わないもの。メジャーのレコード会社ってどうしてるんだろうね?

■過去の膨大なカタログを少人数で回すことでやってるんだと思うよ。あとはマネージメントやイベント制作も始めてるし。そういう会社の仕事とは関係ないところでやってるなら毎週リリースは続けてほしいけどね、無理にやる必要はないけど。

S:そうだね、でも時々「来週のリリースがない!」みたいな時に、いつも俺が曲を作らないといけないかったりするからね。アルバムの制作が全然進まないんだよ(笑)。あとはほんとに手応えがないんだよね、前は良くも悪くもいろんな反応があったんだけど、いま全然ない時もあるから。ちょっとペース・ダウンするぐらいがちょうどいいのかなとも思ってるんだ。前はエネルギーが有り余ってたから、とにかくなにかやってないと気が済まなかったけど、最近は考える時間もあってちょうどいいと感じてるんだ。

■俺たちも30年ぐらい音楽やってるけど、なにかになるのは50年ぐらいからかもね。なにかになろうとも思ってないし、やめられもしないけど。

S:そうだね、ずーっと面白くなくなったら辞めると思ってたけど、そんなことまたく思わないね。それが情熱ってことだよね。

■ DJってさほんとに凄い瞬間作れるからね、あの体験してしまうとやめれないよね。

S:それをまた忘れちゃうしね(笑)。

■だから毎週リリースは続けてほしいんだよね、自分たちもそうだったようにベース・ワークスはいつも誰かを巻き込んでいてほしいっていうかね。それに誰にでも声かけれる人って杉浦くんしかいないんじゃない?

S:いや、もう全員に声かけたけどね(笑)。なかなかむずかしいんだよ。一緒にやってる、Nao NomuraとOSAKAMANは最高だよ。ほんとお互い助け合ってうまくやってるよ。このメンバーじゃなかったら絶対出来てなかったと思う。他にこんなくだらないことやる人いないしね。与田さんも前から言ってたけど、続けていくには工夫が必要じゃない? いまはその工夫も大変でさ、アイデア考えるのも。どうやったらわかってもらえるかなんだけど、情報がありすぎて難しくなってるよ。パーティーの仲間やオーディエンスに面白いやつはいっぱいいるんだけどね、そういうやつらが知らないっていうとちょっとうれしかったりするんだけど。だた、そういう人たちに気づいてもらうって、別のエネルギーがいるからね。
 塩屋亮潤っていうお坊さん知ってる? 千日回峰行っていうこの1300年で二人しかできなかった修行をやりとげた人なんだけど。千日回峰行は7年ぐらいかけてやるんだけど、毎日30キロとか40キロを歩く修行でさ、間に9日間、飲まず食わず眠らずっていう期間があって、やり遂げるのがほんとに難しい荒業で。それをやったお坊さんが本を何冊か書いてて、これがほんとに凄いのよ。ほんとの話が一番凄いっていうね。心の強さがハンパないんだよ。千日回峰行ってさ1日も休めないんだよ。だからいつも短刀と首を吊る紐を持ってるわけ、やめるときは死ぬときなんだ。世界的な探検家とかさ、凄い人の話をいっぱい聞いたけどこの人の話しとアントニオ猪木自伝が一番凄かったよ。

■毎週リリースも千日回峰行みたいなもんだからね。

S:そうなんだよ、それにグっときちゃってさ(笑)。

■そうだね、俺も杉浦くんの「ライバルは少年ジャンプだから」って言葉にグっときたからね(笑)。

S:この塩屋亮潤の言葉がさ、「私は人に夢と希望を与える仕事をしている。同情されたらおしまいだ」ってほんとカッコイイんだよ。同じような話なんだけど、日本一掃除がうまいおばさんの『プロフェッショナルの仕事』見た?

■(笑)見てない。

S:メチャ面白かったよ、中国から日本に帰化して働きはじめるんだけど、厳しい上司の下で働くんだよ。ものすごくがんばって、掃除のコンテストに出て優勝するんだ。それを上司に報告したらさ、その上司が「あなたが優勝することはわかってました」っていうのよ。そのシーンが最高で(笑)。そのあとに今度は羽田空港で窓拭きのプロの人がでてくるんだけど、そのおばさんも羽田で働いてるから、番組が窓拭きの人に会わせるんだ。そしたらさ、窓拭きの人が見たこともないような道具を使って仕事をしてるのを見て、「かっこいいー!」っていうのよ、(笑)最高でしょ。

■(笑)最高だね。でもそのお坊さんでも、掃除のおばさんでもなにか突き詰めたら喜びも発見できるし、見えなかったものが見えてくるっていうのはそうなんだね。DJもパーティもそうだもんね。

S:ほんと今の状態ってすべてが重なった結果だと思うんだ、震災とかレコード・ショップがなくなったりさ、誰でも簡単に曲が作れるようになったりとか、iPhoneで音楽聴くようになったり、風営法のこととかね。この数年間で同時に重なった出来事の結果、いままでのやり方が難しくなったよね。でも、俺ってほんとにもうだめだって思った時になにかが見えるんだよね。だからさ、制作費もリミックスとかでも予算がなくったけど、自分ですべてやることでエンジニアリングやマスタリングの技術もわかってきたし、なによりひとりで作るのが楽しいんだよね。
 俺さあ、いろんな場所でいつも一番最後まで元気なんだよ。それがね、俺よりも元気な卓球さんに会って(笑)、「あれ!」俺と同じ人がいる!って思ったんだよ。それにすごい勇気づけられたよ。最近またそういう元気な人が周りに増えてるような気がする。

■それは、そういう人が残ってるからじゃない(笑)。

S:まさにスティーヴ・ジョブスのアップルの宣伝だよね、あの「クレイジーな人たちがいる~Think different」の。これからまた盛り上がってほしいよね、パーティーも。

■波みたいなものだからね。

S:どういうふうに盛り上がるんだろうね?

■でもそれが想像できた試しがないね。

S:そうなんだよな、いつも予想外の流れがやってくるのが面白いよね。新しい科学反応っていうか、それがまた面白くて続けてられるってこともあるからね。特にいまは音楽だけじゃなくって世の中全体があんまりよくないじゃない。ネットで起きてることも、みんな極端なことばかり主張するから普通に常識のある人たちが黙るようになってるし、ほんとはそういう人の声も響いてほしいんだけど。

■そういうタイミングがきっと来ると思いたいね。

S:それが俺の続けていられる理由なんだ、この先になにかがあるって感じてるんだよね。ちょっと前まではそれが見えなかったんだけど、ようやくこの先に来るものを見るまでとてもやめられないって気がしてきたんだよね。なんなのかはわかないんだけど、これから面白いことが起きるって感じが凄いんだよね。それが原動力になってる。

■もう25年ぐらい続いてるからね、楽しいと思いながらやることが。

S:そうだね、90年代前半から姿勢は変わってないからな。でも俺の場合はいつも時代からちょっとずれてるんだよね、渋谷系にも入れてもらえなかったし。高円寺生まれだからいれてもらえなかったんだろうな(笑)。

■杉浦くんはもともと渋谷系とかを目指したわけでなくて楽しいことを追っかけてただけだしね、それは俺もそうなんだけど。

S:そのままやってきて、残っている人とは話が通じるしね。リッチー・ホウティンがいいこと言ってたんだけど、なんでパーティをやってるのか聞かれて、「自分とおなじような人を探すため」って言ってたんだよね。それよくわかるんだよね、自分とおなじような感覚をもってるやつをずっとさがしてるって、ほんとそれだと思うんだよ。

■ずーっとそうだよね、杉浦くんのやってることを場面ごとでしか知らないとわかりにくいけど、全部の流れでみると全然変わってないもんね。

S:俺も常に新しいものっていうか、ヤバいものを探してるからやれてると思うんだ。バンドの時でも、ハウスの時でもあったことだけど、ある程度経験したら同じことをちょっと変えたりしたらこなせる瞬間ってあったんだけどね。でもどうしても全部捨てて新しいことに突っ込んじゃうんだよね。それからしばらくはほんと大変なんだけど、まさに苦行っていうか荒業だよ(笑)。DJはじめた時も、レーベルでもそうだけど、わかってもらうのに時間かかるからね、こっちが本気だってことをね。

■ジャンルやカテゴリーの問題じゃなくて生き様の問題だね。

S:どうなるんだろうね、これから。

■まったくわからないね、ほんと予想できない。

S:この10年ぐらい、パーティーにアンセムがないじゃない、みんながかける曲ってなくなったよね。特にジャンルをクロスオーバーするような。それってDJもいろんな音楽を探してないってことだよね。そういう曲がないのか。

■フェスや大きなイベントで盛り上がることとクラブ・カルチャーが別のことにもなってるし。もっとクローズドなパーティが増えてもいいと思うんだけど。

S:それも難しいかな、俺たちの世代はまだ日本にないものが多かったからね。自分たちで始めるしかなかったことが多いけど、いまは型だけだとしても全部あるから。情報すらなかったのはよかったのかもね。想像力使ったし、本気で憧れたもん。

■杉浦くんはまだその情熱が続いてるね。ところで杉浦くん、自分の昔の曲聴く?

S:まったく聴かない(笑)。まえはエレクトリック・グラス・バルーンの曲とか、スギウラム初期の曲とか恥ずかしいとか照れくさいってのがあったけど、いまはまったくないね(笑)、むしろかわいいっていうか。

■昔から聴かないよね、自分の曲。

S:そうだね、だからクラブで曲聴いて「お!この曲かっこいい」って思って「この曲なに?」ってDJに聞いたら自分の曲だったってことよくあるよ(笑)。とくにこの1~2年は多いね。ほんとメチャつくってるからね。それでベース・ワークスが100リリースになったから自分の曲とリミックスが何曲あるか数えてみたら74曲もあったよ!(笑)。それプラス、このまえのアルバムだからね。他のレーベルで作ったリミックスとか入れたら100曲ぐらいあるよ、この1年半から2年で。だから3日に1曲は作ってるんだよね、そりゃスキルもあがるよ(笑)。

■はやくそうしてればよかったのに。

S:そうなんだよね、やっててほんと面白いよ。エンジニアリングとかメチャ向いてると思うもん(笑)。こんな面白いことを人にやらせてたなんて!(笑)。DJでもほんと自在にできるようになったし、レーベルも始めたしね。

■成長しつづけたんだ(笑)。

S:そういう流れが大事だったかもね、リッチー・ホウティンも〈コクーン〉から出て自分のエンターはじめたみたいな。俺と同い年だし、リッチー、リカルド、ダブファイヤー、みんな同級生なんだ。でも、ダレン・エマーソンは年下なんだよ、おまえ何歳で「REZ」作ってるんだよって。うらやましいよね。すぐそこにあるってさ。でも日本人って見た目が若いじゃない、それでカルチャーの遅れを取り戻せるって気がしてるんだよね(笑)。俺なんか海外で44歳にみられたことないからね、アメリカで酒買うときにパスポートみせると、店員が「すいませんでした!」って感じだから。

■杉浦くんは見た目とかでなくて本当にパワーあるから大丈夫だよ(笑)。

https://sugiurumn.com/
https://bass-works-recordings.com/

後日談:結局〈BASS:WORKS:RECORDINGS〉は毎週リリースを継続中! 9月のラインナップは以下の通り。

9/2 Lyoma Captured / mudhand (BWR112)
https://soundcloud.com/…/sets/lyoma-caputured-mudhand-bwr112
9/9 BBL Minako'S:Snare / Going Out (BWR113)
https://soundcloud.com/…/sets/bbl-minakos-snare-going-out-b…
9/16 SUGIURUMN ACID 2 ACID Terry Farley and Justin Drake NY After HourS:Remix (BWR114)
https://soundcloud.com/…/sugiurumn-acid-2-acid-terry-farley…
9/23 OSAKAMAN Colombia / Guatemala (BWR115)
9/30 SUNSEAKER 589 (BWR116)

お待たせしました、ポストロック本! - ele-king

 バトルスの新譜リリースがいよいよ迫ってきた。もちろん今年の重要作の筆頭である。楽しみに待っておられる方々もいらっしゃることだろう。
 そのバトルスを無反省に「ポストロック」だと断じるわけでもないが、ひとつのタイミングとして、同日、その語が誕生して20年ともいわれる「ポストロック」をまるごと一冊で特集する『別冊ele-king ポストロック・バトルフィールド──「以後」と「音響」の文化誌~A Culture Book for Post’n’Sound』を刊行します!

 いったい「ポストロック」なる用語はいつ生まれ、その要件はどのようなものだったのか。ポストロック21年めの新定義──時代がめぐっていままたホットに参照される、その現在性と歴史を、90年代音楽のもうひとつの大きな潮流だった「音響派」との接着面から炙り出す160ページ。

 ひしめく論考の数々は以下の目次をご覧いただくのがよいでしょう。なんと、1999年末(マジで2000年問題である)に刊行された当時の『ele-king』(ポストロック特集!)からの再録記事もあり! 

「ポストロックを考えることは当時よりますます重要になっている。先に進みたくて困っているのだ。その先がどこに通じているかはわからないにしても」(編集長・松村)

 そう、これは先へ進むための“ポスト”ロック特集。でも、本書を片手に、ひさびさに押入れからあれやこれやの盤を引っぱり出してみてくださいね。Pヴァインからは再発タイトルもつづく模様。

■別冊ele-king ポストロック・バトルフィールド
──「以後」と「音響」の文化誌~A Culture Book for Post’n’Sound


Tower HMV Amazon

Contents
インタヴュー バトルス 4年ぶり3作目『La Di Da Di』の表も裏も網羅するトリプルインタヴュー
    デイヴ・コノプカ/イアン・ウィリアムズ/ジョン・スタニアー 松村正人
考察1 ハードコア、金科玉条 松村正人
考察2 『La Di Da Di』で極まったアンダーグラウンドの理性の時代 三田格
基調インタヴュー 佐々木敦に金子厚武が訊く ポストロック新3要件!? 松村正人
君はサーフィンをしたことがあるかい? ポストロックの自由と快楽 野田努
再録1 ポスト・ロッキン・オン 三田格
再録2 ブリストルのポストロック 飯島直樹
考察3 レッド・クレイオラ的 You Can Connect to Anything 湯浅学
考察4 サウンドテクノロジーと身体 ありがたや、PT 山口元輝
考察5 ポスト・ヘドバン・ミュージック The Changing Same 倉本諒
PostRock Early Works ポストロックの初期衝動 アーティスト・ファイル
    ペレ/ディラン・グループ/マイス・パレード/ジ・アルバム・リーフ 木津毅/加藤直宏/橋元優歩
源流探訪1 ジム・オルーク、スティーヴ・アルビニを語る 松村正人
My Favorite Post’n’Sound わたしの三枚 井手健介/須藤俊明
インタヴュー サンガツ ポストロックと、サンガツの18年間 松村正人/小原康広
インタヴュー スパングル・コール・リリ・ライン(藤枝憲) ばるぼら
ディスクガイド うたものポストロックの5枚 ばるぼら
インタヴュー にせんねんもんだい 松村正人/菊池良助
ディスクガイド ポストロック・ファンに聴かせたいクラウトロックの15枚 小柳カヲル
論考 写真家=サム・プレコップを考える 杉原環樹
ディスクガイド ミレニアムの10枚 松村正人
ディスクガイド ポスト・ポストの20枚 木津毅/倉本諒/橋元優歩
源流探訪2 岸野雄一の90年代講義 松村正人
インタヴュー タイヨンダイ・ブラクストン 松村正人/タイコウクニヨシ
論考 「音響」の分子分母論 大谷能生
考察6 音響前夜もしくは後夜 松村正人
鼎談 goat×空間現代ふたたび 日野浩志郎+野口順哉+山田英晶 松村正人
論考 90年代の池田亮司から音響派へ畠中実
論考 テクノロジー(とそのエラー)と電子音楽 刀根康尚とオヴァルのスキップ 川崎弘二
論考 音響派の再発見 虹釜太郎
My Favorite Post’n’Sound 私の三枚 蓮沼執太
ディスクガイド 音響とIDM、はざまの15枚 デンシノオト


■Pヴァインからの再発タイトルはこちら
THE ALBUM LEAF / One Day I'll Be On Time
PELE / The Nudes
まだまだつづく!

ノー・ギャグ・ノー・ライフなのだ!! - ele-king

 タワーレコードの意見広告シリーズ「NO MUSIC, NO LIFE!」ポスター最新版に、故・赤塚不二夫の登場が決定した。
 これは赤塚の生誕80周年を記念するものでもあり、氏の誕生日である9月14日(月)には『赤塚不二夫 実験マンガ集』(著者:赤塚不二夫、解説あらためインタビュー取材:石野卓球)と『破壊するのだ!! 赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ』(著者:高平哲郎、三上寛、坂田明、奥成達、足立正生、山下洋輔他)が同日発売となる(買ってね!)。

 この最新版ポスターは、9月14日(月)よりタワーレコードおよびTOWERmini全店にて順次掲出予定。手書き文字「これでいいのだ!!」のプリントにもグっとくる。ぜひ探してみてください。

■『破壊するのだ!!──赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ)』
著者:高平哲郎/三上寛/坂田明/奥成達/足立正生/山下洋輔ほか
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-907276-38-6
ページ数:224頁
判型:並製/四六判
発売:9月14日(赤塚先生の生誕日)
刊行:ele-king books

■『赤塚不二夫 実験マンガ集』
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-907276-39-3
ページ数:384頁
判型:並製/B6
発売:9月14日(赤塚先生の生誕日)
刊行:ele-king books

※タワーレコードなど一部の店舗では、書籍購入の先着特典として、


『破壊するのだ!!──赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ)』には「実物大のバカボンなのだ」から1コマ・ステッカー

『赤塚不二夫 実験マンガ集』には「サイケ・サイケビーチにて」から1コマ・ステッカー

を進呈なのだ!!

■商品情報はこちら


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