「KING」と一致するもの

ele-king presents
THE DODOS Japan Tour 2013
- ele-king

【THE DODOS】

 2006年にメリック・ロング(ヴォーカル ギター)がドードーバードという個人プロジェクトとして活動を開始。その後ローガン・クローバー(ドラム)が参加しドードーズとしてスタート。自主制作でアルバムをリリース、そしてツアーを繰り返し注目を浴びて行きます。 2008年からはFRENCHKISS RECORDSに在籍し、アルバムを三作リリース。特にニーコ・ケースも参加した前作の『No Color, More Life』は、ビルボードにランクインされるなど自身最高のヒットをゲットしました。 そして満を持しての新作『キャリアー』はPOLYVINYLに移籍して間違いなく最高傑作に!彼等の持ち味である確かなテクニックから生まれるパーカッシヴなギター奏法、そしてパワフルなビートは今作でもバリバリ。フォーキーに、パンキッシュに、スリリングに、カラフルに疾走しまくります。そして明らかにこれまで以上に顕著になっているのは、エモーショナルで涙腺直撃のソングライティングではないでしょうか。とんでもなくパワーアップ!王道のインディー・ロック・ファンならヨダレ垂れまくりのメロディーがとてつもなくオンパレードしているのです。 聴いて!そして来て!間違いなく2013年後半は、ここ日本でもドードー鳥が羽ばたきます!!

For Fans of...デス・キャブ・フォー・キューティー、ピンバック、ヴァンパイア・ウィークエンド、モデスト・マウス、スケルトンズ、アニマル・コレクティヴ、プロミス・リング、エリオット・スミス、アメリカン・フットボール etc etc





ライヴとの連動シリーズ、「Beckon You !!」 スタート!!!!
作品を購入→ライヴに行ったら会場でキャッシュ・バックしちゃいます!!


注目の新世代アーティストを中心に作品とライヴを連動させちゃうのが
この「Beckon You !!(来て来て〜おいでおいで〜の意)」シリーズ。
ザ・ドードーズ 『キャリアー』貼付のステッカーを公演当日にお持ち下さい。
その場で500円をキャッシュバック致します。
もちろん前売り券でも当日券でもオッケーです!


ele-king presents
THE DODOS Japan Tour 2013

(チケット発売7/20(土)〜)

10/22(火) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
THE DODOS / allon beausoleil
adv ¥3,800 door ¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:78311)
e+

【allon beausoleil】

 オレゴン州、ポートランド出身のSSW。ギターリストやボーカリストとしてバンド活動を初め、その後ソロ活動へ。Beck, Rickie Lee Jones, The Head and the Heart, Sonic Boom, The Dandy Warholsなどと各国でステージを共にし、その後、ポートランドからニューヨークへ、そして東京へ移住。そして今は、世界を飛び回りライヴを行なっている。ニュー・アルバム 『Prince Charming of Darkness』 では、ポップ、フォーク、エクスペリメンタリズムの間を彷徨い、そして、そのあくなき音の探究者としての旅に終わりはない。






10/23(水) 心斎橋CONPASS (06-6243-1666)
THE DODOS / NOKIES!
adv ¥3,800 door ¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:56069)
e+

【NOKIES!】

 大阪南堀江にあるFLAKE RECORDS初の日本人契約アーティストとして2011年2月にデビュー。その圧倒的な洋楽感と抜群のメロディ、アレンジセンスは高く評価され、特に多くのアーティストに支持される事に。ライブパフォーマンスも定評があり、FUJI ROCK 2011のROOKIE A GO GO STAGEへの出演や8otto、miila & The Geeksとのイギリスのフェス出演やフランス、パリ含むヨーロッパツアー、世界最大の音楽見本市SXSW出演〜それを皮切りにシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ラスベガスと渡る全米ツアー、みやこ音楽祭では、くるりやLAMA、在日ファンク、KIMONOS、黒猫チェルシー等と並び堂々のメインステージにも抜される。更にはSTYROFOAM、FRENCH FILMS、CASIOKIDS、RAZIKA、DESMOND & THE TUTUSなどの日本ツアーもサポート。2013年にはりくるりが新たに始めたイベントWHOLE LOVE KYOTOのメインメンツに抜擢。引き続き精力的にライブ活動中。

10/25(金) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
THE DODOS / ROTH BART BARON
adv ¥3,800 door¥4,300 (without drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:207-760)
ローソンチケット(Lコード:78311)
e+

【ROTH BART BARON】

 2008年結成の東京出身ロックバンド。2010年に自主制作による1stEP「ROTH BART BARON」をセルフリリース。ギター、バンジョー、マンドリン、ピアノ、和太鼓、グロッケン、マリンバ、フィドルなど多種多様な楽器を使い、壮大なサウンドスケープと美しいメロディ、剥き出しの感情と生命力に満ちあふれた歌詞が作り出す圧倒的な世界観は日本の音楽シーンだけに留まらず、SoundCloudをはじめとする音楽系SNSサイトから多くの賞賛コメントを受けるなど、海外での評価も高い。2012年12月13日には2年ぶりのNEW EP「化け物山と合唱団」をリリース。SLEEPERS FILMと制作した Music VideoをYouTubeにて公開中。




*各公演のチケット予約は希望公演前日までevent@ele-king.netでも受け付けております。お名前・電話番号・希望枚数をメールにてお知らせください。当日、会場受付にて予約(前売り)料金でのご精算/ご入場とさせていただきます。


主催・制作:ele-king / P-VINE RECORDS
協力:シブヤテレビジョン スペースシャワーネットワーク  
TOTAL INFO:ele-king / P-VINE RECORDS 03-5766-1335
event@ele-king.net
www.ele-king.net

ザ・ドードーズ 『キャリアー』

PCD-20278
定価2,100yen
Release:2013.9.4
解説:佐藤一道(Monchicon!)

Amazon


1. Transformer
2. Substance
3. Confidence
4. Stranger
5. Relief
6. Holidays
7. Family
8. The Current
9. Destroyer
10. Death
11. The Ocean
12. Reaction -Bonus Track-

ele-king vol.10  - ele-king

〈u-25新世代特集〉
〈インタヴュー〉福田哲丸(快速東京)、下津光史(踊ってばかりの国)
ジェイク・バグ、THE OTOGIBANASHI'S     他
※電子書籍版へのアクセスキーがついています

interview with Airhead & James Blake - ele-king

(1)空気頭登場 (取材:野田努)


Airhead
For Years

R & S Records/ビート

Amazon iTunes

 エアヘッド、空気頭、自らを藤枝静夫の代表作を名乗る23歳のロンドン子、ロブ・マックアンドリューズがジェイムス・ブレイクのバンドのギタリストとして、去る6月上旬、来日したので取材した。彼のデビュー・アルバム『フォー・イヤーズ』がリリースされる直前のことだった。
 エアヘッドは、名前も良いが、音も良い。とくに10インチの「Wait」が僕は好きだ。ジェイムス・ブレイクの旧友だが、ビートの組み方が明らかにヒップホップ寄りで、ソウル・ヴォーカルのエディットも滑らかだ。センスが良いとしか言いようがない。
 
 会ったのは、同じ日のジェイムス・ブレイクの取材の前の時間だった。渋谷でエアヘッドと話してから、青山でジェイムス・ブレイクを取材した。
 僕がもっとも驚いたのは、ジェイムス・ブレイクの背の高さである。僕も180cmと高いほうだが、彼は190はあるぐらいに見える。学生時代はテニスをやっていたそうで、体格もがっちりしていて、どう見てもヒキコモリでもオタクでもないぞ、いかにも育ちが良さそうな、文武両道といった感じ。印象に残った言葉は、エアヘッドを指して、「あいつ、アホだろ」と呟いたブレイクの言葉。ふたりの友情、ふたりの深い関係性が読み取れやしないか。
 とまれ。時間順に行きます。まずは、ロブ・マックアンドリューズ。エアヘッドのインタヴューから。6月5日、よく晴れた正午、渋谷のカフェ。柔和で、謙虚な青年だった。

18歳未満のときも、偽のIDカードを作って、僕はクラブに入り込もうとして......、昔からジェイムス・ブレイクやベンとは友だちだったんですけど、みんなで「クラブ行こうぜ~!」って、偽のIDを作って行ったのに入れてもらえなかったり(笑)。

この後、ジェイムス・ブレイクと会うんですよ。

ロブ:ホント? アハハハハハ。

うちは基本、オンライン・マガジンなんですが、実は紙でも出していて、ほら、2011年のベスト・ワンをジェイムス・ブレイクのアルバムにしたんですよ。

ロブ:イエイエ(笑)、いいね。

じゃ、よろしくお願いします。ギターを弾きはじめたのは?

ロブ:11歳のときからです。いま23歳なので、もう12年ぐらい弾いています。

2010年に〈ブレインマス〉からシングルを出していますが、打ち込みをやる以前、ギタリストとしてはどんな活動を?

ロブ:最初は物真似で、自分で曲も作ってましたね。11歳の頃はロックにハマって、エレクトリック・ギターを弾いてましたが、途中からアコースティック・ギターにハマってカントリーを弾きました。ミシシッピ・ジョン・ハートが大好きになって、ものすごく影響を受けました。15歳になってから打ち込みにハマって、電子音楽を作るようになりました。

電子音楽を作るようになったきっかけは何だったんですか?

ロブ:友人の従兄弟が実験的な音楽を聴いていて、彼を介して知ったんです。それから、15歳のときにアンチコンのクラウデッド、オッド・ノッザムなんかにハマって、自分でも作りたいと思ったんです。自分が持っているパソコンで作れるんだってことも知って。

ああ、なるほど、アンチコンかぁ。あなたの作品を聴いたとき、ビートメイカーだなと思ったんですよね。

ロブ:なははは、アリガト(笑)。

去年、あなたのシングル「Wait」が都内のレコ屋に並んだときも、ヘッズが買ってましたよ。

ロブ:それはとても嬉しいですね。実はその曲は2009年に出来ていたんですね。でも、僕は、作るだけで出すことがうまくないんです(笑)。その曲はずっと放置されていたんですが、いまジェイムス・ブレイクのマネージャーをやっているダンが、「これは早く出したほうが良い」って、動いてくれたんです。彼はいま僕のマネージャーもやっています。

当時のアンチコンはもっともイルなレーベルでしたが、クラウデッドみたいな不気味な音楽のどこに惚れたんですか?

ロブ:やっぱユニークで変わっていますから。クラウデッドのファースト・アルバムなんかはとくにそうだったと思います。1曲のなかに6つぐらいの違う要素があって、繋がらないものが繋がってしまうというか。あの頃のアンチコンやクラウデッドのサンプルは、古いレコードから取られていたので、オーガニックで、ナチュラルな響きがあったと思うんですね。そこが、僕のなかで、カントリー/ブルースから電子音楽への橋渡しになったんだと思います。
 完全な電子音楽......というか、シンセの音を好きになるのは、アンチコンにハマってから数年後のことだったんです。やっぱ若い頃は、シンセの音に抵抗がありました。

生まれと育ちは?

ロブ:ロンドン。

ロンドンのクラブ・シーンとはどうやって繋がるんですか?

ロブ:クラブとはすごく強い結びつきがあります。18歳未満のときも、偽のIDカードを作って、僕はクラブに入り込もうとして......、昔からジェイムス・ブレイクやベンとは友だちだったんですけど、みんなで「クラブ行こうぜ~!」って、偽のIDを作って行ったのに入れてもらえなかったり(笑)。でも、18歳になって晴れてクラブに行けるようになりました。
 僕は18歳からは、リーズという北部の街の大学に進学したので、その頃はロンドンにはいなかったんですけれど、その街にはウエスト・インディアン・コミュニティ・センターがあって、そこで初めてデジタル・ミスティックズやマーラやコーキのショーを見ました。初めてダブステップを聴いたのはそのときです。コミュニティ・センターのサウンドシステムも素晴らしくて、手作りで、ものすごい迫力のある音を出していました。だから、ロンドンのクラブと繋がっていたんではなく、ロンドンのクラブに影響を受けていたと言ったほうが正確ですね。ジェイムスと一緒に〈ヘッスル・オーディオ〉とか、マウント・キンビーとか追いかけて、あと〈プラスティック・ピープル〉にも遊びに行きましたね。いまではジェイムスたちと一緒に〈プラスティック・ピープル〉でイベントをやっているわけですから、面白いモノですね。

ジェイムスとはいつから知り合い?

ロブ:中学校が一緒だったんですね。だから、12年ぐらいの付き合いになります。

当時のふたりにとっての音楽的なヒーローは誰だったんですか?

ロブ:中学のときは別々の楽器やっていたから、お互い共通する音楽的ヒーローはいなかったと思います。ジェイムスはピアニストだったし、アート・テイタムとか好きだった。彼に直接訊いてみないとわからないけど。僕はロックが好きだったので、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェペリンがヒーローで、それからブルーズが大好きになった。僕とジェイムスの好みが一致するのはダブステップ以降です。17歳、18歳の頃で、ジェイムスはディアンジェロの『ヴードゥー』をよく聴いていましたよ。

名盤ですね。

ロブ:本当にそうですね。

偽のIDを作ってまでしてクラブに行きたかった理由は何なんですか?

ロブ:ロンドンのクラブがすごく盛り上がっていたんです。ジャングルがすごくて、ゴールディーやグルーヴライダーのようなDJがプレイしていました。僕やジェイムスはとにかくそのなかの一部になりたくて......。ロンドンには本当に素晴らしいサウンドシステムもあるし、良いDJがたくさんいる。クラブで遊びたいというよりも、音楽が聴きたいっていう感じでした。音楽のためにクラブに行ってました。

がっつり踊るほうですか?

ロブ:アハハハ......、気分によります。自分のドリンクに何が入っていたかによりますね(笑)。お酒を飲んだくらいなら、まあ、静かに大人しく音楽を聴いていますが、何か別のときは騒ぐこともあります。でも、自分はあんまり踊りがうまくないので、踊らないようにしています(笑)。

ハハハハ。

ロブ:ニューヨークのディープ・スペースというパーティで、フランソワ・ケヴォーキアンのDJを聴いたときは、ちょっとお酒を飲んだだけなのに、ものすごく踊りました(笑)。ジェイムスやベンや僕の彼女と一緒に行ったんですけど、結婚式で酔っぱらったおじさんみたいに、踊ってしまいました。

フランソワの何が良かったんですか?

ロブ:まさに音楽が良かったんです。ディミトリ・フロム・パリもプレイしていました。彼のDJも良かったです。音楽の質とクラブの雰囲気がすごく良かったんです。オーディエンスも、ミーハーな感じではなく、音楽を聴きに来ている感じでした。通っぽい人たちばかりで、良い雰囲気でした。

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自分の名前がジェイムス・ブレイクみたいにキャッチーな名前だったら良かったんですけど......、まあ、何か名義が必要だなって考えていたときに、友だちが彼女に向かって「おまえはエアヘッドだ」って言ったことがあって、エアヘッドというのは、「何も考えていない」、「おばかさん」という意味なんですが、「あ、それもらった」と思って、使っています(笑)。

あなたの世代から見て、ハウス・ミュージックはどこがいいんですか?

ロブ:ハウスはいままた人気が出てきているんです。プロデューサーも、ダブステップ風のトラックよりもハウスっぽいトラックを作っています。ハウスのキックやテンポが踊りやすいからだと思います。ダブステップではひとりで下を向いて踊っている感じが、ハウスだと上を見上げたり、お互い見つめ合ったり、DJを見たり......DJをやっているほうとしてはやり楽しいんです。ハウス・ミュージックは、20年、30年前からあるものなので、僕ら世代がその伝統に新しい解釈を加えることはとても良いことだと思います。僕自身も最近はオマー・Sやムーディーマン、セオ・パリッシュを聴いているので、個人的にもハウスの影響を受けています。

僕は、1991年~1992年のロンドンのレイヴに何回か行って、当時のエネルギーを感じているのですが、あの時代のイギリスは失業者も多かったし、社会的に暗い時代が長く続いて、そうした背景がパーティへのエネルギーにもなっていたようなところがありましたが、現在のダンス・カルチャーにもそうした社会的な背景は関係していると思いますか?

ロブ:僕は、UKのクラブ・カルチャーにはドラッグ・カルチャーが関わっていると思います。91年のUKではエクスタシーが流行っていました。それがあの高まりに繋がったんだと思います。ダブステップにはウィードの影響があったんです。数年前まではクラブのなかで吸えたんですが、法律が変わっていまでは吸えなくなりました。それでダブステップは下火になって、ハウス・ミュージックに変わったんだと思います(笑)。僕は、いまのキッズがフラストレーションを爆発するためにダンスに向かっているとは思っていません。なんて言うか......、90年代とは違う気がします。たとえば、90年代にはフリー・パーティがありました。フライヤーもない、シークレットのパーティです。電話をして場所を訊いていくようなね。

行ってました(笑)。

ロブ:羨ましいです。しかし、政府がバカな法律を作ってしまったお陰で、フリー・パーティが出来なくなりました。8人以上が集まってしまってはダメっていう法律です。

その反対のデモにも行きました(笑)。

ロブ:ハハハハハ。とにかく、そういうレイヴができなくなってしまったことが僕は大きいと思います。昔といまはそこに大きく違います。

ところで、エアヘッド(空気頭)という名義はどこに由来するんですか?

ロブ:自分の名前がジェイムス・ブレイクみたいにキャッチーな名前だったら良かったんですけど......、まあ、何か名義が必要だなって考えていたときに、友だちが彼女に向かって「おまえはエアヘッドだ」って言ったことがあって、エアヘッドというのは、「何も考えていない」、「おばかさん」という意味なんですが、「あ、それもらった」と思って、使っています(笑)。


Airhead
For Years

R & S Records/ビート

Amazon iTunes

ハハハハ。今回のデビュー・アルバム『フォー・イヤーズ』にはどのようなコンセプトがあるのでしょうか?

ロブ:過去4年間作ってきた音楽の集大成という意味です。ただひたすら、僕は音楽を作っていました。アンビエントにハマってアンビエントを作ったこともあります。なので、アンビエントも入っています。ダンス・ミュージックにハマったときはダンス・ミュージックを作りました。そうやって曲を作っていって、1枚のアルバム分できたということです。決まったコンセプトはないんです。

そのアンビエントの曲は"Masami"ですよね。日本人の女の子の名前でしょう?

ロブ:そうかもしれませんね。僕は曲名を考えるのがものすごく下手です(笑)。この曲名は、たまたま友人の家に行ったときに開いてあった本のなかにあった名詞でした。

マサミさんと付き合っていたわけじゃないんですね(笑)。

ロブ:違います(笑)。でも、そう答えたほうが面白かったですよね。

ハハハハ。女性が歌っている曲が2曲ありますね。シンガーについて教えて下さい。

ロブ:ふたりともジェイムス・ブレイクを介して知り合いました。"Callow"で歌っているのは、キャサリンという人です。ジェイムスとは同じ大学でした。彼女は、ジェイムスが前回来日したときに一緒に行っています。

あー、あのときの彼女でしたか。フロントアクトのギター持って歌っていた。

ロブ:そうです。"Autumn"で歌っているのはアンドレアという人で、彼女はメキシコでのショーのサポートをしてくれました。彼女はメキシコに住んでいるので、メールで曲のやりとりをしながら、彼女がロンドンに来たときにスタジオで録音しました。

『フォー・イヤーズ』を出したことで、あなたの方向性にどのような変化があると思いますか? いままでのような、アンダーグラウンドなリリースも続けていきますか? よりポップな方向に行きますか?

ロブ:ポップ路線は考えていません。ダンス路線を考えています。最近はDJをやることが楽しいです。もっとたくさんDJをやりたいです。セットのなかに自分の曲を入れたいと思っています。ようやくダンス・ミュージックを作れるようになったので。

わかりました。どうもありがとうございました。

ロブ:サンキュー。

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(2)ジェイムス・ブレイク登場 (取材:木津毅/写真:Teppei Kishida)

E王
James Blake
Overgrown

ユニバーサル インターナショナル

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 どうしてひとは、愛を歌わずにはいられないのだろう。
 ジェイムス・ブレイクが"CMYK"から『ジェイムス・ブレイク』、そして『オーヴァーグロウン』へと至った道のりには、ひとりの表現者が愛を歌いはじめる、そのドキュメントを見る思いがする。『オーヴァーグロウン』はもちろん、ファースト以上に彼のトラックに対する感性が研ぎ澄まされたアルバムであり、ハウス、ダブステップ、ヒップホップの多彩なビートを使い分けながらより複雑な音の配合を施した作品である。しかし同時に、前作では多用されていた声にかけられたエフェクトが減り、より生に近い彼自身の声を......その歌を、エモーショナルに響かせることに腐心したレコードだ。それはなぜかと問われれば、僕にはどうしても、彼のなかに愛......それも、はじめて経験する愛が芽生えたことと深く関係しているように感じられる。複雑なトラックをよくコントロールしながら作ることに長けた彼が、愛を歌うことに対しては非常にプリミティヴな動機を抱いたのではないか。
 先の来日公演では、相変わらず地を這うような重々しい迫力を持った低音と、さらに肉感的になった歌唱とのそのどちらもが、けっして彼から切り離せないものとしてそこに立ち現れていた。ジェイムス・ブレイクはいま、デジタル・ミスティックズやブリアルのダブステップにかつて抱いた憧れとジョニ・ミッチェルのような古典的なシンガーソングライターへの思慕とを、自らを媒介にすることによって結びつけようとしている。それは新しい時代の、様式に囚われない新しい形の愛の歌の可能性だ......それも、たしかに彼の感情を解放するものとしての、とてもピュアなラヴ・ソング。

 思っていた以上に長身だったジェイムス・ブレイクは、幼なじみの名前を出した瞬間に顔が綻ぶような、素朴な青年であった。そんな彼がいま、真摯に自らの愛に向き合っている姿は、どうにも胸を打つものだ。
 取材の時間が限られていたため、用意していた最後の質問を訊くことができなかった......「あなたにとっての理想のラヴ・ソングとは?」
 だが、ジェイムス・ブレイクはきっと未来に、美しくそれを歌うことでその問いに答えてくれるだろう。

女性っていうのはユニークな視点を持って音楽に取り組んでいくってところがあると思うんだけど、ただ、いまの音楽業界では残念なことに女性アーティストは注目を浴びるためにどうしてもやらなきゃいけないことがあって......もちろん、そういうことを訊いてるんじゃないってわかってるんだけど(笑)。

野田:ちょうど1ヶ月ほど前にマーラの取材をしたんですけど、じつはあなたとすごく若いときから知り合いで、今度あなたがリミックスしてくれたシングルを出すって言ってましたよ。

ジェイムス:うん、そうなんだ。リミックスをやったんだけど、今後もっとちゃんとした形で何かいっしょに仕事をしたいなと思ってるんだ。じつはスタジオまで行ってちょっといろいろやってみたんだけど、まだ何も形にはなっていなくて。昔のダブ・レコードとかアウトキャストとかを聴いてたりしたんだけど。
 そもそも、こういう音楽をやろうと思うきっかけを作ってくれたのがマーラなんだ。彼はナイスな上に謙虚で、人間としてもとても温かみのあるひとなんだ。またいっしょに仕事したいな、また会いたいなと思いながらも、僕が友だちとも会えないような忙しい状況だから、いつ実現するかわからないんだけど。

野田:そうなんだ。ちなみに、さっきまでエアヘッドにインタヴューしてたんですよ。

ジェイムス:ほんとに? 今日?

野田:ええ、すごくいい話をしてくれましたよ。

ジェイムス:ちゃんとたくさん話してた? 普段はシャイで、インタヴューなんかだとあんまり喋らないタイプなんだよ。

野田:ちゃんと話してましたよー! 中学校時代あなたと同じ学校で、彼がギターであなたがピアノだって聞かせてくれましたよ(笑)。

ジェイムス:あいつはアホなんだよ。

野田&木津:だはははは!

野田:17歳のときいっしょにクラブに行って、IDカード偽装して追い返された話とか(笑)。

ジェイムス:そういう話ならいくらでもあるよ(笑)。

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オートチューンやピッチ・シフトに関しては、メロディ的な要素として使う以外に求められるものはもはやないね。想像力をかき立てるものがそれ以上は何もないから、何か新しい要素が加わらない限りは自分としてはやり尽くしたかな、と。

(笑)じゃあ、アルバムについて話を聞きたいんですけど。『オーヴァーグロウン』は前作よりもさらに、あなたのシンガーソングライターとしての側面が前に出た作品だと感じました。ただそれ以前に、いま思えばその布石のようにしてファイストやジョニ・ミッチェルのカヴァーを作品として発表されてますよね。そこでフィメール・シンガーのラヴ・ソングを選んでいたのはなぜなのでしょうか?

ジェイムス:女性っていうのはユニークな視点を持って音楽に取り組んでいくってところがあると思うんだけど、ただ、いまの音楽業界では残念なことに女性アーティストは注目を浴びるためにどうしてもやらなきゃいけないことがあって......もちろん、そういうことを訊いてるんじゃないってわかってるんだけど(笑)、いまちょっとふとそう思って。でも実際は、シンプルにポイントをついて曲を作るのが上手な女性ミュージシャンが多いと思うんだ。男性にはできないような──もしくは男性がそれをやるためには、意識的にある面を押さえつけないといけないようなところがあると思うんだけど、そうじゃない、女性のそういうユニークな視点が大好きなんだ。
 たとえばジョニ・ミッチェルの曲なんかは本当に的確だし、ファイストのコード使いだってすごく的確だ。ポップなんだけど、他の曲ではできないような的確な音使いで、そこに「タ、タ、タ、ターン」と僕には思いつかないようなメロディが入ってきたりして、すごく上手くまとめてるんだよね。僕もジョニの"ア・ケース・オブ・ユー"なんかはライヴでやってるんだけど、ジョニのほうがもっと端的にピアノを弾いていて、僕はもうちょっとあれこれ装飾をつけつつ弾いてるんだ。とにかく、そういう視点が好きなのかな。女性のラヴ・ソングが好きっていうよりは、彼女たちのあの2曲が好きで、それがなぜかと言うと、こういうことなんだろうな、と。

なるほど。こういう質問をしたのは、僕も多くのひとと同じように、シングルの"CMYK"をはじめて聴いたときにすごく衝撃を受けたんですよ。それで当時は、あなたがシンガーとしての側面にこれほどフォーカスすると思っていなくて。もともと「歌う」っていう行為自体、あなたにとって自然なことだったんでしょうか?

ジェイムス:うん、自然なことだったね。というのは、"CMYK"とかサンプリングを多用した曲は別として、僕は基本的に曲を作るときは歌からはじめることが多くて。そもそも、このアルバムは他のひとのサンプリングをしたくなかったところから始まってるんだよ。それだったら自分のものを作ろう、ということで。クリエイティヴな側面で言っても、他のひとのサンプリングよりも自分の歌のほうが自由を得られるというか。
 あと、いまはサンプリングも多用されすぎていて、新しいことが逆になかなかできなくなってるんだ。僕にとってサンプリングの行為っていうのは、その瞬間を捉えるってことだから、自分が作りたいその瞬間のためのものとして使いたいんだよ。一般的なサンプリングのプロセスっていうのは、もう飽き飽きしちゃってて、何も楽しいと思えるところがないんだよね。アカイのサンプラーでもiPhoneでも、はっきり言ってサンプリングの技術っていうのは10年前とあんまり変わらなくて......速度がちょっと速くなったぐらいだね。だから、サンプリングを使って革新的なことはなかなかできなくなっている。自分が音楽をやっていて、他とは違う新しいことをやるってなると、自分のもので作っていく......それしかないんじゃないかな、と思っているよ。

その、サンプリングに飽き飽きしているなかで、歌??演奏だけじゃなくて、自ら声を出して歌う、って方向に進んだのはどうしてなんでしょう?

ジェイムス:ファーストを作ったときはサンプリングにうんざりしていたわけじゃなくて、そのことにはっと気づいたのはここ最近のことなんだ。同じ作業を3年間もやってるじゃないかって。録音したものを断片的にカットしたりくっつけたりする作業がバカバカしくなっちゃって。ファースト・アルバムのころはまだその作業にワクワクしていたから、その興奮ぶりが伝わる内容にはなってると思うんだけど。わりとそのときの自分のブームっていうのがあるんだけど、すごく熱しやすく冷めやすいタイプで。

ああ、そうなんですか。

ジェイムス:すぐ気が変わるところがあるんだよ。でもいまの自分としては、ヴォーカルをサンプリングして切り貼りした作業を考えただけで、窓から飛び降りたくなるよ。いまだったら、楽器がいろいろあるなかでロブとベンとのバンドで演奏して、その3人のシナジーみたいなものをレコーディングするほうが楽しいかな。

あるいは、あなた自身の声にかけられたピッチ・エフェクトが減ったっていうのも??。

ジェイムス:うん、サンプリングと同じように、自分の声にエフェクトをかけるのも飽きてしまったんだ。世のなかっていうのはテクノロジーが好きで、たとえばiPhoneだってみんなが4Sにだんだん飽きはじめたころに5が出て、するとみんな、わっとそれに飛びつくよね。少ししか違いはないのに、それでも何百万人ってひとが興奮してそれを買ってる。新しいテクノロジーっていうのは新しい可能性を生み出すものだから、僕も「これからどういう音楽ができるんだろう」っていう想いから興奮して、やる気が出てくるところはたしかにある。新しい何かを使うってことは、暗闇のなか手探りで何かを作っていく興奮といっしょなんだ。
 エフェクトに関しては、たとえばリヴァーブだったらまた別の効果があって、特定の空間的なサウンドを生み出すことができる。使い方によっては宇宙からのサウンドみたいにもできる。ただ、オートチューンやピッチ・シフトに関しては、メロディ的な要素として使う以外に求められるものはもはやないね。想像力をかき立てるものがそれ以上は何もないから、何か新しい要素が加わらない限りは自分としてはやり尽くしたかな、と。

では、そうやってバンド・スタイルで、よりストレートにヴォーカルを取るっていう方向に移っていったことと、作品のテーマが「愛」に向かって行ったこととは何か関係はあるんでしょうか。アルバムのテーマは「愛」だとお聞きしていますが。

ジェイムス:まず、愛がテーマになっているという最大の理由は恋に落ちたからなんだ。誰かを愛していなければ、愛についてはなかなか語れないからね。それまでは愛というものは経験したことがなかった。ファースト・アルバムはその、愛のない自分の人生について嘆いていたアルバムだった。だからファーストはすごく悲しげだし、作ったときの自分もぜんぜんハッピーな状態ではなかったし。
 今回のアルバムは......僕たちは遠距離恋愛なんだけど、彼女といっしょにいるときもふたりきりになれるような空間があんまりなかったんだ。だから、いろんなひとといっしょの空間に押し込められているっていう気持ちと、離れているときの心が引き裂かれるほどの寂しさ、その両極端の想いがこのアルバムには入っているんだよ。

なるほど、すごくよくわかります。少ない言葉で歌うエモーショナルなラヴ・ソングが多かったので、ご自身の経験がダイレクトに反映されたのではないかと想像していました。ただ同時に、たとえばあなたが好きなジョニ・ミッチェルであるとか、クラシックなシンガーソングライターたちがやってきたように、「ジェイムス・ブレイクとしてのラヴ・ソング」というものに挑戦したかったところはありましたか?

ジェイムス:うん、それは絶対にそう。歌詞とか曲作りの面ではすごく簡単で、ぱっと思い浮かぶんだけど、そこから構成して曲として完成させていくプロセスのほうが難しい。というのは、やっぱりありきたりなラヴ・ソングにはしたくなかった。地雷がたくさん埋まってる原っぱみたいなものだよ(笑)。安易なトラップにはまらないようにして、オリジナルなものを作っていくのはすごく難しい。自分にとっては新しい試みだったから、いくつか地雷を踏んじゃったと思うんだけど。

そんなことないですよ(笑)。すごくエモーショナルな美しいラヴ・ソング集だと思いました。

ジェイムス:ありがとう(笑)。

FREEDOMMUNE<ZERO>2013 - ele-king

 今週末のフリードミューン、もはや宇川直宏のアート作品とも呼べそうな「あり得ない」ブッキングについていまここで何を言っても野暮というもの。詳しくは、ココをチェック→(https://www.dommune.com/freedommunezero2013/
 さて、たいへん名誉なことに、昨年に引き続き不肖「ele-king TV」(野田努、三田格、松村正人)も、司会:五所純子とともに、この歴史的イベントの16:00からの開会宣言に出席します。ハードコアな参加者および日帰り参加を予定している方、是非とも冷やかしついでに見に来て下さい。まだタイムテーブルは発表していないようですが、早い時間からビッグ・アーティストのライヴもあるようだし、夕方から翌朝まで目が離せないです。直に発表されるでしょうが、トークのほうもすごいブッキングですよ。ちなみに明け方のトークは、坂口恭平、磯部涼、九龍ジョーだそうで、これはいまからご苦労様としか言いようがない......。














8月最初の週末を、電子音楽とともに - ele-king

 中原昌也、浅野忠信、FourColor、ダエン、そしてDJにMichitoki KTを迎える福岡の電子音楽フェス〈ex〉が8月2日に開催される。

 主催するのは、福岡を拠点に「アンビエントの自己解釈」というコセンプトでカセット主体のリリースを展開している〈ダエン〉。これまでに白石隆之、RIOWARAI、NYANTORA、MERZBOW、YOSHIMI(ボアダムズ)ら電子音楽家のカセット音源を手掛けてきた一方で、USB対応のポータブルのカセット・プレーヤー「CHILL OUT」をリリースするなど、オンライン時代のアナログ・メディアの楽しみ方を包括的にサポートしてくれるレーベルだ。

 電子音楽というジャンルに良質な音楽が存在することをひとりでも多くの人に知ってもらいたい――このイヴェントをはじめるきっかけは? との問いに、主宰のダエン氏が答えてくれた。

「ジャンルは違うんですが、〈山形国際ドキュメンタリー映画祭〉のような。ドキュメンタリー映画の聖地といえば"YAMAGATA"と認知されているように、電子音楽の聖地といえば"FUKUOKA"と認知されるように取り組んで行きたいです」

 なかなか大きく、そして夢のある目標だ。そしてこの目標とは一見矛盾するようだが、彼らは「大きくなる」ことを望んでいない。次に掲げるのは彼らのイヴェント運営理念だが、じつにいまらしく、クリティカルなポイントを突いている。

「ご来場いただいたお客様に対して、痒いところに手が届くようなきめ細かいサービスを目指しています......と書くと少し堅苦しいですが、ひとりでも多くのお客様に楽しんでいただくために次の事項を遂行します。

1. 出演アーティストは4組前後。今回は限定150人とかなり小規模なフェスです(出演者を厳選することで22:00過ぎにはイヴェントを終了させる予定です。終電前には帰宅できるので明日の学校や仕事に備えてください)

2. 1フロアで行うのでお客様がステージ間を移動することもありません。もちろんトイレ休憩有です(快適な状態で鑑賞なさってください)。

3. すべての時間を圧縮することで、短時間に濃縮された各アーティストのパフォーマンスを堪能できます(皆さまの大事な時間をいただき、拘束する以上、量より質を追求していきたいです)。」

 ここには、規模の拡大によって失われてしまうものへの、細かな配慮が働いている。かたちはまるで異なれど、〈月刊ウォンブ!〉とも通じる、現在形のイヴェント運営をめぐるリアリティと挑戦が見えてこないだろうか(https://www.ele-king.net/interviews/003001/)。

「このイヴェントに関して、少人数のスタッフで運営していくというスタンスは変えないつもりです。毎年動員数を右肩上がりに増やす方向ではなく動員数が常時200~300人の規模で、できるだけ長く続けていきたいと考えております」

 小規模で、質を守り、長く続ける。かくも明確に打ち出されたコンセプトには、先の10年を牽引してきた大規模イヴェントへの2013年からの回答とも呼ぶべき視点が感じられる。「帰宅」を保証することで、非日常ではなく日常と折り合うスタイルを模索するかのような姿勢にも、いまでこその批評性が働いていると言えるだろう。

「今回開催する〈アクロス福岡円形ホール〉という場所は、福岡市の公共施設で、"天神"という九州有数の繁華街のなかに位置します。会場の目の前には天神中央公園という市民の憩いの場があり、ちょっと歩くと遅くまで営業している屋台やラーメン屋なども見つかります。昼間でしたらアート系のギャラリーや、こだわりを持ったセレクト・ショップなども多数開いていますので、県外から来られた方は、これを機会にぜひ福岡の街も散策されてみてはいかがでしょうか」

 東京から気軽に参加というわけにはいかないが、未来の電子音楽の街"FUKUOKA"に期待したい。

「招聘したいアーティストが数多くいるので、来年以降は2日間にわたっての開催を検討しております。それには今回のイヴェントに皆さまご来場いただかないことには計画が計画で終わってしまいますので(笑)、ご来場を心よりお待ちしております! 今後このイヴェントが皆さまにとっての大事な行事になりますよう祈りつつ」


■日時 
2013.8.2 (fri) OPEN 18:30 START 19:00

■場所 
アクロス福岡円形ホール(福岡市中央区天神1-1-1)

■料金 ADV/3800 DAY/4300

■TICKET
e+

enduenn@gmail.com

*チケット購入希望の方は件名にex-fesと書いて住所・氏名・枚数をお教えください。

■公式サイト
https://exfes.tumblr.com/

■アーティスト情報

ASANO TADANOBU
73年生まれ、横浜出身。映画を中心に国内外問わず数多くの作品に出演し日本を代表する国際的俳優。同時に、溢れるイマジネーションを形にするアーティストでもある。監督作品に、DVD「TORI(トーリー)」の他、ドローイング・ペインティングの展示から作品集の出版等、ハードコアバンドsafariやPEACE PILLの活動、Tシャツ・デザイン、ソロアルバム"CRY&LAUGH"では10年以上前から書きためてきた曲から、21曲をアコースティックギターとマイク1本で収録する等、溢れるイマジネーションを自由に表現している。ここ数年はダンストラックを制作。コンパクトなシーケンサーをリアルタイムで操作し極限まで研ぎ澄まされたミニマルなテクノをフロアに響かせる。その唯一無二なパフォーマンスはクラブ、野外イベント、レセプションなど幅広い分野から絶賛・注目を集めている。

中原昌也
小説、映画評論など文筆活動の傍らで前世紀末より継続されている中原昌也による音楽プロジェクト。テーブル上にぎっしり並べられた夥しい量の機材(発振器、エフェクター、サンプラー、リズムマシン、アナログシンセetc)を同時にあやつる剛胆さと聴衆の前に提示されるその音の複雑さ/繊細さにより、行為としての即興演奏を更新し続けるヘア・スタイリスティックスのありかたは、ノイズ・ミュージックの文脈のみならず多分野からの注目を集め、熱心なリスナーを獲得している。boidからの月刊ヘアスタや自主制作100枚シリーズなど、Hair Stylisticsとしてのリリース作品はきわめて多数。

FourColor
FilFla、Vegpher、Minamoの名義でも活動するサウンドアーティスト/コンポーザー杉本佳一によるソロプロジェクト。調和不調和、曖昧と明瞭、デジタルとアナログ、必然と偶然、これら相反する物を同次元で扱う事でユニークな音楽を生み出す事を目指している。杉本の作品はニューヨークの「12k」をはじめ、ドイツ「TOMLAB」、日本の「HEADZ」など国内外の音楽レーベルから発表されており、英「THE WIRE」誌ベ スト・エレクトロニカ・アルバムに選出されるなど、海外での評価も非常に高い。また、数多くの映画/映像、演劇、エキシビジョンへの楽曲提供・制作や、CMをはじめとする広告音楽を手掛け、担当作品がカンヌ映画祭・監督週間「若い視点賞」、フランス・エクスアンプロヴァンス映画祭「オリジナル映画音楽部門賞」を受賞するなどの実績も残している。
最新作は2011年12kレーベルより発表した「As Pleat」。
https://www.frolicfon.com/
https://vimeo.com/27304187

ダエン
福岡を拠点に「アンビエントの自己解釈」というコセンプトでカセット主体のリリースを展開している「ダエンレーベル」主宰。これまでに白石隆之、RIOWARAI、koji nakamura a.k.a NYANTORA、MERZBOW、YOSHIMI(ボアダムズ)らのカセット音源のリリースを手掛ける。自身の制作及びLIVE演奏ではROLAND SP-404一台というミニマムな環境でどこまで表現できるかを追及している。エキソニモ主宰IDPW正会員。

Michitoki KT
道斎(みちとき)KT。実験ターンテーブリスト。数台のターンテーブルを楽器として用い、「音と空間のコラージュ」という自身の奏法を追究し続ける。2013年6月duenn labelよりリリースのsuzukiiiiiiiiii×youpy/dnn012にリミキサーとして参加(Canooooopy・NH-Trio+・Yaporigami)。

■主宰・問い合わせ
duennlabel (enduenn@gmail.com)

PS. exではイベントの趣旨に賛同頂き文化的な活動に関心及び既に取り組まれてる企業様や団体(個人でも可)様の協賛を常時募集しております。詳しくはenduenn@gmail.comまでご連絡下さい。宜しくお願い致します。

duennlabel



踊ってばかりの国 - ele-king

今週の木曜日、7月11日は、代官山ユニットへ行こう。踊ってばかりの国、新ベーシストの通称シド・ヴィシャス加入後の、公式では最初のワンマン・ライヴだ。会場に行って、歴史的なライヴを目撃したことを友だちに自慢しよう。日本にもストーン・ローゼズに負けないくらい最高のチンピラ・バンドがいるってことを知ろう。名曲「踊ってはいけない」で踊ろう。自慢の新曲「東京」がどれほどのものかしっかり聴こう。下津光史を大笑いしてあげよう。ステージでビールを飲ませるな。会場内で、ele-kingも物販やります! たのむから買ってください。

https://odottebakarinokuni.com

代官山Unit
OPEN : 18:30
START : 19:30
CHARGE : ADV 2,500yen (ドリンク代別)

ele-king vol.10 - ele-king

■アンチ・ギーク・ヒーローズ──神にならない神々

 新しいエレキングはすごいよ。何がって、おそらくこれから、この国の音楽シーンを面白いものにするであろう、"未来"を表紙にしているから。そいつらは、このハードな時代のリアリティを直視しながら、自分たちが好きな歌を生き生きと歌っている。いま世のなかが酷いことになっていようがどうだろうが、たったいま、この瞬間、この時代が連中(そして我々)の生きている時代なんだ。
 君も、ライヴハウスやクラブから聴こえる音に耳に傾けてみればわかるよ。20代前半の連中がいまやっていることが、いかに素晴らしい"未来"を感じさせるものなのか。ためしに彼らの言葉を読んで欲しい。若い連中はPCを万能の道具だとは思っていないし、ツイッターにも依存していない。酷い時代なりに、面白いことを探して楽しく生きている。自分の言いたいことを言っている。セシウムや風営法についても、虚無や生き方について。
 紙エレキングの『vol.10』。表紙は、福田哲丸(快速東京)と下津光史(踊ってばかりの国)。特集は「アンチ・ギーク・ヒーローズ──神にならない神々」。
 ◎インタヴュー:福田哲丸、下津光史、ジェイク・バグ、THE OTOGIBANASHI'S、ミツメ、Fla$hBackS、マヒトゥ・ザ・ピーポー、カタコト。

■ベッドルーム・チルアウト──最強の「部屋聴き」スタイル 2013

 小特集もある。今年の前半の洋楽で話題となったインクやライに代表されるチルなサウンド。最高にユルいチルアウト・ミュージック特集。名付けて「ベッドルーム・チルアウト」。世界中が注目する新作を控えたウォッシュト・アウトのロング・インタヴュー、夏がよく似合うニュージーランドのソウル・ジャズ・ダブ・バンド、ファット・フレディーズ・ドロップのインタヴュー。最強の「部屋聴き」をガイドする、部屋聴きディスク・ガイド40!

 ※他にも注目記事があるります!

■Sk8ightThing、ロング・インタヴュー
必読! 我らがヒーロー「スケシン」本紙初登場です!!! UKのゾンビーも虜にする、世界が注目する日本のストリート・ファッション界のカリスマ・デザイナー(生きる伝説級)が、相棒のトビー氏と共に音楽について熱く語る。本誌のための書き下ろしの作品もアリです。

■保坂和志×湯浅学「音楽談義 その1」
同世代人でもあるふたりの巨匠が、ビートルズとローリング・ストーンズの話を皮切りに、邦楽洋楽と音楽話に話を咲かせる! とくに保坂和志がここまで音楽について話したことはいままでなかった。

■これは便利! 購読者限定の電子書籍アクセスキー付き!
アナログ盤に付いているダウンロード・コードみたいなものですが、これがすごい機能。スマホ、PCですべて見れます。検索機能も付いています。通勤/通学中にお気軽にエレキングが読める!
恐縮ながら、今号、価格が100円上がっています。しかし、実際この電子版を見ていただければご理解いただけるはずです。電子版だけでも価値アリです。

■新連載もスタート!
web ele-kingでも大人気、UKカルチャーのご意見番・ブレイディみかこ&BL批評の最強刺客・金田淳子が登場します。

購入はコチラ

そういうわけで、今号も、どうぞよろしくお願い申し上げます!!

(ele-king スタッフ一同より)

interview with Seiho part.2 - ele-king

part.1から続く
interview with Seiho part.1- テクノ新世紀・立志編

Interviews

レコード聴くのとCD聴くのは、明らかに感覚が違うじゃないですか。それは理解してるんですけど、CDをiTunesに入れて聴くのと、CDをコンポで聴くのと、僕のなかでは違うんですよ。まったくおんなじデータのはずやのに。それに近いです。

セイホー君はガキの頃からネットに馴染んで、ナップスターも経験してている。音楽はカネで買うもんじゃないってことを最初に覚えてしまった世代かもしれないじゃない? それなのにレーベルやって、配信ではなく、CDというモノとして売るってさ......

セイホー:僕がお金を出して買っているものは、さっき言ったような〈12K〉とか、どっちかって言うと美術品として買ってるようなCDが多かったんですよね。それと、TSUTAYAに並んでるシングルCDとは明らかに違うじゃないですか。そこですかね。

ああ、そういう感覚って僕らの世代ではあんまりないけど、たしかにセイホー君ぐらいの世代から見たら、その辺の線引きがはっきりしちゃってるのかもな、って感じがするね。

セイホー:レコード聴くのとCD聴くのは、明らかに感覚が違うじゃないですか。それは理解してるんですけど、CDをiTunesに入れて聴くのと、CDをコンポで聴くのと、僕のなかでは違うんですよ。まったくおんなじデータのはずやのに。それに近いです。
 ほんとに感覚だけの話なんですけど。別にiTunesから出そうが、そのPCが繋がってるスピーカーは同じやし、これが読み取ってるだけなんですけど、それをコンポに入れてスピーカーで聴くのと、なんか違うんですよね。わかんないですけど。それと、パッケージを開けて聴く、その行為も含めて。

レーベルとしてとくに意識してること、作り手として意識してることってありますか?

セイホー:大阪も含め地方都市のイヴェントに行って思うのは、まあそれも対東京になっちゃうんですけど、東京は「チャラい」っていうジャンルでも細分化されてイヴェントがあるんですよ。「ひとりでどうにかせなあかん」ぐらいの感じなんですよね(笑)。僕らはどっちかって言うと、全員集めてどうにかせんとパーティとして完結できないっていうのがあって。だから、4つ打ちのビートをやってる子らも、ジュークやってる子らも、ヒップホップから来てビートやってる子らも、同じ場所に来てお披露目っていうかライヴをせんと、パーティとして成立しないっていうのがひとつです。
 もうひとつは、そんなガチャガチャやってるなかでお客さんが「今日はやっぱりジューク良かったなー」ってなると、ダンス・ミュージックをやってる子のBPMが上がっていくんですよね、やっぱり(笑)。そのなかで、135とかで作ってた子が、155ぐらいまで行ったときのジュークっていうのもまた、新しくて。それで違う進化をしていくというか。更新されていくところが楽しいなと。

PCがここまで普及したこんにちでは、家でユースト観たらいいやってやつも逆に増えてきちゃって。べつにクラブに行かなくてもいいや、っていう人もセイホー君の世代では多いじゃない? 

セイホー:うーんと、ひとつは、ユーストリーム観てて楽しいのはほんまにわかります、っていう。やっぱこう、再生数が上がっていく感じのテンションの上がり方っていうのは、ドミューンができる直前ぐらいにオカダダくん(註:関西拠点の、その界隈で人気のDJ)がクリスマスの日に自宅からぽっと放送したら、すごい数の再生になったんですよ。なんかもう、爆発しちゃって。べつに、なんとわなしにDJしてただけなんですけど。「寂しい夜にひとりでDJします」みたいな感じで。ツイッターが盛り上がってきたときと、ユーストリームができ出した頃やったんで、ドミューンができる前にバーンと再生数が増えて。
 ああいうのがあって、やっぱ面白いなっていうところと、けれども、さっき言ったジュークとかハドソン・モホークのトラックとかをヘッドフォンで聴いても面白くないですよね、みたいな。クラブのウーハーが鳴っているところでしか味わえないもの、僕のなかでは「アトラクション音楽」って呼んでるんですけど。

はははははは。

セイホー:アトラクションっぽい音楽ってやっぱあるんですよね、クラブ・ミュージックでは。

音を体感するっていうね。

セイホー:そうですね。だから3D映画は自宅でもいいけど、USJぐらいの規模になるとやっぱ行きたいな、みたいな。

なるほどね。橋元が観たのはゴールド・パンダのときだよね。

橋元:そうですね。

わりと最近、いろんなところに呼ばれてるでしょ? 〈ロウ・エンド・セオリー〉とか、そのゴールド・パンダ、あるいはソナーであるとか。やっぱ意識してるの? 壁を作らないようにというか、小宇宙化しないようにとか。

セイホー:僕はそうですね。僕はけっこう意識してます。

いまはDJが専門家化しているから、それが意外と難しいんだよね。

セイホー:そうですね。だからさっきの大阪の話で言うと、対応力だけはついてるんですよ。場数は踏んでて。たとえば全然知らんバンドの前座に呼ばれてみたいなときにどうするか、ってさんざん悩んだ挙句、編み出した方法とか(笑)。あと4つ打ちのパーティに呼ばれて、「こんなオシャレなとこで俺どうしたらええねん」みたいなときに編み出した手法とか。っていうので積み上げてきたものがあって、それをフルに生かしてる感じですね、いまは。

あと、なんでそんなにカセットが好きなの?

セイホー:カセット好きなのはさっき言ったのといっしょで、フェティッシュな部分っていうか、CDをコンポで聴くのといっしょで、カセット・ウォークマンで聴く行為そのものが好きで。で、〈リーヴィング・レコーズ〉がやっぱ好きやって、マシュー・デイヴィッドから〈リーヴィング〉のカセットを直接こっちに送ってもらったりしてて、カセットが好きやっただけですね。レーベルを立ち上げたちょうどぐらいのときに、〈リーヴィング〉をずっと聴いてたっていうのがありますね。

〈リーヴィング〉やマシューデイヴィッドって、日本ではストイックに受け止められてるフシがあるからさ。もっとイージーというか快楽的というか、いい意味でテキトーだと思うけど。

セイホー:そうなんですよ。雑多な音出すし、それこそカセットテープとかもチャチいしひずんでたりもするんですけど、でもそれが面白いなっていうか。ほかに〈ノン・プロジェクツ〉っていう、もうちょっとマイナーなレーベルなんですけど、そことかは......うちのマジカル・ミステイクがLA出身ニューヨーク育ち、で、いま日本で仕事してるんですよ。で、彼がアメリカ行ったときにカセットのレーベルからカセット買って来てくれたり。

音はめちゃくちゃデジタルなのに、そういうアナログ愛みたいなものがあったり、いろんなところで重層的に矛盾があるんだね。

セイホー:そうなんですよ! その矛盾をずっと話し合ってるんですけど、結果的によしとしようかってなってるんで。いろいろ話し合ってても、「あれ? さっき言ってた美的感覚とちょっとズレてない?」ってことがよくあるんですよ、僕らのなかで。

矛盾がないものなんてつまらないからね、ほんと。

セイホー:それはその瞬間に立ち会ったときに、どっちがカッコいいかを言えればいいか、ぐらいの(笑)。

(笑)じゃあその辺りも話し合うんだ。

セイホー:話し合いますね。それこそ美的感覚をきっちりしたいって言ってる連中もいるし、でもけっこう雑多な人間が集まってくるんで。

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フィジカルで僕がいちばん大事にしてるのは、アーティストの責任というか。バンドキャンプでデータで3枚4枚出してても、「うわーあれダサいなー」と思ったら消せるんですよ。でも、フィジカルで出しちゃうと残るんですよね。

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Seiho
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Day Tripper

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今回のアルバムのアートワーク。あれは外国人の女性?

セイホー:そうです。

アリエル・ピンク(笑)?

セイホー:(笑)でもあのジャケットは、僕のなかで言うタンブラー感というか。タンブラーであれが流れてきたらファボるな、みたいな。いいね! つけるな、みたいな。ちなみにあの人はフィンランドですね。北欧のほうですね。あの子も、PVを撮ろうって決めてスタジオを押さえてから、クラブいろいろ行って、ナンパしたんですよ(笑)。

ナンパして、「いいよ」って?

セイホー:1日だけ空けてもらって。

あのポーズとかも全部決めて?

セイホー:そうです。僕のなかでは"アイ・フィール・レイヴ"の映像も、断片的なGIF画像の積み重ねのなかのエモーションみたいな部分があって。短く印象的なものが積み重なって1本になってるみたいな。プラス、僕らのジャンルはユーチューブとかでああいう女性の写真とかとくっつけられてアップされまくるんですよ。

へえー。そうなの?

セイホー:僕もこの現象が何なのかよくわかんないんですけど、音源をエロい女の子の画像と合わせてアップされるんですよ。有名なサイトやったら〈マジェスティック〉とか、ユーチューブのサイトで。フォトグラファーの紹介でもあると思うんですよ、あの場所は。向こうのフォトグラファーとモデルといまの音楽っていうのを3つ同時に紹介する場所としてあって。だからまったく知らん女性のちょっとエロい写真と、〈マジェスティック〉のロゴと、自分らの曲がアップされてるんですよ。まあ、そこのサイトはフリー・ダウンロードの曲に限るんですけど。〈マジェスティック〉を運営してるやつらとも、いまはもう知り合いになって、フェイスブックとかでコミュニケーション取ったりするんですけど。向こうではそれはそれで一種のメディアになってるんですよね。〈マジェスティック〉さえ聴いといたら最近の音楽聴けるみたいな感じで、みんな〈マジェスティック〉から聴いてますね。

へえー。全然知らなかったよ。

セイホー:で、海外のアーティストはけっこう〈マジェスティック〉に嫌悪感があるらしくて、「〈マジェスティック〉に発表せんといてほしい」って感じなんですけど、僕は敢えて面白がってああいう感じのジャケットにしてるんですよ。だからタイトルの感じも、見てもらったらわかるんですけどユーチューブの動画まんまなんですよね。

デジタルな世界とリアルな世界を両立させるっていう。

セイホー:くっつけてるというか。とにかく、エロいっていうのが僕のなかでは重要ですね。

セイホー君は大雑把に言えばオタク世代だからさ、エロと言えばアニメじゃない? 日本のアニメって、あれがフランスで受けているのはエロだからだと思うし。

セイホー:そうなんですよ! そこは僕もあんまりわからない。僕はやっぱり、生身の女性が好きなんで。

しかもロリータだしな。

セイホー:そうなんですよ。わかんないですね、そこは。

橋元からはどう?

橋元:わたしが面白いなと思ったのは、お父さんとの関係が大きいのかなって。いまごろ音楽のモチーフで父が出てくることってあんまりないっていうか。

セイホー:でも僕のなかでも、おかんもデカいですよ。服は全部おかんのお下がりなんですよ。

えっ、それも!?

セイホー:これ、おかんのお下がりです。

お母さんすごくいいセンスしてるね! 

セイホー:最近、アルバムを見てたらおかんがこれ着てるの見つけて、「これどうなってるねん」みたいな(笑)。で、「押入れのなかにあるはずや」ってなって、実家帰って押入れのなかから探したら出てきたっていう(笑)。ここに僕を抱っこしたときのヨダレがついてるんですよね(笑)。

そうなんだ! 

セイホー:だからいまだにおかんとふたりで服買いに行きます、僕は。

橋元:なるほど、おかんですか。共有できる服をいっしょに買いにいくとか、母と息子の関係としてはわりと新しいですよね。一種のフェティシズムとして先ほど生身の肉体の女性の話も出てきましたが、そういうおかんからの連続性ってあるんですかね?

セイホー:そうですね。僕のアルバムの1曲目でランス(RHEIMS)って入ってるんですけど、それはベティーナ・ランスのことで。ベティーナ・ランスのマドンナとかを撮ってる写真って、その両面を持ってるんですよね。エロいんですけど、男だけがわかるエロじゃないエロさみたいな。そこにけっこうこだわって作りましたね。

ダンス・ミュージックはそこ重要だよね。セイホー君が赤ちゃんだった頃に比べて、情報社会っていうのはさらにカオティックになってるじゃない? 

セイホー:そうですね。さっき、CDをコンポで聴く話をしたじゃないですか。あれが僕のなかでいちばんやりたいことで。データのなかでももっともフィジカルに近いデータっていうものが僕らのなかであるんですよね。「もの」に近いデータっていうのがあるはずなんですよ(笑)。この感覚は、僕らのなかで話してても誰にも通じないんですけど、iTunesで買ったなかでも大事じゃないデータと大事なデータってあるじゃないですか。でも、おんなじはずなんですけど。でも、それが好きな曲か嫌いな曲かってことだけじゃなくて、フィジカルに近いデータっていうのがあるんじゃないかって僕のなかでは思ってて。

なるほどねー。

セイホー:で、その感覚っていうのを突き詰めたことをしたいなっていうのがいちばんにあります、いまは。難しいんですけどね(笑)。

セイホー君が「レイヴ」っていう言葉を使うときの「レイヴ」っていうのがさ、ダンスの「レイヴ」だけじゃなく、こんにちの情報社会のカオスのなかにおける「レイヴ」って感じだと思うんだよね。

セイホー:それはあります。

セカンド・サマー・オブ・ラヴみたいなああいう60年代ぽいものではなくて。カオスなんだけど、カオスとして受け入れたなかでのある種の祝祭空間みたいなものだから、すごくアッパーになってるのかなって。

セイホー:サンプリングができた頃からそういうような感覚があったのかもしれないですけど、たとえば808のカウベルが鳴るだけで、「はい、80年代っぽい」とか、1音のマイクロ・サンプリングのなかに文脈を感じられるっていうのをみんな持ってて。たとえば「このキックやったら、はい、誰々で」、「このキックやったら○○年代ぽくって」、みたいなものが、すごく複合的に頭のなかで処理できるスピードの勝負みたいなものが――。

すごいところで勝負してるんですね。

セイホー:それと、文脈をどう併せ持つか、というか。

インターネットと、セイホー君や〈デイ・トリッパー・レコード〉がどのようにして付き合っていくか、どんな考えがある?

セイホー:〈デイ・トリッパー〉は、この形態を続けようと思うんですよ。で、もしも変わるとしても、データ配信10本、20本して、10枚組のボックスめちゃくちゃ高いのを出すみたいなものになったりするのかな、って思ってるんですけど。まあでも、〈デイ・トリッパー〉は〈デイ・トリッパー〉で単純に場所なだけなんで。〈デイ・トリッパー〉としては、まあ〈ファクトリー・レコード〉みたいになりたいな、と。装丁がいまみても、やっぱ豪華やし。あんだけカネ使ったフィジカル出せる余裕っていうか......まあそれで潰れるんですけど(笑)。でもそれがおもろい、やっぱあれぐらいやりたいなっていう。
 フィジカルで僕がいちばん大事にしてるのは、アーティストの責任というか。バンドキャンプでデータで3枚4枚出してても、「うわーあれダサいなー」と思ったら消せるんですよ。でも、フィジカルで出しちゃうと残るんですよね。そこのケジメを踏むか踏まんかっていうので、ミュージシャンが進むか進まないかっていうのが僕のなかではけっこう大きくあって。同世代よりも下の世代にそれを踏ませたいっていうか。だからフィジカル・リリースに関しては、対お客さんに関してはどうでもいいことなんですけど、僕のなかではけっこう重要なことで。やっぱそこを踏んだアーティストと踏んでないアーティストは、僕のなかではライヴの質が違うような感じがするんですよ。

いまは、下手したら現在の音楽よりも過去の音楽のほうが売れる時代だと言われていて、新しい音楽をやってる立場としてはさ、いま起きてることにもうちょっと注目してほしいという気持ちはない? 

セイホー:僕のなかのさっきのバランスの話で言うと、僕らが直面してる問題として、1回きりの音楽が大量にあるんですよ。僕らの仲間で言うと。ツイッターで流れてきてサウンドクラウドで聴いて、しかも30秒ぐらいだけ聴いて、一生聴かれない音楽が山ほどあるわけじゃないですか。それと繰り返し聴けるアルバムが両方あったときに、僕らはどっちがいいか決められないんですよ。「明らかにこっちやろ」っていうのはないし、1回きりの音楽も、スリリングで魅力的なんですよ。一生出会えへんけど、ツイッターで流れてきたから聴いた音楽のスリリングさとか、アーティストもそれが誰かの耳に1回きりしか入らんことを前提に作ったスリリングなものへの魅力と、通して聴く作品の魅力と両方あるから、そこは何とも言えないですよね。

音楽が売れなくなった理由として、非合法のフリーダウンロードがあるからだって意見があるわけだけど、それに関してはどう思う?

セイホー:それはまったく関係ないですね、僕のなかでは。フリーダウンロードして良かったら、買うっていう(笑)。

俺も、そう思う。

セイホー:そうですよね。そこはあんま関係ないっていうのと、あと作り手も多くなってるし、聴き手も減ってはないと思うんですよ。だから分散されただけで、危機的な状況じゃ全然ないと思う。だからノイズとかやってる人らからしたら、状況はずっと変わらないんかな、みたいな。

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誰と会っても音楽の話しかしないですからね。まあ僕がかもしれないですけど。立ち呑み屋行って、まあ僕も1杯2杯なら飲むんで、5、600円だけ使って、飲んで出て、あとはファミレスでずっとコーラで音楽の話みたいな。

トーフビーツみたいな人はさ、無料配信した曲が後からパッケージして売れているわけで、ポップスのあり方を更新していると思うんだけど、セイホー君はそういうことは考えない? メインストリームに自分がどう絡んでいくかっていう。

セイホー:僕が相方とやってるシュガーズ・キャンペーン(Sugar's Campaign)は、けっこうメインストリームのバンドなんですよ。そっちはメインストリームに行きたいなと思うんですけど。

バンド?

セイホー:バンドっていうよりは......でもふたりともビート・メイカーなんですけど、ドラムとギターなんですよ。

ニューウェイヴ・ユニット?

セイホー:ふたりとも久保田利伸と山下達郎が好きなんで、そういう感じっす。AORみたいなバンドをやってて、そっちはスキマスイッチになりたいなと(笑)。

(笑)おおー。それは聴かせてほしかったね。

セイホー:ユーチューブで"ネトカノ"っていう曲を1曲だけアップしてます。アヴェック・アヴェックとふたりでやってます。

〈デイ・トリッパー〉としては、音楽的なコンセプトを曲げないまま、もうちょっと大多数にアピールするってことはすごく意識してる?

セイホー:意識はしてます。繰り返しになるけどバランスの話で言うと、僕のなかで譲れる部分は100パーセント譲りたいんですよ。音を作ってる上で譲れない部分はあるじゃないですか、絶対。それもあるけれども、どうでもいい部分もけっこうあって(笑)、たとえばツイッターでの発言とかも管理するレーベルは管理するらしいんですけど、そんなんはどうでもよくて。広がったらいいんちゃう、ぐらいの感じで。譲れる部分を100パーセント譲ることで、どうにかメインストリームに行けへんかな、みたいな。

ははははははは! やっぱ音楽性で行かないと、そこは(笑)。

セイホー:まあ音楽性の部分でも、譲れる部分はあって。「や、これ4つ打ちに変えてください」って言われたときに、その音楽が本質的に4つ打ちじゃないって思ったら譲れないですけど、これ4つ打ちでもいいなと思ったら、そこは譲るみたいな。たぶん音楽のなかで譲れる部分と譲れない部分があって、譲れる部分を多くの人に聴いてもらうっていう目標は確実にあります。自分の音楽性を変えないって目標よりも、多くの人に聴いてもらいたいってほうが優先されます。僕のなかでは。

じゃあ自分たちの上の世代の文化で、これは違和感があるっていうものはある?

セイホー:うわー、これはいっぱいありそうやなー。

はははは。遠慮しないで言っていいよ。

セイホー:でも、いちばん僕のなかで大きかったのはドラッグですね。さっき言ったアルコールお話もそうなんですけど、ものすごくクリーンなんですよね、僕らのまわりって。

橋元と同じだね!

橋元:いやー、ほんとに共感します。

ははははは! いま活動しているレーベルで、すごく気になるレーベルっていうと何になる?

セイホー:〈ラッキー・ミー〉ですかね。レーベルがやってることというより、〈ラッキー・ミー〉に関してはやっぱキャラですね。キャラが全員立ってるっていう。

ああー、そうだよね。

セイホー:あとはディプロの〈マッド・ディセント〉。そのふたつは憧れですね。

音楽以外では遊ばない?

セイホー:誰と会っても音楽の話しかしないですからね。まあ僕がかもしれないですけど。立ち呑み屋行って、まあ僕も1杯2杯なら飲むんで、5、600円だけ使って、飲んで出て、あとはファミレスでずっとコーラで音楽の話みたいな。

いや、素晴らしいですね。それは、うちらの世代も同じですよ。お金ないし、そんなに酒も飲めないしね、若い頃って。友だちと音楽の話してるのがいちばん楽しいもんね。

セイホー:たぶん僕らのなかでは、遊びのフィールドそのものが拡張されてて、「インスタグラム」のおもしろ写真とか、ツイッターのおもしろワードとかがそこに置き換わってるのかもしれないです。より面白い写真撮ってきたもん勝ちのフィールドで、世界を相手に戦うみたいな(笑)。

Day Tripper Records Discography

文:Redcompass
コンピレーション企画"FOGPAK"主宰。 魔術とおばけをキーワードとした選曲で、DJにはiPadを使用する。フリーフォークからはじまり、アブストラクト・ヒップホップやIDMなどを経由、そしてチルウェイヴの海に漕ぎ出す。 その後の消息は不明。曲の買いすぎで瀕死になることもしばしば。 甘いもの全般とコーラが大好き。健康診断は苦手。
https://fogpak.bandcamp.com/ 

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Seiho - MERCURY (DTR-001)
Seihoの第一作目のアルバムであり、〈Day Tripper Records〉の第一弾のリリースでもある本作は、まさに関西のもうひとつの「水星」ともいえよう。マーキュリーという名前の元となったメルクリウスという神は、商業や旅人の守り神であり、まさに「デイトリッパー」の門出に相応しいアルバム名である。収録曲には全体を通して"濡れた"空気感があり、鍾乳洞や湖面などの水辺を連想させる。内側にたたずむ山羊のアートワークも象徴的で、"No Space... No Time..."には今の作風にも通じるものを感じる。

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mfp - Mindful Beats Vol.2 (DTR-002)
前作『Mindful Beats Vol.1』は〈OILWORKS〉より、Ichiro_とのスプリットとして発売されたが、今作のVol.2は〈Day Tripper Records〉からのリリースとなった。サンプリングを駆使した多面鏡のようなきらびやかなビーツが印象的だ。かすれたテープのようなシンセに存在感のあるベースが蛇のようにうごめき、複雑な動きのドラムがそれを刻み、脳をほどよく刺激してくれる。

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And Vice Versa - E.Tender (DTR-003)
一概にどのようなジャンルといえばいいのか難しいが、エレクトロニック寄りのBibioといった印象だ。瞬間瞬間で放たれるマイクログルーブが心地良く、一発一発のキックと後を引いていくベースラインが、水平線上に浮き上がる波のうねりのように視界に現れる。低音の圧や処理が都市のような整然さを持つのに対して、メロディを構成するサンプルにはアコースティックギターや巻き戻したような声が使われており、それらが不思議と調和しているのがなんとも面白く、魅力的に感じられる。たとえるなら、終電の地下鉄の中で故郷の星空を思い出す時のような。

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Leggysalad - Verda Planedeto (DTR-004)
第四弾のリリースとなった「緑の惑星」という名前をもつこのアルバムは、fhánaとしての活動でも知られるkevin mitsunagaによるソロプロジェクト、Leggysaladの作品だ。〈Day Tripper Records〉からのこれまでのリリースの中で、最も強く「昼」を意識させるアルバムである。ギター、ドラム、ヴォーカル、使われているありとあらゆる音とその結びつきが、太陽に照らされた新緑のような爽やかな心地良さを描き出している。metomeとLASTorderによる特典リミックスも素晴らしい。

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Magical Mistakes - Everything Uncertain (DTR-005)
海外から日本に移り住み、大阪のエレクトロニックシーンに立つErik Luebsによるソロ・プロジェクト。ポスト・ロックの影響下にある生音を用いた独特のビートミュージックを奏でる。メロディの音色には「哀愁」のようなものがあり、それは昔のRPGの海沿いの村のような空気を感じさせる。ジャケット光るキノコの灯台だが、パッケージを開くと内側には日没(あるいは日の出)のアートワークが姿を表す。それを踏まえて考えると、輝く盤面がまるで太陽のようにもみえ、まわる1日、そして過ぎていく日々の時間を意識させてくれる。

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Ogiyy - Duality (DTR-006)
第六弾のリリースとなるこのアルバムは、ヒップホップの影響を受けた良質なシティービーツだ。本作においてもっとも注目すべきトラックは2曲目のYadosu Kono Toki (feat. Nadsroic)だろう。NadsroicはHudson Mohawkeにも曲提供を受けている女性ラッパーだが、実は日本に板敷もあるそうだ。街を遠目にながめる川を月のゆりかごがゆっくりとしたBPMで流れていく、その川はやがて海へと繋がりどこか遠くの岸辺にたどり着き、やがて誰かの手に渡る。果てなき旅路への一歩を表す作品だ。

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DEATH FLAMINGO into the Memai - fictional pop (DTR-007)
まず断りを入れさせてもらうと、実はこのアルバムには本人たちによる曲解説があるので、ぜひネットの荒野を探していただきたい。ここでは私が感じたことを書かせていただく。ブロークンなビートにありとあらゆるジャンルから引っ張ってきた要素を絡みつかせており、ピンボールの針という針に片っぱしから色とりどりの紐を巻きつけて遊んでいるような音楽だ。普通の遊び方に飽きた人が、色々と工夫して自分なりのやり方を見つけるような、そういう面白さを感じる。この緻密なアートワークも自作というこだわりである。

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Madegg - Kiko (DTR-009)
彼の音楽が語られるとき、その年齢の若さが引き合いに出されることも多いが、彼が何歳であるかなど関係なく、この作品は本当に素晴らしいと思える。インディー・ロック、フリーク・フォーク、ローファイなどといった音の質感のもっとも良いところを"参考"にして構成されており、サンプリングではなく、音という文字を作るところからはじめ、曲という文を書き連ね、それを綴った本がこのアルバムだ。本作にはFour Tetの影響も感じられるが、私には既にそれを超えているように感じる。青は藍よりいでて藍より青しという言葉があるが、まさにその通りであると。

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Seiho - ABSTRAKTSEX (DTR-01-)
そして、今回リリースされたSeihoの2枚目のアルバム、"ABSTRAKTSEX"は、これまで彼が聴いてきた音楽の道標であり、さらにそれらを吸収して構築した"これから"でもある。同時に、彼が率いるDay Tripper Recordsに所属する全てのアーティストのエッセンスが組み込まれているようにも感じる。特に、4曲目の"Diamond Cloth"には同レーベルからカセットをリリースしているEadomnnの気配がある。このアルバムには「これがDAY TRIPPER RECORDSだ!」という彼からの強いメッセージがあるのではないだろうか。内側のアートワークに書きこまれた"「ヴァーチャル・リアリティと柔らかな肌」という"文面には、彼がこのレーベルを設立した存在意義の全てを象徴している。(そして、この内側の文面は他のリリースと異なり、ネット上では閲覧することができない! まさに、手に取り開封して初めて出会うことのできる体験である!!)そうこれは、リアルとネットを繋ぐ、まさに「アブストラクト・セックス」なのである。

DJ Purple Image - ele-king

 疑う余地もなく今月もっともホットなLAからの2リリースが到着。

 会うたびにいろんな意味で目ツキがヤバくなっている気がしなくもないアレックス・グレイ(Alex Grey)はLAのアンビエント・ハウス(紙ele-king参照)の住人のなかでもっともお調子者キャラを炸裂させている。彼もプレイするサン・アロー・バンド(Sun Araw Band)でお馴染みのキャメロン・スタローンズ(Cameron Stallones)のニタニタ笑い、猫背、マシンガン・トークも強烈だがアレックスのヘラヘラ笑い、常時ハイテンション、マシンガン・トークも強烈である。サン・アローはサウンドのみならずクレイジーなバンドであると断言しよう。
 アレックスほど数々の名義で活動するアーティストも珍しい。三田氏が大絶賛する彼の最新プロジェクト、DJパープル・イメージはフィールド・レコーディング、サンプリング、ソフトウェア・シンセジスをコラージュする実験音楽だ。ディープ・マジック(Deep Magic)のオーガニック・アンビエント、ヒート・ウェーヴ(Heat Wave)での妙チクリンなヒップホップ・トラックにも共通する彼の作風、潔く迷いが無いシンプルな構成はDPIにおいてもっとも輝きを放っている気がしてならないのだ。
 同居人であるショーン・マッカンやマシュー・サリヴァンたちの影響によるミュージック・コンクレートへの傾倒がDPIの動機になったであろうことは明らかであり、ゆえに僕はクリエイティヴ・コミューンの素晴らしさを見いだしてしまうのだ。
 でもエスプレッソ・ディジタルって......。

 そもそもアレックスやキャメロンのサン・アロー、キャメロンとゲドのダピー・ガン、マシューデイヴィッドやディーバたちに強く結ばれる熱きLA愛は地元に広く受け入れられているようだ。〈ダブラブ〉と〈ロー・エンド〉、それからストーンズ・スローも巻き込み、拡大を続けている。僕には彼らの音楽遍歴において何度めかの大きな波が押し寄せていることを確信している。

 マシューデイヴィッドの、彼自身の〈リーヴィング〉からひさびさのリリースとなる(『Disk II』以来?)は43分の長編アンビエント。
 はっきり言おう。これは大作である。同じく完全なアンビエント作品であったエクヘインからのデスティンでのダークな世界観とは真逆の、終始多幸感に満ち満ちたメディカル・ウィード級ストーナビエント。ディーヴァ(元ポカホーンテッド)との昨年の素晴らしいセッションも収録。ビートメイカー、マシューとしても学生時代以来のラップを復活させネクスト・レヴェルに達したと同様、彼のアンビエント・サイドも新たな空間を得たようだ。木陰の下にハンモック、強烈なジョイントの煙の先にかくも遅く、美しい時間が流れてゆく......。

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