「K A R Y Y N」と一致するもの

Cremation Lily - ele-king

 火葬された百合、クレメーション・リリィ。そんな不思議な名を持つユニットの新作がリリースされた。

 ロンドンを拠点とするクレメーション・リリィ(Cremation Lily)は、ゼン・ズイシゴ(Zen Zsigo)のソロ・プロジェクトである。彼は電子ノイズとシューゲイズの両極を往復するようなダーク・アンビエントを展開してきたアーティストだ。「火葬された百合」という名のとおり、どこか冥界を感じさせるムードのサウンドでもある。ゼン・ズイシゴの音には生と死の結晶がある、とはいささか大袈裟な物言いだろうか。
 くわえてゼン・ズイシゴはイギリスの現行のカセットテープ・カルチャーの重要人物でもある。ゼン・ズイシゴはクレメーション・リリィのほかにも、フォーエイジズ(Four Ages)、ライブモーケット(Livimorket)、ライフ・イン・ザ・ダーク(Life In The Dark)、ウィンター・オービット(Winter Orbit)名義/プロジェクトなどでもリリースを重ねてきた。現行ノイズ・アンビエント・アンダーグラウンド・カルチャーを、みずから主宰するカルト・レーベル〈Strange Rules〉をベースに、多数の名義を使いわけて、リゾーム状の活動を展開してきた人物なのだ。
 クレメーション・リリィとしては、〈Strange Rules〉からの多くのリリースをはじめ、ヘルムが運営するレーベル〈Alter〉からも音源(アルバム)をリリースをしてきた。個人的には〈Alter〉から2018年からリリースされた『In England Now, Underwater』、セルフリリースで発表された2020年の『More Songs About Drowning』にはかなりハマった記憶がある。
 初期作品では2017年に〈Strange Rules〉からリリースされた夢幻的なダーク・アンビエントの傑作『The Processes And Instruments Of Normal People; Trying And Failing, Falling And Water Running』などが強く印象に残っている。このレビューを書くたびに久しぶりに聴き直したが、今聴いても圧倒的な世界観/音響を実現しているように思えた。

 そして2022年、サンフランシスコの実験音楽レーベル〈Flenser Records〉から8作目のアルバム『Dreams Drenched in Static』がリリースされた。〈Flenser Records〉のレーベルカラーを実に体現した分類不能な作品でもあった。
 そう、この『Dreams Drenched in Static』は、ポスト・クラブ・ミュージック、ドローン、ノイズ、モダン・クラシカル、アンビエント、シューゲイズ、インダストリアル、ドゥーム、ブラックゲイズなどのサウンドが融解したエクストリームなサウンドなのである。

 『Dreams Drenched in Static』は全10曲によって構成されたアルバムだ。ミニマルなピアノ曲“Barely Remembered”で幕を開け、2曲目“Dreams Drenched In Static”、3曲目“Wavering Blood”では電子音のシャワーが光のようにトラックに降り注ぎ、粉々に破壊されたビートが断続的に鳴り響く。変調された「声」は歌の痕跡のようにそこにある。
 4曲目“I'm Done (Indefinite Light) ”以降は、刺激的な電子ノイズと沈み込むようなムードが共存しながらも、夢と現実の境界線が曖昧に溶け合ってしまうような音楽を展開する。5曲目“Body on a Lake ”は静謐なムードのなかダーク・アンビエントとヴェイパー・ウェイヴが入り混じるようなサウンドだ。6曲目“Moonlight Doses”は、月夜に鳴る壊れたオルゴールのごとき優美なアンビエント曲である。
 ここまで聴くと分かってくるように、このアルバムは、2曲目と3曲目では暴発する電子ノイズが湧き上がるエクストリームなトラックが展開されるのだが、次第に内省的なムードの曲調に変化していく構成になっている。絶頂へと至る快楽ではなく、夢のなかに彷徨うようなプラトー状態が続くとでもいうべきか。ノイズを基調にした音楽でこれは稀なことだ。いわばアンチ・クライマックスとでもいうようなアルバム構成なのである。
 シューゲイズ・ノイズ・アンビエント・R&Bとでもいうべき異形のトラックである7曲目“Selfless”では、ジャンルの領域が溶けだし、音楽と音の境界線が崩れ、心と知覚に雪崩こんでくるサウンドを生成する。崇高にしてジャンク、グリッチにして神秘的なムードがたまらない。8曲目“Overflowing Velvet Tide”ではギター・ノイズ的な音響によって生成されるアンビエント・トラック。9曲目“I Need To Stop Blaming Myself”は、7曲目と同様にアンビエント・R&B・シューゲイズとでも形容したい音楽性を展開するだろう。
 そしてアルバム最終曲にして10曲目“In Pain, Surrendering”はふたたび浮遊感のある白昼夢のようなピアノ主体の曲である。白昼夢から始まり、ふたたび新たな白昼夢へ。実に見事なアルバムの構成といえよう。
 
 以上、全10曲。ここに収録された楽曲たちは、いわば聴き手の意識を別領域へと連れて行ってくれるようなサウンドだ。電子音とノイズが横溢し、ヴォイスとメロデイが「音楽の残骸」のように掠れた音を発している。
 サイケデリックでヘヴィ。トリッピーでチル。シューゲイズでグリッチ。さまざまな音が溶け合うクレメーション・リリィの最新作は、まさに「エレクトロニカ」と「ロック」と、「アンビエント」と「シューゲイザー」と「電子音響」と「実験音楽」が、波打ちぎわで消え去っていくような音を発している。まるで覚醒と夢のあいだを彷徨するような音響空間だ。「静電気を帯びた夢」という言葉そのものアルバムといえよう。

edbl - ele-king

 トム・ミッシュ以降を担うロンドンのプロデューサー、エドブラック。シングル曲で注目を集め、それらをまとめた編集盤『South London Sounds』で日本デビュー、新作『Brockwell Mixtape』も好調の彼だが、日本独自企画だった前者『South London Sounds』がアナログ化されることになった。しかもクリア・レッド・ヴァイナル。限定販売とのことなのでお早めに。

サウス・ロンドンから登場した新世代の才能=エドブラック(edbl)による日本デビュー・アルバム『South London Sounds』がクリア・レッド・ヴァイナルでリリース! 日本国内ではVINYL GOES AROUNDでの独占販売が決定。

トム・ミッシュやジェイミー・アイザックなど、ここ数年音楽シーンを賑わせているサウス・ロンドン・シーンから登場した新たなる才能の持ち主であるエド・ブラック。

トラックメイカーであり、プロデューサーであり、そしてギタリストでもあるアーティスト、エドブラックがこれまでデジタルのみでリリースし話題を呼んだトラックの数々を厳選/集約した日本独自企画による注目のアルバムがクリア・レッド・ヴァイナルでリリースされます。

日本国内はVINYL GOES AROUNDでの独占販売。限定数につきお早めにお買い求めください。

・VINYL GOES AROUND 販売ページ
https://vga.p-vine.jp/exclusive/vga-7749c/

・edbl - The Way Things Were Feat. Isaac Waddington (Official Music Video)
https://youtu.be/Mb95_G2bSxU

[リリース情報]
アーティスト:edbl
タイトル:South London Sounds
品番:PLP-7749C
フォーマット:LP(CLEAR RED VINYL)
価格:¥3,850(税込)(税抜:¥5,500)
※商品の発送は2022年6月中旬を予定しています。
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
※商品は一部他店にて流通するアイテムとなります。

[TRACK LIST]
・SIDE A
1. Charmaine Feat. Zach Said
2. Symmetry Feat. Tilly Valentine
3. Hard To Tell Feat. Carrie Baxter
4. Nostalgia Feat. Taura Lamb
5. Less Talkin' Feat. JAE
・SIDE B
1. Cigars Feat. Alfie Neale & Jarki Monno
2. (Baby Can We) Lift This Up? Feat. Hemi Moore
3. Table For Two Feat. Tilly Valentine & Bran Mazz
4. The Way Things Were Feat. Isaac Waddington
5. Breakfast In Bed Feat. Joe Bae

Lucrecia Dalt - ele-king

 昨年アーロン・ディロウェイとのすばらしい共作を送りだしたルクレシア・ダルト、コロンビア出身で現在はベルリンを拠点に活動しているこのプロデューサーが新作をリリースする。
 今春サム・ウォーカー監督のホラー映画『The Seed』で映画音楽デビューを飾っている彼女だが、つづいて今回はHBOのホラー・コメディ『The Baby』シリーズのスコアを担当。5/27に〈Invada〉と〈RVNG〉から発売される28曲収録のLPにおいて彼女は「奇妙な声、肉体の音、喉歌」を探求しているそうだ。現在 “Mareterna” が先行公開中です。


Nicolás Jaar, Other People - ele-king

 ニコラス・ジャーが新たにコンピを編纂している。20世紀後半のポーランドの前衛音楽/実験音楽を集めたもので、2枚に分散してのリリース。1959年から2001年まであったワルシャワのスタジオで録音されたもの。マトモスが先日発表した新作でもとりあげていたボグスワフ・シェッフェルはじめ、クシシュトフ・クニッテルやボフダン・マズレク、ヴォジミエシュ・コトニスキやエルジュビェタ・シコラなど、ポーランドの前衛音楽家/実験音楽家が多数ピックアップされている。これはチェックしておきたい。

artist: Various
title: Would It Sound Just As Bad If You Played It Backwards? A Collection of Sounds from the Studio Eksperymentalne Polskiego Radia (1959​-​2001) Vol. I
label: Other People
release: 20th May, 2022

tracklist:
01. Krzysztof Knittel - Lapis (1985)
02. Bohdan Mazurek - Canti (1973)
03. Magdalena Dàugosz - Yes and No (1990)
04. Barbara Zawadzka - Greya III (1991)
05. Barbara Zawadzka - Greya IV (1990)
06. Barbara Zawadzka - Greya II (1987)
07. Rudnik - Epitaph of Stones (1984)
08. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - I
09. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - II
10. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - III
11. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - IV


artist: Various
title: Would It Sound Just As Bad If You Played It Backwards? A Collection of Sounds from the Studio Eksperymentalne Polskiego Radia (1959​​-​​2001) Vol. II
label: Other People
release: 20th May, 2022

tracklist:
01. Wlodzimierz Kotoński - Study For One Cymbal Stroke (1951)
02. Symphony. Electronic Music For Tape Part I (performed by Bohdan Mazurek) (1966)
03. Elżbieta Sikora – Letters to M. (1980)
04. Bernadetta Matuszczak – Libera me (1991)
05. Elżbieta Sikora - View From the Window (1978)
06. Magdalena Długosz - Mictlan I (1987)
07. Barbara Zawadzka - Greya part V (1991)
08. Krzysztof Knittel - Poko (1986)

Autechre - ele-king

 忘れたころにやってくる、オウテカからのプレゼント。『AE_LIVE 2016​/​2018』と題された未発表ライヴ音源がバンドキャンプブリープにて販売されている。2015年にはじまり、2019年にどかっと追加された『AE_LIVE』シリーズ(WARP360)の続編、今回(WARP361)はタイトルどおり2016年と2018年、ザグレブ(クロアチア)、タリン(エストニア)、ヘルシンキ(フィンランド)、オスロ(ノルウェー)、ナイメーヘン(オランダ)、メルボルン(オーストラリア)、ダブリン(アイルランド)の7都市でおこなわれたライヴを収録したもの。トータルで7時間57分49秒。膨大なオウテカのライヴ・アーカイヴがさらに拡張されました。

artist: Autechre
title: AE_LIVE 2016​/​2018
label: Warp
release: 18th May, 2022

tracklist:
1. AE_LIVE_ZAGREB_061116
2. AE_LIVE_TALLINN_131116
3. AE_LIVE_HELSINKI_141116
4. AE_LIVE_OSLO_171116
5. AE_LIVE_NIJMEGEN_221116
6. AE_LIVE_MELBOURNE_210618
7. AE_LIVE_DUBLIN_150718

Jeff Mills - ele-king

 去る4月、ジェフ・ミルズ&ザ・ザンザ22名義にて「スロウライフ」のアイディアに触発されたアルバム『Wonderland』をリリースしたばかりだというのに、早くもソロ名義の新作『Mind Power Mind Control』が5月に送り出されている。「マインド・コントロール」なんて聞くとぎょっとするかもしれないが、膨大な情報に刺戟されつづけるネット時代、うつ病が深刻な問題になっている現代にあって、リスナーが心を掘り下げ、自分自身と向き合うためのコンセプト・アルバムだという。
 なおミルズは先日、アップル・ミュージックの新たな空間オーディオ対応DJミックスに「Outer To Inner Atmosphere: The Escape Velocity Mix」と題されたセットを提供してもいる。まったくスロウライフではないですね。

Artist: Jeff Mills
Title: Mind Power Mind Control
Label: Axis
Format: 12″x 2 vinyl / digital (with two bonus tracks)

track listing:
A1. Crossing The Threshold
A2. Scarlet
A3. Vibrant Sanguine
B. Hatsumi
C1. Vermillion
C2. Horizons
D. Transmutation

7g classic's - ele-king

 ジャズを出自に持ちながら、80年代はRCサクセションのキーボーディストとして活躍、バンドにニューウェイヴのセンスを持ち込んだり、エレクトロな名盤「BΛmp!」はいまだマニアには評価の高い、gee2wo(当時はG2と表記)。1990年4月のRC脱退後、いっさいの声明を出していなかったgee2woだったが、昨年リリースされたRCサクセション『PHAPSODY NAKED』のデラックス盤のブックレットには、東芝EMI時代の担当だった高橋康浩氏によるgee2woのインタヴューが掲載されている。その貴重な取材によれば、RC脱退後は世界中(おもに中東)を旅して、それら行き先で演奏し、現在は長野にスタジオを作って、ミュージシャンとして、プロデューサー‏‏‏/エンジニアとして音楽活動をしているとのこと。
 gee2woの新プロジェクト、7g classic'sが先月、デビュー・アルバム『くろすけ』をリリースした。これは八ヶ岳南麓に暮らすシンガーソングライター、ナナマリとのデュオで、ギターとピアノが心地よい、エレガントなポップ・アルバムに仕上がっている。RCのメンバーとして数々の名演を果たしてきたgee2woのピアノ——ジャズやブルースなどなど——がおよそ30年ぶりにたっぷり聴けるのも嬉しい限りだ。チェックしましょう。

7g classic's
くろすけ

Forest Group
発売中
https://nanamari.com/cdkurosuke

【ナナマリ (Vocal, Guitar, Composer etc.)】
高校生の時にギターと出会い、ロックやポップスバンドを組んで音楽活動をスタート。独学で音楽理論を学び、TV番組やメジャーアーティストなどへの楽曲提供も行う。2004年に山梨へ移住後は、ブラジル音楽(特にボサノヴァ)に傾倒し、ギター弾き語りスタイルでのライブ活動を開始。2008年1st Album「雨粒」をはじめ、カヴァー作品を含む計5枚のCDをリリース。

【gee2wo (Piano, Keyboard, Composer etc.)】
1980年代ロックバンド「RCサクセション」にてキーボードを担当。RC退団後は世界(主に中東)を旅し、のちに自然豊かな信州に移住。ジャズ、ブラジル音楽、ロック、レゲエなど様々なジャンルの音楽を追求し、新たなスタイルの確立を目指す。2020年長野市内にプライベートスタジオが完成。

【2022年ライヴ・スケジュール】
6/17 GNU 2nd(長野県松本市)
6/18 Booze Shelter(長野県信濃町)
6/26 メルローズイタリアーノ(山梨県北杜市)
7/29 Live Jazz ケルン(静岡県富士市)
7/30 DOXY(愛知県名古屋市)

Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz - ele-king

 6月26日に開催される東京は立川《FESTIVAL FRUEZINHO 2022》への出演に加え、名古屋&大阪公演も決定しているLAのプロデューサー、サム・ゲンデル。その新作はアントニア・サイトリノウィックスなる新人との共作なのだが、なんとまだ11歳だという。両者の即興でつくられたアルバムは、いったいどんな内容に仕上がっているのか。発売は7月6日。

Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz 『Live a Little』

折坂悠太の楽曲への参加等、勢いが止まらないサム・ゲンデルが、11歳の少女と完全即興で創り上げた奇跡の1枚がCDリリース決定!! クリエイティブとはどういうことか、イマジネーションとはなにか、なぜ人は音楽を紡ぐのかということを考えずにはいられない、アートのもつ普遍的で根源的な美しさが結晶された、圧倒的な作品!!

11歳の少女が口遊んだメロディと歌詞に、サム・ゲンデルが導かれて演奏するなんて、出来すぎた話だと思った。でも、このアルバムには、その奇蹟的で美しい即興の交わりが確かに収められている。サム・ゲンデルのディスコグラフィーの中で、最もイマジネイティヴで希望に満ちた作品として、このアルバムは残ると思う。(原 雅明 ringsプロデューサー)

アーティスト:Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz(サム・ゲンデル&アントニア・サイトリノウィックス)
タイトル:Live a Little(ライヴ・ア・リトル)
発売日:2022/07/06
価格:2,500円+税
レーベル:rings / Psychic Hotline
品番:RINC90
解説:原 雅明
フォーマット:CD

Official HP : https://bit.ly/37X0vrA

Pervenche - ele-king

 ele-king books でもデザインでお世話になっているお二方が所属する東京のギター・ポップ・バンド、1995年から活動をつづける Pervenche(ペルヴァンシュ)がなんと、2001年のファースト・アルバム以来となる2枚目『quite small happiness』をリリースする。20年前からつくりためてきた楽曲に加え、ボブ・ディランとピーター・アイヴァースのカヴァーも収録。レーベルは〈KiliKiliVilla〉、8月8日発売。「小さな幸せ」とのことで、どんな音楽が鳴っているのか楽しみだ。

40年後の遠い渚、もしくはノース・マリン・ドライブ
ポストパンク以降脈々と流れ続けた地下水脈、変わらぬ気持ちによって濾過されたピュアなサウンドが2022年の東京にひそかに湧出
ヴエルヴェッツ発ポストパンク経由ギター・ポップゆきの静かでながい旅

『quite small happiness』
 2001年リリースの1stアルバム『subtle song』から20年を経ての2ndアルバム。1stアルバム収録曲から3曲をリアレンジ、2001年当時から創り貯めた曲からセレクトした7曲にBob DylanとPeter Iversのカバーを含めた計12曲を収録。タムもしくはスネアだけのミニマムなリズムセクションの上にクリーントーンのギターとイノセントなボーカルによる、ポストパンクのビックバンから飛散した胞子の一粒。「The Velvet Underground III」の仄暗さと暖かさ、「Young Marble Giants」の孤独と癒し、「The Beat Happening」の先鋭と静謐、「Florist」の哀しみと優しさ。これら彷徨う魂に触発された、実験性と優しさが同居したフォークロック・アルバム。
 セルフプロデュースによるDIYレコーディングでの制作。元800cherriesのタカハシマサユキによるレコーディングとミックスはリビングにチューブアンプを持ち込んでライブ録音したような親密でいて蒼い炎のゆらめきを思わせる音像。皆さんの新たなスタンダードに加えてもらえたら、そんな小さな幸せを期待してこの作品をお届けします。

Pervenche
『quite small happiness』

8月8日発売
KKV-138VL
LP+CD
3,850円税込

収録曲
Side-A
1. Be Long
2. Cat Horn(Good Night)
3. Blue Painting
4. I'll Keep It With Mine
5. Simple Life
6. Out of The Room
Side-B
1. We Surely Become Happy
2. I Think So
3. Miraculous Weekend
4. Fade Away
5. Quite Small Happiness
6. What's New

Pervenche
1995年、Clover Recordsの創設者であるサイトウマサトのバンドPeatmosとして活動を開始し、1997年からPervencheへ改名。1998年のフランス・ツアーを経て、2001年に1stアルバム「subtle song」をリリース。800 cherriesのタカハシマサユキを加えたラインナップで2016年から活動を本格的に再開し2ndアルバム「quite small happiness」を制作。タムもしくはスネアだけのミニマムなリズムセクションの上に蒼い炎のゆらめきを思わせるクリーントーンのギターとイノセントなボーカル。Feltなどのポストパンクに触発された実験性と優しさが同居したフォークロックバンド、もしくはフォークの影響を受けたYoung Marble Giants。

LPと同時発売のCDは2枚組でリリース、2010年に録音した未発表プロトバージョン。
1stアルバムからのミッシングリンク『Another Quite Small Happiness』にプレ・ペルヴァンシュ Peatmosの音源を収録。

Disc 1 収録曲
01. Be Long
02. Cat Horn(Good Night)
03. Blue Painting
04. I'll Keep It With Mine
05. Simple Life
06. Out of The Room
07. We Surely Become Happy
08. I Think So
09. Miraculous Weekend
10. Fade Away
11. Quite Small Happiness
12. What's New

Disc 2 収録曲
Pervenche - Another Quite Small Happiness
01. Simple Life
02. Quite Small Happiness
03. Cat Horn(Good Night)
04. Out of TheRoom
05. Mess
06. Blue Painting
07. Earl Gray Tea
08. What's New
Peatmos - Watching Us With Archaic Smile
09. earl grey tea
10. many suns
11. to my little friends
12. mad cow disease
13. mess
14. picnic
15. d'yer wanna dance with kids
16. out of the room
17. blue painting
18. play the wind

Terao Saho - ele-king

 シンガーソングライター、寺尾紗穂が6月22日にニュー・アルバム『余白のメロディ』をリリースする。間に『わたしの好きなわらべうた2』を挟みつつの、前作『北へ向かう』からは2年ぶりとなる新作で、オリジナル・アルバムとしては通算10枚目を数える。自身も参加するバンド冬にわかれてのあだち麗三郎や伊賀航ほか、多くのアーティストが参加。さらなる深みを増した歌に注目しよう。

寺尾紗穂による記念すべき通算10作目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』が完成。今再び、全ての人を歌の生まれる場所へと誘い出す、珠玉の作品集。

2006年のデビュー以来、現代日本を代表するシンガー・ソングライターとして数々の歌を作り続けてきた寺尾紗穂。2022年6月22日、記念すべき通算10枚目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』を発表する。
この世界の深淵に潜む様々な感情、光景、出来事を、類まれな才能ですくい取ってきた歌世界は、ここに至って、さらなる広がりと奥行きを獲得した。彼女の歌には、ときに鋭く社会的な問題意識も反映されてきたが、もちろん、それだけが理由で多くの者の心を捉えてきたのではない。寺尾紗穂の歌は、これまでも常に「言葉にし得ないもの」への関心と近しさを湛えており、だからこそ、聴く者の内にある深い部分に触れてきたのだ。
本作は、とりわけ「楕円の夢」以降寺尾が探求してきた、正論や正義、漂白されていく社会から距離をとった「余白」と、そこにこそ息づく希望や夢といったテーマが、最も美しい形で結晶した、キャリア史上に輝く傑作だと断言できる。日々「変わりつづける世界」への疲弊と、無情にも「変わらない世界」への絶望。あなたやわたしを取り囲む孤独が氷のように固まってしまっても、寺尾の音楽は、人がこの世界にひとしく生まれ落ちた事実を希望として浮かび上がらせ、そのこわばりをゆっくりと溶かしていく。
『余白のメロディ』は、不信に唆され、ついには歌うことのできなくなった人々を、今再び歌の生まれる場所へと誘い出す。
バンド「冬にわかれて」での活動を通し更に紐帯を強めたあだち麗三郎、伊賀航をはじめ、池田若菜、高橋三太、未知瑠、そして新進気鋭のシンガーソングライター/トラックメイカーMomの他、多くのアーティストが録音に参加し、より一層の壮麗さと繊細を増した寺尾の歌唱/ピアノ演奏を支える。
本作の核とでもいうべき曲「歌の生まれる場所」をはじめ、オリジナル曲の充実ぶりは、まさに至高といえる領域へと達した。また、「良い帰結(Good End)」ではMC.sirafuが、「期待などすてて」「灰のうた」では松井一平が歌詞を提供しており、お互いのクリエイティビティが溶け合った見事なコラボレーションを聴かせてくれる。加えて、寺尾にとっては歌の道を選ぶことになるきっかけとなった重要曲、西岡恭蔵「Glory Hallelujah」を収録、原曲の魅力を汲み取りつつ、そこへ新たな生命を吹き込んでいる。

寺尾紗穂 10th album
『余白のメロディ』

2022.06.22 in stores
品番:KHGCD-002
CD定価:¥3,000+税
発売元:こほろぎ舎
CD販売元:PCI MUSIC

01.灰のうた
 作詞:松井一平 作曲:寺尾紗穂
02.良い帰結(Good End)
 作詞:MC.sirafu 作曲:寺尾紗穂
03.確かなことはなにも
 作詞・作曲:寺尾紗穂
04.ニセアカシアの木の下で
 作詞・作曲:寺尾紗穂
05.期待などすてて
 作詞:松井一平 作曲:寺尾紗穂
06.森の小径
 作詞:佐伯孝夫 作曲:灰田有紀彦
07.光のたましい
 作詞・作曲:寺尾紗穂
08.僕の片割れ
 作詞・作曲:寺尾紗穂
09.歌の生まれる場所
 作詞・作曲:寺尾紗穂
10.Glory Hallelujah
 作詞・作曲:西岡恭蔵

[寺尾紗穂 プロフィール]
1981年11月7日生まれ。東京出身。
大学時代に結成したバンドThousands Birdies' Legsでボーカル、作詞作曲を務める傍ら、弾き語りの活動を始める。2007年ピアノ弾き語りによるメジャーデビューアルバム「御身」が各方面で話題になり,坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。大林宣彦監督作品「転校生 さよならあなた」、安藤桃子監督作品「0.5 ミリ」(安藤サクラ主演)の主題歌を担当した他、CM、エッセイの分野でも活躍中。2009年よりビッグイシューサポートライブ「りんりんふぇす」を主催。2019年まで10年続けることを目標に取り組んでいる。2020年3月に最新アルバム「北へ向かう」を発表。坂口恭平バンドやあだち麗三郎、伊賀航と組んだ3ピースバンド“冬にわかれて”でも活動中。2021年「冬にわかれて」および自身の音楽レーベルとして「こほろぎ舎」を立ち上げる。
著書に「評伝 川島芳子」(文春新書)「愛し、日々」(天然文庫)「原発労働者」(講談社現代文庫)「南洋と私」(リトルモア)「あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々」(集英社)「彗星の孤独」(スタンドブックス)、『天使日記』(スタンドブックス)があり、新聞、ウェブ、雑誌などでの連載を多数持つ。

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