「KING」と一致するもの

Drum-On Volume 2 - ele-king

本格的ドラムメディア、パワーアップして待望の第2号!

ドラマー&パーカッショニストをわくわくさせ、やる気にさせる新時代の本格派プレイヤー向け雑誌として大きな反響を呼んだ「Drum-On」の第2弾!

今回もあらゆる打楽器奏者が本当に欲しい情報満載でお届けします。

編著 小宮勝昭
ザ・ビートルズ、レッド・ツェッペリンを聴いて音楽に目覚めドラムを始める。大学卒業後つのだ☆ひろ氏に師事、独自のグルーヴ理論を学ぶ。元リズム&ドラム・マガジン編集長(2001年1月~2012年3月)という異色の経歴を持つドラマー/パーカッショニスト。ドラム・セットだけじゃなく、ジェンベなどの民族打楽器も駆使し、即興ジャズ~ロック~歌ものなど、さまざまなフィールドで活動中。並行して編集・執筆活動も行っている。

特集 ●ドラムの音色(ねいろ)
芳垣安洋、外山明、岡部洋一、アッシュ・ソーンという当代きっての名プレイヤーたちの絶品なる音色、その核心に迫るインタビュー&愛用楽器たちの実際の使用例写真満載の超大特集!!!
特別寄稿:三浦晃嗣「音のあとさき~僕の体験的音色考~」

“1つ打ち” のすべて
ドラミングの「はじまり」にして「究極」
「速く動かす」、「超スロー・テンポでも正確に叩く」など、すべての出発点である “1つ打ち” を徹底深掘り!
(染川良成[Drum Gym])

“音色” にこだわるドラマーへ
Ludwig Speed King Pedal
歴代の名器~最新 L203 の魅了を探る!
(藤掛正隆)

Nippon のドラムの匠:伊藤直樹/riddim

「ドラムと働く人」
植木寛郎さん(Drums Proshop GATEWAY)、上原貴生さん(MIKI DRUM CENTER)

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 初めて聴いたとき、背筋がぞわぞわした。そんな感覚を味わったのは久しぶりだった。ブラジル音楽あるいはフラメンコ、そのどちらでもありどちらでもないような不思議な時間を刻む、ギターにドラム。けれども軸はあくまでインディ・ロック。2019年、アフロなどからの影響をさりげなく、だが斬新にとりいれたグリズリー・ベアの意欲作『Painted Ruins(彩られた廃墟)』の、さらに先を冒険する音楽がここに鳴り響いている。バンド・サウンドのように聞こえるが、これをほぼひとりでつくり上げたというのだからおそろしい。
 アニマル・コレクティヴダーティ・プロジェクターズと並び、00年代後半のブルックリン・シーンを代表するバンドがグリズリー・ベアだ。そこにギタリスト兼ヴォーカリストとして最後に加わったメンバーであり、もともとはデパートメント・オブ・イーグルスでロウファイなサンプリング音楽を実践していたダニエル・ロッセンは、2012年にも一度ソロEP「Silent Hour / Golden Mile(静かな時間/洋々たる前途)」を発表している。それは、第四のメンバーであるはずの彼がじつはグリズリーにおいて大きな役割を果たしていたことに気づかせてくれる、サイケデリックな小品だった。
 それからちょうど10年。時代は変わった。グリズリーも変わった。ロッセンも変わったのだろう。長きインターバルを経てついにお目見えとなるファースト・アルバム『You Belong There(そこがきみの居場所)』はグローバル・ミュージックを独自に消化しつつ、『Painted Ruins』においてもやはり彼の貢献度が高かったことをほのめかしている。と同時に、SNSやトレンドから自由であることがいかに音楽を豊かにするのか、みごとに証明してくれてもいる。
 かねてグリズリー・ベアを愛聴しつづけてきた森は生きているのふたり、ギタリストの岡田拓郎と大分在住のドラマー増村和彦が、ロッセンの新たな旅路を祝福する。

“SNS的なもの” から離れた音楽は可能なのか、という問いが本人の意思はさておき音楽で体現されているように感じました。(岡田)

グリズリー・ベアも含め、『Yellow House』からぜんぶ聴き直して、ダニエル・ロッセンのグリズリーへの貢献度の大きさを感じましたね。それを今回ぜんぶ咀嚼していると思った。(増村)

最初に新作『You Belong Here』を聴いたときの印象はどうでした?

岡田:今回ダニエル・ロッセンが外界とのアクセスやノイズを遮断してつくったというのは音を聴いただけの時点でも感じました。トレンドで溢れている時代に、そこから離れた視点を持つのってなかなか難しいことだと思う。みんなそうありたいけどなかなかできない。ダニエル・ロッセンは、森は生きているのときからずっと大好きで、グリズリー・ベアをいかに我々が学ぶべきかということを増村くんの家のこたつで説法するくらいだった(笑)。だから彼の動きはネットとかでつねに気にしていたけど、あるときぱたりとSNSから消えてしまって。グリズリーの前作『Painted Ruins』以降は、ネット上でもぜんぜん情報が出てこなくなってしまった。一度レコード・ストア・デイに「Deerslayer」というシングルが出たけど、それくらいしか情報がなかった。そこからひさびさの新作になるわけですが、“SNS的なもの” から離れた音楽は可能なのか、という問いが本人の意思はさておき音楽で体現されているように感じました。

増村:なるほど。

岡田:2010年代は音楽のトレンドが出続けていて、サウンドも言説も2010年代後半に向けてどんどん過激になっていった印象があります。そこが面白かったところでもあるけど、逆にそれがキツいと感じるひともいたと思う。それまでグリズリー・ベアのアルバムは『ピッチフォーク』でいつも「ベスト・ニュー・ミュージック」に選ばれていたのに、『Painted Ruins』は7.3点という半端な評価だった。そういう時代のなかで、外界から切り離されたロッセンの音楽が、いまの僕にはすごくクリティカルに響きました。

増村:SNSという視点は思い浮かばなかったけど、やっぱり圧倒的にすごいアルバムでありながら、素朴でリスナーとしては気持ちよく聴ける感じも同居している。それはたぶん、その(SNS的なものから)切り離されたところから来ているんだろうね。ニューメキシコ州のサンタフェに住んでいるらしい。人口6万人くらいの田舎です。

岡田:砂漠地帯みたいなところでしょ。

増村:そうそう。6万人の都市に住んでいる僕としては、ちょっと他人事としては聴けないなと思って。

岡田:ははは、ほんとそうだね(笑)。

増村:今回グリズリー・ベアも含め、『Yellow House』からぜんぶ聴き直して、ダニエル・ロッセンのグリズリーへの貢献度の大きさを感じましたね。それを今回ぜんぶ咀嚼していると思った。それも、トレンドとかではなくて、田舎にいて自分の家庭を背負っていることとかも含めて、メインストリームを全身で経験しているひとが距離を置いたところで制作して、かたちにして出したようなロマンがある。それって渦中にいたらなかなかできる作業ではないのかなと。まあグリズリーはトレンドをつくってきたひとたちでもあるけれど。でも、『Painted Ruins』にはダニエル・ロッセンはそんなに参加してなかったらしいよね。

岡田:参加してないって言ってたけど、じつはごまかしてるんじゃないの(笑)。

増村:今回のアルバムにもやっぱ『Painted Ruins』のビート感はあるよね。

岡田:ビートもだし、和声もすごく由来する感じがした。

増村:『Painted Ruins』にはあんまり参加してないのにバンドの影響が感じられるところも興味深い。もともとの貢献度が高いからそうなるんだろうね。ぜんぶ聴き直したけど、やっぱグリズリーでは『Painted Ruins』がいちばん好きやったな。

岡田:いいアルバムだよね。ビートの感じとかはマスくんがかなり好きそう。

これまでのグリズリーの音楽性が、ロッセンの新作に詰め込まれていると。

増村:たぶんロッセンが自分を振り返ったのかなと。『Painted Ruins』のビート感にはフールズ(ドラムのクリストファー・ベアのソロ・プロジェクト)の感じもあったから。今回のロッセンの新作にもベアが1曲だけ参加してるけど、ほとんどはロッセン自身でドラムを叩いてるんですよ。これがまた、ドラマーとしてはへこむくらいの完成度なんやけど(笑)。

岡田:ははは。

増村:それができたのは、田舎の環境にいるからかなと強く感じました。宅録の音だけど、そこにいまの音が混ざっているようで気持ちよくも聴けるし。

岡田:ドラムとヴォーカルだけ近所のスタジオで録り直したとは言ってたね。

増村:たしかにそういう音だね。

岡田:現代的な音のよさとか関係なく、いい演奏でいい音ってことだよね。

現代的な音って、たとえばどういうのですか?

岡田:たとえばサブスクのプレイリストとかには、この音圧でこういう帯域感で、こうするとプレイリストのなかでもバキッと前に出るみたいな、ある種の音のテンプレがある。そういう音ではなく、ちゃんとダイナミクスがあり、小さいところはちゃんとミクロだなと。もともと音楽ってそうだったはずだけど、それをいまポップスでやるのはなかなか厳しい。それこそメインストリームの商業的な世界にいるひとは、いまさらやろうとも思わないだろうし。プレイリスト的かそうでないかの基準が生まれたことで、ポップスにおけるサウンド・デザインはそれ以前に戻れなくなってしまったという感じはしますね。

ぼくはやはりリズムが面白いなと思ったんですが、そのあたり増村さんはドラマーとしてどう聴きました?

増村:面白かったです。1曲目 “It's A Passage” で小気味よい三拍子のギターから、いきなり攻撃的というか、ドーンと四拍子になったり、イントロでもうやられましたね。あのビートも三拍子と四拍子でおそらくオン・タイムではない。そこも、いまのDAWありきのきっちりしたものから切り離されているというか。全体的にリズムはヴァリエイションがあって、4曲目の “Unpeopled Space” は少しアフロっぽい。

岡田:1曲目のバンドインはほんとうにびっくりした。変なよじれ方というか、わざとなのかわからないようなよじれ方をしている。そういうこと、忘れてたよなって思った。

増村:おそらくバンドで録ったわけではないけど、バンド・アンサンブルでしかできないリズムやBPMの変化のようなものがある。バンドで「せーの!」でやるときの変化。たしかに岡田くんがいうように「音楽ってもともとそうだったよねえ」って思い出させてくれるよね。7曲目はけっこうグリズリーっぽいかも。グリズリーって速いビートが多いじゃないですか。

岡田:迫りくるようなね。

増村:あれは当時けっこう憧れたね。だけど、手法は同じかもしれないけどロッセンのこのアルバムではもっと柔らかく聞こえるから、その変化は面白い。同じようなことをやってるように見えるかもしれないけど、確実に変化はある。まえのソロEP「Silent Hour / Golden Mile」はもうちょっとグリズリーに近い攻撃的なビートだったし、バンドはもうフェラ・クティじゃないけど集団戦のようなイメージで(笑)。今回は以前と同じ感じはありつつも、もうちょっと気持ちよくなれる。そういうリズムの変化は聴いていて楽しかった。マニアックな聴き方だけど(笑)。

ほんのりラテンも入ってますよね。

増村:うん、ありますよね。どこから来てるんだろうと思って、アルバムをぜんぶ聴き直して初めて気づいたけど、『Yellow House』の頃からアフロやラテンを感じる曲はちょこちょこあるんです。それが表に出たのが『Painted Ruins』だった。彼らにジャンルの分け隔てはそもそもないだろうから、今回もそれを感じられたのはよかったですね。「隔てないわー、深いわー、(音楽)詳しいわー」って。

岡田:「詳しい」って(笑)。

増村:だんだんわかってきたけど、ブラジルやラテンのリズムって、もともとほかのものを隔てているわけではないというか。もちろんそれぞれルーツを大事にしてはいるけど、アフリカだからこう、ブラジルだからこうというふうに壁をつくっているわけではない。今回のアルバムはそういう自由さを教えてくれたというか、思い出させてくれた。ラテンっぽさはありつつも、自由なアイディアが結実している。

岡田:あらためて編集感覚がめちゃくちゃすごいなと。(エグベルト・)ジスモンチのような瞬間があったかと思えば、ロビー・バショウとかエルモア・ジェイムズみたいになったりもするし。あるレコードのある箇所のいい瞬間を模倣していき、ヴォキャブラリーを増やしていくというのは当たり前によくあることですが、ダニエル・ロッセンやグリズリーはそれらの楽曲への落とし込み方の解像度は抜群に高いと思います。あと、ダニエル・ロッセンはグリズリー以前にデパートメント・オブ・イーグルスをやっていましたよね。いまのいわゆるロウファイ・ヒップホップじゃなくて、ほんとうにロウファイなヒップホップみたいな感じの。サンプリング以降の世代の編集感覚、サウンド・デザインという点では、そもそも彼自身の出自がサンプリング・ミュージックだったというのはなんとなくつながりを感じました。

増村:デパートメント・オブ・イーグルスの『Cold Nose』では、2曲目の “Sailing by Night” で YMO の “ライディーン” を弾くんだよ。あれはヤバかったなあ。

岡田:ははは(笑)。ほんのり覚えてる。

増村:ヒップホップやクラブ・ミュージックの感覚があって好きだったな。そのあとグリズリー・ベアをやるわけで、だからもともと音楽性の幅は広かったということ。

岡田:うん。グリズリーのファーストはまさにフリーフォークのお手本みたいな感じだからね。だから、どこでビートに向かっていったのかは興味深いよ。ヒップホップ的なビートというより、もっとワールドワイドな方向のビートにね。そういうことをやるひとたちはロック・バンドにはあまりいなかったじゃん。

やはりグリズリーの延長のイメージが強いですか?

増村:延長でもありつつ、ダニエル・ロッセンのソロだと思いました。

岡田:うん。

増村:比較するとしたら、前回の(ロッセンのソロ)EP「Silent Hour / Golden Mile」と比べるほうが面白いかも。

岡田:EPのほうがわりと、8ビートっぽいイメージがあったかな。

増村:“Silent Song” とかね。

岡田:70年代ロックの文脈でいうところの、ポール・マッカートニー的なフィーリングだよね。グリズリーって70年代ロックの文脈では語りづらいけど、ロッセンの「Silent Hour / Golden Mile」にわりとその感じがあるなとは思った。でも全体像的な音を聴くとグリズリーと近いかなと。

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ポップスでフラメンコってけっこう使いどころが難しいなとギタリストとして思う部分はある。フラメンコって絶対フラメンコになっちゃうからね(笑)。フラメンコのオルタナティヴを提示しているというか、こういうフラメンコの使い方があるんだと(岡田)

ダニエル・ロッセンは、バンドが取り入れるべきクラブ・ミュージックのさらに先を行ってるということだね。(増村)

岡田さんはギタリストとして、今作のギターについてはどう思いました?

岡田:12弦ギターのハープのような速いアルペジオって、昔からのダニエル・ロッセンのシグネチャー・サウンドのようなものですが、それはブラジルだったり、それこそジョン・フェイヒィやロビー・バショウなどから由来していると思った。あと “Unpeopled Space” なんかで聴ける、半音ずつ和声を行き来する進行はフラメンコっぽい感じがありますね。カタルーニャ音響派のギタリストでアルバート・ギメンズ(Albert Gimenez)というひとがいるのですが、彼のコンテンポラリーなフィルターを経由したスペイン音楽なんかを思い出しました。ロッセンは若い頃からクラシック音楽やフラメンコの勉強をしていたそうですが、ポップスでフラメンコってけっこう使いどころが難しいなとギタリストとして思う部分はある。フラメンコって絶対フラメンコになっちゃうからね(笑)。フラメンコのオルタナティヴを提示しているというか、こういうフラメンコの使い方があるんだと、ギタリスト的に面白いと感じました。

増村:たしかにフラメンコ感はあって面白かったよね。なんだろう、アメリカーナ・フラメンコ? 8ビート・フラメンコ? どう言えばいいのかわからないけど、ハマってるよなあ。

岡田:アメリカーナ・フラメンコ(笑)。でも、アメリカのジョン・フェイヒィみたいな音楽ってけっこう馬の足が転がるような感じがあるから、フラメンコのビートとまあ似てると言えば似てる(笑)。

増村:なにか通ずるものを発見したんだろうね。その仲介役がジスモンチだったと。

岡田:グリズリーっぽい幾何学的なコード感はやっぱりブラジル由来だと感じます。逆に言うと、グリズリーのその要素はもともとダニエル・ロッセンの力が大きかったんだなと、今回のアルバムを聴いてると思います。あとやはり12弦ギターが、アルバム全体のダイナミクスの指揮者だなって感じる。コントラバスやチェロ、管楽器も自分で弾いてるけど、それらがぜんぶギターに、植物のようにうねりながらまとわりつく感じ。マジでひとりオーケストラですね。そういう絡みつくような流動性を持たせるためにビートがオーガニックだったり。曲自体を生き物のように動かすというのは、このアルバムのアンサンブルの軸にありそう。逆にひとりじゃなきゃこうしたミクロな波の打ち方はできないと思うし、このうねりを出したくてひとりで演奏するのはすごくわかる。

増村:それで思い出したけど、なぜか今作を聴きながらローレル・ヘイローが「サウンドに呼吸をさせるんだ」みたいなことを言っていたのを思い返してた。深いことばだと思いつつ、「どういうことだろ?」と2年くらいまえに思っていた。いまオカちゃんの言ったことに近いのかも。曲を生き物として捉える、みたいな。ギターという軸はありつつ、そこから派生させてかたちにしていくような作業。そういうことなのかな。

岡田:エレクトロニック系のひとはそういう植物~生き物の状態に憧れるだろうからね。エレクトロニックだと、最初は誰が弾いても同じ音しか出ないから。それをいかに自然の状態、生き物の状態に持っていくかって考えるのはすごく理解できる。逆にここ10年、楽器側やバンドのほうはいかにエレクトロニック的にグリッドさせていくかに腐心していた側面もあるし、それがトレンドにもなっていた。だからいまは同じように考えているひとはすごく多いんじゃないかな、僕も、ここ1~2年は音楽を植物的な状態に近づけることをずっと考えていたりする。

増村:ダニエル・ロッセンは、バンドが取り入れるべきクラブ・ミュージックのさらに先を行ってるということだね。

岡田:かもしれない。

増村:たださっきも言ったように隔てがないからね。基本的に楽器を探求するひとでもあるし。

歌詞についてはどうでしょう。

増村:音とすごくリンクしている。自伝……いや自伝って感じはぜんぜんしない。私小説的だね。「You」といいつつそれはじつは自分というか、けっこう私小説的な詞やなと。このサウンドと歌詞のマッチは感動的やったね。

岡田:グリズリーのアルバムが出たあとはしばらく4年くらいぼんやりしていたらしい。4年もぼんやりしているのもすごいけど……(笑)。ただその期間はなにもしてなかったわけではなく、どうやら外界との接触はほどほどに、ひとりでいろんなことを考えていた。このアルバムはその4年間のドキュメンタリーみたいになっている気はするよね。音楽に付随するメガホン的なイシューが多くの場で期待されている時代に、こういうパーソナルでドキュメンタリー的なものが、こじんまりしたサウンドではなく、こういった内宇宙的なサウンドで示されるのはなんだか励まされるよね。

増村:ドキュメンタリーでもありつつ、それが吹っ切れた感じもする。前回のEPの曲の歌詞も読んだけど、あのときはニューヨークのもっと北のほうの田舎にいたらしい。いま住んでいる田舎とは違うから単純な比較はできないけど、そのときは(トレンドの)渦中にいる感じで、離れられない葛藤や田舎を選びつつもどうしても感じてしまうよくない部分が歌詞にあらわれている感じがした。けれど今回は吹っ切れて、田舎の付き合い方も都会の付き合い方もぜんぶ自分のなかでクリアして、「ついにやれるぞ」という決意表明めいたものを感じました。1曲目の最初が「また戻ってきた」で、いまは安定のなかにいて、それは田舎でただリラックスしてるんじゃなくて、「走っていた」頃を思い返す作業も、走ろうと思っても走れなかった時代も経て、ついに準備が整ったということなのかなとか。そういうところが面白かったね。9曲目 “The Last One” には「なんという躁状態/それが僕を適切な状態に保っていた」とあって、たしかになにかをつくるには一種の躁状態が必要で、いまは新たな環境と方法で、その感覚が「次々と戻ってくる」のだとしたら、生き方や創作のあり方の励みになる作品、勇気の出るアルバムだと僕は思いました。

岡田:大事だな。コロナ禍で結局みんなダニエル・ロッセンの住むサンタフェ状態になったからね。

なにかをつくるには一種の躁状態が必要で、いまは新たな環境と方法で、その感覚が「次々と戻ってくる」のだとしたら、生き方や創作のあり方の励みになる作品、勇気の出るアルバムだと僕は思いました。(増村)

自分で演奏できるとか反則だよ。もう「ひとりグリズリー・ベア」だね(笑)。グリズリーのなかでソロをつくっていちばんグリズリーっぽくなるのは、おそらくダニエル・ロッセンだろうね。(岡田)

ちなみに今回おふたりがいちばん好きな曲は?

増村:3曲目の “You Belong There” から4曲目の “Unpeopled Space” の流れがよかったね。

岡田:そこいいよね。カロリー高いってのもあるけど、1曲目から4曲目までの流れはすごい持ってかれた。

増村:5曲目の “Celia” からは「下がる」というか。

岡田:6曲目の “Tangle” もヤバくない?

増村:“Tangle” のドラムはクリストファー・ベア。

岡田:7曲目の “I'll Wait For Your Visit” のドラムも超すごい。このへんは完全にグリズリーを経由してるね。あれを(クリストファー・ベアではなく)自分で演奏できるとか反則だよ。もう「ひとりグリズリー・ベア」だね(笑)。グリズリーのなかでソロをつくっていちばんグリズリーっぽくなるのは、おそらくダニエル・ロッセンだろうね。

増村:そうだよね。ヴォーカルのエドワード・ドロストはファースト・アルバムがあるし、ベースのクリス・テイラーはカント名義でやってるよね。

岡田:カントの『Dreams Come True』は地味だけどすごい好きだったな。

増村:楽に聴けていいよね。グリズリーやこの(ロッセンの)アルバムとはぜんぜん違う。

岡田:カロリー使わないよね。

増村:やっぱ3~4曲目がね、歌詞の流れもすごいよかったんよね。3曲目がすごく詩的で、そこからカロリー高くなって4曲目に移っていく。「都会と田舎」「メインストリームと素朴」のダイナミクスが今回のアルバムのテーマだと仮定したら、3曲目はまだそのはざまにいて、そこから現実を俯瞰できているのが4曲目。

岡田:3曲目は困惑した感じだよね。

増村:アルバムをつくるときはもうすでに吹っ切れていて、思い出したように書いて、あえて困惑していることを表現した可能性もある。そう捉えるとやっぱり私小説みたいで面白い。

岡田:なるほど。アルバムの音自体にパーソナルなこと、かつて困惑したことも入ってると思うけど、この組み上げ方は明らかにつくってるね。なんの迷いもなさそうだもん。

増村:そうそう。テクニックがちゃんと入ってきているのも私小説的ポイント。

岡田:ははは(笑)。デモとか聴いてみたいね。

増村:うん、2014年~2018年のデモを聴いてみたい。すごい怨念がこもってそうで(笑)。

もしこのアルバムの曲をカヴァーするとしたら、どれから手をつけますか。

岡田:どれもやりたくないよね(笑)。

増村:とんでもないアレンジと、パーソナルな歌詞が刻みこまれてるので(笑)。

岡田:もう「語り継ぐ」型のフォークの時代じゃないんだと思う。

増村:名言や……たしかに。

岡田:これは明確に録音物としてあるものです。“Tangle” はやっぱりヤバすぎたな。

増村:ヤバかった、コントラバスがすごいよね。

岡田:うん、あれは怖かった。迫る感じがある。

増村:最後の曲 “Repeat The Pattern” の歌詞に「長く続くものは何でも 最初から同じパターンを繰り返す」とあって。カヴァーしたいっていうか、これはリピートしたい言葉です。そこは語り継いでもいいのかなと思いました(笑)。自分が卑屈になったときに思い出したら元気が出そうだなと。

(構成:小林拓音)

Shintaro Sakamoto - ele-king

 坂本慎太郎の6年ぶり4thアルバムが6月3日(金)にリリースされることを〈zelone records〉が発表した。タイトルは『物語のように(Like A Fable)』。パンデミック以降に書き下ろされた全10曲収録。まさに待望のアルバムだ。
 前作『できれば愛を』同様、坂本慎太郎バンドのメンバーを中心にレコーディングされ、ドラムは菅沼雄太、ベース&コーラスはAYA、そしてサックス&フルートは西内徹。ゲストプレーヤーとして2曲にトロンボーンでKEN KEN(Ken2d Special, Urban Volcano Sounds)が参加。エンジニア/マスタリングは中村宗一郎。早く聴きたい……

全世界デジタル配信と国内CDにて6月3日 (金)にリリース。
CDはアルバム全収録曲のインストヴァージョン10曲入りCDが付いた2枚組。 
アートワークは坂本慎太郎。

坂本慎太郎 (Shintaro Sakamoto)
物語のように (Like A Fable)

zelone records

1. それは違法でした (That Was Illegal)
2. まだ平気? (You Still OK?)
3. 物語のように (Like A Fable)
4. 君には時間がある (You Have Time But I Don’t)
5. 悲しい用事 (Sad Errand)
6. スター (Star)
7. 浮き草 (Floating Weeds)
8. 愛のふとさ (Thickness of Love)
9. ある日のこと (One Day)
10. 恋の行方 (The Whereabouts Of Romance)

Written & Produced by Shintaro Sakamoto

●品番: zel-026
●CD: 価格: ¥2,600+税 (2枚組/インストBONUS CD付)
●Digital (DL/ST)

official HP: www.zelonerecords.com

Black Country, New Road - ele-king

文:イアン・F・マーティン(訳:江口理恵)

 音楽をコミュニケーションの行為として考えるとき、私たちはそのプロセスの半分にしか思いを致していないことが多い。アーティストに伝えたいことがあり、それを音楽でリスナーに伝えると、その成功は受け手側にも共感を呼び覚ますことができるかどうかで測られる。しかし、コミュニケーションは双方向性のプロセスであり、録音というデッド(死んだ)な(ライヴとの対比として)メディアが、生きているリスナーと対話するには、それとは異なる難儀な類のコミュニケーションが必要になる。

 ブラック・カントリー、ニュー・ロードのコミュニケーションは、微細な観察からなる個々のディテールが、印象主義的な全体像を構成する、断片のコラージュで表現されている。これらの物語の断片を読み解くもっとも直観的な方法は、音楽の喜びのうねりや、押し寄せる嘆き、親密さに伴う押しつぶされるような痛み、喪失による靭帯の引き裂きにより、正確な意味が流れ去るような場面があっても、ときおり言葉に焦点を合わせて音色を追っていくことだ。また、細部を掘り下げることで、その他の物語が直線的ではなく、繰り返されるイメージを通して、聞きなれた言葉が馴染みのない方法で繰り返し使用され、再び現れた文字のシルエットなどが、まるで秘密の言語のようなヒントとして、かすかに浮かび上がってくる。

 2021年のバンドのデビュー盤『For the First Time』では、数年にわたり段階的に積み上げられてきたイメージやアイディアと、反復する音楽の主題や歌詞のアイディアが導入されては引き戻され、より大きなピースが傾き、互いにぶつかり合いながらも、一緒に織りあげられたものだ。それは、スリリングで多様性に満ちたリスニング体験をもたらし、高い完成度にもかかわらず、異なる条件の元で書かれた作品を見事なシミュレーションで一貫性を持たせた、寄せ集めのようなコレクションだった。これに続く新作では、ブラック・カントリー、ニュー・ロードがそのプロセスをより統制しやすくなっているのは必然であり、具体的な意味は不透明なままでも、表面下で煮えたぎるようなディテールは、より豊かで複雑に感じられる。

 具体的な解釈なしに自由に音楽が飛翔するなか、“Haldern” のような曲では、ときに感情を打ち砕くような音色を繰り出す。“For the First Time” をとても面白いものにしている繊細なユーモアは、いまは脱退してしまったヴォーカリスト、アイザック・ウッドの、もの悲しさや神話的なものと、陳腐で軽薄なものとを並走させながら、揺れ動く感情で、決して声のトーンを崩さないという驚くべき才覚によるもので、音楽のなかでも未だ重要な存在となっている。“Bread Song” では、「私のベッドでトーストを食べないで」という家庭内のリアリズムから、「この場所は誰のものでもない、パンくずのためのものでもない」という聖書のような語り口へと巧みに転換し、“The Place Where He Inserted the Blade” では、料理の比喩と思われるものを通してワイルドな感情の極限の狭間を揺れ動く。

 日常から形而上、時代劇からSF的な未来へと、時空を超えて飛び交う語り口は、我々をコミュニケーションの問題へと立ち返らせる。その非常な不透明さ、断片化、ほのめかされた相互関係は、リスナーが意味を選択して光を当て、自らの物語を書くことにより、聴くことをクリエイティヴなコラボレーションという行為に変えるのだ。ズームアウトして眺めてみれば、『Ants from Up There』には、ふたりの人間が、ある種の親密な関係を築こうと努力をするが、大きな痛みを与えあった後、引き裂かれて破壊的な傷が残るという喪失の物語がみつかるだろう。少しズームインしてみると、おそらくそこには、フィリップ・K・ディック風のポスト・モダニズムの、混乱した大人たちが、自分たちの肉体に不確かさを覚え、ライトセーバーや宇宙船、ウォーハンマー40,000といった子供時代のゲームなど、過去の残滓を使って自分たちや世界を理解しようと藻掻く物語も存在する。そこには、語り手のビリー・アイリッシュ(歌詞に何度も登場する)や、チャーリー・XCXのようなポップ・スターとフロイト的なパラソーシャル(パラセクシュアル?)な関係を築いたり、ポップ・ミュージックそのものが BC,NR の世界の混沌とした断片を繋ぎ合わせる共通の土台を形成したりしているという儚い物語も埋め込まれているのだ。繰り返し登場する超音速旅客機、コンコルドのイメージは繋がりの象徴なのだろうか? スピードと混乱の象徴? 恋人? 失われた未来? 他の何か、もしくは上記のすべてか?

 しまいには、バンドが書いた物語を聴いているのではなく、バンドが並べた断片と、それらが繋がるかもしれないという彼らが残した示唆をもとに、自分自身で描いた物語を聴いている気分になる。次に聴くときには、また異なる物語を書いているかもしれない。このアルバムの死んだプラスティックに綿密にマッピングされた分岐路の庭を消化する正味期限の限界があるだろうが、それまでは、『Ants from Up There』は、魅力的で、辛辣な面白さで、時に感情的に落ち着かない会話の相手になってくれることだろう。

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written by Ian F. Martin

When we think about music as an act of communication, we’re often only thinking of only half the process. The artist has something to communicate, and through their music they transmit that to the listener, with success measured by their ability to summon up those same feelings at the receiver’s end. Communication is a two-way process though, and how a dead (as opposed to live) medium like a recording is able to create a dialogue with a living listener is a different and more difficult sort of communication.

Black Country, New Road communicate in collages of fragmentary images in which granularly observed individual details make up an impressionistic whole. The most instinctive way to navigate these pieces of story is to follow the tone, letting the words occasionally fall into focus even as the precise meaning swims away in the music’s swells of joy, washes of mourning, crushing pain of intimacy and tearing ligaments of loss. Dig into the details, though, and other stories glimmer into light in a less linear fashion, through recurring images, familiar words used repeatedly in unfamiliar ways, silhouettes of returning characters revealed, all through hints like a secret language.

On the band’s 2021 debut “For the First Time”, images and ideas that had been built up piecemeal over several years were woven together with recurring musical themes, lyrical ideas introduced and brought back, even as the larger pieces lurched apart and crashed against each other. It made for a thrilling and diverse listening experience, but as fully-formed as it felt, it was still a collection of pieces written under different conditions and then fashioned, albeit masterfully, into a simulation of coherence. With this follow-up, it’s inevitable that Black Country, New Road would be a bit more in control of the process, and the interconnected details simmering beneath the surface feel correspondingly richer and more intricate, even if specific meanings remain just as opaque.

Even as the music flits free of tangible interpretations, they sometimes hit emotionally devastating notes on songs like “Haldern”. The subtle sense of humour that made “For the First Time” so much fun is still a key presence in the music too though, with now-departed vocalist Isaac Wood having an incredible knack for juxtaposing the mournful and mythic with the banal and frivolous, without ever breaking the teetering-on-the-brink emotional tone of his voice. On “Bread Song” the narration flips tone dextrously from the domestic realism of “Don’t eat your toast in my bed” to the Biblical “This place is not for any man / Nor particles of bread”, while “The Place Where He Inserted the Blade” swings between wild emotional extremes all through what seems to be the metaphor of cooking.

The way the narration leaps from mundane to metaphysical, from historical drama to sci-fi future, blurring time and space, all brings us back to the question of communication. That very opaqueness, fragmentation and hinted interconnections makes the very act of listening an act of creative collaboration as the listener writes their own stories by selecting and highlighting meanings. Zoom out and there’s perhaps a story of loss in “Ants from Up There” — of two people who struggle to connect, cause each other tremendous pain even as they find their way into some sort of intimacy, and who leave a devastating wound when they tear apart. Zoom in a little and there’s perhaps also a Philip K. Dick-like postmodernist story of confused adults, uncertain in their own flesh, struggling to make sense of themselves and the world using the lingering ghosts of the past — the light sabers, starships and Warhammer 40,000 games of childhood. There’s a story nestled in there too of the narrator’s Freudian parasocial (parasexual?) relationship with pop stars in the form of Billie Eilish (who makes recurring appearances in the lyrics) and Charli XCX, as well as perhaps the fragile way pop music itself forms a common ground of connection between the chaotic fragments of BC,NR’s world. Is the recurring image of the Concorde supersonic airliner a symbol of connection? Of speed and confusion? A lover? A lost future? Something else or all of the above?

By the end, you are no longer listening to a story written by the band but to one you’ve written yourself out of the pieces they’ve laid out and suggestions they’ve left for how they might connect. And the next time you listen, you may have written a different story. There is probably a limit to how long you can do so before you’ve exhausted the garden of forking paths mapped out on the album’s dead plastic, but in the meantime “Ants from Up There” makes for a fascinating, wryly funny and often emotionally uncomfortable conversational partner.

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文:Casanova.S

僕には二度目の別離の夏を迎える余裕はない
この階段は、君の古い写真に繋がっているだけなんだ
“Concorde”

君は自分を必要とする世界を恐れているんだろう?
だから地元の人と仲良くすることはなかった
だけど君はそのツルでゆっくりと僕を縛り付け、どこにも行けなくした
“The Place Where He Inserted the Blade”

 2nd アルバムの発売直前にヴォーカル/ギターのアイザック・ウッドがブラック・カントリー・ニューロードから脱退することが発表された。僕は彼の書く歌詞と少し硬い歌声が大好きだった。ナイーヴな自己憐憫を重ねるような歌詞、音として紡がれる言葉たち、ひとつの言葉が他の言葉と結びついてイメージを形作りそうして意味をなしていくアイザック・ウッドのスタイル。彼は 1st アルバムで「Black Country」という言葉を繰り返し用いて、ヴォーカルが起こした性的トラブルを告発されたことで解散することを余儀なくされたナーヴァス・コンディションズから続くブラック・カントリー・ニューロードの物語を描き出した。ケンブリッジの10代の新人バンドがデビューするという最初の記事が出たタイミングでの告発、一曲も残す事なくバンドは終わり、時間が過ぎて、残されたメンバーはそれぞれに失意を抱えながらもバンドを続けることを決意した。そうして隅っこでギターを弾いていたアイザック・ウッドの前にマイクが置かれ、本来それを担当するはずだった人間の代わりに彼が歌いはじめるようになった。「だからきっとある意味で/いつだって僕はゲストだった」 1st アルバム収録曲のヴァージョン違い、“Track X (The Guest)” に追加された「ゲスト」というこの言葉はウッドのソロ・プロジェクト ザ・ゲストにひっかけた言葉なのだろうが、ナーヴァス・コンディションズの解散後にはじめたこの活動がいまのアイザック・ウッドのスタイルを形作った。そこで彼は初めて詞を書き唄い、そうして自分自身をゲストと呼んだ。

 ウッドにとってナーヴァス・コンディションズとはどんな存在だったかのか? それは 1st アルバムを聞けばわかるのかもしれない。起きてしまったことに対する後悔と自己憐憫、少しの希望、アルバムの全ての曲は同じ方向に向かって流れ、それが「Black Country」という言葉によって繫がれる。「僕は何にも学んじゃいない/2018年に失った全てのことから/彼女はまだどこかで僕らを待っているって気がしてならないんだ/水を綺麗に保つために僕たちが作ったものの下に隠されて」。7インチのヴァージョンから変更された “Athens, France” のように象徴的な言葉を差し込み(2018年はナーヴァス・コンディションズが解散した年だ)、ウッドはアルバムの曲を連結し、全体で大きなイメージを作りあげた。ここで唄われる「彼女」とはナーヴァス・コンディションズのことを指していて「Black Country」という言葉も同じものを意味しているのではないか? アイザック・ウッドの歌詞はそうやって想像する余地を残していく。「向こうで Black Country が待っているんだ」。そう繰り返し唄われる “Science Fair”、「Black Country の地面から僕らが作りあげたもの」「穏やかに過ごすために僕たちが作り上げたもの」。“Opus” では比喩的にブラック・カントリー・ニューロードの結成の物語が綴られる(ブラック・カントリー・ニューロードはサウス・ロンドンシーンのパーティのはじまりに間に合わなかったバンドだ。本来ならばナーヴァス・コンディションズかここに参加しているはずだった)。1年前のリリース時のインタヴューでサックス奏者のルイス・エヴァンスが語っていたように 1st アルバムはある時期の彼らを切り取ったものだったのだろう。傷ついた仲間たちが再び集い、そうしてまた歩き出そうとする決意の物語、ウッドは自分たちのバンド名から後付けで言葉に意味を付与し、その最初の物語、失われてしまったナーヴァス・コンディションの未来の姿を終わらせようとした。余裕なんてどこにもなく、スリルと狂気と不安がそこに漂っているような、1st アルバムはそんなアルバムだった。

 この 2nd アルバムはどうだろう? 破裂してしまいそうだったヒリついた空気が消え去り、記憶を静かに呼び覚ますような、優しく慈しむような、ここではそんな音楽が奏でられている。1st アルバムとはもう別のバンドになってしまったと言ってもいいくらいに。あるいはゆっくりと時間をかけて自分の中に潜む感情を理解しようとしているかのような。最初のアルバムで感情の変化や亀裂を描いていたギターやサックスの音がこの 2nd アルバムでは感情を優しく導いていくようなものに変わり、舞台の上でセリフをまくし立てているようだったウッドのヴォーカルはメロディをゆっくりと口ずさむようになった。それは1年前にインタヴューで見せていたあの仲間同士のリラックスした雰囲気で、ポップ・ソングを愛する、もしかしたらこれがバンドの本来の姿だったのかもしれない。「ネクスト・アーケイド・ファイアになれたら……基本的にはそれがゴールさ」 冗談とも本気ともとれるようなジョークを飛ばすアイザック・ウッドの、おそらくはそれこそがサングラスをかけフォンジーに変身しステージ立つ必要のなかった世界のブラック・カントリー・ニューロードの姿だったのだろう。『Ants From Up There』にはそんなバンドの魅力が詰め込まれている。

 ウッドはこの 2nd アルバムでもイメージを結びつけるキーワードような言葉を用いてそれぞれの曲を繋ぎアルバム全体で一つのテーマを描き出そうとしている。「コンコルド」は曲のタイトルになっているし、「ビリー・アイリッシュ」も複数回出てくる。「クランプ」は彼らをつなぎ止める留め金で、それは “The Place Where He Inserted the Blade” において自らを縛り付けどこにも行けなくするツタや彼らを結ぶタグ、長い糸としても表現されている(おそらくそれは僕たちが絆と表現するものなのだろう)。曲をまたぎ何度も歌詞に登場する「コンコルド」という言葉はケンブリッジ郊外にあるダックスフォード航空博物館を訪れた共通の思い出が元になっているとドラムのチャーリー・ウェインが明かしているが、アルバム3曲目である “Concorde” においてのこの言葉はおそらくコンコルド効果を意味するものでもある。このまま引きずっていてもろくな事にはならないと理解していながらも、それでもこれまでにあった出来事をなかったことにはできない。思い出は美しく自らを縛り付ける。クリエイティヴ・ディレクター、バート・プライスが手がけた 1st アルバムのプロモーション(インターネット上のフリー素材を用いたスタイル)から、メンバー自身が子供の頃に書いた絵を使ったプロモーションに変化していることからも彼らがノスタルジックな思い出をこのアルバムのテーマにしていることがうかがえる。このアルバムは思い出を抱えそれに縛り付けられながらもそこから歩みを進めようとするアルバムなのだ。

 インタヴューの中で彼らは今作では歌詞だけではなくサウンド面でもリンクさせようと曲作りの段階で考えていたとも語っている。ルイス・エヴァンスは「今回は、曲を作っている時に他の曲のことを考えながら作った感じ。アルバムの曲順も曲作りの時点で考えながら曲を作っていったんだ」と語り、メイ・カーショウも「全てをリンクさせることを意識していた」と話す。その言葉通り、1分足らずの短いイントロから繫がれる “Chaos Space Marine” にはその後の曲を紹介するティーザーのようにアルバムの中の要素が断片的に織り込まれている。グランドピアノの音に明るく優しいサックス、何度もタメが入って展開し、メロディを唄うウッドの口からはコンコルド、ビリー・アイリッシュ、掘ってしまった穴と次々と後続の曲を示唆するような言葉が出てくる。パーソナルな領域にゆっくり踏み込むような “Bread Song” はチャーリー・ウェインのドラムによってエモーショナルさを一気に加速させ、その手法は “Haldern” や “Snow Globes” にも取り入れられている。それは匂いや色、言葉や音、一見関係がない事柄が他の何かを思い出すきっかけとなるような記憶の仕組みによく似ていて、楽曲に繋がりと広がりを生み出している。おおげさに言うとひとつの曲の中に実際には鳴っていない他の曲の音、あるいはイメージが埋め込まれているような感じだ。そうしてそれがオーバーラップしてくる。表面的な言葉や音は必ずしもそれ自体を意味しているわけではなく、その時々で違った意味が顔出す。僕はこれこそがブラック・カントリー・ニューロードの魅力なのだと思う。彼らは曲単位ではなく塊としてアルバムを意識している。もっといえばアルバムとアルバムとの関係性も意識しているのかもしれない。

 このアルバムはとても内向きなアルバムだ。ライヴで演奏するために作られた楽曲が収められた 1st アルバムと違い、ライヴのできない状況下で作られたこの 2nd アルバムの曲たちはアルバムに収録されるために作られた。最初にあったのは “Basketball Shoes” でこの曲を出発点にしてこのアルバムは作られたという。全てのテーマが “Basketball Shoes” の中にあり、逆に辿ってアルバムの最終曲であるこの曲にまた帰って来る。初期に「チャーリーXCXについて夢を見た」と唄われていた箇所が「コンコルドが僕の部屋の中を飛び回る/家の中をズタズタにして」と変更され、アルバムの中を飛び回る「コンコルド」のイメージを強化する(それはまたしても僕たちを縛り繫いでいく)。「僕がしてきたことの全てはドローンを作ることだった/僕らは残りを唄う」 曲の中でウッドがそう伝える通りに、このアルバムでは他のメンバーの声も聞こえてくる。“Chaos Space Marine” を彩るコーラスに “Good Will Hunting” で響く歌声、“The Place Where He Inserted the Blade”、そして “Basketball Shoes” の重なる声、それらがエモーショナルに心を震わせる。これも 1st アルバムでは見られなかった特徴だ。

 このアルバムのレコーディングはバラバラではなく一つの部屋で同時におこなうライヴ・レコーディングの手法がとられたようだ。ロンドンから離れ船でワイト島に渡り3週間滞在し、寝食を共にしてアイデアを出し合い意見を交わす。時にはフットボールに興じたり、みなで屋外レストランに出かけたり、地元のパヴを巡り映画を見たり。ルイス・エヴァンスは 1st アルバムのインタヴューで冗談まじりに「音楽より仲間の友情の方が大切さ」と語っていたがこのスタンスは2nd アルバムでより顕著に表れている。プロデューサーは立てたくなかったし、ロンドンでのレコーディングもしたくなかった、それは激動の時代を経てもう一度自分たちと向き合う為に必要なプロセスだったのだろうか? ロンドンから離れた場所、海を渡ったイタリアの観光地を思わせる非日常の世界、そのスタジオの中で彼らはお互いに向き合い、観客抜きの自分たちの為だけのライヴをおこなった。サウンド・エンジニアのセルジオ・マッショッコ(最終的には彼がプロダクションを担当することにもなった)とワイト島のレコーディングスタジオのエンジニアのデイヴィッド・グランショウのふたりの手を借りて、2nd アルバムはそうやってでき上がった。だからこのアルバムはより彼らの内面に迫ったものになっている。ある意味で彼らだけで完結している閉じた世界のアルバムなのだ。バンドが大きくなっていく過程において閉じた世界だけでは成立しなくなる、自分たちを取り巻く世界が目まぐるしく変わっていく、だからこそ彼らは原点に立ち返りそこから再び始めようとした。美しく慈しむようなこのアルバムのサウンドは、ノスタルジックであると同時に、「コンコルド」の思い出を糧に前へ進もうという意志と明るい希望が感じられる。あたかももう少し自分たちのバンドをやってみるよというメッセージが込められているかのように。

 アイザック・ウッドの脱退の発表からそこに新たな響きが付け加わってしまったのかもしれないが、それでもこの 2nd アルバムにはレコーディングされた当時の希望がそのまま封じ込められている。だから悲しくは響かない。1年後、3年後や5年後、これから先、きっと繰り返し聞くことになるアルバムには思い出が積み重ねられていく。音楽はそうやって時間を重ね、“Snow Globes” に出てくるキャラクター、ヘンリーがそうしたように記憶の壁にかけられるのだ。アルバムのアートワークに描かれている飛行機はどうしてコンコルドではないのだろう? 頭にそんな疑問が浮かぶが、でもそんなことは些細な問題なのかもしれない。アルバムを取りだしてジャケットを眺める。その飛行機の模型からコンコルドのことが思い出されて、針を落とす前にはもう頭の中に曲が流れ出している。このアルバムはやはり記憶と連想のアルバムなのだ。美しく感傷的で希望に溢れるブラック・カントリー・ニューロードのこの 2nd アルバムはきっと頭の中、記憶の部屋に残り続けることだろう。この先バンドがどんな風になっていくのかわからないが、でもいまはこの素晴らしいアルバムが作り上げられたことを嬉しく思う。

Jazzanova ×〈Strata〉 - ele-king

 いま、70年代ブラック・ジャズ再評価の波が来ている。〈Black Jazz〉や〈Tribe〉といったスピリチュアル・ジャズ・レーベル作品のリイシューにボックスセット……そして今度は〈Strata〉の番。1969年にデトロイトで設立された〈Strata〉(注意:ギル・スコット=ヘロンなどで有名なNYの〈Strata-East〉ではない)は、セオ・パリッシュやジャイルス・ピーターソンなどからも称賛されているジャズ・ファンク~ソウル・ジャズのレーベルだ。
 その〈Strata〉音源をジャザノヴァがカヴァー、再創造した1枚がリリースされる。題して『ストラタ・レコード:ザ・サウンド・オブ・デトロイト』。4月20日発売。
 ジャザノヴァとは90年代末にベルリンで結成されたDJ/プロデューサー集団で、当時のクラブ・ジャズ~フューチャー・ジャズを代表するグループ。〈Strata〉の名曲たちがどのように生まれ変わるのか──これは楽しみ。

ジャザノヴァ/ストラタ・レコード:ザ・サウンド・オブ・デトロイト

1960年代後半にケニー・コックスによりデトロイトで創立されたインディペンデント・ジャズ・レーベル、〈STRATA〉は1969年~1975年の僅か6年の活動だったにもかかわらず、近年セオ・パリッシュからジャイルス・ピーターソンを筆頭に多くの音楽ファンやレコード・ディガー達から賛美を浴び、伝説的なレーベルとして知られている。

Kon & Amir の片割れで、レコード・ディガー、DJとして有名な DJ Amir が立ち上げた〈180 Proof〉がケニー・コックスの妻、バーバラ・コックスの協力を得て〈STRATA〉の過去カタログを再発するプロジェクトがスタート、そして彼はベルリンでジャザノヴァと出会い、 〈STRATA〉のカタログを使ったアルバム・プロジェクトを発案、ジャザノヴァは同レーベルのカタログ中の傑作11曲を厳選して再構築を試みた。

〈Strata〉のコミュニティーとシンパシーを感じたジャザノヴァは、常に進化を続ける創造性豊かなユニットであり、1995年に志が同じのDJやプロデューサーらからなるオリジナル・ メンバー5名からスタート、彼等はバンド・プロジェクトへと発展しライヴ活動を開始、その流れの中でジャザノヴァとDJアミールが出会ったのは運命であり意気投合した彼等はこの世紀の大プロジェクトを完成へと導いた。

本作は単なるカヴァー・アルバムではなく、彼等が長年培ったDJとしてのリミックス感覚 と、ライヴ・バンドとしての感性を融合させ、現代に蘇らせる事に成功した。例えば、 Lyman Woodard Organization “Creative Musician” は新鮮なアフロビートのテンポのア レンジを盛り込み、同バンドの名曲 “Saturday Night Special” では新らしい解釈の現行ファンクを提案している。同時に元々モータウンのバック・バンドとして活躍したミュージシャンが多数在籍していた〈STRATA〉らしいジャズとソウル・ミュージックのハイブリッドなサウンドはジャザノヴァと出会う事によりモダンでエクレクティックなジャズ・サウンドへと昇華する事に成功した。

ジャザノヴァ ストラタ・レコード:ザ・サウンド・オブ・デトロイト
Jazzanova Strata Records - The Sound of Detroit

TRACKLIST
1. Introduction - Amir Abdullah aka DJ Amir
2. Lost My Love - Jazzanova feat. Sean Haefeli
3. Creative Musicians - Jazzanova feat. Sean Haefeli
4. Joy Road
5. Face at My Window - Jazzanova feat. Sean Haefeli
6. Root In 7-4 Plus - Jazzanova feat. Sean Haefeli
7. Inside Ourselves
8. Beyond The Dream - Jazzanova feat. Sean Haefeli
9. Saturday Night Special
10. Orotunds
11. Scorpio’s Child
12. Loser - Jazzanova feat. Sean Haefeli
13. Creative Musicians (Waajeed Remix) Bonus Track
14. Creative Musicians (Henrik Schwarz Remix) Bonus Track

BBE MUSIC / 180 PROOF / STRATA / OCTAVE-LAB OTLCD2600
税抜定価:¥2,300+税
2022年04月20日(水)
形態:CD

創造的再生が、時代とジャンルを超えた!
JAZZANOVA による STRARA RECORDS の再解釈は、極上の音楽体験を与えてくれる。
DJ感覚とバンド・サウンドとリスニング・ミュージックの理想的なハイブリッドが完成!!
沖野修也(Kyoto Jazz Massive/Kyoto Jazz Sextet)


"As a longtime Jazzanova head I expect nothing less than prime grade A quality musical excellence and this go round is absolutely no different. It comes with a lush maturity, evolved growth & envelope pushing all the while remaining true to their mission of making creative music from their hearts. Go Jazzanova!" - Ahmir 'Questlove’ Thompson
大昔からのジャザノヴァの大ファンとして、彼らからは超一流な品質の音楽の卓越性他ならない完成度を常に期待しており、この新作も全くいつも通り変わりはない、最高品質な作品に仕上がっている。本作にはまた彼らの豊富な成熟ぶり、進化した成長と限界に挑む姿勢が大いに盛り込まれながら、彼らの心の奥底から来ている音楽創造の姿勢に対する使命に忠実であり続けている姿を明確に表している。ジャザノヴァ、頑張れ!
-Ahmir 'Questlove' Thompson(THE ROOTS)

New Acao - ele-king

 日本の高度経済成長期おいて、行楽地として栄えた熱海。当時建てられたそのゴージャスな建造物のいくつかは、昭和の日本を駆り立てた豊かさという夢を反映している。そして、その夢が潰えた今日においては、失われた未来としての異光をはなっているのだった……。昨年11月に宿泊営業を終了した「ニューアカオ館」はその象徴的なホテルだが、歴史的と言えるその場で、PhewやWata Igarashiが出演するパーティが開かれることになった。ほかにUKからはBlack Merlin、Jane Fitzも出演。これはなかなかユニークなエクスペリエンスになりそう。
 お買い得な早割チケットあり。なお、「ニューアカオ館」と同敷地内にあるHOTEL ACAOは現在も営業中のため宿泊も可能。熱海は都内から好アクセスで、温泉もたくさんあるので、パーティ以外の楽しみも見逃せない。

rural presents New Acao
2022年7月16日(土)、17日(日)、18日(月・祝)

会 場:ACAO SPA & RESORT「ニューアカオ館」
出 演:Black Merlin, Jane Fitz, Phew, Wata Igarashi and more

料 金:早割 (Early Bird) 15,000円
4月6日18時 販売開始・限定100枚
前売(ADV) 18,000円

5月11日正午 販売開始
1日券 (Single day Ticket) 12,000円
5月11日正午 販売開始
U25 9,500円

5月11日正午 販売開始
静岡割 15,000円
5月11日正午 販売開始

宿泊(会場内)チケット
価格・数量未定
6月上旬

駐車場チケット
価格・数量未定
6月上旬

当日券 22,000円

オフィシャルサイト:
https://ruraljp.com/

LIBRO - ele-king

 昨秋3年ぶりの新作『なおらい』をリリースしたラッパーの LIBRO。彼のファースト・アルバム『胎動』(1998)は日本ラップのクラシックとして高く評価されている。そんな同作から、ジャジー・ヒップホップの先駆けとも呼べる1曲 “雨降りの月曜” のMVが公開された。
 それに合わせ、『胎動』のアナログ盤も本日リリースされている。メロウな “雨降りの月曜” をはじめ “胎動” や “対話” など、多くの佳曲をヴァイナルで聴く絶好のチャンス。完全限定生産(帯付き)とのことなので、お早めに。 

LIBROが98年にリリースした日本語ラップ・クラシックな名盤『胎動』収録の名曲 "雨降りの月曜" のミュージック・ビデオが公開! また同作のアナログ盤が完全限定プレスで本日リリース!

 日本のヒップホップ・シーン黎明期から活動をスタートさせて97年にラップ、トラックメイク双方を手がけるスタイルでデビュー。2022年にはデビュー25周年を迎えながら今でもマイペースな活動を続け、コンスタントに作品をリリースし続けているLIBRO(リブロ)が98年に発表したファースト・アルバムにして日本語ラップ・クラシックな名盤『胎動』に収録されている名曲 "雨降りの月曜" のミュージック・ビデオが24年の時を経て公開! Diaspora skateboardsのビデオディレクター、小林万里がディレクションを担当している。
 また、その "雨降りの月曜" やタイトル曲 "胎動" を筆頭、"対話" feat. Momoe Shimano a.k.a. MOE’Tなどの名曲を多数収録した『胎動』のアナログ盤が本日リリース! 帯付き/完全限定生産でのリリースとなります。

*LIBRO "雨降りの月曜" (Official Video)
https://youtu.be/yEpKC0wXy4M

[商品情報]
アーティスト:LIBRO
タイトル:胎動
レーベル:P-VINE, Inc.
発売日:2022年4月6日(水)
仕様:LP(帯付仕様/完全限定生産)
品番:PLP-7769
定価:3,850円(税抜3,500円)

[Side A]
1. イントロ
2. 胎動
3. ガイドライン
4. 雨降りの月曜
5. 対話 feat. Momoe Shimano a.k.a. MOE'T
[Side B]
1. リブロ工房
2. Doytena 2000 feat. Ark, KEMUMAKI, DOBINSKI
3. 胎動 Remix (DJ TONK Remix)
4. 対話 Remix feat. Momoe Shimano a.k.a. MOE'T (DJ KIYO Remix)
5. アウトロ

LIBRO 『胎動』
Stream/Download/Purchase:
https://p-vine.lnk.to/NLpyrLNV

Phew / Friday Night Plans - ele-king

 昨年の『New Decade』をはじめ、近年ますます精力的に活動している Phew と、新世代シンガー Friday Night Plans による2マン・ライヴが渋谷 WWW にて5月2日に開催される。ふたりは今回が初の顔合わせ。それぞれ異なるタイプの音楽をやっているように映る2組だけに、いったいどんな化学反応が生み出されるのか、いまから楽しみになるライヴだ。チケットなど詳細は下記をご参照ください。

Phew / Friday Night Plans初となる2マンライブが5月2日(月祝前)WWWにて開催決定!!

PhewとFriday Night Plansの初となる2マンライブが、5月2日(月祝前)WWWにて開催が決定した。

伝説のアート・パンク・バンド、アーント・サリーの創設メンバーであり、現在も精力的にソロ作品をリリース、
声と電子音楽を組み合わせた作品でエレクトロニック・アーティストとしても世界的な評価を得るPhewと、
竹内まりやの「Plastic Love」のカバーが海外で評価されるも、
昨年から「レコードの音質」をテーマに実験的な制作を行い3枚のEPを立て続けにリリース。
新たな音世界を提示し、先日行われた自主企画イベントにてライブ活動を再始動させたFriday Night Plans。
両者初顔合わせとなる貴重な一夜をお見逃しなく。

公演フライヤーは写真を寺沢美遊が撮影し、フライヤーデザインをpooteeが手がけた。
チケットはただ今より一般販売開始!

タイトル:Phew / Friday Night Plans
日程:2022年5月2日(月祝前)
会場:WWW
出演:Phew / Friday Night Plans
時間:OPEN 18:45 / START 19:30
前売:¥3,800 (税込 / オールスタンディング / ドリンク代別)
問合:WWW 03-5458-7685

チケット:
一般発売 / 4月5日(火)19:00~ e+ 【https://eplus.jp/phew-fnp-www/
※本公演は「ライブハウス・ライブホールにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に基づいた対策を講じ、開催いたします。
チケットのご購入、ご来場の際は「新型コロナウイルス感染拡大予防対策の実施について」を必ずご確認いただき、ご同意の上でチケットのご購入とご来場をお願いいたします。

公演ページ:https://www-shibuya.jp/schedule/014377.php


Phew
伝説のアート・パンク・バンド、アーント・サリーの創設メンバーであり、1979年解散後はソロとして活動を続け、1980年に坂本龍一とのコラボレーション・シングルをリリース、1981年には、コニー・プランク、CANのホルガー・シューカイとヤキ・リーペツァイトと制作した1stソロ・アルバム『Phew』を発売。1992年、MUTEレーベルより発売された3rdアルバム『Our Likeness』は、再びコニー・プランクのスタジオにて、CANのヤキ・リーベツァイト、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのアレックサンダー・ハッケ、そしてDAFのクリスロ・ハースと制作された。2010年代に入り、声と電子音楽を組み合わせた作品を次々に発売し、エレクトロニック・アーティストとしても世界的評価を高めた。ピッチフォークは「日本のアンダーグラウンド・レジェンド」と評している。また、アナ・ダ・シルヴァ(レインコーツ)、山本精一(ex.ボアダムス)等とのコラボレーション作品も発売。2021年10月、最新ソロ・アルバム『ニュー・ディケイド』はTraffic/Muteより世界発売。


Friday Night Plans
Friday Night Plans(フライデーナイトプランズ)は、東京をベースに活動するボーカルの Masumi を主体とした 音楽プロジェクト。東京都出身で日本人の父とフィリピン人の母を持つ Masumi は、2018年7月から Friday Night Plans の活動を開始し、その楽曲が Spotify や Apple Music を中心に国内外で話題となり、同年12月にリリースした竹内まりやの「Plastic Love」カバーが海外で評価される。2019年11月15日(Fri)にリリースされた 2nd EP「Complex」は、ポジティブで直接的な表現が主流の現代において、土臭い人間の精神世界を詩的に表現しており、ネガティブを否定せずに直視することによって、どこか次の段階を模索するための "今" が描かれているように感じられる。「Complex」からの第1弾先行シングル「All The Dots」はUK版「i-D Magazine」に取り上げられ、第2弾先行シングル「Decoy」は米人気メディア「The FADER」に取り上げられ「BBC RADIO 1Xtra」にて選曲されるなど、海外メディアからも注目されている。12月6日(Fri)にリリースされた 9th 配信 Single「HONDA」はインディーズながら "Honda「VEZEL」CM ソング" に選曲された。2021年1月から「レコードの音質」をテーマに実験的な制作を続けており、2021年4月30日(Fri)に3rd EP「Embers」、8月27日(Fri)に4th EP「When I Get My Playground Back」、2022年1月28日(Fri)に5th EP「In The Rearview」をリリースしている。

Friday Night Plans
https://linktr.ee/FridayNightPlans

Daniel Villarreal - ele-king

 シカゴのオルタナ・ラテン・バンド、ドス・サントスの一員でもあるパナマ出身のドラマー/パーカッショニスト、ダニエル・ ヴィジャレアルが初のソロ・アルバムを発売する。シカゴの新たなキーパーソンになっているという彼のアルバムには、ジェフ・パーカーら当地の面々とLAのミュージシャンたちが参加。ラテンのリズムを活かした極上のグルーヴを堪能したい。

ダニエル・ビジャレアル(Daniel Villarreal)
『パナマ77(Panama77)』

発売日:【CD】2022/5/25

大注目!! シカゴのオルタナ・ラテン・ジャズバンド、Dos Santos(ドス・サントス)のメンバーで知られるパナマ出身ドラマー/パーカッショニスト Daniel Villarreal(ダニエル・ ビジャレアル)が待望のソロアルバムを完成させた。ラテンのリズムに導かれるグルーヴ溢れるサウンドは必聴。日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!! ジェフ・パーカー参加!!

Recorded in Chicago and Los Angeles featuring:
Daniel Villarreal - drums & percussion,
Elliot Bergman - baritone saxophone & kalimba,
Bardo Martinez - bass guitar & synthesizers,
Jeff Parker - guitar,
Kellen Harrison - bass guitar,
Marta Sofia Honer - violin & viola,
Kyle Davis - rhodes piano & synthesizers,
Anna Butterss - double bass & bass guitar,
Aquiles Navarro - trumpet,
Nathan Karagianis - guitar,
Gordon Walters - bass guitar,
Cole DeGenova - farfisa & hammond organs

ダニエル・ビジャレアルは、現在のシカゴのシーンを支える最重要ドラマー/パーカッショニストだ。パナマ出身で、異色のラテン・バンド、ドス・サントスのメンバーであり、DJでもある。ジェフ・パーカーら、シカゴとLAのミュージシャンたちと共に、ラテンのリズムを掘り下げて最上のグルーヴとドリーミーなサウンドスケープに包まれる、真に融和的な音楽を作り上げた。(原 雅明 rings プロデューサー)

アルバムからの先行曲 “Uncanny (Official Video)” のMVが公開されました!
https://www.youtube.com/watch?v=JNUaLAYPURM

アーティスト:Daniel Villarreal(ダニエル・ビジャレアル)
タイトル:Panama77(パナマ77)
発売日:2022/5/25
価格:2,600円+税
レーベル:rings / International Anthem
品番:RINC87
フォーマット:CD(MQA-CD/ボーナストラック収録予定)

* MQA-CDとは?
通常のCDプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティの音源により近い音をお楽しみいただけるCDです。

Official HP:https://www.ringstokyo.com/danielvillarreal

HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS - ele-king

 先日不失者の2デイズ・ライヴ情報をお伝えしたばかりだが、また新たなニュースの到着だ。
 2016年、灰野敬二が若手の実力派たちと結成したロック・バンド「HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS」。同バンドで灰野はヴォーカリストに徹し、自身の原点たるロックンロールやR&B、ソウルやジャズを英語で歌い、精力的にライヴをこなしてきた。その音源は昨年、ロンドンの Cafe Oto からデジタルでリリースされているが、きたる5月11日、待望のスタジオ・アルバムがリリースされる。
 また、6月15日には渋谷WWWにて同作のリリース記念ライヴが開催。チケットの販売は明日から。ご購入はお早めに。

灰野敬二率いるリアル・ロック・バンド、HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS待望のスタジオ・アルバム、5/11リリース。6/15に渋谷WWWにてリリース記念ライヴを開催。

これだけがロック。私が言うロックという言語を、古文書の封印が解かれていくように開示する。――灰野敬二

1970年に前衛ロック・バンド、ロスト・アラーフのヴォーカリストとしてデビュー、1978年に不失者を結成、それ以来ソロのほかに滲有無、哀秘謡、Vajra、サンヘドリンなど、多様な形態で活動し、国際的に高い評価を受ける音楽家・灰野敬二。

常に「今」を追求しつづけている灰野が、川口雅巳(Kawaguchi Masami's New Rock Syndicate)をはじめ若手実力派ミュージシャンとともに2016年に結成したロック・バンド、HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKSの待望のスタジオ・アルバム。

録音はアナログ・レコーディングで定評のあるGOK SOUNDにて、エンジニアにバンドが絶大な信頼を寄せる近藤祥昭を迎えて行われた。

灰野がヴォーカリストに徹し、自らの原点といえるロックンロール、R&B、ソウル、ジャズ、そして日本の曲も英語で歌うという明確なコンセプトを打ち出し、精力的にライヴ活動を展開、2021年にイギリスのレーベルから配信でライヴ音源がリリースされ好評を得た。

ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・ドアーズ、ボブ・ディラン、ザ・フーなどの名曲が、徹底的に解体・再構築され、曲の“本性”がむき出しになった究極のリアル・ロック。その衝撃は世代を問わず幅広いロック・ファンにアピールするでしょう。

6月15日に渋谷WWWにて本作のリリース記念ライヴを開催。リアル・ロックを体感してほしい。

HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS
灰野敬二 HAINO KEIJI vocal, harp
川口雅巳 KAWAGUCHI MASAMI guitar
なるけしんご NARUKE SHINGO bass
片野利彦 KATANO TOSHIHIKO drums

[リリース情報]
アーティスト:HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS
Title: You’re either standing facing me or next to me
タイトル:きみはぼくの めの「前」にいるのか すぐ「隣」にいるのか
レーベル:P-VINE
フォーマット:CD
商品番号:PCD-28048
価格:定価:¥3,080(税抜¥2,800)
発売日:2022年5月11日(水)

収録曲
01. Down To The Bones
02. Blowin' In The Wind
03. Born To Be Wild
04. Summertime Blues
05. Money (That's What I Want)
06. Two Of Us
07. (I Can't Get No) Satisfaction
08. End Of The Night
09. Black Petal
10. Strange Fruit
11. My Generation

フォーマット:LP
商品番号:PLP-7849
価格:定価:¥4,180(税抜¥3,800)
発売日:2022年9月7日(水)
完全限定生産

収録曲
A1 Down To The Bones
A2 Blowin' In The Wind
A3 Born To Be Wild
A4 Summertime Blues
B1 (I Can't Get No) Satisfaction
B2 End Of The Night
B3 Black Petal
B4 Strange Fruit
B5 My Generation

[ライヴ情報]
HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS
出演:HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS
日程:2022年6月15日(水)
会場:渋谷WWW
時間:開場18:30 開演19:30
料金:前売¥4,000(税込/ドリンク代別/全自由)
チケット一般発売:4月2日(土)10:00 e+にて
問い合わせ:WWW 03-5458-7685
https://www-shibuya.jp

灰野敬二が若手実力派ミュージシャンとともに結成したロック・バンド「HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS」。灰野がヴォーカリストに徹し、自らの原点といえるロックンロール、R&B、ソウル、ジャズ、そして日本の曲も英語で歌うという明確なコンセプトを打ち出す。

2021年にはロンドンのCafe Otoからデジタルリリースし好評を博したそのバンドの待望のスタジオ・アルバム「You’re either standing facing me or next to me」が5月11日P-VINEからリリース、リリース記念ライブを6月15日に開催する。

ロックの衝撃がここにある、本当のロックを聴きたい人は、集まれ。

https://www.fushitsusha.com

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