「K A R Y Y N」と一致するもの

YMO、プログレッシヴ・ロック、テクノ、ニューウェイヴ……
いま初めて明かされる、ゲーム音楽の知られざる背景

「この国が生んだもっともオリジナルで、もっとも世界的影響力のある音楽」とまでいわれる日本のゲーム音楽。
はたしてそれはいったいどのようなバックグラウンドから登場してきたのか?
数々の名曲・名作を生み出してきた作曲家たちは何を聴いて育ってきたのか?

プロのコンポーザーたちのリスナーとしての遍歴を掘り下げることで浮かび上がる、ゲーム音楽の源泉──

田中宏和/Hiro/古代祐三/細江慎治/小倉久佳音画制作所/TAMAYO/下村陽子/並木学/菊田裕樹/山岡晃/大山曜/岡素世/川田宏行/杉山圭一/竹ノ内裕治(TECHNOuchi)/中潟憲雄/山根ミチル/渡辺邦孝

四六判ソフトカバー/304頁

目次

序文 ゲーム音楽という名の群像劇 (田中 “hally” 治久)

第一部

Hiro×細江慎治 ゲーム音楽における「フュージョン感」の正体
中潟憲雄×大山曜×渡辺邦孝 プログレッシヴ・ロックは不治の病──世代を超えて伝わるその魅力
並木学×竹ノ内裕治(TECHNOuchi) 90年代、どうしようもなくテクノに魅せられた日々
山岡晃×杉山圭一 ニューウェイヴ、それははかないもの、それは人を驚かせるもの
下村陽子×山根ミチル クラシック育ちだからこその感性──演奏の挫折から作曲家の道へ

第二部

田中宏和 レゲエ・バンドの経験が「ポケットモンスター」の音楽を作るうえでも役立ちました
小倉久佳音画制作所 「筒美京平になりたい」と思っていました
川田宏行 ロック、ラウンジ、ブラック・ミュージックが大きな柱
TAMAYO YMO関連は片っ端から、コラボとか演奏参加とかそういうものも全部
岡素世 原体験はクラシカル、YMOとクイーンの青春からアシッド・ジャズ~トリップホップへ
古代祐三 YMOとアイアン・メイデンにハマり、LAでニュー・ジャック・スウィング~ヒップハウスを知る
菊田裕樹 広く浅く、70年代がまるごとひとつの体験

あとがき (糸田屯)

【著者プロフィール】
田中 “hally” 治久 (たなか・はりー・はるひさ)
ゲーム史/ゲーム音楽史研究家。2001年にライター活動を開始し、ゲーム音楽のルーツ研究に先鞭をつける。またチップチューンという言葉と概念を日本にもたらし、それを専門とする作編曲家としても活動する。主著/監修に『チップチューンのすべて』『ゲーム音楽ディスクガイド』『インディ・ゲーム名作選』『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド』など。

糸田屯 (いとだ・とん)
ライター/ゲーム音楽ディガー。物心がついたときからゲーム音楽とプログレッシヴ・ロックに魅了され、digにいそしむ日々を送る。『ゲーム音楽ディスクガイド』『新蒸気波要点ガイド ヴェイパーウェイヴ・アーカイブス2009-2019』『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』などに執筆参加。

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ニッポン人のブルース受容史 - ele-king

皆がブルースに熱くなった――。

1960年代から70年代にかけて、まだアメリカは遠く、レコードを一枚手に入れるのにも時間と手間をかけなければならなかった頃、ロック熱の高まりとともに、日本の音楽ファンの間で急激に注目されたブルース。

まだ情報も少ない手探り状態の中、ブルースに取り憑かれた者たちは、この底知れぬ音楽とどう向き合ってきたのか。

当時の雑誌記事、アルバム評、来日公演リポート、現地取材、日本人によるブルースなど、いくつもの視点、未公開写真を含む豊富な図版、読み応えあるテキストで、日本でブルースがどう受け入れられてきたかを伝える史上初の試み!

寄稿者:吾妻光良、鈴木啓志、永井ホトケ隆、ほか

B5判ソフトカバー/368頁/カラーページ多数

Contents

Intro ブルースがはるばるやってきた

chapter I 1960's
chapter II 1970-73
chapter III 1974-76
chapter IV 1977-80
chapter V ブルースああでもないこうでもない
chapter VI ブルース・ライヴの衝撃
chapter VII 日本人ブルースの夜明け
chapter VIII そっと部屋にしのびこむブルース
chapter IX ブルースたった今

Outro Final Moanin’─謝辞

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LEX - ele-king

 それは2017年の3月。まだ14歳だった。初めて世に発表した曲は “こっち見ろ!(Look At Me!)” のリミックス。ダブステップの重要人物、マーラディジタル・ミスティックズ)を大胆にサンプルしたXXXテンタシオン2015年の同曲が、ショウビズ的なレヴェルで大きな注目を集めることになったのが2017年の2月ころ。なのですぐさま反応していることになる。早い。二重の意味で。
 湘南出身のラッパー、LEXはその後自殺未遂を経て死ねなかったことに意味を見出し、本格的に音楽の道を進むことになる。サウンド的にはトラップやイーモ・ラップ以降の感覚をポップに表現、4つ打ちやロックの技法も貪欲にとりいれてきた。精神的不安定、そこから逃れるためのドラッグ、あるいはスマホ、インスタにTikTok──リリックには洋の東西を問わず2010年代を支配することになった鍵概念が散りばめられ、結果、彼は多くのティーンから絶大な支持を獲得。当人もまた10代の代弁者であることを意識していたという。

 他方で彼は同世代のリスナーたちに「べつの見方」を提供することにも心を砕いてきた。2019年4月にリリースされたファースト・アルバム『LEX DAY GAMES 4』のコンセプトは、SNSにとらわれていたり、現実よりもゲームのほうがリアルに感じられたりする状況からティーンたちを解き放つというもので、冒頭 “STREET FIGHTER 888” ではレトロなピコピコ音が鳴り響いている。90年代までのVGMを特徴づけるチップ・サウンドは、以降もときどき彼の曲に顔をのぞかせることになるギミックだ。
 市販薬によるオーヴァードースかヴィデオ・ゲームか──。トー横キッズじゃないけれど、逃走の選択肢が少ないティーンたちの代表たりえているラッパーは、もしかしたら彼以外にもいるのかもしれない。カネを稼ぐことへの執着や「勝つ」という強迫観念、それらヒップホップ/ラップ・ミュージックの世界における定型を活用する一方で、LEXは同業者にはなかなかやれないことをやってのけてもいる。たとえば耳による意味把握が困難なことばたちが走り抜けていく “GUESS WHAT?” (セカンド『!!!』収録)のMV。そこではいまは亡き安倍元首相による国会答弁の様子がブラウン管=旧時代を象徴する機器に映し出され、それをつまらなさそうに眺めるキャラクターたちが配置されていた。政権への違和の表明だ。

 決定的だったのはおよそ1年前、2022年の1月にドロップされた “Japan” だろう。明らかにニルヴァーナを模したサウンドをバックに、やや抽象的な音声が「若者金ない 大人も病んでいる/なのにこの国はシカトをかます/大胆な演説をカマして何度も嘘をつく」と臆することなく歌いあげている。ブリテン島であればこれくらいは「普通」の範疇に含まれるのかもしれない。けれどもここは日本。名指しで国家を批判する19歳の表現に、拍手を送らないわけにはいかない。
 さらに重要なことに彼は、「オトナ=既得権益をむさぼる老害」というありがちな単純化にも与していない。「政府の意見にうんざりするよ/俺達に優しいフリをするのに/働き詰めの若者 老後に困る老人」──高齢者の「集団自決」を推奨する30代後半の御用学者とはえらいちがいで、豊かな共感力と想像力を持ちあわせているからこそ出てくるリリックだ。10代から圧倒的に支持されているファッション・アイコンであり、人気曲 “なんでも言っちゃって” (プロデューサーはKM)のようにご機嫌な曲を書くことのできるラッパーが、他方でこういうシリアスなテーマにも果敢にチャレンジしていることの意義は、「若者の政治離れ」などという惹句がまかりとおる時代・地域にあって、はかりしれない。

 今年1月にリリースされた5枚めのアルバム『King Of Everything』には、しかし、“Japan” は収録されなかった。テーマが異なるということなのだろう。シンプルなギター・ポップ調の “大金持ちのあなたと貧乏な私” のように、置かれた環境や身分のちがいを描写することで格差社会を喚起させる曲もあるにはある。だがこれまで以上にポップさを増した新作は、全体的に、「思春期」の総括のような様相を呈している。昨年20歳を迎えたことが影響しているのかもしれない。
 序盤は「強い自分」を誇示するタイプの曲が目立つが、後半ではよりセンシティヴな感情に光が当てられている。LEXの武器のひとつである、微細に震えるヴォ―カリゼイション。それがいかんなく発揮された “This is me” ではリスナーの承認欲求を受け止め、苦しみに寄り添ってみせる。ドラッグ依存を描写する “If You Forget Me” とセットで聴くと、なぜ彼がティーンから熱烈に支持されているのか、その理由が見えてくるような気がする。アガったり落ちたり、攻撃的になったり優しくなったり、小さな成功を収めたり大きな失敗を繰り返したり、もう四方八方ぐしゃぐしゃで、なにをどうしたらいいのかわからない──だれもが10代に経験しやがて卒業していくことになる苦悶を、等身大で表現してみせること。
 その総決算が THE BLUE HEARTS “歩く花” の本歌取たる最終曲なのだろう。「自分の色も分からない」「窮屈な檻」に閉じこめられている主人公は、「どなたか僕を刺してください」と声を絞り出す。思い浮かべるのはカート・コベインの「俺は俺を憎んでる、死にたい(I Hate Myself and Want to Die)」だ。若さの特権ともいえる過剰な自意識を、みごとにとらえたフレーズといえる。
 このアルバムはきっと、ある種の成長痛の記録なのだと思う。主人公とともにLEXはいま、オトナの世界に足を踏み入れようとしている。「自分」ではなく社会へと目を向けた “Japan” はその前哨戦であると同時に、これから進む先を指し示す道標だったのではないか。だからこそ収録されなかったのではないか。

 まもなくLEXは21歳を迎える。それはすなわち彼が今後、20歳で銃殺されてしまったテンタシオンがけっして歩むことのかなわなかった道を踏破していくことを意味する。現時点でこれほどの共感力・想像力を持つアーティストだ。20代、30代、40代、50代、60代……歳を重ねるごとにその表現には磨きがかかっていくにちがいない。

東京銭湯サウナガイド - ele-king

銭湯サウナの気楽なたのしみ

様々な設備を搭載した高級サウナや大自然の中のテントサウナなど、豪華な施設の開店も相次ぎますますとどまることを知らないサウナの大ブーム

しかし一方で忘れられないのが、生活空間と密着した「銭湯」のサウナです。

昭和の薫りを残す老舗から、リニューアルで新たな魅力を備えた新世代銭湯まで、サウナー視点でのおすすめ銭湯を徹底紹介!

銭湯ファンから熱い注目を浴びるデザイナー銭湯の先駆者、今井健太郎インタヴューも掲載!

目次

今井健太郎 インタヴュー
路線別おすすめ銭湯30選 31
サウナ女子(サ女子)が女性にオススメする銭湯10選
都内銭湯サウナリスト

※東京都の銭湯(公衆浴場)の入浴料は2023年3月現在、500円となっています。
 本書に記載されている「サウナ料金」は、サウナ利用に際して入浴料以外に追加で支払う料金を示します。
 その他、本書に記載の情報は基本的に2023年3月現在のものです。

●執筆者プロフィール

大木浩一
1972年生まれ。子供の頃から銭湯が好きで、数年前サウナの魅力に気付くも、スピリチュアルな方面は若干苦手な永遠のサウナ初心者。サ室のテレビでやっててうれしいのは大相撲か『秘密のケンミンSHOW』。好きな水風呂の温度は16度。

サウナーヨモギダ
北海道旭川市出身。サウナに救われたのをきっかけにサウナの普及活動を始める。サウナに関する執筆、講演、コンサルタント、イベントの主催、メディア出演などを主に行っている。著書に『熱波師の仕事の流儀』(ぱる出版)。

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Dirty Projectors + Björk - ele-king

 00年代ブルックリンを代表するバンド=ダーティ・プロジェクターズと、ビョークによるコラボEP「Mount Wittenberg Orca」が13年の時を経て蘇ることとなった。DPにとっては代表作『Bitte Orca』(2009)を出したころで、ノりにノっている時期。ビョークにとっては『Volta』(2007)と『Biophilia』(2011)のあいだのタイミングに当たる。巧みなコーラス・ワークを聴かせるDPとビョークの特異なヴォーカルがみごとに融合したポップかつ実験的な名作だが、新装版にはなんと20曲もの未発表音源が追加されるという。あの美しいハーモニーをもう一度、新しいかたちで楽しみたい。

Dirty Projectors + Bjork

ダーティー・プロジェクターズとビョークによる奇跡のコラボレーション作品が20曲の貴重な初出し音源を追加収録して新装盤『Mount Wittenberg Orca (Expanded Edition)』として4月28日にリリース決定!

09年4月にデイヴ・ロングストレス率いるダーティー・プロジェクターズとビョークがニューヨークで行ったチャリティ・コンサート用に書き下ろした7曲をスタジオ・ヴァージョンとして収録した奇跡のコラボレーション作品『Mount Wittenberg Orca』。2020年にデジタル配信され、2011年に〈Domino〉によってCD化された本作が、4月22日のレコード・ストア・デイに合わせて初LP化! また4月28日には日本限定で新装盤CDのリリースも決定! 新装盤には、20曲の貴重な初出し音源が追加収録される。

Dirty Projectors + Bjork - On and Ever Onward
https://youtu.be/qfLXxrJ0cZU

両者の交流は、2008年に発表されたビョークの2ndアルバム『ポスト』のトリビュート・アルバム『Enjoyed: A Tribute to Bjork's Post』にダーティー・プロジェクターズが参加し、ビョークがダーティー・プロジェクターズのヴォーカル・アレンジを気にいったことから始まったという。

オリジナル盤は、デイヴ・ロングストレスとビョークが、1500年代にオペラが生まれたイタリアの小劇場について話したことをきっかけに、マンハッタンの小さな書店「ハウジング・ワークス」にて、アンプなしでパフォーマンスをするために書き下ろされた7曲が収録されている。ドラムやギターは一切使用されず、ほとんど声だけで構成された本作は、どこか童話のようでもあり、不可思議な未来から届いた合唱曲のようでもある魅惑的な楽曲集であり、ダーティー・プロジェクターズのディスコグラフィーの中でも異彩を放つ名盤であると同時に、音楽家ビョークの底知れる才能を理解する上でも重要な作品と言える。ビョークの力強い歌声、デイヴ・ロングストレスのしゃがれたリード・ヴォーカル、ダーティー・プロジェクターズのメンバー、アンバー・コフマンとエンジェル・デラドゥーリアン、ヘイリー・デクルのコーラスが、驚くべきハーモニーを生み出している。3日間のリハーサルを経て、まるで50年代初期のロックンロールのようなシンプルかつダイレクトな形で録音され、オーバーダブはリードヴォーカルのみという特殊な制作方法も、本作に特別な魅力を加えている。

日本限定の新装盤CDには、オリジナルのスタジオ音源7曲に加え、2009年に「ハウジング・ワークス」にて披露された実際のライブ音源や、デモ音源、リハーサル音源などの全て初だしとなる未発表音源20曲を加えた全27曲収録の超豪華盤となる。今回の新装盤CDには、歌詞対訳と解説書が封入され、本作の魅力を最大限楽しめる内容となっている。

label: Domino
artist: Dirty Projectors + Bjork
title: Mount Wittenberg Orca (Expanded Edition)
国内盤CD release: 2023.04.28
輸入盤LP release: 2023.04.22 (RSD商品)

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13297

tracklist:
国内盤CD
01. Ocean
02. On And Ever Onward
03. When The World Comes To An End
04. Beautiful Mother
05. Sharing Orb
06. No Embrace
07. All We Are
08. Intro (Live from Housing Works, 2009)
09. Ocean (Live from Housing Works, 2009)
10. On and Ever Onward (Live from Housing Works, 2009)
11. When The World Comes To An End (Live from Housing Works, 2009)
12. Beautiful Mother (Live from Housing Works, 2009)
13. Sharing Orb (Live from Housing Works, 2009)
14. No Embrace (Live from Housing Works, 2009)
15. All We Are (Live from Housing Works, 2009)
16. Wave Invocation (Inverness Demo I)
17. Motherwhale Song (Inverness Demo II)
18. Whale Watcher Song (Inverness Demo III)
19. Fugal Swim (Inverness Demo IV)
20. First Duet (Inverness Demo V)
21. Migration (Unfinished Inverness Demo)
22. Jubilation (Inverness Demo VI)
23. Benediction (Inverness Demo VII)
24. When the World Comes To An End (Freewrite)
25. When the World Comes To An End (Vocalise Rehearsal Rough)
26. Beautiful Mother (Vocalise Rehearsal Rough)
27. On and Ever Onward (Full Rehearsal Rough)

The Earth as Your Co-writer - ele-king

 昨秋リリースされた最新作『FOREVERANDEVERNOMORE』(最近そのインスト版『FOREVER VOICELESS』も発売)がそうだったように、近年のブライアン・イーノの最大の関心事は気候変動~環境問題にある。なにか音楽家たちがこの問題とうまく向き合う方法はないものか……気候問題にとりくんでいる組織を、音楽産業が支援できるようにするための慈善団体「EarthPercent」の設立はその第一歩だったわけだが、準備が整ったのだろう、いよいよ本格的に動き出したようだ。
 それは、楽曲のクレジットに「地球」を加えること──。シンプルながら興味深い実験だろう。著作権のロイヤリティの一部を環境問題にとりくむアクティヴィズムに活かすためのアイディアで、ソングライターとして「地球」を記載すると印税の1パーセント以上が「EarthPercent」に渡る、という仕組み。ようは音楽から得られる利益を、自然を回復させたり政策を変えさせたりするための資金に転用しましょう、という着想である。目標は、2030年までに1億ドル調達すること。
 すでにジェイコブ・コリア―、元ヴァンパイア・ウィークエンドロスタムマウント・キンビーといったミュージシャンたちがこの活動に参加しており、今後クレジットに「地球」を加えていくという。

 なお〈EarthPercent〉からは2月に、イーノとホット・チップ、ゴッデス(サヴェージズのフェイ・ミルトン)によるコラボ・シングル “Line In The Sand” が、植物由来のバイオプラスティックでつくられたレコードでリリースされているのだが、今回の発表とほぼおなじタイミングでその収録曲2曲がストリーミングでも解禁されている。試聴・購入はこちらから。

VANHOLDER - ele-king

 ところで皆さん、LPに付属の7インチってどう保存してますか? LP+7インチ盤の有名どころだと、スティーヴィー・ワンダーの『Songs In The Key Of Life』だったり、サディスティック・ミカ・バンドのファーストだったり。そのままスリーヴに入れていると、いつのまにか紛失してしまっている……そんな事情があるからでしょう、中古市場でも付属の7インチを完備しているLPは少なく、完品は高額なことが多いですね。
 というわけで朗報。VINYL GOES AROUNDチームが画期的な発明を成し遂げました。といっても複雑なものではありません。12インチ・サイズのボードに、7インチのジャケをパコッとハメる、ちょっとした気の利いたアイテムです。名づけて「ヴァンホルダー(VANHOLDER)」(盤をホールドすることから命名)。ヴァンホルダーに固定された7インチはLPのジャケット内で無駄に動いたり、飛び出したりしないので紛失を防止できます。およそ70年にもおよぶLPと7インチの歴史において、なぜこれまでだれも思いつかなかったのか……。これはLPとセットでなくとも7インチ単独の保管にも適しており、ヴァンホルダーにハメればLPの棚にもそのまま収納できるので、単品での販売も予定しているとか。
 これであなたのレコード・コレクティング・ライフの質は格段に向上するでしょう。詳しくは下記動画やリンク先をご覧ください。

株式会社Pヴァインは、アナログ・レコードに関する特許権を取得しました。ヴァンホルダー(VANHOLDER)は、7インチのジャケットを12インチ・サイズに変えるアイテムです。

Pヴァインは2022年12月にアナログ・レコードのパッケージに関わる特許権を取得しました。

本特許は、レコードパッケージにおいて独自の技術を開発したものです。
LPサイズのジャケット内に収まりが悪かった7インチ・シングルやCDがスマートに収納できるプロダクトを作りました。

これは12インチディスクと7インチディスク(または10インチディスク及びCDも含む)をひとつのフォーマットにできるLPの付属具で、専用のボードに7インチディスク(または10インチディスク及びCD)を固定し、12インチディスクのジャケットに収納が可能になります。これによりジャケット内での揺れや、外への飛び出しを防ぐことができます。

特許番号:第7199767号
発明の名称:レコード支持板、レコードジャケット、及びレコード製品
商品名:ヴァンホルダー(VANHOLDER)
特許取得日:2022年12月23日(金)
材質:インバーコート紙 0.6mm(印刷可能)
使用開始日:2023年1月18日(水)
カテゴリ:レコードジャケット、及びレコード製品

詳細はこちらのURLをご参照ください:https://vga.p-vine.jp/vanholder/

https://youtu.be/mn-MUFujy84

※ヴァンホルダーは10インチ・レコードやCDなどにも対応可能です。
その他、製造の事など詳しくは下記までお問い合わせください。
お問合せ先:株式会社Pヴァイン TEL: 03-5784-1250 FAX: 03-5784-1251 vinylgoesaround@p-vine.jp 担当: 山崎

WE LOVE Hair Stylistics - ele-king

 現在、糖尿病の合併症などのため入院中の中原昌也。彼を支援すべく、コンピレーション企画が始動している。『WE LOVE Hair Stylistics!』と題されたそれには当初17組が参加、配信にて去る3月3日リリースされているのだが、面子がとんでもないことになっている。食品まつり、工藤冬里、石橋英子ジム・オルーク、山本逹久、渡邊琢磨、TORSO、坂本慎太郎石原洋井手健介に2MUCH CREWに……バンドキャンプをチェックすると、さらにコーネリアスやDMBQも加わっていて、中原の存在の大きさを痛感させられます。
 また、これまでも中原作品を販売してきた高円寺のオルタナティヴなレコード店LOS APSON?では、「爆買いフェア」と題し、レアな音源がついてくるキャンペーンも実施。ぜひとも足を運びましょう。

https://savenakahara.bandcamp.com/album/we-love-hair-stylistics

緊急入院中の中原昌也を支援するプロジェクトに豪華17組のアーティストが参加
コンピレーションアルバム「WE LOVE Hair Stylistics!」
3月3日(金)17:00 より配信開始!
レコードショップLOS APSON?での爆買いフェアも決定!

糖尿病による合併症等で現在緊急入院中の中原昌也を支援するプロジェクトとして、コンピレーションアルバム「WE LOVE Hair Stylistics!」の配信が決定。併せて、本プロジェクトに参加している豪華17組のアーティストが明らかとなりました。また、東京・高円寺のレコードショップ LOS APSON?では「第二回ヘア・スタイリスティックス爆買いフェア!!!」の開催が決定。


コンピレーションアルバム「WE LOVE Hair Stylistics」
作家・映画評論家、そして「Hair Stylistics」名義でミュージシャンとしても活動する中原昌也の緊急入院に伴い、支援プロジェクトとしてコンピレーションアルバムの配信企画が始動。
全17組のアーティストによる18曲が収録されており、今後音源が追加される場合は公式ツイッター(https://twitter.com/savemasaya1?s=20)にて随時告知が行われます。

bandcamp URL:
https://savenakahara.bandcamp.com/album/we-love-hair-stylistics

参加アーティスト一覧 *敬称略/50音順
A Virgin
石橋英子
石原洋
井手健介
Queer Nations
工藤冬里
コサカイフミオ
坂本慎太郎
ジム・オルーク
食品まつりa.k.a foodman
T.Mikawa
Texaco Leather Man
DerekGedaleciaToriKudoRichHoush
2MUCH CREW
TORSO
山本逹久
渡邊琢磨

第二回ヘア・スタイリスティックス爆買いフェア!!!
Hair Stylisticsの自主制作CD-Rシリーズを応援している、東京・高円寺のレコードショップLOS APSON?。「第二回ヘア・スタイリスティックス爆買いフェア!!!」では、自主制作CD-Rシリーズを3枚買うとVIOLENT ONSEN GEISHAのレアカセット「SUPER SLY」のCD-R復刻版を特典としてプレゼント! 激しい絶叫も記録されているほか、コラージュやテープ回転変調&逆回転の源流も感じられる貴重な内容で、中原昌也の音楽活動をこれまでのファンのみならず新たなリスナーへと届ける試みとなっています。また、5枚購入者には前回のフェア開催時(https://www.losapson.net/blog/index.php?e=1088)も好評を博した中原昌也の初期ワークス重要作、VIOLENT ONSEN GEISHA「SHOCKING EARLY WORKS 83-85」のCD-Rもプレゼント!
本企画とは別途、中原昌也によるオリジナルアート原画やBandcampのみで販売する支援アイテムで入院費用等への支援も行う予定です。

LOS APSON?
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4丁3‐2 三光ビル1F

逆転のトライアングル - ele-king

 いま流行っているのはシチュエーション・コメディである。それも、富裕層の人間たちがある場所に集まり、酷い目に遭ったのちに醜態を晒すものがやたらに多い。最大の成功例はジェシー・アームストロング制作のHBOのテレビシリーズ『SUCCESSION』(邦題はいろいろ変わったのちに現在は『メディア王~華麗なる一族~』)で、これはメディア・コングロマリットを牛耳る一族の家族間の争いをシェイクスピア劇とコメディを合体させつつ風刺するものだが、その後コメディ性を高めつつより戯画的なものが増えている。リゾートに集った富裕層たちがみっともない争いを繰り広げる様を笑うマイク・ホワイト制作のテレビシリーズ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート・ホテル』、あるレストランに集まった富裕層たちが狂ったシェフに復讐される様を笑うマーク・マイロッド監督作『ザ・メニュー』、プライヴェート・パーティに集まった富裕層たちが殺人事件で右往左往する様を笑うライアン・ジョンソン監督作『ナイブスアウト:グラスオニオン』。もちろんそれぞれでテイストや作劇は異なるが、要約すれば、「富裕層たちを笑う」、である。娯楽やアートは社会を映す窓でもある。これだけ格差が酷いことになってしまうと、とにかく富裕層が酷い目に遭う様を笑いたい……という欲望が世のなかに渦巻いていても仕方ない。
 そしてスウェーデンのリューベン・オストルンドは、なかでももっとも戯画的なコメディを発表してカンヌ映画祭のパルムドールを2作連続で獲ってしまった。ただしその映画、『逆転のトライアングル』が風刺しているのは富裕層たち以上に現代の資本主義社会が生み出す格差の構造そのものである。

 前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』がアート界を描いていたのに対し、本作でファッション界を取り上げているのは業界で仕事をしているパートナーから聞いた話にインスパイアされたからだという。いわく、男性モデルは一般的に女性モデルの3分の1しか稼ぐことができず、業界で力を持つゲイ男性たちからの誘いを断るのに苦労しているとのことで、つまり男性中心の社会で女性が置かれている立場を若い男性たちが経験している世界なのだ、と。これは僕がゲイだから書きやすいことなのかもしれないが、正直に言って思い当たることもある。要は、権力を持つ者と搾取される者が変わっても、誰かが誰かを搾取する構造自体は保持されると……それがまず、この映画の入口である。
 映画は3パートに分かれており、そういうわけで若くて綺麗な男性モデルが辛酸を舐める様がパート1では面白おかしく映される。バレンシアガの広告では偉そうに、H&Mの広告では媚を売った笑顔を……とオネエ感バリバリのディレクターに指導されるのは露骨過ぎて僕は笑えなかったが、ファッション界における「気候変動を止めよう」「すべての人種は平等」といったウォークなメッセージの空々しさをからかいたくなるのは、まあわかる。そんな空虚な業界に振り回されているモデルのカールは、自分より稼いでいるモデルでインフルエンサーのヤヤと高級レストランに行ってもどちらが支払いをするかで揉めてしまう……彼は世間的には「若くて見た目のいい白人男性」だが、様々な意味で権力を持てずにくすぶっている人物なのだ。
 パート2ではそんなカールとヤヤが(彼女のコネで無料で)金持ちばかりが乗る高級クルーズで過ごす様子が描かれるが、このパートがもっともシチュエーション・コメディ的だ。そこにはロシアの財閥オリガルヒ、イギリスの武器商人など世界的な富裕層が集まっており、スタッフたちは彼らの傲慢な要求にも笑顔で答えてみせる。だが様々な偶然が重なることで、金持ちたちは嵐のなかで痛んだディナーを食べることになり、嘔吐と下痢に襲われることになる。みんな、金持ちがゲロとクソまみれになるところが見たいだろう? とまあ、そんな身も蓋もなさで突っ切るのがこの映画のパワフルなところではある。
 だが自分はそこよりも、ウディ・ハレルソン演じる酔っぱらいの船長のキャラクターに笑わされてしまった。彼はマルクス主義者という設定で、金持ちや資本主義社会の構造自体を憎んでいるが、豪華客船で働くなかで正気を失ってしまっている。そのハチャメチャな振る舞いは、ヴェテラン俳優の達者ぶりを遺憾なく発揮させていて可笑しい。が、この現代社会でマルクス主義者は狂ってしまうしかないと言われているようで、僕は笑いながら泣きそうになった。インタヴューによればオストルンド監督の母親は共産主義者であるそうで、それは何やら奥ゆきのあるエピソードだが、少なくとも本作で監督は現代の左翼の行き場のなさをあっさりと差し出している。そして、この世で最後のマルキシストとばかりに船長は嵐の船で狂った演説をぶちかますが、そんなものは当然、金持ちたちの心に届くことはない……(彼がパート3でどうなっているかも皮肉めいた展開である)。
 そしてパート3、めでたく(?)金持ちたちを乗せた船は沈み一部の乗客やスタッフたちは無人島へ流れ着くが、サヴァイヴァル能力のない金持ちたちの代わりに船の清掃スタッフだったアビゲイルが力を持つようになっていく。カールはここでも権力を得ることができない。

(ここからパート3の展開にやや触れるのでお気をつけください)
 無人島という金銭が価値を持たない場所においても別の経済が発生し、権力構造は保持される。オストルンドがそう示したいのはわかる。わかるがしかし、アビゲイルがここでエッセンシャル・ワーカーを象徴するキャラクターを負わされていることを考えると、彼女が権力を得たとたん圧政を敷く様に自分は少し引っかかった。富裕層とエッセンシャル・ワーカーでは、これまで置かれてきた環境や得てきた経験がまるで違うものなのではないか? それを同質のものとして捉えていいのだろうか、と。『ザ・スクエア』にはヨーロッパの知的階層におけるエリート主義めいた態度への自己批判が強くあったし、愚かさも含め人間味のようなものがもう少しあったと思う。本作は冷笑的であることを自己目的化しすぎているきらいがある。
 だが逆に言えば、それくらいの絶望を反映させたコメディということなのだろう。権力を持つと誰もが、誰かを搾取する構図に取りこまれてしまう、という。そこに誰がいるかは重要ではなく、構造だけが強化されていく資本主義と格差社会。映画を観終わった僕はすっかりうなだれてしまって、街じゅうの広告を恨めしく思った。本作の原題は「Triangle of Sadness」で、ファッション業界などで使われる眉間の場所を示す言葉らしい――「悲しみの三角形」。含みのあるタイトルである。そして、無人島だと思っていた場所が何だったのか……は、本作の最大の皮肉だ。これは、どこに行っても資本主義から逃れられない現代を生きるわたしたちの悲しみについての映画なのだ。

予告編

Alice Phoebe Lou - ele-king

 南アフリカ、ケープタウン出身のシンガー・ソングライター、アリス・フィービー・ルー。インディペンデントな精神を保ちながら成功しているミュージシャンの例として、彼女は稀有な存在のひとりだ。
 真冬にベルリンの路上で歌い、ヨーロッパ最大級のフェスティバル《PRIMAVERA》のメインステージでも演奏する。
 ワールドツアーの合間にベルリンの路上で歌う彼女は、自身の美学や信念に忠実であるがゆえに、誰かにとっては寄り添われているような感覚を与えるのかもしれない。

 そんな彼女の初来日は2018年。翌年にも《FUJI ROCK》などを含めた来日ツアーを果たしているが、この三年間はご多分に漏れずパンデミックの影響で来日が途絶えていた。
 満を辞して再来日を果たす彼女に、そのルーツやこれまでの経験、パンデミック中の心境や日本のミュージシャンに対する印象について聞いてみた。

■キャリアの原点として、ダンス、演劇、身体パフォーマンスなど、音楽以外の分野があるとお聞きしました。それらは現在あなたの中にどのように息づいていますか? また、表現方法として音楽に集中するきっかけは何だったのでしょう?

アリス:そうですね。小さな頃からダンスや演劇をしていたおかげで、自分の体をきちんと把握して、自信を持つことができています。それがいまのステージ上での身のこなしやパフォーマンスに確実に良い影響を与えていますね。そういう勉強をしていたおかげで、どうやったら観客の目を引くことができるのか、自分が作り出す世界にどう周りを引き込むかを学べたのも大きいです。  ダンスは表現方法として大好きでしたが、別のやり方がないかな、と考えているうちに、詩や音楽へ自然と移行したんだと思います。初めて路上で音楽を演奏したとき、これかも! と思ったので。

■故郷のケープタウンから1万km離れたベルリンで活動し、アフリカ、ヨーロッパはもちろん、北米、南米、アジア、オセアニアと世界中を移動しながらライヴをおこなってきたと思います。言葉の通じない場所での経験や「移動」はあなたに何をもたらしましたか?

アリス:19 歳のときにストリートミュージシャンを目指してベルリンに移って10年。いまでもときどき公園で演奏していますが、基本的には世界中を飛び回る生活です。こんな状況想像もしていなかったです。家から遠く離れた場所でミュージシャンとして活躍できるようになるなんて!  ベルリンは自己表現やアートが街中に溢れていて、そんな異文化の中に身を置くことはとても刺激的です。アーティストにとってチャンスのある世界に招かれたような気がして、本当に人生が変わりました。  世界中を旅しはじめてからは、異国の地で自分の曲を演奏し、その土地のローカル・ミュージックに触れ、世界のこと、自分のこと、そして次に作るべき曲のことを行く先々で学び続けています。  南アフリカにも年に1 回、2ヶ月くらい帰りますよ。実家からはいつもと違うインスピレーションを得られるので。家族、自然、ノスタルジー、そして「あの頃の私」とつながったり。

■ベルリンといえばダンス・ミュージックやクラブ・カルチャーが盛んです。キーボードの Ziv とのサイド・プロジェクト strongboi を含め、あなたの楽曲のなかにもダンサブルなものやサイケデリアを感じるものが散見されますが、シーンから受けた影響はありますか?

アリス:ベルリンに引っ越してきた当初は、ダンス・ミュージック文化やオルタナティヴ・シーンにとても興奮し、朝 6 時に起きてコーヒーを飲んで、ひとりでクラブに行ってひたすら踊っていました。夏の日差しのなか、外でおこなわれるオープンエアーのパーティーや、ストリート・パーティーと化したデモなど、そのワイルドな雰囲気が大好きです。そんな遊び方をしているうちに、70年代のディスコや音楽からインスパイアされた、オーガニックな楽器やテープ録音を使った、ダンサブルな音楽を作りたいと思うようになったんです。私のライヴでは、ソフトでフォーキーな瞬間もあれば、ワイルドに踊る瞬間もあります。それが自分でもとても楽しいんです。ベルリンの魅力は、年齢やバックグラウンドに関係なく何にでもなれて、何にでも挑戦できて、社会的な期待やプレッシャーからも解放されて、自分の好きなアーティストになれる、そして自分のためのシーンやオーディエンスを見つけられる、そんなところにあると思います。

■1300万回という驚異的な再生数になっている “She” は、ヘディ・ラマーの伝記映画の劇伴として使用され、アカデミー賞オリジナルソング部門ノミネートの最終選考まで残りました。あなたにとって映画とはどういう存在ですか? また、お気に入りの映画があったら教えてください。

アリス:この曲に対してこんなにも反応があるとは思ってもみませんでした! トライベッカ映画祭で上映されたときに、この映画の製作陣に会うことができて最高に楽しかったです! 私はもっと映画とコラボレーションしたいし、映画のためにもっと曲を書きたいと思っているので、早くまたそんな機会が巡ってくることを願っています。  好きな映画は本当にたくさんあります! でも、いまパッと思いつくのは、『ヴィクトリア』、『ムーンライズ・キングダム』、『ウエスト・サイド物語』(古い方)ですね。

■パンデミック中にリリースした楽曲は自分を見つめるような内省的な部分が感じとれました。坊主頭にしたりもしていましたが、コロナの期間はあなたにどのような心境の変化をもたらしましたか?

アリス:2019年のツアーでとても忙しい1年を過ごしたばかりのことだったのでその反動もあり、多くの人がそうであったように、私にとっても自分を見つめる時期でした。とても長いライターズ・ブロックを経験しながら、ベルリンでひとりで過ごして自分と向き合いました。とても大変な時期でした……! そんななかでもあるときから、音楽や詩が、湧き上がるすべての感情を導いてくれて、クリエイティヴィティを邪魔していた何かを打ち消してくれました。このプロセスを踏んだことで、率直で、余計なフィルターがかからない心からの曲を書くことができたんです。その後のパンデミックの期間は、作曲とレコーディングに集中することができたので、一気に2枚のアルバムを書いて、初めてのレコーディングスタジオを作りました。これがこの混乱した時期を過ごすのにぴったりでした!  じつは、頭を剃ったのはパンデミックの直前だったんです。個人的にいろいろなことがあったので、過去に別れを告げ、ありのままの自分を見て、新しくスタートするためのきっかけが必要だと思ったんです。頭を剃ったそのときは、私にとってとても美しい瞬間でした。

■以前の日本公演と同様に、今回も踊ってばかりの国やカネコアヤノと共演があります。彼らに感じるあなたとの共通点はありますか? また、他に気になっている日本のミュージシャンがいれば教えてください。

アリス:踊ってばかりの国もカネコアヤノのこともとっても愛してます。彼らが作る音楽も、個性的な人柄も大好きです。日本に来るたびに私が帰る場所になってくれる友だちがいると思うと、 最高な気分です。他に誰か挙げるとしたら、前回の来日で共演した青葉市子ですね。彼女も私の大好きな日本のソングライターのひとりです。

■昨年来日した Noah Georgeson や ボビー・オローサ らに、あなたと交流があるとお聞きしました。彼らとの関係はどういったものなのでしょう?

アリス:Noah Georgeson は素晴らしい友人であり、 プロデューサーです。私の2枚目のアルバム『Paper Castles』で一緒に仕事をして、カリフォルニアの美しいスタジオでレコーディングしました。彼は素晴らしい人で、彼がディヴェンドラ・バンハートの音楽にもたらすものがとても好きです。ボビーとは数年前にお互い出演していたドイツのフェスティヴァルで会ったんですけど、彼のパフォーマンスとバンドの音にすっかり感心してしまって、話しかけてみたら音楽をテープに録音するのが好きだという共通点で意気投合したんです。いつか彼とコラボレートしたいです。

■これまでの来日で印象に残ったこと、そして今回の日本ツアーで楽しみにしていることはありますか?

アリス:日本のお客さんも、この国の自然も大好きです。他に日本での楽しみはと言われたら、まずは食べ物ですね! ツアー・マネージャーの俊介は、毎回私たちを素敵な場所に連れていってくれて、新しい味覚を提供してくれるんです。あとは、また納豆を食べるのが楽しみ! それから、このツアーで新しい街を見られるのがとても楽しみだし、また鎌倉に行けるのもとても楽しみです。あとは、いつも暑い夏に日本に来ていたので、日本の春が見られるのを楽しみにしています。

■最後に、公演を楽しみにしている日本のファンへメッセージを。

アリス:4 年ぶりに日本に戻ることができるのでとても興奮しています! 進化したバンドとたくさんの愛を持って、新曲たちをみんなに披露しますね! See you soon !!


Alice Phoebe Lou来日公演情報

日程詳細は以下の通り

3/22 東京 渋谷WWWX (with 踊ってばかりの国)
3/23 大分 別府市コミュニティーセンター 芝居の湯
3/25 香川 高松市屋島山上交流拠点施設 やしまーる (ソロセット)
3/26 神奈川 鎌倉 浄智寺 (ソロセット) sold out
3/27 東京 晴れたら空に豆まいて (カネコアヤノ Band Set)
3/29 神奈川 Billboard Live Yokohama (with カネコアヤノ ソロセット)

Alice Phoebe Lou来日ツアー2023 特設サイト
https://haremametube.wixsite.com/alicephoebeloujt2023

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