「KING」と一致するもの

satohyoh - ele-king

 ちょっとせつなくて、でもやさしくて、あたたかい音楽……。サンクラで展開中の「音メモ」シリーズで話題を集めた秋田の音楽家、サトウヨウが3月11日にセカンド・アルバムをリリースする。2017年に〈PROGRESSIVE FOrM〉から発表されたファースト『inacagraphy+』に続くフルレングスで、ピアノをはじめとするアコースティック楽器とサンプルを組み合わせた、イメージ喚起力の高い情緒的なトラックが並んでいる。なお明日3月4日から OTOTOY にてハイレゾ(24khz/48bit)での先行配信がスタート。もうすぐ春、ですね。

発売日: 2020年3月11日(水曜日)
アーティスト: satohyoh (サトウヨウ)
タイトル: feel like, feel right (フィールライクフィールライト)
発売元: PROGRESSIVE FOrM
販売元: ULTRA-VYBE, INC.
規格番号: PFCD96
価格(CD): 税抜本体価格¥2,200
収録曲数: 15曲
JAN: 4526180513858

◆Tracklisting

01. same old tomorrow's glow
02. 天気雨
03. toro
04. astraea
05. rain is always looking for clouds
06. bange feat. kota okuyama
07. alphabetagammadelta
08. ongoing
09. rufous scene
10. ランプを灯せば
11. little sense monologue
12. break in the parking
13. reprize
14. ただ広い暗闇、欠伸をした信号機
15. the hot-air balloon floating in the chilly sky

M2/4/10/14 vocal by airi hashimoto

◆【feel like, feel right】紹介文

時に優しく、時にせつなく、美しい調べがこだまする。
秋田県在住、風景の音にアコースティックな音を添えサンプリング等の手法を交えて公開する「音メモ」シリーズで SoundCloud を通じて海外でも多くのファンを獲得してきた satohyoh、2017年4月にリリースした初流通作品となる 1st アルバム『inacagraphy+』より約2年、音楽的な成熟度もぐっと増した satohyoh 待望の2ndアルバムが完成!

《好きと感じること、正しいと感じること。角度が変われば「正しさ」は変わる。誰かに教えたり、誰かを支えるとき、「正しさ」に迷う。「好きと感じること」を教える、「好きという気持ち」で支える。自ずと「正しさ」に繋がる。》として名付けられた『feel like, feel right』では、ピアノ、ギターやアコースティック楽器の音を中心に、味わい深いサンプルや豊かな景色の音を混ぜ合わせることで、田舎の景色や情緒溢れる日本の原風景に寄り添ったかのようなオリジナリティー溢れるサウンドが展開されている。

叙情的なピアノが導くM1 “same old tomorrow's glow” M15 “the hot-air balloon floating in the chilly sky”、リラックスさが心地良いM3 “toro” M8 “ongoing”、音楽制作仲間である kota okuyama がギターとコーラスで参加したM6 “bange”、ジャジーなアプローチが気持ち良いM7 “alphabetagammadelta”、鍵盤と弦により奏でられるどこまでも美しいM9 “rufous scene” とハーモニカがノスタルジーを広げるM12 “break in the parking” をはじめ聴き所が詰まったアルバムだが特筆すべきは 1st 同様に参加している橋本愛里のボーカル曲であろう。

2010年にデビュー~HMVのキャンペーン「NEXT ROCK ON」で最優秀ルーキーに選出~ガールズバンド「スパンクル」のボーカルであった、わらべ歌と考古学を学んだボーカリスト橋本愛里が歌うM2/4/10/14の4曲では、彼女の透明感ある声を生かした satohyoh のソングライターとしての才能を感じる事が出来、本作の魅力をより一層高みへと導いている。

◆プロフィール satohyoh

秋田出身、在住、ピアノやアコースティック楽器などを中心に風景に根ざしたサウンドを奏でるアーティスト。
2010年、ロックバンド「サキノハカ」とスプリットシングルを制作。
同年、「ukishizumi」名義で OMAGATOKI 制作のジョン・レノン・トリビュートアルバム『#9 DREAM』に参加。
2011年、インディーズレーベル〈clear〉の東日本大震災チャリティー配信アルバム『one for all, all for one』に参加。
2013年、インディーズレーベル〈T RUST OVER 30 recordigs〉の『Free Compilation Vol.1』に参加。
その後故郷秋田へ戻り、satohyoh 名義にて風景の音にアコースティックな楽器を添えた「音メモ」シリーズを公開、soundcloud を通じて海外でもファンを獲得する。
2015年、エフエム秋田30周年コンピレーションに参加。
2017年1月、初の iTunes 配信限定版「inacagraphy2」を発表、まったくの無名、ノープロモーションながら、iTunes インストゥルメンタル部門で最高位4位となる。
2017年4月、初の全国流通版となるデビュー・アルバム『inacagraphy+』を〈PROGRESSIVE FOrM〉よりリリースする。
2017年、秋田県潟上市で開催されたアート展「オジフェス2017 つきぬける」に楽曲提供。
ウェブマガジン「なんも大学」の映像企画「Discover Akita」(石孫本店、永楽食堂、五城目朝市、鳥海山日立舞、じゅんさい)に楽曲提供。
2018年、秋田県鹿角市、社会福祉法人 愛生会の事業紹介映像、並びに制作ラジオ番組に楽曲提供。
秋田県仙北市で開催されたグループ展「ひらふくひらく」内、高橋希・写真展に楽曲提供。
そして2020年3月、約3年振りとなる 2nd フルアルバム『feel like, feel right』をリリースする。

Squarepusher 9 Essential Albums - ele-king

 もう25年ものキャリアがあって、メイン名義の〈Squarepusher〉のスタジオ作だけでも15枚というアルバムをリリースしているトム・ジェンキンソン。初来日した頃はまだ22歳とかだったので、よくぞここまでいろんな挑戦をしながら自分をアップデートし続けてきたものだと感心する。段々と自分ならではの表現を確立していったミュージシャンならともかく、彼の場合は特に最初のインパクトがものすごかったわけで、正直こんなに長い間最前線で活躍しつづけるとは、当時は予測できなかった。改めて古いものから彼の作品を並べ、順番に聴いてみると、想像以上にあっちゃこっちゃ行きまくって、それでも芯はぶれない彼のアーティストとしての強靱さ、発想のコアみたいなものが見えてくるようだ。
 ここでは、今年1月にリリースされた最新アルバム『Be Up A Hello』に到るまでの重要作9枚を振り返りつつ、スクエアプッシャーという稀代のアーティストのユニークさをいま一度噛みしめてみたい。


Feed Me Weird Things
Rephlex (1996)

 いまでも、〈Warp〉からの「Port Rhombus EP」がどかんと東京の街に紫の爆弾を落とした日のことはよく覚えている。CISCO とか WAVE の棚は全部それに占拠され、“Problem Child” の殺人的にファンキーな高速ブレークビーツと、うねりまくるフレットレス・ベースの奏でる自由奔放なベース・ラインがあまりに新鮮でずっと繰り返し店でも流されていた。そして、実は〈Rephlex〉からコイツのアルバムが出てるぞっていうことで皆がこのデビュー作に飛びついたのだった。当時はそんなに意識しなかったが、本作は〈Rephlex〉にしては随分とアダルトな雰囲気がある。冒頭の “Squarepusher Theme” にしても方法論としてはその後一気に知れ渡る彼の十八番ではあるものの、ギターのカッティングから始まり、ジャジーでどちらかというと生っぽくレイドバックした響きをもったこの曲は、既にトム・ジェンキンソンの幅広い趣味を示唆している。次に非常にメランコリックで、時折打ち鳴らされるブレークビーツ以外はチルウェイヴかというような “Tundra”、さらにレゲエ/ダブに倍速のブレークビーツを合体させたレイヴ・スタイルをジャズ的なリズム解釈で徹底的にこじらせたような “The Swifty” が続くという冒頭の展開がダントツにおもしろいが、内省的で墓場から響いてくるような “Goodnight Jade” “UFO's Over Leytonstone” といった後半の曲も魅力的。


Hard Normal Daddy
Warp (1997)

 そして〈Warp〉から満を持してリリースされたのが、この2作目。ダークな装いだった前作に比べると随分とメロディックになって、明るく飄々とした印象で、トム・ジェンキンソン自身のキャラクターがよりサウンドに解放されたのかなとも思う。勝手な印象論だけど、こういうジョーク混じりみたいなノリは〈Rephlex〉が得意で、むしろデビュー作のような叙情性と実験性をうまい具合に配合したようなのは〈Warp〉かなというイメージがあって、当時はちょっと意外に感じた。ただ、カマシ・ワシントンがこれだけ持て囃されるような現代ならともかく、90年代後半にファーストの路線をさらに深化させていくのは得策じゃなかったろう。で、これを出した直後くらいに来日も果たし、ステージでひとりベース弾きまくる、作品よりさらにはっちゃけた印象のトムは、より大きな人気を獲得していくのであった。


Big Loada
Warp (1997)

 レイヴにもよく遊びに行っていたし、〈Warp〉に所属することになったきっかけは(初期) LFO だというトムの享楽的側面やシンプルなダンス・ミュージックの悦びが溢れた初期の重要なミニ・アルバム。クリス・カニンガムが監督した近未来ホラー的なMVが有名なリード・トラック “Come On My Selector” が、チョップと変調を施しまくったサイバー・ジャングルちっくでいま聴いても奔放なかっこよさを誇るのはもちろん、ペリー&キングスレイ的なお花畑エレクトリカル・アンサンブル+ドリルン・ベースな “A Journey to Reedham” も素晴らしい。余談だが、トレント・レズナーの〈Nothing〉からリリースされたアメリカ盤では、「Port Rhombus EP」や「Vic Acid」から選ばれた曲も追加収録されているので、かなりお得な入門盤だった。


Music Is Rotted One Note
Warp (1998)

 そして意表を突くように生演奏をベースにした、ほぼフリー・ジャズなアルバムをリリースしたスクエアプッシャー。どうも初期のトレードマーク的スタイルは『Big Loada』でやり尽くしてしまったから、まったく違うことに挑戦したくなったという経緯らしい。それにしても、全楽器を自分で演奏し、しかもあらかじめ曲を作らずドラムから順に即興演奏して録音していくなんて、アイデアを思いついても実際にやろうとするだろうか。まぁそれを実現できる演奏力や曲のイメージが勝手に湧くという自信があったんだろうけど。デビュー作でちらちらと見せていたアダルトでエクスペリメンタルな側面が一気に爆発したこのアルバム、近寄りがたいところもあり、一番好きな作品だというスクエアプッシャー・ファンはほぼいないだろうが、本作があったからこそ、その後の彼の活動もさらに広がりや説得力を持ちえたのだ。ちなみに、ジャケを飾る妙なオブジェはトム手作りのリヴァーヴ・マシンで、ジャケのデザインも自分で発案したそう。


Selection Sixteen
Warp (1999)

 トムには Ceephax Acid Crew として活躍する弟アンディーがいる(本作にもボーナス曲のリミキサーとして参加)。その弟からの影響、もしくは彼らがレイヴァーだった時代から強く持っているアシッドへの憧憬をさまざまなカタチでアウトプットした意欲的な盤。前作からの流れを引きずっているようなジャズ風味の強いトラックや、“Mind Rubbers” のようにドリルン・ベースが復活したような曲もあるが、全体的にはビキビキと鳴るアナログ・シンセのベース音が主役を張っている。これ以前にも酸味を出したトラックはときたま作っていたものの、ジャコ・パストリアスばりの超技巧ベース奏者という売り文句で世に出たアーティストが、わざわざそれをかき消すようなアシッド・ベースだらけの作品を作ってしまうとは……。テクノのBPMでめっちゃファンキーなブレークビーツ・アシッドを響かせる “Dedicated Loop” が、Da Damn Phreak Noize Phunk 名義の Hardfloor を彷彿させるドープさ。


Go Plastic
Warp (2001)

 全編生演奏だった『Music Is Rotted One Note』に “Don’t Go Plastic” という曲があって、日本語でも「プラスチッキー」と言うと安物、(金属に見せかけたような)粗悪品的なものを指すが、この場合は作り物(シンセ音楽)からの離脱を意図していたと思う。それがここに来て宗旨変え、「作り物がいいじゃん!」という宣言だ。時は2001年、エレクトロニカが大きな潮流となっていく少し前。スタジオの機材を一新したスクエアプッシャーは、コンピュータで細かくエディットしてトラックを弄っていくDAW的な手法ではなく、データを緻密にシーケンサーに打ち込むことでこのマッドな高速ブレークビーツを生み出した。ジャズ/フュージョンやエレクトロニック・ミュージックに惹かれたのは、サウンドに存在する暴力性だと語っていたトムが、その本性を露わにしたアルバムだ。全体を貫くダークで偏執的なまでのミュータントDnBは踊ることはもちろん、アタマで考えることや感じることも拒否するような局面があり、激しい電気ショックを浴びる感覚に近いかも。ただ、最初と最後にレゲエ~ダブを解体した比較的とっつきやすい曲をもってくる辺りに、トムの優しさも垣間見える。


Ultravisitor
Warp (2003)

 Joy Division の “Love Will Tear Us Apart” のカヴァーと、フジロックでのライヴ(海賊盤かというくらい音が悪いのが残念)を収録したボーナス・ディスクが話題になった『Do You Know Squarepusher』を経て、03年にリリースされた傑作との呼び声高い心機一転作。極端に言うと、これまでのスクエアプッシャーが試みてきた様々な要素/手法をすべて注ぎ込んだような混沌としたアルバム。どういうわけか、歓声やMCまで入ったライヴ録音の曲も結構多い。アルバム後半を支配する激しくノイジーなエクスペリメンタル・ブレイクコアと対照的なインタールード的な小曲は、ほぼすべてアコースティックな楽器の演奏でまとめられていて、それもトム得意のフリー・ジャズ的なものではなく、むしろクラシックやクラウトロック等を感じさせる(特にラストの2曲が美しい)。さらに本作の間違いないハイライトである、ゆったりとしたテンポと生ドラムの生み出す心地よいグルーヴに被さる、メランコリックな重層的メロディーが印象的な “Iambic 9 Poetry”。これを中心とした冒頭5曲の完璧な構成と展開は、スクエアプッシャーの才がついに二度目の大輪を咲かせたと感じられた。


Ufabulum
Warp (2012)

 手練れのミュージシャンを従えたセルフ・カヴァーをするバンド、Shobaleader One としての活動を挟みつつ、スクエアプッシャーが新たな次元に突入したことを知らせてくれたアルバム。CDではなく YouTube で音楽を聴き、盤を買うよりライヴやフェスに繰り出す、という近年のリスナーの傾向を写したように全曲にトム自身が作成したLEDの明滅による演出が施された映像が存在する。Shobaleader One ではフランスの〈Ed Banger〉から(Mr. Oizo のリミックス入りで!)リリースするなど抜け目のないところを見せ、今作ではその影響もあってか、エレクトロ・ハウスやEDMに通じるような迫力満点の(だが、彼の前衛性やエクスペリメンタルな面を好むファンからしたら大仰な展開や音色はコマーシャルに感じられてがっかりと受け取られるかもしれない)トラック群を仕上げている。混沌度を増すアルバム後半、電子回路が暴走したように予想のつかない展開でリスナーに襲いかかる “Drax 2” や、ヴェイパーウェイヴ的な美学も感じるラストの “Ecstatic Shock” が白眉。


Be Up A Hello
Warp (2020)

 そして、5年ぶりにリリースされた、スクエアプッシャーの原点回帰とも言える最新アルバム。『Ufabulum』や続く『Damogen Furies』では自作のソフトウェアやテクノロジーを駆使して、いわゆるヴィジュアル・アートや最新の IoT にまで斬り込んでいくのではないかという意欲的な姿勢を見せていたトム・ジェンキンソンが、旧友の突然の死去をきっかけに、デビュー前に使っていたような古いアナログ機材や、コモドールの古い 8bit コンピュータまで動員してメモリアル的に作り上げた。近しいひとの死がテーマになっているアルバムだから当然かもしれないが、かつてのはっちゃけまくったスクエアプッシャーを想起させる音色や曲の構成は随所に感じられるものの、どこか悲しげで暗いトーンに覆われている。そして、常に以前の自分に一度ダメ出しして新たなことに挑戦してきた彼が、敢えて彼の音楽性や名声を確立するに到った初期の手法に立ち返ったのには、やはり大きな意義を感じる。特にUKでここ数年盛り上がっているレイヴやハードコア(初期ジャングル)を復興させようという試みは、おもしろいけれど懐古を完全に超越した新しいムーヴメントを生み出しているかというとそうでもなくて、では90年代初頭にそういう現場の雰囲気やサウンドに囲まれて、そこで多くを吸収してプロになったトムのようなひとが改めて当時と同じ道具を手にしたとき、何を表現するのかというのはとても示唆的だと思うからだ。

 4月に行われることになったこちらも5年ぶりの単独ライヴは、『Be Up A Hello』の内容を考えると、ここしばらく注力してきたような、大型スクリーンと派手に明滅する映像をメインの要素に据えた未来的なプレゼンテーションとは違ったものになるのだろうか。ロンドンで行われたアルバムの発売記念ギグを映像で確認すると、機材の音が剥き出しでそれこそドラムマシンやシーケンサーが奏でるループがどこまでも続けばそれだけで幸せなんだ、というかつてDJ以外の演者が “ライヴPA” などと呼ばれた時代にあった雰囲気を感じるシンプルなものだった。もうほとんどレコードでDJをすることはないし、その感覚を思い出すのに少し時間がかかったとすら言っていたジェフ・ミルズの本当に久々のアナログと909でのセットを昨年11月に聴きにいった。ただの懐古に陥らないための演出や伝説の確認ではなくフレッシュな体験としてそれを受け止める若い聴衆とアーティストのインタラクトがおもしろく、今回も新たな発見がありそうだと期待している。
 かつて一世を風靡した “Come On My Selector” のMVは、日本を舞台にしてる風の配役や設定だったが、その実 “Superdry 極度乾燥しなさい” 的な細かな違和感がありまくりだった。最新のビデオ “Terminal Slam” ではやはり渋谷を中心にした東京の街を舞台にし、「また日本贔屓の海外のアーティストに東京を超COOLに描かれてしまった!」というのが大半の日本人の最初の反応で、実は監督したのが真鍋大度だったので、なるほど、さすが〈Warp〉とスクエアプッシャー、よくわかってる!と思ったものだ。今回の来日ステージでも、もしかしたら日本ならではのなにかを反映した演出を用意してくれるかもね。

5年ぶりとなる超待望の単独来日公演が大決定!!

2020年4月1日(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
2020年4月2日(木) 梅田 CLUB QUATTRO
2020年4月3日(金) 新木場 STUDIO COAST

TICKETS : ADV. ¥7,000+1D
OPEN 18:00 / START 19:00
※未就学児童入場不可

MORE INFO: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10760

チケット情報
2月1日(土)より一般発売開始!

Dirty Projectors - ele-king

 一昨年『Lamp Lit Prose』で高らかに生を謳歌したNYインディ・シーンの希望の星、ダーティ・プロジェクターズが1年半ぶりとなる新曲 “Overlord” をリリースしている。耳に残る主旋律とDPらしいコーラスが印象的な1曲だけど、はてさて、これは次なるアルバムへの布石なのかしらん? なお、ヴィデオはデイヴ・ロングストレスみずからが監督を務めているとのこと。

[3月26日追記]
 新情報! 先日公開された新曲は、EPへの布石だったようです。明日3月27日、ダーティ・プロジェクターズの最新EP「Windows Open」がリリースされます。新たに “Search For Life” も公開。楽しみだー。

Dirty Projectors
デイヴ・ロングストレス率いるダーティー・プロジェクターズが
最新EP「Windows Open」を3月27日にリリース!
新曲 “Search For Life” のリリックビデオを公開!

デイヴ・ロングストレス率いるブルックリン出身のバンド、ダーティー・プロジェクターズ。先月1年半ぶりの新曲 “Overlord” を、デイヴ自身が監督として手掛けたミュージック・ビデオと共にリリースし、シーンに戻ってきた彼らが、3月27日に最新EP「Windows Open」をリリースすることを発表! 新章のスタートとなる本作には、『Lamp Lit Prose』ツアーで参加したメンバーが参加し、レイドバックで詩的な魅力に溢れる4曲を収録。その中から新たに “Search For Life” が解禁され、リリック・ビデオが公開された。オリヴァー・ヒルによるストリングスのアレンジが見事なバラードとなっており、今世界を巻き込んでいる危機的な状況の中、本楽曲はより深い響きを放っている。

Search For Life (Official Lyric Video)
https://youtu.be/Oi-iUpec_6M

「Windows Open」ではマイア・フリードマンが全曲でリード・ヴォーカルを務め、作曲、プロデュース、ミックスのすべてをデイヴ・ロングストレスが担当。歌詞はデイヴとマイアが共同で担当し、レコーディングはロサンゼルスで行われた。

label: DOMINO
artist: Dirty Projectors
title: Windows Open
release date: 2020/03/27 FRI ON SALE

TRACKLITSING
01. On The Breeze
02. Overlord
03. Search For Life
04. Guarding The Baby

Dirty Projectors
ブルックリン出身、独創的かつハート・ウォーミングなサウンドで
人気を集めるバンド、ダーティー・プロジェクターズが1年半ぶりとなる
新曲 “Overlord” をMVと共にリリース!

デイヴ・ロングストレス率いるブルックリン出身のバンド、ダーティー・プロジェクターズ。〈Domino〉移籍後、初めて発表した2009年の5作目『Bitte Orca』が、その年の年間チャートを総なめにし、本格的にブレイク。その後もビョークとのチャリティー・コラボ作品のリリース、朝霧ジャムのヘッドライナーとしての出演、そして前作『Lamp Lit Prose』を提げてフジロック・フェスティバルへの出演も果たすなど着実にステップアップを遂げてきた彼らが、前作より1年半ぶりの新曲 “Overlord” をリリース! 同時にデイヴ自身が監督として手掛けたミュージックビデオを公開!

Dirty Projectors - Overlord (Official Music Video)
https://youtu.be/LzHGYtIqLig

監視資本主義への皮肉? 混乱ばかりを生む世界のリーダーたちへの批判? テクノロジーへの盲目的な過信への警告? アンチ・ファシズムのマニフェスト? そんなことは誰も知る由もないが、“Overlord” はジョニ・ミッチェル “Both Sides Now” の現代版と言っても過言ではない。アコースティックギター、コントラバス、コンガ、ドラム、3部合唱によって紡ぎ出されるリラックスした暖かいサウンドは紛れもなく、アルバム『Swing Lo Magellan』以降のダーティー・プロジェクターズのサウンドとなっている。楽曲中、ギタリストのマイア・フリードマンがリードボーカルを担当し、プロデューサーであるデイヴと共に作詞を行った。他にもフェリシア・ダグラスとクリスティン・スリップがコーラス、ナット・ボールドウィンがコントラバス、マウロ・レフォスコがコンゴとして参加している。

label: BEAT RECORDS / DOMINO
artist: Dirty Projectors
title: Overlord
release date: NOW ON SALE

Pray for Nujabes - ele-king

 去る2月26日。その日はちょうど10周忌だった。ロウファイ・ヒップホップから舐達麻まで、いまなお多大な影響を与え続けている不世出のトラックメイカー、故 Nujabes に捧げる映像作品「Pray for Nujabes」が、渋谷の大型ヴィジョンに映し出されたのである。彼の作風をなぞるかのようにセンティメンタルに仕上げられた同映像は、現在 YouTube でも公開中。

Nujabes10周忌に
渋谷・スクランブル交差点で追悼映像放映!

2020年2月26日19時30分、東京・渋谷のスクランブル交差点の大型ビジョン6面で、10周忌を迎えた今なお世界中で愛されてやまない日本を代表するトラックメイカー、Nujabes に捧ぐ映像作品「Pray for Nujabes」が音楽ストリーミングサービス Spotify の協力を得て、3分間にわたって同時放映されました。

心にしみるメロウ&スピリチュアルな Nujabes のビートが渋谷の街に響きわたり、突然の出来事に信号待ちの人々が、その音楽に身を委ねたり、スマートフォンをかざす姿も多く見られました。

また Spotify では同日、生前の Nujabes が師と仰いだ 橋本徹(SUBURBIA)の選曲による Nujabes 10周忌オフィシャル・プレイリスト「Pray for Nujabes」と、「This Is Nujabes」の2本のプレイリストも公開されました。

Nujabes の音楽は没後10年を経てなお、国内外の音楽ファンに愛されており、世界で2億4,800万人以上が利用する Spotify では、並みいる現役アーティストを抑えて2018年に「世界で最も再生された国内アーティスト」の第3位にランクされています。Nujabes のリスナーは、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、日本の順に多く、ブラジルやメキシコなどの中南米でも多く聴かれています。また10周忌に合わせ、Spotify から過去10年に最も聴かれた Nujabes の楽曲ランキングも発表されました。

[当日の模様]



[放映された映像]
「Pray for Nujabes」(Supported by Spotify)
映像URL:https://youtu.be/-_bx7O3cQD4
音楽:Nujabes「Luv (Sic.) Pt2」~「Luv (Sic.) Pt3」〜「Reflection Eternal」
映像制作:Hydeout Productions
映像協力:haruka nakamura「Lamp」
クリエイティブ・ディレクター:Toru Hashimoto (SUBURBIA)
プロデューサー:Daisuke Matsushita

[公開されたプレイリスト]
「Pray for Nujabes」 https://spoti.fi/PrayforNujabes
「This Is Nujabes」 https://spoti.fi/ThisIsNujabes

[過去10年にSpotifyで最も聴かれたNujabesの楽曲ランキング]
1. Akin, Cise Star, Nujabes - Feather (feat. Cise Starr & Akin from CYNE)
2. Nujabes, Shing02 - Luv(sic.) pt3 (feat. Shing02)
3. Cise Starr, Nujabes - Lady Brown (feat. Cise Starr from CYNE)
4. Nujabes - reflection eternal
5. Nujabes, Uyama Hiroto - Spiritual State (feat. Uyama Hiroto)

[Nujabesプロフィール]
今なお世界中で愛されてやまない日本を代表するトラックメイカー、音楽プロデューサーである瀬葉淳(1974 - 2010)のアーティスト名。〈Hydeout Productions〉を主宰して数多くの心にしみる人気作品を発表するとともに、コムデギャルソンのパリ・コレクションの音楽や渡辺信一郎監督のアニメ『サムライチャンプルー』のサウンドトラックなども手がけていた。2018年に Spotify が発表した「海外で最も再生された国内アーティスト」3位。名作の誉れ高い代表アルバム『Modal Soul』のアナログ盤も2月26日にリリースされたばかり。(公式サイト:www.hydeout.net

Jaga Jazzist - ele-king

 こいつは電撃的なニュースだ。これまで〈Smalltown Supersound〉や〈Ninja Tune〉からリリースを重ねてきたジャズもロックも呑みこむノルウェーの野心的音楽集団=ジャガ・ジャジストが、なんと〈Brainfeeder〉に移籍! そして、じつに5年ぶりの新作を4月24日にリリースする!! トンスベリの異能とLAの異端との邂逅……これはバンドとレーベル、双方にとって転機になる出来事だろう。なお、きたるニュー・アルバムには冨田勲やフェラ・クティへのトリビュートも含まれているらしい。昨年のアムガラ・テンプルの来日公演も良かったし、今回はいったいどんな演奏を聞かせてくれるのか。アルバムめっちゃ楽しみや~。


ノルウェーを代表する異能音楽集団、ジャガ・ジャジストが
フライング・ロータス率いる〈Brainfeeder〉に電撃移籍!
冨田勲に敬意を表し、フェラ・クティに想いを馳せた
初のセルフプロデュース・アルバム『Pyramid』が4月24日にリリース決定!
新曲 “Spiral Era” 本日公開!

1994年に結成され、現代音楽からプログレッシヴ・ロック、ジャズ、エレクトロニカまで様々なスタイルを取り入れながら活動をしているノルウェーが誇る異能音楽集団、ジャガ・ジャジストが、2015年の前作『Starfire』以来となる最新アルバム『Pyramid』を、フライング・ロータス主宰レーベル〈Brainfeeder〉より4月24日(金)にリリース決定! 同時に新曲 “Spiral Era” を公開した。

Jaga Jazzist - Spiral Era
https://www.youtube.com/watch?v=HnLUe4MMraY


バンドの核であり、すべての作曲を手がけるラーシュ・ホーントヴェット率いるジャガ・ジャジストは、本作『Pyramid』で、また新しいコズミック・サウンドを手に入れた。電子音を駆使した80年代のジャズ・バンドや、ノルウェーにおけるシンセ・ミュージックの第一人者ストーレ・ストールロッケンから、現代のテーム・インパラ、トッド・テリエ、ジョン・ホプキンスといったアーティストに敬意を表している。アルバムは4曲の長尺トラックで構成されており、丁寧に練られた楽章に沿って進行し、鮮やかな色彩の糸を紡ぎ出している。

ジャガ・ジャジストにとって初めてのセルフプロデュース・アルバムとなる『Pyramid』。彼らの制作工程は、これまでの環境から大きく変化した。多くのアイデアを自由に出すことができた一方で、どのアイデアを採用するかを、自分たち自身で決断することが必要だった。ドラマーのマーティン・ホーントヴェットは「大変だったけれど、自分たちで作業するのが自然だと感じた。メンバーのうち5人はプロデューサーだし、生業としてレコードを作っているわけだから」と語る。その結果、今までにないほどメンバーの団結力を感じられる作品が誕生した。

彼らは『Pyramid』をコンセプト・アルバムとは形容しないが、各楽曲のタイトルをコンセプチュアルなスタート地点と位置付けており、聴き手は楽曲からどんな物語も描きだすことができる。“Tomita” は、日本人の作曲家でシンセ奏者の冨田勲に捧げられており、“The Shrine” は、フェラ・クティが活動拠点としたライヴ・ハウスに由来する。

このアルバムは、これ自体が一つの交響曲だと思っていて、それぞれのパートに余白を持たせ、自由に広がっていくようにしているんだ。 - Lars Horntveth

ジャガ・ジャジスト待望の最新作は4月24日(金)にリリース! 国内盤CDにはボーナストラックが収録され、解説が封入される。また、輸入盤LPはクリスタル・クリア・ヴァイナル仕様となっている。

label: BRAINFEEDER/BEAT RECORDS
artist: JAGA JAZZIST
title: Pyramid
release date: 2020/04/24 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-636 ¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

BEATINK: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10879
Apple Music: https://apple.co/380lgwr
iTunes Store: https://apple.co/2VooeIu

Trinitron - ele-king

 東京にこんな音楽があったなんて! トリニトロンは2010年から2012年にかけて活動していた〈Call And Response〉の4人組バンドである。今回リマスターされた限定CD-Rには、高円寺のベッドルームでつくられたというニューウェイヴ、ポストパンク、シンセポップの数々がめいっぱい詰め込まれている。ブラック・サバスやキャンディーズ、パフュームなどのカヴァーも収録されているが、“Liquidi Liquids” や “One Great Year in Tsukuba” あたりはテクノ耳で聴いてもかっこいいし、“My Boring Feelings” のドキッとさせられるリリックは音楽好きなら必聴かも。レーベルによればブライアン・イーノやDAF、デペッシュ・モードやトーキング・ヘッズ、ステレオラブが好きなひとはぜひ、とのこと。チェック。

artisit: Trinitron
title: make.believe - All of Trinitron
label: Call And Response
catalog #: CAR-51
release date: February 25th, 2020

tracklist:

01. Music to Watch Boys By
02. Heart no Ace ga Detekonai (Candies cover)
03. 10,000 Euros
04. Monday Club
05. Comment is Free
06. Democracy
07. Paranoid (Black Sabbath cover)
08. Liquidi Liquids
09. My Boring Feelings
10. Edge (Perfume cover)
11. The Pure Light of True Love
12. Match no Hono (Mir cover)
13. Namida wo Misenaide (Moulin Rouge/Wink cover)
14. One Great Year in Tsukuba
15. Killer Wave
16. Aus with the Ausgang
17. Polo Shirts Girl
18. Sweet Blue Flowers
19. Kids and Girls

https://callandresponse.jimdofree.com/releases/trinitron-make-believe-all-of-trinitron/

Darkstar - ele-king

 去る2月19日、ダークスターが新曲 “Wolf” をデジタル・オンリーでリリースしている。細やかな音響、相変わらず哀愁を帯びた旋律……いやおうなく感情が揺さぶられます。「不吉なものの接近」がテーマになっているらしいので、なるほど最近のホラー映画あたりが念頭に置かれているのかな、なんて想像をめぐらせてみたけれど、彼ら自身が例としてあげているのはなんと、請求書! た、たしかにそれは不吉だわ。

Darkstar
UKアンダーグラウンド・シーンが産んだ唯一無二のエレクトロニック・ポップ・ミュージックを作り出すユニット、ダークスターが新曲 “Wolf” をリリース!

2010年のデビュー以来、唯一無二な音楽性を有したエレクトロニック・ポップ・ミュージックを作り上げてきたダークスター。アクトレス、ワイルド・ビースツ、ゾンビーらとのコラボレーションを行い、ジョン・ホプキンスやフォー・テットとも交友のある彼らが、新曲 “Wolf” をリリース!

Darkstar – Wolf (Official Audio)
https://youtu.be/V0kzgU0eQTk

“Wolf” は何か不吉なものが迫ってくることに関する曲なんだ。請求書だったり、悪者だったりするね。図々しい感じのリリックとソウルフルなトラックの対比で遊びたかったんだ。 ──Darkstar

UKのトレンドとプログレ、アンビエント、テクノ、ヒップホップ、グライムといったUK音楽史の普遍的なコンテンツを融合することで新しい音楽を提案してきたダークスターは2015年にリリースしたアルバム『Foam Island』以来、スクエアプッシャーことトム・ジェンキンソンとの共作でも話題となった世界屈指のオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーやエンプレス・オブ、そしてガイカといった面々とのコラボレーションを行い、常にフレッシュな環境で音楽を作り出してきた。また、セントポール室内管弦楽団との共演や移民のコミュニティと一緒にインスタレーションやパフォーマンスを行い、アート寄りな活動も行うなど幅広い活躍を見せている。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Darkstar
title: Wolf
release: NOW ON SALE

当世ハウス事情 - ele-king

 ハウスといえば12インチだけれど、この激動のネット時代、やはりSNSの影響は大きく、いろいろと状況が変化してきているようだ。世代交代が進む一方で、ヴェテランの復活も目立つようになってきている。UKジャズとの接点、世代を超えたコラボ、90年代リヴァイヴァル、ヴォーカルものの復権、ひそかにうねりを生み出すフランス……などなど、紙エレ年末号でジャンル別コラムの「ハウス」を担当してくれたDJ/プロデューサーの Midori Aoyama、現在 TSUBAKI FM の2周年記念ツアー真っ最中の彼に、近年のシーンの動向について語ってもらった。

イメージを気にせず、世代も関係なくヴェテランと若いひとがやったり、ハウスとかヒップホップとかジャズがクロスオーヴァーしていくのが可視化されてきた感じはある。

まずは謝っておかないといけないことがあります。Midori さんには紙エレ最新号で、2019年のハウスを総括する記事を執筆していただいているんですが(120頁)、冒頭の「ラブル・アンダーソンのトリビュート楽曲」という箇所は、正しくは「2019年はポール・トラブル・アンダーソンのトリビュート楽曲」でした。編集部のミスです。申し訳ありません。

Midori Aoyama(以下、MA):いえいえ。

それで、その原稿はここ数年のゴスペル・ハウス・リヴァイヴァルの話からはじまっています。まずはその流れについてお聞きしたいですね。

MA:5年くらいまえから生音に回帰する流れがあって、所謂テクノからまたハウスへという流れを感じてて。2007年ころは、マイアミでウィンター・ミュージック・カンファレンスがあったりしてハウスが盛り上がっていたけど、2010年から2015年ころはベルリンが世界の中心というか、ベルグハインとかがすごくメインストリームになっていたし、テクノが流行っていた。でもそれからみんながテクノに飽きてきて、またハウスを聴くようになってきている。それが5年まえくらい。たとえばベルグハインのとなりのパノラマバーでサダー・バハーのようなシカゴのDJがやったり、NYのソウルフルなハウスとかアメリカのヴォーカル・ハウスみたいなものがリヴァイヴァルするということがあった。
 そのハウスの流れにゴスペルが入ってきた。たとえば最近カニエ・ウェストがゴスペルのアルバムを出したけど、もともと曲が出るまえにゴスペルをやる「サンデー・サーヴィス」というイヴェントを日曜日にキム・カーダシアンと一緒にやっていたんだよね。そういうのもあって、若い人がゴスペルを聴く流れができているのかなという気がします。

ポール・トラブル・アンダーソンはどういうポジションのひとなんでしょう? Kiss FM の初期メンバーですよね。

MA:ずっとロンドンの Kiss FM でやっていて、そのあとも Mi-Soul という老舗のラジオでずっとパーソナリティをやっていた。フェスとかのソウル・ブースでもロンドンのローカルなDJを紹介したり。だから、2018年に亡くなったときはUKでは大きなニュースになった。彼は、“Oh Happy Day” というエドウィン・ホーキンスの曲のカヴァーを BPM128 くらいのハウスでプロデュースしていて、〈BBE〉がそのトリビュート楽曲を2019年の1月にリリースした。SNSでもみんなポールのことを書いていたし、個人的にはそれが思い出になっている。ポールに限らず、そのころからまたソウルフルなハウスとか生音が来ている感じはしますね。

リエディットやリイシューはいっぱいあったけれど、いわゆるマスターピースが出なかった年だったとも書いてありましたね。

MA:2019年で印象に残ったのは、UKジャズの切り口でいうと、ジョー・アーモン・ジョーンズだったり、もともとソロでディープ・ハウスをつくっていたニュー・グラフィック・アンサンブルだったり。あとはメルボルンのハーヴィー・サザーランドヌビア・ガルシアをフィーチャーしたり、そういう流れが強かった。ハウスのプロデューサーはあまり出てこなかったかなという印象。
 ちょっと話がそれるけど、いまってデジタルでも年々曲が売れなくなってきてて……。特にハウスとかのダンス・ミュージックが。例えば Spotify で聴くときも、みんなだいたいスロウなミュージックだったりするし、聴くシチュエーションも朝起きたときとか寝るまえとか、あるいは通勤・通学のときとか。だからクラブ・ミュージックを聴きたくなるのは、もともとかなりテクノやハウスが好きだったとか、ドライヴのときに気分を上げるためとか、シチュエーションが限定されてくる。だからつくり手も、クラブ・ミュージックをつくる機会がどんどん少なくなってきていると思う。むかしは曲の長さが10分とかざらにあったけど、いまのEDMのようなメジャーなダンス・ミュージックの曲って2~3分のものが多いし。

いわゆるレディオ・エディットですよね。フルレングスは12インチに入っているという。

MA:でもそれでもう満足しちゃうというか。レコードも以前は数千枚とか売れていたけど、いまは数百枚だし。そうなると、むかしは曲をつくるときはスタジオを借りてミュージシャンを集めてレコーディングしてミキシングして、っていうのが普通だったけど、そういうことができなくなったから、自宅で篭ってつくって、もともとある素材をサンプリングしたりして、うまく生音っぽく整えてリリースする。アーティストが時間やお金をかけて曲をつくることが難しくなったのが、そういうふうになった原因なのかな。

そんな状況のなか、唯一マスターピースと呼べそうなのが、ベン・ウェストビーチとコンによるザ・ヴィジョンだと。

MA:“Heaven” という曲です。オリジナルは〈Defected〉から出ていて、それをダニー・クリヴィットがオフィシャルでエディットして、それがバズった。 “Reachin', Searchin'” というロバート・ワトソンの1978年の有名なネタをサンプリングしているんですが、ジャイルス・ピーターソンもそれを知っていて、そういうネタがどうこうっていう話題や、あとジョー(・クラウゼル)がこの曲を Boiler Room でプレイした動画もあって、SNSが人気の追い風になった。

アンドレア・トリアナを起用したことがいちばん評価に値するとも書いていますね。それは、どういう意味で?

MA:単純に、ゴスペル・ハウスって現役のシンガーの平均年齢が高いと思う。ケニー・ボビアンとかジョシュ・ミランとか、若くても50代。ソウルフルなブラックのハウスって、若くて強烈なシンガーがいまの時代に出にくい印象。有名なシンガーはどうしてもヒップホップやポップスに走っちゃうし。そんななか、彼女のようなシンガーにソウルフルなハウス・トラックでクラシカルなスタイルで歌わせるという、ベンとコンの起用法がすばらしい。でもサンプルはむかしのもので、フレッシュな部分とむかしながらの部分がうまく融合されている。

アンドレア・トリアナというと、ぼくなんかはフライング・ロータスの印象が強いんですよね。あと〈Ninja Tune〉周辺でよくフィーチャーされているシンガーだなというイメージで。そういうひとがいまハウスの文脈につながっている。原稿ではアレックス・アティアスの盤も挙がっていますが、そこに客演しているジョージア・アン・マルドロウも、いまおなじように多彩な動きをみせているシンガーなのかなと思いました。16FLIP とやったり

MA:ジョー・アーモン・ジョーンズの “Yellow Dandelion” もそう。ジャンルをまたいでコラボレイトすることは、声を売っているひとたちからすると、自分のイメージを気にするひとも少なくないと思うんだよね。でもそういうのを気にせず、世代も関係なくヴェテランと若いひとがやったり、ハウスとかヒップホップとかジャズがクロスオーヴァーしていくのが可視化されてきた感じはある。自然とそういう流れができているんじゃないかな。数年前に比べてヴォーカル・ハウスのリリースが増えたと思う。

それはなぜ?

MA:世の中的なこともあると思う。世界情勢とか。暗いムード、バッドなムードのときは明るい音楽とかが求められるのかなと。ポジティヴなメッセージとか、ポジティヴなヴァイブスを届けようってひとが増えてきてる気がするし。そういうメッセージを受け取りたいリスナーも増えてきている。あとやっぱり、一周して90’sリヴァイヴァルが来ているのが大きい。今回の号(ダブ特集)もそうですよね。それ自体はずっとまえからあったけど、たとえば Mars89 さんたちの音楽を20代や10代が聴いて、「おもしろい、ダブってなんだろう」ってなっているんだと思う。ハウスも90’sとか、00年代前半ころにおもしろかったサウンドやカタログが、また再評価されているんじゃないかなと思うんだよね。

テクノもそうですしね。

MA:ただ、単純にリヴァイヴァルすればいいということではなくて、アップデイトしていく作業がすごく大事だと思う。たとえば、いまルイ・ヴェガがエレメンツ・オブ・ライフ(ELO)を復活させているんだけど、自分のファミリーだったジョシュ・ミランとかアナーネとかルイシート・キンテーロみたいなひとを引き続きフィーチャーしつつ、他方でちゃんと新しいシンガーとかキーボーディストを招いているのはおもしろい。いまは、そういう動きをしているプロデューサーとかDJが評価されていると思う。原稿では「流れに乗り遅れた者が居場所を失っていく」って書いたけど、補足するとそういうこと。しかもルイは今度、ヘンリー・ウーと一緒に曲をつくるのね。年内に〈BBE〉から出すらしい。そういう流れもすごくいいと思う。

へえ! NYのラテン・カルチャーといまのサウス・ロンドンがつながるって画期的ですよ。

MA:ルイはUKのレーベルからのリリースもあるし、もともとイギリスのフュージョンの影響も少なからず受けていたはず。もちろんNYの影響も間違いなくあるけど、ソウルとかサルサに加えてヨーロッパのインフルエンスも間違いなく受けていたと思う。

しかも世代を超えて。

MA:ハウスの分野では世代交代が進んでいて、世界のトップ・クラブとかトップ・フェスとか主要なレーベルでやっているひとたちって、いま30代が中心。僕をフランスのフェスにブッキングしてくれるクルーもそれくらいだし、ダニー・クリヴィットの後輩で「LOVE INJECTION」っていうフリーペイパーを出しているメンバーも世代が近い。ジョー・アーモン・ジョーンズもまだ20代後半。他方で、いまルイだったり、アレックス・アティアスのようなヴェテランがカムバックしてきて、若いひとたちと組んでやっているのはおもしろいよね。松浦(俊夫)さんもそうだし。僕ら世代の良いところは、ヴェテランと若者世代のどちらも繋がっているところ。それこそ可能性で言えば50代の人と10代の人を繋げたプロジェクトだってできる。それができるのは僕らしかいないから。それがいまいちばん求められていることなんじゃないかなと感じている。

僕ら世代の良いところは、ヴェテランと若者世代のどちらも繋がっているところ。それこそ可能性で言えば50代の人と10代の人を繋げたプロジェクトだってできる。それができるのは僕らしかいない。

なるほど。ちなみに原稿では「ジャジー」と「テッキー」という分け方をしていましたよね。ここまでの話がおおよそ「ジャジー」側の話だとすると、「テッキー」側はどういう感じなんでしょう?

MA:「テッキー」をいちばん体現しているのはブラック・コーヒーやペギー・グーかな。彼らはフェスをメインの戦場にしていて、フェス以外のとき、ふだんはどこでやっているのかというと、イビサでやっている。イビサのトレンドって、すこしまえはリカルド・ヴィラロボスとかリッチー・ホウティンとかだったけど、いまはブラック・コーヒーがレジデントだったり。それこそルイ・ヴィトンのディレクターを務めてるヴァージル・アブローと一緒にプレイもしている。そういうハイ・ファッションな流れ。オシャレに感度の高い若いデザイナーが、そういう音楽をやろうよという空気になってきているよね。こないだホアン・アトキンスのサイボトロンがルイ・ヴィトンのランウェイでパフォーマンスしたり。やっぱりヴァージル・アブローの存在が大きいんだと思う。そういう状況を10代のキッズとか、20代のファッショニスタとかデザイナーとかモデルとかが見て、かっこいいと思ったり。そういう流れができているのを実際に肌で感じる。そしてその流れに追随しようとしているハウスのDJやプロデューサーがいて、それがイビサという島を起点に、ドイツやオランダやアメリカに広がっているなと。

あと原稿を読んで、いまフランスがキイになっているのかなとも思いました。

MA:フランスってもともと植民地を持っていた背景があるから、アフリカからの移民もすごく多くて、アフリカ大陸のサウンド、ブラック・ミュージックが好きな人も多い。ニュー・グラフィック・アンサンブルもフランス人で、原稿に書いたリロイ・バージェスの “Work It Out” で一緒にやっていたセイヴィング・ココもフランス人。リリース元の〈Favourite〉もフランスのレーベルだし。以前リロイはハーヴィー・サザーランドと一緒に歌って、そのときはメルボルンのバンドだったんだけど、今回の新曲はリロイ以外全員フランス出身。あと、フローティング・ポインツの〈Melodies International〉って知ってますか?

激レアなソウルとかをリイシューしまくっている。

MA:うんうん。あれもフローティング・ポインツと一緒にやっているのはフランス人だしね。あと彼らは日本の音楽もディグっていて、和モノのリイシューとかもけっこうフランス人がやっていたり。オタク気質というか、掘りはじめるとすごいんだよ。

テクノ~エクスペリメンタル方面でも、いまフランスの〈Latency〉っていうレーベルがおもしろいんですよ。あと年末号でインタヴューしたダンスホールのロウ・ジャックもフランス人だった。

MA:テクノの Concrete っていうクラブができはじめたくらいから流れが変わってきたのかな。10年くらいまえまではみんな幹線道路の外で、郊外でパーティをやっていた。でもいまは幹線道路の中でもできるようになってきていて。若い人が集まって曲をつくったり、パーティをしたり、クラブを作ったり、フェスをしたり、どんどんそういうおもしろいプロジェクトをやりはじめている。それがひとつの大きなうねりになってきている。
 あと、彼らには地元のスターをみんなで応援しようという意識が強い。10年くらいまえに一度だけイビザに遊びに行ったことがあるんだけど、客がフランス人ばっかりで(笑)。日本でも、たとえばガルニエが来日するとフランス人がいっぱい来る。僕がフランス人のDJをブッキングするときも、応援に来るし。「地元のやつだから応援する」みたいな理屈があるというか。そういう気質が、いまのローカルをサポートする草の根的なあり方と合っているんだと思う。だから僕のまわりはいまフランス人に囲まれているかもね(笑)。

Ratgrave - ele-king

 UKジャズ・シーンにおける重要人物、年末にはルイ・ヴェガとのコラボも控えるヘンリー・ウーことカマール・ウィリアムス主宰の〈Black Focus〉から、新たにアツいタレントの登場だ。彼らの名はラットグレイヴ。〈Ninja Tune〉からもリリースのあるマックス・グレーフと、ベーシストのユリウス・コンラッドから成る2人組である。先行公開された2曲を聴くかぎり、いろんな要素の折衷されたファンクネスあふれる作品に仕上がっている模様。
 ちなみに〈Black Focus〉は2018年にマンスール・ブラウンのアルバムをリリース、つい最近ではヴェテラン、スティーヴ・スペイセックの新作も送り出している。

Ratgrave
モダン・エレクトロニック・フュージョン!
カマール・ウィリアムスことヘンリー・ウー率いる〈Black Focus〉より、マックス・グレーフとベーシストのユリウス・コンラッドによるデュオ、
ラットグレイヴの最新作『Rock』が3月20日(金)リリース決定!
収録曲 “Instant Toothpaste” “Theme From Metronome” を公開!

グレン・アストロとのコラボレーションで名門〈Ninja Tune〉からアルバム・リリースをしているマックス・グレーフとベーシストのユリウス・コンラッドによるデュオ、ラットグレイヴの最新作『Rock』が、サウス・ロンドンのジャズとハウスが疾走する猥雑な交差点にしてすでに高いプロップスを獲得している、カマール・ウィリアムスことヘンリー・ウー率いるロンドンの重要レーベル〈Black Focus〉より3月20日(金)リリース決定! 収録曲 “Instant Toothpaste” “Theme From Metronome” を公開!

Ratgrave - Instant Toothpaste (Official Audio)
https://youtu.be/gUtwFgfwcXI

Ratgrave - Theme From Metronome (Official Audio)
https://youtu.be/01X2uSKhAts

フローティング・ポインツが見出した鬼才、ファンキンイーブン率いる〈Apron Records〉からリリースし、高評価を得たデビューアルバム『Ratgrave』に続く今作は、2人のマルチプレイヤーが80年代のファンク、ソウル、ロック、そしてエレクトロニック・ミュージックからの影響を現代の感覚をもって昇華したサウンドとなっている。時にまだ見ぬマップ・オブ・アフリカの新譜を聴いているような、時にスライ&ロビーとパット・メセニーが人力ハウスを披露したら? など音楽好きにはたまらない甘い妄想へと誘う快作!

『Rock』は異なる音楽のジャンルから感じ取ったエネルギーやヴァイブスの本質を捉えて表現したものだ。好きなものを全て繋げて出来たものっていう感じだね。アルバムをレコーディングしているときは常にその事を意識していたよ。生々しくて荒々しいジャズ・ロックのエネルギーも入っているし、たくさんのビデオゲームの要素も入ってる、ギターポップやサイケデリックな音楽の影響もある。レコーディングの時は Blue Cheer、Black Sabbath、Frank Zappa、Jimi Hendrix といったヘビーな音楽も聴いていた。そして、作曲をしている時に静かな曲の中でもそういったヘビーな音楽の影響がいかに大きかということに気付かされた。だから、P-Funk やスピリチュアル・ジャズ、そして色んなポップ・ミュージックなどが入ったアルバムだけど『Rock』というタイトルが相応しいと思ったんだ。 ──Ratgrave

待望の最新作『Rock』は3月20日に国内流通仕様盤、輸入盤CD/LP、デジタルでリリース! 国内流通仕様盤には解説が封入される。

label: Black Focus / Beat Records
artist: Ratgrave
title: Rock
release: 2020.3.20

CD / Digital tracklisting:
01. Escobar
02. Theme From Metronome
03. World Aid
04. Instant Toothpaste
05. Eternal Breeze
06. Yurok
07. 4 Benz
08. Dibidai
09. Rock
10. Bleeding To Death
11. Sturf
12. Alright
13. Mutti Hat Gekocht

Vinyl tracklisting:
Side A
A1. Escobar
A2. Theme From Metronome
A3. World Aid
A4. Instant Toothpaste
A5. Eternal Breeze
A6. Yurok
A7. 4 Benz
Side B
B1. Dibidai
B2. Rock
B3. Bleeding To Death
B4. Sturf
B5. Alright
B6. Mutti Hat Gekocht

Salac - ele-king

 飯島直樹さんがいなくなったので、〈Avon Terror Corps〉=ATCなるブリストルの集団がいったい何なのかすぐに教えてもらうことができない。サウンドから察するに、彼らは〈Bokeh Versions〉周辺のアーティスト、Jay Glass DubsMars89あたりとも連動しているはず。が、しかしずいぶんパンク色は強く、そう、パンキシュで、とことん急進的なインダストリアル・パンク・ダブとでも言えばいいのか、昨年リイシューされたマーク・スチュワート&エイドリアン・シャーウッドの初期作品ともぜんぜん重なってしまう。つまり、ポストパンクの感触がたっぷり塗り込まれた、容赦なく荒れ狂うデジタル・ビートと金切り声。どこまでも不快なノイズ。イイネ。
 ATCが作品をもってシーンに登場したのは、2019年初頭だと思われる。カセットとアナログ盤をベースにリリースしているようだが、まあ、そこもいまどきのブリストルといったところではある。そしてそのうちの1枚、Salac のデビュー・アルバムには、ATCのやりたいことがぎっしりと詰め込まれていると見た。ブリストル・サウンドの系譜においてそのもっともとんがった残響とリンクしながら、ここにはTGスタイルの(なかばユーモアの込められた)薄気味悪さもあり、ヴェイパーウェイヴを通過したインターネット暗黒郷における絶望的なトラッシュ感覚もある。まあとにかく、彼らは現代的で攻撃的で挑発的だ。ざっとこの10年の流れで言えば、〈Blackest Ever Black〉が率先したインダストリアル系、あるいはブリストルのヤング・エコー系、これらの先鋭的な融合の先にある〝サウンド〟だと。注目してもいいんじゃないだろうか。
 ATCにはほかにもKinlaw, Franco Francoなる名義の、この文脈でトラップまでやっている強者もいるのだけれど、今年に入ってそのサブレーベル〈Global Terror Corps〉=グローバル・テロリスト隊からリリースされたConcentrationなる3人組の「I'm Not What I Was EP」もまたすごいことになっている。その音楽は、本人たちの説明によれば〝アジット・テクノット・ポップ〟であり、〝ハイエナジー・エレクトロ・ライオット〟であり……(いったいどんな音だよ!)。で、Salac同様に、ここにも〈On-U〉がインダストリアルに接近した時代の破壊的かつ狂乱的なダブ・コラージュが展開されているのだが、興味深いことにその音響はムーア・マザーのアルバムともどこかでリンクしている。ぼくにはそう感じる。ちなみに、この一派における〈On-U〉系のダブに近いところでは、Bad Trackingなるグループもいて、Salacらとともに、いままさに〝ネクスト〟がはじまっていることを印象づけている。
 これらブリストルの新潮流を聴いていると、ザ・ポップ・グループでさえも本当に〝ポップ〟に聴こえてくるかもしれない……なんてことはないが、いま、そのぐらい強力な新しい風が吹いている。スラヴォイ・ジジェクによれば、今日の社会では笑顔や楽しむことは資本主義が強制する義務だそうだ。ならばこれは怒りの季節である。Feel it!

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