「KING」と一致するもの

DRUNKEN STEIN (Some Song Teachers @ OATH) - ele-king

合法ダンス元年を迎えるにあたり抑えておきたい10のダンス 2014/11/25

丘ダンサーのドランケンです。
青山のOATHでSome Song Teachersってパーティーやってます。隔月第4土曜日です。
https://somesong.jp

 2014年は本当にたくさんのアーティストが日本にやってきましたが、最後にここ一番のビッグ・ネームがやってきます。年末にはUKダブの重鎮であり、数々のラヴァーズ・ロックのアンセムを世に送り込んで来たマッド・プロフェッサーが来日決定。今回の来日でマッド教授がプレイするのは今回だけなので、お見逃しなく。

 サウンド・スラッガーは2008年に代々木公演でスタートしたベース・カルチャーを体現したパーティで、「低音」をキーワードに、ダブ、ジャングル、ダブステップ、フットワークなどなど様々なジャンルを紹介してきたイベントです。数年前にスター・ラウンジに会場を移し、今回は代官山ユニットで開催です。

 当日はユニット内の3つの各フロアにサウンドシステムを追加し、日本からはPART2STYLE SOUND、1945 a.k.a KURANAKA、LEF!!!CREW!!といった日本のベース・カルチャーを語る上でかかせないメンツがマッド教授をお出迎え。

 もちろん、当日はアーティストのセッションやサウンド・クラッシュも開催決定。メイン・フロアで行なわれるEASS SPECIAL SESSIONでは、DJブースがなんとダンス・フロアに設置され、3組のDJたちはこの日のために用意された特製ヘッドフォンで現場に望みます。

 一体当日は何が起こるのか? 合い言葉は……
Let the bassline thump you in your chest (貴様の胸に低音をかませ)!!

SOUND SLUGGER feat. MAD PROFESSOR (LONDON, UK) 
日程 2014年12月26日
会場 代官山UNIT
開場 / 開演 23:00
料金 3.500円(advance)/ 4,000円(Door)
Information: 03-5459-8630 (UNIT)  www.unit-tokyo.com
イベント特設サイト  https://part2style.wix.com/ss1226

前売りチケット:
ぴあ (P: 249-779), ローソン (L: 73139), e+ (eplus.jp), disk union CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿, 下北沢), disk union (吉祥寺), TECHNIQUE, GLOCAL RECORDS, DISC SHOP ZERO, JET SET TOKYO, DUB STORE RECORD MART, 新宿ドゥースラー and UNIT

出演
Room1 @UNIT + EASTAUDIO SOUNDSYSTEM
MAD PROFESSOR (ARIWA UK)
PART2STYLE SOUND
1945 a.k.a KURANAKA
Reggaelation Independance
KEN2D SPECIAL feat. JA-GE&RUMI
LEF!!! CREW!!!
-EASS SPECIAL SESSION-
feat. BIM ONE PRODUCTION × HABANERO POSSE × SKYFISH

Room2 @UNICE + Nichi Soundsystem
Booty Tune
Broken Haze + Kan Takahiko
XLII (XXX$$$)
Nichi
SHINKARON
ExcaliBoys
Trekkie Trax
-JUNGLE Clash-
HAYATO 6GO vs JUNGLE ROCK vs TAKARADA MICHINOBU

Room3 @SALOON + STONEDVIBES SOUNDSYSTEM
DJ DRAGON (Dubway from BANGKOK)
SP the Stonedvibes
DX (Soi Productions)
DON (Duusraa)
VΔR$VS(GOODWEATHER)
MIDNIGHT ROCK vs Myojin Crew
Portal + JAQWA
International SOUND
-dub fi dub-
feat. MIDNIGHT ROCK × Myojin Crew × PART2STYLE SOUND  × SP THE STONEDVIBES and ???

Food 虎子食堂 / 新宿ドゥースラー

MAD PROFESSOR  (ARIWA SOUNDS, UK)  

 泣く子も黙るダブ・サイエンティスト、マッド・プロフェッサーは1979年にレーベル&スタジオ「アリワ」設立以来、UKレゲエ・ダブ・シーンの第一人者として、四半世紀以上に渡り最前線で活躍を続ける世界屈指のプロデューサー/アーティストである。彼の影響力は全てのダンス・ミュージックに及んでいると言っても過言ではない。その信者達は音楽ジャンルや国境を問わず、常にマッド教授の手腕を求め続けている。なかでもマッシヴ・アタックのセカンド・アルバムを全編ダブ・ミックスした『No Protection』は余りにも有名である。伝説のリズム・ユニット、スライ&ロビーとホーン・プレイヤー、ディーン・フレーザーをフィーチャーして制作された『The Dub Revolutionaries』は、2005年度グラミー賞にノミネイトされ話題となった。まだまだ快進撃中、止まることを知らないマッド教授である。ここ近年だけでも、伝説的なベテラン・シンガー、マックス・ロメオ、レゲエDJの始祖ユー・ロイ、レゲエ界の生き神様リー・ペリーに見出されたラヴァーズ・ロックの女王スーザン・カドガン、UKダンスホール・レゲエのベテラン・アーティスト、マッカBのニュー・アルバムをプロデュースしている。 自身のアルバムも『Bitter Sweet Dub』『Audio Illusions of Dub』『Roots of Dubstep』『Dubbing with Anansi』などをコンスタントにリリース。プロデュース作品は、リー・ペリーの手に依る金字塔アルバム『Heart of The Congos』で知られるThe CongosのCedric Mytonとのコラボ・アルバム『Cedric Congo meets Mad Professor』、カリスマ的ラスタ・シンガー LucianoとのDub Showcase『Deliverance』を制作、相変わらずのワーカホリックぶりを発揮している。最新テクノロジーと超絶ミキシング・テクニックを駆使して行われる、超重低音を轟かせる圧巻のダブ・ショーで存分にブッ飛ばされて下さい。

PART2STYLE SOUND

 日本人にしてヨーロッパのシーンをリードするベースミュージック・クルー!! PART2STYLE SOUND!!! ダンスホール・レゲエのサウンドシステム・スタイルを軸に、ジャングル、グライム、ダブステップ、トラップ等 ベース・ミュージック全般を幅広くプレイ。独自のセンスでチョイスし録られたスペシャル・ダブプレートや、エクスクルーシブな楽曲によるプレイも 特徴のひとつである。2011年より、海外のシーンを焦点にサウンドとしての活動を開始、ヨーロッパにおける数々の最重要ダンスはもちろん、世界最大のベース・ミュージック・フェス【OUTLOOK FESTIVAL】やヨーロッパのレゲエ・フェスで1位2位を争う【ROTOTOM SUNSPLASH】、【UPRISING REGGAE FESTIVAL】等ビッグ・フェスティバルでの活躍がきっかけとなり、ヨーロッパ・シーンで最も注目をあびる存在のひとつとなっている。【JAHTARI】、【MAFFI】、【DREAD SQUAD】等ヨーロッパ・レーベルからのリリースに続き、2012年秋に自身にて立ち上げた新レーベル”FUTURE RAGGA”の楽曲は、ヨーロッパ各地で話題沸騰、数々のビッグ・サウンドやラジオでヘビープレイされている。2013年には、日本初のGRIMEプロデューサー オンライン サウンド・クラッシュ【War Dub Japan Cup 2013】に、MaL × Nisi-p名義で参加。見事優勝を勝ち取り、国内においてもその存在感を示した。 毎月第1,3月曜20:00~21:00のPART2STYLE RADIO (BLOCK.FM)も必聴!!


Kevin Reynolds × Bushmind - ele-king

 DJを見るっていうんじゃなくて、がっつり踊りたいので、本気でアンダーグラウンドなパーティに行きたいんだよなー。このところ、ずっとそう思っていたところに朗報。最近は、トーフビーツの12インチ「Tofu Recipes -tofubeats Remix Ep」のリミキサーに抜擢されたり、小島麻由美の7インチ「泡になった恋」のリミキサーに抜擢されたりと、J-POPを陶酔のビートに変換しているブッシュマインドが、デトロイトからケヴィン・レイノルズを招いてのイベントを開く。
 ケヴィン・レイノルズは、一時期はデリック・メイのトランスマットでも働いていたほど、古くからデトロイトのシーンに関わってきたひとり。ブッシュマインドも、おそらく、ディープ・ハウス&ファンキーなアシッド・ハウスでその晩を盛り上げてくれるでしょう!

■Information
 先日発売されたKAKU『Live at Detroit2000』も好評な中、デトロイトよりKAKUの盟友でもありプロデューサー/ライヴ・パフォーマー のKevin Reynoldsgが12月に初来日決定!!
 日程は、12/20(土)東京en-sof、12/22(月・翌祝日)千葉 sound bar mui、12/27(土)大阪 compufunkの3公演。
 過去にResident AdvisorからDetroit Electronic Music Festival Movementのハイライトとも賞された彼のパフォーマンスを、体験できる 貴重な一夜であり、パーティを共に作り上げるDJ陣もhimcastならではの組み合わせに。 レジデントであるBushmindを筆頭に、blacksheep×himcastでもフロアを熱狂させた1-DRINK、seminishukeiよりオールラウンダーの Overall、blacksheepより安定のDJプレイを魅せるJyotaroが東京公演を。千葉では、説明不要だが海外トップDJのサポートを経験もある RYOSUKE、千葉の次世代をリードするパーティspotseekよりWada YosukeとBushmind。大阪はBushmindと大阪在住のOoshima Shigeru による「2×4」。会場となるレコード店兼クラブの店長であるDJ COMPUFUNKと、千葉に続きRYOSUKEがサポートを務める。

■Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA)  デトロイトのプロデューサー/ライヴ・パフォーマー、ケヴィン・レイノルズ。 アイルランド系の自動車工場労働者と公民権活動家の間に生まれる。大学在学中に電子音楽の制作を覚え、卒業後はDerrick Mayの Transmat Recordsて働き始める。当初はエンジニアとしての契約だったが、後にレーベルにおける音響面の製作全てを担うようになる。
 その後、自身のレーベルTodhchaiを創立。2006年、1stシングル「Afrik」をリリース。Gilles Peterson、Osundale、Jazzanova、DJ Karizma、Masters At Work等からの支持を受け、BBC Radio Oneは彼の音楽を「the new sound of Detroit.」と称している。
 2001年、 2004年、2009年とDetroit Electronic Music Festival Movementでライヴを行い、2009年のライヴはResident Advisorによりフェスティバルのハイライトと評される。
 去年、今年とMike Huckaby、Osunlade、Patrice Scott、Aril Brikha等とともにヨーロッパツアーを行い、ベルリンのPanorama BarではNsydeからリリースしたシングル曲「Liaisons」のパフォーマンスでクラウドを熱狂させている。

■東京公演
2014/12/20 (sat)
[himcast]
at EN-SOF TOKYO 23:00 start
charge 2500yen(w/1d ) w/f 2000yen(w/1d )
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA )
DJ:1-DRINK
Overall (seminishukei )
Jyotaro (BLACKSHEEP / LOCUS) Bushmind (himcast / 2x4 / seminishukei )

■千葉公演
2014/12/22 (mon)
[Lobust]
at sound bar mui 23:00 start charge 2000yen
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA)
DJ:Bushmind (himcast / 2x4 / seminishukei) RYOSUKE
Wada Yosuke

■大阪公演
2014/12/27(Sat)
[2×4]
at Compufunk Records Backroom Open/Start 23:00 fee/2500(w/ 1Drink)
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA )
Guest DJ:RYOSUKE (lobust / so gut ) DJ COMPUFUNK
DJ:Bushmind (himcast / seminishukei) Ooshima Shigeru
SOUND:YORI
floor2
Young Animal (WASTELAND / DEUZEBRA) ECIV_TAKIZUMI (SPASH!)
hisa (Jimmy)
GLT (Jimmy)


ザ・ドラムス来日! - ele-king

 9月に発売されたサード・アルバム『ジ・エンサイクロペディア』を引っさげて、ドラムスが来週の頭にブルックリンから日本にやってきます! メンバーの脱退を乗り越え、レーベルもあらたに、アルバムはより洗練されたサウンドに仕上がりました。新曲“マジック・マウンテン”のMVもいつも以上にスタイリッシュ! これをライヴでどうやって表現するのか非常に楽しみです。果たして、ジョニーが腕を振り回してマイクの前で踊る姿はそのままなのか!? 最近ではめったに披露しなくなってしまった名曲“レッツ・ゴー・サーフィン”を聴くことができるのか!?

 さらに、東京公演のオープニング・アクトには日本のブライト・ホープであるワイキキ・ビートが出演決定! どんなバンドか気になるはこの“フォーエヴァー”のMVをチェック。週明けからレトロに身体を揺らしましょう! 

The Drums 来日ツアー
■東京公演
日程:2014年12月8日(月)
会場:東京・恵比寿LIQUIDROOM
時間:開場18:00 / 開演19:00
料金:6,000円(税込/All Standing/1Drink別)
出演:The Drums、オープニングアクト: Ykiki Beat


■大阪公演
日程12月9日(火)
会場:心斎橋SOMA
時間:開始 18:30 / 開演 19:30
料金:6,000円 (税込/All Standing/1Drink別)
出演:The Drums

企画・制作・招聘:クリエイティブマン 
https://www.creativeman.co.jp/artist/2014/12drums/
協力:Tugboat Records

■The Drums

子供の頃にサマー・キャンプで知り合ったジョナサン(Vo),ジェイコブ(Gt)を中心に、2008年に結成されたアメ リカ・ ニューヨークはブルックリン出身のバンドThe Drums。デビュー・EP「サマータイム」を2009年リリース。収録曲「レッツ・ゴー・サーフィン」は、どこか切なくも懐かしいサウンド、そして思わず口ずさみたくなる様なサウンドで日本を含め世界各国で軒並みパワープレイを獲得!NME,Pitchfork,BBCなど数多くのメディアが大絶賛!!デビュー・アルバム『ザ・ドラムス』の発売(2010年6月) に先駆け、初来日公演を果たす。公演はソールド・アウト。 

同年サマーソニックで再度来日を果たし、ここ日本でも人気を決定づける。デビュー・アルバムより、僅か15ヶ月のスパンでセカンド・アルバム『ポルタメント』をリリース。前作同様高い評価を獲得。2011年東日本大震災を受けてチャリティー・シングルを発表、その後、ライヴ活動、暫くの長期休暇を経て、今年7月突如サード・アルバム『エンサイクロペディア』のリリースを発表!アーティストとして円熟期を迎えるThe Drumsが再び世界中でセンセーションを巻き起こす!! また彼らは音楽面のみならずファッションセンスに置いても定評があり、元 Dior Homme、現在は、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターを務めるエディ・スリマンまでもが溺愛し自らアーティスト写真を撮ったほど。

■Ykiki Beat

現行の欧米インディ・シーンに同期する音楽を世界へ発信する要注目新人バンドYkiki Beat。Foster The People やTwo Door Cinema Club を彷彿とさせるアッパーな楽曲から、ビーチポップ~チルウェイブまで、彼らの豊潤な音楽性が詰まったEP『Tired of Dreams』が昨年12 月にBandcamp にてリリースされ、SNS など口コミで高評価を得る。今年2 月にはサマーキャンプの初来日ライヴの前座としてミツメと共に出演、過去にはLast Dinosaurs、Metronomy のOlugbenga 等と共演している。今年4月にはフランス・パリの超有名セレクトショップCollette とBonjour Records によるコンピレーションアルバムにも参加し、ファッション方面からも支持を受けている。
Ykiki Beat オフィシャル HP https://ykikibeat.tumblr.com/profile


ele-king年末年始号、12月17日(水)リリース!
表紙&ロング・インタヴューに坂本慎太郎氏が登場。

 前号『ele-king vol.14』(エイフェックス・ツイン国内独占インタヴュー号)は、おかげさまで売り切れ店も相次ぐほどのご好評をいただきました。
 次号vol.15は年間の締めくくりとして総力特集2本立て!
 ゆく年もくる年も音楽のかたわらで過ごしましょう。

特集1:坂本慎太郎と邦楽の詩人たち
『ナマで踊ろう』の洗練されたサウンドと過激な意味を含まさせた高度な言葉表現で、さらに評価を上げた坂本慎太郎を大特集。生い立ち、転校ばかりの小学生時代、バンドに熱中する高校時代、暗黒時代の話からゆらゆら帝国時代、彼の音楽観、政治観、自身の歴史を赤裸々に語った2万5000字インタヴュー。萩原健太、北中正和、歌人の永井祐も寄稿。また、オウガ・ユー・アスホール、森は生きているをはじめとして若手日本語ロックの論考、取材もたっぷりと掲載。

特集2:2014年、エレキングが選ぶ年間ベスト・アルバム30枚
編集部がシビアに議論を重ねて選んだベスト30枚。2014年の音楽シーンとはどのようなものだったのか。どれが真の意味で偉大な作品なのか。エイフェックス・ツインのヒットやフライング・ロータスの新作は何を意味するのか……さまざまな論点を反映させて1年を振り返る。

★ヴィジュアル・ページには、いまや「時の人」でもある、五木田智央が作品を提供! 
★そして、佐々木渉(クリプトン)による新連載もスタート!

表紙写真:塩田正幸
ライター・連載:萩原健太、北中正和、永井祐、北沢夏音、岡村詩野、ブレイディみかこ、大月壮、佐々木渉、磯部涼、木津毅、倉本涼、スケートシングほか。

★一部のレコード店でお買い上げの方には、特典として坂本慎太郎氏デザインの“特製ele-kingステッカー”を差し上げます!


Tower Amazon

■ele-king vol.15
ISBN: 978-4-907276-27-0
2014年12月17日(水)発売
価格: 本体1,400円+税

■Contents

五木田智央 Man Starch

特集=坂本慎太郎、2万5千字インタヴュー 
この世はもっと素敵なはず 
取材 野田努+水越真紀/写真 塩田正幸
『ナマで踊ろう』を聴く
──文 萩原健太/北中正和/永井祐
ディストピアSFマンガの現在

特集=邦楽の詩人たち 日本のミュージシャンたちは、いま、何を歌って いるのか
この世はもっと素敵なはず(坂本慎太郎)
岡村詩野 三輪二郎、昆虫キッズ、シャムキャッツ──エゴの中和
木津毅 SEKAI NO OWARI──「僕」だけがいるセカイ、あるいは、弱者を装った強者
水越真紀 椎名林檎「NIPPON」と松任谷由実「ノーサイド」
いつかの旅行(OGRE YOU ASSHOLE)
大月壮 KOHHとAKLOタトゥーとミラクルフルーツ
近藤康太郎 大森靖子──女の、いらつき。
橋元優歩 赤い公園──真っ当さの値段
森は生きている インタヴュー 北沢夏音

2014年度年間ベスト・アルバム30
(飯島直樹 岡村詩野 木津 毅 北中正和 倉本諒 高橋勇人 野田努 橋元優歩 ブレイディみかこ 星川慶子 水越真紀 三田格)
野田努──世界の終わり方
三田格──「アイ・ドント・ケアー、ビコーズ・ユー・ドント」
ブレイディみかこ──UKはベテランさんと新人さん。南北の違いもくっきり
高橋勇人──主流流通会社の撤退でどうなるUKクラブ・シーン
木津毅──アイディンティティ・ポリティクスの新たなる地平
橋元優歩──tofubeats──プレゼン世代のしなやかな反撃
倉本諒──分裂するLA

D/P/I (アレックス・グレイ) インタヴュー 倉本諒+三田格

2014 SUMMARY FILM  木津毅 女たちの冒険活劇 + エンターテインメント映画

NO POLITCS, THANK YOU パート2──世にも奇妙な安倍晋三 ブレイディみかこ×水越真紀
Regulars 佐々木渉 大月壮 ブレイディみかこ 山田蓉子 水 越真紀ほか
SK8THGの原宿逍遥 PART 2

ARCAインタヴュー 竹内正太郎 訳・高橋勇人
ヴェネズエラン・ダンス・ミュージック ミニ・ディスク・ガイド
アルカのイメージを作り出す神田ジェシー

BEAT RECORDS 20th ANNIVERSARY
天才バカボン バカボンのパパのさいごのひとまき 三田格+オオクボリュウ
HYPER! 本 マンガ 映画 アニメ ショップ スポーツ ビジネス
編集課二係 ジョン刑事


Tofubeats × Para One - ele-king


Tofubeats - First Album
ワーナーミュージック・ジャパン

Tower Amazon iTunes


Tofubeats - lost decade
tofubeats

Tower Amazon iTunes

 初のメジャー・デビュー・アルバム『First Album』をリリースし、12月にはツアーファイナルを迎えるtofubeats。あまりにも語ることの多いこのアルバムだが、そのなかで2枚組での限界価格という「お得感」にもこだわりを見せた彼に倣って、ele-kingでは新譜発売時に掲載したロング・インタヴューの「ボーナス・トラック」をお届けしよう。2013年9月に発売された弊誌『ele-king vol.13』(通称「tofubeats表紙号」)に収録された、tofubeats×パラ・ワン(Para One)対談をウェブでも公開! メジャー契約直前、環境が大きく変わろうとしているなかでtofubeatsが考えていたこと、そしてヒップホップとエレクトロニック・ミュージックとの接合点でラディカルな活動を見せ、90年代半ばのフランスのシーンをリードしたTTCのプロデュースでも知られるマルチ・クリエイター、パラ・ワンとの対話から見えてくる、彼の若きリスナー遍歴。


■tofubeats / トーフビーツ
1990年生まれ。神戸で活動するトラックメイカー/DJ。〈Maltine Records〉などのインターネット・レーベルの盛り上がりや、その周辺に浮上してきたシーンをはやくから象徴し、インディでありながら「水星 feat.オノマトペ大臣」というスマッシュ・ヒットを生んだ。
くるりをはじめとしたさまざまなアーティストのリミックスや、アイドル、CM等への楽曲提供などプロデューサーとして活躍の場を広げる他方、数多くのフェスやイヴェントにも出演、2013年にはアルバム『lost decade』をリリースする。同年〈ワーナーミュージック・ジャパン〉とサインし、森高千里らをゲストに迎えたEP「Don't Stop The Music」、藤井隆を迎えた「ディスコの神様 feat.藤井隆」といった話題盤を経て、2014年10月、メジャー・ファースト・フルとなる『First Album』を発表。先のふたりの他、新井ひとみ(東京女子流)、okadada、の子(神聖かまってちゃん)、PES(RIP SLYME)、BONNIE PINK、LIZ(MAD DECENT)、lyrical schoolら豪華なゲスト・アーティストを招いている。


他の人が用いる方法については、イミテーションじゃなくてちゃんとアンダースタンドしなければやらない。(tofubeats)

トーフくんは浜崎あゆみのリミックスではじめてパラ・ワンを知ったといっていましたね。

tofubeats(以下T):TTC(テテセ)のセカンドのほうが先だったんですが、その後myspaceであのリミックスを聴いて、「この曲をこうすればクラブ・ミュージックになるのか」っていう手法的な発見がありました。こんなふうにすれば、いまの自分をブレさせずにヒップホップから違うところへ行けるんじゃないかって。高校2年くらいのときのことですかね。

浜崎あゆみは日本のポップ・シンガーですけれども、そうしたアーティストのリミックスをパラ・ワンがやるというのは、TTCから聴いていたリスナーからすれば意外なものでもありました。ですがその結びつきによって、ヒップホップのシーンで窮屈な思いをしていたトーフくんはジャンルの檻から自由になったと。これについて何か思うところはありますか?

パラ・ワン(以下P):正直に言ってあのときはとても緊張していたんだ。ただ音楽家としては、TTCもそうだけれども、全然違う文脈のものの間にコネクションを作っていくという仕事をしているつもりだから、トーフビーツくんが違和感なくインスパイアされたと言ってくれるのはすごくうれしく思うよ。

「違う文脈のものの間に……」というのはトーフくんの活動と重なるところがあるよね。

T:そこからの影響が大きいんですよ。毎回自分のスタイルをリセットして変えていっていいんだって。

逆に、スタイルを変化させることにこだわりがあったりはしますか? ダンス・ミュージックにとってはモードに対応していくのもすごく大切なものだと思いますが。

P:つねに変わっていくべきだというスタンスでやっているわけではないけれど、ダンス・ミュージック自体は若者の音楽だと思っているから、ある一面においてはそれはサヴァイヴァル精神でもあるよ。柔軟でいなければダメだし、新しくて良いものは自分なりに消化しなきゃいけない。ただ、刺激的なアーティストに会ったりしてみても、その影響を自分の音として出力するには時間がかかるんだけどね。

気に入ったアーティストに話をきいてみたりするんですか?

P:曲作り自体が呼吸のようなもので、息を出しきったら吸わなきゃいけない。スタジオにこもりきりだとエゴを吐き出すばっかりで吸収がないよね。だからツアーをしたり人に会ったりインタヴューを読んだりするのは吸収と消化のチャンスだととらえているよ。

トーフくんのアルバムも曲によってアプローチが違うわけだけど、リスナーとして新しい音を聴いて、それをいかに自分流に消化するかということを繰り返しているように見えるんですよね。そこにはこだわりがありますか?

T:他の人が用いる方法については、イミテーションじゃなくてちゃんとアンダースタンドしなければやらない、ってふうに自分では決めています。新しいジャンルに取り組むにても「それっぽいもの」に終始してしまいたくはないですね。いまベッドのスプリング音がすごい流行っているみたいなんですよ。でもそういうものをいま日本でやることにどんな意味があるのかっていうところから、僕はきっちり考えますよ。今回パラ・ワンのリミックスにあたって、僕は炭酸飲料を開ける音を多用しているんですが、それも同様です。自分のなかでちゃんとボーダーを引いて、他人にわかってもらえなくてもいいけど他人に説明できるくらいにそれをやる意味を理解してなければ、やらない。

10年くらい前にTTCにインタヴューしたとき、テキは、サウスのラップがすごくおもしろいんだけど、それをいかに自分のスタイルとして消化するのかが大切だと言っていたんです。彼らには表面的なイミテートを良しとしないスタイルが一貫してあったことを思い出しました。

P:セカンド・アルバムを作っているときには魔法のような瞬間があった。みんなの関わり方やジャケットのアートワーク、いろいろなことを含めて、そのときその場所に魔法のように重なって、あるべきものであるべきものを作ることができたという感覚を持っています。原点になっているのはあのセカンドの頃だね。

T:当時とても未来っぽく感じました。アートワークにしてもほんとにブローされたものだと思った。高校生が聴くにはヤバすぎましたね(笑)。

P:ははは。

トーフくんの表現がヒップホップからダンス・ミュージックに広がっていったというのも、まさにTTCと同じですね。

T:そうそう! 「こんなことやれたらいいな」が全部ある、みたいな。日本だと、そういうことを迂闊にやると「ジャズをサンプリングしろ」みたいに言われる時代だったんですよ。まだまだヒップホップ後進国で、シーンのなかにいまのカニエの新譜みたいなアプローチを良しと言えるような人がほとんどいなかった。

P:僕自身ももともとはジャズやソウルなんかをサンプリングしたヒップホップをやっていて、DJプレミアとかピート・ロックとかを目指していたんだよね。DJメディに憧れたりもしたけど、TTCに出会って「お前は未来がわかってない」と言われてね(笑)。いまじゃなくてこれから最高と呼ばれるものをやれって。それで考え直したんだ。

トーフくんも、ジャズをサンプリングしろって言ってくるような人よりは、よっぽど自分のほうがフューチャリスティックだしオーセンティックだしって思ってるんじゃないですか?

T:ほんとそう思ってますよ! ただ、言ったら角が立つと思って黙っているだけです(笑)。いまのお話で勇気づけられました。これで間違ってないんだって。

P:TTCも最初は嫌われていて、僕自身も友だちから「これとにかくひどいから聴いてみて」って言われて彼らを聴かされたんだ。だけど僕はこれヤバいじゃんって思って。フランスのすごくコンサバな家庭に育ったものだから、ああいう音を聴いて前向きに進んでいく気持ちが湧いてきたんだ。だからヒップホップかそうじゃないかということは気にせずに前進していくのがいいんじゃないかな。斬新さしかないんじゃないかと思うよ。名盤はつねに新しいものだったからね。

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TTCのころから思っていることでもあるけど、ルールを壊すか、ルールを持たないのがルールなのかもね。(パラ・ワン)

パラ・ワンさんはTTCの1枚めから2枚めにいたるまでに、彼らとのディスカッションを通して築いたものが下地になっているということでしたが、トーフくんはどうですか? 仲間とのディスカッションから何かを得ることは?

T:それはもちろんあります。シーパンク論争とかね。僕がシーパンク的なものをあんまり用いなかったのは、みんなとのディスカッションのなかで「アンダースタンド」までいかなかったからです。でも教わったり教えたりっていうコミュニケーションはすごく普通にとっているし、とりたいですね。

では、DJやトラックメイカーとして自分のスタイルに取り入れるまでではないにしても、いま興味を持っている音楽やジャンルがあれば教えてください。

P:イギリスのシーンはいまおもしろいんじゃないかな。レーベルに注目して聴いているよ。〈ナンバーズ〉っていうレーベルのソフィってアーティストがパリでやったときは、イタロ・ディスコとR&Bとテクノと、ちょっと未来的なポップの要素が混ざっていて、すごくおもしろいことをやってるなって思った。あとは〈ラッキーミー〉。UKのシーンにはいま、ベースから流れてきたちょっとドロドロしたモードがあるんだけど、それに対してもうちょっとクリアな感じの音の要素がある。あと〈ナイト・スラッグス〉は近すぎて客観的に見れない部分はあるけれども、オーナーがダンス・フロアにヘンなシチュエーションを作ろうとがんばっているようなところがいいよね。

T:〈ナンバーズ〉は知らなかったけど、他はもちろん僕も気にしているレーベルばっかりですね。〈ラッキーミー〉なんかは、日本のビートメーカーはみんなチェックしていますよ。あとは、もともとディスコも好きなんですが、ちょっとレトロなものがUSから出てきてますね。ただ、みんなすぐディプロに見つかっちゃう!

なるほど。ところで、“リーン・オン・ミー”のMVですが、あのセンチメンタルなイメージも、まさにトーフくんと近いセンスを感じました。いかがですか?

T:あれはなんか、やったーって思いましたよ。そのあとに“エヴリィ・リトル・シング”のピッチフォーク・ヴァージョンが出て、個人的にはあのアルバムが“リーン~”のヴィジュアルで固まっちゃっていたので、すごく違和感を覚えました。

P:だからアンオフィシャルなんだけどね。

T:そう、そうなんだと思いました。だけど、逆に日本人の俺から見てあれがすごくしっくりきちゃったことに悔しさも感じましたけどね。行間の表現がすごく日本的だし。

男の子と女の子の距離感とかね。なぜああいうMVを? なぜ日本が舞台だったんです?

P:“エヴリィ・リトル・シング”のほうは、知り合いが勝手にやっちゃったもので、まあ、見て見ぬふりです(笑)。“リーン・オン・ミー”はすごくまよった。音楽は音楽、映画は映画、気持ちを伝えるものとしては分けて考えているんだ。ドローンを聴きながら3日間くらい悩んだんだよ。そしたら東京のイメージが頭に浮かんできた。2012年だったかな。ネットでも何でもシニカルな表現が多いような気がしていたから、絶対にそうじゃないもので、かつ冗談ぽいものでもないことをやらなくちゃっていう思いはあったんだ。そしてシンプルに気持ちが伝わるもの。ちょうど桜の季節だったから、自然のなかで起きている新しいこととともに新しい気持ちが生まれる瞬間を見ることができるんじゃないかと考えてね。

この機会にお互いに訊いてみたいことはありますか?

T:さっき学校っておっしゃってましたけど、レーベルをやるにあたって心がけていることはありますか?

P:TTCのころから思っていることでもあるけど、ルールを壊すか、ルールを持たないのがルールなのかもね。レーベルがダメになるのって大抵の場合は齢をとって若い人間を受け入れられなくなっていくことに原因がある。それに、子どもらしく興味を持っていろんなものを楽しめたらいいなと思うから、オープンマインドということも心がけているかな。あなたはどう? あなたはどこを目指していて、どんなものを消化しようとしているところなの?

T:僕はついこの間メジャーと契約して、セールスを出さなきゃいけないアーティストになったわけです。ポップスとして、クラブ・リスナーとかではない人にも届けられないと契約が切れてしまう。自分のもともとの個性とそうした事情の間で悩んでいる時期ですね。それから、その傍らで日本のアイドルに曲を書いたりしていくことにもなると思いますが、そこに〈マーブル〉とかから受けている影響をどういうふうに落とし込んでいくか。海外の人たちにも「日本のポップがなんかヤバいぞ」って思われるようなところまでどうもっていくか。それが課題ですね。

補足すると、日本ではダンス・ミュージックがポピュラーではないんですよ。

T:それから、森高千里とか松田聖子のよさって海外の人に伝えるのは難しいかもしれないけど、ちゃんとしたハイブリッドなものを作れば、Jポップの良さを世界に説明することができると思う。まずは自分がちゃんとセールスを作って、なおかつ海外のレーベルに対しても納得させられるようなある程度のラインを作る、そういうコンテクストを作っていくことができるかどうかという挑戦ですね。そのためには〈マルチネ〉のような存在も必要だと思っています。

P:エキサイティングな話だね。でも、冗談抜きでできると思うよ。

T:あなたにまた会えるように、がんばりますよ。やるしかない!


Tofubeats - ele-king

 はたして自分はオリジナルなのか、それともコピーなのか、という程度の自意識くらいは持っていてほしいな、と、良くも悪くも若くて純粋なロック・バンドを見ていると思う。筆者がtofubeatsや大森靖子の生み出す音楽に惹かれるのは、結局のところ、彼ら・彼女らが自らのことを「オリジナルを持たない曖昧なコピー」として認識することから出発しているアーティストだからである。より正確に言うなら、「自分が曖昧なコピーであることにわざわざ自己言及せずにはいられないアーティストだから」だ。世代で括っていいのなら、そこには世代的なレベルでの共感がある。
 一方、こちらは「中の人」の素顔を知らないので世代の話は保留するが、〈粗悪興業〉による一連のリリースが、ポップ・アートの古典「一体何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力あるものにしているのか」(1956)のオマージュになっているのも象徴的である。同作をもって「もし室内の床の上にあるテープレコーダーをパソコンにおきかえてよければ、今日のわれわれの日常そのものであろう」と評したのは美術史学者の前田富士男だが、まさにそれを具現化したようなアートワークを持つsoakubeatsのアルバムにはなんと、『Never Pay 4 Music』というタイトルが付いていたのだった!

 ここに通底するのは、いわゆる「貧しい芸術」の表現態度、つまり「あるもので間に合わせる」感性である。いや、正確には「あるもので間に合わせざるを得ない」環境だろうか。彼らはその行為を徹底的に突き詰めることによって、逆説的に、では彼ら・彼女らの手の中にはいったい「何ならあるのか」「何しかないのか」をレペゼンした。彼ら・彼女らにとってはそれがたまたまパソコンであり、インターネットであり、ハードオフであり、TSUTAYAさんであり、コピーされる音楽であり、それを焼くための安っぽいCD-Rだったのだろう。もちろん、こうした感性がVaporwaveとも完全にシンクロしていたのは言うまでもないし、本作にの子がヴォーカルとして参加している神聖かまってちゃんも同様だ。
 90年代以降の芸術を変革させたシミュレーショニズムの手法を、単なる「コピペ」という身体性で学んだ彼ら・彼女らが、表現者という、建前としては「オリジナル」の供給を迫られる立場に立ったときのプレッシャーを筆者はよく想像する。「学校に先生はいなかったでしょ」「オリジナルなんてどこにもないでしょ」と、大森靖子が炎上を覚悟して綴った言葉を実際に歌にするときの、微かな声の震え。あるいは、もろに弾き直しなフレーズをトレードマークにした“水星”でブレイクスルーしてしまったtofubeatsが、メジャーからのデビュー・アルバムをリリースするときにアップする全曲試聴とインスト盤。結局のところ、僕を感動させたのは彼ら・彼女らのそうした小さな戦争である。

 これは自戒だが、そうであるからこそ、作品そのものではなく、彼ら・彼女らの周囲で起きる事件/出来事に関心のウェイトを移してしまうのはリスナーが注意すべき落とし穴かもしれない。ちょうどそんなことを考えていたとき、Zeebraのこんなツイートが話題になっていた。「世の中には『人の知らないモノ好き』が沢山居る。彼らはその鋭い感性と情報収集能力で新しいモノを探す。ただ、あくまでも『人の知らないモノ』が好きなので、それが流行ると嫌になる…。こういうタイプのファンが多いアーティストは細々とやっていくしかなくなる。」(2014年11月27日投稿)
 もちろん、メジャーに進出したtofubeatsを含む上記のアーティストたちは、こうしたことがあり得る時代に音楽をやっていることをむしろ誰よりも理解しているだろうし、だからこそ、彼ら・彼女らは半ば実験と位置づけるような格好でメジャー・シーンへと参入していったのではないか。そして、その複雑な実験系の中で己を見失わないために、「芸術とは何か」という問いそれ自体を芸術とするのだと思う。あるいは、「音楽とは何か」という問いそれ自体を音楽とする。それは自意識の泥沼だが、そこを避ける道はないのだ。そして、tofubeatsの『First Album』はまさに、「ファースト・アルバムとは何か」という問いそれ自体をアルバムにしたようなファースト・アルバムとなった。

 まずおもしろいのは、このアルバムが「オリジナル・アルバムなのにリミックス・アルバムでもある」という性格を持っていることだ。“poolside”のようなお馴染みのラップ・チューンもRIP SLYMEのPESを招いてよりポップでアーバンに、先行シングル“Don’t Stop The Music”もより使いやすくすべく(?)、長めのイントロを用意してリアレンジされている。「本当は全部アルバム・ヴァージョンにしたかったんです」という発言にはさすがにちょっと気前が良すぎるのでは、という気がしないでもないが、オリジナル・ミックスという概念を曖昧に放棄してしまう彼の大胆さは、ハウス・ミュージックの伝統やサウンドクラウドのスピード感を意識してのことだろうか。
 中でも、“朝が来るまで終わる事の無いダンスを”という“水星”と双璧を張るキラー・トラックは、《2012mix》という一つの完成形があるにも関わらず、“Don’t Stop The Music”と呼応させるべく、さらに積極的な改変が行われている(ちなみにこの曲の歌詞の具体的な内容については、筆者もインタヴュアーとして参加した磯部涼編『新しい音楽とことば』に詳しいので参照されたい)。こうなると、“おしえて検索”のアルバム・ヴァージョンも聴いてみたかったと言いたいところだが、他方、アブストラクトなジャージー・クラブである“Populuxe”や、さながらD/P/Iのジャージー・クラブ・リミックスのような“content ID”が耳をクールに楽しませてくれる。

 そういえば、目下大躍進中のプロデューサー、デビュー作『ゼン』も素晴らしかったアルカへの取材が紙版『ele-king vol.15』に掲載される予定なのだが、彼はそこであるJ-POPの女性シンガーの名前をお気に入りとして挙げている。というのは、まあ、ここでは余談だが、筆者は不躾にも「以前よりもミュージシャンが音楽から金銭的な利益を生むことが難しくなったと思いますか?」などという質問をぶつけたのだった。彼の回答はドライといえばドライだったが、そのくらいの危機意識と現状認識はtofubeatsや、彼と同世代のミュージシャンはニュートラルに持っているだろう、とも思った。だからこそ、ゴージャスなゲストに囲まれつつも、tofubeatsは無邪気に浮かれてはいない。
 たとえば、人気曲“No.1”系統のメロウな新作“衣替え”は本当にいい曲だ。とくに、頭12秒付近にあえて録音されているMPCのスイッチを弾く音(?)を合図に、リスナーがこのイントロにうっすらとしたノイズが被っていることに気付く仕掛けには思わず微笑を漏らした。これはおそらく、dj newtownの作曲工程を再現するかのようなメタ・レコーディングとして準備されたものなのだろう。そのノイズが次第に晴れ、音がクリアに立ちあがり、dj newtownはメジャー契約アーティストたるtofubeatsとなり、プロデューサーとしてあのBONNIE PINKをヴォーカルに迎える。『First Album』でもっとも感動的な瞬間といえば、夢が現実となっていく、この瞬間だ。

 「お金がないなりに数を聴こうとしたら必然的にハードオフに並ぶJ-POPになった」という主旨の、tofubeatsの発言が好きだ。筆者も同じような理由で、ロックのクラシックスを山ほどレンタルし、ヒップホップのミクステを山ほど落とし、現行のエクスペリメンタルを0~5ドルくらいで買い漁っている。そして、そういうリスナーがたくさんいることを知っている。『First Album』は、つまり、ただ単に「あるもので間に合わせる」というdj newtownの適応能力が、いや、この国の豊かな貧しさが生んだ、どこかで聴いたことがあるのに絶対に聴いたことがない、J-POPの最適解という幻の対岸(=プールサイド)を探すためのサウンドトラックだ。

磯部涼監修 - ele-king

 「Jポップの歌詞、翼広げ過ぎだろ」「瞳閉じ過ぎじゃね?」――。Jポップ歌詞の「劣化」が叫ばれるようになって久しい。音楽通のele-king読者であれば、「その通り!」と相づちを打ちたくなるところかもしれない。ところが、本書の編著者・磯部涼は、そんな見方に疑問を呈する。
 「決して最近の歌詞がつまらなくなったわけではなく、社会のリアリティが変容するとともに、歌詞が持つリアリティも変容し、ついていけなくなった人がいるにすぎないのではないか」
 そう、歌詞は劣化などしていない。演歌や歌謡曲の全盛期から、陳腐な歌詞やストレートな表現はいくらでもあった。むしろ変わったのは、つくり手よりも受け手の意識だ。
 芸人マキタスポーツの言葉を借りれば、いまや世は「1億総ツッコミ時代」である。ネットの普及で誰もが気軽に批評を発表できるようになり、ツッコミや批判が可視化されやすくなった。難しい音楽理論はわからないという人でも、歌詞になら注文をつけやすい。かくして、「歌詞の劣化」は定説となり、紋切り型批判それ自体が紋切り型化していった。
 本書は、電気グルーヴの石野卓球やアジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文ら13人の音楽家へのインタビューを通じて、「新しい音楽とことば」を読み解き、その可能性を探る一冊だ。表層的な批判の向こうに広がる、豊穣な歌詞世界を旅するためのガイドブックと言ってもいい。
 iPhoneのメールの下書きに、歌詞の種となる言葉を保存しているという大森靖子。曲のイメージをイラストに描き、そこから歌詞を膨らませていくという、神聖かまってちゃん・の子。作詞に苦吟し、「言葉を歌っていくことの九割は苦しみ」「言葉に呪われている」と吐露する七尾旅人。彼らがいかにして言葉と向き合ってきたのか、人生観もひっくるめて率直に語られていく。
 なかでも驚かされたのが、湘南乃風・若旦那の「湘南乃風と俺の歌詞のすべてのルーツは、さだまさしさんなんですよ」という意外過ぎる発言だ。ほかにも、「まさにマイルドヤンキーみたいな層に目がけて曲をつくってきた」「自分たちの精神がマイルドヤンキーだったから」なんて、え、大丈夫?と思うような言葉がポンポン飛び出す。実に刺激的である。
 石野が七尾を評価し、tofubeatsが電気グルーヴを語り、じんがアジカンに言及し、高城晶平(cero)が菊地成孔からの影響を口にする――といった具合に、歌詞をめぐって13人の相互関係が浮かび上がってくるのも興味深い。一線アーティストたちをワンテーマで横串にした、インタビュー集ならではのだいご味かもしれない。
 代表作の歌詞も掲載されているので、通して読めば、きっとJポップ悲観論者も「なんだ、面白い歌詞書いてる人、意外にいっぱいいるじゃん」と胸をなでおろすことだろう。歌は世につれ、世は歌につれ。変容する時代のリアリティを巧みに写しとった傑作詞が、きょうもどこかで生まれている。
 「翼広げ過ぎ!」と言いたがる人にこそ、ぜひ手にとってみてほしい。

Blacksmoker - ele-king

 KILLER-BONGの久しぶりの都市dubシリーズ、『Brooklyn Dub』が話題の〈ブラックスモーカー〉がこの12月大暴れする。
 12月4日(木)から7日(日)までの4日間は、リキッドルーム2Fの〈KATA〉にて、毎年恒例となっている「BLACKGALLERY」。耳(音楽)と視覚(アート)の両方から、レーベルの魅力が展開される。
 入場無料(ただし、7時からのライヴ時には、ドリンク代1000円)。ライヴ・ペインティング、KILLER-BONGの作品をはじめとする、13人のアーティストの作品を展示。展示アーティスト×BSRとのコラボレーションTシャツも販売している。早い者勝ちのKILLER-BONGのアート本、超希少限定3冊もあり!
 ほか、KILLER-BONGとJUBEを交えたトークショーもあり、DJもかなり良いメンツが揃っています。今年、完成度の高いアルバムをリリースしたINNER SCIENCEとか、Fumitake Tamura(BUN)とか、金曜にはLAからDADDY KEVとか、間違いないメンツでしょう!

 さらに、12月22日(休日前)には、クラブ・エイジアにて、二木が力んで「急進的なラップ×ジャズ」だと紹介している「JAZZNINO」もあります! こちらもすごいメンツが揃っている。フライング・ロータスとか言っている人は、ぜひ、遊びに行きましょう。

■BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS 「BLACKGALLERY」

2014. 12. 4. thu ~ 12. 7. sun
at KATA (LIQUIDROOM 2F)
OPEN : 15:00 SHOW TIME : 19:00
ENTRANCE FREE!
SHOW TIME ist DRINk charge 1000 yen(includ music charge)

12.4 thursday『THINK TALK pt.20』
LIVE PAINT:KLEPTOMANIAC
DJ:DJ BAKU, INNER SCIENCE, Q a.k.a Insideman, VIZZA
TALK:KILLER-BONG, JUBE, 神長(WENOD)
Talk guest:DJ BAKU & INNER SCIENCE and mo...

12.5 friday『BLACK AMBIENT』
ART PERFORMANCE:メチクロ, 河村康輔
SOUND COLLAGE:shhhhh
VJ:ROKAPENIS
GUEST DJ:DADDY KEV*
DJ:KILLER-BONG, Fumitake Tamura(BUN)

12.6 saturday『THINK TALK pt.21』
LIVE PAINT:BAKIBAKI, STONE63
DJ:OMSB, 田我流, KILLER-BONG, YAZI
TALK:KILLER-BONG, JUBE, 二木信
Talk guest 田我流 and mo...

12.7 sunday『BLACK OIL』
LIVE PAINT:POPYOIL
DJ:L?K?O, RUMI, LIL' MOFO, BLUE BERRY

BLACK WORKS:ALL DAYS 16:00-20:00
https://www.kata-gallery.net/events/black_gallery_2014/
https://www.blacksmoker.net/blackgallery/



■BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS 「JAZZNINO」
2014.12.22.mon.
at club asia
https://asia.iflyer.jp/venue/flyer/215771

ずらりと並んだ強者の出演者を見れば予測がつくだろう。ラップ×ジャズ、ELNINOじゃなくJAZZNINO。ここで言うラップとジャズは音楽的形式を意味しない。楽理やイディオムではない。詩と4ビートの出会いではない。ましてやジャンルではない。それは、自由を意味する。BLACKOPERAという総合芸術の経験が、舞台演出にも活かされるにちがいない。ジャズが現在のクラブ・ミュージックやヒップホップ、R&Bにおける重要なキーワードとして浮上する時代に、出演者たちは2014年の急進的なラップ×ジャズを体現するだろう。恐ろしくフリーキーで、クレイジーな態度で……(二木信)

open 23:00
DOOR:3000yen
ADV:2000yen
with flyer 500yen off

main floor
LIVE:
鈴木勲×タブゾンビ×KILLER-BONG
菊地成孔×大谷能生 ×OMSB
伊東篤宏×BABA×FORTUNE D
山川冬樹×JUBE
DANCE:東野祥子
DJ:
OLIVEOIL
YAZI
MASA aka Conomark
VISUAL:ROKAPENIS
ART:R領域

2F lounge
TANISHQ presents
"HABIBI TWIST♪...and tigers twist in the BLACK SMOKER
DJ:
MASAAKI HARA
INSIDEMAN a.k.a. Q
L?K?O
サラーム海上
BELLYDANCE:
TANiSHQ
SQUARE CUTZ(AYANO, MASAYO, SAKI) feat. MEGUMI& TANiSHQ
aai×EMI×NATSUMI
VJ:IROHA
SHOP:
HE?XION!
Tribal Antique

1F lounge
DJ:
ヤマベケイジ
K.E.I
JOMO
VIZZA


『音楽談義』が立体化! - ele-king

 本日発売! 一部すでに在庫が薄くなっているという情報もいただいており、申し訳ございません。紙版『ele-king』の同名人気連載(ディレクターズ・カット+追加収録大量!)が単行本化! でおなじみの『音楽談義 Music Conversations』、みなさんはもうお手に取っていただけたでしょうか。
 本書刊行を記念して、この対談が立体化。来月14日に青山ブックセンター本店さまにて著者のおふたりによるトークライヴが開催されることになりました。
 なにかと慌ただしい年末ですが、少なくともここだけは心からのんびりと過ごせる空間になるはず。おふたりといっしょに、トークと音楽を楽しみましょう。
 サイン会もあるようです。

■『音楽談義 Music Conversations』(Pヴァイン)刊行記念
保坂和志×湯浅学 トークイベント

 それぞれ小説家と音楽評論家として活躍する同学年のふたりが、おもに70~80年代のロック、ポップス、歌謡曲までを語り明かす、紙『ele-king』の同名人気連載が『音楽談義 Music Conversations』としてついに単行本化! 音楽論にして文学論であるばかりか、時代論で人生論。他の記事とは圧倒的に流れる時間の異なるこのゆったり対談は、このスピードでしか拾えない宝物のような言葉と発見とにあふれています。今回はその番外出張版トークイヴェント! 雑誌のほうでは毎度紙幅の都合で泣く泣くカットする部分もありますが、
イヴェントとこの新刊(保坂氏ゆかりの山梨での出張対談を含め、8時間におよぶ追加対談を含めた充実の内容!)はそんな部分もばっちり収録のディレクターズカット版。
このふたりにしか出せないグルーヴを堪能してください!

■概要

日時
2014年 12月 14日 (日)
開場 14:30~
開始 15:00~

料金
1,080円(税込)

定員
110名様

会場
本店 大教室

お問合せ先
青山ブックセンター 本店
03-5485-5511 (10:00~22:00)
ウェブサイト https://www.aoyamabc.jp/event/hosaka-yuasa/

■著者紹介

保坂和志(ほさか・かずし)
1956年山梨県生まれ。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞、平林たい子文学賞を受賞。著書に『カンバセーション・ピース』『小説修業』(小島信夫との共著)『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』『小説、世界の奏でる音楽』『カフカ式練習帳』『考える練習』など。2013年『未明の闘争』で野間文芸賞受賞。近刊に『朝露通信』。

湯浅学(ゆあさ・まなぶ)
1957年神奈川県生まれ。著書に『音海』『音山』『人情山脈の逆襲』『嗚呼、名盤』『あなのかなたに』『音楽が降りてくる』『音楽を迎えにゆく』『アナログ・ミステリー・ツアー 世界のビートルズ1962-1966』『~1967-1970』『ボブ・ディラン ロックの精霊』(岩波新書)など。「幻の名盤解放同盟」常務。バンド「湯浅湾」リーダーとして『港』『砂潮』など。近刊に『ミュージック・マガジン』誌の連載をまとめた『てなもんやSUN RA伝 音盤でたどる土星から来たジャズ偉人の歩み』(ele-king books)がある。

■書籍情報


Amazon

『音楽談義 Music Conversations』

70年代、僕たちは何を聴いていただろう。
ボブ・ディラン、レッド・ツェッペリンから、歌謡曲、フォーク、ジャズまで! 保坂和志と湯浅学が語りつくす。

レコードへの偏愛を語り、風景が立ち上がる。
小説家、保坂和志。音楽評論家、湯浅学。同学年のふたりが語るフォーク、ロック、ジャズ。音楽メディアでも文芸誌でも絶対に読めない、自由奔放な音楽談義。

著:保坂和志・湯浅学
発売日:2014年11月28日
四六判、ソフトカバー、全256頁
定価:本体1,800円(税別)
ele-king:https://www.ele-king.net


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