12月後半からニューヨークはとても寒くなり、大雪、ブリザードの日もあった。それでもホリデーなので気分はそわそわしがち......そんな最近のニューヨークでよく話題になるのがポップ・アップ・ショップだ。
インサウンド・デザイン・ストア(ポップ・アップ・ショップ) |
不況のせいか、最近は街に空きスペースを見かけるようになった。ポップ・アップ・ショップとは、期間限定でそのスペースを利用する方法で、洋服屋は在庫を裁くためにサンプル・セールをしたり、ホリデー向けのイヴェント会場になったりする。道を歩いていると、こんな場所にこんなに面白そうなお店が......というような場面によくあたる。私が長年(といっても5年ぐらいだけれど)このシーズンになると、通っているのが、Wired store。ホリデー・シーズンになると、ポップ・アップ・ショップとして登場する。最新の電子機器を体験できたり、ギフトに最適なグッズを売っていたり、音楽を聴けたり......とにかくここはいるだけで楽しめる、カッティングエッジでテクノロジー・デザインなスペースだ。ノリータ、ソーホーなど、年によっていつもヒップな場所に出現する。今年は、ミート・パッキング。
インディ系オン・ラインショップとして知られるイン・サウンドも、ホリデーの期間だけギャラリー・スペースをポップ・アップ・ショップとしてオープンする。売られている物は普通のレコードではない。シルク・スクリーンのポスター、ポータプル・プレイヤー、Tシャツ等々、ギフトよりの物ばかりだ。サイトを見ても最近はCDやレコードよりもグッズに力を入れているような気がする。音楽はダウンロードだからだろうか。
さらに興味深かったのが『ナイロン・マガジン』、『バースト』、『Lマガジン』、『フレーバー・ピル』等々のメディアや音楽関連のショー・ペーパーがオーガナイズした〈スコア! イズ・ア・ポップ・アップ・スワップ〉と言うイヴェントだ。ブルックリンのサード・ワードという場所で開催されたこれは、洋服、音楽、アート関連品、本、DVD、メディア、家庭用品、家に眠っている要らない物を持ちより寄付することで成立する。会場に入ると、そこにあるものは何でも持っていってOK。洋服のコーナーはまるで戦場のように、新しい物が来るとすぐさまなくなる。フリーだと欲張っていろんな物を手に入れようとしがちだけれど、人が要らないと思うものは、やっぱり要らない。こうすると、本当に必要な物が見えてくる。自分たちがいかに要らない物をたくさん持っているかを思い知らされるというわけだ。今の世のなか、無い物は無いというほどモノに溢れている。エコだエコだと騒ぐ前に、まずは自分の身の回りをシンプルにすることから2010年ははじめようと思う。
[[SplitPage]] それではNYE、代表的なイヴェントを以下に挙げてみる。
パティ・スミス& ハー・バンド@ バワリー・ボールルーム
ディスコ・ビスケッツ @ ノキア・シアター
MSTRKRFT (3 am set)@ ウエブスター・ホール
フィッシャー・スプーナー @ フィルモア・ニューヨーク・アット・アー・ヴィング・プラザ
デトロイト・コブラ @ マーキュリー・ラウンジ
アンティバラス @ ニッティング・ファクトリー
パッション・ピット (DJ set)@ ピアノス
スクリーミング・フィメールズ、トーク・ノーマル、フランキー・アンド・ジ・アウツ、CSCファンク・バンド @ ケーキ・ショップ
ティーム・ロベスピア @ ブルアー・フォールズ
エクセプター @ モンキー・タウン
ゴールデン・トライアングル @ グラスランズ
〈ケーキ・ショップ〉での物販物 |
トーク・ノーマル |
スクリーミング・フィメールズ |
モンキー・タウンがクローズするので気になるところだが、今回は、わざわざ橋を越えて〈ケーキ・ショップ〉に行く。目的は、トーク・ノーマル、スクリーミング・フィメールズ、フランキー・アンド・ジ・アウツ、CSCファンク・バンド。ちなみに、フランキーは元ヴィヴィアン・ガールズ、クリスタル・スティルズ、現ダム・ダム・ガールズのドラマーで、CSC・ファンク・バンドは、元USA・イズ・ア・モンスターのメンバーのバンドだ。カウントダウンはスクリーミング・フィメールズ。
トーク・ノーマルは、ブルックリンのバンド(女の子2人)で、2009年にファースト・アルバムを発表して、ソニック・ユースやティーン・エイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス、ライトニング・ボルトなどとも共演をしている。ダークで、ヘヴィーなギターリフと、変則なドラムビートと女の子ヴォーカルのノスタルジックなスクリーミングを特徴としている。ゴースト・パンクとでも形容しようか......。
スクリーミング・フィメールズはスリーター・キニーとピクシーズを足して2で割ったような感じ。ニュージャージーはニュー・ブルンスウィック出身で、自分たちで300もののショーをブッキングし、去年はデッド・ウエザーやダイナソーJr、アークティック・モンキーズのオープニングも務めた。それでカウントダウン――彼らは11時55分過ぎに登場し、「ニューイヤー? 誰が気にするの?」といいながら、さっさと演奏をはじめてしまった。おいおい......なので、0時になったときは、演奏の真っ最中だった。1曲目が終わって時計を見たら12:02amだった。なんともあっけない2010年の幕開け......。でもこの10年を表すのには、こんなラフな感じが合っているのかも。
いろんな場所でのカウントダウンの様子を聞いた。ニューヨークといえばタイムズスクエアだが、何でも30日に爆弾騒ぎがあったらしく、バックパックを持っている人は誰も入れなかったとか。結局何もなかったのだけど。
そんな訳で、2010年無事にあけ、今日も動いている。何が起こるか、わくわくしながら、リアルなミュージックシーンをお伝えできていれば嬉しい。