「KING」と一致するもの

interview with Deerhunter - ele-king


Deerhunter - Monomania
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 ディアハンターの新譜がリリースされた。タイトル・トラックでもある"モノマニア"は、20世紀初頭に活躍したアメリカの怪奇小説作家H.P.ラヴクラフトの『霊廟』にインスパイアされた曲だという。屋敷の裏に広がる暗鬱な森に閉ざされた古い霊廟と、そこに祀られている一族の呪わしい最期について、異常な関心を抱いて執着していく少年の物語。取り憑かれるかに毎夜屋敷を抜け出し、やがて霊廟を眺めながらそのかたわらに眠るようにさえなった彼は、ついに鍵を手に入れ、なかへと足を踏み入れる。するとそこにはたくさんの棺にまじって自分の名の書かれた空の棺が安置されている。彼は思いを遂げるかにように歓喜と満足とをもって身を横たえる......。その後しばらく、彼は棺のなかでの時間に安寧を得るのだが、亡霊たちとの蜜月は長くはつづかず、最終的には家族や村人たちによってとらえられ、精神異常者として療養と幽閉を余儀なくされてしまう。

 この話と、バンドの中心であるブラッドフォード・コックスとのつながりはとても腑に落ちるものだった。筆者には、ブラッドフォードという人間もまた、つねに自らの棺を求めて歩き回っているように見えるからだ。

「その通りだよ。もしかするとそれほどダークなものではないかもしれないけど......棺桶ではないかもしれないけどね。でもなにか、それはそうだと思う。」

 『モノマニア』はディアハンターとしては5枚めのアルバムだ。そもそもはシューゲイズとも紹介され、サイケデリックなノイズ・ロック・バンドという佇まいだったが、メディアの注目を集めた『クリプトグラムス』(2007年)と、出世作といえる翌年の『マイクロキャッスルズ』とのあいだにひとつの転換点があった。平たく言って歌やメロディに比重が置かれるようになり、サウンドもアンサンブルもまどろむようなアンビエンスをそなえ、〈4AD〉への移籍が印象づけられた。それはアニマル・コレクティヴに端を発し、やがてチルウェイヴにまで接続していくことになるドリーミー・サイケのムード――2000年代中盤以降のシーンの様相を決定的に特徴づけた流れでもある――とも並走して、シーンに鮮やかな存在感を刻みつけることになる。多作なブラッドフォードだが、まさにそのクリエイティヴィティが全開となったところに、時代の機運もめぐりあわせた瞬間だったのだろう。この間の作風が伸びきって、ひとつの区切りをつけるかに見えたのが前作『ハルシオン・ダイジェスト』。さて次はどうなるのか......今作はなんとなく気分を入れ替えるような転換があるのではないかというタイミングでのリリースだ。

もちろん、この10年における最重要バンドのひとつとして彼らの評価を不動のものにしているのは、その単独性である。タグのつかない存在といえばよいだろうか。特定のジャンルにもスタイルにも人脈にも干渉されず、彼ら自身の原理に準拠するという在りかた。同年のブラッドフォードによるソロ・アルバムも、その理解の補助線となるかもしれない(アトラス・サウンド『レット・ザ・ブラインド・リード・ドーズ・フー・キャン・シー・バット・キャンノット・フィール』2008年)。モードをつかんでいるようでいて、その実まったくそれらに干渉されない......干渉されるスキもない音楽の在りかたが見えてくる。そこにはけっして普遍化されない種類の、彼にしか問えない固有の問いがある。

いまの時代のなかで自分たちがヒーローになりたいというわけではないんだけど、失われたもの、過去にあったおもしろいものを取り戻したいという思いはあって、そういう存在ではいたいよ。(ブラッドフォード・コックス)

「僕には大切なキャラクターがいて、それはジョーイ・ラモーンとかパティ・スミスとかロックンロールのアーティストなんだけど、(中略)いまいったような人たちはすごくつまらないところから脱出できた人たちだよ。マッチョイズムからもね。僕はすごく苦い人間なのに、みんなはセックスとかアルコールとかダンスだとかを求めてる。クソ・マッチョイズムというほかないよ。」

 これは筆者が1年前に行った本誌インタヴューからの引用だが、ブラッドフォードのなかにはこうした「つまらないところから脱出できた」単独者たちへのリスペクトとともに、音においても古いロックンロールへの憧憬がはっきりと感じられる。多くの曲から、パンクやガレージのフォームを透過してロイ・オービンソンやジョン・リー・フッカーが聴こえてくるし、ルー・リードやマーク・ボラン、グラム・ロックの艶やかさも顔をのぞかせる。ただ、かつてそれらは深い残響やドリーミーなメロディのなかに半身をうずめていたのだったが、この『モノマニア』からはかなりストレートに、ラフでルーズなロックンロールの魅力があふれ出てくる。これは多くの人にとって新鮮だったのではないだろうか。
 だがブラッドフォードのロックに「ご機嫌」はありえない。それがやすやすと手に入れられていたならディアハンターが生まれる理由もなかった。なにしろ墓なのだ。アトラス・サウンドの『パララックス』が出たころ、彼の目にはつめたい、不毛の光景が見えていたという。今作の乾いた音には、そうしたつめたさは含まれていないのだろうか?

「そうだね、"つめたい場所"ということについて言うなら、それは今回の音にもけっこう出ていると思う。怖い、奇妙な気持ちや感覚を表現したアルバムだよ。」

 するとすかさずドラムのモーゼズ・アーチュレタが補足する。結成のときからずっとバンドを支える存在だ。

「50年代のロックンロールをよく聴いていたから、そこから受けるパワーやインスピレーションに導かれていた部分は音の表面にはよく出ていると思う。だけど歌詞はすごくすごく暗いんだ。もしかしたら音もそれに引きずられてもっとダークになっていた可能性はある。グルーヴなんかを保っていられたのはひとえに、そのとき聴いていたロックンロールのおかげだよ。でもドライな、つめたい場所の感覚はかなり出ていて、とてもアンヴィバレントな作品なんだ。」


人気テレビ番組「レイト・ナイト・ウィズ・ジミー・ファロン」出演時の模様

 このアンヴィバレントについては、すぐに映像で確認できるだろう。人気テレビ番組「レイト・ナイト・ウィズ・ジミー・ファロン」出演時の演奏には鬼気迫るものがある。曲目は"モノマニア"。ファズが雄々しくうなる8ビートのロック・ナンバーで、けっしてダークな曲調ではない。しかし画面にはなんともいびつなムードが浮かび上がる。ニューヨーク・ドールズを彷彿させる出で立ちでマイクをつかむブラッドフォードだが、その指が見ていられないほど痛々しい怪我を負っているのだ(おそらくはそうしたいたずら)。笑えない冗談のような迫力は彼の歌にもみなぎっていて、「モノマニア」という言葉をまさにモノマニアックに繰り返しつづけるインプロ・パートに入るころにはそれがひとつの沸点を迎え、ブラッドフォードは突如スタジオを離脱。廊下を抜け、談笑している人の手の紙コップを奪い、それを飲み捨て、エレベーターに乗り込もうとする様子をカメラが追っていく。その間もマイクだけはスタジオの熱したドラミングとロケット・パントの雄弁なソロを拾いつづける......われわれはそこにありありと「つめたい場所」「怖い、奇妙な気持ち」を見るだろう。

 しかし、こんなロック・ヒロイズムが本気でキマってしまうアーティストがいま他にいるだろうか? 彼が古いロックにばかり心をひかれていくのはなぜだろう。ひょっとすると自らにとってヒーローと呼ぶべき存在のいなくなった世界で、自分がそれをやらざるを得ない、自分しかそれをやるものがいないというような孤独な思いが、ブラッドフォードにはあるのだろうか?

「僕のヒーローは父親だね。でも、そうだな、いまの時代のなかで自分たちがヒーローになりたいというわけではないんだけど、失われたもの、過去にあったおもしろいものを取り戻したいという思いはあって、そういう存在ではいたいよ。」

 彼にとって「失われたもの」「過去にあったおもしろいもの」というのはけっしてノスタルジーの産物ではないはずだ。筆者には、彼がロックのコスプレをしているのではなくて、かつてロック・ヒーローが担ったように、そこにたくさんの人が欲望や孤独や悪意を投影できる依り代になろうとしているように見える。

「うん。それがほんとにできたらうれしいよ。本望だ。実際にそういう歌詞もこのアルバムのなかに出てくるんだ。」

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 リリース・インフォには「精神病院で鳴らすための音楽を作りたい」といった発言も記されているが、病めるもの、いたみを知るものへのシンパシーも彼の音楽にとって大きなモチヴェーションだ。『霊廟』の主人公が墓のなかで見たものは、ある意味では現実でもある。彼の感じ方に病名をつけて納得するのは簡単だ。しかし、そうしたものに対する最大限のリスペクトや想像力を持っているのがディアハンターの音楽だと感じる。

「そう。すごくダークなとき、精神的に落ちてるときっていうのは、妄想することで救われたりする。墓のなかの想像も同じで、妄想することはそこから脱出する手段になることがある。」

50年代のロックンロールをよく聴いていたから、そこから受けるパワーやインスピレーションに導かれていた部分は音の表面にはよく出ていると思う。だけどドライな、つめたい場所の感覚はかなり出ていて、とてもアンヴィバレントな作品なんだ。(モーゼズ・アーチュレタ)


Deerhunter - Monomania
4AD/ホステス

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 妄想ということがドリーミーという感覚に短絡するわけではないが、彼らの甘くただれたような音像、深すぎるリヴァーブやディレイによる音の彩色は、その大部分がギターのロケットによるものである。それは彼のロータス・プラザ名義でのソロ2作から明瞭に聴き取ることができるし、アトラス・サウンドから引き算されている部分でもある。すでにシーンはこうした残響とヒプナゴジックの時代を通り抜けつつあるが、そうした影響もあるのかどうか、今作ではロケットのドリーム感はやや後退している。『モノマニア』における自身の役割についてロケットはどのように考えているのだろうか。

「ディアハンターの場合は曲ごとに自分の役割がぜんぜん違っていて、たとえば"レザー・ジャケットII"とそれにつづく曲でもまったく違うんだ。"モノマニア"なんかでは、ぼくのパートだけでひとつのムードを作り出したりできていると思う。」

 そう、とくにギター・ソロに顕著だが、外の世界を遮断するバリアのように機能していた彼の優しい音の幕は、突如その境界を押し広げ突き破るように動きはじめた。今作の音の変化はロケットの変化でもある。ブラッドフォードはある意味ではつねに変わらない。アーチュレタも、そこは強く意識している。

「ぼくは性質的にきちっとストラクチャーを立てるタイプというか。部分部分をきちんと決めていくのが好きなんだ。けどブラッドフォードっていうのはぜんぜん真逆だから、いっしょに音楽を作っていく上で、そこの違いがバンドにまた新たな方向性を生んでくれるんじゃないかと思う。役割とは言えないかもしれないけど、その違いを大事にしたいなと感じるよ。いつもの自分なら取らないような行動を、このバンドは引き出してくれる。みんなのことを信用しているからだと思うけど、そういう部分でリスクや挑戦をしてみようと思える場所だね。」

 それぞれに違う世界と方法を持ちながら、その内ふたりについてはソロも充実しながら、しかしぴったりと寄り添うようにいる。ディアハンターとは彼らにとってまるで場所の名のようだ。

「家族みたいなものだからね。いっしょにいる理由を問うという感じじゃないんだ。ディアハンターをやってないことなんて想像できなくて、これを家みたいなものだとするなら、逆にアトラス・サウンドは旅行って言ってもいい。ロケットもそうじゃない?」

 そう問いかけるブラッドフォードに、

「他のバンドに参加してるときに思ったんだけど、ディアハンターでは、話さなくても意思の疎通ができるんだ。以心伝心というか、だいたいすべてわかりあってる。ほんとに家族みたいな存在だよ。」

 とロケットが答える。なぜ音楽をやっているのかという問いを向けても、おそらくは同じような答えが帰ってくるだろう。それは家に帰るくらいあたりまえのことだと。ディアハンターの音楽の偉大さは、新しさにこだわらない、ある意味ではつねに外界の思惑とは無関係な活動をつづけながら、どうしてか、どうしても時代性と結ばれていってしまうところだ。そのダイナミズムがこんなにスモールな関係性から生まれているということに、われわれは勇気を与えられる。自分たちだけの夢と妄想の世界は、それを徹底して見つめさえすれば、世界につながるのだ......ジャケットの赤いネオンは、彼らの「霊廟」の墓碑銘である。死んでしまったものではない。それは生きて見つめるための墓、偏執狂的な生の名前なのではないだろうか。

AOKI takamasa - ele-king


AOKI takamasa
RV8

raster-noton / p*dis

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 昨年イギリス人から「タカマサ・アオキって知ってる?」と訊かれ、スイスの〈Svakt〉から「君がタカマサ・アオキについて書いた原稿を見せてくれる?」とメールされ、AOKI takamasa(青木孝允)は、外国人から教えられる日本人アーティストは少なくないが、いまやその代表のようだ。彼、そしてコーヘイ・マツナガ(NHK)の欧州での知名度、評価、人気は、ここ最近のエレクトロニック・ミュージックのシーンにおいてちょっと抜けているように思える。

 先日、〈Svakt〉レーベルから12インチを発表したばかりの彼の4年ぶりのアルバム『RV8』がベルリンの〈ラスター・ノートン〉から5月9日にリリースされる。これこそ、ダンス・ミュージックと実験音楽との見事な交錯だと言えよう。実に多彩なリズム、そしてさまざまなコードが自在に、巧妙に変化していく。最小の音数による大きな空間では、小さな工夫がたくさん待っている。耳と身体と想像力が突かれる。ele-kingでも、5月の下旬には、彼のインタヴューを掲載する予定ですが、リリースは5月9日なので!

 さらにまた、5月14日から5月18日まで、恵比寿リキッドルームの2階にあるKATAにて、AOKI takamasaとデザイナーのMAAとのデザイン・プロジェクト、〈A.M.〉の展示会が開かれる。開催中は、彼らの作品の展示のみならず、Tシャツの販売もあり。また、5月17日には、同所でアルバム『RV8』のリリース・パーティが開催される。
 日程 : 2013.05.14(火) -18(土)
 open15:00-21:30
 入場無料 ※17日は有料イベントあり

BEATS RHYTHM groove MNML


AOKI takamasa new album "RV8" release party

LIVE : AOKI takamasa, DJ : MAA
日程 : 2013.05.17(金)
open/start 20:00
料金 : フライヤー呈示 1000円 当日1500円 ドリンク代別


■以下、送られてきたプロフィールです。

AOKI takamasa

1976年生まれ、大阪府出身。自身にとってのファースト・アルバム「SILICOM」をリリースして以来、自らの方法論を常に冷静に見つめ続け、独自の音楽表現の領域を力強く押し拡げる気鋭のアーティスト。2004年~2011年はヨーロッパを拠点に制作活動、世界各国でのライブ活動を行い、国際的に非常に高い評価を受けている。2011年に帰国し、現在は大阪在住。これまでにPROGRESSIVE FOrM、op.disc、fatcat、raster-noton、commmons等、国内外の人気レーベルからのソロ作品や、過去には高木正勝とのユニットSILICOM、Tujiko Norikoとのコラボレーション・アルバムもリリース。また、坂本龍一、半野喜弘、サカナクション等のリミックスやエンジニアとしてACO、BUN / Fumitake Tamuraらのミックスも手掛けている。音楽活動の他、写真家としても精力的に活動中。また、2013年よりグラフィックデザイナーMAAとのハイブリッドデザインプロジェクト 『A.M.』を始動。

MAA

2008年より本格的なDJ活動を開始し、すでに東京のアンダーグラウンドなテクノ・パーティの数々でプレイを重ねている。 タイトで重心低めのグルーヴを持ったミニマルなテクノを中心に選曲。 そのプレイには長年のリアルなパーティ体験で培われた揺るぎない感性が息づく。グラフィックデザイナーとしての活躍も目覚ましく、これまでにAOKI takamasa / RADIQ / Yoshihiro HANNO / FUMIYA TANAKAなどのアルバム、12インチのアート・ワーク等を数多く担当。また、大阪難波CLUB ROCKETSにて行なわれていた名パーティi like.をはじめ、dance rodriguez / Lr / dj masda主宰CABARET @UNIT TOKYO / 半野喜弘主宰I WANT YOUなどのパーティフライヤーデザインを長きにわたって手がけている。2013年よりAOKI takamasa とハイブリッド・デザイン・プロジェクト 『A.M.』が始動。

KATA
https://www.kata-gallery.net


BLACK OPERAって何だ? - ele-king

 予想のつかない未来について書くことほど難儀なことはない。それが紹介であろうとも。いまここで紹介しようとしているイヴェントがまさにそれだ。イヴェント......と言うと軽い。実験だ。実験とは、まだ評価が定まらない領域にチャレンジすることであるから、リスクを伴う。その場を共有するオーディエンスは、その危うく、エネルギッシュで、スリリングな綱渡りを生で体験するわけだから共犯者である。5月2日の夜、渋谷の〈WWW〉でくり広げられるのは壮大なギャンブルである。

 V.I.I.M(https://twitter.com/VIIMproject)と〈ブラック・スモーカー〉(https://twitter.com/BLACKSMOKERREC)がタッグを組んで、なんとオペラを上演する。その名も〈BLACK OPERA〉。「映像を中心とした音楽とパフォーマンスの可能性を開拓すべく開催されてきた、映像作家、rokapenisを中心としたプロジェクト」であるV.I.I.Mと、言わずと知れたアヴァン・ヒップホップ・レーベル〈ブラック・スモーカー〉がさまざまな分野の一流の才能に呼びかけて実現する。

 V.I.I.Mはこれまで渋さ知らズオーケストラやディアフーフとコラボレーションしてきている。首謀者のrokapenisは、いまや〈ブラック・スモーカー〉のパーティ(例えば〈フューチャー・テラー〉との合同パーティ〈BLACKTERROR〉)には欠かせないVJでもある。〈ブラック・スモーカー〉は昨年レーベル15周年(!)を迎え、恵比寿の〈KATA〉(リキッドルームの2階)で〈BLACK GALLERY〉(https://www.blacksmoker.net/blackgallery/ )を開催して大成功を収めた。〈BLACK OPERA〉は、ある意味ではその続編と言えるかもしれない。

 まず出演者をチェックしてほしい。ミュージシャン、ラッパー、デザイナー、ダンサー、映像作家、デコレーター、DJ、造形家、現代美術家、文筆家......彼ら、彼女たちはいったいどこで、何をきっかけに接点を持ったのだろうか。いや、この日はじめて遭遇する演者もいるに違いない。読者のみなさん、もし自分の知らない出演者がいたならば、2人か3人、インターネットか何かでリサーチしてみて欲しい。予習のつもりで。わくわく、うずうずしてくるでしょう。

 シナリオはあるが、シナリオ通りにはいかないだろう。5月2日の夜、わたしたちはGambler's Fallacyのダイナミズムのなかで踊るのである。わたしたちには、輝かしい言葉に彩られた過去のムーヴメントやカルチャーを羨ましがる余裕などない。新たな扉を開くのは、彼らであり、わたしであり、あなただ。いったい全体、これだけ異なる分野の才人、偉人、変人、狂人、巨人たちが集結して、何をしでかすのか。目撃しよう。(二木信)


■V.I.I.M × BLACKSMOKER
BLACK OPERA ver.0.0 《The Gambler's Fallacy》

2013.05.02(thu) @ WWW <https://www-shibuya.jp> (Shibuya)
OPEN 19:30 / START 20:30
adv. 2,800Yen / door 3,000Yen

BLACKSMOKERとV.I.I.Mが贈る異形の祝祭!!!! 
ブラックオペラ!!!!

個々の活動通じて常に最前線の表現者達と手を組んできたBLACKSMOKERが、今回V.I.I.MとWWWとそのネットワークを駆使しオペラ作品を上演します。

唯一無二の音楽家・表現者達と絶対的なスキルのラッパーによるブラックオペラ=異形のオペラ!!

明るい未来の希望よりもいまを生き抜くタフさ、現状を憂うよりも異次元の祝祭を巻き起こす磁場を現場で体験せよ!!

ギャンブラーの誤謬《Gambler's Fallacy》
 ギャンブラーの誤りとは、ある出来事の起きる確率があらかじめ決まっているにもかかわらず、その前後に起きた出来事による影響を受けて、あたかも確率が変化するかのように誤って思い込んでしまうことである。例えば、コイン投げで「3回続けて表が出たので、4回目は裏のほうが出そうだ」といったもの。コイン投げの場合、それまで何回一方の面が連続して出たかにかかわらず、表が出る確率は常に50%である。

music:
山川冬樹
伊東篤宏
大谷能生
KILLER-BONG
JUBE
BABA
RUMI
OMSB(SIMI LAB)
DyyPRIDE(SIMI LAB)
hidenka
千住宗臣
and more

concept/text:
五所純子
大谷能生

art:
河村康輔
KLEPTOMANIAC
R領域
maticlog

dance:
東野祥子
片山真理
メガネ
Tanishq
ケンジル・ビエン

visual:
rokapenis

Opening DJ:
Shhhhh

お問い合わせ:03-5458-7685
〒150-0042東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル地下
https://www-shibuya.jp

プレイガイド:
チケットぴあ【Pコード:196-916】 https://t.pia.jp/ 電話予約:0570-02-9999
ローソンチケット 【Lコード:74424】 https://l-tike.com/ ※電話予約なし
e+ https://eplus.jp/



interview with The D.O.T. - ele-king


The D.O.T.
Diary

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 取材当日の午前中、マイク・スキナーの具合が悪く、病院に行った。なので、急遽、ロブ・ハーヴェイひとりで対応して欲しいとホステスの担当者から電話がかかってきた。これは困った。僕は、ザ・ストリーツはデビューからずっと聴いている。しかし、ロブ・ハーヴェイのミュージックに関してはずぶの素人。申し訳ない。
 The D.O.T.を、マイク・スキナーの新しいプロジェクトと見るか、あるいはロブ・ハーヴェイの新しい作品と見るかでは、おそらく違うのだろう。僕は、日本では少数派かもしれないが、ザ・ストリーツの最後の作品、『コンピュータ&ブルース』(2011年)の延長で聴いている。その作品が、わりとロック寄りの内容だったので、部分的にではあるが、The D.O.T.の予習はできていた。
 それでも、最初に『アンド・ザット』(既発曲の編集盤)を聴いたときには、CDを間違えたのかと思った。ほとんどラップもないし、ガラージでもないし、クラブ・ミュージックでもない。その代わりに......エルトン・ジョンのような歌が聴こえる(!)。
 『コンピュータ&ブルース』が、リリースから2年経ったいま聴いても良い作品であるように、The D.O.T.のデビュー・アルバム『ダイアリー』も、良いポップ・アルバムだ。ザ・ストリーツの作品にように、シニカルかつアイロニカルに屈折しているわけでもない。雑食的な音だが、基本にあるのはポップ・ソングだ。エモーショナルで、耳に馴染みやすいメロディ、綺麗なハーモニーがあって、クラブ・ミュージックのセンスも注がれている。

 しかし......先述したように、筆者は、ミュージックなるロック・バンドの音楽を知らない。『コンピュータ&ブルース』に参加したロブ・ハーヴェイについては知っている。ロブはその現実を受け止め、とても真摯に答えてくれた。


言葉表現の能力の高さ、素晴らしさに尽きるね。思いを言葉にするだけじゃなくて、その言葉や意味を、人に聴かせうる質にまで高めることができるんだ。正直、うらやましいと思った。

正直に言いますと、僕は、あなたのことを『コンピュータ&ブルース』で知ったような人間です。誤解しないで欲しいのは、ロブのことはリスペクトしていますけど、それまでミュージックのこともロブ・ハーヴェイのことも知りませんでした。

ロブ:オッケー、オッケー、よくそう言われるよ(笑)。

でも、『コンピュータ&ブルース』であなたが歌っている3曲は好きでした。

ロブ:アリガト。

編集部の橋元からは、「常識的に言えば、ミュージックは人気バンドで、とても有名だし、知らないのは頭がおかしい」と言われました。

ロブ:はははは。

実際、『コンピュータ&ブルース』がD.O.T.のスターティング・ポイントだったと言えるのでしょうか?

ロブ:初めて共作したのはこの作品でした。スタジオに入ったのも初めてだったし、それが可能性について考えはじめた時期でもあったよね。

ロブから見て、ザ・ストリーツのどんなところが好きでしたか?

ロブ:言葉表現の能力の高さ、素晴らしさに尽きるね。思いを言葉にするだけじゃなくて、その言葉や意味を、人に聴かせうる質にまで高めることができるんだ。正直、うらやましいと思った。音楽をやっている人間なら誰しも過去にはないものをやりたいと思うものだけれど、それを実行することは難しい。マイクはそれをできた数少ないひとりだ。その影響力は、アークティック・モンキーズにもいたる。イギリス人の直面している現実っていうのものを巧い言葉で表現するんだ。アメリカの真似ではなく、イギリス的なやり方でね。

アルバムではどれがいちばん好きですか?

ロブ:おお、難しい。『コンピュータ&ブルース』と言いたいところだけど、自分が参加しているからね......やっぱりファースト・アルバム(『Original Pirate Materia』)かな。強さを感じたのは。セカンド・アルバムはコンセプトというものを形にした作品で、シングル曲も良かった。『Everything Is Borrowed』は、スピリチュアルな歌詞も良いし、サウンドの様式的には僕が好きなタイプでもある。

『Original Pirate Materia』にはイギリスの名もない野郎どもの日常が描かれていましたが、あなたにとってはあの作品のどこが良かったんですか?

ロブ:目の前にあるモノを的確な言葉で表現していることだね。つまり、表現の仕方が、「いかにも」的な、何度も聞いたことがあるような言葉ではなく、しかも、あからさまな表現をしていない。それでも、多くの人があの歌詞に共感したんだよ。何故なら、そこには、ユーモア、知性、それから繊細さもあった。イギリス人はだいたい、繊細さを見せると弱い人間だと思われるんで、繊細さを隠す傾向にある。しかし、マイクは、繊細でありながら、弱さに覚えれなかったんだよね。

あの歌詞で描かれているようなイギリスの若者の日常には、ロブも共感できるものなの?

ロブ:まあ、僕は当時、バンドにいたし、まったく違ったライフスタイルだったからな。マイクの場合は、たったひとりの日常を描いているわけじゃないんだ。いろんなタイプの人たちの日常を描いて、物語として伝える。そこがすごいところだ。

あのアルバムは2002年でしたっけ? ああいうUKガラージに興味はありました?

ロブ:なかったね。僕がその頃いた北部は、ガラージよりもハウスやテクノのほうがかかっていたんだよね。最初に行ったギグはレフトフィールドだったよ。こういう感じで......(ドンドンドンドンとテーブルを4つ打ちで鳴らす)。

はははは。

ロブ:そう(笑)。

『コンピュータ&ブルース』は、ザ・ストリーツのなかでもロック寄りの作品でしたよね。"Going Through Hell"なんか、いま聴くとD.O.T.の原型みたいな気がします。

ロブ:うーーーん、それはやっぱザ・ストリーツの曲だと思う。ザ・ストリーツのとき、マイクはすべてをひとりで作らなきゃいけなかったんだけど、D.O.T.はもっと楽しみながら制作している。"Going Through Hell"はふたりでやった最初の仕事には違いないけどね。でも、やっぱその曲はザ・ストリーツの曲だ。

D.O.T.の方向性にとくに影響を与えた作品はありますか?

ロブ:マイクのほうがいろいろな音楽を聴いているからね。僕は、他の音楽からの影響というよりも、自分自身が良いミュージシャンになりたいという気持ちのほうが強い。生きていて、生活のなかからインスピレーションをもらって、それをいかに音楽の形にするか。ソングライターとしてとにかく成長したいという思い、新しい音楽の作り方を模索したい、自分のメロディをさらに良いモノにしたい、歌い方も、いままでやったことのない歌い方に挑戦したい。そういった思いが僕を音楽に突き進ませるんだ。

とてもエモーショナルで、ソウルフルな音楽、そして親しみやすいポップ・ミュージックだと思ったんですが、あなたから見て、もっともD.O.T.らしい曲はどれでしょうか?

ロブ:"Blood, Sweat and Tears"だね。

ああ、メランコリックな曲ですね。

ロブ:そうだね。

僕は。"Under a Ladder"や"How We All Lie"のほうがD.O.T.らしく思ってしまったのですが。

ロブ:"Under a Ladder"は基本的にマイクひとりで書いた曲だよ。

"How We All Lie"は?

ロブ:僕らふたりと、もうふたりのミュージシャンとの合作だね。歌メロは僕が担当して、他のヴァースはマイクが書いた。

"Blood, Sweat and Tears"がもっともD.O.T.らしいと思う理由は何でしょう?

ロブ:それぞれが得意としているところをしっかり見せているからだね。プロダクションもシンプルで、歌も直接的で、装飾的ではなく、人の心に訴えるような曲だと思う。

"How We All Lie"や"How Hard Can It Be"のような、興味深い曲名が並んでいますよね。

ロブ:みんなに考えさせたいと思ってそういうタイトルにしたんだよ(笑)。

歌詞についてのあなたの考えを教えて下さい。

ロブ:ひとつの具体的なことを歌っているわけじゃないので、好きに解釈してくれればいいよ。より多くの人の感情がアクセスできるような、共鳴できるような歌詞にしているし、その言葉によって自分も救われたいというか。

その言葉は社会から来ているのでしょうか? それとももっとパーソナルなもの?

ロブ:どちらにも受け取れる。たとえば"How Hard Can It Be"は、政府のことかもしれない。あるいは、恋愛関係のことかもしれない。自分と自分のことかもしれないし。聴き手次第だね。

訳詞を読みながら聴くべきだと思いますか?

ロブ:僕なら読まないね。音を聴いて欲しい。だって、同じ言葉でも、僕の歌い方によって感じ取り方が違うと思う。歌詞ってそういうものじゃん。

たしかに感情的なところは歌い方によって違いますからね。

ロブ:そういう意味では、僕の歌はつねに個人的なところから来ていると思う。芸術家ってそういうものなんじゃないかな。商品を作っているんじゃないんだ。描きたいから描くのであって、僕も謡から歌っているんだ。D.O.T.では、マイクが頭脳担当なら、僕は感情担当なんだ(笑)。たしかにザ・ストリーツの素晴らしさは言葉表現だったと思う。でも、ミュージックは、誠実さ、迫力、もっとエモーショナルものだった。僕がD.O.T.に持ち込んでいるのは、そういうことなんだ。つまり、これは、ザ・ストリーツとは違うんだ。

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 その当日、結局マイク・スキナーの体調は戻らず、取材はキャンセル。帰国後、電話を使っての取材となった。ロブ・ハーヴェイが言うように、言葉表現の巧みさを持った彼の作品について訊くのは、歌詞を精読してからのほうがベターなのは間違いないが、いままで知らなかった彼の音質へのこだわりなど、興味深い話が聞けた。

僕はダンス・ミュージックが大好きでDJもよくするし、僕のルーツのひとつだからね。いまはThe D.O.T.のリミックスもやっているところなんだけど、そっちはよりクラブっぽい音になってるよ。


The D.O.T.
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『コンピュータ&ブルース』がラップ、ダンス、ロックのブレンドだったわけですが、ロブは3曲参加していますよね。ザ・D.O.T.は、『コンピュータ&ブルース』を契機に生まれ、その延長として発展したプロジェクトとして考えて良いのでしょうか?

マイク:そうだね。これがはじまったのは偶然みたいなものなんだ、ちょうどその頃僕たちふたりとも当時やっていたプロジェクトがひと段落するところでさ、最初にまず2曲くらい一緒に作ってみたらすごくいい感じのものができて、そこからそのまま一気に進んでいったんだよ。

『コンピュータ&ブルース』制作中にはすでにThe D.O.T.の構想はありましたか?

マイク:えーっと、ロブがザ・ストリーツのツアーを一緒に回って、その後にザ・ミュージックのラスト・ツアーに出てたから、はじまったのはザ・ストリーツの活動が終わってすぐかな。僕のスタジオを中心に、ロンドンのいろんなスタジオで制作していったんだ。僕にとっては、ずっとほとんどひとりで音楽を作っていたから他の誰かとやるっていうのは初めてだったし、ずっとバンドでやっていたロブにとってはふたりだけでやるのは初めてだったから、お互いに新しい挑戦だったよ。

『コンピュータ&ブルース』に入っている"Going Through Hell"なんかはザ・D.O.T.の原型みたいじゃないですか?

マイク:ああーうん、そうだね! The D.O.T.の基本的なアイデアとしては、僕のプロダクションの上にロブの歌やメロディをのせていくって感じのものが多いんだけど、"Going Through Hell"でもロブがメロディを書いたんだ。今回のアルバムの曲の多くとは、基本的な原理は同じで組み合わせている要素も同じだから、結果的にかなり近いものが出来たと思う。

あなたは、『コンピュータ&ブルース』というザ・ストリーツの最後のアルバムで、なぜロック的なアプローチを取り入れたのでしょうか?

マイク:いろいろな違った方法を試してみるっていうのは大事だと思うんだ。同じことを同じ方法でやってばかりいると、ありきたりで予想のつく音楽になってしまうからさ。ただ僕自身はあれがとくにロック的だとは思っていないよ。ロックっぽく聴こえるのは、良いヴォーカルを入れようとした結果じゃないかな。

ザ・D.O.T.で、よりソウルフルな、エモーショナルなポップ・ミュージックにアプローチした理由を教えてください。

マイク:今回The D.O.T.の音楽を作る上では、あんまりいろいろなことを意識してやっていたわけじゃないんだ。特定の誰かと一緒にスタジオに入ったときに、なんとなく楽器を手に持って弾きはじめる......みたいな感じだった。ただ僕は元々がラップ・ミュージックから来ているから、アルバムを作るときも自然とエモーショナルな方向にいくし、ロブはソウルフルなシンガーだからそういう音になったね。

とても聴きやすいアルバムだと思うのですが、とくにザ・D.O.T.らしい曲はだれだと思いますか? 

マイク:"Blood, Sweat and Tears"は僕らがThe D.O.T.としてできることのいい見本になっていると思うよ。かなり短時間でできたストレートな曲で、僕の好きなビッグなドラムの音が入っていて、ロブのヴォーカルにもすごく感情が込もっている。

"Under a Ladder"は?

マイク:"Under a Ladder"は僕がほとんど自分ひとりで作った曲だね。なんていうか、このアルバムは僕らが作った幾つものトラックの中から選んだベスト・トラック集みたいな感じなんだよ。

では実際に作ったトラックは何曲ぐらいあったんですか?

マイク:僕のデスクにある記録だと、70曲強だね。そのなかから完成させたのは40から50曲くらいかな。

かなりありますね! そちらのリリースはしないんですか?

マイク:次にアルバムを作るときは、またいちから新しい曲を書くと思うよ。これまでにインターネットに上げた曲や今回のアルバムの曲はみんな似たような雰囲気があるしさ。でも、またもう少ししたら新しい曲を書きはじめるつもりでいるよ。

トラックの基本はマイクが作ったんですよね?

マイク:その曲によって作り方は違ったよ。まずロブがメロディを作って僕がプロダクションをしてってパターンが多かったんだけど、その逆になるときもあった。僕がビートを作るところからはじまって、ふたりで完成させたりとかさ。ほとんどの曲は僕がプロダクションの部分を仕上げたけど、なかにはロブがほとんど完成までやった曲もあったしね。他のミュージシャンと一緒にスタジオに入って、みんなで曲を書いたこともあったよ。ひとつのパターンにはまるんじゃなくて、いろいろとやり方を変えることで、いろんな違ったものが作りたかったんだ。

プロダクション面はマイク主導でやっていたんですね。具体的にはどのような感じでしたか?

マイク:僕の持っているスタジオでやることが多かったんだけど、僕はオールドスクールなやり方で作るのが好きなんだ。もちろん基本はコンピュータを使っているけど、まわりの機材はアナログが多いから、ちょっと70年代っぽい音になっていると思う。僕らはマスタリングまで自分たちでやるんだけど、マスタリング関連の機材は使っていて楽しいよ。

アーティスト自らマスタリングまでやるというのは珍しいですね。

マイク:うん、僕にとっては、ミキシングやマスタリングまでやるっていうのは大事なんだ。ミキシングまでやるミュージシャンは多いけど、マスタリングまでっていうのはあんまり多くないよね。自分で曲を書いたならプロダクションまで自分でやる方がいいと思うんだ、その曲がどういう風に聴こえるべきか自分でわかってるんだからさ。とくにマスタリングって、その曲がどう聴こえるかに大きな影響を与えるから、自分でその部分のコントロールもするっていうのが理にかなっているよ。

ダンス・ミュージックというところは意識しましたか?

マイク:もちろんさ、僕はダンス・ミュージックが大好きでDJもよくするし、僕のルーツのひとつだからね。とくに(ザ・ストリーツの)ファースト・アルバムにはそういう部分がより出ていたと思う、クラシックっていうか、ストレートにアップビートな感じの曲が多かったセカンドよりも、より遊びのあるダンスっぽい感じの音さ。いまはThe D.O.T.のリミックスもやっているところなんだけど、そっちはよりクラブっぽい音になってるよ。

自分たちの方向性に影響を与えた作品はありますか?

マイク:わからないな。僕らふたりとも、年齢とともにだんだん「これに影響を受けた」ってはっきり言うのが難しくなってきてると思うんだ、これまでにいろんな音楽を聴いたり、映画を見たり、本を読んだりしてきたからさ。最近はとくに音楽以上に、映画や本から影響を受けているんじゃないかな。

映画や本ですか。普段どのような本を読むんですか?

マイク:いま読んでいるのはハリー・セルフリッジ(イギリスの高級デパートチェーンの創業者)についての本だけど、普段好きで読むのは第一次世界大戦前の、エドワード朝時代あたりを題材にしたものとかだね。世界大戦で人びとの生活も何もかもがすっかり変わったから、その前の時代のことってすごく魅力を感じるんだよ。

個人的にいちばん好きな曲のひとつなのですが、"How We All Lie"は何についての歌ですか?

マイク:The D.O.T.の曲の多くは抽象的で曖昧なんだ、それぞれの曲にはっきりしたストーリーや視点があったザ・ストリーツのときとは違ってね。僕自身、そういうストーリーとかの制約から自由なところで活動したかったからさ。"How We All Lie"では、基本は人びと全般について歌っているんだけど、スタジオに居たときにそこにあった新聞のスポーツ面を見ながら書いたから、サッカーについてのテーマも同時に曲全体に入って いるよ。
 ザ・ストリーツでは歌詞を書くのに時間をかけていたけど、今回はできるだけ時間をかけないようにしたんだ。そうするとその分、ほかの面でクリエイティヴになる余裕ができるんだよ。

"How Hard Can It Be"は社会風刺ですか?

マイク:あの曲はちょうど、次期首相を選ぶ総選挙の直前に書いたんだ。(その選挙で選ばれた)いまのイギリスの首相(デイヴィッド・キャメロン)はエリート学校出身のお坊ちゃんなんだけどさ。

それが歌詞の「You don't know the price of bread(アンタはパンの値段なんか知らないクセに)」に繋がるわけですね。

マイク:その通り! それとその曲では、人びとのなかには、世界で何が起こっているのかよくわかっていない人たちもいるっていうことにも触れているんだ。

ザ・ストリーツには作品ごとにそれぞれのコンセプトやテーマがありましたが、そういう意味でのコンセプトやテーマが今回もあったら教えてください。

マイク:そうだね、さっき言ったように今回はより抽象的だし、コンセプトっていうのはないと言えると思う。あんまり音楽にヘヴィで現実的なテーマばっかり求めてしまうのも良くないと思うんだ。
 僕はこれまでにコンセプト・アルバムっていうのはひとつだけ作ったことがあって、あれは曲それぞれにストーリーがあって、それを繋げていくっていうものだったから、それほど現実的なテーマではなかったんだ。それを批判する人も多かったんだけど、それも無理はないと思うよ、人って音楽に何か「リアル」なものを求めてしまうものだからさ。


ちなみに来日して病に伏したマイク・スキナーが作った曲がsoundcloudに挙がっている。


interview with How To Dress Well - ele-king


How To Dress Well / Total Loss
ホステス / Weird World

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 ハウ・トゥ・ドレス・ウェルのライヴ・パフォーマンスには驚かされる。なんとも言えない。じつになんとも言えない......長身の白人というバイアスを取り去れば、ただの変な人にも見えただろう。「奇人」というとどこか特権的だが、そういう感じではなくて、『ガキ使』にだって出られそうな「変な素人」に近い。初期においてはウィッチ・ハウスにも比較されたあのミステリアスでゴーストリーな音のシミを、セカンドにおいては穏やかな赦しにつつまれたR&Bに変え、折からのチル&ビーなムードにもばっちりと合流してみせたハウ・トゥ・ドレス・ウェル――だからオシャレなアーティストだと思っている人もけっこういるかもしれない――ことトム・クレルは、サンプラーか何かにセットされたバック・トラックを芸もなく再生すると、ほとんどひとりカラオケ状態で歌いまくった。音像がどうだったとかイクイップメントがどうだったとか、言うべくもない。エモーションたっぷりに、歓喜と慈愛に満たされながら、ふたつのマイクを独特に使い分け、しまいには完全なるア・カペラで、とにかく歌い続けただけなのだから。しかもそれでいて驚くほど声量がない。歌唱力もあるというわけではない。それがとても奇妙な印象を与えていた。呆気にとられた方も多いだろう。しかし音楽を奏でるというにはあまりにいびつなそのパフォーマンスに、筆者はいったいこれ以上期待通りの解があるだろうかと身体の芯がふるえるのを感じた。

『ラヴ・リメインズ』の異形のプロダクション、『トータル・ロス』の激しすぎる平穏、あれらがどこからきたものなのか、筆者にはよくわかる気がした。彼は歌がうまいシンガーというわけでも、敏腕なプロデューサーというわけでもないのだ。トム・クレルのパフォーマンスの全体からは深い思索性と鋭敏すぎる感受性が伝わってくる。そしてここで語られているような悲しい経験が、そうした感受性によって200パーセントくらいに受け止められ、同じくらいの思索を経たのだということもまた想像される。クレルはそれを彼にしかやれないやり方で音にし、歌にしたのだ。ここに彼の非凡さと、胸を打たれる迫力がある。うまいシンガーではないがすばらしい歌い手、敏腕なプロデューサーではないが見事な表現者だ。表情で懸命に音程を取りながら、熱烈に、猛烈に、か細く......われわれが聴いていたのは、音楽というよりも彼のゴーストそのものだったと思う。愛を叫んで駆け回る、彼の思いのありったけ。歌とはそもそもこのようなかたちをしているのではないか? そんなようなことを思い出させる。

 これは、その奇妙で素晴らしいショウの翌日のインタヴューである。歌っているあいだ見せていた、信頼しきったような愛らしい微笑みとはまるで対照的に、やや神経質な素振りと、答え終わったあと即座にスマートフォンをいじりはじめる姿が印象深かった。天然だったり、盲目的だったりする人ではない。むしろその逆すぎて生きることが楽ではない、難儀なタイプだと思った。歌がやっと彼を、いくばくか自由にするのだろう。

それは誰もが経験する普遍的なものであって、みんなが共有することができるものであるからこそ、僕=トムっていう存在を超えた影として、いつまでも残っていく力があるんだ。

黒沢清監督のホラー映画に『回路』という作品があるのですが、人がある日忽然と消えてしまう、しかも壁に黒いシミをのこして消える、という話なんです。わたしは初めてハウ・トゥ・ドレス・ウェルの音を聴いたときに、ちょうどこの黒いシミのことを思い出しました。それはそこに存在していた人の思念の跡、思いの影のようなものだと思うんですね。HTDWの音は、音像も含めてまさにそうした影やシミのようなもののように感じられたんです。あなたの音は波形である前にほとんど思念そのものですね?

クレル:え、黒沢清って言った!? 『回路』ってどんな英題かな。たぶん観たことがあるよ、それは。『トウキョウソナタ』をやった監督だよね? そういう感想をきくと、自分がすごく正しいことをやっているんだって思えるよ。自分の音楽に対して人からそうした反応をもらえるのはとてもうれしい。僕の歌に投影されているものは僕ではないんだ。僕の経験から湧き起こった感情ではあるけれど、それは誰もが経験する普遍的なものであって、みんなが共有することができるものであるからこそ、僕=トムっていう存在を超えた影として、いつまでも残っていく力があるんだ。それを可能にしているのは音楽だよ。だからその連想はうれしいし、ちゃんと僕の観た映画だったか調べてみようと思う。『パルス』のことかな......(※『パルス』は、『回路』のジム・ソンゼロ監督/ウェス・クレイヴン脚本によるハリウッド版リメイク作)。

おお、それをうかがえただけでもうれしいですね。とくに『ラヴ・リメインズ』の方ですが、あのすごくビリビリとしたノイズ感とか、過剰なリヴァーブ、オーヴァー・コンプ気味な割れまくった音、あんなふうなプロダクションを目指すのはなぜなんでしょう?

クレル:僕が『ラヴ・リメインズ』でやりたかったことは、深い悲しみや欝、憂鬱、そんなものを物語で伝えるのではなくて、音そのもので表現するということだ。たとえば僕が叫ぼうとしているときは、感情自体は爆発しているけれども、声が音に埋もれるように作っている。ノイズや混沌とした音のなかにね。それが僕の体験の表現、僕の悲しみや混乱の表現だよ。西洋美術においては20世紀に大きな変化があった。それまでは既存のものを絵で再現するというのがひとつの美術のあり方だったけれども、それが、ある感情そのものを絵で表現するというふうに変わった。あるものがそこにあるということを伝えるのではなくて、その対象そのものを表現するんだ。僕はそういうことをやっている。

なるほどなあ。まさに対象のむき出しの表現だったのが前作ですが、今作にはプロデューサーが入っていますね。プロダクションとしてもすごく整理されている印象があります。それは、あなたのなかの思いの渦やエモーションの嵐が整理されたからだ、というふうに考えてもいいですか?

クレル:『ラヴ・リメインズ』を書いたときは、自分のなかではとても悲しい時期にあった。親友を喪ったんだ。だからその後の時期に感じていたことは、あの時期に比べればぜんぜん悲しみと呼ぶに値しないものだよ。とても混乱していたあの20代半ばの時期、たいていのことはあのときの思いに匹敵しない。けれど、あれだけの深い悲しみになると、逆にそこから抜け出して、感情を整理させるような作用があったね。『ラヴ・リメインズ』のころは、悲しみに浸る自分に、ある意味では気持ちよくなっていた。けれどもそれが深くなるにつれ、浸ることができなくなったんだ。本当の悲しみとはこれかと思った。
メランコリアとモーニング、これは悲しみを乗り越える過程のひとつだよ。メランコリアは悲しみがぐるぐるとネガティヴ・スパイラルに入っていく状態、モーニングはそこを抜け出して新しいことに開眼し、新しい愛に目覚める状態。本当の悲しみを経験すると、それによってより新しいもの、新しい愛に出会うことになるんだ。だから僕は先に進まなきゃと思った。そのことがこの作品につながっている。僕は彼を喪うまでハッピーな曲を書いたことがなかったけれど、彼の死に向き合うことで、彼に対する新しい愛情を見つけることができた。それが今回のアルバムだよ。......つじつまが合うかな?

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僕の方でもむしろ、体育会系の野郎のファンはいらない。男根主義的なものというのは欠落を抱えているんだ。過去の遺物でもある。

すごくよくわかりました。前作もそうですけど、冒頭がフィールド・レコーディングからはじまってますね。ここにも何か意図がありますか?

クレル:今回のは、ドイツで電車に乗ったときの音だね。オスロから4時間くらい行ったところにあるフィヨルドで船に乗ったりもした。そのときの音もある。ありえないくらいの沈黙、静寂、太陽の音が聞こえるんじゃないかと思ったよ。それを録ってみようと思ったんだ。だから実際には僕くらいにしかわからないかもしれない。フィールド・レコーディングのおもしろさって、一種のサブリミナル効果なのかもしれないけれど、それを録った空間の側が持つ想像力というものを移植するすることができる。聴く側は音とともにそうした要素を楽しむことができるんだ。その空間について肉体に訴えかける豊かさを持たせることができて、僕はおもしろいと思うんだ。

フィールド・レコーディングについてもそうですが、今作はピアノもとても印象的に用いられていますね。これまでの作品に対してより開放的でより救いの感じられるこのアルバムの性格を、よく象徴していると思うんです。ピアノを大きくフィーチャーしたのはなぜです? そしてピアノはあなたにとってどんな楽器なんでしょう?

クレル:おっしゃる通りだよ。希望を感じさせるものがピアノの音にはあると思う。スピリチュアルで、とても美しい楽器だ。アントニー(アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズ)のピアノの使い方がとても好きで、参考にしていたりするよ。あとはコロフォン(Colophon)の『ラヴ・ループス』というアルバムも一時期とてもよく聴いていたんだけど、まさに救いや希望となるようなピアノが印象的なんだ。

昨日のライヴでは、ラストまでずっとフィルムの一コマをつないだような映像が流れていたんですが、ほぼすべてが女性か女性の顔であったように記憶しています。小さいころにお母さんが歌っていた歌が自分の音楽の原体験だというふうに話しておられるインタヴューを読んだんですが、あなたのなかで母親というのは創作行為においても重要なことなのですか?

クレル:母親はたしかに音楽的にも僕に影響を与えているし、ここ数年は病気を患ってもいて、それが自分にとっての将来の不安につながったりもしている。女性の顔の話についていうと、"スーサイド・ドリーム"で映していたのはじつは少年の顔なんだ。ただ、非常に女性的な顔だと思うよ。僕は音楽に女性的なものをすごく感じるし、重要な要素だと思っている。だからかな、最近、僕の音楽はおネエ的な人からすごくポジティヴな反応をもらうようになったよ。僕の方でもむしろ、体育会系の野郎のファンはいらない。男根主義的なものというのは欠落を抱えているんだ。過去の遺物でもある。キリスト教における父と子と精霊という三角形があるね。精霊じゃなくてそこは母だろって思わないか? 霊的なもの、精神的なものっていうのはイコール女性だと思う。西欧社会において、人生のなかで豊かさや愛情といったものをもたらしてくれるのはつねに女性なんだ。そんなふうに言われている。ぼくはそうしたものを大事にしたい。

非マッチョイズムはHTDWにとってすごく重要な要素のひとつだと思います。昨日ココロージーのTシャツを来てましたよね。やはり女性に寄せるイメージには「雌」にとどまらない精神的なものがあるのだなと思いました。

クレル:ココロージーやアントニーが好きだよ。僕は男性だけれども、ある種の男性主義、女性卑下の主義や思想を排除することができれば、もっと人間は深いつながりや豊かな関係性を築くことができると思っている。

Serph - ele-king

 とにかくもele-king新刊のインタヴューを読んでもらいたい。立ち読みでもいいですので。それからちょっと試聴機まで歩いてこの新譜から2、3曲を。一見「種なしリンゴ」のような聴きやすさを持ちながら、知らないうちに種をも毒をも食らわせてしまう、サーフの音楽が浮き彫りになるのではないかと思う。そうした音楽こそ、ドリーム・ポップの極北と呼べるものかもしれない。われわれは夢においてすら自分の主人であることがむずかしいが、彼の場合は他人の夢をも操作して従わせてしまうようなところがあるから恐ろしい。
 サーフをさらっとしか聴いたことがなく、また前作『ハートストリングス』(2011年)の成功をちょっとした偏見をもって眺めていた筆者は、敬意を払いつつもその音を「無害できれいなエレクトロニカ」と分類していた。その後、デビュー作へとさかのぼり、よりダンス・ミュージック的なアプローチを深めたという別プロジェクト、レリクや、クリスマスに際した企画物のミニ・アルバムまで聴いた後に感じたのは、「なんと整いきった世界だろう?」ということだった。それは、言い換えれば無窮の世界に対する違和感でもある。完璧にドリーミーで、よく作りこまれていて、ジブリ映画のBGMか、それともハリボテのネバー・ランドを肯定し、野生の耳を飼い慣らしてしまうべく悪意あるプロデューサーがわれわれを嗤うために作った魔の音楽か......、どちらであるようにも思われたが、つまり筆者が感じていたのは、美しく叙情的で、愛らしく跳ね回るこれらの音の、そうでありすぎることからくるまがまがしいような迫力だった。取材が決まったときは、このあたりにこだわって、食い下がってみたいと思っていた。

 結果は読んでいただく通りだ。音のイメージと発言のトーンとのギャップにまったく驚いたし、創作モチヴェーションの塊であるような佇まいやエネルギーには、実際のところ、質問をした筆者も立ち会っていた野田努もたじたじだった。売れるということはそのまま音楽の評価には結びつかないが、サーフの音が事実「売れて」いることの意味まで理解できるような気がした。そしてまた、アーティストの言葉は必ずしも自らの音についての正しい見解を持たないものだし、言葉に引きずられて音楽そのものを聴き逃す愚を犯すわけにはいかないのだが、しかし明晰夢によって音楽に導かれたという彼が、フィリップ・K・ディックの影響やそのストーリーの一端を紹介しながら語るとき、そこに異様な光が宿ることもわかってもらえるだろう。さらには、日常から逃れるためではなく日常を逸脱するための音楽だ、という「逸脱」のモチーフがはっきりと示されたときに、筆者はふたたびうなずくことになった。あの「無害できれいなエレクトロニカ」が能動的で、攻撃的でさえあるということをしのばせる発言は、所期の筆者の感想をきれいに裏書きし、再度ひっくり返してしまうものでもある。もういちどあたまから聴いてみよう、と思った。

 さて今作も頭から全開にドリーミーなIDMスタイル(この言葉は評判が悪いが)が展開される。女性ヴォーカルがフィーチャーされているが、これはN-qiaのNozomiからのヴォイス・サンプル。きれいに作品世界を拡げている。前に駆けるような、シンプルなビートが心地よい。常にプロダクションもクリアに整えられているが、今回は全体にノイズ感がある。春霞のように粒子の細かいグリッチ・ノイズやクリック音がさまざまに配されている。PCのなかで構築されたものであるのに、ピアノひとつとっても空間性が演出されている。何色ものカラー・タイルを並べるようにノイズや信号音をコラージュした"マジカルパス"も愛らしい。今作、より構成において緻密さと色彩感が加わっていることを感じさせる。ノイズのスケールの広さということで言えば、日本風にポップ係数を上げまくったフェネス、とも言えるだろう。ピアノや木琴、グロッケンなどが「チャイルディッシュ」な世界を組み上げる"ヴェスタ"などは新傾向のひとつではないかと思うが、竹村延和の『チャイルズ・ヴュー』を愛するサーフのことだ、子どもを捉える視線にはありきたりな大人のエゴなど含まれていないだろう。フライング・ロータスを思わせるようなアブストラクトなビートに導かれてスタートする"パレード"の、そこからはまるで意外に感じられる強力なメロディと弾けそうなマーチングも素敵だ。
 新傾向ということでは"アンク"や"ウィザードミックス"も挙げたい。整然とした構成を崩し、部分的にブレイクビーツをあしらいながら、まるで放射状に展開していく"アンク"には、土台となるリズム・トラックすらない。チラチラとしたストリングスの響きに珍しく耳うるさいサンプリングが掛け合わされ、エンジェリックなコーラスが時おり姿を見せ、めまぐるしくリズムのありようを変えていく後者などを聴いていても、ヨーロッパ以上に、今作はティーブスなりバスなり、LAのビート・シーンの若い世代に近い感触だ。

 発売から少し経ったが、4月から5月の薫風のなか、ツバメが低く飛ぶ夕刻、宵闇迫る時間帯にも本作は静かに寄り添ってくれるだろう。夢をみるのは夜とは限らない。

Chart - JET SET 2013.04.15 - ele-king

Shop Chart


1

Phoenix - Entertainment (Glassnote)
超待望の最新5th.アルバム『Bankrupt!』からの激話題リード・トラック!!Us/Glassnoteからのマーブル・カラー・ディスク完全限定盤。

2

J Dilla - Anthem / Trucks (Pay Jay Productions)
死後に見つかった2インチ・マスターテープを、Dillaの側近エンジニア Dave Cooleyがミックス&マスタリングしてリリース! こちらは初回限定、クリア・ヴァイナル&クリア・ケース仕様。

3

Lady - Money (Truth & Soul)
Aloe Blaccのプロデュースを手掛けたコンビが送り出した話題のデュオLadyによる、フリーソウル・ファンも直撃の名曲が待望のシングル・カット!!

4

原田茶飯事 & Expresso Cansai - 太陽 (Dabada / Jet Set)
1stアルバムからの人気曲「太陽」と、初披露となる同曲の"Dj Yogurt & Koyas Remix"を収録した7インチ・シングル!

5

Syclops - A Blink Of An Eye (Running Back)
Dfaからのアルバム・リリース以来ご無沙汰となっていたベテランMaurice Fulton手掛ける、Syclopsによる話題の2ndアルバム!!

6

Extra Medium - Extra Medium Ep (Record Breakin')
East Liberty QuartersのKeyプレイヤー&DjであるSam Champと、Dilla~Spinna~Moodymannライクな質感で人気のBuscrates 16-bit Ensembleによる超強力プロジェクト!

7

Major Lazer - Free The Universe (Because)
ご存じDiploとSwitchによる最強デュオMajor Lazerが4年振りとなる2nd.アルバムを完成。ダンスホールを軸に、ダブステップやムーンバートン、トラップにラガD'n'bまで繰り広げられる即戦力ボム満載盤です!!

8

Pat Metheny - Are You Going With Me - Gu Remix (Strictly Jazz Unit Muzic)
Slip Away等でもハウス・ファンには馴染み深いジャズ・ギタリストPat Methenyが"Ecm"より82年にリリースした名作"Are you Going With Me"をGlen Undergroundがリワーク/エディットを施し傑作ハウスへと仕立て上げた注目作品!

9

Letherette - D&t (Ninja Tune)
前Ep"Featurette"に続く、来たるデビュー・フル・アルバムからの2ndシングルがまたしても強力です。リミキサーにDorian Concept等が参加!

10

Blu - Thelonius King (Nature Sounds)
Bombayによる辺境的なドープ・トラックに、Blu, R.a. The Rugged Man, Durag DynastyのTristateという今までにない組み合わせが実現! Side-bにはBluによるリミックスを収録。

 6月29日土曜日、DUM DUM LLP(高円寺にお店を構えながら、ギターウルフからきのこ帝国まで、数多くの日本のすごいロック・バンドのライヴをサポートしている気さくな会社)とele-king(追放者による、世を忍ぶ両性具有者に人気の自己満足音楽メディア)は、この度、一緒にイヴェントをやることにした。
 もちろん、最近のele-king(いまだ律儀にもレコードとカセットとCDを大量に買っている古典派)が偏愛する、快速東京、きのこ帝国、SIMI LAB、砂原良徳、OORUTAICHI、ミツメ......、この半年でele-king(アシッド漬けの季刊誌)と愛人関係ではないかと噂されている下津光史(踊ってばかりの国)、そして、これから好きになりそうなgroup_inouやスカート、森は生きている、そして、ドイツからは、20年前から大好きなマウス・オン・マーズ、韓国からは、我らが英雄YAMAGATA TWEAKSTERの出演も決まっている。
 DUM DUM LLP(日本で一番のジーザス&メリー・チェインのコレクターであると自負する会社)との会議によって、当日はバーベキューも計画中である(量に限りアリ)。また、ディスクユニオン(世界でもっとも多種なレコードのビニール袋を売っているお店)が当日出店、掘り出し物アリの100円市開催ほか、橋元のフリマ、長州のMCなどいろいろ考えているので、疲れたときの暇つぶしには事欠かさないでしょう。

 それで場所、なんと、渋谷(20年前の若者の街)のO-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催です)。午後3時からはじめて夜の10時までやる。出入り自由なので、腹が減ったら、好きなところで好きなだけディナーをどうぞ。飲み物の持ち込みだけは止めて欲しい。安く済ませたい人は、先行予約しよう。およそ1700円お得。
 出演者とDJはもうちょっと増える予定。ele-king(ロック魂を欠いた、尻尾と角を持った半身獣)でも何かやります。

【DUM-DUM PARTY 2013】
Curated by ele-king & DUM-DUM LLP

日時:2013年6月29日(土)
会場:渋谷O-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催)
開場/開演:15:00(22時終演予定)
出演:
Mouse on Mars(ドイツ)
OORUTAICHI
快速東京
きのこ帝国
group_inou
SIMI LAB
下津光史(踊ってばかりの国)
スカート
砂原良徳(DJ)
ミツメ
森は生きている
YAMAGATA TWEAKSTER(韓国)
...and more!

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チケット:¥6,300(税込 / 全自由 /1ドリンク代別)
※3才以上有料
来場者全員特典:特製ZINE
チケット:5/11(土)発売
チケットぴあ(0570-02-9999)
LAWSON TICKET(0570-084-003)
イープラス(https://eplus.jp/
※ディスクユニオン、高円寺DUM-DUM OFFICE店頭でもお求め頂けます。

◎最速最安値先行予約
2013年4月15日(月)~4/26(金)(平日のみ12時~18時)
高円寺DUM-DUM店頭とweb予約販売¥4,649(税込/D別)
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『DUM-DUM PARTY 2013』

イベント特設サイト
https://party.dum-dum.tv/
※タイムテーブルや最新情報を随時発表していきます。

ル・トン・ミテ - クモコクド(雲国土)
SWEET DREAMS PRESS amazon

昨年末に『クモコクド』という、とてもカラフルでキュートでエレガンスでチャカポコでトタパタなアヴァン・ポップ・アルバムをリリースしたル・トン・ミテことマクラウド・ズィクミューズおじさんと、メンバーであり、奥様でもあるアン・ブルーニさんが来日を果たします。

マクラウドおじさんはアメリカ・アーカンソー州生まれ。その後ワシントン州オリンピアに移って、『シンプソンズ』のマット・グローニングや〈Kレコーズ〉のキャルヴィン・ジョンソン、スリーター・キニーやビキニ・キルといったバンドを輩出したことでも知られる名門エバーグリーン・カレッジに入学。そこで活版印刷と音楽を身につけました。

現在はベルギーのブリュッセルを拠点にし、クラムド・ディスクで働いたり、オケ(Hoquet)というバンドを率いたり、奥様のアンさんとゲスト・ハウス兼ギャラリー兼活版印刷工房のホテル・ラスティックを運営したり......と、マルチ・タレントぶりを発揮。そんな活動はディアフーフやフィル・エルヴラム(マウント・イアリ)、アールトやロンリー・ドリフター・カレン、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ、テニスコーツ、yumboに野村和孝(PWFR Power)......と、素敵な出会いをさまざまに誕生させてきました。

そんなマクラウドおじさんのポップスはストレンジだけど本当に優しくて温かい――。オリンピア発祥のインターナショナル・ポップ・アンダーグラウンド、そのなかでもとびきり洒落てて妙ちきりんなル・トン・ミテのジャパン・ツアーをぜひお見逃しなく!

■Le Ton Mité Japan Tour 2013
ル・トン・ミテのジャパン・ツアー2013

■4月20日(土)東京・八丁堀 七針(070-5082-7581)
東京都中央区新川2-7-1オリエンタルビル地下
出演:マクラウド・ズィクミューズ(ル・トン・ミテ)、Che'-SHIZU(向井千惠+西村卓也+工藤冬里+高橋朝)
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金 2,200円(予約)/2,500円(当日)
予約:会場

■逆まわりの音楽 その5
4月21日(日)東京・立川 ギャラリー・セプチマ
東京都立川市柏町3-8-2/多摩都市モノレール砂川七番駅より徒歩2分
出演:ル・トン・ミテ、秋山徹次+Amephone's attc、スッパマイクロパンチョップ+野中太久磨、人形劇団銀座擬人座(クラモトイッセイ+酒井泰明 from moools)、河野祐子
開場 4:30pm/開演 5:00pm 料金 2,000円
予約:会場、スウィート・ドリームス・プレス、安永哲郎事務室

■4月22日(月)岐阜 本田(058-264-2980)
岐阜県岐阜市金屋横町5
出演:ル・トン・ミテ、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 2,000円(予約制/定員になり次第締め切りとさせていただきます)
予約:会場(058-264-2980)

■4月23日(火)名古屋 パルル(052-262-3629 *当日の案内のみ)
愛知県名古屋市中区新栄2-2-19
出演:ル・トン・ミテ、夕食、葉っぱの裏側シスターズ
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金:2,000円(一般)/1,500円(住民)*ドリンク代別
予約:会場(新見)、スウィート・ドリームス・プレス

■4月24日(水)金沢 オヨヨ書林・タテマチ店(076-261-8339)
石川県金沢市竪町14-1
出演:ル・トン・ミテ、工藤冬里、工藤礼子
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金:2,000円
予約:会場、主催、スウィート・ドリームス・プレス

■4月25日(木)京都 喫茶ゆすらご(075-201-9461)
京都市上京区仁和寺街道七本松西入二番町199-1
出演:ル・トン・ミテ、川手直人、CRAZY POKYU
開場 7:00pm/開場 7:30pm 料金:2,000円 *ドリンク代別
予約:会場、スウィート・ドリームス・プレス

■4月26日(金)鳥取 ボルゾイ・レコード(0857-25-3785)
鳥取県鳥取市新町201上田ビル2F
出演:ル・トン・ミテ、川手直人、tanaka sings empty orchestra、ロンサム・パイロット
開場 7:00pm/開場 7:30pm 料金:2,000円
予約:会場、スウィート・ドリームス・プレス

■コンサートクモコクド
4月27日(土)松江 清光院下ギャラリー
島根県松江市外中原町清光院下198-1
出演:ル・トン・ミテ、ダルガリーズ、村上ゴンゾ、川手直人
開場 4:00pm/開演 5:30pm 料金:1,500円(予約)/2,000円(当日)
予約・問い合わせ:北殿町CARRÉ(0852-23-5767/carre.matsue@gmail.com)

■マルティチュードにおけるコモンのオレンジ
5月1日(水)広島 ふらんす座(082-295-1553)
広島県広島市中区十日市町1-4-3
出演:ル・トン・ミテ、祝島ヘル
時間・料金未定 予約・問い合わせ:会場

■5月2日(木)松山・三津 アジとサバ
*アジとサバ周辺で行われているレジデンシーの作品を見ながら回るアート・ツアー
出演:ル・トン・ミテ、マツヤマヘル
時間:田中戸に2:00pm集合

■5月3日(金)松山・道後 ワニとサイ(080-3319-2765)
愛媛県松山市道後湯之町1-39
出演:ル・トン・ミテ、マツヤマヘル
開場/開演 7:00pm

■5月4日(土)神戸 のらまる食堂(090-1240-0442)
兵庫県神戸市中央区元町通5-8-12
出演:ル・トン・ミテ、若尾久美、光永惟行、Les nico、宮西淳、倉本高弘
開場/開演 4:00pm 料金:カンパ *ドリンク代別
終演後に鍋会あり(参加者は鍋代として1,000円を申し受けます)。

■FIELD UPSETTERS
5月5日(日)大阪 FLOAT(090-9860-2784)
大阪市西区安治川2-1-28 安治川倉庫
出演:ル・トン・ミテ+ダルガリーズ、bonnounomukuro、YPY(bonanzas、goat)、Song Sloth Giantize、buffalomckee
フード:たかさきっちん
開場 4:00pm/開演 4:30pm
料金:1,500円(小学生以下のお子様は同伴者がいる場合無料)

■家宴 vol.12 フェス!!
5月6日(月)奈良 sonihouse(0742-87-0670)
奈良県奈良市学園朝日元町1-499-3
出演:ル・トン・ミテ、テニスコーツ、梅田哲也、米子匡司 *音の部(3:30pm~)
フード:山フーズ *食の部(6:30pm~)
開場 2:30pm/開演 3:30pm
料金:6,500円(フリー・ドリンク)*定員:25名
予約:「info@sonihouse.net」(参加希望日、お名前、人数、ご連絡先をお知らせください)

■HOTEL MOTEL TIME -avec Hôtel Rustique-
5月8日(水)京都 ユーゲ(075-723-4707)
京都府京都市左京区下鴨松原町4-5
出演:ホテル・ラステック(マクラウド・ズィクミューズとアン・ブルーニ)、ミッチー(ダルガリーズ)と山路知恵子
特別展示:アン・ブルーニ
開場 7:00pm/開演 8:00pm 料金:888円

■5月10日(金)仙台 book cafe 火星の庭(022-716-5335)
宮城県仙台市青葉区本町1-14-30-1F
出演:ル・トン・ミテ、le quatre du yumbo、人形劇団ポンコレラ
開場 7:00pm/開場 7:30pm
料金:1,800円 *ドリンク代別/定員30名
予約・問い合わせ:yumbo.shibuya@gmail.com(澁谷)

■ジャド・フェア&ノーマン・ブレイクとテニスコーツのジャパン・ツアー2013
5月11日(土)東京・渋谷 オ・ネスト(03-3462-4420)
東京都渋谷区円山町2-3-6F
出演:ル・トン・ミテ、ジャド・フェア&ノーマン・ブレイク(ティーンエイジ・ファンクラブ)、テニスコーツ
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金 3,800円(前売)/4,300円(当日)*ドリンク代別
チケット:会場、チケットぴあ(Pコード:195-926)、ローソン・チケット(Lコード:73154)、e+、スウィート・ドリームス・プレス

TOTAL INFO : スウィート・ドリームス・プレス

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・アルバム『クモコクド』についてはこちら
https://www.sweetdreamspress.com/2012/12/le-ton-mite-kumokokudo.html

・最新ビデオ「I Grec」
https://vimeo.com/63110669

なお、今回のツアーに合わせてグラフィック・アーティストとして活躍する奥様アン・ブルーニの作品展「m e t a m o r p h o s i s」が島根県松江市の清光院下ギャラリーで開催されます。また、彼女の作品の一部は立川公演(4月21日)と京都公演(5月8日)にも展示されるようですので、こちらも併せてお楽しみください。詳しくは以下に。
https://www.sweetdreamspress.com/2013/04/
ann-brugni-exhibition-m-e-t-m-o-r-p-h-o.html

vol.49:ミネアポリスの思い出 - ele-king

 先週土曜日は、ミネアポリスのバンド、バースディ・スーツのライヴをローアー・イースト・サイドのピアノスに見に行った。
 https://www.facebook.com/birthdaysuits
 https://birthdaysuitsshows.tumblr.com
 https://www.pianosnyc.com

 ミネアポリスは、プリンスやリプレイスメンツなどのバンドを生み出した音楽の盛んなクリーンな都市で、10000以上の湖があるとも言われる湖の都市である。日本の茨城市とはシスター・シティである。

 この土曜日、会場ピアノスは、ブリッジ・アンド・トンネル(ニュージャージやロングアイランドなど、マンハッタンにブリッジやトンネルを使って来る人を指すスラング)が集うことで有名な場所。ヒップ・スターのいない人の群れを抜け、奥の会場へ。バースディ・スーツの前はエレクトロなバンドがプレイし、お客さんもそこそこ入っている。バースディ・スーツとは、生まれたままの姿、裸の男の子などの意味があるらしいのだが、今日のバースディ・スーツは日本人男子2人組、ギターとドラム。著者とは、2年前にハード・ニップスとSXSWで共演して以来である。
 パンクでバズなギターのディストーションと、癖のないヴォーカルの夢心地と対象に、ドラムの野生的ドラミング(+蛍光ピンクテープ)のパフォーマンスは、他のバンドの観客をグイグイ惹きつけていた。イギリスで活躍しているボー・ニンゲンやエッジの効いたジャパンドロイズにイメージが被る。

 著者は10年前ぐらい前にミネアポリスに滞在し、毎日のようにライヴに通って、バンドと交流を深め、ミネアポリスのコンピレーション『10,000 レイク・ストーリー』をリリースするなど、ミネアポリスは、思い入れのある都市である。会場では、懐かしい人に再会した。

 先手のミネアポリス・コンピレーションにも参加している、ハーマー・スーパースター。
 ハーマー・スーパースターことショーン・ティルマンは、セイントポール(ミネアポリスのツインシティ)出身で、バースディ・スーツとは地元友だち。現在はブルックリン在住で、ただいまツアー真っ最中だが、合間をぬって顔を出してくれた。彼は、ストロークスのジュリアン・カサブランカのレーベル、〈カルト・レコーズ〉から『Bye Bye 17』というアルバムを4月23日にリリースする。
 https://harmarsuperstar.com/
 https://www.cultrecords.com/

 もうひとり、田中ヒロくんは、ショーンと同じ頃にミネアポリスで出会って以来、10年ほど顔見知りで、最近はSXSWやLAで偶然遭遇していた。現在LA在住の彼は、全身一体ウエルカム! な、すばらしいキャラの持ち主で、カーシヴ、ロウレンス・アームス、マイナス・ザ・ベアなどのバンドとツアーをともにし、写真を撮って、最近〈アジアンマン・レコーズ〉から初の写真集『Dew Dew, Dew Its』を発売した。現在では、彼がまわるバンドのツアー会場と、東京のある美術館の売店で買えるそうだ。写真は自然な状態を、生々しく写している。そして、それらが人を警戒心を解き、瞬間を際立たせているが、そこは彼の才能。まったく素晴らしい。
 https://www.asianmanrecords.com/hiro/

 バースディ・スーツを見に行ったのだが、ミネアポリス繋がりで、バンドと人の新たな一面を発見できた。この後、みんなで飲みに行くのだが、誰ひとり最後まで帰らない。バースデー・スーツはこの後も休みなしでイースト・コースト~ミッド・ウエストと4月中旬まで旅を続ける。

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