「K A R Y Y N」と一致するもの

世界はまたノー・エイジ! - ele-king

 2000年代末のLAのD.I.Y.なアート・シーンに起こったことを知りたいなら、「シットゲイズ」と呼ばれた感性がこの時期のガレージ・サウンドをいかに輝かせたのか確かめたいなら(そう、ゴミが妙な価値転倒によってではなくただキラキラと光ってみえた)、ノー・エイジの『ノウンズ』(2008年)を聴くしかない。いったいどちらをニュースにすればよいものやら......『ノウンズ』再発か、それとも新譜リリースか、ノー・エイジがまた動き出す!

 彼らの活動拠点であるロサンゼルスのアート・スペース〈ザ・スメル〉や、ディーンが運営する〈ポスト・プレゼント・ミディアム〉は、当時のLAのアンダーグラウンドなシーンを支え、ブルックリンのアーティなインディ・シーンにまったく引けをとらなかった。エイヴ・ヴィゴーダやミカ・ミコやラッキー・ドラゴンズ、シルク・フラワーズやハイ・プレイシズ、〈ザ・スメル〉であればギャング・ギャング・ダンスやミランダ・ジュライまでを繋げる一大アンダー・グラウンド・サークルである。

 音ばかりでなくアートワークもわすれがたい。『ノウンズ』のパッケージは、グラミー賞にて「Best Recording Packaging」部門にノミネートされたものだし、前作の『エヴリシング・イン・ビトウィーン』は、フォールドアウトのミニポスターが貼り付けられた特殊な紙ジャケット仕様。今回ももちろん特殊仕様だから、ダウンロードするよりも実際にパッケージを買うことをおすすめしたい。

 多数のライヴをこなす彼らだが、全米各地のアート・ギャラリーで演奏することも多い。2009年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)でパフォーマンスを行っており、このことはラフでノイジーなガレージ・サウンドがアーティな佇まいを宿すことを端的に示している。

 さあ、今作は? 新曲"カモン・スティムング"(C'mon Stimmung)のストリーミングが開始された。フル・アルバムまで時間ありすぎ! 1曲じゃ我慢できないけど、聴いてみよう。



■新譜リリースだ!

オブジェクト
発売日: 8月7日(水) 日本先行発売(US:8/20)
定価: スペシャル・プライス 2,200円(税込) 
品番: TRCP-123
JAN: 4571260582132
特殊パッケージ仕様
ボーナス・トラック収録

トラックリスト:
1. No Ground
2. I Won't Be Your Generator
3. C'mon, Stimmung (リード・トラック)
4. Defected
5. An Impression
6. Lock Box
7. Running From A-Go-Go
8. My Hands, Birch and Steel
9. Circling With Dizzy
10. A Ceiling Dreams of A Floor
11. Commerce, Comment, Commence
+ボーナス・トラック収録

All songs written by No Age
All songs produced, recorded,and mixed by F. Bermudez
and No Age at Gaucho's Electronics.
Isaac Takeuchi plays cello on"An Impression"
Designed and packaged by Brian Roettinger with No Age

(p) & © 2013 Sub Pop Records

バイオグラフィー:
ロサンゼルスのインディー・ロックの聖地として現代版CBGBとも言えるユース・アート・スペース、ザ・スメル(The Smell)。そのThe Smellを拠点DIY精神に貫かれた活動を続けるバンドが、ディーン・スパント(ドラムス&ヴォーカル)とランディー・ランドール(ギター)によるノー・エイジである。英ファット・キャット・レコーズからリリースされ好評を博したシングル・コンピレーション・アルバム『Weirdo Rippers』に続くセカンド・アルバムである『Nouns』をサブ・ポップから2008年春に発表。米ピッチフォークでは9.2と破格の評価を獲得、同サイトの年間アルバム・チャート3位にも選出された。更にSPIN、ROLLING STONE、NMEなど有名主要メディアでも軒並み高評価を得て、2008年の "ロックの新しい音" を代表する1枚となった。レディオヘッドのメンバーやコーネリアスがノー・エイジのTシャツを着用するなど、話題に事欠かない。

彼らは、2005年に前身バンドのワイヴズで登場し、やがてノー・エイジとしての活動を始めると、LAのDIYなアート・パンク・シーンを守る存在として世界的に知られるようになった。その中心地点が、ザ・スメル(TheSmell)であることはいまや有名な話だが、それは、アートと生活もしくは音楽と生活がひとつになって、クリエイティヴな運動やアティチュードを喚起し、世界中の同じような考えを持ったパンク・ミュージシャンやアーティストの豊かな表現の場となったクラブハウスである。

彼らの2007年のデビュー・アルバム『ウィアード・リッパーズ』(FatCat Records)のリリースに始まり、サブ・ポップからの『ナウンズ』(2008年)、『エヴリシング・イン・ビトウィーン』(2010年)を経て今に至るまで、ノー・エイジは、ピッチフォークからザ・ニューヨーカー誌(2007年11月19日の記事「Let It Up」)まで、驚くほど幅広い筋から熱狂的な評価を得てきたし、グラミー賞にノミネートもされた(アルバム『ナウンズ』のアートワークに対して2008年の「Best Recording Packaging」部門)。
ノー・エイジは汗まみれの地下室でのライヴやアート・ギャラリーでのパフォーマンスから、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の壁を爆音で揺らしたり、地元や海外の別を問わず、型にはまらない様々な場所で演奏したりするようにまでなった。

https://www.subpop.com/artists/no_age
https://noagela.org/
https://trafficjpn.com


■2000年代のマスターピース 再発決定!

ノウンズ / Nouns
発売日: 8月7日 (水) 
スペシャル・プライス: 1,800円(税込) 
品番: TRCP-124
JAN: 4571260582163
ボーナス・トラック収録




Vampire Weekend - ele-king

 深化。ヴァンパイア・ウィークエンドのサード・アルバムは、前2作と比較したとき、そういった言葉で説明すべきだろう。『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』は、「進化」と呼ぶよりは「深化」と呼ぶべき大いなる変化を迎えた吸血鬼たちの姿を、シリアスに突きつけている。それは、青年期も後半に差し掛かり(メンバーは現在、全員29歳だ)、「老い」や「成熟」を戸惑いながらも受け入れ、あるいはこの先に待ち構えているであろうそれらをある種の諦念とともに見据え、果敢に音楽的な成果に落とし込もうと苦闘している姿だ。

 ラルフ・ローレンのポロ・シャツを纏い、「プレッピー」という記号を(ある意味戦略的に)弄んだ彼らはもうここにはいない。『ヴァンパイア・ウィークエンド』や『コントラ』を包んでいた暖色系のファッショナブルなカヴァー・アートは、スモッグの濃霧に抱き込まれた沈鬱なビッグ・アップル――まるでディストピアだ――のモノクロ写真に取って代わった。彼らのトレード・マークであったアフロ・ポップ風の心躍る軽快なリズムは鳴りを潜め、テンポはグッとダウン・テンポに、リズムは贅肉を削ぎ落とされてシンプルになった。『コントラ』において控えめながらも重要なファクターであったシンセ・ポップ的エレクトロニクスも後景に追いやられた。そして、ギター・サウンドは前作よりもさらに抑えこまれている。『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』の中心を占めているのは、円熟したエズラ・クーニグの歌、ピアノ、そして教会音楽を思わせるような荘厳なオルガンやコーラスだ。

 アルバムからの先行シングルとしてリリースされた"ステップ"は、今作のそういった特徴を端的に表し、彼らが次の段階へと着実に歩を進めていることを伝えている。この曲には驚かされたファンも多いことだろう。チェンバロやオルガンが奏でるパッヘルベルのカノンのようなメロディ、聖歌隊の斉唱のように響くシンセサイザー、エズラの全編に渡って抑制の効いたヴォーカル、スロー・テンポのブレイクビーツ......そのどれもが、これまでのヴァンパイア・ウィークエンドとは一線を画す沈痛な表情を湛えているからだ。もちろん、この曲が持つ宗教的な響きは、前作の"タクシー・キャブ"や前々作の"ザ・キッズ・ドント・スタンド・ア・チャンス"などで試みられてきた「室内楽的」と形容されるクラシカルなアレンジを引き継いでいるとも言えるだろう。しかし、やはり"ステップ"の荘重な響きはそれらとは異なる地点にあると言わざるをえない。過去の楽曲と今作における"ステップ"などの楽曲との間に分断線を引いているのは、恐らく、彼らが新たな船出をするのに十分な年齢を重ねたという事実だろう。リリックでは、親知らずが生えはじめ、少年期の終わりが告げられたとき、「老い」という名の長く辛い孤独な戦いのはじまりを知ったことが綴られている。エズラは歌う。「『老いは栄誉だ』なんて、それは真実じゃない/(中略)本当はもう、僕が彼女を守ることなんて彼女は必要としていない/僕らは本当の死を、生きとし生けるものが進む行く末を知っている/誰もが死に向かいつつある/でも、君はまだ若い」。

 一方でまた、"ステップ"がとりわけ興味深い楽曲であるのは、引用の糸が複雑に絡み合った作品でもあるからだ。エズラは、この曲のスタート地点にソウルズ・オブ・ミスチーフの"ステップ・トゥ・マイ・ガール"(1991年頃に録音された、彼らのデビュー前のデモ音源)があったことを認めている。リリックでは"ステップ・トゥ・マイ・ガール"の"Every time I see you in the world, you always step to my girl"というコーラスをそのまま引用している。さらにこのフレーズは、90年代初頭から活動するラッパー、YZの"フーズ・ザット・ガール"(1990)という曲からのサンプリングであったため、"ステップ"にはYZへの謝辞がクレジットされている(ちなみに、ヴァンパイア・ウィークエンドはソウルズ・オブ・ミスチーフにももちろんコンタクトを取っている。そのとき、ソウルズ・オブ・ミスチーフのタジャイはこの全米1位を獲得する巨大なバンドの音を聴いたことがなかったという。エズラは曲名をそのまま"ステップ・トゥ・マイ・ガール"とするつもりだったが、タジャイはそれを「ワックだから」と言って拒否した)。
 さらに、"ステップ"のクレジットには、70年代、カリフォルニアのソフト・ロック・バンドであるブレッドのヒット・ソング、"オーブリー"(1972)からの引用が明示されている。というのも、"ステップ・トゥ・マイ・ガール"はグローヴァー・ワシントン・ジュニアがカヴァーした"オーブリー"をサンプリングしており、一聴してわかる通り、"ステップ"はそのメロディ・ラインに大きく影響されているからだ。宗教的な響きを持つパッヘルベルのカノン調の"ステップ"は、こういった幾層ものサンプリングが積み重ねられた上に成立している。

 『モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ』を構成しているひとつの重要な要素である「宗教」に注目する上で外せないのは、アルバムのリリース直前にヴィデオが公開された"ヤー・ヘイ"だ。"ヤー・ヘイ"("Ya Hey")はユダヤ教の神、ヤハウェ(Yahweh)をもじっており、ここでエズラが呼びかける「あなた」は明らかにヤハウェである(エズラはユダヤ系の家系に生まれている)。「あなたはご自身の名前すらおっしゃろうとしない/"私は在りて在るものである"と、ただそれだけ/でも、そんな方法で誰が生きられるっていうんでしょう?」という一節がそれを裏付ける。ユダヤ教徒は通常、神の名を直接発語するのは畏れ多いとして口にはしないため、ユダヤ教の神の名の正確な発音はわからなくなってしまったからだ。
 「ああ、愛しいあなた/シオンはあなたを愛していない/バビロンもあなたを愛してはいない/けれども、あなたは遍く存在を愛している/ああ、聖なるあなた/アメリカはあなたを愛していない/だから僕はあなたを愛せない」「母なる国はあなたを愛していない/父なる国はあなたを愛していない/なのに、何故全てを愛するのですか?」。こういった歌詞には、元は同じである神を信じるユダヤ教、キリスト教、イスラム教が相互にいがみ合い、血で血を洗う争いをし続ける、解決の日の目を一向に見ない中東情勢、あるいはそういった状況に対して依然「世界警察」として振る舞いつづけるアメリカへの煩悶が滲み出しているように思われる。エズラの重苦しい言葉の数々には、皮肉や言葉遊びを散りばめる余裕もないほどの悄然とした憂鬱が宿っている。

 ヴァンパイア・ウィークエンドはいま、大きな転機にいる。もしかしたら、曇った表情でニューヨーク・シティを眺める、少し老け込んだ吸血鬼たちの姿に、「お洒落でキュートなインディー・ポップ」としてのヴァンパイア・ウィークエンドに夢中になったリスナーたちは驚きうろたえるかもしれない。しかし、諦念と厭世観が充満し、憂色を纏ったこのアルバムは間違いなく彼らの最高傑作だ。そう言い切ってしまおう。もう後戻りはできない。なにせ人生は前にしか進まない。なぜかって? 後ろに進んだら大変じゃないか。

REFUGEE MARKET - ele-king

 2013年もアッという間に前半が過ぎようとしている。新年早々、東京が記録的な白化粧に見舞われ、真新しい和服を粧し込んだ新成人がバレリーナのように駅前を行き交う下北沢にて「REFUGEE MARKET」のPOP UP STOREが開催された事も大分昔の記憶に感じる......

 今年上半期だけでも怒濤のリリースを見せた〈DOGEAR RECORDS〉所属アーティストが集合するイヴェントが、今週16日の日曜日デイタイム、代官山UNITにて開催される。ISSUGI、Mr.PUG、KID FRESINO、仙人掌、白昼夢のスペシャル・ライヴを中心に、Bullpen(ブルペン)と称された、それぞれの客演者や日頃から親交を温める友人たちが登場するそうだ。
 DJは、BUDAMUNK, PUNPEE, YODEL, GONZ&CHANGYUU, MASS-HOLEがエントリー。それぞれが持ち込む映画映像がDJプレイと連動してスクリーンにて放映予定らしい。
 スペシャル・ゲスト・ライヴには、仙人掌や白昼夢の客演でお馴染みのCHIYORIがバンド・セット、LOSTRAINSにて登場、名古屋からもCAMPY&HEMPYが参戦が決定している。
 メインであるライヴフロア外でも「REFUGEE MARKET」が開かれている。ゴロー・コサカの写真展示、アジアン屋台イクチャムの飲食ブース、DNCのブランニュー・アイテムの販売が予定されている。
 セレブ指数ハイエストな代官山にて、どんなパーティになるのか楽しみでしょうがない! 日曜の昼下がり、様々な人間模様が交差する鎗ヶ崎スクランブルの地下、DNCによるカルチャー全部乗せイヴェントに乗っかるほかないだろう。

6/16 (SUN)
DOGEAR RECORDS x P-VINE RECORDS Presents
REFUGEE MARKET at 代官山UNIT
OPEN/START:15:00 (※開演時間が変更になりました)
ADV:2,500yen / DOOR :3,000yen (共にドリンク代別)

【Special Live】
ISSUGI, Mr.PUG, KID FRESINO, 仙人掌, 白昼夢
【Special Guest Live】
CHIYORI with LOSTRAINS, CAMPY & HEMPY (CAMPANELLA & TOSHI蝮)
【Special DJ's】
BUDAMUNK, PUNPEE, MASS-HOLE, YODEL, GONZ & CHANGYUU

INNA (Life Force) - ele-king

Life Force / mixer / the Ozeki! @MORE / 一夜特濃 @天狗食堂

6月はLifeForce x Anton Zapのパーティが2本あります。
6/14 Life Force "From Russia With Dub" @Seco (Shibuya)
6/22 Life Force Alfrescorial @Panorama Park Escorial (Hakone)

https://lifeforce.jp

Inna "On Repeat" June2013 Chart  2013.6.7


1
Archie Pelago - Sly Gazabo EP - Archie Pelago Music
https://soundcloud.com/archiepelago/avocado-roller

2
Co La - Moody Coup LP - Software
https://soundcloud.com/experimedia/co-la-moody-coup-experimedia

3
Frits Wentink - Barry Tone EP - Triphouse Rotterdam
https://soundcloud.com/triphouse-rotterdam/frits-wentink-barry-tone-ep

4
JJ Mumbles - Boxes and Buttons (U.YO LOVE remix) - WotNot Music
https://soundcloud.com/wotnotmusic/boxes-and-buttons-u-yo-love

5
Ex-Pylon - Shakes/Helmet - Studio Barnhus
https://soundcloud.com/studiobarnhus/sets/barn014

6
Arthur Boto Conley's Music Workshop - Clifford Trunk - Travel By Goods
https://www.youtube.com/playlist?list=...

7
Hugh Pascall - Joy Padding - Disconnected
https://soundcloud.com/daisydisconnected/joy-padding-by-hugh-pascall

8
Blludd Relations - Blludd Relations LP - Deek Recordings
https://deekrecordings.bandcamp.com/album/blludd-relations-lp

9
Jesse feat. Jimi Tenor - Terminator (Randy Barracuda’s Macic Wand Mix) - Harmonia / Haista
https://soundcloud.com/harmonia/sets/hrmn-21-hst5

10
Alex Burkat - Shower Scene EP - Mister Saturday Night
https://soundcloud.com/mistersaturdaynight/sets/alex-burkats-shower-scene-ep-1
- Cosmo D - Cello Improvisations + Beats Vol.1 CD" (Archie Pelago Music / Observatory)
https://soundcloud.com/cosmoddd/sentiments

pAradice (△/DUNE/Life Force) - ele-king

新旧 ジャンル もろもろ問わず、最近レコードバックに入れたくなるお気に入り10選です

DJ schedule
6/21 (Fri) amate-raxi 6th Anniversary "LIFE"
https://mitibikijinsei.com/log/
6/22 (Sat) Life Force @ Escorial "Ashinoko Panorama Park" (Hakone)
https://lifeforce.jp/
more schedule & info
https://palalog.blog103.fc2.com/

好きなやつ 2013.6.10


1
TRI ATMA WITH KLAUS NETZLE - Microcosmos - Fortuna Records
https://www.youtube.com/watch?v=7r47j1EesyU

2
BATTEAUX - TELL HER SHE'S LOVELY - Columbia
https://www.youtube.com/watch?v=bbGG1Wm7XIc

3
FONDA RAE - HEOBAH(Hey-O-Bah) - Posse Records
https://www.youtube.com/watch?v=K4OVmmv55mQ

4
BONAR BRADBERRY - Lip Service(Maxxi Soundsystem Yeh Yeh Remix) - Needwant
https://www.youtube.com/watch?v=YHXFsOAZpW0

5
SPACED OUT FAMILY - Cover girl - Squaring The Circle.
https://www.youtube.com/watch?v=W-tHDuywo0Q

6
HARMONIOUS THELONIOUS -A.O. - ITALIC Recordings
https://soundcloud.com/italic/harmonious-thelonious-a-o

7
REDSHAPE - ATLANTIC - Running Back
https://soundcloud.com/mixmag-1/red-shape-atlantic

8
Spinnerty - noel's dream - Record Breakin'
https://www.youtube.com/watch?v=9c1oDzK4PpY

9
COWBOY RYTHMBOX - SHAKE - Comeme
https://www.youtube.com/watch?v=cNKGfEpLdYM

10
Archie Pelago - Subway Gothic - Well Rouded Individuals
https://www.youtube.com/watch?v=PbTFZW-YQXk

Mouse on Mars × group_inou × OORUTAICHI - ele-king

 悔しいっす!!!!! 先にやられました。国境を超えた12インチ・スプリット・アナログ盤をDUM DUM LLPが作ってしまいました。しかも、マウス・オン・マーズ、group_inou、オオルタイチの3組によるヴァイナルで、再マスタリングをオウガ・ユー・アスホールの仕事で知られる中村宗一郎氏に依頼するほどの気合いの入れよう。
 収録は、Mouse On Mars「HYM」、group_inou 「ORIENTATION(95's Hip Hop mix)」remixed by 5ive(COS/MES)、OORUTAICHI「Sononi」。アートワークも格好いいです。
 売り切れ必至なので、マジで欲しい人は早めに買ってくださいね。

【DUM-DUM PARTY 2013】
Curated by ele-king & DUM-DUM LLP

日時:2013年6月29日(土)
会場:渋谷O-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催)
開場/開演:15:00(22時終演予定)
出演:
Mouse on Mars(ドイツ)
OORUTAICHI
快速東京
きのこ帝国
group_inou
SIMI LAB
下津光史(踊ってばかりの国)
スカート
砂原良徳(DJ)
ミツメ
森は生きている
YAMAGATA TWEAKSTER(韓国)
渋家(shibuhausu)Exclusive
OL Killer
OGREYOUASSHOLE
大貫憲章
THE GIRL+
...and more!
........................................................................
チケット:¥6,300(税込 / 全自由 /1ドリンク代別)
※3才以上有料
来場者全員特典:特製ZINE
チケット:5/11(土)発売
チケットぴあ(0570-02-9999)
LAWSON TICKET(0570-084-003)
イープラス(https://eplus.jp/)
※ディスクユニオン、各ライブハウス、高円寺DUM-DUM OFFICE店頭でもお求め頂けます。
........................................................................
イベント特設サイト:https://party.dum-dum.tv/


■Mouse on Mars Japan tour 2013

2013.6.28(金)
会場:大阪LIVE SPACE CONPASS
開場:19:30 開演:20:00
共演:OORUTAICHI

2013.6.30(日)
会場:渋谷WWW
開場:18:00 開演:19:00
共演:Y.Sunahara

■DOMMUNE出演
MOUSE ON MARS来日 × ヤン・ヴェルナー・ソロ・アルバム『BLAZE COLOUR BURN』発売 記念!!
初登場!MOUSE ON MARSの実験音楽・音響肌、JAN ST. WERNERの貴重なソロ・パフォーマンス!!

出演者:JAN ST. WERNER
https://www.dommune.com/


[info]
◎DUM-DUM LLP(公演に関する問合せ)
https://www.dum-dum.tv
◎DISK UNION(アナログに関するお問い合わせ)
https://diskunion.net/

interview with Sigur Ros - ele-king

 初めてシガー・ロスを観たのは、2001年オックスフォードで行われたレディオヘッドの地元凱旋ライヴ(前座)でのことだ。あの『アゲイティス・ビリュン(Ágætis Byrjun)』が世界に放たれた直後だったことを考えると、わたしは運がよかった。
 伝え聞いていたヨンシーのボウイング奏法と、聴き手を一瞬で茫然自失させる圧倒的世界観、幻想的な音と声。シンプルなシーケンスがどんどん展開して、シンフォニックなサウンドと相まっていく。野外だったこともあって、自然と音の共鳴に身震いしたのをいまも鮮明に覚えている。シガー・ロスがわたしにとって唯一無二の存在になった瞬間だった。


シガー・ロス
クウェイカー

Xl / ホステス

Amazon iTunes

 あれから12年も経った。アルバムはその間も断続的にリリースされつづけたが、今回の作品は「『クウェイカー(Kveikur)』以前/以後」と言われるようになるかもしれない、バンドにとって非常にエポック・メイキングな作品だ。武道館ソールド・アウトという来日公演の熱気冷めやらぬ内に、シガー・ロス7枚目の新作『クウェイカ―』がリリースされる。

 先行公開された"ブレンニステン(Brennisteinn)"が、あまりにヘヴィでダーク、インダストリアルな音だったので正直驚いた。攻撃的にすら思える。前作『ヴァルタリ(Valtari)』は、メンバーいわく「スローモーションな雪崩」ということだが、もうまるっきりそれとは別次元だ。じつに攻撃的で力強く、バンドがいわゆる「バンド的衝動」で作ったアグレッシヴなサウンドになっている。まるでこれからの決意表明でさえあるように。

 今作のシガー・ロスは黒いマグマである。ドロドロしながらうごめき、噴き出す寸前。映像を喚起させる神秘的サウンドの地下深くでは、ドロドロとしたパッションが溜まっていたのだ。アイスランドから流れ出た溶岩は、高温の熱を放って、冷めないだろう。どんどん突き進む。その熱量は増すばかりだ。活動休止やキャータンの脱退を経て、シガー・ロスはネクスト・ステージへと上がった。

 短い時間だったが、武道館公演を翌日に控えたゲオルグとオーリーにインタヴューを行うことができた。今作のサウンドとは対照的な、気さくでのんびりとした空気が伝わるだろうか?

タイトルには、「ヒューズ」とか「火花」っていう意味もあるんだ。新しく何かがはじまるというイメージなんだけど。

ヘヴィでダーク、バンドが前へ前へ突き進んでいくアグレッシヴなパッション。シガー・ロスの新章が開けたような印象を受けました。『ヴァルタリ』から1年経たないという、短いスパンでしたね。現在のバンドの状態がアグレッシヴで、曲がつぎつぎと湧いてきているような印象を受けます。原曲のようなものはかなり録りためていたのでしょうか?

ゲオルグ:11ヶ月と言われているけど、実際、制作期間はそれ以上かかっているんだ。最初スタジオに入って、ベースとドラムといった基本の音を録ったんだよ。そこからずっと何かしら足したり重ねたりして、リハーサル中もミキシング中も音を重ねていって、曲はつねに変化していた。どんどん進化をとげていった感じかな。

オーリー:僕たちもニュー・チャプターが開けたようでエキサイティングしているんだ。
シガー・ロスにとって新しい新章、ほんとにそんな感じだよ。

シガー・ロスの音は、祝祭感あふれる曲も多いですが、今作はダークな感じですね。

オーリー:ダークな感じの曲は書きたかったんだ。意図的にそうしたのはあるかな。アヴァンギャルドな感じのね。

『クウェイカー』は、「芯」(ろうそくなどの)を意味するそうですね。まさに今作の曲たちは、これからのバンドの核、軸になりそうな重厚感ある印象を受けました。タイトルは、どのような経緯でつけられたのでしょうか?

ゲオルグ:タイトルには、「ヒューズ」とか「火花」っていう意味もあるんだ。「新しいことがはじまる」というのは、アルバム・タイトルの候補にあってね、新しく何かがはじまるというイメージなんだけど。火花が散るというイメージがぴったりじゃないかな、と思ってつけたんだ。

"ブレンニステン"のPVは、暗い世界のなかで何かと何かが格闘しています。黒くうごめく何かを必死にあばこうとしているように見えました。毎回シガー・ロスの映像美には息をのむのですが、この作品はアンドリュー・トーマス・ホワン(Andrew Thomas Huang)が手掛けていますよね。映像の制作については、監督におまかせしているのでしょうか? それとも、バンド側からアイディアやイメージなどを提案してから制作に入るのでしょうか?

オーリー:最初にイメージを監督に伝えたんだ。何かこう、猛獣のようなものが起きてくるような、目を覚ますようなイメージをね。このタイトルには「黄色」という意味があるんだけど、そのふたつを監督に伝えたよ。そうすると監督から案がきて、メールのやりとりでだんだん固めていったんだ。最初出してきた案は、気に入らなくてボツになっちゃったんだけどね。(笑)

ゲオルグ:PVにかかわらず、自分たちの名前で出す作品には必ず自分たちが関わるようにしているよ。

※アンドリュー・トーマス・ホワンは、BjorkのPVも手掛ける新進気鋭のヴィジュアル・アーティスト。

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ミキシングの部屋には大きな窓があって、そこから池や川が見えるんだ。馬も走っているし、森もひろがっているよ。川にはアヒルもいてね(笑)。とてもリラックスできる環境なんだ。

活動休止の期間、ヨンシー以外のおふたりは「育休」ということでしたが、ご家族とのつかの間の休息は現在の音楽制作にどのような影響を与えましたか?

オーリー:家族と過ごすことができてよかったよ。健康的な時間だった。でも、ツアーはオフだったんだけど、つねに何かをしていたよ。曲作りをしたり、ちょこちょことね。でもすごい忙しかったってわけではないなあ、仕事量が減った感じかな。

ゲオルグ:バンドにといっても、休息時間は必要だったよ。ツアーして、アルバム作って、ツアーして、アルバム作ってを繰り返してたら、日本には来れてなかったかもね。

今作の制作はシントロイジン・スタジオ(Soundlaugin Studio、通称Pool Studio)で行われたのですか? プールを改造して作られたことからその名がついたそうですね。スタジオの建物の周りにはどんな景色が広がっているのでしょうか?

ゲオルグ:全部そのスタジオで録ってはいないんだ。ベースとドラムなど基本の骨格となる部分だけで。ヨンシーのヴォーカルは、彼のスタジオで録ったんだよ。リハーサル・スタジオは、コンピュータとマイクだけ。
 このスタジオはとってもナイスな場所にあるよ。最初は自分たちのために作ったスタジオだったんだけど、いまは売ってしまって自分たちのものではないんだ。使う場合は、電話して予約するんだよ(笑)。
 それで、ミキシングの部屋には大きな窓があって、そこから池や川が見えるんだ。馬も走っているし、森もひろがっているよ。川にはアヒルもいてね(笑)。とてもリラックスできる環境なんだ。

オーリー:僕は、スタジオのとなりに5年間住んでいたんだ。でも、スタジオに通うようになってしまうと、オフィス通いのようになってしまうので、その感覚が自分たちにはよくないと思ったから、環境を変えたかったという理由もあるね。

みなさんは何度も来日されていますね。アイスランドと日本は島国であり、火山があったり温泉があったりと共通する部分もあって個人的には親近感を持っているのですが、日本の文化、映画、アニメ、風景などで気になるものや好きなもの、または、印象に残っている場所などはありますか? インスピレーションを受けるものというか。

オーリー:まず、お寿司がおいしいね(笑)。お昼にお寿司をたべたんだ。もう最高だったよ。だけど、とてもひとつは選べないな。全体的にインスピレーションをうけているよ。
 確実に言えることは、僕たちは日本が大好きで、日本での公演が決まると毎回楽しみだってことだね。本当にうれしいよ。

ゲオルグ:武道館は10代の頃から憧れていて、そこで演奏するのが夢だったんだ。昔の僕だったらそんな場所で演奏できることを夢にも思わないだろう。17歳の僕が知ったら、すごく喜ぶだろうな。

アイスランド・シーンと括るのはいまや意味がないほど、多くの素晴らしいアーティストが世界へ出てきています。とくにポスト・クラシカルのシーンはここ数年アイスランド出身のアーティストを中心に盛り上がってきています。大御所ヨハン・ヨハンソン(Johann Johannsson)、ヴァルゲイル・シグルソン(Valgeir Sigurdsson)、若手ではオーラヴル・アルナルズ(Olafur Arnalds)、アメリカ人ですが、ヨンシーの作品でもおなじみで、アイスランドのレーベルからもリリースしているニコ・ミューリー(Nico Muhly)などです。
 アイスランド・コミュニティーというのは、つながりを大切にしているなと感じるのですが、最近気になるアーティスト、バンドはいますか?

オーリー:オーラヴル・アルナルズは、映画やTV音楽でも活躍しているよ。

ゲオルグ:ベッドルーム・コミュニティー〉というレーベルが素晴らしいよ。とくにそのなかでも、ダニエル・ビャルナソン(Daniel Bjarnason)とベン・フロスト(Ben Frost)が好きだね。アメイジングなアーティストだよ。オリジナリティがあって最高なんだ。

※〈ベッドルーム・コミュニティ〉は、ヴァルゲイル・シグルソンが2006年に設立したアイスランドのレーベル。

ありがとうございます! チェックしておきます!

DJ MINODA (SLOWMOTION) - ele-king

6月14日金曜日 Test Groovin’ @ 神保町試聴室
https://shicho.org/2013/06/1event13061/

6月15日土曜日 HOUSE OF LIQUID @ LIQUID ROOM
https://www.liquidroom.net/schedule/20130615/14701/

6月22日土曜日 SLOWMOTION @ 旧グッゲンハイム邸
https://www.nedogu.com/blog/archives/7091

8月12日月曜日 THE CAMP 2013 @ Nakadaki Art Village
https://the-camp.info/

スロモクラシックにしたいなとおもってる10曲 2013/06/06


1
Rene Bourgeois - Je Danse feat. Elke Brauweiler (Mollono.Bass Remix) - Acker Records

2
Slow Down Orchestra - Take Me Out - Manuscript Records Ukraine

3
Deymare - Origins - Booth Trax

4
Pal Joey - Life feat. Teddy G. - Cabaret

5
Alvaro Ernesto - For Yiannis - Kapa Music

6
Martin Greenland - Papaya - Seta Label

7
Biscuit - 2 Days Of Contemplating - Nightphunk Recordings

8
Ernesto - Love Comes Round Food For Thought (Dub Remix) - Rakkaus Records

9
Rene Breitbarth - Volplane - Deep Data

10
Savile & Olin - Horizon - Wazi Wazi Music

Washed Out / It All Feels Right - ele-king

 ウォッシュト・アウト、取材しました。興味深かったです。とくに面白かったのは、新作の重要なインスピレーションが、アイルランドの偉人、ヴァン・モリソンの傑作『アストラル・ウィークス』(1968年)、他にはフォークトロニカ時代のフォー・テットだったという話。フォー・テットに関しては、昔からずっと好きだったそうです。で、久しぶりにフォークトロニカ時代の作品を聴き直したらやはり良かったと。そう考えると、ああしたドリーミーな音色はこの20年のあいだ、実は、ベッドルーム・テクノ~ボーズ・オブ・カナダ~フォークトロニカ/アニマル・コレクティヴ~などなどといった具合に、つくづく受け継がれていってるんだなと思います。
 セカンド・アルバム『パラコズム』というタイトルは、発達心理学の言葉で、言うなれば「順宇宙」、夢想による世界のこと。現実を直視できず、現実と隔絶するという意味においてはネガティヴに用いられるこの言葉を、ウォッシュト・アウトは敢えて肯定的に使ってみせます。彼は100パーセント、逃避主義を受け入れると言い切ります。そして今作を、昼間に聴ける音楽として作ったと説明しました。各楽曲の歌詞は、より鮮明に、大いなる逃避を謳っています。これは先行シングル「イット・オール・フィールズ・ライト」のPVです。

The Stone Roses : Made of Stone - ele-king

 シェーン・メドウズとストーン・ローゼズの両者に並々ならぬ愛情を抱く人間としては、ひとり静かに見たい映像だった。が、スキンヘッドの恰幅の良いおっさん3人組がビールを片手に隣に座って来やがったときにはわが身の不運(いつものことだが)を呪った。上映5分前。場内を見渡してみる。おアート系映画専門映画館の客層は、明らかに通常とは違っている。
 まず、当然ながら年齢層が高い。目つきの悪い中年スキンヘッズや、クリエイター系のお仕事についておられそうな品の良いおっさんたち。若い頃はインディー好きだったのよー、みたいなミドルクラスのカップル。といった年寄りに混じって、バンドマン風の青年や、音楽オタク風のティーンがひとりで来ている。という感じ。
 隣のガラの悪そうなおっさんたちが、上映前からがんがんビールを飲んでいるので、演奏シーンでラウドに歌い出したりしたら嫌だなあ。と不安に思った。が、いったん上映がはじまると、隣人たちは妙に静かになった。肘掛けから腕がはみ出すほどふんぞり返ってこちらに迷惑をかける、というようなこともない。大の男が、体を縮めて、直立不動で映画を見ているのだ。どうしたのだろう。と脇を見てみると、隣のおっさんは、冒頭から眼鏡の下に指を入れて涙を拭いていた。

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 これはシェーン・メドウズにしか撮れなかった。と思うのは、ウォリントン・パー・ホールに集まるファンたちのシーンだ。バンドのメンバーや著名な関係者ではなく、無名のファンの映像をこれほど長時間見せるロック・バンドのドキュメンタリーは前代未聞だろう。
 バンド側が当日午後にいきなり発表した「ストーン・ローゼズが今日16年ぶりのギグを行う。ホール前に集まれ。チケットは早い者勝ち」という告知を受け、ファンが続々と集まってくる様子をメドウズは丁寧に追う。ネクタイを締めたまま血相を変えて走って来るオフィス・ワーカー。学校に子供を迎えに行ってその足で来たのだろう、制服姿の娘を引き連れたおやじ。汚れた格好で駈けてくる塗装業者。スーパーの買い物袋を下げて子連れで走ってくるお母さん。
 「上司に『姑が心臓発作で倒れた』と言って早退してきた」、「ベビーシッターの手配とか、一瞬そういう考えが全部ぶち飛んだ」と、口々に庶民たちは語る。メドウズの映画に出て来そうな人々が大勢いる。世間的にはルーザーと呼ばれる、ヤバめの男女。社会的にサクセスしているらしい自信に溢れた人。不満を抱えながら底辺で働く労働者。ひとりひとりの顔や身なりや言葉から、彼らの人生が透けて見える。このウォリントンのシーンは、ここだけで一本の映画を見たようだ。伝説のバンドの再結成というのはよくある話だが、そのときのファンの心情を描いた映画はいまだかつて無かった。シェーン・メドウズは、それを撮ったのだ。タイトルを付けるなら『This Is England 2012』。ストーン・ローゼズのメンバーたちも、このウォリントンのシーンがいちばん気に入ってるという。

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 ツアーのリハーサルのシーンでは、カメラは各メンバーの顔だけを追う。リズム隊のマニとレニが顔を見合わせて笑う。イアンとレニがコーラスしながら頬を緩ませる。クールに職人然としてギターを弾いていたジョン・スクワイアが、曲の最後ににっこりと微笑む。
 20年近く前に派手に喧嘩別れした男たちが、再び笑い合っている。その絵が呼び起こすセンチメントは、セックス・ピストルズの再結成でメンバーたちが揃ってステージに立っている姿を見た時の感傷にも似ていた。隣のおっさん、いよいよ泣いてるんじゃないか。と思ってちらりと脇を見、わたしは度胆を抜かれた。
 スキンヘッドの大男が、にやにや笑っていたからである。いい大人が、何を嬉しそうに、だらしなくにやにやしているのだろうか。
 しかし、そのようなフィールグッドな映像もそう長くは続かない。彼らはストーン・ローゼズだからだ。アムステルダム公演で、アンコールを前にレニが先に帰ってしまい、「あのドラマーはCUNTだ」とステージで言い放つイアン。
 そこでメドウズはいっさいの撮影を止める。並みの映画監督なら、もっとも撮りたいところだろう。バンド内紛の内幕はドキュメンタリーの見せ場になるからだ。しかし、メドウズはそれを撮らない。『This Is England 2012』にはそんなシーンは要らないと彼は決めたのだ。
 「俺は撮影を停止して、イングランドに戻る」とメドウズは宣言する。そして暗転。
 隣の席のおっさんが、ごくり。とビールを飲む音がした。

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 場面は唐突にマンチェスターのヒートン・パークの凱旋コンサートに切り変わる。
 最後のシーンは、"Fools Gold"の演奏を最初から最後まで撮っただけの、シンプルな映像だ。ここまでは友人としての親密な視線(実際、メドウズはかなり前からメンバーと交友があり、イアンは『This Is England 86』にカメオ出演もしている)で撮ってきたメドウズが、最後には"人生を変えられたバンド"を見ているファンの目線に戻る。
 それは圧巻の演奏映像だった。
 勇姿。としか言いようのないストーン・ローゼズの姿。
 メンバーたちはもはや笑っていない。再結成は単なる同窓会ではなかったのだ。各人がそれにはっきりと気づき始めた顔をしている。
 「ヒートン・パークの"Fools Gold"は、インディーズがダンスに移行するエピックな瞬間だった」
 と、メドウズはインタヴューで語っていた。が、それに付け加えるなら、驚くほどどっしりと骨太になったローゼズの、はっとするような新鮮なグルーヴがあの演奏にはあった。
 メドウズは彼らの新曲を聴いたことはないと言っているが、本当にそうだろうか。と思う。彼には、登場人物たちの未来に繋がるヒントを残して映画を閉じる癖があるからだ。

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 館内が明るくなり、隣のおっさんたちが立ち上がった。もう泣いてもいなければ、にやにやしてもいない。新譜はいつだ。と言わんばかりの切羽詰った表情で誰もが出口へ向かっている。
 いい大人が七面相みたいに、まったくバカなのかと思う。
 だが、そんな気持ちにさせられるバンドのひとつやふたつ持ってない音楽ファンを、というか人間を、わたしは信じない。


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