「K A R Y Y N」と一致するもの

 これはなんとも興味深いコレボレイションの登場だ。細野晴臣のファースト『HOSONO HOUSE』50周年を記念し、そのカヴァー・アルバムが発売される……のだけれど、リリース元はなんとLAの〈Stones Throw〉、音源制作は〈カクバリズム〉〈BAYON PRODUCTION〉〈medium〉の三者という意外かつ新鮮な組み合わせなのだ。参加アーティストも豪華で、マック・デマルコ、サム・ゲンデル、ジョン・キャロル・カービィ、日本からもコーネリアス、矢野顕子など注目のメンツが集合している。どんなアルバムに仕上がっているのか──まずは第1弾シングルのマック・デマルコを聴いて想像を膨らませておこう。

VMO a.k.a Violent Magic Orchestra - ele-king

 「アート・ブラックメタル・テクノ・プロジェクト」、VMOことViolent Magic Orchestraが8年ぶりのアルバムを発表する。題して『DEATH RAVE』、ブラック・メタル、ハードコア、ガバ、ノイズなどがミックスされたサウンドに仕上がっているようだ(3/13リリース)。Vampilliaのメンバーはじめ、メイヘムやSunn O)))での仕事で知られるアッティラ・チハーら多くの面々が集結しており、Kentaro Hayashi、CRZKNYなども参加。新代田FEVERおよび東心斎橋CONPASSでのリリース・ライヴも決定している。詳しくは下記より。

VMOが8年ぶりのセカンドアルバム「DEATH RAVE」をベルリンのNEVER SLEEPより3月13日に発売決定。併せてリリース記念ライブの詳細も発表。

VMO a.k.a Violent Magic Orchestraが約8年ぶり、ザスターがボーカルを務める新体制後、初となるアルバム「DEATH RAVE」をベルリンのGabber Eleganza率いるレイヴ、ハードコアシーンの総本山 NEVER SLEEPよりリリースする。今作は世界中のメタル、テクノ、アートなどあらゆるジャンルのフェスに出演したVMOの経験とスタジオでの実験が爆発的な化学反応をおこしDEATH RAVEと呼ぶに相応しい作品が完成した。anoのちゅ、多様性を作詞/作曲したエンペラーaka真部脩一らVampilliaメンバーはもちろん、紅一点のボーカルザスター、ブラックメタルの伝説メイヘムのAttila Csihar、現代エクストリームハードコアの雄FULL OF HELLよりDylan Walker、アイスランドの新しい神秘Kælan Mikla、レーベルのボスGabber Eleganza、ビョークの最新作に参加したインドネシアのガムランガバユニットGabber Modus OperandiのIcan Harem、テクノの聖地TRESORからリリースするminimal violenceのinfinity devisionら海外勢に加え、アルセストことKentaro Hayashi、リヴァイアサンことCRZKNY、そしてMASF/ENDONのTaro Aikoら国内勢も参加したブラックメタル、テクノ、ハードコア、GABBER、ノイズがDEATH RAVEの名の下にネクストレベルで完成した。

そして、このアルバムを引っ提げて行われる5月末から7月頭までスペインのSONAR、北欧最大の野外フェスROSKILDEなど巨大フェスを含むリリースワールドツアーの前に、作品の世界を再現するDEATH RAVEを東京と大阪で開催。このリリースライブにはインドネシアより今作にも参加するGMOのIcan Haremも来日。ブラックメタルの暴力性とRAVEの快楽主義が奇跡的に融合する VMOのアルバムとライブを是非お楽しみください。

VMO presents
『DEATH RAVE リリース♾️メモリアル DEATH RAVE』

東京編
@新代田FEVER

2024/03/19 (火)
18:30open 19:00start
3500yen
4000yen
チケットURL
https://eplus.jp/vmo/

【ACT】
VMO
【special guest 】
Ican Harem from Gabber Modus Operandi
Jun Inagawa

大阪編
@東心斎橋CONPASS

2024/03/22 (金)
18:30open 19:00start
3500yen
4000yen
チケットURL
https://eplus.jp/sf/detail/4045710001-P0030001

【ACT】
VMO
【special guest 】
Ican Harem from Gabber Modus Operandi
KNOSIS(DJ set)


VMO a.k.a Violent Magic Orchestra「DEATH RAVE」
2024.03.13 Release | NSR014/VBR-VMO202403 |
Released by NEVERSLEEP (Japanese distribution by Virgin Babylon Records)
各種サブスクリクション同時配信
https://sq.lnk.to/NSR014_
アナログLP版発売日未定

Track List
1. PLANET HELVETECH
2. WARP
3. The Destroyer electric utilities version
4. Choking Persuasion
5. Kokka
6. Welcome to DEATH RAVE feat. Ican Harem - Gabber Modus Operandi
7. Satanic Violence Device feat. Dylan Walker - Full of Hell
8. MARTELLO MOSH PIT feat. Gabber Eleganza
9. VENOM
10. Abyss feat. Kælan Mikla
11. Ecsedi Báthory Erzsébet
12. SUPERGAZE
13. FYRE feat. Infinity Division
14. Song for the moon feat. Attila Csihar - MAYHEM
15. Flapping Dragon Wings


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interview with Kode9 - ele-king

以前はロンドンがベース・ミュージックのセンターだったけど、いまは違っていて、いろいろなところからそれが出てきている。ロンドンはあくまでネットワークのひとつという存在になってきているかな。

 最新型の尖ったエレクトロニック・ミュージック、とりわけダンス~ベース寄りのそれを知りたいとき、UKには今日でもチェックすべきインディペンデント・レーベルが無数にある。そのなかでも長きにわたって活動をつづけ、日本における知名度も高いレーベルに〈Hyperdub〉がある。90年代末、当初オンライン・マガジンとしてはじまった〈Hyperdub〉がレーベルとして動き出したのは2004年。今年でちょうど20周年を迎える。
 主宰者コード9自身のレコードを発表すべく始動した同レーベルは、すぐさまベリアルというレイヴ・カルチャー=すでに終わってしまったものの幽霊とも呼ぶべき音楽を送り出すことになるわけだけれど、ほかにもアイコニカゾンビーダークスターといったおおむね「ダブステップ/ポスト・ダブステップ」なるタームでくくりうる音楽──あるいは90年代から活躍していたケヴィン・マーティンによるさまざまなプロジェクト──のリリースをとおして、10年代頭ころまでにひとつのレーベル・カラーを築きあげていた。
 大きな転機となったのはシカゴのフットワーク・プロデューサー、DJラシャドのアルバム『Double Cup』(2013)だったという。ただ他方ではそれと前後し、直截的にダンス・ミュージックというわけではないディーン・ブラント&インガ・コープランドローレル・ヘイローのような実験的なエレクトロニック・ミュージックの名作を送り出したりもしている。注目すべきアーティストの列が途絶えたことはなく、ジェシー・ランザファティマ・アル・カディリリー・ギャンブルクライン、日本との関連でいえばチップチューンのクオルタ330、独自視点で編まれたゲーム音楽のコンピ、近年の食品まつりなども忘れがたい。なかでもここ数年のレーベルの勢いをもっともよく体現しているのはロレイン・ジェイムズに、そしてアヤだろう。それら一級のカタログはもちろん、アンダーグラウンドな音楽にたいするコード9の鋭い嗅覚によって裏打ちされてきたものだ(かつて南アフリカのゴムを世界じゅうに広めたのも彼である)。
 そんな感じでスタイルの幅を広げていった〈Hyperdub〉の姿勢にはしかし、どこか一本太い芯が通っているようにも感じられる。やはりレーベルの根底にダンス・ミュージックが横たわっているからなのだろう、どれほどエクスペリメンタルな作品をリリースしようとも〈Hyperdub〉のディスコグラフィがハイブロウに振り切れることはない。尖りながら大衆に開かれてもいるその絶妙なバランスは、フットワークやジャングル、アフロ・ダンス・サウンドが入り乱れる先月の O-EAST でのコード9のプレイにもよくあらわれていたように思う。とりわけ印象に残っているのは高速化されたDJロランドの “Knights of the Jaguar” だ。いや、あれはほんとにかっこよかった。まるでゲットー・ハウスかフットワークのごとく生まれ変わったそれはヘスク(Hesk)なるDJによるエディットだという。すごいのはコード9なのかロランドなのかヘスクなのかわからない──ダンス・カルチャーにおける反スター主義の好例といえよう。
 さらにいえば、そうしたサウンド上の冒険だけに終始しているわけではないところもまた〈Hyperdub〉の魅力だ。以下でも語られているとおり、アヤのようなコンセプチュアルな要素を含む音楽のリリースを考える際には、友人である思想家、故マーク・フィッシャーもきっと気に入ったにちがいないと想像を働かせてみるそうだし、サブレーベルの〈Flatlines〉ではオーディオ・エッセイにとりくんでもいる。ダンス・ミュージックとともに、ものを考えること──まさにそれを追求してきたのが〈Hyperdub〉であり、だからこそ彼らはいまなお最重要レーベルのひとつでありつづけることができているのではないか。
 そんな〈Hyperdub〉のボスは現在、ダンス・ミュージックの状況をどのように見ているのだろう。

DJラシャド。あのレコードは人びとに大きな影響を与えたし、DJとしての自分を大きく変えてくれたものでもあった。以降10年間の、自分のDJの方向性を定めてくれたものだった。

日本はひさびさですよね。何年ぶりですか。

Kode9:2019年の12月以来。そのときは〈Hyperdub〉の15周年で、場所は渋谷WWW だったかな。あと(その翌週に)渋谷ストリームホールでやった《MUTEK》も。

この5年間でどんどん大きなビルが立ったり、渋谷の街並みはだいぶ変わりました。ひさしぶりに訪れてみてどんな印象を受けましたか?

Kode9:ビルは増えたよね。でも Contact のようなクラブはクローズしてしまったね。代官山 UNIT はどちらかといえばライヴ・ハウスのような感覚が強まった印象だし。東京のクラブ・シーンは少し変わってしまったのかな。

ロンドンも頻繁に再開発されているんでしょうか。

Kode9:ロンドンのクラブ・シーンは悪くないよ。パンデミック後に若いDJやアーティストがたくさん出てこられるようになって活発だ。すばらしいとまではいえないけれど、ロンドンのクラブ・シーンではつねになにかが起きているような感覚がある。ただ、自分も歳をとってきたから、仕事以外ではあまり出かけなくなってしまったんだけど(笑)。

あなたは最新のベース・ミュージックにすごく敏感な方だと思うのですが、いまのロンドンで新たな音楽のムーヴメントのようなものは起こっていますか?

Kode9:UKガラージやジャングルのリヴァイヴァルは起こっているね。あと、新しい流れでいうとアフロ・ハウスやアマピアノ、ゴムのようなアフリカのダンス・ミュージックから影響を受けたものが出てきているように思う。UKにとってそれが新しいものかどうかはわからないけれど、少なくとも10年前、15年前よりは色濃くなっていて、それは大きな違いかな。以前はロンドンがベース・ミュージックのセンターだったけど、いまは違っていて、いろいろなところからそれが出てきている。ロンドンはあくまでネットワークのひとつという存在になってきているかな。
 それとUKドリルが盛んになっている印象が強くて、それはシカゴ・ドリルのUKヴァージョンではあるんだけど、そういうUKスタイルの音楽が世界的に影響を与えているような気がする。ビートだったり、ベースラインだったり、ラップのスタイルだったり。ほかの都市のローカルな音楽にUKからの影響が見られるものが出てきたと思う。自分にとってもその影響は大きくて、ここ2、3年の動きは2000年代初頭のグライムやダブステップのMCを思い出させるね。自分がDJでかける音楽もいまあげたすべてのものから影響を受けているんだけど、とくにジューク/フットワークだったり、ジャングル、アマピアノとかを自分のまわりのDJグループもジャンルレスにミックスしていて、そうしたものの影響は大きいんじゃないかなと思う。

O-EASTでのDJセットを体験して、まさにいまおっしゃっていたようなサウンドが印象に残りました。スクリーンに映し出されたヴィジュアルも記憶に残っているのですが、視覚上のテーマもあったのでしょうか?

Kode9:じつは、来日するまでライヴ・プレイをやってほしいと思われていることを知らなかったんだよね(笑)。だからぜんぜんプランがなくて、どうやってオーディオ・ヴィジュアルのショウをやろうかギリギリまで考えたんだ。2日間くらいで。あの演出はヴィジュアル・アーティストの JACKSON kaki と自分との即興に近くて、彼がぼくのDJセットの世界観に合わせたゲーム・アヴァターのようなヴィジュアルをつくってくれたんだ。

序盤にDJロランドの “Knight of the Jaguar” のテンポを上げて、ゲットー・ハウスのようにかけていたのが強烈でした。

Kode9:あれはDJヘスク(Hesk)のフットワーク・エディットだね。テクノ・ファンなら絶対にわかるトラックだと思ったから、イントロをループで伸ばして盛り上げようかな、と。よく気づいたね(笑)。

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いまイギリスでは、音楽雑誌をあまり信用できなくなっていることが問題になっている。メディアの貧困化でジャーナリストたちも稼ぐことができないから、ライティングの質も低下しているんだ。

今年で〈Hyperdub〉は設立20周年を迎えます。当初はウェブ・マガジンとして発足して、のちにレーベルになっていったわけですが、2004年当時の意気込みと、現在の状況との違いについてお聞かせください。

Kode9:すごく変わったと思う。もともとの目的は自分の音楽をリリースすることだったんだけど、いまは時間がなくてできていないんだ。自分のリリースがないことがまず大きな違いだよね。レーベルをスタートしたあとは自分だけじゃなくベリアルザ・バグだったり、ダブステップやグライム、UKファンキーなどの作品をリリースするようになって、2009年ごろまではUKが主だったけど、日本のアーティストとも契約するようになってだんだん国際的になっていった。2011年ごろからはダンス・ミュージック以外のローレル・ヘイローだったり(近年の)ロレイン・ジェイムズだったり、ジェシー・ランザのようなポップスにIDM、エクスペリメンタルなアーティストのリリースも増えたし、2012年からはシカゴのフットワークも扱うようになって、ダンス・ミュージックだけでもなく、イギリスだけでもなく、どんどん拡がっていったのが大きな変化かな。

いちばん大きな転機となったリリースはなんでしたか? できればベリアル以外で。

Kode9:DJラシャド。あのレコードは人びとに大きな影響を与えたし、DJとしての自分を大きく変えてくれたものでもあった。以降10年間の、自分のDJの方向性を定めてくれたものだったし、そこからフットワークやジュークに影響を受けた音楽をプレイしはじめたから、あのリリースがいちばん大きかったかな。そう自分では思ってるよ。

最近のリリースだと、やはりロレイン・ジェイムズの存在がもっとも大きいのではないかと考えています。彼女の最大の魅力はどこにあると思いますか?

Kode9:彼女の音楽はすごくパーソナルで、親密なものだと思う。内向的なところがいいね。彼女の外向的ではない点はある意味ベリアルとも似ているけれど、やっぱり違っている。ベリアルは姿を見せないけど、彼女はシャイでありながら前に出ていて。そこに人を惹きつける魅力があるのかな。ぼくはシャイなアーティストが好きなんだ。内面を表現しながら成功している人たち。シャイっていうのは音楽の内容にかんして、っていう意味で、彼女は音楽業界のなかでも真摯に、名声なんか関係なく真剣に音楽をつくりつづけている。そこがすばらしいんだ。彼女はシャイでありながらSNSの使い方もうまくて、SNS上でファンとのつながりをもっている点もおもしろいね。みんなをパーソナルな世界に招いて立ち入らせてくれるところはファンも感謝していると思うし、そこですばらしいつながりが築きあげられているんじゃないかな。

去年出たアルバムでもうひとつ大きかったのはジェシー・ランザかなと思うのですが、彼女は〈Hyperdub〉のなかではポップな路線を担っているアーティストですよね。そこで、あなた個人のポップ・ミュージックの趣味が気になりました。どういうポップ・ミュージックが好きですか?

Kode9:ポップ・ミュージックからは学ぶことが多いんだ。すごく皮肉なことに、ポップスのほうがエクスペリメンタル・ミュージックよりもつくるのが難しいしね。だから、ぼくはKポップやアメリカのR&B、ヒップホップも聴くんだけど、自分にとってポップ・ミュージックは学校みたいなもので、聴くとほんとうに感銘を受けるし、楽しむためというより学ぶために聴いているね。ぼくは音楽教育をいっさい受けてないし楽器も弾けないから、ぜんぶ耳で聴いて楽しむんだけど、ああいったベーシックなハーモニーやキャッチーさを聴いただけで「ワオ!」と感心してしまう。自分にとってそれはすごく新しいものなんだ。

ele-kingは〈Hyperdub〉のアーティストだと aya にすごく関心があるのですが、次のアルバムは進んでいますか?

Kode9:願わくは、今年じゅうにリリースしたいと思ってるよ。aya は天才だ。コンセプト的にも音楽的にもすばらしいと思うし、パフォーマンスのレヴェルも違う。歌も歌えてラップもできて、ロック・スター的な雰囲気がありつつパンク的なところもあって、アティテュードにあふれているよね。シャイなところとは正反対な感じが彼女の魅力だと思う。

〈Hyperdub〉はアルバムより尺の短いEPをたくさんリリースしていて、その姿勢からは信念が感じられます。90年代はダンス・ミュージックが12インチをリリースの中心にすることで、アルバム主義を解体しました。〈Hyperdub〉のリリースもその延長線上にあるのではないかとele-kingの編集長は考えているのですが、シングル/EP単位でリリースすることの意義について教えてください。

Kode9:すごく難しいところだけど、まず、レコードのセールスが厳しくなったからデジタルEPをリリースするようになったんだ。ヴァイナルはパンデミック以降つくるのが大変で時間もかかるようになってしまったんだけど、これからはもっとアルバムをしっかり出していきたいと思っているよ。アルバムというのはアーティストの世界観を表現できるフォーマットだけど、EPはそれよりも早くつくれるから、アーティストのそのときのムードや音楽シーンの動向を捉えてリリースできるところが長所だよね。アルバムは制作に時間がかかるからこそ、ステイトメントのようなものを示すのに向いていると思う。逆にEPのスピード感は、レーベルの勢いや現在を捉えてみんなに見せていけるものだね。

マーク・フィッシャーの影響は強く〈Hyperdub〉にも〈Flatlines〉にも残っている。ベリアルや aya のような好きなアーティストたちをリリースするときも、「彼も同じように100%好きだろうな」というイメージのもとで考えるんだ。

次の質問も編集長から預かってきたものです。90年代に東京で暮らしていたとき、UKのアンダーグラウンドなダンス・ミュージックを知る方法は12インチのシングルを聴くことでした。それらは安価に入手できました。今日ではネットが擡頭し、情報が氾濫してすごくフラットな状況になっています。当時は12インチのヴァイナルが日本とイギリスのアンダーグラウンドにパスのようなものを形成していたのですが、いまはそれが途絶えてしまっているように思えます。どうすれば生き生きとした良質なUKダンス・ミュージックにアクセスできるのでしょうか? その方法があれば教えていただきたいです。

Kode9:まず、いまはそれをやること自体が難しくなってしまったよね。シンプルなものからなにかを得ようとするのは時代的に不可能に近い。すごく複雑化していて、いくらでもリリースの仕方やつくり方がある。バンドキャンプを利用したセルフリリースもあるし、ある種のフィルターやクオリティ・コントロールなしに音楽がどんどん出まわる時代になったわけだよね。インターネットが擡頭してから変わってしまったんだ。昔ならジャングルやドラムンベース、ダブステップだったり、それぞれひとつのシーンがあったけど、いまはシーンというものが中心にドンとあるというよりも、焦点がぼやけて、小さなシーンがほんとうにたくさん存在していると思うんだ。ベッドルームとインターネットが直結しているから、あいだになにも入らない。総数が膨大になったがゆえについていくのが大変になったし、つくり手もみんな(シーンや音楽が)ありすぎて大変なんだ。だから、ほんとうに信頼できるレーベルやウェブ、雑誌を自分なりに決めて、そこに絞るしかないのかなと思う。
 いまイギリスでは、音楽雑誌をあまり信用できなくなっていることが問題になっている。メディアの貧困化でジャーナリストたちも稼ぐことができないから、ライティングの質も低下しているんだ。20年前はライターたちがちゃんとフィルタリングして良質な情報を発信していたけれど、いまの音楽業界自体やプレスなども含めて、とにかく情報があふれているから厳しい状況だね。だから、ジャーナリスト側はニュースレターを書くようになった。雑誌に寄稿するのではなく。いまは転換期だと思う。ポッドキャストや配信の場もできているし、書く側も情報を与える側も、これからは自分たち自身で情報を発信できる場をつくっていくことになるかもしれない。信用できる情報は、自分たちで絞っていかなければいけないんだ。

わたしたちはマーク・フィッシャーの著作を3冊出版しているんですが、彼はあなたについても書いていますよね。あなたはマーク・フィッシャーの文章のどんなところが好きですか?

Kode9:マークとは一緒にPh.D.(博士号)をとった仲で、1996年から2000年にかけて一緒に勉強してきたんだ。ちょうど2、3日前が命日だったな……。彼の影響はものすごく大きくて、たとえば彼は、現代資本主義のように、嫌いなものがはっきりしていた。それへの批判を力強いことばで表現するのが特徴的だった。それは好きな音楽についてもそうで、社会的・政治的に音楽がどう広がっているのかも的確に表現していた。
 〈Hyperdub〉のサブレーベルにオーディオ・エッセイやソニック・フィクションをリリースする〈Flatlines〉というのがあるんだけど、そこから2019年にジャスティン・バートンとマークのコラボレイション作品『On Vanishing Land』をリリースしている。その作品は、マークが映画や本について書いた『奇妙なものとぞっとするもの(The Weird and the Eerie)』(原著2016)のアイディアをもとに、(音で)実践したものなんだ。レーベルの〈Flatlines〉の名前もマークが90年代に書いた論文のタイトル「Gothic Flatlines」から来ている。それくらい彼の影響は強く〈Hyperdub〉にも〈Flatlines〉にも残っている。ベリアルや aya のような好きなアーティストたちをリリースするときも、「彼も同じように100%好きだろうな」というイメージのもとで考えるんだ。たとえば、aya はノース・イングランドの出身なんだけど、マークはロンドンの外にある音楽シーンに関心を抱いていたし、彼がつくりあげてきた世界観にフィットするようなアーティストをピックアップすることはいまも意識している。ちなみにオーディオ・エッセイというのは、哲学やフィクション、ラジオ・ドキュメンタリー、ラジオ・ドラマ、エクスペリメンタル・ミュージックのミックスだね。
 それと、アーバノミック(Urbanomic)という出版社のエディターであるロビン・マッカイと『ソニック・ファクション(Sonic Faction)』というオーディオ・エッセイについての本を編集したんだけれど、それを数か月後には出す予定だ(https://www.urbanomic.com/book/sonic-faction/)。「ファクション」というのはフィクション(fiction)とファクト(fact)を組み合わせたもの。だから、理論を書いてはそれを音にして、また理論に戻って、また音の作品に落としこんで……というサイクルを繰り返しているね。

〈Hyperdub〉の2024年はどんな一年になりそうですか? 直近で控えているリリースも含め教えてください。

Kode9:「サヴァイヴァル」だね。20周年を迎えるというのは信じられない(笑)。アルバムをたくさんリリースしたいと考えている。20周年記念のショウケースの予定もたくさんあって、バルセロナのプリマヴェーラ・フェスティヴァルやロンドンのファブリック、オーストラリアのエレヴェイト・フェスティヴァル、フランスのニュイ・ソノール。祝福する場はたくさんあるんだけど、いま小さなレーベルを運営することはすごく複雑で大変なことなんだ。さっき話したようにストリーミングも増えたし、音楽業界自体やジャーナリズムも変わってきているし、それがすべてレーベル運営に影響する。だから、小さいレーベルとしてはサヴァイヴァルになっていくんじゃないかな。生き残りが大変なんだ。ひとりならまだしも、スタッフを3、4名抱えているしね。3月にはシカゴのヘヴィ(Heavee)がDJラシャドの『Double Cup』のようなムードを持ったアルバムをリリースするよ。ロレイン(・ジェイムズ)の前の前のアルバム(『Reflection』)や aya のアルバムにヴォーカルで客演していたアイスボーイ・ヴァイオレットというマンチェスターのラッパー[※UKでは2~3年前から注目されている、アンダーグラウンドで評価の高いMC]のアルバムもリリースする予定。もしできるなら、aya とナザール(Nazar)、DJハラム(Haram)、ティム・リーパー(Tim Reaper)……ぜんぶ出せたらいいな。少なくともヘヴィとアイスボーイ・ヴァイオレットは確実に出すことが決まっているね。

※なお、今回の取材でベリアルの新作が〈XL〉から出たことについて尋ねなかったのは、取材日(1月15日)がその情報が流れるよりも前だったからです。

Helado Negro - ele-king

 エラード・ネグロことロベルト・カルロス・ラングの8枚目のアルバムは “LFO (Lupe Finds Oliveros)” と名づけられた一曲から始まる。Lupe とは1950年代にフェーダー社でアンプを製造しのちにコレクターの間で彼女の手がけた製品が評判となったメキシコ系アメリカ人女性ルーペ・ロペスのことであり、Oliveros とは電子音楽のパイオニアとしての再評価が近年著しい音楽家ポーリーン・オリヴェロスのことだそうだ。要はどちらも音楽の実験の領域を広げた偉大な人物であり、ラングが彼女らに深い敬意を持ってこの曲から始めていることは伝わるのだが、曲自体は8ビートのドラムビートを持ったインディ・ロック的なサウンドで暴力的な警察などが登場する抽象的なリリックのスペイン語のナンバーとなっているから不可思議だ。モチーフと歌詞と音楽が彼のなかでどのように関係しているのかは判然としないためあれこれ想像するしかなく、それでも3分強のこの曲はじわりと聴き手の気持ちを温めてくれる。このアルバムでは、そのように、音楽が決められた枠から朗らかにはみ出していく瞬間に生まれる喜びが追い求められている。

 IDMとルーツであるラテン・フォークとインディ・ロックとヒップホップなどなど……をコラージュ的に混ぜ合わせてきたエラード・ネグロは、活動的にも音楽的にも掴みどころのない存在であり続けてきた。2000年代後半にサヴァス&サヴァラスへの参加などギレルモ・スコット・ヘレン周辺から注目され、2010年代にはアニマル・コレクティヴ以降のモダン・サイケ・ポップを(ジュリアナ・バーウィックとのコラボレーションなどをしつつ)ゆるやかに広げてきた彼は、歌ものとしての完成度を一気に高めてブレイクスルーとなった6作目『This Is How You Smile』(2019年)を経て、前作『Far In』(2021年)ではエレクトロとソウルの要素を強めたために「あっ、案外ビビオなんかに近いひとなのかもしれない」と自分は思ったのだが、本作『PHASOR』を聴くとそれもちょっと違うのかもと感じる。得意のトロピカル・テイストが入ったインディ・ポップ “I Just Want to Wake Up with You”、ジャジーな “Best for You and Me”、フォークとエレクトロが抽象的なドラムの上で交錯する “Colores del Mar” ……と、たんにジャンルの多様性だけではなく、ソングライティングの洗練とリズムとさりげない実験性と録音の細やかさによって特定の場所に留まらない音楽をどこか飄々とやってのけている。そのなかでとりわけキーになるのがエレクトロニクスだ。
 本作のインスピレーションとなったのは、現代音楽の研究者でありエレクトロニック・ミュージックの探究者でもあったサルヴァトーレ・マルティラーノが開発したシンセサイザーSAL-MARをイリノイ大学で5時間見学した経験だという。有機的にサウンドシークエンスを作成できるそのマシンに「完全に魅了された」とラングは語っているとのことで、冒頭で書いたルーペ・ロペスとポーリーン・オリヴェロスにまつわるエピソードといい、エレクトロニック・ミュージックが人間の――アーティストの創意工夫によって新たな可能性に開かれること自体にインスパイアされた作品だと言える。シンセ音の反復がラテン・ジャズと戯れる “Our There” や、電子音がいたずらっぽく跳ねるエレクトロニカ・ポップ “Wish You Could Be Here” などはその成果がわかりやすく表れた一曲だと思うが、それでいて実験のための実験という感じもなく、徹底してフレンドリーな音楽だ。
 このアルバムの曲名で「You」と呼ばれているものは音楽それ自体だと感じられるし(「わたしはあなたとともに目覚めたいだけ」、「あなたがここにいたらいいのに」)、ラテン・フォークとアンビエント・ポップの心地よい出会いが味わえる “Flores” や “Es Una Fantasia” を聴けば、音楽に身を任せる時間の豊かさが讃えられていることを直感する。生音とエレクトロニクスがどこまでもオーガニックに温かく身を寄せ合い、実験をポップに変換する楽しさを邪気なく謳歌するこのアルバムは、音楽やそれにまつわる文化に魅せられる人間の幸福な瞬間のことを喚起させるのである。

Lloyd McNeill & Marshall Hawkins - ele-king

Sun Ra & his Myth Science Arkestra - ele-king

Creation Rebel - ele-king

 UKダブのレジェンドのひと組、昨年みごと復活を果たしたクリエイション・レベル。その歴史をたどるのにうってつけのCDボックスセットが〈On-U〉より発売される。題して『High Above Harlesden 1978-2023』。エイドリアン・シャーウッド初のプロデュース作品にあたる『Dub from Creation』(1978)からレアで高額だった『Close Encounters of the Third World』(1978)、代表作『Starship Africa』(1980)はむろんのこと、最新作『Hostile Environment』(2023)まで6作を収録。ブックレットには貴重な写真も掲載されているそう。詳しくは下記より。

CREATION REBEL
エイドリアン・シャーウッド主宰の〈ON-U SOUND〉が
クリエイション・レベルの豪華CDボックスセット
『High Above Harlesden 1978-2023』と
アナログ盤再発を発表

エイドリアン・シャーウッド率いる〈On-U Sound〉が、故プリンス・ファー・ライのバックバンドを務め、ザ・クラッシュ、ザ・スリッツ、ドン・チェリーらとステージを共にしてきたクリエイション・レベルの偉大なる歴史を詰め込んだ豪華CDボックスセット『High Above Harlesden 1978-2023』のリリースを発表! 待望のアナログ盤再発も決定した。

Creation Rebel - High Above Harlesden 1978-2023
YouTube >>> https://youtu.be/lw0SROhafOE

元々は、若きエイドリアン・シャーウッドが初めてのアルバム・レコーディング・セッションを実現するためのスタジオ・プロジェクトとして結成し、そこから名盤『Dub From Creation』が誕生した (UKレゲエ/ダブ・ミュージックのもう一人の巨匠、デニス・ボヴェルがエンジニアを担当)。
そこからプリンス・ファー・ライのツアー・バンドとして活躍すると同時に、バンド・リーダーであり中心的存在であるクルーシャル・トニー・フィリップスを中心にUKダブ/レゲエのシーンを語る上で欠かすことのできない重要作品をリリースしてきた。ベースのリザード・ローガンが投獄され、プリンス・ファー・ライが殺害されるという悲劇に見舞われた後、バンドは1980年代半ばから長期にわたって活動を停止するが、2017年、エイドリアン・シャーウッドのプロジェクト、シャーウッド・アット・ザ・コントロールのロンドン公演のために再結成。そしてエイドリアンとともにバンドはスタジオに戻り『Hostile Environment』を完成させた。クルーシャル・トニーは現在もバンドを率い、チャーリー・エスキモー・フォックス、ランキン・マグーとともに活動を続けている。
今回の再発企画では、『Dub From Creation』や『Starship Africa』といった1970年代後半から1980年代前半にかけてリリースされたUKダブ/レゲエを代表する名作5枚がフィーチャーされ、ファン垂涎のレア盤『Close Encounters of the Third World』を含め、5タイトルがアナログ盤で再リリースされる。またそれらの5タイトルに昨年40年振りにリリースされた最新アルバム『Hostile Environment』を加え、一つの作品としてまとめた6枚組CDボックスセットも同時発売される。CDボックスセットには、36ページのオリジナルブックレットが封入され、国内流通仕様盤はブックレット対訳/解説書付きとなる。
CDボックスセットのタイトル『High Above Harlesden 1978-2023』は、バンドが活動をスタートしたロンドン北西部の労働者階級地域に敬意を表してつけられている。
昨年、40年振りに届けられたアルバム『Hostile Environment』は、DJ Mag、The Quietus、The Wire、その他多くのメディアによって、2023年を代表する一枚として賞賛された。今回の企画は、〈On-U Sound〉の人気再発シリーズの最新プロジェクトとなっており、これまでにアフリカン・ヘッド・チャージ、ダブ・シンジケート、ニュー・エイジ・ステッパーズの再発に続くものである。

Dub From Creation (1978)
UKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドによる最初のスタジオ作品。エンジニアはデニス・ボヴェル。ドラムはブラック・ルーツ・プレイヤーズのエリック ‘フィッシュ’ クラークで、レゲエのスーパースター、ジョニー・クラークの弟である。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Close Encounters Of The Third World (1978)
ジャマイカのチャンネル・ワン・スタジオで録音され、ロンドンでプリンス・ジャミーがミックスした、クリエイション・レベルのカタログの中で最も人気のあるタイトル。
中古市場においてはコンディションの良い中古盤は超高額で取引されている。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Rebel Vibrations (1979)
伝説的なルーツ・ラディックスのドラマー、リンカーン・“スタイル”・スコットをフィーチャーした、オリジナル・リリース以来入手不可能な、ヘヴィなベースラインとビッグ・チューンの正統派コレクション。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Starship Africa (1980)
ダブのクラシック作品。惑星間サウンドエフェクト、星の彼方から聞こえてくる幽霊のような声、そして鳴り響くパーカッション。ルーツ・ラディックス、ミスティ・イン・ルーツ、プリンス・ファー・ライ・アラブスのメンバーが参加。近年ではMojo MagazineのHow To Buy... On-U Sound特集で、全カタログの中で最もお薦めのリリースとして第1位に選ばれた。
オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身レーベル〈4D Rhythms〉より。

Psychotic Jonkanoo (1981)
ジョン・ライドン(セックス・ピストルズ、パブリック・イメージ・リミテッド)のバッキング・ヴォーカルをフィーチャーし、伝統的なジャマイカのルーツ・レゲエにUKらしい実験的なアプローチを取り入れた結果、独特のハイブリッド・サウンドが生まれた。

Hostile Environment (2023)
40年以上にわたる宇宙からの追放から帰還したバンドによる凱旋セット。クルーシャル・トニー、エスキモー・フォックス、ランキン・マグーのトリオは、プロデューサーのエイドリアン・シャーウッドと再結集し、ヘビー級のダブワイズ・リズムに現代的なスピンを加えた。

High Above Harlesden 1978-2023
上記の全アルバムを収録した6枚組アンソロジー・ボックス・セット、貴重な写真やライナーノーツを収めた36ページの豪華ブックレット、ボーナス・トラック7曲収録。

label: On-U Sound
artist: Creation Rebel
title:High Above Harlesden 1978-2023
release: 2024.03.29
CD Box Set 国内仕様盤:
(6枚組/解説書付き/38Pブックレット封入)¥8,000+tax
CD Box Set:
(6枚組/38Pブックレット封入)¥7,500+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13905

TRACKLISTING
DISC 1 (Dub From Creation)
01. Dub From Creation
02. Basic Principals
03. Rebel Rouser
04. Creation Vibration
05. Creation In A Iration
06. Dub Fusion
07. Mirage
08. Liberation
09. Rising Star
10. Vision Of Creation
11. Frontline Dub

DISC 2 (Close Encounters of the Third World)
01. Know Yourself
02. Conspiring
03. Beware
04. Dangerous And Deadly
05. Shouldn’t Do That
06. Creation Fever
07. Natty Conscience Free
08. Joyful Noise

DISC3 (Rebel Vibrations)
01. Rebel Vibration
02. Jungle Affair
03. Hunger And Strife
04. Ian Smith Rock (Dub)
05. Diverse Doctor
06. Mountain Melody
07. Black Lion Dub
08. Doctor’s Remedy

DISC4 (Starship Africa)
01. Starship Africa Section 1
02. Starship Africa Section 2
03. Starship Africa Section 3
04. Starship Africa Section 4
05. Starship Africa Section 5
06. Space Movement Section 1
07. Space Movement Section 2
08. Space Movement Section 3
09. Space Movement Section 4
10. Creation Rock
11. Give Me Power
12. Original Power

DISC5 (Psychotic Jonkanoo)
01. The Dope
02. African Space
03. Chatti Mouth / Threat To Creation
04. Highest Degree
05. Mother Don’t Cry
06. Yuk Up
07. Drum Talk
08. Independent Man
09. Creation Rebel
10. Monkey Grinds The Organ

DISC6 (Hostile Environment)
01. Swiftly (The Right One)
02. Stonebridge Warrior
03. Under Pressure
04. That’s More Like It
05. Jubilee Clock
06. This Thinking Feeling
07. Whatever It Takes
08. Salutation Gardens
09. Crown Hill Road
10. The Peoples’ Sound (Tribute To Daddy Vego)
11. Off The Spectrum

ドキュメンタリーに伝記映画、ライヴ映画など、近年ますます秀作が公開されている音楽映画を一挙紹介!

3月公開の『モンタレー・ポップ』とフェス映画の系譜

インタヴュー
ピーター・バラカン──音楽映画祭を語る
大石規湖(映画監督)

『ムーンエイジ・デイドリーム』『ストップ・メイキング・センス』などのロックの映画を中心に、『サマー・オブ・ソウル』や『白い暴動』、『自由と壁とヒップホップ』といった社会派音楽ドキュメンタリーまで、近年盛り上がりを見せる音楽映画の秀作・傑作を大紹介!

目次

巻頭特集 『モンタレー・ポップ』
Review ポップ・カルチャー史のエポックとなった伝説のフェス──『モンタレー・ポップ』 柴崎祐二
Column フェス映画の系譜 柴崎祐二

Interview
ピーター・バラカン さまざまな場所、さまざまな音楽──音楽映画祭をめぐって
大石規湖 「そこで鳴っている音にいかに敏感に反応できるか」

Review
マニアも驚かせた大作ドキュメンタリー──ザ・ビートルズGet Back』とビートルズ・ドキュメンタリー映画 森本在臣
断片の集成から浮かび上がる姿──『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・ デイドリーム』とデヴィッド・ボウイ映画 森直人
説明の難しい音楽家──『ZAPPA』 てらさわホーク
微笑ましくも豊かな音楽とコント──『フランク・ザッパの200モーテルズ』 てらさわホーク
伝記映画の系譜──『エルヴィス』ほか 長谷川町蔵
トム・ヒドルトンが演じるカントリーのレジェンド──『アイ・ソー・ザ・ライト』 三田格
ザ・バンドを語る視線──『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』 柴崎祐二
今こそ見直したい反時代性──『クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル トラヴェリン・バンド』 柴崎祐二
ヴェルヴェッツを取り巻くNYアート・シーン──『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』『ソングス・フォー・ドレラ』 上條葉月
1984年と2020年のデヴィッド・バーン──『ストップ・メイキング・センス』『アメリカン・ユートピア』 佐々木敦
メイル兄弟とエドガー・ライトの箱庭世界──『スパークス・ブラザーズ』 森直人
パンクが生んだ自由な女たち──『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』 上條葉月
セックス・ドラッグ・ロックンロールに明け暮れた栄枯盛衰──『クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男』 杉田元一
アウトロー・スカムファック(あるいは)血みどろの聖者に関する記録『全身ハードコア GGアリン』+『ジ・アリンズ 愛すべき最高の家族』 ヒロシニコフ
改めて注目を集めるカルト・クラシック──『バビロン』野中モモ
甦る美しき革命の記録──『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 シブヤメグミ
帝王の孤独──『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』三田格
総合芸術としてのヒップホップ──『STYLE WARS』 吉田大
壁の向こうの声に耳を傾ける──『自由と壁とヒップホップ』 吉田大
ショーターの黒魔術に迫る──『ウェイン・ショーター:無重力の世界』 長谷川町蔵
ジョン・ゾーンのイメージを刷新する──『ZORN』 細田成嗣
ルーツ・ミュージックのゴタ混ぜ──『アメリカン・エピック』 後藤護
シンセ好きの夢の空間──『ショック・ドゥ・フューチャー』森本在臣
フィジカル文化のゆくえ──『アザー・ミュージック』 児玉美月
愛のゆくえ──『マエストロ:その音楽と愛と』杉田元一
徹底した音へのこだわりによるライヴ映画──『Ryuichi Sakamoto: CODA』『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async』 杉田元一
失われた音楽が甦る瞬間──『ブリング・ミンヨー・バック!』 森本在臣
スペース・イズ・ザ・プレイス —— 渋サ(ワ)知らズと土星人サン・ラーが出逢う「場」──『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』 後藤護
生きよ堕ちよ──『THE FOOLS 愚か者たちの歌』森直人
コロナ禍におけるバンドと生活──『ドキュメント サニーデイ・サービス』 安田理央
天才の神話を解いて語り継ぐ──『阿部薫がいた-documentary of kaoru abe-』 細田成嗣
坂道系映画2選──『悲しみの忘れ方 documentary of 乃木坂46』』『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』 三田格
勢いにひたすら身を任せる──『バカ共相手のボランティアさ』 森本在臣

Column
政治はどこにあるのか 須川宗純
ポリスとこそ泥とスピリチュアリティ──レゲエ映画へのイントロダクション 荏開津広
映画監督による音楽ドキュメンタリー 柴崎祐二
歌とダンスの(逆回し)インド映画史 須川宗純

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お詫びと訂正

このたびは弊社商品をご購入いただきまして誠にありがとうございます。
『ele-king cine series 音楽映画ガイド』に誤りがありました。
謹んで訂正いたしますとともに、お客様および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

表紙
誤 大石紀湖
正 大石規湖

Tapir! - ele-king

 意識せずともいつの間にやら季節は過ぎて、サウス・ロンドン界隈のバンドも気がつけばポスト・パンクよりもフォークのアプローチをとるようなバンドが増えてきている。こういうのは徐々に変化していくものだからどのタイミングでこうなったのかはっきりとした答えは出ないものだけど、しかし2022年にキャロラインの1stアルバムが出たというのはひとつのターニング・ポイントだったのではないかと思う。そもそもそれが受け入れられる土壌があったということで、やはりロックダウンを経て音楽を作る側のみならず聞く側の心境を大きく変えたのかもしれない(デスクラッシュのギタリスト、マット・ワインバーガーが20年の『ラウド・アンド・クワイエット』のインタヴューで「世界が僕たちの音楽に合うように変化した」と表現していたことをよく覚えている)。塩分をとり過ぎた体が水を求めるように、鋭く性急な音楽よりも、心がゆったりとした慈しみのある音楽を求め、そんな音楽を奏でるバンドをよりいっそう魅力的にしているのかもしれない。それこそキャロラインもそうだがフォークそのものではなく、フォークのフィーリングを取り入れて他の要素と混ぜ合わせたような音楽をやっているというのもミソだ。古きに学び新しさに変えていく、そんなインディ的な精神はもちろんこの流れのなかでも発揮されている。なにはともあれ空気はすっかり変わった。

 サウス・ロンドンを拠点に活動する6人組テイパー!はまさにこの文脈にあるバンドだ。鼻の飛び出た揃いの赤いなんだかわからない覆面をして、なんだからわからないポーズをとったアーティスト写真から興味を持って(夜の闇と鮮やかな赤のコントラストがなんとも魅力的だった)、22年にデビュー作「Act 1 (The Pilgrim)」を聞いたのだけど、その音楽は写真同様に不思議な感覚に陥るような音楽だった。ジム・オルークの『Eureka』を彷彿とさせるようなフォーキーで柔らかな感触と、子どもの頃に見た紙芝居や人形劇を思い出すようなノスタルジーを感じるサウンドがなんとも優しく交じり合い、そしてなんとも優しい心持ちにさせてくれたのだ。

 そのEPはまるごとこの1stアルバムに収録されている。「Act 1 (The Pilgrim)」というタイトルが示すようにEPの音楽をひとつの塊とし、それを三部構成の物語としてとらえアルバムとしてまとめあげている。“Act 1 (The Pilgrim)”、“Act 2 (Their God)”、“Act 3 (The King Of My Decrepit Mountain)”、章のはじまりのそれぞれにフィールド・レコーディングされた物音とリトル・ウイングス、カイル・フィールドによるナレーションが挟まれて物語へと導く道筋が語られる(それはちょっと想像力を刺激するラジオドラマみたいにも思える)。ジャケットにも描かれ、またかぶり物にもなっている赤い奇妙な生き物ピルグリムが緑の丘の上で仲間の声を聞き、引き寄せられるように巡礼の旅に出て不気味な森や山々を駆け巡り、海を渡り、神秘的な風景の中を冒険するという物語、それがアコースティック・ギター、ピアノ、コルネット、サックス、チェロなどの楽器を使い柔らかに語られる。壮大な物語だが、テイパー!の音楽は丸っこいキャラクターが活躍するアニメのように親しみやすく、やたらとノスタルジックで、日常の愛おしさを感じてたまらなくなるほどに優しい。
 オープニング・トラック “Act 1 (The Pilgrim)” のつま弾かれるギターとピアノの絡み、そしてハミングからしてそれがにじみ出ているし、“Swallow” の繰り返しのなかで響くファルセットの歌声はやはり郷愁をこれでもかとかき立てる。海へ出たAct 2、“Broken Ark” ではギターを歪ませ、ストリングスのフレーズとベースでひとり孤独の航海を続けるピルグリムの姿を描き出す。ひとりではいたくないから、だから誰かのいる場所へと彼は向かうのだ。
 Act 3の “My God” はまた素晴らしく胸を締めつける曲だ。それまでの神秘的な世界を離れたモノにまみれた物質的な世界での冒険で、あるいはそれはピルグリムの見た夢(その夢の世界こそがきっと我々の生きる現実だ)なのではないかという考えが浮かぶが、とにもかくにもiPhone 6、ヒューゴ・ボスの時計、メイベリンといった名前の羅列が日常へと続く道筋を作り上げこれでもかと心をくすぐり続ける(思い出と結びつくモノ。消費主義の現実のなかで、しかし我々はモノに愛を感じて生きてもいる)。この曲もそうだが “On A Grassy Knoll (We'll Be Together)” や “Swallow”、“Mountain Song” などの楽曲でドラムマシンと組み合わせていることもこの不思議な旅の奇妙な感触を強めているのかもしれない。柔らかく丁寧に積み重ねられる繰り返しのフレーズとコーラス・ワーク、そしてわずかな異物感がこの旅を味わい深いものにしているのだ。

 このアルバムをプロデュースしたのがハニーグレイズの Yuri Shibuichi であるというのもまた注目すべき点だろう。彼は高い関心を集めている新人バンド、メアリー・イン・ザ・ジャンクヤードの曲のプロデュースもしておりバンド活動のみならずプロデューサーとしても今後ロンドンのインディ・シーンで存在感を放っていくようなそんな気配が感じられる(ロイル・オーティスや Vijin などダン・キャリー関連のアーティストのレコーディング時に呼ばれ、しばしばドラムを叩いているということもこうした活動と無関係ではないだろう)。本作でもジャケットに描かれている広がる草原のような音象を作り上げ、手作り感を残したままに、この絵本のような不可思議な世界の広がりを表現するのに大きな役割を果たしている。

 あぁそれにしてもこのアルバムに聞いたときにやってくる感情はなんなのだろう。聞くたびに胸が締めつけられるようなノスタルジー、ジワジワと湧き上がってくるような愛おしさ、ちょっと哀しくだけども優しく包み込むように音楽が鳴り響いていく。現実から引き継がれた寓話の世界のフォークロアのようなおとぎ話のなかにあるリアル、優しい色使いの世界の中でテイパー!は日常に接続する感情を描いているように僕には思える。音楽だけにはとどまらないというこのプロジェクトがこの先どんな風に変化していくのか楽しみで仕方がない。

Terrace Martin's Gray Area - ele-king

 昨年は新作『Fine Tune』をリリース、来日公演もおこなわれたLAのマルチ奏者テラス・マーティン。彼が率いるバンドがグレイ・エリアだ。そのライヴ・アルバムが3月6日にリリースされる(LPは6月5日)。収録されるのは2020年に配信限定で披露された音源で、なんとカマシ・ワシントンがゲスト参加している。ジャズのライヴの魅力が詰まった1枚、チェックしておきましょう。

テラス・マーティン率いるバンド、グレイ・エリアが2020年に行ったライヴの模様を収録した配信限定ライヴ・アルバムが待望のフィジカル・リリース! ケンドリック・ラマーの名曲“For Free?”の超熱演ジャズ・カヴァーや、カマシ・ワシントンがゲスト参加した20分越えの絶品ジャム・セッションなど、現行ジャズにおける最高峰のライヴ・パフォーマンスがここに!

ロバート・グラスパーとのR+R=Nowや、同じくグラスパーに、カマシ・ワシントン、ナインス・ワンダーまで擁するディナー・パーティーと、数々のプロジェクトで現代ジャズの推進に余念がないテラス・マーティンが、自らのバンドとして結成した「グレイ・エリア」。そのバンドのお披露目として、2020年にJammcard主催のイヴェント「JammJam」で行ったライヴ・パフォーマンスの模様を収録した配信限定のライヴ・アルバム『Live at the JammJam』が遂にCD、レコードでリリース!!!

テラス・マーティンをリーダーに、ケンドリック・スコットやカマシ・ワシントンの作品で重宝され、自らリーダー作もリリースしている若手最重要ベーシストのジョシュア・クランブリー、ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディによるポップ・ユニット:ノウアーのバンド・メンバーでもあるキーボーディストのポール・コーニッシュ、そしてあのサンダーキャットの兄であり、プリンスやカマシのドラマーとして腕を振るってきたロナルド・ブルーナー・JRというジャズ界のキーマンが勢ぞろいしたバンド、グレイ・エリア。

その気になるライヴの内容は?と言うと、2分ほどのイントロを終えた後に突如として始まる“For Free?”で一気に爆発。曲名通り、テラス・マーティン本人がプロデュースしたケンドリック・ラマーの傑作『To Pimp a Butterfly』に収録された名曲“For Free?”のジャズ・カヴァーで、8分を超える超熱演を披露。キーボードのソロ・プレイを前面に押し出した甘味の強いバラード“Great Is Thy Faithfulness”を間に挟みつつ、テラスの盟友、カマシ・ワシントンがゲストとして参加した“Juno”、“Stop Trippin’”の二曲では、なんとどちらも20分近くにも及ぶ白熱のジャム・セッションを繰り広げる。これぞまさにジャズのライヴの魅力が120%パッケージされた極上のライヴ・アルバム!

「Juno feat.Kamasi Washington」(ライヴ映像)
https://youtu.be/ZWQ3ANEjTsQ

【Pre-order】
https://p-vine.lnk.to/ghXOiwjl

【リリース詳細】
アーティスト:TERRACE MARTIN'S GRAY AREA / テラス・マーティンズ・グレイ・エリア
タイトル:Live At The JammJam / ライヴ・アット・ザ・ジャムジャム
フォーマット:CD/LP
発売日:CD 2024.3.6 / LP 2024.6.5
品番:CD PCD-25383 / LP PLP-7404/5
定価:CD ¥2,750(税抜¥2,500) / LP ¥6,600(税抜¥6,000)
レーベル:P-VINE
*日本語解説付

【Track List】
1.Intro
2.For Free?
3.Great Is Thy Faithfulness
4.Juno
5.Stop Trippin

【Gray Area】
Terrace Martin - saxophone
Ronald Bruner Jr. - drums
Paul Cornish - keys
Joshua Crumbly - upright bass

Featuring:
Kamasi Washington - saxophone
Ben Wendel - Alto Saxophone
Maurice Brown – Trumpet

【Official】
https://twitter.com/terracemartin
https://www.instagram.com/terracemartin

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