「KING」と一致するもの

TETSUJI TANAKA - ele-king

日本のD&B/DUBSTEPの総本山/パイオニアイベント我らがdbsで奇跡の共演LEEBANNON x SOURCE DIRECTが実現!!
ニンジャ・チューンから衝撃アルバム「オルタネイト/エンディングス」を放った奇才リー・バノンが急襲!
そして90’s ドラムンベースを急進させたダークの権化。あのレジェンド、ソース・ダイレクトが実に17年振りの来日!!
ジャングル/ドラムンベースが勃発してから20年、時を経て今新たに甦る爆発する漆黒ビーツ!!
LB x SD奇跡の競演を見逃すな!!TETSUJI TANAKAも90’s dnb setでメインフロアのトリとして出演します!!
https://www.dbs-tokyo.com/top.html

<DJ SCHEDULE>
4/19 dbs FT. LEE BANNON & SOURCE DIRECT @UNIT
4/27 TT BD 2014 @ 青山ever
5/4 INTERGALACTIC @ WOMB
5/11 TBA @青山fai
and more...

自身が所属、主宰するelenic productinsがプレオープンしました。
今後のスケジュールやDJ BOOKING、制作などこちらまで。
https://elenic-productions.crossgroove.jp.net/

<RADIO出演>
4月で4年目に突入した日本唯一のドラムンベース専門ラジオ番組"block.fm Localize!!"
毎週水曜日22:30~24:00にてレギュラー・オンエア!!
DRUM & BASS SHOW BY TETSUJI TANAKA & CARDZ
https://block.fm/program/localize/
https://twitter.com/TETSUJI_TANAKA

<リリース情報>
1/27 Bandcamp、2/28 UK iTunesワールドリリースTT & NAVE REMIX収録!

OPUS IIIとして活躍後、世界中のチャートを席巻したTIESTOとの共作「Just Be」やBT、ULRICH SCHNAUSSなど数多くの名曲やクラブアンセムを歌い、手掛けてきたUKを代表するレジェンダリー・シンガーKirsty Hawkshaw主宰のニューレーベルWELLHEAD RECORDSから日本を代表してTT & NAVEがビッグ・リリース!!

TOBIAS ZALDUA / Let It Go with Kirsty Hawkshaw (TT & NAVE Remix)
https://wellheadrecords.bandcamp.com/track/let-it-go-tt-nave
https://soundcloud.com/tobiaszaldua/let-it-go-tt-nave-with-kirsty

TETSUJI TANAKA Dark dnb/jungle set chart


1
ABSOLUTE ZERO & SUBPHONICS / Code / RENEGADE HARDWARE

2
NASTY HABITS / Shadow Boxing (OM UNIT REMIX) / 31 RECORDS

3
SOURCE DIRECT / Snake Style / SOURCE DIRECT RECORDINGS

4
BAD COMPANY /The Nine / BC RECORDINGS

5
ED RUSH & OPTICAL / Funktion / V RECORDINGS

6
RUFIGE KRU /Dark Metal / RAZORS EDGE

7
OM UNIT /Timelines / METALHEADZ

8
FLYTRONIX / Contemporary Accousticz Jam(ORIGIN UNKNOWN REMIX) / MOVING SHADOW

9
GROOVERIDER / Where's Jack The Ripper? / HIGHER GROUND

10
SPECIAL FORCES / Exocet / PHOTEK PRODUCTIONS

Oliver Sperl - ele-king

 なにかにつけてベルグハイン最高と言われると、どうにもケチを付けたくなるものだが、そんな皮肉屋も、しばらくベルリンに住んでいたデザイナーの真壁昂士(日本でもっともぶっ飛んだ雑誌『Erect Magazine』を手がけるデザイナー)の話は耳を傾けるに値する。ベルリンに滞在した数年間、ベルグハインに通い続けたこの男が言うには、「ベルグハインは音の良さばかりが日本で言われているが、実はアートもすごい」とのことで、そのアート(主にフライヤー)を手がけているのが、Oliver Sperlである。
 エッシャーとバンクシーとジェイミー・リードをマルキ・ド・サドがミックスしたような混沌とした世界は、たまらく魅力的である。この機会にベルリンのクラブ・カルチャーに深く関与するアートに触れてみよう。

Oliver Sperl 個展 「raw material」

2014/4/26(土)- 5/2(金)
13:00-20:00
at KATA (東京・恵比寿 LIQUIDROOM 2F)
https://www.kata-gallery.net

闇に差し込む躍動の光は、現代社会を反映し、不条理なフォルムを描き、原始の鼓動と来るべき未来を彷彿とさせる! オリバー・シュピールは、あのベルリンのウルトラフロア=BERGHAINのアートワークも手がける最前衛アーティスト! 彼の眼差しは、URのアイコンを無数に生み出したアブドゥール・カディム・ハックがデトロイトを象徴したように、 現在のベルリンのエクストリーム・ミニマル・ソサエティを表層する批評眼なのだ!!!!!宇川直宏(DOMMUNE)

イラストレーションとコラージュという工具を使い、漆黒の闇の中、地下深くに広がる真っ黒なメルヘン世界をデザインし続けている。そして、それは現代社会を記した絵巻物なのだ河村康輔(ERECT Magazine)


■オープニングレセプション
2014.4.26(Sat)18:00-21:00
入場無料
DJ:
37A (PANTY)
DJ Soybeans
Takashi Makabe
※オープニングレセプションでは、作家が在廊いたします。
作家と共に作品の世界に触れられる機会ですので、どうぞ足をお運びください。


■クロージング・パーティー
「Orange Lounge」
2014.5.2(Fri)19:00-23:30
entrance free *1st drink charge 1,000yen(include music charge)
at Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]

music by
Nobu (FUTURE TERROR/Bitta)
河村康輔
JUBE (BLACK SMOKER RECORDS)

※Orange Lounge詳細は以下より
https://www.timeoutcafe.jp/
news/140502000726.html

::ARTIST PROFILE::
Oliver Sperl https://oliversperl.de

70年代後半 - 幼いOliverの目に焼き付いたのは、ローゼンタール磁器工場に金色のポルシェで通うグラフィック・デザイナーの隣人の姿だった。
この強烈な印象が彼をグラフィック・デザイナーに道へと進ませるきっかけとなった。
ベルリンのLette-Vereinでグラフィック・デザイン、そしてHamburg’s University of Applied Sciencesでイラストレーションを学んだ後、サンディエゴでフリーランス・デザイナーとしてキャリアを積む。
2000年にベルリンに拠点を移し、現在に至る。主なクライアントは音楽レーベルや出版社、ベルリンのテクノ・クラブとして名高いBERGHAINや日刊紙tazなどがある。



When Oliver was a little boy in the late seventies he once saw his neighbour, a graphic designer at the Rosenthal porcelain factory, drove by in a gold-coloured Porsche.
This powerful and lasting impression was the impetus for him to study graphic design at the Lette-Verein Berlin and illustration at Hamburgs University of Applied Sciences- He has also worked as a graphic artist in San Diego, California, and since the year 2000 has been working as a self-employed designer in Berlin.
Among his clients are music and publishing houses, the party temple Berghain, as well as the Berlin-based daily newspaper taz.


Rainbow Disco Club 2014 - ele-king

 4月29日、晴海で開かれる注目の「Rainbow Disco Club 2014」、タイムテーブルが発表されました!
 お昼から夜の8時まで濃いですが、マジック・マウテン・ハイはどちらかと言えばゆったり目の音楽なので、やはりプリンス・トーマスから上がっていく感じでしょうか。
 ムーディーマン2時間~ヘッスル・オーディオ1時間半の後半は、ちょっとすごいですね。
 そういえば、ベンUFOのインタヴューがRAに載ってますが、彼は現在のロンドンのナイスなDJのひとりだと思います。
 あとはどうか、4月29日に雨が降りませんように……と祈るだけです。

Rainbow Disco Club 2014
-TIME TABLE-

[Rainbow Disco Club Stage]

1000 - 1230 Sisi
1230 - 1400 MMH live
1400 - 1630 Prins Thomas
1630 - 1830 Moodymann
1830 - 2000 Hessle Audio

[Red Bull Music Academy Stage]

12:00-14:00 Kez YM
14:00-15:00 Hiroaki OBA live
15:00-17:00 San Soda
17:00-18:00 Kuniyuki live
18:00-20:00 Secret Special Guest

※タイムテーブルは予告なしに変更する場合がございますので予めご了承ください。


interview with patten - ele-king


patten
ESTOILE NAIANT

Tower iTunesAmazon

 音楽の「ジャンル分け」が卑しいものなのかどうか、これは音楽について考えたり書いたりする際に必ずつきまとってくる問いのひとつだが、アーティストの側からすれば気持ちのよいものではないのだろう。しかし物事を分節し名づけることでわたしたちの生活と歴史が成り立っている以上、ジャンルを立てて括ることもまた、わたしたちが音やアートというものに向かい合う上での本質的な行為のひとつだと言える。いつか人が言語を話す必要がなくなったら、ジャンル分けというものもなくなり、音楽も言葉も人も完全にひとつにつながるのだろうけれど──。

 新作とそれに先立つEPを〈ワープ〉からリリースし、先日のOPN来日の際にもその存在をあらためてアピールしたロンドンのプロデューサー、パテン。彼との問答は、そうした「物事の分節」をめぐってつねに同じ場所で岩に乗り上げる。以下のインタヴューは対面ではないため不必要な重複を生んでいるところがあるが、しかし、「心と体は同じ」「主観と客観も同じ」「作品はひとかたまりのもの」「好きなもののいちばんを決めない」等々、あるものを切り分け、整理して捉える思考を忌避するパテンのスタンスが非常にはっきりと感じられると思う。これは彼の強い特徴であり、おそらくは倫理であり、それはたとえばジャケット・デザインのコラージュなどに端的に表れている。パテンの音や思考はつねにその「物事がひとつながりの世界」からはじまる……、あるいはそこからはじめたいという願いからはじまっている。
 彼が、最初のアルバムに誰も発音の仕方がわからない『グラックジョー・ザックソウ(GLAQJO XAACSSO)』(〈ノー・ペイン・イン・ポップ〉、2011年)というタイトルをつけたり、そのリリース当初のインタヴューでは映像で回答したりと「謎の」存在感を醸していたのも、話をきいてみれば謎でもなんでもなく、ただ物事はそうはっきりと分節できるものではない、そう簡単に説明し分類できるものではない、ということを繰り返し主張していたのだということに思い当たる。

 さて、〈エディションズ・メゴ〉と〈メキシカン・サマー〉をまたぐOPNが〈ワープ〉とサインしたインパクトに次いで、現〈ワープ〉のアブストラクトでアンビエントな方向性を明確にするものとなった新作『エストイル・ネイアント』。このアルバムを携えて来日したパテンに質問状をぶつけることができたので、ご覧いただきたい。この思索的な言葉の端々から感じられるのは、彼もまた「分節」の能力に長け、むしろ見えすぎるほど物事の分析を行って生きてきたのではないかということだ。そのことを否定しながらみずからの表現を立てていく姿に、リアリティと共感を感じずにはいられない。
 言葉には分けられないものの存在を、彼は水の中に放した。『泳ぐ星(エストイル・ネイアント)』は、手を差し入れればゆらゆらと輝く。

音を楽しむということについて、知的な部分と経験的な部分に隔たりはないと思っている。

今作も『グラックジョー・ザックソウ(GLAQJO XAACSSO)』につづいてアートワークにコラージュがもちいられていますが、何か意図があるようでいて、意図をもたせているように見せかけるところに主意があるようにも思います。あなたの音楽にとってジャケットはどのような意味を持っているのでしょう?

D:作品のヴィジュアル要素は、音楽そのものと同じくらい大切だと思っている。このインタヴューだってそう。なぜなら、作品に関する考えや意見を文章という情報にして世の中に送り出しているから。そういったものはすべて作品とつながっている。そういう意味において、ジャケットのアートワークやミュージック・ヴィデオなどは音楽そのものと同等の価値を持つものだ。それぞれが、作品のアイディアを発展させたり、作品のアイディアを世の中に広める役割を果たしてくれる。
 意図をもたせているように見せかけるところに主意がある、という表現は興味深いね。意図があるのか、意図があるように見せかけているのか、ということだね。作品のすべての部分──つまりサウンド/ヴィジュアル/ヴィデオ/ライヴ体験など──に関して言えることは、それらの主な目的というのは、人々に独創的な考え方をする機会を与える助けとなることだ。物事の多様な意味を考えたりする環境を提供したい。作品を通して、「認識する自己」というものを体験して自己発見をしてもらいたい。
 われわれは、慣れ親しんでいるもの──たとえば見たことのあるヴィジュアルや展開が予想できる状況など──に直面すると、先入観が働いて、認識するという機能が敏感に働かないことがある。だが、親しみのない、未知のヴィジュアルやサウンドや環境に直面すると、それをちゃんと意識する。よって、「認識する自己」というものを体験することができる。外部からの情報を認知して、能動的に現実を創造する個人として自己を認識することができる。パテンというプロジェクト全体を通して僕が望んでいるのは、作品のさまざまな要素がそういう環境を生み出すことだ。そしてそれが、人々が自分自身について掘り下げて考え、また世界のあらゆることについて再考する機会のきっかけになればいいと思う。

とくにこだわっているわけではないのかもしれませんが、コラージュを手法として好んで用いるのはなぜですか?

D:コラージュは、並置や再文脈化や異なる見解を用いて、アイデアが存在できる環境を生み出し、個人に働きかけることのできる手法の一つだ。先ほども話したように、個人に働きかけるというのは、与えられた情報・状況を認知して多種多様な論理として自己で探索するという意味だ。そういう意味でコラージュはとても有効だと思う。

あなたの音楽においてビートは複層的に展開されていますが、これはより快楽的に追求されたものなのでしょうか? それともコンセプチュアルに目指されたものなのでしょうか?

D:まず、体と心は一体であるように、身体的なものと心理的なものは対立するものとして存在していないと僕は思っている。音を楽しむということについて、知的な部分と経験的な部分に隔たりはないと思っている。そして、この作品に関して言えるのは、リズミックであるとか、メロディックであるという、後づけと認識できる情報をベースにした区分けはとくにしていないということだ。つまり、ひとつのものが作られたということ。ビートを作って、次はメロディを作って……という感じではなくて、統一性を持って制作が進められている。だから、制作プロセスは区切られたものではない。
 だが、作品全体が、コンセプチュアルに作られたか身体的な快楽を追求したものか、と訊かれると、さっきも話したように、僕にとってそのふたつに大きな違いは感じられない。対立するものではないと思うから。だが、質問には「僕の快楽を追求したものか」という部分に関して面白い発想があって、僕はいまそれを追求しているところだ。ようは、自分のマインドに制限されないようにしている。つまり、自分自身のイマジネーションを超越しようとしている。自分の想像を超えるようなものを作りだせるような選択ができるようにさまざまな方法を試している。
 詳しく話そう。たとえば、あるアイディアがあってそれを実現させたいと思う。アイディアについて考え、それを形にして作り、世の中に出す。だけど、この方法で作業すると──もちろん、この方法に何の問題もないし、人々がこの方法でやっていくのは大事なことだと思う。個人的なプロジェクトとしての話だ──自分のイマジネーションに制限されてしまう。自分が想像するものしか作れない。なぜ自分のイマジネーションに制限される必要があるのか、と僕は考える。自分が作れると想像していなかったものを作ることのできる状況を作り上げてみてはどうだろう? この考えが、このプロジェクトの重要な部分を担っている。加えて、自分の嗜好というものは、制作の障壁になることもある。たとえば、何かを作っていて「これは素晴らしい。よいものだ。」と思い、その作品を価値あるものとみなし、作品は完成したものとして制作を終了する。その一方、何かを作っていて「これはダメだ。良くない。」と思い制作をやめる。でも、なぜそれが(良いのか良くないのか)わかるのか? 意味のないもののように見えるものは、本当に価値がないものだとなぜわかるのか? 個人的には認知できない何かがその作品にはあるかもしれない。だが、他の人には何かしら価値が認知できるかもしれない。反対に、「これは素晴らしい。よいものだ。」と思って完成だと思ったものは、完全に取り壊して作りなおした方がより良いものができたかもしれない。だから、「自分を中心に物事を考える」という考え方から自分を離して、自己という制限を超越したところで制作に臨める方法を模索している。

それは主観ではなく客観的に制作をするという意味でしょうか?

D:主観も客観もどちらとも個人の状態なので、先ほども言ったように、必ずしも対立しているものではないと僕は思う。僕が説明しているのは手法であって状態ではない。だが、具体的にどういうことかというと、たとえば、異なる精神状態で制作をしてみる。集中して頭が冴えているときに制作をしたり、睡眠不足で集中力が100パーセントでないときに制作をしたりする。さまざまな状況における選択を制作過程の一部分として取り入れる。もしくは、楽器などのツールを使うときに、当たり前の使い方以外の使い方をしてみる、など。
 たとえば、ピアノを弾くとき、実際に弾く前にすでに手のポジションが決まっていることがわかっている。そういう先入観を覆すような使い方をしてみる。物事に対して、オープンに、変わった考え方をする、ということだ。そういう考え方をこのプロジェクトでは大事にしている。

過去50年間の情報というのは、タンブラー(tumblr)などでたくさん出回っている。でも、それ以前の情報というのはあまりない。情報社会に存在していないものについて考えるのも興味深いと思う。

”エイジェン(Agen)”のMVにおいてはサブリミナルに、高速でイメージが提示されますね。俳句に「二物衝撃」という手法がありますが、これはまったく異なるふたつのものを故意にぶつけることで、新しいイメージを引き出すというものです。俳句は短いためこのような手法で表現の領域を広げます。ですが、そもそも表現として広い選択肢をもっているはずの映像や音楽が”エイジェン”のように二物の対照を生むと、そこに含まれる情報量はさらに乗算的に増えるように思います。あなたや映像作家のジェーン・イーストライトは、情報社会とアートや音楽との関わりについてとくに関心があるのでしょうか?

D:俳句の手法に喩えるのはとても興味深いね。まったくちがう分野に属するニ物をぶつけると、第三のものが新しく生まれる。面白いことに、その第三のものとは、言葉では表現できないものだったりする。前言語的な分野──つまりアイディアなどの、言語では説明しにくいもの。詩の持つ気品というのは、幻想を明確に表現できることにある。あなたが言うとおり、音楽やヴィジュアルを作っている場合でも同じ目的でそういう手法を使ったりする。幻想的なイメージや明確に表現しづらいものを、上手く表現するためにね。
 情報社会と言ったけど、この世には驚くほどの量の情報が出回っている。だが、考えてみてほしいのは、その一方で、情報の種類として限定されたものも存在するということ。詳しく説明しよう。過去50年間の情報というのは、タンブラー(tumblr)などでたくさん出回っている。でも、それ以前の情報というのはあまりない。たとえば17世紀の画像などはあまりない。実際、17世紀に関する情報は何千もの本や教科書などに資料として残されている。情報社会に存在していないものについて考えるのも興味深いと思う。人間がいままで世に生み出したマテリアルを掘り起こす、というアイデアとして面白いのではないかと思う。欠けている情報というのもあるから、情報社会といっても奇妙なものだ。
 ヴィデオに関して言えば、たしかにさまざまなヴィジュアルが並置されている。ヴィデオも、先ほど話したようにアルバムのジャケットや、アルバムの音楽と同じように作用してほしいという期待のもとに作られている。それは、作品が、人々が考えたり認知したりする環境を提供するものとして作用するということだ。だから寛容に作られていると言っていい。俳句に関しても、言葉単体は不活性なものだ。読み手の頭の中で初めて生きてくる。われわれが制作するものも、そういった作用を人々に及ぼしてくれたらいいと思っている。

国立美術館テート・ブリテンで行われた、〈ワープ〉とジェレミー・デラー(Jeremy Deller)とのインスタレーションは非常に反響があったようですね。あなた個人にとってはどのような影響がありましたか? 感想もふくめて教えてください。

D:とても面白いイヴェントだった。異なる組織が協力して、コラボレーションとして何が作り出せるのか、を考えて実行するのはとても興味深い。俳句のように、ちがった世界に属していたと思っていたものたちをぶつけて、新しいものを生み出す。でも、実際に〈ワープ〉やテートがやっていることというのは、存在する・体験する・感じるというような、人間らしさというさまざまな面で価値あると思えるものをアイディアとして表現するということだ。だから、〈ワープ〉とテートがコラボレーションするのはある意味、当然のような、理にかなったことに思える。観客がその感性を理解してくれるのは素晴らしいことだし、観客もそのコラボレーションの結果に関与してくれたことは最高だと思う。今後も、世界中でそういった大胆な活動が増えていけばいいと思う。

アシッド・ハウスはおそらくリアルタイムでご経験されていないのではないかと思いますが、いわゆる「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」についてあなたはどのような認識や意見をお持ちなのでしょう?

D:世界において、ある特定の時代に、さまざまな状況が重なり合って、クリエイティヴな作品がものすごい勢いで生み出されるという状況をもたらすのはとても興味深いと思う。限られた集団のなかで、限定された社会のなかにおいて、そういった現象が起こり、その現象は世界各地のさまざまな時代で起きてきた。その現象は予測することもできないし、作為的に作ることもできない。自然に起きる現象だ。たとえば、カフェの出現を取ってみても、本来の目的からはじまり、その後、カルチャーにも大きな影響を及ぼすものとなった。ルネッサンスという時代も、人々は、人間というものがどのような存在であるかという思考に関する想像性が過剰に働き、それがヴィジュアル・アート、音楽や建築として実を結んだ。概して、僕はそのような瞬間に対して魅了されると言える。そういう現象は、社会や人間を評価したり、再考・再検討する機会になるし、新しいものの見方で自分たちのアイディアを表現できる機会になる。「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」もその現象のうちに含まれると思う。

あなたの「RE-EDITS」シリーズについて教えてください。これは何の「RE-EDIT」なのでしょうか。そして、どんな基準で「RE-EDIT」の対象物を選んでいるのでしょう?

D:「RE-EDIT」の対象になるのはさまざまな音楽だ。「RE-EDITS」の作品はすべて、4つか5つのトラックから成っていて、トラックが何層にも重なっていたり、トラックの要素がほかのトラックの要素と混ざったりしている。「RE-EDIT」の曲が、ある特定の曲のリエディットだ、という意見をよく耳にして面白い。ヴォーカルの部分を聴いて、ヴォーカルに気づくから、その曲のリエディットだ、と思うらしい。でも、ヴォーカルの要素以外にもたくさんの要素が入っている。べつに隠しているわけではないから、そういうヴォーカル以外の要素にも、オリジナルの曲を知っている人だったら気づくと思う。作品を発表して、人の反応を見るのはとても面白い。
 対象物を選ぶ基準についてだが、「RE-EDIT」ではない作品を作るとき、僕はとてもオープンな姿勢で制作に臨む。だから想定外の衝撃が起こったり、先ほども話したように、自分でも驚くような選択をすることもある。

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僕にとって重要なプロセスの一つは、分類やジャンル分けといった行為を避けるということだ。できるだけオープンな姿勢でありたいね。


patten
ESTOILE NAIANT

Tower iTunesAmazon

アルバム収録の曲よりももう少しシンプルなトラックやUKガラージ風のものが目立つように思いますが、そういうわけでもないのですか?

D:そういう見方で曲を捉えないようにしている。曲を世に送り出した時点で僕の役割は終了している。僕が発表した曲に対して人々がどのような反応をするかを見るのは面白いけど、僕にとって重要なプロセスの一つは、分類やジャンル分けといった行為を避けるということだ。できるだけオープンな姿勢でありたいね。

OPNは意識しますか? もしよければ『アール・プラス・セヴン(R Plus Seven)』、『リターナル(Returnal)』、ゲームス「ザット・ウィ・キャン・プレイ(That We Can Play)」、フォード・アンド・ロパーティン『チャンネル・プレッシャー(Channel Pressure)』のなかでどれがいちばん好きか教えていただけないでしょうか。

D:プロジェクトの途中だと、それがどんな作品になるかを見極めるのは不可能だ。僕はその不可能性を受け入れている。繰り返すようだけど、僕にとって重要なのは、作品を分類したりする必要のない状態にいることだ。自分の作品や他の人の作品に対してオープンな視点を持っていたい。だから、どれがいちばん好きかを選ぶことはしないようにしている。すべての作品を同等なものとして見たい。OPNの作品とは関係ない話だが、評価方法について。自分がいちばん楽しめないものが、じつは、自分にとってもっとも価値のあるものだというケースもある。だから自分がいちばん好きなものが、もっとも価値のあるものであるとは一概に言えないのではないかな。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインは好きですか? 

D:マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの作品はとても興味深いと思う。興味をそそられるし、魅了される部分がたくさんある。心を打つ。僕が興味をそそられる音楽の多くは、言葉を超越したところにあるものだと思う。それが音楽すべての目的なのかもしれない。説明するのが不可能なことをはっきりと伝える。はっきりと伝えなくても、それを体験として作り出す。ものごとを表現するだけでなく、実際の体験を作り出す。そういうことを達成してくれる音楽が存在する。そういう意味でマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの作品はとても面白いと思う。

UKのロックとUSのロックではどちらにより親しみを感じますか?

D:UKのロックとUSのロックをまったく別のものとして見るのは難しいと思う。僕は、そういう区別の仕方で音楽を捉えていない。UKのロックもUSのロックもロックだし、ふたつは繋がっている。ロックとそれ以外の音とのつながりを見つけるのだってそんなに難しいことではない。もっと統合的な見方で僕は物事を捉えている。

〈ワープ〉の歴史はあなたの個人史において大きな意味を持っていますか?

D:〈ワープ〉とパテン・プロジェクトの面白い点というのは、ある特定の美学や技術的アプローチに基づくというよりも、イデオロギーに特異性があるところだ。そのイデオロギーというのは、実験や、人間という存在についてのアイディアを伝える行為に焦点を置いている。そして、感情的に共鳴できる作品を作る。それは難しいことかもしれない。その作品は、ただ感情を引き起こすだけでなく、個人の持つ技術をさらに探求し発展させ、自分と自分の住む世界に対する理解を深めていくのが目的だ。そういう意味において、〈ワープ〉とパテンはつながっていると思う。

来日されたのをうれしく思います。日本という場所は、あなたの音楽や演奏に何か影響を与えますか?

D:日本に来たのは初めてだ。とても特別で魅力的な国だと思う。僕がつねに言っているのは、親しみのない場所や状況に影響され、そういった場所や状況に対して、不思議さに驚嘆する感性を持って臨むのが大切だということ。だけど、慣れ親しんだものや日常的に目にするものに対しても、同じような(新鮮な)姿勢で臨むのが大事だと思う。いま、日本でいろいろなものを見ていろいろな体験ができているのは素晴らしいことだと思う。だけど、母国でも同じような感性を持っていられることが大事なことだ。普段目にしているものに対しても、そのものが有する豊かさをしっかりと認めることができるのが大事だと思う。まるで、それを初めてみるかのように。そういう見方はとても大事だと思うし、パテン・プロジェクトにおける重要な部分でもある。

人生について語るとき、人は作家である必要はない。なぜなら人生は人それぞれちがうもので、それを言葉にして表現できなくても、人生を生きるという行為で、人生の主張をしていることになるからだ。

ダンス・ミュージックでありながら、一貫してアンビエントなムードが目指されていますが、これはあなた自身のパーソナルな音楽性によるものでしょうか? それとも時代を読んでのことでしょうか?

D:いままでの会話から、僕の答えはそのどちらでもない、ということがわかると思う。話したように、パテン・プロジェクトはさまざまなプロセスを経て特定の結果がもたらされるわけだが、ある人はそれをいま言ったように(「ダンス・ミュージックでありながら、一貫してアンビエントなムードが目指されている」)表現する。そういう人の反応を見るのは面白い。僕個人としてはそういう表現はしないけれど、他の人がどう表現するのかを見るのは面白い。プロジェクトは、現在という瞬間に存在する、ということを大事にしていて、先を読んでのことでもないし、この10年を見越して作られたものでもない。今後20年でも30年でも50年を見越したものでもない。それとはまったく別の規模の考え方で、歴史や現在に関わり、できるだけ完全に、また豊かに表現するように試みたものだ。だから来週や5年後は関係なく、先週や5年前も関係ない。それよりもっとオープンな方法で捉えている。

たとえば『グラックジョー・ザックソウ』というタイトルがそうであるように、「発音のしにくさ」「正体のつかめなさ」はあなたの作品全体について当てはまることのように思います。テクノロジー一般は、物事を単純明快にする方向に発展していますが、あなたにはそうしたものに対するカウンターとしての意識はありますか?

D:テクノロジーが物事を単純明快にする、という発想はとても興味深い。スマートフォンやパソコンを使える人は、この世界の特定した地域においてはかなりの数が存在すると思う。だが、実際にスマートフォンやパソコンがどのように機能するのかを理解している人は非常に少ない。僕が言いたいのは、テクノロジーによって不透明性を増した物事もあるということ。テクノロジーによって、以前は見えていたものが、見えなくなってしまう。だから、テクノロジーが物事を単純明快にするという発想は必ずしも真実とはいえない。たとえば、太陽系の惑星をすべて挙げよ、と言われたら人はすぐスマートフォンで調べるかもしれない。だけど、実際に、太陽系の惑星を記憶している人は少ないかもしれない。でも単純なことだ。知っているべきことだ。情報はたしかに存在する。だが、テクノロジーによって物事は単純明快になっているのか、それとも物事を隠して不透明にしているのか? テクノロジーによってというよりも、われわれがどのようにテクノロジーを使うかによる。テクノロジーに依存した社会というのは、より単純明快な社会であるのか? それは誰にもわからない。
 タイトルの話に戻るが、「発音のしにくさ」という感覚はない。あなただって完璧に発音できたでしょう。『グラックジョー・ザックソウ』の裏にある理論としては、「あるもの」に特殊な名前をつけたいという思いからだった。音楽・ヴィデオ・ヴィジュアルに存在する「あるもの」ができた。そのあるものが『グラックジョー・ザックソウ』だ。そしてタイトルそのものも、音で構成されたものである。また、視覚的な構成物である。

「エストイル・ネイアント(ESTOILE NAIANT)」とは何なのですか?

D:「エストイル・ネイアント」は、紋章記述(Heraldic blazon)という中世の言語を使い、僕が考えた言葉だ。紋章記述というのは、盾や旗に用いられる紋章の正式な説明文である。この言語を調査して詳しく調べていた。俳句もそうだけど、この紋章記述も、ヴィジュアルを作るために特化した言語ということで非常に興味深い。僕はこの言語を使ってあるヴィジュアルを作った。そのヴィジュアルは、プリズムのようなもので、それを通してこのレコードを経験してもらいたいと思っている。レコードだけではなく、いままで話してきた内容や、われわれが作成するマテリアルすべてを経験してくれたらいいと思う。
 われわれの制作物は、存在意義についての考え方や、存在意義の認知について、また人と関わり合う事についての考え方を人々に伝えるという目的のもとに作られている。人々とコミュニケーションをとるためにマテリアルを作っている。人生について語るとき、人は作家である必要はない。なぜなら人生は人それぞれちがうもので、それを言葉にして表現できなくても、人生を生きるという行為で、人生の主張をしていることになるからだ。われわれはみな、その人生に関する対話の一部分を構成している。一人ひとりの人生は微々たるものだが、人生の対話は、とてつもなく巨大だ。それはわれわれという人々であり、われわれの都市であり、国であり、大陸であり、世界である。その対話というのは、人間が地球に存在したときからずっと行われてきたし、この先も人間が滅びるまでつづくものだ。
 ヴィジュアルというのは、「泳ぐ星」だ。「ESTOILE NAIANT」は「泳ぐ星」という意味。水に反射している太陽を、泳いでいる星に見立てた。このヴィジュアルは、日常的で微々たるもの、見慣れたもの、そして流動的なものと、巨大で想像を絶する規模のもの、つまり太陽のように不朽のもの、遍在するものとのデリケートなつながりの瞬間を象徴している。太陽がわれわれの生命を可能にする。そういうアイディアを追求したものだ。

リミキサーとしてもひっぱりだこですが、あなたはご自身のオリジナル作品を作ることよりも、作品というメディアを通して人と自分や人と人をつないだりすることにより興味があったりするのではないですか?

D:僕にとっては、そのどちらも、クリエイティヴな仕事に関与することの一環だと思う。音楽という仕事をするということは、音楽を作ることも仕事の一つだけど、同じように、他の人のために状況をセッティングしてイヴェントをやったりすることも音楽という仕事の一つだと思う。イヴェントを実現したり、レーベルを運営したりするのは、新しい考え方ができるような環境を作る、という意欲の延長に過ぎない。だから全てはつながっていると思う。

STRUCT - ele-king

 O.N.OといえばTHA BLUE HERBのトラックメイカーだが、ここ数年は、onomono名義を使って、DJとして、プロデューサーとして、ソロ活動を続けている。超限定でミニマルの12インチ「onomono_ep」シリーズをリリース、それらを2枚組のCD『Unifys』にまとめている。そんなO.N.Oが自身のレーベル〈Struct〉を立ち上げた。注目の第一弾は、フューチャー・ガラージの旗手SATOLとのコラボレーション「O.N.O x SATOL/Struct-001」。日本のアンダーグラウンド・シーンへの新しい活力となることを期待したい。
 なお、SATOLのほうも5月14日に新作『Enhance cell Survival』を〈Cold Dark〉からリリース予定とのこと。こちらも注目しよう。

interview with Yakenohara - ele-king


やけのはら
SELF-PORTRAIT

Felicity

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 やけらしい……というか、総じて、のんびりしている。カリブ海の影響を受けたリズムも、控え目に鳴っている。ジャケはかわいいイラスト。
 『SELF-PORTRAIT』はやけのはらのリミックス集で、2007年から2013年までのあいだに彼が手がけた楽曲が12曲入っている。
 このリミックス盤は……、彼のファースト・アルバム『ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング』が2010年のリリースなので、2007〜8年という、より初期のやけのはらが聴ける作品だと言える。リミックスを依頼しているのは──中村一義 、奇妙礼太郎、idea of a joke、ランタンパレード、アナログフィッシュ、Spangle call Lilli lineなどなど──名前を並べるとあまり統一感のないように思えるのだが、彼らの曲をやけのはらが再構築すると1枚のアルバムの1曲に収まる。
 個々のアイデアについては、彼自身が書いたライナーに詳細が記されている。ライナーをいつか自分で書きたかったということだが、たしかに力が入った言葉をみっちり書いている。

 ボヘミアン気質の初期の作風、オプティミスティックな感覚はいまでもやけのはらのトレードマークなのだろうが、やはりある時期までの初々しさは、その時期──彼がまだ真冬でもサンダル履きで街をうろついていた頃──だからこそ出せたものだと言えるだろう……ふと、いまこれを書きながら思ったのだが、サンダル履きのやけのはらは、日本でチャヴ・ファッションを先んじて実践していた男なのかもしれない。

 彼は、2000年代なかばの時点では、ラッパーというよりも、若手のDJのひとりとして評判だった。いろんなところから声をかけられ、よくDJをしていたと思う。ファースト・アルバムを出すのが遅すぎただけで、早い時期から彼のもとにリミックスのオファーがあっても不自然ではない……

ずっとリミックス盤を出したかったんですけど、タイトルが決まらなかった。エイフェックス・ツインのタイトル、『26ミクシーズ・フォー・キャッシュ』がずーっと頭にあって、ほんと最高のタイトルだなと思ってたんで(笑)。あの秀逸なタイトルが、ハードルとして高くありすぎましたね。

率直な感想を言うと、けっこうリミックスをやってたんだなっていう。

やけのはら(以下、やけ):あ、そうですか。まずそこから(笑)。

(笑)すごくやってたんだね! 奇妙礼太郎のリミックスは知ってるけど、他のはほとんど聴いてなかったなあ。知らないものばかりだったよ。

やけ:野田さんの聴きそうなところとはちょっと違うかもしれないですね、もしかすると。

日本では、リミックス作品のリリースが90年代ほど盛んじゃないし、あとポップスとDJカルチャーとの溝、いま日本では開いちゃってるからね。

やけ:その頃だったらリミックス盤ってけっこうありましたもんね。1枚丸々リミックスとか。

だから、いまエレキングでもリミックス盤って作ってるんだよ。12インチのアナログ盤で。

やけ:知ってますよ。踊ってばかりの国。

そうそう、それが1枚目で、次はオウガ・ユー・アスホールの新曲をアルツくんにリミックス頼んでいて……いま気がついたんだけど、やけちゃんってアルツくんに似てるよね?

やけ:それ見た目でしょ(笑)? たしかによく言われます。

へへへへ、それにしても、やけちゃん、こんなにリミックスをやってるんだなあ。売れっ子じゃない。

やけ:けっこう、長いタイムスパンのなかから選んだんで。でも、もっといっぱいあるから。まあ、あんまクラブ仕様って感じでもないですけどね。

そうかなー。やっぱ、どちらかと言うとクラブ寄りの感性だなと思ったんだけど……と言っても、オリジナルを知らない曲が多いから、オリジナルがクラブ寄りだったりするのかもね。でも、やけらしさは感じるよ。ちょっと清々しい感じとか、タイトルを『SELF-PORTRAIT』ってつけたくなる気持ちもわかる。良いタイトルだね。

やけ:はい。ありがとうございます。

やっぱ、フェリシティから出してから、リミキサーとしての仕事は多いの?

やけ:いや、わかんないです(笑)。ひとと比べて多いのか少ないのかわかんないですけど、まあたまに誘ってもらったり。さっきの、ポップスとクラブとの溝の話で言えば、僕がロックとかポップスが好きだったり理解があった上でクラブっぽいものができると思われてるのかもしれないですね。頼んでくれるひとからしたら。

ああー。(DJ)ヨーグルトとちょっと近いよね、その見られ方は。

やけ:あくまで想像なんで、実際はわからないですけどね。頼む側からすると、自分たちの音楽はあんまりわかんない人間がただクラブ仕様にするっていうのは、ちょっとなって思うのかもしれないです。

なるほど。頼まれると絶対断らないタイプでしょ?

やけ:基本は。ただ自分のそのときのスケジュールとかもあるんで。

よほどのことがない限りね。

やけ:まあそうですね。

相手は選ばない?

やけ:選ばないって言うとヘンですけど、なんというか、挑戦というか。例えばこれには入ってないですけど、てんぱ組.ってアイドルみたいなひとなんかもやらせてもらったりしたんですけど。そういう普段聴かなかったり自分の作っているものと距離があっても、リミックスだと、チャレンジでやってみようかな、っていうのはありますけど。

なんで入れなかったの。

やけ:リミックスは、今回選んだ曲の倍ぐらいあって、そのなかからこれにしたんで。なんとなく、評判が良かった風のやつから逆算して入れていったというか。あと、ぼんやりなんですけど「あのとき友だちがいいって言ってくれたな」とか。3票ぐらい。ゼロか3かくらいの小さい差なんですけど(笑)。あとは自分がいままで関わったやつの、一番端と端まで入れちゃうとぐちゃぐちゃになりすぎるんで。いちおう1枚の整合性とバランスを考えつつ。

なるほど。でも、昔から議論されることだけどさ、リミックスを楽しむ文化が、いまだに日本では定着してないんじゃない?

やけ:どういうことですか?

いまだにビョークの曲をハーバートがリミックスするとビョークのファンが怒っちゃうみたいな。

やけ:はい、はい。ミュージシャンのクレジットのほうが大きいのは仕方がないけど。

だから、アイドルだろうが何だろうがさ、リミックスする側からすれば関係ないじゃない。

やけ::そうなんですけど、でも僕の場合は、たとえば歌のひとの曲だったら歌は全部残すとか、素材にはしないって自分内での決めごとにしてるんで。元のひとの中心軸は、まあ歌なら歌で、全部残すんで。あとなんだろう、そのサジ加減を楽しんでるんですけど、思いっきり全部素材にはしないで、いちおう元のリアレンジって風にやってるんで。だから自分ヴァージョンにはなってるけど、元のひとの核は全部尊重してるっていうか残してるっていうか。

なるほどね。たしかにリミックスっていうのは原曲に対するリスペクトがあるかどうかっていうのは、ひとつあるかもね。

やけ:リスペクトって言葉かはわからないですけど、素材にしちゃうんだったら何でもいっしょになっちゃうんで、やっててもつまらないっていう。

まあね。エイフェックス・ツインがそれこそ「カネのためにやったリミックス」って言ったりね(笑)。

やけ:あれが頭にあったんですよね、あのタイトル。

『26ミクシーズ・フォー・キャッシュ』(2003年)だっけ。あれは、リミックス文化に対するシニカルな批評だもんね。

やけ:そうなんですよ。ずっと(リミックス盤を)出したかったんですけど、タイトルが決まらなかったんですよね。で、エイフェックス・ツインのあのタイトルがずーっと頭にあって、ほんと最高のタイトルだなと思ってたんで(笑)。『26ミクシーズ・フォー・キャッシュ』みたいなのがいいなーって。あの秀逸なタイトルが、ハードルとして高くありすぎましたね。それで、なかなか出せなかった。

ああー。それでなんで『SELF-PORTRAIT』にしたの?

やけ:これはね、もう……まあボブ・ディランなんですけど。

うわ、大きいこと言うねー(笑)!

やけ:いや、ディランのアルバムであるじゃないですか。カヴァーが多く入ってる『セルフ ポートレイト』。あの感じでいいかなっていう。いま言った話の流れに通じるかもしれないですね。一見ひとの曲だけど、意外と俺のエッセンスがあるぞ、と。

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リミックスって、トム・モルトンとかウォルター・ギボンズとか、初期ディスコのひとたちのリエディットが最初じゃないですか。もっと過去に遡れば、やっぱりジャマイカのダブって発想があるでしょう。すでに録音してある素材を並べ替えたり、抜き差ししたりっていうか。


やけのはら
SELF-PORTRAIT

Felicity

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このジャケットの感じも、2000年代半ばぐらいの、やけのはらが自主で作ったミックスCDを思い出すなー。

やけ:たぶん一貫してそういうノリが好きなんじゃないですかね、僕。

これって、どういうノリなんだろうね?

やけ:まあ明るい感じ。楽しい感じ。

かわいい感じ好きだよね。ちなみに、リミックスしても歌詞を残すっていうのは、ひとつのこだわり?

やけ:うーん、歌詞を残さないとつまらない。なんだろうな、元からあった自分の曲のストックにちょっとヴォイス・サンプル乗せるとかやり出したら、なんかあんまり楽しく取り組めないんで。

ある程度縛りがあるなかでオリジナリティを出すっていう。

やけ:そうっすね。あとはアレンジって意識なんで、元の曲の一番大事なところは残さないとアレンジにならないんで。野田さんはどれが面白かったとかありますか?

意外なことに、中村一義のリミックスがいちばん良かったね。

やけ:意外(笑)? 何に対して意外なのかわかんないですけど(笑)。僕もけっこういいと思ってるから2曲めにしてるんですよ。

あと1曲めも良かったけどね!

やけ:それはイントロですよ(笑)。大丈夫ですか、2曲めまでしか聴いてないんじゃないですか?(笑)

はははは、中村一義のリミックスは、ちょっとハウシーな感じじゃない?

やけ:ハウスではないですよ。アンビエントですよ。

ピッチが遅いけどビートはあるし、ビートダウン・ハウスって感じじゃない? 

やけ:キックがないし。

ああ、これはアンビエントという解釈なんだね。で、続く奇妙礼太郎はダブんだけど。

やけ:リミックスやるときに限らず、あんまり打ち出すタイミングがないんですけど。ダブとアンビエントはすごく好きなんですよ。ただそれだけなんですよね。

ダブとアンビエントっていうのは、自分のスタイルとして意識しているの?

やけ:それはね、違うんですよねー、なんとなく。でもリミックスって、トム・モルトンとかウォルター・ギボンズとか、初期ディスコのひとたちのリエディットが最初じゃないですか。もっと過去に遡れば、やっぱりジャマイカのダブって発想があるでしょう。すでに録音してある素材を並べ替えたり、抜き差ししたりっていうか。どうしてもリミックスって、ダブにたどり着くところがあるような気がしますけどね。

なるほどね。そういう理解かー。音色はどういう風に選んでるの?

やけ:マニアックな質問ですね(笑)。それはそのときどきで、「これが合うな」とか、逆に「合わないから面白いな」とか、ケース・バイ・ケースですけど。

なんで訊いたかって言うと、基本的にはわりとストレートな音色っていうかさ。

やけ:まあ、そうかもしれないですね。作っていくなかで、自分がしっくり来るものを選んでいるだけなんですけどね。

基本的にはキラキラした感じの、気持ちいいサウンドだよね、って言っちゃうと単純だけど。

やけ:まあ、そうですね。やっぱ自分のなかの要素としてはあんまりないんじゃないですか、インダストリアルとかは。

あんまり気持ち良すぎて、気持ち悪くなったりしない?

やけ:(笑)すごい質問ですね! 面白いですね。あ、でも、それがギリギリ僕のなかでテクノですかね。ちょっと砂糖多すぎるなと思うとテクノ聴いたり。

いまの世のなかの一部っていうのは、どんどん快適な方向に行ってるからさ。

やけ:いや、そこの対立軸には置いてほしくないっていうか。

はははは!

やけ:いや、この気持ちいい世界観は直接的にわかりやすい気持ち良さじゃないですよ。もうちょっと隙間産業的なもので。

(笑)ニッチな。

やけ:でもストレートに、「こういう風にしたら気持ちいいだろう」っていう風には行ってないっていうか。自分の意識としては。

すごく抽象的な質問だけど、じゃあどの辺に落とし込もうとしてるの?

やけ:それは毎回チャレンジというか。でも、けっこう行き先を決めないで作ってるかもしれないですね。自分の曲でもそうですけど。とりあえず、最短距離には行かないようにはしてるんですよね。たとえば「シティ・ポップ風のアレンジにしよう」とか、そういうのは自分のなかでは無いっていうか。

そうだね、当たり前だけど、やけのはらの個性が出てるもんね。

やけ:僕の好みは出ていますよね。

今回のリミックスで一番古いのってどれ?

やけ:Aira Mitsukiってひとかな。2008年とかだから。

このひとは知らないんだけど、どういうひとなの?

やけ:ちょっとアイドル的な。パフューム的なことをやってたひとですね。

とくに大変だったものってある?

やけ:うーん、どれが極端に大変だったってことはないかもしれないですね。もちろん、どれも頑張ってやってるんですけど、でもそんなに苦労しなかったやつのほうが入ってるかもしれないですね。こねくり回してやったやつは、なんだろう、悪いってわけでもないですけど。ここには入ってないやつのほうが、むしろこねくり回したり悩んじゃったのが多いかもしれないです。

「こういうリミックスをお願いしたい」みたいな、リクエストをされたことはある?

やけ:うーん、思い出す限り、基本的にはないですね。そういうオファーだったら他のひとに行くんじゃないですか(笑)。もっと器用にできそうなひとに。

「クラブでかけられるダンス・ミュージックにしてくれ」っていう依頼はなかった?

やけ:思い出す限りそういうのはなかったですね。あと、僕がリミックスやるときは、そのメディアのことも考えてやるんで。CDのあとにボーナス・トラックで付くのか、5曲ぐらいのシングルのカップリングで入るのか、レコードの7インチや12インチで出るのか、とかは、いちおう考えて作ってるんで。最初からレコードだったら、クラブでもかかる可能性のあるようなのにしようとか。
 あと、対象のミュージシャンを僕が知ってる場合もあんまり知らない場合もあるんですけど、どんなリスナー層が多いのかな、とかもぼんやりとは気にするというか。そのひとたちがまったく好きにならないものは避けたいけど、合わせてもつまらないので、そのバランスは最初に考えますけどね。ギリギリ楽しんでくれるかな、ぐらいの感じだけど、その層のひとが聴かない要素も入れたりとか。そういう案配は考えます。

時代的な難しさはとくに感じなかった? リミックスって、そのファンのためにやるものでもないんだけど、そのファンに聴いて欲しいものでもあるし。

やけ:リミックスなんで、ひとから頼んでやってることが前提にありますからね。まずは、頼んでくれるひとがいたからできたものなんで、そこは受け身は受け身ですから。ただ、今回リミックスを出したいと思ったのは、自分なりにそのときどき──バイト的にではなく──ちゃんとリミックスをやってるって意識があったり、それが世のなか的にどう取られるのかはわからないですけど、まとめて聴いて面白く聴いてもらえるんじゃないかと思ってるからなんですね。

ダンスフロアのことは考えない?

やけ:僕の曲ってもともと日本語の歌とかが入ってるのが多いので、ダンスフロアのど真ん中、2時とかの感じではないですよね。アレンジや曲調によっては時間帯が違えばかけられるかも、とかはあっても。

昔、ディスコをよくかけてたじゃない?

やけ:ディスコはいまでもかけてますよ。ダンスフロアの感覚はどれもあるんですけど。でも、けっこう(自分が頼まれるリミックスは)歌ものが多いからなー。そういう意味ではダンス・リミックスって言うより、やっぱりリアレンジしてるって意識かもしれないですね。あんまり想定はフロアではなかったりもする。
 そういう意味で言えば、たしかに直接的にダンスフロアを目指したものは少ない。っていうかそういう意識はないかもしれないですね。でも後半のアンビエント的なやつも、自分のなかではダンスフロア的な感覚でアンビエントになってはいるんですけどね。自分としては、ハウスやテクノもやってみたいんですけどね。あんまりそう見られてないのかもしれないですね。いまは、あんまりダンスのイメージがないのかもしれない。

選曲は、それなりに大変だった?

やけ:選曲は、けっこう大変でしたね。リミックス盤は、5年前からずっと出したいなと思ってたんですよ、ファースト・アルバム(※2010年の『ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング』)の前ぐらいから。僕の気持ちとしてはもっと前からやりたかったんですけど。

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僕のことをラッパーだと知らなかったひとも多かったと思います。自分でラップをしてるひとが、ひとの曲をリミックスしてアルバム出すっていうのも前代未聞な気がするんですけどね。


やけのはら
SELF-PORTRAIT

Felicity

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2007年から2013年までに作った曲が入っているわけだけど、やけのはらは、2007年のあたりはクラブ系だと括られていたじゃない?

やけ:ある意味、いまでもそのつもりなんですけど(笑)。でもリミックスって、クラブ・ヴァージョンにするもんだってことも忘れて作業してましたね。普通にただリアレンジのつもりっていうか。アレンジャーの気分っていうか。ただ自分の手駒として、ギターを上手く弾けるとかじゃないんで、どうしてもクラブ的な感覚が自分のできる解釈になるっていうのはありますけど。

2007年から2013年だと、デビュー・アルバム前からの仕事も入っているわけだけど、自分自身のリミックス・ワークに対する姿勢はあんまり変わらなかった?

やけ:聴き返して思うのは、変わらないっていうとヘンかもしれないですけど、古い曲でもいま作りたいものや好きなものと細かいポイントはあんまり変わらなかったり。興味あることなんかはそのときどきで変わるんですけど。今回振り返って、逆に連続性を感じましたね。半分ぐらいミックスも直したりしたんですよ。古い曲に手を入れたりしてたら、そんなに断絶したものと感じなかったというか。

統一感があるよね。

やけ:さっきの話とも繋がるんですけど、そのときに流行ってる音のモード/ジャンル/スタイルをちょっと取り入れてても、そのときそのときで飛び石的に変えていくってことをやってないですからね。自分なりのやり方でいつもやってるし、そういう面では時間軸はあんまり関係なかったりする。良くも悪くも。この時代は流行ってたからエレクトロやってたけど、いまではEDMですねとか、そういう直接的な進み方ではないっていうか。

たとえば、アイドルには興味なくても、アイドルのやけのはらリミックスには興味がある人もいるはずだし。

やけ:僕も、自分と関わりのないひとのリミックスもしてみたいですけどね。

それもやっぱ、それはやけのはら的なものに落とし込まれるんだろうね。メローで、アンビエントなフィーリングなものに。

やけ:わからないけど、自分の好きテイストには持って行こうと努力しますね。

やけちゃんって不思議なポジションだよね。ヒップホップでもないし、ロックでもないし、ハウスやテクノのクラブDJでもない。なんか、カテゴライズできないよね。

やけ:そこは僕も悩みどころなんですよ。

なんで(笑)? 良いことじゃない、カテゴライズされたくないって言いながらカテゴライズされた音楽をやるより。

やけ:いや、それは自然にやっててそういう状況になってるんですけど。どれもやりたくてやってるからいまから変わりようもないんですけど、普通の感じの売り方──っていう言い方が合ってるかもわからないですけど──でいったら、こういうのじゃダメなんだろうなーとか思ったりするんですけど。どれも楽しく、思い入れあってやってるんで難しいんですけど。

2007年って言うとDJばかりをやってた頃?

やけ:そうですね。その頃やってたことを今回まとめられたりしたんで。そのときにアルバムって形で直接出せなくても、やってたことがいままとめられたし良かったかなとは思います。今後に関しては、自分のアルバムを5年に一度、10年に一度ではなく、もっと早いペースで出したいなっていうのは思っていますね。

もうちょっと制作に力を入れたいんだ。

やけ:なんていうか、作るのが遅いんですよね。

ファースト・アルバムもリリースが遅かったもんね。

やけ:そうですね。たぶん遅いんです。27歳とかでアルバム出せても良かったのかもしれないし。20代のときはいっぱいDJをやってそれが楽しくて良かったっていうのもあったんですけど、形に残ることでいろいろしたいなっていうのは思いますけど。

最近はクラブとライヴハウスだったらどっちからのオファーが多い?

やけ:けっこう同じぐらいになってるかもしれないですね。ちょっと前までは基本DJやクラブをバーッといっぱいやって、ライヴのほうがちょこちょこって感じだったのが。

ライヴのオファーがけっこう増えてるんだ?

やけ:それと、DJが減ってる。で、ラップのアルバムを出すとライヴに誘ってくれるひとが増えて、クラブ系のひとは「あれ、この頃あんまりDJやってないのかな」みたいな感じで両方のバランスが動くというか。自分としてもそれをどっちかだけに振り切りたいわけでもないし。DJのオファーが減ると寂しいんですけど。

ははは。

やけ:だけどDJばっかり年100本とかできないな、とかもあるし。そのペースでやってるとアルバムが作れないんですよ、結局。

そうだよね。ファースト・アルバム出る前は、DJとして評判だった男だもんね。

やけ:まあラッパーであることを知らなかったひとも多かったと思いますしね。ひとの曲にたまに参加しても、そういうことを知らないひとはいっぱいいたんじゃないですか。このひとはラップをしてる、みたいなことは。ちなみにその話で言うと、自分でラップをしてるひとが、ひとの曲をリミックスしてアルバム出すっていうのも前代未聞な気がするんですけどね。普通あんまりないっていう。それだったらどっちかって言うと、自分のラップをいろんなひとにリミックスしてもらったアルバムは出すでしょうけど。

たしかにそれは言えてる。だからそういう意味でヘンなポジションだと思うんだよ。

やけ:そうですね。そういう認識は自分でもあります。

良くも悪くもオリジナルなポジションだよね(笑)。

やけ:もっとわかりやすいほうが良かったのかなと思ったりもするんですけど、でも変えようがないんでね。

でも、やりたいことは、はっきりあるでしょう?

やけ:それはつねにありますね。いつでもいっぱいある。10個ぐらい先までありますね(笑)。そういう意味で言うと。アンビエントのアルバム出してみたいとか、ブレイクビーツのアルバム出してみたいとか。ラップのアルバムはラップのアルバムで、僕のなかにいろいろあるんですよ。たとえば全部バンドでやってみたいとかもあるし、全部ひとにプロデュースしてもらってやってみたいとか。そういうやりたいことはいっぱいあって。「でも次はこれをやろうかな」とか、いまのことより次のことを日々考えてるって感じですね。

じゃ、次はアンビエントだ。

やけ:アンビエントは僕のなかで取っといてるんですけどね。20年後ぐらい後にやろうかなと。

はははは、20年後生きてるかどうかわからないよ(笑)。

やけ:ま、そうですけど、いまはまだ、先に、もっとフィジカルなものをやりたい気分ですね。


※初回盤特典のダウンロードEP(5曲入り)は思い切りダンス仕様でした。


語られていないことが多すぎる!
磯部涼×九龍ジョー、
ライヴハウスからネット・ミュージックまで、
音楽と“現場”のいまを考える対話集。

磯部涼と九龍ジョー。
音楽やそれを取り巻く風俗を現場の皮膚感覚から言葉にし、時代を動かすアンダーグラウンド・カルチャーをつぶさに眺めてきた人気ライター2人が、これからの音楽の10年を考える連続対談集『遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』、ついにリリースとなります!
2010年代に、音楽はどのような場所で鳴っているのか、それは政治や社会とどのように関係しているのか……。
過剰な情報に取り巻かれながら、いまいる場所に希望を生むための、音楽のはなし。
ele-king booksから4月25日、発売です!

●まるで問題集。考えるためのヒントがぎっしり!
日々おびただしい音源とニュースが行き交う音楽シーン。しかし、「話題」はあふれていても、「問題」はぼんやりとそのなかに埋もれてしまっているもの。小さなシーンやコミュニティの豊かなあり方から、隣国韓国インディの現在や風営法や原発をめぐる運動、あるいはシティ・ポップ再評価を通した東京と都市の考察まで、インターネット上も含めたさまざまな「現場」を軸として、見えない問いに色をつける4つの対話を収録。もっともっと考えたくなる、音楽カルチャーのいま。

●すぐに誰かと話したい! いまならではのトピック、ふたりならではの考察。
銀杏BOYZが残した本当のインパクト/日本にインディが根づくとき/音楽に可能な“下からの再開発”/ミュージシャンと政治の関係/風営法は何を守るのか/「すべてをかける」音楽の終わり/アートと倫理/韓国インディのいま/世界標準か、「ガラパゴス」か/「ずっとウソだった」──ヒットソングが示すもの/2万字インタヴュー再考/東京とシティ・ポップ/圧縮情報のシャワー/なぜ音楽のなかで社会について語ろうとするのか
……などなど既視感を越えていく充実の議論。

■磯部涼
音楽ライター。1978年生まれ。主にマイナー音楽、及びそれらと社会との関わりについてのテキストを執筆し、2004年に単行本『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』(太田出版)を、2011年に続編『音楽が終わって、人生が始まる』(アスペクト)を刊行。その他、編著に風営法とクラブの問題を扱った『踊ってはいけない国、日本』『踊ってはいけない国で、踊り続けるために』(ともに河出書房新社)がある。

■九龍ジョー
編集者、ライター。1976年生まれ。ポップ・カルチャーを中心に原稿執筆。『KAMINOGE』、『Quick Japan』、『CDジャーナル』、『音楽と人』、『シアターガイド』、などで連載中。『キネマ旬報』にて星取り評担当。編集近刊に、坂口恭平『幻年時代』(幻冬舎)、岡田利規『遡行 変形していくための演劇論』(河出書房新社)、『MY BEST FRIENDS どついたるねん写真集』(SPACE SHOWER BOOKS)などがある。


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■磯部涼+九龍ジョー・著
『遊びつかれた朝に
──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』

ISBN:978-4-907276-11-9

発売日: 2014年4月25日(金)

価格: 本体1,800円+税

仕様:
182mm×122mm
並製 256ページ


■磯部涼&九龍ジョー、出演情報!

・6月4日(水)
紀伊國屋書店新宿本店
磯部涼、九龍ジョー著『遊びつかれた朝に』刊行記念トーク・セッション

開催日時:
2014年6月4日(水) 19:00~(開場18:30)
場所:
紀伊國屋書店新宿本店 8階イベントスペース
定員:50名
参加費:1,000円
参加方法:
2014年5月20日(火)午前10:00時より紀伊國屋書店新宿本店7階レジカウンターにてご予約を承ります
ご予約電話番号:03-3354-0757
新宿本店7階芸術・洋書売場(10:00~21:00

出演:
磯部涼
九龍ジョー
北沢夏音
前野健太

スペシャル・ゲスト、北沢夏音さん前野健太さんを交えてのトーク・セッション!
アンプラグドな前野さんの演奏も間近く聴ける!
詳細はこちらまで

https://goo.gl/Ml61dK

■これまでの出演

・4月16日(水)
dublab.jp Radio Collective #55 From Tokyo @cafe_malmo

インターネット・ラジオdublab出演!
『遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』の刊行にちなんで、磯部涼がネット時代の“マイナー音楽”について考察。

時間:20:00 start
Labrats DJs:AZZURRO , 磯部涼
場所:Malmö(東京都目黒区青葉台1-15-2 AK-3ビル 1F)
詳細:www.malmo-tokyo.com


・4月27日(日)
磯部涼×九龍ジョー×cero高城晶平
「ライヴトークで紐解くインディ・ミュージックのいま」
~『遊びつかれた朝に──10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』刊行記念~

下北沢の本屋B&Bにてイヴェント開催!
本書のなかでも重要なバンドとして紹介されるceroの高城晶平さんを迎え、音とトークでインディ・ミュージックの現在を考えます。

時間:19:00~21:00 (18:30開場)
出演者:磯部涼、九龍ジョー、高城晶平(cero)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen + 1 drink order
詳細・予約:
https://bookandbeer.com/blog/event/20140427_b_asobitsukaretaasani/


・4月29日(火・祝)
TBSラジオ
荻上チキ・Session-22


「Midnight Session」コーナーにゲストとして著者ふたりが出演!

時間:23:55~24:50
出演者:荻上チキ、南部広美、磯部涼、九龍ジョー
番組ホームページ:https://www.tbsradio.jp/ss954/

・5月10日(土)
タワーレコード渋谷店
磯部涼、九龍ジョー著『遊びつかれた朝に』刊行記念 トーク&サイン&特典お渡し会

開催日時:
2014年05月10日(土) 14:00

場所:
渋谷店 3Fイベントスペース

出演:
磯部涼
九龍ジョー
寺沢美遊
どついたるねん

参加方法:
観覧フリー。サイン&特典お渡し会への参加は参加券が必要です。4月25日(金)発売の書籍『遊びつかれた朝に─10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』(磯部涼、九龍ジョー著 ISBN:9784907276119)を一点ご購入につき先着で参加券を一枚お渡し致します。

対象店舗:
渋谷店 ・新宿店

対象商品:
磯部涼、九龍ジョー著『遊びつかれた朝に─10年代インディ・ミュージックをめぐる対話』(ISBN:9784907276119) ¥1,800(税抜)
・参加券はイベント時のみ有効とさせていただきます。
・参加券による特典のお取り置き等は致しかねます。特典のお引き換えはイベント当日のみです。               
・参加券はアーティストの都合により無効とさせていただく場合がございます。予めご了承下さいませ。
・参加券を紛失・盗難・破損された場合、再発行はいたしませんのでご注意ください。
・観覧はフリーですが混雑の場合入場規制をかけさせて頂く場合がございます。予めご了承下さいませ。
・ご購入いただいた書籍にサインをさせていただきます。イベント当日、参加券と一緒に必ずご持参ください。

※出演情報は随時更新されます!
まだまだ更新予定!


interview with Shonen Knife - ele-king


少年ナイフ
嵐のオーバードライブ

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 「ロックでなければ何でもいい」という、ザ・ワイア―の有名な発言はポストパンクの精神を表すひとつのステートメントとなっている。
 少年ナイフもそんな時代に音楽に目覚め、パンク/ニューウェイヴの影響のもとに活動をはじめたバンドのひとつだが、そんな彼女たちの2008年のアルバム『Super Group』の帯には「ロックなら何でもいい!!」と書かれている。ずっとまっすぐにロックと向き合ってきた彼女たちはいまやロックの日本代表といった趣だ。

 そして結成から30年以上の間に幾度かのメンバーチェンジを経て、現在のメンバーとなっての3作目のアルバムとなる新作『嵐のオーバードライヴ』は、少年ナイフのトレードマークであるラモーンズ・スタイルのパンクポップを封印、なんと70年代へのオマージュに溢れたハードロック・ナンバー満載のアルバムとなった。
 シン・リジィを思わせる“Bad Luck Song”からはじまり、ブギー・ロックあり、ブラック・サバスやジューダス・プリーストを思わせるハードロック・チューンあり、それでいて食べ物や猫が登場するお馴染みの歌詞世界はもちろん健在。
 数ある少年ナイフのアルバムの中でも異色作となったこのアルバムについて、3月某日、新代田FEVERでのロックの楽しさのすべてがつまったライヴの後に、楽屋で話を聞かせてもらった。

70年代後半の頃は、ハードロックとかはその前から王道であって。新しくパンクとかニューウェイヴが出てきたので、当時は自分はまだ若かったから新しいものが好きと思って。王道のロックとかは、そんなんおっさんくさいと(笑)、反発してあんまり聞かなかったんですね。

まずは今日のライヴ、お疲れ様でした!

一堂:ありがとうございます!

今日は“Goose Steppin' Mama”をやってましたけど、あれはやはりラトルズ来日記念ということで?

Naoko:そうなんです、ラトルズが来るからというので今回のセットに入れました。だけどラトルズが来るときには私たちがいないという。

Ritsuko:残念なんですー。

Naoko:私たちがヨーロッパに行っているときにラトルズもヨーロッパをちょっと回ってそこから日本に来るみたいなので。ライヴが見られないのが残念です。

あらあら、それは残念ですね……。では早速新譜のお話をうかがいたいと思います。前作は『POP TUNE』というタイトルのとおりのカラフルでポップなアルバムでしたが、今回は『嵐のオーバードライヴ』というタイトルが発表になった時点できっとロック・アルバムになるんだろうと思ってたんですね。で、実際に聴いたところ、これがもう思っていた以上だったというか。

一堂::(笑)

Naoko:そう言っていただけると嬉しいですね。全部野太い曲にしようと思ってたんですけど、案外猫ちゃんの歌ができちゃったりして、ちょっと息抜きする曲も入ったんですけど。

そうですね、適度に入ってる感じで。

Naoko:基本は図太い感じ。70年代の。

アルバム1曲目の“Bad Luck Song”は今日のライヴでもお披露目してましたし、PVも作られているということで、アルバムのリードトラックみたいな位置づけだと思うんですが、このイントロの時点でもうシン・リジィ(※70年代に活躍したアイルランドのロック・バンド)あたりを彷彿と。

Naoko:そうですね、シン・リジィに影響を受けてます。“Boys Are Back in Town”とか大好きで。

「この曲を聴くとどうもツイてない、何かよくないこと」が起こるというような曲があるんだけど、ひょんなきっかけから逆に幸運を呼ぶ曲だと思えるようになった、というような内容ですが、あの歌詞は何か実話から?

Naoko:はい、経験にもとづいて──今日初めて人前でタネを明かすと、レッド・ツェッペリンの“天国への階段”が私にとってのバッドラック・ソングで。あの曲を聴くと悪いことが──と言ってもそんなシリアスな悪いことじゃないですけど、たとえば電車を乗り過ごしたり。

道に迷ったりとかですね。歌詞によると。

Naoko:まさしくその通りで。そういう経験をもとに書いたんですけど、そこで発想を転換して、逆に思えばよくなるんじゃないかなと思って歌詞を書きました。

ロンドンの地下鉄でその曲を歌っていたスターを見た、と歌詞に出てきますが、それも実際に?

Ritsuko:会ったんですよね、たしか?

Naoko:ロンドンのベイズウォーターていう地下鉄の駅を上がったところにある電器屋さんでジミー・ペイジを見かけたんです。

Ritsuko:あの歌詞はそのことやな、って思いました(笑)。その話聞いてたんで。

Naoko:何年前やったかな?

Ritsuko:2年前ですね、たしか

Naoko:イギリスとヨーロッパのライヴツアーに行く数日前にロンドンに入って、ちょっと観光してたんですよ。泊まってたのがそのベイズウォーター駅の近くで。地下鉄に乗る前にちょっと電池買お、と思って電器屋さんに入ったら「こ、この人!」っていうオーラを感じまして。ジミー・ペイジらしき人と、マネージャーみたいな若い男の人とふたりでいて。その人たちはお店を出てすぐにタクシーを拾ってどこかに行ったんですよ。駅前だからどこかに行くならそのまま地下鉄に乗るだろうけど、タクシーを拾ったということは有名人なんだろうと思って、確信を深めたんです。白いロングヘアーの背の高いひょろっとした人でした。

へえー。1曲目からそうでしたけど、たとえばえみさんが歌う“Green Tea”なんかもブラック・サバスを思わせますし。

Naoko:あの曲は特に何っていう意識はないんですけど、70年代のハードロックを念頭に置いて作ったらああいう曲ができました。で、ドラムのえみさんは京都出身なので京都といえばやっぱりお茶だと。

Emi:フフフ。

Ritsuko:お抹茶ですよね。

Naoko:だからえみさんに歌ってもらおうと。

それで言うと、やっぱりりつこさんと言えばラーメンということで“Ramen Rock”を(笑)。

Ritsuko:たぶんわたしがふだん言ってることをそのまま歌詞にしてくれたんだと思います(笑)。

Naoko:ライヴのあとによくラーメン屋さんに行ったりして。

Ritsuko:そうなんです。ほんとに事実そのままです。いつもラーメンライスセット、もしくはラーメン唐揚げライスセットを。

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外国の人の場合だったら「新曲聞いてシン・リジィを思い出した!」とか、ELOを思い出したとか、KISSがどうだとか、わーっとそういう70年代のバンドの話で盛り上がるから。アメリカやらヨーロッパの人にとっては70年代ロックっていうのはロックを聴く基本だから、みんな誰もが知ってるベーシックな知識というか。日本のひとはちょっと違いますけど。

前にライヴのMCでも、イギリスツアーの時に一番よかったのはラーメンにありつけた時だったみたいなことをおっしゃってましたよね。

Ritsuko:そんなん言ってました、わたし!? でも……事実です(笑)。アメリカだとロサンゼルスに一か所、日本のラーメン屋さんが──。

Naoko:山頭火。

Ritsuko:山頭火ラーメンが食べれる日本のショッピングモールがあるですけど、イギリスにはなかなかなくて。わたしからしたらほんとに約1ヶ月以上もラーメンを食べれない日々が続くわけなんですけど。そのなかでまさかロンドンで、しかも本当にクオリティの高いラーメンが食べれたんで感動して(笑)。

前にお話をうかがった時に、曲を書く時点ではあまり誰が歌うかという、当て書きみたいなことは考えないっておっしゃってたと思うんですけど。

Naoko:はい、前回は作らなかったんですけど、今回はちょっと意識して何曲かは書いてみました。

それはやっぱり、いまのメンバーが馴染んできたという?

Naoko:いまのメンバーが最高だと思っているからです!

たとえば他の方に曲を提供するような機会って、多くはないけどまったくないわけではないですよね?

Naoko:そうですね、昔だと篠原ともえさんとか。うーん、でもあんまりないですね。

最近だとタルトタタンの『グーテンベルクの銀河系』に提供した“バーチャルディスコ”がありましたけど、あれはまあ曲自体は既存(“チャイニーズ・ディスコ”)の──

Naoko:ちょっと焼き直しで、歌詞を考え直しました。

そういうときってやっぱり歌い手のことを想定するんですか?

Naoko:えーと、その時点ではあんまり考えなかったんですけど、いまもし頼まれたらたぶん考えると思います(笑)、ちょっと成長したので。

いまのメンバーということでいうと、新譜の「Shopping」はブギーみたいな感じですけども、ああいうノリはいままでのメンバーではちょっとなかったんじゃないかと。それも含めて70年代ロック・サウンドというのはいまのメンバーだからできるというのがあるのかなと思ったんですが。

Naoko:いまのメンバーはなんでもフレキシブルにできるから。70年代ロックにしたのはたまたま前のアルバムをポップにしたから、次は何しよかなと思ったときにそういう風にしようと、アルバムのカラーをつけただけの話で。いまのメンバーはオールマイティなので何でもできると思います。ロックでも、ダンスでも。踊りも上手いし(笑)、演歌はどうかな?

Ritsuko:(笑)。でも、今回はなおこさんの、趣味というと変ですけど、好み全開やなっていう。

Naoko:好きなものですねえ。

Ritsuko:前作は少年ナイフのポップな面で、今回はなおこさんのいまはまってる感じというか。近年はずっと70年代のハードロックにはまってらっしゃるので(笑)、それをずっとそうやって聴かされてて。わたしは実は70年代のハードロックはあんまり通ってなかったんですけど、今回はそれで聞かされて……がんばりました(笑)。

Emi:同じく(笑)。

Ritsuko:あんまり自分のなかにないものだったので、ちょっと苦労したかもしれないですね。

Naoko:わたしが”スクール・オブ・ロック”の先生ということで。ジーン・シモンズが中高生にロックを教えにいくテレビ番組があって、あと映画でもそういうのがあったし。

Ritsuko:ああ、『スクール・オブ・ロック』めっちゃ好きですよね。

Naoko:そういう感じでやってます。

少年ナイフのリスナーもあまり70年代ハードロックには馴染みがないんじゃないかと思うんですけど、お客さんにもこれを通じてそういうサウンドの魅力に触れてほしい、みたいな思いはあるんですか。

Naoko:日本のお客さんはちょっとわからないけど、アメリカとかヨーロッパ、イギリスのお客さんはまさにそういうのが好きな人たちなんです。70年代ロックとかが好きな人が多いので。

あ、そうなんですか、へえー。むしろストライクとか?

Naoko:まさにストライクだと思います。お客さんとそういうバンドの話をして盛り上がるくらいの世界やから。Twitterでメッセージをくれるような人も、外国の人の場合だったら「新曲聞いてシン・リジィを思い出した!」とか、ELOを思い出したとか、KISSがどうだとか、わーっとそういう70年代のバンドの話で盛り上がるから。アメリカやらヨーロッパの人にとっては70年代ロックっていうのはロックを聴く基本だから、みんな誰もが知ってるベーシックな知識というか。日本のひとはちょっと違いますけど。

Ritsuko:でも少年ナイフのリード曲ってだいたいポップじゃないですか、“ロケットに乗って”とか。そこがまさにザ・少年ナイフなんですけど。でもわたしもファンだった頃に“アントニオバカ貝”とか“コブラvsマングース”とか、“トマトヘッド”とか、ハードな曲にめっちゃハマったんですよね。なんで、たぶんナイフを好きなひとはその両局面を好きなんじゃないかなとわたしは思ってるので、前作がポップな局面のアルバムで、今回はちょっとハードさを出して、どっちも受け入れられるのではないかと思ってます。

たしかに去年あたりはハードな曲だけでセットを組んだライヴもやられてましたよね。

Naoko:大阪で3回やって、東京でも1回やったかな。

Emi:けっこう喜んでもらってるような気がするんですけど(笑)。

Ritsuko:やってても楽しい。ライヴ映えしますからね、やっぱりハードな曲って。頭のふり甲斐があるというか(笑)。

ライヴで手応えを感じた部分もあったかもですね。

Naoko:そうですね。

あと新譜の曲でいうと“Robots from Hell”がすごいジューダス・プリースト(※70年代〜80年代に活躍したバーミンガムのメタル・バンド)だなあと思いました。

Ritsuko:ああー。

Naoko:ジューダス・プリーストはここ数年すごいハマってて。で、とくにあの曲がジューダス・プリーストを意識したっていうことではないけど、やっぱり影響はすごく受けてるので作っている間にそういう風になったんです。歌詞の方は“ロボッツ”というのはいまボーカロイドがすごく流行っているので、ロボットが歌ってるみたいなそういう歌詞。

ああ、そうなんですか。ジューダスのジャケに出てくるようなロボットをイメージしてました。

Ritsuko:初音ミクですね、どっちかというと(笑)。

Naoko:鏡音リンとか。子供たちとか若い人がボーカロイドみたいなのに洗脳されてるのんちゃうか(笑)、みたいなことを感じたので、そういう歌詞を書いたんです。

なるほど、タルトタタンに提供したやつもちょっとそれっぽい歌詞でしたよね、そういえば。

Naoko:そうですね、人間性よりも機械みたいな世界になってきてるんじゃないかなと思って書いた歌詞です。

インターネットとかSNSは苦手だったりしますか?

Naoko:危険もあるから、あまり自分のプライヴェートとかは明かさないようにはしてます。嫌いとかではないですよ。使いようやと思います。どっちかというと世界中の人たちと同時につながれるから面白い。わたしたちみたいなバンドは世界中に行ったり世界の人たちとやりとりをしないといけないから便利ですよね。あとは新しいアルバムの“Like a Cat”という猫ちゃんの歌でも、猫ちゃんの画像を世界の人から募ってアップロードしてもらって、それを集めてヴィデオを作ろうという企画をしていて。やっぱりそれはネットがあるから世界中から自慢の猫ちゃんを送ってもらうことができますよね。

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「なんちゃって」70年代ハードロックみたいになるのが少年ナイフの味やと思うので。少年ナイフがハードロックをやったらこうなった、みたいなのが聴きどころだと思ってます。ハードロックだけど、ちょっとファニーな。本当に悪い、ワルな感じではなくて(笑)。ワルっぽく歌ってるけどラーメン・ロックだったり(笑)、中身はやっぱり少年ナイフだなあって。

なるほど。先ほどMCでも6週間のツアーがはじまるとおっしゃってましたが、長い海外ツアーに出るのはもう完全に毎年の予定に組み込まれた感じですね。

Naoko:アメリカとヨーロッパはもうここ10年くらいは。あとは最近は台湾とかオーストラリアとか。

行ったことのないところで行ってみたいところはありますか?

Naoko:南米とか行ってみたいかな。

Ritsuko:ああー、南米行ったことないですね。

Naoko:ブラジルとかアルゼンチンとかメキシコとか。わりとその辺の方でナイフを好きと言ってくれる方がいるので。アメリカだったらサンディエゴなんかでライヴをやるとメキシコから来てくれるお客さんが多いし。南米は行ってみたいかな。

Ritsuko:CJラモーンが、南米は世界一クレイジーに盛り上がるよって言ってたので(笑)行ってみたいですね。

そうそう、ラモーンズがブラジルでものすごく人気あったんですよね。

Naoko:『アディオス・アミーゴス』っていうくらいやから。

Ritsuko:だからきっと受け入れてもらえるんじゃないかと(笑)。

Naoko:あとはアラブの大富豪のパーティで演奏するのに呼んでほしい(笑)。最近はイギリス行くときにいつもカタール航空に乗るのでドーハで乗り換えたりするんですよ。だからアラブに行ってみたい。

去年くらいからだと思いますけど、国内も今までは東名阪くらいだったのがもっといろんなところに行くようになってますよね。

Naoko:この7月は初めて鹿児島に行くことになりましたし。もっと日本中回りたいけど。

Ritsuko:行きたいですね。イギリス国内を回るくらい日本も回りたい(笑)。

Naoko:イギリス国内だけで20か所とか回りますからね。もっとか。

Ritsuko:日本で全国ツアーね、回ってみたいですよね。

Naoko:でもやっぱりイギリスなんかは、どんな小さな町に行ってもみんなが音楽をすごく好きだから。若い人から年行った人までライヴハウスにも常連さんみたいな状態で見に行ってて、どんなバンドが来ても楽しんで面白いと思ったらCDをちゃんと買ってくれたり。日本だったらちょっと年行った人はライヴハウスには行きづらいけど、イギリスとかは楽しくお酒を飲んで音楽を聴くっていう感覚で近所の人がいっぱい来るから、音楽にはいい状況だと思います。

生活に密着してるんですかね。

Naoko:そうですそうです。

CDを買っていくといえば、今日もみなさん最後まで物販をやられてましたよね。先日ネットでちょっと話題になったブログ記事あって、要するにアイドルの子たちはライヴが終わるとすぐにブースに行って物販をやって1枚でも多くCDなりグッズなりを売るように頑張ってると。で、ロックバンドはそういうのをスタッフに任せてるようなのが多いけど、それでCDが売れないとかぼやいてないで、そういうところは見習ったほうがいいんじゃないかみたいな話だったんですね。それでロックバンドでライヴ後すぐ物販ブースに行く人たちというと、少年ナイフとラフィン・ノーズのポンさんが真っ先に思い浮かんだんですが(笑)。

Naoko:(笑)。意外とアメリカ・ツアーを一緒にまわったバンドなんかは自分たちで車を運転して自分たちでライヴをやって、物販も自分たちで売ってるみたいな人ばっかりですけどね。ばっかり。

ああ、じゃあそういう感覚からするとむしろそっちのほうが普通というか。

Naoko:普通かなと思いますね。お客さんとしゃべるのも面白いし。お客さんがちやほやしてくれはったら嬉しいですよね(笑)。

今回のアルバムはなおこさんの70年代ロックが好き! っていうのが反映されたアルバムになっていると思うんですけど、もともとはラモーンズだったりバズコックスだったりXTCだったり、パンク/ニューウェイヴが原体験としてはあるわけですよね。どちらかというと70年代ハードロックみたいなのは後追い的に聞いていった感じだと思うんですけど。

Naoko:そうですね、はい。

それはやはりニューウェイヴとはまた違った魅力がありましたか。

Naoko:70年代後半の頃は、ハードロックとかはその前から王道であって。新しくパンクとかニューウェイヴが出てきたので、当時は自分はまだ若かったから新しいものが好きと思って。王道のロックとかは、そんなんおっさんくさいと(笑)、反発してあんまり聞かなかったんですね。王道でもビートルズは中学生くらいからずっと聞いてたんですけど。70年代後半はパンク/ニューウェイブをずっと聞いてて。そこから大人になってあらためて70年代のアメリカやイギリスのロックを聴いたら「こんなにかっこよかったんだ!」と。そこからずっとハマって聴いてます。

たとえばハードロックなんかだと髪を振り乱してギターを弾くみたいなちょっと大仰なアクションがあったりしますよね。そういうのはニューウェイヴのノリとはちょっと違うと思うんですが、少年ナイフはパロディというんでもないけど、微妙に距離を置きつつ取り入れてるようなイメージがありますけども。

Naoko:ロックはロックでも80年代の、ボン・ジョヴィとかポイズンとか、あと何があったかな。

モトリー・クルーとか?

Naoko:そんなんなるとわたしはちょっと聴かなくて、それよりも前の70年代のバンドのフリみたいなのは好きで影響を受けてます。

逆に新しい音楽にインスパイアされるようなことはあまりないですか?

Naoko:いま新しくて面白いのは何ですか(笑)? 逆に聞きたいですけど。

Ritsuko:わたしは何でも、流行りの曲もそれなりに聞きますし、上手いことそのへんにインスパイアされたうえでのいま、という感じですけど。すっごくハマったりは最近はしてないけどそれなりに聴きはするしCDも買います。流行りってこんな感じかーとか。

Naoko:昔にあったバンドだけど知らなくて、新しく知って「へえー」みたいなのがあって。つい最近はロビン・トロワーを最近知って買って聴いたりとか。あと、ちょっと前やけどウィッシュボーン・アッシュを買って「かあっこいい!」と思ったり。それは昔はバンド名だけしか知らなくて、見かけがちょっとおじさんぽいというだけで嫌いだったけど、今は見かけよりも音楽が面白かったらピピッてくるんです。ファンクだったらコンファンクシャンていうのを教えてもらって「うわ、かっこいい!」と思ったり。それが新しい発見。

なるほど、まあ出会ったときが新しい時ですもんね。

Naoko:そうです(笑)。わたしにとってはそれが新しい。


少年ナイフ
嵐のオーバードライブ

Pヴァイン

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では最後にニュー・アルバムはいままでのナイフのアルバムとはちょっと違う感じだと思うんですが、こういうふうに聴いてほしいというか、聞き所を。

Naoko:聴きどころは……今までのナイフの曲はパンクとかニューウェイヴとかパワーポップの影響を受けてたから、コードでイントロを動かすラモーンズ的な曲が多かったけど、今回のアルバムではそれはやめようと思って。もうちょっとパワーコードみたいなのを中心に使って曲を作ろうと。わたしたちにとっては新しい試みだけど、その音楽自体は70年代のすごく昔からあるもので、昔からあるだけに絶対聴く人にとってもどこかで聴いたことのあるような音楽だと思うから。聴いたら心に、体に、無意識に響いてくると思うので、その響きを感じてもらったら嬉しいかな。難しいけど、体に染み込んでるものに訴えかけたいと思ってます。

Emi:何回も繰り返し聞いてもらって、ライヴにも来てもらって楽しんでもらえたら嬉しいです!

Naoko:そのとおりです(笑)!

Ritsuko:これが少年ナイフ式ハードロック。さっきおっしゃってたように、ちょっと「なんちゃって」70年代ハードロックみたいになるのが少年ナイフの味やと思うので。少年ナイフがハードロックをやったらこうなった、みたいなのが聴きどころだと思ってます。ハードロックだけど、ちょっとファニーな。本当に悪い、ワルな感じではなくて(笑)。ワルっぽく歌ってるけどラーメン・ロックだったり(笑)、中身はやっぱり少年ナイフだなあっていうところを聴いてほしいです。

Naoko:70年代のアメリカやイギリスのバンドって、女の人のバンドは全然なかったと思うんです。女の人だけっていうのは。ランナウェイズとかはちょっと別だけど、女の人だけで自然発生的にできたバンドはないと思うから。男の人がやったらゴツゴツした感じになるけど、私たちがやってたらこうなるということで。

HOUSE definitive 1974 - 2014 - ele-king

 90年代リヴァイヴァル、ハウス・ミュージック回帰が加速する2010年代、待望のカタログ本『HOUSE definitive 1974 - 2014』が4月11日、刊行されます。

 ハウス前夜のディスコ時代から1980年代半ばのシカゴ・ハウスの誕生へ、そして「ハウス」を世界中に飛び火させた1988年のセカンド・サマー・オブ・ラヴ、音楽的にハウスを洗練させた1989年のディープ・ハウス、1990年以降のディスコの故郷NYを拠点に広がったガラージ・ハウス、1994年以降、原点回帰を標榜しながら音楽性を拡張させたディープ・ハウス・リヴァイヴァル、1996年以降のダフト・パンクを生んだフレンチ・タッチとムーディーマンを生んだデトロイト・ハウス……
 激動の1990年代を経てからの2000年以降のディスコ・ダブ……そして、北欧、東欧、南米、日本にも拡散していったハウスの種子たち……、そして、いちど死んだハウスが見事に蘇る、2008年のカイール・ホールの登場。あるいは、UKガラージ/ベース・ミュージックからのハウスへのアプローチ。

 悲しいことに、この本が刊行される前に、その父親であるフランキー・ナックルズは他界してしまいましたが、その日3月31日~4月1日までの世界中のDJのタイムラインのすべてが彼への追悼だったことを思えば、ハウス・ミュージックが今日のクラブ・ミュージックにおける偉大なる故郷であることはたしか。
 ディスクロージャー世代から往年のハウス/テクノ世代にまで、幅広く手にとって欲しい一冊です。もちろん、スマホでも読める電子書籍アクセスキー付きです!


HOUSE definitive 1974 - 2014
 
監修・西村公輝+三田格
選文・Alex Prat、Alixkun、木津毅、島田嘉孝、Nagi、野田努、水越真紀、森本益司

272ページ
全ページカラー
発売日:4月11日
価格:2600円+税


音から泳ぎだした絵画たち - ele-king

 ティーブスの新作『エスターラ』はあいかわらず素敵だった。プレフューズ73とのサンズ・オブ・ザ・モーニングもとてもよいという話をよくきく。〈ブレインフィーダー〉の新世代として注目されるビートメイカー、ティーブス。ゴツゴツとしてロジカルなビート構築ではなく、繊細で優しい、水彩タッチのトラックメイキングには、やはり彼にしかない世界を感じさせられる。そして、あらためて、2010年のデビュー・アルバム『Ardour』が5年も前のだとは考えられないほど、古びず消費されない音だということに感心させられる。

 さて、そんなティーブスの展覧会が東京で行われる。彼の絵はジャケットにも使用されているが、今回はなんと約100点も観ることができるそうだ。また、来場者にはティーブスがこの個展用に制作したという音楽を収録したPLAYBUTTON(缶バッジ型のデジタルオーディオプレイヤー)が渡され、イヤホンなどを利用して聴きながらの鑑賞ができるとのこと。開催は4月17日から19日土曜まで。会場では本人にも会えるかもしれない。

新作リリース直前に緊急決定!
4月にティーブスが日本初となる個展開催!
4/17-19の3日間のみ開催されるアート展に本人も登場!

teebs展 - ANTE VOS / BEFORE YOU -

3/29 (土) にいよいよ待望の2ndアルバム『E S T A R A』をリリースするティーブス (Teebs) が、日本初となる個展を4月17日 (木) 〜 4月19日 (土) の3日間限定で、ギャラリースペース「KATA(カタ)」 (恵比寿LIQUIDROOM 2F) にて開催することが決定した。音楽シーンのみならず、ストリート・カルチャー〜アート・シーンでも絶大な人気を誇るティーブスは、これまでも所属レーベル〈Brainfeeder〉のショウケース・イベントで来日した際には、必ずライヴ・ペイントを披露するなど、音楽のみならずアート面でも特別な才能を持つことを証明してきた。プレフューズ73やジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーントヴェットも参加した新作『E S T A R A』のリリース後、フライング・ロータスの出演でも話題沸騰中のイベント【Brainfeeder 4】への出演を前に開催される本個展には、ラテン語で“Before You”を意味する【Ante Vos】というタイトルがつけられている。

本展覧会のコンセプトは、“レコードジャケットが作品として完成する前の姿”。有名無名問わず、“語りかけてくるものを選んだ”という既存のレコードジャケットに、新たな命を吹き込むようにペイントを加えるティーブス独特のスタイルで生まれた作品が100点(確認中)以上展示される。またティーブスの世界に没頭できるよう、来場者には、ティーブスが本個展用に制作したという音楽を収録したPLAYBUTTON(缶バッジ型のデジタルオーディオプレイヤー)が渡され、会場に用意されたヘッドフォン、もしくは、使い慣れた自分のヘッドフォンおよびイヤフォンでその音楽を楽しみながら作品を鑑賞できる。また4月18日 (金) と19日 (土) には本人も会場に登場し、サイン入りグッズや限定グッズの発売も予定されている。詳細は追って発表される。

ティーブス展用に公開されたショート・ドキュメンタリーはコチラ

TEEBS / ANTE VOS / Part 1 artwork of Mtendere Mandowa from Theo Jemison on Vimeo.

【アート展情報】
teebs展 - ANTE VOS / BEFORE YOU -
2014.4.17 (thu) - 4.19 (satu) @ KATA GALLERY (LIQUIDROOM 2F)
●日時
4/17 (木):17:00 - 21:00
4/18 (金):13:00 - 22:30 *20:00からはアーティスト本人も登場するレセプションを予定
4/19 (土):13:00 - 20:00
入場無料

PLAYBUTTONとは?
缶バッジ型の本体に、ヘッドフォンを差し込むだけで音楽を楽しめる新世代のデジタルオー ディオプレイヤー。
https://ja-jp.facebook.com/playbutton.jpn

【アルバム情報】

プレフューズ73、ラーシュ・ホーント ヴェット(ジャガ・ジャジスト)参加!
ティーブス待望の2ndアルバム『エスターラ』がいよいよ今週末発売!


Teebs - Estara

Tower HMV iTunes

artist: TEEBS
title: E s t a r a
ティーブス[エスターラ]

release date: 2014.03.29

label: Brainfeeder / Beat Records
cat no. : BRC-412
price: ¥2,000 (ex.tax)

商品情報はこちら!
https://www.beatink.com/Labels/Brainfeeder/Teebs/BRC-412/

[Tracklisting]
01. The Endless
02. View Point
03. Holiday (feat. Jonti)
04. Shoouss Lullaby
05. SOTM
06. Hi Hat (feat. Populous)
07. NY pt 1
08. Piano Days
09. Piano Months
10. NY pt 2 (feat. Prefuse 73)
11. Mondaze
12. Wavxxes (feat. Lars Horntveth)
13. Gratitude (Bonus Track for Japan)

ご 予約は こちら!
beatkart :amazon : Tower Records : HMV : iTunes :
Tr.02 View Point / Tr.03 Holiday (feat. Jonti)の2曲が公開中!
https://soundcloud.com/ninja-tune/sets/teebs-estara


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