「KING」と一致するもの

interview with Boys Noise - ele-king

 ユニット名がその音楽を雄弁に物語っているようでもある。「騒音男子」。いや、「男子たち騒音」である。しかし、この違いはとても微妙に決定的である気がする。ドイツはハンブルグ出身のアレックス・リダは、ノイズ・ボーイと名乗らずにボーイズ・ノイズという名状を自らに付した。となると、オーディエンスがDJブースに立つ彼を見たときそこに映るのは騒ぐ男子たちであり、それはまぎれもなく(おそらく女子も含めた)オーディエンスたち自身の姿である。ボーイズ・ノイズの音楽は、果たしてただ個人的なものだろうか。それともヤングたちのパーティのための俗な音楽だろうか。音楽以上の騒音を奏で若さを爆発させるオーディエンスたちの描写であるかもしれないという想像もできる。彼はDJブースにおいてオーディエンスに対して向けた鏡(マジックミラー)の後ろ側に立っているのだから。


Boys Noize
Out of the Black

Boys Noize Records/ビート

Amazon

 ここ1~2年は、ディプロなんかとも関わっていたラッパー、スパンク・ロック(〈ビッグ・ダダ〉からのリリースで知られる)の作品を自身のレーベルからリリースしたり、コンピレーション『BNR Vol.2』ではベルリンのエレクトロニック・ミュージック・デュオ、モードセレクター、そのレーベルからセカンドを発表したシリウスモ、ファイストの(色々な面での?)プロデューサーであり、自身のソロ作品でも人気のあるゴンザレスなどなど、ジャンルにとらわれずにユニークな面々をそろえている。アンダーグラウンドとは呼び難いほど脚光を浴びているし、大舞台でプレイしている。なんと言っても、彼はスクリレックスのコラボレイターであり、そしてまたジャングル・ブラザーズの"アイル・ハウス・ユー"をスヌープ・ドッグに歌わせてしまえるほどの人物である。

 カフェに用意されていた別室に入ると、紳士的で笑顔を絶やさない青年と、彼が着ている「DC/AC」(もちろんハードロック・バンドのパロディ)のロゴとアウトバーンの標識が大きくプリントされていたTシャツがいっきに目に飛び込んできた。その標識とは、クラフトワークのアルバム・ジャケットに用いられていたグラフィックでもある。

 このインタヴューでは、4年ぶりのニュー・アルバム『アウト・オブ・ザ・ブラック』をリリースするボーイズ・ノイズ(アレックス・リダ)がDJブースの外でなにをどう見据えているか、また、ボーイズ・ノイズ自身とは舞台のかけ離れている(ように見える)類の音楽に対してどんな認識をもっているかを彼に語ってもらった。そこから、彼自身が自らをどう位置づけているのかが同時に浮かび上がるだろう。

ただのロック・マシーンには参ってしまうし、僕がそういったものとライヴ・セッションをするときにはもっと生命感を注ぎ込みたいと思ってる。とくにアメリカン・ダブステップが見失っているものだね。

今日は時間を作っていただいてありがとうございます。

アレックス:(にこにこしている)

ボーイズ・ノイズとしてアルバムを出すのは4年ぶりですね。その間にシザー・シスターズやスパンク・ロックなどのアーティストのプロデュースやご自身のレーベル〈ボーイズ・ノイズ・レコーズ〉の運営をなさっていたと思いますが、それらを経てご自身のアルバムを完成させてどう思いましたか。また、完成したアルバムについてどう思っていますか。

アレックス:そうだね。僕にとって、自分の音楽を作ることとプロデューサーを務めることはまるで違っていて、自分の音楽ではメロディやハーモニーよりもサウンドに重点を置いていて、サウンドが音楽なんだ。たくさんの機材を使って何回もライヴ・セッションをして、自分でもコントロールできないちょっとした偶発性のあるところでサウンドが生まれる。曲とかメロディじゃなくて、サウンドが主題で、僕はそれに興奮するんだ。
 僕はDJでありプロデューサーでもある。他のアーティスト――たとえばバンドやラッパーと仕事をするときには、まずアーティストとしての僕自身の音楽を作るわけじゃないということを第一に認識する。手がけるのは他の人の音楽作品だからね。だから、彼らが何を欲しいのか気づかなくてはならない。それは繊細な関係であって、ときにはダイレクトに「ちがう。これはよくない。もっとこんな感じにするべきだ」なんて伝えなければならない。それは自然に成り立つものでなくて、特別な関係なんだ。
 プロデューサーとは音楽を作っているだけのものだと思っていたけれど、実際にはそれ以上にコミュニケーションが大事で、なにをすべきで物事がどうなるべきかを把握する立場の人間だった。いいプロデューサーになるためにどうするべきかを学べて、いい経験だった。僕自身の音楽では、僕がアーティストで、どうするべきだと伝えてくる人もいない。思うがままに行動するだけだよ(にこにこ)。

昨年、リミックス集である『ザ・リミキシーズ 2004-2011』がリリースされましたね。デヴィッド・リンチやファイストなどの幅広いアーティストにまたがるトラックが収録されていますが、いわゆるダンス・ミュージック――テクノやハウス以外のアーティストがあなたに求めてくるものはどういうものだと感じていますか。

アレックス:僕が推測するに、彼らが求めるボーイズ・ノイズ・サウンドというようなものがあって、リミックスを手がけはじめたころ、たくさんの人から「きみの過去の作品と同じようにやってくれ」といわれることが多かったんだ。僕はファイストのリミックスを手がけたんだけど、「ファイストのリミックスみたいなのを作ってよ」と言われたりね。でも僕は自分自身を絶対にコピーしたくないから、同じことは絶対にできない。でもいつしか、「よし、彼を信じよう。好きなようにやってもらおう」というふうに人から任されるようになった。業界にウケるように作り出すのではなく、ただただ自分がいいと思うように手がけるように都合をつけていくのは大変なんだ。
 僕にとって大事なのは、僕がよしとしたことに相手が誠実でいてくれることなんだよ。人からリミックスを求められた際には、僕自身がリミックスにベストだと思うようにトライするよ。いままでふたつベストのリミックスを手がけたから、こういうのをあと10パターン作ろうというのではなくね。まったく違うし、難しいことなんだよね。これまでのリミックス作品はすべて手がけることができて嬉しいものだし、それぞれはまったくちがうものだけど、最終的には人びとがボーイズ・ノイズ・サウンドだと思うものになっているんだろうね。

橋元:ノイジーでグリッチーなサウンドをデヴィッド・リンチやファイストにぶつけたのはおもしろかったですよね。

アレックス:ありがとう(にこにこ)。

"サーカス・フル・オブ・クラウン"に、すこしダブステップっぽいというか、グライムのテイストを感じました。スクリレックスともタッグを組み、ドッグ・ブラッドとしてEPをリリースしていますね。そこでダブステップについてどう感じているのか、なぜダブステップからの影響を欲したのかが気になりました。

アレックス:不思議なもので、"サーカス・フル・オブ・クラウン"を手がけたのはおおよそ2年前なんだよ。その頃にはスクリレックスのことはまるで知らなかった。ダブステップとはあまり思わないけど、ハーフ・テンポだよね。〈ヘッスル〉サウンドではなく。
 全般的にダブステップにはいい要素がたくさん詰まっていて、例えばDJセットなんかをすべて通して聴くことはできないのだけど、とくにアメリカン・ダブステップに関して感じるのは、ときどき......なんというか、ある意味で包括的すぎていて、完璧すぎで、機能的すぎるということ。僕もアグレッシヴな音楽は好きだから、そういうアグレッシヴネスに溢れたスタイルがいいとも思える。それでもまだ、いいとは思えない要素もたくさんあって、ときにベタで安っぽすぎると感じるし、クレイジーなヴォーカルが挟まれるブレイクダウンとか、トランスみたいな要素とか、僕にはときどきトゥー・マッチに感じられる。
 ただのロック・マシーンには参ってしまうし、僕がそういったものとライヴ・セッションをするときにはもっと生命感を注ぎ込みたいと思ってる。とくにアメリカン・ダブステップが見失っているものだね。もちろん、僕はどんなスタイルにもいつでもオープンでいるし、そういうものをミックスするのも好きだよ。

ウォッシュト・アウトに代表されるようなチルウェイヴというムーヴメントについてはご存知ですか?

アレックス:うん、もちろん(にこにこ)。

それについてあなたはどう感じていますか?

アレックス:すばらしい作品がたくさんあると思うね。いい作品がたくさんあって僕も追いきれないくらい。僕はウィッチ・ハウスと呼ばれる作品も好きで、全体的にスロー・ダウンなものが。プロデューサーとして、レーベルのA&Rとして、なによりミュージック・ラヴァーとして僕は新しい音楽を毎日探しているし、サウンドクラウドをランダムにチェックしているよ。チルウェイヴもクールな作品がたくさんあるよね。聴いていて、いい音楽だと思う。でも、繰り返しになるけど、たくさんありすぎてひとつも名前を覚えたりできていないんだ(笑)。だって、とにかく多いんだもの! 
 それに、これまでの音楽作品はレーベルから出すものだったけど、いまはもっと個人でサウンドクラウドにアップしたりしていて音楽が増殖しているでしょ。そんなんだから、把握するのがほんとうに大変だよ。どのアーティストが、どんな名前でとか。でもとにかくいい作品がいまはたくさんあって、それは高額な費用をかけたりせずにベッドルームで作られているのだろうし、そういうチルウェイヴの持っているラフな要素がとてもクールだと思う。

橋元:とくに"サーカス・フル・オブ・クラウン"には先述のようなチルウェイヴと共通するところがあると思います。スクリューみたいなテクスチャーがあり、それがドローンのように用いられていておもしろいなと思いました。

アレックス:ふむふむ。

橋元:ある種のインディ・ミュージックの潮流がアンビエントやドローンのようなものに向かっているのと"サーカス・フル・オブ・クラウン"のサウンドが無関係ではないと感じました。それらを踏まえて、ご自身の新しい音楽についてヴィジョンがあれば教えてください。

アレックス:僕にとってもっとも重要なのは、いつだってサウンドなんだ。ビートは4ビートみたいにシンプルでもいいんだよ。(足踏みとハンド・クラップで)ズン、チャ、ズン、チャみたいにね。サウンドが僕にとってナイスで新しくて素晴らしければビートがシンプルでもいい。僕はそのシンプルさが好きだけど、もちろん、ご存知のとおり、いまはブロークン・ビーツが流行しているよね。僕はそのヒップホップとかテクノとかさまざまな要素が同時にミックスされているものも好きだし、DJとしてもちがうリズムの音楽をプレイすることが好きだよ。
 興味深いのは大きくなっている「トラップ」という新しいシーンで、クールなリズムがたくさんあるんだけど、サウンドがよくなければ興奮させられないんだ。ドラムやビートのサウンドがどんなふうに鳴っているかが大事なんだ。サウンドがフレッシュですばらしいかぎりはどんなものにもオープンでいるよ。

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日本の人びとはオープンマインドだから単純にそれを気に入ってくれるし、そこに過剰な期待とかがないからね。それが、僕にとって日本のクラブ・シーンのすばらしいと思うことだよ。

最近もっとも素晴らしいなと思った音楽ともっともくだらないなと思った音楽を教えてください。

アレックス:ははは(元来の意味で「失笑」)。僕はツイン・シャドウのアルバム『フォーゲット』がとーっても好きなんだ。

ええー。ツイン・シャドウ。

アレックス:そう、ツイン・シャドウ。ブライアン・フェリーとかデヴィッド・ボウイとかモリッシーをミックスしたような感じで、音楽はとても80年代的だったり90年代的だったりして、とても好きなんだ。レーベル〈4AD〉も大好きだし。

橋元:ええー。〈4AD〉!

アレックス:そう、〈4AD〉。いつもいい音楽をリリースしているよね。新しくていい音楽だったら、そういうのが第一に思い浮かんだよ(にこにこ)。で、もっともくだらない音楽か......。問題なのは、いつだって、いいものよりくだらないもののほうがたくさんあるってことだよ(笑)。

(一同笑)

アレックス:たくさんあるよ(笑)。

たくさんありますか(元来の意味で「失笑」)。

アレックス:メインストリームのエレクトロ・ハウスやEDM()なんかはすべて......名前は挙げたくないけど、味気ない音楽だよね(笑)。

橋元:ふふふふ(笑)。

アレックス:回答としては、メインストリームのエレクトロ・ハウスかな。好きじゃないものがとっても多いから(笑)。

ありがとうございます(笑)。

橋元:エレクトロとかクラブといったような観点から見て、じっさいのところ日本のクラブのシーンにはおもしろみがあるんでしょうか。

アレックス:僕が思うに、新しい音楽やとくにアンダーグラウンドの音楽に対しては日本のクラブがたぶんもっとも常にオープンマインドだよ。ここでは、単純に大きなサブカルチャーだからね。他の国だと検分されるんだよ。例えばイギリスでも、いろんな国籍の人たちが集まっているから、すばらしいアンダーグラウンド文化が存在しているよね。
 いっぽう、ここ日本では、日本の人たちはとても趣味が豊かで、アンダーグラウンドの音楽についての興味もあるからとても詳しい。驚かされるよ。だからこそ東京/日本は僕の音楽をまっさきにサポートしてくれたのだろうとも思う。日本のクラブでのプレイはいつだってとってもいい時間をすごせるし、いろんなクラブでDJしてきた。それに、もっとも新しいアンダーグラウンドの音楽をプレイできるんだ。日本の人びとはオープンマインドだから単純にそれを気に入ってくれるし、そこに過剰な期待とかがないからね。それが、僕にとって日本のクラブ・シーンのすばらしいと思うことだよ。繰り返しになるけど、他の国ではそうでもないんだよ......。

橋元:サウンドクラウドにはあなたもたくさんの音源をアップしていますし、数多くのレコードをお持ちだともうかがいました。現在、違法なものも含めてインターネットではたくさんの音楽が聴けますが、あなたはフリーダウンロードが音楽文化や音楽産業にとってマイナスなものだと考えますか? ひいては著作権についてどうお考えでしょうか。

アレックス:いまとなっては全体的にいいんだと思うよ。でも初めは......2006年ごろからかな、すごく嫌だったよ。アーティストは、多大な時間を費やして、多大なお金を機材に費やして、それでもって音楽を作っているから、なぜ人びとが対価を払わないんだろう、とね。でも、ここ数年で僕の気持ちも変わったんだ。新しい世代の人たちを責めることはできないなと気づいた。彼らは音楽が無料なのがノーマルな業界の状況において育ったから、音楽を買わないんだ。だから、音楽に対価を支払うことを知らない人たちに、「それは悪いことだ」なんて言えないんだよね。でも、そういう人たちが好きなアーティストをサポートするマインドが芽生えることを僕は目指しているし、それこそクールなことだと思うからね。
 あと僕がもっともいいと思うのは、なにかを買うとき、見れるし、触れられるし、とくにレコードなんかは嗅げるでしょう。そういう、物との記憶があるでしょう? 50万枚のレコードが僕の家にはあって、そのなかから1枚取り出してみてもそこには特別な状況なんかの記憶があるよ。新しい世代の人たちがmp3やフラッシュ・メモリーに対してそういう感覚を持っているか分からないし、もはや消えてしまったにしても、そういう感覚を知ってもらえたらクールだと思うんだ。音楽がそこに存在することをね。それを伝えていけたらクールだと思う。

(導入文で先述したパロディ・ロゴのTシャツを指して)これはなんのTシャツですか?

アレックス:これはアウトバーンの標識がプリントされているんだよ。車が壊れたときに駆けつけて修理する会社のTシャツなんだ。

AC/DCは好きですか?

アレックス:うん(にこにこ)!

ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、AC/DC。このなかでもっとも好きなバンドはどれでしょう?

アレックス:う~ん。ビートルズかな。ビートルズに、ローリング・ストーンズ。

おお。60年代のロックンロールがお好きなんですか?

アレックス:そうだね。それに、ビートルズは......別格だね!(にこにこ)

どのアルバムがお好きなんですか?

アレックス:う~ん。『アビー・ロード』だね。好きな曲が入ってるから。

ちなみにどの曲ですか?

アレックス:う~ん......。"カム・トゥギャザー"だ(にこにこ)。

なるほど! ありがとうございました(にこにこ)。

※アメリカで大人気のイケイケでアゲアゲのダンス・ミュージック。彼が言うところのアメリカン・ダブステップ(ブローステップ)もそれに含まれる。

TRAXMAN - ele-king

 いまもっとも速くて面白くて、そして、くどいダンス・ミュージック、シカゴのフットワーク/ジュークがいよいよやって来る。今年に入って〈プラネット・ミュー〉からアルバムを出したベテランDJ、トラックスマン! しかもダンサーのA.G.とDJ MANNYを引き連れての来日だ。
 日本のジューク・シーンからもD.J. FulltonoやSTRATUSS、PAISLEY PARKSのライヴ・セットなど、かなり濃いメンツになっている。また、インド~ネパールの山岳地帯で生まれたというスタイル、ゴルジェのプロデューサー、HANALIのライヴまである! 
 このとんでもないイヴェントは10月12日(金)。場所は代官山Unitとサルーン。前売り限定190枚は、ジューク価格の1900円と、素晴らしいです!

2012/10/12(FRI)
@代官山UNIT & SALOON
OPEN/START 23:00
ADVANCE TRAXMAN 来日記念SPECIAL JUKE PRICE ¥1,900( 限定190 枚)
DOOR ¥3,000

※20歳未満の方はご入場できません。また入場時に写真付き身分証を提示いただいております。

DAIKANYAMA UNIT EVENT INFORMATION
MORE INFORMATION : UNIT / TEL 03-5459-8630

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2012/10/12/121012_traxman.php


TRAXMAN

A.G.

DJ MANNY

UNIT PRESENTS
TRAXMAN with Red Legends footworkers : A.G. & DJ MANN
Y

TRAXMAN
(Planet Mu, Lit City Trax, Ghetto Teknitianz)
A.G.
(Red Legends, Terra Squad, FootworKINGz)
DJ MANNY
(Red Legends, Take Ova Gang, Ghetto Teknitianz, Lit City Trax)
D.J. FULLTONO (BOOTY TUNE)
PAISLEY PARKS (PAN PACIFIC PLAYA) *LIVE
STRATUSS (D.J.G.O., D.J.Kuroki, D.J.April / BOOTY TUNE)
MOODMAN
COMPUMA
PIPI (HELLPECIAN'S)
HANALI *LIVE
AND MUCH MORE!!



ZETTAI-MU 17th ANNIVERSARY 2012 "OSAKA" - ele-king

 明日土曜日、大阪のGRAND Cafeにて「ZETTAI- MU」あります。レベル・ファミリア、ゴス・トラッド、シンゴ02、ザ・ブルー・ハーブ、1945、超どえらいメンツが集結します。全然関係ないが、キンチョウスタジアムではセレッソ大阪vs清水エスパルスもある。
 以下、タイムテーブルも発表されています。これは行かないとね!


ZETTAI- MU 17th ANNIVERSARY 2012 OSAKA
開催日時: 2012年9月22日(土)
会場:Grand Cafe
OPEN / START - 18:00 - 1:00

18:00 Doors open
18:15 TOYO
19:25 REBEL FAMILIA
20:25 GOTH-TRAD
21:35 SHING02 + DJ A1
22:35 THA BLUE HERB
23:50 1945 a.k.a KURANAKA
1:00 CLOSE

★ZETTAI-MU 17th OFFICIAL SITE
https://www.zettai-mu.net/17th

★ZETTAI-MU TWITTER
https://twitter.com/zettai_mu

★ ZETTAI-MU FACE BOOK
https://www.facebook.com/zettaimu.jp

 この地に上陸していないまだ見ぬ巨人というのは、リヴァイヴァルとかフェスティヴァルとかにくまなく洗われてしまった気がするいまでも、いるにはいるわけで、ディラン・カールソン率いるアースはその数少ないグループのひとつであるのはまちがない。
 90年代のグランジの時代には、ニルヴァーナとの盟友関係にも関わらず、その対極に位置し、のちに2000年代のへヴィ&ドローンを牽引したサンO)))をインスパイアしたアースは、数年の空白期間ののち、ゼロ年代なかごろ、北米大陸の奥行きそのもののようなアコースティックの響きをとりいれた、独自のサウンドで復活し今日にいたる。彼らの現在は『エンジェルス・オブ・ダークネス、デーモンズ・オブ・ライト(Angels Of Darkness, Demons Of Light)』と題した連作(昨年の『Ⅰ』につづき、『II』を今年に入り発表している)にうかがえるが、スタジオ盤とはちがうナマのアースをたっぷり堪能できるこの機会を、逃す手はないでしょう。
 今回の来日ツアーには現在のへヴィ/ドローン・ミュージックの下地をつくった〈ハイドラ・ヘッド〉の創設者でもあるアーロン・ターナー率いるマミファーがスペシャル・ゲストとして全公演に帯同し、楽日にはボリスが彼らの初来日に花を添える予定だ。

 順番が逆のようで恐縮ですが、来日直前のディラン・カールソンに直撃したインタヴュー記事を『ele-king』vol.7に掲載しておりますので、彼らのライヴを目撃した方もそうでない方も、この稀有なバンドの言葉をあわせてご拝読ください。

EARTH
Japan tour 2012
with special guest : MAMIFFER

2012年9月19日(水)東京:新大久保Earthdom
open 18:30 / start 19:30
前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000 (ドリンク代別)
問い合わせ: チッタワークス 044-276-8841 / Earthdom 03-3205-4469

9月20日(木)大阪:心斎橋Pangea
open 18:00 / start 19:00
前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000 (ドリンク代別)
問い合わせ: Pangea 06-4708-0061

9月21日(金)愛知:名古屋池下Club Upset
w/ ETERNAL ELYSIUM
open 18:00 / start 19:00
前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000 (ドリンク代別)
問い合わせ: Upset 052-763-5439

9月22日(土)東京:新代田Fever
w/ Boris
open 18:00 / start 19:00
前売 ¥5,000 / 当日 ¥5,500 (ドリンク代別)
問い合わせ: チッタワークス 044-276-8841 / Fever 03-6304-7899

 「解析」「立式」につづき、相対性理論による自主企画ライヴ「位相」の第2弾の開催が発表された。前回と同様に真部脩一と西浦謙助は不参加となる模様だが、「位相Ⅱ」となる今回は、ゲストにサーストン・ムーアを迎えるスペシャルな企画となっている。両者のステージ上でのコラボレーションをぜひとも期待したいところだ。ソニック・ユースを率いてUSインディ・シーンの30年を表からも裏からも眺めつくし、大きな尊敬を受けながらもつねに妥協のない姿勢で一線を走りつづけてきたサーストンをまじえることで、アート・リンゼイ、マシュー・ハーバート、ザ・ヴァセリンズなど破格の共演を果たしてきた相対性理論の歴史にあらたな1ページが加わるようだ。
 現在のところ、相対性理論は新曲も用意しているとのことで、あらたな展開から目が離せない。


左:相対性理論、右:サーストン・ムーア

2012年11月5日(月)
相対性理論 presents 「位相II」

出演:相対性理論、Thurston Moore
会場:ZEPP TOKYO
OPEN 18:30 / START 19:30
TICKET:全自由 前売り¥5,250 taxin(3歳以上有料 D別)

◯オフィシャルweb先行予約
2012年9月14日(金)13:00 ~ 9月24日(月)23:00
特典:やくしまるえつこイラストチケット
先行予約受付URL(PC・mobile共通)
https://l-tike.com/webrironlive/

当選落選確認/入金受付日程
9/26(水)15:00~9/27(木)23:00

◯チケット一般発売日 2012年9月30日
チケットぴあ 
LAWSON TICKET 
e+  https://eplus.jp
ディスクユニオン  
高円寺DUM-DUM OFFICE 03-6304-9255

Liz Christine - ele-king

 簡単に地図を描いてみよう。ライブラリー・ミュージック・レコードは、もともとは放送局が番組で使用するためのBGMとして作られたものだが、それは1980年代にレア・グルーヴの一種として再発見され、同時にモンド/ストレンジなる別称によって蒐集家のアイテムのひとつとなった。それは今日、一種のアンビエント・ミュージック、プライヴェートなBGMないしはラウンジーなトリップ・ミュージックとして再々解釈され、復刻されている。
 スフィアン・スティーヴンスのレーベルが手がけている「Library Catalog Music Series」はそのひとつの例だが、この手のものはほかにもいろいろある。その傍流には、テクノ・プロデューサーのアンディ・ヴォーテルが経営に加わるロンドンの〈Finders Keepers〉のような、超ナードなレア音源の復刻(それがB級であろうとレアであることが重要)を販売するレーベルもある。
 こうしたモンド/ストレンジな感性がワールド・ミュージックとして展開すると......〈サブライム・フリーケンシーズ〉のような東南アジアの歌謡曲の編集盤へと、アーティなサンプリング・ミュージックとして展開するとピープル・ライク・アスのようになる。ハウスのビートを加えれば初期のジ・オーブ、そして最近では、ネットで見つけたホントどうでもいいようなネタをループさせるとヴェイパーウェイヴになるのだろう。

 リオデジャネイロで暮らすリズ・クリスティーンは、街のレコード店で集めたさまざまなレコード(サントラ、ラウンジ、効果音、ムード歌謡などなど)のコレクションをカット・アップして、なんとも奇妙で、美しく、そして愛らしい音楽を作り上げた。それが彼女のデビュー・アルバム『スウィート・メロウ・キャット』だ。
 古いレコード盤のパチパチ音、針飛び、そこに刻まれた音楽のサンプリング、ルーピング、電子ノイズ、そして加工、ミキシング......手法的にはミュージック・コクレート/サウンド・コラージュで、ザ・ケアテイカーグレアム・ラムキンやなんかと、つまりザ・ビートルズの"レヴォリューション・ナンバー9"やザ・レジデンツの『サード・ライヒン・ロール』やなんかとも同じで、いまさら珍しいものでもなんでもないが、ここには月並なベッドルーム・ミュージック以上の魅力──音を聴くことのみずみずしい楽しさがある。太古の人類が風や木の音を面白がったように、リズ・クリスティーンは名もない音の記録=レコードの溝から鳴る音に新鮮に反応している。彼女とターンテーブルに載せられたレコードとのあいだには、ロマンティックな関係がある......と思う。
 空想的なこの音楽はある意味シュールだが、日々の営みの悦びを表現しているに違いない。題名に「猫」とあるのは彼女の家に住んでいる4匹の猫もこの作品に参加しているからだ。音の合間から、絶妙なタイミングで「にゃーにゃー」と声が聴こえてくる。犬の声や鳥のさえずりも聴こえる。これもアイデアとしては特別なものでもなんでもないが、とにかくまあ、『スウィート・メロウ・キャット』は嬉しい発見の連続のように時間が流れる。生き生きとしていて、いわゆるジョワ・ド・ヴィーヴルを有する音楽。視聴はこちら→https://soundcloud.com/flaurecords/liz-christine-sweet-mellow-cat
 
 リズ・クリスティーンは、2008年にベルリンの〈モニカ・エンタープライズ〉(三田格が持っているすべてのレコードにサインをもらったという、元マラリア!なる女性ポスト・パンク・バンドのメンバーが運営する)からリリースされているコンピレーション『4ウイメン・ノー・クライ vol.3』(ele-king vol.6参照)に、ジュリア・ホルターとともに参加している。本作をリリースしている〈flau〉は、自らも作品を発表しているausが主宰する東京のレーベルで、今年は女性アーティストのCuushe、エレクトロニカの新星Madeggなど、基本ドリーミーなエレクトロニック・ミュージックで、質の高い作品をリリースしている。

 いよいよ来週末の土曜日(祝日・秋分の日)9/22の開催が迫ってきました!!! 日本科学未来館、GALLERY360°、原美術館、新潟・ビュー福島潟、YCCヨコハマ創造都市センターといった独自の雰囲気と圧倒的な存在感をもった環境で、近年精力的に公演を行っている稀代の音楽家マエストロ、ヤン富田が、恵比寿へ移転して8周年を迎えるリキッドルームで、満を持して初となる大型ライヴハウスでのコンサートを行います。最高音響といわれるあのリキッドルームの空間で果たしてどんな体験ができるのか? そのパフォーマンスのひとつひとつが新作ともいえる、その体験はきっと忘れられない夜に、そして皆さんの今後の音楽生活への新たな道しるべとなることでしょう。
 最先端の前衛音楽から誰もが口ずさめるポップ・ソングまでを包括する音楽家にして、日本初のスティール・ドラム奏者、日本で最初のヒップホップのプロデューサー、また自身の音楽の研究機関、オーディオ・サイエンス・ラボラトリーを主宰し、さまざまな角度と視点で、全方位の音楽と科学の研究をおこなっている世界でも稀な音楽家であり、音楽探検家であるヤン富田の現在と過去と未来を繋ぐであろう記念すべきこの日をお見逃し無く。世代を超えてひとりでも多くの人たちに、このまたとない機会を是非体験していただけたらと願っております。(コンピューマ)

 未体験の方は、まずはここからどうぞ! オーディオ・サイエンス・ラボラトリーからの予告編的なDr.Yann's Bionic Musicのお蔵出し映像の登場です!!!

https://www.liquidroom.net/schedule/20120922/11331/

未知なる知覚の扉を開け放つヤン富田。そのミラクルな刺激に溢れた至福の時。

 この20年余り、機会があればこの人の音楽に耳を傾けようとしてきた。電子音楽家、プロデューサー、スティール・ドラム奏者という肩書きだけでは収まりきらない音楽の探究者として、いまではヤン富田は私の中でひとつのジャンル、いや、深い森の奥へ誘うジャングルとなっている。
 最初に触れたのはWATER MELON GROUP だったと記憶するが、いとうせいこう『MESS/AGE』に衝撃を受け、1992年の初のソロ・アルバム『ミュージック・フォー・アストロ・エイジ』以降、他の音楽では決して得られないミラクルと刺激に夢中になった。主に20世紀後半のポップ・ミュージックを聴いて育ち、それがルーティンになりつつあった頃、ヤンさんの音楽はそれとは違う扉を開けてくれたのだと思う。まだどこかに聴いたことがない素晴らしい音楽があるのではないか。あるとしたら、それはどんな音楽なのか。そんな夢見がちな好奇心からヤンさんに近づいていった身ではあるが、はたして類を見ない面白さで未知なる知覚を刺激され、時に洒脱なユーモアに笑い、時に至福の音の洪水に涙した。主宰するオーディオ・サイエンス・ラボラトリーのテーマである「音楽による意識の拡大」が成されたかどうかは不明なれど、新しい音楽の楽しみ方と視座を注入されたのは間違いない。
 20世紀型の音楽産業が終焉を迎えつつあるいま、「悲観するのは簡単じゃん」というヤンさんの言葉に私は眩しいくらいの光を見る。ライヴという生命の輝く現場でその好運に授かりたいと思う。 (佐野郷子/ Do The Monkey)

▼ヤン富田
最先端の前衛音楽から誰もが口ずさめるポップ・ソングまでを包括する希代の音楽家。音楽業界を中心に絶大なるフリークス(熱烈な支持者)を国内外に有する。音楽の研究機関、オーディオ・サイエンス・ラボラトリー (A.S.L.) を主宰する。近年では、日本科学未来館/1F シンボルゾーン ( お台場)、原美術館/ 中庭( 品川)、潟博物館/ 展望ホール ( 新潟) 等、特別な空間に於いて「ヤン富田コンサート」が開催された。近作に2011年3月発表のアート作品集「YANN TOMITA A.S.L. SPACE AGENCY」( 写真集、エッセイ、ライブ・ドキュメンタリーCDx2 からなる書籍、宇宙服のパジャマ、T- シャツ、キャップ、トランク・ケース、以上 TOKYO CULTUART by BEAMS) がある。また2011年より A.S.L.主催にて「音楽による意識の拡大」をテーマとした研究発表会「アシッド・テスト」のシリーズを開講する。

▼公演概要
公演名:LIQUIDROOM 8TH ANNIVERSARY WITH AUDIO SCIENCE LABORATORY PRESENTS
YANN TOMITA CONCERT
出演:ヤン富田
日時:2012年9月22日(土曜日/秋分の日)
開場/開演:17:00 / 18:00 *17:30~The Sounds of Audio Science Lab.
会場:リキッドルーム

前売券(8月5日(日)発売) :5,000円[税込・1ドリンク代(500円)別途]
当日券:6,000円[税込・1ドリンク代(500円)別途]
* オールスタンディング/整理番号順のご入場になります。

前売券取り扱い:チケットぴあ[Pコード 176-227]、ローソンチケット[Lコード 74822]、イープラス、オトノマド、BEAMS RECORDS、bonjour records Daikanyama、DISK UNION(新宿本館/新宿クラブミュージックショップ/渋谷クラブミュージックショップ/渋谷中古センター/高田馬場店/池袋店/お茶の水駅前店/下北沢店/吉祥寺店/町田店/横浜関内店/横浜西口店/津田沼店/千葉店/柏店/北浦和店/中野店/立川店)、GALLERY 360°、JET SET、Lighthouse Records、LOS APSON?、TOWER RECORDS SHIBUYA(1F)、windbell、リキッドルーム
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vol.2 NHK大河ドラマ『平清盛』 - ele-king

前編はこちら。
大好評『清盛紙芝居』も掲載中!!


 『平清盛』は現在、第35話まできたところだが、皆さまもしっかとご視聴されているであろうか。後白河上皇が昏睡状態の清盛を気づかい、豪雨のなか、鴨川の水をものともせず見舞いに来てしまったくだりには、また崇徳院のごとくローリングしそうになったわたしである。さしずめ、「源義朝亡きあとの、ズッ強敵(ずっとも)担当は朕、ツンデレ担当も朕」と、あらためて宣言しにきたというところか。後白河上皇の背中のできものが「さいころ」に似ているという、さりげなくジョースター家を思わせる設定も追加された。こういうエピソードを、このドラマを観ていない人がたてつづけに聞かされると、わたしが好き勝手に捏造しているのだろうと疑うかもしれないが、日本放送協会に誓って事実である。ele-kingよ、これが『平清盛』だ。
 
 さて、前半ではひとつめの清盛文法として、キーワードが反復、変奏されることによって、ドラマに深みが与えられていることに触れた。今回は少し違った方向から、このドラマのもたらす独特の違和感、そしてそれを読み解くための清盛文法に迫ってみよう。

■清盛文法その弐.清盛空間へようこそ

 ふたつめの注目すべき違和感は、特有の異空間表現である。すなわちこのドラマでは、二者間のやりとりが、第三者がほとんど介在しない謎の異空間で、説明もなく長々と演じられることがある。飛びぬけて異空間だったのは、鳥羽院が平清盛のエア弓矢を受けるシーン(第13話)や、平清盛と源義朝の謎の一騎打ちシーン(第27話)である。

 エア弓矢の一件は、鍛え抜かれた『平清盛』視聴者でも、多くが度肝を抜かれたであろう。ある意味、歴史に残る名シーンなので、未見の方はぜひオンデマンドなどで視聴してほしい(どういう場面なのかは、「エア弓矢」という言葉から想像できるイメージにかなり近いと思うので、ここでは説明しない)。しかしながら、このとき生じた違和感は、「鳥羽法皇と清盛のその行動はありなのか」という、人物の行動の一貫性に関する違和感が主だったので、万事に演劇的な鳥羽法皇と、万事に流されやすい清盛だったら、まあありかもしれないと、変な納得の仕方をさせられた。さらに鳥羽法皇役の三上博史氏の演技が、狂気をも感じさせる切れ味で、視聴者に有無を言わせぬ迫力があった。

 しかし清盛と義朝の一騎打ちに関しては、さっきまで川を挟んで向かい合っていた両軍の総大将が、次のカットでは謎の河原で完全にふたりきりになって一騎打ちしているわけだから、人物の個性で言い逃れしようにも、状況的に無理がある。普通のドラマで総大将の一騎打ちシーンを見せたければ、乱戦に持ち込むとか、ベタに一騎打ちを申し込むなど、ともかくもう少し自然にことを運ぶのではないか。『平清盛』の他の部分には、この手の無難な表現もちゃんとあって、第21話での平清盛と平忠正との一騎打ちがそれにあたる。こちらは、戦いの描写で一般によくみられる「乱戦なのに、周囲の人間が異様に空気を読んでいて、会話しながらの一騎打ちが成り立っている」パターンで、その空気はいかがなものかとは思うが、まだ話の流れとしては理解しやすい。いま問題としている第27話のほうは、何の説明もなくふたりだけが異空間に飛ばされるところが尋常でない。家政婦のごとく入念に一部始終を見てきた視聴者は、いちように小首をかしげたに違いない。

 このような場面の評価については意見が分かれるところだろうが、ドラマに舞台の手法を導入したものとして解釈する向きが多いのではないか。舞台上で、話の流れを切断して主要人物だけにスポットをあて、第三者を排した異空間を切り出す手法はよくみられよう。そもそも舞台的には、合戦など現実には多数の人間が関与したであろう場面を、少数の主要人物だけで演じきることは、不自然でないどころか常道である。

 しかしわたしは、舞台的というのとも何か違うように思う。そもそも、それまでの話の流れからあまりにも切断されているので、たとえ舞台であっても違和感が残ると思われる。いったいこの空間は何なのか。重要なのは、物語の中でのその空間の位置づけ(いったいいつ、どのような経緯でこの場面に至ったのか)が完全に謎なのに、そこで表現されている内容(ふたりのやりとり、感情)はとてもよくわかる、ということだ。もちろん、この空間では後者のほうが圧倒的に重要なのである。いつからか、わたしはこのような空間を「清盛空間」と呼ぶようになった。

 清盛空間は、ドラマの表現としてはブロークンかもしれない。しかし物語の整合性ばかりにとらわれず、効率よく何かを伝える技法としては、王道の表現とも言える。ちょうど、ある種の刑事ドラマの終盤で、刑事と犯人がなぜか崖っぷちで向かい合ってしまうのと似ている。「謎の崖っぷち」は、いちいち舞台的な表現であるのどうのと考察されなくても、刑事と犯人の駆け引きや、追い込んだ・追い詰められた感情を堂々と表現するのだ。伝えるべきものが伝わりさえすれば、その空間はどこに位置してもいいのだろう。どこに位置するかを追及するのは、野暮、もしくは風狂の域だ。

 あえて風狂を試みるなら、わたしの解釈では、第27話の清盛空間(謎の河原)は、実は物質世界には存在しない空間で、川を挟んで遠く視線を交わした清盛と義朝の、心の中にだけつかのま現出した空間だったのではなかろうか。われながら胸を打つ名解釈だと思うが、後に、その空間で「髭切」(源氏重代の太刀)の受け渡しが物理的に行われていたことが判明して、けっこう困った。だが清盛空間であれば、精神世界であっても太刀だけ物質世界で受け渡すぐらいのことは、やってしまってもいいはずだ。

 清盛空間らしきものは、第30話でも生じる。これも未見の方はオンデマンドで見てほしい名場面で、崇徳上皇が恨みのあまり魔物と化し、平家を呪詛するくだりであるが、いったい本当に起こったことなのか、またドラマ内で本当に起こったのなら、なぜ上皇の従者は何もしないのか、どれぐらいの時間が経過しているのか、もしかしたら上皇はすでに死んでいるのか、等、詳細が皆目わからぬという、きわめて潔い清盛空間である。これも、崇徳上皇の荒れ狂う心中が伝わればそれでよいのだ。

 また、実はわたしはかなり初期から、清盛が出てくるたびにどこか違和感を持たずにはいられなかったが、これもある種の清盛空間だったのかもしれない。違和感が生じるのは、清盛が神輿に弓を射るなどの重大な行動を、しばしば唐突に行うせいでもあるが、おとなしくしているときもどこか浮いている。他者と同じ画面にいてさえ、別の時空間にいるような気配がある。端的に言えば清盛は、何を考えているのか、台詞や表情からはわかりづらい。彼の心中は、状況証拠で推測するしかないのだ。本来の清盛空間は、状況はわからないけど登場人物の感情がよくわかるというものだから、真逆のこの現象は、「裏・清盛空間」というべきかもしれない。これはなにも松ケンの演技力を否定しているので はなく、このドラマにおいて、清盛とはそのような登場人物だということだ。

 この裏・清盛空間は、完全に意図的な演出・演技ではないかとすらわたしは思っている。なぜなら、歴史上の人物とはそもそも、後世のわれわれからは感情や考えなどを見てとることはできず、もしそれを推測するのなら、状況証拠から判断するしかないからだ。すなわちこのドラマにおいて主人公の清盛は、際立って「歴史上の人物」なのだ。第35話までむくむくと観てきたわたしも、他の登場人物の性格はそれなりに把握したのに、平清盛という登場人物がどのような性格なのか、いまひとつわからない。それこそ賽の目のように場面ごとに変わるというイメージだ。専門用語では「キャラがぶれている」というのかもしれないが、現実の人間は通常、場面や相手によってキャラがぶれるのが当たり前だ 。清盛もこのドラマでは、物語の登場人物(キャラクター)というよりは、「歴史上の人物」なのだから、それでいいのである。唯一いえるとすれば、目を離した隙に何をしだすかわからないから、ガン見(み)しておかねばならぬ男、それが清盛だ。

 そんなこんなで、いろいろな意味で目が離せない『平清盛』も、いよいよ残りあと10数話。平家と他勢力との争いがますます盛り上がるとともに、クライマックスで清盛空間が発生しまくる可能性は高い。清盛が死ぬときに意識が未来に飛んで、謎の空間で源頼朝や義経と切り結んだりしてほしいが、あながち夢想でもない気がする。最近も出家という重大行動をわりと唐突にやってくれた清盛だから、裏・清盛空間のほうも、惜しみなく展開されるであろう。
 他のドラマでは味わえぬ独特の違和感と、観るほどにその違和感が氷解していく知的快感が、いまならタダで手に入る。それが『平清盛』だ。
 言うまでもないが、とびきりのいい男たちやいい女たち、猫、犬、鸚鵡といった萌え要素も満載だ。全裸で思う存分ローリングするため、床面積を確保してから視聴することを薦めたい。

以上

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自己憐憫さえも愛らしい砂糖菓子へ 文:三田 格

E王 Holy Other
Held

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 キリスト教社会におけるホーリー=聖なる存在は、唯一神というぐらいで、アザー=もうひとつの存在はありえない......し、他の多くを示唆するような修飾表現もないということは多神教をイメージさせるものでもないし......。タイトル曲とともにシングル・カットが予定されている「ラヴ・サム1」のように暗く、激しい感情が渦巻いている曲を聴いていると、安直に思い浮かぶのは、ツァラトゥストラが開祖だとされるゾロアスター教のような善悪二元論の悪(=好戦的なダエーワ)のことで、仮定の上に立って話を進めていくと、ゾロアスター教というのはイラン高原の北東部を起源とする宗教であり、イスラム教に蹴散らされてきた過去もあったりするため、背後からそれを狙い撃ちしているような不穏さを嗅ぎ取ることもできなくはない。実際、彼(女?)のデビュー・シングル『ウイ・オーヴァー(=全員、終了)』は明らかにイラン高原をヴィジュアルに使用していて(スコットランドのような標高ではない)、その佇まいはノイズのレコードにも等しい。曲も何かマントラを唱えているようだし(カップリングは『ウィズ・U』に採録された「ユア・ラヴ」)。

 とはいえ、フードを被ったままライヴをやり、いまだに実名を明かさないことに宗教的な背景が潜んでいるわけではないだろう。ネットを介したインタヴューはけっこう受けているようだし、〈トライ・アングル〉というレーベルそのものがいわば宗教コレクティヴと化している側面もあるだろうし(〈トライ・アングル〉のリリースにはKKKをイメージさせるものもあったりして、僕にはとうていわからないけれど、倉本諒によればそれは単にパロディとして使われているだけということもあるらしい。こういうセンスを正確に把握することはとても難しい)。

 いずれにしろホーリー・アザーというユニット名が正しくウィッチ・ハウスのイメージを踏襲するものであることは間違いない。『ヘルド(=開催)』で追求されている価値観は非キリスト教的なイメージに救いを求め、リヴァーブの深さや重いベースによって(仮想の)共同体意識を強くすること。それはつまり、『ジーザス・キャンプ』であらわになったキリスト教右翼がアメリカ人口の3分の1(=約8000万人)に達したといわれるゼロ年代前半のアメリカで否応もなく隆盛を誇ったドゥーム・メタルがここへきてモーション・シックネスメデリン・マーキーのような優しいドローンに変化したことと並行して起きた現象ともいえ、ドローンが継承されるのではなく、下部構造をダンス・ミュージックに置き換えたことでいわばドゥーム・ハウスとして成立したものがウィッチ・ハウスと呼ばれるようになったと解してもいいのではないだろうか。アレイスタ・クローリーの小説がイサドラ・ダンカンの描写から始まったように、希薄な身体性によって欺かれた世紀末の闇が再びダンス・カルチャーを侵食し出したのである(ガイ・リッチーが『シャーロック・ホームズ』をスチーム・パンクとして再生させたことも記号的には符号が合う)。

 そして、ドゥーム・メタルにはなかった徹底的な甘ったるさがホーリー・アザーのサウンドをエソテリックな秘境へと導いていく(ジェイムズ・ブレイクハウ・トゥ・ドレス・ウェルがレイディオヘッドなら、ホーリー・アザーやココ・ブライスはアラブ・ストラップだと言い換えてもいい)。捉えどころのないメランコリーのなかに、それを楽しむ甘美さが入り混じり、自己憐憫さえも愛らしい砂糖菓子へと変えていく。どこにもトゲらしきものはない。落ちていたのは1本の髪の毛。いくらでも自分のなかに逃げ込むことができる。人生には時としてこんな魔法が必要だろう。チルウェイヴというのがダフト・パンクとレイディヘッドの合体にしか思えなくなってきた昨今は、とくに(ああ、またしてもポップの魔法が解けていく......)。


文:三田 格

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ゴーストリー・テクノの美しい結実 文:竹内 正太郎

E王 Holy Other
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 たとえば、世界の絶景やディズニーランドよりも、打ち捨てられた名もなき廃墟に、非日常としての美しさを見出すこと。人ごみそのものの賑やかさよりも、人の気配がごっそり失われた空間の沈黙にこそ、強く惹かれるような感性。そういったゴシック的な(ヨーロッパ的な)、ある種の怪奇趣味は、現在のアンダーグラウンド・ミュージックの世界において、(欧米の批評でよく使われる)「ゴーストリー(ghostly)」という傾向のなかにリヴァイヴァルしているのかもしれない。穿った見方をすれば、裏表なく、前向きで、典型的な余暇を楽しむ、互いに互いが「ふつうの人間」であることを牽制的に確認し合うような、Facebook型ヒューマニズムの裏側にしまい込まれてしまったものを、それらは召還しようとしているようでもある。当たり前の話、世間の表面において規制されたものは、より多義的に、より抽象的に、より地下的になって発展する。

 そう、〈トライ・アングル〉が送り出すホーリー・アザーのファースト・フルレンス、『ヘルド』は、廃墟に住む幽霊のための新たなるR&Bだ。重々しいベース・ドローン、空間を包むシンセ・アンビエンス、そこに割り込むグリッチ・ノイズ。ワン・フレーズのみ採取されたヴォーカル・サンプルは、ピッチを変えられ、エフェクトされ、短周期で何度もペーストされ、キックの轟きは現れては消え、消えては現れ、アブストラクトな高揚を効果的に援助している。言葉遊びのようで嫌になるが、ポスト・ダブステップというタームにあえて偏執するならば、ウィッチ・ハウスないしはゴシック・アンビエントの領域から登場したホーリー・アザーは、それをある種の臨界点と認めた上で、それでも『ジェイムス・ブレイク』(2011)以外の歌のあり方、あるいはビート・プロダクションとの共存の手段、その可能性を突き詰めているように思える......。

 鍵となるのは、やはりゴーストリーと形容するほかない、そのヴォーカル・プロダクションである。『ヘルド』は、『ジェイムス・ブレイク』を疑ってみることからはじまり、展開している。ここにはメロディを伴った人間の声が溢れているが、それが歌であることはほとんどない。歌は徹底的に断片化され、声は溢れてはただ消えていく。それでも、比較的ヴォイス・サンプルが強調されるアルバム後半部には、息をのむような美しさがある。電子ピアノがきいた"イン・ディファレンス"のダーク・トリップ、シューゲイズ的な感性でノイズとの戯れを見せる"パスト・テンション"のディープ・サイケ、そして表題曲"ヘルド"の後半、まったく別の曲へとミックスされていくような展開の先に、ピアノとキックが清らかな世界に強く脈打っている。スモークを焚いたベッドルームで、カーテンの隙間に射すひとすじの光が揺らめいて見るような......本当に美しい音楽だ。

 「芸術の進歩に対して大きな貢献をしている、なんて全然思わないよ。本当にパーソナルなものをただ作ることの方が、よほど挑戦的なことなんだ。」――1年前のインタヴューとは言え、『ファクト』に対するこうした回答は、どこか危うくも思える。が、現在、多くのパーソナルな音楽表現が、活動名としてのソロ・ユニットとしてなされ、内容的にもヴィジュアル的にも高度に抽象化ないしアンダーグラウンド化せざるを得ない状況からは、彼が感じている(のであろう)現代特有の息苦しさを推察できるのも事実だ。もっと言うなら、インターネットの登場によって自由であることを支援されたはずの個人が、相互監視的にクラウド化されることをむしろ望んでいる、昨今の倒錯した情勢に対する彼なりの対抗措置のようですらある。それは筆者にとっても、これを読むあなたにとっても、他人事ではないはずである。BBCは、すでにこの音楽のなかにもヒット・ポテンシャルの片鱗を認め、「マイケル・ジャクソンを18bpmにスローダウンさせたような、もしくはR.Kellyを地獄に突き落としたような音に聴こえる」などとはやし立てているが、そうしたポテンシャルの有無を、本人は気にとめないだろう。ウィッチ・ハウスという、よく言えば最新のインディ・ダンス、悪く言えば細分化時代のフェティシズムとして登場した〈トライ・アングル〉のホープはいまや、UKアンダーグラウンドの冷え冷えとした態度を引き継いでいる。『ジェイムス・ブレイク』の歌がトラウマティズムの剥き出しの表出だったとすれば、『ヘルド』はむしろ暗黒の世界の不明瞭さを好んで迎え入れている。ジェームズ・ブレイク、ザ・ウィークンド、もしくはハウ・トゥ・ドレス・ウェルよりは、ローレル・ヘイローに近いとする意見もあるだろうか。2012年は本作を明確に記憶するだろう。ゴーストリー・テクノの美しい結実、それは暗黒との背徳的な戯れである。


文:竹内 正太郎

vol.39:ジュリア・ホルター in N.Y. - ele-king

 LAのジュリア・ホルターがNYでショーをおこなった。
 最初にショーの知らせを聞いたときは、シガーロスのオープニングとのことだったので、シガー・ロスとジュリア・ホルターなんて素敵な組み合わせとぬか喜びしたのだが、この日程はウエスト・コーストのみで、NYはハンドレッド・ウォーターズ、サイレント・ドレープ・ランナーズというバンドが対バンだった。その週には『ニューヨーカー・マガジン』が、今週のナイトライフ欄に「彼女の浮遊感漂う歌を」と素敵なドローイングを掲載した

 ショーの2、3日前には、新しいヴィデオ"Goddess Eyes"が公開されてる

 期待が高まる、レイバー・ディのロング・ウィークエンドの金曜日の夜、バワリー・ボールルームは、たくさんの人で溢れていた。ふだんよく行く、ショーのオーディエンスとは違い、パーク・スロープやクイーンズ、アッパー・イーストサイドなどに住んでいそうな、インテリで、読書が趣味のタイプが多いように感じる。男の子やゲイも多そうだ。

 ステージ部屋に行くと、オープニングのハンドレッド・ウォーターズがプレイ中。クラリネットやホーンを使って、低音ビート震えるようなヴォーカルが特徴のアート色の強いバンドで、最近スクリレックスのレーベル〈OWSLA〉と契約したばかり。ジュリア・ホルターとはツアーメイトだ。
 地下のバーで、〈RVNG INTL〉のマットに会う。ジュリアナ・バーウィックと一緒に来ていたので、彼女も掲載されている『エレキング・ブック』を渡す。
 ジュリアナ・バーウィックはブルックリン在住。音楽の印象と違い、とても気さくで親近感が沸いた。〈RVNG INTL〉のマットは、著者が以前コンタクトから出していたコンピレーションCDに参加してくれていて(vol.16 ノースイースト)、何度か会っていることも発覚。インディ・ミュージックの世界は狭いのだ。

 ジュリア・ホルターは、スパンコールのミニスカート(木星柄)、黒の外腕部分が広く開いたディテールの凝ったカットソーで登場、にっこりと笑って挨拶する。オープニングは"Our Sorrows"。
 彼女はとても美しい女性で、ステージに立つだけでも華がある。編成は、彼女がキーボードと歌。クラシカルなチェロ・プレイヤーとコーラスも務めるジャジーなドラマーのトリオ。バスドラの上にトライアングルがちょこんと乗っていた。

 彼女は、優しく語りかけるように、ときには恐ろしげに、そして一貫して夢のなかにいるような浮遊感を漂わせる。歌声には深みがあり、クリアで水滴が落ちるように張りがある。多重にリヴァーブをかけた歌は、決してランダムではなく、注意深く構造されている。エスケーピズムというよりは、もはや音楽治療と言えそうだ。
 それは彼女の表情を見ながらが聴いていると、さらに効果的だった。少しはにかんだ笑顔は、フェアリー・ファーナシスのエレノア嬢に似ていた。キーボードとチェロ、ドラムという構成は、厳かな神聖さを醸し出す。

 最新アルバム『Ekstasis』からの曲がほとんどで、アンコールは、カセットでリリースされた「ライヴ・レコーディングス」から"Sea called me Home"。「みんな口笛ふける?」と観客に聞いたこの曲は、その晩のハイライトだった。けだるい朝のポップ・ミュージックのようだったが、彼女の表情も生き生きしている。お客さんの反応も特別だった。

 今回のショーで新鮮だったのは、アヴァンギャルドとベッドルームポップ、クラシック音楽などがしっかり融合していることだ。しかも、カテゴライズしづらい彼女の音楽を見にきていたのが、勉学に励んでいる学生風だったり、身なりの良い老紳士だったり、音楽好きのゲイ男子だったり、いずれも、このショーでないとクロスしない層だったことだ。彼女の音楽のボーダレス性を感じた。
 LAという暖かいレイドバックな地域性がそれに影響しているのだとも思う。観客の表情は終始緩んでいた。日本人としては、もう少し歌詞がすんなり入ってくれば、別の楽しみ方もできたのだろうが、充分に満足のショーだった。



セットリストは以下:
Our Sorrows
Fur Felix
Marienbad
Gaston
This Is Ekstasis
Try to Make Yourself a Work of Art
Moni Mon Amie
Four Gardens
The Falling Age
In The Same Room
Goddess Eyes
アンコール:
Sea Called Me Home

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