「K A R Y Y N」と一致するもの

interview with Daphni - ele-king


Daphni - Jiaolong
Merge/ホステス

Amazon iTunes

 『スイム』で感心したことは、それがダンス・ミュージックであること以上にエクスペリメンタル・ミュージックとしての面白味があったことだ。
 ジミ・ヘンドリックスはその昔、水中で音がどのように響くのかに興味をふくらませたあまりアンプごとバケツのなかに沈めたというが、水中の音体験を空想して作ったという『スイム』は、録音も凝っていて、身軽で心地よい体験だった。僭越ながら言わしてもらうと僕は水泳も好きで、昨年はwhy sheep?と50メートル自由形で勝負して勝った(まあ、どちらも遅いということでもある)。『スイム』は真剣勝負というよりも水遊びに近い。アーサー・ラッセルの歴史的名曲"レッツ・ゴー・スウィミング"の現代版である。
 カリブー名義で昨年発表したその『スイム』は、2011年、ほぼすべてのメディアから賛辞された。カリブーは、そして、リミキサーとしてもレディオヘッド、ジュニア・ボーイズ、それからジャイルス・ピーターソンにまで引っ張られている。かつてマニトバ名義でIDMもしくはサイケデリック・ロックにアプローチしていたダン・スナイスにとって、ダンスを意識した『スイム』は出世作となった。
 『スイム』は、彼に取材したときに聞いた話では、ロンドンのクラブ・カルチャーの活気に影響を受けて生まれている。セオ・パリッシュやポスト・ダブステップの面白さにうながされて、彼(ダン・スナイス)と盟友フォー・テット(キエラン・ヘブデン)はダンス・ミュージックにアプローチした。
 『スイム』が徹底徹尾のダンスだったわけではない。彼らしいIDM的なアプローチがところどころにあった。そこへいくと今回彼がダフニ名義でリリースするアルバム『ジャオロン』は、完全なダンス・ミュージックである。

夜遊びに出かける前のワクワクした感覚さ。そうやって作った曲をクラブでためしにプレイしてみたあとは、それ以上曲をいじることはしなかった。その時点でできたものを気に入ればそのままキープして、そうじゃなければ曲を消してしまったんだ。

『ジャオロン』は、あなたがダフニ名義で発表した作品やあなた自身のレーベル〈ジャオロン〉から発売されたシングルの編集盤+新曲ですが、エメラルズのダフニ・リミックスをなぜ入れなかったんですか? 正直入れてほしかったです! 

ダン:ありがとう、リミックスを気に入ってくれてうれしいよ。アルバムに入れなかった理由は、あれは実際エメラルズの曲だし、それにリミックスの曲はすでにデジタル・フォーマットで手に入るからさ。アルバムには1曲だけリミックスとして収録されている曲("ネ・ノヤ")があるけど、あれはリミックスとして制作したわけじゃなくて、コス・ベル・ザムのトラックをサンプリングした僕自身の曲として作ったんだ。でもコス・ベル・ザムのトラックの権利上の理由で、サンプルの使用権をクリアするためにはリミックスとして表示しなきゃいけなかった。

東京には〈テキスト〉や〈ジャオロン〉の固定ファンがいるので、わりとすぐに売り切れてしまうんですよ。ところで、通して聴いていて、あなたが楽しんでダンス・トラックを作っているのが伝わってくるようなCDになったと思います。まずはダフニ名義での活動と〈ジャオロン〉レーベルのポリシーみたいなものを教えてください。

ダン:僕にとってキーとなっているのは、どの曲もすばやく、そして僕自身がDJをするときに使うための新しい曲を作るっていう具体的な目的のためってことかな。曲の多くは、金曜か土曜の午後、DJのために飛行機でヨーロッパのどこかへ行く前に作っていたから、短い時間でいっきに完成させなきゃいけなかった。いまでも聴き返すと、ちょっとした間違いがあっても戻ってやり直したりせずに、急いでいっきに曲を書いているときの熱狂的なエネルギーが感じられるよ。
 曲がそういうエネルギーをうまくとらえてくれているといいなと思っているんだ、夜遊びに出かける前のワクワクした感覚さ。そうやって作った曲をクラブでためしにプレイしてみたあとは、それ以上曲をいじることはしなかった。その時点でできたものを気に入ればそのままキープして、そうじゃなければ曲を消してしまったんだ。

"パリス"みたいな曲には、ちょっとかわいらしい感覚が打ち出されていますよね。ある種のかわいらしさはこのコンピレーション全体にも言える感覚ですが、あなた自身は意識されましたか?

ダン:いや、意識してそうなったわけじゃないよ。でもまちがいなく、カリブーのレコードよりも楽しい感じのする要素が多くなっていると思う。あまり高尚なコンセプトにこだわったりしたものを作るよりも、 人びとが楽しんでくれるような要素を残したものを作りたかったんだ。

音数が少なくスペースがあって、80年代のシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノみたいなファンキーな感覚もありつつ、あなたらしいIDM的なアプローチある、とてもユニークなトラック集だと思いました。たとえば"スプリングス"のような曲もユーモラスでお茶目な曲ですが、同時に即興的で、ライヴ感のある曲です。あなたのダンス・トラックにおいて、即興性は高いんでしょうか? 

ダン:かなりあるね。曲の多くは、サンプリングやプログラミングされた音に対応してモジュラー・シンセサイザーを僕が演奏するっていう形で作ったんだ。"スプリングス"はそのいい例さ。トラックを流しながら、シンセサイザーのつまみをいじって作った。だからベース・ドラムのピッチが上がったり下がったりしているんだよ。その予測不能さがクラブで作り出すエキサイティングな感覚が好きだね。

即興性について訊いておいてこんなこと言うのもなんですが、"ライツ"みたいな曲を聴くと、本当にリズミックな感覚を楽しんでいるなと思います。注意深く聴いていくと、曲の展開に関しては、なにげにかなり工夫されていると思いました。あなたがダンス・トラックを作るさい、どんなところに力を注いでるんでしょうか?

ダン:そういうもの(展開やアレンジ)の重要性は低いよ。カリブーの曲を作っているときにはそういうことを長い時間をかけて考えるけどね。"ライツ"の展開がうまくできていると思ってくれてうれしいけど、あれもすごくすばやくジャムをして作ったんだ。とくに途中のアシッドっぽい部分とかにそれが表れているんじゃないかな。

[[SplitPage]]

グローバルな音楽の再発見が進んでいるいまの状態にワクワクしているよ。僕自身レコードを収集していて、こういうオリジナルのレコードを何年も買い続けているけど、リイシューされないかぎり聴く機会のない音楽もたくさんある。


Daphni - Jiaolong
Merge/ホステス

Amazon iTunes

カリブーの『スイム』以来、急速にダンス・ミュージックにアプローチしていますね。リミキサーとしてもずいぶん活躍しています。あなたにとってダンス・ミュージックのどこが魅力なんでしょうか? 

ダン:ロンドンに住んでいるんだけど、ここではいまは明らかにバンドよりダンス・ミュージックに勢いがあるから、僕自身もそういう方向にエネルギーが向くのは自然なことだと思う。それに僕は飽きっぽいから、『アンドラ』みたいなもっとサイケ・ロックの影響を受けたアルバムを作ったあとには、なにか違ったものを作る必要があったんだ。じつは僕が10代のときに音楽をはじめたのはダンス・ミュージックを通してだったから、僕にとって新しいものってわけじゃないんだ。ただ、自然にまたそこに戻ってきたっていうだけさ。

コス・ベル・ザムの"ネ・ノヤ"のようなアフリカ音楽との出会いと、あなたにとってのこうした音楽の魅力を教えてください。ここ数年、UKやヨーロッパではアフリカ音楽の再発や発掘が拡大していますが、あなた自身もこうした現代のワールド・ミュージックの動きに興味を持っているんですか?

ダン:そうだね、グローバルな音楽の再発見が進んでいるいまの状態にワクワクしているよ。僕自身レコードを収集していて、こういうオリジナルのレコードを何年も買い続けているけど、リイシューされないかぎり聴く機会のない音楽もたくさんある。たとえばコス・ベル・ザムのトラックはアナログのアフリカン・ミュージックのコンピレーションで聴いたんだけど、(コンピレーションを制作した)彼らがバンドに連絡をとってリイシューする権利を得たってことは、僕が自分の曲でサンプルを使うときにも、バンドと連絡を取ってちゃんともとの曲のミュージシャンにもお金が渡るようにするのが容易だってことでもあった。最近はすごく多様で、しかもまったく知られていないような音楽までリイシューされているのにはびっくりするよ。音楽ファンにとってはこの上ない贅沢だね。

ライク・ア・ティムやフューチャーみたいな昔のアシッド・ハウス、初期の〈リフレックス〉なんかを参照することはありましたか?

ダン:じつをいえば、僕の最初のレコードやEP(『ギバー』や『イフ・アスホールズ・クド・フライ・ディス・プレイス・ウド・ビー・アン・エアポート』など)の頃は、自分ではダンス・ミュージックを作っているつもりだったんだ。その頃僕はUKガラージやトッド・エドワーズ、エイフェックス・ツイン、ダフト・パンクなんかをよく聴いていて、そういう音楽と、大好きなスピリチュアル・ジャズの混ざったような音楽を作りたかったんだけど、最終的にそのふたつの中間みたいなところで落ちついたと思う。『スイム』がダンスの世界とインディの世界の中間みたいになったのとどこか似ているよ。

もともとはクラブで汗かいて踊っていたようなタイプじゃないですよね? 

ダン:そういうタイプだったし、いまでもいい音楽がかかっていればそうするよ!

うぉ。あなたが最初に夢中になった踊ったDJって誰でしたか?

ダン:僕にとって最初のDJで、僕にDJのやり方を教えてくれたのはクーシク(Koushik)っていう僕のふるい友人だよ。彼は何年か前に〈ストーンズ・スロー〉からいくつかリリースもしている。いまでも彼は僕がいままで見たなかで最高のDJのひとりだし、誰よりも音楽をよく知っているよ。すばらしい人間さ、彼の音楽がもっと知られていたら、彼がもっといろいろリリースしていたらと願うね。

あなたにとってのオールタイム・フェイヴァリットのダンス・トラックをいくつか挙げてください。

ダン:たくさんありすぎて、選ぶのが難しいな。

いつから、どんな経緯でDJプレイが楽しくなっていったのでしょうか? 多くのダンスのプロデューサーはDJからはじまっていますが、あなたは違った出自を持っています。

ダン:高校のときにDJのまねごとみたいなことをしていて、まだ自分の音楽をリリースしたりするようになる前、僕はトロントで〈ソーシャル・ワーク〉って名前のクラブナイトをやっていたんだ。じつはフォー・テットのキエランと本当に知り合ったのもそこでだよ。いちどイギリスのフェスティヴァルで会ったことがあったけど、ちゃんと知り合って友だちになったのは彼を僕らのクラブナイトでDJしてくれるよう招待したときさ。僕がジャズ・レコードとかをかけていたら、彼がやってきてビースティー・ボーイズやアーマンド・ヴァン・ヘルデンなんかをプレイしはじめたんだ。すばらしいサプライズだったね!

ちなみにDJはどのくらいの頻度でやっているのですか?

ダン:いまはほぼ毎週末だよ。

[[SplitPage]]

高校のときにDJのまねごとみたいなことをしていて、まだ自分の音楽をリリースしたりするようになる前、僕はトロントで〈ソーシャル・ワーク〉って名前のクラブナイトをやっていたんだ。じつはフォー・テットと本当に知り合ったのもそこでだよ。


Daphni - Jiaolong
Merge/ホステス

Amazon iTunes

ここ数年で、mp3にうんざりした連中がまたアナログ盤にこだわりを見せていますが、〈ジャオロン〉がアナログ盤にこだわる理由を教えてください。

ダン:僕はちょっと矛盾しているんだ。レコード収集家としてレコードという媒体や、それが作り出すデジタル・ファイルにはない所有感が好きなんだけど、レコードのほうが音がいいっていう意見にはまったく賛成できないね。すごく高価なハイファイ・システムでなら少なくとも同じくらいいい音質になり得ることはあるけど、普通のクラブや家で聴くときの環境ならデジタルの24ビット・ファイルのほうがはるかにいい音がするよ。サーフェス・ノイズやクラブで発生しやすいフィードバック・ノイズ、平均的なカートリッジの性能の問題による信号の歪みといった、懐古主義者が忘れがちなごくあたりまえな理由からさ。
 だから、今回も自分の音楽がデジタルやCDでもリリースされてうれしいよ。どうしてもアナログ媒体では届かない層の人たちにも聴いてもらえるからね。

DJでもターンテーブルを使うんですか?

ダン:いや、先に言ったような理由から、CDJとオーディオ・ファイルを使っているよ。

あなたやフォー・テットのような人が作ったダンス・トラックで踊るのとスクリレックスのダンス・トラックで踊るのとでは、同じダンスという経験においては等価でしょうか? それとも違いがあると思いますか? あるとしたらどんな違いでしょうか?

ダン:たぶん違いがあるとすれば、踊っている人たちの平均年齢かな......いや、でもそれも必ずしも違わないな、僕はいつも僕のライヴやDJに来てくれる人たちの年齢の若さに驚いているんだ。もちろんなかには僕みたいに年金生活者みたいな年齢の人たちもいるけど、僕が思うほど多くはないね。

クラブ・ミュージックには音楽的におもしろいものもありますが、実際のクラバーのなかには、もっとメトロノーミックなミニマルでも、あるいは馬鹿みたいなレイヴでも、楽しいひと晩を過ごせるなら何でもいいって人が少なくないと思いますが、そういうなかであなたの作るクラブ・ミュージックには、シーンに対する批評的な態度が含まれていると思いますか? それとも純粋な楽しみ、快楽として作ったものなのでしょうか?

ダン:音楽のどのジャンルにもつまらない音楽は存在しているし、むしろそれが大多数だと思うよ。だからつまらないダンス・ミュージックの存在は僕にとっては驚きでもないし興味もないね。興味があるのはその例外さ、新しくておもしろいレコードだよ。それが僕が音楽を作っている理由でもあるんだ、自分自身のためや、他の人たちとシェアするためにそういうおもしろい音楽を作ろうとしているんだ。

マシュー・ハーバートがやっていることについてはどう思いますか?

ダン:彼のことは好きだよ、ただ僕があまりコンセプトを高く持っていないのに対して、彼はとてもはっきりしたコンセプトを持っているよね。

エメラルズのリミックスは、アメリカのアンダーグラウンドのシーンとロンドンのクラブ・シーンが出会った新しい試みでしたが、他にこうした企画は控えているのでしょうか? あるいはいま〈ジャオロン〉から出してみたいアーティストがいたら教えてください。

ダン:何も計画はしていないよ。僕はエメラルズとツアーをしたことがあるから、彼らとは近い友人なんだ。彼らはすばらしい人間だし、エクスペリメンタル・ミュージックについてすごくよく知っている。僕らはカナダを横断するリムジンの後部座席で、 ニック・レイスヴィク(Nic Raicevik)やモートン・スボトニックについて語り合ったりしたね。



〈ジャオロン〉からは、トロ・イ・モワの別プロジェクトも出してますが、クラブ・シーン以外へのアプローチにも気を遣っているんですか?

ダン:いや、彼もいっしょにツアーした近い友人のひとりなんだ。彼がそのトラックを送ってきて、僕がそれを気に入ったからリリースすることにした、ってだけのシンプルなことさ。

このダフニ名義での活動はまだ続きそうですが、カリブーのほうは逆に言えば、ダンスにとらわれない作品になっていくということでしょうか?

ダン:必ずしもそうとは言えないな、次のカリブーのレコードがどんなサウンドになるかはまだはっきり分からないけど、恐らく『スイム』の後に続くようなものになると思うよ。

Heavrnly Beat - ele-king

このヘヴンリー・ビートにはじまり、ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのドラマー、カート・フェルドマンによるアイス・クワイヤーのデビュー作がつづき、イェンス・レクマンが締めるかたちで、夏季の清涼ポップス・リリース月間は終了するようだ。彼らにしてみれば、いまシーンの趨勢がエイティーズからナインティーズへと移りつつあるとか、その機運のなかでR&Bに新しい求心力が宿っているとか、そうしたことはおそらく些事である。〈サラ〉や〈チェリー・レッド〉の時代から、幾多のギター・ポップ・バンドがつぎ足しつぎ足しやってきた超秘伝のダシに浸かり、またレクマンの背景ともなる北欧ポップの系譜――エール・フランスタフ・アライアンスらの活動に顕著なように、エレクトロニックな切り口を持ったアクトも多い――とも重なりながら、ときにいぶかしまずにいられないほどきらきらとした歌と旋律を振りまいている。ファンもずっと存在するし、音楽的にもまったくまよいがない。これはこれで幸福な音楽のありかたかもしれない。ただ、この三者はそれぞれに意趣があり、突出したセンスに恵まれていることにはまちがいない。

 ともあれ、ヘヴンリー・ビートも無邪気にネオアコ的な残像を謳歌し消費するポップ・アクトのひとりである。ビーチ・フォッシルズのツアー・メンバーとしても知られるジョン・ペーニャのソロ・ユニット。バンドのブレイク後にはじめたのかと思えば、どうやらバンド加入前からの名義であるようだ。中心メンバーであるダスティンとはマイスペースを通じて知りあっている。ビーチ・フォッシルズは〈キャプチャード・トラックス〉など2010年前後を盛り上げたリヴァービーなローファイ・ポップを象徴するバンドのひとつで、シューゲイザーの名盤発掘に余念のない同レーベルの性格から考えても、ペインズとは共通するところが大きい。80年代英国のインディ・バンドを愛好し、そのフォームを真似る彼らにいつまでも「リヴァイヴァリスト」の名が冠されなかったのは、おそるべきことにこの種の音をいまだ死んだとは認定していない人びとの存在の多さをほのめかすものなのかもしれない。

 レイク・ハートビートに近いだろうか。"メサイア"ではアコースティック・ギターがコード感を出しながらもパーカッシヴに作用していてとても心地よい。ハイ・トーンの甘やかなヴォーカルをうまく運んでくる。こうしたタイトなリズム感覚においては彼はとくに優れている。この曲や"トレランス"その他で聴かれるシンプルなベースの音にはいわく言い難い軽妙さがあり、独立したステップを踏むかのようで魅惑的だ。全編にわたって施されたストリングスのアレンジは過剰なほどに甘く装飾的なのだが、そうしたものをうまく減じている。すべてひとりで制作しているというが、セッションではなく内部完結する制作環境が、彼の陶酔的できらきらとした世界を削ぐことなく放出するために重要なのだろう。思えば比較したふたりの音楽についても同じことが言えるかもしれない。

 シックなジャケットは、彼の作品をすべて手がけている友人によるもので、今回のアート・ワークにはもっとも時間がかけられているという。つねにデザイン性が勝るこうしたヴィジュアルも、先述のベースやリズムに見られるような一種の抑制力でもって、砂糖のようなポップ・ソングを最大限スタイリッシュに仕立てているように感じられる。粒ぞろいの作品である。夏のフィーリングを感じるのは筆者の偏見で、ものさびしい季節をこそ彩ってくれるアルバムかもしれない。

NORIKIYO - ele-king

文化的混交、音楽に国境はない 文:二木 信

 またもや中国や韓国との領土問題がマス・メディアを騒がせているようだが、いったいどこの誰が喧嘩の火種をばらまいて、争っているのだろうか。せめて、一部の好戦的な人たちの争いを一般化しないで欲しいものだ。
 神奈川・相模のヒップホップ・ポッセ、SD・ジャンクスタのラッパー、ノリキヨが先日YouTubeにアップした「Hello Hello ~どうしたいの?~」は、2010年末にハイイロ・デ・ロッシとタクマ・ザ・グレイトが発表した「WE'RE THE SAME ASIAN」と同じく、多文化主義と平和主義のコンセプトで、好戦的なレイシズムや偏狭なナショナリズムに揺さぶりをかけている。この曲がユニークなのは、ノリキヨがジャックしているのが、韓国の人気グループ、ビッグバンのリーダーらの別プロジェクトGD&TOPの「ポギガヨ (Knock Out)」のトラック(プロデュースはディプロ!)で、さらにこの手の政治的な楽曲にありがちな堅苦しさがないということだ。要はコミカルで、遊び心があって、ノリがいいのだ。彼が、デビュー・アルバム『EXIT』(07年)の"Do My Thing"で、「仲間は日本人/ラテンにコリアン」とラップしていたのを思い出す。「Hello Hello ~どうしたいの?~」でも、ノリキヨの、町のあんちゃん的な人懐っこいキャラクターがいい味を出している。
 私たちはいま、シミ・ラボのようなマルチ・エスニックなグループの登場を目の当たりにしているし、映画『サウダーヂ』に出演したブラジル人ラッパーがスティルイチミヤとの出会いから、ポルトガル語だけでなく、日本語のラップに挑戦しているという話も伝え聞く。「音楽に国境はない」という物言いは、ある意味では奇麗事だけれど、文化的混交という観点から言えば、たしかに音楽に国境はない。
 ともあれ、このタイミングで、このような曲を素早く発表したノリキヨにリスペクト!!!

文:二木 信


物騒な世界への異議申し立て 文:野田 努

 昔、石原慎太郎が「第三国人」という言葉を使ってマスコミで叩かれたものだが、歓楽街育ちの僕には、この呼称は、善し悪しはともかく、馴染みのある言葉だった。敗戦直後のGHQ占領下において、屈強な「第三国人」はある意味ルードでいられた時期がある。たとえば、食い逃げされても警察は助けてくれないから自分で追いかけるしかない。そんな風な、言うなればラフな多文化的な状況にあったと年配の人たちから聞いている。
 戦前生まれの人間は、それまでの日韓の歴史を日常的な感覚レヴェルで知っているもので、古くは豊臣秀吉の朝鮮征伐、虎退治で知られる加藤清正、明治における西郷隆盛らの征韓論などなど、日本が朝鮮にちょっかいを出してきた歴史を、そして、労働力として彼らが日本に大挙してやって来たことも記憶している。敗戦直後の彼らのルードさも、いままでさんざんな目に遭ってきた歴史から来ていることを知っているので、まあしゃあないかと思えるし、韓国にとって領土問題がたんなる領土(漁業)以上の意味を持ってしまうことも感覚的にわかっている。そう考えると、ノリキヨがこの曲で使っている「ひとつの島」という言葉も微妙と言えば微妙だが、彼が切実に訴えたいことが平和であることは伝わってくる。彼はただ真っ当なことを言っているだけなのだ。

 曲のトラックでは、いまではすっかり国際的な音楽シーンで名が通っているK-POPからサンプリング・ソースを持ってきている。ノリキヨのこのアイデアは、音楽的な軽快さをもって、彼の理想主義的なヴィジョン(音楽によって人種や歴史的しがらみを超える)における友愛さを際立たせている。曲の主題自体はリスキーだし、カットアップされる映像もきわどいと言えばきわどいが、最終的にこの勇敢なラッパーは、物騒な国家主義に異議申し立てをしながら友好を呼びかけている。
 人種差別や国家主義の問題に関して欧米の音楽文化は、臭いものに蓋をするのではなく、ひとつには、激しく罵り合うことをむしろ笑いのレヴェルにまで持ち上げることで超越しているが(あるいは『NME』がダフト・パンクを表紙にするときにフランス人の蔑称であるカエルの格好をさせるとか、ドイツ人の蔑称であるクラウトを褒め言葉へと反転させるとか)、冗談が通じない日本でそういう国家主義をネタにした洒落が通じるかどうか......。ノリキヨが望む社会が来るのにはまだまだ時間がかかるかもしれないけれど、この曲を聴いて、歴史を紐解くのも無駄ではないでしょう。尖閣諸島はまた別の文脈で面倒くさそうだし。

文:野田 努

Earth / Mamiffer Japan tour - ele-king

 いま猛烈に疲れている。というのもこのドシャ振りの雨の中、マミファーやアースの連中と一日中外を徘徊していたからだ。
 シアトルの連中は雨を何とも思っていないように見える。というかむしろ好きなんじゃないかというくらいのはしゃぎようだ。
 僕と言えばヒキコモリ・イン・ダ・ハウスを具現化したような毎日。
 しかも先日、LAでの放浪を終えたばかり。まばゆいばかりの太陽と輝く砂塵、七色の煙にまみれ弛緩しきった体にこの湿度と雨、人波。この程度の些細な物事につまづいているゆえ今後の社会復帰が思いやられる。
 という僕がいかに僕ちゃんなのかという話ではなく、これはシアトル→LA→東京をドリフトする怠惰なライヴ・レポである。

 オールド・マン・グルーム(Old Man Gloom)、その名を聞いて震え上がらぬ者はいない。ex-アイシス/マミファーのアーロン・ターナー、ケイヴ・イン/ゾゾブラのケイラブ・スコフィールド、コンヴァージ/ドゥームライダーズのネイト・ニュートン、フォレンシクス/ゾゾブラのサントス・モンターノという泣く子も黙る00年初頭のボストン・エクストリーム・ミュージック・オールスター・バンドだ。
そのOMGが10年振りにライヴをやると聞き、僕は少量の尿を漏らした。行かねば...殺られる...彼らの西海岸ツアー初日を飾るこのエコー(Echo)は個人的にも思い入れのあるハコだ。サンセット通りに面した2階がエコー、グランデール通りに面した1階がエコー・プレックス(Echo Plex)となっており、アーロンが社長を務める〈Hydrahead Records〉でバイトをしていた際、LAで初めて借りた部屋から徒歩3分というのも相まって当時様々なバンドをここで見た。「dublab meets dubclub」等このふたつのフロアを存分にいかしたイベントも魅力的だ。
 マーチテーブルでひとりせっせと社長自ら売り子をするアーロンを横目で見つつ、しかし手伝うということもなくビアを飲みながら弛緩しながらニヤニヤしている恩知らず極まりない僕は、この日の盛況ぶりに驚いた。会場を埋め尽くす汗臭い素人童貞感漂うメタル・デュード、メンヘラ感が否めないロックお姉さんの群れ群れ群、マーチャンダイズを湛然に物色する彼らオーディエンスの熱意の凄いこと凄いこと。OMGは多感な時期の僕のヒーローであり、所詮は過去のモノという概念がやはりどこかにあったのか、〈Hydrahead〉のリリース群のようなエクストリーム・ミュージックがこの地においては絶大なポピュラリティーを得ていることを改めて認識させられた。
 気づけばステージではアイズ・オブ・ジェミナイの演奏が始まっている。そのサウンドはストーナー・ロックの文脈下ではあるが、良質なリフ、ひねくれたグルーヴのドラム、ゴシックな女性ヴォーカルと個々の要素に抜群のセンスを感じられるもので今後のブレイクが期待される......って今ウェブで調べたら彼等のアー写が出て来てウワチャー......これは僕にはちょっとゴス過ぎるなぁ......
 OMGの出番もいつしかおとずれ、マーチテーブルから息つく暇もなくアーロンは袖へ。なにも社長自ら売り子をしなくてもいいのになぁと相変わらず手伝う気がない僕だが、そのいつだって一直線な努力が彼のバンドとレーベルをここまで大きな存在にしたことに間違いはない。
 さすがはオールスター・バンド、見栄えが違う。第一線で活躍する個々のバンドの過密なスケジュールがピッタリ合う周期が10年に一度とゆーことなのだ。そのありがたさたるや何チャラ流星群みたいなものである。当時クソガキだった僕はコヤジ(小オヤジ)となり、アンチャンだった彼らはコッサン(小オッサン)となった。パンク・ハードコア・スピリットを忘れ、腰痛が恐くてモッシュもできず、女の子にフラレても「あ、生理なのね」と動じない迷惑千万な図太いコヤジとなった僕を嘲笑するかのようにOMGのオッサンたちはのっけからブルータルなチューンで畳み掛ける。彼らの新作である『No』はOMG史上最もブルータルなアルバムであるが、このライヴで見せる彼らのポテンシャルはそれ以上のものだ。狂気の沙汰ともいえるアーロン、ネイト、ケイラブが全員がヴォーカルをとるという怒濤の三位一体エネルギーがオーディエンスの血液を逆流させる。個人的にOMGのトレード・マークであるサントスのヘヴィかつダンサブルなドラムがフロントの3人の怒れる漢を後押しする。OMGのバンド名からも伺えるが、このバンドは元々アーロンとサントスのふたりが地元であるニューメキシコで結成したものだ(「Old Man Gloom」および「Zozobra」はニューメキシコはサンタフェでおこなわれるバカデッカい案山子を燃やすお祭りのことだ)。OMGのサウンドは燃え盛る感情の炎が照らし出すインディオとラティーノのミックス・カルチャーが育んだニューメキシコの雄大な土地と歴史を舞台にキューブリックが『2001年宇宙の旅』を撮ったような宇宙スラッジ・コアとでも言っておこう。気づけばモノリスに群がる猿と化した僕はフロアでもみくちゃとなり、満身創痍な状態でライヴは終了。アーロンに礼と別れを言い、東京での再会を約束したのであった。
 そう、それは彼の別プロジェクト、マミファーがあのアースとともに来日することになっていたからである。


Old Man Gloom | Photo by Diona Mavis

 さて、話は少し戻り、紙『エレキング』7号にてインタビューをおこなったアースであるが、実はこのインタヴューに僕はかなり尻込みしていた。だってだってだってあのアースですよ? ふだん僕がインタヴューをおこなっている味系ミュージシャンとはワケが違うワケで......。
 僕はアースにある種の畏敬の念を感じている。9年間のブランクの後に発表された『Hex』のレコードに初めて針を落とした時、そのサウンドのあまりの美しさに涙した。それから現在に至るまでコンスタントにアースが発表してきた比類なき完成度を誇るすばらしい作品群は、ディラン・カールソンという壮絶なる半生を送って来た男にしか奏でることができない叙事詩なのだ。近年はB型肝炎を患っており、医者にはすでに余命宣告もされているという中で制作された最新作『Angels of Darkness / Demons of Light I & II』(レコーディングは同一セッション)、そしてリリースを控えているディランのソロ作品、彼のクリエイティヴィティはさらなる高みを登り続けている。彼が見ている世界はもはや凡人が伺い知ることのできない領域なのだ......。
 ......というワケで、僕の中のディランは神々しい存在なのであった。が、新大久保「earthDOM」でのライヴ前、初めて会うディランは笑顔の絶えない最高の男であった。昨年シアトルで会ったベーシストとして今回のツアーに参加しているドン・マクグリーヴィ(その日のくだりはマスター・ミュージシャンズ・オブ・ブッカケのレヴューを参照)とともに自宅で飼う3匹の猫の可愛さを笑顔で語るディランに僕の緊張はいつしかほぐれていった。僕のくだらない質問にも気さくに答えてくれ、炭坑夫として働いていた彼の叔父の壮絶な話なんかまさしく『Hex』の世界観そのままだ。
 ディランの話を聞いている内にすでに演奏を開始していたマミファーはパーカッショニストとしてジョン・ミューラーが今回のツアーをサポート。実は僕は最初彼がジョン・ミューラーだと知らず(だってアーロンがジョンとしか紹介しなかったからね)、後日カレーを食いながら談笑している際に気づいた。失礼極まりない......彼とジェイムズ・プロトキンによるレコード『Terminal Velocity』はエレキング編集部で最近もっぱら話題の名作である(というか僕と三田さんの間だけの話だが......)。
 マミファーのセットは見るたびに異なる様相を呈している。前回の来日の際との秋田昌美氏とのコラボレーションや近年のリリースを聴く限り、よりオーガニックなノイズ・ミュージックを今回も予想していたが、ジョンとのセットとのことで今回は哲学的な重厚さを漂わせるドローン・ロックを披露していた。フェイスの美しい歌声はもちろんだが、OMGとは別にLAで見たウィリアム・ファウラー・コリンズのコラボレーションでも際立っていたアーロンのヴォーカルの繊細かつ重厚な響きはすばらしい。

 マミファーの演奏後の熱も冷める間もなくアースの出番だ。ディランいわく、今回のアースはパワー・ロック・トリオなのさ、とのこと。セッティングのすばやさもさることながら、まさしく小細工無しの生音スリー・ピース。ホーン/オルガンのオーケストラ・セットでのアースもすばらしいが、ディランがていねいにストリングを拾うことによる芳醇な倍音、アドリアーノの司るすばらしい間、ドンの流れる様なベースライン、シンプルが故に個々が際立っている。濃密なロングセットを披露した。僕は週末の新代田フィーバーでの再会を約束し、この日を後にした。
 ラストの東京公演の日、例のごとく予想よりかなり早い時間にアーロンから着信があり、サウンドチェックも早々に済ましたとのことでこの辺にヴィーガン・レストランはないか、とのこと。合流のためチャリを走らせながら僕はかつて彼が結婚前、アイシスで来日していた頃毎回「日本だー! 焼き肉だー!」と騒いでいたことを思い出していた。日本でのヴィーガン・ライフはまだまだ厳しい。下北にてヴィーガン食をむさぼりながらアーロンとフェイスはジョンと本日のセットについて細かい部分を詰めていた。そのかいあってか、その日のマミファーのセットはDOMでのショウを遥かに凌ぐすばらしいできばえだった。終止途切れることのない集中力、ジョンのドラミングはまさしくスティックがドラムに吸い寄せられているようなライト・スポットを打ち抜き、アーロンのヴォーカルは気合い千万、フェイスの歌声の透明感もさらに増したすばらしいものであった。
 おっと、話が前後してしまうが、この日の東京公演をサポートするのは日本が世界に誇るBoris。しかもアレ? 栗原さんもいるじゃないですか。いまさら栗原ミチオについて僕が語るまでもないが、海外の友人のみなが一様に絶賛する彼こそが日本が誇る世界屈指のギタリストである。Borisは名盤『Flood』と新曲を披露する僕が今まで見たBorisのセットの中で最も短いものであったが、それが逆に新鮮であった。Borisの3人が奏でるヘヴィ・サウンド・スケープの中を縦横無尽に駆け巡る栗原氏の血湧き肉踊るギターに会場にいる誰もが恍惚としたことだろう。常にリスナーの予想を良い意味で裏切る、確信的な活動をおこなってきたBoris、それは孤高の存在と呼んでいいだろう。彼らの常に時代の先をゆく活動は真に才能と努力に裏打ちされた天の邪鬼が為せる奇跡なのではなかろうか。今後も彼等に驚かされるのが今から楽しみである。
 さて、結論から言うとこの日のアースは初日を遥かに凌ぐすばらしいものであった。チケット完売で約300弱のオーディエンス。ヨーロッパ・ツアーでの大きなフェスティバル以来の聴衆だとディランは漏らしていたが、それほど誰もがアースを心待ちにしていたのだ。そんな中を優雅にプレイするのは百戦錬磨の経験に他ならない。かつて見た彼らのドキュメンタリー内でのインタヴューにてディランは興味深いことを言っていたのを思い出した。おもむろに目の前にあるグラスを手に取り、自分の音楽はこのグラスに注がれた水のようなものだ。形を持たないその何かがどこからかやってきて自分という器に注がれ、形を為しているに過ぎないと。ディラン・カールソンはかつて僕らの想像を絶する絶望の淵から幾度も這い上がって来た。そして今現在彼がおかれている状況も決して楽観視できるものではない。この日の彼の演奏を聴いて僕は涙しそうになった。それはまるでこの地球上のあらゆるものの存在の儚さ、しかしすべては永遠であり、形を為している個にはすべてに意味があるのだ、と彼が語りかけているように聴こえたのだ。

 彼らはシアトルへ帰っていった。雄大な自然に囲まれたミュージシャン・コミュニティのあるあの地へ。もしこの僕の駄文を読んで少しでも彼等の音楽に興味を持ってくれた方がいれば、彼らのレコードを手に取って欲しい。非常に残念なことにアーロン・ターナーの〈Hydra Head Records〉は今年の暮れを持って1995年から歩んで来たその偉大な歴史に幕を閉じる。いつだってインディペンデント・レーベルとしてローカル・ネットワークを大切にしてきた彼らのリリースを手にとる機会がもしあれば、それは多いなるサポートへ繋がるだろう。またアースもディラン・カールソンのソロ・プロジェクトを含め多くのリリースを控えている。どちらも90年代から現在に至るまでロック史に大きな足跡を残して来た存在であり、今後のインディ・ミュージックの先を占うものであるだろう。


EARTH | 写真:塩田正幸

Cooly G - ele-king

 ブローステップのおかげか、『ミュージック・マガジン』が無理して酷評したおかげか、『マーラ・イン・キューバ』は、日本では、ブリアル以外でけっこう売れているダブステップ作品のひとつとなったようだ。
 ブローステップにしろポスト・ダブステップにしろダルステップにしろ、拡張していくダブステップの手綱を引き締めたのは、結果としてゴス・トラッドの『ニュー・エポック』や〈ディープ・メディ〉だったかもしれないといまなら思えるが、オリジナル・ダブステッパーとしては〈ディープ・メディ〉と双璧を成している〈ハイパーダブ〉も、ハイプ・ウィリアムスローレル・ヘイローといった冒険を押し進めながら、クーリー・GやDVA、LVなどUKアンダーグラウンド・シーンからの才能もしっかりフックアップしている。それらは目立たないかもしれないが、とても良いアルバムなので紹介しておきたい。

 DVAは、2010年、ちょうどUKファンキーが最高潮だった時期に、〈ハイパーダブ〉から「ガンジャ」という12インチ・シングルを出している。これも当時の下北沢のZEROで「なんか良いファンキーください」と訊いたら教えられたもので、なるほどこの曲を聴けばファンキーがソカとUKガラージ、そしてハウス・ミュージックのハイブリッドであることがわかる。



 その年DVAは、スクラッチャDVA名義でクーリー・Gとのスプリット・シングルを自身の〈DVA Music〉レーベルから出している。
 またクーリー・Gのほうは、2010年、〈ハイパーダブ〉から「アップ・イン・マイ・ヘッド」をリリースしている。それは美しいストリングスとR&Bヴォーカルを擁したUKガラージで、UKファンキーよりもさらに、クラブ・ミュージックとしての汎用性の高いトラックだった。
 さらにまた、翌2011年にDVAが〈ハイパーダブ〉から発表したシングル「マッドネス」は、アンダーグラウンドでのこうした動きをアーバン・ポップにまで導く作品だったと言える。



 いずれにしても〈ハイパーダブ〉は、ピアソン・サウンドから2562やマーティンまで、とにかくこの2~3年のあいだの多くのポスト・ダブステップがミニマル・テクノやディープ・ハウスもしくはデトロイト・テクノといったクラシカルなスタイルに"ネクスト"を求めていることに対して、あくまでもオリジナル・ダブステップすなわちUKガラージの発展型としての"ネクスト"にこだわり続けている。そこがこのレーベルの、ある種の硬派的な姿勢から来るもうひとつの面白さだ。
 そうした成果が、今年の夏前までにリリースされたDVAの『プリティ・アグリー』とクーリー・Gの『プレイン・ミー』、最近出たばかりのLVのセカンド・アルバム『セベンザ』、そしてテラー・デンジャーのセカンド・アルバム『ダーク・クローラー』の4枚にある。

 DVAは出自がドラムンベースにあり、ちょうどディジー・ラスカルやワイリーが脚光を浴びていた時代のグライムの主要レーベルのひとつ、テラー・デンジャー主宰の〈アフター・ショック〉に関わっていたという経歴からも読めるように、この10年のUKのアンダーグラウンド・ミュージックの証人のひとりとも言える。
 『プリティ・アグリー』には、そんな彼のキャリアゆえか、7人のヴォーカリストがフィーチャーされている。そのなかにはくだんの"マッドネス"で歌ったベテランのヴィクター・デュプレ(古くはジャザノヴァやキング・ブリットとの共作で知られる)も含まれている。
 今日のR&Bブームにも積極的にアプローチしていると思えるほど歌モノが目立つアルバムで、僕がジェシー・ウェアに期待していたものはむしろこちらにある。あるいはディジー・ラスカルの『ボーイ・イン・ダ・コーナー』がメロウに、そしてクラブ・フレンドリーに、ソウルフルに展開した結実のようだ。プリティ=メロディアスで、アグリー=ストリート・ミュージック臭がとても良い感じで漂っている。

 女性プロデューサーにしてシンガー、DJにしてフットボーラーのメリサ・キャンベル、クーリー・Gを名乗る彼女の『プレイン・ミー』からも『プリティ・アグリー』と同じく街のにおいがある。あたかも深夜バスに揺られながら聴こえてくるR&Bのようだがビートはかなり凝っていて、DVAと同様に、今日的な──UKガラージの発展型としての──ブロークン・ビーツを提示している。
 それでも彼女は、オリジナル・ダブステップのダークなムードを確保している。DMZを彷彿させるハーフステップがあり、ブリアル系の都会の人気のない通りの街灯のような、いかにもUK風の薄明かりの叙情主義がある。ザ・XXの『コエグジスト』の沈んでいくアンダーグラウンド・ヴァージョンとでも喩えたくなるような、ロマンティックな気配さえある。コールドプレイのカヴァーが収録されているけれど、それは言われなければわからないほどに、ダブステップの悲しいメロドラマへと変換されている。ちなみに2010年の名曲"アップ・イン・マイ・ヘッド"は、アルバムのクローサーを務めている。



 ロンドンを拠点にする3人組のLVは、昨年リリースされたファースト・アルバム『ルートス』が、それこそ寂しい通りの街灯をデザインした、ブリアル系のロマンティックな作品だった。ところが、南アフリカ出身のMC、Okmalumkoolkat(オクマルムクールキャット)とRuffest(ラフィスト)、Spoek Mathambo(スポーク・マサンボ)の3人をフィーチャーした新作は、前作とはまったく別のアプローチを見せている。
 LVも一時期はUKファンキーに手を染めていたほど、ある意味柔軟な姿勢でシーンと関わっている。『セベンザ』はヨハネスバーグのクワイト(kwaito)と呼ばれる、ハウスとヒップホップが混合された"アフロ・ロービット・エレクトロニック・ダンス・ミュージック"に触発されたアルバムで、南アフリカを旅したメンバーが2年前から着手しているプロジェクトの成果だ。
 『マーラ・イン・キューバ』や『シャンガーン・シェイク』のような、旅するダブステップという試みのひとつだが、LVによるこれはマーラや〈オネスト・ジョンズ〉の2枚よりもずっといなたく、逆に言えばクワイトの生々しさが保存されている。威勢が良く、訛りむき出しの、気迫のこもったMC、そしてカラカラに乾燥した電子音、南アフリカのゲットー・ミュージックに突き動かされたチープな音は生き生きと躍動している。ドラムンベース~UKガラージのスリリングなビートと低音に注がれるクワイトの野性的な香り、ポリリズミックなパーカッションや彼らのMC、ダイナミックに素速くチョップされる声から生まれるグルーヴは実に魅力的だ。
 最近のUKのクラブ・ミュージックは、こうした今世紀のワールド・ミュージック的展開において、現地の音楽へのリスペクトを示しつつも、自分たちがやってきたことの文脈(ここで言うならダブステップ/UKガラージ)をうまくミックスしていると僕は思う。



 未聴だが、USの〈サブポップ〉も、最近スポーク・マサンボのアルバム『Father Creeper』をリリースしている(オクマルムクールキャットも参加)。
 グライムのプロデューサー、テラー・デンジャーのセカンド・アルバムについては機会をあらためて紹介したい。

onzieme presents 花魁WEST vol.2 - ele-king

 渋谷のアート・サロン「しぶや花魁」と心斎橋のゴージャス感溢れるライヴ・ハウス「onzieme」のコラボレーション・イヴェント「花魁WEST」の第2弾が10月5日(金)に開催される。この日はスペシャル・ゲストとしてOL Killerが登場、関西初上陸となる。ヴィーナス・カワムラユキがプロデュースする「しぶや花魁」ならではのサプライズ演出だ。
20~21時はblock.fmのshibuya OIRAN warm up radioにて公開生放送。
菱沼彩子画伯の書き下ろしで、人気ブランド「galaxxxy」より発売となる「花魁WEST」Tシャツも物販ブースにて販売される。

»詳細はこちらから

チケット



onzieme presents
花魁WEST vol.2
supported by block.fm

 前回のvol.1も好評だった花魁WESTがアイランドバーからメインフロアに場所を移してのこの夜だけのスペシャル仕様でvol.2を開催!
今回はスペシャルゲストに、フジロックやTAICO CLUBでのパフォーマンスも話題のDJユニット「OL Killer」が関西に初上陸。
渋谷発のカルチャースポット「しぶや花魁」ならではのサプライズ演出は必見!伝説の夜になること間違いなし!

優先入場eチケットも好評発売中☆
https://oiran-west.peatix.com

2012/10/5(FRI)
at Live&Bar onzieme
19:00~till late
DOOR:2500円1D W/F:1500円1D
21時まで女性は1Dのみ+ピックアップドリンクプレゼント!

special guest:
OL Killer

guest:
Isao a.k.a Lucas from しぶや花魁

resident:
ヴィーナス・カワムラユキ from しぶや花魁
DA☆YANAGI
DJ OMKT
Coconuts Beat Club

supported by
しぶや花魁  https://oiran.asia
block.fm  https://block.fm
onzieme https://www.onzi-eme.com
CULTURE CLUB '75 https://www.facebook.com/CULTURECLUB75

花魁WEST
twitter https://twitter.com/oiran_west
facebook https://facebook.com/oiranwest

block.fm / shibuya OIRAN warm up Radio
https://block.fm/program/oiran.html

more info:
clubberia | iFLYER | facebook

[Vaporwave] - ele-king

 盗用がアートとなって、アンダーグラウンド・ポップのスタイルとして最初に定着したのが、1980年代のヒップホップとハウスである。いまでもよく覚えているのは、80年代末、MTVのBUZZという番組内でマルコム・マクラレンやティモシー・リアリーが、アシッド・ハウスをBGMに「盗め!」と視聴者を煽動する姿だ。「盗め!」、can you dig it? ヒップホップとハウスには、快楽主義としての音楽の延長ばかりではなく、盗用アートとしてのそれが同時にあった。ヴェイパーウェイヴは、インターネットの無限地獄/エントロピーの増大における盗用音楽として始動している。
 いかにもうさんくさいこのジャンルに関しては、すでに議論が活性化している。その一例。「ヴェイパーウェイヴは資本主義に対する批評か降伏か?」、その答えは「どちらでもあり、どちらでもない」

 ヴェイパーウェイヴはネット時代の申し子的な、あだ花的なジャンルで、果てしなくアップロードされ続けている音源(それはYutubeの冒頭に挿入される広告も含まれる)を探索し、再構築して、ある種の世界放送として発信している。新夢会社(New Dreams Ltd)、コンピュータ・ドリームス、情報デスクVIRTUAL、VΞRACOM、メディアファイヤード、そしてインターネット・クラブ、あるいはジャム・シティジェームス・フェラーロといった連中も「反資本主義の皮肉として読める」。こと、ジャム・シティのようなアーティストは、バラ色のデジタル情報社会をディストピアへと挑発的に反転してみせる。

 もうひとつの例。モダン・テクノ・ミュージック・カルチャーにおけるこれは、その音楽の終焉すら予見させる。
 アメリカには、ミューザック(Muzak)という80年以上続いている企業がある。これはさまざまな職場──デパートから工場、レストランからオフィス、スポーツジムから遊園地にいたる──に音楽を供給する会社で、要するに、労働意欲、購買意欲を促進させるための音楽を提供し続けている。問題は、1984年を境に、この会社が音楽アーティストが作った音楽作品とも提携し、供給をはじめていることだ。
 現在、この会社には300万曲以上の音楽がアーカイヴ化され、そして1億人の聴覚が、自らの労働環境に適した音楽をプログラムさせられているという。そのストックのなかには、インディ・ポップ、ミニマル・テクノ、IDM、ラウンジ・ジャズ、ラテン・ラウンジ、とくにエレクトロニック・ミュージックが多数あるらしい。
 これはアンビエントというコンセプトとは真逆の、産業社会を促進するためにサプリメントのような音楽としての利用のされ方である(カラオケやがんばれソングも同じと言えば同じ)。要するに、「もはやミュージック(音楽)とミューザック(ビジネスのための音楽)の境界線はぼやけているのである」
 多くの人は、違法ダウンロードが音楽の経済成長を止めたと思っている。しかし、ヴェイパーウェイヴは、音楽がハイパー資本主義という吸血鬼によって血を吸い取られたがゆにえ衰退したのだと考えている。

 ヴェイパーウェイヴの悪意や反抗心は、そうした産業社会に利用された音楽をふたたび自分たちの元に取り戻そうとする衝動にあるのだろう。ヴェイパーウェイヴは自らが音楽の死、音楽の終焉、音楽の腐敗となっている。そしてこの運動が短命であることも自覚している。盗用アートは、ある種の瞬間芸として成立する。
 「VANISHING VISION」=消えゆく夢。消えゆく理想。廃れていく音楽が夢見た夢。インターネット・クラブはそうした警告めいたタイトルのアルバムをフリーダウンロードで発表した。ゴルフ・クラブの待合室でかかる音楽、教則本にあるようなBGM、ぞっとするようなハイパーモダンなオフィス・ビルディングの受付で流れている音楽をかき集めて、ファッキン清潔なオフィス街の机に並んだPCから高解像度の毒を吐くことができるだろうか。アートワークに使われている風景も日本のアニメから引用されていることも興味深い。ま、どんなものか、とりあえずこれは無料なので聴いてみましょう。

https://internetclubdotcom.angelfire.com/

interview with Ogre You Asshole - ele-king

E王
OGRE YOU ASSHOLE
100年後

バップ

Amazon iTunes

 あのさ、と彼は言った。9月になったら世界恐慌が起きて、日本もギリシャみたいになって、それから......と彼は続けた。医療制度から原発問題にいたるまで、ひと通り。そして9月になって、オウガ・ユー・アスホールの新作『100年後』がリリースされた。
 『100年後』は実に興味深いアルバムだ。これを失敗作と言う人がいても不自然ではないと思えるほど、バンドは、ある意味では、思い切った賭けに出ている。もしここで『homely』をもっとも象徴する曲を"ロープ"のロング・ヴァージョン(12インチ・シングルに収録)だとするなら、『100年後』はあの曲のスペース・ロックめいた恍惚、清々しいまでの残響から自ら離れていったアルバムだ。
 気晴らしに徹することができたらどんなに楽だろう。結局のところ『homely』で最高に気持ちが良いのは、"ロープ"のロング・ヴァージョンの長い長いインストの箇所かもしれない。もうひとつ、『homely』を象徴する曲"フェンスのある家"で歌われている「嘘みたいに居心地が良い場所(comfortable lie)」が具体的にはどこを指しているのかバンドからの説明はないと思われるが、はっきりしているのは、オウガ・ユー・アスホールには離れたい場所があったことだ。
 バンドは音楽的に多様なスタイルを身に付け、ここ数年で、聴覚的な面白味を具現化している。石原洋と中村宗一郎によるそれ自体がアートの領域のようなミキシングを介して生まれる刺激に満ちたサウンドは、『homely』の最大の魅力である。出戸学の歌詞は、ほとんど断片的な言葉で組み合わされている。受け取り方によっては、パラノイアックにも思えるし、アイロニカルで、そして感情的な空想を駆り立てている。それらが一体となったとき、いかにもシャイな青年たちによるオウガ・ユー・アスホールは最高の高揚に達する。「わな?  居心地よく 無害で/笑っていた ここはウソ/飾るためのドア/つかれた彼も/心地よく呑まれていた」"作り物"

 アビヴァレンツなムードが『homely』以上に際立っているのは、『100年後』が異様なほどにリラックスしているからだ。『homely』が"マザー・スカイ"なら今回は『フロー・モーション』とも言えるが、『フロー・モーション』ほどリズムをテーマにしている感じではない。それでも『100年後』には、快適さや楽観性と並列して恐れや懐疑がある。メロウで弛緩しながらも、ところどころでささくれている。その点では『フロー・モーション』的と言えるだろう。
 そして、この面倒な混線のあり方は、たしかにわれわれのいまを表しているのかもしれない。わけわかんないって? しかし、それでは、ガイガーカウンターの音でもサンプリングすればいいのかという話だ。
 オウガ・ユー・アスホールは、彼らの催眠的な演奏を控え目にしながら、多様な思いを、複雑な感情をある種チルアウトな場所へと持ってく。感情の垂れ流しではない。僕は、このアルバムの感覚は、フライング・ロータスの新作やエジプシャン・ヒップホップのアルバム、ないしは今日のアンダーグラウンド・ミュージックにおけるアンビエント志向ともそれほど遠くはないと思う。なんとかして、落ち着きを取り戻しているのだ。ひどく引き裂かれながら......。
 『100年後』はなかばトロピカルなゆるさとともに、こういう歌い出しからはじまる。「これまでの君と/これからの君が/離れていくばかり」"これから"

『homely』がほんとに自分たちでは完成度の高いものができたなと思ってるんで、それに恥じないものを作ろうと思ってました。でもそれの延長上もイヤだったんで。その最初のきっかけがどういうものになるかっていうのがもっとも重要な点でしたね。

『homely』のあとの方向性として、チルアウトな感じっていうかメロウな感じ、もしくはエクストリームな感じか、っていう風には思ってたんですよ。それで、どっちに行くのかな、っていう興味があって。結果を言えば、エクストリームな方向性っていうのをあそこまでライヴで実現しておきながら、捨てたじゃない? すごくもったいないなと思ったんですよね(笑)。

出戸:ああー(笑)。でも、エクストリームな方向に行くと、『homely』の延長上になってしまう気がするんですよね。

もちろん、もちろん。

出戸:そこはまあ、作品の連続性があるなかでも、ベクトルは変えたいなと思って。

ただ、『homely』であれだけ自分たちのサウンドを作ったわけだから、もう1枚ぐらい続けても良かったんじゃないのかなっていう。そういう気持ちは少しぐらいはなかった?

出戸:そういう気持ちも、ほんとに半々でスタート地点でどっちに行こうかっていうので僕も迷ってて。でも最初に作った曲が、1曲目の曲なんですけど。

あ、1曲目の"これから"が最初だったんだ?

出戸:それができたときに、「こっちだな」っていう風に思って。

ああ、なるほど。あのイントロにはたしかにやられました。でも、いや、『homely』の続編を1枚作れば、ひょっとしたらゆらゆら帝国が行けなかった領域に行けたかもしれないのに、と思って。

出戸:そうなんですか(笑)?

ゆらゆら帝国フォロワーって言われるのは自分では抵抗ありますか?

出戸:ありますね。

100パーセント抵抗あるって感じ?

出戸:それはしようがない部分があるのはもちろんわかってるんですけど、僕個人としては、フォロワーっていう気分では作ってないっていうか。それはプロデューサーが同じだから、石原(洋)さんの色とかみたいなもので共通項はあるだろうけど。まあ言ってみればメンバーがひとりカブってるようなものだと思ってるから。フォローをしていくっていうつもりはあんまりなくて。

フォロワーってちょっと僕の言葉が悪かったね。

出戸:影響は受けてると思います。石原さんと一緒にいて、喋る時間とかも長くなってるんで。そういった意味では、あるのかもしれないですけど。

僕はゆらゆら帝国も最近のオウガ・ユー・アスホールも大好きなんですけれど、ゆらゆら帝国とオウガ・ユー・アスホールの違いを僕なりに言うと、ゆらゆら帝国はドライなことをやろうとしていながら自分たちのウェットさから逃れられなかったという感じがするんですね。たとえば"つぎの夜へ"って曲があったじゃないですか。ああいうある種の感傷がばっと出てしまう瞬間があったでしょ。そこが魅力でもあったんだけど、そういうところがオウガにはない。

出戸:ないですね。

今年見たライヴなんかは、そのさばさばしたドライな感じとサイケデリックなトリップ感がものすごくうまくなった感じがあって。とくに"ロープ"のライヴ演奏とかすごかったじゃない。だからあの路線をもう1枚続ければ、ゆらゆら帝国が行けなかった領域に行けたんじゃないかって僕が勝手に思ったんだけどね、すいません(笑)。

出戸:なんですかね、まだどうなるかわからないですけど、自分のなかには構想があるんで(笑)。

そう(笑)。それで、新しいアルバムの『100年後』、出戸君の発言を拾い読みすると、「100年後を想像したときにすごく楽になれた」って話じゃないですか。それっては諸行無常ってことだと思うんだよね。ある種の無常観、つねに物事は終わっていくっていう。だけど『homely』はそういう無常観とは違うものだったよね。ちょっとパンク・ロック的な感覚もあったと思うし。パンクっていうか、100年後を想うことのある意味では対極かもしれないんだけど、たったいまこの瞬間だけを一生懸命生きるっていう感覚が。無常観っていうのもひとを楽にさせるとは思うんだけれども、たったいまこの瞬間のことだけを考えるっていうのも重要なことじゃないですか。

出戸:その熱さみたいなものもの、熱を持ちつつ、一回冷やした状態で曲を作りたかったみたいなのはあって。

それはどうして冷やしたかったの?

出戸:なんだろう、『homely』の続編を作るときに......なんですかね。まあもともの性質でもあるんですけど、僕そんなに「いまを生きる」熱さみたいなものはないのかもしれない。ライヴのときはあるかもしれないですけど。本質的にそんなにガツガツした感じではない(笑)。

それは見てて非常によくわかる(笑)。でも、「いまを生きる」って熱さでも冷たさでもなくてさ、考え方じゃないですか。気持ちのありようっていうか。そういう「いま」の連続性が、音楽でいうとミニマリズムみたいなことかなって思うんですけれど。僕もオウガから熱さは感じないからさ。

出戸:ですよね(笑)。

だからこそ、続けるべきだったんじゃないでしょうかね(笑)。

出戸:えー、今回のは、いまを生きているって感じはないってことですか(笑)?

だって今回は『100年後』だから。

出戸:まあそうですね。

それは何かきっかけがあったの? 今回のコンセプトに行き着くような。

出戸:『homely』の終末観みたいなものは自分のなかではあったんですけど、それが重くなりすぎた感じがして、僕のなかで。『homely』が。

ええ、そうなの。僕は逆になんかね、すごく軽くしたっていう風に思ってたんだけどね(笑)。あれはでも重かった?

出戸:はい。それで次はもっと軽くしたいなっていう。テーマ的にはそんなに変化はないんですけど、もっと軽く表現したいなって思ったんです。

なるほど。そういえば、ぜんぜん話飛んじゃうんだけどさ、レコーディング中にジム・オルークさんが乱入したっていう話を聞いたよ。

出戸:レコーディングっていうかライヴの練習中ですね。練習中に入ってきたんですね。

それは何? スタジオが同じだったの?

出戸:いや、僕らの持ってるスタジオが長野にあるんですけど、そこの近所で石橋(英子)さんたちがレコーディングしてて、そこのスタジオのオーナーが僕の知り合いで、それでたぶん連れてきたんですね。急に「うるさい!」って言って入ってきたんですね(笑)。

はははは。面白いね。

出戸:そのとき石橋さんも一緒にいて、って感じでしたね。

[[SplitPage]]

『homely』の終末観みたいなものは自分のなかではあったんですけど、それが重くなりすぎた感じがして、僕のなかで。『homely』が。それで次はもっと軽くしたいなっていう。テーマ的にはそんなに変化はないんですけど、もっと軽く表現したいなって思ったんです。

E王
OGRE YOU ASSHOLE
100年後

バップ

Amazon iTunes

なるほどね。なんかね、『100年後』を一聴したとき、すごくリラックスしているアルバムだなと思ったんですね。その感じが僕にはとても良く思えたんですよね。恐怖を煽るような感じじゃなくてさ、腹の括り方というか。それは自然に自分たちから出てきたものなの? それとも、ある程度コントロールしてそういう世界を作ったって感じ?

出戸:そうですね、『homely』が重さとか緊張感とかがあったので、最初にそれとは違うベクトルのものを作っていこうってなったときに、まあ単純にそうなったっていうのもあるし。もともと僕のなかでそういうものが聴きたいっていう欲求もあって。

1曲だけ"黒い窓"ってダウンテンポがあるけど、他は曲のテンポがみんな近いじゃないですか。テンポ的に追えば、アルバムのなかであんま起伏がないっていうか、ある種のフラットな感じもあって、そこは意図した?

出戸:そうですね、意図してますね。

ああ、やっぱ意図的だったんだ。さっきも言ったけど、1曲目のイントロがほんと最高でした。あの何とも言えないメロウなニュアンスっていうのが、自分たちでは今回のアルバムのイントロダクションとして最高に機能できるものだっていう?

出戸:そうですね、はい。1曲目にふさわしいとは思いましたね。あのイントロの音は。

出戸くんは最初に曲を作って後から歌詞を乗せる?

出戸:そうですね、逆のことはまずないです。

じゃあ「100年後」って言葉も後から出てきたんだ?

出戸:いちばん最後、全部ができた後にアルバム・タイトルをつけました。

その「100年後」って言葉には、出戸くんなりのちょっとした諧謔性、ユーモアっていうのもあるの?

出戸:ユーモアっていうか......「なにもない」っていう言葉、いまあるものがない、僕が死んでるとか、そういう終わることを、恐怖心を煽る感じで言いたくないなと思ったときに、100年後っていうのがユーモアではないけど、自分のなかではそういう言葉がハマったっていうか。

なるほど。1曲目で「諦めて/おいで」って言葉が出てくるじゃないですか。その「諦める」っていうのは何を意味してるの?

出戸:うーん......何だと思いますか(笑)?

ははははは(笑)。いろいろと考えちゃうよね(笑)。あのー、出戸くんは歌詞もすごく特徴があって。直接的な言葉やわかりやすい言葉遣いを避けてるじゃない? その理由は何なんでしょう?

出戸:なんかガッツリ音を聴いたときに、こう言葉が入ってくると単純に踊れないとか、そういう音楽を邪魔する部分ってあるじゃないですか。素直に音に入っていけなくて、そっちの文脈に頭が行っちゃって歌詞を追うようになっちゃうっていうので、あんまり入ってこないようにはしたいけど、まったく意味のないものにもしたくないというか。その中間で歌おうとすると、こういう感じになったっていうか。

出戸くんは、表に出さないだけであって、実は苛立ちであったりとかさ、憤りを抱えている人でしょう? ぎゃあぎゃあ言わないだけで。やっぱどこかにささくれだったものを感じるもん。

出戸:苛立ちみたいなものは多かれ少なかれあるとは思うけど、ぎゃあぎゃあ言うのは性に合わないっていうか。友だちとはそういう話はしますけど。歌詞では、わかるひとにはわかるぐらいの発信の仕方っていうか。

どちらかと言うと誤解されてもいいやぐらいの感じじゃない。だっていまの「諦めて」っていうのもさ(笑)。

出戸:(笑)そうですね、でも誤解されてもいい。音楽が......。

語ってくれると。

出戸:そう思うんですけど。

さすがですね。"黒い窓"って曲のなかでさ、「ふつう」って言葉が出てくるんだけど、出戸くんは自分のことを普通だと思う?

出戸:まあ普通になりたいとは、子どもの頃から思ってた。

ここ数年ぐらい普通ってことをすごく強調するひとたちが目につくようになったでしょ?

出戸:そうですか?

「そんなの野田さん普通ですよ!」とか言って(笑)。

出戸:はあ......(笑)。まあその歌詞で言う「ふつう」っていうのは、ちょっと死体のような感じのニュアンスもあるかもしれないですね。どっちかって言うと生気のないひとのことを表しているような気もする。

ああ、なんかそういう感じだよね、あれは。あと、AORっぽい曲で、"すべて大丈夫"って曲があって、あのなかで「似ていく/正しいことも/間違いも」って言葉が耳に残るんですけど、これはどういうことなんですか?

出戸:これはまあ、感覚が麻痺した状態っていう意味で。終わりかけの麻痺感に近いのかな。

あと、今回はポップスってことをすごく意識してるなと思って。"記憶に残らない"って曲なんかはね、変な話、懐メロっていいますかね。

出戸:懐メロですか(笑)。

レトロ・ポップス的な要素を入れてるじゃない。あのコーラスとか。

出戸:はいはい。まあ敢えてって部分もありますね。そのコーラスの部分は。

懐メロっぽいことをやりながら、「記憶に残らない」っていうさ。ある種パラドキシカルな言葉をつけているのも面白いなと思ったんだけれども。

出戸:ああ、でもそれはあんまり意識してなかったですね。たまたまですね。

この「記憶に残らない」っていうのはさ、負の意味で言ったんですか? それとも正の意味で?

出戸:まあどちらでもいいんだけど、負に捉えたほうが面白いかなっていう。

皮肉が含まれてる?

出戸:皮肉っていうか、まあそう素直に思う部分もあって、っていう。でもどっちに取られてもいいような状態にはなってると思いますけどね。

『homely』のときもそう思ったんですけれども、ただ今回のほうがより抽象性は高いと思う。

出戸:そうですかね。

自分ではどう?

出戸:自分では、今回のほうがより焦点がわかりやすくなってるかなと思ったんですね。

ほお。出戸くんは歌詞はスラスラけっこう書けてくほう?

出戸:スラスラ書けるときと、書けなかったら書かないみたいな感じですね。ひとつのテーマが思いついたらけっこう早いっていうか。

音楽性の追求ってことで言えば、インストの曲だってできるバンドだと思うんだけど、やっぱ日本語の歌っていうものに対してこだわりがあるわけでしょう?

出戸:まあこだわりって言ったらあれですけど、でも自分が歌い上げてって言うよりは、やっぱり楽曲のなかでそんなに邪魔でないものであってほしいとは思ってますけどね。

長野で生まれて、名古屋に出てきて、で、また長野に戻って活動しているわけだけど、自分たちが長野の地元にいるってことは、オウガ・ユー・アスホールの創作活動においてどのような影響を与えてると思う?

出戸:うーん......いまのプロモーション期間とかは、ほんと毎週東京に来てて。その距離の問題で、僕に疲れを与えている。

はははは! ......すいません。

出戸:(笑)。

昔よく絶対聞かれたと思うんだけど、自分たちが名古屋の学校を出た後に、そこでまた地元に戻ったっていうのはごく自然な選択だったの?

出戸:みんなで話し合った結果、どうしたいっていう話のなかで、選択肢は名古屋に戻るか、東京行くか、長野に戻るかっていうので。そういういろんな可能性を話した結果、長野ってことになったんですけどね。

長野はどんな場所なの?

出戸:場所は、周りにほとんど家がなくて、森のなかで砂利道をこう、500メートルぐらい舗装道路じゃない道を行ったところにある場所なんですけど。そこでスタジオで音が出せる環境があって、楽器とかも広げたら次のライヴまでそのまま片づけなくていい、みたいな感じで。

牧歌的な感じ?

出戸:牧歌的って言うよりも、なんですかね、夜とかはひとがいなさすぎてちょっと怖い。冬になると「ひとが住む場所じゃないな」みたいな(笑)。

出戸くんの歌詞のなかに出てくるさ、「なにもない」っていう言葉っていうのはそこから来てるのかな?

出戸:でもそこは、牧歌的感とはあんまり結びつけてほしくなくて。もうちょっとこう、追いつめられて気が狂ったひとの歌みたいな気分で、自分は書いてて。

あ、そうなの!?

出戸:で、妙に明るいみたいな。いままで終わりに向かって歌ってたのに、急に妙に明るく「なにもない」って言ってる感じが、自分のなかではちょっと発狂に近いようなニュアンスで書いたつもりなんですけど。

なるほど。心の叫びとも言える?

出戸:心の叫び(笑)。

いや、そんなもんじゃない(笑)。でもやっぱり、暮らしやすいですか?

出戸:いまは夏なんで暮らしやすいですね。夏は標高が1200メートルぐらいあるんで、単純に涼しいっていう意味では暮らしやすいですけど、東京のひとで毎日とか週2~3とかでひとと飲んでてワイワイやってるひとには耐えられない空間だって(笑)。

なんで? 何もないからってこと(笑)?

出戸:ひとと会わないし、あんまり。ひとに会えない。会うときはこっちがよっぽど遠くに行くか、向こうが来てくれるかぐらいなんで。

ちょっと想像しにくい場所だね。

出戸:うーん......。

そういうところはきっとオウガっていうバンドのエッセンスとして関わってるんだろうね。

出戸:うーん、僕らがそこにいるっていうポリシーで作ってる曲はないから、自分としてはそこから何か発想を得てるっていう気はないですけどね。

スタジオって自分たちでお金をかけて作り上げたって感じ?

出戸:多少はお金使ったんですけど、レコーディングはできないんで。

リハーサル・スタジオなんだ?

出戸:リハーサル・スタジオなんで、そんなにお金かけることもなくて。防音と吸音ぐらいで。あと機材、マイクとかスピーカーとかぐらいで、そんなに莫大なお金はかかってないです。

[[SplitPage]]

夜とかはひとがいなさすぎてちょっと怖い。冬になると「ひとが住む場所じゃないな」みたいな(笑)。そこは、牧歌的感とはあんまり結びつけてほしくなくて。もうちょっとこう、追いつめられて気が狂ったひとの歌みたいな気分で、自分は書いてて。

E王
OGRE YOU ASSHOLE
100年後

バップ

Amazon iTunes

大滝詠一さんが昔の日本の音楽は分母には世界史があったと、しかしその分母がニューミュージックの台頭で内面化されて、どんどん世界が隠蔽されていったという話があって、僕もそうだなと思うんですけど、日本の音楽、とくにロック・バンドとかさ、その多くがなんで音的な視野を狭めちゃったんだと思う?

出戸:まあキャラクター商売だと思ってるひとが多いかなって思いますね。キャラとして確立されれば、音はどうでもいいと思ってるんじゃないかって。

ああなるほど。でも、キャラを売るって昔からずっとあったと思うんだよね、とくにポップ・ミュージックの世界では。

出戸:もしくは、ロック・バンドって、「自由にやることがいい」みたいな。「自分たちの好き勝手にやるのがいい」っていうのが美学になったのが、こう何ですかね、間違って捉えてほんとに自由にやってて、ファンがいいって思うことと自分がいいって思うことが一緒になって混ざっちゃって、っていうのがあるのかもしれない。そこで手綱を引き締める、批評をしなくなるっていうか。

ある1曲がファンから強烈に愛されてしまうと、その曲から自分たち自身が逃れられなくなっちゃうってこと?

出戸:っていうのと、あと自分たちの作品に批評性を持ってない。自由にやるっていうのが、それを持たないで自由にやってる感じがするっていうか。だから「俺、すごい」っていうパターンか、ファンに迎合してるパターンの2パターンっていう風に見える。それで自分に対しての批評を持たずに作品を作ってるひとが大半で。

そういう意味で、同世代だとトクマルシューゴみたいなひとには共感がある?

出戸:トクマルくんが4つか5つぐらい上なんですけど。まあ昔からの知り合いっていうのもあって。

みたいだね、なんかね。

出戸:トクマルくんがツアーに出たとき初めてのツアーが長野で、そのときに対バンで僕らが呼ばれてて。そこで初めて僕らが知って、みたいな。それが6、7年前とかそんな感じなんで。対バンとかはあんまりしてないですけど、プライヴェートではちょこちょこ喋ることがあって。

まあ、トクマルくんもそうだけど、オウガ・ユー・アスホールも理屈っぽい音楽ではないでしょ。かといって感情を思い切り表に出していく感じでもないし......。さっきも訊いたけど、出戸くんはポップっていうことはどんな風に意識している? ポップスというか。

出戸:ポップスとまでは行かないですけど。でも今回は『homely』が持ってたちょっとアヴァンギャルドな感じとかを......

トゲがある部分を。

出戸:トゲがあるもの、その要素も持ちつつもうちょっと歌の存在感はある、みたいな。『homely』のときに歌がそんなにないような感じだったんで。もうちょっと歌を前に出そうかなぐらいは思ったけど、そんなポップスほどまでは考えてなかった。

"記憶に残らない"とかもそうなんだけど、"すべて大丈夫"とか、けっこうオウガ流のポップスみたいなものを考えてるのかなっていうか。"すべて大丈夫"なんてさ、タイトルからしてオウガらしくない無理な感じはあるじゃないですか(笑)。

出戸:まあ敢えてつけてますね。

バンドにとって今回もっとも重要だった点っていうのは何だったんでしょうか。

出戸:『homely』がほんとに自分たちでは完成度の高いものができたなと思ってるんで、それに恥じないものを作ろうと思ってました。でもそれの延長上もイヤだったんで。その最初のきっかけがどういうものになるかっていうのがもっとも重要な点でしたね。違うベクトルであり、『homely』にも恥じないというか、そういうものをどう作ろうっていうのはけっこうありました。

やっぱり前作を超えなければいけないっていうね。

出戸:延長上だと、たぶん『homely』は超えられないんですよね。音楽を作ってる経験上。

なるほど、ストイックだねえ。

出戸:いやあ(笑)。ストイックなんですかね(笑)。

ははははは。やっぱ『homely』的な激しさっていうのは、本来の自分たちの限界を超えたっていうか、ちょっとこう、跳躍してみた感じっていうのがあったんですね?

出戸:そうですね、かなり異次元のものを作ってやろうっていう意気込みが最初にすごくあって。自分たちも捉えられないようなものとか、そういう要素を。レコーディング期間とかもけっこうあったんで、わけわかんないものをとりあえず入れといて、ミックス作業で意外と自分たちのなかではけっこう抑えたというか。ミックスしてみると収まったという感じですかね、どっちかと言うと。だからレコーディングしてるときは「これ成立するのかな」っていうぐらいで作ってたんで。そういった意味では、今回はそういうのはなかったかもしれないですね。でも今回も3、4曲目とかはどうなるかわからないスリルみたいなのはありましたね。

『homely』よりもさわりはゆるい感じですが、今回はより深みはあるっていうかね。またライヴが楽しみです。


「100年後」リリースツアー 10/13 松本ALECX(ワンマン)
日時:2012年10月13日(土)OPEN 18:30/START 19:00
出演:ワンマン
TICKET:
一般発売日:8月18日(土)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:FOB新潟 025-229-5000

10/19 新代田FEVER
日時:2012年10月19日(金)OPEN 18:30/START 19:00
出演:ゲスト、石橋英子
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:Livemasters Inc. 03-6379-4744

10/21 横浜F.A.D
日時:2012年10月21日(日)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:Livemasters Inc. 03-6379-4744

10/27 札幌cube garden
日時:2012年10月27日(土)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:WESS 011-614-9999

11/3 新潟CLUB RIVERST
日時:2012年11月3日(土)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:FOB新潟 025-229-5000

11/4 仙台MA.CA.NA(ゲスト有)
日時:2012年11月4日(日)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:G/i/P  022-222-9999

11/9 福岡DRUM Be-1
日時:2012年11月9日(金)OPEN 18:30/START 19:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:BEA 092-712-4221

11/10 広島ナミキジャンクション
日時:2012年11月10日(土)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:9月9日(日)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:夢番地広島 082-249-3571

11/17 名古屋CLUB QUATTRO
日時:2012年11月17日(土)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:10月6日(土)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:ジェイルハウス 052-936-6041

11/18 大阪BIGCAT
日時:2012年11月18日(日)OPEN 17:30/START 18:00
出演:ゲストバンド有・後日発表
TICKET:
一般発売日:10月6日(土)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:グリーンズ 06-6882-1224

11/24 「100年後」リリースツアー 渋谷AX
日時:2012年11月24日(土)OPEN 18:00/START 19:00
会場:SHIBUYA-AX
TICKET:
一般発売10月6日(土)
前売¥3,500/当日¥4,000
INFO:Livemasters Inc. 03-6379-4744

interview with Boys Noise - ele-king

 ユニット名がその音楽を雄弁に物語っているようでもある。「騒音男子」。いや、「男子たち騒音」である。しかし、この違いはとても微妙に決定的である気がする。ドイツはハンブルグ出身のアレックス・リダは、ノイズ・ボーイと名乗らずにボーイズ・ノイズという名状を自らに付した。となると、オーディエンスがDJブースに立つ彼を見たときそこに映るのは騒ぐ男子たちであり、それはまぎれもなく(おそらく女子も含めた)オーディエンスたち自身の姿である。ボーイズ・ノイズの音楽は、果たしてただ個人的なものだろうか。それともヤングたちのパーティのための俗な音楽だろうか。音楽以上の騒音を奏で若さを爆発させるオーディエンスたちの描写であるかもしれないという想像もできる。彼はDJブースにおいてオーディエンスに対して向けた鏡(マジックミラー)の後ろ側に立っているのだから。


Boys Noize
Out of the Black

Boys Noize Records/ビート

Amazon

 ここ1~2年は、ディプロなんかとも関わっていたラッパー、スパンク・ロック(〈ビッグ・ダダ〉からのリリースで知られる)の作品を自身のレーベルからリリースしたり、コンピレーション『BNR Vol.2』ではベルリンのエレクトロニック・ミュージック・デュオ、モードセレクター、そのレーベルからセカンドを発表したシリウスモ、ファイストの(色々な面での?)プロデューサーであり、自身のソロ作品でも人気のあるゴンザレスなどなど、ジャンルにとらわれずにユニークな面々をそろえている。アンダーグラウンドとは呼び難いほど脚光を浴びているし、大舞台でプレイしている。なんと言っても、彼はスクリレックスのコラボレイターであり、そしてまたジャングル・ブラザーズの"アイル・ハウス・ユー"をスヌープ・ドッグに歌わせてしまえるほどの人物である。

 カフェに用意されていた別室に入ると、紳士的で笑顔を絶やさない青年と、彼が着ている「DC/AC」(もちろんハードロック・バンドのパロディ)のロゴとアウトバーンの標識が大きくプリントされていたTシャツがいっきに目に飛び込んできた。その標識とは、クラフトワークのアルバム・ジャケットに用いられていたグラフィックでもある。

 このインタヴューでは、4年ぶりのニュー・アルバム『アウト・オブ・ザ・ブラック』をリリースするボーイズ・ノイズ(アレックス・リダ)がDJブースの外でなにをどう見据えているか、また、ボーイズ・ノイズ自身とは舞台のかけ離れている(ように見える)類の音楽に対してどんな認識をもっているかを彼に語ってもらった。そこから、彼自身が自らをどう位置づけているのかが同時に浮かび上がるだろう。

ただのロック・マシーンには参ってしまうし、僕がそういったものとライヴ・セッションをするときにはもっと生命感を注ぎ込みたいと思ってる。とくにアメリカン・ダブステップが見失っているものだね。

今日は時間を作っていただいてありがとうございます。

アレックス:(にこにこしている)

ボーイズ・ノイズとしてアルバムを出すのは4年ぶりですね。その間にシザー・シスターズやスパンク・ロックなどのアーティストのプロデュースやご自身のレーベル〈ボーイズ・ノイズ・レコーズ〉の運営をなさっていたと思いますが、それらを経てご自身のアルバムを完成させてどう思いましたか。また、完成したアルバムについてどう思っていますか。

アレックス:そうだね。僕にとって、自分の音楽を作ることとプロデューサーを務めることはまるで違っていて、自分の音楽ではメロディやハーモニーよりもサウンドに重点を置いていて、サウンドが音楽なんだ。たくさんの機材を使って何回もライヴ・セッションをして、自分でもコントロールできないちょっとした偶発性のあるところでサウンドが生まれる。曲とかメロディじゃなくて、サウンドが主題で、僕はそれに興奮するんだ。
 僕はDJでありプロデューサーでもある。他のアーティスト――たとえばバンドやラッパーと仕事をするときには、まずアーティストとしての僕自身の音楽を作るわけじゃないということを第一に認識する。手がけるのは他の人の音楽作品だからね。だから、彼らが何を欲しいのか気づかなくてはならない。それは繊細な関係であって、ときにはダイレクトに「ちがう。これはよくない。もっとこんな感じにするべきだ」なんて伝えなければならない。それは自然に成り立つものでなくて、特別な関係なんだ。
 プロデューサーとは音楽を作っているだけのものだと思っていたけれど、実際にはそれ以上にコミュニケーションが大事で、なにをすべきで物事がどうなるべきかを把握する立場の人間だった。いいプロデューサーになるためにどうするべきかを学べて、いい経験だった。僕自身の音楽では、僕がアーティストで、どうするべきだと伝えてくる人もいない。思うがままに行動するだけだよ(にこにこ)。

昨年、リミックス集である『ザ・リミキシーズ 2004-2011』がリリースされましたね。デヴィッド・リンチやファイストなどの幅広いアーティストにまたがるトラックが収録されていますが、いわゆるダンス・ミュージック――テクノやハウス以外のアーティストがあなたに求めてくるものはどういうものだと感じていますか。

アレックス:僕が推測するに、彼らが求めるボーイズ・ノイズ・サウンドというようなものがあって、リミックスを手がけはじめたころ、たくさんの人から「きみの過去の作品と同じようにやってくれ」といわれることが多かったんだ。僕はファイストのリミックスを手がけたんだけど、「ファイストのリミックスみたいなのを作ってよ」と言われたりね。でも僕は自分自身を絶対にコピーしたくないから、同じことは絶対にできない。でもいつしか、「よし、彼を信じよう。好きなようにやってもらおう」というふうに人から任されるようになった。業界にウケるように作り出すのではなく、ただただ自分がいいと思うように手がけるように都合をつけていくのは大変なんだ。
 僕にとって大事なのは、僕がよしとしたことに相手が誠実でいてくれることなんだよ。人からリミックスを求められた際には、僕自身がリミックスにベストだと思うようにトライするよ。いままでふたつベストのリミックスを手がけたから、こういうのをあと10パターン作ろうというのではなくね。まったく違うし、難しいことなんだよね。これまでのリミックス作品はすべて手がけることができて嬉しいものだし、それぞれはまったくちがうものだけど、最終的には人びとがボーイズ・ノイズ・サウンドだと思うものになっているんだろうね。

橋元:ノイジーでグリッチーなサウンドをデヴィッド・リンチやファイストにぶつけたのはおもしろかったですよね。

アレックス:ありがとう(にこにこ)。

"サーカス・フル・オブ・クラウン"に、すこしダブステップっぽいというか、グライムのテイストを感じました。スクリレックスともタッグを組み、ドッグ・ブラッドとしてEPをリリースしていますね。そこでダブステップについてどう感じているのか、なぜダブステップからの影響を欲したのかが気になりました。

アレックス:不思議なもので、"サーカス・フル・オブ・クラウン"を手がけたのはおおよそ2年前なんだよ。その頃にはスクリレックスのことはまるで知らなかった。ダブステップとはあまり思わないけど、ハーフ・テンポだよね。〈ヘッスル〉サウンドではなく。
 全般的にダブステップにはいい要素がたくさん詰まっていて、例えばDJセットなんかをすべて通して聴くことはできないのだけど、とくにアメリカン・ダブステップに関して感じるのは、ときどき......なんというか、ある意味で包括的すぎていて、完璧すぎで、機能的すぎるということ。僕もアグレッシヴな音楽は好きだから、そういうアグレッシヴネスに溢れたスタイルがいいとも思える。それでもまだ、いいとは思えない要素もたくさんあって、ときにベタで安っぽすぎると感じるし、クレイジーなヴォーカルが挟まれるブレイクダウンとか、トランスみたいな要素とか、僕にはときどきトゥー・マッチに感じられる。
 ただのロック・マシーンには参ってしまうし、僕がそういったものとライヴ・セッションをするときにはもっと生命感を注ぎ込みたいと思ってる。とくにアメリカン・ダブステップが見失っているものだね。もちろん、僕はどんなスタイルにもいつでもオープンでいるし、そういうものをミックスするのも好きだよ。

ウォッシュト・アウトに代表されるようなチルウェイヴというムーヴメントについてはご存知ですか?

アレックス:うん、もちろん(にこにこ)。

それについてあなたはどう感じていますか?

アレックス:すばらしい作品がたくさんあると思うね。いい作品がたくさんあって僕も追いきれないくらい。僕はウィッチ・ハウスと呼ばれる作品も好きで、全体的にスロー・ダウンなものが。プロデューサーとして、レーベルのA&Rとして、なによりミュージック・ラヴァーとして僕は新しい音楽を毎日探しているし、サウンドクラウドをランダムにチェックしているよ。チルウェイヴもクールな作品がたくさんあるよね。聴いていて、いい音楽だと思う。でも、繰り返しになるけど、たくさんありすぎてひとつも名前を覚えたりできていないんだ(笑)。だって、とにかく多いんだもの! 
 それに、これまでの音楽作品はレーベルから出すものだったけど、いまはもっと個人でサウンドクラウドにアップしたりしていて音楽が増殖しているでしょ。そんなんだから、把握するのがほんとうに大変だよ。どのアーティストが、どんな名前でとか。でもとにかくいい作品がいまはたくさんあって、それは高額な費用をかけたりせずにベッドルームで作られているのだろうし、そういうチルウェイヴの持っているラフな要素がとてもクールだと思う。

橋元:とくに"サーカス・フル・オブ・クラウン"には先述のようなチルウェイヴと共通するところがあると思います。スクリューみたいなテクスチャーがあり、それがドローンのように用いられていておもしろいなと思いました。

アレックス:ふむふむ。

橋元:ある種のインディ・ミュージックの潮流がアンビエントやドローンのようなものに向かっているのと"サーカス・フル・オブ・クラウン"のサウンドが無関係ではないと感じました。それらを踏まえて、ご自身の新しい音楽についてヴィジョンがあれば教えてください。

アレックス:僕にとってもっとも重要なのは、いつだってサウンドなんだ。ビートは4ビートみたいにシンプルでもいいんだよ。(足踏みとハンド・クラップで)ズン、チャ、ズン、チャみたいにね。サウンドが僕にとってナイスで新しくて素晴らしければビートがシンプルでもいい。僕はそのシンプルさが好きだけど、もちろん、ご存知のとおり、いまはブロークン・ビーツが流行しているよね。僕はそのヒップホップとかテクノとかさまざまな要素が同時にミックスされているものも好きだし、DJとしてもちがうリズムの音楽をプレイすることが好きだよ。
 興味深いのは大きくなっている「トラップ」という新しいシーンで、クールなリズムがたくさんあるんだけど、サウンドがよくなければ興奮させられないんだ。ドラムやビートのサウンドがどんなふうに鳴っているかが大事なんだ。サウンドがフレッシュですばらしいかぎりはどんなものにもオープンでいるよ。

[[SplitPage]]

日本の人びとはオープンマインドだから単純にそれを気に入ってくれるし、そこに過剰な期待とかがないからね。それが、僕にとって日本のクラブ・シーンのすばらしいと思うことだよ。

最近もっとも素晴らしいなと思った音楽ともっともくだらないなと思った音楽を教えてください。

アレックス:ははは(元来の意味で「失笑」)。僕はツイン・シャドウのアルバム『フォーゲット』がとーっても好きなんだ。

ええー。ツイン・シャドウ。

アレックス:そう、ツイン・シャドウ。ブライアン・フェリーとかデヴィッド・ボウイとかモリッシーをミックスしたような感じで、音楽はとても80年代的だったり90年代的だったりして、とても好きなんだ。レーベル〈4AD〉も大好きだし。

橋元:ええー。〈4AD〉!

アレックス:そう、〈4AD〉。いつもいい音楽をリリースしているよね。新しくていい音楽だったら、そういうのが第一に思い浮かんだよ(にこにこ)。で、もっともくだらない音楽か......。問題なのは、いつだって、いいものよりくだらないもののほうがたくさんあるってことだよ(笑)。

(一同笑)

アレックス:たくさんあるよ(笑)。

たくさんありますか(元来の意味で「失笑」)。

アレックス:メインストリームのエレクトロ・ハウスやEDM()なんかはすべて......名前は挙げたくないけど、味気ない音楽だよね(笑)。

橋元:ふふふふ(笑)。

アレックス:回答としては、メインストリームのエレクトロ・ハウスかな。好きじゃないものがとっても多いから(笑)。

ありがとうございます(笑)。

橋元:エレクトロとかクラブといったような観点から見て、じっさいのところ日本のクラブのシーンにはおもしろみがあるんでしょうか。

アレックス:僕が思うに、新しい音楽やとくにアンダーグラウンドの音楽に対しては日本のクラブがたぶんもっとも常にオープンマインドだよ。ここでは、単純に大きなサブカルチャーだからね。他の国だと検分されるんだよ。例えばイギリスでも、いろんな国籍の人たちが集まっているから、すばらしいアンダーグラウンド文化が存在しているよね。
 いっぽう、ここ日本では、日本の人たちはとても趣味が豊かで、アンダーグラウンドの音楽についての興味もあるからとても詳しい。驚かされるよ。だからこそ東京/日本は僕の音楽をまっさきにサポートしてくれたのだろうとも思う。日本のクラブでのプレイはいつだってとってもいい時間をすごせるし、いろんなクラブでDJしてきた。それに、もっとも新しいアンダーグラウンドの音楽をプレイできるんだ。日本の人びとはオープンマインドだから単純にそれを気に入ってくれるし、そこに過剰な期待とかがないからね。それが、僕にとって日本のクラブ・シーンのすばらしいと思うことだよ。繰り返しになるけど、他の国ではそうでもないんだよ......。

橋元:サウンドクラウドにはあなたもたくさんの音源をアップしていますし、数多くのレコードをお持ちだともうかがいました。現在、違法なものも含めてインターネットではたくさんの音楽が聴けますが、あなたはフリーダウンロードが音楽文化や音楽産業にとってマイナスなものだと考えますか? ひいては著作権についてどうお考えでしょうか。

アレックス:いまとなっては全体的にいいんだと思うよ。でも初めは......2006年ごろからかな、すごく嫌だったよ。アーティストは、多大な時間を費やして、多大なお金を機材に費やして、それでもって音楽を作っているから、なぜ人びとが対価を払わないんだろう、とね。でも、ここ数年で僕の気持ちも変わったんだ。新しい世代の人たちを責めることはできないなと気づいた。彼らは音楽が無料なのがノーマルな業界の状況において育ったから、音楽を買わないんだ。だから、音楽に対価を支払うことを知らない人たちに、「それは悪いことだ」なんて言えないんだよね。でも、そういう人たちが好きなアーティストをサポートするマインドが芽生えることを僕は目指しているし、それこそクールなことだと思うからね。
 あと僕がもっともいいと思うのは、なにかを買うとき、見れるし、触れられるし、とくにレコードなんかは嗅げるでしょう。そういう、物との記憶があるでしょう? 50万枚のレコードが僕の家にはあって、そのなかから1枚取り出してみてもそこには特別な状況なんかの記憶があるよ。新しい世代の人たちがmp3やフラッシュ・メモリーに対してそういう感覚を持っているか分からないし、もはや消えてしまったにしても、そういう感覚を知ってもらえたらクールだと思うんだ。音楽がそこに存在することをね。それを伝えていけたらクールだと思う。

(導入文で先述したパロディ・ロゴのTシャツを指して)これはなんのTシャツですか?

アレックス:これはアウトバーンの標識がプリントされているんだよ。車が壊れたときに駆けつけて修理する会社のTシャツなんだ。

AC/DCは好きですか?

アレックス:うん(にこにこ)!

ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、AC/DC。このなかでもっとも好きなバンドはどれでしょう?

アレックス:う~ん。ビートルズかな。ビートルズに、ローリング・ストーンズ。

おお。60年代のロックンロールがお好きなんですか?

アレックス:そうだね。それに、ビートルズは......別格だね!(にこにこ)

どのアルバムがお好きなんですか?

アレックス:う~ん。『アビー・ロード』だね。好きな曲が入ってるから。

ちなみにどの曲ですか?

アレックス:う~ん......。"カム・トゥギャザー"だ(にこにこ)。

なるほど! ありがとうございました(にこにこ)。

※アメリカで大人気のイケイケでアゲアゲのダンス・ミュージック。彼が言うところのアメリカン・ダブステップ(ブローステップ)もそれに含まれる。

TRAXMAN - ele-king

 いまもっとも速くて面白くて、そして、くどいダンス・ミュージック、シカゴのフットワーク/ジュークがいよいよやって来る。今年に入って〈プラネット・ミュー〉からアルバムを出したベテランDJ、トラックスマン! しかもダンサーのA.G.とDJ MANNYを引き連れての来日だ。
 日本のジューク・シーンからもD.J. FulltonoやSTRATUSS、PAISLEY PARKSのライヴ・セットなど、かなり濃いメンツになっている。また、インド~ネパールの山岳地帯で生まれたというスタイル、ゴルジェのプロデューサー、HANALIのライヴまである! 
 このとんでもないイヴェントは10月12日(金)。場所は代官山Unitとサルーン。前売り限定190枚は、ジューク価格の1900円と、素晴らしいです!

2012/10/12(FRI)
@代官山UNIT & SALOON
OPEN/START 23:00
ADVANCE TRAXMAN 来日記念SPECIAL JUKE PRICE ¥1,900( 限定190 枚)
DOOR ¥3,000

※20歳未満の方はご入場できません。また入場時に写真付き身分証を提示いただいております。

DAIKANYAMA UNIT EVENT INFORMATION
MORE INFORMATION : UNIT / TEL 03-5459-8630

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2012/10/12/121012_traxman.php


TRAXMAN

A.G.

DJ MANNY

UNIT PRESENTS
TRAXMAN with Red Legends footworkers : A.G. & DJ MANN
Y

TRAXMAN
(Planet Mu, Lit City Trax, Ghetto Teknitianz)
A.G.
(Red Legends, Terra Squad, FootworKINGz)
DJ MANNY
(Red Legends, Take Ova Gang, Ghetto Teknitianz, Lit City Trax)
D.J. FULLTONO (BOOTY TUNE)
PAISLEY PARKS (PAN PACIFIC PLAYA) *LIVE
STRATUSS (D.J.G.O., D.J.Kuroki, D.J.April / BOOTY TUNE)
MOODMAN
COMPUMA
PIPI (HELLPECIAN'S)
HANALI *LIVE
AND MUCH MORE!!



  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727