「KING」と一致するもの

interview with Prefuse 73 - ele-king


Prefuse 73
Rivington Não Rio + Forsyth Gardens and Every Color of Darkness

ElectronicHip Hopabstract

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プレフューズ73の帰還。これは2015年のエレクトロニック・ミュージックにおける「事件」といってもいい出来事だ。

 プレフューズ73=ギレルモ・スコット・ヘレン。彼は90年代のDJシャドウ、モ・ワックスなどのアブストラクト・ヒップホップと2000年代以降のフライング・ロータスを繋ぐ重要なミッシングリンクである。時代はプレフューズのファースト・アルバム『ボーカル・スタディーズ・アンド・アップロック・ナレーティヴス』(2000)以前/以降と明確に分けられる。彼は偉大な革命者だ。エレクトロニカとビート・ミュージックを繋げることに成功したのだから。その革命者が帰還した。これを「事件」と呼ばずして何と呼ぼうか。

安易なクラブ・ミュージックみたいな音楽が氾濫するようになって、嫌になってしまった。

 事実、プレフューズ73名義の作品は2011年にリリースされた巨大な万華鏡のような『ジ・オンリー・シー・チャプターズ』以降、リリースはされていなかった。なぜ、プレフューズは沈黙したのか。それは私たちリスナーにとって大きな謎だった。しかしどうやら、彼の沈黙は「怒り」でもあったようだ。彼はこう語る。「同じような音楽を作っている連中が増えたのも事実だ。スクリレックスが悪いとは言わない。けど皆が彼の真似をはじめて、それまでのエレクトロニック・ミュージックが否定されたような気がしてしまった」と。こうも述べている。「安易なクラブ・ミュージックみたいな音楽が氾濫するようになって、ツアーしたときにも共演するアーティストがそういう連中ばかりになって嫌になってしまった」。そして「エレクトロニック・ミュージックがしばらくつまらなくなった」とも。

2013年10月にロサンゼルスでレコーディングをスタートさせて、結局2014年9月まで時間がかかってしまった。

 むろん、ギレルモ・スコット・ヘレンは活動を止めていたわけではない。彼は「活動休止をしていたわけではなくて過渡期だった」と語っている。そのかわりティーブスやマシーンドラムなどのアーティストと活発なコラボレーションを行い、自身のレーベル〈イエロー・イヤー・レコード〉を主宰した。また、昨年にはプレフューズ73として来日もしている。「今回のリリースに関しては、作品を急に出そうと決めたわけではないんだ」と語る彼は、プレフューズとして機が熟するのを待っていたのだろう。そして新しいスタートの準備を着実に進めていた。
 彼は大長い時間かけて録音・制作を行っていたのだ。制作期間は「2013年10月にロサンゼルスでレコーディングをスタートさせて、結局2014年9月まで時間がかかってしまった」と語っている。その成果が1枚のアルバム『リビングトン・ナオ・リオ』にまとめられたというわけだ。
 むろんアルバムを聴けばその時間も納得できるはず。精密で聴きやすく、ビートも深く、なおかつポップだ。今回は音質にもこだわったようで非常にクリアなサウンドが実現している。アルバムに時間がかかったぶん、EP『フォーサイス・ガーデンズ』と『エヴリカラー・オブ・ダークネス』(日本盤はアルバムとEPをまとめて2枚組にしている)は、スムーズに制作できたようだ。驚くべきことに数多くのアウトテイクも存在するという!

テクニックでありきではなく、作るべき音楽が先にあり、ごく自然に出てきたというわけだ。

 そして、古巣〈ワープ〉から離れ、ハウシュカやウィリアム・バシンスキーなどを擁する〈テンポラリー・レジデンズ LTD〉からアルバムとEPを発表する。その新レーベル移籍の理由をこう説明する。「(テンポラリー・レジデンズ運営の)のジェレミーは近所に住んでいて、すごくいい奴なんだ。〈ワープ〉は大きなレーベルで、長年〈ワープ〉からリリースしてきたから、今回はもう少しこぢんまりしたレーベルからリリースしてみたくなった。所属しているアーティスト数も多くないのでやりやすいね」。巨大レーベルに委ねるのではなく、自らの手の届く中で着実に作品をリスナーに送り届けること。そこには彼なりに「自由」への希求があるのだろう、
 その「自由」も追い風を受けるかのように、新作においては、〈ワープ〉後期においては抑圧していたビートと、封印していたヴォーカル・チョップが復活している。これぞまさに初期プレフューズを彷彿させるマイクロ・エディット・ビート/サウンドだ。彼自身は、それら「復活」については、「意図的でない」とさらりと受け流している。「今回のビートを作っている最中に自然にまたそれが出てきたんだ」。つまりテクニックでありきではなく、作るべき音楽が先にあり、ごく自然に出てきたというわけだ。

ニューヨークに住むようになった最初の頃を連想させるタイトルなんだ。

 この新作には『サラウンデッド・バイ・サイレンス』(2005〉以降のアルバムにあった重苦しさはない。ギレルモ・スコット・ヘレンも「『サラウンデッド・バイ・サイレンス』以前の作品のように満足のいく仕上がりだ。俺は自分の音楽に対して批判的になりやすいけどこの3つの作品は自分でも聴き返すし出来に満足している」と語っているほどだ。
 本作には、新しいスタート/新しい人生をはじめるかのようなフレッシュさに満ち溢れている。現在、彼はニューヨークを生活の拠点にしているというが、不思議なアルバムタイトルもこの街に関係しているようだ。「ニューヨークに住むようになった最初の頃を連想させるタイトルなんだ。ニューヨークのロウアー・イースト・サイドのリヴィングトン・ストリートに“ABC No Rio”というコミュニティ・センターがあるんだけど、プレフューズ73として音楽を作りはじめたときにこのセンターの近くに住んでいた。いまもその近くに住んでいる」。

自分にとってのいい音楽と悪い音楽をもっとクリアに判断できるようになったわけさ

 続けて彼はこうも述べている。「このアルバムにはとくにコンセプトはない。コンセプトを先に決めると束縛されたような気持ちになるから」。そう、あくまで自由。あの重厚な『ジ・オンリー・シー・チャプターズ』の迷路を抜けた先に、このような陽光に満ち溢れた音楽世界がまっていたとは誰が予想できたか。間違いなく、プレフューズ73=ギレルモ・スコット・ヘレンは帰ってきた。
 「宇宙をしばらく旅して、地球に戻ってきて、自分にとってのいい音楽と悪い音楽をもっとクリアに判断できるようになったわけさ」。そう語る彼の「いま」のサウンドに迷いはない。清冽でメランコリックで、ポップで緻密でクリアだ。この2枚組のアルバムは、偉大なるビート/エレクトロニック・アーティストの新しいスタートなのだ。

1999 年にリリースした『Eureka(ユリイカ)』は先鋭化と細分化きわまった90 年代音楽の粋を集めた作品であっただけでなく、その実験とポップの相克のなかにつづく2000 ~ 2010 年代のヒントを散りばめた、まさに世紀を劃す大傑作だった。

このアルバムでジム・オルークはシーンの中央に躍り出た。
多面的なソロワーク、秀逸なプロデュースワークに他バンドへの参加、映画音楽にゆるがない実験性を披露した電子音楽の傑作群、さらに2006 年来日して以降の石橋英子や前野健太とのコラボレーション―以降の活躍はだれもが知るとおりだ。

そして2014 年5 月、ジム・オルークは個人名義の「歌ものアルバム」を発表する。
そこには『ユリイカ』以後の年月に磨かれた何かが凝縮しているにちがいない。
それについて訊きたいことは山ほどある、というより、このアルバムを聴き尽くすこと、ジム・オルークを多面的に知ることは音楽の現在地を知ることにほからない、のみならず、おしきせの90年代回顧を覆す問題意識さえあきらかになるはずだ。
ジム・オルーク、新作を語り尽くす~超ロング・インタビュー
10人の批評家による新作大合評、関係者によるコメンタリー、本人監修による(もっとも完全にちかい)ディスコグラフィ

初回版のみフジオプロが描きおろすジムさん肖像画ハガキが綴じ込み付録!


Jim O’Rourke
Simple Songs

Drag City / Pヴァイン

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「オビがナイス」とのお褒めをいただいております『別冊ele-king ジム・オルーク完全読本』、ジムさんの新譜とともにいよいよ本日発売です。

 お伝えしていたとおり、初回版には、赤塚不二夫生誕80周年という記念すべき年を迎えるフジオプロさんが描き下ろしてくださった「ジム・オルーク肖像画ポストカード」が綴じ込まれています! これでいいのだ! 最高の一枚、ぜひ店頭にてお手に取ってご覧ください。

 それでは目次を大公開。新作『シンプル・ソングス』を語り尽くす超ロング・インタヴューに大合評、バンドメンバーおよび関係者が語るジム・オルーク、貴重な「完全?」ディスコグラフィに、過去記事の再録など、一冊まるごとジム・オルークづくしの永久保存版。

Tribute To Jim O’Roruke~ジム・オルークに捧ぐ 五木田智央

『シンプル・ソングス』と現在の考えを語る
~ジム・オルーク ロング・インタヴュー 佐々木敦+松村正人

『シンプル・ソングス』合評 北沢夏音、木津毅、畠中実、細田成嗣、松山晋也、吉田ヨウヘイ

証言1 石橋英子 私たちはジムさんのトリックにもりこまれて、そのときを一生懸命に生きている 松村正人

証言2 山本達久 好きなドラマーは誰ですか? 即答で「ジョン・ボーナム」って(笑) 細田成嗣 写真=小原泰広

ジムさん、タコでやりましょう! 山崎春美

ジムと歌 湯浅学

ジム・オルークと電子音楽 川崎弘二

ミュージック・コンクレートを呼びさませ 三田格

古い音信 佐々木暁

プロデュース・ワークをふりかえる 岡村詩野

証言3 坂田明 ジムが座長で、俺は花形 松村正人

ジム・オルークの特殊性 岸野雄一

即興者ジム・オルーク 細田成嗣

オルーク、ビルドゥングスロマン 虹釜太郎が語る90年代のジム・オルーク ばるぼら

アメリカから来た日本人 細野晴臣とジム・オルーク 中矢俊一郎

再録 ジム・オルークの選ぶ日本の作曲家15 ジム・オルーク

対談 五木田智央×ジム・オルーク 松村正人 写真=小原泰広

証言4 前野健太 僕の中のジム・オルーク革命 磯部涼

ジム・メイクス・サウンズ ジム・オルークの音響学 國崎晋

内容と形式がたがいを満たし合う ジム・オルークと映画 品川亮

証言5 須藤俊明 めちゃくちゃバンドです。バンド以上かもしれない 松村正人

証言6 波多野敦子 どう混ざり合い、ちがうものになれるか 松村正人

ジム・オルークのニホンゴ 渡邉美帆

再録 対談:ジョン・フェイフィ×ジム・オルーク トニー・ヘリントン

資料 ディスコグラフィ

表紙写真=タイコウクニヨシ
扉写真=菊池良助
目次・表3写真=中村たまを


■ele-king別冊 3号 ジム オルーク完全読本 -all About Jim O'Rourke-

編集:松村正人
判型:菊判 / 144頁
ISBN:978-4-907276-32-4
価格:本体1,700円+税
発売:2015年5月15日

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interview with Tyondai Braxton - ele-king

 さきほど深夜の原稿書きの息抜きにたまには豪勢にセブンイレブンのすばらしい100円のコーヒーでも飲んでこましたろかと外に出たらビジネスパーソンふうの男性(草食系)とおそろしくコンサバないでたちの女性が暗がりでいちゃついていてギョッとしたのである。公然とベタベタするカップルはなぜ割れナベに綴じブタのような方々ばかりなのか、あるいは私が数年来目撃してきたのはことごとくこのふたりなのか、ぞんじあげないが、ある種の協和の関係が再帰する構造はミニマリズムを想起させなくもない。俗流のそれである。ミニマル・ミュージックおよびそれをうちにふくむ現代音楽なることばがひとに難解なイメージをもたらすのは、彼らはその背後にスコアをみてとり、スコアは音楽に構成や構造や概念のあることをほのめかすからだが、いかに明確な指示や意図であってもひとが介在するかぎり、もっといえばそれが時間軸に沿った音による表現形態、つまり音楽であるかぎり、厳密な再現をもたないのはミニマル・ミュージックの第一世代はすでに喝破していた。むしろズレを包括したものとしてミニマル・ミュージックは後世に影響をあたえ、おそらくそれはミュジーク・コンクレートもおなじだろう。このふたつのクラシカルな形式の影がロックやクラブ・ミュージックのもはや短いとはいえない歴史に何度もあらわれるのはこのことと無縁ではない。そしてタイヨンダイ・ブラクストンほど、シリアス・ミュージック――と呼ぶのがふさわしいかどうはさておき──とポピュラー・ミュージックの先端に位置し、そのふたつの突端を見事に結わえたミュージシャンはまたといない。


Tyondai Braxton
Hive1

Nonesuch / ビート

ElectronicAvant-GardeJazz

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 いまさらタイヨンダイについてバトルズからときおこす必要はないだろうけれども、2000年代のオルタナティヴ・ミュージックを体現したこのバンドのフロントマンだった彼はバンド在籍時の2009年に実質ファーストにあたる2作めのソロ『セントラル・マーケット』を出し、翌年バンドを脱退した。『セントラル~』で彼はストラヴィンスキーのバレエ音楽に範をとり、バトルズのあの色彩感覚はおもに彼のカラーだったのだとあらためて納得させた先鋭性とポップさを同居させる離れ業をやってのけたのだがそれからしばらく音沙汰はなかった。『ハイヴ1』は6年ぶりのアルバムで、タイヨンダイは今度はリズムに主眼を置いている。打楽器からヴォイス・パーカッション、グリッチ・ノイズまで、リズムを構成するすべての音の音価と音色について。『ハイヴ1』ではそれらが交錯し干渉し逆行し、忘れてはならないことだが、ユーモラスでダンサブルでもある。お定まりの割れナベに綴じブタの関係ではないのである。

 質問の冒頭でザッパのことを訊ねているのは、『ハイヴ1』はヴァレーズを参照したと聞いたからで、ストラヴィンスキー~ヴァレーズはともにザッパが影響を受けた作曲家ということです。訊きたいことはもっといっぱいあったのだけど、時間もかぎられていたので仕方がない。彼は人気者なのだ。

■タイヨンダイ・ブラクストン / Tyondai Braxton
ポストロック/ポスト・ハードコアの重要プレイヤーが集結するスーパー・バンド、バトルスの元メンバーとしても知られるニューヨークの実験音楽家。バトルス時代の『ミラード(Mirrored)』(2007)のほか、ソロ・アーティストとしては2009年に〈ワープ(Warp)〉からリリースされた『セントラル・マーケット(Central Market)』がヒット。現代音楽の巨匠、フィリップ・グラスとのコラボーレション・ライヴなどを経て、本年、6年ぶりとなるソロ・アルバム『ハイヴ(Hive1)』を発表する。

僕とフランク・ザッパの関係性は複雑なんだ。

前作『セントラル・マーケット』がストラヴィンスキー、『ハイヴ1』ではヴァレーズの“イオニザシオン”を参照されたということですが、この影響関係はフランク・ザッパとまったくいっしょです。彼のことは(直接本作とは関係ないにしても)意識しますか?

タイヨンダイ:僕とフランク・ザッパの関係は不思議だ。彼のことはすごく尊敬している。彼の活動すべてを好きでなくても、アーティストとして尊敬することはできる。フランク・ザッパの音楽も一部は良いものだと思う。なかには、僕の好みでない音楽もある。僕とフランク・ザッパの関係性は複雑なんだ。僕は大学時代、ザッパについての授業を受けるはめになった。それまでザッパの音楽には興味をもたなかったし、彼のユーモアのセンスも理解できなかったから、はじめは授業を受けたくなかった。でも、授業を受けて、彼がどんな人物かを学んでから、彼に対する新たな尊敬の意が生まれた。だから、彼の音楽は共感できないものがほとんどだけれど、彼のことはとても尊敬している。彼がいままでやってきたことに、驚かされたものがいくつかある。

“イオニザシオン”は西洋音楽初のパーカッション・アンサンブルための楽曲だといわれます。『ハイヴ1』には、人間による打楽器演奏、リズム・マシーン、グリッチノイズなど、現在の音楽を構成する無数の打楽器音を総動員してつくった趣があります。このような作品を着想するにいたったきかっけを教えてください。

タイヨンダイ:きっかけはいくつかある。まず、打楽器に関して僕が興味を感じはじめたのは、打楽器をリズム楽器として演奏するのではなく、テクスチャーを生み出すものとして扱うということ。メロディとしては、扱えないかもしれないが、少なくともテクスチャーとして扱う。このアイデアは刺激的だと思った。僕はいまでもドラムがリズムを演奏するようなリズミカルな音楽も好きだ。だが、楽器にひとつの役割しか与えられていないという制限が好きではない。この機会を利用して、僕にとっての打楽器音楽がどのようなものかという探求をしたいと思った。リズミカルなサウンドとテクスチャルなサウンドが行き交うものにしたかった。それが第一のきっかけ。そこに、ヴァレーズやクセナキスなどの初期の打楽器音楽の影響が加わって今回のアルバムにとりかかった。

打楽器の演奏者と具体音、合成音でアンサンブルを組むにあたり、どのような手法、コンダクションをとったのでしょう?

タイヨンダイ:レコーディングしたときは、僕の意図など具体的な指示を演奏者に出すことができた。ライヴ演奏をするときは、演奏者はヘッドホンから鳴るキューを頼りにしているから、コンダクションは音声のキューがメインで、僕が実際にコンダクションをとっているというわけではないんだ。テクニック(手法)に関しては、先ほど話したように、リズミカルなパーツとテクスチャルなパーツをシームレスに行き交うというアイデアを追求した。テクニックとして、特定のパーツの焦点は何かということを理解することが求められた。あるパーツがテクスチャーを生み出しているとしたら、そのパーツのリズム要素にはあまり焦点を当てない……いや、そういうわけでもないか。テクスチャーを生み出しているからといって、テンポに合う演奏ができないともいいきれない。音楽がすべて楽譜で書かれているかぎり、テンポ通りに進むということだから。簡潔に答えるとすれば、アルバム制作で手法としたのは、リズミカルな要素に加えてテクスチャーとなる要素も意識するということ。

この機会を利用して、僕にとっての打楽器音楽がどのようなものかという探求をしたいと思った。リズミカルなサウンドとテクスチャルなサウンドが行き交うものにしたかった。

「ハイヴ」はもともとグッゲンハイム美術館でインスタレーションも含めたかたちで上演された、つまりサイトスペシフィックな作品だったわけですが、そういった作品を音楽作品におとしこむのはそもそもあったはずのある側面を捨象することになるのではないでしょうか? あるいは『ハイヴ 1』はそのヴァリエイションであり、その意味で問題なかったということですか?

タイヨンダイ:問題ないというわけではない。それが次なるいちばんの課題だった。「ハイヴ」は、インスタレーションとしてはじまったプロジェクトなのだけど、今回のアルバムが、ヴィジュアル要素や演奏される場所に依存することなく、ひとつの作品として機能することが重要だった。複数の次元で機能する作品でなければならなかった。僕がソロ・アーティストとして、この音楽を別のヴァージョンで披露した場合にも同じことがいえる。僕の演奏する音楽が、アルバムの様式を超越したもので、かつ、興味深いものでなければならない。また、それをやる理由も存在しなければならない。僕がソロの演奏をするとなった場合、バンドといっしょに演奏したものをどうやってソロでやるんだ? と疑問に思うだろう。その答えになるのが、アルバムの音楽で、僕が一人でやれることで、他の演奏者がいたらできないようなことを思いつくということなんだ。僕が今回、アルバムの音楽をつくる上では、そのような使命が課されていた。複数の次元で使える音楽で、様々な状況下で使える音楽をつくるということだね。


グッゲンハイム美術館にて

ミュジーク・コンクレートには現実音を抽象的にあつかう、または現実音を現実音そのものとしてあつかう、というふたつの考え方があると思います。あなたはどちらですか? またその理由について教えてください。

タイヨンダイ:アルバムを聴くと、その考え方の両方を行き来している感じがあると思う。限定された、定義しやすい要素を使うのは大切だが、その一方で、僕はその考え方を分解することも大好きだ。僕は、ふたつの考えのうち、どちらかを選択するというよりも、両方を取り入れられるという方法に刺激を感じる。たとえば、最初から抽象的なものから入るのではなく、あるアイデアを呈示してから、それを抽象化させる、など。もしくは、抽象的なアイデアから入り、それが徐々に明確なものに変化していき、題材のソースが明確になったり、題材自体が何であるかが明確になったりする、など。そういうバランスの取れた感覚が好きだね。

ミニマリズムという美意識は、テクノとクラシカルだけに存在するものではない。

『ハイヴ1』ではあなたのひとつの魅力である「声=ヴォイス」も全体を構成するいち要素としてあつかわれています。あなたはヴォイス・パーカッションも演奏されますが、その経験が『ハイヴ1』には影響していますか?

タイヨンダイ:もちろん。アルバム5曲めの“Amlochley”では、ビートの構成はすべてビートボクシングでできている。僕がビートボックスをしてつくったんだ。その他のサンプルにも、僕の声ではないが、他のひとの声を使っている。今回のアルバムでは、機能する領域が限られていたけれど、自分の声を使うという実験はとても重要だった。だが、自分の声をあまり使わないようにする、というのも強く意識した点だ。僕はバトルズというバンドでは歌っていたから、僕と声を連想するひとも多いと思う。そのイメージから離れて、他の試みをするというのは僕にとって重要なことだった。声という要素にちがったアプローチで取り組み、ミニマルな方法で扱いたいと思っている。

声といえば、ロバート・アシュリーのような音楽家の作品はどう思いますか?

タイヨンダイ:ロバート・アシュリーは大好きだよ。彼の作品の演奏を観られたことを光栄に思っている。近日、僕がまだ見たことがないオペラがニューヨークで上演される。彼が亡くなったことを知ってとても悲しかった。だが今後も、彼の音楽の数々を追求していきたいと思っている。

OPNやメデリン・マーキー(madalyn merkey)、D/P/Iなどの最近の作品を聴きましたか? 聴いたとしたらどう思われましたか?

タイヨンダイ:最後のふたりはよく知らないけれど、OPNの作品はすごく好きだ。彼は、すばらしいプロデューサーで作曲家だと思う。彼の活躍は、いつも僕をワクワクさせてくれる。

たとえばテクノにおけるミニマルと、クラシカルなミニマル・ミュージックのどちらに親近感をおぼえますか?

タイヨンダイ:両方だね。ミニマリズムという美意識は、テクノとクラシカルだけに存在するものではない。僕は、構成に対するミニマリストなアプローチに親近感をおぼえる。それがオーケストラ音楽であっても、エレクトロニック音楽であっても。各様式において、ミニマリズムという概念の解釈が独自の方法でなされていると思う。だから、こちらの方がもうひとつの方より興味深い、というわけではなくて、どちらもすばらしい音楽を生み出していると思う。

また、あなたはフィリップ・グラスの楽曲をリミックスした経験がありますが、ミニマル・ミュージックといえばグラスですか?

タイヨンダイ:もちろん、フィリップ・グラスは好きな作曲家の一人だ。すばらしい音楽家だと思う。スティーヴ・ライヒやジョン・アダムスといった、アメリカのミニマル・ミュージシャンが好みだ。彼らの音楽は大好き。とくにジョン・アダムスの音楽。みんな偉大な音楽家たちだ。

あまり情報量のない音楽でも、ある一定の音量で聴くと、非常に強いインパクトがある、というのはおもしろいことだよね。多くの人は、ミニマル音楽をそういうふうに聴こうと思わない。

以前ジム・オルークは「フィリップ・グラスを大音量で聴いて、これはファッキン・ロックンロールよ、と思った」といっていました。そして私は『ハイヴ1』も大音量で聴いてぶっ飛びました。この意見についてどう思いますか?

タイヨンダイ:その言葉はすごくうれしいね。僕の音楽で誰かがぶっ飛んだと聞けばうれしいにきまってる。あまり情報量のない音楽でも、ある一定の音量で聴くと、非常に強いインパクトがある、というのはおもしろいことだよね。注目を必要とする要素自体が少ないから、特徴がさらにはっきりとする。多くの人は、ミニマル音楽をそういうふうに聴こうと思わない。ミニマルとは、小さいと思われがちで、音量も小さくしなければいけないと思ってしまうからだ。だが本当は、ミニマル音楽は、大音量で聴いた方がインパクトが大きい。僕は元から音楽を大音量で聴くのが好きなんだけど、ミニマル・ミュージック全般を大音量で聴くと、すごくパワフルな体験ができると思っている。そういうふうにアルバムを聴いて、リスナーのみんなもアルバムを気に入ってくれるといいな。

「ハイヴ」アンサンブルでの来日公演の可能性はありますか?

タイヨンダイ:そういう機会があったらぜひやりたい。今回予定されている来日は、僕ひとりだけれど、「ハイヴ」を日本に連れてきて、アンサンブルをやる機会があればぜひやってみたいね。

では、ソロの予定はあるということですか?

タイヨンダイ:ああ。7月1日と2日。大阪と東京で公演がある。「ハイヴ」のソロ・ヴァージョンを披露するよ。

BLACK SMOKER - ele-king

 日本において〈ブレインフィーダー〉みたいなレーベルを探すなら、〈ブラック・スモーカー〉だろうね。ヒップホップと前衛ジャズ、エクスペリメンタル……昨年のハイプのひとつ、フライング・ロータスのライヴを見たあと、帰りにリキッドルームのKATAに寄ったら、ちょうどKILLER-BONGがDJしていて、こんな身近にこんなナイスな場があるじゃんとあらためて認識した。

 〈ブラック・スモーカー〉から出ている下山(GEZAN)のマヒトゥ・ザ・ピーポー のラップ・アルバム『DELETE CIPY』が話題だ。これはすごいよ。ロック・ミュージシャンが息抜きで作ったラップ・アルバムなんかじゃない。KILLER-BONG鋭くズレていくラップとトラック、奇才BUNのチョップしまくりの音響、いわゆるラッパーではないからこそ生まれるマヒトゥの独特のフロウ。SKILLKILLSのGURUCONNECTや高田音楽製作所のWATTERらもトラックを提供しているんだけど、ヒップホップという枠組みを確実に拡張する作品になっていると思うし、下山をシモヤマと読んでいる人も、これは聴くべきかもしれない。
 とくに10代~20代前半の、自分が社会からおいてけぼりになっているんじゃないかって気持ちを抱いている人にはマストよ。

PEEPOW A.K.A マヒトゥ・ザ・ピーポー

DELETE CIPY


BLACK SMOKER

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interview with Henrik Schwarz - ele-king

 ベルリンのハウス/テクノDJ、ヘンリク・シュワルツはそんなに多くのトラックを量産するタイプではないが、これまでにリリースした曲はどれもユニークで、印象に残るものばかりだ。

 最近では2011年に傑作アルバム『デュオ(DUO)』として結実した、ノルウェーの先進的ジャズ・ピアニスト、ブッゲ・ベッセルトフト(Bugge Wesseltoft)との共演、さらにその続編でベースのダン・バーグランド(Dan Berglund)を加えトリオ編成になった2014年の『トライアローグ(Trialogue)』を鮮明に記憶しているひとも多いだろう。それ以外にも、プリペアド・ピアノで有名なニック・バーチ(Nick Bartsch、スイス)やハウシュカ(Hauschka、ドイツ)とも共演。自分はMacやiPadでプログラミング/制御したヤマハの自動演奏ピアノを操り、それら鬼才との異世界インプロを成功させている。


Henrik Schwarz
Instruments

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 2013年11月、翌年に東京での開催を控えた〈レッドブル・ミュージック・アカデミー〉の前哨戦として〈ウイークエンダー(Weekender)〉なるイヴェントが行われ、そのオープニングとして企画されたのが築地本願寺におけるスペシャル企画、ヘンリク・シュワルツ・インストゥルメンツ(Henrik Schwarz Instruments)のコンサートだった。ヘンリクの楽曲をオーケストラ向けにアレンジしてクラシックのコンサートのように演奏するというプロジェクトの最終形態とも言えるもの。指揮の秋山愛美以下、日本のクラシック界の将来を担う若手演奏家27人が集まってTokyo Secret Orchestraと名づけられた一夜限りの編成。これまで組んだオーケストラよりも格段に若く意欲的であったこの楽団は、リハーサルからヘンリクの心を鷲掴みにしたようで、ライヴ録音されたその日の演奏は、ヘンリク自身によりエディットやミックスを施され、アルバムとしてリリースされることになったのだ。


ロイヤル・コンセルトヘボウにて、ネーデルラント室内管弦楽団と

■ヘンリク・シュワルツ / Henrik Schwarz
72年生まれ。ベルリンを拠点とするベテランDJ、プロデューサー。DJとしてキャリアをスタートさせ、後に作曲も開始、2002年に〈Moodmusic〉より『Supravision EP 』をリリースした。以降精力的に作品を発表しつづけ、2005年には『Leave My Head Alone Brain』 がヒット。現在もさまざまなアーティストとともに型にはまらない幅広い活動をつづけている。

ただテクノやハウスのトラックを模倣するんじゃなくて、もっと抽象的で、新しいアコースティック楽器のための音楽を作りたいんだとわかってきた。

あなたのDJミックス以外の初めてのアルバムがオーケストラとの共演で、クラシック専門レーベルから出るということに驚いたファンも多いのでは?

ヘンリク:僕自身もすごく驚いてるよ(笑)。そもそも、このプロジェクトがスタートしたきっかけは、4年前に〈Jazzopen〉というシュトゥットガルトのフェスに参加するオーケストラから、1時間の共演を依頼されたことなんだ。彼らはオーケストラの演奏にビートを加えるっていう形を提案してきたんだけど、それはつまらないしあんまり趣味がよくないと思って、かわりに自分がエレクトロニック・ミュージックの視点でオーケストラのために曲を提供できたら、そのほうがおもしろいことができるんじゃないかと話した。いつも自分は音楽で異なる世界の架け橋になりたいと思っているし、テクノとクラシックは遠く隔たりがあるけど、そこに挑戦するのは興味深いプロジェクトになると考えたのさ。

過去にクラシックの楽器を演奏していたことがあるんでしょうか。

ヘンリク:いや、正直言うと楽譜を読んだり書いたりもできないし、生楽器のこともあまりよく知らなかったんだ。だからオーケストラ側に、曲を譜面に起こすのを手伝ってくれるひとが誰かいないかと頼んだ。このアイデアを実現するには絶対必要な要素だからね。そうしたら、若いアーティスト、ヨハネス・ブレヒトを紹介してくれて、彼といっしょに作業することになった。彼はもともとクラシック畑の人間だったけど、ダンス・ミュージックに興味があったし、僕はクラシックを吸収したいと思っていたから互いの方向に進んだ感じだったんだ。僕らはとても気があって、プロジェクトは最初からうまくいく予感がした。最初は僕がサンプリングした楽器音を構成して、こういうことがやりたいんだって説明したよ。それから、リハーサルに入ったときに、あまりにいろんなことが起こりすぎて僕がちょっと制御できなくなったんだけど、最初の曲“ウォーク・ミュージック(Walk Music)”が流れはじめた途端に、『あ、これはすごくおもしろいし、うまく行きそうだ』という予感がして、すぐに継続していくことを決めたんだ。

けっこうな冒険ですね。もともとクラシックがすごく好きだったとか、そういう背景があるのかと思ってました。

ヘンリク:以前から興味はあったけど、深く入り込むことができなかったね。壁がある感じもあるし、あまりに膨大でどこから手をつけていいのかわからなかった。それで、このプロジェクトがはじまったころに知りあった、知識も経験も豊富なひとたちにガイドをお願いして、この4年間はたくさんクラシックを聴きまくったよ。

好きな作曲家を挙げてもらえますか?

ヘンリク:まず、モーリス・ラヴェルの大ファンだね。ただ、誰もが知ってる『ボレロ』じゃなくて、ピアノの曲の方が好きなんだ。もちろん、『ボレロ』の革命的なアイデアはすごいと思うし、なぜこれだけ皆に愛されるのかもわかるけど、僕はピアノの奏でる美しいハーモニーに惹かれる。それから、イーゴリ・ストラヴィンスキーも素晴らしいね。彼の『火の鳥』や『春の祭典』も革新的な楽曲だったと思うけど、バレエの音楽でダンス・ミュージックと強いつながりのある作曲家だよね。僕もずっとダンス・ミュージックをやってきたわけで、やはりそこは入りやすかったし、とても共感できたね。

写真をみるとヨハネスはすごく若いアーティストのようですが、あなたにとってよきパートナーであり、先生にもなったということですね。

ヘンリク:ダンス・ミュージックに興味を持っていたというだけじゃなくて、作曲編曲や楽器のこともよく知っている上、すべての作業をコンピューター上でやれたことも大きかったんだ。まずコンピューター内でシミュレーションができたし、すぐに音を聴いて確認できるのも重要だった。いつも僕がやってる手法だからいっしょにやることができたんだ。このパートはこの楽器でやったら合うんじゃないかっていうアイデアがあったら、それをすぐに試せるってことだからね。

過去にもDJやダンス・ミュージックのプロデューサーがオーケストラとの共演を試みたことがありました。たとえばジェフ・ミルズ(Jeff Mills)の『ブルー・ポテンシャル(Blue Potential)』プロジェクトとか。そういったものは、プロジェクトの方向性を決める上で参考にしましたか?

ヘンリク:もちろん。ジェフのプロジェクトはすごいと思ったし、実際あれがあったから僕も自分なりのアイデアでオーケストラと共演できるかもしれないと考えたんだ。ただ、ジェフが試みたことと同じことをやってもしょうがないし、もう一歩エレクトロニックな原曲からは離れた形でやってみようと決めた。僕の知るかぎり、過去の例ではほとんどの場合、オーケストラがエレクトロニック・ミュージックを模倣しよう、シンセみたいな音を出そうとしてるように感じたんだ。キーもテンポも原曲と同じで、キックが入ってくるケースも多い。僕はそういうものにあまり興味を感じなかった。最初のころは、単なる直感だったんだけど、進めていくうちに、ただテクノやハウスのトラックを模倣するんじゃなくて、もちろん最初のインスピレーションはそこから得るけれど、もっと抽象的で、新しいアコースティック楽器のための音楽を作りたいんだとわかってきた。

コンピューターに働いてもらって音楽を作るのは楽だよ。でも、オーケストラと仕事をするならメンバーと戦っていかなきゃならない。それは無益な戦いじゃなくて、みんな最終的にはいいコンサートをするために、美しい音楽を演奏するために主張して、戦うんだ。

なるほど。この東京での公演以前にも、ドイツなどで別のオーケストラとこのプロジェクトをやっていますが、何度か実験を繰り返してやっと満足のいくものができたという感じなんでしょうか。

ヘンリク:そうだね、ベルリン、スイスのチューリッヒ、オランダのアムステルダムでやった。じつは録音自体も3回トライしているし、まったく平坦な道のりではなかったよ。最初は、無謀にも全部自分でやろうとしたんだ。ベルリンの教会を借りて、ミュージシャンをそこに集めて録音した。でも、これは望んだようなクオリティには達してないと感じてね。後になって振り返るとヨハネスと僕とで、オーケストラを、あれだけの数の生楽器をきちんと録音するなんて絶対無理だった(笑)。その後アムステルダムと東京でも録音したけど、東京がベストだった。リハーサルで最初の一音を出したときから、Tokyo Secret Orchestraは素晴らしかった。情熱を感じられたし、雰囲気もヨーロッパのオーケストラと比べたらぜんぜんオープンだったしね。すごく感心したよ。


東京でのリハーサルの模様、Tokyo Secret Orchestraと

それに、あんな歴史のあるお寺の本堂でやるというのもすごく良かった。ルーム・アンビエンスも生楽器のユニークな響きにつながっていたましたね。築地本願寺でやろうというのは、レッドブル側のアイデアだったんですか?

ヘンリク:そうなんだ。オーケストラのメンバーのチョイスも手伝ってくれたし、今回のプロジェクトはレッドブルなしでは実現しなかったね。僕はあのお寺のことも知らなくて、最初に連れて行かれたときには本当にぶっ飛んだよ。いまでもあんな場所でコンサートができたことが信じられないし、一生忘れられない経験になった。

4年もこのプロジェクトをやってきて、なにか興味深い逸話、経験がありましたか。

ヘンリク:そもそもヨーロッパではクラシックの世界とDJが交わることもあまりないし、オーケストラの人たちに会うと、まず自己紹介からして大変なんだ。誰も僕のことなんて知らないし、まず“君は誰?”ってところからはじまり、“こちらはテクノのプロデューサーで……”なんて誰かに紹介されても“は? なんだって?”っていう反応だしね(笑)。それに、4年間これをやっているうちに楽しめるようになってきたけど、30人それぞれ別個の考え方や態度、個性を持ったミュージシャンが集まるわけだから、それをまとめるのはとてつもなく大変なんだ。そもそも演奏したくないって人、指揮者が気にくわないって人、曲が嫌いだって人、逆に曲が大好きだって人、木管がダメだって言う弦の人……もうとにかくいろんなドラマが楽団の中に渦巻いてて、こんなもの制御できるわけないよ! って思ったこともある。でも、そういう数々のドラマがすべて音楽に注ぎ込まれる瞬間があって、その美しさたるや素晴らしいものさ。コンピューターに働いてもらって音楽を作るのは楽だよ。文句を言ったりしないしね。でも、オーケストラと仕事をするなら、メンバーと戦っていかなきゃならない。それは無益な戦いじゃなくて、みんな最終的にはいいコンサートをするために、美しい音楽を演奏するために主張して、戦うんだ。

世界を駆けまわる人気DJになると、毎週末パーティ漬けの日々になり、なかなかスタジオに腰を据えてじっくり曲を作るなんてことをしなくなってしまうひとがほとんどです。一方あなたは、こんな大変そうなプロジェクトをいくつも抱えて、新しいことに挑戦している。どうやってそんなことを実現させているんでしょう。

ヘンリク:いい質問だな! ここ2年ほどは本当によくそのことを考えてきたよ。なにしろ、このアルバムのためにすごく長い時間を費やしてきたからね。DJのために旅に出て、帰ってきてまた即スタジオに入っていうのは難しい。心とスケジュールに余裕がないとダメだし、キツキツでやっていたらトゥーマッチな状態になってしまう。バランスが重要なんだ。それで制作にかける時間をもっと長く取ることにした。ただ毎日旅してパーティしてそれを続けるだけの、新譜さえチェックしてればいいというDJだったら、もうずっとそればっかりでもいいんだろうけど、プロデューサーとして創造を続けようと思ったら、それじゃダメなんだ。頭にもスケジュールにも“空き”がなくちゃいいものなんてできないし、自分が壊れてしまう。だから、僕が学んだことは、どんなに最高に思えるようなオファーでも断る勇気を持つこと、足るを知るということだよ!

フットワークを愛するひとたちへ - ele-king

 いやー、去年末の〈Hyperdub〉ショウ・ケースはすごかった。メインフロアはもちろんですが、セカンドフロアで行われていたWeezyたちによるKata Footwork Clubのダンス・バトルがハンパではなかった。D.J.FulltonoやTrekkie TraxのDJプレイに合わせて、ダンサーたちが激烈フットワークをかましているのを見ていた僕は楽し過ぎて思わず足を踏み出してしまい、危うくバトルがはじまりそうに……。

 そんなスリルを味わったことがある方とフッットワークを心から愛する方へ。今週金曜と来週月曜は彼らのホームであるLIQUIDROOMの2階へ集合しませんか? ダンサーであると同時に優れたプロデューサーでもあるWeezyあらためWeezyTheEra。15日の金曜日は彼のファースト・アルバム『THE FLOOR IS YOURS』のリリース・パーティが開催されます。EXS、sauce81、D.J.Aprilといった彼に馴染み深いDJたちも駆けつけます。もちろんフッチワークをしてもいい……、ハズ。

 そして週明け18日月曜日には、フットワーク・シーンのパイオニアTraxman主催の〈Tekk DJ'z〉に所属すDJ Innesがメルボルンから、Violet Systemsがシカゴから来日します。金曜と同様にD.J.AprilとWeezyTheEraやFruityたちも参加決定。もちろんKata Footwork Clubも集合! 今回もお馴染みのフットワークのレッスンがあるので、これでいきなりバトルに突入してしまっても大丈夫ですね。入場料も金曜日が1000円、月曜日が1500円ととてもお得なので、Let me see your footwork!

2015.5.15 friday
SHINKARON presents WeezyTheEra "THE FLOOR IS YOURS" Release Party!!!

Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
19:00-23:00
door only 1,000yen(with WeezyTheEra's Mix CD)

DJs:
WeezyTheEra(SHINKARON/TH王RA/Kata Footwork Club)
EXS(NTB)
sauce81(disques corde)
D.J.April(Booty Tune)
TEDDMAN(Booty Tune)
Deemc


2015.5.18 monday evening
Battle Train Tokyo feat. Tekk DJ'z

KATA[LIQUIDROOM 2F]
open/start 19:00-23:00
door only 1,500yen

Special Guest DJs:
DJ Innes(Tekk DJ'z from Melbourne)
Violet Systems(Tekk DJ'z from Chicago)
DJs:D.J.April(Booty Tune)
Fruity(SHINKARON)
Kent Alexander(PPP/Paisley Parks/NDG)
TEDDMAN(Booty Tune)
Dance/Footwork:Kata Footwork Club[Murahkey, Re:9, Takuya, Yamato, WeezyTheEra]


▼ DJ Innes(Tekk DJ'z from Melbourne)
Traxman主宰のJuke/Footworkクルー、Tekk DJ'zに所属するオーストラリア在住のDJ。オーストラリアではGaming Cult Podcastという番組を仲間のBoomaらと配信しており、Gaming CultというレーベルとしてもDJ Deeon、DJ Clent、DJ Earl、D.J.Fulltonoらが参加したコンピレーション"Gaming Cult Trax vol.1"やBags & Works参加アーティストDJ TroubleのEP"Eye of the Circle"を発表している。また彼自身も曲を作り、その作品は前述した"Gaming Cult Trax Vol.1"やTekk DJ'zのコンピ"The Tekk DJ'z Compilation Volume 1 Part 2"で聞く事が可能。上記した作品はいずれもBandcampで購入できる。
https://soundcloud.com/djinnes
https://culttrax.bandcamp.com/album/gaming-cult-trax-vol-1

▼Violet Systems(Tekk DJ'z from Chicago)
Traxman主宰のJuke/Footworkクルー、Tekk DJ'zに所属するシカゴ在住のDJ。過去には韓国に住んでいた事もあり日本にも何度か訪れている親アジアな側面もある事から日本のJuke/Footwork愛好家達にも名が知られている。Tekk DJ'zのコンピ"The Tekk DJ'z Compilation Volume 1 Part 1"への参加の他、九州は小倉のJuke/Footwork DJ、naaaaaooooo氏監修のEP"KOKLIFE Vol.1"に参加。またSoundcloud上でも精力的に作品を発表。Bandcampにてこの夏新作EPの発表を予定している。
https://soundcloud.com/entroemcee
https://violetsystems.bandcamp.com

▽ WeezyTheEra(SHINKARON/TH王RA/Kata Footwork Club)
国内ジューク/フットワーク・シーン最初期から活動するオリジナル・ジャパニーズ・フットワーカー。その活動はアグレッシブな高速フットワーク/ダンスだけに留まらず、トラックメイク、DJもこなすオールラウンダーとして国内シーンを支え続けて来た。2014年初夏には日本トップレベルの足技を武器にフットワーク総本山シカゴやニューヨークへ渡り、現地アーティストやダンサーと交流を深め、世界最高峰のフットワーク・クルーTH王RAに電撃加入。日本のキャプテンに指名される。これまでに所属レーベルSHINKARONより「ON NUKES EP」、「ON NUKES LP」をリリースしているほか、外部レーベルのコンピレーションにトラックを複数提供。また、自身のSoundCloudでも定期的に作品を発表している。2015年4月26日に待望のデビュー・アルバム『THE FLOOR IS YOURS』をリリース。今、活躍が最も期待されるアーティスト。BTTではフットワーク・レッスンの講師も務める。
https://weezytheera.wix.com/teklife
https://soundcloud.com/rioqmt
https://weezymarket.bandcamp.com
https://instagram.com/weezytheeralife

▼ D.J.April(Booty Tune)
Hardfloorでシカゴハウスに目覚め、そんなサウンドをのらりくらりと追いかけつつ、Jukeレーベル「Booty Tune」のPR&ARをしております。
https://twitter.com/deejayapril
https://bootytune.com

▼Fruity(SHINKARON)
ジューク/フットワークDJ、トラックメイカー。SHINKARON主宰。2009年パーティー"SHINKARON"を始める。2012年より同名をレーベルとしても始動させ、自身のの他、Weezy、Boogie Mann、吉村元年やDJ Rocなど国内外様々なアーティストの作品をリリースし続けている。2014年3月に1stアルバム"LET DA MUZIK TALK"を発表した。
https://shinkaron.tokyo

JAGATARA - ele-king

 じゃがたらの名曲の数々が、バンドのメンバーだった南流石、EBBY、エマーソン北村らによって演奏される。こだま和文も出演する──となればもう行くしかないですね。
 じゃがたら──永遠に語り継がれるバンド、永遠に演奏される音楽。新世界のホームページに今回のライヴに関する興味深いインタヴューが掲載されているので、どうぞご覧下さい。こだま和文さんのインタヴューには少なからず驚きました。今回は、こだまさんにとって手術後初のステージになるそうです。

※南流石、エマーソン北村・インタヴュー
https://shinsekai9.jp/yorimichi/archives/324
※こだま和文・インタヴュー
https://shinsekai9.jp/yorimichi/archives/332

 昨年は、ele-king booksはOTOさんの『つながった世界──僕のじゃがたら物語』を刊行しました。やはり、いまこんな時代だからこそますます「じゃがたら」っていうのもあると思います。西麻布「新世界」での2days、楽しみです!

じゃがたら新世界2015~Reborn of a ravel song.~

2015年5月22日(金)/5月23日(土)

会場:西麻布「新世界」https://shinsekai9.jp/2015/05/22/jagatarashinsekai1/

出演:南流石(ヴォーカル、ダンス)× EBBY(ヴォーカル、ギター)×エマーソン北村(キーボード)× 西内徹(サックス、フルート)× 服部将典(ベース)× スティーブ エトウ(パーカッション)× 関根真理(パーカッション) 
○ゲストヴォーカル:こだま和文/桑原延享(Deep Count)

料金:予約 4860円(税込)

チケット購入
ピーテックスのみの発売となります。
○5/22→https://peatix.com/event/84881
○5/23→https://peatix.com/event/84886


Mark Fell / NHK yx Koyxen - Potato tour 2015 - ele-king

 ナイン・インチ・ネイルズからトム・ヨークまでもが「ファン」を表明、先日はパウウェルのレーベル〈Diagonal〉からの新作リリースと、国際舞台での人気もますます上昇、みんな大好きNHK yx コーヘイが凱旋公演!
 今回はいつものパートナー、マーク・フェル(snd)も同行するのだが、もうひとり、な、なんとラッセル・ハズウェル──〈Mego〉系のアーティストで、メルツバウとの共作をワープから出したり、最近はパウウェルのレーベルからもアルバムやら12インチを出しているIDM界の裏巨匠的な変人──も来日する。
 これは、そうとうラジカルな電子音楽の一夜になるだろう。
 この興味深いラインアップに、DJではNOBUが加わる。
 東京公演は、5月22日の代官山ユニット。



(ちなみに、この日からおよそ3週後の6月13日には、NHK作品のリリース元である〈PAN〉のショーケースもあるんだよな。こっちはこっちで、すごいメンツです。テクノ・ファンは、両方行くしかないか)

■NHKコーヘイ・ツアー・スケジュール

5月 . MAY
20日 NHK Special,9 at DOMMUNE
22日 東京 . Tokyo at UNIT
Phantasmagoria - tba
23日 岐阜 . Gifu at EMERALDA
Taxis - with Dj Conqus, Miyata
24日 大阪 . Osaka at NEW OSAKA HOTEL
-:Consep:- - with Microdiet, Metome, Yaporigami, Yuki Aoe, DJ Mayumi☆Killer

30日 大分 . Hita at CMVC
with Microdiet
31日 香川 . Takamatsu at RIZIN

with SIX (Dj Zen x vj ツジタナオト), Dj Takimoto Hideaki, REM PLANET
6月 . JUNE
6日 台北 . Taipei at Korner
7日 香港 . Hong Kong at The Empty Gallery
with Lee Gamble

https://nhkweb.info/potato_tour.htm


 2012年にリリースされたPhewと小林エリカ(作家/漫画家)によるユニット=プロジェクト・アンダークのアルバム『ラジウム・ガールズ 2011』(音楽はクラスターのディーター・メビウスが担当!)は、じりじり迫る危うさと同時に、じつに眩しい光を持つ作品だった。筆者もそうなのだけれど、メビウスのシンプルで奥行きのある電子音の上を、事実と妄想を織りまぜたPhewと小林による声/テキストが乗るこのラジウム・オペラをきっかけに、「ラジウム」の恐ろしくも妖しい魅力に取り憑かれた人も多いだろう。そして、プロジェクト・アンダークの発想の元となり、ここでテーマとされる「ラジウム・ガールズ」——1920年代のアメリカのラジウム工場で、時計の文字盤に夜光塗料を塗るペインターとして働き、内部被爆した女工員たち——を主人公にしたドキュメンタリー映画『ラジウム・シティ』(1987)が、28年の時を経て、いよいよ日本で公開される運びとなった。

 ラジウム・ダイヤル社(RD社)が経営するイリノイ州オタワの工場で、ラジウムの知識などまったくないまま(なんと、1920年代には人体組織によく調和する奇跡の万能薬とされていた!)、ペイントする際に筆先をなめて尖らせるように指導されていた女工員たち。その後、少しずつ知らない間に汚染されて被爆していった彼女たちのなかには、腫瘍で命を落とす者や、骨障害を発症する者が現れ、多くの女性たちが苦しみとともに生き抜くことになる。
 そんなラジウム・ガールズたちの女工員時代の華やかな写真、被爆して病に倒れた頃の姿、その後、証言者として登場する彼女たちとその家族、舞台となったオタワの街の死んだような風景とそこで暮らす住民たち、そして、街のいたるところに投棄された放射性がれき、カリカリと不吉な音を立てるガイガーカウンター……。それらが郷愁をそそる古ぼけた映像と、牧歌的でときに宗教的な美しさをもつ音楽にのせて淡く、ただ淡く、淡々と映し出される。その様子に悲劇的なイメージはなく(当時の出来事をユーモアたっぷりに証言する最年長の被爆者、マリー・ロシターの骨格障害によって異様に膨れ上がった足が映されたときだけ一瞬ギョッ! とさせられたが……)、彼女たちがラジウム工場でさまざまな夢を描いて働いていた頃と同じように、そこにはっきりとした輝きと力強さを感じとることができる。マリーいわく「パン屋の2倍にあたる給料をもらい、家族の誰よりも高給取りだった」というラジウム・ガールズたちのとびきり無邪気でオシャレに着飾ったファッション(毛皮の襟のコート、絹のドレス、スウェードの靴を履き、後ろにはいつも高級車!)、フラッパーの時代を駆け抜けた颯爽とした佇まい、そして、自身で人生を切り開く粋なプライドは、その後の彼女たちに訪れる運命と断絶されることなく、いまも変わらぬ眩しい光を放っているのだ——なんと、彼女たちは仕事の合間に暗室でラジウムを顔に塗ったり、ヒゲを書いたり、ある者は歯に塗って笑ったりしてにらめっこ遊びをしていたという!

 そして、物語はラジウムにまつわる狂騒とラジウム・ガールズの宿命だけではなく、そこに立ちはだかる社会の理不尽を、これまた淡々と描き出す。地方に産業と雇用をもたらすという会社(資本主義社会)の口実で大量の女学生を雇い、「中毒のような症状はこれまでいっさいございません、労働条件も最高です」という声明を出すRD社。会社指定の病院に入院させられ2週間後に死亡。夜中の2時頃だというのに遺体をすぐに搬出して家族が知らないところに埋葬しようとしたり、解剖結果による死因をジフテリアにするなどの隠ぺい工作。被爆した少女を診せても「公表できない。職を失いたくないから」と言う医師。相談する弁護士も買収されているため、「できることは何もない。もうよそう、忘れよう」と泣き寝入りする父。元ペインターのキャサリン・ドナヒューがRD社を提訴し、敗訴したRD社がいよいよ閉鎖されるも、6週間後にはルミナス・プロセス社(LP社)と名前を変えて何もなかったかのように工場を開設。おまけに、第二次大戦中、ルーズベルト大統領とアインシュタインがLP社と密談し、女工員には何も知らされることなく、工場を隠れみのにラジウムを再加工して原子爆弾の材料を作らせるなど、悲しみも怒りも疑いも困惑も大きな波に吞みこまれ、さもありなんな様子で進行する狂気じみた現実にこちらのフラストレーションもモヤモヤもたまるばかりだ。

 そんな理不尽な物語のなかで、マリーのユーモラスな語り口とともに、至極真っ当な行動でわれわれを安心させてくれるのがケン・リッキである。波風を立てず、流れに従うことをよしとするオタワの風土に逆らい、ガイガーカウンターを手に市内の放射線量を調査する市民活動家だ。この男、もちろん市議会から煙たがられる存在というのはまだ理解できる。しかし、同じ危機にさらされているはずの街の人々からも「暇人が騒いでる」と変人呼ばわりされているのだから困ったものだ。住民にとっていちばんの心配ごとである生活費。それを支えてくれたRD社を恩人と信じていた街の人々にとって、ラジウムによる放射線被爆について語ることはタブーとされているのだろうか。そして、さらに奇妙なことに、彼らはケンのことをオタワの評判を悪くする張本人だとすら思っているのだ。半世紀以上たったいまなお、街のあちこちでホットスポットが生まれているというのに。

 この薄気味悪い閉塞感に、わたしたちは自分たちが置かれた社会状況とラジウム・ガールズたちとを照らし合わせ、彼女たちに猛烈なシンパシーを抱き、否が応にも2011年以降の「もう変わってしまった世界」について考えさせられることになるだろう。1898年にキュリー夫妻によって発見されたラジウムは、暗い放射能時代の扉を開けると同時に(一部のラジウム成金には明るい時代なのだろうが……)、いまなおその目に見えない脅威をわたしたちに突きつけて、それとのつき合い方をわたしたち一人ひとりに選択させる。
 いまこの現在を憂うわたしたちは、あなたたちに変人呼ばわりされていないだろうか? またはその逆で、そんなあなたたちのことを、わたしたちは異常に感じていないだろうか? 本作『ラジウム・シティ』のキャッチコピーに〈これは遠く離れた外国の過去の逸話ではない。わたしたちのいまの姿なのだ〉とあるように、過去は分断されることなくいまのわたしたちとつながっている。けっして他人ごとではない。そして、未来も「もう変わってしまった世界」から分断されることなく続き、いやでも必ずやってくる。すべてはひとつながりなのだ。でも、わたしたちの意識で選択し、変えていける未来もあるはずだ。『ラジウム・シティ』に登場する、暗闇の中で青白く発光するラジウム・ガールズたちはその発想のヒントを教えてくれる。後はそれぞれが考えて行動するだけだ。わたしたちは決してその光から目をそらすことはできない。わたしもあなたも当事者なのだから。

■ラジウム・シティ ~文字盤と放射線・知らされなかった少女たち~

原題:Radium City
(1987年/アメリカ/105分/白黒・カラー/モノラル)

内部被曝の存在が広く知られるきっかけとなったラジウム・ガールズたちの物語と、その後の街に生きる人々を描いたドキュメンタリー。
ラジウム・ガールズとは、1920年代アメリカ、ラジウム・ダイヤル社の工場で時計の文字盤に夜光塗料を塗るペインターとして働き被爆した若い女性たち。筆先をなめて尖らせるよう指導された彼女たちは、その後、腫瘍や骨障害で苦しみ、多くが亡くなっていった。のちに5人が雇用主を提訴、長い裁判を経て勝訴したが、ほどなく全員が亡くなる。

監督・プロデューサー:キャロル・ランガー
出演:マリー・ロシター、エディス・ルーニー、ジェーン・ルーニー、ケン・リッキ、 ジーン・ルーニー、シャーロット・ネビンス、マーサ・ハーツホーン、キャロル・トーマ ス、ジェームス・トーマス、ウェイン・ウィスブロック、ドン・ホール、ロッキー・レイ クス、ボブ・レイクス、メアリー・オズランジ、スティーブン・オズランジ、ジャニス・ キーシッグ、ジョアン・キーシッグ、環境汚染と闘う市民の会

配給:boid

https://www.radiumcity2015.com/

■上映館・イヴェント情報

【東京】
渋谷アップリンク 4/13(月)~不定期上映

〈TALK〉
5/18(月)19:00~ ゲスト:千原航(グラフィックデザイナー)、井出幸亮(編集者)
5/19(火)19:00~ ゲスト:阿部和重(小説家)
5/26(火)19:00~ ゲスト:ヴィヴィアン佐藤(美術家)、篠崎誠(映画監督)
5/27(水)19:00~ ゲスト:大澤真幸(社会学者)

聞き手:松村正人(編集者)

〈上映〉
5/15(金)、5/17(日)、5/21(木)、5/27日(水)15:15~

料金:ライヴ+上映(2,800円)/トーク+上映(2,000円)/上映のみ(1,500円)※各種割引なし
ライヴおよびトークは上映前(約50分予定)

アップリンクHPにて予約受付中!! www.uplink.co.jp

【横浜】
シネマジャック&ベティ 5/9(土)~1週間上映予定

〈TALK〉
5/10(日)13:50~ 鎌仲ひとみ(映画監督、ドキュメンタリー作家)

当日のみ 一般¥1,800 専門・大学生 ¥1,500 高校以下・シニア ¥1,000
(会員:一般¥1,500 専門・大学生 ¥1,200 高校以下・シニア ¥1,000)

【大阪】
第七藝術劇場 5/2(土)~5/8(金)17:20

料金:前売り1,300円
当日一般1,500円 専門・大学生1,300円
中・高1,000円 シニア1,100円 会員1,000円

【名古屋】
名古屋シネマテーク 5/16(土)~5/18(金)18:35  5/19(火)~5/22(金)10:30

料金:当日のみ
当日一般1,500円 大学生1,400円 中高予1,200円 シニア1,100円
会員1,200円 学生・シニア会員1,000円

【京都】
みなみ会館 5/23(土)~5/29(金)13:10 5/30(土)~6/5(金)17:45 2週間上映

〈TALK〉
5/23(土)13:10~ ゲスト:廣瀬純(龍谷大学准教授、映画批評家)

料金:前売り1,300円
当日一般1,500円 専門・大学生1,300円
中・高1,000円 シニア1,100円 会員1,000円

その他全国劇場一覧はこちら
https://www.radiumcity2015.com/theater2.html

プロジェクト・アンダーク(フュー,小林エリカ)+ディーター・メビウス(クラスター)
ラジウム・ガールズ 2011
BeReKet / Pヴァイン


Tower HMV Amazon

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