「KING」と一致するもの

 21世紀に入って音楽文化は停滞しているんじゃないかと人に言われるたびに、たとえばこう言う。20世紀では、たとえば山下洋輔や富樫雅彦といった名前を欧米の(ジャズの専門誌ではなく)ポップ・メディアで見かけることはまずなかったと思う。が、今世紀、日本のインプロヴァイザーの名は、たとえばティム・ヘッカーやビヨンセまでを評価するようなポップ・メディアのなかで見つかる。そう、つまり、80年代以降に生まれた人たちの耳にそれらは馴染んでいる。多くの優れた日本の音楽とともに。
 もっとも海外が気がつく前からそれらは素晴らしい音楽だったが、いま20代の君にわかりやすく説明すれば坂田明はそうしたひとりだ。今年リリースされた『And That's the Story of Jazz...』はそうしたある種の(そしてある意味では真の意味での)"ワールド・ミュージック"として高い評価を得ている。今週の水曜日、渋谷のWWWに行かないで手はない!

contrarede presents
坂田明&ちかもらち
~ちかもらち空を飛ぶ!東京ーモスクワーヨーロッパー東京~

ちかもらち 空を飛ぶ!最終着陸地点は渋谷WWW!!
山下洋輔、ジム・オルーク、八木美知依と豪華盟友陣をゲストに迎えてまさにスペシャルな一夜!これで何か起きないはずは無い!?

11/9 (WED)
SHIBUYA,WWW(03-5458-7685)
open 18:30 / start 19:30,
adv 3,700yen / door 4,200yen (+1drink)
live : 坂田明&ちかもらち(坂田明、ダーリン・グレイ、クリス・コルサーノ)
Guest : 山下洋輔、ジム・オルーク、八木美知依

https://contrarede.com/special/sakataakira.html

vol.16 : メルト・バナナ in NY! - ele-king

 アメリカで活躍する日本のバンドというと、メルト・バナナ、ボアダムス、少年ナイフ、アシッド・マザー・テンプル、灰野敬二、最近では、ボリス......今日は、1993年に結成され、10月29日の土曜日、 今年で、18年目を迎えるメルト・バナナのライブを見にいった。今回は、10月1日から11月29日まで、休みはほとんどなしの、2ヶ月間の怒濤なるツアーだという。オレゴン州から入り、ミッドウエスト、カナダ、東海岸、南部を通り、そして西海岸に入るという経路である。ニューヨークは、ツアーのちょうど中間あたりで、〈サントス・パーティ・ハウス〉というマンハッタンのダウンダウンにある、Andrew WKが経営する会場でおこなわれた。ちなみに共演は、Tera Melos、Unstoppable Death Machines。早めに着いたつもりが、「次がメルト・バナナだよ」と言われる。まだ9時だというのに。

 客層は男の子中心で、革ジャン、パンク系が目立ち、ガタイはでかい。ハロウィン・コスチュームな人もいた。CMJのハイライト・ショーに行ったような人は見られない......。
その日のニューヨークでは大雪が降った。10月にしては珍しい、というか私が記憶している限りでは初。サンクス・ギビング・デー辺りを目安に大雪が降るのはよく覚えているが、ハロウィン辺りというのはここ10年記憶にない。異常気象。
それでも、いい感じにお客さんは入っていた。ほとんどどが昔からのコアなファンなのだろう。曲がはじまるごとに、「オーーーー」といううなり声。ちょっと怖かったが、このバンドに対する期待感の大きさだ。 電撃的なキンキン、バリバリ、ヒリヒリしたパンク・ノイズ・サウンド......という表現が適切なのか、とにかく、絶妙なテンポで、曲をどんどん展開していく。ベースは女の子、ドラムは男の子。そしてギターのAgataさん、ヴォーカルのやこさんの4人編成。やこさんは、トレードマークのショートヘア、白の長袖トップにジーンズ、底の高いラバースニーカー。中間にはショート・ソング(たぶん1曲5秒、10秒とか)を8曲連続で披露。野郎の声援にまた力が入る。
セットにヴァラエティがあって楽しいし、それに対応できるヴォーカル力はさすがだ。キャリアの長さを感じさせる貫禄ある演奏で、とくに今回のメンバーのバンド・サウンドはスキがなく、怒涛のように演奏し、曲が終わるたびに、思わず拍手した。
やこさんの拙い英語がある種のヴァーチャル感をだすのか、あのアニメ声で「マーチ(物販)があるよ」などと言われるともう大変。ショーが終わったあとは、階段にながーい行列ができていた(なぜか今日はマーチ・テーブルが階段のいちばん上にあった)。しかもその列はまったく動く様子なし。たぶんひとりひとりと話しているので長くなるのだろう。こんな行列は,少年ナイフのジャパン・ソサエティのショー以来かもしれない。
先述した海外で活躍する日本のバンドは、いちど地位を得たらファンは根強く、ずっと付いて来てくれる。もっともこの傾向は10年選手バンドばかりで(私が知る限り)、残念ながら最近のバンドには見られない。イコール、若い子にそこまで音楽やバンドに対して情熱がないのか、そこまで夢中にサポートしたいバンドに出会ってないのか、単に見逃しているのか、最近のバンドがよくないのか......時代が違うといえばそれまでだけど、ライヴの醍醐味はいつもレコードで聴いているアーティストが目の前でプレイしていて、直接話しが出来る。そのリアリティにある。そうしたライヴの熱さも、今日のマーチに並ぶファンの図を見るとまだまだ捨てたものではないと少し感動した。この感覚を次世代につなぐことができたらもっといいのにね。

 実際、最近まわりで人気のあるバンドは、まるっきり新しいことをやっているわけでなく(私が知っているまわりのバンド限定ですいません)、最近見たダム・ダム・ガールズしかり、ターミナル5(!)でのショーが決まったガールズしかり、彼らは古い歌がどれだけ良くて、自分たちが影響を受けて、この曲が存在していることを意識している。いいと思うものを自分が思った通りに表現できるのは素晴らしいことで、それが実際受け入れられている。いまは情報が氾濫していて、どれが本当でどれを信じるべきでさらに自分が何が好きかを惑わせるツールがたくさんある。便利なようで、それがことをややこしくしている。

 とまれ。今日、ライヴを見て思ったことは、長く続けられるインディ・バンドには根強いファンがいて、実際、彼らをがっかりさせないライヴを毎回やっている。前回、私が見たとき(たぶん自分が企画した2002年のライトニング・ボルトのジャパン・ツアーでの共演時)と勢い、見た目もまったく変わっていない。さらに18年やっているのだけど色はまったく褪せていない。でもそれがファンの期待を裏切らない......ということなんだろう。素晴らしいことだと思う。今日の時点で、後(ツアーは)40本残ってると、MCで言った。18年間、こんな感じでずっとやっている。繰り返すけど、まわりの大きな男の子たちが「オーーーー」と唸っているのをみると、元気付けられる。夢中になれるものがあるということは、ホントにいいことだと思った。

 外は大雪だったが〈サントス・パーティ・ハウス〉は熱気に包まれていた。ショーは終わったけど、ひと息つきたくてドリンクを頼もうとしたら、バーテンダーが先ほどの穏やかな可愛い女の子からゲイのふたりに変わっていた。しかも水着とレオタード! そして、気が付いたら「外に出ろ」と警備員のおじさんに追いやられていた。外に出ると、ずらーっと、また行列(......雪降ってます)。しかも牛や鹿の着ぐるみ、ティンカーベル、魔女、ゾンビ......変なコスチューム。なるほど、ハロウィン・パーティがこのあと開催されるのかー。土曜日の夜、ハロウィン・ウイークエンド、当然当然。パーティー・ハウスですから。

Chart by JAPONICA music store&cafe bar 2011.10.31 - ele-king

Shop Chart


1

CANTOMA

CANTOMA NORTH SHORE LENG / UK / 2011/10/26 »COMMENT GET MUSIC
PHIL MISONによるソロ・プロジェクトCANTOMAによるリミックスCDアルバム「OUT OF TOWN REMIXES」から美味しい2トラックがアナログ・カット!A面には様々な多数リリースを重ねるプロデューサーMAX ESSAによる、多幸感溢れるシンセ・トラックに爽やかなヴォーカルを絡めた"NORTH SHORE"リミックスを、そしてB面には<BICHES BREW>主宰DJ COSMOによるレゲエ/ダブ感を注入した"DIX VERTES"の極上トロピカル・リミックスを収録。

2

THEO PARRISH / BURNT FRIEDMAN

THEO PARRISH / BURNT FRIEDMAN MEETS MANCINGELANI AND ZINJA HLUNGWANI HONEST JONS / UK / 2011/10/25 »COMMENT GET MUSIC
レコード回転数を一瞬疑ってしまいそうなTHEO PARRISHによる高速ピッチでの奇天烈エレクトロ・リミックスが強烈スギですが、ここはやはりC/W収録のBURNT FRIEDMANリミックスを推し!パーカッション/チャント・サウンドがくっきりと浮き出たクリアなミッド・ファンク・ブレイクでダブワイズを随所で絡めつつオーガニックなアフロ・ファンク調にて見事リコンストラクトした激最高すぎる仕上がり◎

3

LORD ECHO

LORD ECHO MELODIES SAMPLER EP WONDERFUL NOISE / JPN / 2011/10/18 »COMMENT GET MUSIC
未だに何かとカヴァー/リエディットされることが多いみんな大好き永遠のソウル名曲SISTER SLEDGE"THINKING OF YOU"のレゲエ/ソウル・カヴァー!待望の12"カット。ハウス~ブレイクビーツからレゲエは勿論、生音サイドまで全部イケちゃう最高内容!推薦盤!

4

DJ DUCT feat. THE REGIMENT

DJ DUCT feat. THE REGIMENT BACKYARD EDIT PT.6 -DETROIT RE-SESSION- THINKREC. / JPN / 2011/10/18 »COMMENT GET MUSIC
URコーディネートによるDJ DUCTとデトロイトMC'S=THE REGIMENTとのコラボ・プロジェクト="DETROIT SESSION"豪華陣容によるリミックスEPでます!DJ KENSEI、OBRIGARRD、9dw、DJ SHINYAリミックス!「BACKYARD EDIT」シリーズ〆は多彩な顔ぶれで送る"DETROIT SESSION"リミックスEP!

5

FRANK EDDIE

FRANK EDDIE LET ME BE THE ONE YOU CALL ON IMPOTENT FURY / UK / 2011/10/25 »COMMENT GET MUSIC
ゆったりと紡がれる流麗アコースティック・ギターの調べに薄っすらと絡む柔らかな女性コーラス、そして程よいブレイク感で進行する絶品チルアウ ト・ダウンビーツ"LET ME BE THE ONE YOU CALL ON"、そしてC/Wにはニュー・ディスコ/ビートダウン・グルーヴにエフェクティヴなリフを重ねつつビルドアップしていく"YOU GOT ME SINGING"(後半のトークボックス/ラップの入りも絶妙)をカップリング!拘りのジャケット体裁もかなり◎

6

BIMIDORI

BIMIDORI UM NORTE ARBORIZA ALTZMUSICA / JPN / 2011/10/28 »COMMENT GET MUSIC
ALTZさんの奇才っぷりが反映されたレンジの広い多彩な好リリースが続く<ALTZMUSICA>より、この度初となるDJミックス物が到着! これまでに辿った音楽/パーティー経験値がモノを言う味わい深い摩訶不思議チルビエント・ミックス。東京ローカルでじっくり暖められていた極上音 楽玉手箱がALTZさんの手により遂に解禁!詳しくは下記推薦紹介文にて。オススメです。

7

KARTHALA 72

KARTHALA 72 DANA LE COEUR DU FEU ELECTRIC COWBELL / US / 2011/10/23 »COMMENT GET MUSIC
詳細不明KARTHALA 72なるアーティストによるドープ・アフリカン・サイケ・ファンク!疾走感のあるトライバル・ビートの波と共にダビーなギター・リフがゆったりと浮遊する アブストラクト・アフロ・ファンク"DANS LE COEUR DU FEU"、そしてプリミティブなパーカッション/チャント・グルーヴを下地にサイケ気味なディストーション・ギター・フレーズが絡むアフリカン・ファン ク・ブレイク"DELORES"(これむちゃくちゃカッコ良い!)の2曲をカップリング。

8

SUN RA

SUN RA THE MIKE HUCKABY REEL TO REEL EDITS VOL.2 ART YARD / KINDRED SPIRITS / NL / 2011/10/2 »COMMENT GET MUSIC
目玉はやはりSUN RAの代名詞的ナンバーでもある"SPACE IS THE PLACE"の長尺エディットB-1。ミステリアスでスピリチュアルな趣を密封しDJユースにリコンストラクトされた渋味のあるエディット・ワーク◎その 他"FRIENDLY GALAXY"、"TO NATURE'S GOD"といずれも耳馴染みの良いSUN RAジャズ・セレクトで送る極上内容。勿論今回も特殊スリーブ仕様の限定プレス。

9

DJ MITSU THE BEATS

DJ MITSU THE BEATS LOVERS CONSCIOUS LIBERTADORES / JPN / 2011/10/28 »COMMENT GET MUSIC
ヒップホップをスタート地点にジャズ/レアグルーヴ/ディスコ/ブラジルetc...その幅広く奥深いディグ活動と並行してリリースされてきた傑 作ミックスの数々、この度遂に"レゲエしばり"で到着!オーセンティックなヒップホップ・マナーに則ったスクラッチ/二枚使いも随所でハメ込みつ つ、遊び心たっぷりで定番どころを中心にしっとりなめらかにミックス仕上げた絶品。

10

V.A. [PRESENTS BY RECLOOSE & FRANK BOOKER]

V.A. [PRESENTS BY RECLOOSE & FRANK BOOKER] HIT IT & QUIT IT RADIO REVUE VOL.1 FINGERTIPS / NZL / 2011/10/18 »COMMENT GET MUSIC
ラジオ番組「HIT IT & QUIT IT」をコンセプトにした初のオフィシャル・ミックス!DJとしても間違いない腕前を見せるRECLOOSEとFRANK BOOKERの両者による緩めな展開ながらサラッと流し聴きできる良好な一枚。そのパーソナリティの両者は勿論、JAMES PANTS、DJ DAY、GROOVEMAN SPOT、LORD ECHO、そして我らがDUBDUB ON-SENGまで!世界中の交流あるアーティストによるエクスクルーシヴ・トラック含む全20曲!

interview with Photodisco - ele-king


Photodisco
言葉の泡

P-Vine

Review Amazon

(フォトディスコとは誰なのかというと、普通の青年である。それはウォッシュト・アウトが普通の青年であるということと変わらない......)。
ついにフォトディスコの公式版デビュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『言葉の泡』。年初にいち部の専門店で委託販売され、まったくの無名ながら短期間に異例の枚数を売り切った自主盤『フォトディスコ』から5曲を再ミックスして残し、新録5曲を加えた内容だが、結果的に自主盤からは大きく表情を変えることとなった。筆者は以前「チルウェイヴ」としてフォトディスコを紹介し、レヴューや今作ライナーノーツでも彼らが携える時代的な意味や成果についてマクロな考察を加えている。だが今作後半の数曲は、より狭義のチルウェイヴ――要はウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワやネオン・インディアンらが体現する音だ――を意識していることがはっきりとうかがわれるだろう。"ミッドナイト"、"アイ"、"サケ"、"イエス"などローファイでリヴァービーなシンセ・ウェイヴの一連は、トレンドとしてのチルウェイヴと向き合ったトラック群だ。そしてフォトディスコ一流の叙情性が、このムーヴメントの勢いに埋没しない、とてもオリジナルなテクスチャーを生み出している。広義にチルウェイヴであった彼が狭義のチルウェイヴを目指したのはなぜか。インタヴュー中、フォトディスコは「気持ちいい」ということに繰り返し言及している。それはディスコ的な「快楽」ではなく「快適」のニュアンスに近い。「快適さ」を目標に設定する彼が、その最適解としてチルウェイヴを選んだことはおもしろい。時代のなせる業とも言えるだろう。インターネットによってベッドルームが世界に直結するこの時代、多くのベッドルーム・ポッパーたちが自らの部屋と世界との臨界点に、その摩擦を軽減し、快適さを保つため、緩衝材のようにめぐらせた音がまさにチルウェイヴであるから......。

ではフォトディスコの応答に耳をかたむけてみよう。言葉では多くを語らない人柄であるが、以下には飾らず涼やかな、そしてどこか頑固なアーティスト像がたちあがっている。今作について付言すれば、表題曲や"盆踊り"といったエレクトロ・アコースティックな曲が、一般に単調になりがちなチルウェイヴ作品に物語と陰影を与えていることに気づく。地域性の揚棄がチルウェイヴの特徴ではあるが、フォトディスコの音楽に非常に日本的な展開が示されていることも重要だ。ぜひともこの風土に眠る才能たち、そして日本の多くのベッドルームを揺さぶる存在になってもらいたい。

僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

自主盤の方が完全に廃盤になったということで、どうですか。

フォトディスコ:本当にうれしい限りです。廃盤になるって、まったく思いませんでしたから。400枚作ったので、それを買ってくれた400名の方々と、僕の音楽をプッシュして下さった販売店の方々に感謝しております。

公式1STとともに自主盤を生かしておく選択肢もあったと思うんですが?

フォトディスコ:いえ、まったく考えなかったですね。

ははは。どうしてですか?

フォトディスコ:ええと......出していただけるレーベルが決まったときにはもうどんどん新しい曲ができあがってたんです。それで、CD-R(自主盤)の方を買ってくれた人に、その新しい曲を聴いてほしいなって思って。せっかく全国流通になるから、CD-Rのなかからさらにいいものを選んで、新しいものも加えたいなと思いました。

では、自主盤の方にとくにアルバムとしての崩したくないコンセプトがあったというわけではないんですね。

フォトディスコ:そうですね。CDRの容量700MB、限界まで曲を詰め込んだアルバムです。曲順は、全体通しで聴いて気持ちのよい曲順に心掛けました。

自主盤から外したものに基準はありますか?

フォトディスコ:僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

そうなんですよねー。

フォトディスコ:それで、なんとなくわかったので、じゃあ僕のこの自主盤の中でいちばんチルウェイヴなものはなんだろうって考えて5曲選びました。

私の個人的な感覚だと、よりアコースティックで、よりJポップ的な情緒のあるものが選ばれてるのかなと思ったんですが。でも、わりとはっきりチルウェイヴということを意識したと。

フォトディスコ:意識しましたね。

やっぱりいま意識せざるを得ないところではありますよね。何から聴きました?

フォトディスコ:トロ・イ・モワです。

ああそうなんですか。ウォッシュト・アウトからじゃないんですね。トロ・イ・モワの何ですか?

フォトディスコ:ファーストですね。緑のやつです。

聴いてどうでした?

フォトディスコ:聴いたことのない音楽だなって思いました。

はは! シンプルな感想ですね。チルウェイヴって、認識としては「シンセ・ポップのリヴァイヴァルの一形態だ」というのが一般的かなと思いますが......新しかったですか。

フォトディスコ:新しかったです。

はは! 私もそう思います。

フォトディスコ:でも、コンプレッサーをいじればできるな、と思いました。

自分にもできるな、ってですか(笑)。

フォトディスコ:はい。

テクニカルな話だと、要はどういうことになるんですか、チルウェイヴって。私いろんなこと書いてますけど、技術的にどうだっていうことは作る側の人間ではないので詳しくわからないんです。こうしたらチルウェイヴになるぜっていう調理法があるわけですか?

フォトディスコ:あります。

企業秘密ですか?

フォトディスコ:いや、秘密じゃなくてみんな知ってると思います。ちょっと宅録とかやる人でしたら。

ははあ。

フォトディスコ:僕は感覚でコンプレッサーかけてるんで、あまり専門的なことは言えないのですが、要は、音を押しつぶせばいいんですよ。過剰に。そしたら、音圧出ますが、不自然な感じになります。

タームが出てくるとなんとなくしか理解できないんですが、素朴に音のことだけを考えると、わりと誰にでも作れるものだってことですね。

フォトディスコ:はい。そう思います。

もちろん、いま現在はチルウェイヴといってもすごく裾野が広がっていて、スタイルも方法も様々ではあるんですが、ローファイで、もこもこして、リヴァービーで......っていうあたりは基本要素かなとは思います。

フォトディスコ:そうですね。僕は一夜漬けで勉強しました。

あはは、末恐ろしい。機材的にはどうなんですか?このトピックで引っぱって恐縮なんですが、やっぱりチルウェイヴってことで、そんなにスゴイものは使ってないってシナリオにしたいんですが(笑)。

フォトディスコ:それはもうほんとに、大したことないですね。『サンレコ』(『サウンド&レコーディング・マガジン』)とかだと、ミュージシャンの人がほんとにいい機材ばっか使ってるじゃないですか。ヴィンテージの。こんな機材......いいなあ! って思うんですけど、やっぱり自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

やっぱりそうなんですか。お金があったら増強したい設備って何系のものです?

フォトディスコ:ヴィンテージのコンプレッサーとか......

野田:ははは! やっぱりそこ行くかっていう。でも、最先端の音楽を開拓してる子たちの多くは持たざる者だからね。グライムなんてサンプリング・ソースがユーチューブだったり、プレステだからね!

[[SplitPage]]

自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

ユーチューブって持たざる極みですね。では、フォトディスコはガレバンの魔術師、ということで! フォトディスコとしての活動についてお訊きしますが、ほんとにいち度もライヴをすることもなく......

フォトディスコ:はい。

露出というか、楽曲を発表する場はマイスペのみということになりますか?

フォトディスコ:はい。

とくに日本だとライヴの有無がそのアーティストの知名度に決定的に関わるように見えるんですが、日本のシーンはわりとどうでもよくて、はじめから世界が視野に入っていたとか......?

フォトディスコ:まったくそれはないですね。

野田:ははは!

(笑)愚問でしたか。いや、世界のほうが日本より上、という意味ではなくて、日本の主たる音楽シーン――それはメジャー/インディを問わずですけど――に対して疎外感があるのかなと。

フォトディスコ:うーん......

野田:ははは!

すみません。ちょっと私すべってますね。ええと、あんまりそんなことには頓着していないんですね。

フォトディスコ:僕は......とにかく休みのたびにどんどん音ができるんで、それをどんどんマイスペにアップしていたというだけです。

とくに多くの人に聴いてもらいたいというようなつもりもなく?

フォトディスコ:そうですね。とりあえず(作った音源が)たまってたまって。

じゃあマイスペがなかったら、ただ作ってるだけの人ですね。

フォトディスコ:(笑)そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。

でも、その休みのたびに曲を作ってたっていうモチベーションはなんなんでしょう。いつか何かになるという確信みたいなものがあったとかですか?

フォトディスコ:うーん......作るのが大好きで。

何曲ぐらいになってるんですか?

フォトディスコ:ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。

音楽はいつぐらいから作りはじめたんでしょう?

フォトディスコ:それはもう高校時代ですね。友だちとバンドみたいなことをやってて......思い出作りにMTRを買って。ヤマハのMT400っていう、いちばん安いやつなんですけど。

どんなバンドですか? そのころはどんなアーティストが好きだったんですか?

フォトディスコ:スーパーカーとか。90年代というのが僕にとってすごく素晴らしい音楽の時代だったので......かっこいいバンドは全部コピーしました。

そのかっこよさというのは何ですか?

フォトディスコ:飾り気のなさというか、媚ない感じですかね。あと、アルバムごとに違う表情をみせるふところの広さですかね。

スーパーカーが好きなのは何でですか?

フォトディスコ:僕はデビュー作から聴いてるんですけど、高校の頃、実家がスペース・シャワーTV入ってたんで、それで......"クリーム・ソーダ"が流れた瞬間、「うわ、すげえ、なんだこれ」って。こんなバンドが日本にいて、メジャーでデビューできるんだって思いました。

デビュー曲ですね。

フォトディスコ:はい、デビュー曲で。あとは"プラネット"とかオアシスみたいだなって。日本とか関係ない感じでかっこよかった。高校くらいから20代前半は僕がいちばん音楽を聴いてたときです。ペイヴメントとかいわゆるUSインディからエモとかもすごく好きだったし、洋楽とか邦楽とかなくて、僕だけじゃなくみんな全部並列で聴けてたときだと思います。

ああ、本当に音楽が輝かしい時代だったんだというイメージがあります。

フォトディスコ:HMVのホームページははやくから「これを買った人はこれも買っています」というやつがあって、しらみつぶしに見てました。

では、ウォッシュト・アウトとかとやっぱり似ていますね。彼もヨ・ラ・テンゴとかが好きで、とくにテクノやエレクトロニック・ミュージックとか、ダンス音楽で育った人ではない。インプットがUSインディとかハード・ロックとかふつうのチャート音楽で、それがベッドルームを通って、アウトプットがシンセ・ポップとかエレクトロニックになるんです。

フォトディスコ:まあ、僕も就職失敗してるんで。

ははは。たしかにそこもウォッシュト・アウトと同じかもしれないですけど、なんでシンセとかになっちゃうんですかね?

フォトディスコ:うーん、なんでですかね。実際はギターの音を加工してる部分も多いんですけどね。

野田:90年代までラップトップ・ミュージックを率先してやってきた人たちっていうのは、クラブ・カルチャー寄りの人たちだったんですよね。それがこの10年で、インディ・ロックをやってた人たちにまで波及したんだなと実感しますね。

それは本当にそう思いますね。時代が時代ならずっとバンド組んでやってただろう人が、環境が整ってラップトップの方に流れ込んだ......。いまのフォトディスコのひな形になるような音はいつ生まれたんですか?

フォトディスコ:高校の後、映像系の学校に入ったので、そこで、何か映像と合う音が作れないかなと思ったときですかね。

映像というのは大きいコンセプトだったんですね。フォトディスコってそういうことですか?

フォトディスコ:いや、雰囲気です。単語を足していったら、響きがいいな~と思って。

映像の道には進まなかったんですね。

フォトディスコ:就職失敗して、田舎に帰って(笑)。

野田:田舎帰ったんだ(笑)。

フォトディスコ:はい。それからバイトしてお金貯めて、上京してきました。

(笑)お金貯めてわざわざ上京したってことは、それなりに野心があったってことですよね。音楽以外の目的ですか?

フォトディスコ:いや、ミュージシャンになるために。

ははは。そのわりにぜんぜんガツガツしてないじゃないですか! マイスペに音源アップするだけって(笑)。

野田:それが音にも出てるよねー。

フォトディスコ:なははは......(汗)。

誰に届いてほしいとか、誰が聴いているとか、リスナー像や顔が思い浮かびますか?

フォトディスコ:うーん......最初のリスナーは僕ですね。僕がよければ、その音はいいんです。

このへんの人たちに投げようとか、そういうのないですか?

フォトディスコ:やっぱり、作っているときは単純に楽しくて、あんまりそういうことは考えられないですね。

そうですか。私自身は書くことがけっこう苦痛なタイプで、どうやって誰に伝えたらいいんだろうということばかり考えているので......

フォトディスコ:それはだめですよ。楽しんで書かないと、人に伝わりませんよ。

ああ、そうですかね......そうですね......

野田:俺なんて、20歳になるまでは日記ばっかり書いてたけどね。

ええっ。

野田:ノートに。日記の場合はブログと違って人には読まれないことを前提で書くけどね。

ほんとそういう芯から作り手な人には、羨望がありますよ。では、今回の公式デビュー作となる『言葉の泡』についてですが、これはレーベルもついてミックス等も他の人間が関与するというところで前回とはまた異なった達成感があったのではないかと思うのですが。

フォトディスコ:いえ、まったく同じですね。

野田:はははは!

フォトディスコ:チルウェイヴっていうのはこういうものかっていう勉強があって、それを好きに使って楽しんだというのが今回のアルバムです。

[[SplitPage]]

そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。作るのが大好きで。ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。


Photodisco
言葉の泡

P-Vine

Review Amazon

制作過程として、前回とはいろいろ異なる部分があったんじゃないですか?

フォトディスコ:はい。ミックスやマスタリングの方もいますし、全然音が変わりました。この前出したやつはもろ宅録なんで、音圧がほんとしょぼくて。基本的には自分の音楽はヘッドホンで聴く音楽だと思うんですが、スピーカーで出したときにやっぱりすごく差が出てしまうので気になってたんです。今回エンジニアの方とやらせてもらって、そのへんをいじってもらったことで、市販されているような、ほんと基準の音圧や音量を手にした感じなんで、けっこうテンション上がりましたね。

エンジニアの方とのやりとりのなかで、心に残ったことはありますか?よくミックスも解釈だっていいますが。

フォトディスコ:やっぱりミキシングとかは、多少他の人が絡むことで自分が思っていたのと違う音になっちゃって、はじめはそれがすごく嫌だったんです。でも予算内でけっこう時間をかけて直しながら聴いているうちに、ああ、こういうのもアリかなって思えるようになって、自分のなかにないものが許せるようになりました。だから、今回のももちろん自分の作品ですが、自分にないものも入ってます。自分ひとりではできないものにもなってると思います。

野田:僕も訊きたいことがあるんですが、"言葉の泡"ってどういうことですか? どこからきたの? "盆踊り"とかさ、"サケ"とか、どういうところからそんなタイトルが浮かんだのかなって。

フォトディスコ:言葉の泡ですか......うーん、何ですかね......(笑)。やっぱり、言葉っていうのは......普段、いろいろな言葉を話すじゃないですか。それが、消えていく感じがするんですよね......。

文字通り、消えていく感じがするってことですか?

野田:意味というより音声として?

フォトディスコ:そうですね、なんか.....1日に話す言葉っていっぱいあって......それが聴覚的に泡のようにきこえるっていう感じです。

"言葉の泡"がいちばんいい曲ですか?

フォトディスコ:作ったときはそうでもなかったんですけど、いろんな人がいいって言ってくれて......僕は"盆踊り"がいちばんいい曲だと思います。

野田:僕も同感です。

ああ。"盆踊り"はどういうふうにできたんですか?

フォトディスコ:あれは、バイトやめたときに、次の仕事見つけるまでちょっと休もうと思って田舎帰ったことがあったんです。ちょうどそれが夏の終わり頃で、写真が好きなんで実家で写真とか撮ったりしてたら曲が作りたくなったんです。アコギでやりたいなってその時は思いました。

アコースティックな曲に漢字のタイトルがついてるように見えますが?

フォトディスコ:そうですね。

え? あ、そうなんですか?......いや、なんか、英語のタイトルのものと日本語のタイトルのもので何か使い分けがあるのかなって思って。

フォトディスコ:ああ、それはありますね。たぶん僕が日本語のタイトルをつける曲は、気持ちがめちゃくちゃこもってますね。

ははは!

野田:じゃ"サケ"(表記は"SAKE")は?

ははっ。中間ですか?

フォトディスコ:中間ですね(笑)。マーティン・デニーの"サケロック"みたいな雰囲気の曲を作ろうと思って作りました。あとはジャッキー・チェンの酔拳のイメージもありましたね。ちなみに、ほんとに酒飲みながら作ってました。

ほんとに酒なんだ(笑)

野田:エレクトロニック・ミュージックって酒飲みながらでも作れるところがいいよね! ところで曲を作るときっていうのは、どういう感情に動かされるの? フォトディスコってなんか......むやみに力んでないっていうか。

フォトディスコ:そうですね......まず、作りたいという感情と、僕も第三者にとっても気持ちのいい音にしたいっていう目的で作っています。

何にこだわりますか? とくに大事にすることとか。

フォトディスコ:とりあえず中域を出すことです。

それは......気持ちがいいから?

フォトディスコ:......まろやかになります。

ははは! まろやかが目的ですか。

フォトディスコ:外歩いてて聴こえてくる音って、いまはすごくキンキンしてますから。聴いててずっと聴ける音楽って、まろやかなものだと思うんです。

ああ、ずっと聴ける音楽っていうのが大事なんですね。とくに新しく入った曲には、アコギではなしに、チルウェイヴ的な方法で「まろやかさ」が演出されているのかなと思います。新しい曲群ではどれが好きですか?

フォトディスコ:それは"ミッドナイト"ですね。

ああ、そうですか! "ミッドナイト"いいですね!どうしてですか?

フォトディスコ:気持ちいいからです。

野田:ははは!

気持ちいいから、っていうのはもう哲学なんですね。

フォトディスコ:気持ちいいのはすごく大事ですね。いちばんです。

野田:『エレキング』のシンセ・ポップの特集でチャートを挙げてもらったときに、「いまのシンセ・ポップにロックを感じる」って書いてあったでしょう? フォトディスコにとってロックっていうのはどういうものなんですか?

フォトディスコ:それは......新しいものを作っていくってことですね。リヴァイヴァルだって言うけど、僕はトロ・イ・モワとか聴いたとき、ほんとに聴いたことないものだって思いました。あとは、ガチガチに決めないっていうことですかね。ヨレがある方が人間味が出るというか、新しいものに柔軟でいられる......

ではフォトディスコの次の音、ということでお訊きしますが、たとえばもっとしっかりとヴォーカルの入った歌ものとかは作ったりしないんですか?

フォトディスコ:歌ものは......僕、歌に自信がなくて。作ったことはあるんですけどね。

自分は歌では音以上に人を気持ちよくさせられない、とか感じてたりするんですか?がちっとした日本語詞の曲がないですが、音ではなく詞や言葉で表現したいことってあまりない......?

フォトディスコ:日本語だとほとんど音に乗らなくて。曲の雰囲気を崩さずにやるのは難しいですね。

やっぱり音ありきですよね。もし無理矢理先に詞だけ作れってことになったら、何か書けますか?その......詞や詩というものを言葉で生む人なのかどうかっていう疑問なんですけど。

フォトディスコ:いや、作れなさそうですね。やってみたこともなくて......。

もし、がっちり言葉で曲を作れってなったら、何をテーマにします?

フォトディスコ:うーん......年金問題とかですかね......

(笑)チルウェイヴで年金問題ですか。

フォトディスコ:でも、やるなら日本語ではやりたいと思います。

今回DJユニットのメタンによる"言葉の泡"リミックスが収録されてますね。すごくゴーストリーな音像で、あの曲をリミックスしたらこうなるか?っていう、とてもユニークなものに仕上がってますけど、あれは「言葉の泡」というより「言葉の霊」って感じで、歌ものとは別の形で言葉を強調したものになっていると思いました。

フォトディスコ:聴いていて、気持ちの良いリミックスです。今回、リミックスを初めてやってもらったんですが、自分の曲が違う曲になって面白かったです。

ウォッシュト・アウトもネオン・インディアンもトロ・イ・モワもメモリー・テープスも今年セカンド・アルバムを出しましたよね。4様の道を進んでいますけど、フォトディスコの音楽には今作ではまだ出きっていない隠れた芽がいくつもありそうですので、飛躍のセカンドも楽しみに待ちたいと思います。

JAH SHAKA JAPAN TOUR - ele-king

 ダブステップ/ベース・ミュージックの影響もあってか、あるいはこだま和文やリトル・テンポやザ・ヘヴィーマナーズの活躍もあってか、今年に入って日本でも久しぶりにDUBが広く脚光を浴びている。若いリスナーから「DUBについて教えてください」などと言われるなんて、へたしたら10年ぶりのことだ。この夏には『HUGE』というファッション誌が、ものすごく濃い内容のDUB特集を組んだことも話題になった。DUB好きにとってDUBとは、もはや白米やみそ汁のレヴェルの必需品だが、このアフリカの大地と欧州文化の激突のさなかに誕生したミュータントは、実は20年前から日本でもすっかり定着している。日本はフランス、ドイツ、イギリスなどとならぶDUB大国として、国際的に有名なのだ。
 このタイミングでジャー・シャカの来日である。まだ経験していない人は、ものの試しだと思って行きたまえ。将来、結婚して子供ができたときに、「お父さんはね、あのジャー・シャカを聴いたんだよ」と自慢できますよ。

JAH SHAKA JAPAN TOUR 2011
"king of dub"
JAH SHAKA DUB SOUND SYSTEM SESSIONS
-An all night session thru the inspiration of H.I.M.HAILE SELASSIE I-

11/2(水)名古屋RADIX(問)TEL:052-332-0073
11/3(木)大阪NOON (問)06-6373-4919
11/4(金)福岡 福岡decadent DELUXE (問)092-761-9111
11/5(土)東京UNIT (問)03-5459-8630

■東京公演
2011.11.5 (SAT) @ UNIT
with:
THE HEAVYMANNERS (LIVE)
LIKKLE MAI (DJ set)
saloon: 工藤BigH晴康、POWDA、JAHTOME、CICOTea
Natural food : AMBESSA
B2 : JAH SHAKA SHOP OPEN by 地球雑貨 ふろむ・あーす

open/start: 23:30
adv.3500yen door 4000yen
info.03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com
https://www.jahshaka-japan.com

★JAH SHAKA "THE ZULU WARRIOR" RETURN TO JAPAN WITH FRESH DUB PLATE
ジャマイカ伝統のサウンドシステムを進化させるオリジナル・ダブ・マスター、ジャー・シャカが今年も帰ってくる!! 本場ロンドンではあまりのすさまじさに失神者続出という伝説を生み、2011年、グラストンベリー・フェスティヴァルでは何と11時間プレイするという偉業で新たな神話を生んだ。
そして日本が世界に誇るレゲエ・ベーシスト、秋本 "HEAVY" 武士率いる最強のダブ・バンド、"THE HEAVYMANNERS"が待望の2ndアルバム『SURVIVAL』を引っさげJAH SHAKAと初共演する。さらには日本が誇るレゲエシンガー、かつルーツ・レゲエ・セレクターとして活躍するリクルマイがラバダブ・スタイルで今年も登場!
驚異のサウンドシステムを代官山UNITで実体験させるオールナイト・セッション、"LET JAH MUSIC PLAY!!"
伝説を見逃すな!ONE LOVE!!!

★JAH SHAKA
ジャマイカに生まれ、8才で両親とUKに移住。'60年代後半、ラスタファリのスピリチュアルとマーチン・ルーサー・キング、アンジェラ・ディヴィス等、米国の公民権運動のコンシャスに影響を受け、サウンド・システムを開始、各地を巡回する。ズールー王、シャカの名を冠し独自のサウンド・システムを創造、'70年代後半にはCOXSON、FATMANと共にUKの3大サウンド・システムとなる。'80年に自己のジャー・シャカ・レーベルを設立以来『COMMANDMENTS OF DUB』シリーズを始め、数多くのダブ/ルーツ・レゲエ作品を発表、超越的なスタジオ・ワークを継続する。
30年以上の歴史に培われた独自のサウンドシステムは、大音響で胸を直撃する重低音と聴覚を刺激する高音、更にはサイレンやシンドラムを駆使した音の洪水 !! スピリチュアルな儀式とでも呼ぶべきジャー・シャカ・サウンドシステムは生きる伝説となり、あらゆる音楽ファンからワールドワイドに、熱狂的支持を集めている。heavyweight、dubwise、 steppersなシャカ・サウンドのソースはエクスクルーシヴなダブ・プレート。セレクター/DJ/MC等、サウンド・システムが分業化する中、シャカはオールマイティーに、ひたすら孤高を貫いている。まさに"A WAY OF LIFE "!
https://www.myspace.com/jahshakamusic

★ THE HEAVYMANNERS
2001年夏、Fuji Rockグリーンステージにおいて、当時、最強のリズムセクションの名を欲しいままにしたドラムとベースのコンビ、《DRY&HEAVY》衝撃の 解体宣言後、盟友 GOTH-TRAD と共に、現在、前人未踏の世界最先端 DUB SOUND を引っさげ、世界にその名を轟かせる《REBEL FAMILIA》で活動する、日本が世界に誇るレゲエ・ベーシスト、秋本 "HEAVY" 武士が、待望のレゲエ・ダブ・バンドを結成。
2002年、FUJI ROCK FESTIVALのホワイトステージで、Shing02 & THE HEAVYMANNERS で、一度きりの伝説のライヴを最後に、レゲエシーンにおいて沈黙を守り続けてきたが、2007年に遂に本格的に活動を開始! 現在は、ドラムに元CULTIVATOR の當山孝史などを迎え都内を中心に活動中である。
2007年7月27日恵比寿リキッドルームでのイベント"RIDDIM CAMP"にて衝撃的なカムバックを果たし、今までの日本レゲエ・ダブ・シーンを覆すライヴパフォーマンスで、観客に大きな感動を与える。
2008年に入り、アルバム制作を本格的に開始。ジャマイカに渡り、KING YELLOWMAN, LINVAL THOMPSON, SLY DUNBAR を始め、元 REVOLUTIONALIES のメンバー等、レゲエ史を創ってきたレジェンド達と制作を行う。中でも SLY & ROBBIE として知られる世界最強のドラマー、SLY DUNBAR と "HEAVY" の究極のセッション、SLY & HEAVY が実現。このアルバム『THE HEAVYMANNERS』は 、雑誌『ミュージックマガジン』、『リディム』のレゲエ・バンド部門で堂々1位を獲得。日本が世界に誇る最強レゲエ/ダブ・バンドとして証明された。
2009年後半には、レゲエ・ダブ・ミュージックをさらに追及する為、ベテランのレゲエ・キーボード鈴木潤と、新人レゲエ・ギターリスト米山由樹を迎え、最強のダブ・バンドとして再出発。
2010年2月12日恵比寿リキッドルームで行われたリクル・マイのリリースパーティ"DUB IT!!" で、一歩先をいく音楽性とゆるぎない実力で観客を圧倒した。
そして、2011年7月20日に待望のセカンド・アルバム『SURVIVAL』をリリース!!
https://www.theheavymanners.com

★Likkle Mai
DUBバンドDRY&HEAVYの元・女性ヴォーカル。在籍中に4枚のアルバムと1枚のリミックス・アルバムをリリース。05年、更なる飛躍を求めDRY&HEAVYを脱退しソロとして始動。
06年2月アルバム『ROOTS CANDY』をリリース。レゲエ界のトップミュージシャンで構成されたバンドによるエネルギッシュなステージングが話題に。同時にギタリストThe Kとのピースフルなアコースティックライヴも敢行。異なるライヴ形態を使い分けたスタイルはリクルマイの真骨頂。
07年7月、レゲエに回帰しながらも音楽的に更なる進化を遂げたセカンドアルバム『M W』を発表。その後ファン投票により決まったシングル曲『My Woman/Home,Sweet Home』を7インチでリリース。08年8月、09年11月と2度のハワイ・ツアーを行い、ハワイでの人気を確固たるものにする。
09年11月4日にリリースの全編バンドサウンドによるサードアルバム「mairation(マイレーション)」はミュージックマガジンのベストディスク2009レゲエ部門で第一位に、RIDDIM誌のSKA~ROOTS部門でも第一位になり09年を代表するレゲエ・アルバムとなる。
この他ダブステップの重鎮Rob Simth(Smith And Mighty)から"レコード番長"須永辰緒、オーセンティック・スカバンドCool Wise Manに至るまであらゆる作品への客演も。2010年は伝説のダブエンジニアScientistとの共演、レコーディングを果たす。更にはルーツレゲエのDJとしても第一線で活躍中、Jah ShakaやAdrian Sherwoodなどの来日公演をサポート。また「希望郷いわて文化大使」として故郷・岩手県のPRにも努める。
Likkle Maiオフィシャル・ウェブサイト : https://likklemai.com
Likkle Mai myspace :https://www.myspace.com/likklemai

■大阪公演:ZETTAI-MU - JAH SHAKA -
"KING OF DUB"
KURANAKA 1945 (Zettai-Mu)
E.D.O. ECHO SOUNDSYSTEM
@ club NOON
Info tel: 06-6373-4919(NOON)
ADDRESS: 大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線高架下
WEB SITE : https://www.noon-web.com/
OPEN/START. 18:00 OPEN
ADV : 3,000円 / DOOR : 3,500円 (税込・ドリンクチャージ無)

ZETTAI-MU WEB SITE (https://www.zettai-mu.net/)

KURANAKA 1945
開放的な上物と相まって叩き打つリズム、体中を行き来する超重量級ベース、フロアを狂喜乱舞させる獣の 様なダブ・エフェクト、 JUNGLE、D'N'B、DUB MUSIC、ABSTRACT、BREAKS、、黎明期より、日本のアンダーグラウンドシーンで活動。RAINBOW 2000をはじめ、FUJI ROCK FESTIVAL、朝霧JAM、METAMORPHOSE、EARTH DANCE、渚音楽祭、HAPPARS ALL STARSといった屋内外のビッグフェスティヴァルにヘッドライナーとして出演。レジテンツとしては、今年で16年を迎える ZETTAI-MU等、これまで1300を超えるギグと600を超えるパーティーを行っている。強力なビートに乗るメッセージは、そのしっかり踏みし めた 両足にのみ伝わる 繊細だが力強く感じ取れる 「今まで」「今」そして「これから」に向かって、屋内外のパーティーから山間や海辺、ビルの隙間やデスクのトップ、耳元でもその音は共鳴し続けている。
We are fighting against the monsters of our own creation. Remember 1945, Peace one love Harmonic future !

E.D.O. ECHO SOUNDSYSTEM
JINYAによるDUBPROJECT。20年に及ぶトラック制作、ライヴ・パフォーマンスのキャリアを持ち、あらゆるジャンルを渡り歩くなかDUBという手法を常に取り入れてきた。 デジ タルダ ブ、ニュールーツ、ジャングル、ダブステップなど、UKダブの歴史をリアルに飲み込みつつも、あらゆる音楽的な要素を取り入れたオリジナルサウン ドへと昇 華させている。過去にLEE"SCRATCH"PERRY、ADRIAN SHERWOOD、ROB SMITHなどと共演。今年7月には6年ぶりとなるアルバム「NO DESTINATION」を発表。今後はmiki * の脱退により、ソロとして再始動!更なる精力的な活動を行っていく。


Jeff Mills
Fantastic Voyage

Amazon


Jeff Mills
2087

Amazon

 ジェフ・ミルズの〈アクシス〉レーベルと神戸の〈Underground Gallery〉から、ele-king読者へのメッセージですよ~。

 ジェフ・ミルズの新作アルバム『Fantastic Voyage』の発売を記念して、本人直筆サイン+メッセージ入り特大ポスター(60cm X 90cm)を抽選で1名の方にプレゼントいたします。
 ご希望の方は、『氏名・年齢・送付希望先住所・連絡先』、そして「ジェフ・ミルズへ将来やって欲しいこと」(またはジェフ・ミルズへのメッセージ)を書いて、『AXIS ポスター希望』と添えて、<axisposter@undergroundgallery.jp>まで、メールにてどしどしご応募ください。  なお、11月30日を応募締切とし、当選者の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。


 なお、アルバム『Fantastic Voyage』に関するジェフ・ミルズからのメッセージはこちらをどうぞ!
/ele-king/news/001987/

■10/20(thu) CMJ 3日目

Tom Tom Magazine CMJ Fest @ woods
9:15 pm The Suzan
8:30 pm TEEN
7:45 pm Coasting
7:00 pm Hard Nips
6:15 pm Pearl And The Beard
5:30 pm Brute Heart (Minneapolis)
4:45 pm Satellite Sky(LA)
4:00 pm Baybee Teeth

 ......というわけで、CMJレポート第二弾はここからスタート。
『トム・トム・マガジン』ショーケース。女の子のドラマーというコンセプトで、定期的にショーも開催している(一号前はビヨンセにドラマーの特集だった)。主催がドラマー雑誌ということで、どのバンドもかなりレベルが高く(ドラマーはもちろん、バンドも)、主催者ミンディのバンドを見る目、CMJでは今回初めてのヴェニューでオフィシャル・ショーケースを開催してしまうという、その度胸が素晴らしい。
 彼女自身もテクニカルなドラマーだが、今回の共同主催者であるヴィヴィアン・ガールズのドラマー、フィオナもすごい。彼女のバンド、コースティングは2ピースでドラムとギター、技術があるだけあって見ていても安心感がある。
 女の子のドラマーというコンセプトなので、ジャンルやスタイルはさまざまだった。コーラス重視で歌を聞かせるグループ、ストリングスをいれたクラシカルなバンドなど、普段は見ることのないバンドも少なくない。全体的にローキーではあるが、面白いコンセプトのショーケースだと思う。
 ニューヨークで活躍する、日本人女の子バンド、ザ・スーザンとハードニップスも、このショーケースで一緒にプレイしたので、緊急特別企画、インタヴューをお届けしましょう。話してくれたのはドラマーのおふたり。NICO(スーザン)、エミ・ニップス(ハード・ニップス)です。


特別対談、ザ・スーザン×ハード・ニップス

どちらもニューヨークをベースにし音楽活動を行っている日本人のガールズバンドですが、何があなたたちをニューヨークに引き連れたのでしょうか。

NICO:ニューヨークに引き連れた......というほどの理由はなく、ただたんにブルックリンのレーベル〈Fool's Gold〉からのアルバムのリリースが決まったので、「んじゃニューヨーク行きますか」という感じで来ました。

エミ・ニップス:「ニューヨークとはやはり世界に通じるミュージシャンの集まるところで~」とかカッコイイこと言ってみたいですが、単純にアメリカのなか(世界中?)でいちばん好きなことができる都市だからです。東京のほうがより大きな都市だと思いますが、私にとっては東京の堅苦しいなかの便利さよりも、ニューヨークの「何でもアリ」の環境で柔軟にやりたいように生きる形が好きです。

最初にこちらに来た印象は? 最初にプレイしたヴェニューはどこですか? また、ショーに対して、どんな印象でしたか?

NICO:ニューヨークをメインに活動をはじめて、実はまだ1年も経っていません。でも7年前くらいからちょこちょこ海外活動はしていたので、最初にニューヨークでギグをしたのはたしか5~6年前の冬......。〈Pianos〉や旧〈CBGB〉、旧〈Knitting Factory〉などでやりました。お客さんは3人くらいしかいませんでした。その頃はヨーロッパの活動のほうを多くしていたので、ロンドンやパリ、ベルリンと比べてなんだかバンド文化が大人しいなあと感じたのを覚えています。その頃はUKロックが流行っていたからかな。

エミ・ニップス:私はアメリカ生まれなので、何度も遊びに来たことはあったのですが、移り住んだばかりのときはすべてが本当にキラキラした印象で、楽しくてしょうがなかったです。引っ越した後、初めて遊びに出た夜の小さなライヴハウスで、スマッシング・パンプキンスのジェイムス・イーハに会ったりして、これぞニューヨークでしょと思いました。ハード・ニップスで最初にプレーしたヴェニューは〈Death by Audio〉。私は以前にも他にもバンドをやっていたので、このヴェニューも初めてではなかったのですが、まだ結成して間もないニップスとよちよちドラマーの私はワン・セット切り抜けられるのか気が気じゃなかったです。初ライヴということで来てくれたたくさんの友だちに助けられて、とても楽しかったです。

バンドは何年活動していますか? 目標とするバンドは?

NICO:バンドは約8年だと思います。目標とするバンドはいません。型にはまらず自由にやっていきたいです。

エミ・ニップス:もうすぐ3年経ちます。目標はクイーン・オブ・ザ・ストーン・エイジ、目指せAC/DC!

今回の『トム・トム・マガジン』ショーケースですが、主催者のミンディとはどのように知り合ったにでしょうか?

NICO:今年の2月にあった『トム・トム・マガジン』のリリース・パーティに、友人のMNDRが出演することになっていたので、メンバーみんなで遊びに行こうとしました。でも、なんだかライヴがしたくなったので、どうせ遊びに行くならライヴさせてもらおうと思って、イヴェントの前夜にミンディーに直接「ライヴさせてください」とメールしました。どうせだめだろうと思ってたのですが、ミンディーから「いいよーやりなよー」的な乗り気なメールが返ってきて、結局当日ちゃっかりライヴさせてもらいました。それがミンディーとの出会いでした。

エミ・ニップス:ブルックリンで活動するもの同士の友だちです。『トム・トム・マガジン』は私もお手伝いをしていて、ボアダムズのヨシミさん、ブン・ブン・サテライツの福田洋子さん、MI-GUのあらきゆうこちゃん、元あふりらんぽのPIKA☆のインタヴュー記事を書かせてもらいました。

いままでどのくらい彼女のショーケースでプレイしていますか?

NICO:4~5回だと思います。

何か好きな点でなにが悪い点ですか? 今日のショーケースはいかがでしたか?

NICO:好きな点は、美しくかっこいい女たちがうじゃうじゃしているところ。悪い点は、美しくかっこいい女たちばかりで自分が霞んでしまうところ。今日のショーケースは、ザ・スーザンが最後にプレイさせていただいてうれしかったです。『トム・トム・マガジン』のショーケースのトリを務めたらもう何も怖いものありませんわ。

エミ・ニップス:ブルックリンでも、SXSWでも、ほぼ毎回のショーケースに参加させてもらっています。好きな点は、知らない素晴らしい女子ドラマーといっぱい知り合えること。悪い点は、「女子ドラマー」という枠によって、逆にレズビアン以外のストレートな女子に広まりにくいこと。今日のショーケースはいろんなたくさんの人が来てくれたことと、すべてのバンドがすごく上手いミュージシャンだったので、いままででいちばん良い『トム・トム・マガジン』のショーでした。

今回CMJでは他にどのショーケースでプレイしますか?

NICO:オンリー『トムトム』です!

エミ・ニップス:Moves Gallery というブルックリンデザイナーの服屋のギャラリー・スペースで、そこのファンキーな服を着てライヴします。

また今回CMJでぜひ見たいアーティストは誰ですか?

NICO:とくににありません。

エミ・ニップス:あらきゆうこさんがドラムを叩くチボマットが見たかったのですが、私たちのライヴと重なって行けませんでした。後は、ナッシュヴィルから来てる、Turbo Fruits。

ザ・スーザンにお聞きしますアメリカに来た最大の理由は? 日本での活動はどんな感じだったのでしょうか? 日本のレーベルはどこだったのでしょう? 彼らにアメリカで活動する理解はありましたか?

NICO:アメリカに来たいちばん理由は、レーベルが〈Fool's Gold〉だったからです。もしこれがイギリスやスウェーデンなどのレーベルだったらそこに行っていたと思います。でもニューヨークに来て良かった。ここには世界最大の成功をつかむチャンスがゴロゴロしてますからね。日本での活動は本当にアンダーグラウンドでした。日本では曽我部恵一さんのレーベル、〈Rose Records〉からCDは出していますが、とくに所属はしていません。どこにも所属せず、すべて自力でやってました。自力で海外ヴェニューとのコンタクトをとってツアーを組んでました。USでのリリースが決まってからは日本でも国内盤を出すにあたって〈Hostess〉にお世話になっていました。アルバムが出てからジャパン・ツアーをして、サイン会やインストア・ギグやレコード店まわりなどを初めてして、なんだかアイドルみたいな気分になりました。ま、ほんの一瞬でしたけど......。結局、バンドをはじめるときから海外で活動することが私たちの活動ベースだったので、私たちがニューヨークをベースに活動することに対してはとくに誰も気にしないというかなんというか......止められるようなことはいっさいありませんでした。

いまのレーベル、〈Fool's Gold〉とはどのように知り合ったのでしょう?

NICO:私たちのプロデューサーであるPeter Bjorn & JohnのBjornの紹介です。まだUSの音楽業界についてなにも知らない私たちを、いきなりめちゃHIP HOPなレーベルに投げ込んだんです。おかげで普通のバンドには経験できないようなことも経験できてると思います。

実際来て見て、日本にいるときより何か違うモノを得られていますか。だとしたらそれはなんでしょうか? 逆に日本でなければ得られなかったことは?

NICO:やはり海外で生活している誰もが感じることだと思いますが、日本にいるときとは比べ物にならないほど視野が広がりました。よって目標も大きくなりますし、やる気もでます。日本でなければえられなかったこと......? ストレスかな。ストレス大国日本ですわ。

ニューヨーク以外のアメリカにいったことがありますか? エピソードがあれば簡単に教えて下さい。

NICO:ツアーでちょこちょこ回りました。今年の2月にあったChromeoとのツアーでは3週間くらいアメリカ中を回りました。カナダにも行きました。Chromeoパイセンのレヴェルになると、ヴェニューの規模が2000人~3000人で、バックステージの豪華さがハンパなかったです。また、毎日2000人のお客さんと向き合うことで、ずいぶん度胸もつけさせてもらいました。

これから先、音楽業界はさらに厳しくなって行く感じです。それぞれ音楽が好きで、いまのことをやっていると思うのですが、最初に音楽にはまったきっかけ、またどのようにこのメンバーがあつまったのか教えてください。

NICO:ザ・スーザンの結成は、キーボードのRIEとヴォーカルのSaoriのデモ作りからはじまりました。彼女たちが自宅の和室で作ったデモ音源がそのままRose Records〉からリリースされ、必然的にライヴをしなくてはいけない状況に追い込まれ、急遽当時暇そうだった友人たちをかき集めてバンドを編成したのが初期ザ・スーザンです。私もドラムなんて触ったことも見たこともなかったのに、ただたんに「力があってリズム感があって暇そうだから」という理由で任命されました。初ライヴはベルリンでした。

エミ・ニップス:ニップスの場合は、みんなそれぞれ音楽は大好きですが、それ以上に一緒にいて楽しかったのがきっかけです。グーチ(b)とマリコ(g)とは、バーバラという洋服のデザイナーの友だちを通してお互いを知り合い、日本人同士「せっかくですので、ご飯でも」的なことから急速に仲良くなり、マリコがもうひとり面白いのがいるよと、ヨーコ(v) を連れてきて、何となくいつでも一緒にいるようになった。あまりにもしょっちゅう一緒にいるため、他の友だちにバンドでもやれば? と言われて、それは楽しそうだ! とはじめた。

一緒にいるときは、おもにどんな会話をしているのでしょうか?

NICO:もうお互い家族同然なので、とくに大した会話もしません。スーパーのお得情報交換や、1日にあったできごとをサラッと、あと1日に1回は絶対に全員で練習しています。

エミ・ニップス:1、男の話。2、美味しいものの話。3、新しい面白いことの話。

影響を受けたアーティストをそれぞれ教えてください。

NICO:マリリン・マンソン。

エミ・ニップス:Sebastian Paulson ブルックリン在住のドラマー。表現力豊かで見ていて惚れ惚れする。ブン・ブン・サテライツの福田洋子さん。私はテクノも好きなので、彼女のような永遠なるリズムを叩けることを夢見る。PIKA☆ 。いい音を伝えることを学ぶ。さらに、Liturgy のGreg Foxのメタルドラム・テクニック、Soft Circle のHisham Bharoochaのドラムに対する精神、Call of the Wild のAllison Busch のピュアな格好良さ。

曲作りについて。どのように曲や歌詞を作り上げていっていますか? 中心になる人はいますか。

NICO:曲作りはRIE、SAORIがやっています。

エミ・ニップス:曲によって変わりますが、大体は全員で作る感じです。Sebastian Paulson やその他の別格ミュージシャンの友だちが多いので、表現やトランジションなど大いに助けてもらいもします。

どのように楽器や歌を習っていったのでしょうか?

NICO:習わなくちゃいけないなあと思いつつ、7年たってしまいました。誰からも何も教わったことがなくて、いまでも自分のドラミングには自信がありません。ドラムの機材についても何も知らないし、自分のドラムセットも持ってません。

エミ・ニップス:これも、初めはさっき言ったミュージシャン友だちにいちから教わりました。そこからは練習するのみです。でも「音楽を演奏したい」という気持ちをサポートする、本当にすてきなミュージシャン友だちに恵まれていると思います。

この先はまだアメリカに滞在予定ですか?

NICO:しばらくは滞在予定です。

エミ・ニップス:はい

お互い日本人の女の子バンドですが、こちらで活躍するにあたり良い点,悪い点。お互いのバンドの批評をお願いします。

NICO:あまり女の子バンドととして扱ってもらってことが無いのでなんとも......。きっと可愛いガールズ・バンドは取り巻きのメンズたちが「あ、オレ持つよ」とかいって機材を運んでくれるんでしょうけど、私は毎回自力で全部運んでます。バスドラとか片手で持てます。あ、でも『トム・トム・マガジン』のような、日本にはあまりない感じの女性たちの独特なフィールドにちょこちょこ顔を出させてもらえるのはうれしいです。

エミ・ニップス:良い点は、やはり日本人の女の子4人のバンドというのは、白人4人などに比べても、それだけで面白いし、違う味を持っているので、それを存分に活躍させられるとより良いと思う。悪い点は、上手なバンドはたくさんいるので、バンドとしてのパフォーマンス力をどんどん上げていかないとそういったギミック部分しか評価されない。スーザンはハーレムに住んでるので、遠すぎ! と思います。若いロック・ミュージシャンの多くが住んでいるブルックリンは、毎日の生活のなかでミュージシャン同士の付き合いも多く、バーでやライヴに行く機会も自然と増えるので、その分バンドへの刺激が増すと思う。

さらに、こちらで活躍する女の子の日本人バンドで尊敬するバンドはいますか? よくつるんでいる仲の良いバンドは?

NICO:つるんだことはありませんが、HARD NIPSパイセン。

エミ・ニップス:こちら在住の「女の子の日本人バンド」は他に知らないです。あげるとしたら、昨日もCMJのライブを見たのですが、少年ナイフのライヴはつねにタイトで、人もたくさん呼べて、かっこいいです。あとはチボマットの羽鳥ミホさんは人としてもミュージシャンとしても素敵だと思うし、そのチボのライヴでドラムを叩いた、MI-GUのあらきゆうこちゃん(ヨーコ・オノ・プラスティック・オノ・バンドのドラマーでもある)のプロフェッショナル・ドラマーとしての生き方はドラマーの神のようです。仲良いバンドは、Cheeseburger とCall of the Wildと、Peelander-Z。

自分がかなり日本人だなと思う瞬間、またかなりアメリカナイズされてるなと思う瞬間。

NICO:毎日白いご飯を食べたくなるとき、あー日本人だねと思います。毎晩でっかいアイスクリームをボックスのまま抱えて食べているとき、アメリカナイズされたなと思います。

エミ・ニップス:日本人だと思うのは、ツアーなどに行ってもどうにも米が食いたいとき。と、日本の笑いが面白いとき。私はアメリカの生活のほうが長いので、通常はどちらかと言うとアメリカンだと思う。

ショーが入っていない普通の日の1日の流れを教えてください。

NICO:朝起きてバイトに行って、夜帰ってきて即練習。メールやネットのチェックなどもろもろの用事をすませてシャワー浴びてなんだかんだで3時くらいに寝ます。

エミ・ニップス:仕事してますよ! フリーランスでのウェブや翻訳の仕事のうえに、バンドのブッキングからオンラインのプロモ作業、ドラムの練習、等々を済ませて、夜はライヴか飲みへゴー。

これから先、具体的に2011年の終わりまでの予定を教えてください。

NICO:11月は、ギグが数本。いま、私たちはちょうど次のアルバムの制作をしているので、そのリハーサルやレコーディングもあります。12月もそんな感じ......だと思います。

エミ・ニップス:仕上がったばかりのニュー・アルバムを出してくれるレーベルを見つけるために、いろんな人に聴いてもらいので、ライヴの本数と人に会う機会を増やします。11月14日は、St. Vitus とライヴ、11月18日は少年ナイフとライヴ。年末か年明けにヨーロッパに行けるかもしれない? いや、行きたいぞという予定。

共演してみたいバンド。また乗ってみたいレーベルをそれぞれ教えてください。

NICO:TurboNegro。レーベル......よくわかりませんが、韓国のYG entやJYP、SM entに興味本位で入ってみたい☆

エミ・ニップス:バンドはCerebral Ballzy、Endless Boogie、Pampers、レーベルは、Adult Swim、True Panther、National Geographic。

最近見た感動したバンドは?

NICO:Hilly Eye、Amy from Titus Andronicusとは古い友人なのですが、彼女のギター・プレイはいつみても感動的。

エミ・ニップス:Com Truise。エレクトロ系だけど、生ドラマーが叩いてて上手いしセンスが良い!

お互いへのメッセージ。

NICO:エミパイセン、ディープなクラブ連れて行って下さい。あと何かドラムの機材でいらなくなったものあったらください。

エミ・ニップス:日本人だからいっしょに楽しめること、そうじゃなくても音楽を通していっしょに楽しめることの両方をこれからも分かち合って、ニューヨーク・ライフをより楽しくして行こうぜい!

言い忘れたこと。つけたしておきたいこと。

NICO:よく間違われますが、スーザンズではなくザ・スーザンです!

エミ・ニップス:ザ・スーザンが、初めて一緒にやったときよりずっと打ち解けてくれてウレシイ。ライヴもいい意味でほぐれてて、パワーアップしてる!!

どうもありがとうございました!!!

NICO of THE SUZAN thesuzan.com

EMI NIPS of HARD NIPS hardnipsbrooklyn.com [[SplitPage]]

■10/21(fri) CMJ 4日目

 ミッドタウンのオシャレホテル、エイスホテルで、シアトルのカレッジラジオkexpが、公開ライブをCMJの期間中やっているというので、どんな様子か見に行ってみる。
 ちなみにこれまでのラインナップは以下。
▼10/19(wed)
10:30 Zola Jesus
12:30 we are Augustine
2:30 Portugal , The Man
4:30 Clap Your Hands Say Yeah
▼10/20(thu)
10:30 Widowspeak
12:30 Givers
2:30 Dum Dum Girls
4:30 The Lonely Forest

見たいバンドが多いのに、見れていない。スポンサーはトヨタ。そして今日金曜日のラインナップは以下。

Kexp Seattle collage radio day party @ Ace hotel
10:30 Waters
12:30 EMA
2:30 Caveman
4:30 Atlas Sound

人はいるが、かなり普通のお客さんが多い(普段ここに来る人はヒップスターばかり)。ポスターを配っていたおじさんに聞くと、Cavemenがちょうど終わり、アトラス・サウンズがはじまる1時間半前とのこと。タイム・オーガナイズが出来てない!レコードマットとシルクスクリーンのビッグポスターだけをもらって退散。

Sub pop CMJ showcase @Bowery ballroom
12:00 am Dum Dum girls
11:00 pm Crocodiles
10:00 pm Royal Baths
9:00 pm popstrangers
polica

 夜はダム・ダム・ガールズを〈バワリー・ボール・ルーム〉に見に行く。ディ・ディの旦那のバンド、クロコダイルズが前なので、間に合うように10時ぐらいに到着。ダム・ダム・ガールズは、昨日はマーキュリー・ラウンジ、その前はスマート・ラウンジ、エイス・ホテルなど、CMJ期間内でもっともプレイしたバンドのNo.5には入る。今日のショーはソールド・アウトで、さらにアフターパーティが〈リット〉であるという。着くとロイヤル・バスというバンドがプレイしている。4ピースの〈Woodsist〉レーベルの若いバンドで、メランコリーなヴェルヴェット・アンダー・グラウンドという感じ。ギター2本(ツインボーカル)、ベース、ドラム編成。

 クロコダイルズは、「地元に帰って来て嬉しい」とMCしていたが、たしか、サンディエゴ出身? エクスペリメンタル・ノイズにブルージー・スワッガー、ちょっとシューゲイズよりでもある、オールド・ロックに新しい血を注入しようという姿勢があるが、キーボーディストとドラムが可愛い、かっこよい女の子という印象以外は、あまり記憶に残らなかった(すいません!)。
 ツインギターとベースの5人編成。映像アーティストが、白黒、カラーを織り交ぜ、ファンシーな照明を演出。中盤でこの日は、ギターのチャールスの誕生日だったらしく、バースデーケーキが登場。ブランドン(クロコダイルズのメイン・ガイで、ダム・ダム・ガールズのディ・ディの旦那)&ダムダム女子総出でハッピー・バースデー・ソングを合唱。ディ・ディは、登場ついでに(?)、そのままヴォーカル・ゲストで、クロコダイルズに1曲参加。

 今回、ダム・ダム・ガールズにはセット・アップをするローディー(2,3人)がいた。以前、半年ぐらい前に〈ブルワー・フォールズ〉というブルックリンの会場で見たときはいなかった(クロコダイルズは自分たちでしていた)。 セッティングに15分ぐらい要し、ダム・ダムは登場した。
 クロコダイルズのライヴは2階席から見ていて快適だったので、いちどステージ前に行ってから戻ろうとすると、すでに前にも後ろにも動けない状態になっていた。いちばん前で見ることになる。
 オープニングはニュー・アルバムの1曲目でもある"Always Looking"。毎日のツアーで鍛えられたのか、バンドのチームワークはかなりタイト。ディ・ディの歌は聞いているのがちょっとつらくなるほど感情がこもっている。古い曲、新しく曲を平等にミックスし、全部で15曲、プラス、アンコール1曲。ハイライトは"hold your hand ""waisted away""in my head"、ラストの"There is a light"あたりで、演奏中はとくにMCをしない。ディディが「私の旦那、 ブランドンへ」と前置きして歌った"in my head"では会場から声援が飛んでいた。個人的に好きな"caught in one"をやらなかったのが残念だが、あらためてディ・ディの歌唱力に脱帽、似た曲も多いが、それでも何だかんだ聞き入ってしまう。
 全体を通して、アルバム内容もあるが、何か辛そうな印象をうけた。演出なのか本当なのか。アンコールの"Coming Down"は、納得のエンディングだった。 彼女たちは翌日の22日はDCへ、そして23日はフィリーへ。24日のホーボーケンでひとまずUSツアーは終了で、11月3日からヨーロッパツアーがスタートする。

 今日ほかに行きたかったショーは......

Caithlin De marrais @ littlefield
元レイナーマリアのベーシストのソロ。
11月にもういちどショーがあるので、そちらに行くつもり。

Brooklyn Vegan showcase @ music hall of williamsburg
10:00 Braids
9:00 Active Child
11:00 Weekend
8:00 Pepper Rabbit
こちらも間に合わずだったが、明日のパーテーに参加予定。明日で最後!

■10/22(sat) CMJ 5日目 最終日

CMJ最終日は、昼からAAMと『ブルックリン・ヴィーガン』のパーティにでかける。

AAM day party @knitting factory
Vacationer
Casiokids
Memoryhouse
1,2,3
dom

ここについたのが、1時半ぐらい。バンドはまだで、セットアップ中だった。速足で次のヴェニューへむかう。

brooklyn vegan CMJ day party @ public assembly
2:30 Friends
2:30 Stepkids

 毎年この辺にはお世話になっているが、いつもスポンサーがPOPチップ、エナジーバー、リカー系(今回はスパイス・ラムだった)で、今回も昼間から、たくさんの人で賑わっていた。
 今回のCMJではここ、パブリック・アセンブリーにお世話になった。昼も夜もパーティ続きに加え、何と言ってもアクセスがよい。こうなったらこの辺のヴェニューを集めて、ここを本部にして、ミニチュアCMJでも開催するべきかも。
 バンドは、ステップキッズとフレンズを観る(フロントルーム,バックルーム)。

@ Move Brooklyn
7:00 Hard nips
6:00 Eola
5:00 Punks on mars
4:00 Guardian alien
3:00 Prince Rama

 その後、プリンス・ラマとガーディアン・エイリアンを見にMoves brooklyngへ。彼らは、過去にレポートして居る、ウィリアムスバーグ・ファッション・ウィークエンドでもショーをしていて、カラフルな色使い、斬新なデザインとコンセプトで注目を浴びている。キャラクター的にダウンタウン・アーティストである、ガーラン・ジーンズとかぶるところがあるが、どちらも現在を引っ張るカッティングエッジなアーティスト/デザイナーだと思う。

CSS, MEN, EMA @Webster hall

 そして、ハイライト(?)、アルファベット3文字組み合わせが面白かったので、これに行くことにラスト・ミニッツで決めた。
 10時頃つくと、何だかノリが違う......。イケイケ・パーティ・モードのクラウドで賑わってる? 何と、アーリー・ショーで、すでに終了していた(6時からはじまったらしい)。この場所は、私達が見たいバンドがプレイしているインディ会場と思いきや、有名なダンス・クラブでもあるのだ。週末の夜は、イケイケ・ヒップホップ、ギャング・パーティの定番となり、ギラギラしたボーイズ&ガールズで賑わっている。CMJ期間内でもこれは譲れなかったらしい。仕方が無いので、ブルックリンにとんぼ返り。パナシェ・パーティに乗り込む。昼間と同じ場所だけど......。

Panache booking & Bruise Cruise showcase @ public Assembly
(Front)
12:30 Shonen Knife
11:30 David Liebe Hart
10:30 White Fence

(Back)
12:00 am Vockah Redu
11:00 pm Turbo Fruits
10:00 pm Jacuzi Boys

 着いたら、変な海賊ハットをかぶったパフォーマーがプレイして居る。ステージで見たと思ったら、次の瞬間にはフォトブースでお客さんと記念撮影をしていた。もしかしてショーケースの単なる余興? そう言えば、ここは、パナシェ&ブルーズ・クルーズのショーケースだった。ブルーズ・クルーズ、彼らはバハマに向かう船のなかでショーを開催する海賊(輩)なのだ(ブッキングはいつもパナシェ)。次の航海は2月。寒中のニューヨークを抜け出して、バンドと一緒にビーチでマルガリータなど飲んだりして、遊び放題。何から何まですべてエンターテイン。彼らにすべて委ねればもう安心。ただ、このクルーズに参加すると帰って現実に戻れないので注意。
 そんなショーケースで、見たかったターボ・フルーツは見逃したが,少年ナイフがはじまった。なんと今年でバンド結成30周年なのだそう。それにしても相変わらず、なんてピュアで可愛いんでしょう。プレイしている曲も、新旧ミックスで、お客さんの心をわしづかみしている。
 今回のCMJでは女の子バンドを見た率が多く、思い出しても、ワイルド・フラッグ,エレノア・フレイドバーガー、ダム・ダム・ガールズ、ザ・スーザン、少年ナイフ、プリンス・ラマ......それぞれ個性もあって、つくづく女の子が台頭している時代なんだろう。
 そんなことを思いながら怒涛のCMJ期間が終了。カバンからはバッヂをピックアップしたところでもらったレッドブルが出てきた。家に帰ろう。

 これはマジ、すごい!!!
 かつてその音楽は怨歌と形容され、70年代の日本のアンダーグラウンドの脅威のひとつだった歌手、いまや欧州では裸のラリーズなみに評価の高い、JAP ROCKの巨匠、三上博と土生剛と二羽高次とのコラボレーションである!!

 『新世界』1周年記念スペシャルLIVEにて、弾き語りの巨人(ジャイアント)と呼ぶに相応しいリビングレジェンドが、西麻布「新世界」に遂に初登場!
現代詩が持つ調和無きジオメタリックを、シュールリアリズムとも称される東北の土着性で溶解し三上流の演歌=怨歌にまで昇華した巨人、三上寛。90年代を境に、演奏はエレキ・ギターとなり、歌はエモーション溢れる寛流のブルーズ/浄瑠璃に。詩はモノリスのような言葉へと変換。世紀をまたぎ、現在、その評価は国内に止まらず、欧州、中米、アジアにまで拡大飛び火中である。

 巨人に挑むは、リトル・テンポのバンマス、土生"TICO"剛(ときたけし)とブレスマーク=二羽高次(ふたばこうじ)から成る異色デュオ「たけしこうじ」。各々のルーティーンバンドの音楽性とは一線を画す、ディープな歌世界を探求。"巡礼"と称す神出鬼没な辺境ライブ活動で、波止場、田んぼ、盛り場、はたまた鎮守の森にまで!

三上 寛 (みかみ かん) プロフィール

 1950(昭和25)年青森県小泊村(現中泊町)出身。警察学校中退後、上京し、音楽活動を始める。71年、(21歳の時) レコードデビュー、アルバム『三上寛の世界』をリリース。同年の中津川フォーク・ジャンボリーで伝説的なライヴ・パフォーマンスを行い一躍脚光を浴びる。翌年、藤圭子のヒット曲『夢は夜ひらく』を三上寛流の演歌=怨歌に昇華。74年、山下洋輔トリオのメンバーやカットアップの手法なども取り入れた『BANG!』をリリース、78年には、"70'S三上寛スタイル"の完成をみた『負ける時もあるだろう』をリリース。それまでの活動に対して、本人は「これまでにオレの作詞方法は、現代詩から学んだ技術の延長上にあった。そこで言葉はデザイン化され、オレの『声質』がそれを細かく選択していく、とういう風に作られていったように思う。」と著書で語っている。

 79年には、処女詩集『お父さんが見た海』を発表。又、俳優としても活躍。寺山修司監督の『田園に死す』(1974年)を皮切りに、『新仁義なき戦い組長の首』(1975年/監督:深作欣二)、『戦場のメリークリスマス』(1983年/監督:大島渚)、『トパーズ』(1992年/監督:村上龍)、日活ロマンポルノ作品など20本近い映画やTVドラマに出演、映画音楽も手懸ける。ちなみに映画出演で親交を深めたピラニア軍団のアルバムもプロデュースしている。80年代は、2枚のアルバムをリリースするが、新曲のリリースは無く、82年を最後に8年もの間、レコーディング活動から遠ざかる事になる。この時期は、TVのレポーター、司会、コメンティーターとして繁栄に出演、役者として活動、エッセイの連載などで、新たなる才能が知れ渡るようになる。

 90年代に入り<PSF Records>から怒濤のリリース・ラッシュが開始される。自己のアルバムを毎年1枚ずつのペースでリリース。吉沢元治/灰野敬とのコラボレーション、石塚俊明/灰野敬二とのバンド「バサラ」でのリリースなど、80年代から一転して90年代は歌手・三上寛の改たな幕開けとなった。これまでの演奏、曲作り、歌い方とは違うスタイル~演奏はエレキ・ギターとなり、歌はエモーション溢れる寛流ブルーズに。詩はモノリスのような言葉が立ちはだかった。2000年には、音楽活動30周年記念の13枚組『三上寛ボックス』を発表、自伝の書籍『三上寛怨歌に生きる』も刊行する。

 2000年代も、その活動ペースは更なる加速が加わる。自己のアルバムの定期的なリリース。古沢良治郎/明田川之/林栄一/國中勝男/小山彰太/ JOJO広重/山本精一/辛恵英/佐藤通弘/沢田としき、とのコラボレーション。浦邊雅祥/石塚俊明とのバンド「三社」、そして「バサラ」のリリース。又2004年にはフランスのレーベルからもアルバムがリリースされ、海外でのライブ活動も繁栄化して行く~ 〇2004年/フランスツアー【パリ、ブレスト、ナント、リヨン、ジュネーブ、マルセイユ、メッツ】、〇2005年/イギリス【グラスゴー】、〇2006年/イギリス【ニューキャッスル】、〇2007年/ヨーロッパツアー【ブルックセル、リヨン、ジュネーブ、メッツ、ブレスト、パリ、マルセイユ】、〇2008年/ベルリン/ポーランド、/ イギリス【ロンドン】、/ヨーロッパツアー【パリ、リール、ナント、リヨン、ジュネーブ、オランダ、ベルギー、イギリス】、〇2009年/フランス【ニーム】、/イギリス【ロンドン】、〇2010年/キム・ドウス招聘~韓国【ソウル、テグ】、〇2011年/メキシコ、等。昨年、還暦を迎えるも、その音楽は止まる事を知らず、近年は寛流の浄瑠璃<語りもの音楽>といった方が判りやすい唯一無比なスタイルへと辿り着ている。別格な、声、言葉、ギターを三位一体に、前人未踏の荒野に足を踏み込んでいる、今の三上寛のブッ飛び方、半端ないっス!!

☆「新世界」HPにて、三上寛の最新インタヴューがUPされています、
滅茶苦茶面白いので、是非御覧下さい!
https://shinsekai9.jp/yorimichi/2011/10/03/mikami-interview/

たけしこうじ プロフィール

 波止場、田んぼ、盛り場、はたまた鎮守の森にまで!?
現在地、推定不能の巡礼活動。究極の唄ものを探求する、Little Tempoのバンマス土生"TICO"剛(ときたけし)とBREATH MARK=二羽高次(ふたばこうじ)の異色デュオ「たけしこうじ」。日本発、最高峰のレゲエ・インスト・バンド"LITTLE TEMPO"のバンマス、土生"TICO"剛と、ワン&オンリーな声と歌唱を持つシンガーソングライター"BREATH MARK"=二羽高次の夢のコラボレーション!
ルーティーンバンドのコンテンポラリー性とは一線を画す、そのディープな歌世界を引っさげ全国絶賛ドサまわり巡礼中!
愛に溢れる繊細な音色のスティール・パン!魂を鷲掴みにされる、圧倒的な唄声!フォークより無骨で、島唄のような懐かしさがタイムレスな感覚を誘う。日本人の心(ゲノム)を思い出させる、魂の唄の数々 (感動、泣けマス)
https://www.littletempo.com/
https://myspace.com/breathmarkofficial

●イベントタイトル:
『新世界』1周年記念スペシャルLIVE!
最高峰の"弾き語り・歌もの"クラッシュ!!

●出演
三上寛:Vocal & Guitar
VS
たけしこうじ
 土生"TICO"剛(リトルテンポ):Steel pan
 二羽高次(BREATH MARK):Vocal & Guitar

●公演日:
11月2日(水・祝日前)
開場:19:00 / 開演:20:00 / ☆限定100人

●会場:
西麻布「新世界」

●料金:
前売予約:¥2,800 (ドリンク別)
当日券: ¥3,300 (ドリンク別)

●インフォ・チケット予約・お問い合わせ先
西麻布「新世界 」 
https://shinsekai9.jp/
https://shinsekai9.jp/2011/11/02/mikami1/
TEL: 03-5772-6767 (15:00~19:00)
東京都港区西麻布1-8-4 三保谷硝子 B1F

HEXSTATIC - ele-king

 SBTRKTとアニマル・コレクティヴとホワイト・ストライプスとキッド・カディとアフリカ・ハイテックをミックスすDJがいるかって? いるんですよ。これ見て(https://vimeo.com/30103637)。
 UKの〈ニンジャ・チューン〉レーベルを主宰するコールドカットは、1987年にDJのミックス文化にウィリアム・S・バロウズのカットアップの手法を持ち込んで、そうした脈絡のないミックスを実現した。ヘックスタティックは、コールドカットの初心とも言えるミックス文化を継承するレーベルの映像チーム。そんな彼らのヴィデオ・ミックスが無料配信されている。くだんのリンクは、1時間にもおよぶ驚愕の映像音楽体験です。

 今週末、世界初披露となるHalloween Audio Visual Setを組み上げて〈エレクトロニック・トライブ〉(通称、エレトラ)に出演する! 彼ら御機嫌なパフォーマンスは祝祭にバッチリはまるはず。とくにハロウィーン好きは必聴で必見。パーティには他にも個性的な出演者が登場するので、詳しくはホームページをご参照ください。

【ELECTRONIC TRIBE HALLOWEEN PARTY 2011】

ELECTRONIC TRIBE HALLOWEEN PARTY 2011
ELECTRONIC TRIBE HALLOWEEN PARTY 2011

2011年10月29日(土) 23:00 開場/開演
@UNIT/SALOON/UNICE 
渋谷区恵比寿西1-34-17ザ・ハウスビルB1、B2、B3
HP: www.unit-tokyo.com

出演者
HEXSTATIC -Halloween Audio Visual Set- (Ninja Tune/UK)
O.N.O a.k.a. MACHINE LIVE (THA BLUE HERB/JPN)
80KIDZ (Kidz Rec./KSR/JPN)
DJ OLIVE (the Agriculture/USA)
KAORU INOUE (SEEDS AND GROUND/JPN)
DE DE MOUSE (JPN)
ALTZ (Flower of Life/Altzmusica/JPN)
NUMB (Revirth/JPN)
IAN O'BRIEN (Peacefrog/UK)
QUARTA330 (Hyperdub/Lo-bit Playground/JPN)
CALM (Music Conception/JPN)
VJ : SO IN THE HOUSE (JPN)

前売り券&W/F : ¥3,000、当日券: ¥3,500
仮装割引 : フル・コスチューム無料!、セミ・コスチューム ¥2,000!

www.electronic-tribe.com/hw

 

■HEXSTATIC (Ninja Tune/UK)

古くからNinja Tuneで映像部門の中枢にいたStuart Warren Hilと、グラフィック・デザイナー、DJのRobin Brunsonによるユニット。95年の結成以来、ヴィジュアル素材をコラージュ&マッシュアップする手法で、常に革新的なオーディオ・ビジュアル・エンターテイメントのフィールドを開拓し続けてきた。第1回目のBig Chillフェスティバルでの映像がきっかけでNinja Tuneの伝説的イベント"Stealth Night"に参加。レジデントVJとしてキャリアをスタートさせることになる。その後、彼らの映像作品は数々の賞を獲得し世界の主要フェスに出演するなど、現在オーディオ・ヴィジュアルの領域においては向かう所敵無しである。また映像だけでなく音楽面においてもコラージュ・センスを発揮。00年にUK初のオーディオ・ヴィジュアル・アルバムとして発表された『Rewind』や、3Dメガネをかけて立体映像が楽しめる2ndアルバム『Master View』、07年の3rdアルバム『When Robots Go Bad』などはクラブ・シーンのみならず芸術作品として多方面で評価されてきた。昨年も4thアルバム『Trailer Trax』を全曲無料ダウンロードでリリースし大きな話題を呼んだ。現在、Robin Brunsonのみでのライヴ活動を新たに始動させ、映像と音楽をシンクロさせた遊び心溢れるステージで世界中を賑わしている。.今回なんと4年振りの来日となるハロウィーンにあわせHalloween Audio Visual Setという特別なライヴをセッティング。観る者を虜にさせる御機嫌なパフォーマンスは必見だ。

vol.15 : CMJ 2011 (1) - ele-king

今年で17回目を迎えたCMJ(カッレジ・ミュージック・ジャーナル)。大学のラジオ(カレッジ・ラジオ)から発生したこの音楽見本市は、本来目的としていたインディ・バンドのショーケースするという領域を越えて、すでに有名なバンド、世界中のインディ(メジャーもあり)バンドをこれでもか、というぐらい見れる4日間という、いわば、お祭り騒ぎになっている(もちろん、名の知れないインディ・バンドがプレイするヴェニューもあるが、とって付けたような扱いとなっている)。
昼間はパネル(モデレーターとパネリストがいろんな課題、例えば、これからのカレッジ・ラジオはどうなるか、音楽イヴェントを成功させるには......などについて、5人ぐらいで白熱論議をする)&ディパーティ(ほとんどフリーショーで、さらにスポンサーがついて、ビーガンのブリトー、ビールなどがふるまわれる)、夜は公式のショーケース、夜中は朝までダンス・パーティ、さらには公式とはまったく関係ない場所で、それに乗っかったショーケース(アンオフィシャル)も加わり、まったく寝る間がない音楽漬けの4日間(火曜日から土曜日)となる。いわゆる音楽がらみの自分のビジネスを宣伝する場所ということもあり、いろんなフリーのアイテムが手に入る。スポンサーがレッドブルというのも納得だが、みんなレッドブルを飲みながらショーに参加する様子はスポンサーの効果大......というか、これこそお手本にすべき宣伝効果とも言える。
 それでは、はじまり。


CMJの本部になっているニューヨーク大学へ

■10/17(月)
Oh my rockness CMJ kick off party @ pianos
 Jonquil
 Ski Lodge
 The Hairs
 Gross Relations
 Sea Monsters

 何故かまだ月曜日なのにプレCMJキック・オフ・パーティが、オー・マイ・ロックネスというバンド・リスト・サイトがスポンサーで開催された。バンド自体は、ルタード・ゾーン(『ピッチフォーク』がスポンサーをしているエレクトロ・サイト)がらみのバンドもいて、そこそこ人も入っていてよい感じ。ただ、これからの長いイヴェントを考えると、今日はそこそこにして切り上げる。明日からの怒濤の日を祝う。

■10/18(火)
 朝いちで、CMJバッジをピックアップにニューヨーク・ユニヴァーシティ内のジャドソン・メモリアル・チャーチに出向く。ここがCMJの本部になっている。大学のイヴェントなので、講堂みたいなところでバッジをピックアップする。
 バッジを無事ピックアップしたあとはギフト・バッグをもらいに( というかそれは文句で、スポンサーのショーケースに向かわされる)、隣のキメル・センターへと急ぐ。大学の校舎の各階では、CMJのいろんなパネルがおこなわれている。
 スポンサーには、チャンピオン(洋服ブランド)、ソニック・ビッズ(インディ・ミュージックをサポートするサイト)、サウンド・エクスチェンジ(インディバンドの権利を守る機関)、フーチューン(新しい音楽のデジタル・サイト)、チャック(マーケティング・カンパニー)、ファンフリー(ペーパーレス・チケットのアンチ機関)、アスキャップ(音楽権利機関)、サウンドタップ(カレッジ・ラジオを選べるサイト)、ヴォリ(ライトヴォッカ)などから、国際的な国を代表したテーブル(彼らはそれぞれの国ごとにショーケースを持つ)、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、フランス、スウェーデン、台湾、カナダ、(日本はなかった)が所狭しと並んでいた。

火曜日に行く予定だったショーは以下。

Merge records showcase @ bowery ballroom
 11:00 Wild Flag
 10:00 Eleanor Friedberger
 9:00 Hospitality

school night NY showcase with East village radio & MFG @ bowery hotel 335 bowery @ great jones
 Duke Sprit (DJ)
 11:00 Drop the Lime (DJ)
 10:30 U.S. Royalty
 9:30 The Silent comedy
 8:30 Duke Sprit

9:30 pm Zola Jesus @knitting factory

Carpark CMJ showcase @ public Assembly (front)
 1:00 Class Actress
 12:00 Dent May
 11:00 Cloud Nothing
 10:00 Young Magic
 9:00 Adventure

Mexican Summer CMJ showcase @ public Assembly (back)
 12:00 Light Asylum
 11:30 Radio people
 10:15 Date Palms
 9:30 Quilt
 8:45 Home Blitz
 8:00 Xander Duell

Afro-punk presents "Death to Hiphop" A CMJ showcase @ music hall of williamsburg
 Death
 Cerebral Ballzy
 Ninjasonik

 まずは〈バワリー・ボールルーム〉へ。最初に登場したバンド、ホスピタリティーは若い感じだったが、そんなに印象には残らなかった。早くはじまったので、そのあいだに数ブロック離れたバワリーホテルで友だちのUS ロイヤリティのショーを見に行く。
 が、......彼らはまだその後だったらしく、代わりにデューク・スピリットというロンドン出身のバンドを見た。ケイト・モスによく似た女の子がフロントにいるパワフルなサウンドで、パフォーマンス的に好きだったが、これもそこまで印象に残らず、フェアリー・ファーナシスのエレノア・フレイドバーガーを見に〈バワリー・ボールルーム〉に戻る。あわよくば少し見てUS ロイヤリティに帰って来れるかなと思いながら......。この時点で〈ミュージック・ホール〉のセレブラル・ボルジーは諦めた。
 〈バワリー・ボールルーム〉ではちょうどエレノア・フレイドバーガーが始まったばかりだった。からし色の前あきシャツをからし色のコーデュロイのパンツ(リーバイス)にタックインし、ウエスタン・ブーツを履いているのが上からでもわかる。その上に星マークの紺色のカーディガン。メンバーはギター(パンチ・パーマ、もしかして、もじゃもじゃしているだけかも)、タータン・チェックのシャツにジージャン)、ベース(天然パーマ、白の前あきシャツにジーンズ)、ドラム(彼だけサングラスにオールバックとちょっと浮いていた)......外見だけ見ると、とてもじゃないが現在のバンドと思えない、レトロ感に満ち溢れているバンドだ。が、エレノア・フレイドバーガーは予想よりも素晴らしかった。MCで「地元に帰ってきて嬉しい」と言っていたのでツアー中だったのだろう、メンバーの息はぴったりで、とても快適にプレイしている。特別なことをしていないのに良い。トイレに行きたかったのに行けなかったほどに......ショーのあとの物販は、きちんと本人たちがしていた。

素晴らしいライヴのEleanor Friedberger (photos : Brooklyn Vegan)

 今回のCMJでもっとも注目されているのがワイルド・フラッグだ。このバンドは、スリーター・キニー(キャリー、ジャネット)、ヘリウム(メアリー)、マインダーズの(レベッカ)メンバーで結成された、いわばスーパー・ガールズ・バンド。この日のメインでもある。
 実は、本来はパブリック・アセンブリーに〈メキシカン・サマー〉と〈カーパーク〉のショーケースを見に行こうと考えていてたので、ワイルド・フラッグに関してはとりあえず見てみようと思っていたのだが、まだ初日というのに、おそらく今回のショーでいちばん良いショーになった。演奏が上手いのはもちろん、音楽、パフォーマンス、メンバーの動き、衣装、タイミング、すべのバランス最高で完璧。格好いいガールズ・バンドはたくさんいるが、ここまでオーディエンスの印象に残るようなバンドはレアだ。オーディエンスがほとんど女の子というのも納得。最前列は女の子で溢れかえっていたし、黄色い声がガンガン飛んでた。私は背が小さいので、いつもなら難なく前に入れてもらえるのだが、今回ばかりはガッツり断られてしまった!
 メアリー・ティモニー(ギター)とキャリー・ブラウンスタイン(ギター)がツイン・ボーカルで、交互に歌うのだが,メアリーは女の子よりの歌い方で、スパンコールのトップにタイト・スカートにアミタイツにフラット・シューズ。キャリーは、サーモン・ピンクのリボン付きノースリーブにピタピタの黒のパンツ、ブーツ・カットの黒ハイヒールでキリッと男前でカッコ良い。ジャネット・ワイス(ドラム)はピンクのスパンコールが胸のところにあしらわれたチューブ・トップにジーンズ、レベッカ・コール(キーボード)は黒のスパンコール・タンクトップにジーンズ。みんな光りものが好きなのか......。バックコーラスも完璧で、最後のアンコールには、ビールを客席にけり上げて終了。最後にまわりの人たちと「最高だったね~」と言いながら、家路についた。パブリックアセンブリーには興奮していけなかった。あ、ゾラ・ジーザスも......。

デビュー・アルバムのリリースも控えている、Wild Flagの圧倒的なライヴ (photos : Brooklyn Vegan)

■10/19(水)
True panther & popgun presents CMJ showcase @ glasslands (9-3am)
 Trash Talk
 Tanlines
 King Krule
 Little Red
 Teengirl Fantasy
 Lemonade

noisey.com,SUPRA NYC showcase @Santos party house
 TWIN SHADOW
 MAIN ATTRAKIONZ
 BLEACHED
 CAVEMAN
 INC
 PUJOL
 FIDLAR

Jagjaguwar/secretly canadian/dead oceans CMJ showcase @ union pool
 A place to bury strangers
 Gauntlet Hair
 Parts & labour
 Porcelain Raft
 Exitmusic

The Fixed CMJ Freakout! @ public Assembly (9-4 am)
 Teengirl Fantasy
 Still Corners
 CFCF (DJ)
 Warm Ghost
 Chad Valley
 Radio people
 Lemonade (DJ)
 JDH and Dave P

 昨日行けなかったパブリック・アセンブリーに行くとまだはじまっていない。よく考えるとグラスランズとメンツが被っているので、そういうことかー、と思いグラスランズに移動。ちょうどティーンエイジ・ファンタジーの真っ最中。CMJは同じバンドが同じ日にいろんな場所でやるので時間配分がとても難しい。CMJのオフィシャル・サイトには時間まで載っていないこともあるので、ある意味賭けなのである。例えば、ブルックリンとマンハッタンをはしごする場合、もう帰って来れない、という危機感がつきまとうが、ブルックリン内、マンハッタン内では、行ったり来たりするのが、CMJの定番。実際歩いているとパスをかけた物同士が、道ばたで「~はいま行くと良いよ」、など情報交換している場面に遭遇する。実際私もパスをかけている人に「~に行くんだけどいまどんな感じ?」と聞いたり、友だちになったりもする。


CMJ #2 (10/20-10/22)に続く。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443