「KING」と一致するもの

“JAPANESE DUB” Talk&DJ - ele-king

 ダブの時代です。みんなでダブを聞きましょう。というわけで、タイムリーなイベントがあります。日本を代表するレコーディング&ライヴのダブ・エンジニア、内田直之。活動開始から30年を超えて今もなお進化を続ける内田のDUBミックス、その創作の秘密を紐解くイベント。2時間に及ぶロングトークでは内田がミックスを担当した音源を聴きながらこれまでの活動を振り返る。また、DJタイムでは内田が自身の音源のみでセルフミックスを行う大変貴重な機会となる。元浅草(稲荷町)にある上質な音響空間として定評のあるミュージック・バー&カフェの102で、内田の奏でるDUBの響き、その真髄に迫る。

Motoasakusa102 3rd Anniversary
“JAPANESE DUB” Talk&DJ vol.1 内田直之編

出演:内田直之(LITTLE TEMPO,OKI DUB AINU BAND)
会場:Motoasakusa102 
   東京都台東区元浅草4-4-15
日程:2024年3月13日(wed)
開場:18:00/開演19:00(終演22:00)  
料金:¥2500- (1drink)/¥3200-(1drink+カレーセット)
チケット購入方法:完全予約制(igaken102@gmail.comへイベント参加記載の上、メールにてお申し込み下さい)

Schedule
19:00-21:00 内田直之Talk&Interview
21:00-22:00 DJ Time
23:00 Close

Presented by: Motoasakusa102


内田直之
1972年埼玉県出身。1992年よりレコーディングスタジオに勤務し、録音技術を学ぶ。その傍ら日本のRoots Rock Reggaeバンドの草分けであるDRY & HEAVYのDUBエンジニアとして活動を始める。メンバーとしてバンドに参加しライブを重ねていく中で、独学でライブPA技術を身につける。LITTLE TEMPO、OKI DUB AINU BAND、FLYING RHYTHMS 等、複数の国内DUBバンドにメンバーとして参加し、日本のDUB MUSICを発展させるべく、日々研鑽を重ねている。

 スクエアプッシャー4年ぶりのオリジナル・アルバム『Dostrotime』はだいぶ破壊的だ。高速かつアシッディなブレイクビーツが爆発する先行シングル曲 “Wendorlan” が好例だけれど、アナログ機材を使用し原点回帰的な側面をもった前作『Be Up A Hello』(2020)における、素朴に音と戯れるような楽しみからは一気に反転、「電子音の暴力」なんてことばさえ思い浮かぶ。この激しさは前々作『Damogen Furies』(2015)と近い。ブレイクコア・リヴァイヴァルが起こっている昨今、こうしたアグレッシヴなスタイルはタイムリーではあるものの、彼はなぜあらためてこのような方向性を選びとったのだろうか。

 近年、アーティストの口からスクエアプッシャーの名が発せられるのをときおり見かけるようになった。筆頭は、エレクトロニックなダンス・ミュージックの分野で今日もっとも注目すべき存在といえるほどの活躍をみせているロレイン・ジェイムズだが、エレクトロニックの領域のみにとどまらず、モーゼス・ボイドJD・ベックといったジャズ・ドラマーまでもが彼の名を口にするようになっている。
 スクエアプッシャーはエイフェックス・ツインマイク・パラディナス同様、90年代のアンダーグラウンドなUKレイヴ・カルチャーから生まれたジャングル~ドラムンベースのスタイルに触発されたひとりなわけだけれど、その最大の個性は本人が凄腕のベーシストでもある点だろう。生楽器を軸にしたジャズ作品『Music Is Rotted One Note』(1998)はじめ、彼はその特技を活かしこれまでじつに多彩な音楽をつくりつづけてきた。そうした演奏家ならではの独特のセンスがもしかすると今日のジャズ・ミュージシャンたちに刺戟を与えているのかもしれない。
 吹き荒れる『Dostrotime』の電子の嵐のなかには、プレイヤーとしてのジェンキンソンの存在を随所で感じとることができる。たとえば疾走するビートのうえで彼らしい泣き節が炸裂する “Enbounce” では、ギターによるものとおぼしきフレーズがねじこまれてもいる。似た発想は “Holorform” でも試みられているし、アシッドぶりぶりの “Stromcor” でうなりまくる低音はジェンキンソンのプレイヤーとしての力量をあらためて見せつけるものだ。ドリルンベース・タイプの曲も気を吐いていて、“Duneray” や “Domelash” からは彼のルーツともいうべきジャングルへの愛を再確認することができる。振りかえれば一昨年の来日公演時、彼はデジタルなサウンドでさえもベースを用いて鳴り響かせていたのだった。あの日の曲目は未発表のものが多かったけど、ひょっとするとそのとき披露されていたのが本作のプロトタイプだったのかもしれない。
 全体的にアグレッシヴであるからこそ、逆に、もっとも耳に残るのは冒頭・中盤・最後に配置されたギターの独奏だったりもする。こちらは技巧の披露というよりも聴き手の感情に揺さぶりをかける、穏やかでセンティメンタルなタイプの演奏だ。この手の曲が収録されるのはたぶん、ベース1本でステージに立つ様をとらえたライヴ盤『Solo Electric Bass 1』(2009)以来、オリジナル・アルバムとしては『Just A Souvenir』(2008)以来ではなかろうか。戦闘的な曲と心休まる曲とのこうした同居は、まもなく20周年を迎える00年代スクエアプッシャーの代表作『Ultravisitor』(2004)を想起させもする。

 しかしまあなんでこれほど荒々しいのだろう? おなじく凶暴だった『Damogen Furies』には、当時の世界情勢にたいする怒りがこめられていた。では新作『Dostrotime』はなににたいして腹を立てているのか。
 ここ10年ほどに限ってみても、スクエアプッシャーはアイディアやコンセプトの面においてさまざまな試行錯誤を繰り返してきた。架空のバンド(2010/2017)、ロボットによる演奏(2014)、ソフトウェアの開発(2015)、ブレグジットにたいして世界各地のアーティストたちとの連帯を試みる「国境なきMIDI」(2016)、睡眠導入ヴィデオのサウンドトラック(2018)、クラシック音楽家への楽曲提供(2019)、レイヴ・カルチャーがふたたび注目を集めるようになった時代に実体験者として当時の気持ちを振りかえること(2020)、あるいはファースト・アルバムのリイシュー(2021)。
 新作のもうひとつのポイントは、リリース形態がCD、LP、ダウンロード販売のみである点だ。今回ジェンキンソンはみずからアートワークやTシャツのデザインまで手がけている。だからストリーミング・サーヴィスの排除をメッセージとして受け止め、深読みすることも可能だ。たとえばワン・タップ/ワン・クリックで音楽を流しっぱなしにすること。アルゴリズム(それは大企業の利益最大化に貢献する)による誘導に身をゆだねること。どの曲をいつどのタイミングで再生しどこで止めたか、監視されること。『Dostrotime』がもつ破壊的パワーはそうした聴き方にたいする考察をリスナーに促しているともいえるのかもしれない。
 かつて「テクノロジーに使われてしまう」ことを懸念していたジェンキンソンだ。このアルバムで彼は、音楽を聴くことが能動的な行為でもあることを思い出させようとしているのではないか。スクエアプッシャーのサウンドや演奏力が幾人かの後進たちのインスピレイション源となったように、『Dostrotime』の問題提起もまた、よりよい未来をのぞむ新たな世代への遺産となっていくにちがいない。

スクエアプッシャー自身による『Dostrotime』各曲解説 >>

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スクエアプッシャー自身による『Dostrotime』各曲解説

 トム・ジェンキンソンみずからによる『Dostrotime』の解説が到着しました。アルバム収録の12曲すべてについて本人が説明してくれています。以下、特別に日本語訳を掲載。読みながら聴いて理解を深めましょう。[編集部・3月8日追記]

1) Arkteon 1
この曲はロングスケールのエレクトリック・ギターを使って演奏した。僕は、より明瞭で伸びのある音が出る、レギュラー・タイプのエレクトリック・ギターの方が好きなんだ。サウンドは、ピエゾ・ピックアップ(※1)とマグネティック・ピックアップをミックスしたもので、Eventide H8000(※2)を使ってカスタム・プロセス録音したんだけど、今回はイコライザーとリヴァーブを少し加えた。

(※1)「ピエゾ・ピックアップとは、圧電素子を使ったピックアップのこと。エレクトリックアコースティックギターに多く使われている」(出典:https://www.digimart.net/spcl/agwords/piezo_pickup.html
(※2)Eventide H8000:「長年の実績からなるベストアルゴリズムを、高いオーディオパフォーマンスで提供するEventideのフラッグシップモデル」(出典:https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-072716-wa03.html

2) Enbounce
このトラックは、ヤマハCS-80やローランドV-シンセXT、ローランドTB-303のベースライン、そしてローランドTR-909とTR-707のパーカッションなど、さまざまなハードウェアのライヴ・ミックスダウンからはじまった。ギターはディストーションを与えるため、“Arkteon 1” と同じセットアップを使ってオーヴァーダブされ、一方で弦の曲がったところにリング・モジュレーション(※3)を加えるカスタム・モノシンセを作動させた。このマテリアル(素材)は、元々BBC『Daydreams』(※4)のサウンドトラックのために作られたものから引用された。

(※3)「主にシンセサイザーやエフェクターにおいて、金属的な非整数次倍音を含むサウンドを生み出すセクション(または機器)のこと」「2種類(以上)の入力に対しそれぞれの周波数の和と差を生み出すことで、ベルなどの金属的な非整数次倍音を含むサウンドを生み出すことができる」(出典:https://info.shimamura.co.jp/digital/support/2019/04/130104
(※4)BBC、子ども向け番組『CBeebies』のコーナー。

3) Wendorlan
“Wendorlan” は、2014年に『Damogen Furies』を制作するために使用したシステム4(と僕が呼んでいる)(※5)を進化させた、デジタル・システムで制作された。「Wendorlan 10月16日、日曜日」のヴォーカルは、1993年に放送されたロンドン・アストリアでのレイヴのための海賊ラジオ広告からとったもの。映像の終わりには、「“タリスマン・レッドはそれが未来への突破口だと思ったと言った” と沈むイカダの上でデヴィッド・ボウイが歌った」というテキストが流れる。これは、このビデオが完成する少し前に見た夢の中の出来事を描写している。

(※5)システム4:編集を一切おこなわずにリアルタイムでオーディオを生成すること、オーディオのマルチトラッキングも、ステムも、編集も、素材の手直しもない独自のソフトウェア・パッチのこと。

4) Duneray
この曲は『Be Up a Hello』の制作中に作ったカスタム・ゲート・リヴァーブを使っている。これは言うまでもなく、“Vortrack (Fracture Remix)” で聴くことができるんだけど、この曲はそのすぐ後にローランドTB-303(ここでは音色の多様性とポリフォニー(※6)のためにRoland SH-101と組み合わせている)を使って録音した。パーカッションが止まると、コンプレッション・スウェル(※7)がシンセ音の減少とともにバックグラウンド・ノイズを浮かび上がらせ、音源のハードウェアな側面が最後にはっきりと聴こえる。

(※6)「ポリフォニーは、複数の独立した声部(パート)からなる[……]多声音楽を意味する」(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリフォニー
(※7)「真空管(特に整流管と出力段にあるもの)が高い出力レベルで動作中に大きな負荷がかかった際に、回復しフルパワーに戻るのにかかる時間を指」す(出典:https://line6.jp/model-citizens/dave-hunter-whats-behind-the-sag-bias-and-bias-x-controls-in-helix-amps/)。

5) Kronmec
このトラックではメロトロンのサンプルが使われ、交互コードは微分(微調)音程(※8)でピッチアップ(調整)されている。モノシンセのベース・サウンドは、TB-303のコピーをプログラムするために僕がパートタイムで続けている取り組みの最近のイテレーション(反復)(※9)で、明らかに柔軟性を高めている。これを試したことのある人なら誰でも、矩形波に近似させるのが難しいことに同意すると思うが、パルス(波の)幅でピッチに相関したヴァリエーションを使うのは有効だ。これは、オリジナルの機械では不可能だが、ここではパルス幅が0%に向かってプッシュされているのを聴くことができる。

(※8)microtonal interval:微分音(びぶんおん)とは、音楽において半音より小さな音程を用いることで、「微小音程」とも呼ばれる。また、西洋の慣習的な調律である、1オクターブあたり12等分された音程以外の音程を使う音楽も含まれる。言い換えれば、マイクロトーンは、平均律で調律されたピアノの「鍵盤の間」にある音と考えることができる。
(※9)イテレーション:「プログラミングで終了条件に達するまで一定の処理を繰り返すこと」(出典:http://pubspace-x.net/pubspace/archives/9447)。「一連の工程を短い期間で何度も繰り返す、開発サイクルの単位」(出典:https://lychee-redmine.jp/blogs/project/tips-iteration/#:~:text=イテレーションは、「一連の工程,がしやすくなります。)。

6) Arkteon 2
この曲は “Arkteon 1” と同じセットアップを使用しているが、ギターは違う方法でチューニングされている。規則的なE-A-D-G-B-E(標準的なチューニング)を基本としており、トップのEは規則的なピッチ(音の高低)でチューニングされているが、そこから下に続く弦は微分音程(前述)を増やしてチューニングされている。特定の陽性波のところで強制的に静止させるため、トレモロ・ブリッジにGクランプを付けることにより実現した。演奏には不便だが、効果はあった。

7) Holorform
このセット(アルバム)で最も古いトラックで、オリジナル・ヴァージョンは2018年に録音され、その後昨年リミックスされた。例えば『Just a Souvenir』収録の “The Coathanger” と同じアプローチでまとめられている。基本的な手法は、インストゥルメンタルの演奏(この場合はギター・ソロ)を取り込み、段階的に処理を加え、調子を合わせて進行させることで、ライヴではありえないほど複雑かつ正確にエフェクトをコントロールするというものだ。このアプローチを推し進める確固たる意志は、僕がどのようにある種の未来的なSF音楽性(どのように音楽を作るか)を思い描いているかである。

8) Akkranen
この曲の出発点は、〈No U-Turn〉レーベルの『Torque』に収録されている “Droid” でデチューン(離調)(※10)された形で使われている有名なレイヴスタブ(※11)だが、エド・ラッシュやその類のミュージシャンが作るミニマル・アプローチを踏襲することはできなかった。他のハードウェア・ベースの作品と同様、2トラックに直接録音したので、リアルタイムの調整を一発でうまくまとめる必要があった。“Duneray” と同じゲート・リヴァーブ(前述)とTB-303の組み合わせを使っていて、特に、適切な瞬間にリヴァーブが際立つようにフィルターを正しく微調整することが不可欠だった。

(※10)デチューン:「電子音楽で、音高を微妙にずらした音を重ねて響きにふくらみを持たせること」(出典:https://eow.alc.co.jp/search?q=デチューン
(※11)「単一のスタッカート音符やコードで形成された、音楽に強いエッセンスを加えるサウンド。特にレイヴスタブとは、KORG M1のピアノ音源など著名なシンセサイザーの音色をサンプリングした、レイヴ・ミュージックに特有のもの」(出典:https://raytrek.net/dtm/voices/10min_dtm/03/

9) Stromcor
この曲はライヴで演奏するのがとても楽しくて、ベース・シュレッドが恥ずかしげもなく多少施されているが、スタジオ・レコーディングにはライヴ演奏とは異なる部分がある。“Arkteon 1” のギターに使用されたのと同じH8000のセットアップで処理され、独自に修正したMusic Manの 6弦ベースを使って録音されたのだけど、今回はH9ペダルによるリング・モジュレーション(前述)とワウペダルがフィーチャーされている。イントロではTR-909が外付け振幅エンベロープを通して処理されているのが聴こえる。

10) Domelash
“Akkranen” と同様、〈No U-Turn〉のパラノイド・ミニマリズムのヒント(影響)がこの曲をスタートさせるが、最終的にはマキシマリズムに辿り着く。“Wendorlan” と “Stromcor” にも使われている、僕が数年かけて少しずつ作り上げたカスタム・シーケンサーを使用している。とりわけこのシーケンサーは、メイン・テンポからシーケンスを切り離すことができ、その間もその切り離しをコントロールすることができるのだが、それは、冒頭部分のブレイク・プログラミングではっきりと聴くことができる。さらにカスタムのゲート・リヴァーブも全体を通して使われている。

11) Heliobat
“Arkteon 1” のロングスケール・ギターもフィーチャーされているこの曲のために、さまざまなハードウェアが少しずつ慎重にチューニングされ、プログラムされた。メロディの一部にSH-101が聴こえ、ヤマハFS1Rがポリフォニックのかなりの部分を生み出している。イントロ部分では、メジャーサード(長3度)が(イコール・テンペラメント(等分調律 、平均律)ではなく)対応するルート音(根音:コードの土台となる音)の整数比になるようなピッチ・イントネーション(※12)の形式が使われている。

(※12)ピッチ・イントネーション:「基準の音の音程の高低のことを「ピッチ」というのに対して、それぞれの音の音程の高低のことは「イントネーション」とい」う(出典:https://suiso-gaku.com/ピッチとイントネーションの違い/)。音楽におけるイントネーションとは、ミュージシャンや楽器の音程の正確さのことである。

12) Arkteon 3
この曲は、チューニングも含めて “Arkteon 2” と同じセットアップを使っている。当初はギター演奏の伴奏用に他の楽器を使うつもりだったが、最終的にはソロ曲としての方が理にかなっていると思った。“Arkteon 4” という曲もあるのだけれど、どういうわけかこのアルバムには合わなかった。何時間もかけてシグナル(信号)ルーティングやケーブルの配置、演奏ポジションなど、邪魔になるような原因を排除したにもかかわらず、ポーズ(休止)では50hzメイン(主電源)のハム(ズーという音)が聞こえる。他の “Arkteon” 曲とともに、この曲はライヴで忙しかった夏の後、22年秋に録音された。

翻訳:近藤麻美

 GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーが初めて監督をつとめた映画『i ai(アイアイ)』。現代の若者へ向けた力強いメッセージが込められた同作が、3月8日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国各劇場にて順次公開される。
 これを記念し、オリジナル・グッズの発売も決定。パンフレット、Tシャツ、ステッカー、パーカー、ライターなど豊富なラインナップで、各劇場ではもちろん、レーベル〈十三月〉のオンライン・ストア(https://jsgm-online.stores.jp/)でも販売される(一部の商品・劇場を除く)。なおオンライン・ストアでは、本日2月29日(木)18時より先行予約受付が開始される。
 また同時に、登場人物たちにフォーカスしたショート動画も公開されている。第1弾は、主人公に大きな影響を与える人物の恋人。以降、他のキャラクターの動画も順次公開されるそうだ。詳細は下記よりご確認を。

予告編

マヒトゥ・ザ・ピーポー初監督作
新星・富田健太郎と、森山未來、さとうほなみ、永山瑛太、小泉今日子ら
実力派俳優陣が集結した新たな青春映画の誕生!

GEZANのフロントマンで、音楽以外でも小説執筆や映画出演、フリーフェスや反戦デモの主催など多岐にわたる活動で、唯一無二の世界を作り上げるマヒトゥ・ザ・ピーポーが初監督を務め、第35回東京国際映画祭<アジアの未来部門>に正式出品され話題を呼んだ映画『i ai』。マヒト監督の実体験をもとに、主人公のバンドマン・コウと、コウが憧れるヒー兄、そして仲間たちが音楽と共に過ごした日々が綴られていく青春映画が誕生した。

主人公コウ役には、応募数3,500人の大規模オーディションから抜擢された新星・富田健太郎。そして主人公の人生に影響を与え、カリスマ的な存在感を放つヒー兄役には、映画だけでなく舞台やダンサーとしても活躍する森山未來。さらに、コウとヒー兄を取り巻く個性豊かな登場人物たちに、さとうほなみ、堀家一希、永山瑛太、小泉今日子、吹越満ら多彩な実力派が顔をそろえた。
マヒト監督の紡ぐ“詩”と、キーカラーでもある“赤”が象徴的に使われる、寺山修司を彷彿させる独特の映像美が融合した本作。この純文学的な味わいの作品を撮影カメラマンとして支えたのは、木村伊兵衛写真賞受賞の写真家・佐内正史。そして、美術に佐々木尚、衣装に宮本まさ江、劇中画に新井英樹など、監督の思いに共鳴したカルチャー界の重鎮たちが集結。また、ヒー兄がフロントマンを務める劇中バンドのライブシーンで、実際の演奏を担うのは、監督をはじめとするGEZANのメンバーたち。ライブハウスの混沌と狂乱が臨場感たっぷりに描かれる。

映画オリジナルグッズ発売決定!!
さらにキャラクター別ショート動画公開!第1弾はさとうほなみ演じる「るり姉編」

この度、映画の公開を記念したオリジナルグッズの発売が決定!全72ページの豪華パンフレットには、キャストのロングインタビューほか、撮影の日々を綴ったプロダクションノート、燃え殻や寺尾紗穂が寄稿したコラムを収録。写真家の水谷太郎と山本光恵によるスチル写真も多数収められている。さらに、主人公コウが組んでいるバンド“THIS POP SHIT”のバンドTシャツや、本作では撮影カメラマンとして参加している写真家の佐内正史のスチルがデザインされているパーカー、鈴木ヒラクが手がけた映画ロゴが配置されたステッカー3種ほか、劇中でもキーカラーとなる“赤”を基調としたグッズが揃う。公開初日3月8日(金)より各上映劇場および、レーベル・十三月のオンラインストア(https://jsgm-online.stores.jp/)にて販売開始予定。
また、公開まで1週間となり、キャラクター別ショート動画が解禁となった。第1弾として公開されたのは、さとうほなみ演じるヒー兄の恋人るり姉の横顔が画面に大きく映し出される「るり姉編」。どこか憂いを含みながらも、真っ直ぐに一点を見つめる姿からは、るり姉の芯の強さを感じさせる動画となっている。今後、映画公式のXとInstagramにて、永山瑛太が演じる久我ほか、登場キャラクター別のショート動画が順次解禁予定。ぜひチェックしてほしい。

▼映画『i ai』オリジナルグッズ 販売概要
3月8日(金)より、各上映劇場および「十三月オンラインストア」から販売開始。(一部商品・劇場を除く)
オンラインストアでは、映画の公開に先駆けて2月29日(木)18時より先行予約受付を開始。
「十三月オンラインストア」URL: https://jsgm-online.stores.jp/

▼映画『i ai』オリジナルグッズ アイテム一覧

■パンフレット 1,500円(税込)
【収録内容】全72ページ
マヒトゥ・ザ・ピーポー(監督・脚本)インタビュー/富田健太郎&森山未來インタビュー/燃え殻、寺尾紗穂によるコラム/森直人によるレビュー/プロダクションノート/監督が明かす映画『i ai』のQ&A/写真家・水谷太郎と山本光恵によるスチールなど

■Tシャツ「umbrella Long-T」【サイズ:M/L/XL】5,500円(税込)
Logo:鈴木ヒラク/Photography:吉本真大/Design:石原ロスカル

■Tシャツ「THIS POP SHIT T」【サイズ:M/L/XL】4,500円(税込)
Logo:STANG/Design:石原ロスカル

■ステッカー【全3種】各種400円(税込)
Type-A | Logo:鈴木ヒラク/Design:石原ロスカル
Type-B | Photography:水谷太郎
Type-C | Logo:鈴木ヒラク/Photography:山本光恵/Design:石原ロスカル

■「あいあい」ライター【カラー:red/white】各種300円(税込)
Logo:STANG

■パーカー「i ai Logo Hoodie」【全3種/受注生産・オンライン限定】各種12,000円(税込)
Type-A | Color:red/Photography:佐内正史
Type-B | Color:black/Logo:鈴木ヒラク
Type-C | Color:white/Logo:STANG

■GEZAN『i ai ORIGINAL SOUNDTRACK』 3,000円
アーティスト : GEZAN
タイトル : i ai ORIGINAL SOUNDTRACK
レーベル : 十三月
発売日 : 2024年3月8日(金)
CAT NO : JSGM-61
フォーマット : CD/DIGITAL
URL:https://gezan.lnk.to/iai_soundtrack

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【STORY】
兵庫の明石。期待も未来もなく、単調な日々を過ごしていた若者・コウ(富田健太郎)の前に、地元で有名なバンドマン・ヒー兄(森山未來)が現れる。強引なヒー兄のペースに巻き込まれ、ヒー兄の弟・キラ(堀家一希)とバンドを組むことになったコウは、初めてできた仲間、バンドという居場所で人生の輝きを取り戻していった。ヤクザに目をつけられても怯まず、メジャーデビュー目前、彼女のるり姉(さとうほなみ)とも幸せそうだったヒー兄。その矢先、コウにとって憧れで圧倒的存在だったヒー兄との突然の別れが訪れる。それから数年後、バンドも放棄してサラリーマンになっていたコウの前に、ヒー兄の幻影が現れて……。

【CREDIT】
富田健太郎
さとうほなみ 堀家一希
イワナミユウキ KIEN K-BOMB コムアイ 知久寿焼 大宮イチ
吹越 満 /永山瑛太 / 小泉今日子
森山未來

監督・脚本・音楽:マヒトゥ・ザ・ピーポー
撮影:佐内正史  劇中画:新井英樹
主題歌:GEZAN with Million Wish Collective「Third Summer of Love」(十三月)
プロデューサー:平体雄二 宮田幸太郎 瀬島 翔
美術:佐々木尚  照明:高坂俊秀  録音:島津未来介
編集:栗谷川純  音響効果:柴崎憲治  VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
衣装:宮本まさ江  衣装:(森山未來)伊賀大介  ヘアメイク:濱野由梨乃
助監督:寺田明人  製作担当:谷村 龍  スケーター監修:上野伸平  宣伝:平井万里子
製作プロダクション:スタジオブルー  配給:パルコ
©STUDIO BLUE(2022年/日本/118分/カラー/DCP/5.1ch)

公式サイト
公式X
公式Instagram

3月8日(金)渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開

Jeff Mills × Jun Togawa - ele-king

 先日お伝えしたように、戸川純が出演するジェフ・ミルズによる舞台作品『THE TRIP -Enter The Black Hole-』が4月1日に上演されるわけですけれども、そのサウンドトラックから先行シングルが発売されます。ジェフ・ミルズと戸川純のダブルネームによる “矛盾 - アートマン・イン・ブラフマン (Radio Edit)” は3月13日、Apple MusicおよびiTunesにて先行リリース。ちなみに明日2月29日、J-WAVE「Grand Marquee」にて初オンエア予定とのことです。いったいどんな音楽に仕上がっているのか、楽しみにしていましょう。以下、詳細です。

ブラックホールの先に響く、未知の音の世界 -
ジェフ・ミルズと戸川純の究極のサウンドトリップ
「矛盾 - アートマン・イン・ブラフマン (Radio Edit)」が3月13日
Apple Musicにて先行配信!
J-WAVE「Grand Marquee」にて2/29(木)初オンエア!

ジェフ・ミルズと戸川純が描く一大ブラックホール・スペクタクル
4月1日(月)に東京・新宿にて行われるジェフ・ミルズ総指揮、宇宙の神秘に迫る舞台芸術作品『THE TRIP -Enter The Black Hole-』のサウンドトラックから、日本の音楽シーンにおいて圧倒的な存在感を放つレジェンド、戸川純がシンガーとしてフィーチャーされる「矛盾 - アートマン・イン・ブラフマン (Radio Edit)」が3月13日(水)にApple Music及びiTunesにて先行発売される。
ジェフ・ミルズと戸川純の世界観が有機的に溶け合い結晶化、今までのジェフ・ミルズのイメージからも解き放たれたバンドサウンドかつミニマルな浮遊感溢れる楽曲となっている。戸川がボーカルを務めるバンド、ヤプーズの山口慎一、ヤマジカズヒデも録音に参加。メロディの作曲には同バンドのライオン・メリィもクレジットされている。

J-WAVE「Grand Marquee」にて2/29(木)初オンエア!
「矛盾 - アートマン・イン・ブラフマン (Radio Edit)」が2/29(木) J-WAVE「Grand Marquee」(16:00 - 18:50) にて初オンエアする事が決定!
https://www.j-wave.co.jp/original/grandmarquee/

『THE TRIP -Enter The Black Hole-』お得な前売りチケットのエントリー締切迫る!
4月1日(月)ZEROTOKYO(新宿)にて行われるCOSMIC LAB presents JEFF MILLS『THE TRIP -Enter The Black Hole-』のお得なオフィシャル前売りチケットのエントリーは3月1日(金)10時まで
https://l-tike.com/thetrip/

タイトル:「矛盾 - アートマン・イン・ブラフマン (Radio Edit)」
アーティスト:ジェフ・ミルズ, 戸川純
リリース日:
 2024/3/13 0時(JST)Apple Music及びiTunesにて先行配信
 2024/3/20 0時(JST)その他の配信・サブスクリプションサービスにて配信
ダウンロード価格:¥255(税込)
販売元:AXIS / U/M/A/A
配信、ダウンロード予約はこちらから
https://lnk.to/jmjt_contradiction

<楽曲クレジット>

ボーカル:戸川純
ギター: ヤマジカズヒデ
キーボード:山口慎一 
プログラム、シンセサイザー:ジェフ・ミルズ

作詞:戸川純
作曲:ジェフ・ミルズ
歌メロディー作曲:ライオン・メリィ

<歌詞>

13度目の宇宙の旅で
闇が突如として現れた
吸い込まれては途中で浮かぶ
永遠の孤独がわたしを襲う

でも何故だろう わからないけれど
向こうに突き抜けるという説も
信じたくない自分もいる
何故ならわたしは人間だから
人間は矛盾しているから
わたしは1人の人間だから
矛盾している生き物だから

13度目の宇宙の旅で
闇が突如として現れた
吸い込まれては途中で浮かぶ
永遠の孤独がわたしを襲う

でも何故だろう わからないけれど
向こうに突き抜けるという説も
信じたくない自分もいる
何故ならわたしは人間だから
人間は矛盾しているから
わたしは1人の人間だから
矛盾している生き物だから

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プロフィール
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JEFF MILLS(ジェフ・ミルズ)
1963年アメリカ、デトロイト市生まれ。
現在のエレクトロニック・ミュージックの原点ともいえるジャンル“デトロイト・テクノ”のパイオニア的存在として知られている。代表曲のひとつである「The Bells」は、アナログ・レコードで発表された作品にも関わらず、これまで世界で50万枚以上のセールスを記録するテクノ・ミュージックの記念碑的作品となっている。
また、音楽のみならず近代アートのコラボレーションも積極的に行っており、フリッツ・ラング監督「メトロポリス(Metropolis)」、「月世界の女(Woman in the Moon)」、バスター・キートン監督「キートンの恋愛三代記(The Three Ages)」などのサイレントムービー作品のために、新たにサウンドトラックを書き下ろし、リアルタイムで音楽と映像をミックスしながら上映するイベント、“シネミックス(Cinemix)”を精力的に行なっている。
そしてポンピドーセンター「イタリアフューチャリズム100周年展」(2008年)、「Dacer Sa vie」展(2012年)、ケブランリー博物館「Disapola」(2007)年など、アートインタレーション作品の展示活動といった、数々のアート活動が高く評価され、2007年にはフランス政府より日本の文化勲章にあたる芸術文化勲章シュヴァリエ(Chevalier des Arts et des Lettres)を授与され、その10年後となる2017年にはフランス政府よりシュヴァリエよりさらに高位なオフィシエの称号を元フランス文化大臣のジャック・ ラングより授与された。
日本での活動も多岐に渡り、2013年、日本科学未来館館のシンボル、地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」を取り囲む空間オーバルブリッジで流れる音楽「インナーコスモス・サウンドトラック」はジェフ・ミルズが作曲。現在もその音楽が使用されている。
近年、コロナ禍中に、世界の若手テクノ・アーチスト発掘支援のためThe Escape Velocity (エスケープ・ベロシティ)というデジタル配信レーベルを設立。既に60作品をリリースしている。
https://www.axisrecords.com/

JUN TOGAWA(戸川純)
1961年、新宿生まれ。歌手・女優。ゲルニカを経てソロ名義で『玉姫様』、『好き好き大好き』、ヤプーズとして『ヤプーズ計画』、『ダイヤルYを廻せ!』などをリリース。近作は、『ヤプーズの不審な行動 令和元年』。映画『釣りバカ日誌(1~7)』などに出演。『いかしたベイビー』では監督、脚本、主演。舞台に『三人姉妹』、『グッド・デス・バイブレーション考』など。TOTOウォシュレットのCM出演も評判を呼んだ。著作に『戸川純の気持ち』、『樹液すする、私は虫の女』、『戸川純全歌詞解説集 疾風怒濤ときどき晴れ』、『ピーポー&メー』『戸川純の人生相談〜どうしたらいいかな、純ちゃん〜』(山口慎一と共著)などがある。
https://twitter.com/juntogawaoffice

【イベント情報】

COSMIC LAB presents JEFF MILLS『THE TRIP -Enter The Black Hole-』
参加アーティスト:JEFF MILLS(音楽)、COSMIC LAB(映像)、戸川純(歌唱)、梅田宏明(振付)、FACETASM 落合宏理(衣装デザイン)

世界最高峰のDJにして、デトロイトテクノのパイオニアであるジェフ・ミルズ。1980年代よりテクノやミニマルミュージック、近年ではオーケストラなどとの音楽を通じて独自の宇宙観を表現してきた現代アーティスト。

そのジェフ・ミルズが2024年に挑む新たな舞台芸術作品とは?
宇宙への旅、未知なるブラックホール、その先にあるものとは?
音楽、映像、歌、ダンスで宇宙の神秘に迫るコズミックオペラの誕生!

2024年4月1日(月)に東京・新宿の「ZEROTOKYO」にて、ジェフ・ミルズは日本で最も革新的なビジュアル・チームと評されるCOSMIC LABと共同制作によるライブ・オーディオビジュアル作品『THE TRIP -Enter The Black Hole-』のワールドプレミアを開催します。

本公演は音楽、映像、ライティング、そして歌とコンテンポラリーダンス、衣装デザイン、すべてにおいてジェフ・ミルズ総指揮のもと各分野のコラボレーターを迎え入れ、5つの理論的なシナリオで宇宙の神秘に迫ります。

総合演出、脚本、音楽はジェフ・ミルズ。その宇宙観/思考をCOSMIC LABが映像演出で拡張します。また、音楽シーンにおいて圧倒的な存在感を放つ戸川純がシンガーとして参加するほか、コレオグラファー(振付)にはコンテンポラリーダンス〜デジタルアートと領域横断的な表現で世界的評価の高い梅田宏明、各出演アーティストの舞台衣装は日本を代表するブランド〈FACETASM〉のデザイナー落合宏理が手がけます。

ブラックホールに向けての宇宙の旅で何が起こるのか、そのテーマを探求できることをとても楽しみにしている。テクノが創造された本当の理由がここにある。 - ジェフ・ミルズ

もし私たちがブラックホールの中に入ることができたらどうなるのか? ブラックホールの反対側には何があるのだろうか? ジェフ・ミルズは今回の舞台芸術作品を通して、さまざまな理論的可能性の中で、宇宙とブラックホールの疑問について探究します。

これまで誰も体験したことのない聴覚と視覚に訴えかけるパフォーマンスは、ステージ上だけでなく会場全体を宇宙として捉え、観客を音と光の演出で包み込み、ブラックホールへと導きます。DJでもライブでもなく、ジェフ・ミルズとCOSMIC LABによる宇宙を題材とした総合舞台芸術、世界初のコズミックオペラです。

『THE TRIP』は、2008年にフランス・パリで初めてのパフォーマンスが行われ、日本では2016年に東京・浜離宮朝日ホールにてCOSMIC LABの映像演出によって作品が拡張されました。今回はブラックホールをテーマにした全く新しい作品となり、今後数年にわたって進化を遂げる壮大なプロジェクトの始まりとなります。

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開 催 概 要
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名 称:
COSMIC LAB presents
JEFF MILLS『THE TRIP -Enter The Black Hole-』
チケットはこちらより
https://l-tike.com/thetrip/

会 場:
ZEROTOKYO(新宿)

日 程:
2024年4月1日(月)
第1部公演: 開場 17:30 / 開演 18:30 / 終演 20:00
第2部公演: 開場 21:00 / 開演 21:45 / 終演 23:15 ※第2部受付は20:30

出 演:
Sounds: JEFF MILLS
Visuals: C.O.L.O(COSMIC LAB)
Singer: 戸川純
Choreographer: 梅田宏明
Costume Designer: 落合宏理(FACETASM)
Dancer: 中村優希 / 鈴木夢生 / SHIon / 大西優里亜

料 金:

【2月28日(水)22時まで ※枚数限定】
ローチケ先行前売り入場券 9,000円

【2月29日(木)0時〜3月1日(金)10時 ※枚数限定】
オフィシャル先行前売り入場券 9,000円

【3月1日(金)発売開始】
一般前売り入場券 11,000円

主 催:
COSMIC LAB

企画制作:
Axis Records、COSMIC LAB、Underground Gallery、DEGICO/CENTER

プロジェクトパートナー:
FACETASM、株式会社フェイス・プロパティー、日本アイ・ビー・エム株式会社、一般社団法人ナイトタイムエコノミー推進協議会、株式会社TSTエンタテイメント、AlphaTheta株式会社

オフィシャルサイト:
https://www.thetrip.jp

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THE TRIP -Enter The Black Hole- 告知映像
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国内向けティザームービー(Cosmic Lab YouTubeチャンネル)
https://youtu.be/cfLH5CGwvuw

海外向けティザームービー(Axis Records YouTubeチャンネル)
https://youtu.be/22HQelKAF0w

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総合演出 / 音楽担当のジェフ・ミルズよりメッセージ
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2009年の「THE TRIP」開始以来、テクノロジーは大きくエキサイティングに進化し、その結果、没入型パフォーマンスの質は大きく向上した。それにより、より広大なテーマを探求することができるようになった。

次回のTHE TRIP公演では、「ブラックホール」を取り上げる。ブラックホールという現象は、光さえも外に出ることができないほど重力に引っ張られる宇宙空間の場所である。重力が強いのは、物質が小さな空間に押し込められたからだ。これは星が死にかけたときに起こる。

なぜこのテーマなのか:

それは、私たちの宇宙は、別の宇宙にあるブラックホールの特異点(シンギュラリティ)から分岐した可能性があるという、心躍る仮説があるからだ。私たちはブラックホールの中に住んでいるわけではないが、私たちの宇宙がブラックホールから生まれた可能性を否定するものでもない。

なぜそれが重要なのか:

もしそうなら、時間と空間はブラックホールの物理性に従うことになるからだ。つまり、私たちは常にブラックホールに向かってスパイラルしていることになる。

しかし、もし私たちがブラックホールの引力に耐えて、その中に入ることができたらどうなるだろうか?

ブラックホールの反対側には何があるのだろうか?

「THE TRIP -Enter The Black Hole-」と題されたマルチ感覚パフォーマンスを通して、ブラックホールに向けての宇宙の旅で何が起こるのか、そのテーマを探求できることをとても楽しみにしている。

- ジェフ・ミルズ

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主催 / 映像演出担当のC.O.L.O(COSMIC LAB)よりメッセージ
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我々は何処から来て、何処に向かって進んでいるのか?

2016年にジェフ・ミルズと浜離宮朝日ホールに集まった人々との「THE TRIP」を経て、COSMIC LABのミッションは意識を拡張させること、つまりその為のヴィジュアル空間装置の開発と表現の追及だと確信が深まった。

人の意識を生み出す脳と宇宙の構造は似ているという説がある。もし宇宙が誰かの脳なのであれば、宇宙を探究することは、精神を探究することなのかもしれない。

ニューロンと銀河のアナロジー。意識と宇宙のフラクタル。

今作品は、宇宙の最果てブラックホールへの旅であり、精神の最深部を探究するライブ・エクスパンデッド・シネマである。

8年の時を経て進化したヴィジュアル装置と最上級の音響設備がインストールされたZEROTOKYOに、ワールドプレミアとして、一夜限りの総合芸術が出現する。

- C.O.L.O(COSMIC LAB)

Bonobo presents OUTLIER - ele-king

 元ダウンテンポの達人、現在はハウスに舵を切っているボノボはUKではかなりビッグな存在だ。彼がみずからキュレーションを手がけるイベントが「OUTLIER (アウトライアー) 」で、これまでロンドン、NY、サンフランシスコ、ベルリンで開催されてきているが、ついに5月18日、東京でも実現することになった(会場はO-EAST+DUO)。ラインナップは、昨年デビュー・アルバムを発表したいま要注目のハウス・アーティスト、ソフィア・コルテシス。日本からは真鍋大度と食品まつり a.k.a foodman が登場する。この面子を一気に一晩で体験できるとは、なんと贅沢なことだろう。昨年の来日公演同様ソールドアウトが予想されるので、チケットはお早めに。

BONOBOが仕掛けるクラブイベント
『OUTLIER』遂に日本上陸!

主宰のBONOBOに加え、
SOFIA KOURTESIS、真鍋大度、
食品まつり a.k.a foodmanの出演が決定!

幅広い音楽ファンを魅了する至高のDJプレイをお見逃しなく!
主催者WEB先行は明日10時よりスタート!

アーティスト/プロデューサーとしてグラミー賞に7度ノミネートされ、バンドセットで大型会場や音楽フェスのオーディエンスを熱狂させる一方、DJとしても官能的かつ情熱的なプレイで、ジャンルや国境を超えて絶大なる人気を獲得しているボノボが、自らキュレーションを手掛け、数多くの先鋭アーティスト達をフィーチャーし、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、ベルリンを始め世界各地で開催されているイベント、OUTLIER (アウトライアー) の日本開催がついに決定!会場はO-EAST~DUO~東間屋とエリアを拡張し、複数ステージ同時進行で開催される、朝まで楽しめるオールナイト・パーティーとなる。

満員のオーディエンスを熱狂させた昨年のO-EAST公演から1年、BONOBOの華麗なDJプレイが再びここ日本で堪能できるのに加え、昨年リリースしたデビューアルバム『Madres』が世界中で高評価を得ての初来日となるSOFIA KOURTESIS (ソフィア・コルテシス) の出演も決定!ダンスミュージックからインディーロックまで、幅広い音楽ファンを魅了する両者の奇跡の共演が実現!さらに日本を代表するトップクリエイター、真鍋大度と、〈Hyperdub〉所属のエレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、食品まつり a.k.a foodmanが出演。今後発表される更なるラインナップ、さらにFOODやDRINK、POP-UPストアなどコンテンツにも要注目!主催者WEB先行は明日28日10時よりスタート!

Bonobo presents
OUTLIER

FEATURING:
BONOBO (DJ SET)
SOFIA KOURTESIS (DJ SET)
DAITO MANABE
FOODMAN
AND MUCH MORE !!!

公演日:2024年5月18日(土)
会場:O-EAST+DUO

OPEN/START:21:00 (オールナイト公演)
前売:¥7,200(税込) ※整理番号無し
※20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。写真付き身分証をご持参ください。
INFO: BEATINK [www.beatink.com] / info@beatink.com
主催・企画制作:BEATINK / SHIBUYA TELEVISION

[TICKETS]

先行販売
●BEATINK主催者先行:2/28 (wed) 10:00~[https://beatink.zaiko.io/e/outliertokyo/] ※先着 / Eチケットのみ
●イープラス・プレイガイド最速先行受付:3/1(fri)10:00~3/5(tue)23:59 [https://eplus.jp/outlier/]

一般発売:3/16 (sat) 10:00~
●イープラス [ https://eplus.jp/outlier/ ]
●ローソンチケット[TBC]
●BEATINK [ https://beatink.zaiko.io/e/outliertokyo/ ]


Bonobo|ボノボ
ジャンルや国境を超えて絶大なる人気を誇るボノボことサイモン・グリーン。2017年の『Migration』、そしてキャリア史上最もエモーショナルな最高傑作と評される2022年の『Fragments』は、いずれもUKチャート初登場5位を記録。これまでに7度グラミー賞にノミネートされている。2022年のフジロックでは熱狂した観客で満員のWHITE STAGEを完全ダンスフロア化し、フジロックの歴史に強烈な足跡を残し、世界ツアーでは、総計200万人以上の動員を記録。ライブセットのみならず、クールな曲と煌びやかな曲を自在にミックスするテクニックを駆使し、官能的かつ情熱的なDJプレイでも人気を集めており、2023年1月にO-EASTで行われた伝説的なDJ公演もSOLD OUTさせている。


Sofia Kourtesis | ソフィア・コルテシス
故郷である南米ペルーの陽気なセンスと、現在の拠点であるベルリンの野心的なクラブサウンドを融合させた、特異なエレクトロニック・サウンドで知られるプロデューサー/DJ。
昨年10月に〈Ninja Tune〉よりリリースされたデビューアルバム『Madres』は、コルテシスの母親と、母親の命を救った世界的に有名な神経外科医に捧げられたものであり、Pitchforkなど海外音楽メディアでも非常に高い評価を受けている。
今後のダンスミュージックシーンを引っ張っていく中心的存在として大注目の逸材。

label: Ninja Tune / Beat Records
artist: Bonobo
title: Fragments
release: Now On Sale

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12132

label: Ninja Tune / Beat Records
artist: Sofia Kourtesis
title: Madres
release: Now On Sale

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13606

interview with Tei Tei & Arow - ele-king

 いわゆるコロナ禍が一旦の終わりを迎えた2023年以降、ここ日本においてもナイト・ライフは復活を果たし、東京という手狭な都市には平日・休日を問わず多種多様なパーティが溢れかえっている。ただし、その姿形は2019年以前のものとは一変したようだ。

 2020年──世界中のクラブ、ライヴ・ハウスが閉鎖され、ほとんどの人が自室に縛り付けられていた、パンデミックの時代。しかし、そんな苦況でもアンダーグラウンドの水面下では新たな動きが同時多発的に発生していた。それこそがいま、2020年代の新たなクラブ・シーンを形成した発端であり、抑圧されたユースの底知れないフラストレーションと真っ直ぐな音楽愛を熱源に燃え盛っている「クラブ・オルタナティヴ」ともいえるムーヴメントなのだ。

 ラッパーが、DJが、バンドが、ひとつの空間上で交差し連帯する。シーン、ジャンル、界隈、リアル、フェイク、そんなしがらみはどうでもいい。とにかく、見たこともない景色と聴いたことのない音楽を浴びよう、場所がなければ作ろう、場所が失われることを食い止めよう。そうやって自然なクロスオーバーが各所で発生していった。そんな流れも2024年のいま、さらなる変容を遂げつつある気配がする。

 吹けば飛びそうな小さな火種をアンダーグラウンドで守り続けた立役者は枚挙に暇がないが、今回はコロナ前夜にコレクティヴ〈XPEED〉を立ち上げ、現在は(こちらもコロナ禍に誕生した)新宿のクラブ・SPACEでスタッフを務めるDJ/オーガナイザーのAROW亜浪(CCCOLECTIVE)と、中国から日本に移り快活にサイケデリック・ワールドを探検するTEI TEI(電気菩薩)の2名を証言者として迎え、コロナ禍のこと、それ以前のこと、そして未来についてざっくばらんに語った。聞き手はNordOst名義で2021年にDJとしてのキャリアをスタートしたパンデミック世代の音楽ライター・松島です。

どんどん自分でヤバいパーティ作ってみよっかな~って! 見たことないパーティ作りたいよ。(TEI TEI)

改めて振り返ると、TEI TEIちゃんは2021年のシークレット・パーティ「愛のテクノギャルズ」でデビューしてから大活躍ですね。

TEI TEI:2021年の6月ね!

TEI TEIちゃんが主催してるパーティ〈電気菩薩〉をはじめたのはいつのこと?

TEI TEI:2022年の終わりごろぐらい。だからいま1年ぐらいやってきた感じになるかな。

亜浪:1年しか経ってないんだ! スピード感ヤバいね。

サイケデリック・トランスから入って、いまはミニマル・テクノ的なアプローチになってるのもTEI TEIちゃんの面白いところで。

TEI TEI:でも、サイケから入って別の感じになっていったDJって多いと思うよ?

亜浪:その印象はあるかも。〈Liquid Drop Groove〉っていうレーベルをやってるYUTAさんのDJが好きなんだけど、インタヴューを読んでると「最初はトランスから入って、そのあとヒプノティック・テクノやミニマルに移ってった」って話をしてたし。

なるほど、そうなんだ。「サイケデリック」って冠してないジャンルにサイケ感を見出して、そっちに行くようになるってことなのかな? よりトリッピーな音を求めて。

亜浪:ちょっと大人になって……みたいなね。

2020年から今年で4年目になって、3年以上経ってるわけで。そうすると自然とみんな大人になってくだろうし、趣味も変わるしね。亜浪も、いまもう一度2020年11月に主催したシークレット・レイヴ〈PURE2000〉をやるのは難しいでしょ、初期衝動的なヴァイヴスのままだと(笑)。

亜浪:そうだね、絶対無理(笑)。

やっぱりあのレイヴに自分はすごく影響されて、DJやってみようかなと思ったきっかけでもあったし。TEI TEIちゃんはその頃からもう日本にはいたんだっけ?

TEI TEI:私、けっこう日本に来てから長いよ。もう8年ぐらいかな。最初は全然音楽のことわからなくて、「愛のテクノギャルズ」に出る前もそんな感じで。ageHaのサイケのパーティとか、富士山の麓のレイヴとかでなにも知らないけど遊んでて、誘われたからDJやってみたの。もう、本当に運命だと思う、私と音楽って(笑)。

ジャンル問わず、アンダーグラウンドと呼ばれるシーンで連帯が生まれやすかったのがコロナ禍だったよね。バンドとかラップのフィールドで活動してる人もそうだし、同じようなことがダンス・ミュージックの場でも起きていたなっていう。(亜浪)

コロナ禍で生まれた新しいクラブの動きを「ハイパー」みたいな言葉で総括することもあるけど、TEI TEIちゃんと電気菩薩はそういうシーンとは近くて遠い、よりアンダーグラウンドな場所にいたってことなのかな。僕らはあの時期、限られた遊び場を求めて自然と合流していった、というか。パンデミックがなければ、いまこうして3人で座談会をするなんて機会もなかったと思うし。具体的には2020年から2022年ぐらいまでかなと思う、シーンに点在してた人が一箇所に集まってた時期っていうのは。

亜浪:ジャンル問わず、アンダーグラウンドと呼ばれるシーンで連帯が生まれやすかったのがコロナ禍だったよね。それはライヴ・ミュージック、つまりバンドとかラップのフィールドで活動してる人もそうだし、同じようなことがダンス・ミュージックの場でも起きていたなっていう印象が強いかな。

いまはもうみんな、古巣とか実家みたいなところに戻っちゃった印象もあるけどね。

亜浪:でも、一度できたつながりが完全に消えるっていうのは、やっぱありえないからさ。たとえばシーンは全然違うけど、バンドのAge FactoryとラッパーのJUBEEがAFJBってバンドをはじめたりとか。あれはコロナがなかったら実現されなかった動きだと思うし、そのタイミングでメンバーもDJやビートメイクをはじめたりしてて。ああいうタイプのバンドがここまでミクスチャー的に動いていく、っていうのはほぼなかったんじゃないかな? もちろん、その背景にはオカモトレイジ君の〈YAGI〉みたいなパーティが入口の役割を果たしてくれてる、っていうのもあるだろうけど。

コロナ禍の時期ってとにかく表現の場が失われてみんな追い込まれてたから、既存のこだわりとか固定観念を超えた違う手段を見つける必要もあったしね。遊びに行く側も音の出る場所がなくて飢えてたところがあるし。亜浪が最初に〈XPEED〉を立ち上げたのは2019年ぐらい?

亜浪:うん、19年の10月ぐらい、コロナ前夜だね。幡ヶ谷のForestlimitからはじまって。

幡ヶ谷Forestlimit、中野heavysick zeroとかの、ライヴ・ハウス性も持ったクラブではじまったんだよね。

亜浪:そうだね、でも次第にクラブのなかだけでやるのも違うな、って思って野外でやったのが2020年の〈PURE2000〉だった。

〈PURE2000〉は、その前に同じ川崎のちどり公園でやってた〈SLICK〉の初回で体験したことに感化されて開いたレイヴだったんだよね。

亜浪:そう、〈SLICK〉の初回にめっちゃ感動して、「これを俺らでもやりたい!」って気持ちだけで動いてた(笑)。〈SLICK〉の7eさんたちに「どうやってここを借りたんですか?」とか、ゼロから質問させてもらったりして。本当に初期衝動的な感じ。

だからこそ今年の5月に電気菩薩が川崎・ちどり公園でレイヴをやるっていうのは結構感慨深いものがあって……(笑)。

亜浪:たしかにね!

TEI TEI:ありがと(笑)。そろそろDJのブッキングもしようと思ってる。やるのは24時間!

24時間やり続けるんだ!(笑)。

TEI TEI:フロアは2個ね。海側のエリアは使えないみたいなんだけど、見るだけの休憩スペースみたいにしようかな。まだ細かいことは決まってない、これからね。


2月、club asiaでおこなわれた〈電気菩薩〉のパーティ。提供:電気菩薩


2023年ごろからはベッドルームでDJソフトを触ってた子たちが集まる場としてのクラブ、っていう小さなパーティが急増した印象があって。「クラブの文脈を知らずに、フレッシュな感じでクラブを使って遊んでる」みたいなね。(亜浪)


電気菩薩のメンバーってどうやって増えていったの? TEI TEIちゃんのほかにインドネシアから来たDIV☆ちゃんと日本人のzoe、ハイテックやダーク・サイケのDJをやってるMt.Chori君、あとはダウンテンポで渋めのプレイをするOwen君(Beenie Pimp)と、パーマネントなDJは5人ぐらいだけど。

TEI TEI:メンバーは……じつは私、めちゃくちゃ適当な人だから、最初は友だちの感じで誘ってた(笑)。DIV☆ちゃんとは最初そんなに喋ってなかったけど、私のパーティに毎回来てくれてたから。zoeちゃんは私のすっごい仲いい友だちで、Chori君とはめちゃ会うんだけど、実はいまでもそんなに喋ったことなくて。Owenは私が派手なルックの子が好きだから誘ったの!(笑)

Owen君はドレッドで不良っぽいスタイルだけど選曲のセンスとかが激渋で、そういうギャップも込みでカッコいいよね。一周して、「派手さ」よりも「渋さ」をカッコいいと考えてそうな人もクラブには増えてきてる気がする。

亜浪:たしかに。新しいものは一旦拡がるところまで拡がったかな、って感じもあるし。ハイパーポップを飲み込んだ新しい音楽の流れにはまだ新しい余地はあるんだけど、もうすぐ天井が見えそうな雰囲気っていうかね。

トラップやドリル以降、日本語ラップのシーンがものすごく大きくなったのとかも関係してそうだよね。草の根的なクラブ文化と交わらなくても独立して存在できちゃうから。

亜浪:あと、コロナが明けたと言われてからすごく感じたのが、クラブの健全なイメージがさらに色濃くなったな、ってこと。自分がちゃんと東京のシーンを観測できてるのはここ7、8年ぐらいのことだけど、最初ヘルシーな感じで遊びに行けてたのが〈CYK〉のパーティとか〈YAGI〉とかで、そのあたりが入口として機能してた印象。行ってなかったけど〈TREKKIE TRAX〉とかもそういう感じだったんじゃないかなと思う。で、2023年ごろからはベッドルームでDJソフトを触ってた子たちが集まる場としてのクラブ、っていう小さなパーティが急増した印象があって。「クラブの文脈を知らずに、フレッシュな感じでクラブを使って遊んでる」みたいなね。これはこれでめちゃくちゃ面白い状況だな、とも思うけど。

一回コロナでそれまで続いてた流れが断絶したから、また新しい文脈がゼロからでき上がりはじめてるってことだよね、いまは。

亜浪:〈みんなのきもち〉とかにもそういう感じがあるかも。

彼らには独特のテック美学みたいなものがあって、先にブレインダンス的な快楽性があってから身体性にアプローチしてくような感じが強いからね。

亜浪:歴史のなかで見ていくと、縦の流れから生まれたというよりは横のつながりから自然発生的に生まれたような動きだよね。

ある種のデジタルな価値観って、いまのメインストリームな感覚になってってる気がする。だから逆にそうじゃないものを求めて、よりアンダーグラウンドで渋い感覚のあるところに向かっていくような動きもカウンター的に生まれてるのかな?

亜浪:まあ、パンデミックを経て明らかに絶対数も増えたからね。海外の人がまた入ってこられるようになってからは本当に爆発的な増え方をして、無数のパーティが毎週、毎日いろんな場所で開かれるようになったし。(コロナ期の)パーティへの飢餓感みたいなものは薄れたような気がするけどさ。


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CCCOLECTIVE #7 AROW open to lastにおけるアニメーション作家/イラストレイターのZECINによるライヴ・ペインティング。提供:CCCOLECTIVE


私たちを支えてくれたのは、もちろん日本のみなさんもそうだけど、やっぱ中国の子たち。小紅書(RED)っていう中国のインスタグラムみたいなアプリにめちゃ載せてたら、中国には電気菩薩みたいなレベルのテクノ~トランスのパーティが全然ないみたいで、文化服装学院とか東京モード学園に来てる留学生がめっちゃ多くて。(TEI TEI)

コロナ禍を経てTEI TEIちゃんとか僕とか、フレッシュな感じでクラブに面白さを見出していろいろとやってたら知らない間にDJになってたようなタイプも結構いるしね。まだ初心者マークが付いてるつもりだったけど、そうじゃなくなったのかも。単純にこの3人とも出演機会が増えたし。

TEI TEI:でも私、そんなにやってないよ。去年は66本ぐらい?

亜浪:いや、それも多い部類に入るんじゃない(笑)。

TEI TEIちゃんはとくに、一回一回がすごく大規模だったりしそうだし。

TEI TEI:野外とか多いし、そうかも。

亜浪:1回の出演で2、3日とか拘束されるわけだし、自分の持ち時間とかも多いだろうしね。

持ち時間でいうと、やっぱり東京のクラブの場合、文脈と一度切り離されたからこそショート・レングスのセット、40分以下みたいなスタイルが増えたっていうのはありそう。

亜浪:その辺の動きをSPACEのスタッフとして見てて思うのが、短いスパンでタイムテーブルを詰め込んでいくようなスタイルには課題もあるなってことで。もともとは箱ないしオーガナイザーからブッキングされて、フロアにいる人たちを楽しませて、お酒が出る雰囲気を作るような「職業としてのDJ像」があったと思うんだけど、ショート・レングスなパーティだとそこの部分が欠けてることもあるじゃん、ホームパーティ的なものの延長にあるコミュニティ的な動き方というか。コミュニティが大きくなるにつれて、それなりにしっかりした規模感のヴェニューでも通用するようになっていくと思うんだけど、そういうアプローチが通用する場っていうのはやっぱり限られるから、中の人たちのライフステージが変わっていくなかでプレイヤーの人口もまたグッと落ち込むんじゃないかな、って危惧してる。

結局のところ、現状遊びに来てくれてる人たちが飽きてしまったら終わる動きではあるし、それはたしかに課題かもね。

亜浪:もちろん否定するわけじゃないんだけど、それで経営的に成り立っているヴェニューもいまは少なくないわけで、縦の歴史的な結びつきが希薄だといつか破綻しちゃうんじゃないか、っていうのが心配。だから、さっき言ってた「渋い」じゃないけど、職人的な感じの強度にもフォーカスしていって、どちらも横断できる感性を育める土壌が作れたらクラブの経済圏と一緒に発展していけるんじゃないかな、って思うんだけど。

自分がまさに、最初期は過去育まれてきた文脈に一切目を向けないような感じだったからわかるなあ……いまは考え方を変えて、料理人とか職人みたいな気持ちでDJに臨むようになったけど。

亜浪:たとえばVENTなんかわかりやすいけど、あそこには下手なことができない空気感があるじゃん、出る側もやる側もテクノやダンスフロアの美学を尊重してるっていうか。撮影禁止だったり、一応ドレスコードがあることもあったり、と。雰囲気へのフィット感って、やっぱプレイヤー側はある程度意識すべき要素だよね。

最初はしがらみにしか感じられなかったんだけど、1~2年ぐらい経ってやっとTPO的なものがいかに大事か気づいた、遅すぎたけど。遊びに行く側としても、やっぱりそういうこだわりとか美学みたいなものが強く伝わる場所にいたいなって思うし。電気菩薩はそこのこだわりがすごく強そう。

TEI TEI:最初は西麻布のTrafficぐらいの規模でやってて、けどもうひとつ違う道を歩きたいな、って思ってclub asiaやWOMBを貸してもらったりして。私たちを支えてくれたのは、もちろん日本のみなさんもそうだけど、やっぱ中国の子たち。小紅書(RED)っていう中国のインスタグラムみたいなアプリにめちゃ載せてたら、中国には電気菩薩みたいなレベルのテクノ~トランスのパーティが全然ないみたいで、文化服装学院とか東京モード学園に来てる留学生がめっちゃ多くて。その子たちの友だちもいまは旅行でめっちゃ日本に来てるから一緒に遊びに来てくれるし、メッセージもめっちゃ来るの、「最近おすすめのパーティはある?」って。小紅書の私のフォロワーはそんなに多くないんだけど、中国のクラバーの子たちはみんな電気菩薩を知ってくれてたの。先週上海のPLAYGROUNDってクラブが私を呼んでくれたりもしたし、アジアではフレッシュなものとして見られてるのかなあ。

つまり、中国ではいま、まさにコロナ禍真っ只中の東京みたいな感じでみんな音に飢えてるような感じなのかな。熱気がすごそう!

TEI TEI:中国、実際いま電子音楽みたいなものがすごく流行ってると思う。ちょっと遅いけど、波が来てる感じ。中国で有名な『NYLON CHINA』って雑誌も、私たちのことをインタヴューしてくれたし。こういうことをやっている人は、まだ中国にはいないみたい。

亜浪:日本のDJも中国、台湾あたりにガンガン行ってるし、そういうアジアとの繋がりも今後強まっていけばいいね。

もしかするとこれから、2年半前のTEI TEIちゃんみたいに電気菩薩とかのパーティに感化されて、新しくDJになったり、音楽を作ったりする人もどんどん増えそうかなと。ただ楽しく遊んでただけなのに、そうやって道ができていくっていうのは嬉しいことだし、希望ですね。

亜浪:そういう動きはいろんなところで起き続けてそう。音楽に限らず、東京って狭くて広い街だから。クラブ・シーンってひとくくりにするにはあまりに広大すぎるし。

そのなかでも、よりアンダーグラウンドで音楽とクラブを本当に好きな人が集まってる場にやっぱり惹かれるよね。コロナ禍の異様な熱量ってやっぱり、現場への飢餓感があったからだと思うし、逆にいまは飽食の時代というか。これだけパーティが増えたのは素晴らしいことだけど、その分いろいろな場所を足で探さなくても自分にフィットする環境がすぐ見つかっちゃうから、広すぎるシーンの一角しか捉えられなくなっていくのかな、とか懸念があって。

亜浪:飽食の時代か(笑)。そういえば、自分の周りのクラバーは今年カウントダウン・イベントとかにも全然行かず思い思いに過ごしてたし、ある程度遊んできた我々世代はもうお腹いっぱいって感じなのかもね。

今年を堺に次のタームに突入しそうだよね。好きなものに飽きてきたら自然と自分で作ったり、別の場所を探したりするようになると思うし、ここ数年のトレンドが肌に合わなかった人は流れを変えたいと思ってるはずだし。

TEI TEI:私も、ちょっと飽きてきた(笑)。でも飽きたから、どんどん自分でヤバいパーティ作ってみよっかな~って! 見たことないパーティ作りたいよ。

そういえば、亜浪は新宿のSPACEで働いてどれぐらい経つんだっけ? 2021年のオープンから今年で3周年になるけど、新宿二丁目エリアに近くて繁華街と少し距離がある立地の感じとか、流れる音楽の多様性とか、ポップなデイ・パーティとディープなナイトタイムが共存してる感じとか、個人的には幡ヶ谷のforestlimitの次ぐらい好きな場所になりつつあるんだけど、そんなクラブでスタッフとして過ごしてみてどうだったかな。

亜浪:もうちょいで1年かな。感想か……疲れた!(笑)。単純に夜勤って体力的な消耗がヤバくて、遊びに行く感じとはまた違う話でさ。もちろんやりがいはあるけどね。あと、パーティを観るときの視点が良くも悪くも変わったかな。裏方の人の表情とかを観てその日がどういう雰囲気かを察せるようになったり、パーティの構成要素を隅から隅までチェックするようになったり。いままではタイムテーブルとかフライヤーの質感とかがパーティを構成する主要素だと思ってたけど、PAのオペレーションや箱の導線とか、いろんな物事が複雑に混ざりあってムードができてるんだな、ってことも知れた。

オーガナイザーがこだわってる部分が人それぞれで異なるからこそ、同じクラブでも日によってまったく違う景色が広がってるっていうのはあるかも。もちろん統一感がある場も最高だけど、同じ空間でおこなわれる表現で空気が一新されるような場所ってやっぱ好きだな。電気菩薩はその点、世界観づくりにすごくこだわってる印象なんだけど、どうでしょう。

TEI TEI:電気菩薩は、もう本当に出てくれる人が自由にやりたいことをやってほしい感じ。私、すごく適当な人だよ(笑)。毎回いい空間ができてることにすごいびっくりしてるぐらいだし。前回はSMパフォーマンスのお姉さんが出てくれて、私はどんなパフォーマンスなのかあんまり知らなかったんだけど、ロウソクを垂らしたりとかしてて(笑)。でもなんか、それも電気菩薩っぽかった。不思議!


2月、club asiaでおこなわれた〈電気菩薩〉でのダンス・パフォーマンス。提供:電気菩薩

電気菩薩は、もう本当に出てくれる人が自由にやりたいことをやってほしい感じ。前回はSMパフォーマンスのお姉さんが出てくれて、ロウソクを垂らしたりとかしてて(笑)。(TEI TEI)


電気菩薩に誘われた人たちが、無意識的にその空間に寄り添うようなパフォーマンスを寄せるでもなく自然体でやってくれてる、ってことなのかな。それってすごく理想的なパーティでカッコいい……。

TEI TEI:ね(笑)。いい空間が毎回ちゃんとできあがってくれて、ほんとにすごいなって思う。最初のころから出てくれてる友だちとかも、どんどんいい感じになってくれてるし。すっごい嬉しい!

パンデミックが一応終息して思ったのが、配信イベントとかの時期を経てVJや映像みたいなヴィジュアル面での表現とか、音以外のクラブを構成する要素の地位が上がったかもな、ってことで。アーティストと音が絶対的、みたいな力関係が崩れたような気がするんだよね。

亜浪:それは良いことだったかもね。フライヤーデザインだったり、会場のポップアップとか展示だったり、いままでサブ扱いされてた要素とその作り手も出演者だよ、ってパーティは少しずつ増えてってるような気がする。というか、そもそもDJも裏方であって、空間それ自体をみんなで作り込んでく、っていうのがクラブ像として昔からあったわけだし、若い世代のシーンも徐々に然るべき形に洗練されてってるのかな、とも。

尊重されるべきはフロアそのもの、というかね。自分含め、ライヴがなくなったからクラブに行きはじめたって感じのお客さんが多かった時期は、やっぱりDJもライヴ・アクトのような感じで観に行く人が多かったと思うんだけど、それだけじゃないっていうのは多くのユースが理解しはじめたのかな。

亜浪:いま(2023–2024)の感じがクラブ原体験になってる人たちが長く遊び続けてくれるかどうかの分かれ目って、自分の好きな物事以外の領域に、いかに興味を持ってもらえるかってことだなと思ってて。私がSPACEで毎月の最終水曜にやってる〈CCCOLECTIVE〉のブッキングは、とにかく人を見て決めてるところがあるんだよね。「この人とこの人がいたらこういうお客さんが楽しんでくれそうだな」っていうのをなんとなく予想して、そこと交わってないけど相性が良さそうなアーティストたちを違うフィールドからそれぞれ呼んでみて、出演者にもお客さんにも刺激を与えられたらいいな、って感じで。ただオルタナティヴな場所を目指すんじゃなくて、未来に繋がっていくようなパーティにしたい。


CCCOLECTIVE #7 AROW open to lastにおける空間演出。提供:CCCOLECTIVE

ただオルタナティヴな場所を目指すんじゃなくて、未来に繋がっていくようなパーティにしたい。(亜浪)


本当の意味でハブになるような場所を作ってくれてるわけなんだ。

亜浪:うん、交わってなさそうで交わってなかったところを繋いでいきたい。

いま各シーンで起きてることは、距離こそ近くても足がかりがないから今後ますます離れ小島みたいな感じになっていくんじゃないかな、ってちょっと心配してて。だから、そこに橋を架けてコミュニティ同士に連帯が生まれていけばいいな、と願うばかりです。音楽が好きで、クラブが好きなのはたぶんみんな同じだし、別に現場的な物事が好きじゃなくても、「ちょっといいかも」って思ってもらえたらいつかは合流できるはずだよね。

 

プロフィール

AROW 亜浪(CCCOLECTIVE)

DJ/オーガナイザー。新宿SPACEスタッフ。旧名Ken Truth時代にはSUPER SHANGHAI BAND、Usのフロントマンとして活動し、ロックとクラブ/レイヴ・カルチャーを横断するコレクティヴ〈XPEED〉を2019年に立ち上げ、2020年代の新たなオルタナティヴを創り上げた。2021年に改名し、現在はDJを主としたパフォーマンスを展開する。
2022年末に始動した〈CCCOLLECTIVE〉は、有機的な繋がりを持ったオープンな共同体を通じ、参加者に精神の自由をもたらすことを目標として掲げている、自由参加型のクリエイティヴ・プラットフォーム。これまで『Orgs』と題したパーティを昨年12月に下北沢SPREAD、今年4月には代官山SALOONにて開催。また、2023年8月からは毎月最終水曜日の深夜に新宿SPACEにて同名を冠したパーティを定期開催中。シーンを牽引するアーティストらを招き、実験と邂逅の場の構築を試みている。
https://www.instagram.com/917arow/
https://www.instagram.com/cccollective22/

TEI TEI(電気菩薩)

中国・北京より日本・東京にやってきたヒプノティック・サイケ・ギャルDJ。サイケデリクス表現を通過し、現在はテクノを主とした先鋭的でディープな音楽をジャンルレスにプレイ。母国文化や仏教的な美学など、汎アジア的な感覚をカオティックに表現するパーティ〈電気菩薩〉主宰。Re:birth、Brightness、EN Festival、ZIPANG Festival、和刻など全国各地の大規模野外レイヴに出演する傍ら、日々首都圏のディープなクラブ・シーンに硬質な華を咲かせている。
https://www.instagram.com/teitei08056/
https://www.instagram.com/denki.bodhisattva/

Chip Wickham - ele-king

 10年代UKジャズ勃興の一翼を担ったレーベルのひとつにマンチェスターの〈Gondwana〉がある。マシュー・ハルソールゴーゴー・ペンギンなど、エレクトロニック・サウンドも厭わない独自のスタイルが彼らの持ち味なわけだけれど、その周辺で活動してきたサックス/フルート奏者がチップ・ウィッカムだ(現在の拠点はマドリードの模様)。そんな彼の、まさにその〈Gondwana〉から送り出された作品が日本独自企画盤としてリリースされることになった。最新アルバム『Cloud 10』(2022)と最新EP「Love & Life」(2023)をカップリング、さらに未発表曲も追加したリッチな仕様で、発売は4月3日。チェックしておこう。

UKの新世代ジャズシーンを担う“Gondwana Records”からのリリースなどヨーロッパのジャズシーンで活躍するサックス/フルート奏者チップ・ウィッカムがついに日本国内盤リリース決定!しなやかで美しい円熟のフレイジングで魅せる、モダンでソウルフルな現代スピリチュアル・ジャズ決定盤!

GoGo Penguinを輩出するUKの新世代ジャズシーンを担う“Gondwana Records”や数多くのフロアヒットを放つスペインのジャズ・クロスオーヴァー系レーベル“Lovemonk”からのリリースなど、ヨーロッパのジャズシーンで活躍するUKブライトン出身のサックス/フルート奏者、チップ・ウィッカムがついに日本国内盤デビュー! キャリアのスタートとなるマンチェスターで磨き込まれたスピリッツに、THE NEW MASTERSOUNDS、Nightmares On Waxらの活動に参加することで培われたしなやかで美しい円熟のフレイジングで魅せる、モダンでソウルフルな現代スピリチュアル・ジャズ決定盤! “Gondwana Records”からリリースされた『Cloud 10』と『LOVE & LIFE』の楽曲に未発表の最新楽曲を追加した、全14曲75分収録のフルボリューム日本独自企画盤!

【Pre-order】
https://p-vine.lnk.to/TV9HNV

Chip Wickham (Live from Low Four Studio)
https://youtu.be/E3fDmoFTLbU

Chip Wickham | In Conversation (Commentary Movie)
https://youtu.be/rxNffsvU7HI

【リリース詳細】
アーティスト:CHIP WICKHAM / チップ・ウィッカム
タイトル:Cloud 10 – The Complete Sessions / クラウド10 – ザ・コンプリート・セッション
フォーマット:CD/DIGITAL
発売日:2024.4.3
品番:PCD-25389
定価:¥2,750(税抜¥2,500)
レーベル:P-VINE
*日本語解説付

【Track List】
01. Cloud 10
02. Stratospheric
03. Lower East Side
04. Winter
05. Tubby Chaser
06. Dark Eyes
07. The Hit
08. Before I Go
09. Hang Time
10. La Bohemia
11. Space Walk
12. Love & Life
13. Seven Worlds
14. Slow Down Look Around

【Musicians】
Chip Wickham: Tenor Saxophone/Flute/Alto Flute
Eoin Grace: Trumpet & Flugel
Ton Risco: Vibraphone
Phil Wilkinson: Piano
Simon“Sneaky”Houghton: Double Bass
Jon Scott: Drums
Jack McCarthy: Percussion
Amanda Whiting: Harp

All tracks written and arranged by Chip Wickham

【Chip Wickham(チップ・ウィッカム)】
UK/ブライトン出身のサックス、フルート奏者。マンチェスターでジャズを学びそのキャリアをスタートさせると、2000年代UKのジャズ、ソウル、トリップホップ、ファンクシーンに関わり、The Pharcyde、THE NEW MASTERSOUNDS、Nightmares On Waxといったアーティストの活動に参加、さらにMatthew Halsall率いるGondwana Orchestraに加わるなどUKを中心にスペインや中東など活動の幅を拡げていく。2017年に初のリーダーアルバム『La Sombra』をスペインのジャズ・クロスオーヴァー系レーベルとして名高い“Lovemonk”からリリース、さらに同じく“Lovemonk”から2nd『Shamal Wind』(2018)、3rd『Blue To Red』(2020)と立て続けに発表しヨーロッパのジャズシーンで存在感を高めていくようになる。2022年にはGoGo Penguinなど先鋭的なジャズ・ミュージシャンを多数輩出したUKの新世代ジャズシーンを担う“Gondwana Records”から4枚目のアルバムとなる『Cloud 10』を発表し、そのモダンでソウルフルなスピリチュアル・ジャズサウンドでUK/ヨーロッパではもちろんのこと日本国内でも高い評価を得ている。2023年に同じく“Gondwana Records”から発表したEP『LOVE & LIFE』が最新リリース。

【Official】
https://chipwickham.com/
https://www.instagram.com/chipwickham
https://twitter.com/chipwickham
https://www.facebook.com/ChipWickhamMusic

2月のジャズ - ele-king

  先に故オースティン・ペラルタの『エンドレス・プラネッツ』についてコラムを執筆したが、彼と同じく現代ジャズにおける重要なピアニストのひとりがヴィジェイ・アイヤーである。ニューヨークを拠点とする彼は、インド系移民の両親の間に生まれ、エール大学に進んで物理と数学を専攻し、その後工学と芸術の修士を得るためにUCLAに進んだという異色の経歴の持主。ハーバード大の音楽教授にも就任した彼は、ピアノはほとんど独学で学んだそうで、フリー・ジャズから即興音楽、現代音楽、さらにDJスプーキーやマイク・ラッドなどヒップホップ・アーティストとのコラボもおこない、クレイグ・テイボーン、ロバート・グラスパー、カッサ・オーヴァーオールら新世代ジャズの騎手たちとも共演するなど、幅広い活動をおこなう。


Vijay Iyer, Linda May Han Oh, Tyshawn Sorey
Compassion

ECM

 私が彼の名前を意識したのは2009年の『ヒストリーシティ』だった。マーカス・ギルモア(ドラムス)とステファン・クランプ(ベース)とのトリオによるアルバムで、ロニー・フォスターの “ミスティック・ブリュー” をカヴァーしている。ヒップホップのサンプリング・ソースとして有名なこの曲を、リリカルだが刺激に富む演奏で覚醒した新しいジャズへと導いていた。様々な演奏形態で活動するアイアーだが、ピアノ・トリオではギルモアとクランプとのトリオを続けた後、アジア系の女性ベーシストであるリンダ・メイ・ハン・オー、クラシック、ジャズ、実験音楽の多方面で高い評価を得る打楽器奏者のタイショーン・ソレイとトリオを組んで『アンイージー』(2019年録音、2021年リリース)を発表。ブラック・ライヴズ・マターに共鳴した楽曲や、多大な影響を受けた故ジェリ・アレンに捧げた楽曲を含むこのアルバムにおいて、過去の自身のレパートリーを新しいトリオで再演・再解釈しており、より自由でフレッシュな感性に満ちたアルバムとなっていた。それ以来のトリオ・アルバムが『コンパッション』である。

 『アンイージー』でもやったジェリ・アレンの “ドラマーズ・ソング” や、度々共演してきたロスコー・ミッチェル(アート・アンサンブル・オブ・シカゴ)の “ノアー” といったカヴァーがあるなか、目を引くのはスティーヴィー・ワンダーの “オーヴァージョイド”。スタンリー・クラーク、ネイザン・イースト、エスペランサ・スポルディングなどジャズ・アーティストのカヴァーも多いこの曲だが、“ミスティック・ブリュー” のカヴァーのとき同様に、知性的でしなやかな躍動感に富む素晴らしい演奏により新しい息吹を吹き込んでいる。“メイルストロム” “テンペスト” “パンジェリック”の3曲は、2022年におこなわれた「パンデミックの犠牲者のためのテンペスト」というプロジェクトのために作曲したもので、アルージ・アフタブ、ムーア・マザー、アンブローズ・アキンムシーレらとの大編成のグループで演奏した楽曲。コロナに限らず、歴史的にパンデミックの陰でアメリカでは黒人やヒスパニックなどの非白人が、十分な治療を得られないなどの理由で死に至ることが多く、それに関する批判やメッセージをトリオ演奏に乗せて伝えている。


Grégory Privat
Phoenix

Buddham Jazz

 カリブ海の仏領マルティニーク生まれで、フランスを拠点に活動するグレゴリー・プリヴァもヨーロッパを中心に注目を集めるピアニスト。マラヴォアのピアニストだった父親の影響でピアノをはじめ、クラシックを学んだ後はジャズや即興演奏へと進む。故郷のマルティニークを離れた後はパリに移住し、ベースのジャン・エマニュエル、パーカッションのウィリアム・ドゥベとともにトリオカというグループを結成。カリブの伝統的な打楽器である「カ」を用い、ジャズやカリビアンのメロディを融合させるのがグレゴリー・プリヴァの音楽である。初リーダー・アルバムの『キ・コテ』を2011年に発表し、続く『テールズ・オブ・シパリ』(2014年)でフランス・ジャズ界における期待の新星の名を決定づけた。この2作はアヴィシャイ・コーエンやティグラン・ハマシアンらをプロデュースしてきたヤン・マルタンのレーベルからのリリースで、そのティグランの後継としてスウェーデンのラーシュ・ダニエルソンによるリベレットというプロジェクトにも参加している。

 近年もピアノ・トリオ作の『ソレイ』(2020年)、ソロ・ピアノ作の『ヨン』(2022年)、ソロ・ピアノによる即興演奏集の『ニュイ&ジュール』(2023年)と充実した作品リリースを続けているが、新作の『フェニックス』は編成的には『ソレイ』を踏襲したもので、クリス・ジェニングス(ベース)、ティロ・バルトロ(ドラムス)とのピアノ・トリオ作となる。『テールズ・オブ・シパリ』では、1902年に故郷マルティニーク島で起こった火山噴火により町が壊滅した悲劇をテーマとしていたが、今回のフランス語のアルバム・タイトルはそれに繋がる。数万の犠牲者のなかで3名が奇跡的に生き残ったという大噴火だったが、その灰のなかから何度もよみがえる伝説の不死鳥を連想させるのが『フェニックス』である。グレゴリー・プリヴァのピアノはそうした不死鳥を思わせる躍動的なもので、悲劇的ではなく、むしろ生きる喜びを表現するとてもポジティヴで力強いものだ。そうした明るくスピリチュアルな演奏がアフロ・ラテン調の表題曲に表れており、ファルセット風のヴォーカルも披露する “テレフォン”、メランコリックな旋律のなかから徐々に光が差し込んで希望が生まれていくような “エリオポリス” など、マルティニークのカリブ文化とフランス文化が結びついたクレオール・ジャズを披露する。


Cosmic Analog Ensemble
Les Grandes Vacances

Jakarta

 中東のレバノンはフランスからの独立後も内戦が起こり、隣国のイスラエルやシリアとの紛争が長く続いているが、ジャズではイスラエルからの影響が見られる。イスラエルのリジョイサーことユヴァル・ハヴキンなどが新しいジャズを発信し、そうした影響が近隣諸国にも広まっている状況だ。コズミック・アナログ・アンサンブルはレバノンのベイルート出身のマルチ・プレイヤー/作曲家のシャリフ・メガルベンによるプロジェクトで、リジョイサーの影響を感じさせるジャズをやっている。実質的にシャリフがひとりで音源制作をおこなうプロジェクトで、「21世紀からのアナログ・サウンド」を標語にヴィンテージな楽器や機材を用いて音を造っている。ほかにザ・フリー・アソシエイション・シンジゲート、トランス・マラ・エキスプレス、ザ・サブマリン・クロニクルズなどの変名もあり、2010年代初頭からデジタル配信で作品リリースをしてきて、初めてLPをリリースしたのが2017年の『レ・スール・オレイユ』。ジャズ、ファンク、ヒップホップ、サイケ・ロック、ソウル、アフロ、アラブ音楽などをミックスしたもので、サントラ風のシネマティックな作品が並ぶアルバムだった。旧統治国であるフランス語を用い、フランス文化を感じさせるところもあってか、ジャン=クロード・ヴァニエが編曲したセルジュ・ゲンスブールのサントラを想起させるといった評価もなされた。

 その後、2022年の『エキスポ・ボタニカ』は中南米音楽の影響を感じさせる作品集で、全体に尺の短い楽曲が並ぶ一種のライブラリー的なアルバム。アンビエントやシネマティックな要素はより強くなり、リジョイサーの作品にも共通するムードを感じさせるものだった。それに続く新作の『レ・グランデ・ヴァカンス』もシャリフ・メガルベンがひとりで多重録音しており、各種ギター、ベース、ヴィブラフォン、ピアノ、各種キーボード、モーグ・シンセ、フルート、ドラムス、パーカッション、ドラム・マシン、ヴォーカルなどをこなし、フィールド・レコーディングスまで駆使している。鍵盤類でもハープシコードやメロトロンのような現在はあまり使わない古い楽器を敢えて使用し、また電子琴やテルミンなど風変わりな楽器も用いるなど、エキセントリックさが際立つものだ。今回も比較的短いライブラリー風の作品集で、1960年代や1970年代頃のシネ・ジャズを思わせる楽曲が並ぶ。5拍子のアラビア音階によるモーダル・ジャズで、ハープシコードや電子琴、メロディカがエキゾティックなメロディを奏で、そこにテルミンが絡んで妖しいムードを醸し出していくという唯一無比の魅力を持つ楽曲となっている。


DJ Harrison
Shades Of Yesterday

Stones Throw

 ソロ活動はもちろん、ブッチャー・ブラウンのメンバーとして精力的に活動するマルチ・プレイヤーのDJハリソン。プロデューサーとしてもカート・エリング、ヌバイア・ガルシアピンク・シーフ、フォンテ、ジャック・ホワイト、スティーヴ・アーリントンら様々なアーティストの作品に関わってきているが、2022年の『テールズ・フロム・ジ・オールド・ドミニオン』から2年ぶりの新作ソロ・アルバム『シェイズ・オブ・イエスタデイ』がリリースされた。前作はラジオ・ショー仕立てというところが鍵で、そのラジオから流れだす様々なタイプの音をコラージュさせたようなアルバムだった。一方、本作は「昨日の色合い」というタイトルが示すようにカヴァー集となっている。ビートルズの “トゥモロー・ネヴァー・ノウズ”、スティーヴィー・ワンダーの “コントゥーション”、ドナルド・フェイゲンの “IGY”、オハイオ・プレイヤーズの “スウィート・スティッキー・シングス” や “トゥゲザー”、シュギー・オーティスの “プリング” とジャンルは様々で、なかにはフランスのライブラリーものもあったりと、DJハリソンの好きな音楽を思いつくままにまとめた感じだ。

 レコード・マニアである彼は、タイラー・ザ・クリエイターとネタの交換をすることもあるそうで、そうしたところで見つけたのがシンタックススというフランスのグループによる “ランスロポファム”。1981年に作られたAOR調のフュージョン・ナンバーで、男性スキャットを配した南国風味漂う楽曲。ハリソンのカヴァーは原曲の風味をそのままに、スキャットをややコミカルにアレンジしており、ヴィンテージ感という点では原曲をさらに数年前に遡らせたような仕上がりとなっている。レコード・マニアと同時に楽器や機材マニアでもある彼は、リッチモンドにある自宅スタジオにヴィンテージな楽器や機材を揃えており、このアルバムもそうした環境のなかでオープンリールのテープを使って録音されたそうだ。そうしたアナログの良さを追求したアルバムでもある。

レコード蒐集家訪問記 第⼀回 - ele-king

 近年、世界中で拡がり続けるアナログ・レコード。⾳楽メディアとして⼈々の記憶から⼀度忘れられかけたものの、今では⾒事に表舞台に復活しました。しかし東京のレコード店の多さが最多であった90年代頃と⽐べてみると、当時の規模にまではまだまだ拡大していない状況。若い世代も今はレコードを聴く⼈が増えてきているようですが、実際にどのようなレコード・コレクションをしているのでしょうか?
 そんな疑問を抱えて、とあるミュージシャンの30代男性(若くもないですが・・)宅にVGAチームで⾶び込み取材を遂⾏致しました。

[今回のレコード・コレクター]

齋藤辰也 / chill blankhead(1989年生まれ)
DJパーティー<Cosy Inside>主宰。パブリック娘。メンバー。CDとレコードが大好き。

***

 埼京線で渋⾕駅から15分。我々は⼗条駅に降り⽴ちました。東京都の北に位置する、その名の通りの北区にある小さな街、⼗条。駅前ロータリーに不穏な影を落とす建設途中のタワマンに背を向けて、小さな商店街を⼀歩⼊るとそこは古き良き⾵情あふれる街並み。昔ながらの喫茶店や⾷堂、⾦物店などの個⼈店がずらっと並び、活気のある空気がなんだか昭和にタイムスリップしたかのよう。
 そしてしばらく進むと左⼿には大きな演芸場が突如出現。お年を召した⽅々が次々に場内に吸い込まれています。ここは1951年に開業された歴史ある大衆⽂化施設。こんな小さな街の路地裏に演芸場がある珍しい光景は、まるでアメリカ郊外の小さな街の映画館を想起させます。そんなレトロ感が漂う商店街を抜けてしばらくすると男の⾃宅に到着。
 事前に得た情報では、けっこうディグっているということでしたが、30うん年レコードを掘り続けている我々VGAチーム。期待値半分で扉を開けましたが・・・・

---レコードに浸⾷されてますね。(床にじかに⽴てかけられたレコードが倒れてくる様を⾒ながら)このレコードが崩れてくる感じも懐かしい。まるで浪⼈⽣の部屋ですね。⾃分の居場所はあるんですか?

齋藤:⼀応あります。いまはマットレスを外で天⽇⼲ししていて、ついでにレコードの並びも整理しようとしたら途中で時間切れになってしまい、かえって散らかってしまいました。すみません。
それでこの辺が前にお話しした同じアルバムをひたすら集めたレコード・コレクションです。(レコード棚の背表紙を⾒ながら)こっからここは全部ピンク・フロイドの1st アルバム、『夜明けの⼝笛吹き(The Piper at the Gates of Dawn)』ですね。

---え!これ全部??

齋藤:そうです。そしてここからここまではヴェルヴェット・アンダーグラウンドの3rd。
こっちはドアーズの3rd。こっちはナンシー・シナトラの・・・

---⼊室早々いきなりフル・スロットルできましたね。これだと話が続かないんで、とりあえずまずはレコードにハマったきっかけを教えてもらえますか?

齋藤:はい。中学⽣の時にビートルズを好きになったんですけど。⽗親はレッド・ツェッペリンの来⽇公演とかを⾒に⾏くような⼈だったのですが、海賊盤(ブートレッグ)のCDをたくさん持っていて。
僕もその影響でビートルズの海賊盤を聴くようになったんです。そして当時、⽗親がたくさん海賊盤の専⾨雑誌を持っていたのですが、それをたまたま⾒てしまったんですね。

---雑誌名が『Beatleg』っていうんですね。ずいぶんシャレがきいた名前ですね。

齋藤:⻄新宿で売っていた本で、レコードに⼊ってるミックス違いの⾳源についても書いてあったりして。レコードでしか聴けない⾳源もあるんだと。それでレコードの存在に気づいたんです。

---その頃は普段はCDを聴いていたのですか?

齋藤:そうですね。家にはCD しかありませんでした。⽗親からはレコードの⽅がCD よりも⾳に迫⼒があるんだというような話を聞かされていました。その後、⾼校⽣の時に付き合った相⼿が部屋でレコードを聴いているのを⽬の当たりにしてすごく羨ましくなって、レコードだけの⾳源が⼊ってるアルバムはレコードを買うようになりました。ただ、機材にほとんど関⼼がなくて、実際に⾃分のターンテーブルを買ったのは大学を卒業する直前なのですが。

---そこからレコードを買い始めてこんな偏愛的な蒐集をするようになるんですね。ちなみにサブスクは使⽤しますか?

齋藤:課⾦の契約はしていないですね。モノじゃないものにお⾦を払うのが嫌なので。

---「モノじゃないものにお⾦を払いたくない」名⾔ですね。ソウルやジャズよりもロックが好きなんですか?

齋藤:ロックが⼀番好きですがジャズもヒップホップも聴きます。ソウルは奥が深そうでそんなに聴いていないですが、ジャズで好きなのはセロニアス・モンク、ニーナ・シモン、コルトレーンのフリーの頃とか。あとはガボール・ザボ。彼のギターはシド・バレット(ピンク・フロイドの初期中⼼メンバー)に似ている気がして好きです。けど今でもレコード店に⼊って最初に⾒る棚はビートルズの新⼊荷コーナーですね。

---ピンク・フロイドの1stの物量、すごいですね。いったい、何枚持っているんですか?

齋藤:40枚以上ですね。CDも合わせると60枚以上あると思います。あとはカセット・テープもありますね。

---そんなに同じものばっかり買うのはなぜですか?ピンク・フロイドの他のアルバムは聴かないんですか?

齋藤:他のアルバムには全く興味ないんですよ。

---えー?!それはすごいですね。

齋藤:僕はシド・バレットが好きで、彼は1stアルバムにしか参加してないんです。なのでピンク・フロイドのファンではないです。

---じゃあソロも追いかけてるんですか?

齋藤:もちろん、シド・バレットのソロも聴きます。でも2枚しか出ていないのですぐに終わっちゃう。なので、もっとシド・バレットを聴きたいと思ったら1stを深く掘るしかないんですよ。

---深く掘るということはどういうことですか?

齋藤:これらは全部プレスされた時期や国が違うんです。なのである意味、全部違うレコードなんです。

---なるほど。シド・バレットを追いかけてたくさん聴くためには1stアルバムのプレス違いをたくさん聴くしかない。物理的な理由なんですね。

齋藤:シド・バレットはまだピンク・フロイドがブレイクする以前のこのアルバムで脱退しているんです。引退後も引きこもりを続けていたらしいので、彼はこのアルバムが世界中で評価されたということを知らなかったんじゃないのかなと思いまして。彼の代わりに僕が聴いてあげています。

---完全に憑依してますね。じゃあプログレが好きなわけではないんですね?

齋藤:その通りです。僕は同じ⽳をずっと掘り続けていたいんですよ。プレスが違う盤がどんな⾳がするのか聴いてみたいんですね。

---このピンク・フロイドの1stの中でも⼀番思い⼊れのある盤はどれですか?

齋藤:この初回の⽇本盤なのですが、この帯は偽物でカラー・コピーなんです。

---ずいぶん綺麗にできていますね。

齋藤:これはネット・オークションで落札したのですが、売り⼿の⽅は正規の「帯付き初回⽇本盤」を⼿に⼊れた事で「帯なし」を出品したらしく、その⽅が帯をコピーして「おまけ」でつけてくれました。

---とても親切な⽅ですね。偽物の帯かもしれないけれど、完品の気分を少しだけ味わうことができる。いい話です。

齋藤:この「帯なし」の⽇本盤はたしか4万円くらいしたんですけれど、「帯付き」は本当に珍しくて市場に出てもおそらく100万円くらいするんで僕には無理ですね。

---100万円!ただの印刷物の有無で価値が20倍以上になるってすごいですね。ところで今までで⼀番⾼い買い物をしたレコードはなんですか?

齋藤:L'Arc‐en‐Ciel のアナログBOX ですね。これは関係者のみに配られた⾮売品なんですよ。

---(失笑)

齋藤:ギリ1桁万円でした…。今はもっとするみたいです。

---ピンク・フロイドから急にL'Arc-en-Cielが出てくるとは思いませんでした。

齋藤:小学⽣の頃に好きだったんです。それに、シド・バレットのスペルがSYDである経緯とハイドのスペルがHYDEである経緯はヒジョーに似ておりまして…

---これは我々おじさんには理解ができない部分かもしれません。普通、小学⽣のときに好きだったものって⾃分の⿊歴史として⼼の奥底にしまっておきたい。たまに懐かしくなって聴きたくなる気持ちもわかりますが、大⼈になってからそれに10万円出したいとは絶対に思わないですね。⾃分の⾳楽遍歴の進化の過程で捨てていったものでもあるので。

齋藤:L'Arc-en-Ciel は僕の⾳楽の原体験として強く根付いていて、大⼈になってからレコードがあるって知った時に絶対に買おうって決めていました。

---他は何かありますか?

齋藤:次に⾼いのはL⇔Rですかね。これも⾮売品の7インチですが、1インチ約1万円くらいしました。L⇔Rはコロナ以降に好きになったバンドですね。あとはかなり安値で買えましたが、レア度が⾼いのはエミネムの⾃主盤ですね。

---なるほど。それにしても⾊々なジャンルを聴いていますね。感性がナチュラルというか。我々が若い頃は趣味の範囲をある程度、制限しなければいけないような⾵潮がありました。
今のように簡単に⾳楽がなんでも聴ける時代ではなかったこともあって、⽅向性を絞って聴かないと知識を増やすことができなかった。今の若い世代の⽅が聴き⽅が⾃由で他ジャンルにも寛容かもしれません。

齋藤:今は聴き⽅を狭くしていることの⽅が不⾃然だと思いますよ。

---普段はどこでレコードを買いますか?

齋藤:実店舗でもインターネットでも買いますが、最近は店舗の⽅が多いです。できれば大型店ではなくて街の小さな中古レコード店にお⾦を落としたいと思って、昨年は特にそういうお店にたくさん⾏きました。

---レコードを売ることもありますか?

齋藤:売るときはオークションなどのネット販売は⾯倒くさいので、こちらもお店の買取サービスを利⽤します。

---⾃分以外のレコード・コレクターで尊敬してる⼈はいますか?

齋藤:先ほどの海賊盤の専⾨雑誌『Beatleg』でビートルズの記事を書いてる小沢大介さんという⼈がいまして、この⼈は本当に公式リリースのレコードは⼀切買わないらしいんです。海賊盤しか買わない。
知⼈が小沢さんの⾃宅を訪問したらしく「レコード棚の背表紙が全部真っ⽩だった」という話を聞いて感銘を受けました。海賊盤ってジャケットが無いので。

---それはすごく濃厚なコレクションですね。

齋藤:今、僕が持っているレコードの枚数って2000枚程度ですけれど、枚数をたくさん持っている事が良いとは思わないんですよ。それよりも内容の濃さに興味があるんです。
その⼈の大事にしているポリシーがコレクションの中⼼にある事が良いと思ってます。

2024年1⽉某⽇

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 今回、我々にとってカルチャーショックだったのは、⾳楽の聴き⽅に全く垣根がないということでした。ヒップホップからLʼArc-en-Cielまで聴いている事を⾃信たっぷりに話す姿がとても新鮮でした。彼がそういうタイプなのか、それとも今の若い⼈たちの傾向としてそうなのかは今回の取材だけではわかりませんが、昔はターゲットを絞って集中的に深く掘り、そのジャンルを極めるということが良いとされていました。さらに我々よりも上の世代は「ジャズならこう、ソウル、ブルースはこう聴くべき」というような⽂脈に沿った聴き⽅が常識で、そのカウンターもあって⼀般評価されていないものを「格好良い」という尺度でディグするレア・グルーヴ世代が誕⽣しました。今はさらに広く深く、好きなものを好きなだけ聴けるようになった時代。いろんな体裁にこだわる必要がなくなったのかもしれません。
 ⾃由な聴き⽅がその⼈の個性になっていき「好きなものは好き」と皆が⾃信を持って⾔える時代になった。そう考えるととても素晴らしいことだと思いますが、⼀⽅でSNS やネット情報ばかりに⾝を委ねるばかりではなく、時には本を読むなど先⼈の蓄積したデータや歴史を学ぶことはいつの時代も大切なことです。体系的に捉えた上で⾃らの趣向にあった取捨選択が、よりリアルなレコードのディグに繋がるということを⽼婆⼼ながら記しておきたい。
 いずれにしてもネットやサブスクがあるにも関わらずフィジカルにこだわり、コスパも効率も悪いレコード盤に特別な愛着を感じてコレクションしていく彼の姿勢にはリスペクト。
レコードには世代を超えて⼈を惹きつける魔⼒があるんですね。

VINYL GOES AROUND
⽔⾕聡男
⼭崎真央

Josh Johnson - ele-king

 シカゴ・アンダーグラウンド・カルテットやジェフ・パーカー&ザ・ニュー・ブリードマカヤ・マクレイヴンらシカゴ系の作品に参加、昨年は〈Blue Note〉から出たミシェル・ンデゲオチェロ『The Omnichord Real Book』に加勢するなど、着々と活躍の場を広げているLAのサックス奏者、ジョシュ・ジョンソン。最近ではスローソン・マローン1が影響を受けたアーティストとしてその名を挙げていたけれど、そんなジョンソンによる、2020年のソロ・デビュー・アルバム『Freedom Exercise』以来となるセカンド・アルバム『Unusual Object』がリリースされる。エレクトロニクスも用いたエレガントなサウンド、「アンビエント・ジャズ」とも呼べそうな音楽に注目です。

Josh Johnson『Unusual Object』
2024.4.24 CD Release

グラミー賞2024でオルタナティブ・ジャズ部門を受賞し話題になったミシェル・ンデゲオチェロの『The Omnichord Real Book』をプロデュースしたジョシュ・ジョンソンの最新アルバムがCDリリース!! 今、世界が注目する彼が出した、ジャズの未来への答えがここに。

ジョシュ・ジョンソンのソロ・デビュー作『Freedom Exercise』は少しずつ、しかし着実にリスナーの心を捉えていった。彼はゆっくりとしたペースで本質的なことをやり遂げる。グラミーを受賞したミシェル・ンデゲオチェロ『The Omnichord Real Book』のプロデュースで脚光を浴びる中で届けられた本作は、作曲と演奏を研ぎ澄ませ、よりピュアな音楽性が表出されている。ここに刻まれたサックスも電子音も、紛れもなく彼のサウンドであることを証明している。アンビエント・ジャズ、敢えてそう形容したくなる、繊細で美しく、オリジナルな、間違いなく彼の代表作となるアルバムの誕生だ。 (原 雅明 ringsプロデューサー)

※日本限定盤CD(輸入盤CD の国内入荷&流通は、ございません)
※Tシャツ付きは初回受注生産限定セット、限定店舗のみの取り扱いとなります。

【リリース情報】
アーティスト名:Josh Johnson (ジョシュ・ジョンソン)
アルバム名:Unusual Object (アンユージュアル・オブジェクト)
リリース日:2024年4月24日
フォーマット:CD, CD & T-shirts set
レーベル:rings
品番:RINC122
JAN: 4988044098756
価格(CD): ¥3,080(tax in)
価格(CD & T-shirts set): ¥7,260 (tax in)
販売リンク:[予約]ジョシュ・ジョンソンの2ndアルバム「Unusual Object」数量限定CD+Tシャツセットが発売決定|ニュース&インフォメーション|JAZZ|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net
オフィシャルURL: Josh Johnson / Unusual Object – rings (ringstokyo.com)

Tracklist:
01. Who Happens If
02. Marvis
03. Telling You
04. Quince
05. Deep Dark
06. Jeanette
07. Reddish
08. Sterling
09. Local City Of Industry
10. Free Mechanical
11. All Alone
12. Bonus Track追加予定

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