「K A R Y Y N」と一致するもの

Haruka - ele-king

B.G.M.10


1
Ricardo Villalobos,Max Loderbauer - Re: ECM - ECM

2
Raymond Scott - Soothing Sound For Baby - Basta

3
John Mcguire - Pulse Music ... - Sargasso

4
Jim O'rourke - The Visiter - P-Vine

5
V.A. - I Don't Feel At Home In This World Anymore - Mississippi

6
Joe Meek & The Blue Men - I Hear A New World - RPM

7
Fripp & Eno - Evening Star - Editions E.G.

8
Haruka,nicciee - Detox Audio - CDR

9
Aphex Twin - Selected Ambient Works 85-92 - Beat Records

10
Nsi. - Plays Non Standards - Sahko

Chart by STRADA RECORDS 2011.10.14 - ele-king

Shop Chart


1

CLAUDIO MATE

CLAUDIO MATE M2G4 FLYING DONKEY(GER) »COMMENT GET MUSIC
KIRK DEGIORGIOの前作に続くFLYING DONKEYレーベル第三弾はKLAP KLAPでのリリースで知られるCLAUDIO MATEの12インチ!本作は過去DERRICK MAY、CARL CRAIGらの傑作リミックスが存在し、もう手をつける人もいないだろうと思われていたManuel Gottsching『E2-E4』モチーフの作品!シンセ・リフやベース・フレーズなどキー・ポイントはオリジナルに忠実に現在のフロア向けに絶妙にブラッシュ・アップされたエレクトリック・テック・ハウスな仕上がり!ORLANDO VOORNによるストイックなデトロイト・ミックスも◎!

2

JONATHAN MEYER

JONATHAN MEYER MANY THINGS EP MADHOUSE(US) »COMMENT GET MUSIC
PURPLE MUSICからもリリースしていたJONATHAN MEYERがご存知KERRI CHANDLERのレーベルMADHOUSEから12インチをリリース!さすがにこのレーベルからリリースだけあって、ボトム・ヘヴィーでタフなインスト・ハウスばかりを全4曲収録!A1はKERRI CHANDLERによるリミックス!

3

RKZBX WITH LUV

RKZBX WITH LUV 52 DAYS SPIRIT DROPZ(US) »COMMENT GET MUSIC
詳細不明ながら大注目のエディット~マッシュ・アップ盤!ナントLarry Levanがミックスを手掛けた人気ダンス・クラシックJanice McClain「Smack Dab In The Middle」のトラックに、Whitney HoustonによるChaka Khanの名曲カヴァー「I'm Every Woman」のヴォーカルを巧いこと乗せてしまった一品!マッシュ・アップって一歩間違えばダサダサになってしまいますが、これはアイデア的にも仕上がり的にもスゴイ!

4

KRAMER

KRAMER HOUSE REVENGE 2 HOUSE REVENGE(FR) »COMMENT GET MUSIC
ASHLEY BEEDLEとDERRCIK MAYがKRAMER DASHWOOD名義で96年にリリースした「WHAT HASBEEN JOINED BY GOD...」が限定クリア・ヴァイナルで復刻!FIRST CHOICEの傑作「LET NO MAN PUT ASUNDER」のブート・リエディットとなる本作は、ASHLEY BEEDLEサイドの「RON HARDY'S GHOST」とDERRICK MAYサイドはMIX CD『MIX UP』でも使われた「CAR CRASH MIXER」をスプリット収録!オリジナルは100ユーロのプレミア価格で取引されていた激レア盤なだけにこれは嬉しいリリース!お早めに!

5

MIDNIGHT MAGIC

MIDNIGHT MAGIC DROP ME A LINE PERMANENT VACATION(EU) »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEYもプレイし大ヒットしたネオ・ディスコ・チューン「Beam Me Up」も記憶に新しいMidnight Magicが待望の第2弾シングルをリリース!「Beam Me Up」同様、古くて新しいダンス・クラシック的なグルーヴィー・トラックに女性ヴォーカルがバッチリ決まってます!Holy Ghost!やSteffiによるリミックスも収録!

6

PIRAHNAHEAD & DIVINITI

PIRAHNAHEAD & DIVINITI (JUST LIKE)A DREAM WHASDAT (US) »COMMENT GET MUSIC
デトロイトのクリエイターPirahnaheadと女性ヴォーカリストDivinitiとの黄金タッグ!リミキサーにはUKのJose Carretasが起用されており、メロディアスで心地良い極上リミックスを披露しています!ヴォーカル・ハウス好きはマスト!

7

MANUEL TUR

MANUEL TUR FOOLIN' DELUSIONS OF GRANDEUR(UK) »COMMENT GET MUSIC
大人気レーベルDelusions Of Grandeurからドイツ出身で現在はUKで活躍中のクリエイターManuel Turが12インチをリリース!今作では渋い男性ヴォーカルをフィーチャーしたかなりグルーヴィーで黒~いハウスを展開!B面にはシリアスなストリングスが印象的なディープ・インスト・ハウスを収録!

8

UGLY DRUMS

UGLY DRUMS QUITE FRANKFUL QUINTESSENTIALS(GER) »COMMENT GET MUSIC
VAKULAやANTON ZAP等による良作連発で磐石の地位を築きつつある次世代ディープ・ハウス・レーベルQUINTESSENTIALSからドイツのSTEFFEN BALDOの新名義UGLY DRUMSの12インチがドロップ!なんとなくUGLY EDITを連想させるその名の通りTHEO PARRISHを思わせる黒くドープなデトロイト・ビートダウン直系サウンド!古いジャズ系の質感の生ピアノやエレピ、パーカッションを用いたジャジー・トラックのB1、ディスコっぽいファンキー・ベースが光るジャズ・ファンク・ハウスなB2などハイ・センスな内容!

9

QUINTUS PROJECT

QUINTUS PROJECT NIGHTFLIGHT-PSYCHEMAGIK/LEXX REMIXES DERWIN(GER) »COMMENT GET MUSIC
JAZZANOVAのALEX BARCK主宰の新レーベルDERWIN RECORDINGSから、87年当時300枚限定でリリースされたQUINTUS PROJECTのアルバム『MOMENTS』に収録されていた「NIGHT FLIGHT」がフロ ア向けに低音を強化エディットしたPSYCHEMAGIKとLEXXによる新録リミックス入りで12インチで復刻!美しいピアノが印象的な多幸感溢れるチル系バレアリック・サウンドの傑作です!

10

TRIDACT

TRIDACT OVER THE CLOUDS INTERNASJONAL(EU) »COMMENT GET MUSIC
Prins ThomasのレーベルInternasjonalから、アメリカ西海岸を拠点とするクリエイターBrandon JohnsonによるプロジェクトTridactが12インチをリリース!安定感バツグンのボトムにシンセのアルペジオが気持ち良い、ドリーミーなバレアリック・チューン!

Spank Rock - ele-king

 ベニー・ブランコと組んで2・ライヴ・クルーに捧げたミニ・アルバム『バンガーズ&キャッシュ』があいだに挟まっていたとはいえ、『ヨー・ヨー・ヨー・ヨー・ヨー』からは5年ぶりとなるセカンド・アルバム。半分ほどの曲と全体のミックスはジャーマン・エレクトロのボーイズ・ノイズが手がけており、不仲説が伝えられていたXXXチェインジも2曲に参加している(単にやりかけの曲が残っていただけかもしれないけれど......)。アナログ盤は異なるのか(?)、 CDのジャケット・デザインに使われていたアレックス・ダ・コルテのインスタレイション「ガーリック・プッシー」には、権利問題にうるさい「キティちゃん」が使われているため、トモちゃんやあゆのファンが買い占めたり、まさかだけど、回収になったりする前に買っておこうかなと(そうです、ヴォルフガング・フォイトに続いてジャケ買いの要素が強かったでした)。

 ダブステップが大きく浮上してきた2006年、スパンク・ロックを聴いて最初に思ったことは、ようやくアメリカからエレクトロニクスの比重が異常に高いヒップホップ・サウンドが出てきたということだった。スウィズ・ビーツやネプチューンズなど部分的に電子音を取り入れていたプロデューサーも少なくはなく、Eに手を出したエミネムがその動きを加速させたということもあったのかもしれないけれど、アフリカ・バンバータの導入部を思わせるほど全編にエレクトロニクスを導入したヒップホップ・アルバムは、それまではヨーロッパにしか存在しなかった。808ステイトがバック・アップしたMCチューンズやルースレス・ラップ・アサシンズ、あるいはベティ・ブーやTTCなど「そんなものはヒップ・ホップじゃない」と思われていた人たちばかりである。

 ボルチモア・ビートを代表するのかしないのかよくわからなかったスパンク・ロックも、しかし、受け入れられたエリアがアメリカだとはとても言いがたい。リミックスのオファーもCSS、TCCのテキ・ラテックス、コールドカット、レディ・ソヴリンと基本的にはイギリスで、ハード・ファイのミックスCDにフィーチャーされたかと思えば、ビヨーク"アス・イントゥルーダーズ"へとキャリアは続いていく(トム・ヨークが興味を示したことも驚きだった)。僕もサマー・ソニックのために来日した彼らにインタヴューの機会をもらい、オール・タイチを聴かせてみたりした。要するに「違うこと」をやると果てしなく「違うこと」に付き合わされてしまうという好例である。ちなみにMCスパンク・ロックは非常に静かな人物で、とても卑猥な歌詞で有名になった男とは思えなかった。どこか哲学的な雰囲気さえ漂わせていた。『すべては退屈で、誰もがひどい嘘つきだ』というアルバム・タイトルは、しかし、そのような印象を持っていたせいで、どこか説得力を感じさせるものではある。"ナスティ"や"クール・シット"など従来のイメージを上書きするだけの曲名にも事欠きはしないものの、"人種暴動"や"降りる"などという曲名も目には飛び込んでくる。歌詞が載っていないので詳細は判然としないけれど。

 サウンドに大きな変化はない。オープニングからエレクトロ・ヒップホップの連打。用途不明のバカバカしさは失われていない。"カー・ソング"は初期の電気グルーヴみたいなシンセ-ポップで、"ベイビー"は同じくプリンスにしか聞えない(なんとなく、なるほどと思わせる)。"ザ・ダンス"はXXXチェンジのプロデュースで、スーサイドにはほど遠いエレクトロニック・ロックン・ロール。同じくダニエル・ミラーのザ・ノーマルに通じる"DTF DADT"や先行シングル"エナジー"は唐突にに歌い上げるパターン(笑)。"レイス・ライオット"や"ホット・ポテト"にはいつになくモンド色が加味されている(!)。

 それにしても軽薄この上ない。楽し...い。

vol.14 : N.Y. these days - ele-king

 ニューヨークでは毎日いろんなところでさまざまなショーがおこなわれている。行かなければそれで終わり。すべては自分次第。自分がどうこのシーンに関わりたいか......である。
 私はベッドフォードとS 1stという便利なロケーションで仕事をしているので、ショーにはアクセスしやすい。例えば、先週の日曜日(10/2)は、トーク・ノーマル、イレース・イラッタのショーが〈グラスランズ〉であり、友だちのソフィア・カップのショーが〈カメオ・ギャラリー〉であった。
 〈グラスランズ〉はうちのオフィスから2~3ブロックのところにあり、〈カメオ・ギャラリー〉は6ブロックぐらい先にある。歩いてもたぶん10分ぐらいなので、気軽に往復できる。〈グラスランズ〉の隣には285 kent aveという別のヴェニューがあり、ぐるっと角を回った先には〈デス・バイ・オーディオ〉というまた別のヴェニューがある。〈グラスランズ〉では、その前の日曜日には、ザ・スーザン、ハード・ニップス、ロストボーイのショー、今週はエクストラ・ライフ、ミック・バー、GFDX (リタジーのグレッグ)のショーがあった。いつ行っても何かやっているので、ついついふらっと立ち寄ってしまう。

 先週の日曜日(10/2)のトーク・ノーマルとイレース・イラッタのショーは、どちらも久しぶりのライヴだった。イレース・イラッタにいたってはおよそ5年ぶりかもしれない。
 オープニングは元エル・グアッポというバンド、エディ・セドウィックほか2バンド。日曜日にしてはお客さんもきっちり入っている。
 最初はソフィアを聴きに〈カメオ・ギャラリー〉に向かう。それはラヴィン・カップ・カフェのバックルームにあり、初めてここに来たときカナダのポップ・バンドのモンタグをみたことを覚えている。カフェではビールが1ドルと激安なので、よくハングアウトしている場所でもある。
 その晩の共演はロバート・ロウのLichenというバンドだった。彼は、以前は90 デイ・メンというバンドでもプレイしていて、ソフト・サークルのヒシャムとよくショーをおこなっている。ソフィアは、元ライツというバンドでプレイしている。いまはソロで、〈ドラッグ・シティ〉のアーティストとして活躍している。10月はレジデンシーとして毎週日曜日演奏しているが、毎回違う編成でプレイするという。その晩はソフィアがアコースティックギターで、もうひとり(男の子)のメンバーがキーボードで参加していた。
 ソフィアと似たアーティストとしては、シャロン・ヴァン・エッテンの名が挙げられる。彼女は最近〈ジャグジャグア〉と契約している。どちらも日本ではまだまだ名の知られていない女の子のシンガー・ソング・ライターである。


力強くも美しい歌を響かせるSophia

 ソフィアが終わり、〈グラスランズ〉に戻ると、ちょうどトーク・ノーマルのライヴの真っ最中だった。トーク・ノーマルのサラは、少し前まで〈グラスランズ〉の隣の285ケントに住んでいて、(当時はウエスト・ナイルという名前だった)、私はそのショーによく行っていたので、彼女とは普通に家でハング・アウトしているような感じで道ばたでよく顔を合わせていた。いまは少し南のほうに引越し、元ダム・ダム・ガールズ、ヴィヴィアン・ガールズのフランキー・ローズ(現フランキー・アンド・ジ・アウツ)やシンダーズのストなどと、7人ぐらいでロフトに住んでいるらしい。去年日本にも来日したこともあって、いまの日本の状況に関する気になるいろんな話をした。ドラムのアンドレアは、その日は偶然というか、日の丸タンクトップを着ていたし、もともと彼女は日本が大好きで、よくうちのカフェでハングアウトしては、本を片手に、いろんな質問をしてくる。もちろん飲み物はソイ・グリーンティ・ラテ(豆乳入り抹茶)を愛飲。ライヴは、少し新曲も披露していた。最近はレコーディングをしていて、ライヴする量を減らしているそうだが、来週のCMJでは、フランキー・ローズとトーク・ノーマルが共演する。


激しいノイズ、Talk Normalのライヴ

 イレース・イラッタは、4人編成で、メンバーはみんな、白ベースのTシャツに幾何学模様のレギンス・スタイル。ドラムの女の子とキーボードの女の子が新しい......と思ったらキーボードは、トーク・ノーマルの来日でベースを弾いていたクリスティーナだった。彼女はイレース・イラッタなどのレコードのエンジニア兼プロデューサーでもある。
 そしてこの日曜日は、リタジーのグレック・フォックスのバンドやミックバーが〈グラスランズ〉で、その次の日、月曜日は、〈ニッティング・ファクトリー〉で、DMBQ、ボアダムスの増子慎二のソロ、ソフト・サークル、マン・フォーエヴァー、リタジーがプレイ。月曜日から盛りだくさんだ。
 マン・フォーエヴァーは、キッドがオネイダで〈オール・トゥモローズ・パーティーズ〉でプレイしていて、飛行機が間に合わず、代わりにヒシャムが指揮を取っていた。今日出演したメンバーは、ほとんどマン・フォーエヴァーに参加していたのだが、リタジーのグレッグは、ここ何日間かウォール・ストリートのライヴラリー・パークに立てこもり、その様子を事細かに報告してくれた。たくさんのミュージシャンがウォール・ストリートに現れては、ゲリラ・ライヴを繰り広げているが、グレッグはベネフィット・ショー、その様子をレコーディングしてアルバムを作る企画をしている。


USインディ・シーンに長年活動を続けるErase Errata

 そう言えば2週間前に、PS1(クイーンズにあるミュージアム)にプリンテッド・マター主宰のアート・ブック・フェアを見にいったのだが、たくさんのアート・ジンが庭の一角にテントを張って所狭し出店し(シンダーズももちろんいた)、自分たちでバスを持ち込んでブースにしていたり、建物のなかにはいるとミュージアムで売られているような、きちんとしたアート本があり、その上にはショーペーパー、サップなどの音楽系の媒体のブースもあり盛りだくさんだった。階段の踊り場では、バンドがプレイしていて、私が見たのはリタジーとも良く共演しているバルチモアのバンド、エド・シュレイダーだった。ドラムとギターのふたり編成で、ドラムはスネアのみ、下からライトを照らし、Tシャツを上からかけて演奏していた。キャラ的にもなかなか良くて、聞けば本人はコメディアンでもあるらしい。


ユーモラスなアヴァン・ポップを演奏するEd Schrader

 3日続いたこのアート・ブックフェア、ソフト・サークルやグレッグの別バンド、ガーディアン・エイリアン、プリンス・ラマなど、私がよく見に行くバンドもプレイしていた。行くところに行くと同じ人が集まって同じテイストの人がいる。日本からはジーンズ・ メイト(zines mate)が参加していて、オノ・ヨーコの本などを売っているのを見た。そういえば、トム・トム・マガジンという女の子のドラマーばかりを扱うマガジンの子たちもいて、日本の女の子のドラマーを特集したいので教えてとせがまれた。すでにあふりらんぽのピカチュー、ボアダムスのよしみちゃん、mi-guのゆうこさん、ブン・ブン・サテライツのようこさんは紹介済みですが、誰か知ってますか?

 ニューヨークのインディペンデント音楽シーンのひとこま。毎日動き、人びとが中心になり、つながり、作り上げている。来週は怒涛のCMJ週間をレポートします。

#4:ステファン・ゴールドマンとの対話 - ele-king

 実験精神旺盛なレーベル〈Macro〉のオーナーであり、〈Panorama Bar〉でもレギュラー・パーティに出演するDJであり、ハウスと現代音楽を横断するプロデューサーでもある生粋のベルリナーであるステファン・ゴールドマン。日本でも人気は高いはずだが、不思議なことにこれまで日本のメディアに取材を受けたことはないという。しかも来年には3ヶ月日本に滞在する予定になっている。これはぜひ日本の音楽ファンにも彼のことを知って頂きたいと思い、インタヴューを行った。ちょっと意外なバックグラウンドのこと、レーベルのこと、父フリードリッヒ・ゴールドマンのこと、そしてベルリンのことを聞いた。

父がレコードをかけている姿はほとんど記憶にないです。それより楽譜を読んでいました。音を聴かなくても楽譜を読むことでその音楽が彼には聴こえていたんですよ。まるで新聞を読むように楽譜を読んでいた。変な感じでしょう? 僕にはできませんけどね、世のなかにはそういう人もいるんです(笑)


Stefan Goldmann
Macrospective
Macro/Octave-lab

amazon

本邦初インタヴューということで、いろいろ伺いたいことはあるんですが、まずは最近のリリースの話からにしましょうか。レーベル〈Macro〉設立から5周年、そして25番目のリリースとしてミックスCD『Macrospective』が出たばかりですよね。

ゴールドマン:そうですね。

まったく同じトラックリスト(選曲)をあなたとフィン・ヨハンセンふたりのDJがそれぞれ違う順序でミックスするという、ちょっと変わったダブルCDですが、このアイディアはどのように生まれたんですが?

ゴールドマン:収録している曲自体はデジタルでしたら誰でも変えますし、フィンも僕もすでにミックスやポッドキャストはかなりの数やってきているので、普通のミックスではつまらないと思ったんです。商品としてそれほど魅力がない。そこで特別でユニークなものにするにはどうしたらいいか考えたんです。いままで誰もやっていないし、5周年を機に過去のリリースを振り返る意味でもいい企画だと思いました。聴く人がそう思ってくれるといいんですけど!

資料によるとフィンのミックスは一発ライヴ録りだそうですが、あなたのミックスはどのように録ったんですか?

ゴールドマン:僕のもレコードでライヴ録りですよ。ただフィンは本当にクラブでプレイするみたいに、その場で曲順も決めずに「一発録り」したのに対し、僕は8~9回録ってみた中で一番満足できたものを出しました。多少雑音を消したりといった後処理はしましたけど、ミックスはいじってません。だから若干のミスは残してあります。

あなたのDJとしてのキャリアは、実はあまり知らないんですが、いつ頃からやっているんですか?

ゴールドマン: 学生の頃にドラムンベースを回しはじめたのが最初ですね。98年くらいかな。友だちとベルリンでアンダーグラウンドなパーティをオーガナイズしてたんです。 その後2年ほどDJを止めていた時期がありました。あまりその頃の新しいドラムンベースの流れが好きじゃなくて。それで自分で制作をするようになったんですが、「ドラムンベースじゃなくてハウスが作りたい」と思ったんですよ。でもそれまでハウスをやっていなかったので、ハウスDJとして自分のスタイルを確立するまでには少し時間がかかりました。「プロ」としてDJをするようになったのは、最初のリリースが〈Classic〉からだったこともあり、ドイツではなくUKでよくやっていました。〈Perlon〉から曲を出してからですね、ドイツやそれ以外の国でもやるようになったのは。2004~2005年くらいかな。

実は先日Discogsであなたの過去のリリースを確認するまで、〈Classic〉からデビューしたということは知らなかったんですよ。ちょっと意外でした。〈Classic〉と言えばデリック・カーターのイメージが強かったので。

ゴールドマン:でも実はかなりオープンなレーベルなんですよ。イゾレーやアトランティック・フィージョンのようなものも出してましたし。

ドラムンベースに飽きてから制作をはじめたとおっしゃいましたが、それまでは音楽制作はしていなかったんですか?

ゴールドマン:バンドでベースギターを弾いていたことなどもありましたが、コンサートをやるというようなレヴェルではなくて、仲間とジャム・セッションをしていた程度ですね。

最初に世に出たのは〈Classic〉からの「Shnic Shnac EP」だったと。

ゴールドマン:実はその前に、〈Classic〉の姉妹レーベルである〈Music for Freaks〉から、Simitliという名義で2002年に1枚EPを出しているんですけど、本名で出したのはそれが最初です。

それはどういう経緯で?

ゴールドマン:自分の曲がいくつか出来上がったときに、どこに送ればいいかわからなかったので、まずは〈Poker Flat〉とか〈Playhouse〉に送ってみたんです。反応はあったんですが、リリースには至らなかった。そこで、当時〈WMF〉クラブのレジデントだったDJディクソンにデモを渡して聴かせたところ、とてもいいと言ってくれて。「外国のトップ・レーベルに送ってみたらいい」とアドバイスをもらい、「例えばどんなところがいいと思う?」と聞いたらいくつかのレーベルのリストをくれた。その内のひとつが〈Classic〉で、約1週間後に返事が来て「あなたと仕事がしたい」と言ってくれたんです。

ディクソンがきっかけだったとは面白いですね(笑)。

ゴールドマン:なんせ僕はハウスのことは詳しくなかったのでね。それまで〈Classic〉のことも知りませんでした。後で気づいたらいくつか〈Classic〉のレコードを持っていましたけど。

そして2007年に〈Macro〉を立ち上げたわけですね?

ゴールドマン:実は〈Classic〉からアルバムを出すはずだったんですが、その過程でレーベルが倒産してしまって。その後レーベルは再建されましたけど、アルバムはリリースしてもらえず終いだった。だから他に出してくれるレーベルを探しはじめて、〈Perlon〉とほとんど話をまとめたんですが、彼らはものすごい量のリリースを抱えていて、出るまでに1年以上かかりそうだということになって。それに、レーベルのA&Rに「このトラックはいいけど、そっちはダメ。これをA面にしてB面はあれにしよう......」と指図されるのにも疲れて、だったら収録曲から発売日まですべて自分でコントロールできる自分のレーベルをやろうと思ったんです。

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父、フリードリッヒ・ゴールドマンはクラシックの作曲家であり指揮者でもありました。現代的・アヴァンギャルドな作品を手がけていました。シュトックハウゼンなどの系譜の音楽ですね。ですから、僕自身もそういう音楽を聴いて育ちました。十代の反抗期に入るまでは(笑)

フィン(・ヨハンセン)は立ち上げ当初から共同オーナーだったんですか? それはどういう経緯で?

ゴールドマン:やはりレーベルをはじめるにあたり、ひとりでは不安だったので誰か頼れる人が欲しかった(笑)。まだ知り合って1~2年の頃でしたが、彼とはすぐに意気投合して。彼はドイツの音楽雑誌『De:Bug』や『Groove』、『Resident Advisor』のようなウェブサイトにも原稿を書いてきた経験があったので、プレス業務にぴったりでした。レーベルのコンセプトについても共通の理解があったし、同じ考え方を持っていたので協力し合うことにしたんです。

5年経って、これまでのレーベルの歩みを振り返ってみてどうですか?

ゴールドマン:やはりレーベルをはじめたときは、「こんな人と仕事したい」とか、「こんな作品を出したい」というアイディアを勝手にいろいろ持っていて、それが実現可能かどうか、相手が僕らと一緒に仕事をしてくれるかどうか全然分かりませんでしたが、実際その多くを実現できました。それに、まったくの新人であるエレクトロ・グッツィのようなアーティストを世に紹介できたことも、とても誇りに思っています。素晴らしいリミキサーたちにリミックスを手がけてもらうこともできました。5年間を振り返ってみても、いい「音楽ファミリー」を築けたと感じますね。〈Classic〉や〈Perlon〉や〈Innervisions〉では絶対に出さないような風変わりな自分の作品も出すことができましたし(笑)。まだしばらく続けていける、いい基盤が整ったように思います。

レーベルのA&Rとしては、どんな基準で出すアーティストや作品を選んでいるんですか?

ゴールドマン:陳腐な言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、私たちが求めているのはユニークなサウンドを持っているアーティストです。「○○っぽい」とか、「××風」、あるいはすでに〈Macro〉で出しているアーティストのような作品はもう必要ありません。他のレーベルが出していないようなものを出してきたと思いますし、それがひとつの判断基準になっていますね。プロダクションの上手さにはそれほどこだわりません。まあまあのアイディアで精巧に作られたものよりも、技術的にはそれほど高度でなくても面白いアイディアが光るものがいい。

実際にはどうやってそういうものを見つけ出すんですか? 積極的に探しに行くのか、それとも勝手に集まって来るものですか?

ゴールドマン:いろいろですね。個人的な知り合いを介してということもありますが、エレクトロ・グッツィなどはまったく接点はないのに向こうからレーベルのことを知ってデモを送ってきてくれました。ピーター・クルーダーは、もともとレーベルのプロモを送っていた相手でした。リリースを気に入ってくれていて、ある日「こんな曲があるんだけど、良かったら出さない?」と曲をくれて。「ワオ、ほんとですか?」という感じでしたね。

なるほど。でもレーベルのカラーを保ちつつ、ユニークなものに寛容であることは難しくないですか?

ゴールドマン:レーベルのやり方というのは主にふたつの方法に分けられると思います。ひとつは、特定のサウンドを確立して、それを追求する方法。でもこの方法は短期的には有効ですが、長期的に続けるのは難しい。5年以上は無理だと思います。もうひとつの方法が、ひとつひとつのリリースを個別に扱う方法。〈Warp〉や〈Ninja Tune〉のようなレーベルはこれをやってきたから、聴く人を驚かせながら長く人気を保つことに成功しています。

いま例に出てきたレーベルは、同じアーティストと継続的に仕事をしてともに成長してきたレーベルでもありますよね。

ゴールドマン:そうです。まだ〈Macro〉は5年しか経っていませんが、そういうつもりでやっています。いま一緒に仕事をしているアーティストたちとはずっと一緒に成長していきたいですね。若いアーティストというのは、そのときにいくつかいいトラックが作れても、同じクオリティのものを作り続けることが出来るとは限りません。ですから、潜在力、成長の可能性を見出すことが重要だと思いますし、〈Macro〉ではそういうアーティストたちと仕事をしているつもりです。だから10年後、15年後も一緒にやっていけたらいいなと思っていますよ。

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B面とD面を組み合わせてループを構築することができるようにしたものを出しました。片方が4/4拍子で、もう片方が3/4拍子なので、同時にプレイすることで異なるリズムのループを作れるようになっています。何か人がやっていないことを考え出すのは、僕の趣味みたいなものです(笑)

レーベルの今後の展開として、新たな計画などはありますか?

ゴールドマン:今後の予定は、同じアーティストたちと一緒にやっていくということ以外はとてもオープンです。向こう6ヶ月ほどの予定は決まっていますが、それ以降は決めていません。年内はエレクトロ・グッツィの新しいアルバムが11月に出て、ピーター・クルーダーのシングルが12月に出ます。来年は、そろそろ自分の制作に集中したいと思っています。ですから、リリースの数は少し減るかもしれません。実は、4月から京都にしばらく滞在する予定なんです。僕はハードウェアを中心に曲作りをするので、それまでにはある程度完成しているようにしたいですね。日本に全部持って行くわけには行きませんから。

「アーティスト・イン・レジデンス」というプログラムで日本に行かれるということですが、そのことを少し教えて下さい。

ゴールドマン:はい。ドイツのゲーテ・インスティテュートが、京都に「ヴィラ鴨川」という施設を持っているんです。ドイツ文化を紹介する事業の一環として、ドイツのアーティストを3ヶ月滞在させ、日本のオーディエンスにドイツ文化を伝えたり、日本のアーティストとの交流を行います。実は遊び半分でそれに応募してみたところ、受け入れてもらえた(笑)。ちょっと驚きましたね!

でも少なくとも日本に行きたいという気持ちはあったわけですよね?

ゴールドマン:もちろんです。日本には1度だけ、5日間だけしか行ったことがありませんが、とても興味を持ちました。5日間だけでは東京のいち部を見れただけで、不十分だと感じたんです。ですから、3ヶ月という時間があればだいぶ日本のことを知ることができると思いました。これまでにもフォース・オブ・ネイチャーのリミックスをやったり、〈Mule Musiq〉のミックスCDを制作したりと日本のアーティストやレーベルとも交流があったので、長期滞在することでより密なコラボレーションの機会も生まれるのではないかと思います。

京都にはまだ行ったことがないんですね?

ゴールドマン:ないんです。いろんな人から話は聞いているんですけど。だからとても楽しみですね。

東京とはまた全然違うところなので驚かれるとおもいますよ!

ゴールドマン:そうですね。とても美しいところだと聞いています。

少し話を戻しますが、先ほど楽曲制作をはじめたのが90年代も終わりになってからのことだと聞いて少し驚きました。日本のリスナーでは知らない人も多いと思うんですが、あなたのお父さんは著名な作曲家でいらっしゃいますよね。少しお父さんのお話も聞かせて下さい。

ゴールドマン:実は、父は京都に行ったことがあって、同じゲーテ・インスティテュートで講義をしたこともあるんですよ! 父、フリードリッヒ・ゴールドマンはクラシックの作曲家であり指揮者でもありました。現代的・アヴァンギャルドな作品を手がけていました。有名なところで言うとシュトックハウゼンなどの系譜の音楽ですね。ですから、僕自身もそういう音楽を聴いて育ちました。十代の反抗期に入るまでは(笑)。反動でクラシックのピアニストやミュージシャンには絶対になりたくないと思いました(笑)。

でも、それまでにレッスンを受けさせられたりはしていなかったんですか?

ゴールドマン:父はあまり気にしていませんでしたね。でも母は僕に長いあいだピアノの練習をさせようとしました。いまでは、そのお陰でMIDIキーボードなどの電子楽器を操作でき、すべてマウスでプログラムしたりする必要がないので良かったと思っていますが、当時はまったくピアノに興味が持てなかった。即興演奏は好きだったんですが、既存の曲を弾く練習をするのが嫌いだったんです。親もそれを見て諦めた(笑)。でも、僕が電子音楽をはじめてからは応援してくれましたよ。関心も持ってくれたし。

お父さんは、電子音楽との関わりは全然なかったんですか?

ゴールドマン:なかったです。ただ、音大で彼の教え子だったポール・フリックという学生が、ブラント・ブラウアー・フリックというユニットをはじめて、彼と一緒に作曲をしたりもしていましたね。それに父の音楽仲間には実験的な電子音楽に触れていましたし、父の恩師であるカールハインツ・シュトックハウゼンは電子音楽のパイオニアのひとりですから。でも、自分自身では電子音楽を作曲したりプロデュースすることはありませんでした。

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ドイツのハウス・レーベルが外国で評価されるようになったのなんて、本当に最近のことですからね。僕の初期のリリースがドイツのレーベルではなく、UKのレーベルだったという事実もそれを物語っています。〈Classic〉からリリースした東ドイツ人は僕が初めてだったはずですよ(笑)

子供の頃、家ではどんな音楽が流れていたんですか?

ゴールドマン:家ではあまり音楽を聴いていませんでしたね。不思議に思うかもしれませんが、母が個人的に好きなものをときどきかけていたくらいで、父はあまり家で音楽を聴きませんでした。父がレコードをかけている姿はほとんど記憶にないです。それより楽譜を読んでいました。音を聴かなくても楽譜を読むことでその音楽が彼には聴こえていたんですよ。まるで新聞を読むように楽譜を読んでいた。変な感じでしょう? 僕にはできませんけどね、世のなかにはそういう人もいるんです(笑)。

へぇー! では家に音楽が溢れていたというわけじゃないんですね?

ゴールドマン:違いましたね。よくリハーサルを見に行ったり、母に連れられてコンサートを見たりはしましたけど、家に音楽はそれほどありませんでした。

音楽ファンにとっては、音楽家の親を持つことは憧れですけど(笑)、そういう音楽家系もあるんですねぇ。

ゴールドマン:親が酷い音楽を作っていたら、それはそれで悲劇じゃないですか(笑)?

でもあなたのお父さんはそうじゃなかったでしょう?

ゴールドマン:それでも、父の音楽を評価するまでには時間がかかりましたよ。父が周囲に評価されているということは何となく感じていましたけど、子供の自分にはその良さがわかりませんでした。20歳を過ぎてからじゃないですかね、父の音楽そのものに興味を持てるようになったのは。

そうなんですね。でも今年はお父さんの作品を〈Macro〉からもリリースされましたね。

ゴールドマン:はい。残念ながら本人は2009年に他界したんですが、もし生きていたら去年で70歳だったんです。そこで、『WIRE』誌との共同企画で『Late Works』というCDに商品化されていなかった彼の晩年の作品をまとめました。『WIRE』誌の購読者プレゼントとして無料で配布され、その後〈Macro〉からリリースして誰にでも買えるようにしたんです。そういうかたちで世に出せて良かったと思っています。普段なら彼の音楽に触れないような層の人たちにも聴いてもらえることが出来たと思うので。エレクトロニック・ミュージックのアーティストやDJなどからも、とても好意的なフィードバックをもらって嬉しかったですね。

お父さんから、音楽的な影響は受けていると思いますか?

ゴールドマン:僕のハーモニーへのアプローチは受けていると思います。とくにハウス・ミュージックではハーモニーを軽視しているものが多いように感じます。コードの組み合わせが耐えられないものとか、よくありますよ(笑)。もし父が聴いたら同じことを言っただろうと思います。それに豊かで厚みのある音作りというクラシック音楽の録音の技巧なども、自分の曲を制作する際に参考にすることがあります。背景音のディテールに注意を払ったりとか。

〈Macro〉は他の多くのダンス系レーベルと比べると、かなり実験的な音楽を紹介している印象がありますが、そこは意識していますか?

ゴールドマン:はい、そうですね。理由は、僕たち自身が飽きないようにしているからでしょう。レーベルによっては、レコードをDJのツールとして出しているところもありますが、僕たちはそれ以上のものと考えています。自分達のカタログの中に、それまでにない表現を加えたい。新しいことを色々試していることが、結果的に「実験的」になっているんでしょう。新しいものは実験してみないと分からないですからね。

逆に、クラブ/ダンス・フロアも意識していますか?

ゴールドマン:ええ。僕もフィンもDJですから。それが基本にあることは変わりません。そのなかで、いままでにない新たな要素やヒネリを加えるようなものを意識しています。ですから、クラブが基盤となっていることはとても重要ですが、そのクラブ体験をこれまでにないようなものにしたいんです。いくら実験的になろうとも、頭の片隅では必ずクラブを意識していますね。

また音楽的な実験だけでなく、今回のミックスCDのようにコンセプトやフォーマットも変わったことに挑戦していますよね?

ゴールドマン:そうですね。例えば『The Grand Hemiola』という作品では、2枚組の12インチのB面とD面を組み合わせてループを構築することができるようにしたものを出しました。片方が4/4拍子で、もう片方が3/4拍子なので、同時にプレイすることで異なるリズムのループを作れるようになっています。何か人がやっていないことを考え出すのは、僕の趣味みたいなものです(笑)。

カセット・テープでリリースした作品もありましたよね?

ゴールドマン:これも同じような考えのものです。〈The Tapeworm〉というレーベルから出した『Haven't I Seen You Before』というテープで、片面に5曲、裏面に同じ5曲が逆の順番に入っています。ですから、曲を再生中にリバース・ボタンを押すと、同じ曲が延々とループできる仕組みです。同じレーベルでフェネス(Fennesz)のリミックスのテープも制作しました。これは彼が出した、サンプル集のテープを元に、僕がサンプルのリミックスをしたというものです。といっても、彼のサンプルをそれに合った自分のサンプルとひとつずつ差し替えていくという作業をしたものなので、実際にはフェネスのサンプルはいっさい含まれていません。まさに実験的なおかしな作品ですが、ダンス・トラックを作るのとは全く違う体験で。そうやって、「今度は何をやってやろうか」と考えるのは楽しいですよ。

最後になってしまいましたが、一つ伺うのを忘れていたことがありました。あなたはベルリンで生まれ育ったんですか?

ゴールドマン:そうです。僕が子供の頃、両親はよくブルガリアのソフィアとベルリンを行き来していましたが、僕はずっと東ベルリンで生まれ育ってきて、ベルリンを長期間離れたことはないです。いまは西側に住んでいますけどね。

では幼少の頃は、この街がエレクトロニック・ミュージックの首都になる日が来るとは想像していなかったでしょうね?

ゴールドマン:してませんでしたね。その兆候を感じたのは、やはり90年代に入って〈Tresor〉が出来た頃からです。その頃から、デトロイトのアーティストがたくさん来るようになったり、ベルリンから彼らのレコードが出たりしていましたから。でもドイツのアーティストの曲を、外国の人たちに聴いてもらえるようになるとは、だいぶ後になるまで想像できませんでした。ドイツのハウス・レーベルが外国で評価されるようになったのなんて、本当に最近のことですからね。僕の初期のリリースがドイツのレーベルではなく、UKのレーベルだったという事実もそれを物語っています。〈Classic〉からリリースした東ドイツ人は僕が初めてだったはずですよ(笑)。いまでは多くのUKのアーティストがベルリンのレーベルにデモを送るようになっていますけど!多くのUKレーベルがそのままベルリンに引っ越してきてしまうケースも多いですしね。

そのような変化は好意的に見ていますか?

ゴールドマン:ええ、とてもいい変化だと思います。ただ、この状態がずっと続くわけではないこともわかっていますけど。ベルリンはかつて、とても不親切で排他的な街でした。90年代の後半くらいでも、例えばレコード屋に行っても本当に店員があり得ないくらい不親切で(笑)、疎外感を感じたものですが、いまでは全然変わりました。国際的でコスモポリタンな文化が流入してきたこと、さまざまな国や地域からやってきた人びとと触れ合うようになったことで、ベルリンはずっといい街になりましたよ。

外からやってきた人間としては、そう言ってもらえると嬉しいです(笑)。ありがとうございました。

(以上)

Wolfgang Voigt - ele-king

 カフカをモチーフにしているという話題だけが先行していた「カフカトラックス」を1枚にまとめ(て5曲をプラスし)たマイク・インクによる本人名義の4作目。ピアノをモチーフとした昨年の『フライラント・クラフィエムジーク』(裏アンビエントP189)がかなりいい出来だったので、つい買ってしまった。アート・ワークがよかったせいもある。活動を再開してからの勢いに押されているともいえる。......とはいえ、M:I:5やスタディオ1でやっていたことと大きく隔たりがあるわけでもない。『クラフィエムジーク』の方がリヴァイヴァルしつつあるミュージック・コンクレートとの親和性も高く、新機軸には富んでいたし、「カフカ」という目くらましがなければ、従来と同じミニマル・テクノの範疇でしかない。低音が効いていて、ビートはドイツに特有のメトロノミックなそれ。洗練度は格段に高い。

 アルバム全体に散りばめられているのはカフカの小説を朗読している「声」。これが断片的に聞えてきたり、あらゆる方向から、そして、折り重なって響き渡る。言葉の意味がダイレクトにはわからないので、内容的なことまではわからないけれど、基調は『クラフィエムジーク』で使い倒されたピアノと同じく、不安を呼び起こすような使い方が「カフカ的」だと信じられていることは確か。統合失調症の人が聴いたらどうなってしまうんだろうと思うようなオープニングを筆頭に、次から次へと「声」は波状に襲い掛かり、ヴァーゴやバム・バムなど初期のシカゴ・アシッドがそうであったように、どう考えてもバッド・トリップに誘い出そうとしているとしか思えない(ユーロ危機のサウンドトラックとしては充分すぎる効果を上げている)。とくにアルバム用につくられたクロージング・トラック「3.4」の重厚さには特筆すべきものがあり、14年前につくられた無機質でダークなM:I:5がどれだけ躍動感に満ちていたかを痛感させられる。メクチルド・フォン・ローシュ(裏アンビエントP133)もかくや、ゆっくりと地の中に引きずり込まれるようなループ・サウンドは、回転数を落としただけなんだろうけれど、逆説的に醸し出される甘美さと奇妙な説得力に満ち溢れている。このような重苦しさはヨーロッパの白人にしかつくれないに違いない...(ことダンス・カルャーに関する限り、アメリカもイギリスも再度、サマー・オブ・ラヴへと向かっているというのに...)。

 そういえばカフカと同じく、アメリカに行かずしてアメリカを描こうとしたラース・フォン・トリーアの映画『ドッグヴィル』は、この7月にオスロで大量殺戮を行ったアンネシュ・ベーリング・ブレイビクのフェイヴァリットなんだそうである(ゼロ年代における僕のベスト2作品でもあるけど。あとの2本は、クリストファー・ノーラン『メメント』とチャーリー・カウフマン『脳内ニューヨーク』)。

 ちなみに『カフカトラックス』と同じことを日本の小説でやるとしたら、誰のどの作品を使えば、同じように「不安」を煽れるのだろう?

Chart by JET SET 2011.10.11 - ele-king

Shop Chart


1

OGRE YOU ASSHOLE

OGRE YOU ASSHOLE HOMELY »COMMENT GET MUSIC
約2年ぶりとなる待望のセカンド・アルバムがアナログ化決定!!2枚組み見開きジャケット、D面にはエッチング加工が施された超豪華仕様です。

2

COS/MES

COS/MES SADISTIC EP1 »COMMENT GET MUSIC
1st アルバム『Sadistic Skatepark』のパーツをメガ・ミックス的手法で再構築した衝撃作!同じく1stから"He Is Rain Man"をCos/Mes同様に勢いに乗るバレアリック・ユニット、Seahawksによるリミックスを収録した強力12インチ!

3

LORD OF THE ISLES

LORD OF THE ISLES PACIFIC AFFINITY EP (INCL. COS/MES REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Cos/Mesリミックス収録!見逃し厳禁のニューカマーの12インチがChida氏が主宰するEne からリリース ! American StandardやAdult Contemporaryからリリースをし、いずれも大ヒットを記録した新鋭クリエイターによる2011年待望のアナログ第四弾!

4

DISCO TOM

DISCO TOM WHATCHAWANNADO V.5 »COMMENT GET MUSIC
US人気リエディット・レーベル"Whatchawannado"第五弾に、Tom Noble a.k.a. Disco Tomが再登場!!

5

POOLS

POOLS POOLS E.P.1 »COMMENT GET MUSIC
Andresによる"Rock With You"リエディットがカルト・ヒットを記録した、LA名物パーティ「The Do-Over」から派生した"Whatchawannado"の新シリーズ"Spills"から、これまた極上の新作エディットが2作同時入荷!!

6

POOLS

POOLS POOLS E.P.2 »COMMENT GET MUSIC
Andresによる"Rock With You"リエディットがカルト・ヒットを記録した、LA名物パーティ「The Do-Over」から派生した"Whatchawannado"の新シリーズ"Spills"から、これまた極上の新作エディットが2作同時入荷!!

7

VAKULA

VAKULA SHEVC003 »COMMENT GET MUSIC
Firecracker傘下と噂される"Shevchenko"レーベル待望の第三弾!!

8

FLOATING POINTS

FLOATING POINTS DANGER »COMMENT GET MUSIC
クロスオーヴァーなヒット作を量産しているUKの気鋭ビートメイカー、Samuel T Shepherd a.k.a. Floating Pointsによる自主レーベル"Eglo"からの傑作7"。

9

GREAT WEEKEND / NOELLE SCAGGS

GREAT WEEKEND / NOELLE SCAGGS DO-OVER VOL.3 (DELUXE PACKAGE 10" VINYL) »COMMENT GET MUSIC
回は、CommonのライブDJとしても知られるTwilite Tone率いるGreat Weekend、 The RebirthのフィメールボーカリストでもあるNoelle Scaggsをフィーチャー。

10

MAYER HAWTHORNE

MAYER HAWTHORNE HOW DO YOU DO »COMMENT GET MUSIC
Stones Throwからの鮮やかなデビュー後、一気にスターとなった我らがMayer Hawthorne、超待望の2nd.アルバム。メジャーへ行っても変わらない、現代最高のソウル・ミュージック!!

Maria Minerva - ele-king

 音楽的にも、そして文化的にも、今日のシンセ・ポップがたんなる"リヴァイヴァル"ではないことを証明する1枚で、まだレヴューしていないけれど性文化への揺さぶりという点では、リル・Bの『アイ・アム・ゲイ(アイム・ハッピー)』とも共振するアルバムなんじゃないかと解釈する......。
 ロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉レーベルが揺さぶりをうながすようなレーベルだ。低俗を装いながら、実験的でアーティで、ぶっ飛んでいるようで思想をほのめかす。「正解」を振りかざすような暴君から1億光年離れたところで、作品性という観点から言っても自由気ままにやっている。エストニア系のマリア・ミネルヴァ(音楽評論家の娘らしい)の音楽も、そうしたDIY音楽の今日的な自由のなかで生まれたひとつだと言えよう。

 『キャバレ・シクスー』――これはパリに「女性学センター」を立ち上げた先駆的なフェミニスト、エレーヌ・シクスーにちなんだタイトルだが、マリア・ミネルヴァは性(ジェンダー)の問題、つまり「男らしさ」「女らしさ」というこの手の変革可能な人工物の問題にを主題にしている。そして、『キャバレ・シクスー』にはタイトルが言うように、彼女のキャバレ・ヴォルテール(ポスト・パンク時代におけるダダ中毒)へのシンパシーとポスト・ライオット・ガールとしての視座、そしてポップへの情熱(アバのカヴァー)が詰まっている。
 それは彼女が『FACT』マガジンのために提供したミックスの選曲にも表れている。L.A.ヴァイパイアーズとクリス&コージー、ホアン・アトキンス(コズミックなデトロイト・テクノ)、シェ・ダミエ(セクシャルなシカゴ・ハウス)のトラックが並べられるそのミックスは、彼女の野心的な折衷主義、それから性文化への挑発と前向きさがよく出ている。
 『キャバレ・シクスー』を喩えれば、"ナグ・ナグ・ナグ"とベスト・コーストの残響音の融合、そしてファンカデリックとリー・ペリー、そしてドリーム・ポップとシカゴのゲイ・ハウスがブレンドされているようなズブズブの音で、この官能と皮肉が混じった彼女の型破りな音楽からは社会派と言われている音楽が見落としがちな自由を感じる(収録曲の"Soo High"のソフト・ポルノを用いたPVも面白い)。「居ることができる家があるというのに何故、出るの?」と、彼女はインナーで簡潔な言葉を用いてリスナーに問うている。「何故、安全な場所からわざわざ出たがるのかと、私は尋ねる。部屋に居ることができるのに、何故、こんな下世話な音楽を一晩中聴くんだろう。私の大好きな歌を聴いて下さい」
 マリア・ミネルヴァは今年〈NNF〉のサブレーベル〈100%シルク〉からも12インチ(しかもユーロビート!)を発表している。また、〈NNF〉からカセットテープでもう1枚のアルバムも出している。そっちの『Tallinn At Dawn』は、彼女の実験色がより強く出ている。

interview with Amanda Brown - ele-king

 その奇矯なエロティシズム、挑発的でビザールなヴィジュアル、ノイズ、ドローン、アンビエント、ダブ、ファンク、それから低俗なディスコまでもがミックスされる奇異な音楽性、混乱、混乱、また混乱、キッチュ、キッチュ、またキッチュ......あるいはヴァイナルとカセットで限定リリースされる大量の作品群(たとえば2005年の1年だけでも20枚以上の作品を限定リリースしている)。2004年にはじまったロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉は、現在リスナーにとってもっともミステリアスなレーベルのひとつである。
 アマンダ・ブラウンはレーベルの創始者のひとりだ。彼女は......強いて喩えるのなら、ポスト・ライオット・ガールを代表する存在、ないしはUS ローファイ・アンダーグラウンド・シーンにおけるリディア・ランチ(ないしはマドンナ)のごとき存在である。彼女は政治的にも性文化的にも、そして社会的にも、旧来のコンテクストに組まれることを拒むかのように自由気ままに活動している。
 アマンダ・ブラウンは、この5年は、レーベルの看板バンド、ポカホーンティットとしても何枚もの作品を発表し続けてきた。昨年はメンバーのひとり、ベサニー・カンテンティーノがバンドを脱退(ベスト・コーストとしての活動をはじめたため)、残されたアマンダ・ブラウンはL.A.ヴァンパイアーズと名義を変えてあらたな道を進んでいる。
 2011年は12インチのダンス・ミュージックに的を絞ったサブレーベルとして〈100%シルク〉をスタートさせ、すでに11枚ものシングルをカットしているが、これが日本でも人気がある。数が少ないというのもあるが、わりとすぐに売り切れる。だいたい、ヒップホップ系、ハウス系、そしてインディ・ロック系のDJが同時に注目するようなレーベルはそう多くはない。もっともそれ以上に興味深いのは、ゼロ年代のUSアンダーグラウンドにおけるノイズ/ドローンがミラーボールがまぶしいディスコの世界へと到達したという事実である。男性的な実験音楽の世界に揺さぶりをかけるように、アマンダ・ブラウンはユーロビートとポルノをそこに持ち込む(マリア・ミネルヴァにもそれがある)。
 『WIRE』誌の表紙を飾り、いよいよヨーロッパでその評価を高めている〈NNF〉レーベルにメールを送ったところ、返事はすぐに来た。「私はアマンダ! 質問を待っているわ」

女性はアンダーグラウンド・シーンでもっと評価されるべきなのよ。音楽のメインストリーム世界では女性をよく見る。稼ぎ手、ビジネス権力者、トレンドセッターといったところでね。しかしアンダーグラウンドの世界では、ショーにいる大多数は男性なのよ。

今回、メール・インタヴューを引き受けていただき、ありがとうございます。ヨーロッパ・ツアーはいかがでしたか?

アマンダ:いや、結局ヨーロッパにはいかなかったんだけど、オーストラリアにいたわよ。とくに興味もなかったし、オーストラリアに行くなんてまったく思っていなかったのに、そしてそのツアーで、私の人生最高の音楽経験をするなんて、おかしいわよね。私は新しいセットをプレイするのに、とても緊張していたわ。でも、都市のバイブやエネルギーが自分のパフォーマンスをインスパイアして、はっきりいってオーストラリアでいちばん良いショーをすることができたのよ。

あなたの〈100%シルク〉レーベルが日本のアンダーグラウンド・シーンで人気なのは知ってますか? ヒップホップ系、ハウス系、そしてインディ・ロック系のDJが買っているんですよ。

アマンダ:それは素晴らしいわ。欧米のミュージシャンにとってのゴールは日本で愛されることだよ思うのよ。日本人は何か、すばやくて、強烈で、アートへの情熱に満ち溢れているように思う。もし日本に行って、DJが〈シルク〉のレコードを回しているのを聴いたら、驚くでしょうね。

あなたのレーベル〈NNF〉のどれもが独特の音だし、いくつかのリリースは実験的です。まずはあなたの歴史から教えてもらえますか?

アマンダ:私はロサンジェルスに80年代初頭に生まれた。実を言うとね、音楽を演奏することには、そこまで興味がなかったのよ。ずっとライターになりたいと思っていた。その学位を取って、芸術のアウトレットとして続けていくものだと思っていたわ。音楽は別の方向から何となくやって来たのよ。ブリット・ブラウン(Robedoorとして数多くの実験作品を出している)と私はデートをしていて、彼はカシオとギターを持っていた。私たちはそれを面白おかしく使い、曲と歌詞を書いて遊んでいた。私たちは、この初期の空想を、大きな規模になったけど、まだプレイし続けているのだと思うわ。

どんな10代を送りましたか?

アマンダ:いわゆる変人よね。普通に学校に通っていたけれど、 同時にモヒカンで口にピアスをしていたという意味でね。

パンクに少し脱線した優等生ですか?

アマンダ:私はパンクではなかったのよ。R&Bやヒップホップが好きだったの。異常者でもなかった。私はただたんにクールでいたかったし、いまもそうなのよ。

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真面目な話、ドラッグの影響はないわ。ドラックは退屈で、興味を持ったことがないの。外の世界では私はかなりのストーナーだと思われているのかもしれないけど、それは私ではない。

あなたにとっての音楽とは何でしょう?

アマンダ:私は音楽を作るってことよりも、まずは音楽の大ファンなのよね。インスパイアされる、すばらしいアーティストと仕事をするのが好きなのよ。すばらしい音楽に圧倒されるのが好きだし、ダンスするのも好きよ。

音楽はどうやって学んだんですか?

アマンダ:いや、まったく学んでないわ。

ブリット・ブラウンとはどのように〈NNF〉レーベルをはじめたんですか?

アマンダ:ブリットはファッション雑誌の仕事の私の上司だったのよ。私は、彼と出会ったとたんすぐに好きになったの。彼が私を好きになるまでは時間がかかったけどね(笑)。そして私たちはレーベルをスタートしようと思い立った。それがフルタイムの感情になるなんて考えてもいなかったけど。「音楽を作っている友だちがいて、私たちには彼らをサポートするお金がある。じゃあ、レコードを作ろう(let's make a record!)」、こんな感じだったのよ。

〈NNF〉レーベルのポリシーについて教えてください。

アマンダ:ブリットと私が音楽とアーティストが作るモノを信じているということだけ。信頼と真実は私たちにとって大きいのよ。ファンが私たちがいままでリリースした作品についてどう思っているのか、すべて知っているわけではないけれど、私たちは音楽が好きで、アンダーグラウンドへの愛にふさわしい、という信頼を持たれるべきだと思っているわ。私たちは流行先導者ではないけれど、強い意見と特有なテイストを持っている。もし私たちが、あなたが「いけている」と思ったら、あなたも仲間よ。

レーベルはなぜヴァイナル、カセット、あるいはCDRでリリースするのですか?

アマンダ:CDRは触れたりプレイしたり聴いたりするには楽しいものではないわ。まず美学的に面白くないし、メディアとして記憶に残るものでもない。

CDを嫌っている理由は?

アマンダ:傷がつくし、ケースは壊れるし、たったひとつのシミでスキップするし、かなり迷惑よね。

ちなみに〈Not Not Fun〉というレーベル名はどこから来たんですか?

アマンダ:これは昔私がよく言っていた言葉で、まぬけ風に使ってたのよ。最悪と、そんなに楽しくないの中間ぐらいの意味よ。

あなたは長いあいだポカホーンティットとして活動してましたが、このバンドはどうやって生まれたんでしょう?

アマンダ:まずね、「ポカホーンティットというバンドをはじめた夢を見たのよね」と、私がベスアニー(現、ベストコースト)にかけた電話からはじまっている。いま聞いたらバカみたいだけど、本当の話よ。ベスアニーは素晴らしい声を持っているわ。私には、彼女の歌があり、言葉に表せないほど至福があって、ディストーションのギターがなり響く......というバンドのヴィジョンがあった。ラッキーなことに、彼女は私の空想を満足させることが好きだったのよ。

初期の音はノイズ/ドローンでしたよね。これは何の影響なんですか?

アマンダ:正直言うけど、直接影響を受けているものはない。あなたが聴いているのは、(ノイズ/ドローンというよりも)アマンダとベスアニーが純粋に即興している音なのよ。私も彼女もドローン音楽を聴いたことがない。私はファンクやダブ、ビョーク、シャーデー、ア・トライブ・コールド・クエストが好きで、彼女はビリー・ジョエル、スプリングスティーン、ブリンク182、ビーチ・ボーイズが好きだった。どこから私たちの音楽が来たのかわからないけど、私たちのあいだで何か生まれたんでしょうね。

すごくサイケデリックな音楽だと思うんですけど、何を目的として作られたんでしょう?

アマンダ:目的は、私たちの友情、女らしさ(femininity)、ユーモア、そして創造性を祝うために接合することだった。それはともに、私たちの時代のタイムカプセルだった。注目されはじめたとき、私たちは自分たちの幸運を信じることができなかったわ。

ドラッグ・カルチャーからの影響はありましたか?

アマンダ:いいえ、真面目な話、ドラッグの影響はないわ。ドラックは退屈だし、興味を持ったことがないの。外の世界では私はかなりのストーナーだと思われているのかもしれないけど、それは私ではない。

〈NNF〉の初期のウェアハウス・パーティについて教えてください。

アマンダ:ロサンジェルスでは大きなフォロワーはつかなかったけどね。ほとんどのパーティは75~100人規模で、それ以下のときもたくさんあるほど親密だったわ。自分たちが何かかっこ良くて特別という感覚だったし、そんなにたくさんの人に気づかれなかったということでもある。正直言って、私たちはいつでもこれで良かったのんだけどね。

2010年のポカホーンティット名義の最後のアルバム『Make It Real』はダビーで、ユニークなビートを持った作品でした。Pファンクのようなアートワークも面白かったし、そのファンキーな感じとか、それ以前のポカホーンティットとは別物というか......。

アマンダ:バンドが5人編成に変わるということはすべてのジャンルにおいて、かなりの変化なのよ。部屋に5人の人間がいるということは、ドローン音楽やアンビエント音楽にはエネルギーが高すぎるの。生のドラマーがいて、ファンキーなベース・プレイヤーがいて、それで突然、こんなグルーヴィーでサイケ・ワールド・ビート・アンセムを書いたのよ。リスナーに、よりアカデミックな音楽を......という初期のヴァージョンとは違って、私たちは人びとを動かしたかったし、自分たちも動きたかったの。私は自分の歌詞を信じると言うことにも気づいたし、何かモットー(従来の物語より深い自己表現)のようなモノに変えた。

あなたのなかにそのような進化があったんですか?

アマンダ:私たちは新しい方向に行こうと意図的に発展した。どんなリスナーにむけてもまったく違う経験ができるように、古い音を洗い流すという、重大な意図を持って、何か震える、新しいものを作り出そうとした。私たちに1日目から最後の日までファンがいることを知ってびっくりしたけどね。

何か特別な影響があったら教えてください。

アマンダ:私はいまでも音楽が好きで、音楽への愛がどんどん成長している。トリップ・ホップ、R&Bやヒップホップ、ダンス・ミュージック、そしてデジタル・アンダーグラウンド、ディー・ライト、ブラック・ボックス、ビギー、ポーティスヘッド、ミスター・フィンガーズ、ア・ガイ・コールド・ジェラルドが大好きなのよ!

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私たちは音楽が好きで、アンダーグラウンドへの愛にふさわしい、という信頼を持たれるべきだと思っているわ。私たちは流行先導者ではないけれど、強い意見と特有なテイストを持っている。

女性アーティストだけを集めて『My Estrogeneration』というコンピレーション・アルバムを作りましたね。これはどんな経緯で生まれたんでしょう?

アマンダ:女性はアンダーグラウンド・シーンでもっと評価されるべきなのよ。音楽のメインストリーム世界では女性をよく見る。稼ぎ手、ビジネス権力者、トレンドセッターといったところでね。しかしアンダーグラウンドの世界では、ショーにいる大多数は男性なのよ。オンライン・バイヤー、ブログ運営者、ミュージック・ジャーナリストも男だらけよね。もっとも私たちが女性というだけでゲットー扱いされる考えは好きではないけどね。フェミニストの最善の提案は、パイのスライスを欲しいことではなく、自分たちの別々のケーキが欲しいってこと。私たち女性がみんなひとつの場所で、創造的な力、重要な存在として知覚されるのはいいわよね。

サブレーベルの〈100% Silk〉をはじめた動機について話してください。

アマンダ:アンダーグラウンド・ダンス・ミュージックのアートを強調したかったからレーベルをはじめたのよ。ダンスのほとんどのチャンネルは健康的だと思う。ダンスというヴィジョンには、教養ある男性に美しいコンピュータや複雑な機材もある。ダンスのなかにソウルと優雅さ、ランダムと興奮、アウトサイダーの感覚を組み入れてやっている連中を知っていたので、私は彼らにハイライトを当てて、アーティストをサポートしたかった。コンセプトはダンスで、そう、本物のダンシングよ。

チルウェイヴやシンセ・ポップは好きですか?

アマンダ:チルウェイヴはよくわからない。シンセ・ポップは好きじゃない。私はあくまでディスコを崇拝しているの。大好きよ。〈シルク〉からでている音楽はたんに電子楽器で作った音楽ではない。あなたをダンスさせ、グルーヴさせなければならないの。

でもあなたの音楽には80年代のニューウェイヴからの影響がありますよね?

アマンダ:自分では80年代的だと思ってないんだけどね。ニューウェイヴでもないと思うけど、幾何学的なニューウェイヴのアートは好きよ。スペンサー・ロンゴは私を素晴らしいナーゲルの女性として描いてくれた。それが80年代の審美からの借りてきた物だとしても、スペンサーは古い物を新しい感覚で再生できる人だと思うわ。

クラブ・カルチャーに関するあなたの考えを教えてください

アマンダ:クラブ・ミュージックは文字通りにいってセンセーショナルよね。ほとんど知覚の音楽で、大袈裟で、人を楽しませ、ドラマティックで、遊び心があって、セクシーで、催眠効果がある。私は踊るのも、汗をかくのも、ダンスフロアで自分の体を失うのも好きなのよ。もし私が他人のなかの同じ反応を刺激する音楽をリリースすることができたら、私が望んでいたよりも良いモノができたと満足するでしょうね。

いろんなスタイルを楽しんでいるって感じですか?

アマンダ:そのときの感覚をね。その瞬間に何に惹かれているかによるわ。あるときはダブだったり、エクスペリメンタル・ポップだったり、ハウスだったり......。音楽を探しながら変化することが好きなのよ。ひとつのことを20年続けためにここにいるわけではないから。


LA Vampires
So Unreal

Not Not Fun

Review Amazon iTunes

2010年末にL.A.ヴァンパイアーズ名義で出した『Unreal』はとてもパワフルな作品でしたけど、あのタイトルはどこから来たんですか?

アマンダ:あのアルバムをレコーディングしていたとき、私の人生すべてが非現実的に感じられた。ポカホーンティットは解散して、仲の良い友だちを失って、レーベルが私のフルタイムのジョブになって、私の最初の小説が売れたばかりで、かなり圧倒されていた。『Unreal』(非現実的)は、このセンセーションを表すいちばんの方法だった。

アメリカであなたの音楽は受け入れられているんでしょうか?

アマンダ:答えるのに難しい質問よね(笑)。何人かは嫌いで、何人かは好きで、ひとりかふたりぐらいは大好きであって欲しいけど。

あなたの音楽は、アメリカの主流文化とはどのような関わりがあると思いますか?

アマンダ:いいえ、私はアメリカ文化のメインストリームから外れているからね。人は私の音楽をただの騒音だと思っているし、ローファイのエクスペリメンタル・アーティストだと思っている。まあ、反論はしないけどね。

音楽を通じて言いたいことは何でしょう?

アマンダ:まずはあなた自身が楽しむってこと。

レディ・ガガについてどう思う?

アマンダ:深く考えたことはないけど、少なくともあの音楽が良いとは思えないわよね。でも彼女の体はすごいと思う。綺麗な形をしているし、ファッションも大好きで、その部分は尊敬している。ただ、彼女の音楽が彼女の個性やアウトサイダー感のように奇妙で壊れていれば良いのにと思う。そうすれば、彼女はメインストリームでもアンダーグラウンドでも重要人物になれるからね。

今後の予定は?

アマンダ:仕事,仕事,仕事,仕事。良い音楽を作る。ベストな音楽をリリースする。愛し続ける。自分が楽しむ。


ST.Vincent - ele-king

 何年か前、アマゾンでミランダ・ジュライを探していたときに「この商品を買った人はこんな商品も買っています」欄にセント・ヴィンセントをみつけてあっと驚いた。と同時に深く納得もしたものである。当時調べたかぎりでもとくに接触のなさそうなこのふたりを、筆者はつよく結びつけて考えていたのだ。セント・ヴィンセントことアニー・クラークは、筆者にはミランダの短篇の登場人物か、そのモデルとなった人物のように思われて仕方なかった。とくにふたりの女性の同性愛的な関係を描く作品では、受け身で気弱な主人公の視線を通じて描かれる孤独で豪傑な恋人を、アニーと重ねて読んだ。だからアマゾンで偶然ふたりの名前が重なったとき、同じように感じている人が他にもいるのだと思って驚いたのだ。
 だが、そのようなほとんど妄想ともいえる感覚を共有しなくとも、このふたりの名前はどこかで交差しただろう。いわゆる現代アートの新鋭として知られ、小説や映画、〈K〉から朗読パフォーマンスをリリースしていたりとマルチな活動を行うミランダと、過去にはポリフォニック・スプリーに参加し、様々な楽器の素養やどことなくアート・シーンと親和する雰囲気を持ち、佇まいからしてもただのミュージシャンという枠に収まりきらないギタリスト、アニー。革新的な表現を生み出している点、サブ・カルチャーというよりはハイ・カルチャーの側からポップ・シーンを更新するように見える点、そして男性を標的とすることなくマッチョイズムへの強い批評を感じさせる点。キャラクターは対照的だが、ふたりの共通点は非常に多いのだ。ここにジュリアナ・バーウィックも加えると、いままでに見たこともないような、自由で刺激的な活動をする、本当に新しい女性アーティスト像が見えてくる思いがする。

 『ストレンジ・マーシー』は、アニー・クラークのソロ・プロジェクト、セント・ヴィンセントの3作目となる作品だ。『ピッチフォーク』のインタヴューではアルバム制作を子育てになぞらえていておもしろかった。要約すれば、ひとりめ(=1枚め)は何もかもはじめてで無我夢中の全力投球、しかし3人めともなれば「ハイハイ、お前は7日連続でこのハードロック・カフェのスプラッターTシャツを着て、髪もボサボサでいたいのね? そうしたらいいわ。好きにしなさい」。随意というわけにはいかないが、どのように取り組み、向かい合えばよいのかがわかっている、ということだろう。気負いのない、しかしエネルギーに満ちた作品である。
 ふだんはコンピュータで作り込むことが多いが、このアルバムに関しては「アンプラグド」......ギターと歌のアルバムだとも述べている。実際にはアンプラグドとは程遠く、音数も音色も豊富な作品だが、1曲1曲がソングとしての充実を持っていることはたしかだ。その意味ではファイストなどの女性シンガーと比較し、上質なポップ・アルバムとして聴くこともできるだろう。しかしその上で「ソング」の枠を大きく逸脱し上昇しつづけるようなエモーションの奔流がある。ギターは歪み、バーストし、かと思えばコミカルに動き、時折アコギに持ちかえられる。『アクター』のカラーを決定づけたオーケストラルなアレンジも『クロエ・イン・ジ・アフタヌーン』など冒頭から顔をのぞかせ、そこに華やかさを添えている。どの曲をとってもじつに表情ゆたかなギター・ワークである。しかしたとえばマーニー・スターンのようにテクニック志向なプレイとは大きく異なる。気品や教養をそなえ、そこにはブルースのハートも宿っている。スペーシーなプロデュースがなされているが、表題曲"ストレンジ・マーシー"や"イヤー・オブ・ザ・タイガー"などの数曲を聴けば、そのことがよくわかるだろう。
 "サ―ジェン"では頭のラインに大胆に性的な表現があり、「身体と精神の齟齬について示された作品ではないか」などと質問されていたが、本人はたっぷりとした余裕をみせながら笑ってかわしていた。読みにくく剛毅で、深い思索性を感じさせるこの強烈なキャラクターが彼女のもっとも大きな魅力かもしれない。彼女のレコード・レヴューが難しいのは、ジャンル化しにくい音楽性と、その音楽性の高さを超えて彼女自身の個性に言及しなければならないからだ。とくに日本のレコード・ショップのレヴューなどでは、ありきたりのバイオグラフィ以外はオミットされている感があるし、それもむべなるかなと筆者ですら感じる。この曲も細やかな小技をきかせたギターづかいが印象的で、ローラー・コースターのようにテンションが上り下がりするが、自身の中の躁/鬱というレベルをはるか上から睥睨し、手放しにしているような雰囲気がある。"クルーエル"のミュージック・ヴィデオでは、アニー扮する囚われの主婦が、まったく才能のない家事業務で失敗を繰り返し、最後に家族に生き埋めにされるという寸劇が展開されていたが、土が顔を覆う直前でも不遜なまでに落ち着きはらって態度を変えない様子には、おそらくこれが実際に起こったとしても彼女が同じように事に臨むだろうということを窺わせるものがある。自分の才能の大きさや特異な個性、まわりの人間からの疎外感のようなものから目をそらさず、むしろそれを見つめながらアニーは長い時間を生きてきたのだろう。どうしたって目を惹いてしまう

 独特な顔立ちや物言い、耳というか意識に強くこびりつく声、腕ではなく精神性がかき鳴らしているようなギター、クラシカルな雰囲気やたたずまい。アニー・クラークの存在そのものをみっちりと感じとることができるアルバムである。それはいつだってそうなのだが、荒ぶる彼女の魂を音楽というフォーマットに落としこむことに少し馴染んできたような、歌もの集としてのまとまりを感じさせる余裕の1枚となった。

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