「K A R Y Y N」と一致するもの

Bonobo - ele-king

 ジャンルとしてのダウンテンポがある。90年代初頭に生まれたクラブ・ミュージックのサブジャンルで、スロー・テンポ(90bpmほど)のビートと雰囲気のあるメロディアスな上物、そして折衷的な構造に特徴を持ち、トリップホップからチルウェイヴ、ヴェイパーウェイヴなんかもそれに該当するものがあったりする。日本ではサイレント・ポエツが有名だが、欧州にはたくさんのダウンテンポ作家がいて、UKのボノブはその代表格のひとり。2017年の『マイグレーション』はダウンテンポの高みにある作品で、全英チャートでトップ5入り、米ビルボードのダンス・アルバム・チャートでは1位を記録した。
 このたび、このダウンテンポの真打ちが、5年ぶりとなる待望の最新作『Fragments』を年明けの2022年1月14日にリリースすることを発表した。
 合わせて新曲“Rosewood”のMVも公開。
 
Bonobo - Rosewood

https://bonobo.lnk.to/fragments/youtube

 最新アルバム『Fragments』には、シカゴ発の新世代R&Bシンガー、ジャミーラ・ウッズ、88risingの日系R&Bシンガー、Joji(ジョージ)、ジョーダン・ラカイ、LAのシンガー‏/マルチインストゥルメンタリスト、カディア・ボネイなどのゲストがフィーチャーされている。
 また、新曲“Rosewood”を聴いても察することができるように、『Fragments』はなんでもダンス寄りの内容らしい。数曲のバラードもあるようだが、アルバム全体としてはダンスフロアに向けて作られているという。ボノボいわく「自分がどれほど、満杯のオーディエンスとその律動、互いにつながっている人々が大好きだったか、何度も思いだした」
 ってことは、ダウテンポを極めた達人の新たなる挑戦になるのだろうか……

 なお、『Fragments』は2022年1月14日 (金)にCD、数量限定のCD+Tシャツセット(ニール・クラッグが手がけたアートワークを採用)、LP、デジタルでリリース。国内盤CDには解説が封入され、ボーナストラック「Landforms」が収録。また、Oカード付きのamazon限定CDも発売予定。LPはブラック・ヴァイナルの通常盤、レッド・マーブル・ヴァイナルの限定盤、特殊パッケージにアートプリントが封入されたクリスタル・クリア・ヴァイナルのデラックス盤、限られたお店だけで手にはいるゴールド・ヴァイナルのストア限定盤で発売。さらに、レッド・マーブル・ヴァイナルの限定盤は数量限定でサイン入りの発売も予定されている。



Bonobo
Fragments

Ninja Tune / Beat Records
release: 2022/01/14

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12132
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12133

tracklist:
国内盤CD
1. Polyghost (feat. Miguel Atwood-Ferguson)
2. Shadows (feat. Jordan Rakei)
3. Rosewood
4. Otomo (feat. O’Flynn)
5. Tides (feat. Jamila Woods)
6. Elysian
7. Closer
8. Age of Phase
9. From You (feat. Joji)
10. Counterpart
11. Sapien
12. Day by Day (feat. Kadhja Bonet)
13. Landforms (Bonus Track)

House music - ele-king

 ハウスは12インチの文化とよく言われる。それは、僕がハウスを気に入っているひとつの理由でもある。ロックを聴いていた高校生のころは「フルレングスのアルバム以外認めない」なんて謎にオラついていたけれど、いまではアルバムという単位にちょっと重く感じてしまうときがある。その点、12インチは気軽に針を落とせるし、基本的には音がいいし、なにより安いのだ(あくまで、アルバムと比べて)。僕のサウンド・パトロールではアルバムに縛られず、お気に入りの12インチ、EPやコンピレーションなど、さまざまなフォーマットでリリースされたダンス・ミュージックを定期的に紹介することをコンセプトに据えている。それらにはアルバムと違った聴きかた、楽しみかたがあると思うので、以下に紹介する5枚をぜひ聴いてみてほしい。


V.A - BEAUTIFUL PRESENTS: BEAUTIFUL VOL 1 〈Beautiful〉

 ロンドンの〈Beautiful〉は、Reprezent RadioやBBC Radio1で活動しつつ、かたや『Fabric Presents』では、モーター・シティ・ドラム・アンサンブルやオーヴァーモノに続いてそのミックス・シリーズに抜擢されるなど、いま勢いに乗りまくっているシェレリが新たに設立したレーベル。その第一弾となるコンピレーションは、「ブラック・エレクトロニック・ミュージックをセレブレートするためのホーム」と言う通り、ロレイン・ジェイムズ、イーロン(:3LON )、ティム・リーパー、カリーム・アリなど、性別を問わずエレクトロニック・ミュージックの若い才能たちが一堂に会している。コンピレーションで曲数が多いから通して聴くのは大変かもしれないが、騙されたと思ってオープナー“Sirens”と続く“THE PSA”だけでも聴いてみてほしい。〈Beautiful〉は黒人、クィア、女性であるひとびとの良きプラットフォームを目指しているようだが、それはこのコンピの人選を見ても明らかだ。シェレリの野心的な試みにはこれからも目が離せない。


V.A - Melodies Record Club #002: Ben UFO selects 〈Melodies International〉

 フローティング・ポインツによる、リイシュー専科の〈Melodies International〉。このレーベルの『Melodies Record Club』シリーズは、DJやアーティストが12インチで過去のレアな音源をキュレーションする企画で、記念すべき第一回はフォー・テット、そして今回はベン・UFOがセレクトするなど、フローティング・ポインツと馴染み深い面々が担っている。電子音楽の先駆者のひとりとして数えられるローリー・シュピーゲルによる、“Drums”の実験的な7分間のアフリカン・マシン・リズムが最高なのは言うまでもないが、僕は B面のオロフ・ドレイジャーによる“Echoes From Mamori”のほうにさらなる衝撃を受けた。これは、彼の友人が企画したエキシビジョンのためにCDでリリースされた音源だそうで、アマゾンとベルリンで録音したカエルや鳥のサウンドから始まる、およそ13分もの長大なハウス・ミュージックに仕上がっている。『Melodies Record Club』のこれからのラインナップとして、ハニー(〈Rush Hour〉)、ダフニ(カリブー)、ジャイルズ・ピーターソンなどをそのキュレーターとして予定している。非常に楽しみだ。


Kush Jones - Rugrats / Basic Bass 〈FRANCHISE〉

 シカゴで生まれた正真正銘のアンダーグラウンドなダンス・ミュージック、ジューク/フットワーク。しかし、ご紹介するものはシカゴでなくニューヨークで、もはやこれをジューク/フットワークと呼んでいいのかと思うくらいの変異ぶりを感じる。ブロンクスで生まれ育ったクッシュ・ジョーンズは、シカゴにおける猥雑でゲットーな同ジャンルの正統な旗振りというより、そのフォームをよりエクスペリメンタルに前進させようと試みるDJと言うべきかもしれない。彼と同じ〈Juke Bounce Werk〉のクルーであるDJノアール、EPが待たれるマンチェスターのアンズ、そしてブルックリンのDJマニーと、リミックス陣も抜かりなく豪華な面々が揃えられているところもポイント。ベスト・トラックはDJマニーによる不協和音ギリギリを狙っていくかのような“Rugrats”のリミックスかな。


effgee - Good Morning 〈fellice records〉

 ドイツはハンブルクを拠点とする、エフギーことフェリックス・ガスによるモダン・ハウス。彼自身によって2021年に設立された〈fellice records〉のレーベル第一弾で、イタリアでの生活をもとに、fellice(フェリーチェ、イタリア語で「幸せ」を意味するらしい)なフィーリングを伴った音楽を提供している。“Place”のオーガニックで温かみのあるハウス・グルーヴは、彼のソウルやジャズを背景としたドラマーとしての出自がおそらく関係しているのだろう。奇妙で不確かないまの時代において、自分のサウンドとデザインをアウトプットするための必要性を感じたことがレーベル設立の動機で、その通り今作のサウンドとアートワークはエフギー自身がすべてを手がけている。ウクライナのヴァクラをいち早く紹介したことでも知られるUKの〈quintessentials〉から、2009年のレーベル・コンピレーションに登場していたらしいが、まったく知らなかった。要チェックです。


Project Pablo - Beaubien Dream 〈Sounds Of Beaubien Ouest〉

 前回にならって、最後はまたもや再発物で締めよう。〈Sounds Of Beaubien Oust〉(SOBO)から、記念すべきカタログ第一番が約5年ぶりのリイシュー。カナダはモントリオールを拠点に活動するプロジェクト・パブロことパトリック・ホランドの出世作。デジタルですでに持っていたので、今回のリプレスをヴァイナルで買うか迷っていたけれど、あたふたしているうちに売り切れ……。なにはともあれ“Closer”を聴いてほしい、ふわふわした夢見心地なディープ・ハウスが鳴っている。モントリオールは極寒の地だと聞くが、たしかにどこか寒々しいテクスチャも感じられ、これは秋が終わった冬に聴きたいハウス・ミュージックかもしれない。

Mark Hawkins - ele-king

 2020年、ブラック・ライヴズ・マター運動の盛り上がりのなかで、さまざまなDJ/アーティストがステージ・ネームの変更を迫られた。白人が黒人を想起させるような名前を使用することは、そこにリスペクトの感情があろうとも「文化の盗用」とされたのだ。こうして、UKのレジェンドDJであるジョーイ・ネグロはデイヴ・リーに、USのブラック・マドンナはブレスド・マドンナに、オランダのデトロイト・スウィンドルはダム・スウィンドルに、そしてUK出身で現在はベルリンを拠点とするマーク・ホーキンスは、彼のよく知られたマーキス・ホークス(Marquis Hawks)名義を捨て、以降はその本名のみを使用するに至った。

 ウィル・ソウルの〈AUS Music〉やグラスゴーの〈Dixon Avenu Basement Jams〉、近年はロンドンにあるクラブ、Fabricの運営する〈Houndstooth〉から多くのハウス、テクノをリリースしてきたマーク・ホーキンス。フルレングスとしては4作目に当たる『The New Normal』は、タイトルの通り「ニューノーマル」(新たな常態)を標榜しており、それがコロナ禍を経たニューノーマルであるのは明白だが、それと同時に、かつてのエイリアスを捨て本名のみで活動することを決断した、マーク・ホーキンス自身のニューノーマルを打ち出しているようにも感じられる。

 オープナーの“Can’t Let You Do This”や、2018年にコラボ歴のあるジェイミー・リデルを招聘した“Let It Slide”を聴くとわかるが、彼が過去の12インチでやってきたアンダーグラウンドなダンス・ミュージックの質感は残しつつ、それぞれのトラックはマーク・ホーキンスとヴォーカル陣によるメロディアスなセンスに下支えされており、このふたつにはフロア・バンガーとしてのサウンドと歌心を持ったポップ・ソングとしての資質の両方がしっかりと詰まっている。また、ジョヴォンのような90年代のニューヨークにおけるハウスから影響を受けたという“Lazy Sunday”や、ガラージめいたリズムが展開されるクローザーの“Se5”など、よりクラブ/フロア向けのインスト・サウンドもありながら、他方では“No One Can Find Us”や“You Bring the Sunshine”など、サンプルパックから引用したメロディアスなヴォーカルが含まれるポップなダンス・トラックもあり、それらが12曲のあいだでバランスよく配置されている。

 こと日本においても、コロナ禍が最悪の出来事だったことは言うまでもないが、以前に紹介したアンソニー・ネイプルズと同様、この時期をクリエイテヴィティの発露にうまく活用したことはマーク・ホーキンスにも言える。彼は一貫して地下で鳴っているダンス・ミュージックを提供し続けているが、この失われた時間においてルーツや理想をより深く見つめ直すことによって、『The New Normal』ではアンダーグラウンドなハウス、テクノにとどまらないサウンドを提示することに成功している。そこには、眩しさすら感じるチル・ソングもあれば、エレクトロニックなファンクのリズムもあり、ポップ・ソング顔負けのメロディアスなヴォーカル物があり、もちろん、思わず体を動かしたくなるハウスもあるのだ。マーク・ホーキンスのこれら多彩な楽曲群は、やはりコロナ禍によって孤独に自身を見つめる時間が多くなったことが少なからず影響しているのだろう。20年以上ものキャリアを誇るヴェテランのDJが、かつてないほどフロアから遠ざかった帰結としてホーム・リスニングの側面を強めつつ、同時に、そこには彼の持ち場と言うべきフロアのエネルギーやダイナミクスがしっかりと注入されているのだ。

 『The New Normal』はマーキス・ホークスを捨てたマーク・ホーキンスの初リリースである。RAやピッチフォークを含め、海外のメディアがまだ取り上げていないのが疑問だが、少なくとも僕が聴いた感じでは、今作はその音に身を委ねたくなる素晴らしいダンス・ミュージックに違いない。大局的にはコロナ禍があり、個人的にはステージ・ネームとの決別を迫られるなど、彼にとっては二重の苦しみがあったはず。しかし、今作が鳴らす音を聴いていると、あるいはヴァイヴァ・ホーキンスによるアートワークが示すように、マーク・ホーキンスとしてのニューノーマルは、晴天の空が広がる海のようにとても前向きで清々しく感じられる。マーク・ホーキンスいわく、今作は「トロピカル・ビーチでモヒートを飲みながら、大音量で聴く」アルバムだそう。どんなときでも、ときに難しく考えずに楽しむことは大切だと、そんな当たり前のことを教えてくれている。

CAN - ele-king

 〈ミュート〉からCANのライヴ・シリーズ第二弾の詳細が発表された。今回の音源は1975年のイギリスのブライトンでのライヴから。『ライヴ・イン・ブライトン 1975』(LIVE IN BRIGHTON 1975)として、12月3日にCD2枚組のフォーマットで発売される。
 レーベルによるとアルバムには、ミヒャエル・カローリのヴォーカルがあり、ヤキ・リーベツァイトの信じがたいドラムがあり、彼らのヒット曲“Vitamin C”のジャム・セッションがあるそうだ。現代だから可能になったライヴ盤。楽しみに待ちましょう。

 


 
CAN
LIVE IN BRIGHTON 1975

2021年12月3日発売
解説: 松村正人 / 海外ライナーノーツ訳

Tracklist
[CD-1]
1. Brighton 75 Eins
2. Brighton 75 Zwei
3. Brighton 75 Drei
4. Brighton 75 Vier
[CD-2]
1. Brighton 75 Fünf
2. Brighton 75 Sechs
3. Brighton 75 Sieben

Dub Meeting Osaka Soundsystem Special - ele-king

 大阪のPARTITTA(名村造船所跡地)にてふたつの大型サウンドシステムを導入したDubイベントが開催される。UKスタイルのDub/Rootsイベントを展開するDub Meeting Osakaの久々のイベントは、サウンドシステム・スペシャルと題して東京からEastaudio SoundsystemとBim One Productionを招聘する。大阪側では関西最強のサウンドシステムとして知られる最高音響を導入し、最高音響側ではDub Meeting Osakaクルーがプレイ、EastaudioサイドではBim One Productionが交互にプレイしセレクションと重低音の鳴りを競い合う。

2021年10月24日 日曜日
@STUDIO PARTITA (名村造船所跡地)

adv 1000yen and 1drink
adm 1500yen and 1drink
15:00 start
20:00 close

“Dub Meeting Osaka Soundsystem Special”

Bim One Production
(e-mura,1TA)
with
eastaudio SOUNDSYSTEM

VS

Dub Meeting Osaka
(Element, Dub Kazman, Sak-Dub-I)
with
最高音響SOUNDSYSTEM

Shop by grassroots
Food by mr.samosa
* 前売り詳細は来週中に追って更新予定です。
*新形コロナウイルス感染症拡大防止の為、入場時の検温、マスク着用、消毒等の感染対策にご協力願います。

チケット販売リンク
https://eplus.jp/sf/detail/3502650001-P0030001?fbclid=IwAR17dVA1IelXwMHX14nDWcVfkvF5tRtn3CwenoSptDeUhnoHrcL78YzSIOU

Saint Etienne - ele-king

 いまの若い世代はどうかわからないけれど、少なくともぼくの世代あたりまでは、日本にはイギリスのポップ・カルチャーへの強い憧れがあった。いまとは比較にならないぐらい、ある時期までのイギリスは文化の吸引力がすごかったのだ。そして音楽はつねに文化の中心だった。で、その最初の爛熟期=スウィンギング・ロンドンに象徴される60年代のポップ・カルチャーを快く思っていなかった同国の政治家がトップに立ったのは、1979年のこと。セイント・エティエンヌは、快楽を目的とする人生を否定したその人=マーガレット・サッチャーが11年続いた首相の座を退任した1990年にロンドンで結成されている。バンド名はフランスのフットボール・チーム、ASサンテティエンヌから取られた。
 そして、サラ・クラックネル、ボブ・スタンリー、ピート・ウィッグスの3人によるポップ・カルチャーに恋した音楽は、スウィンギング・ロンドンと当時はまだ最先端だったハウス・ミュージックとを調合し、ニール・ヤングの深いラヴソングを甘美なラウンジ・ミュージックへと変換してみせた。彼らはポップにおけるイギリス的なるもの、すなわちセンスの良いスタイリッシュな折衷主義を強調したわけで、これが90年代初頭の日本で受けないはずがなかった。

 セイント・エティエンヌが2012年にリリースした『Words and Music by Saint Etienne』というアルバムは、トップ・オブ・ザ・ポップスをきっかけに“世界を探検する“ことを覚えた10代の若者の話からはじまる。『NME』のポール・モーリー(80年代の人気ライターのひとり)が書いた記事を読み、〈ミュート〉や〈ファクトリー〉や〈ZOO〉、それからニュー・オーダーやデキシーズに夢中になるという、ひとりのインディ・ミュージック・ファンの思春期のストーリーが描かれている。また、同アルバムにはドナ・サマーやKLFへのオマージュも含まれていたりするのだが、このように、セイント・エティエンヌの音楽においてはポップ・ミュージックそのものが主題であり、コンセプトにもなり得ている。
 1992年の彼らの魅力的なシングル「Nothing Can Stop Us」の裏ジャケットの写真は、ソファーに座ってビリー・フューリー(マルコム・マクラレンも愛した50年代UKのロックンローラー)を表紙にした雑誌を手にしているヴォーカルのサラだ。そして同曲を収録した1991年のデビュー・アルバム『Foxbase Alpha』は、彼らの部屋にあるレコード・コレクションとその時代のロンドンにおけるポップ・カルチャーから生まれた作品だった。レトロなポップ・ミュージックを切り貼りしたそのアルバムは、海外では「インディ・ポップ」、日本では「インディ・ダンス」と括られているジャンルのひな形であり、いまだそのジャンルを代表するクラシカルな1枚となっている。
 しかしながらセイント・エティエンヌにおけるもっとも輝かしい瞬間はその次のアルバム『So Tough』にある。前作以上にサンプリングを駆使し、ポップのいろんな輝きをつなぎ合わせ、巧妙なスタジオ・ワークによって完成させた彼らのセカンドは、『ファンタズマ』が90年代渋谷のレコード文化から生まれた作品であると言うのなら、ある意味似たようなアプローチをもって、それより先立つこと4年前に多彩なポップ・カルチャー(この作品においてはフレンチ・ポップ、ヒップホップ、エレクトロニカ、そして映画などなど)をなかば感傷的にブレンドした作品だった。ポップ・ミュージックを愛する者たちのためのエレガントで洗練されたポップ・ミュージック。しかもそれは、いかにも90年代的な陶酔感を有した、けだるく甘美なサウンドでいっぱいだった。そんなポップの腕のたしかな調理人であるセイント・エティエンヌが『Foxbase Alpha』から30年目の今年、90年代末を主題とする新作を出したと。しかも通算10枚目になるそのアルバムが、じつにメランコリックで悲しみに包まれているとなれば、これはもう、放っておくわけにはいかない。
 というのも、思慮深いセイント・エティエンヌが、90年代がテーマだからといって自分たちの過去の焼き直しなどしないことは、まあ想像がつく。ジョン・サヴェージやサイモン・レイノルズ、マーク・ペリーまでならまだしも、ダグラス・クープランドにまでライナーを依頼するほど音楽評論や読書が好きな彼らの創作行為には、大まかに言って批評性も備わっている。彼らが現在という地点からあの時代をどのように描くのかは、まったくもって興味深いところだ。
 

字幕
「失われた黄金時代としての90年代後半の楽天主義を振り返りますか?」
「それは、素朴で妄想と愚かさの時代だったと思いますか?」
「あなたはすべてを憶えていますか?」
「記憶の霧を通して」 
「あなたには確信がありますか?」

 だいたいこの、『私はあなたに伝えようと努力してきた(I've Been Trying To Tell You)』という含みのある言葉をタイトルにしたアルバムは、手法的には『So Tough』を踏襲しながら、じつになんとも不思議な作品で、たとえばバンドのトレードマークであるサラの歌がまともに入った曲が、1曲と言えるのか2曲と言えるのか3曲と言えるのか、まあそんな感じなのだ。アルバムの大半がインストで、たまに聞こえるサラの声はサンプリングされた断片としてミックスされているか、さもなければ亡霊のごとく靄のなかで歌っているかのようで、これは明らかに『スクリーマデリカ』よりも『メザニーン』やボーズ・オブ・カナダのほうに寄っている。
 さらに奇妙なことだが、たとえば“Little K”や“Blue Kite”といった曲のなかには、ある種ヴェイパーウェイヴめいた響きや反復もある。かつてそこにあったリアルの喪失。90年代初頭の快楽主義を謳歌する人生観や無垢だったダンス・カルチャーは、90年代後半になるとトニー・ブレアを通じてエリートたちのものになるか、もしくはおおよそすべてがただの娯楽産業へと姿を変えた。
 あるいは、ベリアルがレイヴ・カルチャーのレクイエムを作ったように、本作もまた叶わなかった夢への痛みをもった鎮魂歌と言えるのかもしれない。今回のサウンドは、「インディ・ポップ」というには少し無理があって、エレクトロニカやトリップホップ、アンビエント・ポップなどと呼んだほうがまだしっくりくる。いずれにしても本作には、90年代のセイント・エティエンヌが武器として持っていたスタイリッシュなレトロ・ポップのパッチワークはない。だが、ここにはリスナーを惹きつける力がたしかにあり、ぼくはけっこう気に入っている。とくに冒頭の“Music Again”〜“Pond House”は圧巻で、そして後半に待っている2曲──“I Remember It Well”から“Penlop”にかけてのいささかホーントロジーめいた展開もみごとだ。それは亡き者たちの囁きであり、アンビヴァレンスであたかも終わりの合図のようでもあるのだけれど、が、しかしセイント・エティエンヌがその甘美な響きを失うことはなかった。最後に収録された“Broad River”という、フォーキーなアンビエントは、とくに目新しいサウンドではないが、ぼくにはずいぶんグッと来る。きっとノスタルジーに浸ることが、この曲においては許されているのだろう。 


 

Radiohead - ele-king

 本日10月2日は『Kid A』リリース21周年。ということで、11月5日に発売を控える話題のリイシュー盤『Kid A Mnesia』の、高音質ライヴ上映会の開催がアナウンスされている。
 発売日の前日に当たる11月4日、東京のヒューマントラストシネマ渋谷、大阪のシネリーブル梅田の2館で開催。完全招待制とのことで、詳しくは下記を。

RADIOHEAD
今日は何の日?

世紀の名盤『Kid A』発売21周年!!
話題の再発盤『Kid A Mnesia』リリースを記念して
東京/大阪の超高音質映画館でライヴ上映イベント開催決定!!

レディオヘッド4thアルバムにして “音楽史における20世紀最後の名盤” とも謳われる『Kid A』が本日10月2日に発売21周年を迎えた。

来月11月5日には『Kid A』とその双子作品である『Amnesiac』の発売20/21周年を記念して、未発表/レア音源を追加したひとつの3枚組作品『Kid A Mnesia』のリリースが控える中、発売日前日の11月4日に東京はヒューマントラストシネマ渋谷、大阪はシネリーブル梅田の映画館2館でライヴ上映イベント(無料/完全招待制)が開催されることが決定。本日よりBEATINKのTwitterにて参加者の募集が開始。当選した来場者には当日非売品ポスターがプレゼントされる。

なお、ヒューマントラスト渋谷およびシネリーブル梅田に導入されている音響システム「odessa」は、映画の魅力を最大限引き出すため専用に開発されたカスタムメイドのスピーカーシステム。音の輪郭はもちろんのこと、音の余韻・消え際まで繊細に再現できるのが特徴となる。映画館の音を最適に調整するプロ集団ジーベックス協力のもと、今回の条件下でレディオヘッドのライヴが映画館上映されるのは世界初となっており、ファン必見のイベントとなっている。

[イベント内容]
RADIOHEADライヴ上映会
○日時
2021年11月4日(木)*スタート時間は会場によって異なる
○場所
・東京:ヒューマントラストシネマ渋谷
〒150-0002東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocotiビル 8F
*上映開始時間は決定次第ご案内

・大阪:シネ・リーブル梅田
〒531-6003 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1-88 梅田スカイビルタワー イースト 3F・4F
*上映開始時間は決定次第ご案内

○上映内容
未定

○応募方法
BEATINKのTwitterアカウントの該当ツイートにて募集
https://twitter.com/beatink_jp?s=21

11【注意事項】
※ご来場の際は、当館にて行われているマスク着用をはじめとした新型コロナウイルス感染症予防対策へのご協力をお願いいたします。
ご協力いただけない場合には、ご鑑賞をお断りさせていただく場合がございます。
※当館の『新型コロナウイルス感染予防の取り組み』については下記URLをご覧ください
https://ttcg.jp/topics/2020/05201300_10996.html

※新型コロナウイルス感染拡大の状況によって、開催日時を変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。

※イベント内容は、予告なく変更または中止になる場合がございますので、予めご了承ください。

■その他、混雑状況など詳細につきましては、劇場までお問い合わせ下さい
ヒューマントラストシネマ渋谷 TEL:03-5468-5551
シネリーブル梅田 TEL:06-6440-5930

HTC渋谷
https://ttcg.jp/human_shibuya/topics/2021/07272157_13653.html  

CL梅田
https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/topics/2021/03121449_13989.html

label: XL Recordings / Beat Records
artist: RADIOHEAD
title: KID A MNESIA
release date: 2021.11.05 FRI ON SALE


国内盤3CD:
XL1166CDJP ¥3,500+税(税込 ¥3,850)
[国内盤特典]歌詞対訳・解説付/ボーナス・トラック5曲収録
高音質UHQCD仕様

輸入盤3CD:XL1166CD
限定盤3LP(レッド・ヴァイナル):XL1166LPE
通常盤3LP(ブラック・ヴァイナル):XL1166LP

日本盤3CD+Tシャツ:
XL1166CDJPT1(日本盤3CD+Tシャツ)*サイズS-XL ¥7,500+税

限定レッド・ヴァイナル+Tシャツ:
XL1166LPET1(限定レッド・ヴァイナル+Tシャツ)*サイズ S-XL ¥11,250+税

BEATINK.COM
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12094

Little Simz - ele-king

 2019年に発表した前作『GREY Area』が非常に高く評価された Little Simz。StormzyHeadie One とも肩を並べるUK屈指のラッパーとなった彼女の最新作『Sometimes I Might Be Introvert』は、歌詞とサウンド両面で、自身のルーツと向き合いながら、同時に現在の自分をも表現した作品となった。

 彼女の本名は Simbiatu Ajikawo。フッドの仲間は「SIMBI」と呼ぶ。タイトルを和訳すると「たまに内向的になるの」。本作は、ラッパーとして成功した「Simz」と素の「SIMBI」というキャラクターとパーソナリティの乖離と融和を描いている。ちなみにタイトル(『Sometimes I Might Be Introvert』)の頭文字を取ると「SIMBI」になる。

 サウンド面をサポートするのは幼なじみの Inflo こと Dean Josiah Cover。その正体は長らく謎に包まれていたが、実は Little Simz 作品では常連のシンガー・Cleo Sol(Cleopatra Nikolic)、Kid Sister(Melisa Young)とともに活動する SAULT のメンバーであった。アフロ、ファンク、ジャズ、ヒップホップ、パンク、ニューウェーヴ、ハウス、ガラージ、ドラムンベース……さまざまな要素をロンドンらしくミックスして、バンドのダイナミックな演奏で表現しているのが特徴だ。

 話はアルバムから少しだけ逸れるが、Little Simz が昨年配信したEP「Drop 6」に収録されていた “one life, might live” のベースラインは、Roni Size & Reprazent のクラシック “Brown Paper Bag” へのオマージュ。これがオバマ夫妻のプレイリストに入ってたというエピソードはなんというかいろいろ想像力が広がって最高だった。ちなみに同曲のプロデューサー・Kadeem Clarke はおそらく SAULT 周りのコレクティヴのメンバーで、Discogs を見ると『Sometimes I Might Be Introvert』の “Standing Ovation” にも参加しているとのこと。

 私は当初、このサウンド・プロダクションや、“Introvert” と “Woman” の豪華絢爛なMVに夢中になった。だが本作はリリックも素晴らしい。

 冒頭を飾る “Introvert” の1ヴァース目ではコンシャスなラッパー「Simz」として世界中でいまも続く差別について心を痛める。2ヴァース目は「SIMBI」として27歳の女性としての心の弱さをさらけ出す。そしてアウトロに女優のエマ・コリン(Netflix のドラマ『クラウン』でダイアナ妃を演じている)による、後に続くストーリーの幕開けを予感させるナレーションが入る。

 続く “Woman” はナイジェリアの血を引く彼女がアフリカ系の女性をエンパワメントするナンバー。この曲のリリックは、サウンドに負けず劣らず、言い回しがかわいくてしゃれているのだ。ナイジェリア、シエラレオネ、タンザニア現地の話題を交えながら「Woman to Woman I Just Wanna See You Glow/Tellen What’s Up(女性同士 あなたが輝くのを見たいの/みんな元気でやってる)」と語りかけたり、ブルックリンのレディーたちに「Innovative just like Donna Summer in the 80’s/Your time they seeing you glow now(80年代のドナ・サマーみたいに革新的/最盛期のあなたをみんな見てる。輝いてるよ)」と言ってくれたり。男性ですらこんなにテンションが上がるんだから、女性ならブチ上がることは必至だろう。

 だがおそらくこれは社会的な「Simz」の言葉。もちろん「SIMBI」自身もそう感じているんだろうけど。“Two Worlds Apart” では徐々に「SIMBI」の顔が見えてくる。なかなか結果ついてこなかった活動初期。昼の仕事をしながらラップを書き続けていた。“I Love You I Hate You” ではアーティスト活動が厳しい反面、音楽への捨てきれない愛を語る。そのリリックに、なんらかの問題を抱えている実父との関係を重ねるあたりが彼女がリリシストとして評価される所以だろう。

 いとこの Q によるモノローグ “Little Q Part 1” を経て、名曲 “Little Q Part 2” では彼女が育った地域がどんな場所であったかをラップする。Q は14歳で一家の主にならざるを得なかった。兄は刑務所で、父は行方不明だから。ストリートで銃を突きつけられ、病院で二週間も意識不明だったという。だが Little Simz の最近の Instagram には、その Q が大学を卒業する写真がアップされていた。Q は彼女とは違う方法で貧困から抜け出したのだ。

 “Speed” はアルバムで最も攻撃な1曲。サウンドは SAULT 的だ。緊迫感あるタイトなベースラインからは活動初期に彼女が切磋琢磨してきたことが思い起こされる。リリックも自身を認めないシーンに対するフラストレーションに満ちている。次の “Standing Ovation” へは曲間なくシームレスにつながる。自らのラップでクィーンになった彼女は、「スタンディング・オベーションを受けてもいいと思う。10年間じっと耐えて働いてきた」と胸を張る。1st アルバム『A Curious Tale of Trials』のジャケットには、王冠をかぶった女性が描かれているが、それを実際に手に入れたのだ。いま改めて 1st アルバムを聴くと、サウンドの本質はあまり変わってないように思える。“Standing Ovation” には「Still running with ease marathon not a sprint(軽々走ってるの/マラソンみたいに/徒競走じゃないよ)」というラインがある。つまり目先のトレンドを資本主義的に追いかけるのではなく、自分の信じる表現を突き詰めるということ。だからこの曲はことさらゴージャスでエモーショナルなのだ。「どうだ!見たか!」と。

 おそらくここまでが『GREY Area』で成功するまでの彼女。“I See You” はラヴ・ソング。「Simz」ではなく完全に「SIMBI」の瞬間。この瞬間がないと不安で押しつぶされそうになる。活躍し続けるためには自由(完全に「SIMBI」の瞬間)を犠牲にしなくてはいけない。周りもみんな王座を狙ってるから。“The Rapper That Came To Tea” では Little Simz の心情をエマ・コリンが代弁する。本作の狂言回しであると同時に女神でもある彼女は、困惑する Little Simz を「いまのままでいい。そのままでスターになれる」と励ます。“Rollin Stone” は非常にユニークな曲で、前半は「Simz」で、後半は「SIMBI」になる。この曲から彼女はこれまで二律背反だった概念を統合して自己肯定する方向に歩みはじめる。“Rollin Stone” 後半のサウンド感が次の “Protect My Energy” のリリックの内容につながる。群れない。本当の仲間のみ、あるいはひとりでいることでポジティヴなエネルギーを蓄える。以前、彼女の Instagram で、車での移動中に編み物をしてる動画が上がっていた。何も考えずに集中して心を落ち着ける瞬間なのかな、と思った。

 結局彼女は自分自身を信じて進むしかないと気づく。もしくは言い聞かせる。その過程がインタールードの “Never Make Promises”。そしてアフリカのブルータルな舞踏の躍動を感じさせる “Point and Kill” へ。彼女の中にある表現への強い欲求が、アフロ・ルーディな Obongjayar のヴォーカルとともに、ひしひしと伝わってくる。次の “Fear No Man” へも曲間なくつながる。こちらはアフロビート。呪術的なパーカッションとコーラスに乗せて、ポジティヴな自信をラップする。さらにインタールード “The Garden Interlude” でも自分を信じるように念を押すように言う。このあたりに Little Simz の本質があるような気がする。自分を信じると言うのは簡単だが、多層的に思考が走り続ける脳内でそれを実行し続けるのは難しい。そんな繊細な本音は、これまで「SIMBI」が言ってきた。だがいまはもう「Simz」として言える。それが “How Did You Get Here” だ。

 ラストの “Miss Understood” は自分と世間のギャップに病むこと、さらに極めて個人的な家族とのトラブルについて歌っている。結局、自分自身の問題が片付いても、次から次へと新しい苦悩は外からやってくる、ということなのかもしれない。神話的なスケールで己の葛藤を歌いながら、最後をシニカルなコメディーのように締めるあたりに、やはり彼女はUKのアーティストであるなと感じてしまう。

 『Sometimes I Might Be Introvert』は昨年のロックダウン中に Inflo とスタジオに籠って制作された。その間、世界は分断していた。そこで何を歌うか。彼女はあえてフォーカスを自分自身に絞った。ナイジェリアにルーツを持つ、ロンドンで生まれ育った、27歳のラップする女性。強くて弱くて大胆で繊細。矛盾すら自分の一部。誰の中にもあるカオスと向き合って作品に落とし込んだ。自分を世界に合わせるのでなく、自分を信じて、自分の世界を作り出す。それが本作のメッセージだ。

 それはサウンドにも顕著に表れている。彼女はロンドンにいながらUSのヒップホップ/R&Bに強く影響されてきた。同時に『GREY Area』でUSツアーを経験した。憧れの Lauryn Hill のツアーにも参加した。そんな彼女のサウンド的バックグラウンドを前述の SAULT 的解釈、つまりさまざまな人種で溢れかえり、レゲエやグライム、アフロなど、世界各国の有名無名の音楽が鳴り響く、2021年のロンドンのストリートの視点から表現したアルバムなのだ。そこに「Simz」と「SIMBI」の物語をミュージカル的に聴かせるオーケストラ・アレンジが加わる。個人の内面を語っているのに、神話的なスケール感と奥行きがある。ゆえに『Sometimes I Might Be Introvert』は2021年を代表するアルバムだ。そして Little Simz をさらなる高みに導く作品となる。

Seimei - ele-king

 東京を拠点に精力的に活動をつづけるコレクティヴ/レーベルの〈TREKKIE TRAX〉。この夏は仮想空間サーヴィスの VRChat 内でワールド・ツアーを敢行したことも話題になった彼らだが、旗揚げからの中核メンバーである Seimei がなんと、キャリア初のソロ・アルバムをリリースする。
 タイトルは『A Diary From The Crossing』、レーベルはカナダの〈WET TRAX〉で、本日10月1日発売。パンデミック下で書き溜められたトラック9曲が収録され、オールドスクールなテクノやハウスなど4つ打ちがメインの内容になっている。10月24日にはリリース・パーティも開催予定。
 ちなみに、10月29日発売の『ele-king臨時増刊号 仮想空間への招待──メタヴァース入門』では Seimei(&futatsuki)のインタヴューを掲載しています。ぜひそちらもチェックを。

Seimeiがキャリア初の1stテクノアルバム「A Diary From The Crossing (ア・ダイアリー・フロム・ザ・クロッシング)」をカナダのWET TRAXからリリース!

東京を拠点に活動するレーベルTREKKIE TRAXを主宰する傍ら、DJ/トラックメーカーとして日本のみならず、これまでアメリカや中国、韓国など世界各国でDJを行い、自身のレーベルナイトのオーガナイズや、OUTLOOK FESTIVAL JAPAN LAUNCH PARTY、EDC Japan等のフェスに出演してきた『Seimei (セイメイ)』。block.fmでのTREKKIE TRAX RADIOやイギリスのGilles Petersonがスタートしたラジオステーション、Worldwide FMでのマンスリープログラムのホストを務め、さらに直近のニュースではロンドンのラジオ局Rinse FMのBen UFOがホストを務めるプログラムにゲストミックスの提供も行ったそんな彼が、2021年10月1日(金)満を辞してデビューアルバム『A Diary From The Crossing (ア・ダイアリー・フロム・ザ・クロッシング)』を自身のレーベルではなくカナダの『WET TRAX (ウェット・トラックス)』からリリースした。

Nina KravizやEllen Allienといった著名なDJも楽曲をサポートするWET TRAXとSeimeiの交流は、Seimeiが書くマンスリーチャート内で同レーベルの看板アーティストであるdj genderfluidの楽曲をレビューしたことから始まった。コロナ禍でDJのブッキングが次々とキャンセルされる中、作りためていたというDJユースなテクノトラックをWET TRAXのA&Rにデモとして送ったところ、アルバムリリースを提案され、今回のリリースへと繋がった。

タイトル通り、コロナ禍における社会の閉塞感を打開したいというアーティストの気持ちが込められた『Don’t Bend My Life (ドント・ベンド・マイ・ライフ)』や、本人に多大な影響を与えたというデトロイトテクノのシンセワークを彷彿とさせる『Kaleidoscope (カレイドスコープ)』、SeimeiのDJスタイルにも通ずるエモーショナルかつトランシーなハードテクノの『Log In Log Out (ログイン・ログアウト)』、『Another Dimension (アナザー・ディメンション)』など、今年始めのロックダウン中に彼が感じ取った想いや情緒が反映されたアルバムとなっている。また、シカゴゲットーテックの要素を含んだミニマルトラック『Clap Your 808 (クラップ・ユア・エイト・オー・エイト)』や硬いヨーロピアンテクノを思い起こさせるアシッドチューン『HABK (エイチ・エー・ビー・ケー)』など、オールドスクールなハードテクノやハードハウス、そしてアップリフティング・トランスに影響を受けた四つ打ちダンストラックが9曲収録されている。

10月24日には、レーベル公認のアルバムリリースパーティーをCarpainterと主催するハードテクノパーティー『Lost Memories (ロスト・メモリーズ)』の第二回を兼ねて『渋谷Another Dimension (アナザー・ディメンション)』にて開催されるのでこちらも要チェックだ。

Seimeiからのリリースコメント

このアルバムは、2021年頭に宣言された緊急事態宣言とそれに伴うロックダウン中に作られました。タイトルにもある通り、渋谷近くの自宅でコツコツ日記的に作った曲をコンパイルしています。そもそもSeimei名義でテクノをリリースするのが初めてでリリースしてくれるレーベルがなかなか見つからなかったんですが、WET TRAXという素晴らしいレーベルがサポートしてくれることになり、本当に感謝です。閉塞感にまみれた昨今ですが、ぜひ楽しんで聴いて下されば幸いです。

Koji Nakamura+duenn+Takuro Okada - ele-king

 ナカコーと duenn が主催するプロジェクト《Hardcore Ambience CH.》の最新映像作品に、ゲストとして岡田拓郎が登場している。先日の GONNO × MASUMURA のライヴでもギターで参加し華を添えていた岡田だが、ナカコーと duenn のサウンドにマルチプレイヤーの彼が加わることで、いったいどんな化学反応が生まれるのか? ぜひ動画を観て確認してみてください。

ナカコーとduenn主催のアンビエントに特化したプロジェクト『Hardcore Ambience CH.』
今回はKoji Nakamura+ duenn + 岡田拓郎によるライブパフォーマンスを公開。

『Hardcore Ambience』は、“ナカコー”(Koji Nakamura, Nyantora, LAMA, exスーパーカー)と、福岡を拠点とするコンポーザー “duenn” によるライブや映像作品を展開するプロジェクト。
第5回となる今回は、ライブゲストに孤高の天才音楽家“岡田拓郎”を迎え、ナカコー・duennと共演する。岡田拓郎はバンド「森は生きている」で活動したのち、現在ソロ活動の他にもギタリスト, プロデューサー, ミキシング・エンジニアとしても活躍している。今回のライブでは岡田のマルチプレイヤーならではの特質的な演奏に、ナカコーのギターと、duennのシンセが加わり、どこか温かみと優しさが感じられる音楽映像作品に仕上がっている。

Hardcore Ambience CH.

■HARDCORE AMBIENCE #5-2【LIVE】-Koji Nakamura + duenn + Okada Takuro

■URL https://youtu.be/Bn13y3fHo_U

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