「K A R Y Y N」と一致するもの

interview with The XX - ele-king

 長身のオリヴァーは紳士的に軽く会釈して、ロミーはまるで蝋人形のように無表情で、そしてジェイミーときたら......。無理もない。昨年、20歳そこそこの新人でありながら最高の賛辞を集めたUKのバンドの初来日だ。次から次へと取材をこなし、疲れているのだろう。正直、こっちも申し訳ない気持ちになってくる。

ニューヨークにくらべてロンドンが憂鬱な街だとは思わないけど、聴いてきた音楽の影響は間違いなくあるわね。私は憂鬱な人間じゃないけど、好きな音楽は悲しい音楽だったわ。

■お疲れのところ時間を作ってもらってありがとうございます。

一同:......。

■そういえば、「アイランズ」のリミックス・シングルが出てますよね。とても興味深いリミキサーを4人起用してますが、とくにロンドンのダブステッパー、アントールド、ロサンジェルスのトラックメイカー、ノサジ・シングのふたりの起用が良いですね。とくにアントールドは良かった。

オリヴァー:リミキサーって、いままでは旬のアーティストのなかからみんなで選んでいるんだけど、アントールドに関しては実はアントワープで彼のDJを聴いて、すごく面白いと思ったんだよね。

■バンドの好みで言うと、誰がいちばん良かったですか?

ロミー:ノサジ・シングよね。

オリヴァー:彼とはアメリカで1ヶ月ぐらい一緒にツアーをまわったんだよ。それですっかり仲良くなったんだ。それもあってお願いしたら、素晴らしいリミックスを上げてきてくれた。

■ジェイミーは?

ジェイミー:(小さな声で)僕はみんなと同じ意見。


The XX / The XX
Young Turks /Hostess

Album Review Amazon

 ザ・XXのデビュー・アルバム『XX』(これをチョメチョメって読んだ人はすごい)は、いま僕の言葉で簡潔に表すなら「ダブステップ以降のポップ・ミュージック」である。「ブリアル以降」、と言い換えても良い。セカンド・サマー・オブ・ラヴ以降の『スクリーマデリカ』のように......、が、しかし『XX』は『スクリーマデリカ』と違って、まばゆい陽光よりも真っ黒な闇の光沢を選んでいる。

■みんな黒が好きですね。今日のみなさんの服装も黒だし(ジェイミーのキャップも黒だった)、作品のアートワークも黒です。黒、夜......あなたがたのこういった感覚は3人に共通するものなんでしょうか?

オリヴァー:これだけ長く一緒にいると(彼らは幼なじみでもある)、着ている服も似てくるんだよ(笑)。意識していたわけじゃないけどね。アートワークの黒は、タイムレスな感覚、普遍性のようなものを表しているんだ。特定の何かを表現するものにしたくなかったし、黒はいつの時代でもクールでしょ。

■ザ・XXの音楽が夜の音楽だから黒ってわけじゃないんだ?

オリヴァー:アルバムのアートワークに入っている写真もぜんぶ自分たちの作品なんだけど、それら写真にしても黒いカヴァーにしても、すべては自分たちの音楽を聴いて出てきたものなんだよね。だから、すべては音楽に密接している。

ロミー:そう、写真は意外と明るい色も使っているわよね。だけど、夜の影響は間違いなくあるわ。実際に曲作りをしているのも夜だし、夜の要素は入ってきて、それが黒にも繋がっていると思うわ。

■みなさんがアルバムのなかで好きな曲は何ですか? 僕は"シェルター"がいちばん好きなんですが。

オリヴァー:聴いて好きなのは"スターズ"だね。これは16歳のときに書いた曲なんだけど、いまでも恥ずかしくない。いまでもこのときの気持ちがある。ライヴで演奏する曲で好きなのは、"シェルター"だね。

ロミー:私は"シェルター"が好きよ。もともと自分が作ったデモがあって、ずっと忘れられて、そのなかに埋もれていた曲なの。それを見つけてオリヴァーと何としようとカタチにした。個人的にも思い入れがある曲なの。ライヴでやるのが好きなのは、"ナイト・タイム"。あの動きがある感じがライヴでは良いのよ。

ジェイミー:曲の構成では"ナイト・タイム"かな。プロダクションという意味では、"ハート・スキップド・ア・ビート"だね。ライヴで好きなのは......、"シェルター"だね。

■ブリアル、マッシヴ・アタック、ポーティスヘッド......。

オリヴァー:いまキミは僕らが本当に好きなバンドを3つ挙げたよ(笑)。

■ハハハハ。こうしたメランコリアへの共感について話してもらえますか?

オリヴァー:ブリアルは素晴らしい。彼の音楽を聴き込んでいると、なんて美しい世界なんだろうと驚くんだ。さりげない美しさというかね。マッシヴ・アタックとポーティスヘッドに関しては、デビューしてから一貫して質の高い音楽を作っている。大好きだ。

■ちなみにマッシヴ・アタックではどのアルバムが好きですか?

オリヴァー:僕らはiTuen世代だから曲単位でしか聴いてないだけど......、曲で言えば"プロテクション"だね。

ロミー:"エンジェル"も最高だわ。

オリヴァー:"ガール・アイ・ラヴ・ユー"もね。あの歌を歌っている男性の歌手が、ホントにあり得ない美しというか......、女性的な声で......あれ誰が歌っていたんだっけ?

■ホレス・アンディですよ。素晴らしいですよね。で、ジェイミー?

ジェイミー:......んー......"プロテクション"かな。

■ああいうメランコリーはUK特有のものだと思うんですけど。

オリヴァー:気候のせいだよ(笑)。

■ハハハハ。

オリヴァー:そこしか知らないからね。他の国に住んだことないし。

ロミー:ニューヨークにくらべてロンドンが憂鬱な街だとは思わないけど、聴いてきた音楽の影響は間違いなくあるわね。私は憂鬱な人間じゃないけど、好きな音楽は悲しい音楽だったわ。

■悲しい音楽を楽しむというのは、どういうものなんでしょうね?

オリヴァー:強いエモーションを聴くということだと思う。悲しみというのは烈しく感情を揺さぶるでしょ。

ロミー:音楽的なところにもその悲しみがあるわけよね。たとえばダンス・ミュージックで、アップリフティングな曲調でも歌詞は悲しいうのが私たちは好きなんだと思う。その対極的なものがひとつの曲のなかにあるというか。

■ダブステップはよく聴く?

オリヴァーロミー:ジェイミー!

ジェイミー:最近はダブステップはもうあまり聴かないんだよね。ダブステップから発展した曲をよく聴くんだよ。UKファンキーや、あるいは僕らのリミックスをやってくれている人たちとか。

■みなさんクラブに遊びに行くような感じじゃないでしょ?

ロミー:彼(ジェイミー)がクラブ担当なので(笑)。

ジェイミー:イギリスに戻ったらなるべくクラブに行くんだ。そして、UKの最新の音楽を聴くことにしているよ。

■歌詞について聴きたいんですけど、言葉の面で影響受けた人はいますか?

ロミー:言葉は......多くの場合、他の音楽の歌詞からの影響が大きいわ。詩を読むのも本を読むのも好きだけど、文学からの影響と言うよりは歌詞からの影響ね。たとえばスティーヴィー・ニックスの作る歌詞であるとか、いろいろよね。

オリヴァー:僕は......ローリン・ヒルの"エックス・ファクター"の歌詞が大好きなんだ。

■音楽がなしうる最高のことって何だと思いますか?

オリヴァー:エスケーピズムはそのひとつだろうね。

ロミー:ムードを変えることだと思うわ。気持ちを変えるのよ。そして音楽を聴いていると現実を忘れることができるわ。しかも音楽を聴いていると、自分の人生を反芻するのよ。音楽のそんなところが好きだわ。

 翌日、ジェイミーはDOMMUNEでDJをやった。これがホントに格好良い選曲で、ガラージやファンキーを交えながら、ピンチの"ゲット・アップ"やフォー・テットの"シング"など、たしかにダブステップから発展した音を彼はスピンした。彼のDJが終わったときに、ブースまで言って「ナイスDJ!」と握手を求めるとジェイミーは初めて笑顔を見せた......のである。

 

Shop Chart


1

MOODY

MOODY All Over M.P.T. / FRA »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANNネタ使いでおなじみの「MOODY」!今回は3 CHAIRSの"ALL OVER"使い!元曲のエロいシンセのフレーズはそのままに、低音++、今風のパーカッションを加えたクラブ仕様のA面。よりパーカッションを押し出し、違った味付けにしたB面。これは今すぐに使えるブツ!(I)

2

DVS1

DVS1 Love Under Pressure EP TRANSMAT / US »COMMENT GET MUSIC
DERRICK MAY主宰「TRANSMAT」復活第二弾!BEN KLOCKの「KLOCKWORKS」レーベルからデビューしたDVS1による作品。先日のDERRICKのMIX CDにも収録された、アンニュイなシンセが印象的な"PRESSURE"。KLOCKWORKS系の、DEEPでDARKな"POLYPHONIC LOVE"を収録!(I)

3

MORPHOSIS

MORPHOSIS Running Out/Musafir MOS / NED »COMMENT GET MUSIC
Rushhour傘下の「MORPHINE」レーベルから初期THEO PARRISHのようなDOPEなHOUSEをリリースしてきたMORPHOSISによる新作12"!コレ、かなりヤバいす!ACIDすぎるベースラインと、初期CHICAGOの荒くれトラックがMIXされたA面。キツめのハイハット+フリーキーなSAX絡みのB面。激PUSH!(I)

4

BASIC SOUL UNIT

BASIC SOUL UNIT Tuff Luv EP CREME ORGANIZATION / NED »COMMENT GET MUSIC
オールドスクール・ライクなACID HOUSE!PHILPOT、MATHEMATICS、MULEなどの個性派HOUSEレーベルから数々の作品を発表してきたBASIC SOUL UNITによる新作!これまた、オランダのCREME ORG.からで、外さないお人です。音使いのLOW-FIなリズムとシンプルなベースライン、303。マニアの鳴らす、マニアの為の音。カッコいいです!(I)

5

GB

GB Xpander EP DIMENSION X / US »COMMENT GET MUSIC
BUILD AN ARKの作品に参加したり、FLYING LOTUS、LITTLE DRAGON、BEECH BOYZの音源をリワークしたりと、何かと面白いGBによる新作!B面!浮遊感のあるキーボード、ストリングス。二拍四拍のクラップと相まって、いーい感じのアフターアワーズ・ハウスになっています。A面のCYBTRON直系のELECTRO BEATに美しいシンセワークをプラスしたトラックもGOOD!過去音源もチェック!(I)

6

IAN SIMMONDS

IAN SIMMONDS Burgenland Reworked EP MUSIK KRAUSE / GER »COMMENT GET MUSIC
昨年リリースされたアルバムからのREMIX 12"。「WORKSHOP」レーベルからリリースもするEVEN TUELLによる高品質なアングラハウスを、CIRCUS COMPANYからアルバムをリリースしたDAVE AJUによる、変態男性VOCAL HOUSEを、KRAUSE DUOによるダビーなREMIXを収録。自身の未発表音源も収録し、質の高い12"になっています。(I)

7

SCHERMATE

SCHERMATE Schermate 005 SCHERMATE / ITA »COMMENT GET MUSIC
イタリア発、アンダーグラウンド・ミニマル・シリーズ「SCHERMATE」5番!RICHIE HAWTIN、MODERN HEADSがサポート!これまでのリリースで最もDOPEな音を鳴らしてます。湿ったビートに渋いサンプリングがこっそり乗るA面と、DEEPなキックとイキそでイカないSEを散りばめたB面。ストロボが瞬く「あの時間帯」にぴったりなDEEP MINIMAL!(I)

8

NICK CURLY & MARKUS FIX

NICK CURLY & MARKUS FIX / 2 Years Cecille Records 2 Years Cecille Records CECILLE / JPN »COMMENT GET MUSIC
SIS、ANDOMAT 3000、ILARIO ALICANTEなどを擁し、モダン・ミニマルハウス・ムーブメントを牽引するマンハイムのCECILLEから、NICK CURLYとMURKUS FIXによるMIX CDが登場! レーベル設立2周年(まだそれぐらいなんですね!)を記念したリリースで、現在のフロアを彩るパーカッシブでディープ、そして弾けるようにグルーヴィーなミニマルハウスが凝縮!(S)

9

FRANK BRETSCHNEIDER

FRANK BRETSCHNEIDER Exp RASTER-NOTON / GER »COMMENT GET MUSIC
哲人・FRANK BRETSCHNEIDER、3年ぶりのNEWアルバムがRASTER-NOTONから! 全体が30秒~3分以内のショート・トラックの連続でシームレスに構成され、聴覚を刺激するパルス音、サインウェーブの波状攻撃に意識が覚醒させられる一大傑作! AUDIO CDとQUICK TIME MOVIE収録DATA CDの2枚組仕様!(S)

10

KABUTO & RYOSUKE

KABUTO & RYOSUKE Paste Of Time JPN / PASTEOFTIME »COMMENT GET MUSIC
自身のパーティ[LAIR]を中心に活動中のKABUTOと、[SO GUT!]で活動中のRYOSUKEによる2イン1のスプリット。パーティの臨場感とその時間帯にしかない空気感を詰込むべく、「午前2時」という最もハマる時間帯をテーマにしたKABUTO、そして「午前7時」のタフな時間帯の断片を切り取ったRYOSUKEのミックス!(Y)

CHART by DISC SHOP ZERO 2010.05.19 - ele-king

Shop Chart


1

DUBKASM

DUBKASM TRANSFORM I REMIXED SUFFERAH'S CHOICE / UK / 2010.4.27 »COMMENT GET MUSIC
ブリストル~ブラジルの混血ルーツ・レゲエ・チームが昨年発表した傑作アルバムのダブステップ・リミックス集、しかも全員ブリストル勢という見事な企画! 何も言うことはない素晴らしい内容!

2

POIRIER

POIRIER RUNNING HIGH NINJA TUNE / UK / 2010.4.9 »COMMENT GET MUSIC
話題のアルバム12曲入に15曲のリミックス+αを追加した2枚組が登場! ハイパー・ソカに、クンビアやレゲエ、ファンキーも混入。

3

MOUNT KIMBIE

MOUNT KIMBIE REMIXES PT.1 HOTFLUSH / UK / 2010.4.25 »COMMENT GET MUSIC
徐々に人気を集めている2人組の楽曲を、これまた人気のJAMES BLAKE、FALTY DL、INSTRA:MENTALが素晴らしく個性的なリミックスをした素晴らしい1枚。

4

MJ COLE

MJ COLE THE RIDDIM EP PROLIFIC / UK / 2010.4.27 »COMMENT GET MUSIC
締まりのいいファンキー・ビートの1。飛び交うヒプノな音と音圧のあるベースのバランスがイイ2など、ファンキーだけでなくヒプノ系ダブステップやクリック・ハウスが好きな方にもオススメの強力作!

5

LIMONIOUS

LIMONIOUS HOUSE OF USHER FLOGSTA DANSHALL / SWE / 2010.4.28 »COMMENT GET MUSIC
ヒップホップそしてレゲエのバックビートなノリを感じさせつつも徹底的に漂白された、スロウでシンプルなエレクトロ・ビートの上で、まさにスクウィー(シンセの擬音)な音色が飛び交う全8曲。

6

WEDGE & AESOTERIC

WEDGE & AESOTERIC DETACHED REALITY / A NIGHT ON THE WONK IF SYMPTOMS PERSIST / UK / 2010.4.25 »COMMENT GET MUSIC
初期PORTISHEAD的なギターとアンビエント的な空間の下で速めの4/4ビートが打つトラックに、時折入る女性ヴォイスが映像的。独特のシンセ・ワークを発揮したGEMMYによるリミックスも素晴らしい!

7

LAGARTIJEANDIO

LAGARTIJEANDIO NEO BAILONGO ZZK RECORDS / ARG / 2010.4.17 »COMMENT GET MUSIC
クンビアを飛び越え、トライバルさとエレクトロ、そしてベース!が全く新しいセンスで結び付けられた、レーベルの新機軸/気合いも感じる大注目EP!

8

Shhhhh

Shhhhh STRICTLY ROCKERS Re: #32 - RITMO DEL BAILE FUTUROS - EL QUANGO / JP / 2010.4.17 »COMMENT GET MUSIC
未来のリズム」という副題の通り、いわゆるオヤジなワールド・ミュージックの退屈さとは真逆の刺激的なサウンドが満載のDJ MIX。

9

PURSUIT GROOVES

PURSUIT GROOVES FOX TROT MANNERISMS TECTONIC / UK / 2010.4.27 »COMMENT GET MUSIC
ブルックリンの女性プロデューサー/シンガー。ヒップホップとハウス、そしてテクノな感触も混ざり合った、ザラザラとセクシーなビートに、ソウルを感じるヴォーカルがまた素晴らしいグルーヴを生んでいる。

10

OVERPROOF SOUNDSYSTEM

OVERPROOF SOUNDSYSTEM JUMP UP E.P. ELEPHANT HOUSE / UK / 2010.4.27 »COMMENT GET MUSIC
ステッパーが変形してアフロなノリ(UKファンキーにも通じる?!)にも聴かせる跳ねたグルーヴに、盛り上げ必至なかけ声とディージェイの1。より4/4感を増したヘヴィなビートの2も◎。

1. Moody aka Moodymann / Ol' Dirty Vinyl | KDJ

E王 1990年代後半にムーディーマンやセオ・パリッシュらによって押し広げられたテンポ・ダウンされたハウス・ビート。そのキックとキックの「間」には漆黒のサイケデリックが埋め込まれているかのようで、我々を排水溝に吸い込まれていく水のようにゆっくりと別の場所へと連れて行く。ザラついたサンプル同士が交錯し、幻聴のような効果を生む彼らのトラックは実験的でもあるのだけど、それ以上に官能的で、セオの霞がかかったような半覚醒状態のトロけ具合は本当に素晴らしいと思うし、ムーディーマンに至ってはエロとサイケは同義語みたいなものだろう。

 そういえば今年の3月にロンドンでおこなわれた〈Red Bull Music Academy〉のトークショーに登場したムーディーマンことケニー・ディクソン・ジュニアは、まわりにはべらせたセクシーな黒人女性たちにヘアー・セットをさせたり、酒を作らせつつ「マザ・ファッキン!」を連発しながら喋りまくり、勝新的俺流な時空のネジれを発生させていた。しかし、何だったのだろうアレは......。

 そしてムーディーマン(Moody名義)の新作「Ol'dirty Vinyl」は、その濃度にむせるようなジャケット・ワークに包まれて届けられた。内容はいつも以上にヴァラエティに富んでいて、タイトル曲の"Ol'dirty Vinyl"などは珍しく爽やかな雰囲気もありつつ「気分がいいと思ったらいつの間にかあの世だった」というような感じだし、"We Don't Care"はKDJ自身のVoがのるジャズ・ナンバーで、"No Feed Back"は歪みまくったギターがのたうつKDJ流ブラック・ロック。そして、彼らしいセクシーなハウス"It's 2 Late 4 U And Me"の後には、混沌とした電子音楽" Hacker"が待っているという具合だ。

 ある意味、寄せ集め的な作品集なのだけど、最近それなりに洗練されていく傾向をみせていたことに若干不満を感じていた僕のような人間からしたら、この自由度の高い錯綜ぶりは大歓迎だ。さぁ我々をエロとサイケの奈落の一番深いところまで連れて行ってくれよ、KDJ。

2. Missing Linkx / Got A Minute | Philpot

 オールドスクールなシカゴのエッセンスやアレやらコレやらをデトロイトのフィルターを通して再定義した俗に言うビートダウンの種子は様々な場所へと伝搬し、そのBPMと同様にゆっくりと、しかし確実にそれぞれの場所で独自の発展を遂げている。ドイツのソウルフィクション(Soulphiction)、モーター・シティ・ドラム・アンサンブル(Motor City Drum Ensemble)、ニューワールドアクアリウム(newworldaquarium)、イギリスのトラスミー(Trus'me)やロシアのヴァクラ(Vakula)(UKの〈Firecracker〉からリリースされるシングルが素晴らしい)などなど、エトセトラエトセトラ。ようするに国境を越え、それぞれがあちらこちらの地下で重心低めのディープなリズムを響かせているというわけだ。

 そしてその影響力は巡り巡って、昨年ひっそりとリリースされた日本のモンゴイカ a.k.a. T.Contsuの12インチにまで及んでいたりもする。モンゴイカ(戸田真樹)とは、ヒップホップ・ユニットの降神をはじめとした〈Temple ATS〉のアートワークを手掛ける画家でありトラックメーカー。その彼が、自身の〈Close Eye Recordings〉から出した「KIMI EP」のローファイでスモーキーな4つ打ちには、やはり何処か日本的な叙情と孤独が忍び込んでいて、その事実がとても面白く思う。

 このようにデトロイト・ビートダウンが拡散し、かつ各エリアで様々なヴァリエーションを見せるなかで、ドイツのSoulphiction及び彼の主宰するレーベル〈フィルポット〉は、もはやフォロワーという域を越えた存在になりつつある。ソウルフィクション(Michel Baumann)のアナザー・プロジェクトであるというミッシング・リンクスの前作「Who to Call」に収録さていれた"a Short History of..."は、強烈なバネをもった美しい野獣のようなファンクだったし、この新作の「Got A Minute」も削ぎ落とされた筋肉のようなビートが脈打っている。

 ドイツから放たれたこれらの音は、本家とはまた異なる種類の緊張感を漂わせ、非常にシンプルでタイトだ。黒人音楽をサンプリングしてそれっぽく仕上げただけのフォロワーも多いけれど、リスペクトとコピーは別ものだし、ときにはリスペクトなんて言葉は忘れるべき。

3. G.I.O.N. / Echoes of Our Minds Pt.1 | Human Race Nation

 ちょっと手前味噌なのだけど、僕がリミキサーとして参加した作品を紹介させていただきたい。HUMAN RACE NATION(以下HRN)から出たG.I.O.N.の「Echoes of Our Minds Pt.1」がそれだ。言うまでもなく、デトロイトから影響を受けつつ、そこから受け取ったものを独自に展開し活動している者は日本にも存在する。音楽ユニットG.I.O.N.として硬派なミニマリズムを追求するフジサワ・アツシとコシ・シュウヘイによるHRNもそのひとつ。

 HRNは長野で活動しながらもドイツ経由でワールドワイドにヴァイナルをリリースするという、ローカリズムとグローバリズムを兼ね備えた日本では非常に希有なレーベルである。 今まで彼らは地元長野でデトロイトやドイツを中心としたアーティストを迎えたパーティーを行い、地道にコネクションを築いてきた。それは2007年のシングルでのフランク・ムラー、本作における元UR、ロス・ヘルマノスのメンバーのDJ S2ことサンティアゴ・サラザール、そして次のリリースでのDJ3000とレニー・フォスターのリミキサー起用にも繋がっている。一方そこにトラックス・ボーイズや岩城健太郎、d.v.dとしても活動するJimanicaや僕などの国内リミキサーも混ぜることにより、既出の4枚のヴァイナルはちょっとした異文化交流の機能も果たしてもいる。

 「Echoes of Our Minds Pt.1」は昨年末にヨーロッパでリリースされ、G.I.O.N.のオリジナル、DJ S2 REMIX、僕の手掛けたREMIXそれぞれが、ベルリンのBerghainのレジデントDJであるMarcel Dettmannや、フランスの Syncrophone(Theo ParrishとかAnthony Shakirのリミックス盤を出している)のオーナーDidier Allyneらのチャートに入るなど高い評価をもらった。しかし、ヨーロッパで品薄となり、日本には極少数しか入荷されない状態で残念だったのだが、近々ディストリビューターを変えて再リリースされるとのこと(そんな理由もあり、出てから少し時間が経っている本作を敢えて紹介させてもらった)。そして間もなく「Echoes of Our Minds Pt.2」の方も出るようだ。

 彼らとは今後も諸々関わっていく予定で、実際に現在進行中のプロジェクトもある。そういえば僕と彼らの最初の接点はというと、確かmixiのデリック・メイのコミュに僕がパーティの告知を書き込んだのを、HRNのフジサワくんが見てコンタクトをとって来たのがそもそもの始まりであった。ここはmixiとデリックに感謝するべきなのだろう。

4. Don Williams / Detroit Blue Ep | A.R.T.Less

 〈A.R.T.〉〈B12〉に〈ラッシュ・アワー〉、〈プラネットE〉と、このところAS ONEことカーク・ディジョージオがリリース・ラッシュである。同じく90年初頭のデトロイト・リヴァイバル~インテリジェント・テクノを代表するアーティスト、B12が同名のレーベルを一足先にリスタートさせたのに続き、カークもかつて自身が運営していたA.R.T.を復活させたりと、何だかこの辺り盛り上がっている模様。一時期〈モワックス〉などでリリースしていた生ドラム再構築モノは封印し、完全にテクノ/ハウスへ舵を切っているものの、音自体は〈A.R.T.〉の頃の音というよりも、疾走するリズム+エレガントな上モノのコンビネーションの、昨今割りとよくあるデトロイト・フレイヴァーのテック・ハウスという感じのものが主だったりする。

 そんななか、ドイツの良質なディープ・ハウスレーベル〈Mojuba〉のサブ・レーベルである〈a.r.t.less〉は、その〈A.R.T.〉とカール・クレイグの名曲"At Les"を掛け合わせたような名前からもわるように、恥ずかしいほどの初期デトロイトへの愛が丸出し状態だ。更にオーナーであるドン・ウィリアムス自身の「Detroit Black EP」からはじまる黒、赤、青のデトロイト三部作は、モロに初期〈トランスマット〉。とくに青盤は初期のカール・クレイグ、ひいてはインテリジェント・テクノであり、もうところ構わず「好きだ~!」と叫んでいるような1枚。

 思えば当時のデトロイト・リヴァイバル~インテリジェント・テクノというのは、結局のところ初期のカール・クレイグのサウンドのコピーだった。例えばデリック・メイのラテンにも通じるようなバウンドするリズム感ではなく、それは 69名義で豪快な実験を繰り広げる以前のカール・クレイグ、ようするにPsyche名義での"Elements"や""Neurotic Behavior"などの音を指す。孤独で繊細で壊れやすく、思わず「詩的」なんていう恥ずかしい言葉がまるで恥ずかしいと思わなくなる程に、それは魅惑的な青白い輝きを放っていた。そう、色で言うとデリック・メイは赤で、カール・クレイグは青だ。

 それにしても、このドン・ウィリアムスの「Detroit Blue Ep」は、何だかこちらが赤面するくらいの青臭さに満ちていて、これをどう評価するべきなのか正直僕にはわらない。しかし、カール・クレイグがPsycheで描いた音世界は、当の本人でさえもう作れない類いのものだと思うし、結局その後放置されたままになっているのもたしか。その先の音が知りたい。

5. DJ Nature / Necessary Ruffness EP | Jazzy Sport

  DJ ネイチャーことマイルス・ジョンソン。またの名をDJ MILO。ネリー・フーパー、ダディー・G、3D、マッシュルームが在籍していたブリストルのDJチーム、ワイルド・バンチの中心人物である。82年から86年まで活動したこの伝説的DJチームは、その後のUKサウンドの核、つまりパンク~ニューウェヴの残響とレゲエのサウンドシステムとヒップホップの接点を体現した存在であり、解散後、ネリー・フーパーはSOUL II SOULを、そしてダディー・G、3D、マッシュルームはマッシヴ・アタックとして活動することとなる。一方のMILOはUKの喧噪と離れ、ニューヨークのハーレムで黙々と音を紡ぐこととなるのだが、それはなかなか世に出ることはなかった。しかし、元ワイルド・バンチという伝説に彼を閉じ込めるべきではないし、実際に彼の音楽はブリストルで得たものを更なる深みに向けて解き放ったものである。

 そして今年、彼の12インチが日本の〈ジャジースポート〉から届けられた。この「Necessary Ruffness」と題されたヴァイナルに収録されたトラックは、いずれもディープ・ハウスよりもさらにディープでロウなハウスであり、そのくぐもった音質が独特の空間を生み出していて、それは意識しているのか無意識なのか、デトロイトのビートダウンやベルリンのシーンなどとも共振する類いのものになっている。そして、その音楽性は日本の〈DIMID〉から2003年にリリースされたMILOの初のアルバム『Suntoucher』(表記はDJ MIL'O)ですでに示されていた。

 ここで個人的な話しを少々。2004年に出た僕のS as in Soul.名義のアルバムは、元々は〈DIMID〉から2003年に出る予定だったのだが、途中でA&Rが独立することとなり、それに伴い1年後に〈Libyus Music〉の第一弾としてリリースされた。当時の〈DIMID〉~現〈Libyus Music〉の竹内君とS as in Soul.のリリースの打ち合わせしている時、このMILOのアルバムを出すべきかどうかを相談されて、僕は絶対出すべきだと答えたのを憶えている。そのことがどれだけの影響したのか知らないが、あのアルバムが世に出るキッカケを僅かでも与えることが出来たのならば、それは非常に光栄なことだ。

 僕としては、現在のマッシヴ・アタックよりもMILOの音のほうが遥かに魅力を感じるのだけれど、そんな比較など本人からしたら迷惑な話しでしかないだろう。この12インチの後に控えているというニュー・アルバムを楽しみに待つのみだ。

CHART by STRADA RECORDS 2010.05.17 - ele-king

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1

MAYNARD FERGUSON

MAYNARD FERGUSON PAGULIACCI-JOE CLAUSSELL REMIX COLUMBIA (US) »COMMENT GET MUSIC
JOE CLAUSSELLはもちろんFRANCOIS K.らのプレイで人気の超絶ジャズ・ファンク系クラシック「PAGULIACCI」がJOE CLAUSSELLによる絶妙なエディットが施され12インチ・リリース!ちなみに滅多にお目にかかれないオリジナルUS12インチはプロモ・オンリーで中古市場でン万円で取引されています!以前JOEセレクトのコンピにもこの曲のエディットが収録されていましたが、今回は初お目見えのロング・ヴァージョン!これはマストです!

2

JEPHTE GUILLAUME

JEPHTE GUILLAUME DEJA VUE(feat.WILTRUD WEBER) TET KALE (US) »COMMENT GET MUSIC
100枚限定のプロモも話題だったこの曲が遂に正規リリース!SPIRITUAL LIFEやIBADANからのリリースで知られるJEPHTE GUILLAUMEが久々に自分のレーベルから放つ強力盤で、彼らしいパーカッシヴなハウス・トラックに伸びやかな女性ヴォーカルがフィーチャーされたシリアス且つカッコイイ作品!

3

BAYARA CITIZENS(JOE CLAUSSELL etc)

BAYARA CITIZENS(JOE CLAUSSELL etc) SONG FOR AFRIKA SACRED RHYTHM (US) »COMMENT GET MUSIC
ここ最近のJOE CLAUSSELLのプレイでも注目を集めていたこのアフロ・ハウスがようやくリリース!グルーヴィーなアフロ・パーカッションに浮遊感のあるシンセ・ソロがフィーチャーされたディープなインスト・チューン!

4

SADE

SADE MOON & SKYY-TIMMY REGISFORD & ADAM RIOS REMIXES RESTRICTED ACCESS/SHELTER (US) »COMMENT GET MUSIC
【真打登場!】御大TIMMY REGISFORDもSADEのリミックスをリリース!何枚かリリースされている同曲のリミックスの中でも最もタフでハネたビートが確実に踊らせてくれるSHELTERらしい仕上がり!さり気なく入ったアフロなパーカッションも◎!シンセのソロで引っ張りまくりのB面のインストもグッド!

5

BLACKCOFFEE

BLACKCOFFEE GARDENS OF EDEN GOGO MUSIC (GER) »COMMENT GET MUSIC
人気爆発中のBLACK COFFEEがGOGO MUSICから12インチをリリース!オススメの「Trip To Lyon」は彼らしいアフロ風味のパーカッションが渋いディープなインスト・ハウス!女性ヴォーカリストZonkeをフィーチャーしたタイトル・チューンもグッド!

6

RHYTHM MASTERS & MYNC

RHYTHM MASTERS & MYNC I FEEL LOVE(feat.WYNTER GORDON) CR2(UK) »COMMENT GET MUSIC
DONNA SUMMERの名作を見事カヴァーした大注目盤!大ネタのカヴァーって微妙なモノが多いのですがこれは違う!オリジナルにかなり忠実なヴォーカルに現代的なトラックが見事ブレンドされたハイクオリティーな仕上がり!ピッチを落としたグルーヴィーなリミックス、ディープ・プログレッシヴ的なオリジナルの両方ともグッド!

7

JOHNWAYNES

JOHNWAYNES FALLING LEAVES-SOCIAL DISCO CLUB REMIX GROOVEMENT(UK) »COMMENT GET MUSIC
COMPOSTやMULE MUSIQでも活躍中のJohnawynesによる黒い一枚!ソウルフル&グルーヴィーなトラックに男性の語りがフィーチャーされたオリジナル、さらにSocial Disco Clubによるクールなリミックス共に極上な出来!

8

JAMIE LLOYD

JAMIE LLOYD BEWARE OF THE REMIXES FUTURE CLASSIC (EU) »COMMENT GET MUSIC
MARK Eによるリミックスがグッド!BPM110程度の幻想的なディープ・テック・ハウスで、ジワジワ展開していく気持ちの良い作品です!バレアリックなB2もオススメです!

9

JT DONALDSON

JT DONALDSON GETTING UP EP AMENTI(US) »COMMENT GET MUSIC
OMやLARGE、HUDD TRAXXといったレーベルから作品をリリースしているベテランJT DONALDSONによる見逃せない一枚!アッパーな作品が多かった彼ですが、この盤ではなんとデトロイト・ビート・ダウン系のアンダーグランドで渋いナンバーを披露!ジャジーな「Talk To Them」が特にオススメです!

10

VA(DIMITRI FROM PARIS)

VA(DIMITRI FROM PARIS) GET DOWN WITH THE PHILLYSOUND PART 1/4(W-PACK) BBE (UK) »COMMENT GET MUSIC
【全世界で1000セットのみの生産!お早めに!】DIMITRI FROM PARISが監修・リエディットした極上フィラデルフィア・ソウルのコンピ・アナログ第1弾!オリジナルを尊重しつつも通をも「オッ!?」と思わせる展開の変更やさり気ないDJフレンドリーなエディットが最高!これは間違いなく一生モンです!

CHART by JET SET 2010.05.17 - ele-king

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1

MOODY

MOODY OL' DIRTY VINYL »COMMENT GET MUSIC
Moody a.k.a. Moodymann緊急リリースの話題作が到着です!!90年後期~'09年にかけてレコーディングされストックされていたと思われる漆黒の5トラックスをコンパイル。例によって限定プレスですので、マスト・チェックでお願い致します!!

2

ONRA

ONRA LONG DISTANCE »COMMENT GET MUSIC
大好評の12"の勢いそのままにAll Cityよりフルアルバムをリリース!同タイトルの好評12"の楽曲の他にも、2008年リリースの7"から"My Coment"、そしてSlum VillageのT3を迎えた"The One"をはじめ、粒揃いな楽曲を21曲収録した極上の一枚となっています!

3

JAMIE LIDELL

JAMIE LIDELL COMPASS »COMMENT GET MUSIC
BeckやFeistも参加。もちろんグラミー狙います!!Warp最強の鬼才Jamie Lidellが自らのソウルを進化させカムバック・リリース。崩壊寸前のビートと美し過ぎるメロディ、そしてコーラス、完璧です!!■MP3 DLコード付■

4

FUTURE ISLANDS

FUTURE ISLANDS IN THE FALL »COMMENT GET MUSIC
Dan Deaconと並ぶボルチモアの逸材。なんとThrill Jockeyからのファースト・マキシEP!!Upset! The Rhythmからのリリースが当店好評だった、ボルチモアの3人組Future Islandsが、まさかのThrill Jockeyから登場!!限定カラー・ヴァイナルの4曲入り12インチ。

5

BUTCH

BUTCH NO WORRIES / TEASE ME »COMMENT GET MUSIC
Ceccile新作はButchが登場!!まさかの大ネタ使いRoy Ayersの"Running Away"を使用し話題騒然だった"Super Fluff Disco Stuff Vol.2"をリリースしたばかりのButchが今度は新作をCeccileからドロップと絶好調!!

6

FOAMO

FOAMO JOOKIE / CENTAVO »COMMENT GET MUSIC
Rusko永遠のアンセム直系のブラス炸裂ボムが誕生っ!!'09年、Skintから電撃デビューを飾った新星ベース・マスターFoamo。ブレイクス名門Fat!からの今作はまさかの"Cockney Thug"アンサー・トラック!?

7

GLITTERBUG

GLITTERBUG PRIVILEGE »COMMENT GET MUSIC
Pantha Du Princeのアレに匹敵するアンビエント美麗音響ミニマル特大傑作!!ドイツはケルンの音響ハウス/テクノ・サウンドを担う超新星Glitterbugが、レフトフィールド・ミニマル史を塗り替える歴史的傑作アルバムを完成!!■限定500枚プレス/DLコード付■

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BING JI LING

BING JI LING SUNSHINE LOVE »COMMENT GET MUSIC
Mayer Hawthorne好きも死にます。ブリージン・チルアウトなブルー・アイド・ソウル超絶品!!この季節にピッタリの爽やか込み上げブリーズが帰って来ました!!前作"Home"が当店超ロング・ヒットとなった才人、Bing Ji Ling。超待望の新曲は期待以上の気持ち良さ!!

9

JUNK CULTURE

JUNK CULTURE WEST COAST »COMMENT GET MUSIC
激オススメです。UKインディ・エレクトロニカに通じる注目のUS新世代トラック・メイカー!!オックスフォードのDeepak Mantenaによるソロ・ユニット、Junk Culture。Illegal Artから2009年にリリースされた大傑作1st.アルバムを、今改めてご紹介します!!

10

MAAYAN NIDAM

MAAYAN NIDAM GREATEST TITS EP »COMMENT GET MUSIC
当店ハウス・コーナー的に全く外さない女子、Maayan Nidamの新作がまたしても最高です!!最近はリエディット専門オフシュートW + L Blackの方が人気が出ている気がしなくもないブルックリンWolf + Lambの本家からベルリンの才女による意欲作!!

Chart by Lighthouse Records 2010.05.17 - ele-king

Shop Chart


1

Moody

Moody Ol' Dirty Vinyl KDJ / US / 2010.05.11 / »COMMENT GET MUSIC

2

Mim Suleiman

Mim Suleiman Nyuli Running Back / GER / 2010.04.27 / »COMMENT GET MUSIC

3

V.A.

V.A. Afro Balearic EP Sol Selectas / US / 2010.05.04 / »COMMENT GET MUSIC

4

Adam Port & Sante

Adam Port & Sante Own EP Rockets & Ponies / BEL / 2010.05.04 / »COMMENT GET MUSIC

5

LCD Soundsystem

LCD Soundsystem Pow Pow DFA / UK / 2010.05.04 / »COMMENT GET MUSIC

6

James Chance And The Contortions

James Chance And The Contortions Incourrigible Rong Music / US / 2010.05.11 / »COMMENT GET MUSIC

7

Thodoris Triantafillou

Thodoris Triantafillou Flying Rubber Duck Orpheas / GREECE / 2010.04.13 / »COMMENT GET MUSIC

8

Lemos

Lemos Ypomoni Orpheas / GREECE / 2010.05.11 / »COMMENT GET MUSIC

9

Douglas Greed

Douglas Greed St. Eisbein EP Freude Am Tanzen / GER / 2010.03.16 / »COMMENT GET MUSIC

10

Mauser

Mauser The Vault EP Synapsis Records / US / 2010.05.04 / »COMMENT GET MUSIC

CHART by TRASMUNDO 2010.05 - ele-king

Shop Chart


1

HIRAGEN from TYRANT『CASTE』 »COMMENT

2

SEMINISHUKEI PRESENTS『WISDOM OF LIFE』»COMMENT

3

STARRBURST『INSTRUMENTALS』 »COMMENT

4

ROCKASEN『WELCOME HOME』 »COMMENT

5

HIKARU『Sunset Milestone』 »COMMENT

6

KIRIMANJARO »COMMENT

7

DJ Holiday『The music from my girlfriend's cnsole stereo』 »COMMENT

8

Shhhhh『Ritmo del baile futuros』 »COMMENT

9

DJ ASAMA『Spread Pure Darkness』 »COMMENT

10

VIKN『the 6 MILLIONDOLLAR MAN』 »COMMENT

Various Artists - ele-king

 環ロイと二木信の対談を読みながら、制度化されたヒップホップということについて考えてみた。パンクでもハウスでもヒップホップでも、どんなジャンルでも時間とともに制度化される。制度化とは、この社会のなかでのある種の妥協点でもある。良くも悪くも......、そう、ホントに良くも悪くも......。

 しかし、東京の〈セミニシュケイ〉は「良くも悪くも......」などとは思わないだろう。そのアティチュードにおいて15年前のムードマンの〈ダブレストラン〉を彷彿させるこのインディペンデント・レーベルは、音楽が制度化に屈服することを許さない。音楽は不定型なまま流動的に変化し、その本来的な危うさを保ち続ける。決して"奴らの手"に渡さないのだ。

 彼らはいままで1枚の7インチ・シングル(やけのはら+ブッシュマインドによる名曲"Daydream"を含む)と1枚のコンピレーション・アルバム『Culture Expands The World』(08年)を発表している。それらは彼らが望むようにアンダーグラウンドなシンジケートによって確実に伝播しているようだ。仲間は増え、新たな音が生まれている。2枚目のコンピレーションとなる本作は、その成果と言えよう。

 レーベルの背後には3人のDJ/トラックメイカーがいる。昨年のSFPのシングルに参加しているスターバースト、自らをサイケデリック・Bボーイと形容するブッシュマインド、レーベル社長を兼任するドン・Kである。本作には、前回に引き続き――彼ら3人に加えてガバの達人DJ PK、彼らの精神的支柱であるアクト、女性DJのイレヴン、杉並区の最終兵器と言われるタック・ロックとソネトリアス、名古屋のトム、京都のデイドリームネーション、アブラハム・クロスのソニック、あるいはギルティ・Cやノー・ルール......といった面々が参加している。今回は新たに、C.I.A.ZOOのラッパーとして知られるハイデフとトノ、あるいは北海道のZZY、いま話題のメデュラのトラックメイカー/ラッパーのマス・ホール、ミステリアスなデッド・ファッキン・ニンジャ、そしてアメリカのミシガン州からはカク......といった面々が加わっている。全24曲、1枚のCDには77分詰まっている。ちなみに値段は1800円。ここにも彼らのメッセージが見て取れる。

 冒頭では最近素晴らしいアルバムを発表したばかりの六歌仙がラップをかましている。そして、ラウンジーで軽やかなブレイクビートを展開するスターバースト、ジャジーなフィーリングを弄ぶドン・Kやカク......まずはレーベルのピースな側面を見せる。で、ソネトリアスとふたりのラッパー(オーアイ& エラ)が彼らの気怠く煙たい日常を描写すると舞台は暗転、ポッセたちの薄汚れた素晴らしい世界が待っている。そして、イレヴンがダブの重低音を響かせれば......、ようこそ〈セミニシュケイ〉のドープな世界へ、というわけだ。ノー・ルールやブッシュマインド、ハイデフやトノ、デッド・ファッキン・ニンジャといった連中が待ってましたとばかりに彼らのタフなビートを叩きつける。アルバムは22曲目からレーベルのもうひとつの顔を見せる。それは深いサイケデリック・トリップだ。ソニックとデイドリームネーションが前作に引き続きその役目を見事に引き受ける。最後はドン・Kのやわらかいチルアウトで幕引きをする。

 個々のアーティスト名をチェックしながら聴くよりも、作者名など気にせず流しっぱなしで聴くほうがいい。牢獄のようなこの街のプレッシャーに打ち負かされることのない彼らの日々の音から"自由"が聴こえてくるかもしれない。それは清々しくもあり、ときに力強くもある。そして彼らの音楽が実はフレンドリーであることに気づくだろう。

CHART by DISC SHOP ZERO 2010.05.14 - ele-king

Shop Chart


1

G.RINA

G.RINA DSZ - melody & riddim - お楽しみ企画 DSZ / JP / 2010.4.17 »COMMENT GET MUSIC
DISC SHOP ZERO開業17周年記念として制作した非売品7インチ。当店でお買い上げの方に差し上げております。1. Mashed Pieces - Do Me (Joker x G.Rina) / 2. Yellowmen - Working Hard Since 1975 (M.Kitten × G.Rina)

2

IKONIKA

IKONIKA CONTACT, LOVE, WANT, HAVE HYPERDUB / UK / 2010.4.16 »COMMENT GET MUSIC
8bitなシンセの感触とガラージ的ビート、そして太く柔らかいベースから生まれるセクシーなグルーヴ。最高!

3

VON D

VON D MISS MAUI / MOON ECLIPSE BLACK ACRE / UK / 2010.4.5 »COMMENT GET MUSIC
MISS MAUIを迎えた70年代ソウル~ジャズ・ファンク味もあるA面、WARRIOR QUEENを迎えたB面、どちらも強力!

4

UP, BUSTLE & OUT

UP, BUSTLE & OUT SOLILOQUY COLLISION / GE / 2010.4.16 »COMMENT GET MUSIC
ブリストル~メキシコ~キューバ~ジャマイカ~トルコ......など、これまでサウンドで世界各地を放浪してきた彼らの経験が全て溶け合わされた、ユラユラと陽炎のように漂う境界線上の音楽。

5

J:KENZO

J:KENZO TROPIC THUNDA / COUNTERACTION ARGON / US / 2010.4.1 »COMMENT GET MUSIC
ヒプノな感覚とトライバルなビートをミックスさせ、UKファンキーも通過したフューチャリスティックな密林グルーヴを披露。

6

CHASING SHADOWS / JAKES

CHASING SHADOWS / JAKES DREAM ON / BOOM BOOM BASS HENCH / UK / 2010.4.1 »COMMENT GET MUSIC
「DO YOU LIKE BASS?」というアジと「ブ~ンブ~ンブ~ン」という鼻歌から一気にパーカッシヴでハイテンションなビート&リズムの嵐に展開するビッグ・チューン!

7

LEWIS B

LEWIS B PINBALL SMOKING SESSIONS / UK / 2010.4.6 »COMMENT GET MUSIC
もはやジャジーではなくジャズをダブステップのフォーマットで展開した異色作。

8

JOSE JAMES

JOSE JAMES WARRIOR REMIXES BROWNSWOOD / UK / 2010.4.9 »COMMENT GET MUSIC
BENGAの名曲「EMOTIONS」カヴァーをSBTRKT、JUS ONE、ROCKWELLという気鋭がリミックス。

9

COW'P

COW'P BASS CHIP MIX PART2STYLE / JP / 2010.4.11 »COMMENT GET MUSIC
規リリースされていない8-bitチップ・チューンからレゲエ・テイストのものを厳選&自作ゲームボーイ・トラック+マッシュアップも多数収録の"ありそでなかった!DJ MIX。

10

JOKER

JOKER TRON KAPSIZE / UK / 2010.4.13 »COMMENT GET MUSIC
説明不要のブリストル期待の星。以前からダブプレートで話題になっていた曲を片面美麗エッチング(同名映画をモチーフに!)でリリース。
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