「KING」と一致するもの

shotahirama - ele-king

 この2月、スプリット・シリーズを再始動させ話題を集めたグリッチ・ノイズの雄 shotahirama が新たな動きをみせています。なんと来る11月2日、来年リリース予定のアルバムからの先行シングルとなる「Cut」をリリース。同曲をぎゅぎゅっと3分に縮めたティーザーが公開されています。映像のディレクションを担当したのは、『Maybe Baby』でもMVを手がけていた若手映像作家 shiki sawamura。この不思議な映像を観ながら細部の怪しげな音たちに耳を傾けていると、どんどんフルサイズが待ち遠しくなってきます。アルバムも楽しみですね。

shotahirama / Cut

ポストパンクやダブなど、ノイズ・グリッチを類稀なコラージュセンスで様々な音楽へと昇華してきた電子音楽家 shotahirama が来年発売の新作アルバムより先行シングル「Cut」をリリース! 最新作ではピアノをサンプリングした奇妙で中毒性の高いフレーズを中心に、代名詞でもある過激なノイズとビートとがハイテンションに混ぜ合わさる新感覚のグリッチ・ミュージックが披露されている。

中原昌也、evala、空間現代など様々な著名アーティストがコメントを寄せ、日本のノイズ・グリッチ・ミュージック・シーンにてその存在を確固たるものにしたニューヨーク出身の電子音楽家 shotahirama。そんな彼が2019年に発売する新作アルバムより先行シングル「Cut」を発表。ピアノやラップがサンプリングされた奇妙奇天烈で中毒性の高い世界観の中を、過激なグリッチとビートが躍動するトラックは彼の次なるステージへのイントロダクションに過ぎない。

発売日:2018年11月2日
品番:SIGNAL014
アーティスト:shotahirama
タイトル:Cut
定価:450円
フォーマット:デジタル
レーベル:SIGNAL DADA

トラックリスト:
Cut - original by shotahirama(9:02)
Cut - remix by nobanashi (7:48)

iTunes

プロフィール:
ニューヨーク出身の音楽家、shotahirama(平間翔太)。中原昌也、evala といった音楽家がコメントを寄せる。畠中実(ICC主任学芸員)による記事「デジタルのダダイスト、パンク以後の電子音楽」をはじめ、VICEマガジンや音楽ライターの三田格などによって多くのメディアで紹介される。Oval、Kangding Ray、Mark Fell 等のジャパンツアーに出演。代表作にCDアルバム『post punk』や4枚組CDボックス『Surf』などがある。

R.I.P 小杉武久 - ele-king

永遠のピクニックにでかけた芸術家の背中をみおくる

 小杉さんの訃報に接して、どこからともなく聞こえていた風の便りのようなことも総合して、ああやはりそうだったのかと思う反面、心のなかにぽっかりと開いた穴を、便りをもたらせた風が音を立てて吹き抜けるような奇妙な感覚はいまもつづいている。小杉武久という芸術家の存在は巨大でひきかえがきかない。すくなくとも私にとってはそうだ。ケージやマース・カニングハム、フルクサス、タージ・マハル旅行団、グループ・音楽――現代音楽、現代アートうんぬんという教科書的な話はさておき、機会あるかぎり足を運んだその演奏はおおらかでありながら無骨で音そのものをその場に投げ出すようでありながら、メガネの奥の演奏家のまなざしは音の行方を見守り、耳はおそらく空間全体に指向性を注いでいた。ヴァイオリンであれエレクトロニクスであれ、インストラクション(ことばで行為などを指示する作曲作品)であれ、音は演奏の場に観念をともなった生成し、しかしその観念は主情的なものではなかった。すなわち他者をつねに期待していた、そのような音楽の在り方を小杉武久は芸大楽理科に入学してしばらくしたころにもう予感しており、1958年に水野修孝とはじめた即興演奏のこころみに最初に結実した。

 うすぐらい芸大の構内の一角ではじまった即興デュオに、翌年から翌々年にかけて、塩見千枝子(現・允枝子)、戸島美喜夫、柘植元一と刀根康尚らが加わり、学外のイベントに参加する必要から集団がグループ・音楽をはじめて名乗ったのは60年8月、この日本でおそらく最古の純粋な即興による音楽集団はそのように誕生し、六一年九月の草月ホールでの「即興音楽と音響オブジェのコンサート」をひとつの境に即興の方法をこころみる集団から自律した個々の芸術家の集まりに変容していく。

 60年代は小杉が海外への足がかりを築いた時代で、米国留学から帰国した一柳慧や、ジョン・ケージ(とカニングハムとラウシェンバーグ)の来日公演への参加や、邦人アーティストの海外渡航があいつぎ、フルクサスの首謀者ジョージ・マチューナスから招待状をうけとるにいたって、小杉も六五年にニューヨークに渡ることになる。二年におよんだ米国での活動は、フルクサス的反芸術性に則ったインストラクションないし行為芸術的な作品が中心だったが、代表作のひとつである「マノ・ダルマ、エレクトロニック」も滞在中にかたちになった。この作品は、天井から吊した複数のラジオや送信機が、来場者がドアの開閉や移動によりひきおこす会場内の空気の動きや、送信機を吊す糸の捩れが戻ったりすることで、多様なヘテロダイン効果を生むインスタレーション作品であり、波長、波動、波紋としての音の考え方は無意識を発見する方法としての即興であるキャッチ・ウェイヴとして七五年のアルバムで音楽に(原点)回帰する。すでにそのとき、タージ・マハル旅行団は、日本から欧州へ、さらにインドのタージ・マハルに到達しそこで24時間をすごし、その役割をまっとうしたが、木村道弘、小池龍、土屋幸雄、永井清治、長谷川時夫、林勤嗣ら非音楽家をふくむ彼らは70年代という日本におけるサイケデリック・エラを代表する集団としていまでも海外でもつとに知られている。タージ・マハル旅行団の演奏には、71年から75年にかけての実況盤でふれることができるが、重なり合う音のなかで起点も終点もなく伸縮する時間の扱い方は同時代の作品でも抜きん出ている。小杉自身はのちにその時代性のつよさを忌避するようにもなったが、私は純粋に即興演奏としてもフリージャズやフリーインプロヴィゼーションが弁証法の行程できりすてたもの、そもそも最初から問題にしなかったもの、できなかったものが、小杉武久の即興にはあっけらかんとしてのこっている、それが好きなのだ。演奏家としての小杉武久はこれからかならずや光があたるだろう。作品がすくないのはいくらか残念ではあるけれども、それもまた音楽は固定したものではなく、いまここにたちあがるという意思なのかもしれない。だから音楽であれアートであれ、その場に足を運ばねばならない。これは自分への戒めでもある。

 しかし私が小杉さんの生前最後の展覧会となった芦屋市立美術博物館での〈音楽のピクニック〉展に出かけたのは会期末が二日後にせまった2018年2月10日だった。その日の朝石牟礼道子さんの訃報があった。私はもちだした『西南役伝説』を読んで道中をすごした。新大阪から在来線に乗り換えて芦屋に着いたときは大粒の雨で、降車したバス停から美術感に歩くまでに濡れネズミになった。さいわいエントランスで小杉さんのマネジメントをつとめるHEARの岡本隆子さんにお会いし、この日展覧会の付随企画である小杉さんが音楽にたずさわった映画の上映会で司会をするのに訪れた川崎弘二さんにとも、すこしだけだけ話をした。思えば、川崎さんと知り合ったのも、雑誌編集者だったころにお願いした小杉さんのインタヴューだった。

 間宮芳生の音楽の手助けをした松川八洲雄監督の「ある建築空間」や久高島のイザイホーの記録映画資生堂の科学映画など五作品を鑑賞し、会場を巡ると、そこには写真やポスターなどで小杉さんの活動をふりかえる展示がつづいている。グループ・音楽からニューヨーク時代、タージ・マハル旅行団と、後期の軸のひとつだったマース・カニングハム舞踊団での活動など、小杉武久にまつわる人名や出来事の数々はそのまま60年代以降の(反)芸術の記録といっても過言ではなかった。「マノ・ダルマ、エレクトロニック」や「インタースパージョン」系の作品をふくむ10点のサウンドインスタレーションには作者の考えや感覚が擬態したかのようで、かすかな音や事物の動きはまるで演奏だった。思わず聴き入ってしまって、ふと気づけば閉館時間もちかく、結局数人で乗り合わせて芦屋の駅まで車でむかったのだが、岡本さんに車中でうかがったエピソードが私は忘れられない。

 ニューヨークにいたころのある日、ナム・ジュン・パイクが手に半ダースの無花果(イチジク)を提げて、小杉さんも参加していた集まりの席にやってきた。めずらしいものをみつけたよ、こっちではなかなか手に入らないからね、と部屋にいた数人にイチジクを示しながら、みんなで食べるのに買ってきたのだなと思う彼らを尻目にパイクさんは全部平らげたのだという。まるでフルクサス的な出来事(イヴェント)だと思ってしまうのは、そこにそのようなものをみようとするからなのか。日常がアートになり、楽器が実物に事物が音具になるとはどういうことなのか。その問いかけをのこし小杉武久は永遠のピクニックに旅立った。

 遠ざかる背中をみおくりながら私は小杉さんのインストラクション作品を思い出す。1963年の「THEATRE MUSIC」。演奏者(行為者)に以下の行為を指示した作品である。

Keep walking intently.

 きょうはみなさんと一緒にこの曲を「演奏」しながらだれもほかに喩える術をもたない唯一無二の芸術家を偲びたい。(了)

J Dilla - ele-king

 『Ruff Draft』。ラフなドラフト。この「ラフ」には二重の意味がある。まずはここに収録されているビートたちが、Jディラのアイディアを、それが生まれた瞬間の鮮度はそのままにスケッチとして書き留められたような「ラフな」ものであるという意味。そしてもうひとつは、そのサウンド、特にビートの質感が非常に「ラフな」ものであるということだ。
 前者について考えてみるとすぐさま直面する疑問がある。つまり、このビート集がラフなスケッチ=未完成品の集積なのだとすれば、ビートの完成形とは、あるいはアルバムという作品の完成形とは一体なにを指すのかということだ。たとえばディラのようにMPCシリーズのサンプラーでビート制作する場合、キックやスネア、ベースラインやウワネタ自体を選択し、延々とビートをループさせつつそれらの打ち方のタイミングを微調整する。あるいは、各トラックの音色を微調整し、最良のミックスを探る。そうして形作った個々のピースを、一枚絵のパズルを組み上げるように、最適な順番に整列し、イントロやアウトロ、曲間のインタールードやスキットをあつらえ、ひとつの作品集として固有名を付す。
 これらの作業に、果たして終わりはあるのだろうか。もちろん、終わりはある。どこかで終わりがあったからこそ、作品としてリリースされている。それを僕たちが、聴いているのだから。そしてディラのビート制作について良く知られている特徴は、どのビートも10分やそこらで、組み上げてしまうということだ。それらを考え合わせれば、ことディラにとっては、自身の作品に「完成」というステータスを付与するのは、決して難しいことでなかったように思われる。
 しかし本当にそうだろうか。『Ruff Draft』は、三度、微妙に異なる固有名を与えられた。最初にオリジナル版の『Ruff Draft EP』がディラの自主レーベルである〈Mummy Records〉からリリースされたのは2003年のことだった。それから4年後、彼が亡くなった翌年の2007年に〈Stones Throw〉からリリースされたのが、オリジナルのEPにボーナス・トラックを追加した『Ruff Draft』。
 さらにそこから11年の歳月を経て、今回取り上げる『Ruff Draft (Dilla's Mix)』がリリースされた。そしてここには、2003年のオリジナル版に忠実なミックスと、ディラによる「あり得たかもしれない」オルタネイト・ヴァージョンが収録されている。
 このことは一体何を意味しているのか。

 ひとつのアルバムが「完成」を見るためには、当然収録される個々の楽曲が「完成」に至るだけでなく、それらのシークエンス、つまり収録の順番やそれぞれの楽曲のレングスがフィックスされなければならない。それでは『Ruff Draft』のふたつのヴァージョンにおいては、今回新たに追加収録された「Dilla's Mix」というあり得たヴァージョンの方が理想の形だったのだろうか。だが事実として「Original Mix」は、ディラの生前、当然の本人の納得の末にリリースされたのだ。だから少なくとも当時はこれがディラの理想の形だったはずだ。

 そのことを踏まえ、「Dilla's Mix」の中身を見てみよう。「Original Mix」において、冒頭のステートメントは非常に重要な役割を担っていた。ビートメイカーが自身の作品中にアカペラでステートメントを発信するというのは、DJプレミアのような例外を除けば、基本的には稀な態度と言えるだろう。ディラの肉声。彼の主張はこうだ。『Ruff Draft』という音源は、「ホンモノの生の」「カセットテープから直接の」サウンドである。
 一方「Dilla's Mix」の新しいイントロ“Interlude”では、BPMを抑えレイドバックした叙情的なビートをバックに、ディラは口火を切る。「長い間待たせたけど、俺は戻ってきたぜ」「偽物が蔓延ってるけど、俺らが取り戻すぜ。ベースメントに」「生のシット」「とてもダーティな」ビートを。
 そうだ。当時のディラを突き動かしていた情念は一体なんだったか。『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』にも詳細が綴られている通り、当時のディラはメジャー・レーベル/シーンでの活動に嫌気がさし、それまでとは違った方法で、好き勝手に自分の音楽を制作し発信したいという強いモチベーションに突き動かされていた。そのアウトプットのひとつは自主レーベルからのリリースという方法であり、そしてもうひとつはこのEPの持つラフで自由な雰囲気なのだ。 
 そのことを最も体現しているのが、イントロ開けのオープナー“Wild”だろう。これは元々2003年にリリースされたEPには収録されておらず、2007年の再発盤に追加収録された楽曲だった。タイトル通り、当時それまでのディラの代名詞だったどちらかと言えばジャジーでスムースという印象をぶち壊すような、奇抜なリズム感覚が支配する一曲だ。コメディアンでもあるニール・イネスによる得意のコミック・ソングからのサンプリング・ネタには、彼の幼い息子によるシャウトや、遊びで叩いているようなリズムの合っていないドラムの乱打に溢れている。子供が音楽に接する態度を抽出したような、文字通り初期衝動的なワイルドさをそのまま形にしたような一曲なのだ。
 その意味でディラによる「あり得たかもしれない」ヴァージョンで“Wild”が冒頭に置かれているのは象徴的だ。ディラはいつでも子供のように、自由にビートメイクをしたがっていた。彼は次から次へとスタイルを更新しながらも、自分が見よう見まねで始めたビートメイキングの初期衝動に、常に従っていたいと思っていたのかもしれない。

 冒頭で示したふたつの「ラフさ」のうちの後者、サウンド面のラフさはそこかしこに散見される。「Original Mix」と同様、“Nothing Like This”のスナッピーが外されたタムのような叩きつけられるスネア・サウンドやディラのディストーションがかった歌声、“The $”の歪みながら疾走するブレイクビーツ、“Make'em NV”のネタはメロウながら耳をつんざく M.O.P によるフックはここでも健在だ。
 しかし実は最も注目したいのは、この「Dilla's Mix」の両極、つまり冒頭の“Interlude”と最後を〆る“Rock On”の二曲だ。前者は先ほども言及した通り、「Original Mix」ではアカペラだったディラのステートメントの別ヴァージョンだが、背後を支えるビートは極めてレイドバックした、しかしこれから放出されるラフネスを奥に秘めたような情感的なものなのだ。
 そしてラストの“Rock On”は地元のクルーやATCQ、コモンやピート・ロックにシャウトを送るアウトロだが、これも「Original Mix」のヴァージョンと比較すると、ラフなブレイクビーツを中心に据えながらも、遥かに余韻を残すようなベースラインとシンセサウンドによるウワネタが印象的だ。
 これらに挟まれた「あり得たかもしれない」ヴァージョンとは一体どういうことなのか。
 “Interlude” “Rock On”の二曲に挟まれた構造から分かるのは、「Dilla's Mix」とは、「Original Mix」と比較すると、ビートが想起させる空間性、あるいは余白といったものに貫かれていることだ。と言うと、単なる印象論に聞こえるだろうか。これは「あり得たかもしれない」という前提がもたらす、言い換えれば「想像力」がもたらす幻想にすぎないのだろうか。

 ここで先ほどの問い――『Ruff Draft』が二度も生まれ変わっていることは何を意味しているのか――に立ち返ろう。結局のところ、この疑問の答えは『Ruff Draft』を『Donuts』と対にして考えると、見えてくるものかもしれない。元々原型はミックステープだった『Donuts』はしかし、全篇を貫くサイレン音などのサウンドや綿密な曲同士のつなぎを含む編集作業により、確固たる「完成」したアルバムとして屹立している。個別の曲を異なるポジションにリレイアウトすることは不可能だし、それぞれを単体で抜き出して聞くだけでも、どこか違和感が残る。それほどにアルバムでのリスニングに特化した、いわば31曲で42分の長さの一曲ともいうべき作品なのだ。それが見せてくれるのは、めくるめく一代絵巻であり、生と死を巡るジャーニーだった。
 一方で『Ruff Draft』は、ラフで未完成なスケッチの集積だ。それぞれの楽曲は配置転換が可能で、その並び方に、リスナーは新しい景色を見てとることができる。未完成がゆえに自由に開かれ、そしてその自由には際限がない。
 それだけではない。僕たちの眼前には『The King Of Beats』や『Jay Dee's Ma Dukes Collection』などに収録された大量のビートの海が広がっている。僕たちもまた、「あり得たかもしれない」ディラのアルバムに想像力を馳せ、その音世界を遊泳する自由を、手にしているのだ。

SPIRAL DELUXE - ele-king

 先日、アルバム『Voodoo Magic』をリリースしたばかりのSPIRAL DELUXE(スパイラル・デラックス)のライヴがあります。11月6日(火)東京六本木Super Deluxe。チケットは100枚限定で本日(10/12)より発売。

 デトロイト、パリ、東京を拠点にするSPIRAL DELUXEのメンバー4人──ジェフ・ミルズ(Drum machine, Dr, Percussions)、日野”JINO”賢二(B)、大野由美子(バッファロー・ドーター/Moog Sync)、ジェラルド・ミッチェル(Key)──が一堂に会するこの貴重な機会に、100名限定でチケットの一般発売を行う。チケットは、RA:Resident Advisorのサイト限定で本日(10/12)より販売を開始。(https://jp.residentadvisor.net/events/1170578

Yves Tumor - ele-king

野田:取材を申し込んだんだけど、レーベルからインタヴューはやらないって言われてしまって。仕方がないから、日本盤のライナーを書いている木津君と話すことにしたよ。

木津:今回はまったく取材受けつけていないらしいですね。にもかかわらず、〈Warp〉からのデビュー作となった『セーフ・イン・ザ・ハンズ・オブ・ラヴ』はものすごく評価されています。ピッチフォークで現時点の今年最高得点がついているほか、タイニー・ミックス・テープスからガーディアンまで、多くのメディアが絶賛状態。期待が集まっていたとはいえ、ここまでになるとは思っていませんでした。
 念のためイヴ・トゥモアについてあらためて解説を入れておくと、テネシー州出身、マイアミやLAへと移り、現在はイタリア拠点のマルチ奏者ショーン・ボウイのプロジェクトのひとつ。2015年セルフ・リリースのミックステープで一部話題となり、2016年〈PAN〉からリリースされた『サーペント・ミュージック』が評価されます。ele-king vol.20の「ブラック・エレクトロニカ」の項で三田さんがチーノ・アモービ、ボンザイ、ロティック、クラインらとともに紹介していますね。IDM Definitiveの2016年大枠だったり。ショーン・ボウイはいろいろな名義で知られていて、なかでもティームズはそこそこ有名。2012年の『Dxys Xff』は橋元さんがレヴューしていることからもわかるように、チルウェイヴ寄りのサウンドでした。他にもいろいろな名義でいろいろなことをやっていますが、メインのイヴ・トゥモアとしてもミッキー・ブランコ主宰のコンピや〈PAN〉のアンビエントのコンピへの参加、坂本龍一のリミックスに参加など、多岐に渡る活動をしています。
 『セーフ・イン・ザ・ハンズ・オブ・ラヴ』は、海外のレヴューを見るとポップとアヴァンギャルドの境界が完全に融解しているという点で評価されています。アヴァン・ポップの最新形というか、いろいろなジャンルを取りこんでいながら、その発想の自由さに際限がない。実際、新作ではさらに折衷性や展開の意外性を上げながら、ポップに近づくということをやってのけている。

野田:イヴ・トゥモアは際立ってはいるけれど、突然変異というわけではなく、これぞ“当世風”というか、いまの潮流のとして捉えることができるよね。今年出たロティックもそうだし、ガイカもそうだし、クラインもそうだし、エレクトロニック・ミュージック時代における実験とグラム的展開というか。敢えて言えばイヴ・トゥモアはロックですよ。インダストリアル・エレクトロっていうか、今回のアルバムで最初にシングル曲として配信された“Noid”なんかイントロはソフト・セルに近いし、歌はデヴィッド・ボウイ。〈PAN〉から出た前作をあらためて聴いても、ロティックほど破壊的なことをやっているわけじゃなく、“The Feeling When You Walk Away”みたいな歌モノが彼らしさであって、これはオウテカではなく、ジェイムス・ブレイクの側に近い音楽だと思うんだよね。あと、ジャム・シティの影響をすごく感じるんだけど。2015年の『Dream Garden』。

木津:とくに今回のアルバム『セーフ・イン・ザ・ハンズ・オブ・ラヴ』はそうですよね。生ドラムがブレイクビーツを叩いていたりしてバンド感が強く、明確にポップ・ソングを志向したんだと思います。彼、ショーン・ボウイはスロッビング・グリッスルに衝撃を受けて音楽をはじめたらしいのですが、それ以前は世代的な意味でも地理的な意味でもアメリカのオルタナティヴ・ロックを聴いていたらしいんですね。それこそクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジだとか。〈PAN〉からの『サーペント・ミュージック』ではもう少しソウルとか、ブラック・ミュージックの要素が強かったでしょう。それが今回ロックに接近しているのは、もっと体験として遡る必要があったというか……いまジャム・シティと聞いてなるほどと思いましたが、ぼくはやっぱりアルカ以降をすごく感じます。アルカはヴォーカル・トラックでなくてもエモーショナルでしたが、『アルカ』で歌を志向したときにヴェネズエラのフォークに向かった。それと似たようなことが今回のアルバムでは起こっているのかなと。ただ、ロック・サウンド的なものが彼の本質に近いのかはまだわからない感じもあって。別名義のミックステープなんかも含めると、膨大なリリースがあって、音楽性としてはけっこうバラバラですよね。ぼくはイヴ・トゥモアは『サーペント・ミュージック』で知りましたが、ティームズと同一人物だとまったく思わなかった。

野田:8ビートが多いんだよね。あとロック的な雑食性であったり、自己表現というか、やっぱこう、『サーペント・ミュージック』のジャケットのように、自分をさらしているよね。そこはフェイスレスを志向するテクノやIDMとは決定的に違っているわけで。“Honesty”という曲なんかはスタイルで言えばR&Bだし、引き出しはたくさんあるひとだと思うんだよね。決してコア・ファン向けという音楽ではないし、コンセプトは『アルカ』を彷彿させるけど、サウンド的にはもっと聴きやすいじゃない?

木津:そうですね。その、引き出しの多さ=多ジャンルにアクセスできる雑食性のなかで、共通しているのはエモーショナルであることだと思うんです。激情的だと感じる瞬間すらある。で、それがある種の聴きやすさにも繋がっている。まさにジャム・シティ流のインダストリアルR&B“Economy of Freedom”にしても、ブレイクビーツ・ノイズの“Licking An Orchid”にしても、ノイジーなファンク風ヒップホップ“All The Love We Have Now”にしても、とてもエモーショナル。「わたしたちがいま持っている愛のすべて」ですからね(笑)。そういう意味ではティームズもチルウェイヴのチルを食い破る激しさがあったし、昨年出たアンビエント寄りのミックステープ『Experiencing the Deposit of Faith』もアンビエントを破壊しかねない展開があった。それが彼らしさで、それが素直に出た結果が今回の歌ものという感じがします。ところで野田さんが言っているグラムっていうのは、サウンドのことですか? あるいは装飾性のことなのでしょうか。

野田:まず見た目がグラムじゃない。ナルシスティックで、アンドロジニアスな出で立ちでしょ。ロティックもガイカもクラインもそうじゃん。アルカもね。で、そういうアーティストが増えてきたよね。

木津:いまで言うクィアですね。クィアというのも定義が難しいですが、ここではざっくりとジェンダー規範を逸することだとしておきましょうか。他にもソフィー、サーペントウィズフィートと挙げればキリがないくらいですが、じつはIDMってクィア性とこれまであまり結びついてこなかったと思うんです。それがいま増えているのは、ジェンダー・ポリティクスが先鋭化している時流にあって、クィアがエクスペリメンタリズムと関わるようになったというのがぼくの見解です。サーペントウィズフィートが言ってましたが、拡張性ですよね。イヴ・トゥモアはミッキー・ブランコらのクィア・ラップ・シーンから頭角を現したということもあって、ヴィジュアルの打ち出し方なんかにはっきりと表れていますよね。前作のアートワークもそうだし、新作からの“Licking An Orchid”のヴィデオなんかも完全にそう。野田さんはIDMのクィア化についてどう捉えていますか?

野田:ポジティヴに捉えているよ。80年代ならルー・リードが“ワイドルサイドを歩け”で歌ったように、都会に出なければ居場所がなかったろうけど、いまはベッドルームで自己表現できる、たったひとりでもね。ダンスフロア向けである必要もないし、IDM的な方向に行くのは理解できる。あと、ビョークの影響の大きさを感じるね。エモいところなんかとくに。当たり前の話だけど、クィアであるから良い音楽を作れるわけじゃないし、ぼくが現代のグラムっぽい流れでイメージしているのは、クラインやアースイーター、あるいは『ブラッド・ビッチ』を出したノルウェーのジェニー・ハヴァルのような人たちも含めてなんだよ。グラムってそもそも男の子の文化だけど、それがアントニー以降は、ジェンダーを越えて新たに拡張していると言えるのかもね。とはいえ、クィアかどうかというよりも、まずはより普遍的な感情表現としてのエレクトロニック・ミュージック。そしてイヴ・トゥモア。トゥモア=腫瘍。すごい名前だ(笑)。OPNのようにコンセプトで聴かせるタイプじゃないと思うし、IDM系のようにひたすら音を追求するタイプでもないし、チルウェイヴ~ヒプノゴナジック的流れにある現実逃避ポップでもないという、しかしじつはそういう要素もすべて兼ね備えてもいるでしょ。アルバムのなかの1曲に〈NON〉っぽい曲があるじゃない? ”Hope In Suffering (Escaping Oblivion & Overcoming Powerlessness)“という曲だけど、すごいタイトルだよね。「苦しみにおける希望(忘却を逃れてと無力を克服する)」ですよ。今作にもチルウェイヴ~ヒプノゴナジック的なテクスチャーは残っているんだけど、そうした逃避主義をちらつかせながら否定するという。『サーペント・ミュージック』もそうだけど、ドラマティックな展開がこのひとの持ち味で、そこもグラムっぽいんだけど、しかしこれはもう内面のドラマだよね? その内面のドラマの切実さがこのアルバムの魅力なんじゃないでしょうか?

木津:ええ、だから、ノイジーで実験的ですが、それ以上に生々しくてセクシーな音楽ですよね。それも現代的な意味で。『サーペント・ミュージック』=「蛇音楽」と自ら言い当てていますが、雑食的にウネウネと姿を変えるなかで、内面を解放しようという……。このアルバムからぼくは、あらかじめ決められた枠組に対する抵抗をすごく感じます。「こういう感情を表現するにはこのジャンル、このサウンド」といったステレオタイプに対する拒絶。それは奇を衒っているのではなくて、できるだけ感情を純粋な状態でさらけ出そうとしているからこそなんでしょうね。

野田:ぼくはあんまノイジーで実験的な印象はなかったな。シングル曲“Licking An Orchid”なんかメロディがキャッチーだし。個人的にはその“Licking An Orchid”とさっき言った“Noid”が良かった。木津君は?

木津:いや“Hope In Suffering”の後半なんて、90年代のノイズ・ロック みたいじゃないですか。でもポップ・サイドがこのアルバムの魅力であることはたしかで、叙情的な“Lifetime”がぼくはフェイヴァリットです。

野田:“Lifetime”もいいね。そういえば、木津君から薦められて『IT』と『ストレンジャー・シングス』を観たけど、ああいうマッチョになれない疎外された子どもたち、父親に抑圧された女の子、そして80年代的なにおいみたいなものはいま人気があるよね。『IT』ではキュアもかかるしさ。ああいった映画に表現されている時代のゴシックな風ともリンクしているようにも思うんだけど、どうだろう?

木津:ゴスかー、それは言われるまで気づかなかったですが、たしかにアートワークなんかはそうですね。おどろおどろしい感じや不安な感じをスタイリッシュに表現している。

野田:ゴスっぽさって、アンディ・ストットや〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉が脚光を浴びてから5年以上経っているんだけど、いっときのトレンドとして終わるかと思っていたら、これがなかなか終わらないし、続いているでしょ。流行じゃなく、態度表明みたいになっているよね。

木津:ちなみに『サスペリア』もリメイクされるし、21世紀のエクソシストと言われる『ヘレディタリー』も高評価だし、ホラー映画のニューウェーヴがいま起こっているんですよ。こじつければ、そういうムードともシンクロしているかも……。ただ、マッチョになれない子どもたちというのは本当にそうで、最初におっしゃってたオウテカではなくジェイムス・ブレイクというのもまさにそこですね。

野田:ジェイムス・ブレイクやフランク・オーシャンが好きなひとにこそ聴いて欲しいと思ったんだよね。

木津:ブルーな男の子たちの音楽ですね。歌詞では生きることの不安や愛を切望することを繰り返していて、周りから鬱だと見なされることの葛藤も綴られている。これもいまっぽい。

野田:“Noid”の歌詞なんかは、自分の「PTSD、鬱病」のことを告白しているから、ポップな曲だけどテーマは決して軽くはないよね。ディプレッションというのは現代の音楽において重要なテーマだよ。マーク・フィッシャーだってそこに向き合ったひとだし。ジョイ・ディヴィジョンはいまやヴェルヴェッツ以上に再発見されているバンドになったわけだし……しかし歌詞を読むと、アントニーの『I Am A Bird Now』にも似た、正直な自分の気持ちを露わにすることの凄みのようなものを感じる。

木津:シンプルな言葉で本質的な内容に迫るところは似ていますね。 アルバムでもっともメランコリックな部類の“Recognizing The Enemy”では呪詛にも近い自己嫌悪が唱えられ、続く“All The Love We Have Now”では愛への感謝が告げられます。「わたしは救われた」と。このダイナミズムというか、極端な振れ幅も凄いですよね。どちらも自分の率直な感情なんだという。アメリカ的男らしさの美学では感情をコントロールすることが良しとされますが、これはいわば、古き男らしさとは間逆の音楽。

野田:ルーザーの音楽を積極的に評価しようっていう姿勢は、英米では根強くあるからね。それと、インターネットは現代のパノプティコンだっていう喩えがあるけど、日本ではメンヘラっていう言葉があるように、たとえば“Noid”の歌詞なんかは小馬鹿にしそうな、そういうウツ的なものを蔑む悪意というかシニシズムがあるじゃない? だからこそピッチフォークもこの曲を評価したと思うんだけどね。まあ、抑圧されているのは自分の感情だけじゃなく、消費活動も「フィルタリング」されていて、それこそ性的衝動さえもヘタしたら吸い取られてしまっているかもしれない。あと、愛というものよりも、ほんとうにお金のほうが勝っているかもしれない、とか。そうした時代の暗闇を考えても、このアルバムが評価されるのはわかるな。誰もが木津君のような楽天家になれるわけじゃないんだよ。

木津:ええ、それは気をつけているつもりです(笑)。ただ、ぼくが楽天家を気取っていられるのはどこかに鈍感さがあると思うんです。見たくないものを無意識に見ようとしない、とか……。イヴ・トゥモアの音楽は、それで言うとすべてを見ているというか、自分の内面の暗部から目を逸らさない。そしてドラマティックに表現する。それが奇形的なものになるというのが現代的だけれど、じつはとてもピュアな表現だと思います。その正直さに感動してしまうんですよね。

野田:取材を受けないのも、この音楽にエクスキューズをしたくないんからだろうね。蛇足になるけど、アルバムに参加しているクロアチアン・アモルはデンマークのアーティストで、東京の〈Big Love〉からも作品を出しているね。で、〈PAN〉からもうすぐアルバムを出すPuce Maryっていうデンマークの女性アーティストがいて、『The Drought』っていうそのアルバムも内的葛藤をエレクトロニック・ミュージックで表現しているんだよね。いまや音楽をいかに再利用するのかっていう時代だから、こうした、IDM的アプローチを応用した内省的なアヴァン・ポップはこれからも出てくるだろうね。

Thomas Fehlmann × The Field × Burnt Friedman - ele-king

 これはすごい。UNITを拠点に展開してきた《UBIK》が新たなイベントを始動します。名付けて《LIVE IN CONCERT》。記念すべき第1回は、驚くなかれ、トーマス・フェルマン、ザ・フィールド、バーント・フリードマンの共演です。エレクトロニック・ミュージックの巨星たちが一堂に会するこの夜、見逃す理由がありません。11月2日の金曜は代官山 UNIT で決まりですね。

ubik presents
LIVE IN CONCERT
featuring
THOMAS FEHLMANN (KOMPAKT)
THE FIELD (KOMPAKT)
BURNT FRIEDMAN (NONPLACE / RISQUE)
produced by UNIT / root & branch

都内屈指のライヴ・ヴェニューである代官山UNITを拠点とするエレクトロニック・ミュージック・イベント《UBIK》が提起する新たなライヴ・イベントがスタート、その名もずばり《LIVE IN CONCERT》。記念すべき第一回目の出演者は、伝説のニューウェイヴ・バンド Palais Schaumburg からキャリアをスタート、盟友 Moritz von Oswald とデトロイト~ベルリンの架け橋としてベルリン・テクノ・シーンの礎を築き、The Orb の頭脳として数々のマスターピースを生み出したマエストロ Thomas Fehlmann が8年振りとなるソロ・ライヴで日本へ帰還。シューゲイズ・テクノと称されメロディアスでオーガニックなサウンドはロック・ファンからも熱烈に支持され、EUダンス・ミュージック・シーンの屋台骨を支える〈KOMPAKT〉を代表するアーティスト The Field は、Live A/V Set で参戦。Thomas Fehlmann は『Los Lagos』、The Field は『Infinite Moment』と共にニュー・アルバムを引っ提げての来日です。更に、Atom™ との Flanger、CAN の伝説的ドラマー Jaki Liebezeit との Secret Rhythms など様々なアーティストとのコラボレーションで常に斬新かつ独特なサウンドでエレクトリック・ミュージックをアップデイトする鬼才 Burtn Friedman が、昨年の来日でも大好評だった 7ch サラウンド・ライヴを披露します。以上3アーティストが出演する《LIVE IN CONCERT》は、数多のエレクトロニック・ミュージック・イベントに一石を投じる正に試金石となることでしょう、お楽しみ下さい!

11.2 fri 東京 代官山 UNIT
Open 18:30 Start 19:30
¥4,000 (Advance) 別途1ドリンク制
Information: 03-5459-8631 (UNIT) www.unit-tokyo.com
Ticket Outlets (Now on Sale): PIA (131-608), LAWSON (74473), e+ (eplus.jp), diskunion CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿, 下北沢), diskunion 吉祥寺, TECHNIQUE, JET SET TOKYO, clubberia, RA Japan and UNIT

【関連公演】
11.4 sun 大阪 心斎橋 CONPASS
Live: THOMAS FEHLMANN (KOMPAKT), THE FIELD (KOMPAKT)
*BURNT FRIEDMAN (NONPLACE, RISQUE) の出演はございません。
DJ: Dr.masher (Mashpotato Records)
Open / Start 18:00
¥3,500 (Advance) 別途1ドリンク制
Information: 06-6243-1666 (CONPASS) www.conpass.jp
Ticket Outlets (Now on Sale): PIA, LAWSON, e+ (eplus.jp)
メール予約: mailticket@conpass.jp に件名11/4予約にてフルネーム・枚数を送信

THOMAS FEHLMANN (KOMPAKT)
スイス生まれ。1979年にドイツのハンブルグで Holger Hiller や Moritz von Oswald と共に伝説のニューウェイヴ・バンド Palais Schaumburg を結成。バンド解散後、ソロ活動を開始。盟友 Moritz von Oswald とのプロジェクト 2MB、3MB でデトロイト・テクノのオリジネーター Blake Baxter や Eddie Fowlkes や Juan Atkins と邂逅、デトロイト~ベルリンの架け橋としてベルリン・テクノ・シーンの礎を築いた。その後、The Orb の長年のコラボレーション・メンバーとして積極的にリリースに関わる。ソロ作品は伝説のテクノ・レーベル〈R&S〉などからリリースを重ね、2002年に〈KOMPAKT〉から『Visions Of Blah』、2004年に〈Plug Research〉から 『Lowflow』、2007年に〈KOMPAKT〉に帰還して『Honigpumpe』、ベルリンのドキュメンタリーTV番組『24h Berlin』のサウンド・トラックを担当、そこに書き下ろされた作品を中心に編纂された『Gute Luft』を2010年にリリースした。2018年4月にデトロイト・テクノの雄 Terrence Dixon とのコラボ・アルバム『We Take It From Here』を名門〈Tresor〉からアナログのみでリリース。そして、満を持して8年ぶりとなるソロ・アルバム『Los Lagos』を本年9月にリリースした。彼の真骨頂と言える重厚でダビーなテクノ作品“Löwenzahnzimmer”からヒプノティックなトリッキー・テクノ“Window”、マックス・ローダーバウアーをフィーチャーした90年代テクノを彷彿とさせるユニークな“Tempelhof”などデビューから30年以上を経ても彼のテクノ・ミュージックへの探求心が冴えまくる、全テクノ・ファン注目のニュー・アルバムとなっている。アーティスト活動のみならず、Thomas Fehlmann がドイツのクラブ・シーンに貢献した功績は非常に大きい。

THE FIELD (KOMPAKT)
〈KOMPAKT〉を代表するアーティスト、The Field。2007年にリリースされたファースト・アルバム『From Here We Go Sublime』が Pitchfork で9.0の高評価を獲得、同年のベスト・テクノ・アルバムとして世界中で高い評価を獲得した。そのサウンドは〈KOMPAKT〉らしいミニマルなビートにメロディアスでオーガニックなシンセ・サウンド、細かくフリップされたボイス・サンプルを多用しテクノ・シーンでも異彩を放つ彼独特のサウンドで世界中の音楽ファンを魅了している。2009年にセカンド・アルバム『Yesterday & Today』をリリース、バトルスのドラマー、ジョン・スタニアーが参加、前作以上に生楽器を取り入れオーガニックでメロディアスなサウンドを展開、より幅が広がった進化した内容となっている。2011年10月にサード・アルバム『Looping State Of Mind』を発表、翌2012年にはフジロックへ初参戦し深夜のレッドマーキーで壮大なライヴを披露しオーディエンスを熱狂させた。2013年、デビュー・アルバム以降7年間続いたバンド・スタイルでのライヴ活動に終止符を打ち、ベルリンの自宅スタジオでファースト・アルバム以来の初となるソロ・プロジェクトとなる4作目のアルバム『Cupid 's Head』を完成させ話題を集め、Pitchfork では BEST NEW MUSIC に選出された。その後も Battles, Junior Boys, Tame Impala 等のリミックスを手掛け、インディ・ロック・シーンでも注目を集める。2016年4月に5作目となる最新作『The Follower』をリリース。そして、本年9月通算6作目のフル・アルバム『Infinite Moment』をリリースしたばかりである。本作品はユーフォリックな多幸感に満ち溢れ、リスナーのイマジネーションを掻き立てるこれまでで最も幻想的な印象の作品に仕上がっている。

BURNT FRIEDMAN (NONPLACE / RISQUE)
ドイツを拠点に約40年に渡るキャリアを誇る Burnt Friedman。カッセルの美術大学で自由芸術を専門に学び、卒業後80年代後半には音楽の道へ傾倒。常に斬新かつ独特なサウンドでエレクトリック・ミュージックをアップデイトしてきた鬼才である。これまで自身名義の作品の他、Atom™ との Flanger、Steve Jansen、David Sylvian との Nine Horses、そして昨年残念ながら急逝した CAN の伝説的ドラマー、Jaki Liebezeit とのSecret Rhythms など様々なアーティストとのコラボレーションも行なってきている。特に2000年に始まり Jaki が亡くなるまで続いた Secret Rhythms でのコラボレーションは、西洋音楽の伝統的なフォーマットや音楽的イディオムから離れ、様々な国の古くからのダンス音楽や儀式音楽に学び新たなフォームを開拓してきた。その試みは今回 Festival de Frue で初来日となるイランの伝統打楽器トンバク/ダフの奏者、Mohammad Reza Mortazavi とのユニット、YEK などに継承され、現在に続く Burnt の音楽的探求の礎となっている。2016年には2000年より続く自身のレーベル〈Nonplace〉とは別に新レーベル〈Risque〉を立ち上げヒプノティックなダブ・トラックを収録したEP「Masque/Peluche」を発表。昨年は1993年から2011年までのレア音源をコンパイルし、その活動初期からの独自性をあらためて提示した『The Pastle』をフランスの〈Latency Recodings〉より、また David Solomun と Antony West の著作からインスピレーションを得たという6曲入りEP「Dead Saints Chronicles」がカナダの〈MARIONETTE〉からリリースと、その創作意欲は止まる事を知らない。


Yves Tumor - ele-king

 2018年も10月になった。あと3か月弱で今年も終わってしまうわけだが、あるディケイドにとって「8年め」というのは重要な年といえる。その年代の爛熟期であり、次のディケイドの胎動を感じる年だからだ。68年にリリースされたアルバム、78年にリリースされたアルバム、88年にリリースされたアルバム、98年にリリースされたアルバム、08年にリリースされたアルバムを思い出してほしい。例えばビートルズの『The Beatles』も、イエロー・マジック・オーケストラの『Yellow Magic Orchestra』も、プリンスの『Lovesexy』も、マッシヴ・アタックの『Mezzanine』も、レディオヘッドの『In Rainbows』も「8年目の作品」なのだ。これらのアルバムもその年代の爛熟の結実であり、総括であり、次の時代への鼓動でもあった。
 では2018年はどうか。今年も傑作・重要作は多い。なかでもイヴ・トゥモアの『Safe In The Hands Of Love』には、「時代の総括/次への胎動」をとても強く感じた。孤高の存在であり、しかし時代のモードに触れているという意味ではワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『Age Of』と並べて語るべきアルバムかもしれない。ここに「次の音楽/時代」の胎動がある。

 結論を急ぐ前に、まずはイヴ・トゥモアについて基礎情報を確認しておこう。イヴ・トゥモアは、ティームズ『Dxys Xff』(2011)、Bekelé Berhanu『Untitled』(2015)など、いくつもの名義で作品をリリースしていたショーン・ボウイによるプロジェクトである。
 イヴ・トゥモア名義では、まずは2015年に『When Man Fails You』のカセット版を〈Apothecary Compositions〉から発表した(データ版はセルフ・リリース)。
 翌2016年になると、ベルリンのエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈PAN〉からアルバム『Serpent Music』を送り出し先端的音楽マニアを驚かせた。これまで〈PAN〉ではあまり見られなかったエレガントなアートワークも強烈な印象を残したが、何よりグリッチR&Bインダストリアル音響とでもいうべき端正さと混沌が一体化したようなサウンドが圧倒的だった。天国で鳴っているような甘美なサンプルのループとポリリズミックなリズムとジャンクかつ不穏なコラージュを同時に展開し、先端的音楽の現在地点を示した。じっさい、『Serpent Music』はメディアでも高く評価され、多くの年間ベストにもノミネートもされた。
 その高評価は、2017年、老舗〈Warp〉への移籍に結実する。移籍を記念して(?)、フリー・ダウンロードで『Experiencing The Deposit Of Faith』が配信されたこともリスナーを驚かせた。夢のなかの幻想に堕ちていくようなムードが充満した素晴らしいアルバムで、普通に販売しても遜色のない作品であった。また、〈PAN〉からリリースされたアンビエント・コンピレーション『Mono No Aware』への参加も重要なトピックといえよう。

 2018年は、彼にとって実りの年だ。坂本龍一の『async - Remodels』へのリミックス提供、坂本龍一+デイヴィッド・トゥープなどとともにロンドンで開催された「MODE 2018」への参加などを経て、ついに〈Warp〉からの新作『Safe In The Hands Of Love』がリリースされたのだ。各サブスクリプションでのサプライズ・リリースという話題性も十分だったが、何より2018年という「10年代の爛熟期」に相応しいアルバムに仕上がっていた点が重要である。リリース後、即座に『ピッチフォーク』のレヴューに取り上げられ、高得点を獲得したほどだ。

 では『Safe In The Hands Of Love』は何が新しいのか。私は三つのポイントがあると考える。
 ①トリップホップ、アブストラクト・ヒップホップ、インディ・ロックなどの90年代的なるものの導入。
 ②コペンハーゲンの新世代モダン・ノイズ勢などのゲスト参加。
 ③10年代の「先端的な音楽」の変化への対応。
 まず、①について。先行リリースされた“Noid”や、インディ・ロック的な“Lifetime”などに象徴的だが、ストリングスのサンプリングに、ブレイクビーツ風のビート、90年代インディ・ロック的なヴォーカルの導入など、私は1998年にリリースされたアンクルのファースト・アルバム『Psyence Fiction』を不意に思い出した。『Psyence Fiction』は、DJシャドウなどのアブストラクト・ヒップホップで一世を風靡した〈Mo' Wax〉の首領ジェームス・ラヴェルによるファースト・アルバムである。DJシャドウが共同プロデュースを務め、リチャード・アシュクロフト、マイク・D、トム・ヨークなどオルタナ界のスターたちが参加するなどミッド・ナインティーズの総括とでもいうべき作品だ。

https://www.youtube.com/watch?v=76Op7MtBRSA

 アブストラクト・ヒップホップからインディ・ロックまでを交錯させ、一種のオルタナティヴ音楽の一大絵巻を制作したという意味で『Safe In The Hands Of Love』は、どこか『Psyence Fiction』に通じている。じじつ、トランペットが印象的なイントロダクション・トラック“Faith In Nothing Except In Salvation”からして90年代の〈Mo' Wax〉のようだし、“Honesty”のダークなムードのビート・トラックは、90年代のトリップホップを思い出させるものがあった。

 ここで②について解説に移ろう。本作のゲスト・アーティストについてだ。まず2曲め“Economy Of Freedom”ではコペンハーゲンのクロアチアン・アモルが参加している。彼は〈Posh Isolation〉の主宰ローク・ラーベクであり、Hvide Sejl、Semi Detached Spankers 名義、Body Sculptures、Damien Dubrovnik への参加など〈Posh Isolation〉からリリースされる多くの音源で知られるモダン・エクスペリメンタル・ノイズ・シーンの重要人物である(ローク・ラーベク名義で〈Editions Mego〉からアルバムをリリースしてもいる)。
 さらに、7曲め“Hope In Suffering (Escaping Oblivion & Overcoming Powerlessness)”には、ピュース・マリー(Frederikke Hoffmeier)が参加している点も重要だ。彼女もコペンハーゲンのモダン・ノイズ・アーティストで、アルバムを〈Posh Isolation〉からリリースしている。なかでも2016年の『The Spiral』は優美な傷のようなノイズ・アルバムで、聴き手をノイズ美のなかに引きずり込むような強烈なアルバムだ。そしてピュース・マリーは本年〈PAN〉から新作『The Drought』をリリースしている。
 また、“Lifetime”には、ヴェイパーウェイヴ初期からの重要人物ジェームス・フェラーロがグランドピアノ演奏(!)で参加している点も見逃せない。フェラーロはOPNと同じくらいに10年代の電子音楽を象徴するアーティストだが、近年の沸騰するOPNの人気の影で、真に歴史的人物として再注目を浴びる必要があり、その意味でも極めてクリティカルな人選といえる(まあ、単にファンだったのかもしれないが)。
 ほかにもトリップホップ的な“Licking An Orchid”には〈Dial〉からのリリースで知られるジェイムスKが参加。『Serpent Music』にも参加していたOxhyは、ピュース・マリーやジェイムスKとともに“Hope In Suffering (Escaping Oblivion & Overcoming Powerlessness)”に客演している。
 とはいえ、やはり〈Warp〉からのリリース作品に、あの〈Posh Isolation〉のふたりのアーティストが参加している点に2010年代後半という時代のムードを感じてしまった。いま、「ノイズ」というものがエレクトロニック・ミュージックのなかで大きな役割を果てしているのだ。

 続いて③についてだが、ここまで書けば分かるように、現在の「先端的音楽」は、世界的潮流でもある「90年代」の再導入と、〈Posh Isolation〉ら新世代のノイズ・アーティストによるノイズの導入というネクスト・フェーズを迎えている。「90年代」は、例えばオリヴァー・コーツの新作アルバムに見られるように、テクノ・リヴァイヴァル、IDMリヴァイヴァルへと結実しつつあるわけだが、本作の独創性は、参照する「90年代」がサンプリング、ブレイクビーツ、トリップホップ、90年代的インディ・ロックの大胆な援用である点だ。このアウトぎりぎりのインの感覚は鮮烈ですらある。たとえば、ラスト曲“Let The Lioness In You Flow Freely”などは「超有名曲」のサンプリングのループで終わることからも分かるように、「サンプリングの時代」であった「あの時代」のムードを濃厚に感じるのだ。
 むろん単なるレトロスペクティヴではない。そうではなく、90年代的な「あらゆるものが終わった」という「歴史の終わりの地平」を再生(サンプリング主義)し、そこに新世代の非歴史/時間的なノイズをレイヤーすることで、もう一度、「終わり=90年代」に介入し、「終わり」を蘇生することを試みているように思えてならない。「過去」をハッキングすること。歴史の「外部」から浸食してくるゾンビを蘇生すること。人間以降の世界を夢想すること。

 そう、『Safe In The Hands Of Love』は、ミニマル・ミュージックからノイズ、ヒップホップからインディ・ロックまで、ブレイクビーツからトリップホップなどなどさまざまな音楽を援用・導入しつつ繰り広げられる「死者=歴史の蘇生の儀式」である。自分には、このアルバムは「歴史の終わり」の荒野で繰り広げられるホラー映画のサウンドトラックのように聴こえた。その意味で本作にもアルカ以降、つまり10年代の先端的音楽の隠れ(?)テーゼ「ポストヒューマン的な21世紀の音像=無意識」が鳴り響いている。2018年というディケイドの爛熟期に鳴る音が、ここにある。

Baths / Geotic - ele-king

 ナイス・タイミングです。11月12日発売の『別冊ele-king』最新号では、今年設立10周年を迎え勢いに乗っているフライング・ロータス~〈ブレインフィーダー〉を特集しているのですが、LAビートについても大きくページを割いています。そのフライローとの共作経験もあるバス(Baths)ことウィル・ウィーセンフェルド、彼が2010年に〈アンチコン〉から放った夢見心地で清涼な『Cerulean』は、LAビートを代表する名盤のひとつです。バスの歩みに関しては下記にまとめてありますので、ぜひご一読を。

https://www.ele-king.net/columns/003914/

 さて、そのウィルは他方でジオティック(Geotic)名義でも活動していて、そちらでも『Sunset Mountain』などの良作を残しているのですが、そんな彼がこの10月、来日公演を開催します。しかも贅沢なことに、バスとジオティック双方の名義での公演です。
 バス名義のほうは、昨年リリースの最新作『Romaplasm』を引っさげたツアーで、東京(10/22@WWW)と大阪(10/25@Socore)を回ります。ジオティック名義のほうは、ダンスとアンビエントを織り交ぜたセットになるそうで、こちらは東京(10/23@CIRCUS Tokyo)のみの公演。現在、10/17発売の新作『Traversa』から収録曲“Gondolier”のMVが公開中ですので、合わせてチェックしておきましょう。

LAが誇る稀代のビートメイカー Baths、
東京・大阪での来日公演が2018年10月開催!!

ポップ・ミュージックの新たな可能性を拡張した最新作『Romaplasm』を携えた最新鋭の演奏セットを披露!

インディ・ロック~ヒップホップ・リスナーまで巻き込んだ、いまなお色褪せない大傑作ファースト・アルバム『Cerulean』。
大病を患いその果てで見事なまでのアーティストとしての成長を成し遂げ、その年多数のメディアから年間ベストに挙げられたセカンド・アルバム『Obsidian』。
「絶対に自分に対して不誠実であってはならない」という創作活動における信条のもと、ポップ・ミュージックの新たな可能性を拡張したサード・アルバム『Romaplasm』。

その創り出すビートがいま最も話題を呼ぶビートメイカー Baths。
誰しもが惹き付けられる躍動感溢れるライヴ・パフォーマンスは必見!!

https://www.youtube.com/watch?v=fcIdpIUClfA

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Tugboat Records presents Baths Live in JAPAN 2018

■2018/10/22 (月) 渋谷 WWW

【時間】OPEN 19:00 / START 19:30
【レーベル割価格】 ¥4,300 (ドリンク代別) *限定100枚 (9/13正午~)
https://goo.gl/forms/McdPioHT9vFL6BbB2
【前売り価格】 ¥4,800 (ドリンク代別)
【各プレイガイド】Pコード:130-011 / Lコード:70460 / e+ / WWW店頭 (9/17 10:00~)

https://www.tugboatrecords.jp/category/event

■2018/10/25 (木) 大阪 Socore Factory
【時間】OPEN 19:00 / START 19:30
【レーベル割価格】 ¥4,000 (ドリンク代別) *限定50枚 (9/13正午~)
https://goo.gl/forms/McdPioHT9vFL6BbB2
【前売り価格】 ¥4,500 (ドリンク代別)
【各プレイガイド】e+ のみ (9/17~)

主催/企画制作:Tugboat Records Inc.

●Baths プロフィール
LA在住、Will Wiesenfeld こと Baths。音楽キャリアのスタートは、両親にピアノ教室に入れてもらった4歳まで遡る。13歳の頃には、既にMIDIキーボードでレコーディングをするようになっていた。あるとき、Björk の音楽に出会い衝撃を受けた彼は直ぐにヴィオラ、コントラバスそしてギターを習得し、新たな独自性を開花させていった。ファースト・アルバム『Cerulean』はインディ・ロック~ヒップホップ・リスナーまで巻き込み多くの話題を呼んだ。 大病を患いその果てで見事なまでの成長を成し遂げ、その年多数のメディアから年間ベストに挙げられたセカンド・アルバム『Obsidian』。ポップ・ミュージックの新たな可能性を拡張したサード・アルバム『Romaplasm』。その創り出すビートがいま最も話題を呼ぶビートメイカー Baths による待望のジャパンツアーが2018年10月に開催!

●リリース情報

作品詳細:https://www.tugboatrecords.jp/6423
アーティスト:Baths (バス)
タイトル:Romaplasm (ロマプラズム)

tracklist
01. Yeoman
02. Extrasolar
03. Abscond
04. Human Bog
05. Adam Copies
06. Lev
07. I Form
08. Out
09. Superstructure
10. Wilt
11. Coitus
12. Broadback

・発売日:2017年11月15日
・価格:¥2,200+tax
・発売元:Tugboat Records Inc.
・品番:TUGR-043
・歌詞/解説/対訳付き

LA在住、Will Wiesenfeld が、Bathsとともに活動する別名義のプロジェクト=Geotic。

10/17日本先行リリースのセカンド・スタジオ・アルバム『Traversa』を引っ提げ、10/23 (火) CIRCUS Tokyo にて公演決定!!

Geotic 名義によるダンス・セットとアンビエント・セットを織り交ぜた初披露の貴重なライヴ・セット
(Baths公演でのセットとGeotic公演でのセットは異なります。)

セカンド・スタジオ・アルバム収録曲“Gondolier”のMVも公開!

怒りや裏切りといった感情を連想させた後、雰囲気が一変し、語り手と主人公が夜に人知れず駆け落ちするストーリーは圧巻。稀代のビートメイカー、Will Wiesenfeld にしか生み出せない創造性溢れるサウンドは必聴!

Gondolier
https://www.youtube.com/watch?v=XlzleWMYkEw

アルバムに寄せたアーティストのコメント
「良い旅を経験すると、自分の“脳”を望む通りの場所に辿り着かせることができる。このアルバム全体に共通するインスピレーションは、そのときに湧き上がった感覚から生まれたんだ。本当に最初から、音楽は僕にとって何よりも、(そんな旅のように)どこかへ導いてくれるほど魅力的なものだった。あらゆる形態のメディアにさらされるなかで、僕は絶えず日常生活では味わえない違った何かを感じられるものに引き寄せられるんだ」
――Will Wiesenfeld

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Tugboat Records presents Geotic Live in Japan 2018

■10/23 (火) CIRCUS Tokyo

【時間】OPEN 19:00 / START 19:30
【レーベル割価格】¥3,500 (ドリンク代別) *限定50枚 (9/19 20:00~)
https://goo.gl/forms/lCgKeopvmrrjs7543
【前売り価格】 ¥4,000 (ドリンク代別)
【各プレイガイド】Pコード:129991 / Lコード:71470 / e+ (9/19 20:00~)

https://www.tugboatrecords.jp/category/event

●Geotic プロフィール
LA在住、Will Wiesenfeld が、Bathsとともに活動する別名義のプロジェクト。前作に引続き Tycho を擁する〈Ghostly International〉、そして日本は〈Tugboat〉よりリリース。
「Bathsはアクティヴなリスニングで、Geoticはパッシヴなリスニングである」──Baths、そして Geotic こと、Will Wiesenfeld は、自身のふたつのプロジェクトに対してこのように語る。

●リリース情報
アーティスト:Geotic (ジオティック)
タイトル:Traversa (トラヴェルサ)

tracklist
01. Knapsack
02. Swiss Bicycle
03. Harbor Drive
04. Aerostat
05. Town Square
06. Terraformer
07. Gondolier
08. Maglev

・発売日:2018/10/17 (水)
・価格:¥2,000+tax
・発売元:Tugboat Records Inc.
・品番:TUGR-080
・解説/対訳付き

Little Dragon - ele-king

 これは火が点きそうな予感がひしひし。かつてサブトラクトゴリラズ作品への客演で注目を浴びたシンガー、ユキミ・ナガノ(ケレラも彼女から影響を受けています)を擁するスウェーデンはヨーテボリのシンセ・ポップ・バンド、リトル・ドラゴンがなんと〈Ninja Tune〉と契約、11月9日に新作EPをリリースします。UKでも大人気の彼ら、最近ではバッドバッドノットグッドとの共作“Tried”がBBCなどでよくとりあげられていますが、このたび公開された新曲“Lover Chanting”もダブテクノ風の装飾を効果的に利用したポップな仕上がり。早く全曲聴きたい!

Little Dragon
北欧スウェーデン発のエレクトロ・バンド
リトル・ドラゴンが〈Ninja Tune〉と電撃契約し
11月に新作『Lover Chanting』をリリース!
タイトルトラックが本日解禁!

北欧スウェーデン発の人気エレクトロ・バンド、リトル・ドラゴンが〈Ninja Tune〉と電撃契約し、11月に新作EPをリリースすることを発表した。今回の発表に合わせてタイトルトラック「Lover Chanting」がリリースされている。

Little Dragon - Lover Chanting
https://found.ee/9tFu

日系スウェーデン人のフロントウーマン、ユキミ・ナガノ率いるリトル・ドラゴンは、1996年に結成され、これまでに5作のアルバムをリリース、アメリカやイギリスでも成功を収め、アメリカのダンス・チャートでは直近の3作が連続でトップ5入りを記録。2014年の『Nabuma Rubberband』はグラミー賞にもノミネートされている。

またコラボレーションにも積極的なリトル・ドラゴンは、ゴリラズやサブトラクト、ケイトラナダ、フルームなどのヒット作品に参加し、最近では、カナダのジャズ/ヒップホップ・カルテット、バッドバッドノットグッドとのコラボ曲「Tried」をリリースし、ラッパーのヴィック・メンサと共に、ファレルの弟子格として知られるプロデューサー・デュオ、クリスチャン・リッチの楽曲にフィーチャーされたことも話題となった。

BADBADNOTGOOD & Little Dragon - Tried
https://youtu.be/MREJtWbQ6Bw

Christian Rich -DRIPPING SUMMERS (Feat. Little Dragon & Vic Mensa)
https://soundcloud.com/christianrich/christian-rich-dripping-summers-feat-little-dragon-vic-mensa

リトル・ドラゴン最新作『Lover Chanting』は11月9日にデジタル先行でリリースされたのち、同月中にアナログ盤でもリリースされる予定。

label: Beat Records / Ninja Tune
artist: Little Dragon
title: Lover Chanting EP

release date: 2018.11.09 FRI ON SALE

[Tracklisting]
1. Lover Chanting
2. In My House
3. Timothy
4. Lover Chanting (Edit)

Maisha - ele-king

 まあちょっとざっくり言うと、2018年は『We Out Here』からはじまった。ロンドンのアンダーグラウンドからUKジャズの新しい波がやって来て、スピリチュアル・ジャズにアフロビートをたたき込み、クラブ・カルチャーと隣接しながらシーンに喜びと恍惚をもたらしたと。
 いろんなミュージシャンの名前を覚えた。シャバカ・ハッチングスをはじめ、モーゼス・ボイド、ジョー・アモン・ジョーンズ、テンダーロニアス……それから女性サックス奏者のヌビア・ガルシアも。
 『We Out Here』は、マイシャの曲からはじまる。ドラマーのジェイク・ロングが率いるこのグループは、いまの“UKジャズ”のひとつの型を表している代表。要するに、アリス・コルトレーンとファラオ・サンダースからの影響をアフロビートと混ぜること。グループでサックスを吹いているのはヌビア・ガルシア。マルチ・カルチュアルで、男女混合というスタイルにも“いま”を感じる。
 で、そうしたお約束ごと的前説を経て、しかしもっとも重要なことを言うと、場所。抑圧だらけの世界からは隔離された場所。だって場所がなければひとは迷ってしまう。マイシャのデビュー・アルバムは11月9日にジャイルス・ピーターソンの〈ブラウンズウッド〉(日本盤はビート)からリリースされる。タイトルは『There Is A Place』。ぼくたちには“場所”がある。

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