昨年、ロンドンに数ヶ月滞在した友人が帰国すると、開口一番、「とにかく、やったらヤビー・ユーがかかっていたんだよね。ラフトレードに行っても、オネスト・ジョンに行っても!」と言った。
へー、ヤビー・ユー、しかし、なぜいまヤビー・ユー?
ヤビー・ユー、または本名ヴィヴィアン・ジャクソンの名前で知られる男は、レゲエのルーツ・アーティストとして、世界のレゲエ・ファンから尊敬されている。
ジーザス・ドレッドという彼の異名が物語るように、ヤビー・ユーは、キリスト教とラスタが混じった独自の宗教観を持った人だった。彼のグループの名前はプロフェッツ(預言者)というが、ヤビー・ユーの言葉は、リー・ペリー並みの異様なスピリチュアリズムに満ちている
また、彼のバックで演奏しているのがルーツ・レゲエの最重要ミュージシャンばかりで、しかもまた彼のミキシングの多くがダブの巨匠キング・タビーが手掛けていることも、のちのヤビー・ユー再評価にひと役買っているのだろう。『King Tubby's Prophecies Of Dub 』(1976年)はリアルタイムでは500枚しかプレスされなかったが、その後、何度も何度も、本当に何度も再発されている。
しかしなぜ……、2010年に彼が他界した後も、たしかに彼の編集盤は出ている……が、いまこそ、たしかにヤビー・ユーなのだ。
この終末的なムードからか、誰かがラジオでかけたことがきっかけなのか、ロンドンではヤビー・ユーがかかりまくっている。そんな西からの風が日本にも届くかのように、昨年末はロンドンの〈Pressure Sounds〉がダブの観点からの編集盤をリリース。そして、今年に入ってからもヤビー・ユーのBOXがリリースされた。
『ドレッドの預言~奇妙で不思議なヤビー・ユーの物語』は3枚組で代表曲+未発表曲という決定版。ブックレットには著名なレゲエ評論家、デヴィッド・カッツによる、一冊の読み物とも言えるほど長く詳しい解説もある。このブックレットのために手に入れてもいいほどの内容だ。ファンにはマストのBOX セットです。
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