「KING」と一致するもの

僕らがエレグラに行く理由 - ele-king

竹内:エレクトラグライド2012〉、いよいよ開催がせまって参りました。とりあえず、木津さんのお目当ては?

木津:今年で言うと、アンドリュー・ウェザオールとコード9の親父ズかな。

竹内:それは見た目的な話ですか?(笑)

木津:それも込みで(笑)。ウェザオールはヒゲ生やして圧倒的にセクシーになったから......。トゥナイトも超楽しみ。竹内くんは?

竹内:僕はフライング・ロータスです。あとは電気(グルーヴ)。

木津:おお! すごくいいエレグラ参加者だ! ちょっと先にそっちの話からしよう。そもそも、竹内くんはエレグラ初めて?

竹内:初めてです。というか、この規模の会場でダンス音楽を聴くこと自体、初めてです(笑)。

木津:そうか、じゃあ2009年の〈ワープ〉20周年のイベントのときも行ってないってことやんね?

竹内:あのときはさすがに盛り上がりを感じていて、記念コンピレーションを買って家で聴いていました(笑)。LCDの"ダフト・パンク・イズ・プレイング・アット・マイ・ハウス"を地で行っている人間なわけです。

木津:へええ! じゃあ、今年参加するのはどうして?

竹内:カジュアルに言うと、今年からライヴをわりと見るようになって、「ライヴっていいもんだなあ」と素直に思えるようになったから、くらいのものなんですけど(笑)。クラブ音楽って、「この曲がどうしても聴きたい」っていうような目的性からは離れているわけですよね。つながった時間のまとまりを享受するという。それがこの規模になったときにどうなるのか、単純に興味があります。

木津:なるほど。じゃあ僕の話をすると、エレグラには何回も行っておりまして、フジロックのときに発表があったんだけど、すんなり「お! 行こう」という感じで。いま関西に住んでいて、ある程度ダンス・ミュージック好きだったら、オールナイト自体が貴重なので。

竹内:そうなると、多少、政治性を帯びる可能性もある?

木津:うん、今年はやっぱり少しはね。でも、みんな基本的には楽しみたいだけですよ。今年も大阪でも開催するし、みんなすごく楽しみにしていると思う。

竹内:なるほど。僕のことを言うと、「地方の因縁から離れて、誰も自分を知らない空間に逃避したい」というのがあります。暗い(笑)。

木津:いやあ、好き勝手に楽しめばいいんですよ!(笑) 以前も書いたけど、僕のオールナイト体験で、いちばん強烈だったのがオウテカのライヴで。

竹内:あらためて教えてください。

木津:フロントがLFOで最高に盛り上がった後、電気が全部消えて、真っ暗闇のなかであのビートの応酬っていう。

竹内:おお(笑)。

木津:あれは凄まじかった。で、2005年のエレグラでオウテカがやったときは、大きい会場だからそこまで真っ暗にはできないんだけど、彼らのことを全然知らなかったひともけっこう衝撃を受けたと思う。

竹内:なるほど。

木津:この規模のイベントの醍醐味はそういうところなんじゃないかな。

竹内:未知との遭遇ということですか?

木津:うん。〈ソナー〉のときに、スクエアプッシャーが観てみたいという、クラブに行ったことのない2こ下の男子を連れて行ったんだけど、アフリカ・ハイテックをすごく好きになってた。

竹内:いい話ですねー。

木津:電気だけを目当てで来たひとが、コード9にやられる可能性だってあるだろうしね。

竹内:ところで、ゼロ年代の後半にエレグラは沈黙を強いられたわけですよね。内部的な事情はともかく、この期間になにか文化事情的な意味はあると思いますか?

木津:うーん。まあ理由はいろいろあるんだろうけど、ダンス・アクトに大物が目立たなくなったということはあるのかなあ。だって、いつまでもアンダーワールドに頼るのもねえ。

竹内:その話は重要な気がします。当時の現実的でシニカルな若者は、本当はダンス・ミュージックを聴きたくても、たぶん「こんな単純な4/4に乗れるか!」とか思っていたんじゃないでしょうか。まあ、僕の話ですけど(笑)。

木津:ほお。

竹内:そこでいうと、やはりダブステップは大きいのかも。

木津:ダンス・ミュージックの本質がアンダーグラウンドに潜ったってこと?

竹内:快楽が形骸化した一面はあるのでは、みたいな感じです。

木津:なるほど。

竹内:その反発はジューク/フットワークにまでもつれ込むのだと思っていて。ダンス・ミュージックが新しいステップを踏むには、ある種のアングラにならざるを得なかったのかなあ、みたいな。

木津:まあ、〈ワープ〉の第一世代が完全にクラシックになったタイミングでもあるよね。だから、今年はフライング・ロータスがいちばんの顔になっているのはいいことじゃない?

竹内:ですね。そこでいうと、今回フライング・ロータス(〈ワープ〉の新たな顔役)とコード9(〈ハイパーダブ〉代表)が来るのは大きい。ハドソン・モホークとルナイスが組んだトゥナイトもですね。

木津:フォー・テットも最近、かなりフロア・ミュージックになってるしねえ。

竹内:出所はエレクトロニカですもんね。それでいうと、ロータスはヒップホップですよ。やはり、どこかのタイミングでダンスへの再接近があったと。フォー・テットもブリアルとやっていますね。あれは凄まじかった。

木津:うん。わりと最近ライヴ観たときはかなりダンサブルだったよ。とまあ、今年は本当に「ダンス」のあり方が多様でいいと思う。

竹内:ですよね。これまでの話とまったく逆をたどれば、クラブのオリジナル世代からしたらダンスと呼びたくないようなものまで、もしかしたら入っているかもしれない。

木津:そっか。でも、DJクラッシュやDJケンタロウのようなベテランもいるし。

竹内:ですね。年長組で言うと、木津さんはアンドリュー・ウェザオール? ファック・ボタンズのセカンドで名前を聴きましたね。

木津:うん、ソロではロカビリーをやったりするんだけど、DJのときはしっかりハウスのときがけっこう多いかな。あとオールドスクールのエレクトロ。でも、新しい音もけっこうかけるのかなあ。

竹内:どうでしょうかね。僕はやっぱり、電気が観てみたい。ライヴの間くらい、馬鹿になるのが目標なので(笑)。

木津:はっはっは。このラインアップに電気がいるのは、けっこう面白いよね。ある意味、いちばん浮いてる。

竹内:ですよね。それだけ、信頼が厚いと?

木津:そうなのかな。いちばん、変な感じになりそうやけど(笑)。

竹内:楽しみです(笑)。あと、視覚を活かしたアーティストが何組かいますね。

木津:それで言うと、まずはアモン・トビンでしょう! 前作の『アイサム』のときのフィールド・レコーディングのコンセプトを、ライヴで具現化したものになる......らしい。この前のDVD作品もすごく評判だけど、ライヴだとパワー・アップするでしょう。これが観たいので、僕は大阪から幕張に行きます(笑)。映像ものはクリス・カニンガムのときもすごく盛り上がったけど、大きいイベントならではやね。スクエアプッシャーは〈ソナー〉のときにLEDヴィジョンを使ってたんだけど、今回はそれに加えてベースもプレイするとか。

竹内:ほお。それはフィジカルな。

木津:スクエアプッシャー最近、妙に元気やんね。ライヴに燃えてる。

竹内:オービタルは?

木津:僕は、2004年でいったん活動やめるっていうからその年の〈WIRE〉に観に行ったよ! 往復青春18きっぷで(笑)。

竹内:愛だ!(笑)

木津:だから、最近ふつうに再活動しててちょっと納得がいかない(笑)。でも、あの大らかなテクノは大バコに映えるでしょうな。

竹内:他のイベントとの差別化って、どんなところにあるんでしょう?

木津:エレグラは〈ワープ〉周辺がとくに好きなひとに訴えるような作りになっている気がするなー。いち時期、LCDとか!!!とかも出てたんだけど、そういう意味ではインディ・ロック好きにもちょっと寄ってるし。普段クラブ・ミュージックは聴かないけどフライング・ロータスは聴くってひともけっこういるんじゃない?

竹内:ですね。どんなプレイ・セットになるのかなあ。

木津:前回観たときは生ベースがあったりで、かなりグルーヴィーだった。

竹内:アルバムからいくと、また今回は違った雰囲気かもしれないですね。

木津:もうちょっとチルな感じなのかなあ。でも、そのときはドラゴンボールのコスプレで「カメハメハー!」って言ってたよ(笑)。

竹内:うわああ(笑)。

木津:いやいや、でも今回の顔なのは間違いないでしょう!

竹内:でしょう!

木津:でも、2ステージに分かれてこれだけアクトが揃ってると、ほんとにそれぞれ好きに楽しめそうやね。

竹内:ですね。「しばらくクラブから遠ざかってたけど、さすがに今回のエレグラは行くかなあ」なんて声も聞きました。

木津:おお、いいことですなあ。それは特定のアクト目当てで?

竹内:というより、ダンス・ミュージックに再燃の兆しを認めている感じかもしれません。

木津:お! でもたしかにそういう説得力のあるラインアップですよ。

竹内:どんと来いと(笑)! 「僕がエレグラに行った理由」を、みんなでぜひ語り合いましょう!

木津:そうやね。じゃあ、最後にお互いイチオシを挙げときましょうか。僕はウェザオールとコード9......としつこく言いたいところだけど、アモン・トビンとTNGHTで。

竹内:僕はいろいろあるけど、フォー・テットで。ゼロ年代インディ以降の代表格が見つけたダンス・ミュージックを生で聴いてみたい。彼のキャリアの軌跡って、いまの若いリスナーが通った道ともかなり近い気がするんですよね。

木津:うん、フォー・テットのいまのモードは、シーンのモードだと思うよ。それはともかく、飲まされすぎないようにしないと、僕はトイレが近いので......。〈ソナー〉のときも、ひたすら飲まされ続けたからなあー。

竹内:ははは、今回は各自楽しみましょう(笑)。

木津:そうやね(笑)。

竹内:願わくは、レポのことなんて気にしないで......。馬鹿になりましょう!(笑)


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2000年のエレクトラグライドでヘッドライナーを、翌年のフジロックでもホワイト・ステージの大トリをつとめるなど日本でも絶大な支持を得てきた「テクノ四天王」オービタル。2004年の『Blue Album』発表時に活動休止を宣言して以降、シーンへのカム・バック作となる2012年の通算8作目。

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TNGHT / TNGHT

〈ワープ〉の新世代を象徴するアンファン・テリブル、ハドソン・モホークが盟友ルナイスと組んだコラボレーション・プロジェクト、トゥナイトの5曲入りEP。それぞれのレーベル〈ワープ〉と〈ラッキーミー〉からリリースされた2012年作だ。ミニマルかつエクストリームなウォンキー良盤。

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Flying Lotus / Until the Quiet Comes

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The Asphodells(Andrew Weatherall) / Ruled By Passion, Destroyed By Lust

25年にわたって第一線での存在感を保ちつづけてきたプロデューサー、アンドリュー・ウェザオールの最新プロジェクト、ジ・アスフォデルスのデビュー作。ヨーロッパで頭角を現し、名門クラブでのDJプレイで活躍するティモシー・J・フェアプレイとのコンビで編まれたエレクトロニック回帰作。

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Kode9 & The Spaceape / Memories of The Future

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https://www.electraglide.info/

Chart JET SET 2012.11.05 - ele-king

Shop Chart


1

Robert Glasper Experiment - Black Radio Recovered: The Remix Ep (Blue Note)
大ヒット作『Black Radio』収録曲を素晴らしいメンツがリミックスした限定盤!リミキサーには9th WonderやPete Rock, ?uestlove, Georgia Anne Muldrowが参加し、さらに自身もセルフ・リミックスした全6曲入りEp! J DillaトリビュートのB-3は本盤オンリー。

2

Poolside - Pacific Standard Time (Poolside Sounds)
Future Classicからの『Do You Believe』が大ヒットとなったL.a.のニュー・ディスコ・デュオによるファースト・アルバム!!

3

Joe Bataan - Ordinary Guy Jazzanova Rework / (Sonar Kollektiv)
Ltj X-perienceによるカヴァーもヒットしたラテン・ソウル・クラシックを絶品メロウ・グルーヴに。プロモの時点で話題となっていた1曲が遂にリリース!

4

Kindness - That's Alright (Female Energy)
説明不要の1st.アルバムから、彼のセンスを見せ付ける大傑作曲がカット!!B面のBbcライヴ・ヴァージョンは、さらにソリッドでクールな80'sファンク全開の必聴音源です。

5

Flume - Sleepless (Future Classic)
オージー・インディ・ディスコの牙城、Future Classicからの新提案。シドニーのエレクトロニカ・クリエイター、Flumeの初ヴァイナル・リリース!!ダウンロード・コード封入。

6

Jesse Boykins lll & Melo-x - Zulu Guru (Ninja Tune)
2012年Sonarsound Tokyoで初来日を果たした大注目シンガー=Jesse Boykins lllと、ニューヨーク出身のMc/Dj/プロデューサーMelo-xのタッグ・アルバムが、Ninja Tuneよりリリース!

7

Kota Motomura - Sun (King Kung Foo)
Cos/MesやMutronといった日本人アクトによるリリースでも注目を集めるベルギー"King Kung Foo"の最新作、東京を拠点に活動するKota Motomuraによる話題のEpが遂にリリース!!

8

Resonators - The Constant (Wah Wah 45s)
好調なペースでシングルをリリースしていたロンドン産ダブ~レゲエ大本命バンドが、遂にニュー・アルバムをドロップです!!

9

Dub Is A Weapon - From The Vaults (Jump Up)
Usネオ・スカ・シーンの顔役Slackersのメンバーで結成され、神様Lee Perryと共に全米ツアーをまわったことでも知られる全世界大注目のダブ・バンド。待望の最新作!!

10

New Mastersounds - Out On The Faultline (One Note)
フジロックでも熱いステージを繰り広げた、現在のファンク・シーンのトップに立つNew Mastersounds。最高傑作と言っても過言ではない強力な新作が登場!!

interview with Carnation - ele-king


CARNATION
SWEET ROMANCE

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 わたしは先日(といっても、取材のときの先日だから、いまからだと1~2ヶ月前になるのが、読者、関係諸氏にもうしわけありません)、今年リリースされたカーネーションの『天国と地獄』の「20周年記念コレクターズ・エディション」を聴き直して、彼らは、先鋭的であること、ロックであることが、当然のごとくポップでもあるということをやってのけた、音楽において稀有な、音楽ファンにとってはありがたいバンドだとあらためて思った。一回だけならそう珍しいことではない。ポピュラー・ミュージックの歴史はそれほど短いわけではない。そういったミュージシャンはいくらでもいる。ところがカーネーションは一回こっきりではない。
 "夜の煙突"のころからの彼らの足穂的な情景を喚起する力をコンテンポラリー・ブラックミュージックのグルーヴに乗せた表題曲で幕を開ける『Edo River』(1994年)、5人体制の強みをみせた『Booby』(97年)、リフレインが耳にこびりついてなかなか離れなかった『Parakeet & Ghost』(99年)の"Rock City"とか"たのんだぜベイビー"とか、あるいは音楽の思索を立体化した2000年の『Love Sculpture』など、彼の実験と実践は10枚あまりの音盤に刻まれてきた。もちろん、順風満帆だったわけではなく、作品には音楽中毒者の悩ましさもある。どうしたら、時代ととっくみあいながら聴く楽しみをつづけていけるのか、聴く側にそれをもたらし、音楽に返せるのか、と。それを追求する過程で、カーネーションは5人組からトリオになり、2009年1月の矢部浩志の脱退をもって、直枝政広と大田譲のふたり組になった。
 『SWEET ROMANCE』はその体制でつくった、『Velvet Velvet』以来となる、3年ぶり15枚目のアルバムである。彼らはふたりになったが、このアルバムには、大谷能生、岸野雄一、山本精一をはじめ、ゲストは多彩であり、張替智広の助演をボトムにしたバンド・サウンドは引き締まっている。
 つまり彼らはいまもなお、走りつづけている。先週は甲府にいた。来週は北陸だ。高地の秋は深く、日本海側はすでにもう肌寒い。そろそろ音楽の密度が空気を暖める季節である。
 みなさん、カーネーションをお聴きください。

レコードをつくるのはずっとやめたくないし、そういうことがなくなってほしくないっていうのはあるから。今回も、架空のA面、B面みたいな、そういうつくりにはこだわっているしね。そういうのがやっぱり楽しいよね。音楽について考えるにしてもね。そういうフックを効かせていかないとやっている意味がないと思うよね。

大田さんは『天国と地獄』から加入されたんですよね?

大田譲:そうですね。

『天国と地獄』を聴くと、カーネーションは渋谷系の前に渋谷系の完成形を提示していたということがわかります。しかも、いま聴いても古びていない。あの頃といまと、心境の変化というと、いきなりボンヤリした質問になっちゃいますが、そういうものはありますか? とくに大田さんは、カーネーション在籍20周年記念でもあるわけですし。

大田:あれがいちばん憶えているかな、カーネーションに入って最初のアルバムだし。

直枝政広:練習しまくっていたよね。

大田:そう。

直枝:何か見えない敵とずっと戦っていたね。競いあっていたっていうか。

大田:レコーディング前に合宿したからね。

直枝:2回ぐらい合宿したかな。

大田:2回に分けてトータルで2週間くらいやったんだよね、たぶん。レコーディング自体も合宿だった。伊豆のほうに行ってやったんだよね。だから、(メンバーで)ずっといっしょにいたんだよな?

直枝:うん、煮詰まってたね。

大田:まあ若かったからね(笑)。

直枝:僕らは、作品性という部分でも、つねに評価っていうのかな、正しい評価ってされてこなかったので「ちくしょー! ちくしょー!」って、なんとかおもしろいものつくろうってがんばっていたんですよ。

当時は正しく評価されていないと思っていたんですか?

直枝:まったく評価がなかった。湯浅(学)さんがはじめて『ミュージック・マガジン』で書いてくれて、当時はそれがいちばん好意的だったのかもしれないな。「青臭い」って書かれたんだけど、でも最終的にはいいっていうか、わかるよっていってくれたんですよ。あとは理解されていなかったので。『天国と地獄』だって、評価されるまで20年かかって、ジワジワと、なんとなくおもしろいアルバムあるよって浸透していったっていう感じですね。

理解しない音楽メディアに目にもの見せてやる、という気持ちはありましたか?

直枝:そう思っていた! いままったくそんなこと考えてないというか、逆に、もっとこう、抜けているかな。戦ってないね、そこは。

戦ってない?

直枝:批評みたいなところとは戦っていないということだね。たとえば、点数何点とか。「そんなところじゃないんじゃないか? 」っていうところはあるかもしれない。

逆に、いま自分たちにとっていちばん大切なものっていうのはなんだと思いますか?

直枝:やっぱりやり続ける以上は、純度とか気持ちの問題なんじゃないかな。

透徹したというか、バンドというものを客観的に眺めた上で、何をなすべきか、わかってやっているというのが今回の作品には感じられますね。

直枝:ありますか?

そう思いました。自己愛的なものでもなくて、かといって、皮肉めいているわけでもなくて、適度な距離感で自分たちと外を見ている感じがあると思いました。レコード文化がたとえば終焉を迎えるかもしれない時期にあって、まだそういうことがアルバム作品としてできるっていうのがちょっとした希望のような感じに思いましたね。すばらしいと思いました。

直枝:レコードをつくるのはずっとやめたくないし、そういうことがなくなってほしくないっていうのはあるから。今回も、架空のA面、B面みたいな、そういうつくりにはこだわっているしね。そういうのがやっぱり楽しいよね。音楽について考えるにしてもね。そういうフックを効かせていかないとやっている意味がないと思うよね。

『UTOPIA』を去年だして、間髪置かず『SWEET ROMANCE』の制作に入ったんですか?

直枝:いや、しばらくは迷っていましたね。去年の震災以降、スケジュールが立てにくくなっちゃって、動きにくくなっちゃったところがあったので、アルバムの制作の予定は一回ストップしたんですよ。それで、『UTOPIA』っていうミニ・アルバムにして、一回ちょっと考えてみようっていう。それでようやく、今年の3月くらいに曲出しがあらためてはじまって、5月からレコーディングで。『UTOPIA』は先行ミニ・アルバムだったんですが、そのわりに間が空いたっていう感じですね。

そのストップしたのは心情的な事情ですか?

直枝:そうですね。去年は心情的なものはとても大きかったので。どうなんのっていう。

でもそれもどこか新作には反映されてますよね?

直枝:もちろん、(前作『Velvet Velvet』からの)ここ3年くらいの流れで、葛藤みたいな心理的な揺れみたいなものは絶対あると思う。でも、それがよくなったとかそういうことじゃなくて、全部同じで、何も変わってないっていうことは、俺はもう理解してるっていうか、そのなかで大きく見ていくっていう感じになっていると思うんですよね。

まさにそうですね。現状は簡単に変えられないにしても、そのなかで自分をもってやっていかざるをえないっていうことですよね?

直枝:ある覚悟とかいうところもあるのかもしれない。開き直りというか。

ハラがすわった感じですか?

直枝:うん、泣くとこは泣くよっていう。正直に。

酸いも甘いも辛いも苦いも噛みしめているところが『SWEET ROMANCE』には出ていますよね。

直枝:そういう意味では、つい昨日じゃなくて、もうちょっと離れたところからつづけて流れを見ていかないと、形にならない。もしかして、3年っていい空白だったかもしれないです。じゃないときつい作品になったかもしれない。20年前の曲を今回、入れてみたり、10年前にまだ形になってなかったコード進行がどっかにあったり、大きな流れでやっていかないと動かない、すごく難しいデリケートなパズル・ゲームをやっていた気がしますね。

いま流行をそれほど気にすることはなかった?

直枝:全然ないね。逆に、気持ちいいものっていうところでアナログ・レコーディングっていうものを捉えていったんですよ。「ああ、俺たち、アナログといい感じに出会っているね」というかね。すごく運命的な、奇跡に近い出会いだと思った。そこを大切にしていきましたね。だからいろんな人と出会って、混ざりあって、ひとつの作品にしてくっていうことがとっても楽しかったし、新鮮に響いたんですよ。誰もやっていないものっていうよりは、どこにもないものっていう。なにか決まりきってないものとか、わけのわからないグシャとした何かとか、そのいろんな感覚が混ざりあう、そのスリルみたいなものがよかったですね。

矢部さんが辞められたときに、バンドとして、ドラマーがいなくなるのはどうなんだろうというのを、いちファンとしてはとっさに思いましたが、心配をよそに、その空白さえうまく作用したっていう感じですね。

直枝:そうですね、作用していますね。

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ある覚悟とかいうところもあるのかもしれない。開き直りというか、泣くとこは泣くよっていう。正直に。


CARNATION
SWEET ROMANCE

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おふたりになって、何か変わったことはありますか? 音楽というより、バンド内の関係性の面で。

直枝:ますますなにかこう、言葉でないところで交流してるよね?

大田:まあ、(そのことについては)いままでもあんまり意識をしてきてないからね。なんだろう、細かいところまで話し合ってやんなきゃいけないバンドじゃないんですよ。いままでもそういうところもなかったし、まあ、直枝くんがどう考えているかは、俺はわからないけど。俺は(カーネーションは)話し合いながら民主的にものをつくっていくバンドだとは思ってないからいいんですよ。敷いてもらったレールの上を走っていればいい。それに乗っかっていっしょにやれるのがバンドで、イヤになったら降りるしかないんだから、それはそれでしょうがない。だから、あんまりいろんなこと考えないほうが気が楽だと思いますね。

そうはいっても、スタジオやライヴの現場でそれまでと違ってきたところはありますよね。

大田:うーん、どうなんだろうな......。でも音出しているときには、そんなに意識をしないかな。やっぱりさすがにね、あのドラムがなくなったわけだから、違いはありますよ。だけど、まあ結局はカーネーションの曲をやるんだから、そしたらまあ自分が弾けるベースを弾くしかないし、歌をちゃんと聴かせるしかない。だからバンドですよ、ふたりでも(笑)。まあ最低限の人数じゃないですか? ふたりって。

『SWEET ROMANCE』の制作はスムーズでしたか?

直枝:スムーズだったよね。すっごい順調。

つくっているときの楽しさみたいなものがすごく伝わるアルバムですよね。

直枝:アナログ・レコーディングの、あまり直しが効かない、なんか制約される感じがまたよかったっていうかね。

レコーディングのときはふつうに順録りだったんですか?

直枝:そうそう。データでドンカマとかパーカッションとか、ガイドのリズムになるトラックとかを入れてやっていました。それを聴いて「せーの」で演るんですよ。俺ら、だいたいレコーディング用のリハーサルをしないで、いきなりスタジオなんですよ。そこでセッティングして、音決めして、「じゃあ練習!」そしたら「録音しよう!」って。で、アッという間に仕上げる。

そんなに簡単にいくものなんですか?

大田:なんかそれでいけるようになってきたよね?

直枝:なんかいけるね。

アレンジもアイデアをどんどん試していくということですか?

直枝:基本的にデモ・テープのアイデアみたいなものを聴いといてもらって、それぞれが解釈してもらう形ですね。それでいい感じになればいいかなっていう。

そこにゲストの方々も、そのつど、録る曲ごとにきていただくということですね。

直枝:そうです。ピアニストの方とかにきていただいて。

岸野(雄一)さんもスタジオにいらっしゃったんですか?

直枝:岸野くんは現場にいっかい見にきましたね。それでいっしょにコーラス歌って、帰っていきました(笑)。あと、彼は自分の家で"Bye Bye(Reprise)"という曲をミックスしてくれたんですよ。

"Spike & Me"には大谷(能生)さんをラップとサックスでフィーチャーしていますね。DCPRGとか〈Black Smoker〉から出した『Jazz Abstractions』とか、大谷さんは最近よくラップしていますよね。

直枝:かっこつけるよね(笑)。大谷くんは露骨にかっこつけるんですけど、本当にそういうかっこつける人たちがいいなって思うんだ、俺(笑)。そういうことってなかなかできないからね。そういう人たちは時間をかけて積み上げてきてるから。どう見せるかって考えてきてるでしょ?

見せると同時に、どう見えるかということにも自覚的かもしれないですね。『SWEET ROMANCE』は基本的に全曲を直枝さんが作詞/作曲されていて、ラップをやった大谷さんは作詞でクレジットされていますが "Bye Bye"でミントリ(岡村みどり)さんに編曲を依頼されたのは何か理由があったんですか?

直枝:3年前に岸野くんの誕生日ライヴ(岸野雄一は毎年、1月11日の誕生日に渋谷O-Westでライヴを行っている)にカーネーションが誘われたことがあるのね。そのときに岡村さんと知り合って、宮崎貴士くんと岡村さんと3人で夜ステーキを食べる会みたいな感じで集まって遊んでいたんですよ。そのうち、ファイルとかやりとりしたりして、いつか何かできたらいいですねみたいな話をしていて、それで今回、これは絶対お願いしようと思ったんですよ。岡村さんなら、歌をすごく理解してくれるという自信があったから、内容のことに何もふれずに「お任せします」って渡したんですよ。

曲を、ですか?

直枝:いや歌詞です。歌詞を理解してくれたんです。

それはすばらしいですね。

直枝:俺はあとはなにもいいませんから、その感じでやってくださいって。もう伝わっているはずなんで、ディテールやイメージはあえて伝えませんでした。感じたままやってもらえればいいので、と。

アナログでいえばA面の最後にあたる"Bye Bye"からB面の頭の"Gimme Something, I Need Your Lovin'"への流れが、涙が出ちゃいそうなくらいいいですよね。あと本当、大田さんの歌がすごくよかった。

直枝:すっげー評判いいのよ、大田くん(笑)。

やっぱりそうですよね! 大田さんが歌う"未来図"から"遠くへ"の流れも最高でした。大田さんは"未来図"をご自分で歌うとなったときどう思いました?

大田:まあとにかく歌えと。つくるから歌え、と。「はい」って渡されました(笑)。

XTCのアルバムなんかでも、コリン・ムールディングが1曲歌ったりするじゃないですか。わたしはあれがすごい好きなんですよ。

直枝:最高ですよね。大田くんは、コリンの役割なんですよ。リンゴ・スターじゃないからね。

ハハハハ。

大田:あと、スティーリー・ダンのデイヴィット・パーマ。ファーストで、1曲歌ったりしているじゃない? あのへなちょこさ。なにこの歌みたいなさ。ああいう歌が大好きで(笑)。わざわざ呼んできたヴォーカリストなのにへなちょこじゃん。じつはそういうところ目指したいと思っていたんだよね。

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バンドで、すぐ反応してくれる人たち、俺の考えたフレーズをいっかい噛み砕いてすぐ吸収してもらえて、すぐ表現できる人たちがいるから進むんだと思うんですよ。エンジニアさんも含めて、みんなが反応し合って、みんなで高め合っているから、気持ちいいんだよね。


CARNATION
SWEET ROMANCE

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さっきの見せ方の話にもつながるんですが、弱い部分を滲ませながら、それでもかっこつけてみせるのが、非常に効いていて、これをライヴの後半に聴いたらさぞや感動するだろうって、そんなことまで想像しました。そこから"遠くへ"につながるのが白眉だと思いました。

直枝:ありがとうございます。

これが比較的、全体的に抜けてるというか、自然に出てきた曲たちがあるべきところに並んでいるアルバムっていう。

直枝:そうですね。3年のあいだ、もしくは10年、20年、それくらいの考えみたいなものがずっとつながってきて、ここに結実しているんですけど。

つながっているっていう感じはありますか?

直枝:ずっとつながっているんです。このアルバムはそのくらいの長い時間で成り立っていて、かつ、俺はこうじゃなきゃいけない、ああじゃなきゃいけないっていう思いが、いま、あまりないんですよ。そのままやりゃいい、なんも考えるなっていうところにいるので、曲順なんかも考えてないかもしれない。だからそれは流れっていうか、奇跡なんですよ、ある意味ね。

それはでも、やろうと思ってできることではないと思いますが。

直枝:うーん、たまたまそうなったっていうかね。だから、とてもいい状況だったんじゃないですかね。緊張感もあって、本当に作業進めなきゃいけなくて。あと、いろんなスケジュール調整も自分でやったりして、きつかったんですけど、でもそのかわりスタジオにいる時間が幸せなときだったっていうのかな、こんなに楽しいスタジオはないなっていうくらいだった。このくらい自分が楽しいと思えなきゃウソだっていうのも最近ようやくわかってきた。雑務はやるけど、スタジオではこのくらい楽しんでいいんだなって。過去は追いつめてたっていうかね。責任をへんに背負おうとしたところがあったから。

大田:カーネーションのスタジオはむかしはピリピリしていたから。そういう時間がものすごく長かったじゃん?

直枝:長かったね。

大田:ここ何年の変わりようはすごいですよ、やっぱり(笑)。ライヴとかだと、メンバーがどんどん減ってきて、本当は自分の責任が多くなっていくじゃない? でもスタジオなんか見ていると、意外に逆をいってるというか、責任をそんなに背負っているように見えてこないというか、見ていると前より全然楽にできているのよ。

じゃあ昔はもっとカチッとつくっていたんですね。

直枝:そうそう! むかしは1ミリでも狂っちゃダメみたいな。俺のイメージはこうなんだからダメだよ! って怒って灰皿蹴飛ばしたり、そういう世界ですよ。最悪ですよ(笑)。

それは緊張感ありますね(笑)。 

大田:そんなにいうんだったら、わかった! やり直すよとかいって、ずっとベース弾いていたからね。朝まで直しとかやっていたよ、レコーディングってこういうもんなんだなって思いながらも、しょうがねーなって(笑)。

直枝:ほんとうに『Velvet Velvet』のあたりから、僕らは解放されてきていますね。いろんな人との交流みたいなものがとても自然になってきて、作業が楽しめるようになった。みんなも信頼してきてくれるし、それを理解してくれてやってもらえているのがいちばんいいのかなって。

大田:そうだね。結局言葉でいっぱい説明しないで済む人が自然にきてやってくれてるから。

それはこれだけ活動してきて、これだけのクオリティの作品を出し続けているからだとも思いますよ。たとえば、わたしたちの世代はカーネーションを十代のときに聴いているわけだから、その世代の血肉になっているんだと思います。それは教育とかそういうことじゃないですけど、音楽、あるいは文化はそういうことでまわっていくとも思いますし。

直枝:そういう循環のなかにいるんだろうな。

いると思いますね。

直枝:それはね、少しずつ結びついてきているんだよ。閉じ込められた状況から、どこかカギ外したっていう瞬間があったのかもね。僕らが楽になって、まわりももっと入りやすくなっている。これからもっとそうなってくるかもしれないし。

バンドがあって、アンサンブルをよくして、曲をよくして、自分たちでがっちりやっていかなきゃいけないっていう状況から変わったんでしょうね。

直枝:なんかね、もっと大切にするポイントが増えたっていうか、もっと重要なこともある、もうひとつ、なにかやり方があるよというか、柔らかくなっているのかもしれないですね。

柔らかさというのは、なんか柔和になったっていうのとはまたちょっと違うんですよね。

直枝:違いますね。考え方というか。それはね、ドラムの張替(智広)くんもそうなんですけど、大田くんとか、曲の理解能力がすごく早いので、立ち止まらなくていい、ストレスのなさがいい効果を与えていて、プレッシャーはあるんだけど、スピードだけは落とさねーぞっていう意地がそれぞれにあるから、気持ちいいんですよね。

打てば響く?

直枝:そうそう! で、俺はひとりで音楽ができるとは思ってないから。イメージはつくれるけど、それやろうとしたらね、ソロ・アルバムで5ヶ月かかりました(笑)。それでも人の助けが必要だったですから。だからこういうバンドで、すぐ反応してくれる人たち、俺の考えたフレーズをいっかい噛み砕いてすぐ吸収してもらえて、すぐ表現できる人たちがいるから進むんだと思うんですよ。エンジニアさんも含めて、みんなが反応し合って、みんなで高め合っているから、気持ちいいんだよね。これ、ほかだったらムリじゃないかなって思いますね(笑)。ムダに遊ばないからね。

まあでも音楽のなかに遊びはいっぱいありますよね。

直枝:そうそう(笑)。

まあ、でもそういうようなバランスというか、まさにチーム・カーネーションみたいなものができあがっているところのなかもしれないですね。

直枝:今回はチームというよりも、バンドは怪物みたいなもの、それでいいんじゃないかなって思いましたね。

カーネーションは直枝さんのバンドというより、直枝さんの手を離れていっている?

直枝:だんだんそうなってるかもしれない。どんどん勝手に進んでいる感じがするので。

自分もこう、カーネーションに助けられているという感じがありませんか?

直枝:うん。参加してくれている人たちみんなに助けられているし、外側の、ジャケットまわりの仕事とか、いろんなことに対してもそうで、やっぱりこっちがいい具合にテンションを高めたり緩やかになったりしながら、なんとなくできてくるんですね。そういうのを楽しんでますね。

そういう時期というか、誰かとめぐり会って、別れもあるでしょうけど、それは完全な別れではなくて、またどこかで出会うかもしれない予兆を孕んでいる。そのニュアンスが『SWEET ROMANCE』にはすごく出てると思いました。

直枝:あとこういうアルバムを聴いた誰かが、「こんなアルバム作りてーな!」って思うような流れとか、あったらいいなと思いましたね。そういうマジックがあればいいなって。

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チームというよりも、バンドは怪物みたいなもの、それでいいんじゃないかな。


CARNATION
SWEET ROMANCE

Pヴァイン

Amazon

楽曲に目を移すと、毎回そうなんですが、今回もやはりヴァリエーションに富んでいる。

直枝:幅みたいなものが出てきちゃいますね。あんだけ、音楽を聴いてるとね(笑)。

ところが、『天国と地獄』の頃のように、それを引用、素材として使うというよりも、もっと滲みだしてくるような感じで、そのリスナー体験がでてきているような気がしました。

直枝:うん、ちょっと笑えるようなところはありますけどね。体験なんでしょうがないんですよね。それを自分は通ってきているっていう意識はつねに忘れないようにしていますし、音楽に対してはいつも感謝していますよ。

ハハハハ。

直枝:リスペクトは、それはもうありますから、キーワードとしてかき出せばいくらでもありますよ。

その厚みですよね(笑)。

直枝:とてつもないね(笑)。わかりやすいところでこうやって人と音楽のキーワードについて話はしますけど、「それだけじゃないんだよなー」っていうのもいつもあって、そこが難しいところですね。そこから外れたいって思いも一方ではありますから。だけど、他者の音楽を好きになっていくこと、聴きつづけること、そういう作業は忘れたくないね。「俺は俺」それだけになりたくはない。自分に溺れないためにも。

文章にも書かれていましたもんね、「ひとりよがりになってるか、なっていないか」っていうのは。

直枝:あれはいろんな意味でとれますけど、ほんとうにそういうところもありますよね。

カーネーションの言葉が喚起する情景がわたしは大好きなんですが、『SWEET ROMANCE』の歌詞について、これまでと変化はありますか?

直枝:歌詞については深く考えないようにはしていました。この3年間のなかで曲が生まれて、そのうねりに身を任せればいいかなっていうところはありましたね。感情的になりすぎてはいないか、状況判断をしっかりしないといけない、デリケートな時期だから、とはもちろん思っていました。

デリケートだっていうのは震災のことをおっしゃっていますか?

直枝:感情が渦巻く時期だから、へたをすると、そういうことが歌に出てきちゃうんですよ。そこに溺れちゃうっていうことの怖さっていうのはなんとなく感じるので、言葉が武器にならないように、気をつけたところはありました。

直枝さんは歌詞を書くのははやいですか?

直枝:どうだろうな。決まるときはだいたいはスッといくんですけど、決まんないときは長いですね。今回は苦しみはあまりなかったですね。曲と詞がいっしょに出てきた曲がわりと多かったからかもしれない。

なるほど、わかりました! ツアーは10月からですが、ツアーの準備はもうそろそろやってますよね? ツアーにかける意気込みをうかがえればと思います。

直枝:いっぱい練習しますよ!

大田:今回は再現するのがなかなか大変だろうな。

直枝:だから再構築になると思うけどね。でも、そこはまた、決まったことはやらないんでね。どこか、毎回違うっていうかね。(了)

ツアー情報(2012年11月以降)

2012年11月9日(金)
富山・総曲輪かふぇ橙 (ACOUSTIC LIVE)
SPECIAL GUEST:小貫早智子
OPEN 18:30 START 19:30
前売:3,500円 当日:4,000円 (1ドリンク別)
(問)オレンジ・ヴォイス・ファクトリー 076-411-6121

2012年11月10日(土)
金沢AZ
SPECIAL GUEST:小貫早智子
OPEN 18:00 START 19:00
前売:4,000円 当日:4,500円 (1ドリンク別)
(問)AZ 076-264-2008

2012年11月11日(日)
名古屋TOKUZO
SPECIAL GUEST:大谷能生、小貫早智子
OPEN 17:00 START 18:00
前売:4,500円 当日:5,000円 (1ドリンク別)
(問)JAILHOUSE 052-936-6041

2012年11月17日(土)
札幌COLONY
OPEN 18:00 START 19:00
前売:4,000円 当日:4,500円 (1ドリンク別)
(問)WESS 011-614-9999

2012年11月18日(日)
旭川CASINO DRIVE
OPEN 18:00 START 19:00
前売:3,500円 当日:4,000円 (1ドリンク別)
(問)旭川CASINO DRIVE 0166-26-6022

2012年11月24日(土)
仙台enn 3rd
SPECIAL GUEST:ブラウンノーズ
OPEN 18:00 START 19:00
前売:4,000円 当日:4,500円 (1ドリンク別)
(問)GIP 022-222-9999

2012年11月25日(日)
石巻La Strada
SPECIAL GUEST:ブラウンノーズ
OPEN 18:00 START 19:00
前売:3,500円 当日:4,000円 (1ドリンク別)
(問)La Strada  0225-94-9002

2012年12月8日(土)
渋谷WWW
SPECIAL GUEST:梅津和時、大谷能生、小貫早智子
OPEN 18:00 START 19:00
前売:4,500円 当日:5,000円 (1ドリンク別)
(問)WWW 03-5458-7685

セオ・パリッシュJAPANツアー決定 - ele-king

 古いやつだとお思いでしょうが、わたしは1NIGHT-1DJというスタイルが大好きである。気の合ったDJ同士が織りなすひと晩のプレイも悪くはないが、ひとりのDJとしてそのひと晩をどのように演出してくれるのか、前者のほうがその力量がハッキリと出る。もちろんそれには確かな技量、知識、経験、情熱、そして興行としての成否もあり、名の知れた箱でそれを許されるのはある意味「選ばれし者」だけが得ることのできる名誉と言っても過言ではないと思っている。

 わたしが2度めの東京生活をはじめた以降も心に残る名場面がいくつかあり、LOOPでのNORIさんの30時間セットを筆頭に、同じくLOOPでのDJ CHIDA君、マイクロオフィスでのMOODMAN、最近ではリキッドルームでのDJ NOBU君の7時間セットも記憶に新しい。

 とくに近年はお客さんも短時間で簡単に判断してしまう傾向が強く、ひと晩その人の叙事詩をじっくり愛でるといった遊び方が少し敬遠される向きがあり、こういった思い切った興行が少なくなったのもさびしいところだ。何百何千の人をフォローして140文字のタイムラインを眺めるのも結構だが、タマには大家の長編小説をじっくり腰を据えて読んでみてほしい! といったところでしょうか。

 さてさてそんなことを思っていた折も折、恵比寿に移って以降めでたく8周年を迎えたリキッドルームがまたまたやってくれます。前述のDJ NOBU君のOPEN - LASTを終えて以降、メインフロアのスピーカーを一新して初の「OPEN - LAST」に指名されたのは、やはりセオ・パリッシュでした。ご存知の方も多いとは思うが、セオはあのフロアにとてもよく似合う。「デトロイトのやんちゃ坊主」といった感じもすでに過去の話で、リキッドルームで見る彼の姿はすでに風格さえ漂う。

 余談だが12インチばかりでなくLPも多用する彼のスタイルがリキッドルームの新しいスピーカーでどのように響くのか? という個人的な楽しみもある。えっちゃんの粘土を使ったフライヤーも最高だ!!!

 ぜひぜひ皆さんお誘いあわせの上、セオ・パリッシュ一晩の叙事詩をじっくり楽しんで朝方ゾンビ顔で再会しましょう!!

五十嵐慎太郎


Theo Parrish Japan Tour 2012

■11.16(FRI) Fukuoka @Kieth Flack
DJ: Theo Parrish, DJ Saita(Back To Basic)
Groove Drops Lounge
DJ: Osaki, Shibata, Ikeda, MANTIS(3rd Stone)

open 19:00 - close 1:00
Advanced 3000yen
Door 3500yen

INFO: KIETH FLACK https://www.kiethflack.net
TEL 092-762-7733
福岡県福岡市中央区舞鶴1-8-28 マジックスクウェアビル 1F/2F

■11.17(SAT) Tokyo Ebisu @LIQUIDROOM
- BLACK EMPIRE feat.THEO PARRISH -

DJ: Theo Parrish(open-last set)

open/start: 23:00
Door 3500yen
With Flyer 3000yen

INFO: LIQUIDROOM http:/www.liquidroom.net
TEL 03-5464-0800
東京都渋谷区東3-16-6

20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。You must be 20 and over with photo ID.

■11.22(THU) Nagoya @Club Mago
- AUDI.-

Guest DJ: Theo Parrish
DJ: Sonic Weapon, Jaguar P
Lighting: Kool Kat

Advanced 3000yen
With Flyer 3500yen
Door 4000yen

INFO: Club Mago https://club-mago.co.jp
TEL 052-243-1818
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F

■11.23(FRI/祝日) Akita @JAMHOUSE
- TIME&SPACE -

Guest DJ: Theo Parrish
DJ: SOU(codomoproduction), DOVE CREW

open/start 21:00
Door 3000yen
INFO: JAMHOUSE http:/www.jamhouse-akita.com
TEL 090-7796-9608
秋田県秋田市中通4-5-9

■11.24(SAT) Kobe @troopcafe
- Deep Sessions -

Special Guest: Theo Parrish
Act: Telly, Mituo Shiomi

open/start 23:00
With Flyer MB 3000yen with 1Drink
Door MB 3500yen with 1Drink

INFO: troopcafe https://troopcafe.tumblr.com
TEL 078-321-3130
兵庫県神戸市中央区北長狭通2-11-5

TOTAL TOUR INFO: AHB Production www.ahbproduction.com
TEL 06-6212-2587



Theo Parrish (Sound Signature)

デトロイトに拠点をおくプロデューサー、DJ。ワシントンDCに生まれ、年少期をシカゴで育つ。またその後カンザスシティー、Kansas City Art InstituteではSound Sculpture(音の彫刻)を専攻。1994年、デトロイトに移住。1997年、レ-ベルSound Signatureを立ち上げ、常に新しい発想と自由な表現で次々に作品を世に送り出す。現在Plastic People(London)にて毎月第一土曜日のレギュラーパーティーをもつ。

"Love of the music should be the driving force of any producer,performer or DJ. Everything else stems from that core, that love. With that love, sampling can become a method of tasteful assembly, collage, as opposed to a creative crutch, plagiarism. Using this same understanding openly & respectfully, can turn DJing into spiritual participation. It can turn a few hours of selection into essential history, necessary listening through movement."(Theo Parrish)

「音楽への愛」こそがプロデューサー、パフォーマー、DJたちの原動力であるべきだ。この想いがあれば、サンプリングという方法は、盗作でもなく、音作りへの近道でもなく、個性ある音のコラージュになる。それと同じ理解と想いを持つことにより、DJもまたスピリチュアルな行為となり得る。数時間分の選曲が、本質を伴った歴史の物語となり、動きを伴った音楽体験となる。
(セオ パリッシュ  訳: Yuko Asanuma)

こんにちは、マシューデイヴィッド! - ele-king

 アメリカ、ロサンゼルスを代表する非営利ネットラジオ局、ご存じ〈dublab〉の日本ブランチdublab.jpが、MatthewdavidとAnenonを招聘しての楽しいイヴェントを開催!

 「はじめはアンビエント・サイケのカセットを作ろうと思っていた」......のちに〈ダブラブ〉を通して本格始動した〈リーヴィング・レコーズ〉の立ち上げに際して、マシューデイヴィッドは創設メンバーのジェシリカ・モリエッティと長い時間をかけてサウンドのキュレーションを行ったという。ほぼ全リリースに及ぶというマスタリング作業を通じて、彼はズブズブに夢見心地なサウンドを確立し、鮮やかなレーベル・イメージを提示した。いまそれは時代と切り結びながらより広いリスナー層へと波及しつつある。彼の周辺にはサン・アローなど刺激的なアーティストも多く、現在のLAのもっともおもしろい部分を体現する存在としても今回の初来日は貴重であり、学ぶところは多いはずだ。一方のアネノンは〈ダブラブ〉のDJとしても活躍する新鋭プロデューサー。サックスとピアノが印象的なEP『Acquiescence』につづき、アルバム『Inner Hue』をリリースして間もない新鋭であり、やはりLAのエレクトロニックなシーンとの関わりが深い。
 詳細は明らかになっていないが、この企画ではマシューによる音楽制作についてのワークショップもあるという! 企画自体が彼らの来日公演であるという以上の性格を持った複合的なカルチャー・イヴェントであり、その他のワークショップや上映会等を含んだ意欲的なものだ。ライヴとあわせて楽しみたい。

LAからは、dublabに深く関わる2アーティスト、MatthewdavidとAnenonを招聘します。
Matthewdavidは、Flying Lotus率いるBrainfeederに所属し(アルバム『Outmind』をリリース)、LAでいま最も神秘的なレーベルといっていいLeaving Recordsを主宰しています。
Anenonは2011年のRed Bull Music Academyにも招待されたアカデミックなキャリアをバックボーンに持つプロデューサーで、レーベルNonprojectsを主宰しています。
日本からは、今年LAに赴きdublabにもライヴ出演したBUN/Fumitake Tamura、dublabでエソテリックなDJミックスを配信しているShhhhhというdublab.jpの核となるアーティストに、ワールドワイド に活動するChihei Hatakeyamaを迎えます。

また、当イヴェントは単にライヴやDJのみならず、子供のためのワークショップの開催や、dublabが制作した映像作品の上映など、複合的 な催 しとなります。開催場所となる東京芝浦の新しいコミュニティ・スペースSHIBAURA HOUSEにもぜひご注目ください。

詳細→ https://www.shibaurahouse.jp/event/dublab-jp1/

■dublab.jp & SHIBAURA HOUSE present
"Future Roots" feat. Matthewdavid & Anenon


Matthewdavid


Anenon

■日時
2012.12.9(日)
13:00~
WORKSHOP for children
14:30~
WORKSHOP feat Matthewdavid
16:00~20:30
Live:
Matthewdavid
Anenon
Bun / Fumitake Tamura
Chihei Hatakeyama

DJ:
Shhhhh

■場所
SHIBAURA HOUSE/ 1F, 5F
東京都港区芝浦3-15-4

■料金
1500円(出入り自由、中学生以下無料、ワークショップ参加の場合:2000円)

主催:dublab.jp(https://dublab.jp)/ SHIBAURA HOUSE
協賛:Sound & Recording Magazine
サウンドシステム:Forestlimit
協力:PowerShovel,Ltd

*子供のワークショップには、必ず保護者の方が同伴の上、参加ください。保護者1名に付きワークショップ参加料金は2000円となります (16時以降の音楽イヴェントも入場いただけます)。申込フォームは詳細が決まり次第用意します。

禁断の多数決 - ele-king

 面白い。くだらない。そして、素晴らしい(田中宗一郎なら「ははは」と書くところだ)。てんぷらちゃん、尾苗愛、ローラーガール、シノザキサトシ、はましたまさし、ほうのきかずなり、処女ブラジルを名乗る、まったく名乗る気のない7人組=禁断の多数決のデビュー・フルレンス『はじめにアイがあった』は、最初からリミックス・アルバムとしてレコーディングされたような、奇妙な位相差を含んだ作品である。

 半年ほど前になるだろうか、編集部から送られた『禁断の予告編』なるプレ・デビュー作は、はっきり言ってパロディとしか思えなかったが、本作がそこから遥かに飛躍しているのは、すべての行為がパロディ/引用として振る舞ってしまうポストモダンの辛さを、前向きな貪欲さで迎撃しているからだろう。TSUTAYAで面陳されたJ-POPと、親の書棚から拝借したオールディーズと、YouTubeで聴き漁ったアニコレ以降のUSインディを片っ端からメガ・ミックスしたあと、派手なエディットでぶっ飛ばしたような......そうした音楽がここにある。
 あらゆる表現においてメモリがほぼ食い尽くされた同時代への意識がそうさせるのだろうか、そうした編集者目線は彼らのポップに奇妙な分裂性(リミックス感)をもたらすことになる。驚いたことに、もしかすると本人らは意識していないかもしれないが、"The Beach"や"Night Safari"は完全にヴェイパーウェイヴ・ポップで、人工度の高いオフィス・ミュージック(のフリをしたサイケデリック・ミュージック)の上に、メンバーの声が無表情に浮かんでいる(これがけっこう、コワい)。
 また、壊れたロックンロール、ないしブルックリンのフリーク・フォークを思い出させる"World's End"、ノイジーなハウス・ビートにクリーン・ギターが浮つくシンセ・ポップ"アナザーワールド"、フレーミング・リップスを思わせるハッピー・サッドなドリーム・ポップ"チェンジ・ザ・ワールド"と、目まぐるしいエディットのなかで世界というタームがクリシェのような使い方をされ、問題を提起する前にさらっと消費されているあたり、このバンドの身軽さを象徴するようだ。



 まんまオールディーズ・パロディな"Sweet Angel"もいい。けれども、教養主義的な名盤ガイドで仕込んだようなポップ音楽の記憶は、もしかしたらもう邪魔なだけなのかもしれない。昨今のポップ・ミュージックをめぐる膨大な情報量(https://www.ele-king.net/columns/002373/)は、これまでの常識からすれば、すでに一人の人間が体系的に俯瞰できる量を物理的に超えている。だから、極論すれば、iTunes/Soundcloud/Bandcampなどのネイティブ・ユーザーにとって、録音音楽の一義的な差異は、もはやURLやタグの違いでしかないわけだ。
 『はじめにアイがあった』は、あるいは音楽をそのように扱っている。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとパフュームのどちらが偉いかなんて、まるで考えたこともない。そう、禁断の多数決は、例えばそのような狭量さの先へとずんずんカット・インしていく。批評性を失効させることで立ち上がる何か。正史が定められたかに見えるポップ音楽の記憶を、彼らはリズミックに改ざんしている。「ポップ(多数)」なき時代のポップはどこにある? 一見、軽薄に見える態度とは裏腹に、彼らの問いかけは切実である。

 もっとも、『はじめにアイがあった』に一票を投じるなら、村社会内での終わらない相互孫引き(=近親相姦)がこの国のポップ・ミュージックを疲弊させている事実にも目を向けなければならないだろう。ぐるぐると無限に再流通する音楽群を前にして、「俺たちは音楽を知らない」とシャウトすること。無限に可視化されてしまった情報を前に、目を閉じて叫び散らすこと。批評性と呼ぶのが大げさなら、神聖かまってちゃんが体現したそれは、何かしらのSOSとも言えただろうか。
 とするならば、禁断の多数決から感じるのは、この広い海を引用にまみれながらも泳ぎ切ってやろうとする前向きさである。どう聴いてみても、器用さやシニカルな愛情だけでなせる業ではない。彼らはここで、どこにも行けないその場所で、楽しんでやると決めたのだ、おそらくは満場一致の多数決で。みんなで寝そべって、ポップ音楽のアーカイブをフラットなトランプにして、ババ抜きでもして遊んでいるようじゃないか。副題を付けるなら「さらば相対性理論」。J-POPの退屈さを呪ったJ-POPによる逆襲である。

WIRE - ele-king

 ワイアーは、UKにおけるポスト・パンクの最高のバンドである。
 コリン・ニューマンとブルース・ギルバートを中心と彼らが残した最初の3枚のアルバムは、パンク・ロックがいかにロックのクリシェを捨てて音楽的に発展したのかを示す、優れたドキュメントとなっている。PiLはダブとクラウトロックを参照したが、彼らは独自の方法論で、彼らのぱっと聴いたところシンプルだが、よく深く聴いてみると機械の内部のように細かいスタイルを発明した。コリン・ニューマンとブルース・ギルバートは、それぞれソロ活動としても身を見張る成果を残している。
 惜しくもブルース・ギルバートは脱退したが、2011年の最新アルバム『Red Barked Tree』では、その健在ぶりを証明している。そして、同年7月に開催された代官山UNITの7周年イヴェントにもメイン・ゲストとして出演、新旧織り交ぜたセットを披露し喝采を博した。
 なお、対バンには、今年の5月に約四半世紀振りの復活を遂げ大きな話題となったEP-4の佐藤薫とBANANA-UGによるエレクトロニクス・ノイズ・ユニット、EP-4 unit3 の出演も決定!
 おまえ誰だ! ワイヤー!

■2012/11/12(MON)
代官山UNIT
OPEN 18:30 START 19:30
ADVANCE ¥3,500(DRINK 別)

DAIKANYAMA UNIT EVENT INFORMATION
MORE INFORMATION : UNIT/TEL 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com
ADVANCE TICKETS 一般発売 : 10/20 (SAT) 10:00~
LAWSON TICKET(L:77341), e+, 代官山UNIT 店頭にて発売

WIRE
guest : EP-4 unit3


■大阪公演 11/14(木)
東心斎橋LIVE SPACE CONPASS

” EXTRA III ” supported by neutralnation - WIRE (UK) JAPAN TOUR -

OPEN 19:00/START 19:30 前売¥3,500(ドリンク代別途)
info. 06-6243-1666 (CONPASS


■"NEUTRALNATION 2012" 11/11(日)
新木場STUDIO COAST

出演アーティスト:WIRE (UK)、DE DE MOUSE + Drumrolls、toe、mouse on the keys、LITE、にせんねんもんだい、ペトロールズ、eli walks、UHNELLYS、jemapur、Quarta330 and more

OPEN 12:00 START 13:00 前売¥5,000 円
more info : https://neutralnation.net/

FREE PUSSY RIOT TOKYO - ele-king

 政治的なメッセージ性の強いゲリラ・ライヴを、モスクワ地下鉄や赤の広場などで展開してきたロシアのライオット・ガール集団、プッシー・ライオット。今年2月、モスクワの大聖堂に乱入してパフォーマンスを行った際に、メンバー数人が取り押さえられ、のちに逮捕、「宗教に対する憎悪または敵意によるフーリガン行為」などの罪で起訴された事件が報じられると、瞬く間に世界的な関心と注目を浴びるようになった。これ受けるかたちで、欧米などでは自由な表現活動を擁護しようと彼女らを支持する動きが広がる。人権団体やドイツ連邦議会の議員有志をはじめマドンナやポール・マッカートニーなど、多数の有名アーティストたちも支持を表明。この事件への注目は加速度的に上がっていった。
 そんななか、イヴェントの収益を、収監されている彼女たちの裁判・弁護費用にあてようという取り組みも行われている。SHATTERJAPAN、POPULAR COMPANY、WHITE ON WHITEが主催し、イギリスで行われたFREE PUSSY RIOT LONDONでは、イギリスポンド525.35の寄付が集まった。11月、その一環として東京開催となる「FREE PUSSY RIOT TOKYO」が予定されているようだ。

SHATTERJAPAN presents
FREE PUSSY RIOT TOKYO

開催日:2012年11月4日(日)
時間:18時オープン、18時30分スタート
会場:LAS CHICAS 地下1階「東京salon」
入場料:2000円(学生割引:1000円)+ドリンクチケット500円

ゲスト:SPEAKERS:Chim↑Pom(アーティスト)、東宝製作「RENT」2012年版キャスト、岡田裕子(アーティスト)、毛利嘉孝(社会学者)、アンドレイ・ボルト(ロシア人エディター)、小林香(演劇プロデューサー)、and more...

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 事件当時がロシア大統領選前であったことや、YouTubeにアップされた動画には実際の現場に流れていないコーラス・パート「プーチンを追放して」が挿入されていることもあり、「反プーチン政権の曲のために起訴された」というニュアンスで報じられることが多いが、どちらかというと教会やキリスト教そのものへの批判の意味合いが強く、起訴の理由や彼女たちの意図がやや曲げられて捉えられているのではないか、あるいは、ロシアの文化や宗教観のなかで、教会におけるこれらの行為がどのような意味を持つものなのか、他国の人びとが十全に理解した上で支持/批判をしているのかという点を疑問視する意見もある。表現の自由という論点もふくめ、問題の中心をぐるぐると攪拌させながら拡大させる、この目の離せないgrrrlたちを応援する方はぜひ!

Avalanche - ele-king

 書かなければ、と思っている間に2ヵ月が経ってしまった! ああぁぁ、記憶は、やはり薄らいでいる。まったく、自分の怠惰を呪いたくなる。しかし、いまからでも遅くはない。それだけ素晴らしく充実したライヴ・イヴェントだった。去る8月26日、僕はインディ・ヒップホップ・レーベル〈サミット〉が主催する〈アバランチ2〉に行った。〈サミット〉はいち早くPSGやシミ・ラボに注目して契約を交わしたレーベルで、僕はこのレーベルの"嗅覚"というものを信じている。〈アバランチ2〉のラインナップを見たとき、絶対観に行こうと決意した。

 シミ・ラボやパンピー、キエるマキュウやエラも観ることができる。あの瑞々しい"Pool"のミュージック・ヴィデオ一本で巷の話題をさらった新星、ザ・オトギバナシズも出演する。僕は彼らのライヴを、その前の週に青山の〈オース〉という小さなDJバーで観ていた。やけのはらやパンピーという人気者がいながら、オーディエンスの熱い視線はザ・オトギバナシズの3人に注がれていた。彼らは少し戸惑っているように見えたが、その状況を乗り切るだけの気迫と若さがあった。フロントのふたりがアグレッシヴな態度でラップする姿が印象的で、僕は〈ユニット〉規模のステージで改めて彼らのライヴを観たいと思った。

 イヴェントは夕方4時から始まり、僕が会場に到着した直後、ちょうどザ・オトギバナシズがステージに姿を現した。3人は堂々というよりも飄々としていた。インターネットを通じて、彼らのスタイリッシュな映像や"チルウェイヴ以降"の音、その抑制の効いたラップだけを聴いている人は、もしかしたらチャーミングな彼らの、とくにビムの強気なステージングに戸惑うかもしれない。"Pool"と、その日会場で販売していた『Avalanche 2 Bonus CD-R』に収められた"Kemuri"、"Closet"、どの楽曲もたしかに現実逃避的で、幻惑的であるのだけれど、ライヴではそこに生々しい感情が込められていく。そのどこかちぐはぐな感じが、彼らの現在の瑞々しさであり、魅力だと思う。

 会場を見渡すと、男も女もシュッとしたおしゃれな人が多い。夜中のクラブにはない、爽やかな雰囲気が漂っている。そのフロアにD.J.エイプリルは、ジュークを次々と投下し、フットワークのダンサーは扇動者となって輪を作り、ダンスの渦を巻き起こしていった。みんな笑顔で、手足をアクロバティックに動かしている。フットワークというダンスには、人の奥底にある何かを解放する陽性の魔力があるようだった。僕はといえば、スピーカーの前に陣取って、腰をくねくねしながら、はじめて大音量で聴くジュークを堪能していた。ソウル・シンガーのヴォーカルがずたずたに切り裂かれ、ベースはうなりをあげ、キックとスネアとハイハットがびゅんびゅん飛び交っていた。身も蓋もないが、「こりゃ、すごい! ジュークには黒人音楽のすべてが詰まっている!」、そう感じて熱くなった。はじめてムーディーマンの黒さに魅了されたときのような興奮を覚えた。

 ジュークの嵐のあと、エラがステージに颯爽と現れ、いい感じに脱力したメロウでルードなパフォーマンスを見せた。エラのあの渋い声とスペーシーなトラックが会場に響くだけで充分だった。ラウ・デフとゲストとして登場したQNの人を食ったような、挑発的な態度から繰り出すラップは、ラッパーとしてのスキルの裏づけがあるからこそ成立する鋭い芸当だった。ふたりは現在、ミュータンテイナーズ(ミュータントとエンターテイナーを掛け合わせた造語)の活動をスタートさせている。

 そして、僕ははじめて観るキエるマキュウのライヴがどんなものなのかと期待しながら、待った。ソウルやファンクの定番ネタを惜しみなく引っ張り出した彼らの9年ぶりの新作『Hakoniwa』はサンプリング・アートとしてのヒップホップがいまも未来を切り拓けることを証明し、フェティシズムとダンディズムの美学を追及したマキ・ザ・マジックとCQのラップは、感動的なほどナンセンスで、下世話で、ファンキーだった。
 誰もが正しいことを言おうとする時代に、彼らは徹底して正しさを拒絶した。それは言ってしまえば、Pファンク的であり、ふたりのラップはゴーストフェイス・キラーとレイクウォンのコンビを連想させた。僕はこのアルバムを聴きながら、笑いながら泣いた。
 彼らのライヴに期待していたのは僕だけではなった。多くの人が期待していた。イリシット・ツボイは、ブースの前でスタンバイすると、唐突にCDJをステージの床に置き、会場を爆笑に包む支離滅裂な言葉を吐き、クラウドを激しく煽った。そして、ビートが鳴り響いた瞬間、僕はその音の太さに一瞬にして痺れた。マキ・ザ・マジックとCQのラップは、上手さではなく、味わいで勝負していた。まさにベテランの凄みと粋だった。
 マキ・ザ・マジックはよく喋り、イリシット・ツボイと絡み合う謎の身体パフォーマンスを見せた。会場からは終始笑いが起こり、僕の後ろで観ていた女性は、「なに、あれ、意味不明、自由過ぎる! アハハハハ」と笑っていたが、僕もその通りだと思った。彼らは昨今なかなかお目にかかることのない最高のアホで、素晴らしく自由だった。その時点で、この日のMVPはキエるマキュウだと確信した。

 一息つこうとぶらぶらしていると、会う人、会う人、キエるマキュウのライヴを賞賛している。ある人はエラが良いと言っていた。いろんな意見があった。その後すかさず始まったDJのセックス山口とサイドMCのゼン・ラ・ロックのショータイムは、サービス精神の塊だった。セックス山口は、僕がパフュームの曲の中で唯一大好きな"マカロニ"のイントロを執拗にループさせたかと思えば、マイケル・ジャクソンの"ビート・イット"をスピンした。こんなにベースがかっこいい曲だったのか、と思った。セックス山口のDJには、誰もが知っている有名曲の新鮮な魅力を引き出す面白さがあった。大きな眼鏡をかけ、奇抜なファッションをしたゼン・ラ・ロックは体を激しくバウンスさせて、フロアのダンサーたちを煽り、女の子をきゃあきゃあ言わせていた。その流れでのパンピーのソロ・ライヴも大盛り上がりだった。パンピーは生涯2回目(だったか?)というソロ・ライヴを大いに楽しんでいるようだった。PSGと曽我部恵一が共作したサマー・チューン「サマーシンフォニーver.2」のイントロが流れた瞬間、フロアの盛り上がりはピークに達し、その日いちばんの黄色い歓声があがった。あの曲は、完璧にアンセム化していた。パンピーは今年こそソロ・アルバムを出すとMCで語っていたから期待しよう。

 パンピーやゼン・ラ・ロック、シミ・ラボといった面々の功績も大きいのだろうが、いま、ラッパーやヒップホップのDJがちょっと意外なところに呼ばれることもあるようだ。アイドルとブッキングされるとか、そういう話もちらほらと聞く。
 〈アバランチ2〉から数週間後の9月15日、QNとロウパスのギヴン、ビムが出演するという噂を聞きつけ、下北沢で早朝近くまで飲んだあとに、〈トランプルーム〉という渋谷のタワーレコードの近くのビルの一角にあるスペースで開かれるパーティに行って、驚いたことがある。
 足を踏み入れた瞬間に僕は、その熱気に大きな衝撃を受けた。身動きできないほどの人の多さと西洋の貴族の屋敷を思わせるゴージャスの内装にも驚いたが、まるで仮装パーティのように着飾った男女の豪奢なファッションに圧倒された。べらぼうに高価な服というわけではないのだろうが、それぞれに独自の個性があり、男も女もセクシーで若く、尖がっていた。僕は赤いパンツを履いていたのにもかかわらず、「こんな地味な格好で来て、しまったな~」と気まずくなった。ビールが500円だったのにはほっとした。
 さらに僕を興奮させたのは、5、6割が外国人だったことだ。白人もいれば、黒人もいれば、ラテン系やアジア系もいる。そして、その場はとにかく底抜けにエネルギッシュだった。僕はファッション事情にはまったく疎いし、そのパーティの背景も実はよくわからない。レディ・ガガは日本に来ると、原宿あたりの服屋で大量に服を買っていくらしいという噂はよく耳にするが、そのあたりの文化圏につながっている雰囲気をなんとなく嗅ぎ取ることはできた。〈トランプルーム〉も元々もは服屋だったそうだ。
 たまたま酒を飲み交わしたフランス人は不服そうな顔をして、「スノッブだ」とこぼしたが、僕は、おしゃれに着飾ったいろんな人種や国籍の若者が入り乱れながらパワフルに踊る光景を見て、〈KAWAII TOKYO〉と銘打たれたこの開放的なパーティにQNとギヴン、ザ・オトギバナシズのような新世代のラップ・アーティストが呼ばれていることに、なんだか明るい未来を感じた。

 とにもかくにも、〈アバランチ2〉には、豪華な面子が集まっていた。そして、彼らは素晴らしいパフォーマンスを見せた。僕は途中まで、キエるマキュウがこの日のMVPを持っていったと思っていた。が、その日のトリを飾ったシミ・ラボがひっくり返した。彼らは間違いなくその日のベスト・アクトだった。マリア、ジュマ、オムスビーツ、ウソワ、ディープライド、DJハイスペックの6人の凄まじい気迫がこもったライヴは、僕がこれまで観た中でも最高のパフォーマンスだったと思う。彼らは相変わらずファニーで、ファンキーだったが、シリアスな態度も忘れなかった。彼らはジョークを言いながらも、主張することは主張した。オムスビーツとジュマは、スピーカーの上に乗って、激しく体を揺らし、ラップした。マリアとディープライドは彼らのソロ曲を披露し、オムスビーツは、「いろんな意見があるだろうし、自分も本当は言いたくはないけれど、言わせてくれ」というような主旨の前置きをしてから、「ファック・ザ・ポリス!」と職質に対する不満を痛烈な言葉にして吐き出した。それはリアルに心に響く言葉だった。シミ・ラボの新曲"We Just"のたたみかける怒涛のビートと5人の隙のないマイク・リレーも圧巻だった。彼らは見るたびにラップのキレが増している。ライヴとはアーティストの変化を楽しむものでもある。

 オムスビーツは数日前にファースト・ソロ・アルバム『Mr. "All Bad" Jordan』をリリースした。不覚ながら、僕はまだ聴けていないが、ユニークな作品に仕上がっているに違いない。聴くのが楽しみだ。11月3日には町田で彼のリリース・パーティがある。ザ・オトギバナシズは、〈サミット〉とディールを交わすことをこの日のステージで宣言していた。『Avalanche 2 Bonus CD-R』にはエラとパンピーの共演曲も収められていた。とにかく、僕がここで伝えたいのは、2ヶ月経ってしまっていようが、レポートを書く意義を感じるほど、〈アバランチ2〉はライヴ・イヴェントとして充実していたということだ。次も僕はきっと行くだろう。

(special thanks to 増田さん@summmit)

DBS 16th. Anniversary - ele-king

 UKアンダーグラウンド・サウンズのリアル・ヴァイブスを伝えるべく1996年11月にスタートしたドラムンベース・セッション、通称DBSが16周年を迎える。
 この16年間、ジャングル/ドラム&ベース、ダブ、ブロークン・ビーツ、クラック・ハウス、グライム、ダブステップ等、さまざななベース・ミュージックを紹介し数々の伝説を生んできた。
 今回、ダブステップの最高峰、DMZからDIGITAL MYSTIKZのCOKIが初来日! 
 Deep Medi Muzikからフューチャー・ソウルの才人、SILKIEが待望の再来日! UKベース・ミュージックのブラックネスを体感してほしい!


2012.11.03 (SAT) at UNIT

feat.
COKI / DIGITAL MYSTIKZ
(DMZ, Don't Get It Twisted, UK)
SILKIE
(Deep Medi Musik, Anti Social Entertainment, UK)

with: KURANAKA 1945 , G.RINA

vj/laser: SO IN THE HOUSE

B3/SALOON: ITAK SHAGGY TOJO, DX, KEN, DOPPELGENGER, DUBTRO
FOOD:ポンイペアン"ROOTS"

open/start 23:30
adv. ¥3500 door ¥4000

info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.dbs-tokyo.com

★COKI / DIGITAL MYSTIKZ (DMZ, Don't Get It Twisted, UK)
ダブステップのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、脚光を浴びる。05年からDMZのクラブナイトをブリクストンで開催、着実に支持者を増やし、FWD>>と並ぶ二大パーティーとなる。COKI自身は05年以降、DMZ、Tempa、Big Apple等からソロ作を発表、ダブステップ界の重鎮となり、08年にBENGAと共作した"Night"(Tempa)は爆発的ヒットとなり、ダブステップの一般的普及に大きく貢献する。10年末にはDIGITAL MYSTIKZ 名義でアルバム『URBAN ETHICS』を発表(P-VINEより日本盤発売)、血肉となるレゲエへの愛情と野性味溢れる独自のサウンドを披露する。その後もDMZから"Don't Get It Twistes"、Tempaから"Boomba"等、コンスタントに良質なリリースを重ねつつ、11年から謎のホワイト・レーベルのAWDで著名アーティストのリワークを発表、そして12年、遂に自己のレーベル、Don't Get It Twistedを立ち上げ、"Bob's Pillow/Spooky"を発表、今、ノリに乗っている。悲願の初来日!
https://www.dmzuk.com/
https://www.facebook.com/mista.coki
https://twitter.com/coki_dmz

★SILKIE (Deep Medi Musik, Anti Social Entertainment, UK)
ダブステップのソウルサイドを代表するプロデューサーとして"ダブステップ界のLTJブケム"とも称されるSILKIEはウエストロンドン出身の26才。2001年、15才でシーケンスソフトを使って音作りを始め、多様なビーツを探求、またDJとしてReact FMでR&B(スロウジャム)をプレイする。03年にDAZ-I-KUE (BUGZ IN THE ATTIC)の協力でシングル"Order" (P Records)を初リリース。その後QUESTらとAnti Social Entertainmentを立ち上げ、"Sign Of Da Future"(05年)、"Dub Breaks"(06年)を発表。やがてDMZのMALAと出会い、08年に彼のレーベル、Deep Medi Musikから"Hooby/I Sed"、"Skys The Limit/Poltigiest"を発表、またSoul JazzやSKREAM主宰のDisfigured Dubzからもリリースがあり、SILKIEの才能は一気に開花する。そして09年、Deep Mediから1st.アルバム『CITY LIMITS VOL.1』が発表されるとソウル、ジャズ、デトロイトテクノ等の要素も内包した壮大な音空間で絶賛を浴び、ダブステップの金字塔となる。その後も彼のコンセプト"City Limit"(都市の境界)は"Vol. 1.2"、"Vol. 1.4"、"Vol.1.6-1.8"とシングルで継続され、11年6月には2nd.アルバム『CITY LIMITS VOL.2』を発表(P-VINEより日本盤発売)。DJとしても個性を発揮し、11年の"FACT Mix 255"に続き、12年7月に盟友Questと共に名門TempaのMixシリーズ『DUBSTEP ALLSTARS VOL.9』を手掛けている。震災直後に単独でDBSにやって来てくれた11年4月以来、1年半ぶりの再来日!
https://deepmedi.com/
https://www.facebook.com/silkie86
https://twitter.com/silkierose

Ticket outlets: NOW ON SALE !
PIA (0570-02-9999/P-code: 179-674)、 LAWSON (L-code: 70250)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/ https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、
TECHNIQUE (5458-4143)、GANBAN (3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、
Dub Store Record Mart(3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

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