「KING」と一致するもの

Bobby Hamilton, Orang-Utan and Lemuria - ele-king

 好調の「VINYL GOES AROUND」シリーズから、貴重な3アイテムが一挙に登場だ。
 ひとつはキーボーディスト/パーカッショニスト、ボビー・ハミルトンの72年作で、その稀少さから「幻の名盤」と呼ばれていたアルバム『Dream Queen』。オリジナルのマスターテープから新たにデジタル・リマスタリングを施し、クリア・ヴァイナル仕様で限定発売される。
 もうひとつは、知る人ぞ知るUKのハード・ロック・バンド、オランウータンが残した唯一のアルバム、そのアートワークをあしらったTシャツ。
 最後はMUROとのコラボ企画第二弾。ソウル、ジャズ、ファンク、ポップを融合したハワイのバンド、レムリア唯一のアルバム『Lemuria』(1978)をカラー・ヴァイナルで復刻、Tシャツとセットでリリース(バラ売りもアリ)。
 ぜひ売り切れてしまう前にチェックを。

VINYL GOES AROUNDにて、The Bobby Hamilton Quintet Unlimited『Dream Queen』のクリアヴァイナル、ORANG-UTANのオリジナルTシャツ、そして日本を代表するDJ、MUROとのコラボレーション企画でLEMURIAのオリジナル・Tシャツとカラー・ヴァイナル、一挙3アイテムを販売。

Pヴァインが運営するアナログ・レコードにまつわるプロジェクト「VINYL GOES AROUND」にて、The Bobby Hamilton Quintet Unlimited『Dream Queen』のクリアヴァイナル、ORANG-UTANのオリジナルTシャツ、そして日本を代表するDJ、MUROとのコラボレーション企画でLEMURIAのオリジナル・Tシャツとカラー・ヴァイナル、一挙3アイテムの販売が開始しました。

The Bobby Hamilton Quintet Unlimited『Dream Queen』は鍵盤奏者、パーカッショニストでもあるボビー・ハミルトンを中心に1972年にレコーディング。当時はNYのマイナーレーベルからのリリースで、サウンドの素晴らしさと希少度が相まってディガーの間では "幻の名盤" と称されていました。A面はエレクトリックピアノとヴィヴラフォンの掛け合いからファンキーなグルーヴへとなだれ込む「Pearl (Among The Swine)」で始まり、メロウなソウル・ボッサ「Priscilla」、パーカッシヴなビートとホーン・セクションが絡み合うアフロ・ジャズ・ファンク「In The Mouth Of The Beast」。B面は印象的なベースの疾走感溢れるファンク「Roll Your Own」、そしてエレクトリックピアノとヴィヴラフォンが切なさを醸し出す極上のスローバラード「Dream Queen」。聴けば誰もが納得する全曲キラーチューンのアルバムです。オリジナルのマスターテープから新たにデジタル・リマスタリングを施した最新仕様でのリイシュー。 VINYL GOES AROUNDでは限定でクリア・ヴァイナルでの発売となります。

ORANG-UTANはLED ZEPPELINやLEAF HOUNDを彷彿とさせるブルージーでアシッドなハード・ロックで、マニアのハートを鷲掴みにしてきました。ヘヴィなギター・リフと絡み合うツイン・リード、コブシの効いた高音シャウトが交錯するサウンドはリリースから半世紀を経た今日でも鮮烈ですが、バンドは本作1枚のみで解散。イギリス出身でありながらアメリカのみでアルバム・デビューという複雑な事情も関係して流通がままならず、知る人ぞ知るアンダーグラウンド・レジェンドとしてロック史にその名を刻んできました。
今回はVINYL GOES AROUND限定でその幻のレコードジャケットをモチーフにしたTシャツを販売。表面には巨大なオラウータンがビルを襲うイラストをプリントし、背面にはバナナの皮のみになった、ジャケットの裏をプリント。

そして日本を代表するDJ、MUROとVINYL GOES AROUNDのコラボレーション企画第二弾はLEMURIAのジャケット・デザインを使用したオリジナルTシャツとカラー・ヴァイナルを販売します。
“KALAPANA”のオリジナル・メンバーでありプロデューサーとしても数々の名盤を残してきた“Kirk Thompson”率いるグループ、“LEMURIA”。1978年にリリースされた唯一のアルバム『Lemuria』は知る人ぞ知るコレクターズ・アイテムとして高額で取引されながらも、ソウル、ジャズ、ファンク、ポップを融合したハワイのバンドとして広く知れ渡り絶賛されてきた名盤です。
今回はオリジナルアルバムに加えてボーナストラック3曲に、「All I’ve Got To Give」と「MISTER U (UNIVERSE)」のオルタネイト・テイク2曲を追加した2LP、ゲートフォールド・ジャケット、ブラウン・クリアヴァイナルでリリース。Tシャツはバンド・メンバーの写真にバンドのロゴをあしらったデザインで3色展開となります。

・VINYL GOES AROUND 販売ページ
https://vga.p-vine.jp/exclusive/

■リリース情報①

アーティスト:The Bobby Hamilton Quintet Unlimited
タイトル:Dream Queen
品番:PLP-7798C
フォーマット:LP (CLEAR VINYL)
価格:¥3,850(税込)(税抜:¥5,500)
※ご注文頂いた商品は、発送準備が整い次第発送します。
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。

[TRACK LIST]
・SIDE A
1. Pearl (Among The Swine)
2. Priscilla
3. In The Mouth Of The Beast
・SIDE B
1. Roll Your Own
2. Dream Queen

■リリース情報②

アーティスト:ORANG-UTAN
タイトル:ORANG-UTAN Original T-shirts
品番:VGA-1029
フォーマット:Tシャツ
価格:¥5,280(税込)(税抜:¥4,800)
カラー:BLACK
サイズ:S M L XL 2XL
※商品の発送は2022年7月上旬ごろを予定しています。
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
※Tシャツのボディはギルダン 2000 6.0オンス ウルトラコットン Tシャツになります。

■リリース情報③

アーティスト:LEMURIA
タイトル:LEMURIA ORIGINAL T-SHIRTS with “Lemuria” COLORED VINYL
品番:VGA-1021
フォーマット:Tシャツ+LP(GOLDEN CLEAR VINYL)
価格:¥10,230(税込)(税抜:¥9,300)
Tシャツ カラー:BLACK / NATURAL / CORN SILK
Tシャツ サイズ:S M L XL 2XL
★300枚限定生産(レコード)
※期間限定受注生産(~6月16日まで)
※Tシャツは受注期間が終了しましたら一色のみの販売となります。
※商品の発送は2022年7月下旬を予定しています。
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
※Tシャツのボディはギルダン 2000 6.0オンス ウルトラコットン Tシャツになります。
※商品は一部他店にて流通するアイテムとなります。

[TRACK LIST]
・SIDE A
1. Hunk Of Heaven
2. All I've Got To Give
3. Dreams
・SIDE B
1. Mister U (Universe)
2. Get That Happy Feeling
3. Moonlight Affair
4. Mystery Love
5. The Making Of You
6. The Lady And The Dude
・SIDE C
1. Don't Say Their Ain't No Heaven
2. Somebody's Talkin'
3. Who Do You Love
・SIDE D
1. All I’ve Got To Give (Alternate take)
2. Mister U (Universe) (Alternate take)

■リリース情報④

アーティスト:LEMURIA
タイトル:LEMURIA ORIGINAL T-SHIRTS
品番:VGA-1020
フォーマット:Tシャツ
価格:¥5,280(税込)(税抜:¥4,800)
カラー:BLACK / NATURAL / CORN SILK
サイズ:S M L XL 2XL
※期間限定受注生産(~6月16日まで)
※Tシャツは受注期間が終了しましたら一色のみの販売となります。
※商品の発送は2022年7月下旬を予定しています。
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
※Tシャツのボディはギルダン 2000 6.0オンス ウルトラコットン Tシャツになります。
※商品は一部他店にて流通するアイテムとなります。

■リリース情報⑤

アーティスト:LEMURIA
タイトル:LEMURIA
品番:PLP-7807/8C
フォーマット:LP(BROWN CLEAR VINYL)
価格:¥5,500(税込)(税抜:¥5,000)
★300枚限定生産
※商品の発送は2022年7月下旬を予定しています。
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
※商品は一部他店にて流通するアイテムとなります。

Boris - ele-king

 今年初頭に発売された活動30周年記念アルバム『W』にはじまり、7インチ・シリーズ、記念ライヴに北米ツアーと、怒濤の勢いでアニヴァーサリーを駆け抜けている Boris。この夏、活動30周年を記念する2枚目のアルバムがリリースされることになった。02年作・11年作同様、タイトルは『Heavy Rocks』で、節目を象徴する内容になっているようだ。発売は8月12日。Boris の追求するヘヴィ・ロックの最新型をこの耳で確かめよう。

Boris30周年記念アルバム “Heavy Rocks” 発売決定!
国内盤限定スペシャルブックレット封入

コロナ禍に突入直後の2020年に制作された『NO』、それに呼応するように連続で生み出された『W』。結成から30周年を迎えた2022年、2枚目の最新アルバム『Heavy Rocks』がリリースされる。
『Heavy Rocks』(オレンジ 2002)、『Heavy Rocks』(紫 2011)と10年毎に、Borisは自分たちの思い描くヘヴィロック最新形を同じタイトルで提示してきた。"Heavy Rocks"という言葉は自身の姿勢・態度そのものであり、過去から未来に亘る揺るぎないテーマであり、象徴である。

この2年で世界は変わってしまった
人々の思考はよりシンプルに
今はみんなそれぞれが大切なものを捉え易くなった

何を未来へ残し伝えるのか
そしてアップデートしていくロックのソウル

言葉や意味を超え貴方に届く魂
本能、直感、牙
これが今のBorisのHeavy rock

結成30周年
最新と普遍をアップデートし加速し続けるBorisの現在。
あなたの大切なものは何か?

閉塞されていた世界が再び解かれ、活発な日常を取り戻す兆しを見せる、まさに転換期とも言える今年、この運命的と言えるタイミングで、Borisは最新の『Heavy Rocks』を投下する。
未だ混迷を続けるこの時代を生き抜き、自らの血と肉として獲得し具現化した現在進行形のヘヴィロックを。
今回は「色」ではなく、過酷な状況を自らの牙でサヴァイブする獰猛な生命の「紋様」を纏い世界に提示する。
前作『W』に続きサウンドプロデュースとしてBuffalo DaughterのsuGar Yoshinagaを起用。
『NO』のエクストリームさ、静謐な『W』の空気感を塗りつぶし、さらに混沌と"Heavy"に耽溺してゆくワイルド&グリッターな世界を楽しんでほしい。


Boris / Heavy Rocks
8月12日発売
KKV-148
CD
2,800円税込

収録曲
01. She is burning
02. Cramper
03. My name is blank
04. Blah Blah Blah -お前は間違っていて俺も間違っていてそれは正しさ-
05. 光 -Question 1-
06. Nosferatou
07. Ruins -瓦礫の郷愁-
08. 形骸化イマジネーション -Ghostly imagination-
09. 幸福という首輪 -Chained-
10. (not) Last song

www.borisheavyrocks.com
KiliKiliVilla.com

Cate Le Bon - ele-king

「立ち上がり、歩くこと。立ち上がり、歩くこと。彼がつまづかないことを示すこと。彼は大丈夫だ。大丈夫なのだ」。ジェームズ・ケルマンの『how late it was, how late』における主人公で、グラスゴー人のサミーは、家路につこうとするが、体が言うことをきかない。酔っぱらって頭にかかっていた靄はやがて晴れる。しかし彼は自分が一歩一歩、手と足を使って、身を隠すために奔走していることに思い当たる。

 哲学の勉強のためにグラスゴーを歩き回った4年間で、私は移動することに価値を見出すようになった。飲酒文化が特に有名なこの街における「移動」は、少し飲み過ぎた後でも安全に家に帰れるということを示している。6年ほど前に東京に引っ越してからは、酒の量は減った。しかし定期的に東京の終わりのない通りや小道をぶらぶらと歩き回るようになった。決まった目的地がないときには、歩いているだけで気分が高揚する。

 しかし、多くの人と同じように、パンデミック以来、私は室内から外を見て過ごすことが多くなった。ここ数年は、スコットランド文学を追いかけたり、様々なアーティストやコメディアンがTwitchというストリーミング・プラットフォームに活動の場を移していくのを見守ったりしている。そのなかでの個人的なハイライトのひとつは、「Rust」というゲームで自分の仮想上のクラブ・ナイトを作り、主催した Murlo だ。また、ちゃんとしたヘッドフォンを購入したことで、ポップとエクスペリメンタルを横断するような音楽への興味が再燃した。

 スコット・ウォーカーの “It's Raining Today” を青写真に、私は、私の感覚をぶっ壊すような「歌モノ」の音楽をいつも探している。過去10年間では、ジュリア・ホルターの “エクスタシス” や、ディーズ・ニュー・ピューリタンズの “フィールド・オブ・リーズ”、クワイア・ボーイの “パッシヴ・ウィズ・ディザイア”、ガゼル・ツインの “パストラル・アンド・ソフィー”、オイル・オブ・エヴリー・パールの “アン・インサイド” の際立った、シュールな構造と興味深い歌詞に大きな影響を受けた。マルチ・インストゥルメンタリストでシンガー・ソングライターのケイト・ル・ボンの2019年のアルバム『リワード』が出たとき、アルバムではなくシングルのループ再生の面白さに気づくときまで、また別のお気に入りのアルバムを見つけたと思ったものだ。しかし3年後の新しいアルバム『ポンペイ』には、あらゆる意味で興奮させられた。

 ル・ボンは、グラスゴーの賑やかな通りから離れたウェールズの田舎で育った。しかし、スコットランドや英国の他の地域と同様に、ウェールズもパンデミックによって特に大きな打撃を受け、政府の厳しい規制によって、彼女は7枚目のアルバム『ポンペイ』の制作を受け入れることを余儀なくされた。「レコードを作るときは、どこかに行って、自分を真空のなかに置きたいんだ」と、ル・ボンは最近のインタヴューで語っている*。パンデミックが発生したとき、彼女はアイスランドにいて、ジョン・グラントの『ザ・ボーイ・フロム・ミシガン』の制作作業を終えていた。このアルバムにおける温かいプロダクションは、グラントによる、この世のものとは思えないアメリカ中西部の疲弊した物語の端々を包み込んでいる。状況が悪化したとき、彼女はなんとかウェールズに戻ることができたが、カリフォルニアにある彼女の家からは、遠いところにいなければならなかった。

 では(外的な状況によって、移動が)できないとき、人はどうやってどこかに行くのだろうか? ル・ボンの場合は、旅を内側に向け、外部からの交通が停止に近い状態で、ロックダウン中のアルバムに広大な地表を織り込むことによってだった。

 オープニングの “ダート・オン・ザ・ベッド” では、サックスとベースの方向の違いが、「移動」をシミュレーションする。サックスが、ひっかかったかのようなオフ・ビートで、音の粒子に逆らって仰け反らせる間に、重みのあるベース音が勢いよくスイングし、前方の道を探る。サム・ゲンデルとサム・ウィルクスによる『ミュージック・フォー・サクスフォン・アンド・ベース』は、当時ヘヴィー・ローテーションされていたはずで、それをこの二元論的なレコードの、オルタナティヴなタイトルにすることは容易だったはずだ。サックスはドラムスとともに、彼女が外部に委託している唯一の楽器でもある。

 低音域での歌唱がニコと比較されることもあるが、ここでのル・ボンのヴォーカルは、他の誰の声にも聞こえないくらい際立っている。『ポンペイ』のサウンドの方も、デビュー作『マイ・オー・マイ』のチェンバー・フォークや、2016年の『クラブ・デイ』の生き生きとしたポスト・パンクから離れたものになっているが、完全に異なるわけではない。アルバムのピークはメロウになり、それは、ロキシー・ミュージックのシンセサイザーと一緒に、雑談で時間を潰すには不安にすぎる、80年代のどこかに存在している。なにしろ、外では嵐が吹き荒れているのだから。

 シングル曲 “モデレーション” のプレ・コーラスでは、「節度を、持つことができない。そんなものはいらない。それに触れたい」と、すべてが快調ではないことのしるしが現れる。思考が流動的になり、「できない(can't)」は「いらない(don't want)」へと後退し、それが「したい(want)」へと反転していく。長い孤独のなかで、最大の敵である自分の心の揺らぎを前にして、自分自身のアイデンティティや価値観が混乱に変わっていく。やがて晴れやかなギターが輝きはじめ、泣き叫ぶようなサックスがヴォーカル・ハーモニーからそれていく。そして、ル・ボンは自分自身が「混乱に縛られている」ことに気づく。

 しかし、なお『ポンペイ』は前方へと進んでいる。それぞれの曲は、より広いタペストリーのなかで、際立った位置づけを保持している。不確かな曲たちは去り、その後には風景の変化が待っている。水平線には穏やかさが増しているのだ。晴朗な “ハーバー” では、彼女は自らのヴォーカルの低音域を捨てさり、浮遊感のあるファルセットを好んで使用している。彼女は、これまででもっともキャロライン・ポラチェクのように演奏していて、ゆったりとしたシンセ・ポップ的グルーヴは、ブルー・ナイルのレコードに収録されても違和感がないものだ。

 最終曲の “ホイール” に至るまで、ル・ボンはヨーロッパの海岸線と、自然災害の現場を、安全に航海してきた。「目には見えない都市のフランスの少年たち」(“フレンチ・ボーイズ”)から “ポンペイ” の「記念碑的な怒りの上に作られた都市」まで、である。泣き叫ぶサックスは鳴りを潜め、ベースは誇らしげに行進する。自己が回復し、この力強く、感動的なレコードは終わる。

 我々は元気を取り戻し、歩いている。我々はそれを乗り越えたのだ。

* https://www.undertheradarmag.com/interviews/cate_le_bon_on_pompeii

written by Ray Chikahisa

“Up and walking, up and walking; showing here he wouldnay be stumbling; he wouldnay be toppling, he was fine, he was okay”. Sammy, the Glaswegian protagonist in James Kelman’s how late it was, how lateis trying to make his way home, but his body is not cooperating. His drunken fog eventually clears, but he still finds himself scrambling for cover, using his hands and feet to navigate each step.

In the four years I spent walking around Glasgow studying for a philosophy degree, I came to value being on the move. Especially in a city famed for its drinking culture, being on the move means you’re safely returning home after a few too many drinks. Since moving to Tokyo almost six years ago, I drink less, but regularly head out to wander aimlessly through the city’s never-ending streets and pathways. Without a set destination, being up and walking takes on a state of mind.

Still, like many others, since the pandemic I have been spending a fair amount of time indoors looking out. In the past few years I have been catching up on Scottish literature, and watching various artists and comedians transition over to streaming platform twitch - one of my highlights being Murlo building and then hosting his own virtual club night on the video game Rust. I’ve also invested in a decent pair of headphones and resumed obsessing over music at cross-sections of pop and experimental.

With Scott Walker’s ‘It’s Raining Today’ as my blueprint, I’m always on the hunt for vocal music that subverts the senses. In the past ten years Julia Holter’s Ekstasis, These New Puritans’ Field of Reeds, Choir Boy’s Passive With Desire, Gazelle Twin’s Pastoral and Sophie’s Oil Of Every Pearl's Un-Insides have all affected me in a big way with striking, surreal architecture and lyrical intrigue. When multi-instrumentalist and singer-songwriter Cate Le Bon’s 2019 album Reward came out, I thought I’d found another favourite until I realised I was stuck in a listening loop with the singles and not the album. But three years on, and a new album had me all kinds of excited.

Le Bon grew up in the Welsh countryside, far removed from Glasgow’s busy streets. But like Scotland and the rest of the UK, Wales was hit particularly hard by the pandemic, and strict government restrictions forced her to adapt for her seventh album Pompeii. “When I make a record, I want to go somewhere and put myself in a vacuum,”* remarked Le Bon in a recent interview. When the pandemic hit, she had been in Iceland finishing up her production work on John Grant’s The Boy From Michigan - an album whose warm production grips at the edges of Grant’s weary tales from an otherworldly American Midwest. When conditions got worse, she had managed to return to Wales, but was kept apart from her home in California.

So how do you go somewhere when you can’t? In the case of Le Bon, you turn your travels inward, and weave an extensive geography into your lockdown album as external traffic nears to a standstill.

Right from the start of opener ‘Dirt On The Bed’, movement is simulated by the contrasts in direction from the saxophone and bass. Weighted bass notes swing forth with momentum, scouting the path ahead while saxophones, often snagging on an off-beat, brush back against the grain. Sam Gendel and Sam Wilkes’ Music for Saxofone and Basshad supposedly been on heavy rotation at the time, and it could easily have been an alternative title for this dualistic record. The saxophones, together with drums, are also the only instrumentation she outsources.

While comparisons to Nico follow her in the lower registers, by this point, Le Bon’s vocals are so distinctive it’s hard to hear anyone else. The sound of Pompeii has also moved on from the chamber-folk of her debut My Oh My, and the lively post-punk of 2016’s Crab Day, but not entirely. Its peaks have mellowed, it’s somewhere in the 80s, with a hand on Roxy Music’s synthesizers, but too anxious to stick around for the schmooze. After all, there’s a storm building outside.

Signs appear in the pre-chorus of single ‘Moderation’ that all is not well, ‘Moderation, I can't have it, I don't want it, I want to touch it’. With stream-of-thought fluidity, ‘can’t’ regresses into ‘don’t want’ which then flips into ‘want’. Our own identities and values turn to soup when facing our greatest adversary in times of prolonged isolation - our own wavering mind. Before long bright guitars begin to spark, wailing saxophones veer away from aligned vocal harmonies and Le Bon finds herself “tethered to a mess”.

And yet Pompeii travels onwards. Each song has its own distinct location within a wider tapestry. Songs of uncertainty depart, a change of scenery awaits, and calm grows in the horizon. Take the serene “Harbour,” where she casts aside the sobering lower registers of her vocal range in favour of buoyant falsetto. It’s the most she’s ever sounded like Caroline Polachek, and the slow-burner synth-pop groove wouldn’t be amiss on a Blue Nile record.

By the time of final track ‘Wheel’, Le Bon has navigated safe passage through European coastlines and sites of natural disaster, from the ‘French boys in invisible cities’ to Pompeii’s ‘Cities built on monumental rage’. The wailing saxophones have simmered, and the bass marches on proudly. The self is restored, and so draws this emphatically moving record to a close.

We’re back up and walking. We made it through.

* https://www.undertheradarmag.com/interviews/cate_le_bon_on_pompeii


interview with Shintaro Sakamoto - ele-king

 この20年のあいだにリリースされた日本の音楽において、傑出したプロテスト・ミュージックに何があるのかと言えば、ぼくのなかでは、たとえばゆらゆら帝国の『空洞です』と坂本慎太郎の『ナマで踊ろう』が思い浮かぶ。が、その解説はいまはしない。いまはそんな気持ちになれない。イギリスでウェット・レグが売れるのも理解できる。いまは誰もが楽しさに飢えているのだ。
 しかしその背景は決して幸福なエデンなどではない。『物語のように(Like A Fable)』——この思わせぶりな言葉が坂本慎太郎の4枚目のアルバム・タイトルで、前作『できれば愛を』が2016年だからじつに6年ぶり、オンラインメディアがそのみだらな馬脚を現す前の話で、ドイツはなかば理想的な環境先進国だと信じられて、円安もいまほど深刻に思われていなかった時代の話だ。いや、無粋なことは言うまい。いまは誰もが楽しさに飢えているのだ。ぼくだってそうだ。しかしそんなものどこにある?
 この難問に対峙したのが、『物語のように』ではないのだろうか。アルバムは、キャッチーで、ポップで、メロディアスで、スウィートなのだ——と、知性も教養もない言葉を連発してしまった。このインタヴューの終わりには、(いつになるのかわからないが)語彙の多さに自信を持つ松村正人なる人物の文章が入ることになっているので、そのときが来たら自分の程度の低さはいま以上に際立つだろう。それでもかまわない、このアルバムをなるべく早く紹介すること、なるべく多くの人に聴いてもうこと、それがいまの自分に与えられた使命なのだ。
 取材日は、5月だというのに寒い雨の日で、場所は恵比寿リキッドルーム。その日は公演がなく、場内の明かりや人気も無く、がらーんと静かで、広々としているが暗く寂しい空間だった。これが取材の演出だとしたら見事なものだ。坂本慎太郎は、変わりなく、いつものように言葉少なめに淡々と話してくれた。一見、エネルギーが欠如しているように見えるかもしれないが、アルバムに収録された各曲を聴いたら改心するだろう。それから、そう、最後にあらためて言っておくことがある。ぼくは必然的に、この2年ほど世界の無慈悲な変化に対しての反応をおもに音楽を通して見てきているが、『物語のように』もそうしたなかの1作である。(野田)

本当は全部青春っぽい歌詞にしたいんですけど。『アメリカン・グラフティ』もそうだし、ロカビリーとかも。でもやっぱり、俺が学園生活の恋愛とか喧嘩とか、自分のないもの出せないし、青春ぽくも読めるけどリアルな自分の年齢のぼやきにも取れるギリギリを狙っていて。

すべての曲が魅力的で、無駄がないというか、ぼくの印象を言うと、メロディアスで、スウィートなアルバムだなと、キャッチーなアルバムでもあると、そう思いました。もっとも坂本慎太郎のアルバムにはつねに際どさがあって、言葉もメタファーになっていることが多いので、その表面の下にあるものが何なのかをお話いただければと思います。インターネットに載るインタヴューですから、どこまで話していただけるかわからないですけど。

坂本:はい。

"それは違法でした"は何がきっかけで作られた曲なんですか?

坂本:歌詞ってことですか? きっかけはなんですかね。ポロッとできたんですけど。

何か出来事があって、それがきっかけではなかった?

坂本:うーん……。

でもこれ、コロナ以降、ぐしゃぐしゃな世のなかになってからのアルバムなわけですよね?

坂本:はい。曲はコロナ前から作り溜めてたんですけど、歌詞がなかなかできなくて。

何かあった都度に書き留めたというより、最近ばーっと書いたんだ?

坂本:早くても去年の夏くらい。1年以内に全部書いてる。

じゃあアルバム作りの起源みたいなものがもしあるとしたら、いつになるんですか?

坂本:えーと、去年7月にLIQUIDROOMでライヴをやって、フジロックもやったのか。たぶんフジロックが終わってから、バンドで今回の曲の……いや、その前からやってるな。6月とか7月とかに曲をリハーサルしだして、12月にレコーディングをはじめたんですよ。それまでに8曲ほど練習して、でもその段階では全部の歌詞ができてるわけじゃなくて。できてるのもあったんですけど。3月に完成したんですけど、レコーディングしながら曲作り足したり、歌詞完成させたりという感じですね。

それだと起源はどこになるんだろう?

坂本:デモテープみたいなのは前のアルバム出してからコツコツ作ってたんで。

▲:いちばん古いのなんなんだろう?

坂本:1曲目ですね。これだけ家でデモテープを作ったときの音をそのまま使ってて。

リズムは、エレクトーンかなんかのプリセット音?

坂本:これはマエストロの古いリズム・ボックス。家で録ったやつで、歌とホーン・セクションだけスタジオで生で録りました。

この曲を1曲目に持ってきたのって何?

坂本:……他に置き所がないから。

一同:(笑)。

アルバムを前半と後半に分けて考えました?

坂本:分けては考えないですけど、流れは考えました。

それはサウンドの流れ? 言葉の流れではなくて?

坂本:言葉の流れも関係するのかもしれないですけど、曲を聞いててしっくりくる流れを考えました。いまはそんな聴き方する人いないらしいですね。

一同:(笑)。

坂本:前の取材で「今回曲順は考えたんですか?」と聞かれて、「当然考えましたけど」と言ったら、いまは曲順を考えない人がいると言われて衝撃を受けました。

サブスクの悪影響だね。

坂本:前回は2016年に出たんで、日本にspotifyが入る直前だったんですよね。だから今回は、あのときとは全然状況が違う。

ぼくからするともったいない聴き方だよね。アルバムを楽しむというのは音楽ファンからしたらひとつの醍醐味だから。

坂本:でもアルバムがそういう作りになってなければ意味はないですよね。そういう風に作られてるものだったら意味があるけど、作る方がそれを放棄してたら、通して聴く意味もなくなってきてるし。

▲:じゃあなんでそういう人たちはアルバム出すんですかね? シングル出し続ければ良いじゃないですか。

シングルで出し続ける人もいるんだろうね。ぼくはそういう風潮に関しては否定派なんですけど、いまはその話は置いといて、『物語のように』に話を戻すと、前半と後半というか、"スター"の前と後ろでアルバムの雰囲気が違うかな、と感じたんですよね。

坂本:ここで変えようとは意識してないです。流れでこういう流れがいいかな、とは思いましたけど。

松村君どう思った?

▲:まさしくそう思いました。A面とB面という考え方なのかな、と。"スター"より前の方がヴァリエーションがあって。

深読みをさせてもらうと、坂本君のこれまでのアルバムって、つねに時代を意識しながら作られてたと思うんですね。で、こういう時代になって、ものすごい暗い時代になってしまって、それですごく暗い音楽を作るんじゃなくて、ものすごく意識して甘くてメロディアスな音楽を作ろうとしたんじゃないかな、というのがひとつ。もうひとつは、"スター"以前の曲の歌詞というのは、すごく捻りがあるというか、意味を深読みできる言葉が並んでいると思ったんですね。それに対して"スター"以降の曲は、もうちょっと優しさが前面に出ている。だから、薄暗くはじまって、明るく終わるみたいな感じがしたんだけど。

坂本:そうですか。でもまあ最初におっしゃった、明るい曲にしようとしたというのはその通りで、そういうの目指してました。

すごくメロディーが際立っているという風に思ったんですよ。松村君は?

▲:思いました。"恋の行方"の落とし方が、やっぱり明るい感じというか。

坂本:あれ明るいですか(笑)? じゃあ良かったです。明るいっていってもあれが俺のできる明るさの限界ですけど。

アンビヴァレンスみたいなものは坂本慎太郎の特徴なのかなと思うけど、今回は1曲目がレゲエな感じで、2曲目はソウル・ミュージックな感じで、サウンドだけ聴くとアップ・リフティングなんだけど、歌詞をよく聴いていくと、決して楽天的ではない。

坂本:たしかに最初の2曲がそういう印象あるのかもしれないですね。

表題曲の"物語のように"だって……

坂本:明るくないですか?

いや、明るいか(笑)。明るいけども、ここで歌われている感情というものが、単純に昔は良かった、ということなのか。あるいは現在に対する皮肉なのか。どっちが強いんだろうか?

坂本:えー。

どうして"物語のように"なの? あと英語表記だと「Like a fable」でしょ? storyとかromanceとかではなくて。fableって作り話とか童話みたいな意味じゃない? それがなぜタイトルになったのかな。

坂本:なぜと言われると……なぜなんですかね。

あのさ、ele-kingでニュース出したときに、めちゃバズったんですけど、曲目のリスト載せるじゃないですか。多くの人が曲名のリストに反応してるんだよね。

▲:曲名がひとつのメッセージだな、とは思いました。

坂本:なんていうんですかね、考えが先にあって作っているわけじゃないんですよね。考えてないこと歌っているわけでもないんですけど、もっとイタコ的というか、無意識にポロって出た言葉に対して、これどういう曲になるんだろ、と考えて曲にするということが多くて。考えて歌詞を作るとあんまり面白くないというか、曲としてこじんまりしちゃうんですよ。これ("物語のように")の最初の歌い出しは「紙芝居」となってますけど、そこが物語のように、に繋がっていって曲になったという感じですね。

意図せず「物語のように」という言葉ができたということか。

坂本:それに対して後付けで何か言うことはできるかもしれないけど、正確に言うと考えてないです。

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そうですか。でもまあ最初におっしゃった、明るい曲にしようとしたというのはその通りで、そういうの目指してました。明るいっていってもあれが俺のできる明るさの限界ですけど。

リスナーから、「坂本さん、これは現在がひどいから過去への郷愁を歌ってるんですか」と訊かれたら、なんと答えます?

坂本:それもありですけど、あんまり「昔はよかったね」とか言いたくないんですよ。

それはよくわかるよ。コロナ禍はどんな風に過ごしてました?

坂本:もともとずっと籠ってるようなタイプなんで、ライヴはなくなりましたけど、普段の生活はそんなに変わってないです。よく考えるとライヴもそもそもやってなかったから。飲みの誘いが無くなって、その分作業に専念できる、というところでした。

▲:作業というのは曲作りの?

坂本:曲を作ったり、考えたり、でしたね。

「好きっていう気持ち」とか「ツバメの季節」という2枚のシングルを出しましたが、これはどういう気持ちだったんですか? これらの曲は、坂本君にしたらすごく素直にセンチメンタルな、当時の気持ちを表現したのかなと思ったけど。

坂本:あれは、コロナになってライヴとか、アメリカ・ツアーを予定してたのが全部飛んじゃって、やることないから宅録っぽいアルバムでも作ろうかなと思って。古いリズム・ボックスとか好きだから。そういうイメージで作業をはじめたんですけど。1回ライヴをやるかもみたいな感じになって、スタジオにメンバーと入ったんですね。ちょっと練習してたんですけど、ライヴがやっぱりできないことになって、練習していたのが無駄になったし、スタジオも予約していたので、せっかくだし今作ってる新曲をバンドでやってみたら、ひとりで作ってるよりみんなで生でやるほうが面白いな、と思って。それでシングルにしたんですよ。アルバムにするには曲が全然足りなくて、アルバムにいくのも先になりそうだし、そのときあった4曲をシングルで出したんですよね。だから、その時期のムードとか思ってることがそのまま出たって感じ。だけどちょっと、今回のアルバムはあんまりメソメソしたこととか言いたくなかったので、また違う感じになってると思うんですけど。

▲:アルバムはそういう(シングルの)感じじゃなくしようと思って作ったんですが?

坂本:いや、全然イメージが湧かなくて、歌詞が難しいなと思って、コロナになってますますですけど。インストの音楽だったらできるかもしれないけど、歌詞がある曲をわざわざリリースするときに、どんな言葉を歌うとしっくりくるかが難しくて。なんとか、こんな感じだったら歌えるかな、となったのが、さっきの4曲だったんですけど。ただそういうことがアルバムでやりたかったわけじゃなくて、もうちょっと突き抜けたものにしたかったんで。

それはすごいわかりますね。

坂本:「コロナで大変だ」みたいな感じとか、「社会状況がキツいね」みたいなのを出すんじゃなくて、そこを抜けていく、突き抜けていく感じを出したかったんです。

コロナだけじゃなくて、オリンピックがあったり、小山田圭吾君のこともあったり、海外だとBLMもあったり、戦争があったり、この3年ですっかり世界が違うものになっちゃったじゃない。

坂本:もちろんそういうの全部、感じてるし、それぞれに言いたいこともありますけど、全部を超越したような、スカッとした楽しい気分になれるような……

たしかに1曲目、2曲目はそんな感じでてる(笑)。突き抜けるような。

坂本:うまく言えないんですけど、見ないようにして、無理して明るく、というのではなく、こういう状況にありながら楽しめる、というすごい細いラインを模索して、なんとかここにきたという感じなんですけど。

素晴らしい。

▲:これまでのアルバムのなかで作るのはいちばん大変だったですか?

坂本:そうですね。歌詞が、途中からできてきたんですけど、途中まではできる気がしなかったですね。無理矢理考えてもダメなのはわかってるんで。

▲:そういうときはひたすら待つんですか?

坂本:あと散歩ですね。

ちなみに、言葉が出てきたきっかけとかなんかあるの? その後の方向性を決めたような。

坂本:最初にできたのが、"物語のように"という曲なんですけど。曲自体はけっこう前からあって、自分のなかでは悪くはないけど、とくに新基軸な感じもしないし、と寝かせてあった曲なんですけど、ある日言葉がハマって。歌詞ができる前からスタジオで演奏してたんですけど、デタラメ英語みたいな感じで。でも歌詞ができて日本語で歌ってやってみたら急に良くなって。なんてことない曲だと思ってた曲でも、言葉がハマると急激に曲になるというか、その感じを実感して。それから、簡単な言葉とか、さりげない言葉でピタッとハマって、キラキラさせる、みたいな方向性がちょっと見えたかもしれないです。

▲:"物語のように"の一節が最初に出てきたんですよね? この一節が最初に降ってきた、と。

坂本:そうなんですけど、"物語のように"という曲で「物語のように」から歌い出すといまいちかな、と思って……

▲:なるほど(笑)。それで同じ譜割りで言葉を探して?

坂本:割とスルッと出たんですけどね。

ちなみにその次の曲、"君には時間がある"もキャッチーな曲なんですけど、この歌詞はやっぱり自分の年齢があって、若い「君」ということでいいんですか?

坂本:この曲ができたとき、まだ歌詞はなかったんですけど、なんとなくアルバムが見えてきたと思ったんです。「こんな感じの曲ばっかりのアルバムにしたいな」と。ただデモの雰囲気を変えずに歌詞を乗せるのが大変でした。デタラメ英語で歌ってる譜割りを崩したくなかったし、あと曲のイメージが変わっちゃう、というところで苦労したんですけど。だから野田さんが言ったようなことを言いたくないなと思って。

(笑)。

坂本:いわゆる「我々には残り時間がない」とか、そんなこと言いたくないなと思って。本当はもっと馬鹿馬鹿しいことを言いたかったんですけど、サビのところで「君には時間がある」という言葉がハマっちゃうと、もう動かしようがなくて。

なるほど(笑)。

坂本:安田謙一さんから、「君にはまだ時間がある」「僕にはもう時間がない」の「まだ」と「もう」を省略してますね、と言われて。それ言うとさっき野田さんが言った意味になっちゃうから、俺は単に忙しい、お前は暇だ、という意味も入れたくて。最初は逆に考えてたんですよ。「俺は時間があるけど、そっちにはない」みたいな。でもそれはそれで反感買うかな、と思って。

一同:(笑)。

坂本:いろいろ考えて、そういうマイナーチェンジはしてるんですけどね。

音楽の歌詞って、サウンドと一緒になって初めて意味を成す、ということなんだけど。でも、歌詞だけ読むとすごくディープにも取れるようなね。

坂本:だから、本当は全部青春っぽい歌詞にしたいんですけど、誤解を恐れずに言うと(笑)。自分が求めてる音楽はそういうやつなんだけど。

▲:『アメリカン・グラフティ』みたいな?

坂本 そうそう。そういう単なるラヴ・ソングみたいなのなんだけど、歌詞で言ってるのとは違うこと表現してるみたいなの、あるじゃないですか? 『アメリカン・グラフティ』もそうだし、ロカビリーとかも。でもやっぱり、俺が学園生活の恋愛とか喧嘩とか、自分のないもの出せないし、青春ぽくも読めるけどリアルな自分の年齢のぼやきにも取れるギリギリを狙っていて。

なるほどね(笑)。「未来がどうなるかわからないから、いまを楽しもうよ」という風にも聞こえるよね。

坂本:そうですね。一応ギリギリのところでやったつもりなんですけど。

▲:その通りになってると思います。

坂本:でもたしかに野田さんが言ったようなことももちろん入ってますけどね。

いろんな意味にとれるから面白いんだよね。

坂本:たぶん若い子が聴いたら、そういう風にはとらないと思う。

リスナーの立場によって変わってくるのかな、と思うよ。

坂本:同世代とかは、正しくとると思うんですけど(笑)。

“まだ平気?"の歌詞も面白いなと思ったんですよ。

▲:2番の韻の踏みかたとかも素晴らしいと思いました。

これはなんで出てきたの?

坂本:これも曲が先にあって、こういう譜割りのメロディがハマってたんですけど、それを崩したくなくて、けっこう苦労したんですよね。やっぱり考えすぎると真面目っぽくなっちゃうし。

最初の2曲が時代を捉えようとしていると思ったんだよね。

坂本:どちらかというと、ぼくは後半みたいな、1、2曲目以外の曲だけで10曲作りたかったんですけど、まあいいのかなと思って(笑)。

一同:(笑)。

▲:でも流れとしてはこの2曲と繋がりもけっこうありますしね。場面として分けて考えることもできるアルバムだと。

坂本:一応流れはあるんですけど、そういう風に聴く人はいないらしいので。

いや、まだそんなことないんじゃないですかね。

▲:シングルを順番に並べてるような聴こえかたもするな、と思って。

A面B面A面B面という感じで? なるほどねー。いやーでも2曲目をB面にするのもったいないな。

一同:(笑)。

▲:そういう話じゃないですよ(笑)。アルバムの構成ということでも、聴き方をいろいろ考えさせるアルバムだな、と感じました。

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歌詞が難しいなと思って、コロナになってますますですけど。インストの音楽だったらできるかもしれないけど、歌詞がある曲をわざわざリリースするときに、どんな言葉を歌うとしっくりくるかが難しくて。

サウンド・プロダクションで、今回テーマはありました? 僕はちょっと、清志郎と細野(晴臣)さんがやったHISを思い出したりもしました。あれも歌謡曲的な、あるいはフォーク・ロックの雑食性と突き抜けた感じがあって。

坂本:ぼくは、けっこう、ロックっぽく……

ロックっぽく?

坂本:いま聴いて格好良く聞こえるようなエレキギターの感じとかを出したいなと思ったんですけど。ソロになってからはあんまりエレキギターを全面に出してこなくて、比重が少なかったので。世の中的にもエレキギターの立場が悪くなってるので。

ギターの音がクリアに聞こえていますよね。

坂本:あとは、オールディーズっぽい感じとか、アメリカン・ポップスの感じとか、ロカビリーの感じとか、サーフ・ギターとか……そういう感じは昔から好きだけど、今回はちょっと多めかもしれないですね。

▲:サーフ・ロックぽいといえば、4曲目のギターはなにを使ってるんですか?

坂本:ジャガーですね。中村(宗一郎)さんの。

SGの音じゃないですもんね。5曲目は?

坂本:えーと、わからない(笑)。

ご自分のSGだけじゃなくて、いろいろ使ってる、と。

坂本:メインは中村さんのジャガーかもしれないですね。

▲:そういうところで、サウンド的には昭和35年代感というか、60年代前半の感じがありますね。

坂本:60年代前半は好きですね。

どうしてそのコンセプトが?

坂本:前から好きだし、さっき言った、モヤモヤしたのを突き抜けていく感じのイメージがあるんですね。キラキラして。

"愛のふとさ"なんかはボサノヴァっぽいですよね。

坂本:この曲だけなんか違うんですよね。こういうのも1曲あっていいのかなと思って。これもデモ・テープのなかに入ってて、でもロックぽくないし、テイスト違うかな、と思ったけど、まあいいか、と。

一同:(笑)。

今回のアルバムでは、僕の好きな曲のひとつだけど。

坂本:うん。曲としてはすごく良くできたかな、と。

あと、1曲目のレゲエっぽい感じもいいなぁ。

坂本 レゲエっぽいですか?

レゲエっぽいよね?

▲:ホーンの入り方とか、初期のダンス・ホールっぽいですよね。なんでトロンボーン入れようと思ったんですか?

坂本:それは西内(徹)さんが……。

あのトロンボーンはすごいハマってたね

坂本:このトロンボーンは僕のアイデアですけど、2曲目のホーン・セクションは西内さんが考えてて、トロンボーンとサックスでやりたいというから任せて。で、スタジオにKEN KENと来て、1曲目はまだ途中段階で歌詞もなかったんだけど、この曲にも入れたらいいな、と思って、その場で。

▲:1曲目ってトラックとしてはワン・コードでやってるんですか?

坂本:ワン・コードですね。

▲:Cのワン・コードですよね。そのうえでリズムが変わっていく。

坂本:リズムがシャッフルのリズムと、エイトのリズムの2種類あって、リズム・ボックスがシャッフルになってて、リフが8ですね。

▲:ものすごく気持ち悪いですよね(笑)。でもその気持ち悪さに気づく人もどれだけいるのかな。

坂本:すごいねじれた感じにはなっていて、フワーっというのはスティール・ギターの音なんですけど、あれがシャッフルの周期で出てくるのでリフとズレて、ちょっと変な感じになっています。

▲:私は、こういうことをロバート・ワイアットとかがやりそうだなと思いました。すごく面白い。ところで、フジロック以降、ライヴはやってないんですか?

坂本:その後に福井のフェスに出ただけですね。

▲:これ(アルバム)が出たあとはツアーは予定されているんですか?

坂本:ツアーというほどじゃないですけど、東京とか大阪とかではやりますね。

▲:いまはだいぶライヴもやりやすいですよね。

坂本:ただ、俺もあんまり人混みに行きたくないから、来てくれとは言いづらいですね。人のライヴとかでぎゅうぎゅうだったりすると、行くの怖いので。それが染み付いてて。マスクしない人がワーワーやってるところに行きたくないって思っちゃうから。そういう状況で自分がやるのも抵抗あるし、どこからが安心でどこからがやばいという線引きは難しいんですけど、なんとなくあるじゃないですか。まあ大丈夫そうだな、とか、ここはちょっとやばいから早く出よう、とか。そういうことをどうしても考えちゃうんで。

模索しながらやるしかないみたいな。

坂本:あと、俺はそもそもライヴやりたくなかったから。でもやりだしたら楽しいや、と思ってたんですけど、ライヴをやれなくなっても元に戻るだけというところあるんですよね。

海外からオファーが来ると思うんですけど、それは行かないようにしてるの?

坂本:アメリカは延期の延期で今年の6月だったんだけど、それはこっちからキャンセルしましたね。

▲:まだ不安だということで?

坂本:あのーすごい赤字になりそうで。例えばもし隔離とかになっちゃうと……。

▲:隔離は自腹ですもんね。

坂本:全部補償してくれるわけじゃないから。向こうの滞在費とかこっちで払わなきゃいけなくなるし、お客さんも来るかわからないし。向こうでメンバーとかスタッフとかが感染して隔離というときにどうしていいかわからないし。
いまはライヴをやれば楽しいし、いい感じでやれるならやりたいけど。どういう場所でやるか、というのも関係してくるな、と思います。円安で飯も高いしね。

▲:レコードの輸入盤もますます高くなりますね。海外の配信は多いですか?

坂本:まあ多いですよ。ブラジルが多いんですよ。サンパウロとか。ブラジルで人気のあるO Ternoというバンドと一緒にやったから、それ繋がりだと思います。

▲:今回のアート・ワークは何かメッセージはあるんですか?

坂本:いや……とくにない、と言っちゃうと終わっちゃうか(笑)。

一同:(笑)。

坂本:まあこういう感じがいいかな、と思って。

坂本君にとって、いま希望を感じることってなんですか?

坂本:希望を感じること。うーん……(長い沈黙)。

乱暴な質問で申し訳ないですけど。

坂本:うーん、なんですかね? なんかありますか?

酒飲んで音楽聴いて、サッカー観たり……、これは希望じゃないか(笑)!

坂本:個人的なことで真面目に言うと、いい曲を作ることには制限がないじゃないですか? 何となくでも、こういう曲が作りたいというのがある限り、それに向かって何かやる、ということは制限ないから、それはいいな、と思う。あと、楽しみで言えば、酒飲んで……みたいな、それくらいしかない(笑)。でも作品作っておかないとね。良い作品作っておけば、しばらく酒飲んでてもいいかな、と。それなしだとちょっと飲みづらいというか。

一同:(笑)。

自分を律してると。

坂本:ほぼ冗談ですけど。でも、時代が変わって、世界の境界線が音楽においてはなくなっているので、曲を出すとタイム・ラグなく外国の人も曲を聴いてくれるじゃないですか。で、直接リアクションがあったりするし。

ぼくも海外の人から感想を言われるのは、昔はなかったので、嬉しいですね。そういう文化の良きグローバリゼーションというのはあるよね。

坂本:悪い方もいっぱいあって、インターネットとかだとそっちが目立つじゃないですか。でも普通にラジオで最近買ったレコードかけると、その本人からコメントきたりとかありますね。それは昔とは違うかな、やっぱり。

▲:たしかにそれは希望かもしれないですね。

Thundercat - ele-king

 昨日、ついにスタートしたサンダーキャットの来日公演。ドラマーとして同じ〈ブレインフィーダー〉仲間、ルイス・コールが参加するという嬉しい事前告知も手伝って、会場は大いに活気に包まれていた。序盤から全開で炸裂する、驚異的なベースとドラムのコンビネーション。ただただ圧巻のひと言につきます。その恵比寿 The Garden Hall でおこなわれたショウのレポートが早くも到着。
 今夜は大阪、明日は名古屋だ。これを読んで備えましょう。

サンダーキャット、2022年の海外アーティストの
ツアーの幕開けを告げる熱狂のライブ!
この2年を超えて、集まったファン・日本に
最大限の愛を与えた一夜!
抽選で出演者全員のサイン入りポスターをプレゼント!

昨夜The Garden Hallで行われ、称賛の嵐と共に幕を閉じたサンダーキャットの記念すべき日本公演の最速ライブレポートが到着!
今夜の大阪公演、明日の名古屋公演もソールドアウト。この衝撃は見逃し厳禁!!!

Thundercat 2022, May 16 (1st set)
恵比寿The Garden Hall

 今われわれはとんでもないものを見て聴いて体感している。ステージの上にいるのは3人の超人(スーパーサイヤ人)たちなのかもしれない。何度もそう思った。
 サンダーキャットの、本来2020年4月に予定されていた来日公演は、世界中で猛威をふるいはじめた新型コロナウィルスによりあえなく延期され、2021年に再度アナウンスがされたが外国からの入国制限 が厳しく再度延期。今日(2022年5月16日、恵比寿The Garden Hall)で行われているのは再振替公演だ。すべてをいったん白紙に戻しての来日じゃない、“再延期”を経ての実現なのだと謳う気持ちには、サンダーキャットの日本カルチャー、日本のファンへの愛が何の偽りもなく込められていた。
 その熱意が実を結んでのジャパン・ツアー。コロナ禍が沈静したとは言えないまでも、細心の注意を払いつつようやくこうしてライブが叶った。2022年の海外アーティストのツアーとしてはこれが皮切りになるだろうし、東京、名古屋、大阪で連日2回公演を敢行するタフなスケジュールにも「やりたい/見たい」の需要と供給が幸福な関係で成立していると感じた。
 また、この“再再延期”によってもたらされた興奮のなかでも、思いがけないボーナスとなったのが、ツアー・ドラマーとしてルイス・コールの参加がアナウンスされたこと。事実上、サンダーキャット&ルイス・コールによる〈Brainfeeder〉スペシャル・バンドとしての来日が叶ったと言っていい。
 僕が見たのはファースト・セット。先日までのスタンディングでは1メートル間隔で仕切り線が引かれていたフロアも、今日は50センチ間隔。ぎゅうぎゅうとまではいかないが、満員の光景として遜色がない。開演前のBGMは小さめで、マスク越しとはいえ伝わる客席の静かなざわざわのほうがむしろ興奮を高める役割を果たしていたように思う。

 客電が落ち、ステージ後ろのカーテンにサンダーキャットのアイコンが映し出された。バンドはサンダーキャット、ルイス・コール、キーボードにデニス・ハム。待ち望み、待ち望まれていた時間が幕を開ける。
 まだ名古屋(17日)、大阪公演(18日)が残されているのでセットリストの詳細についてはなるべく記述を避けたいが、1曲演奏を終えて感極まるようにサンダーキャットがしゃべった言葉については書いてもいいだろう。
 「俺がどれほど日本に戻ってきたかったかわかるかい。本当にすごく好きなんだ」
 それにしても、このトリオの演奏はすさまじい。ルイス・コールが参加すると聞いたとき、近年のサンダーキャットのヴォーカル・ナンバーの充実を後押しするような感じになるのかなと予想していたが、このトリオでのルイス・コールの役割はスーパー・ドラマーだった。
 僕の立ち位置がステージ右側(ルイス・コール側)だったこともあり、背筋をしゃんと伸ばした上半身は微動だにせず、肘と膝、手首のスナップを最大限効果的に活かして、スネア、ハイハット、キックを驚異的な手数足数で連打しながら、涼しい顔つきでステディにビートを刻むテクニックがとてもよく見えた。
 ジャズ・ミュージシャンとしてのマインドを刺激されたかのようにサンダーキャットもデニスも動きまくる。この3人のインプロなら永遠に見ていられる。しかも、それでいて3人でハモるコーラスもびっくりするほど美しいんだから最高すぎて困った(ファーストセットではほんの一瞬だったので、もっと聴きたかった)。サンダーキャット以外の2人はかなり寡黙というコントラストもばっちりで、演奏面だけでなく人間味としてもシャイネスと超絶の間を自由に行き来する。まさしく現代のインタープレイとはこういうことだ。
 誰もが必ず演奏されると確信していた「I Love Luis Cole」の前には、サンダーキャットとルイスの出会いは、2012年に22歳の若さで世を去ったオースティン・ペラルタの引き合わせだったエピソードが語られた。オースティンから「楽器を持ってきてくれ」と呼び出されたサンダーキャットがLAのクラブに来てみると、そこにフレディ・クルーガー(『13日の金曜日』の)みたいな顔つきでルイスがいて、実はオースティンが最初から2人をセッションさせるつもりで仕組んだというくだり。だから、ルイス・コールと一緒に「I Love Luis Cole」をこうして演奏することは、オースティン・ペラルタへのトリビュートでもあるのだ。
 こういうところが、サンダーキャットが愛される理由のひとつだと実感する。超絶なベース・プレイヤーで、最高にスウィートなソウル・シンガーで、変態的だがメロウなコンポーザーで、日本のアニメやゲームカルチャーに没入した“OTAKU”であり、そんな自分に正直で親しみやすいキャラクターというそれぞれの側面に独自のフックはあるが、根本にあるのは自分の愛を惜しまずに誰かに与えること。彼の愛し方が、音楽ジャンルを超えて人を自由にする。

 英語の“tribute”は今では“影響を受けた曲をカヴァーすること”と同義語のように扱われている。それだと“もらう”とか“借りる”みたいな印象を持ってしまうが、本来は“与える”という由来の語源を持つ。
 オースティン・ペラルタ、マック・ミラー、MF ドゥーム、ジャコ・パストリアス、チック・コリア、そしてコロナ禍で亡くなった友人たちにも。故人ではなくとも自分を育てたアニメ/ゲーム・カルチャーの担い手である渡辺信一郎や中村正人、実兄でドラマーのロナルド・ブルーナー・ジュニア(兄弟が少年時代にテレビ争いでケンカしていたエピソードはかわいかった)にも、自分のやり方で愛を。そして、大変な状況だったこの2年を超えて、ここに集まったファンにも最大限の愛を。
 サンダーキャットはまさに“愛を与える人”だと心から思った一夜だった。

text by 松永良平


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Funkadelic - ele-king

 昨年から「リリースから50年」にかこつけた再発盤が出ているので、この機会に書こうと思ったものの、すでにネット上には良いレヴューが多数あるので、止めておこうかなとも思った。ピッチフォークのレヴューも素晴らしかったし、あれ以上のことが自分に書けるのだろうかと。……なんてことを言いながら、いまこうして書いているのには理由がある。今年の初めに取りかかっていたエレキング別冊イーノ号において、ブライアン・イーノにとってファンクを好きになったきっかけがPファンクだったという原稿を書きながら、つまりPファンクがいなければトーキング・ヘッズの3部作も生まれなかったんだよなぁとしみじみ考えたりしていたのである。あまり語られていないけれど、UKのポスト・パンク時代のザ・ポップ・グループやザ・スリッツといったバンドにもジョージ・クリントンは影響を与えている。当然『サンディニスタ!』にも『バムド』にも『スクリーマデリカ』にも。
 で、いま書いたどこに理由があるのかと言えば、イーノはPファンクをきっかけにファンクを好きになりましたと、まずはそれを書いておきたかったという点にある。CANはジェイムズ・ブラウンに影響されたがイーノは違っていたと、どうですか、これだけでも音楽好きの酒の肴になるでしょう。

 「『マゴット・ブレイン』は、黒人グループが到達したことのない場所まで向かっていた。アメリカはいまも正しい道を進んでいるのだろうか? 60年代後半の約束は、完全に消滅してしまったのか? こうした疑問を投げかけていたのだ」
 ジョージ・クリントの自伝『ファンクはつらいよ』(押野素子訳‏/原題:Brothas Be, Yo' Like George, Ain't That Funkin')に記されているこの言葉は、現在ネットに散在する多くのレヴューに引用されているが、実際ここには、当時のPファンクとは何だったのかを知る上での重要事項が凝縮されている。「60年代後半の約束」——ジョージ・クリントンが率いたこの時期のPファンクのコンセプトには、サマー・オブ・ラヴの終焉(ないしはポスト公民権運動)に関する調査結果がリンクしているという事実は見落としてはならない話だし、ことにサイケデリックで、なおかつ階級闘争的なこのアルバムではそうした季節の変わり目に対してのクリトンの解釈が作品の骨子となっている。

 その苦い思いは、『マゴット・ブレイン』の前作にあたる、セカンド・アルバム『Free Your Mind And Your Ass Will Follow(心を解き放てば、ケツの穴がついてくる)』において先んじている。「ウォール街の芸術/金に敬意を表する私たちの父‏‏‏‏‏‏/あなたの王国だ/あなたの時代だ」(Eulogy and light=賛辞と光)は、LSDにまみれた当時のこのバンドのひたむきな理想主義への情熱が打ち砕かれ、そして同時に空しい70年代における利己主義の到来を、激しい混乱のなかで正気を保ちながら予見している。もっとも貧しい人たちのコミュニティが物質主義に翻弄されて破壊していく様を、クリントンは直視していた。

 ジョージ・クリントンが希有だったのは、アフロ・ディアスポラとして60年代後半の革命の時代に参加したことで、しかもそれは、教会の熱気やストリートの荒廃から離れることなく、ボブ・ディランやジョン・レノンがやったことを感情と知性をもって享受したということだった。リッキー・ヴィンセントが名著『ファンク』のなかで述べているように、それまで白人文化の特権だと思われていた「知性、教養、洗練」といったものを、Pファンクは「黒人であること」に結びつけることができたのである。

 ファンには有名なフレーズ「俺にはかつて人生があった/むしろ人生が俺を持っていた」——カントリーとファンクそしてゴスペルが交錯する『マゴット・ブレイン』の2曲目の〝Can You Get To That〟は、ぼくのお気に入りの1曲で、キング牧師の演説のなかの比喩(アメリカが黒人に押しつけたinsufficient funds=不渡りという言葉)を流用し、愛の時代の終焉を歌っていながらこの曲にはどこか可笑しさがある。ディランの歌詞のようにメタファーとナンセンスをもって語るこの曲は、絶望を押しつけない。その認識さえも表現の仕方によっては楽しさにひっくり返せるという知恵を実践している。

 スライ&ザ・ファミリー・ストーンの洗練されたファンクを彷彿させる“You And Your Folks, Me And My Folks”は、貧しい人たちの団結を訴えている力強い曲で、サンプリングの標的にされている曲でもあるが、本作においてもっともカットアップされることになったティキ・フルウッドのドラミング(ブレイク)と言えば、クリントンの自伝によると“Back In Our Minds”になる。本作を聴いたマイルス・デイヴィスは、そのリズムに感銘を受けてフルウッドを自分のバンドに起用したというが、『マゴット・ブレイン』は、伝説の初期メンバーが揃った最後のアルバムでもあった。河内依子の労作『P-FUNK』によれば、本作には後にメンバーとなるゲイリー・シャイダーほか数人のゲストが参加していたということだが、基本となっているのはフルウッドのほかバーニー・ウォーレル(k)、ビリー・ネルソン(b)、エディ・ヘイゼル(g)、タウル・ロス(g)。ネルソンはギャラの件でクリントンと揉めて、ロスはアシッドを過剰摂取したうえにスピードを鼻から吸い込んで、すっかりイカれたしまったと言われている。が、もうひとりのギタリストのヘイゼルは、実存的な悲しみをその表題曲“Maggot Brain”においてみごとに表現した。曲の主題は彼のギターソロと、クリントンの言葉によっても描かれている。

 『マゴット・ブレイン』の表題曲におけるクリントンの、これまた超有名なフレーズ「俺は宇宙の心でウジ虫を味わった」とは、言うまでもなく最悪などん底状態を意味している。本作は、ピッチフォークが言うように、アルバムの最初の最後に肝があるのだが、そのはじまりは、とてつもない絶望と喪失感だったりする。ちなみに何回目かの再発盤で、すべてのパート(ドラム、ベース、キーボード)が入った最初のヴァージョンがお目見えになっているが、ヘイゼルのギターのみを残したミックスを最終ヴァージョンとしたジョージ・クリントンは、この時期本当に冴えていたのだ。

 とはいえこんなアルバムは、リアルタイムでそうそうよろしく理解されたわけでもなかったようだ。ゲイトフォールド・ジャケットの内側には、「最終審判教会プロセス」なる架空のカルトによって書かれたという一節が引用されている。それは地球を覆い尽くしている恐怖や暴力や憎悪についての警鐘めいたものだが、「教会プロセス」という名称がチャールズ・マンソンのカルト教会名と似ていたため、あるいはまた、アルバムのアートワークが土に埋められ叫ぶ女性の顔(裏ジャケットはその骸骨)で、しかも「ウジ虫」がタイトルとくれば、この時期のファンカデリックが不遜で不吉なバンドだといちぶの人たちから思われても仕方がなかったのかもしれない。収録曲の“Super Stupid”は、その曲名(超バカ)のファンキーさとは裏腹に、エクストリームなヘヴィメタル・スタイルの先駆けとなった。要するに、サウンド面においても『マゴット・ブレイン』は先走っていたと、そのもっともインパクトのあるファンキーな成果が、アルバムを締める“Wars Of Armageddon(アルマゲドン戦争)”だ。この曲は、リー・ペリーがその5年後にやることをすでにやっているし、20年後にデトロイトのアンダーグラウンド・レジスタンスがエレクトロニックに再現する原型とも言えるだろう。そして、フルウッドの、それこそマイルスを魅了したドラミングが疾駆し、ウォーレルのキーボードやヘイゼルのギターがうねり、ナンセンスきわまりない具体音が突き抜けるこの曲は、クリントンが表題曲に込めたもの——いわく「喪失感と無力感、絶望の精神性、どん底に足が着いたときにわずかに沸き上がる希望」における「希望」があざやかに噴出している。曲の後半では「More power to the people(人々によりパワーを)/More pussy to the power(パワーによりプッシーを)」という言葉がぶっきらぼうに繰り返されているが、そこには同時に、おならのような音や脈絡のない奇声、動物の声がオーヴァーダブされている。クリントンは、なんだかさっぱりわからないが、なんとかなるんじゃないかと思えてくるという離れ業を、9分以上のこの曲においてばっちり実現しているのだ。

 ぼくが高校時代に読んだ、当時はまだハードカバーしかなかった村上春樹の処女作『風の歌を聴け』は、たしか太陽の光には夜の暗さがわからないというような言葉で締められていた。当時のぼくは、なるほど、その通りだと思ったものだが、それから10年後に聴いたPファンクは、夜の暗さにもわからない暗さがあって、だけど、そこに光を当てることもできなくはないんじゃないかと思わせてくれた。まあ、ファンキーでありさえすればの話だが、『マゴット・ブレイン』は、いま聴いてもぼくにそう思わせてくれる。

 

Ron Trent - ele-king

 彼が16歳のときに発表した “Altered States” は、いまなお色褪せぬエレクトロニック・ミュージックのクラシックだ。シカゴ・ディープ・ハウスの重要人物、ロン・トレントがなんと11年ぶりに新作『What Do The Stars Say To You』をリリースする。新名義「ウォーム(WARM)」の名のもと放たれる同作では、トレント自身によってプレイされたドラムやキーボード、ギターがエレクトロニクスと融合されているという。ゲストも豪華で、クルアンビンアジムスのふたり、ジャン=リュック・ポンティ、ジジ・マシンと、そうそうたる顔ぶれだ。さらにはフランソワ・ケヴォーキアンによってミックスされてもいるらしい。生ける伝説の現在を、この耳でたしかめたい。

Ron Trent, Francois Kevorkian
「ハウス・ミュージックの伝説」として第一線で活躍を続けるロン・トレント
11年ぶりの最新作を発表!!!
CDはフランソワ・ケヴォーキアンによる超スペシャル・ミックス音源!!!

クルアンビン、イヴァン・コンチ(アジムス)、
アレックス・マリェイロス(アジムス)、ジャン=リュック・ポンティ、
そしてジジ・マシンら超豪華ゲストが参加!!!

アーティストが監修を務めるオリジナル・コンピレーション・シリーズで人気を博す〈Late Night Tales〉から派生した姉妹レーベルで、第一弾アーティストのクルアンビンがいきなり世界的ブレイクを果たし、その独特の美学が評価を高めているレーベル〈Night Time Stories〉より「ハウス・ミュージックの伝説」として、さらには超一流のミュージシャン/ソングライター/プロデューサーとして第一線で活躍を続ける、ロン・トレントの最新アルバム『RON TRENT PRESENTS WARM: What do the stars say to you』が6/17にリリース! 現在、アルバムからクルアンビン参加の新曲のMVとアルバム・サンプラーが公開されている。

Ron Trent presents WARM - Flos Potentia (Sugar, Cotton, Tabacco) feat. Khruangbin (Official Video)
https://youtu.be/8dXR5B8GDuA

Ron Trent presents WARM - What do the stars say to you (Album Sampler)
https://youtu.be/0fU31j2S4hc

アルバムの参加ゲストとしては前述のクルアンビンに加えて、ブラジルの伝説的バンド、アジムスのドラマー、イヴァン・コンチとベーシストのアレックス・マリェイロス、フランスのジャズ/フュージョン界のスター、ジャン=リュック・ポンティ、そしてアンビエントのパイオニア、ジジ・マシンといった面々が名を連ねており、マスタリングはフランソワ・ケヴォーキアンが手がけた超豪華なコラボレーション作品となっている。

また、作品中ドラム、パーカッション、鍵盤、シンセ、ピアノ、ギターなどをロン自身が奏でており、生楽器とエレクトロニクスの調和がディープで陶酔的なサウンドを生み出している。ジャズ・ファンク、ポップ、ニュー・エイジ、ニューウェーブ、コズミック、バレアリック、サンバ、アフロビート、ラテンロック他……彼の飽くなき探究心で培われた音楽的豊かさが詰め込まれたキャリア最高傑作がここに誕生している。

本作はCDとLPで6/17にリリースされ、CDはフランソワ・ケヴォーキアンによるミックス音源となっており、5曲のボーナス・トラックが収録、更に国内流通仕様盤CDには解説が封入される。
また、LPにはアンミックス音源が収録され、通常のブラック・ヴァイナルと限定のホワイト・ヴァイナルで発売され、フランソワ・ケヴォーキアンによるミックス音源とアンミックス音源、両方のDLコードが付属する。

label: Night Time Stories / Beat Records
artist: Ron Trent, Francois Kevorkian
title: RON TRENT PRESENTS WARM: What do the stars say to you
release date: 2022.06.17

国内流通仕様盤CD BRALN68 定価 ¥2,100+税(税込 ¥2,310)
国内盤特典:解説封入

ご予約はこちら:
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12808

TRACKLISTING


CD tracklist
フランソワ・ケヴォーキアンによるミックス音源、5曲のボーナス・トラック入り
*がボーナストラック

01 Melt into you feat. Alex Malheiros (Azymuth)
02 Cool Water feat. Ivan Conti (Azymuth) and Lars Bartkuhn
03 Flos Potentia (Sugar, Cotton, Tabacco) feat. Khruangbin
04 The ride*
05 Cycle of Many
06 In the summer when we were young*
07 Flowers feat. Venecia
08 Sphere feat. Jean-Luc Ponty
09 Admira feat. Gigi Masin
10 Endless Love*
11 Rocking You*
12 WARM
13 On my way home
14 What do the stars say to you
15 Cool Water Interlude*


Vinyl tracklist
フランソワ・ケヴォーキアンによるミックス音源とアンミックス音源、両方のDLコードが付属

A1. Cool Water feat. Ivan Conti (Azymuth) and Lars Bartkuhn
A2. Cycle of Many
A3. Admira feat. Gigi Masin
A4. Flowers feat. Venecia
A5. Melt into you feat. Alex Malheiros (Azymuth)
B1. Flos Potentia (Sugar, Cotton, Tabacco) feat. Khruangbin
B2. Sphere feat. Jean-Luc Ponty
B3. WARM
B4. On my way home
B5. What do the stars say to you

black midi - ele-king

 昨年意欲的なセカンド・アルバム『Cavalcade』を送り出したロンドンのバンド、ブラック・ミディ紙エレ最新号のインタヴューで「新しい実験をいくつかやってみた」「ポップな感じの曲を作って、その極論まで突き詰めてみた」「いままでで最高の作品になる」と次の作品について語っていた彼らだが、ついにそのサード・アルバムのリリースがアナウンスされた。題して『Hellfire』、7月15日発売。

 そしてさらに喜ぼう。コロナにより延期となっていた来日公演が、ようやく実現することになった。12月4日東京 SHIBUYA O-EAST、5日大阪 UMEDA CLUB QUATTRO、6日名古屋 NAGOYA THE BOTTOM LINE。前売券をお持ちの方など、詳しくは下記をご確認ください。

black midi
地獄の業火、環状高速道路M25、燃え盛る炎、27個の謎
一体我々はどこへ辿り着くのか.....
ブラック・ミディ最新アルバム『Hellfire』堂々完成。
延期となっていた来日公演も遂に実現!!

『Cavalcade』がドラマだとしたら、『Hellfire』は壮大なアクション映画のようだ - ジョーディ・グリープ

圧巻の演奏スキルと爆発的イマジネーションで次世代UKロック・シーンの中でも突出した存在感を放つカリスマ、ブラック・ミディが衝撃のセカンド・アルバム『Cavalcade』に続く最新アルバム『Hellfire』を7/15にリリース。同作からのリード・シングル「Welcome To Hell」が公開された。戦争の恐怖から闇堕ちした兵士を歌った楽曲はファンキーなギター・リフと破壊力抜群のホーン・セクションが目まぐるしく展開していくブラック・ミディらしいハードコアなプログレッシヴ・ロックで、オフィシャルMVは「Slow」のビデオも監督したグスタフ・ホルテナスが手掛けている。

black midi - Welcome To Hell
https://www.youtube.com/watch?v=Efmq_uXt1Rk

『Cavalcade』リリース後、ロックダウンが続くロンドンで制作されたアルバムは前作のメロディやハーモニーを踏襲しながら、1stアルバム『Schlagenheim』にあった性急で凶暴なバンド・アンサンブルが復活し、希薄になっていく現代社会の道徳を炙り出す様々なストーリーが一人称で語られていく一貫したコンセプトが敷かれている。またプロデュースはバンドの新たな代表曲としてリスナーに熱烈な支持を集めた「John L」を手掛けたマルタ・サローニを迎え、これまでにないほどブラック・ミディの音楽の領域の広さや力強さ、強力なプロダクションを見せつけている。

2022年7月15日(金)に世界同時発売される本作の日本盤CDおよびTシャツ付限定盤には解説および歌詞対訳が封入され、ボーナス・トラックとしてステューヴ・アルビニ録音によるライヴ音源を追加収録。アナログは通常/限定盤ともに初回生産分にはアルバム・アートワークを手がけたデヴィッド・ラドニックによる日本語帯付仕様でのリリースとなる。本日より各店にて随時予約がスタートする。


待望の来日公演の振替日程が決定!

black midi JAPAN TOUR 新日程
2022/12/4 (SUN) 東京 SHIBUYA O-EAST (1st SHOW / 2nd SHOW)
2022/12/5 (MON) 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO
2022/12/6 (TUE) 名古屋 NAGOYA THE BOTTOM LINE

昨年9月に予定しており新規入国禁止措置により延期となっていたブラック・ミディのジャパンツアーの振替公演の日程が下記の通り確定しました。ご協力いただいた関係各位、とりわけ前売チケットをご購入いただき、振替日程の発表を長期間お待ちいただきましたお客様には厚く御礼申し上げます。

既にお持ちのチケットは対応する各都市の振替公演にそのまま有効となります。大切に保管していただくようお願い申し上げます。

新しい公演日程に都合がつかないお客様には、お買い求めになられたプレイガイドより払戻しいたします。払戻数が確定後、キャパ制限などの状況に応じた枚数の前売チケットの販売を再開する予定です。チケット購入を希望される方は新たな発表をお待ちください。
※チケット紛失等に関しましては対応致しかねますのでご注意下さい。

詳細はこちらから:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11891


label: BEAT RECORDS / ROUGH TRADE
artist: black midi
title: Hellfire
release date: 2022/07/15 FRI ON SALE

国内盤CD
解説書・歌詞対訳封入
RT0321CDJP ¥2,200+税


国内盤1CD+Tシャツ付き
サイズS・M・L・XL
¥6,200+税


輸入盤LP(限定レッド/初回限定日本語帯付仕様)
RT0321LPE 2,850+税


輸入盤LP(初回限定日本語帯付仕様)
RT0321LP 2,850+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12794

Tower Records: https://tower.jp/artist/discography/2729064

TRACKLISTING
01. Hellfire
02. Sugar/Tzu
03. Eat Men Eat
04. Welcome To Hell
05. Still
06. The Race Is About To Begin
07. Dangerous Liaisons
08. The Defence
09. 27 Questions
10. Sugar/Tzu (Live at Electrical Audio, Recorded by Steve Albini) *Bonus Track for Japan
11. Still (Live at Electrical Audio, Recorded by Steve Albini)
*Bonus Track for Japan

BRIAN ENO AMBIENT KYOTO - ele-king

 巨匠ブライアン・イーノ(先日、初の公式ドキュメンタリー映画の制作がスタートしたことが明らかになりましたね)による音と光のインスタレーション、6月3日から8月21日まで京都にて開催される展覧会において、なんと、世界初公開となる作品が展示されることが明らかになった。その名も『Face to Face』。たしかに、初めて聞くタイトルだ。
 実在する21人の人物の顔写真がゆっくりと別の顔へと変化していく作品のようで、毎秒30人ずつ、計3万6千人以上の新しい顔が生み出されるという。イーノのライフワーク、「ジェネレイティヴ」の最新型だろう。これは気になります。
 同展覧会では他に、ヴィジュアル・アーティストとしてのイーノの代表作たる『77 Million Paintings』と『Light Boxes』、さらに日本初公開となる『The Ship』も展示される。
 また、同じタイミングで横尾忠則からコメントも到着。チケット情報ともども、下記よりご確認ください。

イーノを特集した別エレ最新号は5月25日発売です。そちらもぜひチェックを。

ブライアン・イーノによる音と光の展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO

2022.6.3-8.21 @京都中央信用金庫

◉世界初公開作品含む全ラインナップを発表!
◉横尾忠則氏からのコメントが到着!
◉一般前売チケット販売開始!

ヴィジュアル・アートに革命をもたらした英国出身のアーティスト、ブライアン・イーノが、コロナ禍において、初となる大規模な展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」を、京都を舞台に2022年6月3日(金)より開催します。開幕を約1ヶ月後に控え、一般前売チケットの販売を開始すると共に、展覧会の全ラインナップと、横尾忠則氏から寄せられたコメントを公開しました。

今回発表された全ラインナップの注目点は、ブライアン・イーノの代表作3作品全てが一堂に会することと、世界初公開作品となる『Face to Face』が展示されることです。築90年の歴史ある建物がまさにイーノのアートで彩られることになります。

ロキシー・ミュージックでのイーノのルックスとファッションは 美術を学んだ彼をやがて現代音楽の世界に接触するのではと予感 していたが、彼は磁石のようにあらゆる要素を肉体化していった。 ━━ 横尾忠則(美術家)

■■■ 展示作品について ■■■

全ラインナップ発表。
今回新たに発表されたのは、イーノの代表作のひとつ『Light Boxes』と、世界初公開作品『Face to Face』の2作品。

◆『Light Boxes』(『ライト・ボックス』)

光りながら常に新たな色彩の組み合わせへと変わってゆく、LED技術を駆使した光の作品。作品の表面下にあるボックスが照らされ、光の色の組み合わせがゆっくりと変化すると共に、作品に対する見方も変化し、流れるような光の魅惑的な世界に引き込まれます。

◆『Face to Face』(『フェイス・トゥ・フェイス』)
世界初公開作品。ランダムなパターンとその組み合わせによって、予期せぬアート作品を生み出す可能性を追求した作品。
この作品は、実在する21人の人物の顔をそれぞれ1枚の静止画に収めた小さな写真群から始まった。特殊なソフトウェアを使い、画像は1つの本物の顔から別の顔へと、ピクセル単位でゆっくりと変化していく。これが、実際には存在しなかった人々、中間的な人間など、一人一人の本物の顔の間に「新しい人間」の長い連鎖を生み出し、毎秒30人ずつ、36,000人以上の新しい顔を誕生させることができます。

■■■ チケット販売概要 ■■■

一般前売りチケット販売開始!
◉チケット購入サイト https://www.e-tix.jp/ambientkyoto/

◉チケット発売スケジュール
・一般前売チケット: 5月9日(月)~6月2日(木)
・一般チケット: 6月3日(金)~8月21日(日)
*前売チケット販売は、上記チケット購入サイトでのオンラインのみの取り扱いとなります。

◉チケット料金
[一般前売チケット]
平日: 一般(大人) ¥1,800 / 専 ・大学生 ¥1,300 / 中高生 ¥800
土日祝: 一般(大人) ¥2,000 / 専 ・大学生 ¥1,500 / 中高生 ¥1,000
[一般チケット]
平日: 一般(大人) ¥2,000 / 専 ・大学生 ¥1,500 / 中高生 ¥1,000
土日祝: 一般(大人) ¥2,200 / 専 ・大学生 ¥1,700 / 中高生 ¥1,200
*小学生以下無料

■■■ 開催概要 ■■■

タイトル:BRIAN ENO AMBIENT KYOTO (ブライアン・イーノ・アンビエント・キョウト)
会場:京都中央信用金庫 旧厚生センター
住所:京都市下京区中居町七条通烏丸西入113
会期:2022年6月3日(金)-8月21日(日)

*展覧会詳細は以下の公式ページにてご確認ください。

公式ホームページ https://ambientkyoto.com
Twitter https://twitter.com/ambientkyoto
Instagram https://www.instagram.com/ambientkyoto
Facebook https://www.facebook.com/ambientkyoto

Undefined - ele-king

 こだま和文との共作10インチ「New Culture Days」(2018)や、ヤング・エコーライダー・シャフィークを迎えた「Three」(2019)などでじわじわと注目を集めてきた気鋭のダブ・ユニット、Undefined が初のフルレングスをリリースしている。
 元 HEAVYMANNERS で〈Newdubhall〉を運営するサハラと SOUL DIMENSION のオオクマから成るこのユニットは、オーセンティックなルーツ・サウンドもデジタル・サウンドも、さらにはテクノ以降のミニマル・ダブも踏まえたうえで新たなスタイルを探求しているチャレンジャーだ。
 待望のファースト・アルバムは8曲収録のLPに2曲入りの7インチが付属する仕様で、ポートランドの人気レーベル〈ZamZam Sounds〉傘下の〈Khaliphonic〉からのリリース。2022年、押さえておきたいダブ作品の筆頭になること間違いなしです。チェックしておきましょう。


artist : Undefined
title : Defined Riddim
label: ZamZam Sounds / Khaliphonic

[tracklist]

LP:
A1 Victims feat. Paul St. Hilaire
A2 Array
A3 After Effect
A4 Second Floor
B1 Mango Step
B2 Tech In Black
B3 Three feat. Rider Shafique
B4 Untitled

7”:
A Into The Light feat. Ras Dasher
B Into The Dub

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443