「K A R Y Y N」と一致するもの

Sonic Youth - ele-king

 サーストンには2014年の『The Best Day』の来日時取材したし、その4年後のキムのファースト・ソロ『No Home Record』は待った甲斐のあったというしかない力作だった。リーはリーとてポップ・ソングから実験作まで意欲的で、リリースした作品のいくつかにはスティーヴ・シェリーの名前もみえる──と、ソロ活動もすっかりイタについたいま、それぞれの事情もふまえると再結成の可能性は遠のいたにちがいないが、ソニック・ユースと聞くとパブロフの犬のごとき反応をみせるものもすくなくない。かくいう私がそのくちで『In/Out/In』と題した未発表曲集のリリースを知るやいなや5曲45分ほどの音源に耳を傾け、ソロ作ともことなるソニック・ユースという集団に固有の磁場とも空間性ともいえるものを再認識したのだった。
 『In/Out/In』は2000年から2010年にかけて録音した楽曲を編んだコンピレーションで企画盤への既出音源をふくむ。SYは2011年に活動を休止したので、2000年代の十年紀はSYの最後の10年にほぼかさなっている。アルバムでいえば、2000年の『NYC Ghosts & Flowers』から2009年のラスト・アルバム『The Eternal』まで、いわば成熟期の背景を記録したのが本作といえるであろう。
 30年を超えるSYの活動歴をステージごとに区切ると、81年の結成から88年の『Daydream Nation』にいたるアングラ期、90年代の幕開けをつげた『Goo』以降のオルタナ期と、2000年代以降の成熟期となろうか。とりわけ本作の射程となる成熟期は編成的にも音楽的にも実験性が高く、大作志向から楽曲主体まで作品の傾向も多様性に富む。収録曲の内訳をみると、1曲目の “Basement Contender” と3曲目の “Machine” が2008年、2曲目の “In & Out” は2010年と本作中もっとも新しい。レコードではB面にあたる後半の2曲 “Social Static” と “Out & In” は2000年で、タイトルの由来となった “In & Out” と “Out & In” は本作のリリース元である〈Three Lobed Recordings〉のオムニバス『Not The Spaces You Know, But Between Them』でいちど世に出ている。発掘作の例にもれず、本作もアイデアスケッチのきらいはあれど、おのおのの素描にはこの時期特有のタッチがある。ラスト・アルバム『The Eternal』と相前後する前半の3曲は中平卓馬にならえば「原点復帰」となる2000年代後半らしくソリッドなバンド・スタイルを深い諧調のギターで肉づけする方向性をとっている。変則チューニングをとりいれたリフと分散和音のコンビネーションはサーストンとリーの専売特許だが、『Rather Ripped』(2006年)のツアーを境にペイヴメント~フリー・キトゥンのマーク・イボルドが加入を経てキムをふくめたトリプル・ギター体制へと編成の選択肢の幅はひろがり『The Eternal』を基礎づける変化となった。前半の3曲はその前段階だが、気心しれた四者のリラックスした音のやりとりからSYというほかないサウンドがたちあがるのが興味深い。反復フレーズを土台に多彩な音色を交換するなかで加速度を増す冒頭の “Basement Contender”、つづく“In & Out” はよく似たムードの対になる2曲だが、前者が2008年当時マサチューセッツ州ノーサンプトンにかまえていたサーストンとキムの自宅地下での録音であるのにたいして、後者は2010年のポモナでのサウンドチェック音源に手を加えたものと、時期的な隔たりがある。一方で『The Eternal』のセッション時のアウトテイクとなる3曲目の “Machine” は先の2曲とは対照的に構成もかたまっておりアルバムに入ってもよかった気もするが陽の目をみなかった。もうひとひねりほしいと判断したと思しいが、ベースレスながら分厚いサウンドは『The Eternal』のみならず、その先の展開までも彷彿させただけに活動休止はなんとももったいない──と嘆息をもらす一方で、形式としてのロックの可能性をためしつづけた30年の道のりには頭がさがるばかり。
 後半の2曲は遠大なSY史において実験性がピークをむかえたころの楽曲で、不動の4人にジム・オルークを加えた布陣による。録音はいずれも2000年、この年SYはアルバム『NYC Ghosts And Flowers』をリリースし『Murray Street』(2002年)、『Sonic Nurse』(2004年)とつづくNY三部作の端緒をひらいた。他方前年の1999年にはケージ、カーデュー、ウォルフ、ライヒ、小野洋子や小杉武久ら20世紀前衛の作品をとりあげた『Goodbye 20th Century』を自主レーベル〈Sonic Youth Records〉から世に問うている。“Social Static” “Out & In” と題した2曲の背後には上記のようなながれがあり、それを反映するようにこの2曲では実験的な要素が前面に出ている。ただし楽曲の出自にはちがいがある。本作中もっともアブストラクトな4曲目の “Social Static” はクリス・ハビブとスペンサー・チュニクによる同名の短編映画のサウンドトラック。私は全編は未見ながら動画共有サイトにアップした抜粋版──大勢の男女が全裸でダイインする──から想像するに、政治的意図をもった実験映画との印象をもった。制作の過程はさだかではないが、おそらくフリーフォームの即興音源(の断片など)を映像にあわせてエディットしたのであろう。スーパー8の質感がノイジーなサウンドにマッチしている。サウンドは出だしこそSYらしさを感じさせるが、楽器の記名性はまもなく後景にしりぞき、中盤以降はピエール・シェフェールとアルヴィン・ルシエをかけあわせてノイズ化したような展開をみせる。つづく “Out & In” はバンド・サウンドではあるものの、前半とはうってかわって、どんよりとした展開にさまざまな音楽的情景が去来する構成をとっている。ともすれば単調になりがちな10分を超える長尺曲を持続させる手法にはスティーヴ・シェリーのドラミングもあいまってクラウトロックを想起するが、SYはさらにそこに音の襞にわけいるような響きをつけくわえる。『Murray Street』に入っていてもおかしくない仕上がりにうなりつつ、このような音源が眠っているなら出し惜しみしないでほしいと思ったのだった。

Soccer Mommy - ele-king

 グラミーにもノミネイトされたことのあるUSのシンガーソングライター、ソフィー・アリソンによるプロジェクト=サッカー・マミーが6月24日に新アルバム『Sometimes, Forever』を発売する。プロデューサーは意外なことに、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー。ポップなロック・サウンドと10年代を代表するエレクトロニック・プロデューサーの組み合わせ、どんな化学反応が起きるのか注目です。

米シンガー・ソングライター、サッカー・マミーがワンオートリックス・ポイント・ネヴァーをプロデューサーに起用した新アルバムから2ndシングルをリリース!
米シンガー・ソングライター、サッカー・マミーが6月24日にリリースする新アルバム『Sometimes, Forever』からの2ndシングル「Unholy Affliction」をリリースしました。この曲は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのダニエル・ロパティンをプロデューサーに起用し、サッカー・マミーことソフィー・アリソンが持っている美しいテクスチャーと不穏な雰囲気を同時に表現しています。

ソフィーはシングル「Unholy」について「スタジオでのレコーディングは当初思い描いていたものとは全く違って本当に楽しかった。ダンがデモ・ボーカルでとてもクールなシークエンスを作ってくれて、それが曲の大部分になったの。2つの異なるバージョンの曲が混ざり合っているのも気に入っている」とコメントしています。

“悲しみも幸せも永遠ではない” というアルバムのコンセプトを掲げ、『Sometimes, Forever』は、レトロなサウンド、個人的な動揺、現代社会から影響される障害など、様々なアイディアを統合してオリジナルな作品に仕上げています。アルバム・タイトルの『Sometimes, Forever』は、良い感情も悪い感情も循環しているという考え方にちなんでいます。「悲しみや虚しさは過ぎ去りますが、喜びと同じように必ず戻ってくるのです」とソフィー・アリソンはコメントしています。

ニューウェーブやゴスといったシンセ系のサブジャンルを巧みに取り入れた今作で、ソフィーは彼女のビジョンをサポートするために、プロデューサーにワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのダニエル・ロパティンを起用しました。この組み合わせは意外に思われるかもしれませんが、実際に聴いてみると、2人のアーティストが同じような創造性を持っていることがわかります。アルバムでダニエル・ロパティンは無数のシンセサイザーと緻密なアレンジを駆使し、ソフィーが行った素晴らしいライブ・テイクを卓越したスタジオ技術でミックスし壮大な作品に仕上げています。新アルバムは、これまでで最も大胆で冒険的な作品であり、現代のロック・シーンの中で最も才能あるソングライターの一人としてのソフィー・アリソンの地位を確固たるものにするでしょう。

サッカー・マミーは、2020年にグラミー賞にノミネートされ、高い評価を受けた2ndアルバム『color theory』をリリース。このアルバムのリリース後、アリソンはバーニー・サンダースのオープニングを務めるなどして大絶賛を浴び、グラストンベリーなどの大型フェスティバルに出演。『color theory』は、ビルボードチャート「トップ・ニュー・アーティスト・アルバム」と「オルタナティブ・ニュー・アーティスト・アルバム」の2部門で1位を獲得しています。

先行シングル「Shotgun」のMVはこちら
https://youtu.be/I1xOoqD8jkI

[アルバム情報]

アーティスト:Soccer Mommy (サッカー・マミー)
アルバム:Sometimes, Forever (サムタイムス、フォーエヴァー)
レーベル:Loma Vista Recordings
発売日:2022年6月24日(金)

トラックリスト
01 Bones
02 With U
03 Unholy Affliction
04 Shotgun
05 newdemo
06 Darkness Forever
07 Don’t Ask Me
08 Fire in the Driveway
09 Following Eyes
10 Feel It All The Time
11 Still

ストリーミング・リンク:https://found.ee/pGb6O

バイオグラフィー

アメリカ、ナッシュビル育ち、ソフィー・アリソンによるソロ・プロジェクト、サッカー・マミー。Tascamのデジタル・レコーダーを買ってレコーディングした楽曲がBandcamp内でバズが起き始め、いくつかのライブか決定、最終的にはレコードの発売契約とともに、2017年賞賛の声を集めたベッドルーム・レコーディングのコンピレーションへの参加を果たした。その後、ベッドルームを飛び出しフルバンドを率いて、初のスタジオ・アルバム『クリーン』を2018年にリリース。2019年には初来日を果たす。2020年にセカンド・アルバム『color theory』をリリース、ビルボード「トップ・ニュー・アーティスト・アルバム」と「オルタナティブ・ニュー・アーティスト・アルバム」の2部門で1位を獲得。第64グラミー賞「最優秀ボックスセット/スペシャル・リミテッド・エディション・パッケージ」にノミネート。今までスティーヴン・マルクマス、ミツキ、フィービー・ブリジャーズ、ケイシー・マスグレイヴスなどと共にツアーを周っている。

The Smile - ele-king

 昨年より大きな話題を集めていた新バンド、トム・ヨーク、ジョニー・グリーンウッドトム・スキナーからなるザ・スマイルがついにアルバムをリリースする。告知にあわせ、新曲 “Free In The Knowledge (知のなかの自由)” のMVも公開された。
 6月15日に発売される同名のアルバムには、これまで単発で発表されてきた5曲すべてが収録される。プロデューサーはおなじみのナイジェル・ゴドリッチ。フル・ブラス・セクションも参加しているという。どんな作品に仕上がっているのか、楽しみに待っていよう。

The Smile - Free In The Knowledge

THE SMILE
トム・ヨーク×ジョニー・グリーンウッド×トム・スキナー
ザ・スマイル待望のデビュー・アルバム
『A LIGHT FOR ATTRACTING ATTENTION』発売決定!!

レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッド、フローティング・ポインツやムラトゥ・アスタトゥケのバックを務め、現在はサンズ・オブ・ケメットで活躍する天才ドラマー、トム・スキナーによる新バンド、ザ・スマイルが待望のデビュー・アルバム『A Light For Attracting Attention』を〈XL Recordings〉よりリリース。新曲 “Free In The Knowledge” とレオ・リー監督による同曲のMVが公開された。

今回公開された “Free In The Knowledge” は2021年12月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたイベント「Letters Live」の一環として、パンデミック以降初めてトム・ヨークが観客を前に演奏して話題を呼んでいた。ザ・スマイルはこれまでにシングル “You Will Never Work in Television Again”、“The Smoke”、“Skrting On The Surface” を連続リリースし、4月3日に発表された “Pana-vision” は英人気BBCドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」の最終回に起用された。

アルバムは5つのシングルを含む全13曲を収録し、盟友ナイジェル・ゴドリッチがプロデュースとミキシングを務め、名匠ボブ・ラドウィッグがマスタリングを担当。収録曲にはロンドン・コンテンポラリー・オーケストラによるストリングスや、バイロン・ウォーレン、テオン&ナサニエル・クロス、チェルシー・カーマイケル、ロバート・スティルマン、ジェイソン・ヤードといった現代のUKジャズ奏者たちによるフル・ブラス・セクションが参加。5月13日(金)にデジタル配信され、日本盤CDは6月15日(水)、輸入盤CD/LPは6月17日(金)に発売。

本作の日本盤CDは高音質UHQCD仕様で解説および歌詞対訳が封入され、ボーナス・トラックを追加収録。輸入盤は通常盤CD/LPに加え、限定イエロー・ヴァイナルが同時リリース。本日より各店にて随時予約がスタートする。

label: BEAT RECORDS / XL RECORDINGS
artist: The Smile
title: Free In The Knowledge
release date: 2022/06/15 WED ON SALE

CD 国内盤
XL1196CDJP
(解説・歌詞対訳付/ボーナストラック追加収録/高音質UHQCD仕様)
2,600円+税

CD 輸入盤
XL1196CD(6/17発売予定)
1,850円+税

LP 限定盤
XL1196LPE(6/17発売予定/限定イエロー)
4,310円+税

LP 輸入盤
XL1196LP(6/17発売予定/通常盤)
2,600円+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12758

Raw Poetic - ele-king

 流行のスラングを使わない、ポップ・ミュージックを参照しない。そんなヒップホップがあってもいいだろう。小学校の先生をやりながら、子ども向けの本を執筆し、音楽も続ける、そんなラッパー、いるに越したことはない。で、ここにいる。ワシントンD.C.のロウ・ポエティック、2年前に叔父のアーチー・シェップと一緒に1枚の、傑出したジャズ・ラップ・アルバムを発表した男だ。いま聴いても、収録曲の“チューリップ”はすごいと思う。

 本人はそれを強調されたくないだろうけれど、60年代〜70年代のブラック・パワーの時代に活躍したジャズのリジェンドが親戚にいるというのは、まあ、インパクトはある。しかもそのカタログのなかの1枚でコーラスを担当した元ブラックパンサー党員が母親だったりして、きっとロウ・ポエティクスは幼き頃から良き教えを受けたのだろう。鷹は飢えても穂を摘まずではないが、彼にとってのプライドはメインストリームとは別の方角に向いている。
 だからといって、ロウ・ポエティックの通算6枚目のソロ・アルバムは、マニア向けの取っつきにくいものではない。むしろその逆で、聴きやすく親密でさえある。ここにはア・トライブ・コールド・クエストやデ・ラ・ソウルの成分があるし、古典主義的なのだが、クリシェに収まらないフリーキーさがあって、そのコンセプトはちょっとムーディーマンなんかとも近い。
 でもね、これはなんと言ってもリズムが格好いいんだ。ジャズ・ファンク、生ドラムと打ち込み、オールドスクール流のスクラッチ、ドラムンベース風のリズムだってある。とくにすごいのはベース。でしゃばったりしないし、あくまで黒子なのだけれど、ゴムのように音符に絡んではシンコペートし見事なうねりを生んでいる。調べてみたらムーア・マザーと一緒にジャズ・コレクティヴのイリヴァジブル・エンタングルメント(Irreversible Entanglements)をやっている人だった。
 
 とにかく、シェップとの『Ocean Bridges』によってさらにその知名度を上げたロウ・ポエティック(といっても彼にはすでに15年以上のキャリアがあり、ゼロ年代はジャジー・ヒップホップ・グループ、パナセアのメンバーでもあった)は、同作を作った主要メンバー──旧友でありトラックメイカーのダム・ザ・ファッジマンク、そしてIEからベースのルーク・スチュワート、ギターのパトリック・フリッツ──とのセッションにおけるリズムを継承した。その結果が本作『ラミネイテッド・スカイズ』というわけだ。UKのレーベルからのリリースとあって注目されているし、賞賛を集めてもいる。『Ocean Bridges』ほどジャズ全開ではないが、叙情的で、曲の細部にまで手が込んでいるがアルバムとしてのまとまりは良く、全体的に清らかで聴いていて気分が良い。この暗澹たる時代、カラフルな意匠をまとった、グルーヴィーで微笑ましいレコードが歓迎されないはずがない。

 黒人の社会的立場の不条理を描いたラルフ・エリソンの小説『見えない人間』にインスパイアされた曲もあるが、ぼくが気に入っているのはアルバム中盤の3曲。ストリングスがこってり入った“Intertwined”、そのエレガントな叙情詩を引き受けながらロウ・ポエティクスのメロディアスなラップが歌へと移行する“Sunny Water”、そしてジャズ・ファンクの大作“Hey Autumn”。リズムを基軸に、シンセサイザー、ギターとヴィブラフォン、パーカッションやスクラッチで構成されるこの曲には、本作の良いところが凝縮されている。みんなでジャムっているライヴ感覚があって、ファンキーかつスペイシーで、しかも緻密で温かい。1曲だけ選ぶなら迷わずこれ。

 ラップをしながらいつの間に歌っているというのがロウ・ポエティックのひとつの芸風で、それはそれでメロディアスだったりするのだが、彼の本作におけるいちばんの功績は、このコレクティヴをまとめ上げたことだろう。そして、繰り返すが、このアルバムのもうひとりの主役はルーク・スチュワートだ。彼のベースとダム・ザ・ファッジマンクのビートによる相乗効果こそ本作の肝である。
 アルバム制作はコロナ前の2019年からはじめたというが、周知のように世界ではそれからいろんな大きなことが次から次へと起きている。時間はあったが、ロウ・ポエティックは当初のメッセージを変更しなかった。『What's Going On』を改変する必要がないように、その必要がないものを目指していたからだと彼はある取材で話している。アルバムを締めるラヴリーな“Cadillac ”には、パートナーへの愛情表現に混じって、教室で子供に九九を教える際に使ったフレーズも入っているそうだが、たしかにそれなら戦争が起きようと変える必要はないよね。

Sote - ele-king

 いま聴いても名作だと思う。ソテことアタ・エブテカールの前々作『並行ペルシア(Parallel Persia)』は、2010年代末期の見過ごせないリリースのひとつだ。パウウェルの〈Diagonal〉から送り出されたそれは当時、ホーリー・ハーンダンなどと並ぶエレクトロニック・ミュージックの最新型の1枚として注目を集め、高い評価を獲得するに至った。リミキサーにラシャド・ベッカーマーク・フェルのようなヴェテランが配されたことも、同作がどのような流れで受容されたのかをよく物語っている。
 複雑な構造を持つソテの音楽についてはこれまで、クセナキスオウテカフロリアン・ヘッカーロレンツォ・センニなどが引き合いに出されてきた。あまりドラム音を用いず高音部で展開を進めていくところは、たしかに似ているかもしれない(が、シングル曲などではしっかりキックを入れていたりもする)。ちょうど20年前、〈Warp〉からドリルンベース~ブレイクコアのフォロワーとして登場してきた彼は、2010年代、よりハイブロウに寄った電子音楽の領域で再浮上を果たしたのだった(まあオウテカはちょっと文脈が異なるけれど)。

 ただしこれはあくまで彼のいち側面のみを強調した描写にすぎない。ことはそう単純ではない。テヘラン在住の音楽家たるソテ最大の特徴は、それら現代エレクトロニック・ミュージックの尖鋭性をイランの伝統音楽とぶつけるところにある。おもに欧米で発展を遂げた電子音楽と、西アジアの伝統音楽とのあいだで折りあいをつけること──そこにはふたつの対話が潜んでいる。ひとつは「中心」と「周縁」との水平的・地政学的な対話。もうひとつは「現在」と「過去」との垂直的・歴史的なそれだ。
 会合は穏便には済まされず、むしろ爆撃機が去ったあとのような混沌を生み出している。イランの伝統音楽についてぼくはまったくの無知だけれど、その衝突のすさまじさにいつも強く惹きつけられてしまう。彼は無難な異国情緒、雰囲気としての東洋には訴えない。ソテは西洋とアジアを、最新テクノロジーと伝統を喧嘩させてみせる。そこで飛び散った火花の美しい集積が『並行ペルシア』だった。
 混沌は、彼がイランの電子音楽家の第二世代に属することに由来している。テヘラン在住の建築と音楽の研究家、カームヤール・サラヴァティが『The Quietus』に記しているところによれば、旋律やリズム、コンセプトなどを古典音楽にもとめていたのが第一世代で、逆に国際的なネットワークにこそ居場所を見出し、古典音楽からは切り離されているのが第三世代だという(https://thequietus.com/articles/31219-sote-majestic-noise-made-in-beautiful-rotten-iran-review)。どちらか一方に振り切れるのではなく、伝統にも最尖端にもアプローチすること。それが第二世代たるソテのやり方だ。〈Mego〉の故ピタに捧げられた今回の新作『美しくも腐りきったイラン産の厳かなるノイズ』はどうか。

 まず注目しておくべきは最初の2曲だろう。“いないことにされている(Forced Absence)” ではきれいなハープのような音が、容赦なく降り注ぐ弾丸の嵐から逃亡を図っている。つづく “やってはいるんだけど、親父、連絡がつかないんだよ(I'm trying but I can't reach you father)” も過激だ。ミニマルな電子音の反復をバックに、声や笛のような音の断片が全力で駆け抜けていく。どうしようもない切迫感。これら2曲を聴くとやはり「戦争」の二文字を思い浮かべてしまうが、他方それらはどこかヴィデオ・ゲーム的でもある。もしくはネット越しに眺める戦争?
 なんにせよ激しいのはここまでで、3曲め “暮らし/人生(Life)” はメロディにフォーカスし、さびしげではあるもののどこか生を肯定するようなポジティヴな音世界を演出していく。似た情景を出現させる4曲め “不可解な存在(Arcane Existence)” も、もの悲しさのうちに力強さを携えている。本作の制作過程は「自己療法」でもあったという。攻撃的な曲と私的な記憶を喚起させる曲との同居から推すに、これはエイフェックスでいうところの『Drukqs』にあたるアルバムなのかもしれない。
 が、アルバムは中盤以降また異なる表情を見せていく。サイレンのような高音部がやり場のない遠吠えのごとく轟く5曲め “イヌども(Dogs)” や、ベースが不安感を煽りながら昇降する7曲め “苦悶の弦(Strings of Agony)” など、まるでひとつのことばで整理されることを拒むかのような構成だ。この混沌こそ彼の本懐だろう。ソテの音楽は、わかりやすい整理をこそ拒んでいる。
 そもタイトルからしてアンビヴァレントだ。ノイズなのに、威厳に満ちている。美しいのに、腐ってる。今回ソテはあからさまにイランの伝統的な要素を導入しているわけではない。にもかかわらず本作は、西洋やブラックの文脈からはけっして出てこないだろう、特異な電子音楽を打ち鳴らしている。

 革命後のイランでは音楽、とりわけロックが規制されてきた。禁止されているわけではないものの、許可が必要なのだ。やっていい音楽と、ダメな音楽がある。エレクトロニック・ミュージックはどうか? おそらくはその抽象性ゆえだろう、意外なことにほぼ検閲を気にしなくていい状況にあるらしい。先述のサラヴァティによれば、むしろフェスが開催されたり賞が設けられたり、活況を呈しているという。
 とはいえ大学の協力を得て実践されるそれは十中八九、アンダーグラウンドなレイヴとはまた別次元にあるエレクトロニック・ミュージックに違いない。当初ジャングルのリズムを用いてデビューしてきたソテは、そのことについてどう考えているのだろう。ダンスが規制される地で音楽をやるためには、うまくハイ・カルチャーに順応しなければならない? ここにもまた単純な図式からは見えてこない、複雑な事情が横たわっている。
 あるいはこんな話もある。つい最近ロシアに追い抜かれるまで、国際社会からもっとも制裁を食らっていたのはイランだったらしい。二か月前、いったいだれがそんな事実を気にとめただろう? それに、制裁のあおりを受け苦しむのはいつの世も一般人、とりわけ貧者と相場が決まっている。「いないことにされている」ものはたくさんある。
 政治上さまざまな問題を抱えるイランではあるが、ソテの音楽は「正義対悪」のような単純化から百万光年離れている。『美しくも腐りきったイラン産の厳かなるノイズ』が響かせるサウンドの冒険は、世界の難しさをそのまま呈示しようとしているかのようだ。

interview with Seiji Rokkaku - ele-king

 六角精児は、たたずまいそのものが表現として成立する稀有な役者である。面構えにも、声にも、なにげない仕草にも、苦難続きの人生(今年6月で還暦)で蓄積されたすべての経験が体内でどろどろに混ざり合い発酵したような匂いがまとわりついている。猥雑にして崇高なエロスを湛えたその匂いを、あるいは “ブルース” と呼ぶ者もいるだろう。

 そんなブルースマンが、このたび初めてのソロ・アルバム『人は人を救えない』を発表した。無類の音楽好きの六角は、これまでもシンガー・ソングライターとして精力的に活動を続け、六角精児バンド名義での2枚のアルバム『石ころ人生』(2014年)、『そのまま生きる』(2019年)や下田逸郎とのコラボ・ワーク『唄物語/緑の匂い』(2017年)など、何枚もの音楽作品をリリースしてきた。シンガーとしての卓抜した技量があるわけではない。ポップ・スター的容姿に恵まれているわけでもない。音楽好きな個性派俳優の余技とみなされることだってあるだろう。だが彼の歌は誰にも似ていないし、誰の耳にも確かなひっかき傷を残す。快・不快は別にして。その歌が波乱に富んだ還暦男の人生そのものだから。その歌が素っ裸だから。

 『人は人を救えない』は、日本のフォーク/ロック系の名曲をカヴァしたコンセプト・アルバム(ラストの1曲だけは六角のオリジナル)だが、そのほとんどが70年代の、しかもかなりレアな作品で占められている。若林純夫 “雪の月光写真師” とか休みの国 “追放の歌” といった曲をカヴァする俳優がいたなんて、そしてそれがオリジナル・ヴァージョン以上にリアルに響くなんて、私は想像もできなかった。

 このアルバムを企画し、選曲作業でもイニシアティヴをとったのは、音楽マニアの間では70年代から伝説的に語られてきたレコード・ショップ、パイドパイパーハウスのオーナー長門芳郎氏である。そして、すべてのアレンジを手掛けるなど全体の音作りを仕切り、演出家として六角の歌を支えたのは、キーボード奏者の谷口雄氏(元・森は生きている)だ。「この数十年、僕がずっと聴きたかった作品が生まれた」という長門の言葉は、六角や谷口の気持ちも代弁しているはずだ。

 けっしてスマートではない。もちろんオシャレでもない。しかし六角精児の武骨な歌は確かに、私の胸にまっすぐに届き、深く強く響いている。


向かって左からパイドパイパーハウスの長門芳郎、六角精児、サウンド・プロデュースを手がけた谷口雄

自分で手さぐりで見つけてくるってのが大切だと思うんですよ。僕もそういう考え方で音楽を選んできて、今、アメリカン・ルーツ・ミュージックとかブルーグラスが心地良くなってる。

音を聴いて以降、今日の取材日がこんなに待ち遠しかったことも珍しいです。傑作ですね。

六角:いやあ、嬉しいなあ。最初、嫁さんに聴かせたんだけど、振り返ったら、まともに聴いてなくて、せんべい食ってましたから。大丈夫かな? って心配してたんですよ。いいのか悪いのか、自分ではわからないですからね。

長門:音は去年(2021年)暮れには完成していたけど情報解禁はこの3月だったので、周囲の反応もわからなかったしね。

自分ではわからないってのが、六角さんの魅力の大きなポイントだと思うんですよ。つまり、「俺はかっこいいことをやってるんだ」って自意識がまったくない。それがこのアルバムの良さでもあるし、六角さんの本質でもあると思います。

六角:僕はただ、アメリカンなアルバムにしたいなということぐらいしか考えてなかった。すごく信頼している音楽好きの友達に① “やつらの足音のバラード” と⑤ “各駅停車” を聴いてもらったら「これはいい、アリメカンだな、楽しみだ」と言ってもらえてホッとしましたが。

谷口:猫のオリジナル・ヴァージョンだと8ビートだった⑤ “各駅停車” は西海岸路線でやってもいいとは思ったんですけど、そのままだと平坦になってしまうなと、リトル・フィートやポール・バターフィールドのラインでアレンジしてみたんです。

最初聴いてすぐにこのアルバムはフライング・ブリトー・ブラザーズや初期イーグルス、ポコといったサザン~ウェスト・コーストのアメリカン路線で攻めたんだろうなと思いました。それにしても、一曲目が『はじめ人間ギャートルズ』のテーマ曲 “やつらの足音のバラード” ってのが驚きで。

六角:あれによって、アメリカンだという全体の方向性を提示したつもりです。

とにかく選曲がいいですよね。歌い手としての六角さんの身体の中で一番響く言葉とメロディだけを厳選したんだなと。どの曲もオリジナル以上に六角さんの曲になっていると思います。選曲はみなさんで話し合って?

六角:そうです。あと、もう一人、昔タワーレコードで働いていた北爪啓之さんと。元々、彼と長門さんが僕のソロ・アルバムを作りたいと言ってくれたんです。それで皆で選曲を始めたわけだけど、僕は僕で自分の歌いたい曲がありますが、僕が歌ったらどうなるんだろう? 楽しいんじゃないか? というような曲もみなさんがちょっとずつ持ち寄ってくれた。そこには長門さんや北爪さんの思い入れもあったりするわけで。それを全部アレンジしてくれたのが谷口さん。そのアレンジによって、ここでの自分の方向性が改めて決まった感じでした。一連の流れが芝居稽古のようなものですね。

人がお作りになられた曲なので、いい加減にはできない。自分なりの物語をちゃんとひとつ持たないといけない。役者だったらどうだろう? とか、より客観的に向き合ったりもしました。

準備段階での候補曲は全部でどれくらいあったんですか。

長門:30曲近くありました。すべて日本のフォークやロックの曲です。そこから11曲を選び、六角さんのオリジナル曲⑫ “お前の町へ” で最後をしめるという形にしました。

日本のフォークやロックのカヴァーだけをやることは最初から決まってたんですね。

長門:うん、そういう気持ちがありました。ただ、若い世代の谷口くんはオルタナ・カントリーなど新しい音楽にも詳しいし、六角さんもブルーグラスやカントリーなどへの造詣が深いので、ただのフォーク・カヴァー・アルバムにはならなかったというわけですね。

そもそも、長門さんと六角さんのつきあいはいつ頃からなんですか。

六角:僕は一方的に40年前から存じ上げてました。浪人時代、代々木ゼミナールの帰りによくパイドパイパーハウスに寄っていたから。

長門:2013年、NHKの『仕事ハッケン伝』というドキュメンタリー番組で、六角さんは2週間くらい渋谷タワーレコードで働いたんですが、その時の指導役が北爪さんでした。そして、同じ渋谷タワーレコード内で2016年にパイドパイパーハウスが復活したんですが、その時のタワー側の担当も北爪さんでした。「六角さんは若い頃にパイドパイパーハウスによく通っていたそうですよ」と北爪さんから聞き、ご本人にお会いしたのが2017年かな。

その時点では、六角精児バンドのデビュー・アルバム『石ころ人生』(2014年)は聴いていましたか。

長門:大好きで、パイドでも売ってました。普通には流通していない、六角さんと下田逸郎さんのコラボ作品『唄物語/緑の匂い』(2017年)とかもご本人から仕入れていたし。六角さんにはこれまでに4回ほどパイドでもインストア・ライヴもやってもらうなど、ここ数年、かなり密な関係でおつきあいさせていただいてるんです。

六角:『石ころ人生』は今も売れ続けているんですよ。NHKの僕の番組「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」で流していることもあって。おかげで2枚目のアルバム『そのまま生きる』(2019年)もほぼはけました。6000枚作ったんだけど。

長門さんは六角さんの歌のどういうところに惹かれてアルバムを作りたいと思ったんですか。

長門:はたから見ると、僕はフォーク系じゃなく、AORやソフト・ロック系のイメージが強いようだけど、実は昔からフォークのアルバムを作りたいと思っていたんです。フォークの人たちとは70年代初期からいろいろつきあいがあったし。でも、フォークのアルバムを作りたいと思ってもなかなかいないんですよね、自分で聴いてみたいと思う人が。で、六角精児バンドのアルバムを聴いた時「あっ、六角さんしかいないな」と思い、北爪さん経由で六角さんに提案したわけです。

六角さん自身も、バンドの作品とは別に、自分のソロを作ってみたいという思いはあったんですか。

六角:自分のソロ作品を作りたいとは特に思ってなかったんですが、2017年にその話が来た時はすごくうれしかったです。長門さんとだったら、是非一緒にやってみたいなと。長門さんの仕切りで、日本の昔のフォークを自分の肉体で歌ってみたらどうなるのか……六角精児バンドでやるのとはかなり違うと思ったのでワクワクしました。

その時点ではまだ六角精児バンドの2作目『そのまま生きる』(2019年)は出てないわけですが、『そのまま生きる』と並行してこのソロ・アルバムも作ったわけですか。

六角:そうです。全然違うアルバムになると思ったので、まったく問題なく。

長門:実際の選曲作業が始まったのが2018年で、レコーディングはコロナのせいで延び延びになって、去年の10月でした。

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僕は芝居とリズムは密接な関係にあると思ってます。セリフには概ね理想的なリズムがあって、それをニュアンスと共に頭の中で考え、肉体を通して表現を試みる、そして相手役などから違うリズムを貰ったりしつつ、新たに構築していく。

全体のアレンジ/サウンド・プロデュースを谷口さんに依頼したのも長門さん?

長門:そうです。ただのフォーク・アルバムにしたくないと思った時、アレンジャーは谷口くんが適任だなと。

谷口:2017~18年くらいのけっこう早い段階にお話をいただきましたね。

長門:谷口くんはすごく研究熱心で、暇があればレコード屋に行ってるし、話がツーカーで通じる。スワンプからウッドストック系、シンガー・ソングライターものまでなんでも。最初にデモ・テープを作った時は、全ての演奏だけでなく、歌も谷口くんが自分で入れたんだよね。

谷口:そう、全部歌いました。だから実際はもう一枚作ってるんですよ(笑)。

六角:で、僕はそのカラオケ版を聴きながら、歌の練習をしてましたね。

録音現場での演奏は、ハウス・バンドのような固定メンバー(谷口雄/KB、江上徹/AG、宮下広輔/Steel G、伊賀航/B、増村和彦/Dr)でおこない、プラスでいろんなゲストを呼んでますが、六角精児バンドの江上徹さん以外はすべて谷口さんが連れてきた感じ?

六角:江上さんは、僕というよりは長門さんが是非と。

谷口:鈴木茂(EG)さん、鈴木慶一(EG)さんには長門さんからお声がけいただきました。

六角:あと、僕がブルーグラスの人を呼んでほしいと谷口さんに頼んで。

谷口:サボテン楽団(Banjo)くん、井乃頭畜音団のヒロヒサカトー(Mandolin)くん、それから宮下広輔くんあたりは、僕の周りでもとくにカントリーやブルーグラスに造詣が深いので、ピッタリでした。演奏はもちろん、空気感や人柄も含め、最高のメンバーが集ってくれたと思います。

宮下さんのペダル・スティールは全体を通して、かなり効いてますよね。

谷口:いいですよね。宮下くんが弾くことで、オルタナティヴな感覚が作品に加わったと思います。彼と、森は生きているのバンドメイトだった増村和彦くん(Dr)は真っ先に決めたんです。

若林純夫の④ “雪の月光写真師” とか中塚正人の⑪ “風景” とか、かなりレアな曲も入ってますよね。

六角:どちらも長門さんがリストアップした曲です。若林純夫さんという人が歌っている “雪の月光写真師” なんて曲、そんな音源どこにあるの? って感じだったんだけど、たまたま自分の家に「春一番コンサート」の73年のライヴCD『春一番コンサート・ライヴ '73』があったのでちょっと聴いてみたら、その曲が入ってたんですよ。「おお、これか」と(笑)。「あの曲をまた聴きたい、やってほしい」って長門さんに言われたから、これは絶対入れようとまず最初に思った。“風景” もそういう感じで。

“風景” は、まさにフライング・ブリトーみたいな感じですね。

六角:“風景” はいろんな人のヴァージョン(ディランⅡ、センチメンタル・シティ・ロマンス、斉藤哲夫など)がありますからね。歌っていることはすごいシンプルなんだけど、音楽として楽しめるのはこういうものなんだと今回改めて思いましたね。バンド・サウンドとして実に楽しい。最後の自分の曲 “お前の町へ” は別として、オープニングで “やつらの足音のバラード” を出し、“風景” でしめることで、アメリカンなアルバムなんですよと言い切っているわけです。

選曲だけでなく曲順でもアルバム・コンセプトを主張したと。

六角:あと鈴木慶一さんの⑥ “スカンピン” は、全員一致で「これは、六角さんが歌うべきだ」って。これ、僕か? 使っているコードもいつもの自分の雰囲気とは違うんだけどなと思いましたが(笑)。

オシャレなメジャー7thとか(笑)。やっぱり歌詞の内容ですよね。酒焼けした六角さんの声も貧しさ溢れる歌詞にぴったりはまる感があるし。

六角:長門さんからお願いして鈴木慶一さんにも参加していただいて。そういう意味でも長門さんがいなければこの曲はできませんでしたね。

休みの国の⑦ “追放の歌” は、特にアレンジが好きな曲です。冒頭の生ギターが効いてますよね。

六角:あのヨレがいいよねえ。しかも非常にドライで。

谷口:ありがとうございます。岡田拓郎くんをガット・ギターで呼べるのは僕くらいだろうと(笑)。彼もグリニッチ・ヴィレッチ周辺や〈Folkways Records〉ものはもちろん、コンテンポラリーなフォークへの理解が深い人なので、そのあたりを発揮してもらえればなと。ミックスではちょっとバーバンク・サウンドっぽさも狙ってもらいました。実は、伊賀さんにお願いしてウッド・ベースを2本重ねてもらっています。ギターよりベースの方がトラック数が多いんですよ。

長門:休みの国の高橋照幸さんは、当時カイゾクって呼ばれていて、青山店時代のパイドの社友というか身内のような感じでした。パイド初代店長の岩永正敏さんが照幸さんと仲良くて。照幸さんはパイドにしょっちゅう来てました。だから六角さんがこれは是非歌いたいって言ってくれて、すごく嬉しかった。

芝居は、ご縁があってやらせていただいている仕事だけど、本当に好きなものはやっぱり音楽なんですよ。

六角さんがギターを弾いているのは高田渡の② “告別式” 1曲だけですが、もっと弾きたいとは思いませんでしたか。

六角:いや、今回はとにかく歌をちゃんとやりたかったですからね。

長門:歌はねえ……早川義夫さんの⑩ “この世で一番キレイなもの” が特にいいよね。

うん、あれはちょっと泣きそうになりました。

六角:僕も自分で泣きそうになりましたもん。

谷口:しびれるレコーディングでした。

ヴォーカリスト六角精児の真骨頂というか。

六角:最初、どうやって歌えばいいかわからなかったんですけどね。他の曲に関してもそうだけど、谷口さんがデモ音源のサウンドをすごくしっかり作ってくれてたので、そこに乗っかって、自分なりの表現が工夫できたんだと思います。演奏陣もそう。だから、せーので全部一発で録音できたんですよ。

谷口:僕は今回はまず演奏メンバーを決めていたので、当て書きといいますか、アレンジも「この人だったらこうやってくれるだろう」って感じで作っていったんです。メンバーはレコーディング本番で初めて全員顔を合わせたんですが、当て書きでアレンジをしたおかげか、プレイヤーも自分の色を出しやすかったみたいです。皆さん本当にすんなり現場の空気に入ってくれました。

六角:役者が台本を読んでセリフを覚えてくるようなもんですよ。各人が練習してきて、それでせーのでやってみるとこんなふうになるんだと。

六角さんの歌もバンドと一緒に録ったんですか。

谷口:そうです。全部一緒。ほぼ一発OKだった。ダビングも必要最低限に留めました。

六角:なんか遊んでいたら全部できちゃった感じでした。リハとかしないでできちゃうのか、音楽の人ってすげえなって(笑)。

長門:レコーディングが本当に楽しくてね。スタジオでプレイバックを聴いて拍手が起こったり。昔、シュガー・ベイブやティン・パン・アレイほかたくさんのレコーディングに立ち会ったけど、そんなことは初めてでした。

録音スタジオが「studio 土の上を歩く」とクレジットされていますが、これはどういうスタジオですか?

谷口:僕が普段からお世話になっているシンガー・ソングライターで、今回は⑫ “お前の町へ” でアコギを弾いてもらっている笹倉慎介さんが作ったスタジオです。

クレジットを見た時、スタジオ名までこのアルバムらしいなと思ったんですよ。今作にも入っている “各駅停車” じゃないけど、飛ばさないで、自分で地面を歩いてひとつひとつ手探りでものを掴んでいくってことだけが今は信用できるというか、かっこいいものじゃないかとずっと思っていて。この作品はそれをすごく体現しているし、このスタジオ名も作品に合わせて勝手につけた名前かなと、それくらいぴったりだと思った。

谷口:たまたまです(笑)。古いビルの一室で、笹倉さんが自分で防音の施工をして、ひとつずつ作ったんです。僕もお手伝いして。そういう手作りの雰囲気も含めてぴったりだなと思い、ここで録音したんです。

六角:何がいいかってのは本当に人それぞれなわけだけど、今おっしゃったように、自分で手さぐりで見つけてくるってのが大切だと思うんですよ。僕もそういう考え方で音楽を選んできて、今、アメリカン・ルーツ・ミュージックとかブルーグラスが心地良くなってる。自分の好きな音楽がいい塩梅で合わさった音作りをバンドがやってくれて、そこに僕が気持ちよく乗っかれたって感じがします。長門さん以下、関わった人たち全員が音楽のことをよく知っている。やっぱりそこが一番良かったなと。「これはこういう感じ」だと言ったら、皆がそれを即座に理解してくれる。俳優の世界にはその世界ならではの言葉があって、それでやりくりしているわけだけど、まったく違う形で自分の好きなことができるのは、なんて幸せなんだろうと思います。

音楽に対する六角さんの情熱は本当にすごいなと、今回改めて思いました。俳優さんでここまで音楽に通じている人は、六角さんと松重豊さんぐらいじゃないですか?

六角:今日ね、実はここに来る前、松重さんと対談をしてきたんですよ(笑)。うん、松重さんは確かに詳しいですよね。僕がいろんな音楽を聴き始めたのは中学生の頃で、そこからどんどん広がっていったんですが、20代半ば以降は劇団での活動が大変になったりして、正直、音楽はあんまり聴かなくなっちゃったんです。で、40才過ぎたあたりからまた熱心に聴き始めて、いろいろ掘り下げていった感じです。

谷口:さっき話に出てた『仕事ハッケン伝』で、最後に六角さんがアルバム10枚選んだんですが、そこにニール・カサールが入ってたんですよ。うおっ、すげえと思って。テレビからニール・カサールという名前が聞こえるなんて、しかも俳優さんが推してるって。

改めて、選曲についてですが、今回カヴァした11曲以外に、リストアップされていたものにはどんな曲があったんですか。

谷口:あがた森魚さんとか。

六角:斉藤哲夫 “悩み多き者よ” や細野晴臣 “ろっか・ばい・まい・べいびい” もありましたね。

長門:あと僕が出していたのはダッチャの “26号線” という曲。1973年に1枚だけアルバムを出していたシンガー・ソングライターです。

六角さんが、これだけは絶対に歌いたいと主張した曲は?

六角:けっこうありました。① “やつらの足音のバラード”、② “告別式”、⑤ “各駅停車”、⑨ “女の証し”、あと⑩ “この世で一番キレイなもの” などですね。その他は長門さん、谷口さん、北爪さんの推薦です。特に、休みの国の⑦ “追放の歌” は北爪さんが絶対に入れてくれと。人から選んでもらったものを自分で具体化する楽しさ、それって芝居に通ずるところがあります。僕にとっては芝居より楽しいですよ。

結局、最後、自分のことは自分の力でなんとかするしかない。だけど、その時にふと素敵な音楽があって、それを聴いたことで自分を奮い立たせることはできるかもしれない。この音楽にはそういう気持ちが込められているんです。

自分のバンドで歌うことと、今回みたいにシンガーに徹することの違い、難しさみたいなものはありましたか。

六角:六角精児バンドとして何かを表現するっていうのは、やっぱりバンド全体での表現ですから、自分の中ではわりとおおらかさがつきまとうんです。「これくらいでいいよね」みたいな。今回の場合は自分のソロですから、それを自分でどう歌うかというのに直面しなければならないんですよ。良い意味でも悪い意味でも、バンドというごまかしがきかない。どうすればいいか、どうしたいのか、自分の中で判断しなくちゃいけない。

つまり、責任が分散しないと。

六角:その責任と判断を、谷口くんにもらったデモのカラオケで歌いながら少しずつ自覚していった感じですね。で、スタジオでの本当の演奏になった時、自分が思っていたことばかりじゃなくて、バンドと融合するためにはどうしたらいいかと。そこは役者と似てますね。

シナリオをもらって、その段階で自分でいろいろ考えるわけだけど、実際の現場では相手がいて、その場で表現も変わってくる。

六角:そこで相手がくれる力を、一回ちゃんと自分なりに受け止めて出す、それがレコーディングですね。でも、自分がやりたいことの筋立てだけはしっかり考えておかなくちゃいけなかったので、まあ簡単に言うと、わりとしっかりやりました(笑)。人がお作りになられた曲なので、いい加減にはできない。自分なりの物語をちゃんとひとつ持たないといけない。役者だったらどうだろう? とか、より客観的に向き合ったりもしました。

亡くなった志村けんさんはソウルやファンクなどの音楽に精通してて、身のこなしや演技そのものにソウルやファンクのビートが影響していたと思います。六角さんの表現にも何がしかの音楽的影響がありますか。

六角:そうですね、僕は芝居とリズムは密接な関係にあると思ってます。セリフには概ね理想的なリズムがあって、それをニュアンスと共に頭の中で考え、肉体を通して表現を試みる、そして相手役などから違うリズムを貰ったりしつつ、新たに構築していく。呼吸もリズムの変化によって全然変わってきますから。

つまり、六角さんの演技や身のこなしそのものが音楽的だと言っていいと。

六角:自分はそういうふうに思っています。でもまあ、芝居は、ご縁があってやらせていただいている仕事だけど、本当に好きなものはやっぱり音楽なんですよ。でも、才能の問題があるし。自分としてはあまり大きな形で参加はできないけど、寄り添うことができればと思っています。

最後に、アルバムのタイトルについて。自分でつけたそうですが、そこに込めた意図を教えてください。

六角:自分で救えってことです。

自分は自分でしか救えないと?

六角:そうです。人は人を救えない。ただ、人からもらったもので心を支えて、自分でなんとかすることはできるじゃないですか。そんなささやかな支えになれるアルバムであってほしいなと。

それは、これまでの、山あり、谷あり、谷あり、谷ありみたいな人生がかなり影響してる言葉ですよね?

六角:ですね。結局、最後、自分のことは自分の力でなんとかするしかない。だけど、その時にふと素敵な音楽があって、それを聴いたことで自分を奮い立たせることはできるかもしれない。この音楽にはそういう気持ちが込められているんです。決して乱暴な言葉ではない、これは人への、ある意味励ましなんです。

六角さんの過去のインタヴューで、すごく感銘を受けた言葉がありました。ご自身の生きるうえでの信条を聞かれて、六角さんが「許す、忘れる」と答えてて。六角さんの演技も今回の歌も、すべてこれだよなと。

六角:忘れる力です。そして、人も自分も許す。

そう、これは「許す」アルバムなんですよ。後ろ向きのように見えるけど、聴き終わると前向きな気持ちになっている(笑)。一歩ずつ歩いている。

六角:後ろ向きな感じがするけど、けっして死なない、と。人は人を救えない。まずは自分の心を開かなくちゃ。

マーベル映画最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の監督サム・ライミのすべてがわかる日本で初めての本!

『死霊のはらわた』で一躍80年代ホラーを代表するカルト監督に。『スパイダーマン』3部作など成功をおさめつつもプロデューサーとして若手ホラー作家のフックアップを続けてきた名匠、サム・ライミ。

2022年には9年ぶりとなる新作としてマーベル映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』発表。そんなライミの全貌に迫った日本ではじめての一冊!

ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス
Interview サム・ライミ監督インタヴュー
鼎談 サム・ライミとは何者なのか (柳下毅一郎・高橋ヨシキ・てらさわホーク)

Biography
アイディアとそれを実現する力──サム・ライミはいかにして映画監督となったか (高橋ヨシキ)

イラストエッセイ『死霊のはらわた』シリーズ (児嶋都)

Filmography
クロス・レヴュー『死霊のはらわた』
 80年代スプラッター・ブームの起爆剤となった伝説のデビュー作 (伊東美和)
 〈スプラッター資本主義〉のはらわた──四肢切断はメッセージ (後藤護)
不遇なスラップスティック・コメディの佳作──『XYZマーダーズ』 (森本在臣)
起死回生の勝負作──『死霊のはらわたⅡ』 (山崎圭司)
闇に生きる──『ダークマン』 (柳下毅一郎)
ライミの深奥に潜むもの 視覚的快楽の結晶『死霊のはらわたⅢ キャプテン・スーパーマーケット』 (ヒロシニコフ)
「アメリカ人によるマカロニ・ウェスタン」の先がけ──『クイック&デッド』 (長谷川町蔵)
白いフィルム・ノワール──『シンプル・プラン』 (真魚八重子)
ダンス・ウィズ・ケヴィン・コスナー──『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』 (木津毅)
喪失と再生の物語──『ギフト』 (児玉美月)
マーベル映画の「リアル」と「キャンプ」──『スパイダーマン』 (てらさわホーク)
ライミ映画およびアメコミ映画のひとつの到達点──『スパイダーマン2』 (森本在臣)
絵空事が現実に負けた第三作──『スパイダーマン3』 (中沢俊介)
コンテンポラリーなホラー映画が浮き彫りにした絶望──『スペル』 (高橋ヨシキ)
〈エメラルド神智主義〉──神智学とショー・ウィンドーと『オズ』の関係──『オズ はじまりの戦い』 (後藤護)
アッシュが30年ぶりに帰ってきた!──『死霊のはらわた リターンズ』 (森本在臣)

Interview 清水崇

論考・コラム
ゴーストハウス・ピクチャーズ (山崎圭司)
『死霊のはらわた』という発明 (ヒロシニコフ)
ライミ映画のマンガ性 (てらさわホーク)
サム・ライミ映画のアメコミ展開~アッシュの奇妙な冒険~ (中沢俊介)

ライミの周辺人物たち
ブルース・キャンベル(長谷川町蔵)/スコット・スピーゲル(ヒロシニコフ)/コーエン兄弟(長谷川町蔵)/ダニー・エルフマン(長谷川町蔵)/テッド&アイヴァン(森本在臣)

対談
アフター・ライミ~ライミ以降の映画作家たち (山崎圭司・ヒロシニコフ)

資料
ライミ関連作品リスト

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BRIAN ENO AMBIENT KYOTO - ele-king

 いよいよ開幕まで2か月を切ったブライアン・イーノによる音と光の展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」。本日、チケット情報が解禁されている。特典付きの前売りは来週4/25から発売。詳細は下記をご確認ください。
 またこのタイミングに合わせ、著名人たちからのコメントも公開されている。とにかく石野卓球がすばらしいです。ぜひチェックを。

https://ambientkyoto.com/comments

 ちなみにイーノは、先週末公開された英ガーディアン紙のインタヴューで R.E.M. のマイケル・スタイプとコラボしたことを明かしている。気候危機に注意を向けてもらうための、今年の「アースデイ」の企画で、4月22日にリリース予定(同日は100組以上のアーティストがバンドキャンプで作品を発表、収益の一部は気候危機に対処する最前線の活動へと寄付される)。
 なおイーノは昨年、気候問題にかんして「音楽コミュニティにもなにかできることがあるはずだ」と一念発起、音楽業界から資金を集めることを目的とする慈善団体「EarthPercent」を共同設立しているのだが、同記事内ではその設立に際してポッドキャストで語られた発言が引用されてもいる。「じつは、いち個人としてのわたしたちは問題ではないのです。わたしたちのいるシステムこそが問題なのです」「わたしたちはなにかをやるとき、コミュニティとしてやります。人間はその感じが好きなのです。そのことを資本主義はまったく理解していません。いっしょにものごとをやるということこそ、わたしたちを支えているのです」。考えさせられます。

ブライアン・イーノによる音と光の展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO

◉チケット販売情報決定のお知らせ
特典付き前売チケット、4/25より販売開始!

◉各界の著名人からのコメントを公開!

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「ありきたりな日常を手放し、別の世界に身を委ねることで、自分の想像力を自由に発揮することができるのです」──ブライアン・イーノ

ヴィジュアル・アートに革命をもたらした英国出身のアーティスト、ブライアン・イーノが、コロナ禍において、初となる大規模な展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」を、京都を舞台に2022年6月3日(金)より開催します。

本展のチケット販売詳細と、ブライアン・イーノに寄せられた各界の著名人からのコメントが公開されました。チケットは、特典付き前売りチケットが、4月25日(月)より販売が開始され、特典はオリジナル·ステッカーとなります。また各界の著名人より寄せられたコメントは、ヴィジュアル・アート、音楽など多方面で全く新しい価値観を創造し続けてきたイーノにふさわしいコメントで溢れてます。

本展は、ブライアン・イーノによる音と光のインスタレーションを中心に展開します。

芸術家としての活動のみならず、アンビエント・ミュージックの創始者であり、環境問題にも早くから取り組んできたイーノが、世界的文化都市の地で、どのようなメッセージを発するのか。ぜひご注目ください。

■■■ チケット販売概要 ■■■

◉チケット購入サイト
https://www.e-tix.jp/ambientkyoto/

◉チケット発売スケジュール
・特典付き前売チケット:4月25日(月)~ 5月8日(日) *特典:オリジナル・ステッカー
・一般前売チケット:5月9日(月)~ 6月2日(木)
・一般チケット:6月3日(金)~ 8月21日(日)
*前売チケット販売は、上記チケット購入サイトでのオンラインのみの取り扱いとなります。

◉チケット料金
[特典付き前売チケット/一般前売チケット]
平日:一般 ¥1,800 / 専・大学生 ¥1,300 / 中高生 ¥800
土日祝:一般 ¥2,000 / 専・大学生 ¥1,500 / 中高生 ¥1,000

[一般チケット]
平日:一般 ¥2,000 / 専・大学生 ¥1,500 / 中高生 ¥1,000
土日祝:一般 ¥2,200 / 専・大学生 ¥1,700 / 中高生 ¥1,200
*小学生以下無料

◉特典付き前売チケット:オリジナル・ステッカー

■■■ 著名人からのコメント ■■■

◉コメントをお寄せていただいた方々:
石野卓球、宇川直宏(DOMMUNE)、小崎哲哉(『Realkyoto Forum』編集長)、初代選曲家・桑原茂一、テリー・ライリー、徳井直生(Qosmo代表 慶應義塾大学准教授)、永山祐子(建築家)、野田努(ele-king)、原 摩利彦(音楽家)、ピーター・バラカン(ブロードキャスター)、細井美裕(サウンド・デザイナー)、真鍋大度(Rhizomatiks)、山口一郎(サカナクション / NF)、湯山玲子(著述家、プロデューサー)、若林恵(編集者・黒鳥社) *敬称略、五十音順

◉コメント内容
https://ambientkyoto.com/comments

■■■ 開催概要 ■■■

タイトル:BRIAN ENO AMBIENT KYOTO(ブライアン・イーノ・アンビエント・キョウト)
会場:京都中央信用金庫 旧厚生センター
住所:京都市下京区中居町七条通烏丸西入113
会期:2022年6月3日(金)-8月21日(日)

*展覧会詳細は以下の公式ページにてご確認ください。
公式ホームページ
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Instagram
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!!! (Chk Chk Chk) - ele-king

 まもなく新作『Let It Be Blue』のリリースを控えるチック・チック・チックから嬉しいお知らせの到着だ。9月3日(土)と9月4日(日)の2日間にわたって横浜赤レンガ地区野外特設会場で開催されるフェス《LOCAL GREEN FESTIVAL’22》への出演が決定したとのこと。パワフルなライヴで知られる彼ら、パンデミックを経ていったいどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。いまから楽しみだ。

史上最狂のディスコ・パンク・バンド
チック・チック・チックが LOCAL GREEN FESTIVAL’22出演決定!!!

待望の最新作『LET IT BE BLUE』は4月29日(金)日本先行発売!!!
数量限定のオリジナルTシャツ付セットや日本語帯付ヴァイナルも発売決定!!!

4月29日(金)に9枚目となる待望の最新アルバム『Let it Be Blue』のリリースを控える史上最狂のディスコ・パンク・バンド、チック・チック・チックが、2022年9月3日(土)、9月4日(日)の2日間に渡り、横浜赤レンガ地区野外特設会場にて開催する「Local Green Festival’22」に出演決定!

アルバムからはこれまでに “Storm Around The World (ft. Maria Uzor)” と “Here's What I Need To Know” の2曲が公開されている。

Storm Around The World (ft. Maria Uzor)
https://youtu.be/PVYddYDjBMc

Here's What I Need To Know (Official Video)
https://youtu.be/k3oKGyATLx4


Local Green Festival’22
開催日程:2022年9月3日(土)、 9月4日(日)
開催場所:横浜赤レンガ地区野外特設会場
主催:ローカルグリーンフェスティバル実行委員会
後援:横浜市文化観光局/スペースシャワーTV/J-WAVE
WEB : https://localgreen.jp/

ダンス・カルチャーを規制したニューヨーク市長に中指を立てた名曲 “Me And Giuliani Down By The School Yard (A True Story)” や、フジロックやソニックマニアを含め世界中の音楽フェスを熱狂させてきた “Must Be The Moon” “One Girl/One Boy” といった大ヒット・アンセム、そして他の追随を許さないパワフルなライヴ・パフォーマンスで知られる彼ら。芸術を作るということにおいて大切なのは、まず自らを奮い立たせ楽しむために、自らを改革し、常に挑戦し続けること。常に挑戦者の気持ちで自分自身の最高傑作を更新すること。チック・チック・チックの歩みを振り返れば、彼らは実に25年にもわたってその姿勢を貫いてきたことがわかるだろう。バンドの9枚目のアルバム『Let it Be Blue』は、その絶え間ない変化の感覚を、未開拓の新たな領域へと導いている。大音量でかけて人々を解放へ導くダンス・ミュージック、そういった類の音楽だ。

長年のコラボレーターであるパトリック・フォードがプロデューサーを務めた本作は、未来のダンスフロアを夢見て、2年間に渡って温められてきたという。その結果生まれた楽曲は、バンドがかつてないほど制作に力を注いだ作品となった。サブベースとドラムビートにあふれ、ダンス~パーティ・ミュージックをゴッタ煮したチック・チック・チック独自のグルーヴが表現されているが、これまでと比べて隙間のある作品となっている。それはバンドにとってエキサイティングな挑戦だった。ニック・オファーが「7、8人のバンドとしてスタートして、これまでは全員ですべてを詰め込んで、できるだけ多くのパーツをはめ込もうとしていた」と語るように、初期作品では音数の多さとある種の複雑さが魅力の一つだったが、今作はより洗練されたプロダクションとなっている。しかし、ミニマルなアプローチだからといって、代名詞のカオティックなエネルギーはまったく失われていないどころかむしろ熱量を増している。レゲトン、アシッド・ハウス、エイサップ・ファーグ、〈Kompakt Records〉作品、スーサイド、アコースティック……といった様々な要素が散りばめられたパンドラの箱のような作品だ。また、このアルバムには、ブルーでメランコリックな一面と希望的な感覚を同時に持ち合わせている。それはアルバム・タイトルにも反映されている。“Let It Be” という悟りではなく、“Let It Be Blue” というのはこれから待ち受ける様々なことを受け入れるという意味が込められている。憂鬱や悲劇は一時的なものであり、物事は過ぎ去る。しかし、何より本作『Let it Be Blue』は、これまで以上に踊り出したくなる作品だ。

チック・チック・チック待望の最新アルバム『Let it Be Blue』は、CDとLPが4月29日に日本先行で発売され、5月6日にデジタル/ストリーミング配信でリリースされる。国内盤CDにはボーナストラック “Fuck It, I'm Done” が収録され、歌詞対訳・解説が封入される。LPはブラック・ヴァイナルの通常盤と、日本語帯・解説書付の限定盤(ブルー・ヴァイナル)で発売される。また国内盤CDと日本語帯付限定盤LPは、オリジナルTシャツ付セットも発売される。

label: Warp Records / Beat Records
artist: !!! (Chk Chk Chk)
title: Let it Be Blue
release: 2022.04.29 FRI ON SALE
2022.05.06 (Digital)

国内盤CD BRC697 ¥2,200+税
解説+歌詞対訳冊子/ボーナストラック追加収録
国内盤CD+Tシャツセット BRC697T ¥6,000+税

帯付限定輸入盤1LP(ブルー・ヴァイナル)
WARPLP339BR
帯付限定輸入盤1LP(ブルー・ヴァイナル)+Tシャツセット
WARPLP339BRT

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12382

TRACK LIST
01. Normal People
02. A Little Bit (More)
03. Storm Around The World (feat. Maria Uzor)
04. Un Puente (feat. Angelica Garcia)
05. Here's What I Need To Know
06. Panama Canal (feat. Meah Pace)
07. Man On The Moon (feat. Meah Pace)
08. Let It Be Blue
09. It's Grey, It's Grey (It's Grey)
10. Crazy Talk
11. This Is Pop 2
12. Fuck It, I'm Done *Bonus Track

Monkey Timers - ele-king

 結成13年、すでにDJ/プロデューサーとして大きなキャリアを有するユニット、来る RAINBOW DISCO CLUB への出演も決まっている Monkey Timers が初のフル・アルバム『KLUBB LONELY』をリリースする。Take と Hisashi から成るこのデュオはDJハーヴィイジャット・ボーイズといったハウス~ディスコ・ダブを音楽的背景に持ち、Force of Nature や瀧見憲司、Keita Sano らの系譜に連なる活動を展開している。
 その記念すべきファースト・アルバムでは、ミックスとマスタリングをチック・チック・チックやアウト・ハッドの創設メンバーとしても知られ、レーベル〈My Rules〉を主宰するジャスティン・ヴァンダーヴォルゲンが担当、アートワークは〈C.E〉の Sk8Thing が手掛けている。アナログ2枚組、発売は4月20日。
 現在、アルバムに先がけリード曲 “That’s The Kind Of Love I’ve Got for You” (ダスティ・スプリングフィールドのカヴァー)が配信中。また、収録曲 “Less” のMVも公開されている。日本産ディスコ・ダブの現在を聴こう。

Monkey Timers が待望のデビュー・アルバム『KLUBB LONELY』を4月20日にリリース! リード・シングル「That’s The Kind Of Love I’ve Got for You featuring Lisa Tomlins」を先行配信。

DJ Harvey~Idjut Boys などが先陣を切ったニューハウス~ディスコ・ダブを源流とするアンダーグラウンド・カルチャーをバックグラウンドに、ダンス・ミュージック・シーンのネクスト・フェイズを切り開くDJ/プロダクション・ユニットとして国内外で支持を集める Monkey Timers が、結成13年目にして待望のフル・アルバム『KLUBB LONELY』を、〈DISKO KLUBB〉と〈Sound Of Vast〉とのコラボレーションによる2枚組アナログ/全世界500枚限定セットでリリース。
Lord Echo や Recloose 作品のヴォーカルでお馴染みの Lisa Tomlins をヴォーカルにフィーチャリングした Dusty Springfield「That’s The Kind Of Love I’ve Got for You」のカヴァーをはじめ、ベルリンを拠点にヨーロッパのシーンをリードする才人 Mr. Ties、ワールドワイドな注目を集める岡山の才能 Keith
Sano、日系アメリカ人の新鋭ヒップホップ・ユニット MIRRROR、DJ Sammo Hung Kam-Bo(思い出野郎Aチーム)、cero、KIRINJI などのサポート・メンバーとして活躍するマリンバ奏者角銅真実など、国内外のヴォーカリスト/プロデューサー/ミュージシャンとのコラボレーションを展開。
ミキシング/マスタリングは Justin Van Der Volgen(MY RULES)。ジャケット・デザインはC.E デザイナー Sk8Thing が手がけている。
Monkey Timers 自身が主宰を務める〈DISKO KLUBB〉とアムステルダム発の日本人主宰レコード・レーベルとして世界中から信頼を集める〈Sound Of Vast〉とのコラボレーション・プロダクトとして限定リリースとなります。

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アルバム発売に先んじて、1978年にリリースされた Dusty Springfield の名曲 “That’s The Kind Of Love I’ve Got for You” のオフィシャル・カヴァー曲を各種サブスクリプション・サーヴィスで先行配信! Lord Echo や Recloose 作品のヴォーカルでお馴染みの Lisa Tomlins をフィーチャリング。

Monkey Timers - That’s The Kind Of Love I’ve Got for You featuring Lisa Tomlins
Link:
https://music.apple.com/jp/album/thats-the-kind-of-love-ive-got-for-you-single/1614239008
https://open.spotify.com/album/3g8eWm4zAhT2OjbV0x3sev?si=b_nZfsQ_TIGgsptCw09XYA

アーティスト: Monkey Timers
タイトル: KLUBB LONELY (Limited Double Vinyl Edition)
レーベル: DISKO KLUBB / Sound Of Vast
フォーマット: 2LP (フルカラーアートワーク / 500枚限定)
税込価格: ¥4,950
発売予定日: 2022年4月20日(水)
Mixing & Mastering by Justin Van Der Volgen (MY RULES)
Artwork by Sk8Thing (C.E)

Track List
A1. Ventura
A2. Less featuring Mr. Ties
A3. Night Clubbing
B1. Hometown featuring Keita Sano
B2. Monk Episode 2
C1. Sick Boy
C2. That’s The Kind Of Love I’ve Got for You featuring Lisa Tomlins
C3. Cold Days, Warm Heart featuring DJ Sammo Hung Kam-Bo & Manami Kakudo
D1. Call Me featuring MiRRROR
D2. Long Vacation
D3. Disko (not Disko)

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