「K A R Y Y N」と一致するもの

Nyantora / Duenn / Hair Stylistics - ele-king

 本作は中村弘二(ニャントラ)、ダエン、中原昌也(ヘアスタイリスティックス)らが、2015年2月にYCAM(山口情報芸術センター)で行ったライヴ演奏の記録である。 その音は、まるで薄明かりの中で生まれる電子・電気のモノオト/ノイズである。全31分1トラックによる電子音生成の記録。

 3人についての説明は、もはや不要だろう。元スーパーカーでナカコーの愛称で知られる中村は、ソロから別名義のアンビエント・プロジェクトまで、音楽の領域を切り開く多様な活動を続けている。作家・文筆家でもある中原は、ヘアスタイリスティックス名義で、多くのアルバムを爆撃的にリリースし、この現代日本のどうしようもない状況にノイズと乾いた笑いによる介入を実行している。そしてダエンは、日本で随一のカセット・レーベル〈ダエン〉の主宰者で、新世代を代表する(電子)音楽家でもある。彼らの競演は世界初であり、まさに歴史に残る事件ではないか。

 しかし、真に重要な点は、貴重な競演という話題性だけではない。むろん、それだけでも十分に素晴らしい出来事なのだが、なにより、この演奏/音響が耳の興味を引きつけるのだ。一聴して誰もがわかるように、ここでの3人は互いの音に敏感に、かつ大胆に反応しあいながら、ひとつの、そして新しい音響を生み出しているのである。本作において、どの音が誰の音なのか、という問いはそれほど意味をなさない(もちろん、この音が誰の音かと想像するのは楽しいのだが)。反応と生成によって、ここにしかない音響的時間が生まれていることが重要なのである。

 冒頭の暗闇から聴こえるような微かな音、声の反復、そして微かに震えるノイズ、グリッチな高音、霞んだ音色の持続音、突如鳴りはじめる透明なコードまで、3人の音は、まるで水槽の中で群れをなして動く生命たちのように敏感に、かつ優雅に反応しあっていくのだ。その一筋縄ではいかない電子音/ノイズの饗宴を聴いた者は、この演奏/競演がCDとして後世に残す価値がある作品だと確信するはずだ。そう、この『ワイカム ライブ』には、3つの才能が交錯することで生まれる濃密な音響が収められているのだ。本作の薄明かりの中に蠢くような音を聴きながら、私は不意に谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を思い出しもした。どこか日本的ともいえる薄明かりの美意識。

 本作をリリースするのは、日本・東京で、高品質な電子音響/エクスペンタル・ミュージックをリリースしている〈サッドレック〉である。同レーベルはこれまでもトーマス・フィリップ、フランシスコ・ロペスなどの作品を送り出しており、美しく刺激的な音を求めるリスナーたちの耳を潤して(震わして)きた。統一感のあるアートワークも素晴らしく、日本における〈タッチ〉や〈ライン〉のような存在ともいえるだろう。
 その高精度な音の秘密(?)には、サウンドに対する職人的ともいえるこだわりにあるように思えてならない。それもそのはずで、本作などはマスタリング・スタジオ〈サッドラボ〉も運営する主宰ドヴァスキーによるDSDアップコンバート・マスタリングが行われており、音そのものの存在感が凄まじいのである。この種の作品にありがちな高い音域で、いたずらに刺激させるだけの音ではなく、小さな響きからノイジーな音響まで、幅広い音域の中で、音の肌理や質感があますことなく銀盤に収められている。長く聴ける音響への拘りを強く感じさせてくれるアルバムである。

 また、本作と同時リリースされるドイツのサウンド・アーティストであるサスピションブリーズコンフィデンス『エーロゾル』にも注目だ。〈パン〉以降のエクスペリメンタル/インダストリアルな状況に投下される最新鋭のダーク電子音響アルバムで(アートワークも美しい!)、ノイズ・環境音・ビート・メロディの断片など、さまざまな音のフィギュールが交錯し、心理的影響を与えるようなサウンドの情景が生成されていくのである。まるで電子音響の劇場空間。この『エーロゾル』もドヴァスキーによるマスタリングが行われており、末永く聴き込める電子音響/電子ノイズの逸品に仕上がっている。『ワイカム ライブ』とあわせての聴取を強くおすすめしたい。どちらも限定300枚である。

高岡謙太郎(ライター) - ele-king

HD画質向けミュージック・ビデオ10選

cafe school No.2 開催 - ele-king

「ジェントリフィケーション(gentrification)」ということばをご存知だろうか? 「〔老朽または下層地域などを[が]〕高級(住宅地)化する」という意味の英語の動詞、「gentrify」の名詞形であり、現在のロンドンやニューヨークといった先進国の都市で起こっていることだ。とくにロンドンの例が顕著で、ジェントリフィケーションによる地価の高騰によって、多くのミュージシャンたちがロンドンの、ひいてはUKの外へと活動の拠点を移している。

 東京は、日本は無関係か? いや、そんなことはないだろう。オリンピックによる都市開発によって、老舗のレコード店やクラブが閉店してしまったという知らせは、多くのひとびとを悲しませた。ロンドンがその姿を変えてしまったきっかけのひとつもまたオリンピックである。東京はこれからどうなってしまうのか? またその状況にどうやって抵抗できるのか? 今週土曜、そんな問いに答えるイベントが新宿で開催される。講師は酒井隆隆史と平井玄。抵抗のスペシャリストとともに考えましょう。

KiliKiliVilla - ele-king

 いま日本で猛烈な勢いで新作をリリースしている元気いっぱいのインディ・ロックのレーベル、〈キリキリヴィラ〉からマヒトゥー・ザ・ピーポー率いるGEZANの写真集が刊行されました!
 2015年の夏、アメリカのバンド、MEAN JEANSとTHE GUAYSとGEZANによる13日間の公演ツアーの模様をドキュメントしたもので、撮影は新進気鋭のカメラウーマン、池野詩織さん。バンドに密着しながらでなければ撮れない写真ばかりで、ライヴハウスをかけめぐるロック・バンドの非日常的な激しさと日常的なセンチメントが交錯する。ロックの生々しい現場の断片からは、何とも言えないエモーションが立ち上がる。こういうリアリティって、ネットや雑誌では、なかなかお目にかかれない。手作りのジンだからこそ伝わるものだ。
 限定500部なので、お早めに!

池野詩織
『BUBBLE BLUE』
kilikilivilla
https://kilikilivilla.com/

NILøS - ele-king

 堀川達郎が2001年にアート・プロジェクトとして立ち上げたファッションブランドJULIUS(ユリウス)。黒と白を基調とし、様々なシルエットや素材を行き来するデザインは世界的に多くのファンを獲得してきた。服だけではなく音楽から照明まで、そのデザイン哲学が徹底的に行き渡ったショーも注目を集め、現在、パリ・コレクションの第一線で活躍する存在として知られている。
 2015年、JULIUSは新たなプロジェクトNILøS(ニルズ)を立ち上げた。これまでとは違ったベクトルでファッションや音楽にアプローチをし、様々なアーティストとのコラボレーションを予定している。その新たな試みとして、今回NILøSは音楽レーベルとしての機能を始動させることになった。第一弾のリリースに選ばれたアーティストは東京を拠点に活動するENA。その音楽に対するストイックな姿勢から生み出される既存の枠に縛られない音像は、ファッションや映像といった分野にも多くのサポーターを生んでいる。
 今回、ENAが発表する作品はNILøS の世界観を表現した40分にも及ぶワントラックのコンセプト・アルバムだ。プレスリリースによれば「繊細なディティール構成よりも、より本能的にサウンドを積み重さねることで、モノクロの空間を構築」した作品に仕上がっているという。ブランド/レーベルが今後どのように展開していくのかを想像しながら、その出発点に注目したい。リリースは3月19日。DOMMUNEなどでのリリース・パーティも予定している。

ENA
LP { SøIL }

3月19日 on sale
Bandcamp:
https://nils-emptyset.bandcamp.com/releases

ENA

Drum&Bass から派生した独自な音楽の評価が高く、ジャンルを問わない Top DJ からのサポートを受ける。RA ( Resident Advisor ) Podcast に自身の曲を中心とした Mix を提供。多数のレーベルからリリースを重ねると同時に, 楽曲のクオリティの高さからミキシング / マスタリングの評価も高く、様々な作品にエンジニアリングでも参加。7even Recordings / Samurai Horo などヨーロッパを中心に多数の作品をリリース. 2015年 Berlin Atonal 招待など、国内海外にて評価が高い。

{ SøIL } Release Party in OSAKA NILøS Sound Project #001 ;
Sound : ENA
VJ : DBKN
24th March 2016 OPEN 20:00 LIVE 21:30 @24TH OF AUGUST

{ SøIL } Release Party in TOKYO NILøS Sound Project #002 :
Sound : ENA
5th April 2016 @DOMMUNE

NILøS ;
https://nils-emptyset.jp
instagram : https://www.instagram.com/nils_emptyset/

JULIUS ;
https://www.julius-garden.jp
instagram : https://www.instagram.com/_julius7official/

interview with Koshiro Hino - ele-king

 昨年のセカンド『Rhythm & Sound』で、goatはオルタナティヴなロック界隈はもとより、クラブ・ミュージック、とくにエクスペリメンタルな志向性のダンス・カルチャー周辺にもその存在感を浸透させつつあるのは、暮れにDJ NOBUの話を訊いたときにも思ったのだった――と、だしぬけの宣伝で恐縮だが、そのインタヴューを収録した『クラブ / インディ・レーベル・ガイドブック』がもうしばらくしたら店頭に並びます。古今東西のクラブ、インディ系のレーベルを国別に総括した類例のないガイドブックで、刺激的な音に目のない親愛なる弊媒体読者にはうってつけであるとともに、この世にはかくも音楽レーベルがなるものがあるかや、と感嘆必至の一冊になったと自負するが、goatの日野浩志郎が運営するレーベル〈birdFriend〉も本書はとりあげている。〈birdFriend〉はフィジカル・リリースにおいてカセットが復権したころあいをみはからった感があるが、レーベルを手がけながらgoatと並行してハードコア・ユニット、ボナンザスを率い、YPY名義でソロ活動にいそしむ日野浩志郎があらたに大編成のプロジェクトを始動すると聞いたのは、本書の入稿を終えたころだった。新プロジェクトはヴァージナル・ヴァリエーションズなる名称で、昨年12月大阪で一度ライヴを行い、今週末の東京で公演は2度めだが、ロック・コンボの可能性をきりつめ、機能性へ反転させた日野浩志郎が、大阪公演よりさらに人数を増やした編成――そのなかにはさきごろ新作をリリースした服部峻らも含む――でなにを志向し、どうおとしこむのか、大阪の日野浩志郎に質問状を送った。これは宣伝ではないどころか、ジャンルを問わず、2016年のもっとも刺激的な音を耳にするまたとないチャンスである、マジで。

■日野浩志郎 / ひの・こうしろう
大阪を拠点として活動するミュージシャン。バンドとしてはgoat、bonanzasのリーダーとして、ソロではYPY名義で名を馳せ、カセットレーベル〈birdFriend〉も主宰する。goatでは2013年にファースト・アルバム『NEW GAMES』、2015年にはセカンド・アルバム『Rhythm & Sound』を、bonanzasでは2枚のライヴ・アルバムにつづいて2013年にファースト・アルバム『BONANZAS』を発表。

クラシック楽器を含めた大編成ユニットの構想は3~4年前くらいからありました。

新プロジェクト「ヴァージナル・ヴァリエーションズ(Virginal Variations)」はどのような経緯で生まれたのでしょう? またヴァージナル・ヴァリエーションズ(以下VV)というグループ名の由来について教えてください。

日野浩志郎(以下日野):アイデアが生まれた具体的なきっかけは憶えていないんですが、クラシック楽器を含めた大編成ユニットの構想は3~4年前くらいからありました。わかりづらい表記にしてしまったんですが、ヴァージナル・ヴァリエーションズというのは作品のタイトル名兼ユニット名であり、次の作品ができた際は「Hino Koshiro plays」の後ろが次の作品名に入れ替わる予定です。
 正直なところ、このプロジェクトをはじめようと踏み切ったときにはっきりとしたコンセプトは定まっていませんでしたが、このユニットで試したいと思っていた漠然としたアイデアはいくつもありました。しかしこれといって統一性はなく、さらにそのアイデアは実際に音を出してみないと使えるかがわかりませんでした。とにかくやっていくうちにまとめていこうと思い、最初につくった曲群の作品ということでヴァージナル(処女らしい、無垢の)ヴァリエーションズと名づけました。

日野さんはgoatやbonanzasでも活動されていますが、これらはいわゆるロック・バンドの編成です。より大部の編成で音楽をつくりにあたり、これまでとちがったところはありましたか。

日野:初ライヴは昨年の12月に行ったんですが、結成のタイミングにかんして特別ななにかを狙ったわけではありません。前にロンドンに行ったとき世話になったグリム・グリムの大阪公演を僕が企画することになったんですが、ソロもバンドも合わないかもしれないと思いこのユニットを試してみることにしました。
 公演の約一カ月前にメンバーを集めて練習を開始したんですが、じつはそのときかなり苦戦しました。バンドの制作をする際は、goatやbonanzasは弦楽器があるものの各楽器をほぼ打楽器として捉えてダンス・トラックを作るようにPC上でデモをつくっていくんですが、VVはハーモニーも重要となります。DTMはそこまで得意ではないのでPCではデモをつくらず、ギターと鍵盤を使いながら脳内で想像しノートとペンで作曲をしていく必要がありました。それも慣れない編成なので事前に考えていたアイデアは使えるものは少なく、練習でアイデアを出していちからつくるはめになりました。それはそれで楽しかったんですが、人数も多いのでなかなか全員で音を出すことができず時間もないので初ライヴ前は本当に気が気でない状態でした……。

DTMはそこまで得意ではないのでPCではデモをつくらず、ギターと鍵盤を使いながら脳内で想像しノートとペンで作曲をしていく必要がありました。

始動にあたり参考にされた作品やグループなどありましたか? 音楽でなくともかまわないですが。

日野:参考にした作品は多くあります。3月13日に原宿VACANTで行うライヴは全部で5つのフェーズに分かれているんですが、それぞれのフェーズで少なくともひとつ以上のモチーフがあります。それを解体していき自分なりに表現していこうとしているんですが、それひとつひとついうのもヤボなのでここでは控えておこうと思います。
 ただ、作品を組み立てていく上で少しずつコンセプトのようなものが見えてきました。ヒントのひとつはエリオット・カーターの弦楽四重奏曲です。正直なところその曲自体はとっつきにくいんですが、作曲の方法がとても興味深いものでした。たとえばある人は巨匠のように、また別のある人はおどおどした感じで弾くなどそれぞれの演奏者にキャラクターを割り当てたり、グループを分けて同時にまったくちがうことを演奏するなどしているところに大きくインスパイアされました。

VVにはさきごろ〈noble〉から新譜を出した服部峻さんやゑでぃまぁこんの元山ツトムさんなども参加されていますが、メンバー編成はどのように決まったのでしょう? また13日のライヴでは〈関西メンバー〉にさらに多数の管と弦が〈東京メンバー〉として加わるようですが、これは(ユニゾンによる)音量の獲得を意図しているのか、それとも(アンサンブルの)複雑さを目的としているのでしょうか?

日野:服部くんにかんしては元々VVとは別に二人で新しいユニットをはじめようとしていました。お互いに忙しくてなかなか進んでいなかったんですが、今後一緒にやるユニットの潤滑剤になればと思い誘いました。このVVが土台となり服部くんとなにか新しいことをする可能性もあります。
 モツさん(元山ツトム)や元ウリチパン郡のカメイナホコさん、チェリストの中川くんなど、参加してもらっているメンバーには本当に感謝しかないです! ゼロからはじめたユニットだったのでかたちにするまでにかなりの労力が強いられるだろうと思い、twitterでメンバーを公募して学生などと実験をしながらつくっていきたいと思っていたんですが、なんと連絡は一人も来ず! 結局身近な人たちにお願いすることになりました。
 初ライヴでは合計8人で当初考えていたハーモニーのアイデアをうまく生かすことができなかったため、東京メンバーを足して表現の幅を増やそうと思いました。あと単純に音量獲得も目的のひとつです。なるべく生楽器はマイキングせず、スピーカーから出る音は電子音だけにして生楽器と電子楽器を完全に分けてしまいたいというのが理想です。しかし実際は楽器の配置を考えたとしても弦はドラムや管に負けてしまうので恐らく弦楽器はラインかマイクで拾ってスピーカーから出さないといけなくなりそうです。理想をかなえるには弦楽器があと2~3倍程度必要かもしれないですね。

譜面はありますが、ほとんどメモ書きのようです。実際に会って説明しなければ、その譜面を見ても理解することは難しかったと思います。

音楽の話が後手にまわってしまいましたが、お送りいただいた練習音源を一聴したところ、VVにはハードコア、ドローンの点描的、という形容はそもそもドローンと矛盾していますが、そのまさに拡大版の趣きだと感じました。厳密に譜面とはいえなくとも、おそらくなにがしかのスコアはあると思いますが、それはどのようなものでしょうか? それにスコアがあるとしたら、それぞれの演奏者はどれくらい裁量を任せられているのでしょう。

日野:聴いてもらったのは初ライヴ前の荒削りな音源なんですね。実はこれでもほとんど演奏者には自由はなくて、決められているものを演奏してもらっているんです。もちろん譜面はありますが、ほとんどメモ書きのようです。東京のメンバーとは先日はじめて練習をしたんですが、実際に会って説明しなければ、その譜面を見ても理解することは難しかったと思います。
 Yoshi Wadaの『The Appointed Cloud』という作品があるんですね。この作品にはグラフィック・スコアのような譜面があるんですが、実際はもっと細かく決められていて特にドラムにかんしては詳細なドラム譜が存在します。
 「ヴァージナル・ヴァリエーションズ」は、フェーズのある部分によってはルールを設けたり、また即興のパートもありますが、このユニットで表現したいのは個人個人の能力を発揮させていくようなものではありません。もちろん作品の範疇で自分らしさを表現するのは大歓迎ですが、海外公演も視野に入れていて現地の人を入れての演奏も考えているので「その人にしか演奏できない」というようなものを譜面に入れるのは避けています。

日野さんはgoatなどで、最近はDJ NOBUさんら、クラブ・ミュージックにも接近しています。YPY名義での活動はもちろんありましたが、『Rhythm & Sound』移行の環境の変化(?)とVVの音楽とはなにか関係がありますか

日野:クラブ界隈と密接につながりはじめたのは最近ですが、goatをはじめる前から好んでクラブ・ミュージックをよく聴いていたのでVVの音楽への影響というのはあまりないと思います。しかしながらドネイト・ドジーやRrose、クラブ以外ではスティーヴン・オマリーやオーレン・アンバーチなどジャンルを軽く超えて表現をしていくひとには深い共感を持っていますし少なからず影響を受けています。『Rhythm & Sound』後の変化といえばEUのブッキングエージェントを獲得したということがいちばん大きいですね。さらに昨年末のFUTURE TERRORで、ある方からすごく光栄なお話もいただき、こういったことの積み重ねがVVをはじめる自信のひとつとなりました。
 VVでやろうとしている音楽というのははっきりいって広い層に対してアピールできるものではないかもしれません。だからといって難しそうなものの表面だけをさらってポップに表現し、あたかもそれらしい説明をつけ加えてアート初心者にもどうぞ……というのは正直毛嫌いしているものが多いです。最終的によかったらなんでもいいんですが。

誰でもできそうな単純なパターンの快楽は避けていて、聴いたひとが簡単に説明できないナゾをつくり出したいと思ってます。

 自分なりにVVの音楽はわかりやすくパッケージングしたつもりですが、全体を通して聴くと少し複雑に聴こえるかもしれません。これだけの人数を揃えてドローンをして快楽に向かうというのは比較的簡単に思いつきます。なので誰でもできそうな単純なパターンの快楽は避けていて、聴いたひとが簡単に説明できないナゾをつくり出したいと思ってます。しかし説明がないと聴いても面白くないというのも避けていて、よくわからないけどとにかくすごい! と思えるものをつくることが目標ですが、実際にそういった音を実験するためには責任と経費が重くのしかかってきます……。3月13日のVACANTの公演はソールド・アウトになっても赤字になる可能性があります。これがもしgoatやYPYなどの活動をしていなかった場合は興味をもってもらうのも大変なことで、もし数年前にVVをやっていたらいまよりもっと厳しい状況だったでしょう。

日野さんには楽器のクレジットがありませんが、VVではコンダクターということなのでしょうか、それとも演奏パートを担当されるのでしょうか。

日野:宣伝を開始した時点で全体があまり見えていなかったので、自分が何を担当するかは決めていませんでした。今回の公演では9割コンダクターに徹し、残りはドラムマシンを操作する予定です。ちなみに初公演の際はギターとピアノも担当していました。理想はコンダクトのみですね。

VVでは服部峻さんは「アレンジャー」とのことですが、おふたりはどのようにして曲をかためていったんですか。

日野:服部くんはアイデアに富んでいて本当に刺激を受けます! 初公演では服部くんは未参加でしたが、最初の公演に向けて作曲しているときに服部くんの新作『MOON』を聴いてとてもインスパイアされました。今回の公演ではアレンジをする時間があまりとれず、服部くんにかぎらずモツさんやカメイさんの意見を取り入れて少しずつアレンジを加えていきましたが、今後服部くんの存在は大きくなっていくだろうと思っています。

お金もかけひとを巻き込んで実験をしていて、以後同じ内容の公演はないのでぜひ公演に足を運んでください。

VVの音源のリリースは予定されていますか(フィジカルでなくても)? 予定があるとすれば、気の早い話で恐縮ですが、いつになりそうですか?

日野:リリースの話をしているレーベルはあります。それも僕にとってそのレーベルはVVを出す上でいちばんの理想といえるレーベルです。本当にリリースできるか現段階ではわかりませんがとても興奮しています! 時期は分かりませんが今年中に録音できればと考えています。録音のアイデアもいくつか浮かんでいるので録音が楽しみです!

3月13日のライヴにかける意気込みをお聞かせください。あと公演告知のヴァージナル・ヴァリエーションズの後に(プロトタイプ)とつけたのはなぜですか。

日野:VVはいずれヴァリエーション群を固めていき、ひとつの大きな作品に落とし込もうと考えています。いまはそのヴァリエーションを増やしたりひとつひとつビルドアップさせている段階なのでプロトタイプとつけましたが、先にもいったように海外公演なども視野に入れメンバーは流動的に考えています。メンバーのスキルや人数によってつくったヴァリエーションも変化していくかと思うので、演奏が固定することはなく永遠にプトロタイプなのかもしれませんがそれはそれで面白いかと思っています。
 僕にとってこのVVは大きなリスクを持ちつつ時間、精神力、体力をすべて注ぎ込んで臨んでいるプロジェクトです。お金もかけひとを巻き込んで実験をしていて、以後同じ内容の公演はないのでぜひ公演に足を運んでください。あとこの場を借りて恐縮ですが、関西もしくは関東在住で実験に付き合っていただける志高い弦楽器、管楽器の方のご連絡をお待ちしています!!

Hino Koshiro plays prototype Virginal Variations
日野浩志郎 ヴァージナル・ヴァリエーションズ(プロトタイプ)

2016年3月13日(日)18時
原宿VACANT
開場17:30 / 開演18:00

出演:
Hino Koshiro plays prototype Virginal Variations
〈関西メンバー〉
日野浩志郎
石原只寛(サックス)
呉山夕子(シンセサイザー)
服部峻(シンセサイザー)
島田孝之(ドラムス)
西河徹志(ドラムス)
中川裕貴(チェロ)
元山ツトム(スチールギター)
カメイナホコ(クラリネット、他)

〈東京メンバー〉
安藤暁彦(サックス)
安藤達哉(サックス)
戸畑春彦(サックス)
出川美樹子(チェロ)
池田陽子(ヴァイオリン)
本田琢也(コントラバス)
448(コントラバス)
Kevin McHugh(アコーディオン)
石原雄治(ティンパニー)
水谷貴次(クラリネット)
松村拓海(フルート)

オープニングアクト:福留麻里
DJ:Shhhhh

料金:予約2,500円 当日3,000円(+1ドリンクオーダー)

予約:info@snac.in
件名「3/13 VV予約」とし、本文に「名前・電話番号・枚数」をご記入の上、ご送信ください。
こちらからの返信を持ってご予約完了となります。定員になり次第受付を締め切らせていただきます。

問い合わせ:SNAC
メール info@snac.in 電話 03-3770-5721(HEADZ内)
電話でのお問い合わせは13:00以降にお願いいたします。不在の場合はご了承ください。

照明:渡辺敬之、佐藤円
PA:馬場友美

主催:吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
助成:公益財団法人セゾン文化財団
協力:HEADZ、VACANT

MOODYMANN - ele-king

 選挙戦略もありなんだろうけど、トランプにしろクリントにしろ「グレートなアメリカ」と叫んでしまうところに思わず引いてはしまうものの、まあ昔はパティ・スミスだってブルース・スプリングスティーンだって星条旗を振りかざしていたし、こんなものかと思って見ているのだけれど、TVのニュースでクリントンが黒人票(ないしはヒスパニック票)をつかんでいると言われると、いや、もうそういう〝黒人〟という括りですべてを表現できる時代ではないだろうと反発したくなる人は少なくないでしょう。とくにデトロイト・テクノを聴いている人たちは。
 ビル・クリントンが大統領時代に初めてデトロイトに行ったんだよなー。いま思えば懐かしい、海外の新聞でも日本の経済破綻が大々的に報じられていた頃で、「デトロイトの黒人は日本車が好きなんだぜ」という社交辞令を言ったのがマイク・バンクスだった。当時ビル・クリントがアメリカ国内の経済政策の一環として日本製品の輸入規制をしていたからで、なるほど世の中には国境を越えたそういう挨拶の仕方もあるのかと感心したものだった。
 この手の話は得意ではないのでもう止めておくが、その頃(1998年)だって、大雑把に見ても、もはや〝黒人〟という言葉ですべてをまとめて表現できる時代ではなかった。

 アメリカ──この惑星上のグレートな泥棒、かつてはそんなタイトルの作品を出しているケニー・ディクソン・ジュニア=ムーディーマンがこれほど長いあいだファンを夢中にさせ、いまもなお増やしているのは、彼のなかには鋭く対立するものが内在しているからだと思う。彼の音楽はよく「黒い」という言葉で表現されるが、じつは「黒」という単色ではないことは、今回の初の公式ミックスCDでも明らかにされている。
 彼のDJを聴いたことがある人は、その選曲の幅の広さにまず驚く。まさかマッシヴ・アタックをかけるとは、まさかローリング・ストーンズをかけるとは……下手したら「黒い」という言葉の乱用によって漂うある種の閉塞性とは逆なのだ。いや、そうじゃないな。黒さ(カラード)とはじつはハイブリッドを意味するからだ。いろいろな色を混ぜたときの黒。
 選曲についていちいちコメントすることは控えるが、このトラックリストが発表されたとき、ぼくは唸った。さすが、素晴らしい、こんなところまで聴いているのか……ヨーロッパの音もけっこうある。セクシーなソウルもあれば、ハイブリッド・ミュージックの最前線にいるUKベース音楽もある。ミックスさえしない箇所もある。音楽をよく知っていて選曲家として優れていることは、DJとしてとても重要な要素だ。しかしなによりも増して感動的なのは、このミックスCDから感じる風通しの良さだ。音楽をかけることが創造的行為であることを彼もまた証明している。

 あらためて選曲リスト。

01. Yaw - Where Will You Be
02. Cody ChesnuTT - Serve This Royalty
03. Dopehead - Guttah Guttah
04. Jitwam - Keepyourbusinesstoyourself
05. Talc - Robot's Return (Modern Sleepover Part 2)
06. Beady Belle - When My Anger Starts To Cry
07. Shawn Lee feat. Nino Moschella - Kiss The Sky
08. Jai Paul - BTSTU
09. Flying Lotus feat. Andreya Triana - Tea Leaf Dancers
10. Nightmares On Wax - Les Nuits
11. Rich Medina feat. Sy Smith - Can’t Hold Back (Platinum Pied Pipers Remix)
12. Julien Dyne feat. Mara TK - Stained Glass Fresh Frozen
13. Little Dragon - Come Home
14. Andrés feat. Lady - El Ritmo De Mi Gente
15. Fort Knox Five feat. Mustafa Akbar - Uptown Tricks (Rodney Hunter Remix)
16. Daniel Bortz - Cuz You're The One
17. José González - Remain
18. Big Muff - My Funny Valentine
19. Les Sins - Grind
20. Tirogo - Disco Maniac
21. SLF & Merkin - Tag Team Triangle
22. Joeski feat. Jesánte - How Do I Go On
23. Kings Of Tomorrow feat. April - Fall For You (Sandy Rivera's Classic Mix)
24. Soulful Session, Lynn Lockamy - Hostile Takeover
25. Anne Clark - Our Darkness
26. Peter Digital Orchestra - Jeux De Langues
27. Noir & Haze - Around (Solomun Vox)
28. Marcellus Pittman - 1044 Coplin (Give You Whatcha Lookin 4)
29. Lady Alma - It's House Music
30. Daniela La Luz - Did You Ever

RAINBOW DISCO CLUB 2016 - ele-king

 基本中の基本だけど、言っておきますね。ダンス・カルチャーが野外フェスティヴァルを蘇らせたんだよ。レイヴ・カルチャーがなければ1993年のグランストンベリー・フェスティヴァルはなかったんだよ。そして、ただたんにダンサブルな音楽やエレクトロニックな音楽を並べることが、その本質ではない。ひと晩の、あるいは1日の、そのとき限りの物語が必要だ。個人的な物語(そんなものは山に登っても、ショッピングに出かけても得られる)ではなく、その場にいる人たちで共有できる物語が。
 条件:それなりの考え、音楽性をもった出演者。ロケーション。愛を持った主催者。その場を理解しているオーディエンス。
 野外音楽フェスティヴァルの良さは、スリルとチルアウトという、本来なら対立するふたつが共存することだろう。音と静寂、夢と現実、宇宙と世俗、スピリチュアルとギャグ──こうしたものが融合するところ、つまり、『ネヴァー・マインド・ボロックス』と『サージェント・ペパース~』が融合する場所とでも言えばいいのか。
 来たるGW。2016年4月29日(金・祝)~5月1日(日)までの3日間、静岡県 東伊豆クロスカントリーコースにて開催される「RAINBOW DISCO CLUB 2016」はすべての条件を兼ね備えている。
 今回はアンドリュー・ウェザオールとジャイルス・ピーターソンという、最高に信用できるDJ/選曲家が出演する。
 ウェザオールはテクノとダブの名人で知られるが、トリップホップからサウンドトラックまでと、ロケーションや状況に応じて幅広い選曲ができる。かたやジャイルスはジャズ、ラテン、ソウル、ワールド、最新のUKのベース音楽のエキスパートとして知られている。ウェザオールもジャイルスも、ともに80年代末から活動を続けているロンドンのDJで、いまでもオーディエンスから尊敬されている。このふたりのリジェンドが共演するとういのも大きいが、瀧見賢司や井上薫など日本人DJのメンツを見ても、きっとこの3日間でなにか新しい物語が生まれるんじゃないかという期待が高まる。新人ばかり並べてもJ2に落ちるんだ。こういうときこそ頼りになるのがベテランですよ。
 この時期の伊豆も最高だし、海、山、空、そして最高の音楽と食物(これもかなり重要な要素)、「RAINBOW DISCO CLUB 2016」にはすべてがある。

Omar from Berlin - ele-king

2016.3.1

Fatoumata Diawara & Roberto Fonseca - ele-king

 日本での扱われ方はどこまでいっても「高級泡沫候補」風味のドナルド・トランプが、気がつけばキューバ系の候補やその他いろいろなものを蹴散らしながら爆進している様子はそれでも日本に伝わっていて、まあそれはアメリカのことなので自分はキューバの事を考えてみよう、私が知っているキューバの何かと言えば映画『ゾンビ革命』と、『The Last Match』というゲイ映画くらいなもんでキューバ音楽はなあ、と焦ってああそうだロベルト・フォンセカがいた、彼のことを知ったのは2013年にアルバム『Yo』が出た辺りで、何故だかスノッブなLGBT情報サイトから流れてきた半裸のジャケットに引っかかったわけですが、「……ピアノ弾くのにそんなに筋肉が要るか?」と思いつつ過去の作品を漁ってみたところこれが存外に良くて、「キューバ音楽」と言えばこの人しかいない(浅すぎますね)。

 この人の出す音が「ジャズ」と大雑把に括られるなかでも何か、異様にはみ出している感じを憶えたのはヴォーカルの扱い方で、例えば2009年のアルバム『Akokan』に収められた“Siete Potencias (Bu Kantu)”での、ただひたすら歌声とユニゾンすることしか考えていないようなピアノを聴くにつけ、この人は気を抜くと溢れ出してしまいそうになる「自分の歌」を(鍵盤楽器という、どこまでもロジカルな楽器を武器にすることにより)辛うじて堰き止めているのかも知れない、と思うようになった。以来、彼の音楽はほぼ肉声と同じものとして自分に届いている。

 昨年、不意打ちのようにドロップされたアルバム『AT HOME』はマリの(生まれはコートジボワール)の歌手ファトゥマタ・ディアワラとのライブ音源だった。彼女がヴォーカルで参加した『Yo 』に収録のキラー・チューン、“Bibisa”を演っていないのはちょっと残念な気がするのだけれど、どっちがどっちの持ち歌だか判らなくなるくらい渾然となった音に付いて行くだけでこの50分は過ぎていく。なかでもフォンセカのピアノ伴奏のみで演奏されるふたりの共作曲 ”Real Family” は長い、ひと続きの溜息のように美しい。そしてラストの “Neboufo” では演奏者と会場が共にふつふつと沸き立ってくるかのような、静かな昂揚感が伝わってくる。

 もし「移民の脅威」発言ばかりがクローズアップされるトランプが大統領になってしまったら、対キューバ政策はどうなるんだろ(どうもならないような気もしますが)というのを日本人がいくら考えても仕様のないことなので、つい先日(日本はスルーして)香港で公演をしたらしいこの2人がこの先どんな音を創るのか、ということと、ロベルト・フォンセカの公式ページでさり気なくアナウンスされていた「2016年後半に新しいアルバムを予定」という情報に、自分は一縷の希望を託している。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727