「K A R Y Y N」と一致するもの

行松陽介 - ele-king

 今年7月に脳腫瘍が発見され入院。2度に渡る摘出手術を行い、今後も治療を行いながら医師の許可のもとDJ活動も再開している行松陽介氏を応援すべく“ゆきまつり”を開催! 本人はもちろん彼と繋がりのある豪華共演者による宴、百戦錬磨の間違いないプレイヤが居ればそこではパーティがはじまる! SALOONは幡ケ谷にある魔境、ForestLimitがプロデュース。こちらもとてつもない予感がプンプンだっ!  10/14 金曜、代官山にてグルーヴィンにエキサイッしてくれ!

YUKIMATSURI 95
2016/10/14(FRI)
@DAIKANYAMA UNIT/SALOON

OPEN/START 23:00
DOOR 2000yen

UNIT :
行松陽介
DJ NOBU
KILLER-BONG
COMPUMA
1-DRINK
CARRE

FORESTLIMIT Presents SALOON FLOOR :
Orhythmo(from OSAKA)
Zodiak(from OSAKA)
OQ(from OSAKA)
SUNGA (COREHEAD/BLACKSHEEP)
テンテンコ
黒電話666
アート倉持
shirakosound
DJSOYBEANS
Color Me Blood Black (CML.tokyo)
AKIRAM EN (FORESTLIMIT)
and more

VJ:浮舌大輔

Deep Medi 10 - ele-king

  去る10月1日、プロデューサーのマーラが2006年にスタートさせたダブステップ・レーベル〈Deep Medi Musik〉 のアニバーサリー・イベントが、彼のホームであるロンドンで開催された。
 多種多様なプレイヤーたちを紹介することにレーベルの目標は置かれ、その範囲はイギリスや同ジャンルのプロデューサーたちに収まるものではない。日本のエレクトロニック・ミュージックを代表するゴス・トラッドは、同レーベルからの諸作品で多くの注目を集め、〈Warp〉の看板ともいえるマーク・プリチャードやドラムンベースの鬼才、カリバーといった面々も、自身の顔のイラストがあしらわれた分厚い12インチをカタログに残している。そのサウンドをアップデートしているのは、若手のスウィンドルやカーン、グライム・シーンを支えるDJ、サー・スパイロらによるリリースだ。
 その飽くなき探究心を鑑みるに、先日、ジャイルス・ピーターソンの〈Brownswood Recordings〉からリリースした『Mirrors』において、ペルーで録音されたサウンド・マテリアルから幻想的な物語を作り上げたマーラ自身の魂は、レーベルに集うエネルギーと共にあると言っていいだろう。
 この夜のために総勢30名に登るDJやMCたちがひとつのステージに集結し、約1700人が入る会場のチケットも当然のごとくソールド・アウトだった。

Sir Spyro - Topper Top ft. Teddy Bruckshot, Lady Chann and Killa P - 2016

 オープン時刻の9時になると会場のエントランスには長蛇の列ができていた。ネットで買ったチケットの購入画面をスキャンし、厳重な荷物&ボディチェックをすませ、開始30分後に会場へ飛び込む。徐々に聴こえてくるのは、A/T/O/Sがシンガーを引き連れて放つ、悲哀に満ちたビートだ。サウンドシステムはヴォイドのインキュバスが設置され、重低音がまだ人がまばらなフロアに地鳴りを起こしていた。
 最初のDJであるサイラスと共に、リュックを背負ったドレッドヘアーのMCサージェント・ポークスもステージに登り、10年以上に渡ってロンドンのダブステップを支え続けてきた声を張り上げる。炎のような男だ。続くKマンがDJデックに立つ頃には、フロアは多くの人々で埋まり、〈Deep Medi〉のイラストを描き続けてきたタンニッジのプレイでこの日最初のリワインド(注:オーディエンスの反応が大きい曲を、DJが巻き戻して最初からプレイし直すこと)が巻き起こった。次の曲のメイン・シーケンスが流れた瞬間に上がる歓声とたくさんの拳。その曲がクラシックではなく今年リリースのこの曲であったことから、ベテランの彼もフロアとともに成長していることがうかがえる。

Dstrict - Drowsy - 2016

 日付が変わる頃には移動するのも困難なほどの数の人々で会場が溢れかえっていた。往年のファンから20代前半の若者まで、多くの世代が入り混じっている。
 ブリストル新世代を代表するカーン&ニーク、リーズ在住のコモドによるバック・トゥ・バックによって、会場はさらなる熱量で包まれた。ニークのシンプルでソリッドな選曲と、カーンのキラー・チューンとが相乗効果を生む。2012年の彼のレーベル・デビュー作である“Dread”がプレイされたとき、フロアは揺れに揺れた。コモドもそこに彼独自の変則的なトライバル・チューンを加えてうねりを生み出し、オーディエンスをロックし続ける。
 カーン&ニークと同じくブリストル出身のライダー・シャフィークが、ここではマイクを握った。ポークスの情熱的なパフォーマンスとは対照的に、彼はクールな立ち振る舞いで呪文を唱えるかのように淡々と言葉を紡ぎ、時に歪んだ声で低音を華麗に乗りこなす。クラブに舞い降りたダブポエットさながらのその姿は、奇しくもその日が命日だったMCスペースエイプに重なっても見えた。豊穣な才能とともに世代は確実に引き継がれているのだろう。続いてステージに上がった、ダブステップにファンクやジャズを持ち込んだ功績を持つシルキーとクエストのセットで、スウィンドルが流れた時も同じことを思った。

Kahn - Dread - 2012

 ゴス・トラッドとトゥルース、そこにマーラが加わって始まった2時15分からの怒涛の1時間、これは間違いなくこの日のピークだろう。マーラは自身のアンセム曲“Changes”でセットをスタートさせ、トゥルースが スクリームの“Midnight Request Line”をかけた時、フロアには狂気が渦巻いていた。僕の記憶が正しければ 、セット前半のゴス・トラッドの選曲はほぼ全てリワインドされていたように思う。“Babylon Fall”がかかったときの会場の一体感も素晴らしかった。
 ダブステップの定義が定まっていない頃に登場したゴス・トラッドのプロダクションは、計り知れない影響をUKのシーンに与え、マーラと初めて顔を合わせたときに彼が口にした「お前を日本に連れて行くから」のひと言は、日本でのダブステップのさらなる拡散に貢献した。人や情報の流れがトランスナショナルになった現在において、住んでいる場所や地域が個人の活動を遮るものではない。それを体現する一例がダブステップというムーヴメントであり、ゴス・トラッドのようなミュージシャンなのだろう。

Goth-Trad - Babylon Fall feat. Max Romeo - 2011

 これ以降も重低音は消えない。スプーキーとサー・スパイロによるMCにレディ・チャンとキラPを向かえたグライム・セット、レーベルの記念すべき第1作目である“Kalawanji” がリワインドされまくったクロームスターとジェイ・ファイヴのバック・トゥ・バック。ハイジャックとベニー・イルが“Cay’s Cray (Digital Mystikz Remix)”をプレイしたとき、終演間際であるにも関わらずフロアには多くの小さな火が灯っていた。

Fat Freddys Drop - Cay’s Crays (Digital Mystikz Remix) - 2006

 〈Deep Medi〉が作品をリリースし続けたこの10年の間に、ロンドンの音楽シーンには実に多くの変化が起きた。オリンピックの再開発などにより高騰した家賃のため、レコード店やクラブが閉鎖し、多くのプロデューサーたちがロンドンを離れている。最近では、ドラッグによる死亡事故が相次いだとはいえ、行政や警察の過剰に見える対応のもと、ロンドンの看板クラブであるファブリックの営業ライセンスが剥奪されてしまった。気のめいる出来事はこれからも続くのかもしれない。
 じゃあ、ここにはどんな希望がるのだろう。プレイの途中で、マーラはこんなことを言っていた。「〈Deep Medi〉は俺のものじゃない。いままで参加したプロデューサー全員のレーベルだ」。これは仲間に向けられた感謝の言葉であり、特定の中心を持たずに拡散していこうとする、ひとつの意思表示でもある。実際のところ、マーラは彼自身がレーベルに関わっていることを、2009年頃まで明らかにはしていなかった。この日のタイムテーブには彼の名前がなかったのだけれども、おそらくそれはそういう意図によるものだ。
 ここで先ほどのゴス・トラッドの例に視点を戻す。東京で実験を繰り広げていた彼がロンドンの地下室で産声を上げたばかりの音楽の一部になったように、世界のどこかで起きていることに関わることができるのは現在を生きる僕たちの権利だ。なんとかファブリックを救おうという活動もネットを介し世界規模で広がり、現在多くの支援金が集まっている。そして何より、10年前にロンドンで生まれたダブステップが今日も健在で、それを支えているのが、世界中でそこに耳を傾けている人々だということも忘れてはいけない。分断の風潮も至るところにある一方、確実に広がるこの水平の繋がりは、自分たちの人生を傾けることができる何かを守る大きな力なのだ。
 これからもダブステップと〈Deep Medi〉には夢を見させてもらおう。終演後、ゴミだらけになった会場でそう思ったのは僕だけだろうか。


Supersize me - ele-king

 4月末にリリースされたブライアン・イーノのアルバムは、単にポリティカルなだけではなく、ドローンという手法あるいは分野の可能性を拡張させようとする意欲作でもあった。ここに紹介するSupersize meもまた、そのようにドローンという枠組みを果敢に押し広げようと試みているバンドである。

 Supersize me は京都を拠点に活動しているバンドである。いまだ謎に包まれている部分も多いが、UKの名門レーベル〈FatCat〉がデモ音源を紹介する企画「FatCat Records Demo」にトラックが選出されたり、world's end girlfriend主宰の〈Virgin Babylon Records〉が展開する新人発掘シリーズ「Virgin Babylon Selected Works」からEPがリリースされたりと、すでに玄人筋からの信頼は厚い。
 このたびリリースされたセカンド・アルバム『Slouching Towards Bethlehem』は、その宗教的なタイトルやアートワークからもうかがえるように、内容の方も厳かなムードを醸し出している。
 ドローンとは、さしあたり現代音楽あるいはミニマル・ミュージックの文脈のなかで発展してきた音楽だと言うことができるだろう。しかし本作で聴くことのできるドローンは、どちらかといえばマイ・ブラッディ・ヴァレンタインに代表されるシューゲイズ的サイケデリアとの親和性が高いように思われる。ウィリアム・バシンスキーやフィリップ・グラス、スターズ・オブ・ザ・リッドやグラハム・ラムキン、はたまたエレクトリック・プルーンズやカレント93(デヴィッド・ティベット)といったアーティストの作品から影響を受けているというかれらだが、本作で鳴らされているのは、そのどれとも異なる、決してモノマネではないサウンドである。

 ほとんどの曲では、持続する低音や高音のなかに、あまり自己主張しないヴォーカルが紛れ込んでいる。それはきっちり歌として機能するような、わかりやすい類の「ヴォーカル」ではない。とはいえもちろんそれは、単なる効果音としての「ヴォイス」でもない。興味深いのは、このささやかなヴォーカルがたとえばラ・モンテ・ヤングやホーミーの低音のような持続を追求しているわけではない、というところである。その控えめなヴォーカルは、永遠に生き延びようと奮闘する他の様々な音のなかに静かに侵入し、それら周囲の音と共存しようともがきながら、最終的にはそれら他の音たちの運動についていくことができず、はかなく消え去ってゆく。永遠性のなかを通り過ぎていく一時性。このつつましやかなヴォーカルは、ドローンという持続を志向するはずの運動のなかで、消えていくというまさにそのことによって、「声」が占めている特権的な地位に異議を申し立てようとしているかのようだ。
 本作はネオプラトニズムから影響を受けているそうで、たしかにそのサウンドは、言語には決して還元することのできない超越的な何かを崇拝しているようにも聞こえる。しかし、優艷なドローンのなかに迷い込むヴォーカル、周囲との融合に失敗するヴォーカル、持続という運動に失敗するヴォーカルが、そのような崇拝への意志を見事に裏切っている。

 エクスペリメンタリズムやいわゆるインプロヴィゼイションではなく、シューゲイズ的なサイケデリアをもって宗教的荘厳さやメランコリアを演出しながら、そのなかにはかなく消えていくヴォーカルを滑り込ませてみせるところにこそ、このアルバムの面白さがあるのではないだろうか。
 本作で鳴らされる優美なドローンはたしかに、決して万人から歓迎される類の音楽ではない。Supersize meというバンドはおそらく、媚びるということを知らない。さすが、あの過激でドMなドキュメンタリー映画と同じ名前を持つバンドだけのことはある。Supersize me はドMなのだろうか? そうかもしれないし、そうではないかもしれない。いずれにせよ、この閉鎖的で保守的な日本という国で、あえてバンドという形態で、このように特異なドローンを追求していこうというアティテュードは、素直にかっこいいと思う。この国に Supersize me というバンドがいることを、われわれは誇ろうではないか。

カフカ鼾 - ele-king

 本日、初となるスタジオ・アルバム『nemutte』をリリースしたカフカ鼾。ジム・オルーク、石橋英子、山本達久からなるこのトリオが、アルバムの発売を記念して12月1日にワンマン・ライヴを開催します!
 3人による圧倒的な演奏と、それを元に編集・構築された緻密なプロダクションが、ライヴでは一体どのような形へと昇華されるのか? ぜひ、あなた自身の耳でたしかめてみてください!

ジム・オルーク、石橋英子、山本達久。世界でも注目される3人によるスペシャル・バンド、カフカ鼾(いびき)。
いよいよ発売となる初のスタジオ・アルバム『nemutte』のリリースを記念したレコ発ライブが六本木スーパーデラックスで開催決定。
ワンマン・ライブでたっぷりと、この3人しか描けない世界を見に来てください。

[イベント詳細]
カフカ鼾(ジム・オルーク、石橋英子、山本達久) "nemutte" release live

2016.12.1(木) OPEN / START 19:00 / 19:30
VENUE 六本木SuperDeluxe

ADV/DOOR ¥3,000/¥3,500(+1D)

TICKET WEB予約 https://www.super-deluxe.com/
※スケジュールの12/1イベント詳細ページからご予約いただけます。

INFO https://www.super-deluxe.com/

名作を作り続ける彼ら諸作の中でも革新的な作品。より良いスピーカー、音楽環境で聴いた時に、驚きの世界を体感するでしょう。CDと高音質配信、2つのフォーマットでの発売となります。

カフカ鼾(Jim O'Rourke、石橋英子、山本達久)
『nemutte』
カフカイビキ / ネムッテ

2016.10.05 release
PECF-1141 felicity cap-258

定価:2,400円+税 (CD)
※高音質配信もございます。

1. nemutte

ジム・オルーク、石橋英子、山本達久。世界でも注目される3人によるスペシャル・バンド、カフカ鼾(いびき)、初のスタジオ・アルバムが完成。三位一体のトリオによる最高の演奏を、ジム・オルークが愛情と時間をかけて再構築した、極上の一品!

世界を股にかけて活躍する3人がメイン・プロジェクトとしているのがこの、「カフカ鼾(いびき)」。ジム・オルーク(JimO'Rourke)は、昨年、じつに13年半ぶりとなるヴォーカル・アルバム『Simple Songs』をリリースし、海外のメディアでも年間ベストに選ばれるなど、日本を拠点として世界中に衝撃を与えました。石橋英子は、Merzbowとのユニット「公園兄弟」で世界有数の電子音楽レーベル〈Editions Mego〉デビューを果たし、さらには星野源、坂本慎太郎の作品・ライブ参加や、映画音楽を手掛けるなど活動の幅を広げています。そして山本達久は、各国のアーティストたちとの即興演奏を始め、劇団マームとジプシーの音楽担当やUAの作品・ライブ参加など、多岐に渡って活躍する日本を代表するドラマーとして、重要な役割を担っています。

1曲39分。まるで映画のように紡ぎだされる音のストーリー。3人は、彫刻を掘りつづけるようにゆっくりと、1つの作品を極めて美しいフォルムに仕上げました。多彩な音が、ときには〈ECM〉諸作の凛としたミニマリズムと強く共鳴し、ときにはダンス・ミュージックのように素早いリズムを刻み、テンポやジャンルにとらわれず自由に形を変えていきます。ひとたび耳にすれば、決して難解ではない、気持ちの良い音楽の渦に取り込まれるのです。変幻自在のトリオだからこそできる生演奏ならではの魅力が、ダンス・ミュージック・ファンをはじめ、様々な音楽ファンを虜にすることでしょう。

初のスタジオ・アルバムとなる本作は、3人の即興演奏の空気をエンジニアのジム・オルークが新鮮なまま封じ込め、その最高の素材を料理家のように切り刻み、テクニックを駆使して再構築。最初の録音からは約3年、トリオ演奏と、ジム・オルークによるレコーディング~ポスト・プロダクション~ミックスが究極の音楽作品へと昇華したのです。ステレオ・ミックスながらまるで映画館で体験するドルビー・サラウンドのような音の奥行と広がり。より良いスピーカー、音楽環境で聴いた時に、驚きの世界を体感するでしょう。CDと高音質配信、2つのフォーマットでの発売となります。これまで彼らの音楽を未体験のリスナーにこそ聴かせたい、名作を作り続けるジム・オルーク諸作の中でも革新的な作品が誕生しました。

宇多田ヒカル - ele-king

情愛の濃さを一方的に注いでいる状態、全身的に包んでいて、相手に負担をかけさせない慈愛のようなもの、それを注ぐ心の核になっていて、その人自身を生かしているものを煩悩(ぼんのう)というのです。……愛という言葉はなんとなく、わたくしどもの風土から出て来た感じがしませず、翻訳くさくて使いにくいのでございますが、情愛と申したほうがしっくりいたします。そのような情愛をほとんど無意識なほどに深く一人の人間にかけて、相手が三つ四つの子どもに対しても注ぐのも煩悩じゃと。石牟礼道子「名残りの世」

 ポップ・ミュージックにおける「わたし(I)」と「あなた(YOU)」をめぐる歌は、たいてい「ラヴ・ソング」とくくられがちなのだけれど、そこでの「愛」はセックスの欲望をふくんだ恋愛関係だけに限られるものではけしてなくて、セクシャルな欲望よりももっと大きく、深く、強い感情もそう呼ばれる。慈愛……なんていえば聞こえはいいけれど、人は生まれて、必ず死ぬから、その愛も必ずいつか断ち切られる痛みをともなう。水俣公害の苦難を描いた『苦海浄土』で有名な熊本土着の作家、石牟礼道子は、ネガティヴな仏教用語をほがらかに裏切った民衆の言葉づかいで、その愛を「ぼんのう」と肯定的に呼んだ。それはこの国の大衆=ポップの言語感覚だ。

 インタヴューなどではっきりと語られているように、この『Fantôme』には、3年前に急逝した宇多田ヒカルの実母の存在、というか不在が横たわっている。もちろん歌は歌だし、言葉は言葉だ。ポップ・ミュージックに見いだされる意味はいつだって複数あって、それらはときにアーティスト本人のなかでさえ不確かに重なり合いながら発せられ、オーディエンスに受け取られる。このアルバムで生々しさを増した彼女のヴォーカルは、あくまで普遍的なメロディと言葉に落としこまれることで、ポップ・ソングとしての透明な強度を保っている。とてもパーソナルで、シリアスなモティーフを扱っているのに、とても開かれていて、ぞっとするほど優しい。

 いつか彼女がフェイヴァリットとしてあげていたのは、コクトー・ツインズやPJハーヴェイ、シャーデー、それに実母である藤圭子といったシンガーとともに、アトムス・フォー・ピース、フランク・オーシャン、最近ではOPNとハドソン・モホークの手を借りてアノーニへとトランスフォームしたアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズといった名前だった。それでなんとなく、復帰後のアルバムはポップ・ソングの形式を前衛的に溶解させるものになる可能性もあるのかなと思ったのだけれど、このアルバムのたたずまいは、あくまでクラシカルでオーセンティックだ。多くの曲でエンジニアとしてクレジットされているのはスティングやU2、昨年のグラミーで4部門を受賞したサム・スミスなどを手がけたスティーヴン・フィッツモーリス。マスタリングはスターリング・サウンド。ベースになっているのは丁寧に音響処理された生楽器の演奏、彼女自身の手によってプログラミングされた電子音、それに静謐でドラマティックなピアノだ。

 『Fantôme』は宇多田ヒカルの8年半ぶりのオリジナル・アルバムということになるけれど、その長い沈黙を意識したことがない人間でも、彼女の名前と顔、そしてその声を知っている。前世紀末にピークを迎えた20世紀の大衆音楽の巨大産業化の波は、日本では「Jポップ」と呼ばれるムーヴメントとして現れた。そのスター・システムの最大で、おそらく最後の申し子。平成日本のポップ・スター。

 21世紀になってCDの売上がごっそりと減り、音楽シーンの断片化が進み、ストリーミングの普及によってさらに流動的な多極化が進む現在、「ポップ」という言葉を定義するのはますます難しくなりつつある。それでも、1990年代末に物心がついていた世代で、彼女の声をまったく聴いたことがない人間というのは日本にたぶん存在しない。本当に存在しないかなんてわからないけれど、わからなくてもそう言わせてしまうのがポップ・スターというものだ。15歳でデビューした彼女は、アルバムを重ねるごとにシンガーとしてだけではなく、自分自身に対するプロデューサーとしても成長していった。名実ともにポップ・フィールドの頂点にいるのに、どこか居心地の悪そうな表情を浮かべながら。宇多田ヒカルはやがて2010年に「人間活動」を宣言し、表舞台から姿を消した。

 このアルバムはリリース直後、アメリカのiTunesで6位にチャート・インした。かつて全編英語詞でのぞんだ2枚のアルバムが商業的には苦戦したことを考えれば、ほぼすべて日本語で歌われるこのアルバムのチャート・アクションは驚くべきことだ。ティンバランドやトリッキー・スチュアートといったプロデューサーを起用したそのアメリカ進出のアルバムについて、彼女が強く感じた違和は、英語による詩作よりも、自分の作品に自分以外の声を入れること、だったそうで、それはこれまでの彼女のアルバムがいつもどこか密室的な空気を漂わせていたことと無関係ではないと思う。その宇多田ヒカルがこのアルバムに自分以外の人間の声を歓迎した。元N.O.R.K.の小袋成彬、椎名林檎、そしてKOHHだ。クレジットで確認する限り、KOHHは唯一、声だけではなく言葉をこのアルバムに捧げている。

 そういえば彼女のアメリカでのアーティスト・ネームは、「UTADA」だった。ファースト・ネームじゃなくファミリー・ネーム。すでに2012年に発表されていた“桜流し”をのぞけば、アルバムのクライマックスと呼ぶにふさわしい“忘却”に招かれたKOHH。彼もまた、幼い頃に死別した実父のファミリー・ネームを名乗る人物だ。著名な音楽一家で英才教育をうけ、10代のなかばでポップ・スターになったニューヨーク帰りの帰国子女と、父親との死別と母親の薬物中毒を赤裸々に歌いながら日本のアンダーグラウンドなトラップ・ミュージックの立役者となった、北区王子の刺青だらけのラッパー。いかにもメディア好みの組み合わせだし、間違いなく現在の日本のポップ・シーンで最大級の事件ではある。けれどここにあるのは、それぞれに周囲から押しつけられる「特別さ」に背を向け、手ぶらでみずからの根源的な喪失の経験に向き合おうとする、ふたりの人間の誠実な姿だ。

 みな望んでこの世界に生まれてくるわけではない。誰も生まれる家族や場所を選べない。突然ある国に、ある家族に、ある肉体に産み落とされ、ある言語を、人種を、国籍を、セクシャリティを、肌の色を、からだの形を受け入れることを強いられる。どんなに普遍的に表現しようとしても必ずある特定の言語に縛られてしまう「言葉」を、誰もが感覚的に感知できる「音」へと変換することを「歌」と呼ぶなら、歌とは、不自由な世界で自由であろうとする意志のことだ。

 リード・トラックは宇多田自身の手によってプログラミングされたシャープで吹っ切れたダンス・ポップ、“道”。フックの「It’s a Lonely Road, but I’m not Alone」という嗚咽のような切実なリフレインは、リズムに乗ったファルセット・ヴォーカルの軽快さによって引っ張られつつ、直後の「そんな気分」でチャーミングにはぐらかされる。まるでタトゥーのように心の傷跡を引き受けること。不在という形の存在=ファントーム(幻/気配/亡霊)というアルバム・タイトルの秘密は、ここであっけらかんと明かされる。

 ダブル・ベースに誘われた濃厚なバンド・セットで共依存的な男女をロール・プレイする“俺の彼女”。歌声のトーンと一人称を使いわけ、空虚なマチズモをフェミニスト的な視線でアイロニカルに戯画化するのかと思いきや、それだけではなく、見せかけの強さと共犯関係にある、ほの暗い内面のもろさを描く。重なり合わない男女のモノローグの並列は、ストリングスをバックにしたスリリングな欲望を訴えるフックをはさんで、振り出しの男の語りに巻き戻され、宙吊りのまま終わる。この曲のクライマックスにフランス語で忍ばされた「永遠(L'éternité)」をめぐる関係性のモティーフは後半、ヘルマン・ヘッセを呼び出しながら勇ましいホーンを響かせるファンク・チューン“荒野の狼”では逆に、今度はお互いに交差することができずに「永遠の始まりに背を向ける」人間同士の孤独として変奏される。

 ヒップホップ的なリズム・セクションで始まり、インコグニートのベーシストが心地よくベースを滑らせる“ともだち”は、本人がインタヴューでLGBT的な問題系を意識して作曲した、と発言したことで一部で話題になっている。きわめて保守的なジェンダー観をかかげる自民党の政治家までがレインボー・プライドのパレードに顔を出す現在、そうした解釈が可能なポップ・ソングが日本語圏で歌われること自体はそこまで驚くべきことじゃない。けれど、ポップスの社会的インパクトが歌詞のメッセージうんぬんを超えて、それが誰によって、どんな場所で鳴らされるかによって現実を揺さぶるパワーを生み出すのだとすれば、この曲はやはりとてもアクチュアルだ。

 この夏、都内のあるロースクールで同級生による同性愛のアウティングによって命を絶った青年の事件が明るみに出た。遺族の会見での言葉、あえて公開されたプライベートなLINEでのやりとりのディティールなど、いまだこの社会に蔓延するセクシャル・マイノリティに対する無理解の残酷さを痛感させる出来事だった。小袋成彬の深みのあるヴォーカルをバックに、あくまで軽いトーンで口にされる「君に嫌われたら生きていけないから」というボーイ・ミーツ・ガールのクリシェは、ボーイ・ミーツ・ボーイにも、ガール・ミーツ・ガールにも、あらゆる関係性にむけて開かれることで、ひどく生々しい痛みを表現してしまっている。それにしても、「ハグ」と「キス」のあいだの無限の距離をじれったく逡巡する歌声、口には出せない嫉妬や性的なファンタジーをほのめかす言葉、そんな葛藤を無視して悪戯っぽく欲望を煽るホーンのアレンジ……社会的なコンテクストうんぬんを抜きにして、まずはポップスとしての緻密な魅力をこの曲が持っているからこそ、そこにはあらゆるアイデンティティを超越する力が宿っているのだ。

 もっとも力の抜けたストレートなヴォーカルを聴かせる“花束を君に”は、オフコースやチューリップを意識してソング・ライティングされたというオーセンティックな葬送曲だけれど、それは「薄化粧」というワンフレーズで匂わされるだけ。それにアルバムで最初に完成させたという、悲恋の歌のようにも聴こえる追悼歌“真夏の通り雨”の、コーラスと呼ぶにはあんまりな言葉をリフレインしながらのフェード・アウト。爪弾かれるハープの響きに夢のあわいから拾ってきたような詩を並べる“人魚”は、左右のチャンネルに丁寧に振りわけられたドラム・パターンの絶妙なズレが心地よく鼓膜を撫でる。

 “二時間だけのバカンス”でデュエットする椎名林檎とはいつかカーペンターズの“アイ・ウォント・ラスト・ア・デイ・ウィズアウト・ユー”をデュオでカヴァーして以来のオリジナルの共演だ。この曲自体が、切実なモティーフにあふれたアルバムのなかで、それこそ古くからの友達に誘われて出かけたような解放感に満ちている。そしてある1曲をはさんでラストの直前、サム・スミスの“ステイ・ウィズ・ミー”でも響いていたシルヴェスター・アール・ハーヴィンの抜けのいいスネアに後押しされ、彼女のソロ・ヴォーカルが跳ねる“人生最高の日”。「歓声にも罵声にも拍手喝采にも振り返んない」というラインは、KOHHがフランク・オーシャンの“Nikes”への客演で披露した「自由にする/まるでパリス・ヒルトン」という、毎分毎秒、何億万分の一の出会いの可能性を祝福するラップの転生した歌声のようにも聴こえる。

 ラスト・ナンバーは“桜流し”。仏教的な諸行無常の死生観、本居宣長以来のその日本ヴァージョンとしての「桜」というモティーフ。繰り返す生と死……いや、それでも決定的な死はある。「もう二度と会えないなんて信じられない」からのぞっとする絶望と諦観は、このトラック・リストの最後に置いてしまえば、どうしてもアルバムの核に置かれた、家族をめぐる喪失のストーリーを連想させてしまう。けれどこの曲はその決定的な出来事の前に発表されているのだ。あらゆる別れはひとつの死であること。すべての葬送は生き残った者たちのためのセラピーであること。この曲が、まるでその喪失にむけて歌っているように聴こえてしまうことは、なによりも彼女のソング・ライティングの普遍性を物語っている。

 そして作品が他者に開かれたという意味でも、アルバムを通じたハイライトといっていいだろうKOHHとの“忘却”。最初はノイズだと思った。クリアに、そして重く鳴る心臓の音。すぐにアンビエント的に風景を覆い尽くすストリングスが鼓膜を支配して、後ろでピアノが踊り、曲の三分の一がそのまま過ぎる。前触れもなくヴォーカルが入る。「好きない人はいないもう/天国か地獄」。黄達雄(KOHH T20)という強烈な固有名詞は、「三歳の記憶」、「二十三年前のいい思い出」という記号的な数字にそっけなく置き換えられる。「思い出せないけど忘れられないこと」について韻律をたどる男の言葉に亡霊のように女の声がよりそい、やがてラップが途切れると、女の声が生々しく実体化する。「熱い唇/冷たい手/言葉なんて忘れさせて」。次のヴァースでぶっきらぼうに女の背中を押すラップは、「吐いた唾は飲むな」、「男に二言はない」といった男性的なジェンダー・ロールを裏切り、ラストのオルガンにのせた「いつか死ぬとき手ぶらがベスト」という彼女のパンチラインに引き継がれる。ふたりの声は、ぎりぎりまで接近して、だがはっきりとは交わらず、ただ言葉だけがダイアローグをつなぐ。足をすくうベースの低音の浮遊感に抵抗するかのように、心音はいつのまにか力強いドラムスに変わっている。

 日米のヒップホップにおけるラップの主流が、セルフ・ボースティングによるマチズモと具体的な固有名詞を駆使したリアリズムをベースとしていることを考えれば、ここでのKOHHのラップはひどく特異だ。最近の彼のラップ、たとえば『DIRT』シリーズ以降のいくつかの曲の英訳に目を通すと、ほとんどヒップホップのリリックとは思えないほどのアブストラクトさを実感する。「女と洋服と金」というトラップ・ラッパーとしての彼のマテリアリズムとは真逆の、スピリチュアル・ミュージックとしてのラップ。時代のアイコンであることを背負わされたポップ・スターが、ごくごくパーソナルな喪失の経験に生身で向き合う、その最奥の現場で、あまりに人間的なリアリティを歌ってのし上がったラッパーが、これまでにないスピリチュアリティに接近している。ここにあるのは、ポップ・スターのロール・プレイでも、ヒップホップ的な成り上がりのストーリーでもない。

 このアルバムを語る際、しばしばイギリスのアデルが引き合いに出されているようだ。それは国民的なポップ・スターとしての存在感、という意味ではなるほど頷けるものの、しかしすくなくとも純粋に音楽的にいえば、どちらかといえばコンサヴァティヴなたたずまいのアデルに比べて、卓越したグッド・リスナーとして吸収したエッジーな音楽的要素を独自に消化し、普遍的なポップスに組み上げる宇多田ヒカルの手腕は際立っている。そのことを別にすれば、そういえばアデルの大ヒット曲“ホームタウン・グローリー”は、そのサンプリングをネタにイギリスの各地のラッパーたちがそれぞれの地元をレプリゼントする曲をYouTubeに発表するストリート・アンセムになっていた。それはたしかに、日本のヒップホップ・シーン界隈での宇多田ヒカルの根強い人気にもオーヴァーラップする。PSGのPUNPEEがDOMMUNEでのスペシャル・セッションで示したように、ニューヨークのハードコア・ラップのキング、ナズが“ザ・メッセージ”でサンプリングしたスティングのあの“シェイプ・オブ・マイ・ハート”のギター・フレーズは、ここ日本では、「二人で靴脱ぎ捨てて、はだしで駆けていこう」という“NEVER LET GO”の彼女の甘い歌声とともに記憶されているのだ。

 そして、デビューしたばかりだったKOHHの“MY LAST HEART BREAK”での、“SAKURAドロップス”のサンプリング。スキャンダラスなラインとヴィデオばかりが話題になりがちだけれど、あそこでKOHHは、ひどく猥雑なラップの隙間で、「これが最後のハート・ブレイク」という原曲の歌詞を「これが最後の傷だから平気/自分に言い聞かせる」というリリックでさりげなく引き継いでいた。「壊れない心臓」という歌い出しで始まるあの曲が、登場時のKOHHのまるで内面を欠いたエイリアンのようなメンタリティの誕生を記録した曲だったとすれば、ふたりの新たなフェーズを予感させるこの曲でのセッションは、飛び交うハイプとはまったく無関係なところで、やはり記念碑的な意味を帯びている。

 「宇多田ヒカル」というひとりの人間について語ろうとすれば、天才と呼ばれるその才能であるとか、特殊といえば特殊なその生い立ちであるとか、どうしても特別なドラマがつきまとう。もちろんポップ・ミュージックはそうしたバックグラウンドさえ原動力にしてさまざまな感情をオーディエンスから引き出すものだ。けれどここにあるのは、誰もが誰かの子であり、ときには父や母となり、そして誰しもいつかは喪失を経験する、というシンプルなリアルだ。普遍的な喪失の経験に向き合おうとするこのアルバムの誠実さを、もしドラマティックと呼ぶのなら、どんな人間の生もドラマティックなのだ。彼女のパーソナルなセラピーの記録でもあるこのアルバムは、大切なのは「特別であろうとすること」じゃなく、「自由であろうとすること」なのだと教えてくれる。世界の不自由さをいったん受け入れ、それでもそこには「自由になる自由がある」と。宗教思想においては煩悩と呼ばれる愛も、諸行無常の死生観も、しなやかに飲みこんで笑ってみせる大衆音楽=ポップスのぞっとするような力がここにはある。

 2016年、カニエ・ウエストにせよビヨンセにせよフランク・オーシャンにせよ、話題作をリリースしたトップ・アーティストたちはいずれも、リリース形態そのものがアート表現の一部であるといっていいような動きをみせていた。そうでなくても、この日本ではポップ・アイコンに否応なくつきまとう「物語」への消費欲望だけをあっけらかんとアンプリファイしてCDの売り上げに結びつけるセールス方法が定着してひさしい。データ配信やストリーミングの普及と、アナログ・レコードへのフェティッシュな回帰のはざまで、CDというメディアは過渡期のものとして衰退していく運命にあるとの声もあるほどだ。そんななか、彼女は特典もなしのフィジカルCDとiTunesによる配信という、とても素朴なフォーマットでこのアルバムをリリースした。そこには、自分の音楽に対する自負……というよりは、なにかもっと力の抜けた、大げさにいえば、自分を取りまく世界に対する信頼のようなものを感じる。

 宇多田ヒカルが愛読しているという話もある小説家、中上健次の音楽論はけっこうデタラメなものも多いのだけど、もっとも印象的に記憶しているもののひとつに、耳と音にかんするものがある。耳は目や口と違い、閉じることができない感覚器官だ。しかも脳にいちばん近い。だからそれはもっとも脆く、それゆえ聴覚とは生命や霊のヴァイブレーションをもっとも鋭敏に感じとる器官なのだ……と彼は真剣に論じていた。冗談のようなその熱弁にならうなら、このアルバムでもっともスピリチュアルな場所で鳴らされる音は、生命のヴァイブレーションそのものである、心臓のたてる鼓動だ。誰も自分の心音を直接に聴くことはできない。鼓動を聴くためには、誰かの胸に耳を押しあてる必要があるし、鼓動を聴かせるのなら、誰かの頭を胸に抱く必要がある。聴くこと、聴かせることは、誰かを信じることなのだ。

yahyel - ele-king

 さあ、どうだ。やってやったぞ、こんちくしょう。先日こちらでもアナウンスしたヤイエル(yahyel)初のCD作品『Once / The Flare』だが、なんと、即完売だったそうである。おまけにApple Musicの「今週のNEW ARTIST」にも選出されたらしい。僕だけじゃなかった。みんなも「こりゃあイイ!」って思っていたんだ。僕は間違っていなかった。もうそれだけで十分だ……
 なんて満足していたら、今度は待望のデビュー・アルバムのリリースがアナウンスされた。全然十分じゃなかった。ヤイエル、これからである。アルバムはオーウェルの『1984』や『AKIRA』、『マトリックス』や伊藤計劃からインスパイアされたものになっているらしい。ヤイエル、冴えている。気になるデビュー・アルバムの発売は11月23日。それに先がけ、10月22日に開催される〈HOUSE OF LIQUID〉への出演も決まっている。
 まだちゃんと綴れないかもしれない。まだうまく発音できないかもしれない。でもみんな、もうかれらの存在は覚えたでしょう? 時は、満ちた。

限定CD即完も話題の新鋭
yahyel が満を持して放つ待望のデビュー・アルバム
『Flesh and Blood』発売決定!

日本人離れしたヴォーカルと最先端の音楽性、また映像クリエイターを擁する特異なメンバー編成で、今各方面から注目を集める新鋭 yahyel(ヤイエル)が、渾身のデビュー・アルバム『Flesh and Blood』のリリースを発表!

2010年代、インディを中心として海外の音楽シーンとシンクロするアーティストがここ日本でも次々に現れるようになったのを背景に、2015年にバンドを結成。今年1月には、いきなり欧州ツアーを敢行。その後もフジロックフェスティバル〈Rookie A Go Go〉に出演し、METAFIVEのワンマンライブでオープニングアクトを務めるなど、着実にその歩みを進めていった。一方で、先週リリースされた初のCD作品『Once / The Flare』が、発売と同時に売り切れ店舗が続出する盛り上がりを見せ、Apple Musicが今最も注目すべき新人アーティストを毎週1組ピックアップし紹介する企画「今週のNEW ARTIST」にも選出されるなど、予想を遥かに上回る反響を呼んでいる。

yahyel - Once


『AKIRA』や伊藤計劃、ジョージ・オーウェル『1984』、『マトリックス』をインスピレーションに、ディストピア性を押し出した本作『Flesh and Blood』には、全10曲を収録。シングルとしてリリースされた「Once」や、昨年自主制作でリリースされた楽曲も、アルバム用に新たにミックスされたアルバム・ヴァージョンとして収録されている。マスタリングは、エイフェックス・ツインやアルカ、ジェイムス・ブレイク、フォー・テット、FKAツイッグスなどを手がけるマット・コルトンが担当している。

インターネットをはじめとする音楽を取り巻く環境の変化を、ごく自然に吸収してきた世代が、ここ日本でも台頭する中、際立ってボーダーレスな存在であるyahyel。現代のポップ・ミュージックの「いま」を鮮やかに体現するこの新星が放つ待望のデビュー・アルバムは、11月23日(金)リリース! iTunesでアルバムを予約すると、現在発売中のEP収録の「The Flare」がいちはやくダウンロードできる。

なお、yahyelは10月22日(土)に恵比寿LIQUIDROOMにて開催されるHOUSE OF LIQUIDへの出演が決定している。
https://www.liquidroom.net/schedule/20161022/30921/

label: Beat Records
artist: yahyel
title: Flesh and Blood
ヤイエル『フレッシュ・アンド・ブラッド』
cat no.: BRC-530
release date: 2016/11/23 WED ON SALE

【ご予約はこちら】
amazon: https://amzn.to/2dBcCcf
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002109
tower records: https://tower.jp/item/4366338/
iTunes: https://apple.co/2dx8RrM

yahyelオフィシャルサイト:https://yahyelmusic.com/
アルバム詳細はこちら:https://www.beatink.com/Labels/Beat-Records/yahyel/BRC-530/

Tracklisting
1. Kill Me
2. Once (album ver.)
3. Age
4. Joseph (album ver.)
5. Midnight Run (album ver.)
6. The Flare
7. Black Satin
8. Fool (album ver.)
9. Alone
10. Why

[今後のライブ]

HOUSE OF LIQUID
featuring live
Seiho
yahyel

featuring dj
Aspara (MAL/Lomanchi)
Licaxxx

2016.10.22 saturday midnight
LIQUIDROOM
open/start 24:00
adv.(now on sale!!!) 2,000yen / door 2,500yen[under 25, house of liquid member→2,000yen]

※深夜公演のため20歳未満の方のご入場はお断り致します。本人及び年齢確認のため、ご入場時に顔写真付きの身分証明書(免許書/パスポート/住民基本台帳カード/マイナンバーカード/在留カード/特別永住者証明書/社員証/学生証)をご提示いただきます。ご提示いただけない場合はいかなる理由でもご入場いただけませんのであらかじめご了承ください。(This event is a late night show, we strictly prohibit entrance of anyone under the age of 20. We require all attendees to present a valid photo ID (Drivers License, Passport, Resident Registration Card, My-number card, Special permanent resident card, Employee ID, Student ID) upon entry. For whatever reason, we will refuse entry to anyone without a valid photo ID.)

info: LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

海外からの来訪者の増加傾向著しい日本の主要都市、東京と大阪。共に、多種多様な文化が集まり交差する拠点としても長らく日本の音楽シーンを牽引し続け、今やオーバーグラウンド/アンダーグラウンド問わず世界のシーンへと飛び出すアーティストたちを多く生み出している。そんな二都から現れた若手最注目株たちがなんと、2016年3回目の開催となるHOUSE OF LIQUIDにて大激突。


yahyel | ヤイエル

2015年3月に池貝峻、篠田ミル、杉本亘の3名によって結成。

古今東西のベース・ミュージックを貪欲に吸収したトラック、ブルース経由のスモーキーな歌声、ディストピア的情景や皮肉なまでの誠実さが表出する詩世界、これらを合わせたほの暗い質感を持つ楽曲たちがyahyelを特徴付ける。

2015年5月には自主制作のEPを発表。同年8月からライブ活動を本格化し、それに伴いメンバーとして、VJに山田健人、ドラマーに大井一彌を加え、現在の5人体制を整えた。映像演出による視覚効果も相まって、楽曲の世界観をより鮮烈に現前させるライブセットは既に早耳たちの間で話題を呼んでいる。

2016年1月には、ロンドンの老舗ROUGH TRADEを含む全5箇所での欧州ツアーを敢行。その後、フジロックフェスティバル〈Rookie A Go Go〉ステージへの出演やMETAFIVEのワンマンライブでオープニングアクトを経て、9月に初のCD作品『Once / The Flare』をリリースすると、発売と同時に売り切れ店舗が続出。Apple Music「今週のNEW ARTIST」にも選出されるなど、今最も注目を集める新鋭として期待されている。

Tycho - ele-king

 サンフランシスコを拠点に活動するプロデューサー、スコット・ハンセン。彼を中心としたアンビエント・プロジェクトがティコである。かれらはこれまでも〈Ghostly International〉から『Dive』(2011年)、『Awake』(2014年)と話題作をリリースしてきたが、去る9月30日、新作『Epoch』が急遽iTunesにてリリースされた。これまでのかれらの特徴を引き継ぎながらも、様々なスタイルから影響を受けた新たなティコ・サウンドが打ち出された作品となっている。要チェックです!

・サンフランシスコを拠点に活動するティコ、
5枚目となるニュー・アルバム『エポック』を急遽配信にてリリース!

サンフランシスコを拠点にグラフィック・デザイナーとしても活動するスコット・ハンセンによるソロ・プロジェクトとして始まった、ティコ。
04年のファースト・アルバムのリリース以来コンスタントに作品を発表し続け、13年のTAICOCLUBで初来日、15年のジャパン・ツアーは即日ソールドアウト、そして今年のTAICOCLUBで帰還を果たすと会場には満員のオーディエンスが詰めかけるなどここ日本でもエレクトロ・アーティストとしては破格の人気を誇っています。

そんな彼らが、なんと急遽5枚目となるニュー・アルバム『エポック』を配信にてリリース!
今年に入ってから7月に突如新曲“Division”を公開するなどじわじわと動きを見せていた彼らですが、先日アルバム・タイトルにもなっている新曲“Epoch”を公開するとiTunes JPにて注目トラックに選出されるなど早くも話題沸騰。
今回のアルバムは過去作と同じくスコット・ハンセン自身が作曲とプロデュースをおこない、いままでのティコらしさを残しつつも新曲“Division”で展開した7/8のテンポなど複雑で繊細なサウンドが特徴。ロック、ダンス、エレクトロニックなどの幅広いジャンルからインスパイアされたティコの生み出す最新サウンドがふたたび世界を魅了します!

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ニュー・シングル“Epoch”はこちら:

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Download "Epoch" in The Ghostly Store:
https://www.theghostlystore.com/products/tycho-epoch-1

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“Division”はこちら:

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今作からZac Brown(ベース/ギター)と、ナイトムーヴスとしても活動しているRory O’Connor(ドラム)が加入した3人編成のバンド形態となっているので、より進化したライヴ・パフォーマンスも期待できそう。
来日公演の実現が待たれます!

■リリース情報
アーティスト:Tycho(ティコ)
タイトル:Epoch(エポック)
レーベル:Ghostly International / Hostess
価格:1,500円
絶賛配信中!

<トラックリスト>
1. Glider
2. Horizon
3. Slack
4. Receiver
5. Epoch
6. Division
7. Source
8. Local
9. Rings
10. Continuum
11. Field

ニュー・アルバム『エポック』iTunes大絶賛配信中!

【バイオグラフィー】
サンフランシスコを拠点に活動するスコット・ハンセンによるソロ・プロジェクト。彼はISO50という名義でグラフィック・デザイナーとしても活躍する。02年から音楽活動を始め「The Science of Patterns EP」、04年に1stアルバム『サンライズ・プロジェクター』、06年に00年代のエレクトロニカ・シーンで最大の影響力を持ったレーベル〈Merck〉より『パスト・イズ・プロローグ』をリリースし、一躍話題となる。11年に〈Ghostly International〉からリリースした『ダイヴ』がロングセールスを続けており、14年に2枚目となるアルバム『アウェイク』をリリース、そして今作からZac Brown(ベース/ギター)と、ナイトムーヴスとしても活動しているRory O’Connor(ドラム)との3人編成のバンド形態となっており、より進化したライヴ・パフォーマンスとなっている。TAICOCLUB'13で初来日、15年に初単独来日公演をおこない公演はソールドアウト、大盛況を収める。また、今年1月に『Awake (Remixes)』をリリースし、TAICOCLUB'16にて再来日した。そして9月、5枚目となる新作『エポック』を配信にて急遽リリース。

DJ MIKU - ele-king

 超ベテランDJのミクのファースト・アルバム「Basic & Axis」(https://www.ele-king.net/interviews/005136/)がCD化、9月末にリリースされた。オリジナルの配信盤にさらに2曲を追加、またさらにセルフリミックス3曲をオリジナル曲と入れ替えたものとなっている。アートワークも改め、CD盤のタイトルは『Basic & Axis Plus』。
 また、このリリースを祝って、DJミクがレジデンツDJとして6年間プレイしてきたテクノ総合・自由形パーティ「CYCLONE」が渋谷WOMBにて8年ぶりに復活! CYCLONEにゆかりのあるDJやクルーが多数集結。また来日するケミカル・ブラザースもご来賓に迎え、ツアーの打ち上げパーティも行われます。


DJ MIKU
Basic & Axis Plus

ミュージックマイン
Amazon


──パーティ情報──

CYCLONE Returns
× ROCKWELL SIRKUS
“The Chemical Brothers”
OFFICIAL AFTER PARTY

2016.10.14.FRI.22:00 at WOMB
Door 3,000yen / Womb Member 2,500yen

■RESIDENT DJ
DJ MIKU

■LINE UP
Q’HEY
SUGIURUMN
DJ SODEYAMA
MOLD (ShigeoJD+Raymond) live
BRYAN BURTON-LEWIS
NEWDEAL
DR.SHINGO
DJ Dante (push..)
BUNGO
ENUOH
And more

More Info TBA.

※Basic & Axis Plusご購入の方は特典のDJ MIKU MIX CD引換券をお持ちください。会場フロントにてお渡しします。

尚、DJ MIKU/Basic&Axis Plusリリースツアーは下記の日程で行われます。こちらもお見逃しなく!

・10/14(Fri)Cyclone@渋谷WOMB
・11/04(Fri)~11/06(Sun)iLINX@
 山梨・ 大渡キャンプ場     
・11/26(Sat)大阪Compufunk
・12/10(Sat)静岡dazzbar

MJ (BLACKSHEEP) - ele-king

BLACKSHEEP Classics

BLACKSHEEP所属、昆虫界のマイケルジャクソン。
10/8(土)にBLACKSHEEP8周年パーティを開催します。
内容、ロケーション共に素晴らしく、周年に相応しい渾身のパーティをメイクしますので、ぜひお越しください‼︎

《BLACKSHEEP party info》

vol.85 8th ANNIVERSARY PARTY
2016.10.8(sat) at 富士白糸ワンダーミュージアム跡地(静岡県富士宮市佐折599-1)

vol.86 feat.混乱
2016.11.26(sat) at 高円寺knock & smallaxe

more info
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https://facebook.com/BLACK-SHEEP-201805193185887/
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https://twitter.com/blkshpxxx/
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https://blacksheepxxx.tumblr.com/

TwiGy - ele-king

 ソロ名義は無論のこと、MICROPHONE PAGERや雷の一員として、あるいは岸田繁やプレフューズ73といった様々なアーティストとのコラボレーションを通して、日本語ラップを変革し続けながら貪欲に多様な音楽スタイルに取り組んできた伝説的ラッパー、TwiGy。6月に刊行された自伝『十六小節』も大きな話題を呼んでいる彼だが、このたび、10月4日(火)深夜に放送される『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)にゲストで出演することが発表された。これはTwiGyの最新パフォーマンスをチェックする絶好の機会である。火曜日の晩は夜更かしすべし!

日本語ラップを変革したラッパー、ジャパニーズ・ヒップホップ界のレジェンド、TwiGyがはじめて明かし紡いだ自身の歴史『十六小節』(ele-king books)が、初夏に刊行され大きな話題となっているなか、遂に本人の最新ステージ・パフォーマンスをチェックできる機会が!!

いまや社会現象となっているフリースタイルバトルを牽引するTVプログラム『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)10月4日(火曜)深夜放送にて、TwiGyがライヴ・ゲストとして出演する!!

[番組詳細]
フリースタイルダンジョン|テレビ朝日
10/4(火)25:25~
https://www.tv-asahi.co.jp/freestyledungeon/

TwiGy Official:
Twitter https://twitter.com/twigy_tweet
書籍「十六小節」https://www.ele-king.net/books/005124/

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