「KING」と一致するもの

Dual Experience in Ambient/Jazz - ele-king

 原雅明著『アンビエント/ジャズ』をきっかけにはじまり、狛江の野口晴哉記念音楽室(全生新舎)で開催されている好評のリスニング・シリーズ、「Dual Experience in Ambient/Jazz」。第2回の詳細が明かされまました。今回のゲストは岡田拓郎。シカゴのシアスター・ゲイツ率いるザ・ブラック・モンクスの作品を起点に、さまざまな音楽の「繋がり」や「振幅」を聴いていく会になるとのこと。ご予約は全生新舎のインスタグラムから。

Dual Experience in Ambient/Jazz

拙著『アンビエント/ジャズ――マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜』をきっかけに始まったリスニング会です。初回は、バーラウンジでのアンビエント/ジャズの記録であるロブ・マズレクの『Alternate Moon Cycles』(Internaional Anthemがリリースした最初のアルバム)からスタートして、月光茶房の原田正夫さんとシカゴの音楽を聴いていきました。偶然にも、来日中のシカゴ出身のアーティスト、シアスター・ゲイツさんが立ち寄ってくれました。
そして、2回目となる今回は、ゲイツさんの「アフロ民藝」からもインスパイアされた新譜『Konoma』をリリースされた岡田拓郎さんをお招きします。『Konoma』と、ゲイツさん率いるザ・ブラック・モンクスの新譜『Westside Kingdom』と『1965: Malcom in WInter / Walk with Me』を中心に、今回も関連する音楽の「繋がり」と「振幅」を聴いていきます。
(原 雅明)

Dual Experience in Ambient/Jazz
2026年4月4日(土)
野口晴哉記念音楽室
open 16.00 start 17.00
¥3000(+1d order制)※Limited seatings reservation only
Masaaki Hara
Takuro Okada

ご予約は、全生新舎のInstagramにメッセージにて

岡田拓郎
1991年生まれ、東京都福生市出身。音楽家/プロデューサー。ギター、ペダルスティール、シンセサイザーなどを操り、スタジオとライブの双方で音の探求を続ける。2022年には即興演奏を編集構築したアルバム『Betsu No Jikan』、2025年11月にはLAのレーベルTemporal Drift、In Sheeps Clothingより、ブラック・アートの美学と日本の民藝運動に着想を得た『Konoma』リリース。

原 雅明
2025年に『アンビエント/ジャズ――マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜』(Pヴァイン)を上梓。レーベルringsでは、レイ・ハラカミの再発やInternaional Anthemなどのライセンス・リリースも手掛ける。2026年3月25日には菊地雅章のエレクトロニック・ミュージック「六大」シリーズ(『地』『水』『火』『風』『空』『識』)を再発。
https://linktr.ee/masaakihara

「僕だけじゃなくて、誰も全部は見られないというのが、やっぱりいいな」

 大友良英は小田原・江之浦測候所で開催したイベント「MUSICS あるいは複数の音楽たち」を振り返ってそのように呟いた。普通、できることなら、全体を見渡したいと思うものである。木を見て森を見ず、と言うように、全体が把握できないと物事の本質が見極められないような気がしてしまう。何か大事なことを見逃してしまっているのではないかと不安に駆られる。それでも誰も全体を把握することができないことにポジティヴな意味合いを見出すとしたら、それはどのようなことなのだろう。


11月3日(月)、江之浦測候所。撮影:田村武

 去る2025年11月初旬、アジアン・ミーティング20周年記念スペシャルが各地で開催された。大友良英が2005年に立ち上げ、その後dj sniffとユエン・チーワイがキュレーターとなって継続してきたアジアン・ミーティング・フェスティバルの詳細については、これまで様々な場所で書いてきたので、ここでは繰り返さない。一言だけ説明しておくならば、アジアン・ミーティング・フェスティバルとは、アジア諸地域で活動する様々なタイプの実験的ミュージシャンたちを集め、即興を一つの鍵となる手法として用いながら、音楽的交流を行うプロジェクトのことだ。開催を経るにつれて規模が拡大し交流も広がりと深まりを見せていったプロジェクトだったものの、コロナ禍も相俟ってニーゼロ年代に入るとともに休止状態となっていた。そうした状況にあるアジアン・ミーティングを再起動するべく、20周年の節目を迎えた年に大友があらためて狼煙を上げた。このうちわたしは11月3日の江之浦測候所と11月6日の新宿ピットインでの公演へと足を運んだ。

 江之浦測候所での公演は、2022年から大友が同地で開催してきた「MUSICS あるいは複数の音楽たち」と題したイベントの第3弾を兼ねておこなわれた。江之浦測候所は現代美術作家・杉本博司が手掛けた、それ自体がアート作品でもあるような特異な施設である。100メートルの長大な廊下状のギャラリー、冒険心を擽るトンネルのような空間、石舞台、光学ガラス板を木琴のように敷いた舞台などがあるほか、海に面した斜面を下ると蜜柑畑や竹林が広がる。歩くだけでも景色の移ろいが楽しめ、鳥の囀りやカラスの鳴き声、航空機が過ぎる音、遠くを行く列車の走行音など、開けた空間ならではの豊かなサウンドスケープがある。パフォーマンスする演奏家にとっては、普段のライヴハウスとは勝手が異なり様々な制約がある一方、アプローチ次第ではこの場所ならではの表現ができる可能性を秘めた挑戦的な環境だと言えるだろう。

 わたし自身はこれまで2022年、2024年と「MUSICS あるいは複数の音楽たち」を観てきたため、3度目となる今回は、場所そのものに対して新鮮な驚きを期待していたわけではなかった。むしろ、どこへ行けばどんな響きが得られるのか、ある程度把握しているつもりでもあった。加えて11月3日は、公演前に竹林エリアでスズメバチが発生する不測の事態があり、限られた安全なエリアでのみパフォーマンスがおこなわれることになった。ギャラリーやトンネル、屋外のいくつかの舞台といった比較的行き来しやすい施設に限定されたことから——それでも一望できない広さはあるものの——、なおさら「面白そうな空間」を狙って観て回ろう、などと考えていた。だが開始早々、そのような邪な考えは打ち砕かれることになる。


11月3日(月)、江之浦測候所。撮影:田村武

 パフォーマンスはまず石舞台周辺で始まった。気づけば始まっていた、と言った方が正確かもしれない。打楽器を微かに鳴らす石原雄治、敷砂を足で擦る松本一哉、ゴングを引き摺る大友良英。樹下でスツールに腰掛けたイェン・ジュンは虚ろな表情で砂を拾ってはステンレスボトルのようなもの目掛けて投げ続けている。石舞台には吉増剛造が鎮座しており、Sachiko Mは四角錐のピラミッド型チャイムを鳴らして歩く。リュウ・ハンキルはショルダーバッグよろしく抱えたスピーカーから猛獣の唸り声のような音を発している。ふとフィードバック音のようなものが聴こえてくる。細井美裕と岩田拓朗によるインスタレーションのようだ。しばらくするとパフォーマーたちは思い思いの場所へと散らばっていった。

 何箇所か、ミュージシャンが好みそうな空間があった。たとえば鋼板で作られた全長70メートルのトンネル。まるで管楽器の内部のようでもあり、実際、ここで発された音は独特の反響を生み、トンネル自体が楽器となって壮大なドローン・ミュージックを聴かせる。そのトンネルへ向かったミュージシャンがいた。わたしは後を追った。だがすぐに音を出すわけではなかった。ただ佇んでいるだけのミュージシャンの姿をしばらく眺めていた。すると全く別の場所から、耳を惹く奇妙な音が聴こえてきた。誰かがセッションしているのだろうか。トンネルの中からは見えない。すぐに音の鳴る方へと向かった。だが着いたときにはすでにパフォーマンスが終わっていたようで、それらしき姿は確認できなかった。それどころか今度はトンネルの中から興味深い響きが聴こえてきた。

 しまった、と思った。同時に、やはり、面白そうな出来事だけを狙い撃ちして追いかけることは不可能だと悟った。野外フェスのように目当てのステージを効率よく観て回ることなどできないのだ。そう思った瞬間、いまここにいることがとても自由であるような気がした。多くの見落としがあるかもしれない。大層盛り上がった場面をいくつも聴き逃しているかもしれない。だが誰もがそうであるならば、どこへ行こうとも自由なのだ。足を運んだ先で偶然起きた出来事を受け入れればいい。その積み重ねがこの日のイベントの個々別々な体験を形成する。来場者の数だけあるそうした個別の体験を集めたところで、おそらく、それは全体を構成することにもならないだろう。


11月3日(月)、江之浦測候所。撮影:田村武

 開演から2時間半ほど経ち、パフォーマーたちは光学硝子舞台に集まってきた。初めはダンサーの小暮香帆が舞台にひとりで立ち、相模湾を臨む絶景をバックに踊りを披露していた。次第にひとりまたひとりとパフォーマーが舞台に上がり、集団での緩やかな即興演奏を行なった。ほぼ全ての観客がこの舞台を眺めていたことだろう。広大な江之浦測候所の様々な場所で繰り広げられていたパフォーマンスを個々別々に体験してきた観客は、最後、この舞台上での集団即興の光景を共有する。バラバラだった景色が束の間の重なりを見せる。石舞台で始まり光学硝子舞台で終わる、まるでテーマで始まりテーマで終わるジャズのような構成。ただしその中間部はどこまでも自由で誰も把握し切れないほどの広がりを持つようなものとしての。

 誰も全体を把握できないイベント。だがそもそも全体を把握するとはどういうことなのか。大友はそれを「録音」的な思考として説明する。たしかにそうだ。「面白そうな出来事」だけを追いかけようとしていたわたしは、どこかでそれを特定の視点——すなわち集音するマイク——によって捉えられる記録可能なイベントとして考えていた節がある。大友は「いまの音楽って、基本的には皆の頭の中では録音できる前提になっているでしょう。コンサートも録音できるようなものが前提になっているけど、そうじゃないものをやりたい」と「MUSICS あるいは複数の音楽たち」について語る。

「録音も否定しないよ。もちろん大好きなんだけど、でも、録音って音楽の中のごく一部でしかない。いま、録音しないと音楽って評価されないというか、評価軸に乗りにくいと思うんです。けれどもそれは、昔の西洋音楽で言えば、譜面じゃないと評価軸に乗らないのと同じぐらい、録音が不自由なものになっているということでもある。別にそれへのアンチで作ってるわけじゃないけど、少なくとも『MUSICS あるいは複数の音楽たち』に関しては、そういう視点では一切評価軸には乗らないというか。録音してもいいけど、全然違うものになっちゃう」(大友良英)

 こうした全貌が把握し難い非記録的なアプローチは、新宿ピットインでのアジアン・ミーティング20周年記念の公演でも試みられた。11月6日、ピットインの会場は通常のようにステージと客席が一方通行的に分かれたセッティングではなく、会場内の至るところに楽器が置かれ、それらミュージシャンの持ち場を取り囲むようにステージの上にも下にも客席が設置されていた。座る場所によって目の前で演奏が見えるミュージシャンもいれば、音しか聴こえてこないミュージシャンもいる。1stセットではデュオ〜トリオの小編成による短いセッションを4つ行い、2ndセットでは全員が参加した集団即興をおこなった。むろん江之浦測候所に比べれば、ひとまずは全員の音を聴くことができるという意味で「全体」が把握できはする。

 だがたとえばわたしが座った場所からはトランペットの類家心平とターンテーブルのdj sniffがよく見え、このふたりの演奏が特に強烈だったのだが、それは手元まで見える位置で体験したから印象が強かったとも言えるかもしれない。座る場所が異なればライヴの印象はまた違っていたことだろう。視覚的な体験としてもそうだし、聴覚的にも——いわば異なるミキシングで聴くように——それぞれの観客にとって別様の体験をもたらしたと思われる。先ほど「全体」と書いたが、それは出来事の総体ということではなく、ピットインという空間を来場者同士で「共有」していたと言った方が正確だろう。2ndセットは映像が配信されていたが、映像では記録し切れない要素が現場には多々あった。


11月6日(木)、新宿ピットイン。撮影:横井一江

 こうも言い換えることができるだろう。演奏者や観客それぞれに出来事の中心があったのだと。ただし単にバラバラな体験がもたらされたのではなく、全体としてひとつの同じイベントを共有していた。何かひとつのことを全体で描いているが中心はひとつではない、そのような試みは、アジアン・ミーティング・フェスティバルがテン年代を通じて磨き上げてきたひとつの音楽実践のフォーマットであった。以前、2017年に札幌で開催されたアジアン・ミーティング・フェスティバルを評して松渕彩子が「中心を持たない円を描く」と記していたが、これは言い得て妙だと思う。全体としては円を描いている。だがそうでありながら中心を持っていない。むしろ多数の中心がある。多数の中心があり、誰も全体を掴めない中で、しかしながら全員で何がしかを共有しつつ、全体として何かを作り上げていくこと。

 そもそも人間社会とはそのようにできている、とも言える。というより音楽とは、ある種の人間社会を反映するものである。とりわけ集団即興はプリミティヴな形でそうした社会のありようを映し出す。アジアン・ミーティング・フェスティバルにあっては、国籍もジャンルも違えた、異なる背景を持つ人びとが集まり、時と場に応じて音を介した共同作業をおこなう。あらかじめ用意された再現すべき設計図があるわけではなく、交流を通じてその場で何がしかを設計していかなければならない。中心が多数あることは、こうした共同作業を必ずしも円滑に進めるとは限らない。むしろ衝突や破綻のリスクと隣り合わせである。だがそれこそが人間社会の豊かさでもあるのではないか。

 むろん中心を設けないという大友の試みはいまに始まったわけではない。それどころか大友の活動に一貫した音楽思想であるとも思う。「MUSICS あるいは複数の音楽たち」において録音を前提としない音楽を考えていたことも、生のパフォーマンスに真実が宿るといった現場主義的な発想ではなく、それ以前に、録音偏重の時代に評価軸の中心をズラそうとしたからであるはずだ。そしてそのような複眼的思考はわたしたちがいま生きていくうえであらためて見つめ直すべきことでもある。ひとつの中心、ひとつの価値観、ひとつの原理に大勢が偏りつつある時代においてこそ。

音楽には世界を変える力がある──

混迷きわまる現代日本において、声をあげつづける音楽家たち

[インタヴュー]
マヒトゥ・ザ・ピーポー
寺尾紗穂
Mars89+Miru Shinoda
津田大介
ダースレイダー
春ねむり
DANNY JIN
毛利嘉孝

[特別インタヴュー]
ニーキャップ

菊判220×148/208頁
装丁:大倉真一郎+安藤紫野
表紙写真:野田祐一郎

目次

世界を変える音楽の力(野田努)

[インタヴュー]
Mars89Miru Shinoda 低音で空間を制圧する──Protest Raveのこれまでとこれから(小林拓音/野田祐一郎)
寺尾紗穂 ガラッと変わってしまった世界で、それでも歌いつづける(二木信/川島悠輝)
津田大介 社会全体が不感症になっているいまこそ音楽の力が必要だ(二木信/河西遼)
マヒトゥ・ザ・ピーポー 俺はすごく面白いですね、この流れはすべて、試されてるなと思う(野田努+小林拓音/野田祐一郎)
ダースレイダー 乱世にこそ輝くヒップホップ(二木信/河西遼)
毛利嘉孝 『ストリートの思想』の著者が俯瞰するここ20年の日本の変化(二木信+小林拓音/小原泰広)
春ねむり 沈黙しない音楽(野中モモ)
DANNY JIN そのラップは多くの人びとに勇気を与える(二木信/河西遼)

[コラム]
一声二節三臓のちから──日本の大衆歌が育んできた豊かな想像力(中西レモン)
橋の下でうごめく、新たな自治空間──「橋の下世界音楽祭」の挑戦(大石始)
ECDの軌跡──『失点 in the park』に刻まれた選択と孤独(高久大輝)
2003年、反戦サウンドデモの思い出(水越真紀)
いま台湾から世界が変わりはじめている──台北レイヴ・カルチャーの一側面、〈Urban Legend 1.0〉とSssound Without Borders(二木信)

[特別インタヴュー]
ニーキャップ 彼らがアイルランド語でラップする理由 (イアン・F・マーティン/竹澤彩子)

プロフィール

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
Rakuten ブックス
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* 発売日以降にリンク先を追加予定。

Free Soul × P-VINE - ele-king

 90年代からつづく名物コンピレーション・シリーズ「Free Soul」が、現在創立50周年を迎えているPヴァインとコラボレーション。新作Tシャツの販売がはじまることになった。「Free Soul」32周年にちなんで各3,200円、Pヴァイン50周年にちなんで全50種という驚異のラインナップ。完全受注生産とのことなので、ご予約はお早めに。

Free Soul × P-VINE presents
50th Anniversary "Free Soul" T-Shirts
In 50 color variations
PRE-ORDER START !

90年代以降、世界中の音楽ファンを魅了してきたコンピレーション・シリーズ “Free Soul” と、Pヴァイン創立50周年を記念したコラボレーション企画として、新作Tシャツの受注販売を開始します。

Pヴァイン内でレコードカルチャーを応援し続けてきた VINYL GOES AROUND が手がけた 2023〜2024年の本企画は、異例のヒットを記録。20代の若い世代から、90年代に青春を過ごした世代まで、幅広い層から高い評価を受けました。

当時は30ヴァリエーションでの展開でしたが、今回は50周年のアニヴァーサリーにちなんだ全50ヴァリエーションをラインナップ。

“Free Soul”の世界観と、Pヴァインが歩んできた50年の歴史を重ね合わせた、特別なコレクションとなっています。また、昨年末逝去された小野英作さん(Free Soul のロゴを手がけたデザイナー)への哀悼の意を込め、襟元に特別なイラストをプリントしました。

本商品は完全受注生産。ボディの在庫にも限りがございますため、数量に達し次第、受付を終了する場合がございます。 この特別な機会を、どうぞお見逃しなく。

ANVRGD-5002
Free Soul × P-VINE Official T-Shirts

サイズ: S / M / L / XL / XXL
販売価格: 3,200yen (With Tax 3,520yen)

受注期間:2026年3月4日(水)10:00〜3月29日(日)23:59
発送時期:4月下旬以降

https://anywherestore.p-vine.jp/collections/50th-anniversary-freesoul-tshirts

■橋本徹さんからのコメント

P-VINEの50周年記念で、三たび企画をいただいたVINYL GOES AROUND制作によるFree SoulロゴTシャツ。今回のオファーと前後して、Free Soulコンピのジャケット・デザインを手がけてくれた、僕の友人で恩人でもあるアート・ディレクター、小野英作が2025年12月21日に亡くなってしまいましたので、ご遺族の承諾を得て急遽、彼のSNSアイコンをタグ下にあしらい、R.I.P.メッセージをプリントさせていただきました。

P-VINE 50周年を祝して50種、Free Soul32周年にちなんで各3,200円。Free SoulもCafe Apres-midiもSuburbiaも今の自分があるのも、小野英作のおかげです。感謝と追悼の思いをこめて。
橋本徹(Suburbia)

Deadletter - ele-king

「ちいかわの逆張り」なんて書いたらアーティストに怒られてしまいそうだが、図らずも、私のなかでデッドレターとちいかわの二項対立ができ上がってしまった。

 のっけから何を言い出しているのかという感じだが、どうかお許しいただきたい。UKはノース・ヨークシャーを出身として現在はロンドンを拠点に活動するポスト・パンク・バンド、デッドレターの2ndアルバム『Existence is Bliss』のレヴューを書くこととなり、まずは公開されている本作品のプロモーション文章を読むことにした。なるほど、彼らはこの作品について以下のように語っている。

(前略)この現実のなかで、たんに「存在する」のではなく、あえて「生きる」ことを選択するのは──ある偉大な哲学者の言葉を借りれば──英雄的な行為である。ただ存在するだけであることを選ぼうとする誘惑は、あまりに強力で、馴染み深い感覚だ。しかし、自らの目をまっすぐに見つめ、人生の葛藤を引き受け、世界の酸素をたんなる呼吸のためではなく、「行動」し「耽溺」するために使うこと。それこそが、我々を人間たらしめるのだ。ただ在ることは至福かもしれない。だが、「生きる」ということは大きな混乱であっても、その先に待つ報いは計り知れない。

 私は冷や汗が出てくる。おいおい、ここは、なにも考えず、食べて、働いて、怖い目に遭いながらも「生き延びる」ことが何より肯定され、無力であることも、立ち止まることも等しく祝福される世界観を持つ「ちいかわ」さまが絶大な指示を得ている日本である。「ただ存在するだけ」を拒絶し、「生きること」を英雄的行為として言及するこの一文は、この国のマジョリティが縋り付く安寧の空気に対し、あまりにも鋭利なクエスチョンを投げかけているように思えたのだ。

 まずはデッドレターについて説明すると、2010年代後半のUKサウス・ロンドンを端にしたポスト・パンク・リヴァイヴァル以降に出現したこの6人組は、その大所帯ゆえの厚みと、ストイックなまでの緊張感を武器に頭角を現してきた。タイトに刻まれるドラムはダンス・フレンドリーな推進力を持ちながら、つねに楽曲に抜き差しならない緊迫感を走らせる。ビートを導火線として機能させる切れ味鋭い2本のギターと、感情を煽り立てるサックス。ダンスフロアに直結するようなテンポの良さのなかで、フロントマンのザック・ローレンスは、ビートの上にしかめっつらに言葉を叩きつける。
 その手法において、彼らはヤード・アクトらと地続きに見えるかもしれないが、ヤード・アクトが皮肉とユーモアで現代社会の滑稽さをなぞるのに対し、相当な読書家として知られるザックのヴォーカルは、もっと剥き出しで、哲学的な問いの「豪速球」を投げ込んでくる。ストイックなサウンドがもたらす肉体的な快楽性と、リリックに現れる文学的・形而上学的なアプローチ。このコントラストこそがデッドレターの面白さだと感じている。個人的には、初期の代表曲 “Fit For Work” や “Line The Cows” はDJでも大変お世話になった楽曲なので、未聴の方はぜひチェックしてみて欲しい。

 今作のリード・トラック “To The Brim” は、バンドの洗練された進化を端的に示す一曲だ。BPM132の太く踊れるビートが刻まれながらも、アコースティック・ギターのスローモーションな旋律が並走し、カオスと美しさの両面に立ち上がる二重構造が浮かび上がる。パンクの衝動を超えた計算されたアンサンブルが叙情的な輪郭を描き出しているのは、“What the World Missed” や “Focal Point” といった楽曲でも明らかで、彼らがたんなる「怒れる若者」から「思考する表現者」へと脱皮したことを物語っている。

 さて、今作のテーマ、そしてタイトルである『Existence is Bliss(存在は至福だ)』についてもう一度考えよう。本作を通して聴こえてくるのは、「ただ存在する」ことの危うさを、社会構造・テクノロジー・自己欺瞞・トラウマ・承認欲求・アイデンティティの喪失といった複数のレイヤーから解体していくプロセスである。

 例えば、“It Comes Creeping” における「それ(It)」とは、あらゆる依存や観念に読み替え可能な寄生体だ。それは私たちの意識の隙間に忍び込み、人格を乗っ取っていく。「Before it skins you / hangs you out / And wears you like a sweater(お前を剥ぎ取る前に/吊るし上げ/セーターのように着る)」というラインは、現代ホラー的な生々しさで、主体性を失った人間が無残な「器」へと成り下がる恐怖を突きつける。また、“Among Us” では、私たちの欲望と一体化したテクノロジーが、監視する側とされる側の主客を逆転させるディストピアを描き出す。

 こうした冷徹な観察眼は、たんなる社会批判に留まらない。アルバム中盤の “Cheers!” では、「Cheers! Cheers for waking up!(乾杯! 目覚めに乾杯!)」という叫びが響く。字面にすれば素朴な一言だが、ザックの切迫したヴォーカルで放たれるとき、それは自分自身と向き合うことを決意した者への、血の通った祝杯へと変貌し、奇妙な清々しさを残す。“Focal Point” で示される、人生の混乱を拒絶せず、かといって悲観主義にも陥らない強かな態度は、本作の底流にある「意志」の強さを象徴している。

 クロージング・ソング “Meanwhile, In A Parallel” で放たれる「the opposite of living isn’t death, it is existing(生きることの反対は死ではない、存在することだ)」という一節。これに触れたとき、本作のタイトルがたんなる皮肉ではなく、切実な「存在の再定義」であることに気づかされる。

 情報の濁流に呑まれ、思考を停止して「ただ存在する」ことで嵐をやり過ごす。それは、ちいかわたちが過酷な世界で「生き延びる」ために選択する切実な生存戦略と似ている。その倫理を否定することは誰にもできない。しかし、デッドレターはそこから「もう一歩」を踏み出すことを促す。彼らにとっての「Bliss(至福)」とは、平穏な静止状態ではない。葛藤し、傷つきながらも、自らの意志で世界の酸素を使い切る瞬間に火花が散る、爆発的な生の実感を指すのだ。存在は至福かもしれないが、放置されたままでは腐るのだと。

 ちいかわ的な「生き延びる」倫理と、デッドレターが提示する「生きる」倫理。実際のところその狭間で揺れ続けることこそが、現代を生きる私たちの正直な姿であり、どちらも否定はできないだろう。だが、その揺れすらも引き受け、混乱の渦中へ能動的に飛び込んだとき、私たちの目に映る『Existence is Bliss』の景色は、少し違ったものに見えてくるのかもしれない。

Dolphin Hyperspace - ele-king

 サンダーキャットルイス・コール、あるいは近年のドミ&JD・ベックなどなど、カリフォルニアには凄腕プレイヤーたちによるジャズ/フュージョン文化が息づいている。そうした系譜に新たに連なることになりそうなのが、ドルフィン・ハイパースペースと名乗る彼らだ。サックス奏者のニコール・マッケイブと、ベース奏者のローガン・ケインからなるこのLAのデュオは、すでに2枚のアルバムを発表しているのだけれど、来る5月1日、3枚目のアルバム『Echolocation』がリリースされることになっている(ルイス・コール、ジャスティン・ブラウンらも参加)。このアルバムでいよいよブレイクしそうな予感がひしひし。チェックしておきたい。

先行シングルのヴィジュアライザー

ルイス・コールとのライヴの様子

LAビートシーンを切り裂くブっ飛びエレクトリック・ジャズ、ドルフィン・ハイパースペース最新作!ベースとサックスのバカテクデュオに超絶ドラマー、ルイス・コールも参加した摩訶不思議奇天烈ダンスビートとエレクトリック・ジャズの融合!

ニコール・マッケイブ(Sax)とローガン・ケイン(Bass)によるバカテクデュオに超絶ドラマー、ルイス・コールも参加した、摩訶不思議奇天烈ダンスビートとエレクトリック・ジャズを融合したドルフィン・ハイパースペース最新作がリリース決定!

現代ジャズの先進性と電子音楽の拡張性を取り入れたジャズの複雑なハーモニーや即興的なアプローチとシンセサイザーやビートシーンから生み出されたエレクトロニックな要素をクロスオーヴァーしたサウンドはLAビートの新たなスタイルと言っても過言ではないでしょう。

同じくLA拠点に活動する超絶ドラマー、ルイス・コール、ジャスティン・ブラウンに加えて、グラミー賞ノミネートのピアニスト、ジェラルド・クレイトンもゲスト参加し、前作でも話題となったイルカをフィーチャーしたビジュアルは健在!

現在進行形のLAジャズ/ビートシーンを体現するサウンドを聴き逃しなく!!

The Life of a Bee (official visualizer)
https://youtu.be/UyKaLedYRmA

【Streaming/Download/Pre-Order(CD/LP)】
p-vine.lnk.to/kaBy6J

【リリース情報】
アーティスト:DOLPHIN HYPERSPACE / ドルフィン・ハイパースペース
タイトル:ECHOLOCATION / エコロケーション
フォーマット:CD/LP/DIGITAL
発売日:2026.5.1
定価:CD ¥2,750(税込) / LP ¥5,060(税込)
品番:CD PCD-25524 / LP PLP-8334CP
レーベル:P-VINE

【Track List】
01.Vacation
02.BIG FISHY feat. Louis Cole
03.The Life of a Bee feat. Louis Cole
04.Kyoto feat. Louis Cole & Bad Snacks
05.Dolphins are Cute feat. Jon Hatamiya & Justin Brown
06.Biological Sonar
07.Dolphin Samba feat. Aaron Serfaty
08.Green Chimneys feat. Gerald Clayton
09.The One Evil Dolphin (About Which We Can Make No Conclusions)
10.Cool Star feat. Justin Brown
11.Sardine Jam Session feat. Louis Cole
12.Dolphin Mode feat. Bad Snacks & Justin Brown
13.Never Give Up on Cephalopods
14.My Big Break feat. Louis Cole
15.Memories of the Deep Blue Sea feat. Justin Brown
LP SIDE A:M1-M7 / SIDE B:M8-M15

【DOLPHIN HYPERSPACE (ドルフィン・ハイパースペース)】
USロスアンゼルスを拠点に活動するエレクトロ・ジャズ・デュオ。サックス奏者のニコラ・マッケイブとベーシスト/プロデューサーのローガン・ケインの2人により結成され、現代ジャズの先進性と電子音楽の拡張性を取り入れジャズの複雑なハーモニーや即興的なアプローチとシンセサイザーやビートシーンから生み出されたエレクトロニックな要素をクロスオーヴァーしたスタイルが特徴的なアーティストである。2020年に1st EP『Dolphin Hyperspace』、翌2021年に1stアルバム『Mini Giraffe』を発表するとともにLAビートシーンで頭角を現していくと、2024年に発表した2ndアルバム『What is my Propoise?』ではルイス・コールやジャスティン・ブラウンといった同じくLAを拠点とし世界的にも高い評価を得ているドラマーをゲストに迎え、そのサウンドの先進性と奇妙奇天烈なグルーヴから生み出させる絶妙なポップネス、そしてイルカのイラストをカヴァーに採用した独特なアートワークで日本国内でも話題となり世界的にリスナーを獲得している。2026年5月にリリースされる『ECHOLOCATION』には前作から活動を共にしているルイス・コール、ジャスティン・ブラウンに加えて、同じくLAを拠点に活動するグラミー賞ノミネートのピアニスト、ジェラルド・クレイトンも参加するなど現在進行形のLAジャズ/ビートシーンを体現する作品へと仕上がっている。
https://www.instagram.com/dolphinhyperspace/

Squarepusher - ele-king

 昨年は初期作品『Stereotype』のリイシュー、一昨年は人気作『Ultravisitor』の20周年記念盤と、回顧的な動きがつづいていたスクエアプッシャー。ここへ来て、ニュー・アルバムのお目見えだ。『Kammerkonzert(室内協奏曲)』と題されたそれは『Dostrotime』以来およそ2年ぶりのオリジナル・アルバムで、4月10日にリリース。はたして今回はどんな内容に仕上がっているのやら。まずは公開中の新曲“K2 Central”を確認しよう。

Squarepusher

鬼才スクエアプッシャー、再び覚醒
音楽構造そのものの限界へと踏み込む“室内協奏曲”
最新アルバム『KAMMERKONZERT』が完成!
新曲「K2 CENTRAL」がMVとともに公開!
アルバムは4月10日リリース

スクエアプッシャーこと鬼才トム・ジェンキンソンが、新作『Kammerkonzert』を発表した。黒曜石のように硬質で超高速のベースプレイ、凶暴なオーケストラ・サウンド、そしてプログレッシヴ、アンビエント、エレクトロニック、実験音楽を縦横無尽に横断する急旋回の連続――その名の通り“室内協奏曲”を掲げながら、音楽構造そのものの限界へと踏み込む野心作だ。アルバムは4月10日に〈Warp Records〉よりリリースされる。

今回の発表にあわせて、最新シングル「K2 Central」が公開。複雑に構築された楽曲のサウンドがどのように組み上げられているのか、その一端を視覚的にも体感できる映像作品となっている。

Squarepusher - K2 Central (Official Video)
https://youtu.be/cAvdRtOdRcM

唯一無二のハードコア・レイヴ/エレクトロニック・プロデューサーであり、実験的ミュージシャン、そして未来的フュージョンの開拓者であるスクエアプッシャー。その30年に及ぶキャリアは、宝石のような作品群で埋め尽くされている。衝撃のデビュー・アルバム『Feed Me Weird Things』(1996年)、異次元のコンクレート・ジャズを提示した『Ultravisitor』(2004年)、超絶技巧のベースプレイが堪能できる『Solo Electric Bass 1』(2009年)、さらには『Music for Robots』(2014年)まで、現代音楽においてこれほど広範な領域を確かな足取りで横断してきたアーティストは稀有だ。その彼から新たに届けられた最新作は、ほぼ全パートを自身で演奏した驚異的な“室内協奏曲”だ。

本作『Kammerkonzert』は、プロデューサーとしてのみならず作曲家としての力量を強烈に示す作品でもある。目まぐるしく展開する構成は、フランスのプログレッシヴ・ロック・バンド、マグマ(「K1 Advance」)、ウェザー・リポートの『Body Electric』期の流れるようなフュージョン(「K2 Central」)、エンニオ・モリコーネが手がけた血塗られたジャッロ映画のサウンドトラックを想起させる瞬間もある(「K7 Museum」)。さらにUKジャズ・シーンとのクロスオーヴァーも感じさせる(「K3 Diligence」)、シュトックハウゼンの大作『Mantra』のリング・モジュレーション・ピアノや、ブライアン・イーノがデヴィッド・ボウイと作り上げたアンビエントの空気感(「K11 Tideway」)まで、多層的な影響が交錯する。

だが、それらは決して引用やオマージュに留まることはない。すべての楽曲は、ジャンルや様式に当てはめられる前に変形し、消え、再構築される。歯車やマイクロチップが高速で組み替えられる自己再構築装置の内部を覗き込むかのように、聴き手はやがて全体像が浮かび上がる瞬間へと導かれていく。

“オーケストラ作品”という言葉が喚起する成熟や格式とは、本作は無縁だ。生ドラム、エレクトリック・ベース、ギター、そして複雑なサウンドライブラリが共存し、伝統的な記譜法では捉えきれないリズムと質感を実現する。

当初は室内楽団との共演を想定していた本作だが、度重なる出来事を経て、結果的に自身が全パートを演奏する形へと昇華した。これはクラシックでもなければ、従来のエレクトロニック作品でもない。そのどちらとも異なる、新たなフォルムである。

タイトルの『Kammerkonzert』はドイツ語で“室内協奏曲”を意味するが、その硬質な響きは作品の音響的戦闘性をも示唆している。音楽構成の極限を内側から押し広げる、悪戯心に満ちた挑戦。ブレイクビーツと弦楽四重奏という危うい組み合わせすら成立させるその姿勢こそ、本作の核心である。

スクエアプッシャー最新作『Kammerkonzert』は、4月10日 (金) にCD、LP、デジタル配信で発売。国内盤CDには、日本語解説書を封入。LPは通常盤 (2枚組ブラック・ヴァイナル) に加え、数量限定の日本語帯付き仕様(解説書付) でも発売。さらに国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットの発売も決定。

label: BEAT RECORDS / Warp Records
artist: Squarepusher
title: Kammerkonzert
release: 2026.04.10
商品ページ: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15653
配信リンク: https://squarepusher.ffm.to/kammerkonze
tracklist:
01. K1 Advance
02. K2 Central
03. K3 Diligence
04. K4 Fairlands
05. K5 Fremantle
06. K6 Headquarters
07. K7 Museum
08. K8 Park
09. K9 Reliance
10. K10 Terminus
11. K11 Tideway
12. K12 Uplands
13. K13 Vigilant
14. K14 Welbeck

CD

LP


 Hello Hello! hey hey! heykazmaですッ!!
 今年もよろしくねん!!
 今回は~~~⟡‎♡‧₊˚
 2/2にリリースした、わたしの1st EP「15」について!!
 ライナーノーツ的なやつ、書いちゃいますよ!!

https://www.ele-king.net/news/012128/

 まず、EPタイトルの「15」ってなに? と思うあなたへ。ズバリ言うと、わたしの年齢です♪ このEPは “15歳までの時間” をぎゅっと詰め込むことをコンセプトにしています。これまでの思い出や感覚、その時々で感じていたことを、そのまま音に残すようなイメージで制作しました。
 ジャンルは特に縛りなく、わたしが好きなものを全部詰め込んでいます。Juke / Footwork、Techno、ノイズなど、そのときつくりたかった音を素直に形にしました!!!!!!!!
 アートワークは飯田エリカっちの撮影した写真をベースに、msmsちゃまが可愛い猫の絵&heykazmaのロゴを描いてくれました!! 超お気に入りアートワークすぎる、ナイスワーク感謝すぎます!!!
 てことで、楽曲の解説をしていきますで〜♪

1. 15

 EPのリード曲 “15”⟡‎♡‧₊˚
 “ALL THAT’S FOOTWORK” という、以前わたしが制作した曲をベースに、音を足したり引いたりしながら、いまの自分の感覚で作り直した曲です。今回はポエムコア、ラップ、ビート、ベースを入れて、かなり “いまの自分” を前に出した一曲になってます•¨•.¸¸☆*・゚
 近頃は、ヘイトスピーチやレイシズムに満ちた言葉を、SNSどころかまさかの路上で(もしくは車の上から汗)聞くこともあり、正直びっくりしています。世の中がそういう傾向にある? だとしたらとてもダサい。
 わたしは、誰に何を言われても「わたしはわたし」っていう気持ちを絶対に手放したくない。
 その感覚を、そのままポエトリーとしてラップに込めています。
 どこで生まれて、どこで息して、どこで育って、どこで学んでも「わたしはわたし」。メイクすること、好きな服を着ること、誰を好きになってどこで暮らすか、全てはわたしの自由だし、あなたの自由でもある。人を傷つけなければ、それで全部OKじゃん❣️ って思ってる。
 つまり、I am Iってことや⭑
 ベースはあっしの大親友・MAIYA(illiomote)に弾いてもらいました!!
 以前、マヴのあっこゴリラちのライヴを観に行ったとき、サポートでベースを弾いているMAIYAを見て「この人最高すぎっしょ」ってなって! 今回、曲にもう一段階深みを足したいなって思ったとき、「MAIYAにお願いしよう」って自然に思えて、参加してもらうことに。結果、最高すぎて感謝しかないっすわ✩*・

2. Pre Pariiiiiiiiiiiiiiin
3. Pariiiiiiiiiiiiiiiin

 この2曲は、セットでひとつの流れとして制作しました˖⁺‧₊˚✦
 リード曲 “15” とは対極にある存在で、空気が一気にexperimentalな方向へ傾いていきます。
 “Pre pariiiiiiiiiiiiiiin” はノンビートの楽曲として始まり、音の質感や余白そのものを意識した構成に。そこから “Pariiiiiiiiiiiiiiin” でビートが立ち上がり、Technoとして再構築されていく流れになっていますっっ!
 制作のきっかけは、以前栃木県・益子町を訪れたときの体験でした。益子陶器市の会場近くで、割れた陶器の破片が地面一面に散らばっている場所があり、そこを歩いたときの音をボイスメモで録音していました。陶器が擦れる乾いた音や不規則なリズムを細かくチョップし、ビートの素材として組み立てています。
 サウンド面で特に影響を受けたのは、Mick Harrisの別名義・FRETによる『Over Depth』や、Mark Fellの『multistability』。ビートを単なるリズムではなく、構造そのものとして扱う姿勢に強く惹かれました。
 踊れるけれど安定しすぎない、気持ちいいけれどどこか落ち着かない。その曖昧なバランスを大切にしながら制作した2曲です☆≡。゚.

4. Cat Power

 “Cat Power” も “15” と同じく、もともと “€at P0wer” という曲をBandcampでリリースしていて、そのトラックをベースに、音を足したり引いたりしながら、いまの自分の感覚で再構築していった一曲です꙳·˖✶
 この曲では、私の声に加えて、飼い猫のNancyの声をサンプリングしています。
 愛おしい猫ちゃん。my sweet catって感じで、何気ないおうち時間を、いつの間にか癒しの時間に変えてくれる存在です˚✧ ˖
 全部そばで受け止めてくれる感じがして。猫、ほんとに最高。猫の力は偉大!!!
 “15” でも影響を受けているけど、この曲は特に、関西のJukeアーティスト・PICNIC WOMENや、Satanicpornocultshopから影響を受けまくって制作しました₊♪‧˚*

5. Acid Noise

 さあさあ、EPいちばんの問題作、“Acid Noise” でございます!!! 名前のとおり、Noise Music。正直、EPのなかでもかなり振り切った一曲になってますし、完成に辿り着くまでいちばん時間がかかりました……。一歩間違えると、ただ効果音を並べただけみたいになっちゃうので、そのあたりはかなり工夫しています
 この曲は、仲良し・食品まつりちゃまの “KOUGEKI ROBOT” や、我らがmasonna先生、そして今回のEPプロデューサーであるカワムラユキの旧名義、VENUS FLY TRAPPの『Egology』などをリファレンスに制作しました!!!
 EPの流れのなかで、少し空気を壊すというか、耳と感覚を一回リセットするような存在になってたらうれしいです。これもいまの自分!!˚₊‧⁺˖

 てな感じで楽曲解説は以上です。ぜひこれを知った上で聞いてみてほしいな! リファレンスをまとめたプレイリストも作ったのでよければチェックしてみてくださいな。


https://youtube.com/playlist

 こっからはEPリリースのお祝いコメントを、わたしの大好きなアーティストの方々に書いていただきました!!
 ele-king編集長・野田氏、編集部・小林氏からもいただいております!!

EPリリースおめでとう!!
DJ、パーティーオーガナイザー、コラムニストなど、様々な視点からカルチャーを俯瞰している。その中で自由な泳ぎ方を見せている。決して誰かを強制したり、価値観を押しつけているわけではなく、私はあくまでこうあり続けるという一つの個として音楽を表現しているように感じる。その異色でありながら、色彩を選び抜く力というものは、オーガナイザーとしても培った、出会うことを知らない引力を、引き合わせる力を持ち合わせているからこそ生まれてくるものだと思う。
これからまだ見ぬ化学反応を起こしてくれることでしょう。
それを目撃し続けたいです。
- 北村蕗

ビートのバリエーションの豊富さ、サウンドもトライバル感ありつつ、フィールドレコーディング的なサウンドも織り交ぜて音響的にもめちゃくちゃヤバいepです
- 食品まつり a.k.a FOODMAN

ここにエレクトロニック・ミュージック界の新星、耳を澄ませ! - 野田努 / ele-king 編集長
最初の輝きはいつまでも色あせない――期待の原石がついに転がりはじめた - 小林拓音 / ele-king 編集部

衝撃の15歳!!! 1st EPリリースおめでとうございます!!!
この年齢で、ここまで自分の世界観と音を持っているなんて、可能性しか感じません!!!
これからどんな景色を見せてくれるのか、どんな進化をしていくのか、今から楽しみすぎます!!!心からのリスペクトと応援を込めて。
- もりたみどり / WAIFU

ついにこの時が来た!!!hey様の、踊りながら飛び出してくるような立体的な躍動エネルギーを、世界が、浴びたがっている!!!!
- ShiShi Yamazaki

高円寺のあれこれレコードショップLOS APSON?周辺にて勃興するイベント、DDMメンバーとしても登場してもらっている高一エクスペリメンタル妖怪系クリエイター!?heykazmaが、新しいEPをリリースするというので聴いてみたっ!!! 現代のテンポ感で刻まれる鳴りの良いフレッシュダンサブルサウンドと、ライトなコラージュ感覚で、ポジティブなバイブスを無限に放っています!
- 山辺圭司 / LOS APSON?

heyちゃんの楽曲でベースを弾きました!オファーをもらった時にえ、ベース!?
となったんですがheykazmaの頼み断るわけがない!みんなを新しい世界に引き込んでしまうようなheyちゃんにいつもパワーをもらっているし、こうした形で大きなスタートに関われて嬉しいです。ありがとう。未来でしかない!EPリリース本当におめでとう。
- Maiya Toyama / illiomote

素晴らしいスタートライン!ポップなフットワークビートも、エクスペリメンタルなノイズも、heykazmaの血肉となって通過した痕跡を残し、めちゃくちゃエネルギッシュ!heykazmaが本格的にプロデューサーとして活動を始めたことは、これからのテクノの希望でしかない˚. ✦
- 壱タカシ

「15」。原子記号で言えば燐。空気中で自然発火する元素だ。ギリシャ語Phosphorusフォスフォロスとは、「光をもたらす者」もしくは「明の明星」。明け方太陽に先立ち光輝く金星だ。奇しくもプロデューサーのカワムラの通称はヴィーナス(金星)。このデビューEPがクラブシーンにおいて、いち早く光もたらすアルバムにならんことを!
- ヴィヴィアン佐藤

 そんなわけで、heykazma 1st EP「15」特集でした。
 ぜひみなさんサブスクで1000000000000回聴くのはもちろん、Bandcampでも音源販売中ですのでサポート何卒よろしくお願いします!!!!

 そして、お知らせ!
 heykazmaのHPができました。
 いろんな情報ここからチェックできるようになってるので、ぜひみんなみてみてね〜
 https://sites.google.com/umaa.net/heykazma-official/

 最後に、私が都内でお気に入りのベニューであり、桜台poolのオーナーでもあるカイライバンチの清水さんが、先日お亡くなりになりました。
 poolのような文化的な場を自らつくりあげ、その空間を守り続けてこられた清水さんのような先輩方がいたからこそ、私たちは自由に、そして尖った表現を続けることができたのだと心から思います。
 つい先日、友人の魔女・円香さんが主催するイベント「Circle 2026」が桜台poolで開催され、私もDJとして出演させていただきました。その際に清水さんにお会いしたばかりだったので、二週間後に訃報を知り、あらためて日々のかけがえのなさを強く感じました。
 心よりご冥福をお祈り申し上げます。
DuctronTwin2020
 ではではまたどこかでお会いしましょう.
 またね ࣭ ⭑

Arthur Nolan (Blue Bendy) - ele-king

 ロンドンのブルー・ベンディは、2024年のファースト・アルバム『So Medieval』が高く評価され、注目を集めたバンドだ(昨年はブラック・カントリー・ニュー・ロードのO2アカデミー・ブリクストン公演でサポート・アクトに抜擢されてもいる)。
 そんなブルー・ベンディの中心人物、アーサー・ノーランによる初の来日公演が開催されることとなった。3月14日(土)@大阪Alffo Records、3月16日(月)@下北沢BASEMENT BARの2都市、前者ではHue’sメンバーによるユニット、龍と旭が、後者では水いらずがサポートとして出演。貴重な機会を逃すなかれ。

BLUE BENDY (ARTHUR SOLO LIVE) - ALONE IN JAPAN -

【大阪公演】
2026年3月14日(土)
at ALFFO RECORDS(大阪府大阪市西区新町1-2-6 3F)
OPEN 18:00

with 龍と旭 (Hue’s)
DJ: SEO | ナカシマセイジ | レオス
TICKET
・DOOR ONLY ¥3000 1Drink込

【東京公演】
2026年3月16日(月)
at 下北沢BASEMENT BAR(東京都世田谷区代沢5-18-1 B1F)
OPEN 18:30

with 水いらず
DJ: 村田タケル | SPOT
TICKET
・RESERVED ¥3500
・DOOR ¥4000
※共に1Drink別

東京公演チケット情報
https://lit.link/bluebendysoloJapan2026

PRIMAL - ele-king

 去る2025年、12年ぶりのアルバム『Nostalgie』を送り出したMSCのラッパー、PRIMAL。このタイミングで彼のファースト『眠る男』(2007)とセカンド『Proletariat』(2013)が初めてアナログ化されることになった。帯付き2枚組、完全限定プレス。発売は5月20日。ご予約はお早めに。

MSCのラッパー、PRIMALの名盤1st『眠る男』と傑作2nd『Proletariat』が帯付き2枚組仕様/完全限定プレスで待望の初アナログ化!

盟友・漢 a.k.a. GAMI率いる9sari GROUPから約12年ぶりとなるカムバック作『Nostalgie』を昨年リリースしたことも話題となっているMSCのラッパー、PRIMALが2007年にLIBRA RECORDSからリリースした名盤ファースト・ソロ『眠る男』と2013年に自身のMUJO RECORDSからリリースしたセカンド・ソロ『Proletariat』が帯付き2枚組仕様/完全限定プレスで初アナログ化!
『眠る男』にはその漢を筆頭にMSCの面々やMAKI THE MAGIC、Bay4Kらが客演として参加し、そのMAKI THE MAGICやDJ BOBO JAMES(D.L/Dev Large)、I-DeA、The Anticipation Illicit Tsuboi、Malik、Hardtackle_33、Hardtackle_66らがプロデューサーとして参加。DJ BOBO JAMESのプロデュースによるリード曲"武闘宣言"やブッダ・ブランドの名曲"ブッダの休日"オマージュな"ブッダで休日" feat. MEGA-G、MSCが再結集した"戒壊"、漢とのユニットである新宿路団としての"情熱と快楽に生きる今"、メシアTHEフライとのコラボ"東京Discovery2"などの人気曲を多数収録。
『Proletariat』にはMSCの面々やメシアTHEフライ、Satellite、RUMI、PONYらが客演として参加し、MAKI THE MAGICやThe Anticipation Illicit Tsuboi、OMSB、DJ HIROnyc、DJ TAIKI、DJ BAKU、KOHAKUらがプロデューサーとして参加。名曲"武闘宣言"の続編的な"武闘宣言 2.0"(プロデュースはMAKI THE MAGIC)、活動休止状態だったMSCから漢とTABOO1に同世代のRUMIが参加した"岐路"(プロデュースはThe Anticipation Illicit Tsuboi)などの人気曲を収録。また、『Proletariat』はアナログ化にあたってSUE(76-77)が新たにリマスタリング。
MSCファンや日本語ラップ・ファンにとっては正に待望と言えるアナログ化!!

アーティスト: PRIMAL
タイトル: 眠る男
レーベル: LIBRA RECORDS / P-VINE, Inc.
仕様: LP(帯付き2枚組仕様/完全限定プレス)
発売日: 2026年5月20日(水)
品番: PLP-8330/1
定価: 6,930円(税抜6,300円)
*P-VINE SHOPにて予約受付中!
https://anywherestore.p-vine.jp/products/plp-8330-1

トラックリスト
SIDE A
1. 武闘宣言
2. ブッダで休日 featuring MEGA-G
3. 器用貧乏
4. 存在
5. 情熱と快楽に生きる今 / 新宿路団
SIDE B
1. 東京Discovery2 featuring メシアTHEフライ
2. 実態 featuring 麻暴 , GENIUS
3. とことん病
4. 反骨精神 featuring 少佐
SIDE C
1. Emotional / SIDERIDE featuring ViVi
2. 眠る男
3. 今を生きる
4. SHADOW featuring MAKI THE MAGIC
5. My Way
SIDE D
1. 川崎 Back In The Day featuring bay4k
2. 1week featuring WATASHI
3. 田園都市 -WATASHI REMIX-
4. 戒壊 / MSC

アーティスト: PRIMAL
タイトル: Proletariat
レーベル: MUJO RECORDS / P-VINE, Inc.
仕様: LP(帯付き2枚組仕様/完全限定プレス)
発売日: 2026年5月20日(水)
品番: PLP-8332/3
定価: 6,930円(税抜6,300円)
*P-VINE SHOPにて予約受付中!
https://anywherestore.p-vine.jp/products/plp-8332-3

トラックリスト
SIDE A
1. MY HOME
2. 武闘宣言2.0
3. 性の容疑者
4. 大久保 Street
SIDE B
1. 御江戸のArea
2. 子供とママと家庭
3. おむつがとれるまで
4. Proletariat feat. PONY
SIDE C
1. 続Proletariat TD4 feat. MESS
2. Skit
3. MS Pride feat. SATELLITE
4. 地下プロRun
5. 血
SIDE D
1. 日本 feat. O2
2. 共倒れ
3. 岐路 feat. TABOO1, 漢, RUMI

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498