「K A R Y Y N」と一致するもの

interview with Bicep - ele-king


Bicep
Isles

Ninja Tune / ビート

HouseTechno

Amazon Tower HMV iTunes

 前作から約3年半程のインターバルをおいて「上腕二頭筋の2人組」が2枚目のフル・アルバムを発表した。またも〈Ninja Tune〉からのリリースである。〈Ninja Tune〉とバイセップの相性はとても良さそうで、特定のジャンルに囚われないスタイルや、どこかギークっぽい部分も見せながら洗練されたサウンドやデザインが光る部分など共通項はとても多い。彼らの代名詞とも言えるブログ「FeelMyBicep」もペースが早まることもなければ遅くなることもなく、黒い無機質なバックグラウンドのブログページに毎月淡々と自分たちが気に入ったアーティストのミックスや音源を紹介していくスタイルは2008年にスタートさせた当初から何も変わっていない。イギリス国内で1万人規模の公演チケットを即完売させるまでの人気に上り詰めても地に足をつけた活動があるからこそ、彼らのアイデンティティーはブレることなくより先へ先へと進化していくのだろう。
 そんな彼らが2枚目のアルバムにつけたタイトルは『Isles』。出身地である島国の北アイルランドはベルファストから飛び出して、世界を飛び回り続けた2人が自身のキャリアやアイデンティティーを振り返って作ったとされる今作にはどんなメッセージが込められているのだろうか? アルバムの制作秘話だけでなく、近年の活動やコロナ禍で変化したライフスタイルやマインドなどに迫ってみた。(Midori Aoyama)

必ずしもクラブで盛り上がるものに縛られる必要はないという考え方だったんだよ。曲には長生きしてもらいたいから、まずは曲としてのしっかりとした土台を作って、それを発展させていこうと。(アンディ)

前アルバムから約3年での新しいリリースです。アルバムのプロモーションやリリース・ツアーなど多忙ななか、どのようなキッカケやモチベーションで今作に挑んだのでしょうか?

マット・マクブライアー(以下マット):2019年の1月にツアーが終わって2週間休んで、そのあとすぐにスタジオに入ったんだ。そのあと4ヶ月くらいはツアーの予定がなかったから、毎日スタジオに通って、特に曲を書こうということもなく、4ヶ月ひたすら楽しんでジャムっていろいろアイデアを試したり、毎日違うことをやって、デモの分量もすごいことになって。ただし20秒くらいの短いアイデア程度のものばかりだったけどね。

具体的にアルバムの制作にかかった期間はどれくらいですか?

マット:そんな感じで4ヶ月くらいいろいろ試して、2019年の夏あたりにアルバム制作に向けてアイデアがまとまりはじめて、とはいえそのあとも結局8、9ヶ月ほどかけて、完成したのは2020年の2月くらい。だから1年と1、2ヶ月だね。

いままでのプロダクションで見せたいわゆるストレートなハウスやディスコというよりも、UKガラージやブロークンビーツ、レイヴ・サウンドがさらに色濃く表現されているように感じました。アルバム全体のサウンドやコンセプトで特に気をつけた部分はありますか?

アンディ・ファーガソン(以下アンディ):たしかに制作過程の早いうちに、あまり四つ打ちやハウスは入れないようにするっていうのを決めたんだ。というのもそういうのをやりたければライヴでいつでもできるから。だからアルバムにはもっといろんなビート・パターンやサウンド・デザインに時間をかけて作って、必ずしもクラブで盛り上がるものに縛られる必要はないという考え方だったんだよ。それでかなり自分たちを解放できた部分はあったと思うし、自由にやれたと思う。アルバムのコンセプトとしては、アルバムとして家で聴くヴァージョンがありつつ、ライヴで曲を発展させていこうっていう。というのも前作も2年ツアーしてるうちに最終的にはかなり違うものになってて、それがすごく面白かったからさ。曲には長生きしてもらいたいから、まずは自由に曲としてのしっかりとした土台を作って、それを発展させていこうということだね。

冒頭の “Atlas” ではイスラエルの歌手オフラ・ハザがサンプリングされています。この曲で彼女を使おうと思ったのはなぜでしょう?

マット:彼女はイタロ・ディスコのレコードを作ったことがあって、それを聴いたのがきっかけ。ちなみに bicepmusic.com って僕らのサイトに特設サイトを作って、今回使ったサンプルをどこで見つけたかとか全部書いてあるよ。かなり詳しく書いてあって便利だからぜひチェックしてみて。

(訳注:以下ウェブサイトより抜粋→彼女のアルバム『Shaday』に収録された “Love Song” というアカペラ曲を聴いて、カタルシスを生むそのエネルギーに圧倒され、その声をサンプラーに取り込み、それが “Atlas” の出発点となった)

いろんな音楽をディグるのは本当に面白い。でもそこに自分たちの印を刻みたいとも思ってるんだ。あまりその影響を濃くしすぎないようにはしてる。ひとつのルーツだけではなくいろんなものがせめぎ合ってる感じを出そうと。(アンディ)

シングル曲 “Apricots” には Gebede-Gebede “Ulendo Wasabwera Video 1” と The Bulgarian state radio & television choir “Svatba (The Wedding)” がサンプリングで用いられていますね。両者の声がうまい具合に同居して独特のグルーヴを生んでいますが、かたやアフリカの音楽、かたやベルギーの合唱です。対照的な素材ですが、これらの民族音楽をこの曲で同時に使おうと思ったのはなぜでしょう? また、それらの音源にはどのように出会ったのですか?

マット:“Apricots” は元々インストゥルメンタル曲で、ストリングスとコードだけだったんだ。多くの場合僕らはピアノで曲を作りはじめて、実際の音楽を先に考えて、あとからそれを速くしたり遅くしたりといった提示方法を考えるんだよ。というわけでコード進行がまずあって、そこからいろいろアイデアを試したんだけど、どれもうまくいかなくて、たしかブルガリアのサンプルが先だったと思うけど……まあここ10年くらい、ダンス・ミュージックを作るようになってからというもの、スポンジみたいにいろんなものを吸収してきて、レコード・ショップに行くたびに、クラブでかけたいレコードだけじゃなくてサンプルに使えそうとか、つねに獲物を追いかけてる感じなんだよ。しかもロンドンに住んでるから世界中のあらゆるカルチャーに触れることができるし、あらゆる音楽を聴くことができる。店で耳にした曲が気になったら Shazam して、つねに探しててさ。というわけで僕らのパソコンに入ってるライブラリーは膨大なものになってて、曲を作ってて煮詰まったりするとライブラリーをチェックして、これはいいかもと思ったらサンプラーに取り込んでピッチをいじって。ただ問題は、それをやっても95%は失敗すること(笑)。“Apricots” はおそらくサンプルを組み合わせてうまくいった最良の例じゃないかな。ふたつ掛け合わせてうまくいくことなんてほとんどないからさ。世界の全然違う場所の、全然違うヴォーカル・スタイルがうまい具合に対照をなしているんだよ。

似たような合体の試みをしていたアーティストに、アフロ・ケルト・サウンドシステムがいます。彼らの音楽は聴いたことがありますか?

アンディ:知らなかったけど、ケルトとアフリカ音楽ってそれ最高だな! 聴いてみる!

“Atlas” のサンプルも “Apricots” のサンプルも、いわゆる西洋のポップ・ミュージックではないものです。“Rever” や “Sundial” などのヴォーカルもエキゾチックさを感じさせます。そこは意識的にそういう素材選びをしたのでしょうか? たまたまですか?

アンディ:さっきマットも言ってたけど、ロンドンに住んでるからあらゆる音楽を吸収するんだよね。そうやっていろいろ聴いたものが自分が作る音楽にも反映されるんだと思うし、ただあくまで自分たち独自のハイブリッドにしたいというのはある。ふたりともノースイースト・ロンドンに住んでて、文化的にとんでもなく多様な街だし、通り過ぎる車からも通りがかった店からも世界中の音楽が聴こえてきて、フェスティヴァルがあってカーニヴァルがあって、そういう環境でいろんなカルチャーのいろんな音楽をディグるのは本当に面白い。でもそこに自分たちの印を刻みたいとも思ってるんだ。あまりその影響を濃くしすぎないようにはしてるんだ。それは自分たちの曲を作ってるときもそうで、あまりにトランスっぽすぎるなとかディスコっぽすぎると感じたら、ちょっと違う方向に持ってったりして、ひとつのルーツだけではなくいろんなものがせめぎ合ってる感じを出そうとしてる。たとえばヴォーカルがインドだったら他の要素はインド感ゼロにして対比させるとかね。他の文化の音楽を複製しようとしてるわけじゃないからさ。

UKガラージ風の “Saku” には Clara La San が参加しています。彼女は〈Hyperdub〉の DVA の作品やイヴ・トゥモア作品への参加で知られるシンガーですが、この曲で彼女を起用しようと思ったのはなぜ?

アンディ:たしか Spotify で彼女を見つけたんだよ。自分たちが探してた声の特徴がいくつかあって、それで彼女の声を聴いたときに、何と言うか、間違いなく僕とマットが「これぞ90年代のR&Bだ!」って共感できるようなものだった。それで連絡取りたいとなって。僕らのように音楽を作ってて歌えないとなると(笑)、つねに頭のなかで歌を想像してるんだけど、彼女の声は瞬間的に僕の頭のなかの空白を埋めてくれたんだよ。

マット:それにコントラストが大事だから、彼女の声って僕らの音楽とすぐに結びつくようなものではなくて、それが面白いと思ったんだよね。昔のR&Bというか、甘くていい感じで、“Saku” のあの岩のごとく堅牢なドラムと彼女の声が、まさに僕らが求めるコントラストだったんだ。

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ライヴ中にちょっとミスっても次の日誰も覚えてないけど、ストリーミングだとビデオカメラで録画されてて最悪(笑)。運転免許の試験みたい。ライヴってそもそもの趣旨がライヴであって、記録じゃないんだよね。(マット)


Bicep
Isles

Ninja Tune / ビート

HouseTechno

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今作も〈Ninja Tune〉からのリリースになりますが、レーベルから特別なオーダーはありましたか?

アンディ:いや、レーベルからは全然なくて、むしろ自分たちの目指すところがあって、ファースト・アルバムの成功があったから、その前作の感じを引き続き楽しんでもらいたいっていう思いと、新しいものを提示したいという思いの狭間でどうしようかという。でも〈Ninja〉はこっちから送るものに対してはものすごくオープンだった。

おふたりもレーベルを運営されていますが、自分たちのではない別のレーベルからリリースすることのメリット、デメリットはなんでしょうか?

マット:僕らのレーベルはいわば愛で成り立ってるもので、商業面はまったく考えてないんだ。かなりアンダーグラウンドな音楽を中心に扱ってて、ラジオでかかるような音楽を狙ってるわけではなく、DJ向けのアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックだからさ。自分たちが出会った無名のアーティストを育てるのも素晴らしいことだしね。一方〈Ninja〉が組織としてやってることはまさに驚異的で、彼らがやってるような仕事を自分たちがやるなんて絶対に不可能だよ。

アンディ:だね。つねに新しいアイデアを提案してくれたり、僕らのアイデアを具現化してくれたりするんだよ。多くの場合、〈Ninja〉が音楽以外の、たとえばアルバム・カヴァーのデザインだったり諸々の負担を軽くしてくれて、自分たちは音楽に集中できるんだ。

Instagram を通してスタジオの風景やカスタムした機材を鳴らしたりしてますね。フローディング・ポインツリッチー・ホウティンがDJミキサーをプロデュースしたように、いつか自分たちオリジナルのミキサーやシンセサイザーを作ってみたいと思ったことはありますか?

アンディ:お気に入りの機材って結構1、2ヶ月で変わったりして、それが面白いというか、音楽を作る上で新たな機材から刺激を受ける部分はあるんだよ。僕らは古い機材も好きだしモジュラーシンセのような現代的なものも両方好きなんだけど、基本的にはモジュラーシンセがオリジナル機材のようなものだよね。自分で組み合わせて新しく追加できるから。それに音楽を作る際にシンセをそのままで使うことはほとんどなくて、たとえばギターペダルを3つかませたりしてつねに独自の音を作ろうとしてるんだ。

マット:そうだね、モジュラーがあればいいかもな。あと今作で結構やろうとしてたのが、たとえば実際の80年代のシンセサイザーを使ってそれをモジュラーにフィードしてある種のハイブリッドな音を生み出すとか。“Atlas” なんかはそういう40年もののテクノロジーと最新テクノロジーから生まれた交配種なんだ。

9月におこなわれた『BICEP LIVE GLOBAL STREAM』も素晴らしい反響があったようですね。過去のインタヴューで「クラウドが大きいほど緊張する」と言っていたのを拝見しました。観客が目に見えないライヴ・ストリーミングは緊張しましたか?

アンディ&マット:さらにひどかったかも(笑)。

アンディ:観客の数はストリーミングの方が多いかもしれないのに、その場にはマットと僕以外誰もいないっていう。普段はステージ上で雑談したりしてるんだけど……

マット:大体ステージ前は軽く飲んだりしてるけど、ストリーミングはめちゃくちゃ明るいところでシラフでさ。あと普段ならライヴ中にちょっとミスっても次の日誰も覚えてないけど、ストリーミングだとビデオカメラで録画されてて最悪(笑)。ライヴってそもそもの趣旨がライヴであって記録じゃないんだよね。

アンディ:大きいクラウドを前にしたときの緊張とは全然種類が違う。

マット:なんか運転免許の試験みたいな感じ。

2月に予定している2回目のライヴストリームではロンドンのサーチ・ギャラリー(Saatchi Gallery)を舞台にすることが決まっていますね。ふたりにとってこの場所への特別な想いはありますか?

マット:というか一般論としてロンドンには無数にアート・ギャラリーがあって、つねに展示が入れ替わってて目新しいものが見れるから、ふたりとも休みのときにギャラリーを巡るのが好きなんだよ。だからギャラリーが閉まってるこの時期にそこを使うっていうのは自分たちにとっては理にかなった選択だった。というか、空っぽのギャラリーを使える機会なんておそらく二度と訪れないだろうからね。特にサーチ・ギャラリーなんてさ。パンデミックによっていろいろ最悪なことが起こってるけど、サーチ・ギャラリーを使えることは唯一僕らにとって良かったことだな。

アンディ:空っぽのギャラリーを歩き回って録音してみると、いまの世の中の不気味で奇妙な感じが反映されてすごく興味深いんだよね。だからある意味でいまライヴストリームをやるには完璧な場所だと思う。

僕らの地元の北アイルランドもすごく美しいところで、ほとんどが田舎で丘や山や海だし緑が多いからその影響も受けてると思う。それは自分の一部であり、そういう風景のなかで育ったからさ。(マット)

コロナ禍で突如いままでと違った生活様式をしいられることになりましたが、2020年の1年を振り返って生活面で何か変わったことはありましたか?

マット:まずふたりとも以前よりも健康になったと思う。たくさん寝てるし。ツアー中は必然的に空港で食事したり、ほとんど寝れなかったりして、アドレナリンが出てる状態で生きてて。去年はそれがなくなって、ゆっくり食事したり、睡眠のサイクルもいい感じになって、規則正しい生活になってさ。それは非常にポジティヴな変化だね。

アンディ:あと一歩引いて自分たちが音楽でやりたいことや楽しいと思うことについてじっくり考えられた。もちろんツアーが恋しいっていうのはあるけど、もし元どおりになったら(元どおりになって欲しいけど)、そのときはそれを当たり前だと思わずに感謝の気持ちが芽生えるだろうと思う。それにツアーがあるときは見落としていた、他の大事なことにも目を向ける必要があるっていうことも改めて考えたしね。

Instagram で拝見しましたが、夏にアイルランドの自然の写真も掲載していましたね。自然や地元の風景、スタジオやクラブとかけ離れた空間が自分たちの音楽に与える影響はありますか?

マット:それは間違いなくある。

アンディ:うん。曲を書いているときはいろんな風景を想像するんだよ。クラブでかかってるところはあんまり浮かばないかもね。これはアイスランドで雪が降ってるなかを歩いてる感じとか、アイスランドに行ったことはないんだけど想像したり(笑)。

マット:機材持ってノルウェーやスウェーデンの北の方まで行って氷河を眺めながらEP作りたい、っていうのはずっと言ってるね。

アンディ:リアルじゃない、記憶と想像が生み出す氷河でもいいのかもしれない。

マット:まあ逃避だよね。でも僕らの地元の北アイルランドもすごく美しいところで、ほとんどが田舎で丘や山や海だし緑が多いからその影響も受けてると思う。それは自分の一部であり、そういう風景のなかで育ったからさ。ベルファスト出身だけど、実はベルファストも緑が多いんだよ。

アンディ:普段は気づかないけどね。でも世界を旅してみるとアイルランドの緑の多さに改めて気づくよ。

制作のスピードもさることながら、並行してブログの更新やレーベルのリリースも引き続き精力的ですね。「Feel My Bicep」としての2021年の予定を教えてください。

マット:今年はレーベルにも力を入れて行こうと思ってる。いくつかリリースが控えてるんだ。それ以外は基本的にスタジオに入っていろいろ実験しながらやってみようと思ってる。あとダンスフロア向けのものを書くつもり。最近あまりそっちにフォーカスしてなかったからね。

この3つの上腕二頭筋のロゴがここまで大きな存在になると、ふたりで音楽をはじめたときは想像していたでしょうか? 

アンディ:それちょうど今日話してたんだよ。あのロゴはマットが10年前に20分で描いたものなんだ(笑)。

マット:あとでもっといいロゴを考えるつもりだったんだけどね。すごいシンプルだし、シチリアとかマン島とかいろんな旗に似てて、3つの上腕二頭筋ってアイデアは別にオリジナルじゃないんだよ。でもまあロゴだからシンプルな方がいいんだよね。

アンディ:あと、完璧じゃないから不思議なバランスが生まれてるところもいい。

マット:手描きだから左右対称じゃないんだよ。若い頃って無邪気であんまり深く考えてないからさ。でも丸だからデザイン的に使いづらいこともあって、Tシャツにはいいんだけど、バランスをとるのが難しいんだ。

最後に、日本でも多くのファンがアルバムのリリースを楽しみにしています。オーディエンスに向けてメッセージをお願いします。

マット:日本の人たちに聴いてもらうのがめちゃくちゃ楽しみだし、このアルバムを楽しんでくれることを願ってる。それからまた日本に行ける日を待ち望んでる。日本は僕らが大好きな国のひとつで、行くたびに最高の時間を過ごしているんだ。あと、みんな安全に過ごしてほしい。

Telex - ele-king

 もやもやしていらいらしてすっきりしないこの時代、免疫力が下がりそう。それじゃまずいと、遊び心たっぷりの音楽を紹介しましょう。クラフトワークにドナ・サマーそしてYMOと、テクノ・ポップ時代の幕開けの時にベルギーのブリュッセルで結成されたトリオ、テレックスは、ガーディアンいわく「隠された財宝」だ。シングル「モスコウ・ディスコウ」は日本でもヒットしているのでご存じの方も少なくない。ちなみに彼らのデビュー・アルバムの邦題ってなんだったか憶えていますか? 『テクノ革命』です(笑)。しかし、これはあながちはったりでもなかったりする。
 テレックスは、バンド結成前にすでにキャリアのあったミュージシャンの集合体だった。中心人物であるマルク・ムーランは、レアグルーヴ・ファンにはお馴染みのジャズ・バンド、Placeboのメンバーだった人。ダン・ラックスマンは70年代初頭からモーグを操るベルギーのシンセサイザー音楽の草分け的存在。もうひとりのミシェル・ムアースはポップス畑の作曲家。テレックスはすでに音楽を知っていた大人たちによって結成されたバンドだった。ゆえに、その作品はプロフェッショナルに作られている。
 テレックスの音楽をガーディアンはマイケル・ジャクソンの“ビリー・ジーン”、ないしはニュー・オーダー、あるいはダフト・パンクにも繫がる回路を持っていると分析しているが、ふざけているように見せながらも、テレックスの音楽性はしっかりしているのだ。もちろんテレックスの最大の魅力は脱力感とユーモア。例えばロックンロールをテクノでやっているところなんかは、〈Mute〉の創始者ダニエル・ミラーのプロジェクト、シリコン・ティーンズの先をいっている。

 この度、昨年はカン再評価を促したミュート/トラフィックが再発シリーズ第一弾『ディス・イズ・テレックス』の発売を発表した。彼らの全キャリアから選曲されたベスト盤的内容で、ここには未発表だったビートルズのカヴァーも収録される。さあ、テクノ革命の再スタート、注目のリリースは4月30日です。

テレックス (Telex)
ディス・イズ・テレックス (this is telex)

Mute/トラフィック
発売日:2021年4月30日(金)
定価:2,400円(税抜)
新ミックス+リマスター作品


Tracklist
1. The Beat Goes On/Off *
2. Moskow Diskow
3. Twist à Saint-Tropez
4. Euro-vision
5. Dance To The Music
6. Drama Drama
7. Exercise Is Good For You
8. L’amour toujours
9. Radio Radio
10. Rendez-vous dans l’espace
11. Beautiful Li(f)e
12. The Number One Song In Heaven
13. La Bamba
14. Dear Prudence *
15. Moskow Diskow (English Version)**
16. Eurovision (English Version) **
*未発表曲
**日本盤ボーナス・トラック

■テレックス(Telex)
1978年、ベルギーのブリュッセルで結成したシンセポップ・トリオ。メンバー:ダン・ラックスマン、ミシェル・ムアース、マルク・ムーラン(2008年逝去)。シンセポップのパイオニア。1978年、シングル「モスコウ・ディスコウ」を、翌年1979年にはデビュー・アルバム『テクノ革命』を発売。1980年、シングル「ユーロヴィジョン」収録の2ndアルバム『ニューロヴィジョン』を発売。1981年、スパークスが参加した3rdアルバム『Sex』を発売。その後も新たなテクノロジーの発展の中、自らの本質を失うことなく、むしろ革新的な作品を次々と発表していった。2006年、カムバック作『How Do You Dance?』を発売。2008年、マルク・ムーラン逝去。2021年4月、MUTEより再発シリーズ第一弾『ディス・イズ・テレックス』発売。

1st アルバム: Looking For St. Tropez (『テクノ革命』)(1979年)
2nd アルバム: Neurovision(1980年)
3rd アルバム『Sex』(1981年)
4th アルバム: Wonderful World(1984年)
5th アルバム: Looney Tunes(1986年)
6th アルバム: How Do You Dance?(2006年)

レコードは死なず - ele-king

アナログ盤はメディアではない、人生そのものである!

若き日パンクに心酔した僕は
いまでは妻子あり貯金無し、四〇代半ばのフリーランサー、
はたして自分の人生、これで良かったのか!?
僕の常軌を逸した究極のレコード探しがはじまった

嘘のような本当にあった話、
“『ハイフィデリティ』の実話版” と評されたベストセラー!!

序文:ジェフ・トゥイーデイ(ウィルコ)
装画:よしもとよしとも

四十五才の子持ち男の “僕” は、大手の雑誌で著名人とのインタビューなどもこなしているが、収入はまるっきり不安定。
毎月綱渡りしながら妻と交代で愛息の面倒をみる日々だ。
何を失くし、どうやってここまできたのかもすでによくわからなくなっている。
ところが取材相手のクエストラヴから、今まで買ったレコード盤は全部大事に持っていると聞かされて、いてもたってもたまらなくなった。
そんなもの、自分はとっくに売り払ってしまっていたからだ。
そしてカーラジオから流れ出した、その日二度目の「リヴィング・オン・ア・プレイヤー」が心のどこかに火をつけた。取り戻さなくちゃ。
何を? 何のために?
それすらも定かではないままに、僕のいわば “アナログ盤クエスト” が幕を開けた──。

●出てくるアーティストの一例
ハスカー・デュ、リプレイスメンツ、キッス、ニューヨーク・ドールズ、シュガーヒル・ギャング、ピクシーズ、ローリング・ストーンズ、ボン・ジョヴィ、ザ・キュアー、ジョイ・ディヴィジョン、ビリー・ジョエル、イギー・ポップ、ザ・スミス、デッド・ケネディーズ、ニルヴァーナ、ソニック・ユース、アニマル・コレクティヴにディアハンターまで、膨大なロック系

●著者について
エリック・スピッツネイゲル(Eric Spitznagel)
シカゴ在住。『エスクワイア』『ローリング・ストーン』『ニューヨーク・タイムス』『ビルボード』などに寄稿する売れっ子ライター。著書はすでに6冊あり、そのうちの1冊はドイツでも翻訳されているが、2016年に出版された本書がもっとも有名。

目次

本書の巻頭に置かれたこの文章が、そこまでまるっきりイカれている訳でもない、その説明とでもいったほうがよさそうな序文的何か(ジェフ・トゥイーデイ)

はじめに

One
Two
Three
Four
Five
Six
Seven
Eight
Nine
Ten
Eleven
Twelve

謝辞

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環ROY - ele-king

 前作『なぎ』から約3年半ぶり、通算6枚目となる環ROYのアルバム『Anyways』。全曲セルフ・プロデュースにて制作されたという本作であるが、多彩なプロデューサーを迎えた前作と比べて、音楽的な表現の多様性の幅が狭まったのは否めないだろう。しかし、作品全体に漂う色合いやトーンというものはこれまでの作品と同じ流れの上にあり、自ら全曲のトラックを手がけることによって、伝えたいメッセージのフォーカスはよりくっきりとしたものになったようにも感じる。

 彼のトラックメイキングのスタイルはサンプリングを多用しながら、ブレイクビーツ感の強い曲も一部あるものの、どちらかと言えばシンセのコードやメロディが前面に出た透明感あるサウンドが軸になっている。本作のリファレンスとなった曲の彼自身の作成したプレイリスト「in any case」が Spotify および Apple Music にて公開されているのだが、国内外の様々なヒップホップ・アーティストに加えて、James BlakeRadiohead、Billie Eilish、Nosaj Thing といったメンツの楽曲も並んでおり、これらのラインナップを見れば彼のトラックのスタイルにも実に合点がいくだろう。幅広い意味でのビート・ミュージックが実に巧みに自らのサウンドへと吸収されており、それが彼のスタイルの基盤になっている。さらに “Rothko” という曲では落ち葉を踏む音や子供の声といった生活音さえもサンプリングに取り入れたり、“泉中央駅” では4拍子の中に5連符を入れ込むといった実験的なトライも行なっている。こういった試みはときにミニマルで無機質な方向へも走りかねないが、実際のところどの曲も一貫して温かい。その温かさは “泉中央駅” から感じられるノスタルジーな部分から来るだけでなく、直接的にも間接的にも彼自身の日常生活や家族をテーマとしたリリックからも強く伝わってくるし、「食べる」という人間の生(せい)の根源を扱った一見非常にワイルドな曲調の “life” も同様だ。そして、そんな本作の温度感は、コロナ禍であるいまの時代にも見事にフィットする。

 音源のリリースや通常のライヴに止まらず、劇場や美術館、ギャラリーでのパフォーマンスやインスタレーション、あるいは絵本制作など様々な活動を行なってきた環ROYであるが、トラックメイカーとしてのキャリアはまだスタートしたばかりだ。今後、さらなるトラックメイカーとしての成長が彼のアーティストとしての表現の幅をどのように広げ、どう変化させていくか、実に楽しみだ。

Outro Tempo II - ele-king

 テクノ、アンビエントなど80年代の埋もれたブラジル音楽に光を当てた〈Music From Memory〉の良コンピ『Outro Tempo: Electronic And Contemporary Music From Brazil 1978-1992』が出たのは2017年。2年後の2019年には続編『1984-1996』もリリースされているが、そのヴァイナルがヒットしたようで、このたびCD化されることになった。めでたい。
 今回もまた、電子音やパーカッションなどを駆使したじつに多種多様な音楽が収録されているのだが、前作が熱帯雨林の奥地だとしたら、第二弾のほうは都市(サンパウロ)だ。MPBが吸引力を失った時代に、インディペンデントで新たな時代を切り拓こうとした音楽家たちの試行錯誤の記録──たとえば、ジョン・ゴメスの解説によれば、ベベウ・ジルベルト『Tanto Tempo』のプロデュースで知られるスバが参加したエヂソン・ナターリの “Nina Maika” は、ボスニア民謡を取り入れることで新たな価値観を呈示した、象徴的な曲なのだという。そういった歴史や文化的背景を知ることができるライナーノーツの翻訳が読めることも、本盤の長所だろう。
 ヴァイナルには未収録の2曲も追加されているので、アナログ盤をお持ちの方も要チェックです。

ミュージック・フロム・メモリーのヒット企画『Outro Tempo』の続編

ベッドルーム、ダンスフロアやアンビエントなどをまたいだ10年代以降の新たな流れ、そのリイシュー側における先駆者であったミュージック・フロム・メモリーの大ヒット企画『Outro Tempo』の第2弾が待望のCD化。
電子音楽、ジャズ、ニューウェイヴにブラジルのローカル・モード。今回もまたいい具合に多くの要素が入り混じった稀有なミクスチャ・サウンドのオンパレード。脱帽です。

V.A.
Outro Tempo II
- Electronic And Contemporary Music From Brazil 1984-1996

Music From Memory
RTMCD-1454
2,500円
CD2枚組
12月10日発売
輸入盤国内仕様(帯・英文解説対訳付)

CD1
01 MAY EAST – MARAKA
02 DEQUINHA E ZABA – PREPOSIÇÕES
03 OHARASKA – A FÁBULA
04 FAUSTO FAWCETT – SHOPPING DE VOODOOS
05 R. H. JACKSON – O GATO DE SCHRÖDINGER
06 EDSON NATALE – NINA MAIKA
07 AKIRA S – TOKEI
08 LOW KEY HACKERS – EMOTIONLESS
09 BRUHAHÁ BABÉLICO – BRUHAHÁ II *** bonus track
10 CHANCE – SAMBA DO MORRO
11 JORGE DEGAS & MARCELO SALAZAR – ILHA GRANDE

CD2
01 PRISCILLA ERMEL – AMERICUA
02 VOLUNTÁRIOS DA PÁTRIA – MARCHA
03 ANGEL’S BREATH – VELVET
04 FAUSTO FAWCETT – IMPÉRIO DOS SENTIDOS
05 INDIVIDUAL INDUSTRY – EYES *** bonus track
06 CHANCE – INTRO-AMAZÔNIA
07 TETÊ ESPÍNDOLA – QUERO-QUERO
08 NELSON ANGELO – HARMONÍA DE ÁGUA
09 JORGE MELLO – A NATUREZA REZA
10 JÚLIO PIMENTEL – GERSAL
11 TIÃO NETO – CARROUSEL

 ドカッカ ドンツド ツカンド カンカン! こんなのよく思いつきましたな。まさかのTR-808をモチーフにした児童書『エイト・オー・エイト -声と手拍子で遊ぶリズム絵本-』が1月26日に発売される。

 突如ブラックホールに吸い込まれてしまったエイトくんが、そこから脱出すべく、なかよしになったポンピちゃんといっしょに、いろんなリズム遊びを実践していく、というお話。
 さいしょはシンプルな4/4からはじまるものの、ソン・クラーベにシンコペーションにポリリズムにと、これがけっこうガチなのだ。子どもだけじゃない、大人もつい手を叩きたくなってしまう、練りこまれた1冊に仕上がっている。ドカッカ ドンツド ツカンド カンカン!

 著者は、押井守『うる星やつら』の主題歌 “ラムのラブソング” の作曲者として知られるキイボーディストの小林泉美。そして絵を担当したのはなんと、アブカディム・ハック! 昨年『The Book of Drexciya Vol.1』を刊行したばかりのハックだが、本書でもその才は遺憾なく発揮されていて、眺めているだけでもとっても楽しいです。

 なお、この本をつくったのは初代ele-kingの編集者だった大森琢磨。彼の斬新な発想力にも拍手を。

『エイト・オー・エイト - 声と手拍子で遊ぶリズムの絵本 -』
伝説のリズムマシン、TR-808をモチーフにした
リズム遊びと物語の児童書 発売のお知らせ

monogon(モノゴン)は、ローランド株式会社の協力のもと、
世界で愛されるリズムマシンTR-808をモチーフに、掲題の書籍を制作。
2021年1月26日(火)に正式発売します。

子どもたちに、リズムの素朴な楽しさと奥深さを伝える内容であると同時に、
その実、まったく新しいカテゴリの書籍となっています。

書誌情報
書名:エイト・オー・エイト -声と手拍子で遊ぶリズム絵本-
定価:本体3,800円+税
判型:A4判
頁数:28ページ
仕様:リング製本
付録:紙製仕掛け付録「TR-808」付き
ISBN:978-4-9911538-0-8 C8773
対象年齢:小学1年生〜

2021年1月26日(火)
発売予定

■取り扱い
全国書店(トランスビュー取引代行)、
Amazon、楽天ブックス、monogonwebサイト直販

本書の「8つ」のポイント
①ありそうでなかった“リズム脳育”児童書!?
②モチーフは、リズムマシンの金字塔、RolandのTR-808
③「ラムのラブソング」の作曲者として知られる天才、小林“ミミ”泉美が執筆!
④子どものリズム感を養い、リズムの構造理解を促すリズム遊びを収録
⑤デトロイト・テクノのレジェンド、A.QadimHaqq描き下ろしによるイラスト
⑥オリジナルのリズム・パターンを作って遊べる紙製ふろく「TR-808」が付属
⑦リズムと多元宇宙をテーマにした奇想天外な物語
⑧帯文は、電気グルーヴの石野卓球氏!

◆“リズム脳育”児童書!?

右脳的な知覚、左脳的な概念理解、そして声や手拍子を用いた身体表現。
これらをシンクロすることではじめて成立する本書のリズム遊びは、あたまと体を使う一種の知的な体操です。
もちろん、予備知識は一切必要ありません。

これまで多くの音楽児童書は、リズムと銘打つものも含めて、実は歌とメロディが内容の中心でした。
対する本書の主役は、まさにリズムそのもの。
音楽が鳴りはじめれば、誰が教えた訳でもないのに、
手足でリズムをとり、居間のテレビ正面のステージで一心不乱にダンス。
そんなすべての子どもたちのための、ありそうでなかった児童書です。

子どもがひとりで、あるいは家族や友だちと、声と手拍子のリズム遊びをすることで、リズム感を養えるだけでなく、拍や小節、テンポ、グルーヴ、パートの概念といったリズムの基本構造も学ぶことができます。

◆モチーフは日本が世界に誇るリズムマシン、TR-808

言わずと知れた世界のスーパースタンダードTR-808は、発売から40年以上が経過した今でも、そのサウンドを耳にしない日がないほどです。
'80年代前半にヒップホップ、ハウス、テクノの創始者たちが使いはじめ、新しい音楽誕生のきっかけをもたらしたことから、ダンスミュージックを象徴するアイコンとしても、世界中で愛されています。
本書では、そんなTR-808のこの上なくシンプルなインターフェースをお手本に、カラフルなボタンからなる“808マナー”で、全てのリズムをわかりやすく表しました。

◆「ラムのラブソング」の小林“ミミ”泉美が執筆!

著者は『うる星やつら』『さすがの猿飛』『ストップ!! ひばりくん!』の主題歌で日本に「アニソン革命」を起こし、昨今のシティ・ポップの世界的流行により、あらためて注目を集める、小林“ミミ”泉美。
'70〜'80年代は、自身のバンド・ソロ活動のほか、高中正義、松任谷由実、井上陽水などのライブで腕を鳴らし、'85年に渡英。
ファンク、ラテン、アフロなどのスタイルを得意とする凄腕鍵盤奏者として、ヨーロッパを中心に現在も、ライブ活動を展開中。
そんな小林が、自身の練習法などをもとにリズム遊びを考案、執筆しました。

◆デトロイトのレジェンド、Haqqによる描き下ろしイラスト

ファンキーな表紙をはじめとする本書の全イラストは、なんとデトロイト・テクノの生き証人ともいうべき伝説的ビジュアリスト、A.QadimHaqqの手によるもの。
彼がこれまでに手掛けた数々の名盤のアートワークにも通じる独創的な世界感が、
子どもたちの感性を否が応にも揺さぶります。

◆史上初! 紙製「TR-808」付録つき

16本のバーを上下に動かしてオリジナルのリズムパターンを組むことができる仕掛け付録、その名も「TR-808」が付属します。


著者プロフィール

小林“ミミ”泉美 / 文

アニメ『うる星やつら』『さすがの猿飛』『ストップ!! ひばりくん!』など、数々のテーマ曲の作編曲と、ヴォーカルで知られる鍵盤奏者・作曲家。
1976年にASOCAを結成。1977年にメジャーデビュー後、“小林泉美&Flying Mimi Band”名義でアルバムを2枚、ソロ名義で4枚発表。
セッション・ミュージシャンとして、パラシュートや高中正義のバンドに参加するかたわら、松任谷由実や井上陽水のバックバンドでも活動した。1981年にアニメ『うる星やつら』の主題歌「ラムのラブソング」を作曲して名を広め、その後『うる星やつら』の関連曲を中心に、アニメや映画、ドラマなどの楽曲を手掛ける。
1985年に渡英後は、R&Bユニット、Moves In Motionを結成したほか、Depeche ModeやSwing Out Sisterの音源にも参加。ベルリン・ダブ・テクノのパイオニアMoritz von Oswaldとのバンド活動、Derrick Mayの作品への参加など、クラブ・ミュージックにも接点を持つ。2017年以降は、アフロ・ファンクバンド、The Scorpiosのキーボーディストとして活躍中。
シティ・ポップの世界的な流行によっても、新たな注目を集めている。

アブカディム・ハック

ミシガン州デトロイト生まれ、デトロイト育ちのビジュアル・アーティスト/アフロ・フューチャリスト。デトロイト・テクノの最重要レーベルのひとつ、Transmatでの活動を皮切りに、1989年からテクノ音楽コミュニティに貢献する。
1998年には、Underground Resistanceに加入。
これまでに、数えきれないほど多くのデトロイト・テクノの名盤のアートワークを手掛けてきた彼の活動の歴史は、すなわちデトロイト・テクノの歴史といっても過言ではないほど。彼が手掛けた代表的なアートワークは、Juan Atkins、Metroplex、Derrick May、Transmat、Underground Resistance、Kevin Saunderson、Carl Craig、Drexciyaなど、錚々たるアーティスト、レーベルの作品で目にすることができる。
なお、幼少期に観た日本のアニメ、『Battle of the Planets』(『科学忍者隊ガッチャマン』のアメリカ版)、『Robotech』(『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』『機甲創世記モスピーダ』を再編集した海外版)は、彼の想像力の源泉のひとつになっている。
2020年には、ドイツの名門テクノ・レーベルTresorより、グラフィック・ノベル『The Book of DrexciyaVol.1』を刊行した。

R.I.P. Sylvain Sylvain - ele-king

 偉大なるパンクの先駆者、ニューヨーク・ドールズのギタリストとして知られるシルヴェイン・シルヴェインが2年以上におよぶ癌との闘病の末に亡くなった。

 本名はロナルド・ミズラヒ。1951年にカイロで生まれたシリア系ユダヤ人で、1956年のスエズ動乱の際に家族でフランスを経てアメリカに渡り、ニューヨークのクイーンズに落ち着く。渡米して最初におぼえた英語は「ファック・ユー」だったという。
 ドールズのオリジナル・ドラマーだったビリー・マーシアはコロンビアからの移民で、シルヴェインとは近所に住む幼馴染だった。ふたりはやがて服飾関係の仕事に進み、その経験がのちのドールズの斬新な衣装に活かされる。

 ジョニー・サンダースをフロントに据えたバンド、アクトレスにビリーとともに参加。ここにデヴィッド・ヨハンセンが加わりニューヨーク・ドールズのラインナップが完成する。マーサー・アーツ・センターという複合施設で定期的にライヴをおこなうようになったドールズは、ド派手な衣装とハイヒール・ブーツにギラギラのメイクという姿でシンプルなロックンロールを演奏するステージが評判を呼び、70年代初頭のニューヨークにおけるもっともホットなバンドとなっていく。アンディ・ウォーホール周辺をはじめとする当時のヒップな面々が集ったという。グラム前夜のデヴィッド・ボウイもしばしば訪れている(ヨハンセンに「その髪型、誰にやってもらったの?」と尋ねたそうだ)。
 ビリーの死後にドールズのドラマーとなるジェリー・ノーランは、初めてドールズを観たときの衝撃を「すげえ! こいつら、他に誰もやってないことをやってる。三分間ソングが戻ってきた!」と表現している。「当時といったら、ドラム・ソロ十分、ギター・ソロ二十分って時代だったから。一曲だけでアルバム片面終わっちゃったりね。そういうのには、もううんざりしてた」(『
プリーズ・キル・ミー』より)。まさにパンクだったのだ。ドールズがロックに取り戻したのは、シャングリラスに代表されるガール・グループのポップスとロックンロール、すなわち五十年代だった。

 デヴィッド・ヨハンセンとジョニー・サンダースという強烈なスターをフロントに擁するドールズだが、ソングライティング面におけるシルヴェインの貢献も見逃せない。デビュー作『ニューヨーク・ドールズ』収録曲の中でも速い “フランケンシュタイン” やエディ・コクランのギター・リフを取り入れた “トラッシュ” はシルヴェインとヨハンセンのペンによるものだし、ソロ・アルバム『シルヴェイン・シルヴェイン』に収録された “ティーンネイジ・ニュース” はパワーポップの名曲として知られている。

 マネージャーとなったマルコム・マクラーレンとの関係悪化などもあり、ジョニーとジェリーはバンドを脱退。シルヴェインとヨハンセンはバンドを続け、75年には内田裕也の招聘で来日もしているが、ロンドンでのパンクの勃興を横目に間もなく解散する。シルヴェインはソロやティアドロップス、クリミナルズといったバンドで80年代に数枚の作品を発表しており、『シルヴェイン・シルヴェイン』をはじめ佳作も多いのだが残念ながら大きな成功を収めるには至らなかった。

 90年代にはジョニー・サンダースとジェリー・ノーランが続けざまに亡くなるが、2004年にまさかのドールズ再結成。きっかけは英国におけるファンクラブ会長だったモリッシーの熱いリクエストによるものである。このときの様子はベースのアーサー・ケインをフィーチャーしたドキュメンタリー映画『ニューヨーク・ドール』に記録されている。ミュージシャンを引退し、図書館員として働いていたアーサーがスタジオを訪れると、そこではまさにシルヴェインがリハーサルを仕切っていた。
 復活ライヴの直後に今度はアーサーも亡くなるがバンドは活動を継続し、再結成後に3枚のアルバムを残している。特に最後のアルバムとなった『ダンシング・バックワード・イン・ハイヒールズ』(2011)は、ヨハンセンのソロ作品でのスウィング・ジャズやキャバレー音楽の雰囲気を取り入れた異色の傑作だった。

 筆者はシルヴェインのステージを3回観ている。最初は2008年、スペインのフェスでのニューヨーク・ドールズ。2回目は2016年のソロ来日。そして最後は2018年、「ザ・ドールズ」という名義でニューヨーク・ドールズの曲を中心に演奏するというものだった。
 3回とも、陽気でチャーミングな姿が印象に残っている。特にオリジナルメンバーがふたりだけとなったニューヨーク・ドールズは、カリスマ性の強いヨハンセンと盛り上げ上手なシルヴェインが好対照だった。


2018年の来日公演(写真:大久保潤)

 最後の来日の際には、『プリーズ・キル・ミー』(2007年に出た邦訳)を持参して終演後に見せたところ、にこやかに「これは素晴らしい本だよね」と言いながらサインをしてくれた。2020年に念願の復刊を果たした本書をもう一度見せたかったのだが、それももう叶わなくなってしまった。

Jesu - ele-king

 イェスーは、ゴッドフレッシュなどインダストリアル・ミュージックでその名を知らしめているジャスティン・ブロードリックによるヘヴィ・ロック・プロジェクトである。ゴッドフレッシュ以降、いわば00年代のジャスティン・ブロードリックのメイン・プロジェクトでもあった。
 10年代以降は、JKフレッシュとしての活動、ゴッドフレッシュの再始動もはじまり、インダストリアル路線での活動も再び火がついたように活発になったが、2016年にはイェスーとしてサン・キル・ムーンとのコラボレーション・アルバム『Jesu / Sun Kil Moon』をリリースした(話題を呼んだことを覚えている方も多いだろう)。ジャスティン・ブロードリックにとってイェスーはゴッドフレッシュの活動停止以降の傷を癒すための「救いと信仰」のような面もあるプロジェクトだが、いまや彼の重要なアルターエゴ(のひとつ)なのかもしれない。

 そのイェスーが『Every Day I Get Closer to the Light From Which I Came』以来、7年ぶりのアルバム『Terminus』を2020年にリリースした。この待望の新作において、ポストメタルとシューゲイズ、ポストロックとエレクトロニックの要素が、オーセンティックなロック・アンサンブルによって見事にミックスされていた。加えてケヴィン・リチャード・マーティンとのテクノ・アニマル以降のプロジェクトであるゾウナルで展開していたインダストリアル路線や、ディルク・セリーズとのコラボレーションによるアンビエント路線も結実したハイブリッドなアルバムでもある。聴き込んでいくとまるで透明な冬の世界をスキャンするような感動を得ることができたほどである。聴くほどに味わいが深くなるポスト・シューゲイズ・ロック・アルバムの極北とでもいうべきか。

 じじつ、『Terminus』は、これまでのアルバムに比べて重厚さよりも、サウンドが醸し出すムードや質感に重点をおいて録音された作品に思えた。コンピューターメインのJKフレッシュからのフィードバックもあるのだろう。アルバムは「拒絶、依存、ノスタルジア、究極の孤独というコンセプトにインスパイアされ」制作されたという。そこには2020年の世界を覆った危機、いわば「コロナ禍」の影響もあるだろう。コロナ禍でさまざま予定がキャンセルされたことで、かえってジャスティンの創作意欲に火がついたのではないかと勝手に想像してしまう。そのせいかこのようなコンセプトであるにもかかわらず、アルバムは閉塞的ではなく、むしろ「雪に覆われた白い世界の空気」のように透明で解放的な仕上がりなのだ。特に楽曲全体に鳴り響くギターのトーン・コントロールの絶妙さに注目したい。このトーンの卓抜なコントロールによってアルバム/曲のアンビエンスを統一しているのではないかという印象を持った。

 アルバムは、ジャスティン・ブロードリックによって演奏・録音された(1、3、7曲目のみドラムのテッド・パーソンズが参加)。そのせいかどこかジャスティン・ブロードリックの個人プロジェクトのような様相にもなっている。パーソナルな感覚はそこにも由来しているのかもしれない。
 全8曲収録というコンパクトな構成だが曲はヴァリエーションに富んでいる。1曲目 “When I Was Small” は軽やかなドラムとポストロック風味のエレクリック・ギターで幕を開ける(トータスのようだとは言いすぎか?)。リフレインされるノイジーなギターとリズムに、空間を引き裂くような深い残響のヴォーカルが重なり、楽曲世界を一気に完成させる。アルバム全体に共通する「重厚なのに浮遊感がある」という両極の状態を鳴らしている。2曲目 “Alone” は曲名に相反するかのように開放感のあるメジャーコードの曲だ。しかしギターは1曲目よりもシューゲイズ・モードである。3曲目 “Terminus” はヘヴィ・ムードな曲調へと変化する。シューゲイズ的なギターと重く打ち込むドラムスのコントラストが実に見事だ。4曲目 “Sleeping In” は静謐なアンビエンスから一転し、アルバム中もっともヘヴィなアンサンブルを聴かせるトラックである。ゆったりとしたテンポの中、世界の楔を打ち込むようなビートと繊細にコントロールされたノイズ・ギターが刻まれていく。インダストリアルなムードが濃厚な楽曲でもある。
 折り返し地点である5曲目(アナログ盤B1曲目)“Consciousness” と6曲目 “Disintegrating Wings” はアンビエントな楽曲だ。スローなテンポのもとで深く響くサウンドが聴き手の心身に綺麗な空気のように浸透していく。7曲目 “Don't Wake Me Up” は乾いたリズムとクリーンなギターのミニマルなアンサンブルがポストロック的なムードを醸し出す。アルバム最終曲(8曲目)の “Give Up...” は機械的なビートと透明なアトモスフィアを放つ電子音に、エレクトリック・ギターのミニマルなフレーズが交錯し、アンビエント・テクノ的な世界観を展開する。この“Give Up” の静かな高揚感には、この混沌とした世界を生き抜くようなポジティヴな意志を感じたほどである。イェスーとしては異色な曲だが、アルバム中、もっとも重要なトラックではないか。
 こうして全曲を通して聴いてみると、ポストロック的なアンサンブルの前半(A面)、シンセサイザーなどを導入し、アンビエントなムードを放つ後半(B面)とに大きく分かれる構成になっていることに気がつく。印象的な真っ白な景色のアートワークはアルバム後半のムードを象徴するようなものだろうか。
 全曲に共通するのは「トーン」だ。スローで鋭く凍てつくようなギターと硬質で柔らかなアトモスフィア、そして楔のようなドラムやビートがリズムを刻み、そのサウンドのなかに霧のようにかすれ消えゆく声が聴こえてくる。その響きはまるで雪の結晶が冷たい鉄に降り注ぐかのようだ。冬の孤独と世界の混沌。微かな明日への希望。その状態/感覚が交錯するアルバムなのである。

 最後に日本盤CDは同年リリースされたEP「Never」と二枚組になっていることに注目したい。『Terminus』の前哨戦的な、もしくは兄弟のようなEP「Never」ではより明確にシューゲイズとエレクトロニック・ミュージックの交錯が実践されている。EP「Never」とアルバム『Terminus』の二作を聴くことでジャスティン・ブロードリック「いまのモード」をより深く体感できるだろう。

φonon - ele-king

 この1月で設立3周年を迎えた EP-4 の佐藤薫によるエレクトロニック・ノイズ系レーベル、〈φonon(フォノン)〉。2月19日に新たな作品が2枚、同時発売される。ひと組は、家口成樹と Singū によるユニット、Singū-IEGUTI (シングーイエグチ)で、もうひと組は、岸野一之、田畑満、フィリップ・ブロフィからなる KISHINO TABATA BROPHY だ。それぞれキャリアのある東西の重鎮がエクスペリメンタルで危険なサウンドを轟かせる。チェックしておきましょう。

〈φonon(フォノン)〉のニュー・リリース 2タイトル
2021年2月19日(金)同時発売

◆Singū-IEGUTI (シングーイエグチ)
『エピタクソフォン』

(SPF-019 2,000円+税)

——結晶化する幻影と響き——
佐藤薫(EP-4)監修による〈φonon (フォノン)〉レーベルの2021年の序幕に登場する1組は、関西アンダーグラウンド・シーンの最重要人物・家口成樹が、KIYO と KETA RA の兄弟エクスペリメンタル・ユニット “Singū” (シングー)と合体したプロジェクト “Singū-IEGUTI” (シングーイエグチ)、待望3年ぶりのセカンド・アルバム。

アーティスト:Singū-IEGUTI (シングーイエグチ)
アルバムタイトル:エピタクソフォン
発売日:19/2/2021
定価:¥2,000(+税)
品番:SPF-019
JANコード:4562293384275
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS
流通:インパートメント


◆KISHINO TABATA BROPHY
『デンジャラス・オービッツ』

(SPF-020 2,000円+税)

迫り来る軌道上のデンジャー・ポイント
佐藤薫(EP-4)監修による〈φonon (フォノン)〉レーベルの2021年の序幕に登場する1組は、岸野一之、田畑満、フィリップ・ブロフィ──豊富なキャリアと確かなパーソナリティをもつ3人のグループ「KISHINO TABATA BROPHY (KTB)」。四半世紀におよぶ交流反応から無為自然に生み出されたハイパーリミナル・エレクトロ・ロックの危険なサウンドが、新たなる激動の時代とその時空を貫く。

アーティスト:KISHINO TABATA BROPHY
アルバムタイトル:デンジャラス・オービッツ
発売日:19/2/2021
定価:¥2,000(+税)
品番:SPF-020
JANコード:4562293384282
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS
流通:インパートメント

Stereolab - ele-king

 2019年、10年ぶりに再始動を果たしたステレオラブ。彼らのなにが偉大だったのか、その功績についてはこちらのコラムをお読みいただくとして、オリジナル・アルバムのリイシュー企画に続き、今度は98年を最後に止まっていたシングル集シリーズの最新作『Electrically Possessed』が2月26日にリリースされる。入手困難なツアー7インチの曲や未発表曲も収録されるとのことで、これは楽しみ。現在同作より “Dimension M2” が先行公開中です。

STEREOLAB

再始動したステレオラブが23年振りにシングル集シリーズの最新作
『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』を
2月26日にリリース決定!
数量限定のTシャツ・セットも同時発売決定!
先行シングル「Dimension M2」を解禁!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性でオルタナティブ・ミュージックを語るのに欠かせないステレオラブ。

2019年に10年ぶりに本格再始動した彼らは、音楽史に燦然と輝く7タイトルのリマスター盤再発企画をスタートさせ、音楽ファンを喜ばせたが、今回は1992年の第一弾『Switched On』、1995年の第二弾『Refried Ectoplasm』、1998年の第三弾『Aluminum Tunes』と続いたシングル集シリーズの実に23年振りとなる第四弾『Electrically Possessed』を2月26日にリリースすることを発表した。

再発タイトル同様、〈Warp Records〉と〈Duophonic UHF Disks〉のダブルネームでリリースされる本作には、1999年から2008年までのステレオラブの歩みを網羅した25曲を収録。ほとんどの音源において、メンバーのティム・ゲインの監修の元、電気グルーヴのマスタリングも手掛けるボー・コンドレンの手によってリマスタリングが施されている。

廃盤となったミニアルバム『The First Of The Microbe Hunters』の全曲を収録しており、入手困難なツアー7インチ、コンピレーション曲、アート・インスタレーション作品、アルバム『Mars Audiac Quintet』と『Dots and Loops』のレコーディング・セッションからの未発表曲も収録される。

Stereolab - Dimension M2 (Official Audio)
https://youtu.be/HPKQgMGWot0

今回の発表と合わせてシングル「Dimension M2」が公開されている。本楽曲は、2005年にコンピレーション作品『Disco Cabine』に提供された楽曲で、ティム・ゲインは次のように解説している。

コンピュータを使ったレコーディングが楽しかった『Dots and Loops』の制作の後、自分たちの小さなホームレコーディングスタジオを作りたいと思ったんだ。AppleのデスクトップとMOTUサウンドカード、Logic 2を買って、主にサンプルを使ってシンプルなトラックを録音し始めたんだけど、それにギターやキーボード、そしてレティシアとメアリーが歌詞のない歌声を加えたりもした。個人的には、音やリズムをカットしたり、切り刻んだりするのが好きで、ステレオラブのメインのレコーディング作品よりも、ずっと小さくてシンプルな信号音のような曲を作ろうとしたんだ。そうやって作ったトラックのほとんどはツアー限定シングルかコンピレーション作品に提供した。「Dimension M2」は、Cabineというデザイン会社を持ってた友人のPaul & Hervéが手がけたコンピレーションに収録された。彼らのために何かアップビートでパーティーっぽいものを作りたくて、なるべくそのイメージに近づけたんだ。それでもまだクールで冷めた感じがするけどね。

初回盤特殊パッケージ

通常盤CD

Tシャツ

本作『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』は、CD、LP、デジタルのフォーマットで2月26日に世界同時リリースされる。国内流通仕様盤CDとLPの初回盤は、ミラーボード仕様の特殊パッケージを採用し、ステッカーが封入される。数量限定の国内流通仕様盤+Tシャツ・セットも同時発売される。さらに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお公演延期となっていたステレオラブの来日公演は、2021年9月に振替日程が決定している。
https://smash-jpn.com/live/?id=3304

label: BEAT RECORDS / DUOPHONIC UHF DISKS / WARP RECORDS
artist: STEREOLAB
title: ELECTRICALLY POSSESSED [SWITCHED ON VOL. 4]
release date: 2021/02/26 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD
解説書+ステッカー封入
BRDUHF42 ¥2,400+税

国内流通仕様盤CD+Tシャツセット
BRDUHF42S~XL ¥5,900+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11675

Tracklist:

DISK 1
01 - Outer Bongolia
02 - Intervals
03 - Barock-Plastic
04 - Nomus Et Phusis
05 - I Feel The Air {Of Another Planet}
06 - Household Names
07 - Retrograde Mirror Form
08 - Solar Throw-Away [Original version]
09 - Pandora's Box Of Worms
10 - L'exotisme Interieur

DISK 2
01 - The Super-It
02 - Jump Drive Shut-Out
03 - Explosante Fixe
04 - Fried Monkey Eggs [Instrumental version]
05 - Monkey Jelly
06 - B.U.A
07 - Free Witch and No Bra Queen
08 - Heavy Denim Loop Pt 2
09 - Variation One
10 - Monkey Jelly [Beats]
11 - Dimension M2
12 - Solar Throw-Away
13 - Calimero
14 - Fried Monkey Eggs [Vocal]
15 - Speck Voice

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